説明

圧力媒体接続継手を備える組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び蓄力ばね式ブレーキシリンダ

本発明は、車両のための組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び畜力ばね式ブレーキシリンダ(1)であって、常用ブレーキシリンダ(4)内に配置される、圧力媒体により操作可能な少なくとも1つの常用ブレーキピストン(6)が設けられており、該常用ブレーキピストン(6)が、常用ブレーキチャンバ(38)を画成し、ブレーキ操作部材に作用する常用ブレーキピストンロッド(8)に結合されており、かつ畜力ばね式ブレーキシリンダ(12)内に配置される、畜力ばね(16)により操作可能な少なくとも1つの畜力ばね式ブレーキピストン(18)が設けられており、該畜力ばね式ブレーキピストン(18)が、一方の側で畜力ばね式ブレーキチャンバ(14)を画成し、他方の側で、畜力ばね(16)を収容するばねチャンバ(17)を画成し、畜力ばね式ブレーキピストンロッド(24)に結合されており、該畜力ばね式ブレーキピストンロッド(24)が、常用ブレーキシリンダ(4)と畜力ばね式ブレーキシリンダ(12)とを互いに隔離する中間壁(28)の開口(26)を通して延在しており、中間壁(28)内に、圧力媒体を常用ブレーキチャンバ(38)に供給及び/又は常用ブレーキチャンバ(38)から排出、又は圧力媒体を畜力ばね式ブレーキチャンバ(14)に供給及び/又は蓄力ばね式ブレーキチャンバ(14)から排出するための孔(58)を備える圧力媒体接続部(56)が設けられている形式のものに関する。本発明では、圧力媒体接続部(56)が、圧力媒体管路、圧力媒体線路又は圧力媒体通路に接続される相手側継手部分に圧力媒体を導通接続するために設けられている、孔(58)内に保持される少なくとも1つの別体の継手部分(60)を有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の、車両のための組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び畜力ばね式ブレーキシリンダであって、常用ブレーキシリンダ内に配置される、圧力媒体により操作可能な少なくとも1つの常用ブレーキピストンが設けられており、該常用ブレーキピストンが、常用ブレーキチャンバを画成し、ブレーキ操作部材に作用する常用ブレーキピストンロッドに結合されており、かつ畜力ばね式ブレーキシリンダ内に配置される、畜力ばねにより操作可能な少なくとも1つの畜力ばね式ブレーキピストンが設けられており、該畜力ばね式ブレーキピストンが、一方の側で畜力ばね式ブレーキチャンバを画成し、他方の側で、畜力ばねを収容するばねチャンバを画成し、畜力ばね式ブレーキピストンロッドに結合されており、該畜力ばね式ブレーキピストンロッドが、常用ブレーキシリンダと畜力ばね式ブレーキシリンダとを互いに隔離する中間壁の開口を通して延在しており、中間壁内に、圧力媒体を常用ブレーキチャンバに供給及び/又は常用ブレーキチャンバから排出、又は圧力媒体を畜力ばね式ブレーキチャンバに供給及び/又は蓄力ばね式ブレーキチャンバから排出するための孔を備える圧力媒体接続部が設けられている形式のものに関する。
【0002】
商用車においてブレーキを操作するために、とりわけ組み合わされた空気圧式の常用ブレーキシリンダ及び蓄力ばね式ブレーキシリンダが使用される。この種のコンビシリンダ(Kombizylinder)は、相前後して接続される、常用ブレーキを操作するための常用ブレーキシリンダと、補助ブレーキ及び蓄力ばね式ブレーキを操作するための蓄力ばね式ブレーキシリンダとの組み合わせである。
【0003】
上位概念を形成する、商用車の組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び蓄力ばね式ブレーキシリンダは、DE3503216A1に開示されている。中間壁に形成される圧力媒体接続部は、圧力媒体線路の結合片が螺入可能な雌ねじ山を備える孔により形成される。圧力媒体接続部は、圧力媒体線路を常用ブレーキチャンバに接続する。このような圧力媒体線路又は結合片は、車両メーカーの顧客要求に応じて、それぞれ異なる直径又は寸法を有している場合があるので、組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び蓄力ばね式ブレーキシリンダのサプライヤーは、中間壁をそれぞれ適合しなければならない。
【0004】
