説明

基板処理装置および半導体装置の製造方法

【課題】基板表面に基板処理を行う際に、基板処理による基板上パターンへの損傷を小さくする。
【解決手段】実施の形態によれば、基板処理装置が提供される。前記基板処理装置においては、基板を処理対象面の裏面側から固定して支持する基板支持部を備えている。また、前記基板処理装置は、所定の液体を染み込ませるパッドが配置されるとともに前記液体で前記基板の処理対象面の基板処理を行う基板処理部を備えている。そして、前記基板処理を行う際には、前記基板を支持している基板支持部を前記パッド側へ近づける。これにより、前記基板および前記パッドを回転させることなく前記基板の処理対象面を前記パッド表面の液体に接触させる。これにより、前記基板および前記パッドを回転させることなく前記基板処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程では、半導体装置が形成される基板の基板表面に種々の基板処理(洗浄やエッチングなど)が行われる。例えば、基板への基板処理としてCMP(Chemical Mechanical Polishing)が行われる際には、基板がパッドの表面に押し当てられる。そして、基板の中心を回転軸として基板を基板面内で回転させるとともに、パッドの中心を回転軸としてパッドをパッド面内で回転させている。
【0003】
しかしながら、CMPでは、基板やパッドの回転によってパッドが基板表面に大きな力を加えることとなる。このため、CMPでは、基板上に形成された基板上パターンに損傷を与えることなく、基板表面を洗浄やエッチングすることは困難であった。このような状況に鑑み、基板上パターンに与える損傷を小さくして基板処理を行う方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−55411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板表面に基板処理を行う際に、基板処理による基板上パターンへの損傷を小さくする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態によれば、基板処理装置が提供される。前記基板処理装置においては、基板を処理対象面の裏面側から固定して支持する基板支持部を備えている。また、前記基板処理装置は、所定の液体を染み込ませるパッドが配置されるとともに前記液体で前記基板の処理対象面の基板処理を行う基板処理部を備えている。そして、前記基板処理を行う際には、前記基板を支持している基板支持部を前記パッド側へ近づける。これにより、前記基板および前記パッドを回転させることなく前記基板の処理対象面を前記パッド表面の液体に接触させる。これにより、前記基板および前記パッドを回転させることなく前記基板処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、基板処理部の第1の構成例を示す図である。
【図3】図3は、基板処理部の第2の構成例を示す図である。
【図4−1】図4−1は、ウエハにHF薬液処理を行う場合のHF薬液の挙動を説明するための図(1)である。
【図4−2】図4−2は、ウエハにHF薬液処理を行う場合のHF薬液の挙動を説明するための図(2)である。
【図4−3】図4−3は、ウエハにHF薬液処理を行う場合のHF薬液の挙動を説明するための図(3)である。
【図4−4】図4−4は、ウエハにHF薬液処理を行う場合のHF薬液の挙動を説明するための図(4)である。
【図5−1】図5−1は、ウエハを乾燥処理する場合の水の挙動を説明するための図(1)である。
【図5−2】図5−2は、ウエハを乾燥処理する場合の水の挙動を説明するための図(2)である。
【図5−3】図5−2は、ウエハを乾燥処理する場合の水の挙動を説明するための図(3)である。
【図6】図6は、乾燥パッドを真空ポンプでバキュームする場合の乾燥機構の構成を示す図である。
【図7】図7は、パッドへの液体供給機構を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施の形態に係る、基板処理装置および半導体装置の製造方法を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。図1では、基板処理装置1の断面構成例を示している。基板処理装置1は、半導体装置が形成される基板(ウエハWなど)の基板処理を行う枚様式の装置である。基板処理装置1は、基板支持部21と、基板処理部22Xと、を含んで構成されている。
