説明

圧粉体ロータ鍛造プリフォーム並びに鍛造圧粉体タービンロータ及びその製造方法

【課題】圧粉体ロータ鍛造プリフォーム並びに鍛造圧粉体タービンロータ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】タービンロータ(10)ディスク用の鍛造プリフォーム(200)を開示する。本プリフォーム(200)は、約5000ポンド以上の質量を有する超合金材料(8)の本体を含み、超合金材料(8)は、ほぼ均質な粒子形態及び10以下のASTM平均粒径を有する。鍛造タービンロータ(10)ディスクも開示する。本ディスクは、約5000ポンド以上の質量を有する超合金材料のほぼ円筒形ディスクを含み、超合金材料(8)は、ほぼ均質な粒子形態及び10以下のASTM平均粒径を有する。タービンロータの製造方法(100)も開示する。本方法(100)は、超合金粉末材料を準備するステップ(110)と、超合金粉末材料を圧縮成形して(120)タービンロータディスク用の鍛造プリフォームを形成するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示した主題は、鍛造タービンロータ及びその製造方法に関し、より具体的には、鍛造圧粉体タービンロータ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、産業用ガスタービンで使用されるロータのロータディスクセクションは、鋳造されかつ鍛造される。これらのディスクを製造するために、様々な超合金材料の大きいインゴットが、真空誘導溶解(VIM)、エレクトロスラグ再溶解(ESR)又は真空アーク再溶解(VAR)を含む様々な鋳造法を使用して形成される。これらのインゴットは、30〜36インチの直径及び22000〜35000ポンドの重量のオーダとすることができる。溶解及び鋳造プロセスの制御、特に鋳造インゴットでの偏析を抑制するために実施する制御がきわめて重要である。
【0003】
鋳造インゴットは、据込み鍛造によって鍛造されかつビレット化されて、ロータディスクセクションの最終鍛造のためのプリフォーム又はビレットを形成する。ビレット化プロセスは一般的に、鍛造プリフォームを形成するために最大約15ステップを含む複数ステップを必要とする。鍛造プリフォームは一般的に、約ASTM0〜4の比較的粗い粒径を有する。ビレットは一般的に、超音波検査のような非破壊方法によっては容易に検査可能でない。また、ビレットの上面及び底面は一般的に、不要な廃材となる部分を切取られる。
【0004】
鍛造ロータセクションへのビレットの最終鍛造は、所望のロータセクションの寸法によって一般的に決まるプレス寸法を備えた大型の鍛造プレスを必要とする。より高い出力及び効率を達成するためには産業用ガスタービンの寸法が増大するので、これらの鍛造品は、約75000トンの能力を有するプレスを含む非常に大型の鍛造プレスを必要とする可能性がある。そのような大型のプレスは一般的に、それらの大きな寸法並びにそれらを稼動させるのに必要な関連する設備及び電力等のために、製造しかつ作動させるのが非常に高価である。
【0005】
鍛造ステップの数は、特に低ひずみ速度での恒温鍛造を使用するような成形作業を実行するのに必要な高温における長時間の間に発生する可能性がある異常粒径成長(AGG)の故に、きわめて重要である。鍛造プロセスの間におけるAGGは、ミクロ組織における変動、特に鍛造品の直径及び厚さを通しての平均粒径の異常変動を生じさせるおそれがある。加えて、大型のロータセクションは、鍛造後におけるより多くの材料の除去を必然的に伴う大きな鍛造エンベロープを必要とし、このことは次に、鍛造のコストを上昇させる。
【0006】