これに対して本発明の課題は、冒頭で述べた形式の組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び蓄力ばね式ブレーキシリンダを改良して、低廉な製造コスト及び組立コストで、よりフレキシブルに使用可能なものとすることである。
【0005】
本発明により、上記課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴、すなわち、圧力媒体接続部が、圧力媒体管路、圧力媒体線路又は圧力媒体通路に接続される相手側継手部分に圧力媒体を導通接続するために設けられている、孔内に保持される少なくとも1つの別体の継手部分を有することにより解決される。
【0006】
発明の利点
本発明は、圧力媒体接続部が、圧力媒体管路、圧力媒体線路又は圧力媒体通路に接続される相手側継手部分に圧力媒体を導通接続するために設けられている、孔内に保持される少なくとも1つの別体の継手部分を有するという思想に基づく。圧力媒体管路、圧力媒体線路若しくは圧力媒体通路又は相手側継手部分のそれぞれ異なる直径及びサイズへの適合は、相応に適合された継手部分が孔内に装入されることによって簡単に実施可能である。これにより、それぞれ異なる孔直径又はねじ山直径を備えるそれぞれ異なる隔壁の製造は不要である。したがって、隔壁内には同じ内寸を備える統一的な孔を設けるだけで十分であり、この孔内に、その外寸に関して標準化された継手部分が装入される。したがって、違いは、車両メーカーにより予定される、継手部分と相手側継手との間のそれぞれ異なる接続部幾何学形状に限られる。
【0007】
従属請求項に記載の手段により、独立請求項に記載の発明の有利な構成及び改良が可能である。好ましくは、継手部分が孔内に形状結合式に保持されている。好ましくは、前記形状結合がスナップ結合部により形成される。好ましくは、孔の半径方向内側の孔壁に形成される円環状の溝内に保持され、少なくとも軸方向で撓む、少なくとも1つの弾性的なスナップリングが設けられており、該スナップリングのばね区分が、前記溝から半径方向内側に張り出しており、継手部分を孔内に差し込むか、又は導入したときに、継手部分の切欠き内に形状結合式に弾発係合又はスナップ係合するように形成されている。好ましくは、継手部分に設けられるスナップリングのための切欠きと、スナップリングのばね区分とが、継手部分又は孔の中心軸線に関して、孔と継手部分との間で一度成立した形状結合が解離不能であるように斜めに配置されている。好ましくは、スナップリングが、孔の半径方向内側の孔壁に設けられた溝内に保持される保持リングにより軸方向で固定されている。好ましくは、継手部分が、孔の半径方向内側の孔壁をシールする少なくとも1つのシールリングを支持する。好ましくは、孔壁と気密かつ圧密に協働する少なくとも1つのシールリングと、圧力勾配の方向で、前記シールリングの下流に配置される別の、少なくとも湿分及び/又は汚れの侵入を阻止するシールリングとが設けられており、形状結合式の結合部が、圧力勾配の方向で見て、少なくとも2つのシールリングの間に配置されている。好ましくは、孔が段付けされて形成されており、継手部分のための少なくとも1つの軸方向ストッパを有する。
【0008】
特に有利には、継手部分が孔内に形状結合式に保持されている。形状結合は、例えばスナップ結合部により形成される。このことは例えば、孔の半径方向内側の孔壁に形成される円環状の溝内に保持され、少なくとも軸方向で撓む、少なくとも1つの弾性的なスナップリングが設けられており、該スナップリングのばね区分が前記溝から半径方向内側に張り出しており、継手部分を孔内に差し込むか、又は導入したときに、継手部分の切欠き内に形状結合式に弾発係合又はスナップ係合するように形成されていることにより実現可能である。このようなスナップ結合部は、極めて迅速かつ簡単に、特に僅かな組立力で形成可能である。
【0009】
継手部分に設けられるスナップリングのための切欠きと、スナップリングのばね区分とは、継手部分又は孔の中心軸線に関して、有利には、孔と継手部分との間で一度成立した形状結合が解離不能であるように斜めに配置されている。有利な形態では、スナップリングが、孔の別の溝内に保持される保持リングにより軸方向で固定されている。保持リングは、スナップリングを保持する溝の一方の壁を形成する。溝の他方の壁は、例えば孔の段部により形成される。
【0010】
特に有利には、継手部分が、孔の半径方向内側の孔壁をシールする少なくとも1つのシールリングを支持する。特に、孔壁と気密かつ圧密に協働するシールリングと、圧力勾配の方向で、前記シールリングの下流に配置される別の、少なくとも湿分及び/又は汚れの侵入を阻止するシールリングとが設けられており、形状結合式の結合部が、少なくとも2つのシールリングの間に配置されている。このことは、形状結合式の結合部の汚損又は腐食を防止する。他方では、これにより、継手結合部の気密又は圧密の構成が保証される。