【0010】
基板支持部21は、ウエハWを、ウエハWの処理対象面(表面a)とは反対側の裏面b側から固定して支持する。基板支持部21は、例えば、ウエハWを裏面b側から真空吸着することによってウエハWを支持する。また、基板支持部21は、ウエハWの側面に当接することによってウエハWを支持してもよい。この場合、基板支持部21はピン部(図示せず)などを、複数個所でウエハWの側面に押し当てることによってウエハWを固定する。基板支持部21は、ウエハWの表面aが基板処理部22X側を向くようウエハWを支持する。
【0011】
基板処理部22Xは、1〜複数のパッドを備えている。図1では、基板処理部22XにHF薬液パッドP1、水洗パッドP2、・・・、パッドPn(nは自然数)が配置されている場合を示している。なお、以下の説明では、HF薬液パッドP1、水洗パッドP2、・・・、パッドPnの何れか1つまたは複数を、パッドPxという場合がある。
【0012】
各パッドPxがウエハWの表面aに行う基板処理は、HF薬液処理、水洗処理、後述する乾燥処理などである。例えば、HF薬液パッドP1には、HF薬液を染み込ませておき、水洗パッドP2には、水洗用の水を染み込ませておく。これにより、HF薬液や水でウエハWの表面aが基板処理される。
【0013】
基板処理部22Xでは、各パッドPxを配置する箇所にパッドPxを格納するためのくぼみ(格納穴)を開けておき、この格納穴に各パッドPxが配置される。各パッドPxを配置する格納穴は、例えば、各パッドPxの厚さよりも深く形成しておく。これにより、各パッドPxにHF薬液や水などの液体を染み込ませた場合であっても、それぞれのパッドPxが配置される領域外にHF薬液や水などの液体が流出することを防ぐことができる。
【0014】
ウエハWの表面aには、所定の高さを有したウエハ上パターン31が形成されている。基板処理装置1では、ウエハWの基板処理を行う際に、基板支持部21でウエハWを裏面b側から支持する。そして、ウエハWを支持している基板支持部21をいずれかのパッドPx側へ近づけることにより、ウエハWおよびパッドPxを回転させることなくウエハWのウエハ上パターン31(処理対象面である表面a)をパッドPxの表面の液体に接触させる。これにより、ウエハWおよびパッドPxを回転させることなく、パッドPxの液体によってウエハWの基板処理を行う。
【0015】
図2は、基板処理部の第1の構成例を示す図である。図2では、基板処理部22Xの第1の構成例を示す図として、基板処理部22Yの上面図を示している。ここでは、基板処理部22Yが、パッドPxとして5つのパッドを備えている場合について説明する。
【0016】
基板処理部22Yには、例えば、HF薬液パッドP1、水洗パッドP2、乾燥パッドP3、薬液AパッドP4、水洗パッドP5が配置されている。HF薬液パッドP1、水洗パッドP2は、図1で説明したように、それぞれHF薬液処理、水洗処理を行うパッドである。また、水洗パッドP5は、水洗パッドP2と同様に、水洗処理を行うパッドである。
【0017】
また、乾燥パッドP3は、ウエハWの表面aを乾燥させるためのパッドである。したがって、乾燥パッドP3内には液体などを染み込ませることなく、乾燥パッドP3を乾燥させておく。また、薬液AパッドP4は、薬液AによってウエハWの薬液処理を行うパッドである。
【0018】
各パッドPxは、ウエハWと同様に、その主面が概略円形状をなしている。各パッドPxの面内サイズは、ウエハWの面内サイズよりも大きなサイズである。換言すると、各パッドPxは、ウエハWなどの基板全面よりも大きな主面領域を有しており、これにより、ウエハWの全面をパッドPxに接触または近接させることが可能な構成となっている。
【0019】
基板処理部22Yは、概略円形状の主面領域を有しており、この主面領域上に各パッドPxが配置されている。基板処理部22Yでは、基板処理部22Yの中心部を中心として、各パッドPxが同心円状に略等間隔で配置されている。
【0020】
