説明

地図表示装置、地図表示方法、及び地図表示プログラム

【課題】渋滞情報を表示する際の地図の視認性を確保することが可能な地図表示装置を提供する。
【解決手段】渋滞レベル判定手段は、所定のサイズを有する複数のエリアで区切られた地図において、渋滞情報に基づいて、エリアごとに渋滞レベルを判定する。表示態様決定手段は、判定された渋滞レベルに応じてエリアごとの地図の表示態様を決定し、表示制御手段は、決定された表示態様に従ってエリアごとの地図を表示する。つまり、渋滞レベルに応じてエリアごとに地図の表示態様を変える。このような地図表示装置によれば、従来のようにリンク単位で渋滞ラインを表示せずに、エリア単位で渋滞が発生していることを示す情報を表示することにより、地図の視認性を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渋滞情報に基づいて、表示画面上に地図を表示させる地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路の渋滞情報などを含む道路交通情報を提供するシステムとして、VICS(Vehicle Information Communication System)が知られている。また、VICSを利用して、渋滞情報をリアルタイムで道路地図上に表示することが可能なナビゲーション装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、道路と渋滞特定情報が重ねて表示される場合に道路を優先して表示することにより、道路と道路の渋滞状況を示す渋滞特定情報とを同時に表示する場合であっても道路を見易く表示する技術が提案されている。具体的には、当該技術では、渋滞情報を示す渋滞特定ラインの画像と高規格道路の画像とが重ねて表示されてしまう縮尺では、高規格道路を渋滞特定ラインより優先して表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−178209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に提案された技術では、渋滞情報と道路との重なりを問題としているが、渋滞情報と道路とが重ならなくても、渋滞情報量が大きい場合には多数の渋滞特定ラインが密集して表示されることで、地図の視認性が悪化してしまう傾向にあった。近年は渋滞情報量が増加しているため、このような視認性の悪化が生じ易いと言える。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、渋滞情報を表示する際の地図の視認性を確保することが可能な地図表示装置、地図表示方法、及び地図表示プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明では、表示画面上に地図を表示させる地図表示装置は、渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段と、所定のサイズを有する複数のエリアで区切られた地図において、前記渋滞情報取得手段によって取得された前記渋滞情報に基づいて、前記エリアごとに渋滞レベルを判定する渋滞レベル判定手段と、前記渋滞レベル判定手段によって判定された前記渋滞レベルに応じて、前記エリアごとの地図の表示態様を決定する表示態様決定手段と、前記表示態様決定手段によって決定された前記エリアごとの前記表示態様に従って前記地図を表示する表示制御手段と、を備える。
【0008】
請求項9に記載の発明では、表示画面上に地図を表示させる装置によって実行される地図表示方法は、渋滞情報を取得する渋滞情報取得工程と、所定のサイズを有する複数のエリアで区切られた地図において、前記渋滞情報取得工程で取得された前記渋滞情報に基づいて、前記エリアごとに渋滞レベルを判定する渋滞レベル判定工程と、前記渋滞レベル判定工程で判定された前記渋滞レベルに応じて、前記エリアごとの地図の表示態様を決定する表示態様決定工程と、前記表示態様決定工程で決定された前記エリアごとの前記表示態様に従って前記地図を表示する表示制御手段と、を備える。
【0009】
請求項10に記載の発明では、コンピュータを備え、表示画面上に地図を表示させる装置によって実行される地図表示プログラムは、前記コンピュータを、渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段、所定のサイズを有する複数のエリアで区切られた地図において、前記渋滞情報取得手段によって取得された前記渋滞情報に基づいて、前記エリアごとに渋滞レベルを判定する渋滞レベル判定手段、前記渋滞レベル判定手段によって判定された前記渋滞レベルに応じて、前記エリアごとの地図の表示態様を決定する表示態様決定手段、前記表示態様決定手段によって決定された前記エリアごとの前記表示態様に従って前記地図を表示する表示制御手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例に係るナビゲーション装置の概略構成を示す。
【図2】実施例に係るシステムコントローラの機能構成を示す。
【図3】本実施例による表示画面例を示す。
【図4】実施例における渋滞レベル判定方法及び配色例を説明するための図を示す。
【図5】エリアのサイズを変更した場合の表示画面例を示す。
【図6】本実施例に係る表示制御フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の1つの観点では、表示画面上に地図を表示させる地図表示装置は、渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段と、所定のサイズを有する複数のエリアで区切られた地図において、前記渋滞情報取得手段によって取得された前記渋滞情報に基づいて、前記エリアごとに渋滞レベルを判定する渋滞レベル判定手段と、前記渋滞レベル判定手段によって判定された前記渋滞レベルに応じて、前記エリアごとの地図の表示態様を決定する表示態様決定手段と、前記表示態様決定手段によって決定された前記エリアごとの前記表示態様に従って前記地図を表示する表示制御手段と、を備える。
