圧電振動デバイスの製造方法および圧電振動デバイス
【課題】 周波数調整時の金属膜の付着による接合不良を防止し、筐体への良好な圧電振動片の接合を行うことができる圧電振動デバイスの製造方法および圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
【解決手段】 多数個の音叉型圧電振動片4が一体的に形成された圧電振動片集合体において、各圧電振動片4の基部51の表裏面には一対の接合部7が各々設けられており、
各圧電振動片に複数の電極を形成する電極形成工程と、一対の腕部41,42の先端領域の外周面に調整用金属膜43,44を形成する調整膜形成工程と、前記調整用金属膜にレーザービームを照射して周波数調整を行う周波数調整工程と、各圧電振動片を前記圧電振動片集合体から分割した後に、裏主面側にある接合部7c,7dを筐体内部に接合する接合工程とを有する。
【解決手段】 多数個の音叉型圧電振動片4が一体的に形成された圧電振動片集合体において、各圧電振動片4の基部51の表裏面には一対の接合部7が各々設けられており、
各圧電振動片に複数の電極を形成する電極形成工程と、一対の腕部41,42の先端領域の外周面に調整用金属膜43,44を形成する調整膜形成工程と、前記調整用金属膜にレーザービームを照射して周波数調整を行う周波数調整工程と、各圧電振動片を前記圧電振動片集合体から分割した後に、裏主面側にある接合部7c,7dを筐体内部に接合する接合工程とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に用いられる圧電振動デバイスの製造方法および圧電振動デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子に代表される圧電振動デバイスは、携帯電話など移動体通信機等に広く用いられている。前記水晶振動子に用いられる水晶振動片の一つとして音叉型水晶振動片がある。音叉型水晶振動片は、基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の振動腕(以下、腕部と略記)とからなる音叉形状の水晶振動片であり、当該音叉型水晶振動片を使用した音叉型水晶振動子は、時計のクロック源として広く使用されている。
【0003】
表面実装型の音叉型水晶振動子は、上部が開口した箱状の筐体(容器体)内部に、音叉型水晶振動片(以下振動片と略記)の基部の一端側に形成された接合部を、接合材を介して接合し、開口部分を平板状の金属蓋で気密封止した構造である。
【0004】
水晶振動子は所定の周波数を得るために、一般に周波数調整工程を有する。例えば従来の音叉型水晶振動子の周波数調整方法では、1枚の水晶ウエハからエッチングによって多数個の振動片の外形を一括成形し、フォトリソグラフィ技術によって所定パターンの電極(金属膜)を各振動片の表面に転写する。このとき一対の腕部先端領域は、全周に金属膜が成膜されている。次に当該金属膜の上層に、振動片の周波数を調整するための調整用金属膜が、蒸着法等の手段によって成膜される。そして、前記調整用金属膜の内、腕部主面側(表面側)にある金属膜に対してレーザーを照射して、当該金属膜の質量を減少させることによって、水晶振動子の周波数調整が行われる。1枚の水晶ウエハ内の全ての振動片について周波数調整が完了すると、ウエハから多数個の振動片に分割する。そして、接着材等を用いて筐体の内部に振動片を接合する。
【0005】
前記周波数調整を、筐体の内部に振動片を接合した後に行う場合、レーザービームの照射によって飛散した金属屑が、振動片へ付着することによって、絶縁不良や特性悪化を生じることがあった。そこで、金属屑の振動片や筐体内部への飛散金属屑の付着防止のために、飛散金属屑を付着保持するための金属膜が筐体の内底面に設けられた構成が特許文献1に開示されている(図11参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平3−243010号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では金属屑を付着させるための金属膜を筐体(容器)内部に設ける工程が必要となって、工数が増加するとともに、調整用金属膜のレーザーによる削減を、筐体に振動片を搭載した後に実施するため、筐体の内底面以外の領域にも金属屑が飛散してしまう。また、前記筐体を気密封止するための蓋は、少なくとも部分的あるいは全体を透明材料で形成する必要があり、金属性の蓋に比べ機械的強度の点で劣ることになる。
【0008】
また、調整用金属膜のレーザーによる削減を、筐体に振動片を搭載する前に実施した場合、レーザービームの照射によって飛散した金属屑が、振動片の筐体との接合部に付着すると、振動片と筐体との接合強度が低下し、接合不良が発生する。金属屑の接合部への付着は、金属バンプを介して超音波接合する場合に特に問題となる。このような接合不良が発生すると、耐衝撃性能が悪化したり、圧電振動デバイスの諸特性に悪影響を及ぼすことになる。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、周波数調整時の金属膜の付着による接合不良を防止し、筐体への良好な圧電振動片の接合を行うことができる圧電振動デバイスの製造方法および圧電振動デバイスを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、基部と一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、筐体内部に接合されてなる圧電振動デバイスの製造方法であって、多数個の前記圧電振動片が一体的に形成された圧電振動片集合体において、各圧電振動片の基部の表裏面には、圧電振動片と筐体とを接合するための一対の接合部が各々設けられており、各圧電振動片に、複数の電極を形成する電極形成工程と、各振動片の腕部先端領域の外周面に、調整用金属膜を形成する調整膜形成工程と、前記腕部の表裏面の内、一方の面上にある調整用金属膜にレーザービームもしくはイオンビームを照射し、当該調整用金属膜の質量を削減することによって周波数調整を行う周波数調整工程と、各圧電振動片を前記圧電振動片集合体から分割した後に、前記腕部の表裏面の内、他方の面と同一面側にある一対の接合部を筐体内部に接合する接合工程とを、有する圧電振動デバイスの製造方法となっている。
【0011】
本発明の製造方法によると、音叉型圧電振動片は筐体への搭載を行う前に、調整用金属膜の質量を削減して周波数調整されるので、圧電振動片が筐体内部に搭載されてから、レーザービーム等によって調整用金属膜の質量を削減する場合に比べて、筐体内部への金属屑の飛散量を抑制することができる。
【0012】
さらに、本発明の製造方法によると、例えばレーザービームを前記調整用金属膜の一主面(上面)に対して、上方から照射したときに、金属屑が飛散して前記一主面と同一面側にある接合部上に付着したとしても、当該接合部と反対側(前記一主面を表面とすると、裏面側)にある接合部には金属屑が付着しにくい。つまり、前述の一主面(上面)をレーザービームが貫通して、前記一主面と対向する面(下面)の調整用金属膜に到達して金属屑が発生しても、重力の影響により、前記下面側の調整用金属膜と同一面側にある接合部には到達しにくい。つまり、レーザービームが照射される面と反対面(対向面)側にある接合部を用いるので、良好な接合界面を得ることができる。これにより、音叉型圧電振動片と筐体との接合不良を抑制でき、耐衝撃性に優れた信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることが可能となる。
【0013】
また、上記目的を達成するために、請求項2の発明によると、前記調整用金属膜が前記腕部の先端領域の外周面の内、表裏面のいずれか一方の面だけに形成されているので、レーザービームもしくはイオンビームの照射による金属屑の飛散量は、前記ビームの照射されている面側が多くなり、逆に対向する面側の飛散量をさらに減少させることができる。このような構成により、レーザービームもしくはイオンビームが照射される調整用金属膜と対向する主面と同一面側にある接合部には、金属屑がより付着しにくくなるため、より良好な接合界面を得ることができる。これによって、音叉型圧電振動片と筐体との接合力低下を抑制でき、耐衝撃性能が優れた、より信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。
