説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】基板上への処理液の落下を回避でき、かつすぐれた生産性を実現できる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、処理液を加圧して送り出すポンプ5と、処理液供給路6と、処理液供給路6から分岐した第1、第2および第3分岐路11,12,13とを有する。基板処理装置は、さらに、第1、第2および第3分岐路11,12,13にそれぞれ接続され、第1、第2および第3処理ユニット1,2,3にそれぞれ配置された第1、第2および第3ノズルN1,N2,N3を有する。第1、第2および第3分岐路11,12,13には、第1、第2および第3一次側バルブP1,P2,P3が介装されている。制御装置7は、第1一次側バルブP1を閉じるときに、ポンプ5を駆動状態に保持したまま、第2一次側バルブP2または第3一次側バルブP3を開く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理液によって基板を処理する装置および方法に関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、底面に多数の吐出孔を形成した筒状体の一次側開口に供給配管を接続し、その筒状体の二次側開口に排出配管を接続した構成の洗浄ヘッドを開示している。供給配管は、洗浄液供給源に接続され、その経路途中には圧送ポンプが介装されている。排出配管の経路途中にはバルブ(以下「二次側バルブ」という。)が介装されている。圧送ポンプは常時連続運転され、洗浄ヘッドが退避位置で待機しているとき、退避位置から基板上の洗浄位置に移動しているとき、および洗浄液を基板に供給すべきときのいずれにおいても、洗浄ヘッドに洗浄液が給送されている(特許文献1の段落0046)。基板に洗浄液を供給して洗浄処理を行うときは、二次側バルブが閉止される。これにより、筒状体内部の洗浄液の液圧が上昇し、それによって、吐出孔から洗浄液が吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−29315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、二次側バルブが開かれているときは、筒状体の内部に送給された洗浄液はそのまま排出配管から装置外部に排出される、と説明されている。
しかし、実際には、圧送ポンプから洗浄液が送給されているとき、吐出孔から全く洗浄液が出ないわけではなく、筒状体の内部の液圧および重力によって、少量の洗浄液が吐出孔から漏れ落ちることは避けられない。したがって、洗浄ヘッドを退避位置から洗浄位置に移動するとき、および洗浄ヘッドを洗浄位置から退避位置に移動するときに、基板上に洗浄液が落下して、基板処理品質を悪化させるおそれがある。
【0005】
この問題は、供給配管の経路途中にバルブ(以下「一次側バルブ」という。)を設け、洗浄液を吐出しないときには、その一次側バルブを閉じておくことによって解決できる。一次側バルブを閉じると、圧送ポンプから送られてくる洗浄液の行き先がなくなり、供給配管内の圧力が過大になるおそれがある。したがって、一次側バルブを閉じるときには、圧送ポンプの運転を停止しなければならない。
【0006】
ところが、このような構成では、基板処理に要する時間が長くなり、生産性が悪化するという別の問題が生じる。すなわち、洗浄ヘッドを基板上の洗浄位置まで移動させた後に、一次側バルブを開き、二次側バルブを閉じて、圧送ポンプの運転を開始することになるから、筒状体の内部の液圧が上昇するまで、吐出孔からの液吐出が始まらない。すなわち、液吐出前の準備時間(圧込め時間。たとえば2秒程度)が必要になる。さらに、洗浄ヘッドによる処理を終えて、洗浄ヘッドを退避位置に戻すときには、その前に、圧送ポンプの運転を停止し、二次側バルブを開き、一次側バルブを閉じて、筒状体の内部の液圧が下降するまで待機しなければならない。すなわち、処理終了後の後処理時間(圧抜き時間。たとえば15秒程度)が必要になる。したがって、洗浄ヘッドから洗浄液を吐出する実際の洗浄処理時間に加えて、圧込め時間および圧抜き時間が必要であるので、基板処理時間が長くなり、生産性が悪化してしまう。
【0007】
そこで、この発明の目的は、基板上への処理液の落下を回避でき、かつすぐれた生産性を実現できる基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、処理液によって基板を処理する第1処理ユニットおよび第2処理ユニットを有する基板処理装置であって、処理液を加圧して送り出すポンプと、前記ポンプに接続された処理液供給路と、前記処理液供給路から分岐した第1分岐路と、前記処理液供給路から分岐した第2分岐路と、前記第1分岐路に接続され、前記第1処理ユニットに配置された第1ノズルと、前記第2分岐路に接続され、前記第2処理ユニットに配置された第2ノズルと、前記第1分岐路に介装された第1一次側バルブと、前記第2分岐路に介装された第2一次側バルブと、前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブを開く制御手段とを含む、基板処理装置である。
【0009】
この構成によれば、第1一次側バルブが開かれているとき、ポンプから加圧して送り出された処理液は、第1処理ユニットに配置された第1ノズルに供給される。また、第2一次側バルブが開かれているとき、ポンプから加圧して送り出された処理液は、第2処理ユニットに配置された第2ノズルに供給される。したがって、第1一次側バルブおよび第2一次側バルブの一方を選択して開くことによって、一つのポンプを第1および第2処理ユニットでの処理に共用できるから、構成が簡単になり、基板処理装置のコストを削減できる。そして、第1一次側バルブを閉じるときには、第2一次側バルブが開かれ、ポンプは駆動状態に保持される。よって、第1ノズルからの処理液吐出がただちに停止される一方で、第2ノズルからは、必要に応じて速やかに処理液を吐出させることができる。つまり、ポンプが駆動状態に保持されるので、圧込め時間および圧抜き時間をいずれも解消できるから、第1および第2処理ユニットにおける基板処理時間を短縮して、基板処理の生産性を向上できる。しかも、第1一次側バルブを閉じるとき、第2一次側バルブが開かれるので、処理液供給路等で液圧が過大になるおそれもない。また、第1一次側バルブを閉じることによって、第1ノズルから処理液が出なくなるから、第1ノズルから基板上への処理液の落下を回避できる。このように、この発明により、基板上への処理液の落下を回避しつつ優れた生産性を実現でき、併せて、構成の簡素化およびコストの削減も可能な基板処理装置を提供できる。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記第1ノズルに接続された第1排液路と、前記第2ノズルに接続された第2排液路と、前記第1排液路に介装された第1二次側バルブと、前記第2排液路に介装された第2二次側バルブとをさらに含み、前記制御手段が、前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブおよび前記第2二次側バルブを開く、請求項1に記載の基板処理装置である。
【0011】
この構成によれば、第1一次側バルブを閉じるとき、第2一次側バルブおよび第2二次側バルブが開かれる。これにより、ポンプから送り出された処理液は、処理液供給路から第2分岐路に向かい、第2ノズルを通って第2排液路へと排出される。したがって、ポンプを駆動状態に保持したまま、配管内の圧力上昇を回避しつつ、第1一次側バルブを閉じて、第1ノズルから処理液が漏れ出ることを防止できる。第2二次側バルブが開かれるので、第2ノズル内の圧力が高まらないから、第2ノズルからは処理液が吐出されない。ただし、多少の処理液が漏出するおそれがあるので、第2ノズルは基板上から退避させておくことが好ましい。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記第1ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させる第1ノズル移動機構をさらに含み、前記制御手段は、前記第1ノズル移動機構が前記第1ノズルを前記退避位置と前記処理位置との間で移動させるときに、前記第1一次側バルブを閉じる、請求項2に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、第1ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させるときに第1一次側バルブが閉じられるので、第1ノズルから処理液が漏出しない。したがって、基板上に不用意に処理液が落下することを回避できるので、基板処理品質を向上できる。しかも、ポンプは駆動状態に保持されるから、退避位置から処理位置まで移動させた後は、第1一次側バルブを開けば、ただちに第1ノズルから処理液の吐出を開始できる。したがって、基板処理に要する時間を短縮して、生産性を向上できる。
【0013】
前記制御手段は、前記第1ノズル移動機構が前記第1ノズルを前記処理位置から前記退避位置に移動させるときも、前記第1一次側バルブを閉じることが好ましい。これにより、処理後の基板上に処理液が不用意に落下することを回避できる。
請求項4記載の発明は、前記第1ノズルが、前記第1分岐路に接続された第1一次側開口と前記第1排液路に接続された第1二次側開口と複数の第1吐出孔とが形成された中空の第1ノズル本体を有し、前記複数の第1吐出孔から処理液の液滴を吐出する第1処理液ヘッドの形態を有しており、前記第2ノズルが、前記第2分岐路に接続された第2一次側開口と前記第2排液路に接続された第2二次側開口と複数の第2吐出孔とが形成された中空の第2ノズル本体を有し、前記複数の第2吐出孔から処理液の液滴を吐出する第2処理液ヘッドの形態を有している、請求項2または3に記載の基板処理装置である。
【0014】
