説明

圧電デバイスの製造方法

【課題】 生産性を向上することができる圧電デバイスの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の圧電デバイスの製造方法は、複数の端子部材150を切り出すことが可能な集合端子部材15に電子部品140を実装する工程と、集合端子部材15に圧電振動子10を接合する工程と、集合端子部材15を切断して圧電デバイス100を得る工程とを含むものである。圧電デバイスの製造工程中、集合端子部材15自体が電子部品搭載用キャリアとして機能するようになっていることから、電子部品搭載用キャリアは不要であり、集合端子部材の分割によって得られた個々の端子部材を圧電振動子に搭載するといった煩雑な作業も一切不要となる。これによっても、圧電デバイスの生産性が向上されるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子機器等に用いられる圧電デバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧電デバイスの例として圧電振動子に端子部材が接合された構造を有するものが開発されている。この圧電デバイスの製造方法は、複数の圧電振動子のそれぞれに個別に端子部材を接合する工程を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−159574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の圧電デバイスの製造方法は、複数の圧電振動子のそれぞれに個別に端子部材を接合するために個片化された部品を個別に治具に固定する必要があり、生産性の向上が困難であるという課題があった。さらに、圧電デバイスの中には例えばサーミスタ素子等の電子部品を実装するものも求められており、電子部品の実装方法についても検討を行う必要がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電子部品の実装も含めて生産性が向上された圧電デバイスの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様による圧電デバイスの製造方法は、複数の端子部材を切り出すことが可能な集合端子部材に電子部品を実装する工程と、集合端子部材に圧電振動子を接合する工程と、集合端子部材を切断して圧電デバイスを得る工程とを含んでいる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様による圧電デバイスの製造方法によれば、複数の端子部材を切り出すことが可能な集合端子部材に電子部品を実装する工程と、集合端子部材に圧電振動子を接合する工程とを含んでいることによって、電子部品の端子部材への接合、圧電振動子と端子部材との接合を集合端子部材の状態で一括的に行うことができ、例えば電子部品の実装および端子部材の接合において個片化された部品を個別に治具に固定する必要が無くなり生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態おける製造方法によって得られる圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図2】(a)は図1に示された圧電デバイスのA−Aにおける断面図であり、(b)は図1に示された圧電デバイスのB−Bにおける断面図である。
【図3】(a)は、圧電デバイスを構成する素子搭載部材の平面図であり、(b)は、圧電デバイスを構成する素子搭載部材の基板部の平面図であり、(c)は、圧電デバイスを構成する素子搭載部材の下面図である。
【図4】(a)は、第1の実施形態における圧電デバイスの製造方法の電子部品を実装する工程を示す断面図であり、(b)は、第1の実施形態における圧電デバイスの製造方法の圧電振動子を接合する工程を示す断面図であり、(c)は、第1の実施形態における圧電デバイスの製造方法の集合端子部材を切断して圧電デバイスを得る工程を示す断面図である。
【図5】第1の実施形態における圧電デバイスの製造方法で用いられる集合端子部材を示す斜視図である。
【図6】(a)は、第2の実施形態における圧電デバイスの製造方法の電子部品を実装する工程を示す断面図であり、(b)は、第2の実施形態における圧電デバイスの製造方法の圧電振動素子の集合体を接合する工程を示す断面図であり、(c)は、第2の実施形態における圧電デバイスの製造方法の集合端子部材を切断して圧電デバイスを得る工程を示す断面図である。
【図7】第2の実施形態における圧電デバイスの製造方法で用いられる集合体及び集合端子部材を示す斜視図である。