【0014】
また、上記目的を達成するために、請求項3の発明によると、前記電極間の無電極領域に凹部を形成することを特徴とするので、調整用金属膜へのレーザービームもしくはイオンビームの照射によって発生した金属屑が、電極間の無電極領域に付着して起こる絶縁不良を抑制することができる。つまり、電極間の無電極領域(圧電体が露出した領域)に凹部を形成することで、飛散した金属屑を当該凹部内に付着させるとともに、凹部の内稜部には金属屑が付着しにくいことにより、絶縁状態を確保することが可能となる。
【0015】
また、上記目的を達成するために、請求項4の発明によると、請求項1乃至3の製造方法によって製造された圧電振動デバイスであるので、振動片と筐体との接合強度を低下させることなく、確実に接合されるので、耐衝撃性に優れた圧電振動デバイスを提供することができる。
【0016】
また、上記目的を達成するために、請求項5の発明によると、表裏主面に一対の接合部を有する基部と、対向する表裏主面を有する一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、筐体内部に接合されてなる圧電振動デバイスであって、前記圧電振動片は、表面に複数の電極と、当該電極間に凹部が形成された無電極領域を有し、前記表裏主面の内、少なくとも一方の主面には、前記主面の外周よりも内側に離間した位置に周波数調整用金属膜が形成されており、一方の主面にある周波数調整用金属膜に対して、質量削減による周波数調整が行われた後、他方の主面にある接合部が筐体内部に接合されている。
【0017】
このような構成によると、前記表裏主面の内、少なくとも一方の主面に、前記主面の外周よりも内側に離間して周波数調整用金属膜が形成されているので、レーザービームを圧電振動片の上方から、周波数調整用金属膜の外周近傍に照射しても、腕部側面の金属(電極)にはレーザービームが照射される可能性が低くなる。したがって、腕部側面の金属の質量が削減されにくくなり、腕部側面からの金属屑の発生量を抑制することができる。これにより、レーザービームが照射される一主面と反対側の主面にある接合部への金属屑の付着も抑制することができる。その結果、振動片と筐体との接合不良を抑制でき、耐衝撃性能が優れた、信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。さらに、前記電極間の無電極領域には凹部が形成されているので、例えばレーザービームの照射によって発生した金属屑が、電極間の無電極領域に付着して起こる絶縁不良を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、周波数調整時の金属膜の付着による接合不良を防止し、筐体への良好な圧電振動片の接合を行うことができる圧電振動デバイスの製造方法および圧電振動デバイスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
−第1の実施形態−
以下、音叉型水晶振動子を例に挙げて、本発明による第1の実施形態について図を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動子の断面図である。なお、図1において音叉型水晶振動片の腕部および基部に形成される各種電極の記載は省略している。
【0020】
本実施形態で使用される音叉型水晶振動子1は、音叉型水晶振動片4が、上部が開口した筐体2の搭載電極9上に、金属バンプ8を介して接合され、前記開口部が封止材5を介して、板状の蓋体2で封止された構成となっている。本実施形態では音叉型水晶振動子の公称周波数は32.768kHzとなっている。なお、前記公称周波数は一例であり、本周波数に限定されるものではなく、他の周波数にも適用可能である。
【0021】
本実施形態で適用される筐体3は、セラミックからなる容器体であり、焼成によって形成されている。筐体3は上部が開口しており、内部空間11には段部10が形成されている。段部10の上面には一対の搭載電極9が印刷技術により敷設されている。ここで、搭載電極9はタングステンを印刷焼成した後、表面に金メッキ処理が施されている。搭載電極9は、筐体内部に形成された配線導体(図示せず)を介して筐体底面(裏面)に形成されている外部端子(図示せず)と電気的に接続されている。なお、前記搭載電極9と前記外部接続端子との電気的接続は、筐体3の外周上下部の4角にキャスタレーションを形成することによって行ってもよい。筐体3の堤部13の上面は平坦な状態になっており、当該堤部13の上面には金属膜6が周状に形成されている。前記金属膜6は3層から構成されており、下からタングステン、ニッケル、金の順で積層されている。タングステンはメタライズ技術により、セラミック焼成時に一体的に形成され、ニッケル、金の各層はメッキ技術により形成される。なお、前記タングステンの層にモリブデンを使用してもよい。
【0022】
音叉型水晶振動片4は、一対の腕部41,42と、基部51とからなり、図示しない平面視矩形状の1枚の水晶ウエハ(以下ウエハと略記)に、多数個の音叉型圧電振動片4,4・・・(以下、振動片と略記)が一体的に形成されている。前記振動片4,4・・・はフォトリソグラフィ技術を用いて、レジストまたは金属膜をマスクとして音叉外形がエッチングによって一括的に成形されている。また図1では図示していないが、各振動片4の腕部41,42および基部51に形成される各種電極(金属膜)は、真空蒸着法によって成膜され、前記振動片4と同様にフォトリソグラフィ技術を用いて、所定パターンが転写される。本実施形態では、1枚のウエハで数千個の振動片が一括形成されている。なお、前記振動片の形成数は一例であり、1枚のウエハから数百個から数千個の振動片の一括形成も可能である。
【0023】
前記多数個の振動片4,4・・・が一体形成されたウエハ状態で、各振動片4の腕部41,42には、各種電極が形成されている。具体的には、主面電極(表面および裏面)および側面電極(内側面および外側面)が各々形成されている(電極形成工程)。これらの電極は、クロム(Cr)を下地とし、その上層にフォトリソグラフィ等の技術によって金(Au)が積層された構成となっている。
【0024】
図2は、本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕幅方向における断面図である。なお、図2では説明の便宜上、一対の腕部41,42の内、1本の腕部41に着目し、腕部41の先端領域の腕幅方向の断面図を表示している。
各振動片の腕部41,42の先端領域には、周状に金属膜45,46が前述の電極と同様の層構成で形成されている。そして、前記金属膜45,46の上層には、周波数を調整するための調整用金属膜43,44が周設されている(調整膜形成工程)。調整用金属膜43は、外側面にある外側面金属膜43aと、表主面にある表主面金属膜43b、裏主面の裏主面金属膜43c、内側面の内側面金属膜43dとで構成されている。同様に、調整用金属膜44は表面の表主面金属膜44b、裏面の裏主面金属膜44c、外側面の外側面金属膜44a、内側面の内側面金属膜44dとで構成されている。前記調整用金属膜として、本実施形態では金が用いられており、電解メッキ法によって成膜されている。なお、前記調整用金属膜は電解メッキ法以外に、真空蒸着法を用いて成膜してもよい。また、前記各種電極の形成時に、振動片4の表裏両面に金からなる一対の接合部(7a,7b,7c,7d)も形成されている。なお、本搭載電極9もクロムを下地層として、その上層に金膜が成膜された構成となっている。
【0025】