この構成によれば、第1および第2ノズルは、中空のノズル本体に対して一次側開口から処理液が導入され、二次側開口から処理液が排出されるとともに、ノズル本体に形成された複数の吐出孔から処理液の液滴を吐出する処理液ヘッドの形態を有している。したがって、二次側バルブを閉じた状態で一次側バルブを開くと、ノズル本体の内部空間における液圧が高まり、吐出孔から処理液の液滴が吐出される。一次側バルブおよび二次側バルブの両方を開くと、ノズル本体内における液圧が高まらないので、一次側開口から供給された処理液はノズル本体の内部を通過して二次側開口へと流出し、吐出孔からは処理液が吐出されない。ただし、処理液が漏れ出る可能性があるので、一次側バルブおよび二次側バルブの両方を開くときには、基板上から退避した位置にノズルを配置しておくことが好ましい。この発明では、第1一次側バルブを閉じるときには、第2一次側バルブおよび第2二次側バルブが開かれるので、第1ノズルからは処理液が吐出されず、第2ノズルからは吐出孔から処理液がわずかに漏れ出る程度となる。第2ノズルでは、一次側および二次側のバルブがいずれも開かれるので、配管内における過大な液圧上昇は生じない。したがって、第1および第2ノズルの両方を処理液が吐出しない状態としつつ、ポンプの駆動状態を保持できる。このとき、第1ノズルが基板上に配置されたり、基板上で移動されたりしても、第1ノズルから基板上に処理液が落下したりしない。
【0015】
請求項5記載の発明は、処理液によって基板を処理する第1処理ユニット、第2処理ユニットおよび第3処理ユニットを有する基板処理装置であって、処理液を加圧して送り出すポンプと、前記ポンプに接続された処理液供給路と、前記処理液供給路から分岐した第1分岐路と、前記処理液供給路から分岐した第2分岐路と、前記処理液供給路から分岐した第3分岐路と、前記第1分岐路に接続され、前記第1処理ユニットに配置された第1ノズルと、前記第2分岐路に接続され、前記第2処理ユニットに配置された第2ノズルと、前記第3分岐路に接続され、前記第3処理ユニットに配置された第3ノズルと、前記第1分岐路に介装された第1一次側バルブと、前記第2分岐路に介装された第2一次側バルブと、前記第3分岐路に介装された第3一次側バルブと、前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブまたは前記第3一次側バルブを開く制御手段とを含む、基板処理装置である。
【0016】
この構成によれば、第1一次側バルブが開かれているとき、ポンプから加圧して送り出された処理液は、第1処理ユニットに配置された第1ノズルに供給される。また、第2一次側バルブが開かれているとき、ポンプから加圧して送り出された処理液は、第2処理ユニットに配置された第2ノズルに供給される。そして、第3一次側バルブが開かれているとき、ポンプから加圧して送り出された処理液は、第3処理ユニットに配置された第3ノズルに供給される。したがって、第1一次側バルブ、第2一次側バルブおよび第3一次側バルブのいずれか一つを選択して開くことによって、一つのポンプを第1、第2および第3処理ユニットでの処理に共用できるから、構成が簡単になり、基板処理装置のコストを削減できる。そして、第1一次側バルブを閉じるときには、第2一次側バルブまたは第3一次側バルブが開かれ、ポンプは駆動状態に保持される。よって、第1ノズルからの処理液吐出がただちに停止される一方で、第2ノズルまたは第3ノズルからは、必要に応じて速やかに処理液を吐出させることができる。つまり、ポンプが駆動状態に保持されるので、圧込め時間および圧抜き時間をいずれも解消できるから、第1、第2および第3処理ユニットにおける基板処理時間を短縮して、基板処理の生産性を向上できる。しかも、第1一次側バルブを閉じるとき、第2一次側バルブまたは第3一次側バルブが開かれるので、処理液供給路等で液圧が過大になるおそれもない。また、第1一次側バルブを閉じることによって、第1ノズルから処理液が出なくなるから、第1ノズルから基板上への処理液の落下を回避できる。このように、この発明により、基板上への処理液の落下を回避しつつ優れた生産性を実現でき、併せて、構成の簡素化およびコストの削減も可能な基板処理装置を提供できる。
【0017】
請求項6記載の発明は、前記制御手段が、前記第2一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブまたは前記第3一次側バルブを開く、請求項5に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、第2一次側バルブを閉じるときには、第1一次側バルブまたは第3一次側バルブが開かれ、ポンプは駆動状態に保持される。よって、第2ノズルからの処理液吐出がただちに停止される一方で、第1ノズルまたは第3ノズルからは、必要に応じて速やかに処理液を吐出させることができる。これにより、基板処理の生産性を向上できる。しかも、第2一次側バルブを閉じるとき、第1一次側バルブまたは第3一次側バルブが開かれるので、処理液供給路等で液圧が過大になるおそれもない。また、第2一次側バルブを閉じることによって、第2ノズルから処理液が出なくなるから、第2ノズルから基板上への処理液の落下を回避できる。
【0018】
請求項7記載の発明は、前記制御手段が、前記第3一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブまたは前記第2一次側バルブを開く、請求項5または6に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、第3一次側バルブを閉じるときには、第1一次側バルブまたは第2一次側バルブが開かれ、ポンプは駆動状態に保持される。よって、第3ノズルからの処理液吐出がただちに停止される一方で、第1ノズルまたは第2ノズルからは、必要に応じて速やかに処理液を吐出させることができる。これにより、基板処理の生産性を向上できる。しかも、第3一次側バルブを閉じるとき、第1一次側バルブまたは第2一次側バルブが開かれるので、処理液供給路等で液圧が過大になるおそれもない。また、第3一次側バルブを閉じることによって、第3ノズルから処理液が出なくなるから、第3ノズルから基板上への処理液の落下を回避できる。
【0019】
請求項8記載の発明は、前記第1ノズルに接続された第1排液路と、前記第2ノズルに接続された第2排液路と、前記第3ノズルに接続された第3排液路と、前記第1排液路に介装された第1二次側バルブと、前記第2排液路に介装された第2二次側バルブと、前記第3排液路に介装された第3二次側バルブとをさらに含み、前記制御手段が、前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブおよび前記第2二次側バルブ、または前記第3一次側バルブおよび前記第3二次側バルブを開く、請求項5に記載の基板処理装置である。
【0020】
この構成によれば、第1一次側バルブを閉じるとき、第2一次側バルブおよび第2二次側バルブの組、または第3一次側バルブおよび第3二次側バルブの組が開かれる。これらの組のいずれか一方の組のバルブが開かれてもよく、またそれらの両方の組のバルブが開かれてもよい。第1一次側バルブを閉じると、ポンプから送り出された処理液は、処理液供給路から第2または第3分岐路に向かい、第2または第3ノズルを通って第2または第3排液路へと排出される。したがって、ポンプを駆動状態に保持したまま、配管内の圧力上昇を回避しつつ、第1一次側バルブを閉じて、第1ノズルから処理液が漏れ出ることを防止できる。第2一次側バルブおよび第2二次側バルブの組、または第3一次側バルブおよび第3二次側バルブの組が開かれるので、第2ノズル内および第3ノズル内のいずれにおいても圧力が高まらないから、第2ノズルおよび第3ノズルのいずれからも処理液が吐出されない。ただし、多少の処理液が漏出するおそれがあるので、第2ノズルおよび第3ノズルのうち、一次側バルブを開いたノズルについては、基板上から退避させておくことが好ましい。
【0021】
請求項9記載の発明は、前記制御手段が、前記第2一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブおよび前記第1二次側バルブ、または前記第3一次側バルブおよび前記第3二次側バルブを開く、請求項8に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、第2一次側バルブを閉じるとき、第1一次側バルブおよび第1二次側バルブの組、または第3一次側バルブおよび第3二次側バルブの組が開かれる。これらの組のいずれか一方の組のバルブが開かれてもよく、またそれらの両方の組のバルブが開かれてもよい。第2一次側バルブを閉じると、ポンプから送り出された処理液は、処理液供給路から第1または第3分岐路に向かい、第1または第3ノズルを通って第1または第3排液路へと排出される。したがって、ポンプを駆動状態に保持したまま、配管内の圧力上昇を回避しつつ、第2一次側バルブを閉じて、第2ノズルから処理液が漏れ出ることを防止できる。第1一次側バルブおよび第1二次側バルブの組、または第3一次側バルブおよび第3二次側バルブの組が開かれるので、第1ノズル内および第3ノズル内のいずれにおいても圧力が高まらないから、第1ノズルおよび第3ノズルのいずれからも処理液が吐出されない。ただし、多少の処理液が漏出するおそれがあるので、第1ノズルおよび第3ノズルのうち、一次側バルブを開いたノズルについては、基板上から退避させておくことが好ましい。
【0022】
請求項10記載の発明は、前記制御手段が、前記第3一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブおよび前記第1二次側バルブ、または前記第2一次側バルブおよび前記第2二次側バルブを開く、請求項8または9に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、第3一次側バルブを閉じるとき、第1一次側バルブおよび第1二次側バルブの組、または第2一次側バルブおよび第2二次側バルブの組が開かれる。これらの組のいずれか一方の組のバルブが開かれてもよく、またそれらの両方の組のバルブが開かれてもよい。第3一次側バルブを閉じると、ポンプから送り出された処理液は、処理液供給路から第1または第2分岐路に向かい、第1または第2ノズルを通って第1または第2排液路へと排出される。したがって、ポンプを駆動状態に保持したまま、配管内の圧力上昇を回避しつつ、第3一次側バルブを閉じて、第3ノズルから処理液が漏れ出ることを防止できる。第1一次側バルブおよび第1二次側バルブの組、または第2一次側バルブおよび第2二次側バルブの組が開かれるので、第1ノズル内および第2ノズル内のいずれにおいても圧力が高まらないから、第1ノズルおよび第2ノズルのいずれからも処理液が吐出されない。ただし、多少の処理液が漏出するおそれがあるので、第1ノズルおよび第2ノズルのうち、一次側バルブを開いたノズルについては、基板上から退避させておくことが好ましい。