【図8】(a)は、第3の実施形態における圧電デバイスの製造方法の圧電振動子を接合する工程を示す断面図であり、(b)は、第3の実施形態における圧電デバイスの製造方法の電子部品を実装する工程を示す断面図であり、(c)は、第3の実施形態における圧電デバイスの製造方法の集合端子部材を切断して圧電デバイスを得る工程を示す断面図である。
【図9】(a)は、第4の実施形態における圧電デバイスの製造方法で第1のブレードにて接合体を切断した状態を示す断面図であり、(b)は、第4の実施形態における圧電デバイスの製造方法で第2のブレードにて接合体を切断した状態を示す断面図である。
【図10】第4の実施形態における圧電デバイスの製造方法で用いられる接合体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態における圧電デバイスの製造方法について図4を参照して説明する。なお、本実施形態における製造方法は、図1〜図3に示された圧電デバイス100の製造方法である。
【0011】
ここで、本実施形態の製造方法において得られる圧電デバイス100について図1〜図3を参照して説明する。
【0012】
図1〜図3に示されているように、圧電デバイス100は、圧電振動子10と、圧電振動子の下面に接合された複数の端子部材150と、複数の端子部材150のうち2つの端子部材150に搭載された電子部品140とを含んでいる。
【0013】
圧電振動子10は、素子搭載部材110と、素子搭載部材110に搭載された圧電振動素子120と、圧電振動素子120を覆っている蓋体130とを含んでいる。
【0014】
素子搭載部材110は、基板部110aと、基板部110a上に設けられた枠部110bと、基板部110aの上面に設けられた一対の圧電振動素子搭載パッド111と、基板部110aの下面に設けられた複数の端子部材接続用電極Gとを含んでいる。素子搭載部材110は、基板部110aおよび枠部110bによって囲まれた凹部空間K1を有している。
【0015】
基板部110aは、例えばアルミナセラミックス、ガラス−セラミックス等のセラミック材料から成り、互いに積層された複数の層を有している。
【0016】
枠部110bは、例えば42アロイまたは鉄−ニッケル−コバルト等から成り、平面視において中心部分が打ち抜かれた枠状になっている。枠部110bは、基板部110aの上面に設けられた封止用導体膜HBにロウ付けなどによって接合されている。
【0017】
一対の圧電振動素子搭載パッド111は、基板部110aの上面であって凹部空間K1内に設けられている。
【0018】
複数の端子部材接続用電極Gは、基板部110aの下面の四隅部分に設けられている。複数の端子部材接続用電極Gは、一対の圧電振動素子用電極G1と、一対の電子部品用電極G2とを含んでいる。一対の圧電振動素子用電極G1は、基板部110aの下面の短辺に沿って設けられている。一対の圧電振動素子用電極G1は、第1のビア導体112によって圧電振動素子搭載パッド111に電気的に接続されている。一対の電子部品用電極G2は、圧電振動素子用電極G1が設けられている短辺とは異なる短辺に沿って設けられている。一対の電子部品用電極G2のうちの1つは、基板部110aの内部に形成された第2のビア導体113によって蓋部材130に電気的に接続されており、端子部材150に電気的及び機械的に接続されている。また、他の電子部品用電極G2は、他の端子部材150に電気的及び機械的に接続されている。
【0019】
圧電振動素子120は、水晶素板121と、水晶素板121に形成された励振用電極122と、励振用電極122から延出するように形成された引き出し電極123とを含んでいる。圧電振動素子120は、励振用電極122に交番電圧が印加されることによって所定の振動モード及び周波数で励振を起こす。
【0020】
水晶素板121は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断されたものであり、平板状でかつ平面形状が例えば四角形のものである。励振用電極122は、金属材料から成るもので、水晶素板121の表裏両主面に所定のパターンで被着されて形成されたものである。
【0021】
圧電振動素子120は、引き出し電極123と圧電振動素子搭載パッド111とが導電性接着剤DSを介して電気的且つ機械的に接続されることによって凹部空間K1に搭載されている。
【0022】
電子部品140は、例えばサーミスタ素子である。サーミスタ素子140は、温度変化によって電気抵抗が顕著な変化を示すものであり、この抵抗値の変化から電圧が変化するため、抵抗値と電圧との関係及び電圧と温度との関係により、抵抗値を電圧に換算することで得られた電圧から温度情報を得ることができる。電子部品140は、複数の端子部材150の少なくとも2つに導電性接合材HDを介して固定されており、複数の端子部材150のうち、2つの端子部材150(150a、150b)と電気的に接続されている。