【0012】
上記の地図表示装置は、表示画面上に地図を表示させるために好適に利用される。渋滞情報取得手段は、渋滞が発生しているリンク(リンクはノード間の道路を意味する)などを示す渋滞情報を取得する。渋滞レベル判定手段は、所定のサイズを有する複数のエリアで区切られた地図において、渋滞情報に基づいて、エリアごとに渋滞レベルを判定する、即ちエリアごとに渋滞の度合いを判定する。例えば、渋滞レベル判定手段は、少なくとも画面に表示されている地図内の各エリアについて渋滞レベルを判定する。そして、表示態様決定手段は、判定された渋滞レベルに応じてエリアごとの地図の表示態様を決定し、表示制御手段は、決定されたエリアごとの表示態様に従って地図を表示する。つまり、エリアごとの渋滞レベルに応じて、エリアごとに地図の表示態様を変える。
【0013】
このように、地図表示装置は、従来のようにリンク単位で渋滞が発生していることを示す情報を表示せずに、エリア単位で渋滞が発生していることを示す情報を表示する。これにより、渋滞区間を示すライン(渋滞ライン)などが密集して表示されることがないため、渋滞情報量が増加しても地図の視認性を確保することができる。また、地図表示装置は、エリア単位で渋滞が発生していることを示す情報を表示するため、おおよその渋滞度合いを適切に把握することができる。したがって、上記の地図表示装置によれば、渋滞度合いを示す情報を適切に表示しつつ、地図の視認性を確保することができる。
【0014】
上記の地図表示装置の一態様では、前記渋滞レベル判定手段は、前記渋滞情報に基づいて、前記エリア内の全道路区間に対して渋滞区間が占める割合を求め、当該割合に応じて前記渋滞レベルを判定する。
【0015】
この態様では、渋滞レベル判定手段は、エリア内の全道路の総距離に対して渋滞が発生している道路の総距離が占める割合を求め、当該割合を渋滞レベルとして用いる。これにより、各エリアの渋滞レベルを適切に判定することができる。
【0016】
好適な例では、前記渋滞レベル判定手段は、前記割合を求める場合に、前記渋滞情報が有する渋滞の程度を示す情報、及び道路種別の少なくともいずれかによって重み付けを行う。これにより、渋滞の程度(例えば混雑や渋滞)や道路種別を考慮に入れて、各エリアの渋滞レベルを判定することができる。
【0017】
上記の地図表示装置の他の一態様では、前記渋滞レベル判定手段は、高速道路の前記渋滞情報を用いずに、一般道路の前記渋滞情報のみを用いて前記渋滞レベルを判定し、前記表示態様決定手段は、前記渋滞レベル判定手段によって判定された前記渋滞レベルに応じて、前記エリアごとの地図の表示態様を決定し、前記表示制御手段は、前記表示態様決定手段によって決定された前記エリアごとの前記表示態様に従って地図を表示すると共に、前記高速道路については前記渋滞情報に応じたラインを表示する。
【0018】
この態様では、エリアごとの渋滞レベルに応じた表示態様で地図を表示すると共に、高速道路については渋滞ラインを表示する。こうしているのは、高速道路の渋滞は、地域における渋滞とは関連がない場合が多いからである。上記の地図表示装置によれば、高速道路についてはリンク毎に渋滞が発生していることを示す情報を表示するため、地図の視認性と渋滞情報についての実用性とを両立させることができる。
【0019】
上記の地図表示装置の他の一態様では、前記渋滞レベル判定手段は、地図の縮尺が広域になると非表示になる道路がある場合、前記非表示になる道路の前記渋滞情報を少なくとも用いて前記渋滞レベルを判定し、前記表示態様決定手段は、前記渋滞レベル判定手段によって判定された前記渋滞レベルに応じて、前記エリアごとの地図の表示態様を決定し、前記表示制御手段は、前記表示態様決定手段によって決定された前記エリアごとの前記表示態様に従って地図を表示すると共に、地図の縮尺が広域になっても表示されている道路については前記渋滞情報に応じたラインを表示する。
【0020】
この態様では、地図の縮尺が広域になると非表示になる道路がある場合に、エリアごとの渋滞レベルに応じた表示態様で地図を表示すると共に、地図の縮尺が広域になっても表示されている道路については渋滞ラインを表示する。これにより、地図の縮尺が広域になっても表示されている道路については、リンク毎に渋滞が発生していることを示す情報を表示するため、地図の視認性と渋滞情報についての実用性とを両立させることができる。
【0021】
上記の地図表示装置において好適には、前記表示態様決定手段は、前記渋滞レベルに応じて、前記エリアごとに用いる色を決定し、前記表示制御手段は、前記表示態様決定手段によって決定された色を前記エリアごとに地図に重ねて表示することができる。
【0022】
また、上記の地図表示装置において好適には、地図に表示する地域に応じて、地図を区切るための前記エリアのサイズを設定するエリアサイズ設定手段を更に備え、前記エリアサイズ設定手段は、都市部の地図に用いる前記エリアのサイズを、郊外の地図に用いる前記エリアのサイズよりも小さく設定し、前記渋滞レベル判定手段、前記表示態様決定手段、及び前記表示制御手段は、前記エリアサイズ設定手段が設定した前記エリアを用いる。こうするのは、都市部では、小さいサイズのエリアを用いて渋滞レベルの判定を行ったほうが、当該判定の利便性が高いと言えるからである。逆に、郊外では、大きいサイズのエリアを用いたほうが、判定などの処理を簡略化することができるからである。
【0023】
