説明

基板スクリーン印刷装置

【課題】長時間の印刷中断後、作業工数を余分に必要とせず、またはクリーム状はんだの無駄を生じることなく、印刷を再開することができる基板スクリーン印刷装置を提供する。
【解決手段】基板搬入コンベヤに回路基板が搬入されない状態が設定時間CA、続けば印刷を中断したと判断し(S1〜S4)、設定経過時間CBを設定し(S6)、時間CBの経過毎にクリーム状はんだの粘度対応負荷を検出し、印刷に不適切であればスキージ移動回数を決定し、スキージを移動させてクリーム状はんだを混練する(S7〜S10,S12〜S14)。印刷中断後、再開時に設定経過時間が経過していればクリーム状はんだの粘度対応負荷を検出し、印刷に不適切であればスキージ移動回数を決定してスキージを移動させ、クリーム状はんだを混練してもよい。印刷を中断しても自動混練によりクリーム状はんだの粘度を適切な大きさに維持し、印刷再開後も容易に高い印刷品質を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板にクリーム状はんだを印刷する基板スクリーン印刷装置に関するものであり、特に、クリーム状はんだを印刷に適した状態に維持する状態維持に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板スクリーン印刷装置には、スクリーン上に載せられたクリーム状はんだをスキージによりスクリーンに沿って移動させ、クリーム状はんだをスクリーンの貫通孔を通して回路基板に印刷する装置がある。この種の基板スクリーン印刷装置において印刷が継続的に行われている間は、クリーム状はんだがスキージによって移動させられることにより練り混ぜられ、粘度が印刷に適した大きさに保たれるが、印刷開始時にも適切な大きさにあることが必要である。そのため、下記の特許文献1に記載の基板スクリーン印刷装置においては、一連の回路基板へのクリーム状はんだの印刷開始時や、クリーム状はんだがなくなった場合のように、クリーム状はんだがスクリーン上に投入されたとき、スキージをスクリーンの貫通孔が形成されていない領域であるマージン部内において繰り返し往復移動させ、そのマージン部上に載せられたクリーム状はんだを練り混ぜることにより、印刷開始時から、印刷に適した大きさの粘度が得られるようにされている。
【特許文献1】特開平1−262694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、印刷が長時間、中断された場合には、クリーム状はんだがスクリーン上に載せられたまま、練り混ぜられない状態が続くため、粘度が変化し、印刷に適さない大きさになる。そのため、中断後の印刷再開時にクリーム状はんだを基板スクリーン印刷装置の外に出して再度練り混ぜた後、スクリーン上に戻し、あるいは中断後、印刷再開前に基板スクリーン印刷装置にダミー基板を投入し、クリーム状はんだの粘度が印刷に適した状態に戻るまでダミー基板にクリーム状はんだを印刷する捨て印刷を行う生産準備作業が行われている。このようにすれば、クリーム状はんだが印刷に適した状態で印刷を再開することができるが、作業工数が余分に必要となり、あるいはクリーム状はんだに無駄が生じる。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、長時間の印刷の中断後、作業工数を余分に必要とせず、またはクリーム状はんだの無駄を生じることなく、印刷を再開することができる基板スクリーン印刷装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題は、スクリーン上に載せられたクリーム状はんだをスキージによりスクリーンに沿って移動させることにより、クリーム状はんだをスクリーンの貫通孔を通して回路基板に印刷する基板スクリーン印刷装置に、長時間の印刷の中断にもかかわらずクリーム状はんだを、適切な印刷が行われる状態に自動で維持する状態維持装置を設けることにより解決される。
上記長時間とは、上記状態維持装置が作動しなければ、クリーム状はんだが適切な印刷が行われない状態になる時間以上の時間である。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係るスクリーン印刷装置においては、印刷が長時間中断され、クリーム状はんだがスクリーン上に載せられたままにされても、状態維持装置により適切な印刷が行われる状態に自動で維持されるため、印刷の中断後、作業工数を余分に必要とせず、またはクリーム状はんだの無駄を生じることなく、印刷を再開することができる。
【発明の態様】
【0006】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載,従来技術等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0007】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(3)項が請求項3に、(4)項が請求項4に、(5)項が請求項5に、(7)項が請求項6に、(12)項が請求項7に、それぞれ相当する。
【0008】
(1)スクリーン上に載せられたクリーム状はんだをスキージによりスクリーンに沿って移動させることにより、クリーム状はんだをスクリーンの貫通孔を通して回路基板に印刷する基板スクリーン印刷装置において、
長時間の印刷の中断にもかかわらずクリーム状はんだを、適切な印刷が行われる状態に自動で維持する状態維持装置を設けた基板スクリーン印刷装置。
(2)前記状態維持装置が、
前記スクリーンの、前記スキージの移動方向において前記貫通孔が形成されていない領域である前方マージン部と後方マージン部との少なくとも一方において前記スキージを移動させることにより、前記スクリーン上のクリーム状はんだを混練することによって、前記適切な印刷が行われる状態に維持する混練制御部と、
当該基板スクリーン印刷装置の印刷中断中に混練の必要性の有無を判断し、混練が必要である場合には前記混練制御部を作動させる混練必要性判断部と
を含む(1)項に記載の基板スクリーン印刷装置。
マージン部には貫通孔が形成されていないため、クリーム状はんだの混練が行われるとき、貫通孔にクリーム状はんだが充填されることがなく、クリーム状はんだを無駄にすることも、スクリーンの貫通孔が形成されて印刷に使用される部分である貫通孔形成領域を汚すこともなく、クリーム状はんだの粘度を印刷に適した状態に維持することができる。また、クリーム状はんだの混練が印刷中断中(印刷再開直前を含む)に行われるため、中断が終了したときにはクリーム状はんだの粘度が印刷に適した大きさにあり、印刷再開当初から回路基板へのクリーム状はんだの印刷を行うことができる。さらに、混練は必要な場合にのみ行われるため、無用な混練が行われることを回避することができる。
(3)前記混練必要性判断部が、前記印刷の中断開始または前記混練制御部の前回の作動からの経過時間を計測する経過時間計測部を含み、少なくともその経過時間計測部により計測された経過時間が予め設定された設定経過時間以上になったとの条件が満たされた場合に前記混練が必要であるとの判断をする経過時間依拠判断部を含む(2)項に記載の基板スクリーン印刷装置。
印刷の中断開始時には、その開始から経過時間が計測され、中断開始から設定経過時間が経過して1回でも混練が行われた場合には、その混練から再度経過時間の計測が開始される。
経過時間依拠判断部は、経過時間が設定経過時間以上になったことのみを条件として混練が必要であると判断するものとすることも、実施例の項において詳述するように、実際の粘度対応量が設定粘度対応量以上であること等、付加的な条件も満たされた場合に混練が必要であると判断するものとすることも可能である。
経過時間依拠判断部が前者のものである場合には、印刷中断中、設定経過時間が経過する毎に混練が行われる。クリーム状はんだの状態、例えば、粘度は時間の経過に従って変化するが、時間の計測は、検出装置によるクリーム状はんだの粘度対応量の検出に比較して容易であり、クリーム状はんだの混練の必要性を容易に判断することができる。
(4)前記状態維持装置が、
前記スクリーンの、前記スキージの移動方向において前記貫通孔が形成されていない領域である前方マージン部と後方マージン部との少なくとも一方において前記スキージを移動させることにより、前記スクリーン上のクリーム状はんだを混練することによって、前記適切な印刷が行われる状態に維持する混練制御部と、
当該基板スクリーン印刷装置の前記印刷の中断後における印刷再開時に混練の必要性の有無を判断し、混練が必要である場合には前記混練制御部を作動させる混練必要性判断部と
を含む(1)項に記載の基板スクリーン印刷装置。
本項の基板スクリーン印刷装置においては、中断後、印刷の再開時のみに混練が行われる(混練の必要があればであるが)ため、印刷中断中は基板スクリーン印刷装置が停止しており、エネルギが節約される。
スクリーン印刷装置に(2)項に記載の混練必要性判断部と本項に記載の混練必要性判断部との両方を設けることも可能である。その場合、両混練必要性判断部が選択的に使用されるようにすることも、一方が他方のフェールセイフとして機能し、印刷中断中と印刷再開時とのいずれかにおいて必ず混練の必要性が判断され、必要であれば混練が行われるようにすることも可能であるが、実施例において説明するように、通常作動として両方共に機能するようにしてもよい。あるいは、混練の必要性を、(2)項に記載の混練必要性判断部は時間に基づいて判断するものとし、本項に記載の混練必要性判断部はクリーム状はんだの粘度対応量に基づいて判断する粘度対応量依拠判断部とし、印刷中断後における印刷再開時に、経過時間には関係なく、クリーム状はんだの粘度対応量が検出され、印刷に適した粘度であるか否かにより混練の必要性が判断されるようにしてもよい。
(5)前記混練必要性判断部が、前記印刷の中断開始からの経過時間を計測する経過時間計測部を含み、少なくともその経過時間計測部により計測された経過時間が予め設定された設定経過時間以上になったとの条件が満たされた場合に前記混練が必要であるとの判断をする経過時間依拠判断部を含む(4)項に記載の基板スクリーン印刷装置。
本項に記載の基板スクリーン印刷装置には、(3)項の説明が当てはまる。なお、(2)項に記載の混練必要性判断部と(4)項に記載の混練必要性判断部との両方が設けられ、通常作動として両方共が機能させられる場合は、経過時間計測部が、印刷の中断開始からの経過時間あるいは混練制御部の前回の作動からの経過時間を計測するものとされる。
(6)前記設定経過時間を、前記クリーム状はんだの種類と、当該基板スクリーン印刷装置が設置されている環境の条件と、スクリーンの貫通孔の条件(例えば、使用中のスクリーンにおいて最も印刷が困難な貫通孔の形状,寸法等)とのうちの少なくとも1つに基づいて設定する時間設定部を含む(3)項または(5)項に記載の基板スクリーン印刷装置。