【0023】
電子部品140は、複数の接続電極141を有している。複数の接続電極141のうち第1の接続電極141aは、第1の端子部材150aの段差主面に半田等の導電性接合材HDを介して搭載されている。また、複数の接続電極141のうち第2の接続電極141bは、第1の端子部材150aと隣接して設けられた第2の端子部材150bの段差主面に半田等の導電性接合材HDを介して搭載されている。
【0024】
端子部材150は、接続部151と電極部152とを有しており、基板部110aの下面に設けられている。端子部材150を平面視して、接続部151の面積が電極部152の面積よりも小さくなっている。端子部材150には、接続部151と電極部152とによって形成された段差主面である接合部154に電子部品140が接続されている。つまり、隣接する一対の端子部材150の接続部151と電極部152とによって形成された接合部154と、電子部品140の接続電極141が導電性接合材HDを介して接合されている。端子部材150は、一対の圧電振動素子用電極端子と一対の電子部品用電極端子の役割を果たす外部接続用電極端子として用いられる。
【0025】
また、端子部材150を構成する接続部151の第1の主面と電極部152の第2の主面及び接続部151と電極部152とによって形成された段差主面である接合部154には、電極膜153が設けられている。電極膜153は、複数の金属膜を積層してなる多層構造体であり、接合部主面に第1の金属膜が形成され、第1の金属膜の上面に第2の金属膜が積層するように形成されている。第1の金属膜は、例えば、Niメッキから構成され、第2の金属膜は、例えば、金メッキにより構成されている。これにより、導電性接合材HDと端子部材150との接続強度を維持することができる。
【0026】
蓋体130は、例えば、Fe−Ni合金やFe−Ni−Co合金などからなる。このような蓋体130は、真空状態にある凹部空間K1または窒素ガスなどが充填された凹部空間K1を気密的に封止するためのものである。具体的には、蓋体130は、所定雰囲気で、素子搭載部材110の枠部110b上に載置され、枠部110bの表面の金属と蓋体130の金属の一部とが溶接されるように所定電流を印加してシーム溶接を行うことにより、枠部110bに接合される。
【0027】
導電性接着剤DSは、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ニッケル鉄(NiFe)、のうちのいずれかまたはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。
【0028】
以下、上述の圧電デバイス100の製造方法について説明する。
【0029】
図4に示されているように、圧電デバイス100の製造方法は、複数の端子部材150を切り出すことが可能な集合端子部材15に電子部品140を実装する工程(図4(a))と、集合端子部材15に圧電振動子10を接合する工程(図4(b))と、集合端子部材15を切断して圧電デバイス100を得る工程(図4(c))とを含んでいる。
【0030】
(電子部品140を実装する工程)
図4(a)に示されているように、接続部151と端子部152とによって形成された段差主面である接合部154に電子部品140を実装する。図5に示されているように、複数の端子部材150がフレーム体160に接続された状態で直列に配列されており、電子部品140が挿入可能な間隔を空けた状態で向かい合わせに配置されている。
【0031】
端子部材150は、銅等の金属材料により形成されており、金属材料を用いた一枚の集合端子部材15を従来周知のエッチング加工法等により形成され、圧電振動子搭載方向に突出した電子部品140の高さ寸法よりも高い寸法の段差を有している。端子部材150は、接続部151と電極部152により設けられている。
【0032】
端子部材150の接合部154と電子部品140とは、半田や導電性接着剤等の導電性接合材HDによって接合されている。
【0033】
素子搭載部材110の下面の端子部材接続用電極Gと接続する接続部151の主面及びマザーボード等の外部の電子回路と接続する電極部152の主面及び接合部154の主面にNiメッキ、Auメッキ等の金属膜153を施しておくことにより、導電性接合材HDの接合性を良くすることができる。
【0034】
(圧電振動子10を接合する工程)
図4(b)に示されているように、集合端子部材15に圧電振動子10を接合する。
【0035】
素子搭載部材110に設けられた端子部材接続用電極Gと端子部材150の接続部151とを導電性接合材HDにて接合する。所定の端子部材150に設けられた接続部151の主面と素子搭載部材110の第2の主面に設けられている端子部接続用電極Gとは半田や導電性接着剤等の導電性接合材HDによって接合されている。
