基板の実装構造および液滴吐出ヘッド
【課題】電気的接合不良の発生を防止でき、信頼性の高い接合構造が安定して得られるフレキシブル回路基板の実装構造を提供する。
【解決手段】本発明のフレキシブル回路基板の実装構造は、フレキシブル回路基板27が配線71の延在方向と交差する方向に折り曲げられ、折り曲げられた箇所よりも基板先端側にあたる基板折曲部27Aの各配線71と流路形成基板22の各端子74とが対向配置された状態で、流路形成基板22とフレキシブル回路基板27とがNCP79により接着され、流路形成基板22の端子74のうち、配線71と直接接触する接合部75の延在方向の寸法L1が、フレキシブル回路基板27の基板折曲部27Aにおける配線71の延在方向の寸法L2よりも小さい。
【解決手段】本発明のフレキシブル回路基板の実装構造は、フレキシブル回路基板27が配線71の延在方向と交差する方向に折り曲げられ、折り曲げられた箇所よりも基板先端側にあたる基板折曲部27Aの各配線71と流路形成基板22の各端子74とが対向配置された状態で、流路形成基板22とフレキシブル回路基板27とがNCP79により接着され、流路形成基板22の端子74のうち、配線71と直接接触する接合部75の延在方向の寸法L1が、フレキシブル回路基板27の基板折曲部27Aにおける配線71の延在方向の寸法L2よりも小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の実装構造、およびこの実装構造を備えた液滴吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロデバイスを製造する方法の一つとして液滴吐出法(インクジェット法)が提案されている。この液滴吐出法は、デバイスを形成するための材料を含む流体を液滴状にして、液滴吐出ヘッドから吐出する方法である。インクジェット方式の液滴吐出ヘッドには、流体を吐出する圧力を生成する圧電素子等の駆動素子が備えられており、この駆動素子に外部の回路基板から駆動信号が供給される構成となっている。したがって、液滴吐出ヘッドは、ヘッド本体に回路基板が実装された構成を有している。例えば、特許文献1には、ワイヤーボンディング技術を用いて半導体チップの上面に設けられた端子と回路基板上の端子とを電気的に配線接続する一般的な技術が開示されている。また、特許文献2には、駆動素子(圧電素子)が駆動デバイス(ドライバーIC)にワイヤーボンディングで接続された液滴吐出ヘッドが開示されている。
【0003】
近年、液滴吐出法を用いてマイクロデバイスを製造する際、マイクロデバイスの更なる微細化の要求に応えるために、アウターリードとして機能する配線パターンを予め形成したフレキシブル回路基板を用いて、アウターリードボンディング(OLB:Outer Lead Bonding)接続を行う方法が提案されている。この方法によれば、ワイヤー同士の電気的短絡等の不都合を生じさせることなく、駆動素子と駆動回路部(ドライバーIC)との間の電気的接続を行うことができる(下記の特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−9235号公報
【特許文献2】特開2003−159800号公報
【特許文献3】特開2000−68989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、圧電素子等の駆動素子が形成された素子基板にフレキシブル回路基板を実装する方法として、駆動素子の各端子とフレキシブル回路基板の各配線とを異方性導電性接着材(Anisotropic Conductive Paste,以下、ACPと略記する)を介して電気的に接続する方法が知られている。微細な導電性粒子を樹脂中に含んだACPの使用により、隣接する端子間での電気的短絡を生じさせることなく、各端子と各配線とを電気的に接続することができる。しかしながら、液滴吐出ヘッドの小型化や高解像度化に伴って、隣接する駆動素子間の間隔が狭くなると端子間の距離が短くなり、ACPを用いたとしても、隣接する端子間で電気的短絡が生じる虞があった。そこで、ACPに代えて、非導電性接着材(Non-Conductive Paste,以下、NCPと略記する)を用いたフレキシブル回路基板の実装方法が検討されている。
【0006】
ACPを用いた実装構造では、駆動素子の各端子とフレキシブル回路基板の各配線との間に導電性粒子が介在しているのに対し、NCPを用いた実装構造では、駆動素子の端子とフレキシブル回路基板の配線とを直接圧着して電気的接続を図るとともに、両者を樹脂接着材で固定している。したがって、実装プロセスでは、素子基板の端子上にNCPを塗布した後、その上にフレキシブル回路基板を配置した状態で圧着ツールを用いて荷重を加え、各端子と各配線との接合面からNCPを排除しつつ各端子と各配線とを圧着する必要がある。これにより、各端子と各配線とが直接接触した状態で接合され、排除されたNCPによって各端子と各配線とが接合面の周囲で固定される。
【0007】
しかしながら、従来の実装プロセスでは、圧着ツールによって接合面に加えられる圧力が不十分となる場合があり、接合面にNCP(絶縁性樹脂)が残りやすく、接合不良が生じる虞があった。したがって、特に微細パターンを有するフレキシブル回路基板を実装する際に、電気的接続の信頼性の高い製品を安定して製造するのが難しいという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電気的接合不良の発生を防止でき、信頼性の高い接合構造が安定して得られる基板の実装構造を提供することを目的とする。また、このような実装構造を備えることで、高品質の液滴吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の基板の実装構造は、第1面を有し、第1方向に延在する端子が前記第1面に設けられた第1基板と、前記第1面に対向する対向面を有し、前記第1方向に延在する配線が前記対向面に設けられた第2基板と、前記第1面と前記対向面との間に設けられ、前記端子と前記配線とが対向して直接接触した状態で前記第1基板と前記第2基板とを接着する非導電性接着材と、を備え、前記端子における前記配線と直接接触する接合部の前記第1方向の長さは、前記対向面における前記配線の前記第1方向の長さよりも短いことを特徴とする。
【0010】
従来の実装構造においては、所定の方向に延在する端子と配線との接合部における延在方向の寸法が同一であり、端子と配線との双方が延在方向の全体にわたって接触した状態で接合されていた。したがって、実装プロセスにおいて圧着ツール等を用いて接合部に荷重を加えても、端子と配線との接合面積が大きいために圧力が分散され、十分な荷重が接合面全体に均一に加わらない場合があった。また、端子と配線との接合面が大きいため、接合面上からNCPの絶縁性樹脂を完全に排除できない場合があった。これらの要因により、接合不良が生じる虞があった。
【0011】
これに対して、本発明の基板の実装構造によれば、第1基板の端子のうち、配線と直接接触する接合部の第1方向の長さが、第2基板の対向面における配線の第1方向の長さよりも短いため、第2基板の対向面の寸法が従来と同じであったとしても、端子と配線との接合面積、実質的には(配線と直接接触する)接合部と配線との接合面積が従来よりも小さくなっている。そのため、圧着ツール等を用いて従来と同じ荷重を加えても、接合面積が小さい分、接合部に荷重が集中し、単位面積あたりに加わる圧力は従来よりも大きくなる。よって、接合部と配線とが十分に圧着される。
【0012】
さらに、本発明の実装構造によれば、第2基板側の配線の全てにわたって第1基板側の接合部が対向するのではなく、接合部が存在しない部分では第1基板と第2基板との間に接合部の厚さ分の微小な空間(間隙)が生じる。これにより、NCPの絶縁性樹脂が接合面から排除されつつこの空間に残存し、接合部と配線とが安定して固定される。このようにして、電気的接合不良の発生を防止でき、信頼性の高い接合構造が安定して得られる基板の実装構造を提供することができる。
【0013】
本発明の実装構造において、前記端子が、前記接合部と、前記接合部と電気的に接続され前記第1方向と交差する第2方向に延在する配線折曲部と、を備える構成を採用しても良い。
この構成によれば、配線折曲部を備えたことにより、接合部の前記第1方向の長さが短くなるとともに、NCPが排出される空間が形成されるため、本発明の作用、効果が十分に得られる。また、第1基板上の配線から端子にかけての配線パターンの設計を変更するのみでこの構成を容易に実現することができる。
【0014】
上記の構成を採用した場合、前記配線折曲部が、前記第1方向に対して斜めに交差する方向に延在していることが望ましい。
この構成によれば、端子間のスペースを十分に確保でき、端子同士の短絡の発生を防止することができる。
【0015】
あるいは、本発明の実装構造において、前記端子が、前記第1基板の第1面に設けられた前記接合部と、前記第1基板の前記第1面とは異なる第2面に設けられた導電部と、前記第1面と前記第2面との間の層を貫通する貫通孔内に形成された中継導通部と、を備え、前記接合部と前記導電部とが前記中継導通部を介して電気的に接続されている構成を採用しても良い。
この構成によれば、接合部を設けた第1面とは異なる第2面に導電部が設けられたことで、第1面上で接合部が孤立した状態となるので、接合部の前記延在方向の寸法が小さくなるとともに、NCPが排出される空間が形成され、本発明の作用、効果が十分に得られる。また、第1基板において配線の多層構造化が必要になるものの、上記の配線折曲部が必要なくなるため、基板の法線方向から見て配線および接合部を同一直線上に形成することができ、配線の引き回しの設計が容易になる。
【0016】
本発明の実装構造において、前記接合部の接合面および前記配線の接合面が平坦面であることが望ましい。
この構成によれば、接合部の前記第1方向の寸法を小さくした上で接合部と配線とを確実に圧着することができる。
【0017】
本発明の液滴吐出ヘッドは、第1面に設けられ第1方向に延在する端子と、前記端子と電気的に接続され液滴を吐出させる圧力を発生させるための駆動素子と、が設けられた第1基板と、前記第1面に対向する対向面に設けられ前記第1方向に延在する配線と、前記配線と電気的に接続され前記駆動素子を駆動する駆動回路部と、が設けられた第2基板と、前記第1面と前記対向面との間に設けられ、前記端子と前記配線とが対向して直接接触した状態で前記第1基板と前記第2基板とを接着する非導電性接着材と、を備え、前記端子における前記配線と直接接触する接合部の前記第1方向の長さは、前記対向面における前記配線の前記第1方向の長さよりも短いことを特徴とする。