図3は、本発明の第1の実施形態を示す周波数調整時の音叉型水晶振動片の振動片長手方向断面図である。なお、図3は多数個の振動片4,4・・・の内、1個の振動片に着目し、一対の腕部の内、1本の腕部(41)について表したものである。周波数調整は多数個の振動片4,4・・・のそれぞれに各種電極と、調整用金属膜43,44を成膜した後、各振動片の周波数に応じて、所定周波数範囲内(規格内)に収まるように、レーザービームが照射されて調整用金属膜43,44の質量が削減される(周波数調整工程)。このとき、同一の振動片に対してレーザービームの照射と周波数測定が同時に行われている。また、本実施形態においてレーザービームは、水平状態に設置された水晶ウエハに対して鉛直方向から照射されている。しかし、本発明は前記方向からレーザー照射だけに限定されるものではない。さらに、本実施形態ではレーザービームを使用しているが、レーザービーム以外にイオンビームを使用してもよい。
【0026】
図3に示すように、調整用金属膜43の内、表主面金属膜43bに対して、所定出力に設定されたグリーンレーザーが照射される。なお、レーザーの種類はグリーンレーザーに限定されるものではなく、他の波長を有するレーザーを使用してもよい。金属屑Sはレーザービームが表主面金属膜43b(表側)を貫通した後、水晶片の内部を透過して裏主面金属膜43c(下側)に到達し、当該裏主面金属膜の質量が削減されることによって、腕部の裏主面(下側)においても飛散する場合がある。しかしながら、裏主面金属膜43cから飛散した金属屑は、重力の影響により、表主面金属膜43bから飛散した金属屑に比べて接合部7への付着量が少なくなる。つまり、腕部の表主面側(上側)にある接合部7a(7bも同様)に到達する金属屑は、直下に接合部7a(または7b)が存在しており、重力と抗力が釣り合っているため、到達した金属屑が接合部から落下し難い。一方、腕部の裏主面側(下側)にある接合部7c(7dも同様)に到達する金属屑は、接合部7a(または7b)への付着力が重力より大きいものだけが付着し続けることになるため、裏主面側(下側)の付着量の方が表主面側(上面)の付着量よりも少なくなる。
【0027】
このようにして、1個ずつ振動片に対してレーザービームを照射して周波数調整を行い、1枚のウエハ内の全振動片について周波数調整が完了すると、所定の工程を経た後に、ウエハから個片状態の振動片に分割される。
【0028】
次に、筐体3の内部の一対の搭載電極9上に、金属バンプ8を形成しておく。なお、本実施形態では金属バンプ8に金バンプが使用されている。そして、個片に分割された振動片4の裏側接合部(7c,7d)が、前記搭載電極9に対向するように振動片4がバンプ8上に載置され、超音波を印加して振動片の裏側接合部7c,7dの金と、金バンプ8の間で金−金の拡散接合(Flip Chip Bonding)が行われる(接合工程)。なお、筐体3に振動片4が接合された状態の斜視図を図4に示す(図4では各種電極の記載は省略)。
【0029】
前記接合工程後の所定の工程を経た後、コバール(Kovar)を基材とする蓋体2を用いて、筐体3を気密封止する。具体的には、蓋体2の筐体との接合面側には金属からなる封止材5が周状に形成されており、当該封止材5が、筐体3の堤部13の上面に形成された金属膜6の上に略一致するように載置される。そして、レーザービームを前記封止材5と金属膜6の重畳領域に照射することによって、これらの金属を溶融させて蓋体2と筐体3とを気密接合する。以上のようにして音叉型水晶振動子1の製造が完了となる。
【0030】
本実施形態によると、振動片4は筐体3への搭載を行う前に、腕部先端の調整用金属膜43,44の質量を削減して周波数調整されるので、筐体内部に振動片を搭載してから、レーザービーム等によって調整用金属膜の質量を削減する場合に比べて、筐体内部への金属屑の飛散量を抑制することができる。
【0031】
さらに本実施形態によると、レーザービームを前記調整用金属膜の表主面(上面)に対して、上方から照射したときに、金属屑が飛散して前記表主面と同一面側にある接合部上に付着したとしても、当該接合部と反対側(裏主面側)にある接合部には付着しにくい。つまり、表主面(上面)側の調整用金属膜をレーザービームが貫通して、水晶片の内部を透過して前記表主面と対向する裏主面(下面)の調整用金属膜に到達して金属屑が発生しても、重力の影響により、裏主面側の調整用金属膜と同一面側にある接合部には到達しにくい。つまり、レーザービームが照射される面と反対面(対向面)と同一面側にある接合部を用いることで良好な接合界面を得ることができる。このように本発明の製造方法によると、振動片の筐体との接合面への金属屑の付着量を減少させることができるので、金属バンプを介した超音波接合において特に有効となる。したがって、振動片と筐体との接合不良を抑制でき、耐衝撃性能が優れた、信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることが可能となる。
【0032】
−第2の実施形態−
本実施形態における第2の実施形態を、図5乃至図6を用いて説明する。図5は本発明の第2の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕幅方向の断面図であり、簡略化のために一対の腕部の内、1本の腕部について表している。図6は本発明の第2の実施形態を示す音叉型水晶振動片の長手方向断面図である。なお、図6において音叉振動片に形成される各種電極の記載は省略している。また、第1の実施形態と同様の構成については、同番号を付して説明を割愛するとともに、前述の実施形態と同様の効果を有する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0033】
本実施形態では、腕部41,42の先端領域に形成される調整用金属膜47,48(図5では図示せず)は、腕部41,42の周囲に真空蒸着法によって形成された金属膜45,46(金からなり、クロムを下地層としている)の表主面(上側)だけに、電解メッキ法によって厚膜状態で形成されている。
【0034】
図5に示す調整用金属膜47の厚みt2は、第1の実施形態における調整金属膜の腕部の各面における厚みt1(図2参照)の総和よりも厚くなるように設定されている。つまり、t2>4×(t1)の関係式が成立するように成膜されている。
【0035】
本実施形態でも、周波数調整工程は1枚のウエハに多数個の振動片4が形成された状態で、1個の振動片に対して腕部の一主面(表主面)、つまり調整用金属膜47が形成されている側の面の上方から、当該調整用金属膜47に対してレーザービームを照射して周波数調整を行われる。本実施形態では、図6に示すように調整用金属膜が表主面側だけに形成されているため、レーザービームの照射による金属屑Sの飛散量は、レーザービームの照射されている面側が多くなり、逆に対向する面側は、調整用金属膜の下層の金およびクロムだけのため、金属屑の飛散量を第1の実施形態に比べ、さらに減少させることができる。
【0036】
このような構成により、レーザービームが照射される調整用金属膜47と対向する主面(裏主面)と同一面側にある接合部7cには、金属屑がより付着しにくくなるため、より良好な接合界面を得ることができる。これによって、音叉型圧電振動片と筐体との接合力低下を抑制でき、耐衝撃性に優れた、より信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。
【0037】
−第3の実施形態−
本実施形態における第3の実施形態を、図7乃至図9を用いて説明する。図7は本発明の第3の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕部の斜視図であり、図8は図7のA−A線における断面図で、図9は図7のB−B線における断面図である。なお、本実施形態は後述する無電極領域に形成される凹部以外の部位については、第2の実施形態と同様の構成となっている。したがって、第2の実施形態と同様の構成については、同番号を付して説明を割愛するとともに、前述の実施形態と同様の効果を有する。以下、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0038】
