説明

圧電振動子の周波数調整方法、圧電振動子および電子機器

【課題】 圧電振動子の周波数を高精度に合わせ込みをすることができる、圧電振動子の周波数調整方法を提供する。
【解決手段】 音叉腕2、3と、音叉腕2、3の一方の端部を接続する音叉基部4とを備え、音叉腕2、3の中心線を挟んだ中央部であり厚さ方向に対向する上下面に溝部5、6を形成した音叉腕が屈曲振動を行う圧電振動子1において、溝部5、6の溝底部電極7b、8bをレーザ光を照射して除去することにより周波数を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音叉腕が屈曲振動を行う圧電振動子の周波数調整方法および、圧電振動子、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯用電子機器等の普及により、これらを構成する電子部品の小型化、高精度化の要求がある。携帯用電子機器の基準信号源として用いられる圧電振動子においても、小型化、高精度化が要求され、従来より様々な提案がされている。例えば、特許文献1に示すように、圧電振動子の音叉腕に溝部を設けることにより、振動等価回路における損失を発生させる直列抵抗を減少させ、圧電振動子の小型化を可能とする提案がされている。
また、音叉腕に溝部を形成した圧電振動子の周波数調整方法としては、特許文献1に開示されているように、圧電振動子の音叉腕先端に設けた金属膜にレーザ光を照射して、金属膜の一部を取り除くという一般的な手法により周波数調整が行われている。
【0003】
【特許文献1】特開昭56−65517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、圧電振動子の周波数調整においては、音叉腕先端に質量を付加するか、あるいは質量を除去して周波数調整を行っているが、質量変化に対する周波数の変化は圧電振動子が小さくなるに従い大きくなる。このため、小型化された圧電振動子の周波数を所望の値に合わせ込むためには、蒸着などで質量を付加する場合、微量の蒸着量制御が必要であり、また、レーザ光などを照射して質量を除去するには、レーザ光のスポット径を小さくするなどの方法が必要となる。しかしながら、微量の蒸着量制御やレーザ光のスポット径を小さくすることには限界があり、小型化された圧電振動子において、周波数を所望の値に精度よく合わせ込めないという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、特に小型化された圧電振動子の周波数を、高精度に合わせ込める圧電振動子の周波数調整方法を提供することにある。また、他の目的として、本発明の圧電振動子の周波数調整方法で周波数調整された圧電振動子および、その圧電振動子を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の圧電振動子の周波数調整方法は、音叉腕と、前記音叉腕の一方の端部を接続する音叉基部と、を備え、前記音叉腕の中心線を挟んだ略中央部であり厚さ方向に対向する上下面に溝部を形成した前記音叉腕が屈曲振動を行う圧電振動子であって、前記溝部の質量を調整することにより周波数調整をすることを特徴とする。
【0007】
このように、音叉腕に形成された溝部の質量を調整することにより、音叉腕の先端部の質量調整に比べて、質量変化に対する周波数の変化が小さく、精度の良い圧電振動子の周波数調整が可能となる。このことから、特に小型の圧電振動子において、高精度に周波数を合わせ込みをすることができる。
【0008】
また、本発明の圧電振動子の周波数調整方法は、前記溝部の底部および側面部に底部電極および溝側面電極を形成し、前記溝部の底部電極の質量を調整することにより周波数調整を行うことを特徴とする。
【0009】
このように、音叉腕の溝部に設けられた底部電極は音叉腕の屈曲振動には直接関与しないため、底部電極に付加あるいは除去される質量は質量効果として周波数を変化させることができる。その結果、圧電振動子の振動特性に影響を与えず、良好に圧電振動子の周波数を調整することが可能となる。
【0010】
また、本発明の圧電振動子の周波数調整方法は、前記溝部の底部電極の一部を、レーザ光を照射して除去することを特徴とする。
【0011】
このように、レーザ光を照射して容易に底部電極の一部を除去でき、精度の良い周波数調整を可能にする。
【0012】
また、本発明の圧電振動子の周波数調整方法は、前記音叉腕の開放された先端から前記音叉基部に向かう方向に順次レーザ光を照射して、前記溝部の底部電極の一部を除去することを特徴とする。
【0013】