基板処理部22Yは、その主面領域の中心を回転軸として面内方向に回転するよう構成されている。基板処理を開始する際には、基板処理部22Yを、基板処理部22Yの中心を回転軸として回転させることにより、基板処理部22Yの主面と同じ面内で各パッドPxを移動させる。これにより、所望のパッドPxをウエハWの下部に移動させてくる。
【0021】
複数種類の基板処理を行う際には、基板処理に用いるパッドPxを基板処理する順番で、ウエハWの下部に移動させてくる。これにより、ウエハWの表面aを、各パッドPxに対して順番に接触または近接させる。
【0022】
例えば、基板処理部22Yを回転させることにより、HF薬液パッドP1をウエハWの下部に移動させる。その後、ウエハWの表面aをHF薬液パッドP1に近接させてウエハWのHF処理を行う。
【0023】
この後、ウエハWをHF薬液パッドP1の上部に持ち上げる。そして、基板処理部22Yを回転させることにより、水洗パッドP2をウエハWの下部に移動させる。その後、ウエハWの表面aを水洗パッドP2に近接させてウエハWの水洗処理を行う。
【0024】
この後、ウエハWを水洗パッドP2の上部に持ち上げる。そして、基板処理部22Yを回転させることにより、乾燥パッドP3をウエハWの下部に移動させる。その後、ウエハWの表面aを乾燥パッドP3に接触させてウエハWの乾燥処理を行う。
【0025】
図3は、基板処理部の第2の構成例を示す図である。図3では、基板処理部22Xの第2の構成例を示す図として、基板処理部22Zの上面図を示している。ここでは、基板処理部22Zが、パッドPxとして5つのパッドを備えている場合について説明する。基板処理部22Zには、基板処理部22Yと同様に、例えば、HF薬液パッドP1、水洗パッドP2、乾燥パッドP3、薬液AパッドP4、水洗パッドP5が配置されている。
【0026】
基板処理部22Zは、概略矩形状の主面領域を有しており、この概略矩形状の主面領域上に各パッドPxが配置されている。基板処理部22Zでは、主面領域上の長手方向に、各パッドPxが直線状に並ぶよう略等間隔で配置されている。
【0027】
基板処理部22Zは、ベルトコンベアー式のパッド移動機能を有している。具体的には、基板処理部22Zは、各パッドPxが並ぶ直線方向と同じ方向に往復移動できるよう構成されている。基板処理を開始する際には、基板処理部22Zを、各パッドPxが並ぶ直線方向に移動させることにより、基板処理部22Zの主面と同じ面内で各パッドPxを移動させる。これにより、所望のパッドPxをウエハWの下部に移動させてくる。
【0028】
複数種類の基板処理を行う際には、基板処理に用いるパッドPxを基板処理する順番で、ウエハWの下部に移動させてくる。これにより、ウエハWの表面aを、各パッドPxに対して順番に接触または近接させる。
【0029】
例えば、基板処理部22Zを直線移動させることにより、HF薬液パッドP1をウエハWの下部に移動させる。その後、ウエハWの表面aをHF薬液パッドP1に近接させてウエハWのHF処理を行う。
【0030】
この後、ウエハWをHF薬液パッドP1の上部に持ち上げる。そして、基板処理部22Zを直線させることにより、水洗パッドP2をウエハWの下部に移動させる。その後、ウエハWの表面aを水洗パッドP2に近接させてウエハWの水洗処理を行う。
【0031】
この後、ウエハWを水洗パッドP2の上部に持ち上げる。そして、基板処理部22Zを直線移動させることにより、乾燥パッドP3をウエハWの下部に移動させる。その後、ウエハWの表面aを乾燥パッドP3に接触させてウエハWの乾燥処理を行う。
【0032】
つぎに、基板処理時におけるウエハWの移動動作および液体(薬液や水)の挙動について説明する。まず、基板処理がHF薬液処理である場合について説明する。図4−1〜図4−4は、ウエハにHF薬液処理を行う場合のHF薬液の挙動を説明するための図である。
【0033】
基板処理装置1は、ウエハWにHF薬液処理を行う場合には、HF薬液パッドP1をウエハWの下部に移動させる。そして、ウエハWを支持している基板支持部21をHF薬液パッドP1側に下降させる。これにより、図4−1に示すように、ウエハWのウエハ上パターン31がHF薬液パッドP1側に近づけられる。
【0034】
HF薬液パッドP1は、HF薬液で満たされており、HF薬液パッドP1の表面には、HF薬液L1が染み出している。図4−2に示すように、基板処理装置1は、ウエハ上パターン31とHF薬液パッドP1またはHF薬液L1との距離が所定値以下になるまで、基板支持部21を下降させる。
