説明

基板処理装置、積層半導体装置製造方法及び積層半導体装置

【課題】ロボット搬送アームの撓みを計測し、事故を未然に防止する。
【解決手段】基板を処理する複数の処理室に連結された連結室と、連結室に配され、基板を複数の処理室の間で搬送する搬送アームと、搬送アームを目標位置に移動した場合の搬送アームの実際の位置を計測する計測部と、目標位置と計測部により計測された位置との差を算出する算出部とを備える基板処理装置が提供される。複数の処理室の少なくとも一つは、減圧環境で複数の基板を押圧して貼り合わせる加圧室であり、複数の処理室の少なくとも他の一つは、搬送アームに受け渡す基板を仮置きするロードロック室である請求項1に記載の基板処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、積層半導体装置製造方法及び積層半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を処理する過程において、多くの工程でロボットの搬送アームにより基板を搬送する(特許文献1を参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2010−10628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ロボット搬送アームは、基板等を載置するときに、基板等の重量により許容範囲において撓むが、ベアリングの磨耗等により撓みが大きくなり、許容範囲を超えることがある。この場合に、そのまま搬送アームによる搬送を継続すると、搬送アーム又は搬送される基板等がチャンバー又は基板載置部等に接触して破損するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、基板を処理する複数の処理室に連結された連結室と、連結室に配され、基板を複数の処理室の間で搬送する搬送アームと、搬送アームを目標位置に移動した場合の搬送アームの実際の位置を計測する計測部と、目標位置と計測部により計測された位置との差を算出する算出部とを備える基板処理装置が提供される。
【0005】
本発明の第2の態様においては、上記基板処理装置により基板を処理することを含む積層半導体装置製造方法が提供される。
【0006】
本発明の第3の態様においては、上記積層半導体装置製造方法により製造された積層半導体装置が提供される。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】基板貼り合せ装置100の構造を模式的に示す平面図である。
【図2】搬送アームの垂直方向の変形を計測する過程を概略に示す。
【図3】搬送アームの垂直方向の変形を概略的に説明する。
【図4】計測ポイントの例を示す。
【図5】基板載置部を利用して搬送アームの垂直方向の変形を計測する実施形態を示す。
【図6】積層半導体装置の製造方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、一の実施形態である基板貼り合せ装置100の全体構造を模式的に示す平面図である。基板貼り合せ装置100は、筐体102と、常温部104と、高温部106と、基板カセット112、114、116とを備える。常温部104および高温部106は、共通の筐体102の内部に設けられる。基板貼り合せ装置100は、基板処理装置の一例である。
【0011】
基板カセット112、114、116は、筐体102の外部に、筐体102に対して脱着自在に装着される。基板カセット112、114、116は、基板貼り合せ装置100において接合される第1基板122および第2基板123を収容する。基板カセット112、114、116により、複数の第1基板122および第2基板123が一括して基板貼り合せ装置100に装填される。また、基板貼り合せ装置100において接合された第1基板122および第2基板123が一括して回収される。
【0012】
常温部104は、筐体102の内側にそれぞれ配された、プリアライナ126、ステージ装置140、基板ホルダラック128および基板取り外し部130と、一対の搬送アーム132、134とを備える。筐体102の内部は、基板貼り合せ装置100が設置された環境の室温と略同じ温度が維持されるように温度管理される。
【0013】
プリアライナ126は、高精度であるが故にステージ装置140の狭い調整範囲に第1基板122または第2基板123の位置が収まるように、個々の第1基板122または第2基板123の位置を仮合わせする。これにより、ステージ装置140が確実に位置決めをすることができる。
【0014】
基板ホルダラック128は、複数の上基板ホルダ124および複数の下基板ホルダ125を収容して待機させる。基板ホルダラック128は、基板取り外し部130の下方に配される。
【0015】