図7は一対の腕部の内、1本の腕部(41)についての先端領域の斜視図であり、腕部の表主面および対向する裏主面には腕部41を駆動させるための励振電極14が形成されている。また、腕部41の外側面および内側面には側面電極15が対向するように形成されている。さらに腕部先端には、調整用金属膜47,48(図7では図示せず)が表主面側だけに電解メッキによって厚膜状態で形成されている。このような構成により、レーザービームの照射による金属屑の飛散量は、レーザービームの照射されている面側が多くなり、逆に対向する面側は、調整用金属膜の下層の金およびクロムだけのため、金属屑の飛散量を減少させることができ、その結果、裏主面側にある接合部への金属屑の付着を抑制することが可能となっている。
【0039】
本実施形態では、腕部の表主面および裏主面には電極間の無電極領域、すなわち水晶素地が露出している領域には凹部16が形成されている。つまり、無電極領域が有電極領域の水晶面よりも窪んだ状態となっている。前記凹部16は振動片への各種電極後(電極形成工程後)に、エッチング(化学的溶解処理)によって形成されている。
【0040】
前記凹部16は、図8および図9に示すように、腕部の長手方向と幅方向の両方向について形成されている。このように凹部16を無電極領域に形成することで、調整用金属膜47にレーザービームを照射することによって発生した金属屑を、凹部内に付着させることができる。つまり、凹部16に金属屑が飛散しても、凹部16の内稜部には金属屑が付着しにくいため、凹部の底面側に多く堆積しやすくなる。これにより、電極間の絶縁状態を維持することができる。その結果、無電極領域に金属屑が付着して起こる絶縁不良を抑制することができる。したがって、振動片の筐体との接合面側にある接合部への金属屑の付着を抑制できるとともに、各種電極間の絶縁不良も防止することができる。
【0041】
−第4の実施形態−
本実施形態における第4の実施形態を、図10を用いて説明する。図10は本発明の第4の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕部の斜視図である。なお、前述の実施形態と同様の構成については、同番号を付して説明を割愛するとともに、前述の実施形態と同様の効果を有する。以下、第3の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0042】
図10は一対の腕部の内、1本の腕部(41)についての先端領域の斜視図である。腕部41の表裏主面の励振電極14と、腕部41の内外側面の側面電極15は、第3の実施形態と同様である。腕部先端には、調整用金属膜49,50(図10では図示せず)が表主面と裏主面に電解メッキによって厚膜状態で形成されている。ここで前記表主面と裏主面の調整用金属膜の厚みは同一であり、第3の実施形態の調整用金属膜47の厚みより薄く形成されている。そして、調整用金属膜49,50(図10では図示せず)は、当該調整用金属膜の全外周が、腕部主面の外周よりも内側に離間して形成されている。
【0043】
レーザービームを振動片の上方から、図10の上側の周波数調整用金属膜の外周近傍に照射する際、レーザービームが周波数調整用金属膜の外側の領域にも照射されることがあるが、本実施形態では周波数調整用金属膜が腕部主面の外周よりも内側に離間した位置に形成されているため、レーザービームを周波数調整用金属膜の外周近傍に照射しても、腕部側面の金属(電極)にはレーザービームが照射される可能性が低くなる。したがって、腕部側面の金属の質量が削減されにくくなり、腕部側面からの金属屑の発生量を抑制することができる。これにより、レーザービームが照射される主面側と反対側の主面にある接合部への金属屑の付着も抑制することができ、金属バンプを介した超音波接合において特に有効となる。その結果、振動片と筐体との接合不良を抑制でき、耐衝撃性能が優れた、信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。
【0044】
本発明の実施形態では、振動片と筐体との接合材として金属バンプを用いているが、金属バンプに限定されるものではなく、ペースト状の導電性接着材を使用してもよい。
【0045】
本発明の実施形態では表面実装型の音叉型水晶振動子を例にしているが、音叉型水晶振動子以外にATカット水晶振動子や、水晶フィルタ、水晶発振器などの電子機器等に用いられる他の表面実装型の圧電振動デバイスの製造方法にも適用可能である。
【0046】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
圧電振動デバイスの量産に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動子の断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕幅方向断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動片の長手方向断面図。
【図4】本発明の第1の実施形態において音叉型水晶振動片が搭載された筐体斜視図。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕幅方向断面図。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す音叉型水晶振動片の長手方向断面図。
【図7】本発明の第3の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕部斜視図。
【図8】図7のA−A線における断面図。
【図9】図7のB−B線における断面図。
【図10】本発明の第4の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕部斜視図。
【図11】従来の一例を示す音叉型水晶振動子の断面図。
【符号の説明】
【0049】
1 音叉型水晶振動子
2 蓋体
3 筐体
4 音叉型水晶振動片
5 封止材
6 金属膜
7 接合部
7a、7b 表側接合部
7c、7d 裏側接合部
8 金属バンプ
9 搭載電極
10 段部
11 内部空間
12 内底面
13 堤部
14 励振電極
15 側面電極
16 凹部
41、42 腕部
43、44、47、48、49、50 調整用金属膜
45、46 金属膜
51 基部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に用いられる圧電振動デバイスの製造方法および圧電振動デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子に代表される圧電振動デバイスは、携帯電話など移動体通信機等に広く用いられている。前記水晶振動子に用いられる水晶振動片の一つとして音叉型水晶振動片がある。音叉型水晶振動片は、基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の振動腕(以下、腕部と略記)とからなる音叉形状の水晶振動片であり、当該音叉型水晶振動片を使用した音叉型水晶振動子は、時計のクロック源として広く使用されている。
【0003】
表面実装型の音叉型水晶振動子は、上部が開口した箱状の筐体(容器体)内部に、音叉型水晶振動片(以下振動片と略記)の基部の一端側に形成された接合部を、接合材を介して接合し、開口部分を平板状の金属蓋で気密封止した構造である。
【0004】
水晶振動子は所定の周波数を得るために、一般に周波数調整工程を有する。例えば従来の音叉型水晶振動子の周波数調整方法では、1枚の水晶ウエハからエッチングによって多数個の振動片の外形を一括成形し、フォトリソグラフィ技術によって所定パターンの電極(金属膜)を各振動片の表面に転写する。このとき一対の腕部先端領域は、全周に金属膜が成膜されている。次に当該金属膜の上層に、振動片の周波数を調整するための調整用金属膜が、蒸着法等の手段によって成膜される。そして、前記調整用金属膜の内、腕部主面側(表面側)にある金属膜に対してレーザーを照射して、当該金属膜の質量を減少させることによって、水晶振動子の周波数調整が行われる。1枚の水晶ウエハ内の全ての振動片について周波数調整が完了すると、ウエハから多数個の振動片に分割する。そして、接着材等を用いて筐体の内部に振動片を接合する。