このように、音叉基部に近づくに従い、質量変化に対する周波数の変化は小さくなり、精度の良い周波数調整を可能にする。
【0014】
また、本発明の圧電振動子の周波数調整方法は、前記音叉腕は2つの音叉腕からなり、一方の前記音叉腕と他方の前記音叉腕における質量の調整量は、両音叉腕で略同量であることが望ましい。
【0015】
このようにすれば、2つの音叉腕の質量を同じくすることができ、安定した屈曲振動を得ることができる。
【0016】
また、本発明の圧電振動子の周波数調整方法は、前記音叉腕は2つの音叉腕からなり、一方の前記音叉腕と他方の前記音叉腕における質量の調整量は、両音叉腕で異なる量であっても良い。
【0017】
このようにすれば、2つの音叉腕の質量が微量には異なるが、周波数調整量は、2つの音叉腕を調整した場合のほぼ半分となり、周波数調整の精度を上げることができる。
【0018】
また、本発明の圧電振動子の周波数調整方法は、前記溝部の前記底部電極に順次レーザ光を照射するピッチが、レーザ光のスポット径より小さいことを特徴とする。
【0019】
このようにすれば、周波数調整におけるレーザ光の照射スポットが重なり合うことになる。つまり、前のレーザ光を照射して除去したスポットに、次のレーザ光の照射スポットが重なり、底部電極を除去する面積を小さくすることができる。このことから、除去する質量も小さくなり、振動子の周波数変化を小さくでき、精度の良い周波数調整が可能となる。
【0020】
また、本発明の圧電振動子の周波数調整方法は、前記溝部の質量を調整することにより周波数調整をする周波数調整方法を、周波数の最終調整工程に用いたことを特徴とする。
【0021】
このようにすれば、振動子の周波数を大きく調整しなければならないときには、従来のように音叉腕の先端部の質量をまず粗く調整して周波数調整を行い、最終の微量の周波数調整として溝部の質量を調整すれば、短時間に効率よく精度の良い周波数調整が可能となる。
【0022】
また、本発明に係る圧電振動子は、上記の周波数調整方法で周波数調整されたことを特徴とする。
【0023】
このように、本発明に係る圧電振動子の周波数調整方法を用いれば、精度よく周波数調整された圧電振動子を提供できる。
【0024】
また、本発明に係る電子機器は、上記圧電振動子を備えることを特徴とする。
【0025】
このように、電子機器に精度良く周波数調整された圧電振動子を備えており、特性の優れた電子機器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面に従って説明する。
(第1の実施形態)
【0027】
図1(a)は、本発明に係る圧電振動子の構成を示す平面図、図1(b)は、同図(a)のA−A断線に沿う断面図である。
水晶などの圧電材料からなる圧電振動子1は、2つの音叉腕2、3を有している。音叉腕2、3の一方の端部はそれぞれ音叉基部4に接続され、他方の端部は開放されている。
音叉腕2、3の幅方向の中心線を挟んだ中央部には溝部5、6が形成され、この溝部5、6は音叉腕2、3の厚さ方向に対向する上下面に設けられている。
また、圧電振動子1には励振電極7、8が設けられ、音叉腕2、3を屈曲振動できるように構成されている。さらに、音叉腕2、3の開放された先端部には重り9が設けられている。励振電極7、8はAuなどの金属膜で形成され、重り9はAgやAuなどの金属膜で形成されている。
【0028】
図2(a)および図2(b)は、図1(a)に示す音叉腕2のB−B断線に沿う模式断面図であり、本発明に係る圧電振動子の振動原理を説明する説明図である。
音叉腕2の溝部5の側面には溝側面電極8aおよび、溝底部には底部電極8bが設けられている。これらの溝側面電極8aおよび、底部電極8bは、図1で示した励振電極8に含まれるものであり、励振電極8として同電極となるように構成されている。また、音叉腕2の側面には側面電極7a設けられている。側面電極7aは、図1で示した励振電極7に含まれるもので、励振電極7として同電極となるように構成されている。そして、励振電極7、8はお互いに異なる電極となるように構成される。
【0029】
次に、このような、音叉腕2の励振電極7、8の構成において、音叉腕2の動作について説明する。
図2(a)に示すように、側面電極7aに正の電圧、溝側面電極8aおよび溝底部電極8bに負の電圧が印加されると、側面電極7aから溝側面電極8aの向き(矢印に示す向き)に電界が働く。
また、図2(b)に示すように、側面電極7aに負の電圧、溝側面電極8aおよび溝底部電極8bに正の電圧が印加されると、溝側面電極8aから側面電極7aの向き(矢印に示す向き)に電界が働く。
【0030】