【0035】
ウエハ上パターン31がHF薬液L1に接触すると、基板処理装置1は基板支持部21の下降を停止させる。これにより、図4−3に示すように、HF薬液L1の表面張力によってHF薬液L1がウエハ上パターン31に引き寄せられる。このように、本実施の形態では、ウエハWの表面a(ウエハ上パターン31)をパッドPx自体に接触させることなく、液体の表面張力を用いて表面aをパッドPx表面の液体に接触させる。
【0036】
この後、ウエハWおよびHF薬液パッドP1の位置を移動させることなく、この状態を維持し続ける。これにより、図4−4に示すように、HF薬液パッドP1のHF薬液L1が、毛細管現象により、ウエハ上パターン31の内部に浸透する。さらに、ウエハWおよびHF薬液パッドP1の位置を移動させることなく、この状態を所定時間に渡って維持し続ける。これにより、ウエハWがHF薬液L1によってHF処理される。
【0037】
なお、基板処理装置1が、ウエハWへの水洗処理を行う場合にも、ウエハWへのHF薬液処理を行う場合と同様の処理が行われる。具体的にはウエハ上パターン31間に保持されているHF薬液L1と水とが混合し希釈された後、HF薬液L1と水を置換させてウエハ上パターン31間の水洗処理を行う。この場合も、ウエハWの表面a(ウエハ上パターン31)をパッドPx自体に接触させることなく、液体の表面張力を用いて表面aをパッドPx表面の液体に接触させる。
【0038】
つぎに、基板処理がウエハWの乾燥処理である場合の、ウエハWの移動動作および液体(水)の挙動について説明する。図5−1〜図5−3は、ウエハを乾燥処理する場合の水の挙動を説明するための図である。
【0039】
例えば、ウエハWにHF薬液処理を行った後、ウエハWを水洗処理すると、ウエハWの表面aには、水L2が付着する。基板処理装置1は、ウエハWの乾燥処理を行う場合には、乾燥パッドP3をウエハWの下部に移動させる。そして、ウエハWを支持している基板支持部21を乾燥パッドP3側に下降させる。これにより、図5−1に示すように、ウエハWのウエハ上パターン31が乾燥パッドP3に近づけられる。
【0040】
図5−2に示すように、基板処理装置1は、ウエハ上パターン31が乾燥パッドP3に接触すると、基板支持部21の下降を停止させる。ウエハ上パターン31が乾燥パッドP3に接触すると、ウエハWおよび乾燥パッドP3の位置を移動させることなく、この状態を維持し続ける。図5−3に示すように、ウエハ上パターン31が乾燥パッドP3に接触することによって、乾燥パッドP3がウエハ上パターン31近傍の水L2を吸収する。これにより、基板処理装置1は、ウエハWを乾燥させる。
【0041】
なお、乾燥パッドP3によってウエハWの乾燥処理を行う際には、真空ポンプによって乾燥パッドP3をバキュームしてもよい。図6は、乾燥パッドを真空ポンプでバキュームする場合の乾燥機構の構成を示す図である。乾燥機構は、真空ポンプ40と、真空配管42と、吸引部41と、乾燥パッドP3と、を含んで構成されている。真空ポンプ40で乾燥パッドP3をバキュームする場合、真空ポンプ40は、真空配管42と吸引部41を介して、例えば乾燥パッドP3の底部に接続される。
【0042】
乾燥パッドP3には、その底面にバキューム用の穴を1〜複数個設けておく。そして、バキューム用の穴を吸引部41に接続し、吸引部41を、真空配管42を介して真空ポンプ40に接続しておく。
【0043】
乾燥パッドP3によって吸収された水L2などは、吸引部41に吸引され、真空配管42を介して真空ポンプ40に送られる。そして、真空ポンプ40から水L2などが排出される。これにより、乾燥パッドP3の乾燥状態を維持することが可能となる。
【0044】
なお、乾燥パッドP3の側面や上面にバキューム用の穴を設けておいてもよい。この場合、吸引部41は、乾燥パッドP3の側面や上面に設けられたバキューム用の穴に接続しておく。
【0045】
つぎに、パッドPxへの液体供給方法について説明する。なお、パッドPxへの薬液供給方法は、液体の種類に限らず同じであるので、ここではHF薬液パッドP1へのHF薬液の供給の方法について説明する。
【0046】
図7は、パッドへの液体供給機構を説明するための図である。液体供給機構は、HF薬液L1を格納する薬液格納部50と、薬液供給部51と、薬液配管52と、を有している。薬液格納部50は、HF薬液L1を格納するタンクなどであり、薬液配管52および薬液供給部51を介して、例えばHF薬液パッドP1の底部に接続される。