【0023】
請求項11記載の発明は、前記第1ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させる第1ノズル移動機構と、前記第2ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させる第2ノズル移動機構と、前記第3ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させる第3ノズル移動機構とをさらに含み、前記制御手段が、前記第1ノズル移動機構が前記第1ノズルを前記退避位置と前記処理位置との間で移動させるときに、前記第1一次側バルブを閉じ、前記第2ノズル移動機構が前記第2ノズルを前記退避位置と前記処理位置との間で移動させるときに、前記第2一次側バルブを閉じ、前記第3ノズル移動機構が前記第3ノズルを前記退避位置と前記処理位置との間で移動させるときに、前記第3一次側バルブを閉じる、請求項9に係る請求項10に記載の基板処理装置である。
【0024】
この構成によれば、第1ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させるときに第1一次側バルブが閉じられるので、第1ノズルから処理液が漏出しない。したがって、基板上に不用意に処理液が落下することを回避できるので、基板処理品質を向上できる。しかも、ポンプは駆動状態に保持されるから、第1ノズルが処理位置に達した後は、第1一次側バルブを開けば、ただちに第1ノズルから処理液の吐出を開始できる。また、処理が終了した後は、ただちに第1一次側バルブを閉じて第1ノズルを退避位置に速やかに戻すことができる。同様に、第2ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させるときには、第2一次側バルブが閉じられるので、第2ノズルから処理液が漏出しない。したがって、基板上に不用意に処理液が落下することを回避できるので、基板処理品質を向上できる。しかも、ポンプは駆動状態に保持されるから、第2ノズルが処理位置に達した後は、第2一次側バルブを開けば、ただちに第2ノズルから処理液の吐出を開始できる。また、処理が終了した後は、直ちに第2一次側バルブを閉じて第2ノズルを退避位置に速やかに戻すことができる。さらに、第3ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させるときには、第3一次側バルブが閉じられるので、第3ノズルから処理液が漏出しない。したがって、基板上に不用意に処理液が落下することを回避できるので、基板処理品質を向上できる。しかも、ポンプは駆動状態に保持されるから、第3ノズルが処理位置に達した後は、第3一次側バルブを開けば、ただちに第3ノズルから処理液の吐出を開始できる。また、処理が終了した後は、ただちに第3一次側バルブを閉じて第3ノズルを退避位置に速やかに戻すことができる。このようにして、基板処理に要する時間を短縮して、生産性を向上できる。
【0025】
請求項12記載の発明は、前記第1ノズルが、前記第1分岐路に接続された第1一次側開口と前記第1排液路に接続された第1二次側開口と複数の第1吐出孔とが形成された中空の第1ノズル本体を有し、前記複数の第1吐出孔から処理液の液滴を吐出する第1処理液ヘッドの形態を有しており、前記第2ノズルが、前記第2分岐路に接続された第2一次側開口と前記第2排液路に接続された第2二次側開口と複数の第2吐出孔とが形成された中空の第2ノズル本体を有し、前記複数の第2吐出孔から処理液の液滴を吐出する第2処理液ヘッドの形態を有しており、前記第3ノズルが、前記第3分岐路に接続された第3一次側開口と前記第3排液路に接続された第3二次側開口と複数の第3吐出孔とが形成された中空の第3ノズル本体を有し、前記複数の第3吐出孔から処理液の液滴を吐出する第3処理液ヘッドの形態を有している、請求項8〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0026】
この構成によれば、第1、第2および第3ノズルは、中空のノズル本体に対して一次側開口から処理液が導入され、二次側開口から処理液が排出されるとともに、ノズル本体に形成された複数の吐出孔から処理液の液滴を吐出する処理液ヘッドの形態を有している。したがって、二次側バルブを閉じた状態で一次側バルブを開くと、ノズル本体の内部空間における液圧が高まり、吐出孔から処理液の液滴が吐出される。一次側バルブおよび二次側バルブの両方を開くと、ノズル本体内における液圧が高まらないので、一次側開口から供給された処理液はノズル本体の内部を通過して二次側開口へと流出し、吐出孔からは処理液が吐出されない。ただし、処理液が漏れ出る可能性があるので、一次側バルブおよび二次側バルブの両方を開くときには、基板上から退避した位置にノズルを配置しておくことが好ましい。この発明では、第1一次側バルブを閉じるときには、第2一次側バルブおよび第2二次側バルブの組、または第3一次側バルブおよび第3二次側バルブの組が開かれるので、第1ノズルからは処理液が吐出されず、一次側バルブが開かれた第2ノズルまたは第3ノズルからは吐出孔から処理液がわずかに漏れ出る程度となる。第2ノズルまたは第3ノズルに関して、一次側および二次側のバルブがいずれも開かれるので、配管内における過大な液圧上昇は生じない。したがって、第1、第2ノズルおよび第3ノズルのいずれからも処理液が吐出しない状態としつつ、ポンプの駆動状態を保持することもできる。このとき、第1ノズルが基板上に配置されたり、基板上で移動されたりしても、第1ノズルから基板上に処理液が落下したりしない。
【0027】
前記第1ノズルは、前記ノズル本体に固定され、前記第1ノズル本体の内部空間に溜められた処理液に振動を付与する第1圧電素子をさらに有していてもよい。同様に、前記第2ノズルは、前記ノズル本体に固定され、前記第2ノズル本体の内部空間に溜められた処理液に振動を付与する第2圧電素子をさらに有していてもよい。さらに同様に、前記第3ノズルは、前記ノズル本体に固定され、前記第3ノズル本体の内部空間に溜められた処理液に振動を付与する第3圧電素子をさらに有していてもよい。これにより、ノズル本体に形成された吐出孔から流出する液流が、圧電素子の振動によって分断されるので、良好な液滴を吐出させることができる。すなわち、一定周波数で圧電素子を駆動すれば、粒径の揃った液滴を吐出できる。
【0028】
請求項13記載の発明は、処理液によって基板を処理する第1処理ユニットおよび第2処理ユニットを有する基板処理装置において実行される基板処理方法であって、前記基板処理装置が、処理液を加圧して送り出すポンプと、前記ポンプに接続された処理液供給路と、前記処理液供給路から分岐した第1分岐路と、前記処理液供給路から分岐した第2分岐路と、前記第1分岐路に接続され、前記第1処理ユニットに配置された第1ノズルと、前記第2分岐路に接続され、前記第2処理ユニットに配置された第2ノズルと、前記第1分岐路に介装された第1一次側バルブと、前記第2分岐路に介装された第2一次側バルブとを含み、前記基板処理方法が、前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブを開くステップを含む、基板処理方法である。この方法は、請求項1の基板処理装置に対応している。
【0029】
請求項14記載の発明は、前記基板処理装置が、前記第1ノズルに接続された第1排液路と、前記第2ノズルに接続された第2排液路と、前記第1排液路に介装された第1二次側バルブと、前記第2排液路に介装された第2二次側バルブとをさらに含み、前記基板処理方法が、前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブおよび前記第2二次側バルブを開くステップをさらに含む、請求項13に記載の基板処理方法である。この方法は、請求項2の基板処理装置に対応している。
【0030】
請求項15記載の発明は、前記基板処理装置が、前記第1ノズルを退避位置から処理位置まで移動させる第1ノズル移動機構をさらに含み、前記基板処理方法は、前記第1ノズル移動機構が前記第1ノズルを前記退避位置から前記処理位置まで移動させるときに、前記第1一次側バルブを閉じるステップを含む、請求項14に記載の基板処理方法である。この方法は、請求項3の基板処理装置に対応している。
【0031】
請求項16記載の発明は、前記第1ノズルが、前記第1分岐路に接続された第1一次側開口と前記第1排液路に接続された第1二次側開口と複数の第1吐出孔とが形成された中空の第1ノズル本体を有し、前記複数の第1吐出孔から処理液の液滴を吐出する第1処理液ヘッドの形態を有しており、前記第2ノズルが、前記第2分岐路に接続された第2一次側開口と前記第2排液路に接続された第2二次側開口と複数の第2吐出孔とが形成された中空の第2ノズル本体を有し、前記複数の第2吐出孔から処理液の液滴を吐出する第2処理液ヘッドの形態を有している、請求項14または15に記載の基板処理方法である。この方法は、請求項4の基板処理装置に対応している。
【0032】
請求項17記載の発明は、処理液によって基板を処理する第1処理ユニット、第2処理ユニットおよび第3処理ユニットを有する基板処理装置において実行される基板処理方法であって、前記基板処理装置は、処理液を加圧して送り出すポンプと、前記ポンプに接続された処理液供給路と、前記処理液供給路から分岐した第1分岐路と、前記処理液供給路から分岐した第2分岐路と、前記処理液供給路から分岐した第3分岐路と、前記第1分岐路に接続され、前記第1処理ユニットに配置された第1ノズルと、前記第2分岐路に接続され、前記第2処理ユニットに配置された第2ノズルと、前記第3分岐路に接続され、前記第3処理ユニットに配置された第3ノズルと、前記第1分岐路に介装された第1一次側バルブと、前記第2分岐路に介装された第2一次側バルブと、前記第3分岐路に介装された第3一次側バルブとを含み、前記基板処理方法は、前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブまたは前記第3一次側バルブを開くステップを含む、基板処理方法である。この方法は、請求項5の基板処理装置に対応している。
【0033】
請求項18記載の発明は、前記第2一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブまたは前記第3一次側バルブを開くステップをさらに含む、請求項17に記載の基板処理方法である。この方法は、請求項6の基板処理装置に対応している。