時間設定部は、例えば、経過時間と粘度対応量との関係を表す参照データを記憶する参照データ記憶部を含み、その参照データを参照して設定経過時間を設定するものとすることができる。その場合、その参照データが、例えば、クリーム状はんだの種類と、当該基板スクリーン印刷装置が設置されている環境の条件との少なくとも一方に応じて複数種類記憶されるようにすることができる。
環境の条件には、例えば、温度と湿度との少なくとも一方が含まれる。環境の条件等は、実施例の項において説明するように、クリーム状はんだの状態との関係が深く、それらに基づいて設定経過時間を設定することにより、混練の必要性を的確に判断し得る設定経過時間が得られる。
(7)前記混練必要性判断部が、前記スクリーン上に載せられたクリーム状はんだの粘度に対応する粘度対応量を検出する検出装置を含み、その検出装置により検出された粘度対応量が設定粘度対応量以上の場合に前記混練が必要であるとの判断をする粘度対応量依拠判断部を含む(2)項ないし(6)項のいずれかに記載の基板スクリーン印刷装置。
粘度対応量には粘度自体も含まれるが、粘度自体以外の粘度対応量が検出されるようにすれば、粘度自体を取得することが容易ではない場合にも、混練の必要性を判断することができる。粘度対応量の検出によれば、混練が必要であるか否かを確実に判断することができ、本項が(3)項あるいは(5)項に従属する態様では、経過時間計測部により計測される経過時間が設定経過時間以上となった場合でも、粘度対応量が設定粘度対応量以上でなければ混練が行われず、クリーム状はんだの粘度が印刷に適した大きさであるにもかかわらず、無駄に混練が行われることが回避される。
(8)前記検出装置が、前記スクリーン上に載せられたクリーム状はんだに接触して前記粘度対応量を検出する検出子を備えた接触式検出装置を含む(7)項に記載の基板スクリーン印刷装置。
(9)前記接触式検出装置が、前記検出子が、前記スクリーンの、前記スキージの移動方向に直角な方向である幅方向において、前記貫通孔が形成されていない領域である側方マージン部上のクリーム状はんだに接触する位置に設けられた(8)項に記載の基板スクリーン印刷装置。
クリーム状はんだの側方マージン部に載せられる部分は、貫通孔形成領域に載せられて回路基板に印刷される部分と同様にスキージにより移動させられて練り混ぜられるため、状態は同じである。検出子がクリーム状はんだに接触させられれば、クリーム状はんだの形が崩れたり、空気の混入を生じさせることがあるが、クリーム状はんだの側方マージン部に載せられる部分であれば、それらが生じても支障はなく、かつ、必要な粘度対応量を検出することができる。
(10)前記接触式検出装置の前記検出子を、前記スクリーン上に載せられたクリーム状はんだに接触する接触位置と、そのクリーム状はんだから離間する離間位置とに移動させる検出子移動装置を含む(8)項または(9)項に記載の基板スクリーン印刷装置。
検出子移動装置は、検出子を検出装置本体に対して移動させるものでも、検出装置全体を移動させるものでもよい。
検出子を接触位置と離間位置とに移動させるようにすれば、印刷時には検出子を離間位置へ退避させておくことにより、印刷の邪魔になることがない。
(11)前記混練制御部による混練条件を決定する混練条件決定部を含む(2)項ないし(10)項のいずれかに記載の基板スクリーン印刷装置。
(12)前記混練条件決定部が、前記クリーム状はんだの種類と、当該基板スクリーン印刷装置が設置されている環境の条件と、前記経過時間の長さと、前記混練のために前記スキージを移動させ得る距離と、前記スクリーンの貫通孔の条件(例えば、使用中のスクリーンにおいて最も印刷が困難な貫通孔の形状,寸法等)と、クリーム状はんだの粘度に対応する粘度対応量とのうちの少なくとも1つに基づいて、前記混練のための前記スキージの移動回数を決定する移動回数決定部を含む(11)項に記載の基板スクリーン印刷装置。
移動回数決定部は、例えば、経過時間と粘度対応量との関係、および粘度対応量と所要混練回数との関係を表す参照データを記憶する参照データ記憶部を含み、その参照データを参照してスキージの移動回数を決定するものとすることができる。その場合、例えば、経過時間と粘度対応量との関係を表す参照データが、クリーム状はんだの種類と、当該基板スクリーン印刷装置が設置されている環境の条件との少なくとも一方に応じて複数種類記憶されるようにすることができる。
また、粘度対応量と所要混練回数との関係を表す参照データが、クリーム状はんだの種類と、スクリーンの貫通孔の条件(例えば、使用中のスクリーンにおいて最も印刷が困難な貫通孔の形状,寸法等)との少なくとも一方に応じて複数種類記憶されるようにすることができる。粘度対応量は、上記経過時間と粘度対応量との関係を表す参照データに基づいて取得されたものでも、検出装置により検出されたものでもよい。
混練は、前方マージン部と後方マージン部との少なくとも一方において行われるが、それらのスキージを移動させ得る距離が短ければ、スキージの1回の移動によるクリーム状はんだの移動距離が短くなる。したがって、混練のためにスキージを移動させ得る距離を考慮して移動回数が決定されるようにすれば、クリーム状はんだを印刷に適した状態とするに足る距離、移動させることができる。
長時間の印刷の中断によるクリーム状はんだの状態の変化には、クリーム状はんだの種類等が影響し、また、粘度対応量を取得すれば、クリーム状はんだの現状がわかる。したがって、クリーム状はんだの種類,粘度対応量等に基づいてスキージの移動回数を決定することにより、クリーム状はんだをできるだけ過不足なく混練し、印刷に適した状態に維持することができる。
(13)前記混練制御部の作動に先立って、その作動を報知する混練報知装置を含む(2)項ないし(12)項のいずれかに記載の基板スクリーン印刷装置。
混練報知装置の報知により、作業者が印刷の長時間の中断に基づいて混練が行われることを知ることができ、例えば、突然混練が開始されて作業者が驚かされることを回避することができる。あるいは、混練開始前または混練中に、クリーム状はんだの状態を目視により確認したりすることが可能になる。
【実施例】
【0009】
以下、請求可能発明のいくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0010】
図1に一実施例としての基板スクリーン印刷装置を示す。本基板スクリーン印刷装置において回路基板10は、基板搬送装置11(図5参照)により、図1において紙面に直角な方向に搬送され、基板スクリーン印刷装置に搬入,搬出される。本基板搬送装置11は、コンベヤ装置の一種であるベルトコンベヤにより構成され、図3に概略的に示すように、直列に設けられた基板搬入コンベヤ11a,メインコンベヤ11bおよび基板搬出コンベヤ11cを含む。本基板スクリーン印刷装置は、電子回路部品装着システムやリフロー炉等、他の対基板作業機と共にプリント回路板生産ラインを構成し、基板搬送方向において上流側に設けられた前工程の対基板作業機から基板搬入コンベヤ11aへ、その作業機における作業の済んだ回路基板10が搬入され、基板搬入コンベヤ11aからメインコンベヤ11bへ搬入される。また、基板スクリーン印刷装置においてクリーム状はんだの印刷の済んだ回路基板10がメインコンベヤ11bから基板搬出コンベヤ11cへ搬出されるとともに、基板搬出コンベヤ11cから、下流側に設けられた後工程の対基板作業機へ搬出される。なお、前工程の対基板作業機に替えて基板供給装置が設けられ、基板スクリーン印刷装置が生産ラインにおいて最も上流側(先頭)の対基板作業機とされることもあり、その場合、基板供給装置から基板搬入コンベヤ11aに回路基板10が搬入される。
【0011】
基板搬送装置11による基板搬送経路の途中であって、メインコンベヤ11bに対応する部分に基板保持装置12(図1参照)が設けられ、回路基板10を保持する。基板保持装置12は、図1に示すように、印刷装置本体14に設けられ、例えば、支持部材により回路基板10を下方から支持する基板支持装置と、回路基板10を搬送方向に直角な両側から挟んでクランプするクランプ装置とを備え、基板保持装置昇降装置16により昇降させられ、保持した回路基板10をスクリーン保持装置18に保持されたスクリーン20に接近,離間させる。
【0012】
スクリーン20には、図2および図4に例示するように、複数の貫通孔22が形成され、矩形のスクリーン枠24に取り付けられている。貫通孔22は、スクリーン20の中央部である貫通孔形成領域28に形成されている。貫通孔形成領域28は、例えば、平面視形状が矩形を成し、回路基板10と同じ形状,寸法を有する。スクリーン20の後述するスキージの移動方向において貫通孔形成領域28の両側にはいずれも、貫通孔22が形成されておらず、一方の側が前方マージン部30、他方の側が後方マージン部32を構成している。
【0013】
スクリーン保持装置18は、例えば、印刷装置本体14に設けられたスクリーン支持台26(図1参照)と、スクリーン20をスクリーン支持台26に固定する固定装置(図示省略)とを備え、スクリーン20を基板保持装置12の上方において水平な姿勢で保持する。スクリーン支持台26には開口が設けられ、スクリーン20の貫通孔形成領域28が回路基板10に接触させられるようにされており、その開口の周縁部である支持部上にスクリーン枠24が載置され、スクリーン支持台26に固定される。支持部は、スクリーン枠24のみならず、スクリーン20のマージン部30,32も載置され、下方から支持する形状,寸法を有するものとされている。回路基板10は、基板保持装置12の上昇によりスクリーン20に接近させられ、スクリーン20の下面に接触させられ、あるいは接触可能とされ、下降によりスクリーン20から離間させられる。基板保持装置昇降装置16は、基板保持装置12とスクリーン保持装置18とをスクリーン20に直角な方向に相対移動させ、接近,離間させる相対移動装置たる接近・離間装置を構成している。
【0014】
印刷装置本体14にはまた、図1に示すように、スキージ装置38が設けられ、そのスキージユニット40により回路基板10にクリーム状はんだが印刷される。本スキージ装置38においてスキージユニット40は一対設けられ、スキージ保持装置42により保持される。スキージ保持装置42は、相対移動装置たるスキージ保持装置移動装置44により、基板保持装置12およびスクリーン保持装置18に対してスクリーン20に平行な方向に移動させられる。スキージ保持装置移動装置44は、可動部材としてのスライダ50と、スライダ移動装置52とを含む。スライダ移動装置52は、駆動源たるスライダ移動用モータ54(図5参照)と、ボールねじ56およびナット58を含む送りねじ装置60(図1参照)とを含み、スライダ50を案内部材としてのガイドレール(図示省略)に案内させつつ、スクリーン20に平行な方向であって、水平面内において基板搬送方向と直交する方向において任意の位置に移動させる。スライダ移動用モータ54は、例えば、エンコーダ付サーボモータにより構成される。サーボモータは、回転角度の正確な制御が可能な回転電動モータであり、スライダ50の移動位置および移動速度が精度良く制御される。サーボモータに代えてステップモータを用いてもよく、リニアモータを用いてもよい。