鋳造及び鍛造プロセスを注意深く制御することにより、約8の平均ASTM粒径を有する大きい鋳造及び鍛造(鋳鍛造)ロータセクションを製造することが可能である。その寸法及び関連する熱質量によりその領域内に発生する、ロータセクション鍛造品のボア領域における降伏強度及び伸びは一般的に、比較的に緩やかに冷却することによって制限される。鋳鍛造ロータセクションは一般的に、鍛造品の直径及び厚さを通して不均一な炭化物の分布を有しており、より高い炭化物の量が、中心又はボア領域がそれから該ロータセクションが形成されるインゴットの最も緩やかな冷却部分であるという事実により、この中心又はボア領域内に生じる。鍛造品は、中心部分が中実である状態で鍛造され、かつその後該鍛造品の中心部分から材料を除去することによって、ボアが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6158102号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、向上した機械的及び冶金学的特性を有するタービンロータ並びに関連するタービンディスクを提供すると同時に、それらを製造する改善された方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの態様によると、タービンロータディスク用の鍛造プリフォームを開示する。本プリフォームは、約5000ポンド以上の質量を有する超合金材料の本体を含み、超合金材料は、ほぼ均質な粒子形態及び10以下のASTM平均粒径を有する。
【0010】
本発明の別の態様によると、タービンロータディスクを開示する。本タービンロータディスクは、約5000ポンド以上の質量を有する超合金材料のほぼ円筒形ディスクを含み、超合金材料は、ほぼ均質な粒子形態及び10以下のASTM平均粒径を有する。
【0011】
本発明のさらに別の態様によると、タービンロータディスクの製造方法を開示する。本方法は、超合金粉末材料を準備するステップを含む。本方法は、超合金粉末材料を圧縮成形してタービンロータディスク用の鍛造プリフォームを形成するステップを含み、プリフォームは、約5000ポンド以上の質量を有する超合金材料の本体を含み、超合金材料は、ほぼ均質な粒子形態及び10以下のASTM平均粒径を有する。
【0012】
これらの及びその他の利点並びに特徴は、図面と関連させて行った以下の説明から一層明らかになるであろう。
【0013】
本発明と見なされる主題は、本明細書と共に提出した特許請求の範囲において具体的に指摘しかつ明確に特許請求している。本発明の前述の及びその他の特徴並びに利点は、添付図面と関連させて行った以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本明細書に開示したタービン及び複数のタービンホイールの例示的な実施形態の前面部分断面斜視図。
【図2A】本明細書に開示したタービンホイールの製造方法の例示的な実施形態の概略図。
【図2B】本明細書に開示したタービンホイールの製造方法の例示的な実施形態の概略図。
【図2C】本明細書に開示したタービンホイールの製造方法によって製造したタービンホイールの例示的な実施形態の概略図。
【図3】本明細書に開示したタービンホイールの製造方法の例示的な実施形態のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明では、図面を参照しながら実施例によって、本発明の実施形態をその利点及び特徴と共に説明する。
【0016】
図1〜図3を参照すると、産業用ガスタービン1のタービンロータ10で使用するための鍛造タービンロータホイール6を開示している。
【0017】
図1を参照すると、その全体を参照符号10で表したガスタービンロータの一部分を図示している。ロータ10は、後方ボアチューブ組立体12と、前方の後方シャフトディスク16を有する後方シャフト14と、複数のディスク又はホイール6とを含み、複数のホイール6は、スペーサ26、28及び30を含む複数のスペーサ7によって互いに軸方向に間隔を置いて配置されたロータホイール18、20、22及び24を含む。この図示した例示的な実施形態では、ロータ10は、その各々がホイール6及びスペーサ7を備えた4つの段を含み、第一段のみを部分的に示している。ホイールの外側リムは、図示していないがタービンバケットを取付けるように構成され、一方、スペーサの外側リムは、これも図示していないが関連するノズルに半径方向に対向して位置している。この図示した例示的な実施形態では、その一部を図1に示す最新のガスタービン設計は、それぞれ蒸気供給及び戻りチューブ31及び32を有する蒸気冷却式4段タービンを含む。