また、上記の地図表示装置において好適には、表示する地図の地図情報のデータ量に応じて、地図を区切るための前記エリアのサイズを設定するエリアサイズ設定手段を更に備え、前記エリアサイズ設定手段は、前記地図情報のデータ量が大きい地域ほど、地図に用いる前記エリアのサイズを小さく設定し、前記渋滞レベル判定手段、前記表示態様決定手段、及び前記表示制御手段は、前記エリアサイズ設定手段が設定した前記エリアを用いる。こうするのは、地図情報のデータ量が大きい地域では情報が密集していると言えるため、小さいサイズのエリアを用いて渋滞レベルの判定を行ったほうが、当該判定の利便性が高いと言えるからである。逆に、地図情報のデータ量が小さい地域では情報が散在していると言えるため、大きいサイズのエリアを用いたほうが、判定などの処理を簡略化することができるからである。このように地図情報のデータ量に応じてエリアのサイズを設定した場合、判断対象のエリアに対応する地図情報のデータ量を、地域に依らずに概ね一定にすることができる。
【0024】
本発明の他の観点では、表示画面上に地図を表示させる装置によって実行される地図表示方法は、渋滞情報を取得する渋滞情報取得工程と、所定のサイズを有する複数のエリアで区切られた地図において、前記渋滞情報取得工程で取得された前記渋滞情報に基づいて、前記エリアごとに渋滞レベルを判定する渋滞レベル判定工程と、前記渋滞レベル判定工程で判定された前記渋滞レベルに応じて、前記エリアごとの地図の表示態様を決定する表示態様決定工程と、前記表示態様決定工程で決定された前記エリアごとの前記表示態様に従って前記地図を表示する表示制御手段と、を備える。
【0025】
本発明の更に他の観点では、コンピュータを備え、表示画面上に地図を表示させる装置によって実行される地図表示プログラムは、前記コンピュータを、渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段、所定のサイズを有する複数のエリアで区切られた地図において、前記渋滞情報取得手段によって取得された前記渋滞情報に基づいて、前記エリアごとに渋滞レベルを判定する渋滞レベル判定手段、前記渋滞レベル判定手段によって判定された前記渋滞レベルに応じて、前記エリアごとの地図の表示態様を決定する表示態様決定手段、前記表示態様決定手段によって決定された前記エリアごとの前記表示態様に従って前記地図を表示する表示制御手段、として機能させる。
【0026】
上記の地図表示方法及び地図表示プログラムによっても、従来のようにリンク単位で渋滞情報を表示せずに、エリア単位で渋滞情報を表示することで、地図の視認性を確保することができる。
【実施例】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。なお、以下の説明は、本発明を車両用のナビゲーション装置に適用した例を示す。
【0028】
[ナビゲーション装置]
図1に、ナビゲーション装置1の構成を示す。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50、及び入力装置60を備える。
【0029】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備え、自立測位センサとして機能する。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0030】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0031】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。
【0032】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0033】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0034】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
【0035】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図情報や施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶するユニットである。データ記憶ユニット36は、地図情報が記憶された地図データベースを有する。
【0036】
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICSセンタなどのサーバから配信される情報を取得する。
【0037】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図情報を読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図情報などを表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、画像表示部として機能し、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0038】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、又はBD−ROM、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0039】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0040】
[機能構成]
次に、図2を参照して、上記したシステムコントローラ20の機能構成について説明する。
【0041】