ステージ装置140は、貼り合わせの対象である第1基板122と第2基板123における接合すべき電極同士の位置を合わせて、重ね合わせる。ステージ装置140は、上ステージ141と、下ステージ142と、制御部148とを含む。また、ステージ装置140を包囲して断熱壁145およびシャッタ146が設けられる。断熱壁145およびシャッタ146に包囲された空間は空調機等に連通して温度管理され、ステージ装置140における位置合わせ精度を維持する。
【0016】
上ステージ141は、ステージ装置140の天板の下面に固定される。上ステージ141は、下向きの載置面において、真空吸着により上基板ホルダ124を吸着する。当該吸着方法は、静電吸着であってもよい。上基板ホルダ124は、その下面に静電吸着により第1基板122を吸着して保持する。
【0017】
下ステージ142は、ステージ装置140の底板に設けられた移動ステージに配され、平行移動、上下移動及び傾斜移動ができる。下ステージ142は、上ステージ141に対向して、上向きの載置面を有し、それに真空吸着等により下基板ホルダ125を保持する。下基板ホルダ125は、静電吸着により第2基板123を保持する。
【0018】
制御部148は、下ステージ142の移動を制御する。制御部148は、下ステージ142を移動させて、上ステージ141に保持された第1基板122に対して、第2基板123の位置を合わせる。制御部148は、下ステージ142を上昇させて、第1基板122と第2基板123を重ね合せることができる。その後、上基板ホルダ124と下基板ホルダ125に挟まれた第1基板122と第2基板123は、位置固定部材により仮止めされる。上基板ホルダ124と下基板ホルダ125及びそれらに挟まれた第1基板122と第2基板123はホルダ対120を形成する。
【0019】
基板取り外し部130は、高温部106から搬出された上基板ホルダ124および下基板ホルダ125に挟まれて貼り合わされた第1基板122および第2基板123を取り出す。貼り合わされた第1基板122および第2基板123を「積層基板」と記載することがある。上基板ホルダ124および下基板ホルダ125から取り出された積層基板は、搬送アーム134、132および下ステージ142により基板カセット112、114、116のうちのひとつに戻されて収容される。積層基板を取り出された上基板ホルダ124および下基板ホルダ125は、基板ホルダラック128に戻されて待機する。基板取り外し部130は、基板ホルダラック128の上方に配される。
【0020】
なお、基板貼り合せ装置100に装填される第1基板122および第2基板123は、単体のシリコンウエハ、化合物半導体ウェハ、ガラス基板等の他、それらに素子、回路、端子等が形成されたものであってよい。また、装填された第1基板122および第2基板123が、既に複数のウェハを積層して形成された積層基板である場合もある。
【0021】
一対の搬送アーム132、134のうち、基板カセット112、114、116に近い側に配置された搬送アーム132は、基板カセット112、114、116、プリアライナ126およびステージ装置140の間で第1基板122および第2基板123を搬送する。一方、基板カセット112、114、116から遠い側に配置された搬送アーム134は、ステージ装置140、基板ホルダラック128、基板取り外し部130およびロードロック室220の間で、第1基板122、第2基板123、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125を搬送する。
【0022】
搬送アーム134は、基板ホルダラック128に対して、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125の搬入および搬出も担う。上ステージ141に第1基板122を保持させる場合に、搬送アーム134は、まず基板ホルダラック128から一枚の上基板ホルダ124を取り出して下ステージ142に載置する。下ステージ142は、基板カセット112、114、116に近い側に移動する。搬送アーム132は、プリアライナ126からプリアライメントされた第1基板122を取り出して、下ステージ142の上の上基板ホルダ124に載置して、静電吸着させる。
【0023】
下ステージ142は、再び基板カセット112、114、116から遠い側に移動する。搬送アーム134は、下ステージ142から第1基板122を静電吸着した上基板ホルダ124を受け取り、裏返して上ステージ141に近づける。上ステージ141は、真空吸着によりその上基板ホルダ124を保持する。
【0024】
搬送アーム134は、下ステージ142に下基板ホルダ125を載置する。搬送アーム132は、その上に第2基板123を載置して保持させる。これにより、下ステージ142に保持された第2基板123における回路等が形成された面は、上ステージ141に保持された第1基板122における回路等が形成された面に、対向するように配置される。