【0011】
図面
本発明の一実施の形態を図示し、以下に詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び蓄力ばね式ブレーキシリンダの半部横断面図である。
【図2】図1に示した本発明の有利な実施の形態に係る組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び蓄力ばね式ブレーキシリンダの圧力媒体接続部の横断面図である。
【図3】図2に示した横断面図の要部拡大図である。
【0013】
実施の形態の説明
図1は、本発明の有利な実施の形態に係る組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び畜力ばね式ブレーキシリンダを示す。この組み合わせは、鋼からなる常用ブレーキシリンダ4を備える常用ブレーキ装置2を有する。常用ブレーキシリンダ4内には、空気圧で負荷可能な常用ブレーキピストン6が案内されている。常用ブレーキピストン6は、常用ブレーキピストンロッド8を介して、例えば商用車の縮尺上の理由から図示しないディスクブレーキを操作する。さらに、この組み合わせは、鋼からなる畜力ばね式ブレーキシリンダ12を備える畜力ばね式ブレーキ装置10を有する。畜力ばね式ブレーキシリンダ12内には、畜力ばね式ブレーキチャンバ14内の空気圧によりばねチャンバ17内の畜力ばね16のばね力に抗して付勢可能な畜力ばね式ブレーキピストン18が案内されている。畜力ばね式ブレーキピストン18により、常用ブレーキピストン6はブレーキ締結方向で負荷可能である。常用ブレーキシリンダ4及び畜力ばね式ブレーキシリンダ12は、相前後して同軸的に配置され、1つのコンビブレーキシリンダ20を形成する。さらに、コンビブレーキシリンダ20を車両に固定することができるように、常用ブレーキシリンダ4のヘッド側から、鋼からなる固定ピン22が突出している。
【0014】
畜力ばね式ブレーキピストン18の畜力ばね式ブレーキピストンロッド24は、畜力ばね式ブレーキシリンダ12と常用ブレーキシリンダ4との間の隔壁28内に設けられた貫通開口26を密に貫通し、その端面で常用ブレーキピストン6に当接する。常用ブレーキピストン6は、隔壁28と、外縁部で常用ブレーキシリンダ4の縁に設けられる半径方向外側の肩部30との間に締め付けられる軸方向可動のダイヤフラム32、及びダイヤフラム32に結合される中央のピストンディスク34を含んでいてよい。
【0015】
肩部30は、有利には90°を超える角度に曲げられているので、ダイヤフラム32に向かって斜めの接触面が生じる。その一方で、隔壁28の半径方向外側の縁にも、斜めの接触面が設けられているので、両接触面間には、半径方向外側に向かってくさび形に拡大する横断面が生じる。このくさび形に拡大する横断面には、ダイヤフラム32の、相補的に成形される外側の縁部36が形状結合(formschluessig:形状による束縛)式に保持されている。
【0016】
さらに、公知のように、畜力ばね式ブレーキピストン18は、畜力ばね16の作用に抗して畜力ばね式ブレーキチャンバ14の通気により解除位置に移動可能である。さらに、隔壁28と常用ブレーキピストン6との間に延在する常用ブレーキチャンバ38の通気により、常用ブレーキピストン6は、一端で常用ブレーキピストン6に支持され、他端で常用ブレーキシリンダ4の端壁に支持される戻しばね40の作用に抗して、締結位置に移動可能である。特に、畜力ばね式ブレーキピストンロッド24内には、機械式の解除装置46が組み込まれている。機械式の解除装置46により、畜力ばね式ブレーキは圧力失陥時、非常又は補助解除可能である。
【0017】
さらに、隔壁28の半径方向外側の周面は、段部48でもって、畜力ばね式ブレーキシリンダ12の相補的な段部50に対向することにより固定されている。その一方で、畜力ばね式ブレーキシリンダの縁部52は、常用ブレーキシリンダ4の縁部に縁曲げ部54により結合されている。縁曲げ部54は、同時にダイヤフラム32の縁部36を包囲して固定する。
【0018】