この構成によれば、配線と直接接触する接合部の第1方向の長さが、第2基板の対向面における配線の第1方向の長さよりも短いため、第2基板の対向面の寸法が従来と同じであったとしても、端子と配線との接合面積、実質的には(配線と直接接触する)接合部と配線との接合面積が従来よりも小さい。そのため、圧着ツール等を用いて従来と同じ荷重を加えても、接合面積が小さい分、接合部に荷重が集中し、単位面積あたりに加わる圧力は従来よりも大きくなる。よって、接合部と配線とが十分に圧着される。これにより、電気的接続の信頼性が高く、高品質の液滴吐出ヘッドを実現することができる。
【0018】
本発明の液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出させる圧力を発生させるための駆動素子と、所定の延在方向に延在する複数の端子と、を備えた第1基板に、前記駆動素子を駆動する駆動回路部と、前記延在方向と同一の方向に延在する複数の配線と、を備えたフレキシブル回路基板からなる第2基板が実装され、各端子と各配線とが電気的に接合されたことにより前記駆動素子と前記駆動回路部とが電気的に接続された液滴吐出ヘッドであって、前記第2基板が前記延在方向と交差する方向に折り曲げられ、前記第2基板の折り曲げられた箇所よりも基板先端側にあたる基板折曲部の前記各配線と前記第1基板の各端子とが対向配置された状態で、前記第1基板と前記第2基板とが非導電性接着材により接着され、前記第1基板の前記各端子のうち、前記配線と直接接触する接合部の前記延在方向の寸法が、前記第2基板の前記基板折曲部における前記配線の前記延在方向の寸法よりも小さいことを特徴とする。
【0019】
本発明の液滴吐出ヘッドによれば、第1基板の端子のうち、配線と直接接触する接合部の前記延在方向の寸法が、第2基板の基板折曲部における配線の前記延在方向の寸法よりも小さいため、フレキシブル回路基板の折曲部の寸法が従来と同じであったとしても、端子と配線との接合面積、実質的には(配線と直接接触する)接合部と配線との接合面積が従来よりも小さくなっている。そのため、圧着ツール等を用いて従来と同じ荷重を加えても、接合面積が小さい分、接合部に荷重が集中し、単位面積あたりに加わる圧力は従来よりも大きくなる。よって、接合部と配線とが十分に圧着される。これにより、電気的接続の信頼性が高く、高品質の液滴吐出ヘッドを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液滴吐出ヘッドの構成を示す外観斜視図である。
【図2】液滴吐出ヘッドの分解斜視図である。
【図3】液滴吐出ヘッドを一部破断した状態でノズル開口側から見た斜視図である。
【図4】図1のA−A線矢視断面図である。
【図5】OLB接続部の要部を拡大して示す断面図である。
【図6】端子部の平面図である。
【図7】端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るフレキシブル回路基板の実装構造における端子部の平面図である。
【図9】端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係るフレキシブル回路基板の実装構造における断面図である。
【図11】端子部の平面図である。
【図12】端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係るフレキシブル回路基板の実装構造における断面図である。
【図14】端子部の平面図である。
【図15】端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【図16】従来のフレキシブル回路基板の実装構造における断面図である。
【図17】端子部の平面図である。
【図18】端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0022】
[第1実施形態]
本発明の液滴吐出ヘッドおよびフレキシブル回路基板の実装構造の第1実施形態について、図1〜図7を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係る液滴吐出ヘッドの構成を示す外観斜視図である。図2は液滴吐出ヘッドの分解斜視図である。図3は液滴吐出ヘッドを一部破断した状態でノズル開口側から見た斜視図である。図4は図1のA−A線矢視断面図である。図5はフレキシブル回路基板の接続部を拡大して示す断面図である。図6は流路形成基板の端子部の平面図である。図7は端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【0023】
液滴吐出ヘッド1は、図1〜図4に示すように、機能液の液滴を吐出するものであり、液滴が吐出されるノズル開口が形成されたノズル基板21と、ノズル基板21の上面に設けられ液滴が流れる流路を形成する流路形成基板22(第1基板)と、流路形成基板22の上面に設けられて圧電素子23(駆動素子:図4参照)の駆動により変位する振動板24と、振動板24の上面に設けられ、リザーバ37(図4参照)を形成するためのリザーバ形成基板25と、リザーバ形成基板25の上面側に設けられるケース部材101と、2つのドライバーIC26(26A,26B:駆動回路部)がそれぞれ実装された一対のフレキシブル回路基板27(第2基板)と、を備えた基体1Aを主体に構成されている。
なお、本実施形態においては、一つの基体1Aにより液滴吐出ヘッド1を構成しているが、複数の基体1Aをユニット化することで液滴吐出ヘッドを構成するようにしてもよい。
【0024】
フレキシブル回路基板27は、ドライバーIC26A,26Bを後述の圧電素子23と電気的に接続するものであり、各ドライバーIC26A,26Bの各能動面側が対向するように、端部が折り曲げられた状態で実装されている。
【0025】
ケース部材101は、ステンレスによって構成されている。このケース部材101は、液滴吐出ヘッド1を液滴吐出装置に搭載する際の取付け部材として利用されるものである。
【0026】
ケース部材101のX軸方向における中央部には、Y軸方向に沿って形成される開口部102が形成されている。開口部102は、図2に示すように、少なくともリザーバ形成基板25に形成された2つの開口部60の開口領域を含む大きさとされている。この開口部102内には、フレキシブル回路基板27が挿入されることから、その所定箇所にドライバーIC26の保持領域103が切欠状に形成されている。
【0027】
ノズル基板21は、図3に示すように、例えばステンレスやガラスセラミックスによって構成されており、ノズル基板21を貫通する貫通孔であって、機能液の液滴を吐出するノズル開口31が複数形成されている。そして、Y軸方向に複数並んで形成されたノズル開口31によってノズル開口群310が構成されている。本実施形態においては、X軸方向およびY軸方向に2つずつ計4つのノズル開口群310が設けられている。
なお、図3では、各ノズル開口群310がそれぞれ6個のノズル開口31によって構成されているように示されているが、実際には、例えば720個程度のノズル開口31が形成されている。
【0028】
流路形成基板22は、例えば剛体であるシリコン単結晶によって形成されており、複数の隔壁35は、流路形成基板22の母材であるシリコン単結晶基板を異方性エッチングすることで形成されている。また、流路形成基板22の下面には例えば接着剤や熱溶着フィルムなどを介してノズル基板21が固定されている一方、流路形成基板22の上面(図3においては下面側)には振動板24が設けられている。
【0029】
圧力発生室36は、ノズル開口31より吐出される機能液が配置される部分であって、図4に示すように、複数の隔壁35を有する流路形成基板22と、ノズル基板21と、振動板24とで囲まれた空間によって形成されている。この圧力発生室36は、4つのノズル開口群310のそれぞれを構成する複数のノズル開口31に対応するようにして、Y軸方向に複数並んで形成されている。そして、複数の圧力発生室36によって圧力発生室群360が各ノズル開口群310に対応して4つ構成されている。
【0030】
各圧力発生室群360を構成する複数の圧力発生室36の一方の端部は、それぞれリザーバ37の一部を構成する供給路38を介して連通部39によって互いに連通されている。
【0031】
振動板24は、流路形成基板22とリザーバ形成基板25との間に配置され、流路形成基板22の上面を覆うように設けられた弾性膜41と、弾性膜41の上面に設けられた下電極膜42とを備えている。弾性膜41は、例えば厚さ1〜2μm程度の二酸化シリコンによって形成されており、下電極膜42は、例えば厚さ0.2μm程度の白金などによって形成されている。なお、本実施形態において、下電極膜42は、複数の圧電素子23で共有する電極となっている。
【0032】
圧電素子23は、振動板24を変位させるための駆動素子であって、下電極膜42の上面に設けられた圧電体膜45と、圧電体膜45の上面に設けられた上電極膜46と、上電極膜46の引出配線であるリード電極47とを備えている。
【0033】
圧電体膜45は、例えば厚さ1μm程度の金属酸化物によって構成されている。また、上電極膜46は、例えば厚さ0.1μm程度の白金などによって構成され、リード電極47は、例えば厚さ0.1μm程度の金などによって構成されている。なお、リード電極47と下電極膜42との間には、絶縁膜(図示略)が設けられている。
【0034】
圧電素子23は、複数のノズル開口31および圧力発生室36の各々に対応するように複数設けられている。すなわち、圧電素子23は、ノズル開口31ごと(圧力発生室36ごと)に設けられている。そして、上述のように、下電極膜42が複数の圧電素子23の共通電極として機能し、上電極膜46及びリード電極47が複数の圧電素子23の個別電極として機能する。
【0035】
また、ノズル開口群310を構成する各ノズル開口31と対応するようにY軸方向に複数並んで設けられた圧電素子23により、圧電素子群230が形成される。ここでは、各々ノズル開口群310に対応して4つの圧電素子群230が設けられている。なお、これら4つの圧電素子群230のうち、ドライバーIC26Aに対応するものを圧電素子群230Aとし、ドライバーIC26Bに対応するものを圧電素子群230Bとする。これら圧電素子群230Aと圧電素子群230Bとは互いに近接した状態で並列に配置されている。
【0036】
なお、圧電素子23は、圧電体膜45、上電極膜46およびリード電極47に加えて、下電極膜42を含むものであってもよい。すなわち、本実施形態における下電極膜42は、圧電素子23としての機能と振動板24としての機能とを兼ね備える構成としてもよい。また、本実施形態では、弾性膜41および下電極膜42によって振動板24が構成されているが、弾性膜41を省略して下電極膜42のみが弾性膜41の機能を兼ね備える構成としてもよい。