【0025】
高温部106は、断熱壁108と、ロードロック室220と、複数の加圧室240と、その複数の加圧室240及びロードロック室220に連結された連結室250と、搬送アーム230と、搬送アーム232とを有する。断熱壁108は、高温部106を包囲して、高温部106の高い内部温度を維持すると共に、高温部106の外部への熱輻射を遮断する。これにより、高温部106の熱が常温部104に及ぼす影響を抑制する。高温部106は、その内部が一定の真空状態に維持される。これにより、高温部106に搬入された基板の汚染及び酸化を抑えることができる。
【0026】
搬送アーム230および搬送アーム232は、連結室250に配される。搬送アーム230および搬送アーム232は、加圧室240のいずれかとロードロック室220との間でホルダ対120を搬送する。ロードロック室220は、常温部104側と高温部106側とに、交互に開閉するシャッタ222、224を有する。ロードロック室220は、常温部104と高温部106との間にホルダ対120を受け渡す過程において、ホルダ対120を仮置きする。
【0027】
第1基板122、第2基板123、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125から構成されるホルダ対120が常温部104から高温部106に搬入される場合、まず、常温部104側のシャッタ222が開かれ、搬送アーム134がホルダ対120をロードロック室220に搬入する。次に、常温部104側のシャッタ222が閉じられ、ロードロック室220内部が真空に引かれる。ロードロック室220内部の真空度が、高温部106側の真空度になったら、高温部106側のシャッタ224が開かれる。
【0028】
続いて、搬送アーム230および搬送アーム232のいずれかが、ロードロック室220からホルダ対120を搬出して、加圧室240のいずれかに装入する。加圧室240は、上基板ホルダ124と下基板ホルダ125に挟まれた状態で加圧室240に搬入された第1基板122及び第2基板123を加熱および加圧する。これにより第1基板122と第2基板123が接合されて、貼り合わされる。なお、加圧室240は、第1基板122及び第2基板123を加熱せずに加圧することで第1基板122及び第2基板123を貼り合わせてもよい。
【0029】
高温部106から常温部104にホルダ対120を搬出する場合は、上記の一連の動作を逆順で実行する。これらの一連の動作により、高温部106の内部雰囲気を常温部104側に漏らすことなく、ホルダ対120を高温部106に搬入または搬出できる。
【0030】
このように、基板貼り合せ装置100内の多くの領域において、上基板ホルダ124が第1基板122を保持した状態で、又は下基板ホルダ125が第2基板123を保持した状態で、搬送アーム134、230、232および下ステージ142により搬送される。第1基板122を保持した上基板ホルダ124又は第2基板123を保持した下基板ホルダ125が搬送される場合、搬送アーム134、230、232は、真空吸着、静電吸着等により上基板ホルダ124又は下基板ホルダ125を吸着して保持する。また、上基板ホルダ124又は下基板ホルダ125は、静電吸着により第1基板122または第2基板123を吸着して保持する。
【0031】
図2は、搬送アームの垂直方向の変形を計測する過程を概略に示す。図2は、ロードロック室220及び連結室250の側面断面を示す。ロードロック室220は、基板載置部300と、昇降機構342と、センサー412とを含む。
【0032】
基板載置部300は、上置き台302と、下置き台304と、接続柱306とを有する。上置き台302及び下置き台304は、上下平行に配置され、接続柱306により連結される。下置き台304は、ロードロック室220の下部に設置された昇降機構342に連結される。その連結により、基板載置部300の全体は、昇降機構342の駆動により上下に移動できる。
【0033】
上置き台302及び下置き台304は、それぞれホルダ対120を載置することができる。例えば、上置き台302は、常温部104から搬入されるホルダ対120を載置し、下置き台304は、高温部106から搬入されるホルダ対120を載置する。
【0034】
昇降機構342は、基板載置部300を上下に駆動する。昇降機構342は、その内部にセンサー416が設けられ、基板載置部300にかかる負荷及びその変化を検出することができる。センサー416は、計測部の一例である。センサー416として、ロードセルが例示できる。センサー416により計測したデータは、搬送アームの制御部330に送信される。
【0035】
センサー412は、搬送アーム230、232を予め定められた目標位置に移動した場合、垂直方向における搬送アーム230、232の実際の位置を計測する。ここで、「目標位置」とは、X、Y及びZ軸の座標が予め定められた位置を言う。センサー412は、計測部の一例である。センサー412により計測したデータは、搬送アームの制御部330に送信される。