隔壁又は中間壁28内には、図2に最もよく示されている圧力媒体接続部56が設けられている。圧力媒体接続部56は、隔壁28の半径方向外側の周面に形成される盲孔58内に保持される少なくとも1つの別体の継手部分60を有する。継手部分60は、外部の圧力媒体管路、外部の圧力媒体線路又は外部の圧力媒体通路に接続される、ここでは図示しない相手側継手部分に、圧力媒体を案内しかつ断続可能に接続するために設けられている。相手側継手部分は、例えば継手部分60内に螺入可能である。圧力媒体接続部56は、圧力媒体を常用ブレーキチャンバ38に供給又は常用ブレーキチャンバ38から排出するために役立ち、択一的には、圧力媒体を畜力ばね式ブレーキチャンバ14に供給又は畜力ばね式ブレーキチャンバ14から排出するために役立つ。例えば、盲孔58は、盲孔58の底に形成される通路62を介して常用ブレーキチャンバ38と連通している。
【0019】
特に有利には、継手部分60が盲孔58内に形状結合式に保持される。形状結合は、例えばスナップ結合部64により形成される。スナップ結合部64は、図3に最もよく示されている。スナップ結合部64は、有利には、盲孔58の半径方向内側の孔壁に形成される円環形の溝66内に保持され、少なくとも軸方向で撓む、少なくとも1つの弾性的なスナップリング68が設けられていることにより実現されている。スナップリング68は、ばね区分70でもって、前記溝66から僅かに半径方向内側に張り出している。スナップリング68のこのばね区分70は、継手部分60が盲孔58内に差し込まれるなり、導入されるなりしたときに、継手部分60の半径方向外側の切欠き72内に形状結合式に弾発係合又はスナップ係合するように形成されている。さらに、弾性的なスナップリング68の半径方向内側の区分74は、盲孔58の溝66内に保持され得るように、継手部分60又は盲孔58の中心軸線76に関して垂直に配置されている。盲孔58は、段付けされて形成されており、これにより、組み付けられた状態で所定の軸方向位置を保証するために、相補的に段付けされた継手部分60のための少なくとも1つの軸方向ストッパを有する。
【0020】
弾性的なスナップリング58は、有利には、盲孔58の別の溝78内に保持される保持リング80により固定されている。保持リング80は、例えば完全に環状ではなく、周方向でギャップを有している。その結果、保持リング80は、その外径を減少しながら、半径方向で圧縮可能である。弾性的なスナップリング68が、端面で溝66の一方の壁を形成する、盲孔58内の段部79に載置された後、保持リング80は圧縮され、この圧縮を解いたときに、対応配置された溝78内に弾発係合するようになっている。これにより、弾性的なスナップリング68は、盲孔58からの継手部分60の引抜き方向とは逆向きに軸方向で接触させられ、これにより固定されている。これにより、保持リング80の、スナップリング68側の端面は、弾性的なスナップリング68が保持されている溝66の他方の壁を形成する。
【0021】
特に有利には、スナップリング68のために継手部分60に設けられる切欠き72と、スナップリング68のばね区分70とは、継手部分60又は盲孔58の中心軸線76に関して、盲孔58と継手部分60との間で一度成立した形状結合が解離不能であるように、斜めに配置されている。このために、本実施の形態では、スナップリング68のばね区分70及び切欠き72は、盲孔58内への継手部分60の差込み方向又は導入方向で屈曲している。さらに、継手部分60に設けられる切欠き72は、スナップリング68のばね区分70の屈曲に対応して、相補的にくさび形に形成されている。
【0022】
それゆえ、盲孔58内への継手部分60の導入中、スナップリング68のばね区分70は、まず軸方向で、つまり導入方向で変形し、継手部分60に設けられた切欠き72の上側のエッジ73を通過すると、この切欠き72内に弾発係合又はスナップ係合する。この位置で、スナップリング68のばね区分70の半径方向内側の周面は、切欠き72の対応配置された端面75に対向するので、盲孔58からの継手部分60の解離又は引抜きは、破壊なしには不可能である。
【0023】
特に有利には、継手部分60が少なくとも1つのシールリングを支持する。シールリングは、盲孔58の半径方向内側の孔壁をシールする。より正確にいえば、孔壁と気密及び圧密に協働するシールリング82と、圧力勾配の方向で前記シールリング82の下流に配置される別の、少なくとも湿分及び/又は汚れの侵入を阻止するシールリング84とが設けられている。形状結合式のスナップ結合部64は、圧力勾配の方向で見て、少なくとも2つのシールリング82,84の間に配置されている。
【0024】
継手部分60及び/又は相手側継手部分は、有利には鋼、黄銅又はプラスチックからなる。圧力媒体を案内する継手部分のために要求される剛性及び強度を有するあらゆる別の任意の材料が考慮されてもよい。
【0025】