このように、音叉腕2の中央から見ると、音叉腕2の右側と左側では電界の方向が逆であるため、左右の一方が伸びの歪を生ずれば、他の一方では縮みの歪が生じ、音叉腕2は屈曲する。そして、側面電極7aと溝側面電極8aおよび溝底部電極8b(励振電極7と励振電極8)に交番電圧を印加すれば、音叉腕2が屈曲振動をする。
また、この音叉腕2に働く電界は対向する側面電極7aと溝側面電極8aに垂直な成分のみとなる。このため、上記のような構成にすれば、音叉腕2を効率よく励振させることができ、圧電振動子の小型化を可能にする。
なお、上記の説明では溝底部電極8bを設けた形態にて説明したが、対向する側面電極7aと溝側面電極8aを異なる電極として構成すれば、溝底部電極8bは音叉腕2の屈曲振動には直接関与しないため、溝底部電極8bを設けない構成としても良い。
【0031】
次に、本実施形態の圧電振動子の周波数調整方法について説明する。
図3は圧電振動子の周波数調整工程を説明するフローチャートである。
ステップS1では、図1に示したように、圧電振動子1の音叉腕2、3先端部にAuやAgを蒸着やスパッタにより、重り9を形成する。
【0032】
次に、圧電振動子1を収容容器に固定するマウント工程に進む(ステップS2)。図6(a)は圧電振動子を収容容器にマウントした状態を示す平面図である。
セラミックスなどで形成した収容容器21は、一面が開放されて凹部が設けられている。凹部には台座22が形成され、この台座22に圧電振動子1が導電性接着剤23にて接着固定される。また、図示しないが、圧電振動子1の励振電極と収容容器21に配置された回路配線とが、導電性接着剤23を介して電気的な接続がなされている。
【0033】
次に、ステップS3に進み、封止工程となる。図6(b)は封止工程後の状態を示す概略断面図である。収容容器21の上部から、透明なガラス材で形成されたリッド24を配置し、収容容器21内を真空雰囲気に保持して封止され、圧電振動子1がパッケージされた状態となる。
【0034】
その後、ステップS4からステップS6で圧電振動子の周波数調整が行われる。これらの周波数調整では、図6(b)に示したパッケージされた圧電振動子1の透明なリッド24ごしにレーザ光を照射して、音叉腕に形成した重りや電極を除去して行う。
周波数調整前の圧電振動子1の周波数は、重り9の付加により、所望の周波数より低く設定されており、重りや電極を除去することにより、周波数を高くする方向で周波数調整が行われる。
図4は圧電振動子の周波数の調整方法を説明する平面図であり、図4(a)は周波数調整1、図4(b)は周波数調整2、図4(c)は周波数調整3の工程に対応する平面図である。
【0035】
ステップS4の周波数調整1の工程では、図4(a)に示すように、圧電振動子1の音叉腕2、3先端に形成された重り9にレーザ光スポット10aを照射して、重り9の一部を除去する。
この工程では、圧電振動子1の周波数が周波数調整1として決められた所定の値になるまで、数回、音叉腕2、3の重り9にレーザ光スポット10aを照射して、重り9の一部を除去する。また、重り9の一部の除去は、振動のバランスを考慮して音叉腕2、3でほぼ同量になるように設定されている。
周波数調整1の工程での調整では、除去した重り9の質量効果により、圧電振動子1の周波数変化は大きく、周波数を粗く調整する。
【0036】
次にステップS5の、周波数調整2の工程に進む。周波数調整2の工程では、図4(b)に示すように、音叉腕2、3の先端から少し音叉基部4に近づいた部分にレーザ光スポット10bを照射する。この部分には、圧電振動子1表面に引き回された励振電極7、8の一部が配設されており、レーザ光スポット10bを照射することにより、励振電極7、8の一部を除去する。
この工程では、圧電振動子1の周波数が周波数調整2として決められた所定の値になるまで、数回、音叉腕2、3の励振電極7、8にレーザ光スポット10bを照射して、励振電極7、8の一部を除去する。また、励振電極7、8の一部の除去は、振動のバランスを考慮して音叉腕2、3でほぼ同量になるように設定されている。
周波数調整2の工程での調整では、除去した励振電極7、8の質量効果により、圧電振動子1の周波数を調整できる。励振電極7、8の厚みは重り9の厚みに比べて充分に薄く形成されており、1回のレーザ光スポットの照射における周波数の変化は、周波数調整1に比べて小さい。このように、周波数調整2は周波数調整1に比べて、精度の高い調整が可能である。
次に、小型化された圧電振動子など、さらに精度の高い周波数調整が必要な場合には、本発明の要旨であるステップS6の周波数調整3を行う。
【0037】