チューブ31及び32は、ロータ10の周りで円周方向に間隔を置いて配置されかつ該ロータ10の軸方向に延び、それぞれ半径方向蒸気供給及び戻りチューブ34及び36と連通している。蒸気はボアチューブ組立体12を通して半径方向チューブ34に供給することができ、戻り使用済み冷却蒸気は半径方向チューブ36からボアチューブ組立体12に供給される。ホイール、スペーサ及び後方シャフトディスクのスタックは、従来型のロータ構造におけるのと同様に図示したボルトBによって互いにボルト止めされる。従って、ボルト孔(B.H.)は、ホイール及びスペーサの各々を軸方向に貫通し、組立て後にロータ内に挿入されかつホイール、スペーサ及び後方シャフトディスクを貫通する開口部33との精密許容差嵌合を必要とする蒸気チューブ31及び32から半径方向内側の部位における円周方向に間隔を置いた位置において互いに軸方向整列する。
【0018】
図1及び図2を参照すると、ロータディスク又はホイール6は各々、本明細書に説明するような従来型の鍛造方法を使用して鍛造することができる鍛造圧粉体を含む。ロータホイール6は各々、超合金材料8のほぼ円筒形ディスクを含む。ホイールは、ホイール18、20、22及び24の構成のようなあらゆる好適な寸法及び構成のものとすることができる。大型の産業用ガスタービンで使用するためのロータホイール6は、約5000ポンド以上の質量を有し、より具体的には約16000ポンド以上の質量を有することができ、さらにより具体的には約5000ポンド〜約16000ポンドである質量を有することができる。
【0019】
ロータホイール6は、高温(耐熱)超合金材料8で形成することができる。様々な鉄基、鉄ニッケル基、ニッケル基又はコバルト基超合金を、より具体的には合金625(UNS N06625)、合金706(UNS N009706)、合金718(UNS N007718)又は合金725(UNS N007725)及びそれらの合金の派生物を含むあらゆる好適な耐熱合金を使用することができる。ロータホイール6は、ほぼ均質の、単一モードの、等軸のかつ鍛造したままのミクロ組織及び粒子形態を備えたほぼ均質な鍛造したままのミクロ組織及び粒子形態を有し、異常粒径成長(AGG)がない状態を示す。より具体的には、鍛造したままのロータは、約10以下のASTM E112又はE1382平均粒径、さらにより具体的には、約10〜約16のASTM粒径を有する。タービンロータホイール又はディスク6は、理論密度の約99.9%である密度を有する鍛造したままの圧粉体を含む。例えばホイール18、20、22及び24を含むロータホイール6は、各々同じ超合金材料で形成することができ、或いはその各々は、異なる超合金材料のあらゆる組合せで形成することができることが分かるであろう。
【0020】
本明細書に開示したタービンロータホイール6は、向上したミクロ組織均質性を有し、このミクロ組織均質性は、例えば図2に示す直径d及び厚さtを通しての超合金材料8の伸び、降伏強度及び最大引張強度の均一性の向上を含む機械的特性における均質性の向上をもたらす。従って、ロータホイール6は、直径d及び厚さtを通しての並びに該ロータホイール6内のその他の方向において該ロータホイール6全体にわたり異方性かつほぼ同じである超合金材料8の伸び、降伏強度及び最大引張強度を有することができる。例えば、1つの例示的な実施形態では、ロータホイール6は、中心ボア9及び外側端縁部11を有し、超合金材料は伸び、降伏強度及び最大引張強度を有しこれらの特性は中心ボア9から外側端縁部11までほぼ同じである。1つの具体的な実施形態では、ロータホイール6は、合金706で形成され、かつその伸びは少なくとも約17%、その降伏強度は約142ksiその最大引張強度は少なくとも約180ksiであった。別の実施形態では、本明細書に説明する超合金材料の圧粉体鍛造ロータディスクの伸び、降伏強度及び最大引張強度は、同様に構成した同一の超合金材料の鋳鍛造ロータの伸び、降伏強度及び最大引張強度に優り約10%〜約100%ほど向上した。図2A〜図2C及び図3を参照すると、タービンロータホイール6は、方法100によって形成することができ、方法100は、図示していないが超合金粉末材料を準備するステップ110と、超合金粉末材料を圧縮成形して120、図2Aに示すタービンロータディスク用の焼結圧粉体鍛造プリフォーム200を形成するステップとを含む。方法100は、図2Bに示す鍛造プリフォーム200を鍛造して130、図2Cに示すタービンロータホイール6を形成するステップを含むことができる。