請求項19記載の発明は、前記第3一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブまたは前記第2一次側バルブを開くステップをさらに含む、請求項17または18に記載の基板処理方法である。この方法は、請求項7の基板処理装置に対応している。
【0034】
請求項20記載の発明は、前記基板処理装置が、前記第1ノズルに接続された第1排液路と、前記第2ノズルに接続された第2排液路と、前記第3ノズルに接続された第3排液路と、前記第1排液路に介装された第1二次側バルブと、前記第2排液路に介装された第2二次側バルブと、前記第3排液路に介装された第3二次側バルブとをさらに含み、前記基板処理方法が、前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブおよび前記第2二次側バルブ、または前記第3一次側バルブおよび前記第3二次側バルブを開くステップを含む、請求項17に記載の基板処理方法である。この方法は、請求項8の基板処理装置に対応している。
【0035】
請求項21記載の発明は、前記第2一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブおよび前記第1二次側バルブ、または前記第3一次側バルブおよび前記第3二次側バルブを開くステップを含む、請求項20に記載の基板処理方法である。この方法は、請求項9の基板処理装置に対応している。
請求項22記載の発明は、前記第3一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブおよび前記第1二次側バルブ、または前記第2一次側バルブおよび前記第2二次側バルブを開くステップを含む、請求項20または21に記載の基板処理方法である。この方法は、請求項10の基板処理装置に対応している。
【0036】
請求項23記載の発明は、前記基板処理装置は、前記第1ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させる第1ノズル移動機構と、前記第2ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させる第2ノズル移動機構と、前記第3ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させる第3ノズル移動機構とをさらに含み、前記基板処理方法が、前記第1ノズル移動機構が前記第1ノズルを前記退避位置と前記処理位置との間で移動させるときに、前記第1一次側バルブを閉じるステップと、前記第2ノズル移動機構が前記第2ノズルを前記退避位置と前記処理位置との間で移動させるときに、前記第2一次側バルブを閉じるステップと、前記第3ノズル移動機構が前記第3ノズルを前記退避位置と前記処理位置との間で移動させるときに、前記第3一次側バルブを閉じるステップとを含む、請求項21に係る請求項22に記載の基板処理方法である。この方法は、請求項11の基板処理装置に対応している。
【0037】
請求項24記載の発明は、前記第1ノズルが、前記第1分岐路に接続された第1一次側開口と前記第1排液路に接続された第1二次側開口と複数の第1吐出孔とが形成された中空の第1ノズル本体を有し、前記複数の第1吐出孔から処理液の液滴を吐出する第1処理液ヘッドの形態を有しており、前記第2ノズルが、前記第2分岐路に接続された第2一次側開口と前記第2排液路に接続された第2二次側開口と複数の第2吐出孔とが形成された中空の第2ノズル本体を有し、前記複数の第2吐出孔から処理液の液滴を吐出する第2処理液ヘッドの形態を有しており、前記第3ノズルが、前記第3分岐路に接続された第3一次側開口と前記第3排液路に接続された第3二次側開口と複数の第3吐出孔とが形成された中空の第3ノズル本体を有し、前記複数の第3吐出孔から処理液の液滴を吐出する第3処理液ヘッドの形態を有している、請求項20〜23のいずれか一項に記載の基板処理方法である。この方法は、請求項12の基板処理装置に対応している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を説明するための概念図である。
【図2】図2は、第1〜第3処理ユニットの共通の構成例を説明するための図解的な断面図である。
【図3】図3Aは液滴吐出用ノズルおよび保護液ノズルの模式的な側面図であり、図3Bは液滴吐出用ノズルおよび保護液ノズルの模式的な平面図である。
【図4】図4Aおよび図4Bは、第1〜第3一次側バルブおよび第1〜第3二次側バルブの開閉動作を説明するためのタイミング表である。
【図5】図5は、第1〜第3処理ユニットにおける処理の進行例(実施例)を説明するための図である。
【図6】図6は、比較例の構成における処理の進行例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を説明するための概念図である。この基板処理装置は、第1処理ユニット1、第2処理ユニット2および第3処理ユニット3を備えている。第1、第2および第3処理ユニット1,2,3は、基板Wを一枚ずつ処理する枚葉型の処理ユニットである。基板処理装置は、さらに、処理液供給源4から処理液を汲み出し、その処理液を加圧して送り出すポンプ5と、ポンプ5に接続された処理液供給路6とを備えている。処理液供給路6から、第1分岐路11、第2分岐路12および第3分岐路13が分岐している。第1処理ユニット1には、第1分岐路11に接続された第1ノズルN1が配置されている。また、第2処理ユニット2には、第2分岐路12に接続された第2ノズルN2が配置されている。さらに、第3処理ユニット3には、第3分岐路13に接続された第3ノズルN3が配置されている。第1ノズルN1には第1排液路21が接続されており、第2ノズルN2には第2排液路22が接続されており、第3ノズルN3には第3排液路23が接続されている。第1分岐路11には第1一次側バルブP1が介装されており、第2分岐路12には第2一次側バルブP2が介装されており、第3分岐路13には第3一次側バルブP3が介装されている。さらに、第1排液路21には第1二次側バルブS1が介装されており、第2排液路22には第2二次側バルブS2が介装されており、第3排液路23には第3二次側バルブS3が介装されている。第1、第2および第3排液路21,22,23は、ドレン配管24に合流している。
【0040】
第1、第2および第3処理ユニット1,2,3は、それぞれ、基板Wを水平姿勢で保持して鉛直軸線回りに回転させる基板保持回転機構としてのスピンチャックC1,C2,C3を備えている。第1、第2および第3処理液ノズルN1,N2,N3は、それぞれ、スピンチャックC1,C2,C3に保持された基板Wの上面に処理液を供給するように構成されている。第1、第2および第3処理ユニット1,2,3には、それぞれ、第1、第2および第3ノズルN1,N2,N3を処理位置と退避位置との間で移動させるための第1、第2および第3ノズル移動機構M1,M2,M3が備えられている。処理位置とは、第1、第2および第3ノズルN1,N2,N3が、スピンチャックC1,C2,C3に保持された基板Wの上方に位置し、基板Wに対して処理液を供給する位置である。退避位置とは、スピンチャックC1,C2,C3に保持された基板Wの上方空間から離れた位置であり、たとえば、スピンチャックC1,C2,C3の側方の位置であってもよい。
【0041】
基板処理装置は、さらに、ポンプ5の動作、バルブP1〜P3,S1〜S3の開閉、スピンチャックC1〜C3の動作、第1、第2および第3ノズル移動機構M1〜M3の動作などを制御するための制御手段として、制御装置7を備えている。制御装置7は、マイクロコンピュータおよび必要なメモリその他の記憶媒体を備えている。制御装置7は、予め設定された基板処理手順(レシピ)に従って、処理ユニット1,2,3における基板処理動作を実行させる。
【0042】
図2は、処理ユニット1,2,3の共通の構成例を説明するための図解的な断面図である。
処理ユニット1,2,3は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理ユニットである。処理ユニット1,2,3は、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャックC1,C2,C3(以下総称するときには「スピンチャックC」という。)と、スピンチャックCを取り囲む筒状のカップ15と、基板Wにリンス液を供給するリンス液ノズル16と、前述のノズルN1,N2,N3(以下総称するときには「ノズルN」という。)と、基板Wに保護液を供給する保護液ノズル17とを備えている。ノズルNは、基板Wに処理液の液滴を衝突させる液滴ノズルの形態を有する。
【0043】
スピンチャックCは、基板Wを水平に保持して当該基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線L1まわりに回転可能なスピンベース18と、このスピンベース18を回転軸線L1まわりに回転させるスピンモータ19とを含む。スピンチャックCは、基板Wを水平方向に挟んで当該基板Wを水平に保持する挟持式のチャックであってもよいし、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)を吸着することにより当該基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。図2には、挟持式のチャックを図解的に示す。
【0044】
リンス液ノズル16は、リンス液バルブ30が介装されたリンス液供給管31に接続されている。リンス液バルブ30が開かれると、基板Wの上面中央部に向けてリンス液ノズル16からリンス液が吐出される。その一方で、リンス液バルブ30が閉じられると、リンス液ノズル16からのリンス液の吐出が停止される。リンス液ノズル16に供給されるリンス液としては、純水(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水や、希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水などを例示することができる。
【0045】
ノズルNは、この実施形態では、インクジェット方式によって多数の液滴を噴射するインクジェットノズルであり、処理液ヘッドの形態を有している。ノズルNは、分岐路11,12,13(以下総称するときには分岐路10)という。)を介して処理液供給路6に接続されている。分岐路10には、前述のように、一次側バルブP1,P2,P3(以下総称するときには「一次側バルブP」という。)が介装されている。さらに、ノズルNは、排液路21,22,23(以下総称するときには「排液路20」という。)を介してドレン配管24に接続されている。前述のように、排液路20には、二次側バルブS1,S2,S3(以下総称するときには「二次側バルブS」という。)が介装されている。