【0037】
また、リザーバ形成基板25は、剛体で構成され、例えばガラス、セラミック材料などの流路形成基板22の熱膨張率と略同一の材料を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板22と同一材料のシリコン単結晶基板が用いられている。
【0038】
リザーバ形成基板25には、図4に示すように、連通部39のそれぞれと対応するリザーバ部51がY軸方向に延びるように形成されている。このリザーバ部51と上述した連通部39とによってリザーバ37が構成される。また、リザーバ形成基板25には、各連通部39の側壁に接続されて各連通部39に機能液を導入する導入路52が形成されている。
【0039】
リザーバ形成基板25のX軸方向における中央部には、Y軸方向に延びる溝状の開口部60が形成されている。開口部60においては、流路形成基板22の一部が露出している。開口部60のX軸方向外側の領域には、各圧電素子群230を振動板24との間で封止する封止部61A,61Bが形成されている。
【0040】
リザーバ形成基板25のうち、各圧電素子群230に対向する領域には、これらを構成する複数の圧電素子23の駆動を阻害しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密閉可能な圧電素子保持部62が形成されている。圧電素子保持部62は、封止部61A,61Bの各々に対応して形成されており、各圧電素子群230を覆う大きさで形成されている。
また、圧電素子23のうち、少なくとも圧電体膜45は、この圧電素子保持部62内に密封されている。
【0041】
このように、リザーバ形成基板25は、圧電素子23を外部環境から遮断し、圧電素子23を封止するための封止部材としての機能を有している。リザーバ形成基板25で圧電素子23を封止することにより、水分などの外部環境による圧電素子23の破壊を防止することができる。
【0042】
また、封止部61(圧電素子保持部62)によって封止されている圧電素子23のうち、リード電極47の一方の端部は、封止部61の外側まで延びており、開口部60において露出した流路形成基板22上に配置されている。
リード電極のうち、フレキシブル回路基板27と接続される端部にあたる部分であって、流路形成基板22の開口部60において露出した部分を、以下、「端子」と称する。
【0043】
また、リザーバ形成基板25の上面には、コンプライアンス基板53が接合されている。このコンプライアンス基板53は、封止膜54および固定板55を有する。封止膜54は、例えば厚さ6μm程度のポリフェニレンスルフィドフィルムのような剛性が低く、可撓性を有する材料によって形成されている。そして、封止膜54によってリザーバ部51の上部が封止されている。
【0044】
固定板55は、例えば厚さ30μm程度のステンレス鋼のような金属などの硬質の材料によって形成されている。固定板55のうち、リザーバ部51に対応する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部56となっている。したがって、リザーバ部51の上部は、可撓性を有する封止膜54のみによって封止されたものとなっており、したがって、内部圧力の変化によって変形可能な可撓部57となっている。また、コンプライアンス基板53上には、ケース部材101が設けられている。
【0045】
また、リザーバ部51の外側のコンプライアンス基板53およびケース部材101には、導入路52に連通してリザーバ部51に機能液を供給するための機能液導入口58が形成されている。通常、機能液導入口58からリザーバ部51に機能液が供給されると、例えば圧電素子23の駆動時の機能液の流れや周囲の熱などによってリザーバ部51内に圧力変化が生じる。しかしながら、上述のように、リザーバ部51の上部が封止膜54のみによって封止された可撓部57となっているので、可撓部57が撓み変形してその圧力変化を吸収する。したがって、リザーバ部51内は一定の圧力に保持される。なお、他の部分は固定板55によって十分な強度に保持されている。また、ケース部材101は、可撓部57の変形を損なわないように可撓部57に非接触状態で設けられている。
【0046】
フレキシブル回路基板27は、図4に示すように、ケース部材101に設けられた開口部102と、リザーバ形成基板25に形成された開口部60とに、その接続部27Aが挿入された状態で実装されている。
【0047】
以下、図5〜図7を用いて、本実施形態のフレキシブル回路基板の実装構造について説明する。
フレキシブル回路基板27は、図5〜図7に示すように、基材70と、基材70の一面に形成された複数の配線71とで形成されている。複数の配線71は、互いに所定の間隔をおいて離間し、互いに平行に所定の延在方向(第1方向)に延在するように形成されている。フレキシブル回路基板27は、複数の配線71が形成された側の面を外側にして、配線71の延在方向と略直交する方向に折り曲げられている。ここで、フレキシブル回路基板27の折り曲げられた箇所よりも基板先端側にあたる部分を基板折曲部27Aと称することにする。基板折曲部27Aの各配線71と流路形成基板22上のリード電極47の各端子74とが対向配置された状態で、流路形成基板22とフレキシブル回路基板27とが非導電性接着材79(NCP)により固定されている。
なお、基板折曲部27Aの端子74と対向する面が、特許請求の範囲における「対向面」に相当する。
【0048】
端子74は、図5に示すように、流路形成基板22の上面(第1面)の絶縁膜(図示略)上に形成された接合部75と、図6に示すように、絶縁膜(図示略)上に形成されたリード電極47(配線)の延長線Dを第1面内で折り曲げた方向に延在する配線折曲部76と、を有している。また、複数の端子74は、互いに所定の間隔をおいて離間し、互いに平行に所定の延在方向(第1方向)に延在するように形成されている。接合部75は、フレキシブル回路基板27の配線71と直接接触する部分であり、電気的接続に主に寄与する部分である。配線折曲部76は、リード電極47(配線)の延長線Dに対して斜めに交差する方向に延在している。リード電極47(配線)の延長線Dと配線折曲部76の延在方向Eとのなす角度θは20°〜30°程度とするのが望ましい。この程度の角度に設定すれば、隣接する配線折曲部76間の間隔を、隣接する接合部75間の間隔と略同じだけ確保できるので、隣接する配線折曲部76間の短絡の発生を防止することができる。
【0049】
また、接合部75は、図6に示すように、配線折曲部76と一体に形成されるとともに、リード電極47(配線)の延長線D上から外れた位置(図6における延長線Dよりも下側)に配置されている。以上の構成により、流路形成基板22の端子74上にフレキシブル回路基板27の配線71を重ね合わせると、図7のようになり、端子74のうち、接合部75および配線折曲部76の一部は配線71と重なり、配線折曲部76の一部とリード電極47(配線)の延長部分47aは配線71と重ならない状態となる。
【0050】
図7におけるフレキシブル回路基板27の配線71の中心軸を切断線A−A’とする断面構造を示したものが図5である。図5に示すように、接合部75の延在方向の寸法L1が、フレキシブル回路基板27の基板折曲部27Aにおける配線71の延在方向の寸法L2よりも小さくなっている。寸法L1は寸法L2の1/2〜2/3程度とすることが望ましい。寸法L1が寸法L2の1/2よりも小さいと、接合面積が小さくなり過ぎ、電気的接続の信頼性が低下する。寸法L1が寸法L2の2/3よりも大きいと、小さい接合面積に荷重を集中させて圧着性を向上させる本発明の効果が得られない。
【0051】
また、接合部75の接合面と配線71の接合面はともに平坦な面とされている。これにより、接合部75の延在方向の寸法を小さくした上で接合部75と配線71とを確実に圧着することができる。
【0052】
ここで、従来のフレキシブル回路基板の実装構造と比較する。
図16は従来の実装構造における断面図である。図17は従来の端子部の平面図である。図18は従来の端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
従来の端子部は、図17に示すように、リード電極からそのまま互いに平行に延在する複数の端子110を有していた。したがって、端子110上にフレキシブル回路基板27の配線71を重ね合わせると、図16、図18に示すように、端子110の全体が配線71と重なっていた。また、図16に示すように、NCP79がフレキシブル回路基板27の端部と折り曲げた部分の周囲に残存した状態で、流路形成基板22とフレキシブル回路基板27とが固定されていた。
【0053】
従来の実装構造においては、端子110と配線71との接合部の延在方向の寸法が同一であり、端子110と配線71とが全体にわたって接触しているため、実装プロセスにおいて圧着ツール等を用いて接合部に荷重を加えても、端子110と配線71との接合面積が大きいために圧力が分散され、十分な荷重が接合面全体に均一に加わらない場合があった。また、端子110と配線71との接合面が大きいため、接合面上からNCP79の絶縁性樹脂を完全に排除できない場合があった。これらの要因により、接合不良が生じる虞があった。
【0054】
これに対して、本実施形態のフレキシブル回路基板27の実装構造によれば、端子74のうち、配線71と直接接触する接合部75の延在方向の寸法L1が、基板折曲部27Aにおける配線71の延在方向の寸法L2よりも小さいため、フレキシブル回路基板27の折曲部27Aの寸法が従来と同じであったとしても、端子74と配線71との接合面積、実質的には接合部75と配線71との接合面積が従来よりも小さくなる。そのため、圧着ツール等を用いて従来と同じ荷重を加えても、接合面積が小さい分、接合部75に荷重が集中し、単位面積あたりに加わる圧力は従来よりも大きくなる。よって、接合部75と配線71とが十分に圧着される。
【0055】
さらに、本実施形態の実装構造によれば、フレキシブル回路基板27側の配線71の全てにわたって流路形成基板22側の接合部75が対向するのではなく、接合部75が存在しない部分では流路形成基板22とフレキシブル回路基板27との間に接合部75の厚さ分(例えば数μm程度)の微小な空間(間隙)が生じる。これにより、NCP79の絶縁性樹脂が接合面から円滑に排除されつつ、この空間に残存し、接合部75と配線71とが安定して固定される。このようにして、電気的接合不良の発生を防止でき、信頼性の高い接合構造が安定して得られるフレキシブル回路基板27の実装構造を提供することができる。また、流路形成基板22上のリード電極47から端子74にかけてのパターン設計を変更するのみでこの構成を容易に実現することができる。