これを背景として、組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び畜力ばね式ブレーキシリンダ1の機能形式は以下の通りである。
【0026】
畜力ばね式ブレーキも、常用ブレーキも解除されている、図1に示す状況から出発して、常用ブレーキを締結するために、常用ブレーキチャンバ38は、圧力媒体供給部56を介して通気される。これに伴い、常用ブレーキピストン6は、隔壁28から離間するように左向きに移動する。常用ブレーキピストン6の移動は、ディスクブレーキを締結させるように働く。これに対して、常用ブレーキチャンバ38の排気は、常用ブレーキピストン6が戻しばね40により解除位置に向かって、すなわち図1で見て右向きに移動して、畜力ばね式ブレーキピストンロッド24の端面又は隔壁28に当接するように働く。
【0027】
常用ブレーキを締結位置でより長期間保持するため、すなわち、常用ブレーキチャンバ38内の空気圧が所定時間後に解消したとき、又は常用ブレーキチャンバ38が適当に排気されたとき、今度は畜力ばね式ブレーキが締結されるべきである。このために、畜力ばね式ブレーキチャンバ14が排気される。これに伴い、畜力ばね16は畜力ばね式ブレーキピストン18を畜力ばね式ブレーキピストンロッド24と共に、図1で見て左向きに駆動する。畜力ばね式ブレーキピストンロッド24の端面は常用ブレーキピストン6と接触する。この運動に、常用ブレーキピストン6、及び常用ブレーキピストン6に連結された常用ブレーキピストンロッド8が従い、常用ブレーキピストンロッド8は、ディスクブレーキを締結位置にもたらす、又は締結位置に保持する。
【符号の説明】
【0028】
1 組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び畜力ばね式ブレーキシリンダ
2 常用ブレーキ装置
4 常用ブレーキシリンダ
6 常用ブレーキピストン
8 常用ブレーキピストンロッド
10 畜力ばね式ブレーキ装置
12 畜力ばね式ブレーキシリンダ
14 畜力ばね式ブレーキチャンバ
16 畜力ばね
17 ばねチャンバ
18 畜力ばね式ブレーキピストン
20 コンビブレーキシリンダ
22 固定ピン
24 畜力ばね式ブレーキピストンロッド
26 貫通開口
28 隔壁
30 肩部
32 ダイヤフラム
34 ピストンディスク
36 縁部
38 常用ブレーキチャンバ
40 戻しばね
46 解除装置
48 段部
50 段部
52 縁部
54 縁曲げ部
56 圧力媒体接続部
58 盲孔
60 継手部分
62 通路
64 スナップ結合部
66 溝
68 スナップリング
70 ばね区分
72 切欠き
73 エッジ
74 半径方向内側の区分
75 端面
76 中心軸線
78 溝
79 段部
80 保持リング
82 シールリング
84 シールリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のための組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び畜力ばね式ブレーキシリンダ(1)であって、常用ブレーキシリンダ(4)内に配置される、圧力媒体により操作可能な少なくとも1つの常用ブレーキピストン(6)が設けられており、該常用ブレーキピストン(6)が、常用ブレーキチャンバ(38)を画成し、ブレーキ操作部材に作用する常用ブレーキピストンロッド(8)に結合されており、かつ畜力ばね式ブレーキシリンダ(12)内に配置される、畜力ばね(16)により操作可能な少なくとも1つの畜力ばね式ブレーキピストン(18)が設けられており、該畜力ばね式ブレーキピストン(18)が、一方の側で畜力ばね式ブレーキチャンバ(14)を画成し、他方の側で、畜力ばね(16)を収容するばねチャンバ(17)を画成し、畜力ばね式ブレーキピストンロッド(24)に結合されており、該畜力ばね式ブレーキピストンロッド(24)が、常用ブレーキシリンダ(4)と畜力ばね式ブレーキシリンダ(12)とを互いに隔離する中間壁(28)の開口(26)を通して延在しており、中間壁(28)内に、圧力媒体を常用ブレーキチャンバ(38)に供給及び/又は常用ブレーキチャンバ(38)から排出、又は圧力媒体を畜力ばね式ブレーキチャンバ(14)に供給及び/又は蓄力ばね式ブレーキチャンバ(14)から排出するための孔(58)を備える圧力媒体接続部(56)が設けられている形式のものにおいて、圧力媒体接続部(56)が、圧力媒体管路、圧力媒体線路又は圧力媒体通路に接続される相手側継手部分に圧力媒体を導通接続するために設けられている、孔(58)内に保持される少なくとも1つの別体の継手部分(60)を有することを特徴とする、組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び畜力ばね式ブレーキシリンダ。