【0015】
本スキージ保持装置42は、図2に示すように、スライダ50に設けられ、スライダ50が移動させられることにより、スキージ保持装置42に保持されたスキージユニット40がスクリーン保持装置18に保持されたスクリーン20に沿って移動し、基板保持装置12に保持された回路基板10にクリーム状はんだを印刷する。基板保持装置12に保持された回路基板10の被印刷面たる上面に平行な平面である水平面内において基板搬送方向と直交する方向が印刷方向(図1および図2においては左右方向)である。
【0016】
本スキージ保持装置42は、図2に示すように、一対の保持ヘッド70および保持ヘッド昇降装置72を含む。保持ヘッド昇降装置72は、流体圧アクチュエータの一種である流体圧シリンダとしてのエアシリンダ73により構成され、スライダ50に下向きに設けられている。このエアシリンダ73のピストンロッド74の延出端部である下端部に、一対のロードセル80を介して一対の保持ヘッド70が取り付けられている。一対のロードセル80の下側に取り付けられた連結部材82の下端部に支持部材としての支持板84が水平に取り付けられ、支持板84に一対の保持ヘッド70が印刷方向に平行な方向に並んで設けられており、保持ヘッド昇降装置72により一斉に昇降させられ、スクリーン20に直角な方向に移動させられる。一対の保持ヘッド70の昇降の案内は、支持板84に鉛直に立設された一対の被案内部材としてのガイドロッド(図示省略)がスライダ50に設けられた一対の案内部材としてのガイドブロック(図示省略)に鉛直方向に相対移動可能に嵌合されることにより行われる。
【0017】
保持ヘッド昇降装置72を構成するエアシリンダ73は複動シリンダであり、2つのエア室はそれぞれ、電磁弁装置たる電磁方向切換弁86の切換えにより、正圧ポンプ等のエア源88に連通させられる状態と、大気に解放される状態と、いずれにも連通させられない状態とに制御される。また、エアシリンダ73の下側のエア室と電磁方向切換弁86との間には、流量制御弁たる比例電磁流量調整弁89が設けられ、下側のエア室に供給されるエアの流量が制御され、保持ヘッド70の上昇速度が制御される。
【0018】
一対の保持ヘッド70はそれぞれ、図2に示すように、ユニット保持部材90と、ユニット選択装置92とを含む。本ユニット選択装置92はエアシリンダにより構成され、上記支持板84に下向きに設けられている。このエアシリンダのシリンダハウジング94は支持板84に固定され、ピストンロッド96は支持板84から下方へ延び出させられ、その延出端部に設けられた取付部材98にユニット保持部材90が印刷方向に平行な軸線まわりに揺動可能に取り付けられている。ユニット保持部材90は長手形状を成し、印刷方向と直交する方向に平行に設けられている。
【0019】
前記一対のスキージユニット40はそれぞれ、図2に示すように、スキージ100およびスキージ保持部材102を含む。スキージ100およびスキージ保持部材102はそれぞれ長手形状を成し、スキージ保持部材102はスキージ100を着脱可能に保持した状態でユニット保持部材90に着脱可能に取り付けられる。このスキージ100は金属製であり、薄い板状を成し、可撓性を有し、弾性変形可能である。一対のスキージユニット40の各スキージ100はそれぞれスキージ保持部材102により、長手方向が印刷方向と直交する方向に平行となるとともに、スクリーン20に直角な平面に対して下方ほど互いに離間する向きに傾斜し、対向した姿勢で保持される。なお、符号106は、スキージ100の長手方向の両側にそれぞれ配設され、スキージ保持部材102に取り付けられた掻取部材であり、スキージ100の側方のクリーム状はんだを掻き取ってスキージ100側へ戻す。図2には、スキージ100の一方の側に設けられた掻取部材106が図示されている。
【0020】
一対のスキージユニット40はそれぞれ、ユニット保持部材90がユニット選択装置92によって昇降させられることにより、ロードセル80に対する下降端位置であって、印刷に使用される使用位置と、ロードセル80に対する上昇端位置であって、印刷に使用されない非使用位置とに移動させられる。このスキージユニット40の昇降の案内は、例えば、取付部材98に鉛直方向に立設された被案内部材たる一対のガイドロッド(図示省略)が、支持板84に設けられた案内部材たる一対のガイドブロック(図示省略)に相対移動可能に嵌合されることにより行われる。一対のスキージユニット40は、それらのうちの一方が選択的に使用位置に位置させられ、クリーム状はんだの印刷に使用される。一方のスキージユニット40が使用位置へ下降させられた状態では、他方のスキージユニット40は非使用位置に位置させられ、一対の保持ヘッド70が保持ヘッド昇降装置72によって昇降させられることにより、一対のスキージユニット40が昇降させられるが、使用位置に下降させられたスキージユニット40は、そのスキージ100がスクリーン20に接触する接触位置と、スキージ100がスクリーン20から離間した離間位置とに移動させられ、非使用位置に上昇させられたスキージユニット40はスクリーン20に接触しない状態に保たれる。本基板スクリーン印刷装置においては、保持ヘッド昇降装置72がスキージ100とスクリーン20とをスクリーン20に直角な方向に相対移動させる相対移動装置の一種であり、スキージ100をスクリーン20に接触,離間させる接離装置を構成している。
【0021】
前記ロードセル80は、例えば、特許第3343284号公報に記載の荷重センサと同様に構成され、弾性変形部を有する本体と、弾性変形部に貼り付けられた複数枚のストレンゲージとを備え、図2に示すように、保持ヘッド昇降装置72のピストンロッド74と連結部材82との間に、それらの上下方向の相対移動を許容し、上下方向に力が加えられたとき、弾性変形部が弾性変形し、ストレンゲージに歪が生じるように設けられている。ストレンゲージの歪は、ブリッジ回路により電気信号に変換されるとともに、図示しない信号処理回路を経て制御装置120(図5参照)に供給される。この歪はロードセル80に加えられる負荷に対応している。ロードセル80には、後述するように、クリーム状はんだからスキージ100に加えられる負荷も加えられ、その負荷もロードセル80により検出される。ロードセル80が負荷検出装置を構成している。ロードセル80により検出される負荷に基づいて、スキージユニット40のスクリーン20に対する接触力が検出され、その接触力が常に適切な大きさとなるように保持ヘッド昇降装置72等が制御される。
【0022】
制御装置120は、図5に示すように、CPU122,ROM124,RAM126およびそれらを接続するバスを含むコンピュータ130を主体とするものであり、入出力部132には、ロードセル80,エンコーダ133,基板搬入センサ144,基板搬出センサ146の各検出信号等が入力されるとともに、入力装置148が接続されている。エンコーダ133は、スライダ移動用モータ54等、本基板スクリーン印刷装置の構成要素であるモータに設けられたものであり、1つを代表的に示す。入力装置148は、例えば、キーボード,マウス,表示画面,タッチパネルの少なくとも1つを含む等、オペレータ,作業者によるデータ,指示等の入力が可能な種々の態様で構成される。
【0023】
図3に概略的に示すように、基板搬入センサ144は基板搬送方向において基板搬入コンベヤ11aの上流側に設けられ、基板搬入コンベヤ11aへの回路基板10の搬入を検出し、基板搬出センサ146は基板搬送方向において基板搬出コンベヤ11cの下流側に設けられ、基板搬出コンベヤ11cから下流側の後工程の対基板作業機への回路基板10の搬出を検出するようにされている。これらセンサ144,146は、例えば、非接触型センサの一種である光電センサであって、透過型の光電センサにより構成され、発光部および受光部を備え、回路基板10を検出する状態と検出しない状態とで異なる信号を出力する。
【0024】
入出力部132にはまた、基板搬送装置11等、種々のアクチュエータ等が駆動回路134を介して接続されるとともに、制御回路136を介して混練報知装置138が制御される。混練報知装置138は、例えば、ブザーの鳴動やランプの点灯,点滅,表示画面への文字,図形等による情報の表示により混練の実行を報知する装置とされる。また、ROM124およびRAM126には、図示を省略するメインルーチン,回路基板10にクリーム状はんだを印刷するための印刷プログラム,図8,図9および図10にそれぞれフローチャートで示すクリーム状はんだ混練ルーチン等、種々のプログラムおよびデータ等が記憶させられている。これらルーチンはそれぞれ、設定時間間隔で実行される。
【0025】
回路基板10へのクリーム状はんだの印刷は、一対のスキージユニット40の各スキージ100により交互に行われる。回路基板10がメインコンベヤ11bに搬入され、基板保持装置12により保持されて上昇させられた後、一対のスキージユニット40のうち、印刷時におけるスライダ50の移動方向において上流側に位置するスキージユニット40が使用位置へ下降させられるとともに、保持ヘッド昇降装置72により接触位置へ下降させられ、スクリーン20に弾性変形させられた状態で接触させられる。スキージ100がスクリーン20に接触するまでの間は、一対ずつの保持ヘッド70およびスキージユニット40の重量の全部がロードセル80に下向きに加えられ、スキージ100がスクリーン20に接触させられた後は、2組の保持ヘッド70およびスキージユニット40の重量がスクリーン20によって受けられる状態となる。
【0026】
本基板スクリーン印刷装置において制御装置120は、ロードセル80の検出信号に基づいて、ロードセル80に下向きに加えられる負荷を負の値で算出し、上向きに加えられる負荷を正の値で算出するように構成されている。したがって、ロードセル80により検出される負荷は、2組の保持ヘッド70およびスキージユニット40がロードセル80に下向きの力を加える状態では負の値となり、それらの重量の全部がスクリーン20によって受けられる状態では0となり、その状態から更にスキージユニット40が下降させられてスクリーン20を押し、ロードセル80に上向きの力が加えられる状態では正の値となって、スキージ100が上記総重量に加えてスクリーン20を押す押付力を表し、図6に示すように、2組の保持ヘッド70およびスキージユニット40の総重量(正の値)に算出された押付力を加えることにより接触力が取得される。スキージ100がスクリーン20に接触しない状態では、2組のスキージユニット40および保持ヘッド70の重量の全部がロードセル80に加えられ、負荷は負の値で算出され、その絶対値は2組のスキージユニット40および保持ヘッド70の総重量と等しくなる。この総重量は、予め取得され、RAM126に記憶させられている。
【0027】