【0056】
本実施形態によれば、上述した実装構造を用いて流路形成基板22上にフレキシブル回路基板27が実装されているため、電気的接続の信頼性が高く、高品質の液滴吐出ヘッド1を実現することができる。
【0057】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態のフレキシブル回路基板の実装構造について、図8〜図9を用いて説明する。
図8は流路形成基板の端子部の平面図である。図9は端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【0058】
第1実施形態では、図6に示したように、流路形成基板22の開口部60の一方側(図6の右側)から端子74が延在している構成例を示した。これに対して、本実施形態では、図8に示すように、流路形成基板22の開口部60の対向する2辺(図8の右側および左側)から端子74A,74Bが延在している。そして、図9に示すように、図8の右側から延在する複数の端子74A、図8の左側から延在する複数の端子74Bに対して1枚のフレキシブル回路基板27の配線71が重ね合わせられ、電気的接続がなされている。
【0059】
本実施形態においても第1実施形態と同様、端子74A,74Bは、配線折曲部76と接合部75とから構成され、接合部75はリード電極47(配線)の延長線D上から外れた位置(図8における延長線Dよりも下側)に配置されている。
【0060】
本実施形態の実装構造においても、端子74A,74Bと配線71との接合面積が小さくなることで、接合部75と配線71との圧着性およびNCPの排出性が高まるため、電気的接合不良の発生を防止でき、信頼性の高い接合構造が安定して実現できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0061】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態のフレキシブル回路基板の実装構造について、図10〜図12を用いて説明する。
図10は本実施形態のフレキシブル回路基板の実装構造を示す断面図である。図11は流路形成基板の端子部の平面図である。図12は端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【0062】
第1、第2実施形態では、流路形成基板22上のリード電極47と接合部75とが同一面上に位置していた。これに対して、本実施形態の実装構造では、図10に示すように、接合部85が流路形成基板22の上面(第1面)の絶縁膜(図示略)上に形成される一方、リード電極47の延長部47b(導電部)が絶縁膜(図示略)上面とは異なる面(第2面)上に形成されている。また、第1面と第2面との間の任意の層83を貫通する貫通孔81が形成され、貫通孔81内に導電性材料が埋め込まれることで中継導通部82が形成されている。中継導通部82は、製造プロセスに応じてリード電極47の延長部47bと一体に形成されても良いし、接合部85と一体に形成されても良い。
【0063】
本実施形態の場合、リード電極47の延長部47bが絶縁膜上面とは異なる面上に形成されたことで、各接合部85は、図11に示すように、絶縁膜上面において孤立した形態となる。この構成により、接合部85の配線延在方向の寸法は、フレキシブル回路基板27の基板折曲部27Aにおける配線71の延在方向の寸法と比べて小さくなる。また、接合部85とリード電極47の延長部47bとが中継導通部82を介して電気的に接続される。
【0064】
リード電極47の延長部47b(導電部)を形成する位置(層)は、様々な形態が考えられる。例えば、図4において、絶縁膜(図示略)、下電極膜42、および弾性膜41を貫通する貫通孔を形成し、弾性膜41の下層側に配置しても良い。さらに、上記の層に加えて流路形成基板22を貫通する貫通孔を形成し、流路形成基板22の下面側に配置しても良い。
【0065】
本実施形態の実装構造においても、接合部85と配線71との接合面積が小さくなることで接合部85と配線71との圧着性およびNCPの排出性が高まるため、電気的接合不良の発生を防止でき、信頼性の高い接合構造が安定して実現できる、といった第1、第2実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態の場合、第1、第2実施形態のような配線折曲部が必要ないため、基板の法線方向から見て配線および接合部を同一直線上に形成することができ、配線の引き回しの設計が容易になる。
【0066】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態のフレキシブル回路基板の実装構造について、図13〜図15を用いて説明する。
図13は本実施形態のフレキシブル回路基板の実装構造を示す断面図である。図14は流路形成基板の端子部の平面図である。図15は端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【0067】
本実施形態の実装構造においても、第3実施形態と同様、図13に示すように、リード電極47の延長部47c(導電部)が絶縁膜(図示略)上面とは異なる面(第2面)上に形成されている。また、第1面と第2面との間の層83を貫通する貫通孔91が形成され、貫通孔91内に導電性材料が埋め込まれることで中継導通部92が形成されている。この構成により、接合部95の配線延在方向の寸法は、フレキシブル回路基板27の基板折曲部27Aにおける配線71の延在方向の寸法と比べて小さくなり、接合部95とリード電極47の延長部47cとが中継導通部92を介して電気的に接続される。
【0068】
本実施形態の場合、中継導通部92の形成位置が第3実施形態と異なっている。すなわち、第3実施形態において、中継導通部82は、フレキシブル回路基板27の配線71が接合される接合部85の接合領域内に形成されていた。これに対して、本実施形態の実装構造において、中継導通部92は、図13に示すように、フレキシブル回路基板27の配線71が接合される接合部95の接合領域より外側であって、基板折曲部27Aの外側に配置されている。
【0069】
本実施形態の実装構造においても、接合部95と配線71との接合面積が小さくなることで接合部95と配線71との圧着性およびNCPの排出性が高まるため、電気的接合不良の発生を防止でき、信頼性の高い接合構造が安定して実現できる、といった第1〜第3実施形態と同様の効果が得られる。また、配線71および接合部95を同一直線上に形成することができるため、配線の引き回しの設計が容易になる、といった第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0070】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。上記実施形態におけるフレキシブル回路基板の実装構造、およびこの実装構造を用いた液滴吐出ヘッドの各部の具体的な構成は、上記実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1…液滴吐出ヘッド、22…流路形成基板(第1基板)、23…圧電素子(駆動素子)、26,26A,26B…ドライバーIC(駆動回路部)、27…フレキシブル回路基板(第2基板)、71…配線、74,74A,74B…端子、75,85,95…接合部、76…配線折曲部、79…非導電性接着材、81,91…貫通孔、82,92…中継導通部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の実装構造、およびこの実装構造を備えた液滴吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロデバイスを製造する方法の一つとして液滴吐出法(インクジェット法)が提案されている。この液滴吐出法は、デバイスを形成するための材料を含む流体を液滴状にして、液滴吐出ヘッドから吐出する方法である。インクジェット方式の液滴吐出ヘッドには、流体を吐出する圧力を生成する圧電素子等の駆動素子が備えられており、この駆動素子に外部の回路基板から駆動信号が供給される構成となっている。したがって、液滴吐出ヘッドは、ヘッド本体に回路基板が実装された構成を有している。例えば、特許文献1には、ワイヤーボンディング技術を用いて半導体チップの上面に設けられた端子と回路基板上の端子とを電気的に配線接続する一般的な技術が開示されている。また、特許文献2には、駆動素子(圧電素子)が駆動デバイス(ドライバーIC)にワイヤーボンディングで接続された液滴吐出ヘッドが開示されている。
【0003】
近年、液滴吐出法を用いてマイクロデバイスを製造する際、マイクロデバイスの更なる微細化の要求に応えるために、アウターリードとして機能する配線パターンを予め形成したフレキシブル回路基板を用いて、アウターリードボンディング(OLB:Outer Lead Bonding)接続を行う方法が提案されている。この方法によれば、ワイヤー同士の電気的短絡等の不都合を生じさせることなく、駆動素子と駆動回路部(ドライバーIC)との間の電気的接続を行うことができる(下記の特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−9235号公報
【特許文献2】特開2003−159800号公報
【特許文献3】特開2000−68989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、圧電素子等の駆動素子が形成された素子基板にフレキシブル回路基板を実装する方法として、駆動素子の各端子とフレキシブル回路基板の各配線とを異方性導電性接着材(Anisotropic Conductive Paste,以下、ACPと略記する)を介して電気的に接続する方法が知られている。微細な導電性粒子を樹脂中に含んだACPの使用により、隣接する端子間での電気的短絡を生じさせることなく、各端子と各配線とを電気的に接続することができる。しかしながら、液滴吐出ヘッドの小型化や高解像度化に伴って、隣接する駆動素子間の間隔が狭くなると端子間の距離が短くなり、ACPを用いたとしても、隣接する端子間で電気的短絡が生じる虞があった。そこで、ACPに代えて、非導電性接着材(Non-Conductive Paste,以下、NCPと略記する)を用いたフレキシブル回路基板の実装方法が検討されている。
【0006】