本実施例では、システムコントローラ20は、所定のサイズを有する複数のエリアによって分割された地図において、エリア単位で渋滞が発生していることを示す情報を表示する処理を行う。具体的には、システムコントローラ20は、エリアごとの渋滞レベルに応じた色を配色して地図を表示する処理を行う。つまり、従来の技術では、渋滞区間を示すライン(以下では「渋滞ライン」と呼ぶ。渋滞ラインは線分だけでなく矢印も含むものとする。)をリンク毎に道路に沿って表示していたが、本実施例では、このようなリンク単位の渋滞ラインを地図に表示せずに、エリア単位で渋滞が発生していることを示す情報を表示する。なお、システムコントローラ20は、地図表示装置の一例に相当する。
【0042】
図2に示すように、システムコントローラ20は、渋滞情報取得部20aと、渋滞レベル判定部20bと、配色決定部20cと、表示制御部20dと、を備える。
【0043】
渋滞情報取得部20aは、渋滞が発生しているリンクなどを示す渋滞情報を取得する。この場合、渋滞情報取得部20aは、VICSセンタやプローブシステムのサーバ等から通信装置38が受信した渋滞情報を、通信用インタフェース37を介して取得する。渋滞情報には、例えば「順調」や「混雑」や「渋滞」といったリンクごとの交通状況を示す情報も含まれる。「渋滞」とは、平均速度が例えば10[km/h]以下である交通状況に相当し、「混雑」とは、平均速度が例えば10〜20[km/h]程度である交通状況に相当し、「順調」とは、平均速度が例えば20[km/h]以上である交通状況に相当する。このような渋滞情報取得部20aは、渋滞情報取得手段の一例に相当する。
【0044】
渋滞レベル判定部20bは、所定のサイズを有する複数のエリアで区切られた地図において、渋滞情報取得部20aが取得した渋滞情報に基づいて、エリアごとに渋滞レベルを判定する、即ちエリアごとに渋滞の度合いを判定する。具体的には、渋滞レベル判定部20bは、エリア内の全道路区間に対して渋滞区間が占める割合に応じて、エリアごとに渋滞レベルを判定する。渋滞レベルを判定する場合に用いる「渋滞区間」は、渋滞の程度が「混雑」及び「渋滞」である道路の区間を意味するものとする(以下同様とする)。この場合、渋滞レベル判定部20bは、データ記憶ユニット36内の地図データベース36aに記憶された地図情報を参照することで、道路の距離や道路種別などの情報を取得して、エリアごとに渋滞レベルを判定する。このような渋滞レベル判定部20bは、渋滞レベル判定手段の一例に相当する。
【0045】
配色決定部20cは、渋滞レベル判定部20bが判定したエリアごとの渋滞レベルに応じて、地図のエリアごとに用いる色を決定する。例えば、配色決定部20cは、予め渋滞レベルに対して色が対応付けられたテーブルなどを参照することで、エリアごとに用いる色を決定する。このような配色決定部20cは、表示態様決定手段の一例に相当する。
【0046】
表示制御部20dは、配色決定部20cがエリアごとに決定した色に従って、エリアごとに渋滞が発生していることを示す情報を表示するための制御を行う。この場合、表示制御部20dは、表示ユニット40に対して制御を行う。具体的には、表示制御部20dは、地図データベース36aを参照することで地図情報に対応する画像(以下、「地図画像」と呼ぶ。)を表示すると共に、配色決定部20cがエリアごとに決定した色を、エリアごとに地図画像に重ねて表示する制御を行う。言い換えると、表示制御部20dは、エリアごとに決定された色を、通常の地図画像に対して重畳して表示する制御を行う。このような表示制御部20dは、表示制御手段の一例に相当する。
【0047】
[渋滞レベル判定方法]
次に、本実施例における渋滞レベル判定方法について説明する。本実施例では、システムコントローラ20内の渋滞レベル判定部20bが、所定のサイズを有する複数のエリアで区切られた地図において、渋滞情報に基づいてエリアごとに渋滞レベルを判定する。基本的には、渋滞レベル判定部20bは、エリア内の全道路区間に対して渋滞区間が占める割合を求め、当該割合をエリアごとの渋滞レベルとして用いる。具体的には、渋滞レベル判定部20bは、1つのエリア内における全道路の総距離に対して、渋滞の程度が「混雑」及び「渋滞」である道路の総距離が占める割合を求める。
【0048】
また、渋滞レベル判定部20bは、上記のような割合を求める場合に、「混雑」及び「渋滞」といった渋滞の程度、及び、「幹線道路」及び「細街路」といった道路種別の一方又は両方によって重み付けを行うことができる。具体的には、渋滞レベル判定部20bは、渋滞の程度が「渋滞」である道路の距離を「混雑」である道路の距離よりも重みを大きくしたり、幹線道路の距離を細街路の距離よりも重みを大きくしたりして、エリア内の全道路区間に対して渋滞区間が占める割合を求める。つまり、渋滞の程度が「渋滞」である道路及び/又は幹線道路における実際の距離を重み付けによって大きくした距離を、エリア内の全道路区間及び/又は渋滞区間の距離に対して用いることで、このような割合を求める。なお、「混雑」及び「渋滞」といった渋滞の程度は、渋滞情報に含まれる情報であり、幹線道路及び細街路といった道路種別は、地図データベース36aが記憶している地図情報が有する情報である。
【0049】
以下では、重み付けを行わずに渋滞レベルを判定する方法を「第1判定方法」と呼ぶ。また、渋滞の程度によって重み付けして渋滞レベルを判定する方法を「第2判定方法」と呼ぶ。また、道路種別によって重み付けして渋滞レベルを判定する方法を「第3判定方法」と呼ぶ。また、渋滞の程度及び道路種別の両方によって重み付けして渋滞レベルを判定する方法を「第4判定方法」と呼ぶ。渋滞レベル判定部20bは、第1乃至第4判定方法のうちのいずれかの方法によって渋滞レベルを求める。
【0050】