【0036】
(集合端子部材15を切断して圧電デバイス100を得る工程)
図4(c)に示されているように、集合端子部材15を切断して圧電デバイス100を得る。各集合端子部材15のフレーム体160と端子部材150との接続部分を切断することにより、各端子部材150をフレーム体160より切り離し、複数個の圧電デバイス100を同時に得る。集合端子部材15の切断は、ダイシング等によって行われる。
【0037】
上述のように、本実施形態の圧電デバイス100の製造方法は、複数の端子部材150を切り出すことが可能な集合端子部材15に電子部品140を実装する工程と、集合端子部材15に圧電振動子10を接合する工程とを含んでいることによって、電子部品140と端子部材150との接合、圧電振動子10と端子部材150との接合を集合端子部材15の状態で一括的に行うことができ、例えば電子部品140の実装および端子部材150の接合において例えば個片化された部品を個別に治具に固定する必要が無くなり生産性を向上させることができる。
【0038】
また、本実施形態の圧電デバイスの製造方法は、集合端子部材15に電子部品140を実装するので、電子部品140を実装するための実装パッドや配線パターンを基板部110aの第2の主面や内層に設ける必要がないため、安価で薄型化できる圧電デバイスを生産することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態における圧電デバイスの製造方法について図6を参照して説明する。第2の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、圧電振動子10を接合する工程において、圧電振動子10が複数個で互いに一体的に形成された集合体11の状態のまま集合端子部材15に接合され、集合端子部材15を切断して圧電デバイスを得る工程において、集合体11も圧電振動子10ごとに切断されることである。電子部品140を実装する工程は、図6(a)に示されているように第1の実施形態と同様である。
【0040】
(圧電振動子10を接合する工程)
図6(b)に示されているように、複数の端子部材150を切り出すことが可能な集合端子部材15に圧電振動子10が複数個で互いに一体的に形成された集合体11の状態のまま接合する。
【0041】
図7に示されているように、集合体11は、圧電振動子10が複数個で互いに一体的に形成されている。縦m列×横n行(m,nは2以上の自然数)のマトリクス状に配列された複数個の基板領域を有し、該基板領域を囲繞するように配された枠部を有するシート基板STを準備し、シート基板STの各基板領域に圧電振動素子120が搭載されている。また、シート基板の場合には、枠部の開口側頂面の全周には、環状の封止用導体パターンが形成され、蓋体130は、この封止用導体パターン上に配置接合される。シート基板STの各基板領域に形成されている凹部空間内に圧電振動素子120が搭載され、凹部空間は蓋体130で気密封止されている。
【0042】
(集合端子部材15を切断して圧電デバイス100を得る工程)
図6(c)に示されているように、集合端子部材15を切断する際に集合体11も圧電振動子10ごとに切断されることで圧電デバイス100が得られる。
【0043】
縦m列×横n行(m,nは2以上の自然数)のマトリクス状に配列された複数個の基板領域に沿って切断することにより、圧電振動子10ごとに切り離し、各集合端子部材15のフレーム体160と端子部材150との接続部分を切断することにより、各端子部材150をフレーム体160より切り離すことで、複数個の圧電デバイス100を同時に得る。集合端子部材15の切断は、ダイシング等によって行われる。
【0044】
第2の実施形態の圧電デバイス100の製造方法によれば、圧電振動子10を接合する工程において、圧電振動子10が複数個で互いに一体的に形成された集合体11の状態のまま集合端子部材15に接合され、集合端子部材15を切断して圧電デバイスを得る工程において、集合体11も圧電振動子10ごとに切断されることによって、圧電振動子10および端子部材150を予め個片状態にしておく必要はなく、一括的な分割によって圧電振動子10と端子部材150とを切断することができ、生産性がさらに向上される。
【0045】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態における圧電デバイスの製造方法について図8を参照して説明する。第3の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、圧電振動子10を接合する工程(図8(a))と集合端子部材25を切断して圧電デバイスを得る工程(図8(c))との間に、集合端子部材25に電子部品140を実装する工程を有していることである。