ACPを用いた実装構造では、駆動素子の各端子とフレキシブル回路基板の各配線との間に導電性粒子が介在しているのに対し、NCPを用いた実装構造では、駆動素子の端子とフレキシブル回路基板の配線とを直接圧着して電気的接続を図るとともに、両者を樹脂接着材で固定している。したがって、実装プロセスでは、素子基板の端子上にNCPを塗布した後、その上にフレキシブル回路基板を配置した状態で圧着ツールを用いて荷重を加え、各端子と各配線との接合面からNCPを排除しつつ各端子と各配線とを圧着する必要がある。これにより、各端子と各配線とが直接接触した状態で接合され、排除されたNCPによって各端子と各配線とが接合面の周囲で固定される。
【0007】
しかしながら、従来の実装プロセスでは、圧着ツールによって接合面に加えられる圧力が不十分となる場合があり、接合面にNCP(絶縁性樹脂)が残りやすく、接合不良が生じる虞があった。したがって、特に微細パターンを有するフレキシブル回路基板を実装する際に、電気的接続の信頼性の高い製品を安定して製造するのが難しいという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電気的接合不良の発生を防止でき、信頼性の高い接合構造が安定して得られる基板の実装構造を提供することを目的とする。また、このような実装構造を備えることで、高品質の液滴吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の基板の実装構造は、第1面を有し、第1方向に延在する端子が前記第1面に設けられた第1基板と、前記第1面に対向する対向面を有し、前記第1方向に延在する配線が前記対向面に設けられた第2基板と、前記第1面と前記対向面との間に設けられ、前記端子と前記配線とが対向して直接接触した状態で前記第1基板と前記第2基板とを接着する非導電性接着材と、を備え、前記端子における前記配線と直接接触する接合部の前記第1方向の長さは、前記対向面における前記配線の前記第1方向の長さよりも短いことを特徴とする。
【0010】
従来の実装構造においては、所定の方向に延在する端子と配線との接合部における延在方向の寸法が同一であり、端子と配線との双方が延在方向の全体にわたって接触した状態で接合されていた。したがって、実装プロセスにおいて圧着ツール等を用いて接合部に荷重を加えても、端子と配線との接合面積が大きいために圧力が分散され、十分な荷重が接合面全体に均一に加わらない場合があった。また、端子と配線との接合面が大きいため、接合面上からNCPの絶縁性樹脂を完全に排除できない場合があった。これらの要因により、接合不良が生じる虞があった。
【0011】
これに対して、本発明の基板の実装構造によれば、第1基板の端子のうち、配線と直接接触する接合部の第1方向の長さが、第2基板の対向面における配線の第1方向の長さよりも短いため、第2基板の対向面の寸法が従来と同じであったとしても、端子と配線との接合面積、実質的には(配線と直接接触する)接合部と配線との接合面積が従来よりも小さくなっている。そのため、圧着ツール等を用いて従来と同じ荷重を加えても、接合面積が小さい分、接合部に荷重が集中し、単位面積あたりに加わる圧力は従来よりも大きくなる。よって、接合部と配線とが十分に圧着される。
【0012】
さらに、本発明の実装構造によれば、第2基板側の配線の全てにわたって第1基板側の接合部が対向するのではなく、接合部が存在しない部分では第1基板と第2基板との間に接合部の厚さ分の微小な空間(間隙)が生じる。これにより、NCPの絶縁性樹脂が接合面から排除されつつこの空間に残存し、接合部と配線とが安定して固定される。このようにして、電気的接合不良の発生を防止でき、信頼性の高い接合構造が安定して得られる基板の実装構造を提供することができる。
【0013】
本発明の実装構造において、前記端子が、前記接合部と、前記接合部と電気的に接続され前記第1方向と交差する第2方向に延在する配線折曲部と、を備える構成を採用しても良い。
この構成によれば、配線折曲部を備えたことにより、接合部の前記第1方向の長さが短くなるとともに、NCPが排出される空間が形成されるため、本発明の作用、効果が十分に得られる。また、第1基板上の配線から端子にかけての配線パターンの設計を変更するのみでこの構成を容易に実現することができる。
【0014】
上記の構成を採用した場合、前記配線折曲部が、前記第1方向に対して斜めに交差する方向に延在していることが望ましい。
この構成によれば、端子間のスペースを十分に確保でき、端子同士の短絡の発生を防止することができる。
【0015】
あるいは、本発明の実装構造において、前記端子が、前記第1基板の第1面に設けられた前記接合部と、前記第1基板の前記第1面とは異なる第2面に設けられた導電部と、前記第1面と前記第2面との間の層を貫通する貫通孔内に形成された中継導通部と、を備え、前記接合部と前記導電部とが前記中継導通部を介して電気的に接続されている構成を採用しても良い。
この構成によれば、接合部を設けた第1面とは異なる第2面に導電部が設けられたことで、第1面上で接合部が孤立した状態となるので、接合部の前記延在方向の寸法が小さくなるとともに、NCPが排出される空間が形成され、本発明の作用、効果が十分に得られる。また、第1基板において配線の多層構造化が必要になるものの、上記の配線折曲部が必要なくなるため、基板の法線方向から見て配線および接合部を同一直線上に形成することができ、配線の引き回しの設計が容易になる。
【0016】
本発明の実装構造において、前記接合部の接合面および前記配線の接合面が平坦面であることが望ましい。
この構成によれば、接合部の前記第1方向の寸法を小さくした上で接合部と配線とを確実に圧着することができる。
【0017】
本発明の液滴吐出ヘッドは、第1面に設けられ第1方向に延在する端子と、前記端子と電気的に接続され液滴を吐出させる圧力を発生させるための駆動素子と、が設けられた第1基板と、前記第1面に対向する対向面に設けられ前記第1方向に延在する配線と、前記配線と電気的に接続され前記駆動素子を駆動する駆動回路部と、が設けられた第2基板と、前記第1面と前記対向面との間に設けられ、前記端子と前記配線とが対向して直接接触した状態で前記第1基板と前記第2基板とを接着する非導電性接着材と、を備え、前記端子における前記配線と直接接触する接合部の前記第1方向の長さは、前記対向面における前記配線の前記第1方向の長さよりも短いことを特徴とする。
この構成によれば、配線と直接接触する接合部の第1方向の長さが、第2基板の対向面における配線の第1方向の長さよりも短いため、第2基板の対向面の寸法が従来と同じであったとしても、端子と配線との接合面積、実質的には(配線と直接接触する)接合部と配線との接合面積が従来よりも小さい。そのため、圧着ツール等を用いて従来と同じ荷重を加えても、接合面積が小さい分、接合部に荷重が集中し、単位面積あたりに加わる圧力は従来よりも大きくなる。よって、接合部と配線とが十分に圧着される。これにより、電気的接続の信頼性が高く、高品質の液滴吐出ヘッドを実現することができる。
【0018】
本発明の液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出させる圧力を発生させるための駆動素子と、所定の延在方向に延在する複数の端子と、を備えた第1基板に、前記駆動素子を駆動する駆動回路部と、前記延在方向と同一の方向に延在する複数の配線と、を備えたフレキシブル回路基板からなる第2基板が実装され、各端子と各配線とが電気的に接合されたことにより前記駆動素子と前記駆動回路部とが電気的に接続された液滴吐出ヘッドであって、前記第2基板が前記延在方向と交差する方向に折り曲げられ、前記第2基板の折り曲げられた箇所よりも基板先端側にあたる基板折曲部の前記各配線と前記第1基板の各端子とが対向配置された状態で、前記第1基板と前記第2基板とが非導電性接着材により接着され、前記第1基板の前記各端子のうち、前記配線と直接接触する接合部の前記延在方向の寸法が、前記第2基板の前記基板折曲部における前記配線の前記延在方向の寸法よりも小さいことを特徴とする。
【0019】
本発明の液滴吐出ヘッドによれば、第1基板の端子のうち、配線と直接接触する接合部の前記延在方向の寸法が、第2基板の基板折曲部における配線の前記延在方向の寸法よりも小さいため、フレキシブル回路基板の折曲部の寸法が従来と同じであったとしても、端子と配線との接合面積、実質的には(配線と直接接触する)接合部と配線との接合面積が従来よりも小さくなっている。そのため、圧着ツール等を用いて従来と同じ荷重を加えても、接合面積が小さい分、接合部に荷重が集中し、単位面積あたりに加わる圧力は従来よりも大きくなる。よって、接合部と配線とが十分に圧着される。これにより、電気的接続の信頼性が高く、高品質の液滴吐出ヘッドを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液滴吐出ヘッドの構成を示す外観斜視図である。
【図2】液滴吐出ヘッドの分解斜視図である。
【図3】液滴吐出ヘッドを一部破断した状態でノズル開口側から見た斜視図である。
【図4】図1のA−A線矢視断面図である。
【図5】OLB接続部の要部を拡大して示す断面図である。
【図6】端子部の平面図である。
【図7】端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るフレキシブル回路基板の実装構造における端子部の平面図である。
【図9】端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係るフレキシブル回路基板の実装構造における断面図である。
【図11】端子部の平面図である。
【図12】端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係るフレキシブル回路基板の実装構造における断面図である。
【図14】端子部の平面図である。
【図15】端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【図16】従来のフレキシブル回路基板の実装構造における断面図である。
【図17】端子部の平面図である。
【図18】端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0022】
[第1実施形態]
本発明の液滴吐出ヘッドおよびフレキシブル回路基板の実装構造の第1実施形態について、図1〜図7を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係る液滴吐出ヘッドの構成を示す外観斜視図である。図2は液滴吐出ヘッドの分解斜視図である。図3は液滴吐出ヘッドを一部破断した状態でノズル開口側から見た斜視図である。図4は図1のA−A線矢視断面図である。図5はフレキシブル回路基板の接続部を拡大して示す断面図である。図6は流路形成基板の端子部の平面図である。図7は端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【0023】