【0046】
ポンプ5は、前述のように、当該基板処理装置の運転中に常時駆動されている。そして、常時、所定圧力(たとえば、10MPa以下)で処理液を処理液供給路6に供給している。ノズルNに供給される処理液としては、たとえば、純水や、炭酸水や、SC−1(NHOHとHとを含む混合液)などが挙げられる。
また、ノズルNは、その内部に配置された圧電素子34(piezo element)を含む。圧電素子19は、配線35を介して駆動回路36に接続されている。駆動回路36は、たとえば、インバータを含む。駆動回路36は、交流電圧を圧電素子34に印加する。交流電圧が圧電素子34に印加されると、印加された交流電圧の周波数に対応する周波数で圧電素子34が振動する。制御装置7は、駆動回路36を制御することにより、圧電素子34に印加される交流電圧の周波数を任意の周波数(たとえば、数百KHz〜数MHz)に変更することができる。したがって、圧電素子34の振動の周波数は、制御装置7によって制御される。
【0047】
処理ユニット1,2,3は、ノズル移動機構M1,M2,M3(以下総称するときには「ノズル移動機構M」という。)をさらに含む。ノズル移動機構Mは、ノズルNを保持するノズルアーム40と、ノズルアーム40に接続された回動機構41と、回動機構41に接続された昇降機構42とを含む。回動機構41は、たとえば、モータを含む。昇降機構42は、たとえば、ボールねじ機構と、このボールねじ機構を駆動するモータとを含む。回動機構41は、スピンチャックCの周囲に設けられた鉛直な回転軸線L2まわりにノズルアーム40を回動させる。ノズルNは、ノズルアーム40と共に回転軸線L2まわりに回動する。これにより、ノズルNが水平方向に移動する。一方、昇降機構42は、回動機構41を鉛直方向に昇降させる。ノズルNおよびノズルアーム40は、回動機構41と共に鉛直方向に昇降する。これにより、ノズルNが鉛直方向に移動する。
【0048】
回動機構41は、スピンチャックCの上方を含む水平面内でノズルNを水平に移動させる。より具体的には、回動機構41は、スピンチャックCに保持された基板Wの上方において、基板Wの回転中心を通る円弧状の軌跡に沿ってノズルNを水平に移動させる。ノズルNがスピンチャックCに保持された基板Wの上方に位置する状態で、昇降機構42がノズルNを降下させると、ノズルNが基板Wの上面に近接する。ノズルNが基板Wの上面に近接している状態で、制御装置7が、回動機構41を制御してノズルアーム40を回動させ、かつスピンモータ19を制御して基板Wを回転させることにより、ノズルNから吐出される液滴によって基板Wの上面全域を走査できる。
【0049】
保護液ノズル17は、ノズルアーム40に保持されている。したがって、ノズルNおよび保護液ノズル17は、互いの位置関係が一定に保たれた状態で移動する。保護液ノズル17は、保護液バルブ43および流量調整バルブ44が介装された保護液供給管45に接続されている。保護液バルブ43が開かれると、基板Wの上面に向けて保護液ノズル17から保護液が吐出される。保護液ノズル17からの保護液の吐出速度は、制御装置7が流量調整バルブ44の開度を調整することにより変更される。保護液ノズル17に供給される保護液としては、たとえば、リンス液や、SC−1などの薬液が挙げられる。
【0050】
ノズルNによって基板Wの表面に液滴を供給するときには、保護液ノズル17からの保護液の吐出も同時に行われる。したがって、基板Wの表面に保護液の液膜が形成された状態で、ノズルNからの液滴が吐出される。これにより、基板Wの表面のパターンを保護液で保護しながら、ノズルNから吐出された液滴の衝撃によって基板W表面の異物を除去できる。
【0051】
図3AはノズルN(N1,N2,N3)および保護液ノズル17の模式的な側面図であり、図3BはノズルN(N1,N2,N3)および保護液ノズル17の模式的な平面図である。図3Bにおいて、ノズルNは、その下面Na(基板Wに対向する対向面)だけが示されている。
ノズルNは、処理液の液滴を噴射するノズル本体46と、ノズル本体46を覆うカバー47と、カバー47によって覆われた圧電素子34と、ノズル本体46とカバー47との間に介在するシール48とを含む。ノズル本体46およびカバー47は、いずれも耐薬性を有する材料によって形成されている。ノズル本体46は、たとえば、石英によって形成されている。カバー47は、たとえば、フッ素系の樹脂によって形成されている。シール48は、たとえば、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)などの弾性材料によって形成されている。ノズル本体46は、中空に形成されており、高圧(内部の液圧)に耐えうる強度を有している。ノズル本体46の一部と圧電素子34とは、カバー47の内部に収容されている。配線35の端部は、たとえば半田によって、カバー47の内部で圧電素子34に接続されている。カバー47の内部は、シール48によって密閉されている。
【0052】
ノズル本体46は、中空に形成されており、処理液が供給される一次側開口としての供給口49と、処理液を排出する二次側開口としての排出口50と、供給口49と排出口50とを接続する処理液流通路51と、処理液流通路51に接続された複数の吐出孔52とを含む。処理液流通路51は、ノズル本体46の内部空間を区画している。供給口49、排出口50、および吐出孔52は、ノズル本体46の表面で開口している。供給口49および排出口50は、吐出孔52よりも上方に位置している。ノズル本体46の下面は、ノズルNの下面Naを形成しており、たとえば、水平な平坦面である。複数の吐出孔52は、その下面Naで開口している。吐出孔52は、たとえば数μm〜数十μmの直径を有する微細孔である。分岐路10および排液路20は、それぞれ、供給口49および排出口50に接続されている。
【0053】
図3Bに示すように、複数の吐出孔52は、複数(たとえば、4つ)の列Lを構成している。各列Lは、等間隔で配列された多数(たとえば、10個以上)の吐出孔52によって構成されている。各列Lは、水平な長手方向D1に沿って直線状に延びている。各列Lは、直線状に限らず、曲線状であってもよい。4つの列Lは、平行である。4つの列Lのうちの2つの列Lは、長手方向D1に直交する水平な方向に隣接している。同様に、残り2つの列Lも、長手方向D1に直交する水平な方向に隣接している。隣接する2つの列Lは、対をなしている。対の2つの列Lにおいて、一方の列Lを構成する複数の吐出孔52(図3Bの吐出孔52a)と、他方の列Lを構成する複数の吐出孔52(図3Bの吐出孔52b)とは、長手方向D1にずれている。ノズルNは、鉛直方向から見たときに、たとえば、4つの列LがノズルNの移動軌跡に交差するようにノズルアーム40に保持されている。
【0054】
一次側ノズルPが開かれているとき、分岐路10を介して供給口49に供給された処理液は、処理液流通路51に供給される。このとき、二次側バルブSが閉じられていると、処理液流通路51での処理液の圧力(液圧)が高いので、液圧によって各吐出孔52から処理液が噴射される。さらに、二次側バルブSが閉じられている状態で、交流電圧が圧電素子34に印加されると、処理液流通路51を流れる処理液に圧電素子34の振動が付与され、各吐出孔52から噴射される処理液が、この振動によって分断される。そのため、二次側バルブSが閉じられている状態で、交流電圧が圧電素子34に印加されると、処理液の液滴が各吐出孔52から噴射される。これにより、粒径が均一な多数の処理液の液滴が均一な速度で同時に噴射される。
【0055】
一方、二次側バルブSが開かれている状態では、処理液流通路51に供給された処理液が、排出口50から排液路20に排出されるから、処理液流通路51での液圧が十分に高くならない。そのため、処理液流通路51に供給された処理液は、微細孔である吐出孔52から噴射されずに、排出口50から排液路20に排出される。ただし、微量の処理液が、吐出孔52から漏れ出る場合がある。
【0056】
基板Wの上面に処理液の液滴を衝突させるときは、制御装置7が、ノズル移動機構M(図3参照)によってノズルNを移動させることにより、ノズルNの下面Na(ノズル本体46の下面)を基板Wの上面に近接させる。そして、制御装置7は、ノズルNの下面Naが基板Wの上面に対向している状態で、一次側バルブPを開き、二次側バルブSを閉じて、処理液流通路51の圧力を上昇させると共に、圧電素子34を駆動することにより、処理液流通路51内の処理液に振動を加える。これにより、粒径が均一な多数の処理液の液滴が均一な速度で同時に噴射されて基板Wの上面に供給される。ノズルNから噴射された多数の液滴は、基板Wの上面内の2つの噴射領域T1に吹き付けられる。すなわち、一方の噴射領域T1は、一方の対の2つの列Lの直下の領域であり、この2つの列Lを構成する吐出孔52から噴射された処理液の液滴は、一方の噴射領域T1に吹き付けられる。同様に、他方の噴射領域T1は、他方の対の2つの列Lの直下の領域であり、この2つの列Lを構成する吐出孔52から噴射された処理液の液滴は、他方の噴射領域T1に吹き付けられる。各噴射領域T1は、長手方向D1に延びる平面視長方形状であり、2つの噴射領域T1は、平行である。
【0057】
保護液ノズル17は、保護液を吐出する吐出口53を有している。保護液ノズル17は、吐出口53から基板W上の狙い位置P1に向かう吐出方向D2に保護液を吐出する。狙い位置P1は、基板Wの回転方向Drに関して噴射領域T1よりも上流側の位置である。吐出方向D2は、吐出口53から狙い位置P1に向かう方向であると共に、平面視において吐出口53からノズルNに向かう方向である。吐出方向D2は、長手方向D1に対して傾いている。
【0058】
保護液ノズル17から吐出された保護液は、狙い位置P1において基板Wの上面に衝突することによって方向転換し、基板W上で広がりながら噴射領域T1の方へ基板Wの上面に沿って流れる。これにより、ノズルNと基板Wの上面との間に保護液が進入し、噴射領域T1に保護液が供給される。
図4Aおよび図4Bは、第1〜第3一次側バルブP1〜P3および第1〜第3二次側バルブS1〜S3の開閉動作を説明するためのタイミング表である。制御装置7は、バルブP1〜P3,S1〜S3を、図4Aまたは図4Bに示すように開閉させる。この例では、制御単位時間としての一ステップは、たとえば5秒間である。