図3を参照して、本実施例における渋滞レベル判定方法の具体例及び渋滞レベルに応じた配色例を説明する。図3(a)は、渋滞レベル判定方法の具体例を説明するための図を示す。ここでは、1つのエリア内に全区間の距離が500[m]である道路が存在する場合を考える。当該道路は、300[m]の幹線道路と200[m]の細街路とによって構成される。また、全区間において交通状況が「渋滞」である道路の総距離は150[m]であり、そのうちの120[m]は幹線道路であり、残りの30[m]は細街路である。更に、全区間において交通状況が「混雑」である道路の総距離は110[m]であり、そのうちの100[m]は幹線道路であり、残りの10[m]は細街路である。加えて、全区間において交通状況が「順調」である道路の総距離は240[m]であり、そのうちの80[m]は幹線道路であり、残りの160[m]は細街路である。
【0051】
まず、第1判定方法の具体例について説明する。つまり、渋滞レベル判定部20bが、上記したような重み付けを行わずに渋滞レベルを求める例を説明する。この場合、渋滞の程度が「混雑」及び「渋滞」である区間の総距離が全区間の総距離に対して占める割合が、渋滞レベルとして求められる。具体的には、式(1)に示すような渋滞レベルが求められる。
(150+110)/500=0.52 式(1)
次に、第2判定方法の具体例について説明する。つまり、渋滞レベル判定部20bが、渋滞の程度が「渋滞」である道路を重み付けして、渋滞レベルを求める例を説明する。ここでは、重み付けするための係数として「1.5」を用いる場合を例に挙げる。この場合、渋滞の程度が「渋滞」である区間の距離を重み付けした距離と渋滞の程度が「混雑」である区間の距離とを加算した距離が、全区間の距離に対して占める割合が、渋滞レベルとして求められる。具体的には、式(2)に示すような渋滞レベルが求められる。
{(150×1.5)+110}/500=0.67 式(2)
次に、第3判定方法の具体例について説明する。つまり、渋滞レベル判定部20bが、幹線道路を重み付けして、渋滞レベルを求める例を説明する。ここでは、重み付けするための係数として「1.5」を用いる場合を例に挙げる。この場合、渋滞の程度が「混雑」及び「渋滞」である幹線道路の距離を重み付けした距離と渋滞の程度が「混雑」及び「渋滞」である細街路の距離とを加算した距離が、幹線道路の距離を重み付けした距離と細街路の距離とを加算した距離に対して占める割合が、渋滞レベルとして求められる。具体的には、式(3)に示すような渋滞レベルが求められる。
{(220×1.5)+40}/(300×1.5+200)
=0.57 式(3)
次に、第4判定方法の具体例について説明する。つまり、渋滞レベル判定部20bが、渋滞の程度が「渋滞」である道路及び幹線道路を重み付けして、渋滞レベルを求める例を説明する。ここでは、重み付けするための係数として「1.5」を用いる場合を例に挙げる。この場合、渋滞の程度が「渋滞」である幹線道路の距離を重み付けした距離と渋滞の程度が「混雑」である幹線道路の距離とを加算した距離を重み付けすることで得られた距離、渋滞の程度が「渋滞」である細街路の距離を重み付けした距離、及び渋滞の程度が「混雑」である細街路の距離を加算した距離が、幹線道路の距離を重み付けした距離と細街路の距離とを加算した距離に対して占める割合が、渋滞レベルとして求められる。具体的には、式(4)に示すような渋滞レベルが求められる。
[{(120×1.5)+100}×1.5+(30×1.5)+10]
/(300×1.5+200)=0.73 式(4)
次に、図3(b)は渋滞レベルに応じた配色例を示している。ここでは、渋滞レベルに応じた5段階の色を用いる例を挙げている。なお、図3(b)では、説明の便宜上、ドットパターンを用いて、ドットの密度によって色を表現しているが、実際には、渋滞レベルに応じた色が用いられるものとする(以下の図4及び図5も同様とする)。1つの例では、渋滞レベルが大きくなるにつれて、橙から赤へ段階的に変化するような色が用いられる。他の例では、渋滞レベルに応じて濃淡が段階的に変化するような所定の色が用いられる。
【0052】
前述した配色決定部20cは、図3(b)に示すような渋滞レベルと色との対応関係に従って、渋滞レベル判定部20bが判定した渋滞レベルに応じて、エリアごとに用いる色を決定する。
【0053】
なお、基本的には、渋滞レベル判定部20bは、画面に表示されている地図について、エリアごとに渋滞レベルを判定し、配色決定部20cは、画面に表示されている地図について、エリアごとに用いる色を決定する。他の例では、渋滞レベル判定部20bは、画面に表示されている地図を含み、当該地図よりも広い範囲の所定サイズの地図について、渋滞レベルを判定しても良く、また、配色決定部20cは、画面に表示されている地図を含み、当該地図よりも広い範囲の所定サイズの地図について、エリアごとに用いる色を決定しても良い。
【0054】
[表示画面例]
次に、本実施例によって表示される画面の具体例について説明する。
【0055】
図4は、本実施例による表示画面例を示す。ここでは、比較のために、従来の方法(以下では「比較例」と呼ぶ。)によって渋滞情報を表示した場合も例示する。比較例では、渋滞情報を受信した場合に、渋滞区間を示す渋滞ラインをリンク毎に道路に沿って表示する。
【0056】
図4(a)は、比較例による表示画面例を示している。図4(a)に示すように、比較例による表示画面では、リンク毎に渋滞ライン(矢印で示す)が道路に沿って表示されている。これより、渋滞ラインが密集して多数表示されていることにより、地図の視認性が悪化していると言える。
【0057】
図4(b)は、本実施例による表示画面例を示している。図4(b)に示すように、本実施例による表示画面では、リンク単位の渋滞ラインが表示されずに、エリア単位で渋滞が発生していることを示す情報が表示されている。具体的には、本実施例による表示画面では、エリアごとの渋滞レベルに応じて決定された色が、エリアごとに通常の地図画像に対して重ねて表示されている。詳しくは、地図情報における道路や文字などに対応する画像が視認できるように、透過性を有する半透明の色が地図画像に重ねて表示されている。
【0058】