スキージユニット40が下降させられるとともに、スキージ100のスクリーン20への接触力が適切な大きさに制御されれば、スキージユニット40がスクリーン20に沿って移動させられ、スクリーン20上に、スキージ100の移動方向と直角な方向であって、スクリーン20の幅方向に平行に帯状に載せられたクリーム状はんだ150(図1参照)を貫通孔22に押し込み、プリント基板10に印刷する。印刷後、スキージユニット40は離間位置へ上昇させられるとともに非使用位置へ退避させられ、他方のスキージユニット40が使用位置へ下降させられ、次の回路基板10へのクリーム状はんだ150の印刷時にスクリーン20に接触させられる。この際、他方のスキージユニット40は、その移動方向においてクリーム状はんだ150に対して適切な相対位置、例えば、クリーム状はんだ150が一対のスキージ100の中央に位置し、他方のスキージユニット40のスキージ100がクリーム状はんだ150から上流側へやや離れた位置に位置する状態となる位置に位置させられ、スキージ100は、スクリーン20への接触後、クリーム状はんだ150側へ移動させられてクリーム状はんだ150に接触して押送し、回路基板10に印刷する。
【0028】
このように回路基板10に印刷されるクリーム状はんだ150は、回路基板10に印刷されず、スクリーン20上を移動させられて練り混ぜられることなく、スクリーン20上に放置されれば、時間の経過と共に粘度が変化する性質を有する。例えば、クリーム状はんだ150の水等液体の気化により粘度が大きくなるのであり、印刷が長時間、中断されれば、粘度が変化し、印刷に適した範囲から外れた状態となる。印刷は、例えば、プリント回路板生産ラインへの回路基板10の補給,生産ラインを構成する電子回路部品装着システムにおける電子回路部品の補給,昼休み,作業者のシフト交代等により生産ラインの稼働が停止されることにより中断される。
【0029】
そのため、本基板スクリーン印刷装置においては、印刷が設定時間以上、中断された場合にスキージ100を移動させてクリーム状はんだ150をスクリーン20上において移動させ、練り混ぜて粘度を印刷に適した状態に維持するようにされている。印刷中断時におけるクリーム状はんだ150の混練は、印刷中断中に混練の必要性の有無を判断し、必要であれば混練を行う印刷中断中混練と、印刷中断後、印刷再開時に混練の必要性の有無を判断し、必要であれば混練を行う印刷再開時混練と、印刷中断中および印刷再開時の両方において混練の必要性を判断し、必要であれば混練を行う印刷中断中・印刷再開時混練との3つの態様のうちのいずれか1つにより行われる。いずれの態様により混練を行うかは、例えば、作業者により入力装置148を用いて選択される。なお、生産ラインの稼働停止により印刷が中断されるとき、中断が指示された際に基板スクリーン印刷装置に既に搬入されている回路基板10は、全部についてクリーム状はんだ150が印刷されるとともに、搬出コンベヤ11cから後工程の対基板作業機へ搬出され、搬入コンベヤ11aへは新たな回路基板10が搬入されず、回路基板10の搬入を待つ状態とされる。基板スクリーン印刷装置は、空の状態で印刷の再開に備えて待機させられるのである。基板スクリーン印刷装置の前工程の対基板作業機では、その作業の種類が、印刷中断中、作業の済んだ回路基板10を対基板作業機に置いたままにしておいてよい作業であれば、その対基板作業機に留め置かれ、後工程へ搬出されて作業が施されることが必要な作業であれば、基板スクリーン印刷装置へ搬出され、基板スクリーン印刷装置においてクリーム状はんだが印刷されて、基板スクリーン印刷装置の後工程の対基板作業機へ搬出される。
【0030】
まず、図8の印刷中断中クリーム状はんだ混練ルーチンに基づいて、印刷中断中のクリーム状はんだ150の混練を説明する。
クリーム状はんだ混練ルーチンのステップ1(以後、S1と略記する。他のステップについても同じ。)において、基板搬入センサ144により回路基板10が検出されているか否かが判定される。基板スクリーン印刷装置が作動させられ、回路基板10へのクリーム状はんだ150の印刷が行われている状態では、基板搬入コンベヤ11aへの回路基板10の搬入が可能な状態になる毎に、前工程の対基板作業機から回路基板10が基板搬入コンベヤ11aへ搬入される。そのため、搬入時に回路基板10が基板搬入センサ144により検出され、S1の判定結果がYESになってS15が実行され、印刷中断フラグがセットされているか否かが判定される。印刷中断フラグはセットされることにより、印刷が中断されていることを表し、図示を省略するメインルーチンの初期設定等においてリセットされる。印刷が中断されておらず、印刷中断フラグがリセットされているとすれば、S15の判定結果がNOになってS17が実行され、カウンタのカウント値Cが0にリセットされる。カウンタは印刷中断時間を計測するためのカウンタであり、コンピュータ130に設けられている。
【0031】
回路基板10への一連の印刷動作の実行中であっても、回路基板10が基板搬入コンベヤ11aへ搬入されてしまえば、基板搬入センサ144は回路基板10を検出せず、S1の判定結果がNOになってS2が実行され、印刷中断フラグがセットされているか否かが判定される。印刷実行中は印刷中断フラグがリセットされており、S2の判定結果がNOになってS3が実行され、カウンタのカウント値Cが1増加させられ、基板搬入コンベヤ11aへ回路基板10が搬入されない時間が計測される。
【0032】
そして、S4が実行され、カウント値Cが設定時間CA(正確には、設定時間に対応して設定されたカウント値CA)以上になったかが判定される。回路基板10が検出されない状態が設定時間CA以上になるまで、S4の判定結果はNOであり、ルーチンの実行は終了する。設定時間CAは、基板スクリーン印刷装置が作動させられ、回路基板10へのクリーム状はんだ150の印刷が行われる際に基板搬入コンベヤ11aへ回路基板10が搬入される間隔時間より長く、印刷が中断されたと判断し得る長さに設定されている。そのため、印刷時に回路基板10が基板搬入センサ144により検出されない状態では、S3が実行されて基板非搬入時間が計測されるが、設定時間CAが経過する前に回路基板10が搬入され、基板搬入センサ144により検出されてS1,S15,S17が実行され、クリーム状はんだ150の混練が行われることはない。
【0033】
それに対し、印刷が中断され、回路基板10の搬入が検出されない状態が設定時間CA以上、継続すれば、S4の判定結果がYESになってS5が実行され、印刷中断フラグがセットされる。印刷の中断は、基板搬入センサ144による回路基板10の検出と、カウンタによる時間の計測とによって検出されるのであり、確実に検出される。次にS6が実行され、カウンタのカウント値により表される設定経過時間CBが設定され、RAM126に設けられた印刷中断中設定経過時間メモリに記憶させられる。設定経過時間CBは、印刷中断によりクリーム状はんだ150がスクリーン20上を移動させられず、練り混ぜられることなく、放置されることによって粘度が変化し、印刷に適した範囲から外れた大きさになった可能性があると判断し得る長さに設定される。
【0034】
設定経過時間CBは混練必要性判断時間たる印刷中断中混練必要性判断時間であり、例えば、スクリーン20の貫通孔22の寸法,クリーム状はんだ150の種類および当該基板スクリーン印刷装置が設置された場所の環境の各条件に基づいて設定される。クリーム状はんだ150は貫通孔22が小さいほど充填され難く、粘度が低い方が充填され易いが、種類によっては、粘度が同じでも貫通孔22に対する充填の容易性が異なる場合があり、また、温度が高く、湿度が低いほどクリーム状はんだ150中の水等液体が気化し、粘度が大きくなり易いとういうように、これら貫通孔22の寸法等は、クリーム状はんだ150の粘度との関連が深いからである。これら混練必要性判断時間の設定に必要な情報は、予め入力装置148を用いてコンピュータ130に入力されても、ホストコンピュータ等、コンピュータ130とは別のコンピュータから自動で入力されてもよい。貫通孔22の寸法は、例えば、貫通孔22が横断面形状が正円であれば直径、矩形であれば短辺の長さによって規定され、スクリーン20に形成された複数の貫通孔22のうち、最小の貫通孔22の寸法が入力される。また、温度や湿度の情報は、基板スクリーン印刷装置の検出装置により実際に検出されたものでもよく、ホストコンピュータ等から供給されたものでも、基板スクリーン印刷装置の設置環境として装置メーカあるいはクリーム状はんだメーカにより指定されている条件が入力されたものでもよい。
【0035】
コンピュータ130のROM124には、図11(a)に例示するように、スクリーン20の種類毎に異なり、複数種類ある最小の貫通孔22の寸法と、複数種類のクリーム状はんだの種類との各組合わせに対する、印刷に適したクリーム状はんだの粘度を示すテーブルと、図11(b)に示すように、取得された粘度と、温度および湿度の情報との各組み合わせに対する、設定経過時間CBを示すテーブルとが参照データとして記憶させられている。温度および湿度については組合わせが複数種類設定され、それら組合わせについてテーブルが作成されている。これらテーブルは、クリーム状はんだを実際に回路基板に印刷する実験を行い、その実験結果に基づいて作成されてもよく、クリーム状はんだの粘度を粘度検出装置により検出し、時間の経過に伴うクリーム状はんだの粘度の変化を取得して作成されてもよい。S6では、入力されたデータと、2つのテーブルとに基づいて設定経過時間CBが設定され、例えば、30分に設定される。
【0036】
設定経過時間CBが設定されれば、S7が実行され、カウンタのカウント値Cが1増加させられる。S7が初めて実行されるときには、設定時間CAが既に経過しているため、中断開始からの経過時間が計測されることとなる。次いでS8が実行され、設定経過時間CBが経過したか否かの判定が行われるが、この判定結果はNOであり、ルーチンの実行は終了する。一旦印刷の中断が検出されれば、印刷中断フラグがセットされるため、基板搬入センサ144により回路基板10の搬入が検出されるまで、S1の判定結果がNO、S2の判定結果がYESになってS3〜S6がバイパスされ、S7,S8が実行される。
【0037】
基板搬入センサ144によって回路基板10の搬入が検出されることなく、設定経過時間CBが経過し、中断許容時間を超えれば、S8の判定結果がYESになってS9が実行され、クリーム状はんだ150の粘度が検出される。クリーム状はんだ150の粘度は、本基板スクリーン印刷装置においては、スキージ100をクリーム状はんだ150から離間させる際にスキージ100に作用する下向きの力として検出され、粘度対応量たる粘度対応負荷として検出される。この粘度対応負荷の検出は、未だ公開されていないが、本出願人に係る特願2006−303234の明細書に記載されており、簡単に説明する。
【0038】
印刷後、スキージ100は上昇させられ、クリーム状はんだ150から離間させられており、クリーム状はんだ150の粘度対応負荷の検出時には、一対のスキージ100のうち、予め定められた一方が下降させられ、所定の接触力、例えば、印刷時と同様の接触力でスクリーン20に接触させられるとともに、クリーム状はんだ150側へ設定距離移動させられて、クリーム状はんだ150を回路基板10に押し付ける。その状態でスキージユニット40が上昇させられ、スキージ100がクリーム状はんだ150に接触しているが、スクリーン20から僅かに離れた状態となる上昇位置へ上昇させられ、スクリーン20への接触が解消された状態で停止させられる。このスキージ100の上昇の速度は規制され、低速でスクリーン20から離間させられる。また、スキージ100の上昇位置への到達は、例えば、エアシリンダ73のエア室へのエアの供給時間の設定により制御される。