【0021】
超合金粉末材料を準備するステップ110は、真空溶解を使用して約−150メッシュの粉末粒径を有する鉄基、鉄ニッケル基、ニッケル基又はコバルト基超合金の複数の粉末粒子を形成するステップ112を含むことができる。形成ステップ112において使用される真空溶解法は、ESR、VAR又はVIMを使用して超合金材料を溶解するステップを含むことができる。溶融超合金材料は次に、霧化させて、凝固させると超合金粉末粒子を含む溶融液滴を形成することができる。霧化は、アルゴン雰囲気のような不活性ガス雰囲気内で実行される。VIMは、方法100に必要な大量の超合金粉末材料を準備するステップ110に適している。例えば、VIMは、約5000ポンド〜約8000ポンド又はそれ以上の粉末のバッチを一括形成するために使用することができる。超合金粉末粒子は、ほぼ均質なミクロ組織を有し、かつ具体的には合金成分の偏析をほぼ全く示さない。形成ステップ112に続いて、準備ステップ110は、粉末粒子を分離して114、約−150メッシュの寸法のような所定の粉末粒径を得るステップを含むことができる。分離ステップ114は、様々な篩の組合せの使用を含む、寸法によって粉末粒子を分離するあらゆる好適な方法を含むことができる。分離ステップ114は、圧縮成形ステップ120の準備として、図示していないが容器又は缶内に粉末粒子を装填するステップ116を含むことができる。缶は、あらゆる好適な材料を含むことができ、かつ様々な品質の鋼を含みさらに様々な品質のステンレス鋼を含む様々な金属を含むことができる。容器又は缶内に粉末粒子を装填するステップ116に続いて、準備ステップ110は、容器を脱ガスし/密封して118、粉末粒子に吸着され又はその他の状態で該粉末粒子と関連する水分或いは他の揮発性混入物質を除去するステップを含むことができる。脱ガスステップ118は、粉末粒子及び容器を加熱して水分又は他の揮発性成分を蒸発させることによって、実行することができる。この加熱温度及び時間は、揮発性混入物質の除去を保証するように選択することができる。缶及び粉末が脱ガスされて所定の混入物質のレベルを達成しかつ真空脱気すると、容器は、溶接などによって密封されて、所望の汚染レベル及び分圧を含む条件を維持する。形成ステップ112、分離ステップ114、装填ステップ116及び脱ガスし/密封するステップ118を含む粉末の全ての取扱いステップを含む準備するステップ110は、乾燥したアルゴンのような不活性ガス雰囲気内で又は真空条件下で実行することが望ましい。
【0022】
超合金材料の粉末粒子を収容した密封容器には次に、圧縮成形ステップ120を施して、焼結圧粉体鍛造プリフォーム200を形成することができる。準備された超合金材料粉末の量は、所望の寸法の鍛造プリフォーム200を製造するのに充分なものとなる。例示的な実施形態では、粉末及び得られた鍛造プリフォーム200は、約5000ポンド超の質量、別の実施形態では約16000ポンド以下の質量、より具合的には約5000ポンド超約16000ポンド以下の質量を有することができる。圧縮成形ステップ120は、粉末粒子を焼結及び圧密化しかつ鍛造プリフォーム200を形成するあらゆる好適な方法を含むことができる。例示的な実施形態では、圧縮成形ステップ120は、鍛造プリフォーム200を形成するのに十分な温度、圧力及び時間で熱間等静圧圧縮成形するステップ122を含むことができる。圧粉体鍛造プリフォーム200は、図2Aに仮線で示すような従来型のほぼ円筒形鍛造ビレット200の形状を含む或いは同様に図2Aに示すようなニアネットシェイプホイールプリフォームを含むあらゆる好適な形状を含むことができるのが有利である。例示的な実施形態では、鍛造プリフォーム200は、約5000ポンド以上の質量を有する超合金材料8’の本体202を含み、超合金材料は、ほぼ均質な粒子形態及び10以下のASTM平均粒径を有する。鍛造プリフォーム200は、ほぼ均一な、単一モードの、等軸のかつ鍛造したままの粒子形態を備えたほぼ均質の、単一モードの、等軸のかつ鍛造したままのミクロ組織及び粒子形態を有し、異常粒径成長(AGG)が存在しなくて該プリフォームはAGGがなくなることを示す。鍛造プリフォーム200には、それらの直径にわたるそれらの厚さを通しての炭化物偏析がない。