このように本実施例による表示画面では、比較例のような渋滞ラインが表示されないので、渋滞ラインが密集して表示されることがないため、渋滞情報量が増加しても地図の視認性を確保することができる。また、本実施例による表示画面によれば、エリア単位で渋滞が発生していることを示す情報が表示されるため、おおよその渋滞度合いを適切に把握することができる。したがって、本実施例によれば、渋滞度合いを示す情報を適切に表示しつつ、地図の視認性を確保することができる。
【0059】
ここで、地図を区切るために用いられるエリアのサイズについて説明する。なお、当該エリアは、前述したように、システムコントローラ20内の渋滞レベル判定部20b、配色決定部20c、及び表示制御部20dによって用いられる。
【0060】
1つの例では、予め定めたサイズを、エリアのサイズとして用いることができる。つまり、エリアのサイズを固定することができる。
【0061】
他の例では、地図に表示する地域に応じて、エリアのサイズを変更することができる。具体的には、都市部の地図に用いるエリアのサイズを、郊外の地図に用いるエリアのサイズよりも小さく設定することができる。この場合、システムコントローラ20が、地図データベース36aに記憶された地図情報を参照して、表示すべき地図が都市部及び郊外のいずれであるかを判定し、当該判定結果に応じてエリアのサイズを設定する。例えば、都市部及び郊外のそれぞれに対して用いるエリアのサイズを予め定めておき、システムコントローラ20は、このように定められたエリアのサイズを用いることができる。なお、システムコントローラ20はエリアサイズ設定手段の一例に相当する。
【0062】
上記のようにエリアのサイズを変更するのは、都市部では、小さいサイズのエリアを用いて渋滞レベルの判定を行ったほうが、大きいサイズを用いるよりも、当該判定の利便性が高いと言えるからである。つまり、渋滞している場所が分かり易いからである。逆に、郊外では、大きいサイズのエリアを用いたほうが、小さいサイズを用いるよりも、判定などの処理を簡略化することができるからである。
【0063】
更に他の例では、表示する地図における地図情報のデータ量に応じて、エリアのサイズを変更することができる。具体的には、地図情報のデータ量が大きい地域ほど、地図に用いるエリアのサイズを小さく設定することができる。言い換えると、地図情報のデータ量が小さい地域ほど、地図に用いるエリアのサイズを大きく設定することができる。この場合、システムコントローラ20が、地図データベース36aを参照することで、表示する地図の地図情報のデータ量を得て、当該地図情報のデータ量に応じてエリアのサイズを設定する。例えば、地図情報のデータ量とエリアのサイズとを対応付けたテーブルなどを予め作成しておき、システムコントローラ20は、このようなテーブルを参照することで、地図情報のデータ量に対応するエリアのサイズを設定する。なお、システムコントローラ20はエリアサイズ設定手段の一例に相当する。
【0064】
上記のようにエリアのサイズを変更するのは、地図情報のデータ量が大きい地域では情報が密集していると言えるため、小さいサイズのエリアを用いて渋滞レベルの判定を行ったほうが、大きいサイズを用いるよりも、当該判定の利便性が高いと言えるからである。つまり、渋滞している場所が分かり易いからである。逆に、地図情報のデータ量が小さい地域では情報が散在していると言えるため、大きいサイズのエリアを用いたほうが、小さいサイズを用いるよりも、判定などの処理を簡略化することができるからである。このように地図情報のデータ量に応じてエリアのサイズを設定した場合、判断対象のエリアに対応する地図情報のデータ量は、地域に依らずに概ね一定になる。
【0065】
図5は、上記のような方法によってエリアのサイズを変更した場合の表示画面例を示す。図5(a)は、地図に用いるエリアのサイズを小さく設定した場合の表示画面例を示している。表示する地図の地域が都市部である場合、若しくは表示する地図の地図情報のデータ量が大きい場合に、このようにエリアのサイズが小さく設定される。図5(b)は、地図に用いるエリアのサイズを大きく設定した場合の表示画面例を示している。表示する地図の地域が郊外である場合、若しくは表示する地図の地図情報のデータ量が小さい場合に、このようにエリアのサイズが大きく設定される。
【0066】
[表示制御フロー]
次に、図6を参照して、本実施例に係る表示制御フローについて説明する。当該フローにおける処理は、システムコントローラ20によって所定の周期で繰り返し実行される。
【0067】
まず、ステップS101では、システムコントローラ20内の渋滞情報取得部20aが、通信用インタフェース37を介して、通信装置38から渋滞情報を取得する。この場合、渋滞情報取得部20aは、VICSセンタやプローブシステムのサーバ等から通信装置38が受信した渋滞情報を取得する。そして、処理はステップS102に進む。
【0068】
ステップS102では、システムコントローラ20内の渋滞レベル判定部20bが、複数のエリアで区切られた地図において、ステップS101で取得された渋滞情報に基づいて、エリアごとに渋滞レベルを判定する。渋滞レベル判定部20bは、例えば画面に表示されている地図内の各エリアについて渋滞レベルを判定する。基本的には、渋滞レベル判定部20bは、1つのエリア内の全道路区間に対して渋滞区間が占める割合を求め、当該割合をエリアごとの渋滞レベルとする。この場合、渋滞レベル判定部20bは、前述した第1乃至第4判定方法のいずれかの方法によって、渋滞レベルを求める。また、渋滞レベル判定部20bは、判定に用いるエリアのサイズとして、予め定められたサイズ(固定値)、地域に応じて設定されたサイズ、及び地図情報のデータ量に応じて設定されたサイズのいずれかを用いる。そして、処理はステップS103に進む。
【0069】