【0039】
上昇位置への上昇後、スキージユニット40がスクリーン20に平行でかつスキージ100がクリーム状はんだ150から離間する向きに後退させられ、クリーム状はんだ150から離間させられる。この離間速度(後退速度)は、スキージ100がクリーム状はんだ150から離間し、その状態から更に設定距離後退させられるまで低く規制され、その後、加速されて高速で予め設定された後退端位置まで後退させられる。この後退端位置は、スキージ100の位置がクリーム状はんだ150に対して、前述のように適切な相対位置となる位置である。
【0040】
このようにスキージ100が上昇,後退させられるとき、クリーム状はんだ150の一部がスキージ100に付着し、その間、クリーム状はんだ150は、その粘度により、スキージ100に上昇方向および後退方向とは逆方向の力を加える。スキージ100は傾斜して設けられており、スキージ100の後退時にも、クリーム状はんだ150がスキージ100に加える力に基づいて、ロードセル80に下向きの負荷であって、引き下ろし力が加えられ、ロードセル80には、図7のグラフに示すように、スキージ100がクリーム状はんだ150から離間するまで、2組の保持ヘッド70およびスキージユニット40の総重量と、クリーム状はんだ150による引張力とが加えられることとなる。このクリーム状はんだ150による負荷は、スキージ100が後退させられ、クリーム状はんだ150から離れるに従って小さくなり、離間が完了すれば、ロードセル80に加えられる負荷は上記総重量と等しくなる。
【0041】
クリーム状はんだ150がロードセル80に加える引き下ろし力の大きさは、図7のグラフに示すように、クリーム状はんだ150の粘度が大きいほど大きく、ロードセル80により検出される負荷の絶対値が大きくなる。クリーム状はんだ150の粘度は、ロードセル80に加えられる負荷と対応しているのであるが、精度良くは対応せず、負荷に基づいて粘度そのものを正確に数値で求めることは困難である。しかし、負荷と粘度とは対応しており、負荷に基づいて粘度対応量たる粘度対応負荷を取得することができる。
【0042】
スキージ100の上昇,後退時に、2組の保持ヘッド70,スキージユニット40およびクリーム状はんだ150がロードセル80に作用させる下向きの負荷は、図7のグラフに示すように、スキージ100がスクリーン20から離れる上昇開始時に最大となり、その最大負荷は、上記総重量と、クリーム状はんだ150からスキージ100に加えられる負荷の最大負荷との和である。したがって、スキージ100をスクリーン20およびクリーム状はんだ150から離間させる際に、負荷検出値の絶対値の最大値が取得されれば、クリーム状はんだ150の粘度対応負荷として扱うことができる。負荷検出値の絶対値の最大値は、例えば、スキージ100を下降させてクリーム状はんだ150に接触させた状態から上昇,離間させる際にロードセル80の検出信号に基づいて取得される。ロードセル80の検出信号に基づいてロードセル80に加えられる負荷が算出され、その負荷の絶対値が負荷最大値メモリに記憶させられている負荷最大値と比較され、その負荷最大値より大きいのであれば、その負荷最大値に替えて、検出された負荷の絶対値が負荷最大値として記憶され、負荷最大値が更新されることにより取得されるのである。
【0043】
クリーム状はんだ150の粘度対応負荷の検出後、S10が実行され、混練が必要であるか否かが判定される。この判定は、検出された粘度対応負荷の絶対値が、設定粘度対応負荷(正の値)以上であるか否かにより行われる。クリーム状はんだ150は、スクリーン20上へ載せられるとき、混練され、ほぼ印刷に最も適した最適粘度、あるいは最適粘度より設定量だけ低い粘度とされる。ただし、クリーム状はんだは、メーカにより最適の粘度、あるいは最適粘度より設定量だけ低い粘度に調整されており、メーカにより指定された条件で混練して使用されることが多く、粘度の大きさ自体は不明の場合が多い。そこで、本実施例においては、メーカにより粘度が調整され、メーカにより指定された条件で混練されたクリーム状はんだがスクリーン20上に載せられた際に粘度対応負荷が検出され、その検出された初期粘度対応負荷の絶対値に対して設定値以上大きい値として設定粘度対応負荷が設定される。この設定粘度対応負荷は、適切に印刷が行われ得る粘度対応負荷の絶対値の上限値に設定され、ROM124に記憶させられる。例えば、クリーム状はんだの印刷最適粘度が220パスカル・秒であり、印刷許容範囲が200〜250パスカル・秒である場合、設定粘度対応負荷は250パスカル・秒の粘度に対応する大きさに設定される。
【0044】
取得された粘度対応負荷の絶対値が設定粘度対応負荷より小さければ、クリーム状はんだ150の粘度は印刷許容範囲にあって、印刷に適した大きさであり、混練の必要がないため、S10の判定結果がNOになる。この場合は、S11において、設定経過時間CBがS6において設定された値に(1+α)を掛けた値に設定し直される。αは1より小さい正の値であり、したがって、設定経過時間CBがα・CB延長されることとなる。以後は、印刷中断フラグがセットされているため、S1,S2,S7,S8が実行されるが、S8においてはカウンタのカウント値Cが延長された設定経過時間CB以上になるのが待たれることとなる。
【0045】
それに対し、クリーム状はんだ150の粘度の変化が大きく、粘度対応負荷の絶対値が設定粘度対応負荷以上であれば、印刷に不適切であり、S10の判定結果がNOになってS12が実行され、混練回数、すなわちスキージ100の移動回数が決定されているか否かが判定される。S12の判定は、RAM126に設けられたスキージ移動回数メモリにスキージ移動回数が記憶させられているか否かにより行われる。S12が初めて行われる際にはスキージ移動回数は決定されておらず、スキージ移動回数メモリはクリアされており、S12の判定結果がNOになってS13が実行され、スキージ移動回数が決定されるとともに、スキージ移動回数メモリに記憶させられる。
【0046】
スキージ100の移動回数は、作業者等により入力されるスキージ移動回数決定条件と、ROM124に記憶させられた参照データとしてのテーブルとに基づいて決定される。本実施例では、スキージ移動回数決定条件は、クリーム状はんだ150の種類およびスクリーン20の最小の貫通孔22の寸法であり、テーブルは、図12に示すように、貫通孔22の寸法とS9において取得された粘度対応負荷とに基づいてスキージ移動回数を決定するものとされ、クリーム状はんだ150の種類毎に記憶されている。入力されたクリーム状はんだ150の種類に応じてスキージ移動回数を決定するためのテーブルが選択され、そのテーブルを用いて、貫通孔22の寸法および粘度対応負荷に基づいてスキージ移動回数が決定される。本基板スクリーン印刷装置においては、一対のスキージ100が交互に移動させられてクリーム状はんだ150を移動させるため、スキージ移動回数は、一対のスキージ100の各移動回数の合計により決定されている。例えば、クリーム状はんだ150が、印刷最適粘度が220パスカル・秒、印刷許容範囲が200〜250パスカル・秒のものである場合に、スキージの移動回数は2〜4回程度に決定される。
【0047】
なお、混練は前方マージン部30あるいは後方マージン部32において行われるが、これらマージン部30,32のスキージ移動方向に平行な方向における長さは十分長く、スクリーン20上のクリーム状はんだ150をスキージ100により押して移動させ、少なくとも1回転させることができる長さを有する。また、スクリーン保持装置18の支持部も、マージン部30,32の長さに応じ、それらを下方から支持することができる大きさを有するものとされている。本実施例においては、混練時におけるスキージ100の移動距離はスクリーン20上に最大量のクリーム状はんだが投入された場合に、そのクリーム状はんだを1回転させ得る長さに設定されるが、スクリーン20のマージン部30,32およびスクリーン保持装置18の支持部により許される範囲で、できる限り長い距離に設定されるようにすることも可能であり、その場合には、その移動距離をも考慮してスキージの移動回数が設定される。
【0048】
スキージ移動回数が決定されれば、S14が実行され、クリーム状はんだ150の混練が行われる。クリーム状はんだ150の混練は、スキージユニット40をS13において決定された回数、往復移動させることにより行われる。この際、一対のスキージ100は、スクリーン20の前方マージン部30と後方マージン部32とのうち、現に位置するマージン部において交互にクリーム状はんだ150に接触させられ、互いに反対方向にクリーム状はんだ150を移動させ、練り混ぜ、一対のスキージユニット40の各移動回数の合計がS13において決定された回数になるまで、混練が行われる。印刷が終了した状態では、クリーム状はんだ150は、前方マージン部30と後方マージン部32とのいずれかであって、混練が行われるマージン部のうち、貫通孔形成領域28に隣接する端に位置し、一対のスキージ100のうち、スクリーン20に平行な方向において貫通孔形成領域28側に位置するスキージ100が先に混練に使用される。混練を行うスキージ100は、印刷時と同様に、他方のスキージ100との間の中央にクリーム状はんだ150が位置する状態で、印刷時と同様の接触力でスクリーン20に接触させられ、予め設定された距離移動させられてクリーム状はんだ150を移動させる。移動後、スキージ100は他方のスキージ100と交替させられ、クリーム状はんだ150が逆方向に移動させられ、練り混ぜられる。印刷プログラムは、混練実行中は、印刷再開が指示されても、印刷を開始せず、混練の終了を待つように構成されており、混練は設定された回数、行われ、クリーム状はんだ150の粘度が印刷に適した大きさとされる。S14では、混練の実行に先立って、混練報知装置138により混練が行われることが報知されるとともに、混練実行の前または後に設定経過時間CBがS6で設定された大きさに設定される。一旦混練が行われればクリーム状はんだはほぼ初期の状態に戻るため、混練の終了は中断の開始と考えて差し支えないからである。S14ではまた、カウンタのカウンタ値Cが0にリセットされる。混練終了時にスキージ100は、クリーム状はんだ150の回路基板10への印刷時と同様に、クリーム状はんだ150に対して適切な相対位置に位置させられる。
【0049】