液滴吐出ヘッド1は、図1〜図4に示すように、機能液の液滴を吐出するものであり、液滴が吐出されるノズル開口が形成されたノズル基板21と、ノズル基板21の上面に設けられ液滴が流れる流路を形成する流路形成基板22(第1基板)と、流路形成基板22の上面に設けられて圧電素子23(駆動素子:図4参照)の駆動により変位する振動板24と、振動板24の上面に設けられ、リザーバ37(図4参照)を形成するためのリザーバ形成基板25と、リザーバ形成基板25の上面側に設けられるケース部材101と、2つのドライバーIC26(26A,26B:駆動回路部)がそれぞれ実装された一対のフレキシブル回路基板27(第2基板)と、を備えた基体1Aを主体に構成されている。
なお、本実施形態においては、一つの基体1Aにより液滴吐出ヘッド1を構成しているが、複数の基体1Aをユニット化することで液滴吐出ヘッドを構成するようにしてもよい。
【0024】
フレキシブル回路基板27は、ドライバーIC26A,26Bを後述の圧電素子23と電気的に接続するものであり、各ドライバーIC26A,26Bの各能動面側が対向するように、端部が折り曲げられた状態で実装されている。
【0025】
ケース部材101は、ステンレスによって構成されている。このケース部材101は、液滴吐出ヘッド1を液滴吐出装置に搭載する際の取付け部材として利用されるものである。
【0026】
ケース部材101のX軸方向における中央部には、Y軸方向に沿って形成される開口部102が形成されている。開口部102は、図2に示すように、少なくともリザーバ形成基板25に形成された2つの開口部60の開口領域を含む大きさとされている。この開口部102内には、フレキシブル回路基板27が挿入されることから、その所定箇所にドライバーIC26の保持領域103が切欠状に形成されている。
【0027】
ノズル基板21は、図3に示すように、例えばステンレスやガラスセラミックスによって構成されており、ノズル基板21を貫通する貫通孔であって、機能液の液滴を吐出するノズル開口31が複数形成されている。そして、Y軸方向に複数並んで形成されたノズル開口31によってノズル開口群310が構成されている。本実施形態においては、X軸方向およびY軸方向に2つずつ計4つのノズル開口群310が設けられている。
なお、図3では、各ノズル開口群310がそれぞれ6個のノズル開口31によって構成されているように示されているが、実際には、例えば720個程度のノズル開口31が形成されている。
【0028】
流路形成基板22は、例えば剛体であるシリコン単結晶によって形成されており、複数の隔壁35は、流路形成基板22の母材であるシリコン単結晶基板を異方性エッチングすることで形成されている。また、流路形成基板22の下面には例えば接着剤や熱溶着フィルムなどを介してノズル基板21が固定されている一方、流路形成基板22の上面(図3においては下面側)には振動板24が設けられている。
【0029】
圧力発生室36は、ノズル開口31より吐出される機能液が配置される部分であって、図4に示すように、複数の隔壁35を有する流路形成基板22と、ノズル基板21と、振動板24とで囲まれた空間によって形成されている。この圧力発生室36は、4つのノズル開口群310のそれぞれを構成する複数のノズル開口31に対応するようにして、Y軸方向に複数並んで形成されている。そして、複数の圧力発生室36によって圧力発生室群360が各ノズル開口群310に対応して4つ構成されている。
【0030】
各圧力発生室群360を構成する複数の圧力発生室36の一方の端部は、それぞれリザーバ37の一部を構成する供給路38を介して連通部39によって互いに連通されている。
【0031】
振動板24は、流路形成基板22とリザーバ形成基板25との間に配置され、流路形成基板22の上面を覆うように設けられた弾性膜41と、弾性膜41の上面に設けられた下電極膜42とを備えている。弾性膜41は、例えば厚さ1〜2μm程度の二酸化シリコンによって形成されており、下電極膜42は、例えば厚さ0.2μm程度の白金などによって形成されている。なお、本実施形態において、下電極膜42は、複数の圧電素子23で共有する電極となっている。
【0032】
圧電素子23は、振動板24を変位させるための駆動素子であって、下電極膜42の上面に設けられた圧電体膜45と、圧電体膜45の上面に設けられた上電極膜46と、上電極膜46の引出配線であるリード電極47とを備えている。
【0033】
圧電体膜45は、例えば厚さ1μm程度の金属酸化物によって構成されている。また、上電極膜46は、例えば厚さ0.1μm程度の白金などによって構成され、リード電極47は、例えば厚さ0.1μm程度の金などによって構成されている。なお、リード電極47と下電極膜42との間には、絶縁膜(図示略)が設けられている。
【0034】
圧電素子23は、複数のノズル開口31および圧力発生室36の各々に対応するように複数設けられている。すなわち、圧電素子23は、ノズル開口31ごと(圧力発生室36ごと)に設けられている。そして、上述のように、下電極膜42が複数の圧電素子23の共通電極として機能し、上電極膜46及びリード電極47が複数の圧電素子23の個別電極として機能する。
【0035】
また、ノズル開口群310を構成する各ノズル開口31と対応するようにY軸方向に複数並んで設けられた圧電素子23により、圧電素子群230が形成される。ここでは、各々ノズル開口群310に対応して4つの圧電素子群230が設けられている。なお、これら4つの圧電素子群230のうち、ドライバーIC26Aに対応するものを圧電素子群230Aとし、ドライバーIC26Bに対応するものを圧電素子群230Bとする。これら圧電素子群230Aと圧電素子群230Bとは互いに近接した状態で並列に配置されている。
【0036】
なお、圧電素子23は、圧電体膜45、上電極膜46およびリード電極47に加えて、下電極膜42を含むものであってもよい。すなわち、本実施形態における下電極膜42は、圧電素子23としての機能と振動板24としての機能とを兼ね備える構成としてもよい。また、本実施形態では、弾性膜41および下電極膜42によって振動板24が構成されているが、弾性膜41を省略して下電極膜42のみが弾性膜41の機能を兼ね備える構成としてもよい。
【0037】
また、リザーバ形成基板25は、剛体で構成され、例えばガラス、セラミック材料などの流路形成基板22の熱膨張率と略同一の材料を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板22と同一材料のシリコン単結晶基板が用いられている。
【0038】
リザーバ形成基板25には、図4に示すように、連通部39のそれぞれと対応するリザーバ部51がY軸方向に延びるように形成されている。このリザーバ部51と上述した連通部39とによってリザーバ37が構成される。また、リザーバ形成基板25には、各連通部39の側壁に接続されて各連通部39に機能液を導入する導入路52が形成されている。
【0039】
リザーバ形成基板25のX軸方向における中央部には、Y軸方向に延びる溝状の開口部60が形成されている。開口部60においては、流路形成基板22の一部が露出している。開口部60のX軸方向外側の領域には、各圧電素子群230を振動板24との間で封止する封止部61A,61Bが形成されている。
【0040】
リザーバ形成基板25のうち、各圧電素子群230に対向する領域には、これらを構成する複数の圧電素子23の駆動を阻害しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密閉可能な圧電素子保持部62が形成されている。圧電素子保持部62は、封止部61A,61Bの各々に対応して形成されており、各圧電素子群230を覆う大きさで形成されている。
また、圧電素子23のうち、少なくとも圧電体膜45は、この圧電素子保持部62内に密封されている。
【0041】
このように、リザーバ形成基板25は、圧電素子23を外部環境から遮断し、圧電素子23を封止するための封止部材としての機能を有している。リザーバ形成基板25で圧電素子23を封止することにより、水分などの外部環境による圧電素子23の破壊を防止することができる。
【0042】
また、封止部61(圧電素子保持部62)によって封止されている圧電素子23のうち、リード電極47の一方の端部は、封止部61の外側まで延びており、開口部60において露出した流路形成基板22上に配置されている。
リード電極のうち、フレキシブル回路基板27と接続される端部にあたる部分であって、流路形成基板22の開口部60において露出した部分を、以下、「端子」と称する。
【0043】
また、リザーバ形成基板25の上面には、コンプライアンス基板53が接合されている。このコンプライアンス基板53は、封止膜54および固定板55を有する。封止膜54は、例えば厚さ6μm程度のポリフェニレンスルフィドフィルムのような剛性が低く、可撓性を有する材料によって形成されている。そして、封止膜54によってリザーバ部51の上部が封止されている。
【0044】
固定板55は、例えば厚さ30μm程度のステンレス鋼のような金属などの硬質の材料によって形成されている。固定板55のうち、リザーバ部51に対応する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部56となっている。したがって、リザーバ部51の上部は、可撓性を有する封止膜54のみによって封止されたものとなっており、したがって、内部圧力の変化によって変形可能な可撓部57となっている。また、コンプライアンス基板53上には、ケース部材101が設けられている。
【0045】
また、リザーバ部51の外側のコンプライアンス基板53およびケース部材101には、導入路52に連通してリザーバ部51に機能液を供給するための機能液導入口58が形成されている。通常、機能液導入口58からリザーバ部51に機能液が供給されると、例えば圧電素子23の駆動時の機能液の流れや周囲の熱などによってリザーバ部51内に圧力変化が生じる。しかしながら、上述のように、リザーバ部51の上部が封止膜54のみによって封止された可撓部57となっているので、可撓部57が撓み変形してその圧力変化を吸収する。したがって、リザーバ部51内は一定の圧力に保持される。なお、他の部分は固定板55によって十分な強度に保持されている。また、ケース部材101は、可撓部57の変形を損なわないように可撓部57に非接触状態で設けられている。
【0046】