【0036】
センサー412として、レーザーセンサー等が例示できる。例えば、センサー412は、レーザーセンサーであって、ガラス窓414を越して、予め定められた目標位置に延伸した搬送アーム230のフィンガー234の先端にレーザービームを当てて、センサー412からフィンガー234の先端までの距離を計測することにより、搬送アーム230の垂直方向の位置を計測することができる。
【0037】
センサー412は、剛性の高いロードロック室220の筐体の上部に設けられるので、ロードロック室220の構造的不安定による計測誤差を回避できる。センサー412は、剛性の高いロードロック室220の筐体の底部に設けられてもよい。センサー412は、連結室250に配されてもよい。センサー412は、予め定められた距離まで搬送アーム230又は搬送アーム232が延伸した状態で、搬送アーム230又は搬送アーム232の垂直方向の変形を計測できる位置に配されて良い。
【0038】
連結室250は、搬送アーム230、232を収容する。搬送アーム230、232は、搬送するホルダ対120の面に垂直な方向に重なって配置される。搬送アーム230、232は、互いに独立して動作する。センサー412又はセンサー416が搬送アーム230、232の一方の位置を計測する場合に、搬送アーム230、232はホルダ対120の面方向について互いにずれた位置にある。
【0039】
搬送アーム230は、その先端にフィンガー234を有して、そのフィンガー234によって基板又はホルダ対120を保持する。搬送アーム232も、同様に、その先端にフィンガー236を有する。図2は、搬送アーム230が延伸して、搬送アーム232が退避した状態を示す。
【0040】
基板貼り合せ装置100は、搬送アーム230、232を制御する制御部330を有する。制御部330は、センサー412及びセンサー416から受信した計測データに基づいて、搬送アーム230、232を制御する。制御部330は、センサー412及びセンサー416から受信した計測データに基づいて、搬送アーム230、232の実際の位置を算出することができる。制御部330は、算出部の一例でもある。
【0041】
図3は、搬送アーム230の垂直方向の変形を概略的に説明する図面である。例えば、搬送アーム230が上置き台302との間にホルダ対120を受け渡す高さでは、フィンガー234がホルダ対120を保持しなければ、フィンガー234と上置き台302との間隔をHとする。上置き台302には、ホルダ対120に静電吸着の電力を供給する給電端子346があり、その高さをhとする。また、搬送アーム230がホルダ対120を保持し、更に磨耗等により垂直方向に生じる総変形をδとする。この場合に、ベアリングの磨耗等により、総変形δが(H−h)を超えると、フィンガー234は、給電端子346に、極端の場合には上置き台302に衝突して破損するおそれがある。
【0042】
例えば、H=8mm、h=1.5mmである場合に、総変形δが(H−h)=6.5mmを超えてはならない。搬送アーム230が4kgのホルダ対120を保持して、1235mmまで延伸したときに、搬送アーム230の撓みδが6mmである場合に、フィンガー234と給電端子346の頂点との間に残った間隔は0.5mmだけである。
【0043】
図2に示す実施形態において、制御部330は、ホルダ対120を保持した状態で搬送アーム230を予め定められた目標位置に移動する。センサー412は、搬送アーム230の垂直方向における実際の位置を計測する。制御部330は、上記目標位置とセンサー412により計測された位置との差を算出し、その差が閾値を超えたら搬送アーム230の動作を停止して、警告を発する。上記目標位置と計測位置との差は、図3に示すδである。例えば、閾値を6.3mmに設定して、δ>6.3mmになると、制御部330は、搬送アーム230の動作を停止して、警告を発する。これにより、搬送アーム230の破損事故を未然に防ぐことができる。なお当該警告は、基板貼り合せ装置100の使用者に、上記差が閾値を超えたことを認識させるものであって、LEDの点灯、操作画面への表示、音声の出力等を含む。さらに、当該警告は、基板貼り合せ装置100に連結された他の装置への情報の出力であってもよい。
【0044】
図4は、計測ポイントの例を示す。制御部330が搬送アーム230を予め定められた目標位置に移動してから、センサー412は、フィンガー234の先端であるA又はBを測定ポイントとして、搬送アーム230の垂直方向における実際の位置を計測してよい。なお、ロードロック室220及び連結室250に複数のセンサーを設けて、A、B及びCのいずれか2ポイントを計測してもよく、A、B及びCの3点を計測してもよく、更に測定ポイントを増やして計測しても良い。