【0046】
(圧電振動子10を接合する工程)
図8(a)に示されているように、複数の端子部材250を切り出すことが可能な集合端子部材25に圧電振動子10を接合する。圧電振動子10の第2の主面に設けられている端子部材接続用電極Gは、集合端子部材25の各端子部材250に設けられた接続部251の主面と導電性接合材HDによって接合される。
【0047】
(電子部品140を実装する工程)
図8(b)に示されているように、圧電振動子10を接合する工程と集合端子部材25を切断する工程との間で、圧電振動子10を接合する前に接続部251と電極部252とによって形成された段差主面である接合部254に電子部品140を接合する。
【0048】
(集合端子部材25を切断して圧電デバイス200を得る工程)
図8(c)に示されているように、集合端子部材25を切断して圧電デバイス200を得る工程である。各集合端子部材25のフレーム体260と端子部材250との接続部分を切断することにより、各端子部材250をフレーム体260から切り離すことで、複数個の圧電デバイス200を同時に得る。集合端子部材25の切断は、ダイシング等によって行われる。
【0049】
集合端子部材25は、端子部材250がフレーム体260に接続された形態で、複数個直列に配列し、電子部品140の幅サイズが挿入可能な間隔を空けた形態で向かい合わせに配置した構成で一体に形成されている。
【0050】
端子部材250は、銅等の金属材料により形成されており、金属材料を用いた一枚の集合端子部材25を従来周知のエッチング加工法等により形成され、圧電振動子搭載方向と反対側の面に突出した電子部品140の高さ寸法よりも高い寸法の段差を有している。端子部材250は、接続部251と電極部252により設けられている。
【0051】
図8に示されているように、端子部材250は、接続部251と電極部252とで構成され、基板部110aの第2の主面に設けられている。端子部材250を第1の主面から平面視して、接続部251の面積が電極部252の面積よりも大きくなっている。端子部材250には、接続部251と電極部252とによって形成された接合部254に電子部品140が搭載されている。つまり、隣接する一対の端子部材250に設けられた接合部254と、電子部品140の接続電極141が導電性接合材HDを介して接合されている。端子部材250は、一対の圧電振動素子用電極端子と一対の電子部品用電極端子の役割である外部接続用電極端子として用いられる。
【0052】
また、端子部材250を構成する接続部251の第1の主面と電極部252の第2の主面及び接続部251と電極部252とによって形成された段差主面である接合部254には、電極膜253が設けられている。電極膜253は、複数の金属膜を積層してなる多層構造体であり、接合部主面に第1の金属膜が形成され、第1の金属膜の上面に第2の金属膜が積層するように形成されている。第1の金属膜は、例えば、Niメッキから構成され、第2の金属膜は、例えば、金メッキにより構成されている。これにより、導電性接合材HDと端子部材250との接続強度を維持することができる。
【0053】
第3の実施形態における圧電デバイスの製造方法は、圧電振動子10を接合する工程と集合端子部材25を切断して圧電デバイス100を得る工程との間に、集合端子部材25に電子部品140を実装する工程を有しており、集合端子部材25に電子部品140を接続する前に圧電振動子10を接合するためのリフロー加熱等の熱処理が施されていることによって、電子部品140に加わる熱的負荷が低減されている。
【0054】
また、第3の実施形態における圧電デバイスの製造方法は、圧電振動子10を接合する工程の後に電子部品140を実装する工程を有していることによって、電子部品140を接続するための熱処理の温度を圧電振動子10を接合するための熱処理の温度よりも低くすることができ、電子部品140に加わる熱的負荷を低減させることができる。
【0055】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態における圧電デバイスの製造方法について図9を参照して説明する。第4の実施形態において第2の実施形態と異なる点は、集合端子部材15を切断して圧電デバイスを得る工程において、集合端子部材15を各端子部材150の外周に沿って第1のブレードB1にて切断することにより接合体12に、集合端子部材15を厚み方向に貫通する貫通溝M1を形成し、しかる後、第1のブレードB1よりも刃幅の狭い第2のブレードB1を貫通溝M1内に挿入して接合体12を切断することである。