【0059】
まず、図4Aに示す第1動作例について説明する。
ステップ1,2は、待機状態である。ステップ3は、第1処理ユニット1において、第1ノズルN1を退避位置から処理位置まで移動させる第1ノズル移動ステップである。ステップ4−9は、第1処理ユニット1において第1ノズルN1から処理液の液滴を吐出させる第1ノズル処理ステップである。ステップ10は、第1ノズルN1を処理位置から退避位置に移動させる第1ノズル移動ステップであり、同時に、第2処理ユニット2において第2ノズルN2を退避位置から処理位置へと移動させる第2ノズル移動ステップである。ステップ11−16は、第2処理ユニット2において第2ノズルN2から処理液の液滴を吐出させる第2ノズル処理ステップである。ステップ17は、第2ノズルN2を処理位置から退避位置に移動させる第2ノズル移動ステップであり、同時に、第3処理ユニット3において第3ノズルN3を退避位置から処理位置へと移動させる第3ノズル移動ステップである。ステップ18−23は、第3処理ユニット3において第3ノズルN3から処理液の液滴を吐出させる第3ノズル処理ステップである。ステップ24は、第3ノズルN3を処理位置から退避位置に移動させる第3ノズル移動ステップであり、同時に、第1処理ユニット1において第1ノズルN1を退避位置から処理位置へと移動させる第1ノズル移動ステップである。ステップ24の後、ステップ4に戻ることにより、第1、第2および第3処理ユニット1,2,3における基板処理を循環的に繰り返し実行することができる。基板処理を中断して待機状態とするときには、ステップ1に戻ればよい。
【0060】
ステップ1,2(待機状態)では、第1、第2および第3ノズルN1,N2,N3は、いずれもそれぞれの退避位置に位置していて、制御装置7は、第1、第2および第3一次側バルブP1,P2,P3および第1、第2および第3二次側バルブS1,S2,S3を、いずれも開状態に制御している。また、制御装置7は、基板処理装置の運転中、常時、ポンプ5を運転状態に保持している。このとき、ポンプ5から送り出された処理液は、処理液供給路6から第1、第2および第3分岐路11,12,13に分岐し、それぞれ、第1、第2および第3一次側バルブP1,P2,P3、第1、第2および第3ノズルN1,N2,N3、ならびに第1、第2および第3二次側バルブS1,S2,S3をそれぞれ通って、第1、第2および第3排液路21,22,23からドレン配管24に合流して排液される。第1、第2および第3ノズルN1,N2,N3の吐出孔52から少量の処理液が漏れ出るおそれがあるが、第1、第2および第3ノズルN1,N2,N3は、いずれも退避位置にあるので、基板W上に処理液が落下するおそれはない。
【0061】
ステップ3(第1ノズル移動ステップ)においては、制御装置7は、第1一次側バルブP1を閉じ、第2および第3一次側バルブP2,P3、ならびに第1、第2および第3二次側バルブS1,S2,S3をいずれも開状態に制御する。したがって、第1ノズルN1には処理液が供給されないので、この第1ノズルN1からは処理液が漏れ出なくなる。この状態で、制御装置7は、第1ノズル移動機構M1を制御して、第1ノズルN1を退避位置から処理位置へと移動させる。このとき、ポンプ5から送り出された処理液は、処理液供給路6から第2および第3分岐路12,13に分岐し、それぞれ、第2および第3一次側バルブP2,P3、第2および第3ノズルN2,N3、ならびに第2および第3二次側バルブS2,S3をそれぞれ通って、第2および第3排液路22,23からドレン配管24に合流して排液される。したがって、第1一次側バルブP1を閉じても、配管内の液圧が過大になることはない。第2および第3ノズルN2,N3の吐出孔52から少量の処理液が漏れ出るおそれがあるが、第2および第3ノズルN2,N3は、いずれも退避位置にあるので、基板W上に処理液が落下するおそれはない。ステップ3では、第1二次側バルブS1は閉状態とされてもよいが、図4Aにはそれらを開状態に制御する例を示す。
【0062】
ステップ4−9(第1ノズル処理ステップ)では、制御装置7は、第1一次側バルブP1を開いて第1二次側バルブS1を閉じる。さらに、制御装置7は、第2および第3一次側バルブP2,P3を閉じる。第2および第3二次側バルブS2,S3は、開状態でもよいし閉状態でもよいが、図4Aには、それらを開状態に制御する例を示す。このようにして、第1ノズルN1において、第1一次側バルブP1が開かれ第2二次側バルブS1が閉じられるので、ノズル本体46の内部空間の液圧が高まる。その結果、第1ノズルN1の吐出孔52から液滴が吐出され、スピンチャックC1に保持された基板W上に供給される。第2および第3一次側バルブP2,P3が閉じられることにより、第2または第3ノズルN2,N3を通る流路はいずれも遮断されるので、第1ノズルN1に対して十分な液圧の処理液を供給できる。
【0063】
ステップ10(第1ノズル移動ステップおよび第2ノズル移動ステップ)においては、制御装置7は、第1一次側バルブP1および第2一次側バルブP2を閉じ、第3一次側バルブP3、ならびに第1、第2および第3二次側バルブS1,S2,S3を開状態に制御する。したがって、第1ノズルN1および第2ノズルN2には処理液が供給されないので、これらの第1ノズルN1および第2ノズルN2からは処理液が漏れ出なくなる。この状態で、制御装置7は、第1ノズル移動機構M1を制御して、第1ノズルN1を処理位置からへ退避位置と移動させる。また、制御装置7は、第2ノズル移動機構M2を制御して、第2ノズルN2を退避位置から処理位置へと移動させる。このとき、ポンプ5から送り出された処理液は、処理液供給路6から第3分岐路13に分岐し、第3一次側バルブP3、第3ノズルN3、および第3二次側バルブS3を順に通って、第3排液路22からドレン配管24へと排液される。したがって、第1一次側バルブP1および第2一次側バルブP2を閉じても、配管内の液圧が過大になることはない。第3ノズルN3の吐出孔52から少量の処理液が漏れ出るおそれがあるが、第3ノズルN3は、退避位置にあるので、基板W上に処理液が落下するおそれはない。ステップ10では、第1二次側バルブS1および第2二次側バルブS2は閉状態とされてもよいが、図4Aにはそれらを開状態に制御する例を示す。
【0064】
ステップ11−16(第2ノズル処理ステップ)では、制御装置7は、第2一次側バルブP2を開いて第2二次側バルブS2を閉じる。さらに、制御装置7は、第1および第3一次側バルブP1,P3を閉じる。第1および第3二次側バルブS1,S3は、開状態でもよいし閉状態でもよいが、図4Aには、それらを開状態に制御する例を示す。このようにして、第2ノズルN2において、第2一次側バルブP2が開かれ第2二次側バルブS2が閉じられるので、ノズル本体46の内部空間の液圧が高まる。その結果、第2ノズルN2の吐出孔52から液滴が吐出され、スピンチャックC2に保持された基板W上に供給される。第1および第3一次側バルブP1,P3が閉じられることにより、第1または第3ノズルN1,N3を通る流路はいずれも遮断されるので、第2ノズルN2に対して十分な液圧の処理液を供給できる。
【0065】
ステップ17(第2ノズル移動ステップおよび第3ノズル移動ステップ)においては、制御装置7は、第2一次側バルブP2および第3一次側バルブP3を閉じ、第1一次側バルブP1、ならびに第1、第2および第3二次側バルブS1,S2,S3を開状態に制御する。したがって、第2ノズルN2および第3ノズルN3には処理液が供給されないので、これらの第2ノズルN2および第3ノズルN3からは処理液が漏れ出なくなる。この状態で、制御装置7は、第2ノズル移動機構M2を制御して、第2ノズルN2を処理位置からへ退避位置と移動させる。また、制御装置7は、第3ノズル移動機構M3を制御して、第3ノズルN3を退避位置から処理位置へと移動させる。このとき、ポンプ5から送り出された処理液は、処理液供給路6から第1分岐路11に分岐し、第1一次側バルブP1、第1ノズルN1、および第1二次側バルブS1を順に通って、第1排液路21からドレン配管24へと排液される。したがって、第2一次側バルブP2および第3一次側バルブP3を閉じても、配管内の液圧が過大になることはない。第1ノズルN1の吐出孔52から少量の処理液が漏れ出るおそれがあるが、第1ノズルN1は、退避位置にあるので、基板W上に処理液が落下するおそれはない。ステップ17では、第2二次側バルブS2および第3二次側バルブS3は閉状態とされてもよいが、図4Aにはそれらを開状態に制御する例を示す。
【0066】
ステップ18−23(第3ノズル処理ステップ)では、制御装置7は、第3一次側バルブP3を開いて第3二次側バルブS3を閉じる。さらに、制御装置7は、第1および第2一次側バルブP1,P2を閉じる。第1および第2二次側バルブS1,S2は、開状態でもよいし閉状態でもよいが、図4Aには、それらを開状態に制御する例を示す。このようにして、第3ノズルN3において、第3一次側バルブP3が開かれ第3二次側バルブS3が閉じられるので、ノズル本体46の内部空間の液圧が高まる。その結果、第3ノズルN3の吐出孔52から液滴が吐出され、スピンチャックC3に保持された基板W上に供給される。第1および第2一次側バルブP1,P2が閉じられることにより、第1または第2ノズルN1,N2を通る流路はいずれも遮断されるので、第3ノズルN3に対して十分な液圧の処理液を供給できる。
【0067】
ステップ24(第3ノズル移動ステップおよび第1ノズル移動ステップ)においては、制御装置7は、第1一次側バルブP1および第3一次側バルブP3を閉じ、第2一次側バルブP2、ならびに第1、第2および第3二次側バルブS1,S2,S3を開状態に制御する。したがって、第1ノズルN1および第3ノズルN3には処理液が供給されないので、これらの第1ノズルN1および第3ノズルN3からは処理液が漏れ出なくなる。この状態で、制御装置7は、第3ノズル移動機構M3を制御して、第3ノズルN3を処理位置から退避位置へと移動させる。また、制御装置7は、第1ノズル移動機構M1を制御して、第1ノズルN1を退避位置から処理位置へと移動させる。このとき、ポンプ5から送り出された処理液は、処理液供給路6から第2分岐路12に分岐し、第2一次側バルブP2、第2ノズルN2、および第2二次側バルブS2を順に通って、第2排液路22からドレン配管24へと排液される。したがって、第1一次側バルブP1および第3一次側バルブP3を閉じても、配管内の液圧が過大になることはない。第2ノズルN2の吐出孔52から少量の処理液が漏れ出るおそれがあるが、第2ノズルN2は、退避位置にあるので、基板W上に処理液が落下するおそれはない。ステップ24では、第1二次側バルブS1および第3二次側バルブS3は閉状態とされてもよいが、図4Aにはそれらを開状態に制御する例を示す。