【0045】
例えば、A、B及びCの3点が計測され、その計測データが制御部330に送信されると、制御部330は、そのデータに基づいて、搬送アーム230の傾きを計算することができる。従って、制御部330に傾きの閾値が設定されておけば、垂直な方向における搬送アーム230の傾きがその閾値を超えたら、制御部330は、搬送アーム230の動作を停止して、警告を発することができる。
【0046】
上記の実施形態では、搬送アーム230がホルダ対120を保持した状態における搬送アーム230の垂直方向の実際位置を計測する例を挙げたが、ホルダ対120の代わりに、搬送アーム230がホルダ対120の質量に相当する対象物を保持した状態で計測してもよい。例えば、搬送アーム230がホルダ対120を保持すると、フィンガー234の先端が塞がれて、センサー412が直接フィンガー234の先端の位置を計測できないとき、搬送アーム230がホルダ対120と同じ質量を有し、ホルダ対120より一回り小さいダミー基板を保持した状態で計測が行われてもよい。
【0047】
なお、搬送アーム230が既知の厚さを有するダミー基板を保持して、センサー412は、そのダミー基板までの間隔を計測して、計測データに基づいて制御部330が搬送アーム230の位置を算出してもよい。また、センサー412は、搬送アーム230がホルダ対120等を保持しない状態で、搬送アーム230を予め定められた目標位置に移動した場合の、垂直な方向における搬送アーム230の実際の位置を計測してもよい。この場合、搬送アーム230がホルダ対120等を保持しない状態に対応して、閾値が定められ、制御部330に設定されてもよい。
【0048】
図5は、基板載置部を利用して搬送アームの垂直方向の変形を計測する実施形態を示す。制御部330は、ホルダ対120を保持した状態で搬送アーム230を予め定められた目標位置に、例えばフィンガー234の先端が下置き台304との間に垂直方向に予め定められた間隔を有すべき位置に移動する。昇降機構342は、基板載置部300を徐々に上昇させる。下置き台304がフィンガー234の先端に接触すると、センサー416は、基板載置部300にかかる負荷の変化を検出することができる。制御部330は、その検出データに基づいて、フィンガー234の実際の位置を算出することができる。
【0049】
また、昇降機構342の内部に設けられたエンコーダを計測部として用いてもよい。この場合に、下置き台304がフィンガー234の先端に接触すると、昇降機構342のエンコーダは、目標プロファイルに対して非線形の検出データを出力する。従って、エンコーダの検出データを利用してもフィンガー234の実際の位置を検出することができる。
【0050】
制御部330は、上記目標位置とセンサー416により計測された搬送アーム230の実際の位置との差を算出し、その差が閾値を超えたら搬送アーム230の動作を停止して、警告を発する。閾値は、上述の方法によって設定してよい。
【0051】
図5に示す実施形態において、搬送アーム230は、ホルダ対120の代わりに、それと同じ質量を有するダミー基板を保持してもよく、基板等を保持しなくてもよい。搬送アーム230が基板等を保持しないときには、それに対応する閾値が定められてよい。制御部330は、上記目標位置とセンサー416により計測された搬送アーム230の実際の位置との差を算出し、その差が当該閾値を超えたら搬送アーム230の動作を停止して、警告を発してよい。
【0052】
上述の実施形態において、主に搬送アーム230の例を挙げたが、搬送アーム232についても同様の計測をすることができる。また、定期的に搬送アーム230又は搬送アーム232の変形を計測することにより、搬送アーム230又は搬送アーム232の保守時期、例えばベアリングの交換時期を予測して、機械の破損事故を未然に防ぐことができる。上記予測は、定期的に搬送アーム230又は搬送アーム232の変形を計測することにより、予め定められた変形量となる時期を計測値から外挿して予測することであってよい。
【0053】
図6は、積層半導体装置を製造する製造方法の概略を示す。図6に示すように、積層半導体装置は、当該積層半導体装置の機能・性能設計を行うステップS110、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップS120、積層半導体装置の基材である基板を製造するステップS130、マスクのパターンを用いたリソグラフィを含む基板処理ステップS140、上記の基板貼り合せ装置を用いた基板貼り合せ工程等を含むデバイス組み立てステップS150、検査ステップS160等を経て製造される。なお、デバイス組み立てステップS150は、基板貼り合せ工程に続いて、ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む。