ステップS103では、システムコントローラ20内の配色決定部20cが、ステップS102で判定されたエリアごとの渋滞レベルに応じて、エリアごとに用いる色を決定する。例えば、配色決定部20cは、予め渋滞レベルに対して色が対応付けられたテーブル(図3(b))を参照することで、エリアごとに用いる色を決定する。そして、処理はステップS104に進む。
【0070】
ステップS104では、システムコントローラ20内の表示制御部20dが、ステップS103で決定された色に従って、エリア単位で渋滞が発生していることを示す情報を表示する制御を行う。具体的には、表示制御部20dは、配色決定部20cがエリアごとに決定した色を、エリアごとに通常の地図画像に対して重ねて表示する制御を行う。詳しくは、表示制御部20dは、地図情報における道路や文字などに対応する画像が視認できるように、透過性を有する半透明の色を地図画像に重ねて表示する。そして、処理は終了する。
【0071】
以上説明した処理によれば、おおよその渋滞度合いを示す情報を適切に表示しつつ、地図の視認性を確保することができる。
【0072】
[変形例]
以下で、本発明の変形例について説明する。
【0073】
(変形例1)
上記では、渋滞ラインを表示せずに、エリアごとの渋滞レベルに応じた色を地図に配色して表示する実施例を示した。変形例1では、エリアごとの渋滞レベルに応じた色を地図に配色して表示すると共に、高速道路については通常の渋滞ラインを表示する点で、上記した実施例と異なる。こうするのは、高速道路の渋滞は、地域における渋滞とは関連がない場合が多いからである。
【0074】
具体的には、変形例1では、高速道路の渋滞情報を用いずに、一般道路(高速道路以外の道路を意味するものとする)の渋滞情報のみを用いて、エリアごとに渋滞レベルを判定する。そして、変形例1では、渋滞レベルに応じた色をエリアごとに地図画像に重ねて表示すると共に、地図の中に高速道路が存在する場合に、高速道路については渋滞ラインを表示する。具体的には、渋滞区間に応じたライン(矢印も含む)をリンク毎に高速道路に沿って表示する。詳しくは、渋滞の程度が「渋滞」である区間に応じた渋滞ラインを、高速道路に沿って表示する。この場合、渋滞の程度が「混雑」である区間に応じた渋滞ラインを表示しても良い。なお、地図の中に高速道路が存在しない場合には、渋滞ラインを表示しない。
【0075】
このような変形例1によれば、高速道路についてはリンク毎に渋滞が発生していることを示す情報を表示するため、つまり通常の渋滞ラインをそのまま表示するため、地図の視認性と渋滞情報についての実用性とを両立させることができる。
【0076】
(変形例2)
変形例2では、地図の縮尺が広域になると非表示になる道路(以下、「非表示道路」と呼ぶ。)がある場合に、エリアごとの渋滞レベルに応じた色を地図に配色して表示すると共に、地図の縮尺が広域になっても表示されている道路(以下、「表示道路」と呼ぶ。)については通常の渋滞ラインを表示する点で、上記した実施例及び変形例1と異なる。変形例2は、地図の縮尺が広域になるにつれて細い道路から順に非表示になるような場合に適用される。
【0077】
具体的には、変形例2では、非表示道路の渋滞情報のみを用いて渋滞レベルを判定する、若しくは、非表示道路及び表示道路の両方の渋滞情報を用いて渋滞レベルを判定する。そして、変形例2では、渋滞レベルに応じた色をエリアごとに地図画像に重ねて表示すると共に、表示道路については渋滞ラインを表示する。この場合、渋滞区間に応じたライン(矢印も含む)をリンク毎に表示道路に沿って表示する。詳しくは、渋滞の程度が「渋滞」である区間に応じた渋滞ラインを、表示道路に沿って表示する。この場合、渋滞の程度が「混雑」である区間に応じた渋滞ラインを表示しても良い。
【0078】
このような変形例2によれば、地図の縮尺が広域になっても表示されている道路については、リンク毎に渋滞が発生していることを示す情報を表示するため、つまり通常の渋滞ラインをそのまま表示するため、地図の視認性と渋滞情報についての実用性とを両立させることができる。
【0079】
なお、変形例1と変形例2とを組み合わせても良い。つまり、エリアごとの渋滞レベルに応じた色を地図に配色して表示すると共に、高速道路及び表示道路については渋滞ラインを表示することとしても良い。この場合、例えば、高速道路及び表示道路の渋滞情報を用いずに、非表示道路の渋滞情報のみを用いて渋滞レベルを判定することができる。
【0080】
(変形例3)
上記では、エリア単位で渋滞情報を表示する方法として、エリアごとの渋滞レベルに応じた色を地図に配色して表示する例を示したが、渋滞レベルに応じた色を用いることに限定はされない。つまり、渋滞レベルを色で表現することに限定はされない。言い換えると、渋滞レベルに応じて表示態様を変化させる場合に、色を変化させることで表示態様を変化させることに限定はされない。
【0081】
他の例では、色を用いる代わりに、テクスチャのパターンなどを用いて渋滞レベルを表現することができる。一例としては、ドットパターンを用いて、ドットの密度によって渋滞レベルを表現することができる。
【0082】
(変形例4)
本発明の適用は、ナビゲーション装置に限定されない。本発明は、例えば携帯電話などの端末装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 ナビゲーション装置
20 システムコントローラ
20a 渋滞情報取得部
20b 渋滞レベル判定部
20c 配色決定部
20d 表示制御部
36 データ記憶ユニット
37 通信用インタフェース
38 通信装置
40 表示ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面上に地図を表示させる地図表示装置であって、
渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段と、