混練終了後もなお、印刷が再開されず、基板搬入センサ144により回路基板10が検出されなければ、S1,S2,S7,S8が実行され、印刷中断中における前回の混練からの経過時間が計測される。印刷が再開されることなく、前回の混練から設定経過時間CBが経過すれば、S8の判定結果がYESになってS9以降のステップが実行される。クリーム状はんだ150の粘度が定期的に検出され、検出された粘度対応負荷が適切な大きさでない場合、混練が行われるのであるが、スキージ移動回数は既に設定されているため、S12の判定結果がYESになってS13がスキップされ、S14では、先にS13の実行により決定された回数、スキージ100が移動させられてクリーム状はんだ150が混練される。
【0050】
中断が終了し、印刷が再開されれば、基板搬入コンベヤ11aへ回路基板10が搬入される。そのため、回路基板10が基板搬入センサ144により検出され、S1の判定結果がYESになってS15が実行され、印刷中断フラグがセットされているか否かが判定される。印刷中断後は印刷中断フラグがセットされているため、S15の判定結果がYESになってS16が実行され、設定経過時間CBのクリア等、印刷中断の終了処理が行われる。印刷の中断は検出されたが、設定経過時間CBが経過する前に印刷が再開された場合にも、設定経過時間CBが経過して混練が実行された後に印刷が再開された場合にも、S1の判定結果がYES、S15の判定結果がYESになってS16が実行される。印刷が設定経過時間CB以上、中断されても、粘度が過大であれば、クリーム状はんだが自動的に混練されることにより、クリーム状はんだの粘度が印刷に適した大きさに維持され、印刷再開後、直ちに印刷が適切に行われる。
【0051】
印刷中断後、印刷再開時に行われるクリーム状はんだの混練を図9に示す印刷再開時クリーム状はんだ混練ルーチンに基づいて説明する。
本ルーチンのS21〜S25,S28,S36は、図8に示すクリーム状はんだ混練ルーチンのS1〜S5,S15,S17と同様に実行され、印刷中であれば、S21,S28,S36あるいはS21,S22〜S24,S28,S36が実行される。
【0052】
印刷中断時には、基板搬入センサ144により回路基板10が検出されない状態が設定時間CA以上続くため、S24の判定結果がYESになってS25が実行され、印刷中断フラグがセットされた後、S26において設定経過時間CCが設定され、RAM126に設けられた印刷再開時設定経過時間メモリに記憶させられる。設定経過時間CCは、印刷中断によりクリーム状はんだ150がスクリーン20上を移動させられず、練り混ぜられることなく、放置されることによって粘度が変化し、大きくなって、印刷に適した大きさから外れた状態になったと判断し得る長さに設定される。設定経過時間CCは混練必要性判断時間であり、設定経過時間CBと同様に、作業者等により入力された混練必要性判断時間設定条件、ここではクリーム状はんだの種類,最小の貫通孔22の寸法,環境(温度および湿度)およびROM124に記憶させられた参照データとしてのテーブルに基づいて自動的に設定される。このテーブルは、本基板スクリーン印刷装置においては、設定経過時間CBを設定するためのテーブルと共用とされ、条件が同じであれば、設定経過時間CCは設定経過時間CBと同じ長さに設定される。設定経過時間CCを設定するために、設定経過時間CBを設定するためのテーブルとは異なるテーブルを参照データとしてROM124に記憶させてもよい。設定経過時間CCの設定後、S27が実行され、カウンタのカウント値Cが1増加させられ、中断開始からの経過時間が計測される。印刷中断フラグがセットされるため、以後、印刷が再開されるまで、S21,S22,S27が繰り返し実行される。
【0053】
印刷が再開され、回路基板10が基板搬入コンベヤ11aに搬入されれば、S21の判定結果がYESになってS28が実行され、印刷中断フラグがセットされているか否かが判定される。一旦、印刷の中断が検出されれば、印刷中断フラグがセットされるため、S28の判定結果がYESになってS29が実行され、印刷の中断開始から再開までの経過時間が設定経過時間CC以上であるか否かが判定される。印刷は中断されたが、設定経過時間CCが経過する前に再開されたのであれば、混練は不要であり、S29の判定結果はNOになってS35が実行され、設定経過時間CCのクリア等、印刷中断終了処理が行われる。
【0054】
印刷が設定経過時間CC以上、中断されたのであれば、S29の判定結果がYESになってS30以下のステップが実行される。S30〜S33は、前記S9,S10,S13,S14と同様に実行され、取得されたクリーム状はんだ150の粘度対応負荷の絶対値が前記設定粘度対応負荷より小さく、クリーム状はんだの粘度が印刷許容範囲にあれば、粘度は印刷に適した大きさであり、混練は行われず、S31び判定結果がNOになってS35が実行され、印刷中断終了処理が行われる。
【0055】
クリーム状はんだ150の粘度の変化が大きく、検出されたクリーム状はんだ150の粘度対応負荷の絶対値が設定粘度対応負荷以上であれば、印刷に不適切であり、S31の判定結果がNOになってS32,S33が実行され、スキージ移動回数が決定され、スキージユニット40が決定された回数、往復移動させられてスクリーン20上に放置されたクリーム状はんだ150が混練される。スキージ移動回数は、印刷中断中におけるスキージ移動回数の決定と同様に、作業者等により入力されたスキージ移動回数決定条件および参照データとしてのテーブルに基づいて決定される。印刷の再開は、基板搬入コンベヤ11aへの回路基板10の搬入により検出されるが、混練が終了するまで回路基板10へのクリーム状はんだ150の印刷は再開されず、回路基板10は基板搬入コンベヤ11aにおいて待機させられる。回路基板10へのクリーム状はんだ150の印刷実行前にスクリーン20上において自動的にクリーム状はんだ150が混練されるのであり、混練終了後、回路基板10がメインコンベヤ11bへ搬入され、クリーム状はんだ150の印刷が適切な粘度で行われる。混練後、S34が実行され、設定経過時間CCのクリア等、印刷中断終了処理が行われる。
【0056】
印刷中断中および印刷再開時におけるクリーム状はんだの混練を、図10に示す印刷中断中・印刷再開時クリーム状はんだ混練ルーチンに基づいて説明する。
本クリーム状はんだ混練ルーチンのS51〜S65およびS72は、図8に示すクリーム状はんだ混練ルーチンのS1〜S15およびS17とほぼ同様に実行される。ただし、S56においては、印刷中断中に混練を行うか否かを判定するための設定経過時間CBと共に、印刷再開時に混練を行うか否かを判定するための設定経過時間CCも決定され、S11における設定経過時間CBの延長の代わりに、S59におけるカウンタの0へのリセットが実行される点において異なっている。
【0057】
設定経過時間CBは図8に示すクリーム状はんだ混練ルーチンのS6におけると同様に設定されるが、設定経過時間CCは、印刷中断判定設定時間CAより長く、設定経過時間CBより短い時間に設定される。そのため、例えば、まず、入力データおよび参照データに基づいて設定経過時間CBが設定され、設定経過時間CBと設定時間CAとの中間の時間が設定経過時間CCとされる。それにより、例えば、印刷中断開始あるいは前回の混練終了から設定経過時間CBが経過することなく、印刷が再開された場合、設定経過時間CCが経過していれば、クリーム状はんだ150の粘度が印刷許容範囲から外れていることがあっても、クリーム状はんだ150が混練され、印刷に適した粘度が得られる。
【0058】
印刷が中断され、回路基板10が搬入されることなく、設定経過時間CBが経過すれば、S59〜S64が実行され、取得された粘度対応負荷の絶対値が設定粘度対応負荷以上であり、印刷許容範囲から外れていれば、スキージ移動回数が決定され、クリーム状はんだ150が混練される。その後、印刷が再開されなければ、S51,S52,S57,S58が実行され、設定経過時間CBが経過する毎にS59以下のステップが実行され、粘度が適切でなければ、クリーム状はんだ150の混練が行われる。本ルーチンにおいては、印刷が再開されたとき、設定経過時間CBが経過していなくても、設定経過時間CCが経過していれば、混練が必要であるか否かが判定され、必要であれば、クリーム状はんだの混練が行われるため、設定経過時間CBが経過した時点ではクリーム状はんだの粘度が適切であったが、その後、新たに設定経過時間CBが経過する前に粘度が適切でなくなっても、設定経過時間CCの経過により混練が行われることとなり、混練が行われないまま印刷が再開されることがないため、本ルーチンでは設定経過時間CBは延長されない。
【0059】
印刷中断後に印刷が再開され、回路基板10が搬入されれば、S51の判定結果がYESになってS65が実行されるが、印刷中断フラグがセットされているため、S65の判定結果はYESになってS66が実行され、設定経過時間CCが経過したか否かが判定される。印刷中断が検出されたが、設定経過時間CCが経過する前に印刷が再開された場合には、S66の判定結果がNOになってS71が実行され、設定経過時間CB,CCのクリア等の終了処理が行われる。中断開始から設定経過時間CBが経過する前に印刷が再開されたが、設定経過時間CCが経過している場合、あるいは設定経過時間CBが経過して混練が行われ、その後、設定経過時間CBは経過していないが、設定経過時間CCが経過している状態で印刷が再開された場合には、S66の判定結果がYESになってS67以下のステップが実行され、クリーム状はんだ150の粘度対応負荷が検出されるとともに、印刷許容範囲から外れていれば、スキージ移動回数が決定されてクリーム状はんだ150の混練が行われ、その後、S71が実行される。また、設定経過時間CCは経過しているが、クリーム状はんだ150の粘度対応負荷が印刷許容範囲内の大きさであれば、S68の判定結果がYESになってS71が実行され、混練は行われない。
【0060】
以上の説明から明らかなように、本基板スクリーン印刷装置においては、制御装置120のS1〜S4,S21〜S24,S51〜S54を実行する部分が印刷中断検出部を構成し、S1,S21,S51を実行する部分が印刷再開検出部を構成している。また、制御装置120のS7,S57を実行する部分が経過時間計測部を構成し、S8,S58を実行する部分が経過時間依拠判断部を構成し、S10,S61を実行する部分が粘度対応量依拠判断部たる粘度対応負荷依拠判断部を構成し、これらが印刷中断中混練必要性判断部を構成し、S14,S64を実行する部分により構成される印刷中断中混練制御部と共に、印刷中断中状態維持装置を構成している。さらに、制御装置120のS27,S57を実行する部分が経過時間計測部を構成し、S29,S66を実行する部分が経過時間依拠判断部を構成し、S31,S68を実行する部分が粘度対応量依拠判断部たる粘度対応負荷依拠判断部を構成し、これらが印刷再開時混練必要性判断部を構成し、S33,S70を実行する部分により構成される印刷再開時混練制御部と共に印刷再開時状態維持装置を構成している。さらにまた、ROM124の図11(a),(b)に示すテーブルを記憶する部分が参照データ記憶部を構成し、制御装置120のS6,S56を実行する部分と共に印刷中断中設定経過時間設定部を構成している。また、ROM124の図12に示すテーブルを記憶する部分が参照データ記憶部を構成し、制御装置120のS26,S56を実行する部分と共に印刷再開時設定経過時間設定部を構成している。さらに、ロードセル80および制御装置120のS9,S30,S60,S67を実行する部分が粘度対応量検出装置たる粘度対応負荷検出装置を構成し、制御装置120のS13,S32,S63,S69を実行する部分が混練条件決定部たる移動回数決定部を構成している。