【0023】
方法100は、図2Bに示す鍛造プリフォーム200を鍛造して130、図2Cに示すタービンロータホイール6を形成するステップを含む。鍛造プリフォーム200は、約5000ポンド〜約16000ポンド又はそれ以上の質量を有することができる。鍛造ステップ130は、本明細書で説明するのと同等の寸法のロータホイール6を形成するために従来型の鋳造ビレットの鍛造で使用する約35〜約50キロトンの能力よりも小さい最大鍛造荷重92能力を有する鍛造プレス90及び鍛造金型94を使用して実行することができる。圧粉体鍛造プリフォーム200は、複数の鍛造ステップを使用する場合における各鍛造ステップ時を含む鍛造時にひずみ速度を制御することによって、従来型の高ひずみ速度鍛造方法を使用して実行することができる。これは、一般的に低ひずみ速度恒温鍛造方法の使用を必要とする鋳造超合金の鍛造に比較して非常に有利である。NiCrMoVタイプ低合金鋼並びにニッケル基及び鉄ニッケル基超合金を含む様々な超合金を含むロータホイールを製造するのに使用される従来型の鋳造耐熱合金は、優れた高温強度及び耐クリープ性に合わせて開発された。これらの合金の鋳造インゴットは、従来型の高ひずみ速度鍛造方法によって処理するのは非常に困難である。一般的により大きな量の合金成分を含み最大の高温強度及び耐クリープ性を有する本明細書で説明した超合金は、さらに一層温度及びひずみ速度感受性があり、従って従来型の高ひずみ速度鍛造方法(例えば、0.01/秒又はそれ以上高速である)を使用して処理するのはさらに一層困難である。従って、鋳造インゴットの鍛造は一般的に、鍛造後熱処理時におけるAGGを含む異常粒状組織の発生拡大を回避するために、低ひずみ速度、超塑性かつ恒温鍛造条件の使用を必要とする。恒温鍛造で使用するひずみ速度は、鍛造品の断熱昇温を減少させかつ該鍛造品内部における超塑性材料挙動を維持するために低いものとなっている。使用するひずみ速度は、約0.01/秒よりも小さくかつ約0.001/秒までの速度を含むことができる。恒温鍛造時には、ひずみ速度はより低く鍛造時間はより長くなるようにするが、鍛造金型が鍛造プリフォームと同じ温度に加熱されると言う事実により、従来型の鍛造におけるのと同様に金型冷却は生じない。
【0024】
鍛造ステップ130の間における鍛造プリフォーム200の鍛造温度は、選択した超合金材料8におけるサブソルバス鍛造温度を含むことができる。鍛造ステップ130は、単一鍛造ステップとして又は複数鍛造ステップとして実行することができる。
【0025】
方法100は、ロータホイール6のミクロ組織及び機械的特性を高めるために、鍛造後熱処理140、或いは溶体化熱処理、安定化熱処理及び析出硬化熱処理の様々な組合せを含む複数熱処理を含むことができる。圧粉体鍛造プリフォームを鍛造ステップ130は、該鍛造ステップ130の間及び鍛造後熱処理140の間の両方における超合金材料8のミクロ組織の残留ひずみの発生拡大及びAGGの問題を回避して、得られたディスク又はホイール6の鍛造したままのミクロ組織がほぼAGGがなくなる。鍛造したままのミクロ組織は、鍛造したままのディスクの直径にわたる(例えば、約7〜約40インチ)厚さを通しての炭化物偏析がない。
【0026】
限られた数の実施形態に関してのみ本発明を詳細に説明してきたが、本発明がそのような開示した実施形態に限定されるものではないことは、容易に理解される筈である。むしろ、本発明は、これまで説明していないが本発明の技術思想及び技術的範囲に相応するあらゆる数の変形、変更、置換え又は均等な構成を組込むように改良することができる。さらに、本発明の様々な実施形態について説明してきたが、本発明の態様は説明した実施形態の一部のみを含むことができることを理解されたい。従って、本発明は、上記の説明によって限定されるものと見なすべきではなく、本発明は、特許請求の範囲の技術的範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0027】