【0005】
前記周波数調整を、筐体の内部に振動片を接合した後に行う場合、レーザービームの照射によって飛散した金属屑が、振動片へ付着することによって、絶縁不良や特性悪化を生じることがあった。そこで、金属屑の振動片や筐体内部への飛散金属屑の付着防止のために、飛散金属屑を付着保持するための金属膜が筐体の内底面に設けられた構成が特許文献1に開示されている(図11参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平3−243010号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では金属屑を付着させるための金属膜を筐体(容器)内部に設ける工程が必要となって、工数が増加するとともに、調整用金属膜のレーザーによる削減を、筐体に振動片を搭載した後に実施するため、筐体の内底面以外の領域にも金属屑が飛散してしまう。また、前記筐体を気密封止するための蓋は、少なくとも部分的あるいは全体を透明材料で形成する必要があり、金属性の蓋に比べ機械的強度の点で劣ることになる。
【0008】
また、調整用金属膜のレーザーによる削減を、筐体に振動片を搭載する前に実施した場合、レーザービームの照射によって飛散した金属屑が、振動片の筐体との接合部に付着すると、振動片と筐体との接合強度が低下し、接合不良が発生する。金属屑の接合部への付着は、金属バンプを介して超音波接合する場合に特に問題となる。このような接合不良が発生すると、耐衝撃性能が悪化したり、圧電振動デバイスの諸特性に悪影響を及ぼすことになる。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、周波数調整時の金属膜の付着による接合不良を防止し、筐体への良好な圧電振動片の接合を行うことができる圧電振動デバイスの製造方法および圧電振動デバイスを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、基部と一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、筐体内部に接合されてなる圧電振動デバイスの製造方法であって、多数個の前記圧電振動片が一体的に形成された圧電振動片集合体において、各圧電振動片の基部の表裏面には、圧電振動片と筐体とを接合するための一対の接合部が各々設けられており、各圧電振動片に、複数の電極を形成する電極形成工程と、各振動片の腕部先端領域の外周面に、調整用金属膜を形成する調整膜形成工程と、前記腕部の表裏面の内、一方の面上にある調整用金属膜にレーザービームもしくはイオンビームを照射し、当該調整用金属膜の質量を削減することによって周波数調整を行う周波数調整工程と、各圧電振動片を前記圧電振動片集合体から分割した後に、前記腕部の表裏面の内、他方の面と同一面側にある一対の接合部を筐体内部に接合する接合工程とを、有する圧電振動デバイスの製造方法となっている。
【0011】
本発明の製造方法によると、音叉型圧電振動片は筐体への搭載を行う前に、調整用金属膜の質量を削減して周波数調整されるので、圧電振動片が筐体内部に搭載されてから、レーザービーム等によって調整用金属膜の質量を削減する場合に比べて、筐体内部への金属屑の飛散量を抑制することができる。
【0012】
さらに、本発明の製造方法によると、例えばレーザービームを前記調整用金属膜の一主面(上面)に対して、上方から照射したときに、金属屑が飛散して前記一主面と同一面側にある接合部上に付着したとしても、当該接合部と反対側(前記一主面を表面とすると、裏面側)にある接合部には金属屑が付着しにくい。つまり、前述の一主面(上面)をレーザービームが貫通して、前記一主面と対向する面(下面)の調整用金属膜に到達して金属屑が発生しても、重力の影響により、前記下面側の調整用金属膜と同一面側にある接合部には到達しにくい。つまり、レーザービームが照射される面と反対面(対向面)側にある接合部を用いるので、良好な接合界面を得ることができる。これにより、音叉型圧電振動片と筐体との接合不良を抑制でき、耐衝撃性に優れた信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることが可能となる。
【0013】
また、上記目的を達成するために、請求項2の発明によると、前記調整用金属膜が前記腕部の先端領域の外周面の内、表裏面のいずれか一方の面だけに形成されているので、レーザービームもしくはイオンビームの照射による金属屑の飛散量は、前記ビームの照射されている面側が多くなり、逆に対向する面側の飛散量をさらに減少させることができる。このような構成により、レーザービームもしくはイオンビームが照射される調整用金属膜と対向する主面と同一面側にある接合部には、金属屑がより付着しにくくなるため、より良好な接合界面を得ることができる。これによって、音叉型圧電振動片と筐体との接合力低下を抑制でき、耐衝撃性能が優れた、より信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。
【0014】
また、上記目的を達成するために、請求項3の発明によると、前記電極間の無電極領域に凹部を形成することを特徴とするので、調整用金属膜へのレーザービームもしくはイオンビームの照射によって発生した金属屑が、電極間の無電極領域に付着して起こる絶縁不良を抑制することができる。つまり、電極間の無電極領域(圧電体が露出した領域)に凹部を形成することで、飛散した金属屑を当該凹部内に付着させるとともに、凹部の内稜部には金属屑が付着しにくいことにより、絶縁状態を確保することが可能となる。
【0015】
また、上記目的を達成するために、請求項4の発明によると、請求項1乃至3の製造方法によって製造された圧電振動デバイスであるので、振動片と筐体との接合強度を低下させることなく、確実に接合されるので、耐衝撃性に優れた圧電振動デバイスを提供することができる。
【0016】
また、上記目的を達成するために、請求項5の発明によると、表裏主面に一対の接合部を有する基部と、対向する表裏主面を有する一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、筐体内部に接合されてなる圧電振動デバイスであって、前記圧電振動片は、表面に複数の電極と、当該電極間に凹部が形成された無電極領域を有し、前記表裏主面の内、少なくとも一方の主面には、前記主面の外周よりも内側に離間した位置に周波数調整用金属膜が形成されており、一方の主面にある周波数調整用金属膜に対して、質量削減による周波数調整が行われた後、他方の主面にある接合部が筐体内部に接合されている。
【0017】
このような構成によると、前記表裏主面の内、少なくとも一方の主面に、前記主面の外周よりも内側に離間して周波数調整用金属膜が形成されているので、レーザービームを圧電振動片の上方から、周波数調整用金属膜の外周近傍に照射しても、腕部側面の金属(電極)にはレーザービームが照射される可能性が低くなる。したがって、腕部側面の金属の質量が削減されにくくなり、腕部側面からの金属屑の発生量を抑制することができる。これにより、レーザービームが照射される一主面と反対側の主面にある接合部への金属屑の付着も抑制することができる。その結果、振動片と筐体との接合不良を抑制でき、耐衝撃性能が優れた、信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。さらに、前記電極間の無電極領域には凹部が形成されているので、例えばレーザービームの照射によって発生した金属屑が、電極間の無電極領域に付着して起こる絶縁不良を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、周波数調整時の金属膜の付着による接合不良を防止し、筐体への良好な圧電振動片の接合を行うことができる圧電振動デバイスの製造方法および圧電振動デバイスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