【0068】
次に、図4Bに示す第2動作例について説明する。この第2動作例では、一つの処理ユニットにおける処理ステップの実行中において、同時に、別の処理ユニットにおいて、ノズルを退避位置から処理位置に移動させるノズル移動ステップが並行して行われる。そして、当該別の処理ユニットにおける処理ステップの実行中において、同時に、前記一つの処理ユニットにおいて、ノズルを処理位置から退避位置に移動させるノズル移動ステップが並行して行われる。以下、図4Aの第1動作例との相違を具体的に説明する。
【0069】
図4Bに示す第2動作例では、第1動作例において説明したステップ10,17,24が省かれる。すなわち、第1処理ユニット1における処理ステップ4−9が終了すると、第1処理ユニット2における処理ステップ11−16が即座に開始される。さらに、第2処理ユニット2における処理ステップ11−16が終了すると、第3処理ユニット3における処理ステップ18−23が即座に開始される。さらに、第3処理ユニット3における処理ステップ18−23が終了すると、第1処理ユニット1における処理ステップ4−9が即座に開始される。ただし、第2処理ユニット3における処理ステップの後、待機状態とするときは、ステップ24が実行される。
【0070】
一方、第1処理ユニット1における処理ステップ4−9のうちの最後のステップ9(またはそれ以前のステップ)において、第2処理ユニット2においては、第2ノズルN2を退避位置から処理位置まで移動させるための第2ノズル移動ステップが並行して行われる。すなわち、制御装置7は、第1処理ユニット1において第1ノズルN1を用いた基板処理が行われている間に、第2ノズル移動機構M2を制御して、第2ノズルN2を退避位置から処理位置まで移動させる。このとき、第2一次側バルブP2は閉状態に制御されているから、第2ノズルN2から基板W上に処理液が落下することはない。さらに、第2処理ユニット2における処理ステップ11−16のうちの最初のステップ11(またはそれ以後のステップ)において、第1処理ユニット1においては、第1ノズルN1を処理位置から退避位置まで移動させるための第1ノズル移動ステップが並行して行われる。すなわち、制御装置7は、第2処理ユニット2において第2ノズルN2を用いた基板処理が行われている間に、第1ノズル移動機構M1を制御して、第1ノズルN1を処理位置から退避位置まで移動させる。このとき、第1一次側バルブP1は閉状態に制御されているから、第1ノズルN1から基板W上に処理液が落下することはない。
【0071】
同様に、第2処理ユニット2における処理ステップ11−16のうちの最後のステップ16(またはそれ以前のステップ)において、第3処理ユニット3においては、第3ノズルN3を退避位置から処理位置まで移動させるための第3ノズル移動ステップが並行して行われる。すなわち、制御装置7は、第2処理ユニット2において第2ノズルN2を用いた基板処理が行われている間に、第3ノズル移動機構M3を制御して、第3ノズルN3を退避位置から処理位置まで移動させる。このとき、第3一次側バルブP3は閉状態に制御されているから、第3ノズルN3から基板W上に処理液が落下することはない。さらに、第3処理ユニット3における処理ステップ18−23のうちの最初のステップ18(またはそれ以後のステップ)において、第2処理ユニット2においては、第2ノズルN2を処理位置から退避位置まで移動させるための第2ノズル移動ステップが並行して行われる。すなわち、制御装置7は、第3処理ユニット3において第3ノズルN3を用いた基板処理が行われている間に、第2ノズル移動機構M2を制御して、第2ノズルN2を処理位置から退避位置まで移動させる。このとき、第2一次側バルブP2は閉状態に制御されているから、第2ノズルN2から基板W上に処理液が落下することはない。
【0072】
さらに同様に、第3処理ユニット3における処理ステップ18−23のうちの最後のステップ23(またはそれ以前のステップ)において、第1処理ユニット1においては、第1ノズルN1を退避位置から処理位置まで移動させるための第1ノズル移動ステップが並行して行われる。すなわち、制御装置7は、第3処理ユニット3において第3ノズルN3を用いた基板処理が行われている間に、第1ノズル移動機構M1を制御して、第1ノズルN1を退避位置から処理位置まで移動させる。このとき、第1一次側バルブP1は閉状態に制御されているから、第1ノズルN1から基板W上に処理液が落下することはない。さらに、第1処理ユニット1における処理ステップ4−9のうちの最初のステップ4(またはそれ以後のステップ)において、第3処理ユニット3においては、第3ノズルN3を処理位置から退避位置まで移動させるための第3ノズル移動ステップが並行して行われる。すなわち、制御装置7は、第1処理ユニット1において第1ノズルN1を用いた基板処理が行われている間に、第3ノズル移動機構M3を制御して、第3ノズルN3を処理位置から退避位置まで移動させる。このとき、第3一次側バルブP3は閉状態に制御されているから、第3ノズルN3から基板W上に処理液が落下することはない。
【0073】
ステップ23の後、待機状態とするときには、ステップ24(第3ノズルN3の退避位置への移動)の実行後に、ステップ1に戻ればよい。
図5は、第1〜第3処理ユニット1,2,3における処理の進行例(実施例)を説明するための図である。各処理ユニット1,2,3において基板Wに対して実行される全処理時間が95秒間であり、そのうちノズルN1,N2,N3を用いたスプレー処理が30秒(6ステップ分)であるものとする。残りの65秒間には、たとえば、別のノズルを用いて基板W上に処理液を供給する液処理(薬液処理またはリンス処理)や、スピンチャックC1,C2,C3を高速回転させて基板W上の液を振り切るスピンドライ処理などが行われる。
【0074】
図5に示された処理の進行例は、図4Bの動作例に従うものである。すなわち、第1処理ユニット1における処理ステップ(スプレー処理)の終了直後から、第2処理ユニット2における処理ステップ(スプレー処理)が始まっている。また、第2処理ユニット2における処理ステップ(スプレー処理)の終了直後から、第3処理ユニット3における処理ステップ(スプレー処理)が始まっている。第1、第2および第3処理ユニット1,2,3における処理ステップ(スプレー処理)の合計時間は90秒(=30秒×3)であるので、全処理時間の95秒に対して5秒間の余裕がある。こうして、ポンプ5を3つの処理ユニット1,2,3で共用しながら、基板Wに対する処理を効率的に行って生産性の向上を図ることができる。
【0075】
図6は、比較例の構成における処理の進行例を説明するための図である。この比較例では、第1ノズルN1を退避位置と処理位置との間で移動させるとき、第2ノズルN2を退避位置と処理位置との間で移動させるとき、および第3ノズルN3を退避位置と処理位置との間で移動させるときに、ポンプ5が停止させられる。そして、ノズルが退避位置から処理位置に移動した後に、ポンプ5が作動開始し、圧込めステップ(たとえば5秒)の後に、基板Wに対する液滴の吐出が始まる。さらに、液滴による処理ステップ(スプレー処理)の終了後には、ポンプ5の動作が停止させられ、ノズル内の液滴の圧力を抜いて処理液が出ない状態とするための圧抜きステップ(たとえば5秒)が行われる。したがって、第1処理ユニット1での処理ステップと第2処理ユニット2での処理ステップとの間に、圧込めステップおよび圧抜きステップ(合計10秒間)が必要となる。同様に、第2処理ユニット2での処理ステップと第3処理ユニット3での処理ステップとの間に、圧込めステップおよび圧抜きステップ(合計10秒間)が必要となる。よって、図5の例と比較すると、一つの処理ユニットにおいて一枚の基板Wの処理に要する時間が10秒間長くなる。しかも、第2処理ユニット2での処理ステップおよび圧抜きステップの終了から第1処理ユニット1における次の圧込めステップの開始までに5ステップ分(25秒間)の余裕しかないので、この期間内に第3処理ユニット3での処理ステップを完了することができない。したがって、3つの処理ユニット1,2,3でポンプ5を共有するには、各処理ユニット1,2,3で待ち時間が生じることは避けられない。よって、図5のプロセス例に比較すると、生産性が良くない。
【0076】
以上のように、この実施形態によれば、第1一次側バルブP1、第2一次側バルブP2および第3一次側バルブP3のいずれか一つを選択して開くことによって、一つのポンプ5を第1、第2および第3処理ユニット1,2,3での処理に共用できるから、構成が簡単になり、基板処理装置のコストを削減できる。そして、いずれかのノズルNに対応した一次側バルブPを閉じるときには、別のノズルNに対応した一次側バルブPおよび二次側バルブSの組が開かれて、ポンプ5は駆動状態に保持される。たとえば、第1一次側バルブP1を閉じるときには、第2一次側バルブP2および第2二次側バルブS2の組、または第3一次側バルブP3および第3二次側バルブS2の組が開かれ、ポンプ5は駆動状態に保持される。よって、一次側バルブPを閉じたノズルNからの処理液吐出がただちに停止される一方で、他のノズルNからは、必要に応じて速やかに処理液を吐出させることができる。つまり、ポンプ5が駆動状態に保持されるので、圧込め時間および圧抜き時間をいずれも解消できるから、第1、第2および第3処理ユニット1,2,3における基板処理時間を短縮して、基板処理の生産性を向上できる。しかも、一つのノズルNの一次側バルブPを閉じるときに、別のノズルNの一次側ノズルPおよび二次側ノズルSの組を開くので、処理液供給路6等での液圧が過大になるおそれもない。また、一次側バルブを閉じることによって、それに対応するノズルNから処理液が出なくなるから、当該ノズルNから基板W上への処理液の落下を回避できる。このようにして、基板W上への処理液の落下を回避しつつ優れた生産性を実現でき、併せて、構成の簡素化およびコストの削減も可能な基板処理装置を提供できる。
【0077】