【0056】
そして、図9(a)及び図10に示す如く、集合端子部材15を切断して圧電デバイスを得る工程において一体化した集合端子部材15及び集合体11からなる接合体12(図10参照)を、各基板領域の外周に沿って第1のブレードB1にて集合端子部材15を切断することにより集合体11が一部露出するようにして集合端子部材11を厚み方向に貫通する貫通溝M1を形成する。
【0057】
第1のブレードB1として、例えばダイヤモンド砥粒などを電鋳により固定した円板状の電鋳ブレードを用いる。結合剤としては、Niなどが用いられる。
【0058】
次に、図9(b)に示す如く、第1のブレードB1よりも刃幅の狭い第2のブレードB2を貫通溝M1内に挿入して集合体11を切断・分割する。これによって、複数個の圧電デバイスが同時に製作される。
【0059】
第2のブレードB2として、ダイヤモンド砥粒などを、エポキシ樹脂などの樹脂を結合剤として結合させてなる円板状のレジンブレードを用いる。なお、添加物として、各種金属を用いても良い。この第2のブレードB2は、比較的硬度を低くすることにより、セラミック製のシート基板と摩耗しながら切断するようにしても良い。
【0060】
第4の実施形態の圧電デバイスの製造方法によれば、セラミック製の集合体11及び金属製の集合端子部材15の2種類の部材を接合してなる接合体12を、それぞれの材質を切断するのに適した2種のブレードを用いて切断することができるため、1種のブレードを用いて切断する場合に比して、切断により接合体12に応力が発生するのを効果的に抑制でき、圧電振動子10と端子部材150とが剥がれることを低減することができる。これにより、圧電デバイスの組み立て工程が大幅に簡素化されるようになり、圧電デバイス100の生産性向上に供することが可能となる。
【0061】
尚、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、本実施形態では、圧電振動素子120を構成する圧電素材として水晶を用いた場合を説明したが、他の圧電素材として、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたは、圧電セラミックスを圧電素材として用いた圧電振動素子でも構わない。
【符号の説明】
【0062】
110・・・素子搭載部材
110a・・・基板部
110b・・・枠部
111・・・圧電振動素子搭載パッド
120・・・圧電振動素子
121・・・水晶素板
122・・・励振用電極
123・・・引き出し電極
130・・・蓋体
140・・・電子部品(サーミスタ素子)
150、250・・・端子部材
151、251・・・接続部
152、252・・・電極部
160、260・・・フレーム体
100、200・・・圧電デバイス
11・・・集合体
12・・・接合体
15・・・集合端子部材
K1・・・凹部空間
DS・・・導電性接着剤
HD・・・導電性接合材
HB・・・封止用導体膜
G・・・端子部材接続用電極
G1・・・圧電振動素子用接続電極
G2・・・接続電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子部材を切り出すことが可能な集合端子部材に電子部品を実装する工程と、
前記集合端子部材に圧電振動子を接合する工程と、
前記集合端子部材を切断して圧電デバイスを得る工程とを含む圧電デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記圧電振動子を接合する工程において、前記圧電振動子が複数個で互いに一体的に形成された集合体の状態のまま前記集合端子部材に接合され、
前記圧電デバイスを得る工程において、前記集合体も前記圧電振動子ごとに切断されることを特徴とする請求項1記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記圧電デバイスを得る工程において、前記集合端子部材を各端子部材の外周に沿って第1のブレードにて切断することにより前記集合端子部材を厚み方向に貫通する貫通溝を形成し、しかる後、前記第1のブレードよりも刃幅の狭い第2のブレードを前記貫通溝内に挿入して前記集合体を切断することを特徴とする請求項2記載の圧電デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−58944(P2013−58944A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196605(P2011−196605)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000104722)京セラクリスタルデバイス株式会社 (870)
【Fターム(参考)】