所定のサイズを有する複数のエリアで区切られた地図において、前記渋滞情報取得手段によって取得された前記渋滞情報に基づいて、前記エリアごとに渋滞レベルを判定する渋滞レベル判定手段と、
前記渋滞レベル判定手段によって判定された前記渋滞レベルに応じて、前記エリアごとの地図の表示態様を決定する表示態様決定手段と、
前記表示態様決定手段によって決定された前記エリアごとの前記表示態様に従って前記地図を表示する表示制御手段と、を備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記渋滞レベル判定手段は、前記渋滞情報に基づいて、前記エリア内の全道路区間に対して渋滞区間が占める割合を求め、当該割合に応じて前記渋滞レベルを判定することを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記渋滞レベル判定手段は、前記割合を求める場合に、前記渋滞情報が有する渋滞の程度を示す情報、及び道路種別の少なくともいずれかによって重み付けを行うことを特徴とする請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記渋滞レベル判定手段は、高速道路の前記渋滞情報を用いずに、一般道路の前記渋滞情報のみを用いて前記渋滞レベルを判定し、
前記表示態様決定手段は、前記渋滞レベル判定手段によって判定された前記渋滞レベルに応じて、前記エリアごとの地図の表示態様を決定し、
前記表示制御手段は、前記表示態様決定手段によって決定された前記エリアごとの前記表示態様に従って地図を表示すると共に、前記高速道路については前記渋滞情報に応じたラインを表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記渋滞レベル判定手段は、地図の縮尺が広域になると非表示になる道路がある場合、前記非表示になる道路の前記渋滞情報を少なくとも用いて前記渋滞レベルを判定し、
前記表示態様決定手段は、前記渋滞レベル判定手段によって判定された前記渋滞レベルに応じて、前記エリアごとの地図の表示態様を決定し、
前記表示制御手段は、前記表示態様決定手段によって決定された前記エリアごとの前記表示態様に従って地図を表示すると共に、地図の縮尺が広域になっても表示されている道路については前記渋滞情報に応じたラインを表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の地図表示装置。
【請求項6】
前記表示態様決定手段は、前記渋滞レベルに応じて、前記エリアごとに用いる色を決定し、
前記表示制御手段は、前記表示態様決定手段によって決定された色を前記エリアごとに地図に重ねて表示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の地図表示装置。
【請求項7】
地図に表示する地域に応じて、地図を区切るための前記エリアのサイズを設定するエリアサイズ設定手段を更に備え、
前記エリアサイズ設定手段は、都市部の地図に用いる前記エリアのサイズを、郊外の地図に用いる前記エリアのサイズよりも小さく設定し、
前記渋滞レベル判定手段、前記表示態様決定手段、及び前記表示制御手段は、前記エリアサイズ設定手段が設定した前記エリアを用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の地図表示装置。
【請求項8】
表示する地図の地図情報のデータ量に応じて、地図を区切るための前記エリアのサイズを設定するエリアサイズ設定手段を更に備え、
前記エリアサイズ設定手段は、前記地図情報のデータ量が大きい地域ほど、地図に用いる前記エリアのサイズを小さく設定し、
前記渋滞レベル判定手段、前記表示態様決定手段、及び前記表示制御手段は、前記エリアサイズ設定手段が設定した前記エリアを用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の地図表示装置。
【請求項9】
表示画面上に地図を表示させる装置によって実行される地図表示方法であって、
渋滞情報を取得する渋滞情報取得工程と、
所定のサイズを有する複数のエリアで区切られた地図において、前記渋滞情報取得工程で取得された前記渋滞情報に基づいて、前記エリアごとに渋滞レベルを判定する渋滞レベル判定工程と、
前記渋滞レベル判定工程で判定された前記渋滞レベルに応じて、前記エリアごとの地図の表示態様を決定する表示態様決定工程と、
前記表示態様決定工程で決定された前記エリアごとの前記表示態様に従って前記地図を表示する表示制御手段と、を備えることを特徴とする地図表示方法。
【請求項10】
コンピュータを備え、表示画面上に地図を表示させる装置によって実行される地図表示プログラムであって、
前記コンピュータを、
渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段、
所定のサイズを有する複数のエリアで区切られた地図において、前記渋滞情報取得手段によって取得された前記渋滞情報に基づいて、前記エリアごとに渋滞レベルを判定する渋滞レベル判定手段、
前記渋滞レベル判定手段によって判定された前記渋滞レベルに応じて、前記エリアごとの地図の表示態様を決定する表示態様決定手段、
前記表示態様決定手段によって決定された前記エリアごとの前記表示態様に従って前記地図を表示する表示制御手段、として機能させることを特徴とする地図表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−179852(P2011−179852A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41939(P2010−41939)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】