−第1の実施形態−
以下、音叉型水晶振動子を例に挙げて、本発明による第1の実施形態について図を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動子の断面図である。なお、図1において音叉型水晶振動片の腕部および基部に形成される各種電極の記載は省略している。
【0020】
本実施形態で使用される音叉型水晶振動子1は、音叉型水晶振動片4が、上部が開口した筐体2の搭載電極9上に、金属バンプ8を介して接合され、前記開口部が封止材5を介して、板状の蓋体2で封止された構成となっている。本実施形態では音叉型水晶振動子の公称周波数は32.768kHzとなっている。なお、前記公称周波数は一例であり、本周波数に限定されるものではなく、他の周波数にも適用可能である。
【0021】
本実施形態で適用される筐体3は、セラミックからなる容器体であり、焼成によって形成されている。筐体3は上部が開口しており、内部空間11には段部10が形成されている。段部10の上面には一対の搭載電極9が印刷技術により敷設されている。ここで、搭載電極9はタングステンを印刷焼成した後、表面に金メッキ処理が施されている。搭載電極9は、筐体内部に形成された配線導体(図示せず)を介して筐体底面(裏面)に形成されている外部端子(図示せず)と電気的に接続されている。なお、前記搭載電極9と前記外部接続端子との電気的接続は、筐体3の外周上下部の4角にキャスタレーションを形成することによって行ってもよい。筐体3の堤部13の上面は平坦な状態になっており、当該堤部13の上面には金属膜6が周状に形成されている。前記金属膜6は3層から構成されており、下からタングステン、ニッケル、金の順で積層されている。タングステンはメタライズ技術により、セラミック焼成時に一体的に形成され、ニッケル、金の各層はメッキ技術により形成される。なお、前記タングステンの層にモリブデンを使用してもよい。
【0022】
音叉型水晶振動片4は、一対の腕部41,42と、基部51とからなり、図示しない平面視矩形状の1枚の水晶ウエハ(以下ウエハと略記)に、多数個の音叉型圧電振動片4,4・・・(以下、振動片と略記)が一体的に形成されている。前記振動片4,4・・・はフォトリソグラフィ技術を用いて、レジストまたは金属膜をマスクとして音叉外形がエッチングによって一括的に成形されている。また図1では図示していないが、各振動片4の腕部41,42および基部51に形成される各種電極(金属膜)は、真空蒸着法によって成膜され、前記振動片4と同様にフォトリソグラフィ技術を用いて、所定パターンが転写される。本実施形態では、1枚のウエハで数千個の振動片が一括形成されている。なお、前記振動片の形成数は一例であり、1枚のウエハから数百個から数千個の振動片の一括形成も可能である。
【0023】
前記多数個の振動片4,4・・・が一体形成されたウエハ状態で、各振動片4の腕部41,42には、各種電極が形成されている。具体的には、主面電極(表面および裏面)および側面電極(内側面および外側面)が各々形成されている(電極形成工程)。これらの電極は、クロム(Cr)を下地とし、その上層にフォトリソグラフィ等の技術によって金(Au)が積層された構成となっている。
【0024】
図2は、本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕幅方向における断面図である。なお、図2では説明の便宜上、一対の腕部41,42の内、1本の腕部41に着目し、腕部41の先端領域の腕幅方向の断面図を表示している。
各振動片の腕部41,42の先端領域には、周状に金属膜45,46が前述の電極と同様の層構成で形成されている。そして、前記金属膜45,46の上層には、周波数を調整するための調整用金属膜43,44が周設されている(調整膜形成工程)。調整用金属膜43は、外側面にある外側面金属膜43aと、表主面にある表主面金属膜43b、裏主面の裏主面金属膜43c、内側面の内側面金属膜43dとで構成されている。同様に、調整用金属膜44は表面の表主面金属膜44b、裏面の裏主面金属膜44c、外側面の外側面金属膜44a、内側面の内側面金属膜44dとで構成されている。前記調整用金属膜として、本実施形態では金が用いられており、電解メッキ法によって成膜されている。なお、前記調整用金属膜は電解メッキ法以外に、真空蒸着法を用いて成膜してもよい。また、前記各種電極の形成時に、振動片4の表裏両面に金からなる一対の接合部(7a,7b,7c,7d)も形成されている。なお、本搭載電極9もクロムを下地層として、その上層に金膜が成膜された構成となっている。
【0025】
図3は、本発明の第1の実施形態を示す周波数調整時の音叉型水晶振動片の振動片長手方向断面図である。なお、図3は多数個の振動片4,4・・・の内、1個の振動片に着目し、一対の腕部の内、1本の腕部(41)について表したものである。周波数調整は多数個の振動片4,4・・・のそれぞれに各種電極と、調整用金属膜43,44を成膜した後、各振動片の周波数に応じて、所定周波数範囲内(規格内)に収まるように、レーザービームが照射されて調整用金属膜43,44の質量が削減される(周波数調整工程)。このとき、同一の振動片に対してレーザービームの照射と周波数測定が同時に行われている。また、本実施形態においてレーザービームは、水平状態に設置された水晶ウエハに対して鉛直方向から照射されている。しかし、本発明は前記方向からレーザー照射だけに限定されるものではない。さらに、本実施形態ではレーザービームを使用しているが、レーザービーム以外にイオンビームを使用してもよい。
【0026】
図3に示すように、調整用金属膜43の内、表主面金属膜43bに対して、所定出力に設定されたグリーンレーザーが照射される。なお、レーザーの種類はグリーンレーザーに限定されるものではなく、他の波長を有するレーザーを使用してもよい。金属屑Sはレーザービームが表主面金属膜43b(表側)を貫通した後、水晶片の内部を透過して裏主面金属膜43c(下側)に到達し、当該裏主面金属膜の質量が削減されることによって、腕部の裏主面(下側)においても飛散する場合がある。しかしながら、裏主面金属膜43cから飛散した金属屑は、重力の影響により、表主面金属膜43bから飛散した金属屑に比べて接合部7への付着量が少なくなる。つまり、腕部の表主面側(上側)にある接合部7a(7bも同様)に到達する金属屑は、直下に接合部7a(または7b)が存在しており、重力と抗力が釣り合っているため、到達した金属屑が接合部から落下し難い。一方、腕部の裏主面側(下側)にある接合部7c(7dも同様)に到達する金属屑は、接合部7a(または7b)への付着力が重力より大きいものだけが付着し続けることになるため、裏主面側(下側)の付着量の方が表主面側(上面)の付着量よりも少なくなる。
【0027】
このようにして、1個ずつ振動片に対してレーザービームを照射して周波数調整を行い、1枚のウエハ内の全振動片について周波数調整が完了すると、所定の工程を経た後に、ウエハから個片状態の振動片に分割される。
【0028】
次に、筐体3の内部の一対の搭載電極9上に、金属バンプ8を形成しておく。なお、本実施形態では金属バンプ8に金バンプが使用されている。そして、個片に分割された振動片4の裏側接合部(7c,7d)が、前記搭載電極9に対向するように振動片4がバンプ8上に載置され、超音波を印加して振動片の裏側接合部7c,7dの金と、金バンプ8の間で金−金の拡散接合(Flip Chip Bonding)が行われる(接合工程)。なお、筐体3に振動片4が接合された状態の斜視図を図4に示す(図4では各種電極の記載は省略)。
【0029】
前記接合工程後の所定の工程を経た後、コバール(Kovar)を基材とする蓋体2を用いて、筐体3を気密封止する。具体的には、蓋体2の筐体との接合面側には金属からなる封止材5が周状に形成されており、当該封止材5が、筐体3の堤部13の上面に形成された金属膜6の上に略一致するように載置される。そして、レーザービームを前記封止材5と金属膜6の重畳領域に照射することによって、これらの金属を溶融させて蓋体2と筐体3とを気密接合する。以上のようにして音叉型水晶振動子1の製造が完了となる。