【0061】
クリーム状はんだの粘度対応量を検出する検出装置は、接触式検出装置としてもよい。その実施例を図13ないし図15に基づいて説明する。
本実施例の接触式検出装置200は、検出子としてのスクリュ202と、検出子回転装置としてのスクリュ回転装置206と、反力検出装置としてのトルクメータ208とを含み、前記スライダ50に搭載され、スクリーン20に平行な方向に移動させられるとともに、スクリュ昇降装置204により昇降させられ、接触式検出子清掃装置としてのスクリュ清掃装置210によりスクリュ202が清掃される。スキージ保持装置移動装置44が、接触式検出装置とスクリーンとを、スクリーンに平行な方向に相対移動させる相対移動装置たる接触式検出装置移動装置としても機能する。
【0062】
スライダ50は、その移動方向と直交する方向であって、スクリーン20の幅方向に平行な方向に長く、スクリーン20の幅方向において貫通孔形成領域28の両側の領域であって、貫通孔22が形成されていない領域である側方マージン部の一方に対応する部分にスクリュ昇降装置204が設けられ、接触式検出装置200を昇降させる。スクリュ昇降装置204は、図13に示すように、移動部材たる昇降台216と、昇降台駆動装置218とを含む。昇降台駆動装置218は、例えば、スライダ50に鉛直方向に下向きに設けられたエアシリンダにより構成され、ピストンロッド220の伸縮により昇降台216が案内部材たる一対のガイドレール222に案内されて昇降させられる。
【0063】
スクリュ回転装置206は回転電動モータを駆動源とし、図13および図14に示すように、昇降台216に鉛直に設けられ、トルクメータ208を介してスクリュ202を正逆両方向に回転させる。スクリュ202は、それより小径の棒状の支持部材224に支持されてトルクメータ208から下方へ延び出させられている。支持部材224は、クリーム状はんだが付着し難い材料、例えば、シリコン製とされている。本実施例では、昇降台216が検出装置本体としても機能する。
【0064】
スクリュ清掃装置210は、図14に示すように、スライダ50に設けられ、それぞれ清掃部材としての一対のリップ228を含む。これらリップ228はそれぞれ、前記支持部材224と同様にシリコン製とされており、その先端部に、スクリュ202に螺合可能なナットの一部に対応する形状の清掃部たる掻取部230を備えている。スライダ50には、スクリュ昇降装置204の両側の部分にそれぞれ、支持部材たる一対のアーム232の各一端部が軸234により、スクリュ202の回転軸線に直角な方向であって、スライダ50の移動方向に平行な軸線まわりに回動可能に支持されており、それらアーム232の他端部は、軸234から下方へ延び出させられるとともに、その下端部は、図15に示すように、スライダ50から離れる向きに直角に突出させられ、その突出端部にそれぞれ、リップ228が互いに接近する向きに設けられている。
【0065】
一対のリップ228は、図15に示すように、一対のアーム232の間に配設された付勢装置の一種である弾性部材としての引張コイルスプリング236により、互いに接近する向きに付勢されている。このスプリング236の付勢による一対のリップ228の接近限度は、一対のアーム232にそれぞれ設けられたストッパ238が当接することにより規定され、接近限度が規定された接近限度位置に位置する状態では、一対のリップ228は、スクリュ202の回転軸線に対して直角となり、かつ、各掻取部230間の距離がスクリュ202の径よりやや小さい状態となる。なお、図13においては、スクリュ清掃装置210の図示が省略されている。
【0066】
接触式検出装置200は、クリーム状はんだの回路基板10への印刷時等、粘度を検出しないときには、昇降台216が上昇位置へ上昇させられ、スクリュ202は、図13に実線で示すように、クリーム状はんだ240から離間した離間位置に位置させられるとともに、図14に示すように、一対のリップ228より上方に位置させられ、一対のリップ228は接近限度位置に位置させられている。
【0067】
クリーム状はんだの粘度の検出時には、図13に示すように、スライダ50の移動によりスクリュ202がクリーム状はんだ240の上方へ移動させられ、スクリュ回転装置206によって回転させられつつ、スクリュ昇降装置204により下降させられる。スクリュ202はまず、スプリング236の付勢力に抗して一対のリップ228の間に進入させられる。そして、一対のリップ228の各掻取部230がスプリング232の付勢によりスクリュ202に押し付けられ、スクリュ202の溝と噛み合わされれば、スクリュ202は一対のリップ228との噛み合いにより下方へ移動させられることとなる。スクリュ昇降装置204を構成するエアシリンダにより昇降台216に付与される押下げ力は、一対のリップ228との噛み合いによりスクリュ202に加えられる軸方向駆動力より小さく設定されており、スクリュ202がリップ228と噛み合った後は、エアシリンダにより下方へ移動する向きの力は加えられているが、リップ228との噛み合いにより下降させられる。
【0068】
スクリュ202は、予め設定された下降端位置まで下降させられる。この下降端位置は、図13に二点鎖線で示すように、クリーム状はんだ240の量、すなわちスクリーン20上においてロール状を成すクリーム状はんだ240の直径が小さくなっても、全体がクリーム状はんだ240に突っ込んだ状態となる位置に設定されており、接触位置である。スクリュ202は、この接触位置へ下降させられる途中で一対のリップ228から下方へ抜け出させられ、その後はスクリュ昇降装置204によって下降させられ、クリーム状はんだ240に突っ込まれる。スクリュ202が接触位置へ下降させられた状態では、支持部材224の一部もクリーム状はんだ240内に位置する状態となる。
【0069】
スクリュ202が接触位置において回転させられるとき、クリーム状はんだ240により抵抗が付与される。この抵抗はクリーム状はんだ240の粘度に対応しており、クリーム状はんだ240の粘度が大きいほど大きく、トルクメータ208により測定され、粘度対応量が取得される。なお、支持部材224の一部がクリーム状はんだ240内に突っ込まれた状態にあり、支持部材224もクリーム状はんだ240内で回転させられるが、支持部材224はスクリュ202より径が小さく、また、付着性の小さい材料製であるため、支持部材224にクリーム状はんだ240が付与する抵抗は小さく、無視することができる。
【0070】
粘度対応量の取得後、スクリュ202は、スクリュ回転装置206により回転させられたままの状態でスクリュ昇降装置204により上昇させられる。スクリュ202の上昇時には、その回転方向は下降時とは逆向きにされる。スクリュ202は、一対のリップ228に至れば、それらリップ228の間にスプリング236の付勢力に抗して進入させられて掻取部230と噛み合い、その後はその噛み合いにより上昇させられる。また、この噛み合いにより、スクリュ202の溝に付着したクリーム状はんだが掻取部230によって掻き落とされ、スクリュ202が清掃される。リップ228は、清掃部材と検出子駆動部材とを兼ねているのであり、本実施例においては、スクリュ昇降装置204および一対のリップ228が検出子移動装置を構成している。スクリュ202は、図14に示すように、離間位置へ上昇させられて停止させられる。
【0071】
なお、スクリーン上のクリーム状はんだの残量を検出する残量検出装置を設け、その残量に応じてスクリュの下降端位置(接触位置)を設定し、スクリュのみがクリーム状はんだ内に進入させられた状態で回転させられ、粘度対応量が取得されるようにしてもよい。残量検出装置は、例えば、未だ公開されていないが、本出願人に係る特願2006−258843の明細書に記載されているように、スクリーン上に載せられて帯状を成すクリーム状はんだの幅、すなわちスキージとスクリーンとの相対移動方向における寸法を測定することにより、クリーム状はんだの残量を推定する装置とすることができる。
【0072】
検出子清掃装置は、図16に示すように、非接触式検出子清掃装置たるエア噴射式清掃装置260としてもよい。エア噴射式清掃装置260は、エア噴射ノズル262およびエア供給装置264を備え、例えば、上記接触式検出装置200においてスクリュ清掃装置210に替えて設けられる場合、スライダ50に設けられ、エア噴射ノズル262がスクリュ202の溝に向かって斜め下向きに設けられる。この場合、スクリュ昇降装置204が検出子移動装置を構成し、スクリュ202を離間位置と接触位置とに移動させる。スクリュ202が接触位置から離間位置へ上昇させられるとき、エア供給装置264からエア噴射ノズル262へエアが供給され、スクリュ202に向かってエアが噴射されて、溝に付着したクリーム状はんだが吹き飛ばされる。エア噴射ノズル262は斜め下向きに設けられており、吹き飛ばされたクリーム状はんだはスクリーン20上のクリーム状はんだ上に落下し、吸収される。
【0073】
接触式検出装置の検出子は、図17に示すように、コーン300としてもよい。コーン300は、横断面形状が円形を成し、その回転軸線に平行な一方の端部であって下部は円錐状を成し、コーン回転装置302によりトルクメータ304を介して回転させられる。コーン300は、クリーム状はんだをスクリーンに押し付けつつ回転させられ、その際、クリーム状はんだの粘度によりコーン300に加えられる反力がトルクメータ304により検出され、粘度対応量が取得される。
【0074】
また、接触式検出装置の検出子は、図18に示すように、プロペラ330としてもよい。プロペラ330は、前記スクリュ202と同様にクリーム状はんだ内に突っ込まれた状態でトルクメータ332を介してプロペラ回転装置334により回転させられ、クリーム状はんだによりプロペラ330に付与される抵抗がトルクメータ332により測定され、粘度対応量が取得される。
【0075】
さらに、図示は省略するが、接触式検出装置の検出子は、クリーム状はんだに接触,離間する方向において位置を固定して設け、クリーム状はんだに接触したままの状態としてもよい。検出子は、例えば、スライダ50の、スクリーン20の側方マージン部に対応する箇所に設けられ、常時、クリーム状はんだに挿入された状態とされ、例えば、検出子がスクリュにより構成される場合、粘度検出時にスクリュ回転装置によりトルクメータを介して回転させられる。
【0076】