【0054】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることができることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0055】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0056】
100 基板貼り合せ装置、102 筐体、104 常温部、106 高温部、108 断熱壁、112 基板カセット、114 基板カセット、116 基板カセット、120 ホルダ対、122 第1基板、123 第2基板、124 上基板ホルダ、125 下基板ホルダ、126 プリアライナ、128 基板ホルダラック、130 基板取り外し部、132 搬送アーム、134 搬送アーム、140 ステージ装置、141 上ステージ、142 下ステージ、145 断熱壁、146 シャッタ、148 制御部、220 ロードロック室、222 シャッタ、224 シャッタ、230 搬送アーム、232 搬送アーム、234 フィンガー、236 フィンガー、240 加圧室、250 連結室、300 基板載置部、302 上置き台、304 下置き台、306 接続柱、330 制御部、342 昇降機構、346 給電端子、412 センサー、414 ガラス窓、416 センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する複数の処理室に連結された連結室と、
前記連結室に配され、前記基板を前記複数の処理室の間で搬送する搬送アームと、
前記搬送アームを目標位置に移動した場合の前記搬送アームの実際の位置を計測する計測部と、
前記目標位置と前記計測部により計測された位置との差を算出する算出部と
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記複数の処理室の少なくとも一つは、減圧環境で複数の前記基板を押圧して貼り合わせる加圧室であり、
前記複数の処理室の少なくとも他の一つは、前記搬送アームに受け渡す前記基板を仮置きするロードロック室である請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記計測部は、前記連結室および前記ロードロック室の少なくともいずれか一方に配される請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記計測部は、前記搬送アームが前記基板の質量に相当する対象物を保持した状態で、前記搬送アームを目標位置に移動した場合の、前記基板の面に垂直方向における前記搬送アームの実際の位置を計測する請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記計測部は、前記搬送アームが対象物を保持しない状態で、前記搬送アームを目標位置に移動した場合の前記搬送アームの実際の位置を計測する請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記算出部により算出された前記差が閾値を超えたら警告する警告部を更に備える請求項1から5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記計測部は、前記搬送アームを複数の位置で計測し、
前記警告部は、前記搬送アームの傾きが閾値を超えたら警告する請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記警告部は、前記目標位置と前記計測部により計測された位置との差が閾値を超えたら前記搬送アームの動作を停止する請求項6又は7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記搬送アームは、前記基板の面に垂直な方向に重なって二つ配され、
二つの前記搬送アームは互いに独立して動作し、
前記計測部が二つの前記搬送アームの一方の位置を計測する場合に、二つの前記搬送アームは前記基板の面方向について互いにずれた位置にある請求項1から8のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の基板処理装置により基板を処理することを含む積層半導体装置製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の積層半導体装置製造方法により製造された積層半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−192676(P2011−192676A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55062(P2010−55062)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】