【請求項2】
継手部分(60)が孔(58)内に形状結合式に保持されている、請求項1記載の組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び畜力ばね式ブレーキシリンダ。
【請求項3】
前記形状結合がスナップ結合部(64)により形成される、請求項1又は2記載の組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び畜力ばね式ブレーキシリンダ。
【請求項4】
孔(58)の半径方向内側の孔壁に形成される円環状の溝(66)内に保持され、少なくとも軸方向で撓む、少なくとも1つの弾性的なスナップリング(68)が設けられており、該スナップリング(68)のばね区分(70)が、前記溝(66)から半径方向内側に張り出しており、継手部分(60)を孔(58)内に差し込むか、又は導入したときに、継手部分(60)の切欠き(72)内に形状結合式に弾発係合又はスナップ係合するように形成されている、請求項3記載の組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び畜力ばね式ブレーキシリンダ。
【請求項5】
継手部分(60)に設けられるスナップリング(68)のための切欠き(72)と、スナップリング(68)のばね区分(70)とが、継手部分(60)又は孔(58)の中心軸線(76)に関して、孔(58)と継手部分(60)との間で一度成立した形状結合が解離不能であるように斜めに配置されている、請求項4記載の組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び畜力ばね式ブレーキシリンダ。
【請求項6】
スナップリング(68)が、孔(58)の半径方向内側の孔壁に設けられた溝(78)内に保持される保持リング(80)により軸方向で固定されている、請求項4又は5記載の組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び畜力ばね式ブレーキシリンダ。
【請求項7】
継手部分(60)が、孔(58)の半径方向内側の孔壁をシールする少なくとも1つのシールリング(82,84)を支持する、請求項1から6までのいずれか1項記載の組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び畜力ばね式ブレーキシリンダ。
【請求項8】
孔壁と気密かつ圧密に協働する少なくとも1つのシールリング(82)と、圧力勾配の方向で、前記シールリング(82)の下流に配置される別の、少なくとも湿分及び/又は汚れの侵入を阻止するシールリング(84)とが設けられており、形状結合式の結合部(64)が、圧力勾配の方向で見て、少なくとも2つのシールリング(82,84)の間に配置されている、請求項2から7までのいずれか1項記載の組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び畜力ばね式ブレーキシリンダ。
【請求項9】
孔(58)が段付けされて形成されており、継手部分(60)のための少なくとも1つの軸方向ストッパを有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の組み合わされた常用ブレーキシリンダ及び畜力ばね式ブレーキシリンダ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2010−515866(P2010−515866A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545184(P2009−545184)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050277
【国際公開番号】WO2008/084090
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(597007363)クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (110)
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D−80809 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】