【0030】
本実施形態によると、振動片4は筐体3への搭載を行う前に、腕部先端の調整用金属膜43,44の質量を削減して周波数調整されるので、筐体内部に振動片を搭載してから、レーザービーム等によって調整用金属膜の質量を削減する場合に比べて、筐体内部への金属屑の飛散量を抑制することができる。
【0031】
さらに本実施形態によると、レーザービームを前記調整用金属膜の表主面(上面)に対して、上方から照射したときに、金属屑が飛散して前記表主面と同一面側にある接合部上に付着したとしても、当該接合部と反対側(裏主面側)にある接合部には付着しにくい。つまり、表主面(上面)側の調整用金属膜をレーザービームが貫通して、水晶片の内部を透過して前記表主面と対向する裏主面(下面)の調整用金属膜に到達して金属屑が発生しても、重力の影響により、裏主面側の調整用金属膜と同一面側にある接合部には到達しにくい。つまり、レーザービームが照射される面と反対面(対向面)と同一面側にある接合部を用いることで良好な接合界面を得ることができる。このように本発明の製造方法によると、振動片の筐体との接合面への金属屑の付着量を減少させることができるので、金属バンプを介した超音波接合において特に有効となる。したがって、振動片と筐体との接合不良を抑制でき、耐衝撃性能が優れた、信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることが可能となる。
【0032】
−第2の実施形態−
本実施形態における第2の実施形態を、図5乃至図6を用いて説明する。図5は本発明の第2の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕幅方向の断面図であり、簡略化のために一対の腕部の内、1本の腕部について表している。図6は本発明の第2の実施形態を示す音叉型水晶振動片の長手方向断面図である。なお、図6において音叉振動片に形成される各種電極の記載は省略している。また、第1の実施形態と同様の構成については、同番号を付して説明を割愛するとともに、前述の実施形態と同様の効果を有する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0033】
本実施形態では、腕部41,42の先端領域に形成される調整用金属膜47,48(図5では図示せず)は、腕部41,42の周囲に真空蒸着法によって形成された金属膜45,46(金からなり、クロムを下地層としている)の表主面(上側)だけに、電解メッキ法によって厚膜状態で形成されている。
【0034】
図5に示す調整用金属膜47の厚みt2は、第1の実施形態における調整金属膜の腕部の各面における厚みt1(図2参照)の総和よりも厚くなるように設定されている。つまり、t2>4×(t1)の関係式が成立するように成膜されている。
【0035】
本実施形態でも、周波数調整工程は1枚のウエハに多数個の振動片4が形成された状態で、1個の振動片に対して腕部の一主面(表主面)、つまり調整用金属膜47が形成されている側の面の上方から、当該調整用金属膜47に対してレーザービームを照射して周波数調整を行われる。本実施形態では、図6に示すように調整用金属膜が表主面側だけに形成されているため、レーザービームの照射による金属屑Sの飛散量は、レーザービームの照射されている面側が多くなり、逆に対向する面側は、調整用金属膜の下層の金およびクロムだけのため、金属屑の飛散量を第1の実施形態に比べ、さらに減少させることができる。
【0036】
このような構成により、レーザービームが照射される調整用金属膜47と対向する主面(裏主面)と同一面側にある接合部7cには、金属屑がより付着しにくくなるため、より良好な接合界面を得ることができる。これによって、音叉型圧電振動片と筐体との接合力低下を抑制でき、耐衝撃性に優れた、より信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。
【0037】
−第3の実施形態−
本実施形態における第3の実施形態を、図7乃至図9を用いて説明する。図7は本発明の第3の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕部の斜視図であり、図8は図7のA−A線における断面図で、図9は図7のB−B線における断面図である。なお、本実施形態は後述する無電極領域に形成される凹部以外の部位については、第2の実施形態と同様の構成となっている。したがって、第2の実施形態と同様の構成については、同番号を付して説明を割愛するとともに、前述の実施形態と同様の効果を有する。以下、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0038】
図7は一対の腕部の内、1本の腕部(41)についての先端領域の斜視図であり、腕部の表主面および対向する裏主面には腕部41を駆動させるための励振電極14が形成されている。また、腕部41の外側面および内側面には側面電極15が対向するように形成されている。さらに腕部先端には、調整用金属膜47,48(図7では図示せず)が表主面側だけに電解メッキによって厚膜状態で形成されている。このような構成により、レーザービームの照射による金属屑の飛散量は、レーザービームの照射されている面側が多くなり、逆に対向する面側は、調整用金属膜の下層の金およびクロムだけのため、金属屑の飛散量を減少させることができ、その結果、裏主面側にある接合部への金属屑の付着を抑制することが可能となっている。
【0039】
本実施形態では、腕部の表主面および裏主面には電極間の無電極領域、すなわち水晶素地が露出している領域には凹部16が形成されている。つまり、無電極領域が有電極領域の水晶面よりも窪んだ状態となっている。前記凹部16は振動片への各種電極後(電極形成工程後)に、エッチング(化学的溶解処理)によって形成されている。
【0040】
前記凹部16は、図8および図9に示すように、腕部の長手方向と幅方向の両方向について形成されている。このように凹部16を無電極領域に形成することで、調整用金属膜47にレーザービームを照射することによって発生した金属屑を、凹部内に付着させることができる。つまり、凹部16に金属屑が飛散しても、凹部16の内稜部には金属屑が付着しにくいため、凹部の底面側に多く堆積しやすくなる。これにより、電極間の絶縁状態を維持することができる。その結果、無電極領域に金属屑が付着して起こる絶縁不良を抑制することができる。したがって、振動片の筐体との接合面側にある接合部への金属屑の付着を抑制できるとともに、各種電極間の絶縁不良も防止することができる。
【0041】
−第4の実施形態−
本実施形態における第4の実施形態を、図10を用いて説明する。図10は本発明の第4の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕部の斜視図である。なお、前述の実施形態と同様の構成については、同番号を付して説明を割愛するとともに、前述の実施形態と同様の効果を有する。以下、第3の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0042】
図10は一対の腕部の内、1本の腕部(41)についての先端領域の斜視図である。腕部41の表裏主面の励振電極14と、腕部41の内外側面の側面電極15は、第3の実施形態と同様である。腕部先端には、調整用金属膜49,50(図10では図示せず)が表主面と裏主面に電解メッキによって厚膜状態で形成されている。ここで前記表主面と裏主面の調整用金属膜の厚みは同一であり、第3の実施形態の調整用金属膜47の厚みより薄く形成されている。そして、調整用金属膜49,50(図10では図示せず)は、当該調整用金属膜の全外周が、腕部主面の外周よりも内側に離間して形成されている。
【0043】