6 ロータホイール
7 スペーサ
8 超合金
9 中心ボア
10 ロータ
11 外側端縁部
12 ボアチューブ組立体
14 後方シャフト
16 後方シャフトディスク
18 ホイール
20 ホイール
22 ホイール
24 ホイール
26 スペーサ
28 スペーサ
30 スペーサ
31 戻りチューブ
32 戻りチューブ
33 開口部
34 チューブ
36 チューブ
90 鍛造プレス
94 鍛造金型
100 方法
110 超合金粉末材料を準備するステップ
112 複数の粉末粒子を形成するステップ
114 粉末粒子を分離するステップ
116 粉末粒子を装填するステップ
118 粉末粒子を容器又は缶内に密封するステップ
120 圧縮成形して焼結圧粉体鍛造プリフォームを形成するステップ
122 鍛造プリフォームを形成するのに充分な温度、圧力及び時間で圧縮成形するステップ
130 鍛造プリフォームを鍛造ステップ
140 熱処理
200 鍛造プリフォーム
202 本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンロータ(10)ディスク用の鍛造プリフォーム(200)であって、約5000ポンド以上の質量を有する超合金材料(8)の本体(202)を含み、前記超合金材料(8)がほぼ均質な粒子形態及び10以下のASTM平均粒径を有する、タービンロータ(10)ディスク用の鍛造プリフォーム(200)。
【請求項2】
鍛造タービンロータ(10)ディスクであって、約5000ポンド以上の質量を有する超合金材料(8)のほぼ円筒形ディスクを含み、前記超合金材料(8)がほぼ均質な粒子形態及び10以下のASTM平均粒径を有する、タービンロータ(10)ディスク。
【請求項3】
前記超合金材料(8)が、鉄基、鉄ニッケル基、ニッケル基又はコバルト基超合金を含む、請求項2記載のタービンロータ(10)ディスク。
【請求項4】
前記ASTM平均粒径が約10〜約16である、請求項2記載のタービンロータ(10)ディスク。
【請求項5】
該ディスクが中心ボア(9)及び外側端縁部(11)を有し、前記超合金材料(8)が伸び及び降伏強度を有していて、その伸び及び降伏強度が前記中心ボア(9)から前記外側端縁部(11)までほぼ同じである、請求項2記載のタービンロータ(10)ディスク。
【請求項6】
タービンロータの製造方法(100)であって、
超合金粉末材料を準備するステップ(110)と、
前記超合金粉末材料を圧縮成形して(120)タービンロータディスク用の焼結圧粉体鍛造プリフォームを形成するステップと
を含むタービンロータの製造方法(100)。
【請求項7】
前記鍛造プリフォーム(130)を鍛造して、タービンロータディスクを形成するステップをさらに含む、請求項6記載のタービンロータの製造方法(100)。
【請求項8】
前記超合金粉末材料を準備するステップ(110)が、真空成形法を使用して約−150メッシュの粉末粒径を有する鉄基、鉄ニッケル基、ニッケル基又はコバルト基超合金の粉末を形成するステップを含む、請求項6記載のタービンロータの製造方法(100)。
【請求項9】
前記圧縮成形するステップが、前記鍛造プリフォームを熱間等静圧圧縮成形するステップを含む、請求項6記載のタービンロータの製造方法(100)。
【請求項10】
前記鍛造ステップが、サブソルバス温度及び制御ひずみ速度で鍛造ステップを含む、請求項7記載のタービンロータの製造方法(100)。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−51029(P2012−51029A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184199(P2011−184199)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】