なお、印刷中断中と印刷再開時との少なくとも一方において、混練の必要性は経過時間のみにより判断されるようにしてもよい。クリーム状はんだの粘度対応量を検出することなく、混練の必要性を判断するのであり、経過時間計測部により計測された経過時間が設定経過時間以上であれば、混練が必要であるとされる。スキージの移動回数(スキージが1対あれば、各スキージの移動回数の合計)は、経過時間が長いほど多く設定され、例えば、設定経過時間が30分であれば2〜4回とされ、1時間以上であれば、6〜8回とされる。この態様は、例えば、印刷中断中であれば、図8に示すクリーム状はんだ混練ルーチンからS9〜S11を除いたルーチンにより、印刷再開時であれば、図9に示すクリーム状はんだ混練ルーチンからS30,S31およびS35を除いたルーチンにより、印刷中断中および印刷再開時であれば、図10に示すクリーム状はんだ混練ルーチンからS60,S62,S67およびS68を除いたルーチンにより行うことができる。
【0077】
また、クリーム状はんだの混練の必要性は、粘度対応量のみにより判断されるようにしてもよい。例えば、印刷再開時に、中断開始から印刷再開までの経過時間の長さに関係なく、粘度対応量を取得し、印刷許容範囲から外れて大きいのであれば、混練が必要と判断され、混練が行われるようにするのである。
【0078】
さらに、印刷が中断された場合、混練の必要性の有無を判断することなく、混練が行われるようにしてもよい。例えば、状態維持装置を、印刷中断時無条件混練制御部たる印刷再開時無条件混練制御部を含む装置とし、印刷再開時には、中断開始から印刷再開までの時間や粘度対応量に関係なく、必ずクリーム状はんだの混練が行われるようにしてもよい。
【0079】
また、印刷中断中、混練が必要と判断される毎にスキージ移動回数が決定されるようにしてもよい。
【0080】
さらに、クリーム状はんだの粘度対応量の検出は選択的に行われるようにしてもよく、印刷中断中と印刷再開時との少なくとも一方において、クリーム状はんだの混練の必要性の有無の判断にクリーム状はんだの粘度対応量に依拠するか否かが選択されるようにしてもよい。クリーム状はんだの粘度対応量の検出は、混練必要性の判断に使用するために行われてもよく、その他に、例えば、クリーム状はんだの状態を取得するために行われてもよい。例えば、1枚の回路基板へのクリーム状はんだの印刷が終了する毎に粘度対応量を検出し、まだ印刷に使用し得るか否かを見る。クリーム状はんだの粘度対応量の検出が選択的に行われるようにされる場合、クリーム状はんだ混練ルーチン等のプログラムも、この選択に対応し得るように構成される。
【0081】
また、印刷の中断は、基板搬出センサの検出信号に基づいて判定されるようにしてもよい。基板搬出センサにより回路基板が検出されない状態が設定時間以上、続いた場合に印刷が中断されたと判定されるようにするのである。
【0082】
さらに、基板スクリーン印刷装置は、印刷中断中クリーム状はんだ混練と、印刷再開時クリーム状はんだ混練と、印刷中断中・印刷再開時クリーム状はんだ混練とのうちのいずれか1つのみが行われる装置としてもよい。
【0083】
また、スキージがクリーム状はんだから離間させられる場合にクリーム状はんだからスキージに加えられる負荷を検出する負荷検出装置は、ストレンゲージを備えた装置としてもよく、あるいはスキージとスクリーンとを接近,離間させる相対移動装置が電動モータを駆動源とする場合、電動モータへの供給電流を検出する装置としてもよい。
クリーム状はんだの粘度対応量を検出し、それに依拠して混練の必要性を判断する場合、印刷中断直前の最後の回路基板へのクリーム状はんだの印刷終了後、スキージをクリーム状はんだから離間させることなく、スクリーン20に押し付けたままの状態としておいてもよい。そのようにすれば、粘度対応量検出時にスキージをクリーム状はんだに接触させることなく、上昇,後退させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】請求可能発明の一実施例である基板スクリーン印刷装置を概略的に示す正面図である。
【図2】上記基板スクリーン印刷装置の保持ヘッドおよびスキージユニット等を示す正面図(一部断面)である。
【図3】上記基板スクリーン印刷装置の基板搬送装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図4】上記基板スクリーン印刷装置のスクリーンを示す平面図である。
【図5】上記基板スクリーン印刷装置を制御する制御装置を概念的に示すブロック図である。
【図6】上記基板スクリーン印刷装置においてスキージがスクリーンに接触させられる際の接触力の変化を示すグラフである。
【図7】上記基板スクリーン印刷装置においてスキージがスクリーンおよびクリーム状はんだから離間させられる際にロードセルに作用する力の変化を示すグラフである。
【図8】上記制御装置の主体を成すコンピュータのROMに記憶させられた印刷中断中クリーム状はんだ混練ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】上記コンピュータのROMに記憶させられた印刷再開時クリーム状はんだ混練ルーチンを示すフローチャートである。
【図10】上記コンピュータのROMに記憶させられた印刷中断中・印刷再開時クリーム状はんだ混練ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】印刷中断中にクリーム状はんだの混練の必要性を判断するための設定経過時間設定用のテーブルを示す図である。
【図12】印刷中断中におけるクリーム状はんだの混練を行うためのスキージの移動回数設定用のテーブルを示す図である。
【図13】請求可能発明の別の実施例である基板スクリーン印刷装置の接触式検出装置を示す正面図である。
【図14】図13に示す接触式検出装置を示す側面図である。
【図15】図13に示す接触式検出装置のスクリュを清掃するスクリュ清掃装置の一対のリップを示す平面図である。
【図16】請求可能発明の更に別の実施例である基板スクリーン印刷装置のエア噴射式清掃装置を概略的に示す正面図である。
【図17】請求可能発明の更に別の実施例である基板スクリーン印刷装置の接触式検出装置を概略的に示す正面図である。
【図18】請求可能発明の更に別の実施例である基板スクリーン印刷装置の接触式検出装置を概略的に示す正面図である。
【符号の説明】
【0085】
10:回路基板 20:スクリーン 22:貫通孔 30:前方マージン部 32:後方マージン部 38:スキージ装置 40:スキージユニット 42:スキージ保持装置 44:スキージ保持装置移動装置 80:ロードセル 100:スキージ 120:制御装置 138:混練報知装置 150:クリーム状はんだ 200:接触式検出装置 202:スクリュ 210:スクリュ清掃装置 240:クリーム状はんだ 260:エア噴射式清掃装置 300:コーン 330:プロペラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン上に載せられたクリーム状はんだをスキージによりスクリーンに沿って移動させることにより、クリーム状はんだをスクリーンの貫通孔を通して回路基板に印刷する基板スクリーン印刷装置において、
長時間の印刷の中断にもかかわらずクリーム状はんだを、適切な印刷が行われる状態に自動で維持する状態維持装置を設けたことを特徴とする基板スクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記状態維持装置が、
前記スクリーンの、前記スキージの移動方向において前記貫通孔が形成されていない領域である前方マージン部と後方マージン部との少なくとも一方において前記スキージを移動させることにより、前記スクリーン上のクリーム状はんだを混練することによって、前記適切な印刷が行われる状態に維持する混練制御部と、
当該基板スクリーン印刷装置の印刷中断中に混練の必要性の有無を判断し、混練が必要である場合には前記混練制御部を作動させる混練必要性判断部と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板スクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記混練必要性判断部が、前記印刷の中断開始または前記混練制御部の前回の作動からの経過時間を計測する経過時間計測部を含み、少なくともその経過時間計測部により計測された経過時間が予め設定された設定経過時間以上になったとの条件が満たされた場合に前記混練が必要であるとの判断をする経過時間依拠判断部を含むことを特徴とする請求項2に記載の基板スクリーン印刷装置。
【請求項4】
前記状態維持装置が、
前記スクリーンの、前記スキージの移動方向において前記貫通孔が形成されていない領域である前方マージン部と後方マージン部との少なくとも一方において前記スキージを移動させることにより、前記スクリーン上のクリーム状はんだを混練することによって、前記適切な印刷が行われる状態に維持する混練制御部と、
当該基板スクリーン印刷装置の前記印刷の中断後における印刷再開時に混練の必要性の有無を判断し、混練が必要である場合には前記混練制御部を作動させる混練必要性判断部と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板スクリーン印刷装置。
【請求項5】
前記混練必要性判断部が、前記印刷の中断開始からの経過時間を計測する経過時間計測部を含み、少なくともその経過時間計測部により計測された経過時間が予め設定された設定経過時間以上になったとの条件が満たされた場合に前記混練が必要であるとの判断をする経過時間依拠判断部を含むことを特徴とする請求項4に記載の基板スクリーン印刷装置。
【請求項6】
前記混練必要性判断部が、前記スクリーン上に載せられたクリーム状はんだの粘度に対応する粘度対応量を検出する検出装置を含み、その検出装置により検出された粘度対応量が設定粘度対応量以上の場合に前記混練が必要であるとの判断をする粘度対応量依拠判断部を含むことを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の基板スクリーン印刷装置。
【請求項7】
前記混練制御部による混練条件を決定する混練条件決定部を含み、その混練条件決定部が、前記クリーム状はんだの種類と、当該基板スクリーン印刷装置が設置されている環境の条件と、前記経過時間の長さと、前記混練のために前記スキージを移動させ得る距離と、前記スクリーンの貫通孔の条件と、クリーム状はんだの粘度に対応する粘度対応量とのうちの少なくとも1つに基づいて、前記混練のための前記スキージの移動回数を決定する移動回数決定部を含むことを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の基板スクリーン印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−307864(P2008−307864A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160587(P2007−160587)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】