ステップS6の周波数調整3の工程では、図4(c)に示すように、音叉腕2、3に設けられた溝部5、6にレーザ光スポット10cを照射する。この部分には、圧電振動子1表面に引き回された励振電極7、8の一部である溝底部電極7b、8bが配設されており、レーザ光スポット10cを照射するすることにより、溝底部電極7b、8bの一部を除去する。
この工程では、圧電振動子1の周波数が周波数調整3として決められた所定の値(所望の最終周波数)になるまで、音叉腕2、3の溝底部電極7b、8bにレーザ光スポット10cを照射して、溝底部電極7b、8bの一部を除去する。このとき、複数回のレーザ光スポット10cを照射する必要があるときには、音叉腕2、3の先端から音叉基部4に向かう方向に、順次レーザ光スポット10cを照射していく。
また、溝底部電極7b、8bの一部の除去は、振動のバランスを考慮して音叉腕2、3でほぼ同量であることが望ましい。
【0038】
周波数調整3の工程での調整では、除去した溝底部電極7b、8bの質量効果により、圧電振動子1の周波数を調整できる。溝底部電極7b、8bの厚みは周波数調整2で除去する励振電極7、8と同じであるが、周波数調整3で除去する位置が、音叉基部4に近いため、1回のレーザ光スポットの照射における周波数の変化は小さい。このように、周波数調整3は周波数調整2に比べて、精度の高い調整が可能である。
また、周波数調整3では、音叉腕2、3の先端から音叉基部4に向かう方向に、順次レーザ光スポット10cを照射することに従い、レーザ光スポット10cの照射位置は音叉基部4に近づいていく。このことは、微量ではあるが、1回のレーザ光スポットの照射における周波数の変化は小さくなっていく。このことからも、精度の高い周波数調整が可能となる。
また、溝底部電極7b、8bは音叉腕2、3の屈曲振動には直接影響を与えないため、溝底部電極7b、8bを除去しても圧電振動子1の特性には影響を与えず、周波数の調整ができる。
【0039】
上記の実施形態で説明したレーザ光としては、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザなどのレーザ光を利用できる。また、レーザ光スポット径はφ15μmからφ5μm程度のものが使用される。
なお、上記実施形態では、周波数調整前の圧電振動子1の周波数を、所望の周波数より低く設定しておき、重りや電極などの質量を除去することにより、周波数を高くする方向で周波数調整を行ったが、周波数調整前の圧電振動子1の周波数を、所望の周波数より高く設定しておき、質量を除去する位置と同様な位置に質量を付加して、周波数を低くする方向で周波数調整をすることもできる。
【0040】
以上のように、音叉腕2、3に形成された溝部5、6の質量を調整することにより、音叉腕2、3の先端部の質量調整に比べて、質量変化に対する周波数の変化が小さく、精度の良い圧電振動子の周波数調整が可能となる。このことから、特に小型の圧電振動子において、周波数調整の最終調整工程にこの方法を用いれば、高精度に周波数を合わせ込みをすることができる。
(変形例)
【0041】
図5は、本発明の実施形態の変形例を示す説明図である。
図5(a)では、周波数調整3の工程において、音叉腕2の底部電極8bには2回のレーザ光スポット10cを照射し、音叉腕3の底部電極7bには1回のレーザ光スポット10cを照射して周波数調整を終了している。つまり、音叉腕2と3では異なる質量で圧電振動子1の周波数が調整されている。
2つの音叉腕2、3の質量は微量には異なるが、周波数調整量は2つの音叉腕を同質量で調整した場合のほぼ半分となり、周波数調整の精度を上げることができる。
特に最終の周波数調整であれば、音叉腕の質量差は微量であり、圧電振動子1の振動に対して特性に影響をすることはない。
【0042】
図5(b)では、周波数調整3の工程において、音叉腕2、3の底部電極7b、8bに順次レーザ光スポット10cを照射するピッチが、レーザ光のスポット径より小さく設定されている。このようにすると、レーザ光スポット10cが重なり合い、2回目のレーザ光スポット10c照射以降、底部電極7b、8bを除去する面積を小さくすることができる。このことから、除去する質量が少なくなり、圧電振動子1の周波数変化を小さくでき、精度の良い周波数調整が可能となる。
【0043】
図5(c)では、周波数調整3の工程において、音叉腕2、3の底部電極7b、8bにレーザ光スポット10cを照射するピッチを音叉基部4に向かい、順次大きくなるよう設定されている。
このように、音叉基部4に近くなるに従い、1回のレーザ光スポット10cの照射における周波数の変化は小さくなるため、精度の良い周波数調整が可能となる。
(第2の実施形態)
【0044】
次に、本発明に係る圧電振動子の実施形態について説明する。