レーザービームを振動片の上方から、図10の上側の周波数調整用金属膜の外周近傍に照射する際、レーザービームが周波数調整用金属膜の外側の領域にも照射されることがあるが、本実施形態では周波数調整用金属膜が腕部主面の外周よりも内側に離間した位置に形成されているため、レーザービームを周波数調整用金属膜の外周近傍に照射しても、腕部側面の金属(電極)にはレーザービームが照射される可能性が低くなる。したがって、腕部側面の金属の質量が削減されにくくなり、腕部側面からの金属屑の発生量を抑制することができる。これにより、レーザービームが照射される主面側と反対側の主面にある接合部への金属屑の付着も抑制することができ、金属バンプを介した超音波接合において特に有効となる。その結果、振動片と筐体との接合不良を抑制でき、耐衝撃性能が優れた、信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。
【0044】
本発明の実施形態では、振動片と筐体との接合材として金属バンプを用いているが、金属バンプに限定されるものではなく、ペースト状の導電性接着材を使用してもよい。
【0045】
本発明の実施形態では表面実装型の音叉型水晶振動子を例にしているが、音叉型水晶振動子以外にATカット水晶振動子や、水晶フィルタ、水晶発振器などの電子機器等に用いられる他の表面実装型の圧電振動デバイスの製造方法にも適用可能である。
【0046】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
圧電振動デバイスの量産に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動子の断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕幅方向断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動片の長手方向断面図。
【図4】本発明の第1の実施形態において音叉型水晶振動片が搭載された筐体斜視図。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕幅方向断面図。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す音叉型水晶振動片の長手方向断面図。
【図7】本発明の第3の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕部斜視図。
【図8】図7のA−A線における断面図。
【図9】図7のB−B線における断面図。
【図10】本発明の第4の実施形態を示す音叉型水晶振動片の腕部斜視図。
【図11】従来の一例を示す音叉型水晶振動子の断面図。
【符号の説明】
【0049】
1 音叉型水晶振動子
2 蓋体
3 筐体
4 音叉型水晶振動片
5 封止材
6 金属膜
7 接合部
7a、7b 表側接合部
7c、7d 裏側接合部
8 金属バンプ
9 搭載電極
10 段部
11 内部空間
12 内底面
13 堤部
14 励振電極
15 側面電極
16 凹部
41、42 腕部
43、44、47、48、49、50 調整用金属膜
45、46 金属膜
51 基部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、筐体内部に接合されてなる圧電振動デバイスの製造方法であって、
多数個の前記圧電振動片が一体的に形成された圧電振動片集合体において、
各圧電振動片の基部の表裏面には、圧電振動片と筐体とを接合するための一対の接合部が各々設けられており、
各圧電振動片に、複数の電極を形成する電極形成工程と、
各圧電振動片の腕部先端領域の外周面に、調整用金属膜を形成する調整膜形成工程と、
前記腕部の表裏面の内、一方の面上にある調整用金属膜にレーザービームもしくはイオンビームを照射し、当該調整用金属膜の質量を削減することによって周波数調整を行う周波数調整工程と、
各圧電振動片を前記圧電振動片集合体から分割した後に、前記腕部の表裏面の内、他方の面と同一面側にある一対の接合部を筐体内部に接合する接合工程とを、
有する圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記調整用金属膜が、前記腕部の先端領域の外周面の内、表裏面のいずれか一方の面だけに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記電極間の無電極領域に凹部を形成することを特徴とする請求項1乃至2に記載の圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の製造方法によって製造された圧電振動デバイス。
【請求項5】
表裏主面に一対の接合部を有する基部と、対向する表裏主面を有する一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、筐体内部に接合されてなる圧電振動デバイスであって、
前記圧電振動片は、表面に複数の電極と、当該電極間に凹部が形成された無電極領域を有し、前記表裏主面の内、少なくとも一方の主面には、前記主面の外周よりも内側に離間して周波数調整用金属膜が形成されており、
一方の主面にある周波数調整用金属膜に対して、質量削減による周波数調整が行われた後、他方の主面にある接合部が筐体内部に接合されていることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項1】
基部と一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、筐体内部に接合されてなる圧電振動デバイスの製造方法であって、
多数個の前記圧電振動片が一体的に形成された圧電振動片集合体において、
各圧電振動片の基部の表裏面には、圧電振動片と筐体とを接合するための一対の接合部が各々設けられており、
各圧電振動片に、複数の電極を形成する電極形成工程と、
各圧電振動片の腕部先端領域の外周面に、調整用金属膜を形成する調整膜形成工程と、
前記腕部の表裏面の内、一方の面上にある調整用金属膜にレーザービームもしくはイオンビームを照射し、当該調整用金属膜の質量を削減することによって周波数調整を行う周波数調整工程と、
各圧電振動片を前記圧電振動片集合体から分割した後に、前記腕部の表裏面の内、他方の面と同一面側にある一対の接合部を筐体内部に接合する接合工程とを、
有する圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記調整用金属膜が、前記腕部の先端領域の外周面の内、表裏面のいずれか一方の面だけに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記電極間の無電極領域に凹部を形成することを特徴とする請求項1乃至2に記載の圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の製造方法によって製造された圧電振動デバイス。
【請求項5】
表裏主面に一対の接合部を有する基部と、対向する表裏主面を有する一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、筐体内部に接合されてなる圧電振動デバイスであって、
前記圧電振動片は、表面に複数の電極と、当該電極間に凹部が形成された無電極領域を有し、前記表裏主面の内、少なくとも一方の主面には、前記主面の外周よりも内側に離間して周波数調整用金属膜が形成されており、
一方の主面にある周波数調整用金属膜に対して、質量削減による周波数調整が行われた後、他方の主面にある接合部が筐体内部に接合されていることを特徴とする圧電振動デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−182873(P2009−182873A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21885(P2008−21885)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
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