【0047】
HF薬液パッドP1には、その底面にHF薬液L1を供給するための穴(薬液供給穴)を1〜複数個設けておく。そして、薬液供給穴を薬液供給部51に接続し、薬液供給部51を、薬液配管52を介して薬液格納部50に接続しておく。
【0048】
薬液格納部50から送られてくるHF薬液L1は、薬液配管52を介して薬液供給部51に送られる。そして、薬液供給部51から、薬液供給穴を介して、HF薬液L1がHF薬液パッドP1に送られる。これにより、HF薬液パッドP1をHF薬液L1で満たすことが可能となる。
【0049】
なお、HF薬液パッドP1の側面や上面に薬液供給穴を設けておいてもよい。この場合、薬液供給部51は、HF薬液パッドP1の側面や上面に設けられた薬液供給穴に接続しておく。
【0050】
基板処理装置1によるウエハWへの基板処理は、半導体装置を作製する際の種々の工程で実施される。例えば、レジストの塗布されたウエハWにフォトマスクを用いて露光が行なわれる。その後、ウエハWが現像されて、ウエハW上にレジストパターンとしてのウエハ上パターン31が形成される。そして、レジストパターンをマスクとしてウエハWの下層側をエッチングする際に、HF薬液パッドP1によるHF薬液処理、水洗パッドP2による水洗処理、乾燥パッドP3による乾燥処理などが行われる。これにより、レジストパターンに対応する実パターンがウエハW上に形成される。半導体装置を製造する際には、上述した露光処理、現像処理、基板処理などがレイヤ毎に繰り返される。
【0051】
なお、ウエハ上パターン31は、レジストパターンに限らず、別の膜を用いて形成されたパターンであってもよい。また、基板処理は、ウエハプロセスの各レイヤにおいて複数回実施してもよい。また、基板処理は、レジストパターンやハードマスクを用いたエッチングに限らず、パターンを細らせる処理などであってもよい。
【0052】
このように、本実施の形態では、パッドPxを回転させることなくウエハ上パターン31をパッドPxの表面の液体に接触させてウエハWの基板処理を行っている。また、ウエハWの基板処理を行なう際に、ウエハ上パターン31をパッドPx自体に接触させることなく、液体の表面張力を用いてウエハ上パターン31をパッドPx表面の液体に接触させている。このため、基板処理の際にパッドPxからウエハ上パターン31に力が加わらないので、ウエハ上パターン31の倒壊(パターン倒れ)を防止することが可能となる。
【0053】
また、基板処理を行う際に、パッドPxに染み込ませた液体を、毛細管現象によってウエハ上パターン31の内部に浸透させている。パッドPxを用いることにより、液体の薬液を処理槽に満たす必要がなくなるため、液体の薬液を処理槽に満たす場合と比較して薬液の使用量を低減することができる。具体的には、処理槽内に薬液層が形成されない程度の量であっても、パッドPxに薬液を染み込ませることでウエハ面内を少量の液体で均一に基板表面の処理を行うことが可能となる。また、パッドPxを回転させることなくウエハWの基板処理を行っているので、ウエハWに付着するゴミ、水ガラス(水玉)を防止することが可能となる。
【0054】
また、基板処理部22Xが複数のパッドPxを有しているので、複数種類の基板処理を行う場合であっても、基板処理と次の基板処理との間の時間を短くすることが可能となる。このため、ウエハWへのプロセス制御(エッチング制御など)が容易になる。また、水洗パッドP2,P5などがあるので、酸性の薬液処理とアルカリ性の薬液処理との間に水洗処理を実行すれば、酸性の薬液処理とアルカリ性の薬液処理との両処理を連続して実行することが可能となる。
【0055】
なお、本実施の形態では、パッドPxを移動させることにより、所望のパッドPxをウエハWの下部に移動させることとしたが、基板支持部21がウエハWを所望のパッドPx上に移動させてもよい。また、薬液の交換の際には、パッドPxの裏面側から使用済みの薬液を吸引した後、新たに薬液を染み込ませても構わないし、パッドPx毎交換してしまっても構わない。
【0056】
また、本実施の形態では、ウエハWへの基板処理としてHF薬液処理や水洗処理を行う際に、ウエハ上パターン31をパッドPxに接触させなかったが、ウエハ上パターン31をパッドPxに接触させて基板処理を行ってもよい。この場合、ウエハ上パターン31は、所定の押圧でパッドPxに押し当てられる。