図6(b)はパッケージされた圧電振動子の構成を示す概略断面図である。収容容器21内には圧電振動子1が接着固定され、収容容器21内を真空雰囲気に保持し、リッド24により封止され、パッケージされた圧電振動子20となる。パッケージされた圧電振動子20の周波数は第1の実施形態で述べた、周波数調整方法を用いて、精度よく調整されている。
このように、第1の実施形態の圧電振動子の周波数調整方法を用いて、周波数を高精度に合わせ込んだ圧電振動子20を提供できる。
(第3の実施形態)
【0045】
次に、本発明に係る電子機器の実施形態について説明する。
図7は電子機器の構成を示す概略構成図である。電子機器30には上記の第2の実施形態で説明した圧電振動子20を備えている。
上記の実施形態の圧電振動子20を用いた電子機器30として、携帯電話やデジタルカメラ、ビデオカメラなどの携帯用電子機器が挙げられる。これらの電子機器30において圧電振動子20は、基準信号源として用いられ、小型で精度の良い圧電振動子20を備えることにより、小型で携帯性に優れ、特性の良好な電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)は第1の実施形態の圧電振動子の平面図、(b)は同図(a)のA−A断線に沿う断面図。
【図2】圧電振動子の動作原理を説明する模式断面図。
【図3】周波数調整工程を説明するフローチャート。
【図4】圧電振動子の周波数調整の調整方法を説明する平面図であり、(a)は周波数調整1、(b)は周波数調整2、(c)は周波数調整3に対応する平面図。
【図5】(a)、(b)、(c)は第1の実施形態の変形例を示す平面図。
【図6】(a)は圧電振動子を収容容器に配置した平面図、(b)はパッケージされた圧電振動子の概略断面図。
【図7】電子機器の構成を示す構成図。
【符号の説明】
【0047】
1…圧電振動子、2、3…音叉腕、4…音叉基部、5、6…溝部、7、8…励振電極、7a…側面電極、7b…溝底部電極、8a…溝側面電極、8b…溝底部電極、9…重り、10a、10b、10c…レーザ光スポット、20…パッケージされた圧電振動子、30…電子機器。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
音叉腕と、前記音叉腕の一方の端部を接続する音叉基部と、を備え、前記音叉腕の中心線を挟んだ略中央部であり厚さ方向に対向する上下面に溝部を形成した前記音叉腕が屈曲振動を行う圧電振動子であって、前記溝部の質量を調整することにより周波数調整をすることを特徴とする圧電振動子の周波数調整方法。
【請求項2】
前記溝部の底部および側面部に底部電極および溝側面電極を形成し、前記溝部の底部電極の質量を調整することにより周波数調整を行うことを特徴とする請求項1記載の圧電振動子の周波数調整方法。
【請求項3】
前記溝部の底部電極の一部を、レーザ光を照射して除去することを特徴とする請求項2記載の圧電振動子の周波数調整方法。
【請求項4】
前記音叉腕の開放された先端から前記音叉基部に向かう方向に順次レーザ光を照射して、前記溝部の底部電極の一部を除去することを特徴とする請求項3記載の圧電振動子の周波数調整方法。
【請求項5】
前記音叉腕は2つの音叉腕からなり、一方の前記音叉腕と他方の前記音叉腕における質量の調整量は、両音叉腕で略同量であることを特徴とする請求項1記載の圧電振動子の周波数調整方法。
【請求項6】
前記音叉腕は2つの音叉腕からなり、一方の前記音叉腕と他方の前記音叉腕における質量の調整量は、両音叉腕で異なる量であることを特徴とする請求項1記載の圧電振動子の周波数調整方法。
【請求項7】
前記溝部の前記底部電極に順次レーザ光を照射するピッチが、レーザ光のスポット径より小さいことを特徴とする請求項3および4記載の圧電振動子の周波数調整方法。
【請求項8】
請求項1記載の振動子の周波数調整方法を、周波数の最終調整工程に用いたことを特徴とする圧電振動子の周波数調整方法。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか一項記載の周波数調整方法を用い、周波数調整されたことを特徴とする圧電振動子。
【請求項10】
請求項9記載の圧電振動子を備えることを特徴とする電子機器。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−33354(P2006−33354A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208591(P2004−208591)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】