フレキシブル回路基板27は、図4に示すように、ケース部材101に設けられた開口部102と、リザーバ形成基板25に形成された開口部60とに、その接続部27Aが挿入された状態で実装されている。
【0047】
以下、図5〜図7を用いて、本実施形態のフレキシブル回路基板の実装構造について説明する。
フレキシブル回路基板27は、図5〜図7に示すように、基材70と、基材70の一面に形成された複数の配線71とで形成されている。複数の配線71は、互いに所定の間隔をおいて離間し、互いに平行に所定の延在方向(第1方向)に延在するように形成されている。フレキシブル回路基板27は、複数の配線71が形成された側の面を外側にして、配線71の延在方向と略直交する方向に折り曲げられている。ここで、フレキシブル回路基板27の折り曲げられた箇所よりも基板先端側にあたる部分を基板折曲部27Aと称することにする。基板折曲部27Aの各配線71と流路形成基板22上のリード電極47の各端子74とが対向配置された状態で、流路形成基板22とフレキシブル回路基板27とが非導電性接着材79(NCP)により固定されている。
なお、基板折曲部27Aの端子74と対向する面が、特許請求の範囲における「対向面」に相当する。
【0048】
端子74は、図5に示すように、流路形成基板22の上面(第1面)の絶縁膜(図示略)上に形成された接合部75と、図6に示すように、絶縁膜(図示略)上に形成されたリード電極47(配線)の延長線Dを第1面内で折り曲げた方向に延在する配線折曲部76と、を有している。また、複数の端子74は、互いに所定の間隔をおいて離間し、互いに平行に所定の延在方向(第1方向)に延在するように形成されている。接合部75は、フレキシブル回路基板27の配線71と直接接触する部分であり、電気的接続に主に寄与する部分である。配線折曲部76は、リード電極47(配線)の延長線Dに対して斜めに交差する方向に延在している。リード電極47(配線)の延長線Dと配線折曲部76の延在方向Eとのなす角度θは20°〜30°程度とするのが望ましい。この程度の角度に設定すれば、隣接する配線折曲部76間の間隔を、隣接する接合部75間の間隔と略同じだけ確保できるので、隣接する配線折曲部76間の短絡の発生を防止することができる。
【0049】
また、接合部75は、図6に示すように、配線折曲部76と一体に形成されるとともに、リード電極47(配線)の延長線D上から外れた位置(図6における延長線Dよりも下側)に配置されている。以上の構成により、流路形成基板22の端子74上にフレキシブル回路基板27の配線71を重ね合わせると、図7のようになり、端子74のうち、接合部75および配線折曲部76の一部は配線71と重なり、配線折曲部76の一部とリード電極47(配線)の延長部分47aは配線71と重ならない状態となる。
【0050】
図7におけるフレキシブル回路基板27の配線71の中心軸を切断線A−A’とする断面構造を示したものが図5である。図5に示すように、接合部75の延在方向の寸法L1が、フレキシブル回路基板27の基板折曲部27Aにおける配線71の延在方向の寸法L2よりも小さくなっている。寸法L1は寸法L2の1/2〜2/3程度とすることが望ましい。寸法L1が寸法L2の1/2よりも小さいと、接合面積が小さくなり過ぎ、電気的接続の信頼性が低下する。寸法L1が寸法L2の2/3よりも大きいと、小さい接合面積に荷重を集中させて圧着性を向上させる本発明の効果が得られない。
【0051】
また、接合部75の接合面と配線71の接合面はともに平坦な面とされている。これにより、接合部75の延在方向の寸法を小さくした上で接合部75と配線71とを確実に圧着することができる。
【0052】
ここで、従来のフレキシブル回路基板の実装構造と比較する。
図16は従来の実装構造における断面図である。図17は従来の端子部の平面図である。図18は従来の端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
従来の端子部は、図17に示すように、リード電極からそのまま互いに平行に延在する複数の端子110を有していた。したがって、端子110上にフレキシブル回路基板27の配線71を重ね合わせると、図16、図18に示すように、端子110の全体が配線71と重なっていた。また、図16に示すように、NCP79がフレキシブル回路基板27の端部と折り曲げた部分の周囲に残存した状態で、流路形成基板22とフレキシブル回路基板27とが固定されていた。
【0053】
従来の実装構造においては、端子110と配線71との接合部の延在方向の寸法が同一であり、端子110と配線71とが全体にわたって接触しているため、実装プロセスにおいて圧着ツール等を用いて接合部に荷重を加えても、端子110と配線71との接合面積が大きいために圧力が分散され、十分な荷重が接合面全体に均一に加わらない場合があった。また、端子110と配線71との接合面が大きいため、接合面上からNCP79の絶縁性樹脂を完全に排除できない場合があった。これらの要因により、接合不良が生じる虞があった。
【0054】
これに対して、本実施形態のフレキシブル回路基板27の実装構造によれば、端子74のうち、配線71と直接接触する接合部75の延在方向の寸法L1が、基板折曲部27Aにおける配線71の延在方向の寸法L2よりも小さいため、フレキシブル回路基板27の折曲部27Aの寸法が従来と同じであったとしても、端子74と配線71との接合面積、実質的には接合部75と配線71との接合面積が従来よりも小さくなる。そのため、圧着ツール等を用いて従来と同じ荷重を加えても、接合面積が小さい分、接合部75に荷重が集中し、単位面積あたりに加わる圧力は従来よりも大きくなる。よって、接合部75と配線71とが十分に圧着される。
【0055】
さらに、本実施形態の実装構造によれば、フレキシブル回路基板27側の配線71の全てにわたって流路形成基板22側の接合部75が対向するのではなく、接合部75が存在しない部分では流路形成基板22とフレキシブル回路基板27との間に接合部75の厚さ分(例えば数μm程度)の微小な空間(間隙)が生じる。これにより、NCP79の絶縁性樹脂が接合面から円滑に排除されつつ、この空間に残存し、接合部75と配線71とが安定して固定される。このようにして、電気的接合不良の発生を防止でき、信頼性の高い接合構造が安定して得られるフレキシブル回路基板27の実装構造を提供することができる。また、流路形成基板22上のリード電極47から端子74にかけてのパターン設計を変更するのみでこの構成を容易に実現することができる。
【0056】
本実施形態によれば、上述した実装構造を用いて流路形成基板22上にフレキシブル回路基板27が実装されているため、電気的接続の信頼性が高く、高品質の液滴吐出ヘッド1を実現することができる。
【0057】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態のフレキシブル回路基板の実装構造について、図8〜図9を用いて説明する。
図8は流路形成基板の端子部の平面図である。図9は端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【0058】
第1実施形態では、図6に示したように、流路形成基板22の開口部60の一方側(図6の右側)から端子74が延在している構成例を示した。これに対して、本実施形態では、図8に示すように、流路形成基板22の開口部60の対向する2辺(図8の右側および左側)から端子74A,74Bが延在している。そして、図9に示すように、図8の右側から延在する複数の端子74A、図8の左側から延在する複数の端子74Bに対して1枚のフレキシブル回路基板27の配線71が重ね合わせられ、電気的接続がなされている。
【0059】
本実施形態においても第1実施形態と同様、端子74A,74Bは、配線折曲部76と接合部75とから構成され、接合部75はリード電極47(配線)の延長線D上から外れた位置(図8における延長線Dよりも下側)に配置されている。
【0060】
本実施形態の実装構造においても、端子74A,74Bと配線71との接合面積が小さくなることで、接合部75と配線71との圧着性およびNCPの排出性が高まるため、電気的接合不良の発生を防止でき、信頼性の高い接合構造が安定して実現できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0061】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態のフレキシブル回路基板の実装構造について、図10〜図12を用いて説明する。
図10は本実施形態のフレキシブル回路基板の実装構造を示す断面図である。図11は流路形成基板の端子部の平面図である。図12は端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【0062】
第1、第2実施形態では、流路形成基板22上のリード電極47と接合部75とが同一面上に位置していた。これに対して、本実施形態の実装構造では、図10に示すように、接合部85が流路形成基板22の上面(第1面)の絶縁膜(図示略)上に形成される一方、リード電極47の延長部47b(導電部)が絶縁膜(図示略)上面とは異なる面(第2面)上に形成されている。また、第1面と第2面との間の任意の層83を貫通する貫通孔81が形成され、貫通孔81内に導電性材料が埋め込まれることで中継導通部82が形成されている。中継導通部82は、製造プロセスに応じてリード電極47の延長部47bと一体に形成されても良いし、接合部85と一体に形成されても良い。
【0063】
本実施形態の場合、リード電極47の延長部47bが絶縁膜上面とは異なる面上に形成されたことで、各接合部85は、図11に示すように、絶縁膜上面において孤立した形態となる。この構成により、接合部85の配線延在方向の寸法は、フレキシブル回路基板27の基板折曲部27Aにおける配線71の延在方向の寸法と比べて小さくなる。また、接合部85とリード電極47の延長部47bとが中継導通部82を介して電気的に接続される。
【0064】
リード電極47の延長部47b(導電部)を形成する位置(層)は、様々な形態が考えられる。例えば、図4において、絶縁膜(図示略)、下電極膜42、および弾性膜41を貫通する貫通孔を形成し、弾性膜41の下層側に配置しても良い。さらに、上記の層に加えて流路形成基板22を貫通する貫通孔を形成し、流路形成基板22の下面側に配置しても良い。
【0065】