【0057】
また、本実施の形態では、基板処理の際にパッドPxを回転させないこととしたが、パッドPxをウエハ上パターン31が延びる方向(ラインパターンに平行な方向)に沿って移動させてもよい。また、ウエハWを、ウエハ上パターン31が延びる方向に沿って移動させてもよい。ウエハ上パターン31が種々の方向に延びている場合は、例えば、メモリセルなど多くのパターンが配置されているパターンが延びる方向に沿って、パッドPxやウエハWを移動させる。また、パターン倒壊の可能性が高いパターンが延びる方向に沿って、パッドPxやウエハWを移動させてもよい。
【0058】
このように実施の形態によれば、ウエハWおよびパッドPxを回転させることなくウエハWへの基板処理を行なっているので、基板処理によるウエハWへの損傷を小さくすることが可能となる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…基板処理装置、21…基板支持部、22X〜22Z…基板処理部、31…ウエハ上パターン、a…表面、b…裏面、L1…HF薬液、L2…水、P1…HF薬液パッド、P2,P5…水洗パッド、P3…乾燥パッド、W…ウエハ。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理対象面の裏面側から固定して支持する基板支持部と、
所定の液体を染み込ませるパッドが配置されるとともに前記液体で前記基板の処理対象面の基板処理を行う基板処理部と、
を備え、
前記基板処理を行う際には、前記基板を支持している基板支持部を前記パッド側へ近づけることにより、前記基板および前記パッドを回転させることなく前記基板の処理対象面を前記パッド表面の液体に接触させ、これにより、前記基板および前記パッドを回転させることなく前記基板処理を行うことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記パッドは、複数からなり、
前記基板処理を行う際には、前記基板の処理対象面を、基板処理する順番で各パッド表面の液体に接触させることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基板処理部は、概略円形状の領域内に各パッドが配置されるとともに、
前記基板処理を行う際には、前記概略円形状の中心部を回転軸として前記各パッドを回転させることにより、前記基板の処理対象面を、基板処理する順番で各パッド表面の液体に接触させることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板処理を行う際には、前記基板の処理対象面を、前記パッド自体に接触させることなく、前記液体の表面張力を用いて前記処理対象面を前記パッド表面の液体に接触させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板処理部は、前記パッドとして、前記基板の処理対象面を水洗する水洗パッドおよび前記基板の処理対象面を薬液処理する薬液パッドの少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の基板処理装置。
【請求項6】
基板を処理対象面の裏面側から固定して支持する基板支持ステップと、
所定の液体を染み込ませたパッドの前記液体で前記基板の処理対象面の基板処理を行う基板処理ステップと、
前記基板処理された基板を用いて前記基板上に基板上パターンを形成するパターン形成ステップと、
を含み、
前記基板処理を行う際には、前記基板の処理対象面を前記パッド側へ近づけることにより、前記基板および前記パッドを回転させることなく前記基板の処理対象面を前記パッド表面の液体に接触させ、これにより、前記基板および前記パッドを回転させることなく前記基板処理を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−129236(P2012−129236A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276846(P2010−276846)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】