本実施形態の実装構造においても、接合部85と配線71との接合面積が小さくなることで接合部85と配線71との圧着性およびNCPの排出性が高まるため、電気的接合不良の発生を防止でき、信頼性の高い接合構造が安定して実現できる、といった第1、第2実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態の場合、第1、第2実施形態のような配線折曲部が必要ないため、基板の法線方向から見て配線および接合部を同一直線上に形成することができ、配線の引き回しの設計が容易になる。
【0066】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態のフレキシブル回路基板の実装構造について、図13〜図15を用いて説明する。
図13は本実施形態のフレキシブル回路基板の実装構造を示す断面図である。図14は流路形成基板の端子部の平面図である。図15は端子部にフレキシブル回路基板を重ね合わせた状態を示す平面図である。
【0067】
本実施形態の実装構造においても、第3実施形態と同様、図13に示すように、リード電極47の延長部47c(導電部)が絶縁膜(図示略)上面とは異なる面(第2面)上に形成されている。また、第1面と第2面との間の層83を貫通する貫通孔91が形成され、貫通孔91内に導電性材料が埋め込まれることで中継導通部92が形成されている。この構成により、接合部95の配線延在方向の寸法は、フレキシブル回路基板27の基板折曲部27Aにおける配線71の延在方向の寸法と比べて小さくなり、接合部95とリード電極47の延長部47cとが中継導通部92を介して電気的に接続される。
【0068】
本実施形態の場合、中継導通部92の形成位置が第3実施形態と異なっている。すなわち、第3実施形態において、中継導通部82は、フレキシブル回路基板27の配線71が接合される接合部85の接合領域内に形成されていた。これに対して、本実施形態の実装構造において、中継導通部92は、図13に示すように、フレキシブル回路基板27の配線71が接合される接合部95の接合領域より外側であって、基板折曲部27Aの外側に配置されている。
【0069】
本実施形態の実装構造においても、接合部95と配線71との接合面積が小さくなることで接合部95と配線71との圧着性およびNCPの排出性が高まるため、電気的接合不良の発生を防止でき、信頼性の高い接合構造が安定して実現できる、といった第1〜第3実施形態と同様の効果が得られる。また、配線71および接合部95を同一直線上に形成することができるため、配線の引き回しの設計が容易になる、といった第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0070】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。上記実施形態におけるフレキシブル回路基板の実装構造、およびこの実装構造を用いた液滴吐出ヘッドの各部の具体的な構成は、上記実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1…液滴吐出ヘッド、22…流路形成基板(第1基板)、23…圧電素子(駆動素子)、26,26A,26B…ドライバーIC(駆動回路部)、27…フレキシブル回路基板(第2基板)、71…配線、74,74A,74B…端子、75,85,95…接合部、76…配線折曲部、79…非導電性接着材、81,91…貫通孔、82,92…中継導通部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有し、第1方向に延在する端子が前記第1面に設けられた第1基板と、
前記第1面に対向する対向面を有し、前記第1方向に延在する配線が前記対向面に設けられた第2基板と、
前記第1面と前記対向面との間に設けられ、前記端子と前記配線とが対向して直接接触した状態で前記第1基板と前記第2基板とを接着する非導電性接着材と、を備え、
前記端子における前記配線と直接接触する接合部の前記第1方向の長さは、前記対向面における前記配線の前記第1方向の長さよりも短いことを特徴とする基板の実装構造。
【請求項2】
前記端子が、前記接合部と、前記接合部と電気的に接続され前記第1方向と交差する第2方向に延在する配線折曲部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板の実装構造。
【請求項3】
前記配線折曲部が、前記第1方向に対して斜めに交差する方向に延在していることを特徴とする請求項2に記載の基板の実装構造。
【請求項4】
前記端子が、前記第1基板の第1面に設けられた前記接合部と、前記第1基板の前記第1面とは異なる第2面に設けられた導電部と、前記第1面と前記第2面との間の層を貫通する貫通孔内に形成された中継導通部と、を備え、
前記接合部と前記導電部とが前記中継導通部を介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の基板の実装構造。
【請求項5】
前記接合部の接合面および前記配線の接合面が、平坦面であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の基板の実装構造。
【請求項6】
第1面に設けられ第1方向に延在する端子と、前記端子と電気的に接続され液滴を吐出させる圧力を発生させるための駆動素子と、が設けられた第1基板と、
前記第1面に対向する対向面に設けられ前記第1方向に延在する配線と、前記配線と電気的に接続され前記駆動素子を駆動する駆動回路部と、が設けられた第2基板と、
前記第1面と前記対向面との間に設けられ、前記端子と前記配線とが対向して直接接触した状態で前記第1基板と前記第2基板とを接着する非導電性接着材と、を備え、
前記端子における前記配線と直接接触する接合部の前記第1方向の長さは、前記対向面における前記配線の前記第1方向の長さよりも短いことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項7】
液滴を吐出させる圧力を発生させるための駆動素子と、所定の延在方向に延在する複数の端子と、を備えた第1基板に、前記駆動素子を駆動する駆動回路部と、前記延在方向と同一の方向に延在する複数の配線と、を備えたフレキシブル回路基板からなる第2基板が実装され、各端子と各配線とが電気的に接合されたことにより前記駆動素子と前記駆動回路部とが電気的に接続された液滴吐出ヘッドであって、
前記第2基板が前記延在方向と交差する方向に折り曲げられ、前記第2基板の折り曲げられた箇所よりも基板先端側にあたる基板折曲部の前記各配線と前記第1基板の各端子とが対向配置された状態で、前記第1基板と前記第2基板とが非導電性接着材により接着され、
前記第1基板の前記各端子のうち、前記配線と直接接触する接合部の前記延在方向の寸法が、前記第2基板の前記基板折曲部における前記配線の前記延在方向の寸法よりも小さいことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項1】
第1面を有し、第1方向に延在する端子が前記第1面に設けられた第1基板と、
前記第1面に対向する対向面を有し、前記第1方向に延在する配線が前記対向面に設けられた第2基板と、
前記第1面と前記対向面との間に設けられ、前記端子と前記配線とが対向して直接接触した状態で前記第1基板と前記第2基板とを接着する非導電性接着材と、を備え、
前記端子における前記配線と直接接触する接合部の前記第1方向の長さは、前記対向面における前記配線の前記第1方向の長さよりも短いことを特徴とする基板の実装構造。
【請求項2】
前記端子が、前記接合部と、前記接合部と電気的に接続され前記第1方向と交差する第2方向に延在する配線折曲部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板の実装構造。
【請求項3】
前記配線折曲部が、前記第1方向に対して斜めに交差する方向に延在していることを特徴とする請求項2に記載の基板の実装構造。
【請求項4】
前記端子が、前記第1基板の第1面に設けられた前記接合部と、前記第1基板の前記第1面とは異なる第2面に設けられた導電部と、前記第1面と前記第2面との間の層を貫通する貫通孔内に形成された中継導通部と、を備え、
前記接合部と前記導電部とが前記中継導通部を介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の基板の実装構造。
【請求項5】
前記接合部の接合面および前記配線の接合面が、平坦面であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の基板の実装構造。
【請求項6】
第1面に設けられ第1方向に延在する端子と、前記端子と電気的に接続され液滴を吐出させる圧力を発生させるための駆動素子と、が設けられた第1基板と、
前記第1面に対向する対向面に設けられ前記第1方向に延在する配線と、前記配線と電気的に接続され前記駆動素子を駆動する駆動回路部と、が設けられた第2基板と、
前記第1面と前記対向面との間に設けられ、前記端子と前記配線とが対向して直接接触した状態で前記第1基板と前記第2基板とを接着する非導電性接着材と、を備え、
前記端子における前記配線と直接接触する接合部の前記第1方向の長さは、前記対向面における前記配線の前記第1方向の長さよりも短いことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項7】
液滴を吐出させる圧力を発生させるための駆動素子と、所定の延在方向に延在する複数の端子と、を備えた第1基板に、前記駆動素子を駆動する駆動回路部と、前記延在方向と同一の方向に延在する複数の配線と、を備えたフレキシブル回路基板からなる第2基板が実装され、各端子と各配線とが電気的に接合されたことにより前記駆動素子と前記駆動回路部とが電気的に接続された液滴吐出ヘッドであって、
前記第2基板が前記延在方向と交差する方向に折り曲げられ、前記第2基板の折り曲げられた箇所よりも基板先端側にあたる基板折曲部の前記各配線と前記第1基板の各端子とが対向配置された状態で、前記第1基板と前記第2基板とが非導電性接着材により接着され、
前記第1基板の前記各端子のうち、前記配線と直接接触する接合部の前記延在方向の寸法が、前記第2基板の前記基板折曲部における前記配線の前記延在方向の寸法よりも小さいことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−228606(P2011−228606A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99526(P2010−99526)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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