また、この実施形態では、ノズルNを退避位置と処理位置との間で移動させる期間に、当該ノズルNに対応した一次側バルブPが閉じられる。これにより、当該ノズルNから処理液が漏出しないから、ノズルNの移動中に、基板W上に不用意に処理液が落下することを回避でき、基板処理品質を向上できる。しかも、ポンプは駆動状態に保持されるから、ノズルNを退避位置から処理位置まで移動させた後は、当該ノズルNに対応する一次側バルブPを開けば、ただちにそのノズルNから処理液の吐出を開始できる。また、ノズルNによる処理が終了した後は、ただちにそのノズルに対応する一次側バルブPを閉じて、そのノズルNを速やかに退避位置に戻すことができる。このようにして、基板処理に要する時間を短縮して、生産性を向上できる。
【0078】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、さらに別の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、3つの処理ユニット1,2,3で一つのポンプ5が共有される例を示したが、2つの処理ユニットで一つのポンプを共有したり、4つ以上の処理ユニットで一つのポンプを共有したりしてもよい。さらに、前述の実施形態では、複数の吐出孔52を有する処理液ヘッドの形態を有するノズルNを例示したが、より少ない数の吐出孔(たとえば一つの吐出孔)を有するノズルを用いてもよい。また、前述の実施形態では、基板Wを保持する基板保持機構としてのスピンチャックCを備えた処理ユニット1,2,3を例示したが、基板Wを非回転状態で保持する別の形態の基板保持機構を用いてもよい。さらに、前述の実施形態では、円形の基板Wを例示したが、角形等の別の形状の基板の処理のためにこの発明が適用されてもよい。さらに、前述の実施形態の説明に用いた図面では、一次側バルブP1,P2,P3が個別に示されているが、これらは、一つのバルブユニットに一体化されていてもよい。同様に、二次側バルブS1,S2,S3も、個別のユニットであってもよいし、統合された一つのバルブユニットであってもよい。
【0079】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0080】
N ノズル
N1 第1ノズル
N2 第2ノズル
N3 第3ノズル
P 一次側バルブ
P1 第1一次側バルブ
P2 第2一次側バルブ
P3 第3一次側バルブ
S 二次側バルブ
S1 第1二次側バルブ
S2 第2二次側バルブ
S3 第3二次側バルブ
C スピンチャック
C1 スピンチャック
C2 スピンチャック
C3 スピンチャック
M ノズル移動機構
M1 第1ノズル移動機構
M2 第2ノズル移動機構
M3 第3ノズル移動機構
1 第1処理ユニット
2 第2処理ユニット
3 第3処理ユニット
4 処理液供給源
5 ポンプ
6 処理液供給路
7 制御装置
10 分岐路
11 第1分岐路
12 第2分岐路
13 第3分岐路
20 排液路
21 第1排液路
22 第2排液路
23 第3排液路
24 ドレン配管
34 圧電素子
36 駆動回路
40 ノズルアーム
41 回動機構
42 昇降機構
46 ノズル本体
49 供給口
50 排出口
51 処理液流通路
52 吐出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液によって基板を処理する第1処理ユニットおよび第2処理ユニットを有する基板処理装置であって、
処理液を加圧して送り出すポンプと、
前記ポンプに接続された処理液供給路と、
前記処理液供給路から分岐した第1分岐路と、
前記処理液供給路から分岐した第2分岐路と、
前記第1分岐路に接続され、前記第1処理ユニットに配置された第1ノズルと、
前記第2分岐路に接続され、前記第2処理ユニットに配置された第2ノズルと、
前記第1分岐路に介装された第1一次側バルブと、
前記第2分岐路に介装された第2一次側バルブと、
前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブを開く制御手段と
を含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記第1ノズルに接続された第1排液路と、
前記第2ノズルに接続された第2排液路と、
前記第1排液路に介装された第1二次側バルブと、
前記第2排液路に介装された第2二次側バルブとをさらに含み、
前記制御手段が、前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブおよび前記第2二次側バルブを開く、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させる第1ノズル移動機構をさらに含み、
前記制御手段は、前記第1ノズル移動機構が前記第1ノズルを前記退避位置と前記処理位置との間で移動させるときに、前記第1一次側バルブを閉じる、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1ノズルが、前記第1分岐路に接続された第1一次側開口と前記第1排液路に接続された第1二次側開口と複数の第1吐出孔とが形成された中空の第1ノズル本体を有し、前記複数の第1吐出孔から処理液の液滴を吐出する第1処理液ヘッドの形態を有しており、
前記第2ノズルが、前記第2分岐路に接続された第2一次側開口と前記第2排液路に接続された第2二次側開口と複数の第2吐出孔とが形成された中空の第2ノズル本体を有し、前記複数の第2吐出孔から処理液の液滴を吐出する第2処理液ヘッドの形態を有している、請求項2または3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
処理液によって基板を処理する第1処理ユニット、第2処理ユニットおよび第3処理ユニットを有する基板処理装置であって、
処理液を加圧して送り出すポンプと、
前記ポンプに接続された処理液供給路と、
前記処理液供給路から分岐した第1分岐路と、
前記処理液供給路から分岐した第2分岐路と、
前記処理液供給路から分岐した第3分岐路と、
前記第1分岐路に接続され、前記第1処理ユニットに配置された第1ノズルと、
前記第2分岐路に接続され、前記第2処理ユニットに配置された第2ノズルと、
前記第3分岐路に接続され、前記第3処理ユニットに配置された第3ノズルと、
前記第1分岐路に介装された第1一次側バルブと、
前記第2分岐路に介装された第2一次側バルブと、
前記第3分岐路に介装された第3一次側バルブと、
前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブまたは前記第3一次側バルブを開く制御手段と
を含む、基板処理装置。
【請求項6】
前記制御手段が、前記第2一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブまたは前記第3一次側バルブを開く、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記制御手段が、前記第3一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブまたは前記第2一次側バルブを開く、請求項5または6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記第1ノズルに接続された第1排液路と、
前記第2ノズルに接続された第2排液路と、
前記第3ノズルに接続された第3排液路と、
前記第1排液路に介装された第1二次側バルブと、
前記第2排液路に介装された第2二次側バルブと、
前記第3排液路に介装された第3二次側バルブとをさらに含み、
前記制御手段が、前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブおよび前記第2二次側バルブ、または前記第3一次側バルブおよび前記第3二次側バルブを開く、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記制御手段が、前記第2一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブおよび前記第1二次側バルブ、または前記第3一次側バルブおよび前記第3二次側バルブを開く、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御手段が、前記第3一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブおよび前記第1二次側バルブ、または前記第2一次側バルブおよび前記第2二次側バルブを開く、請求項8または9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記第1ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させる第1ノズル移動機構と、
前記第2ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させる第2ノズル移動機構と、
前記第3ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させる第3ノズル移動機構と
をさらに含み、
前記制御手段が、前記第1ノズル移動機構が前記第1ノズルを前記退避位置と前記処理位置との間で移動させるときに、前記第1一次側バルブを閉じ、前記第2ノズル移動機構が前記第2ノズルを前記退避位置と前記処理位置との間で移動させるときに、前記第2一次側バルブを閉じ、前記第3ノズル移動機構が前記第3ノズルを前記退避位置と前記処理位置との間で移動させるときに、前記第3一次側バルブを閉じる、請求項9に係る請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第1ノズルが、前記第1分岐路に接続された第1一次側開口と前記第1排液路に接続された第1二次側開口と複数の第1吐出孔とが形成された中空の第1ノズル本体を有し、前記複数の第1吐出孔から処理液の液滴を吐出する第1処理液ヘッドの形態を有しており、
前記第2ノズルが、前記第2分岐路に接続された第2一次側開口と前記第2排液路に接続された第2二次側開口と複数の第2吐出孔とが形成された中空の第2ノズル本体を有し、前記複数の第2吐出孔から処理液の液滴を吐出する第2処理液ヘッドの形態を有しており、
前記第3ノズルが、前記第3分岐路に接続された第3一次側開口と前記第3排液路に接続された第3二次側開口と複数の第3吐出孔とが形成された中空の第3ノズル本体を有し、前記複数の第3吐出孔から処理液の液滴を吐出する第3処理液ヘッドの形態を有している、請求項8〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
処理液によって基板を処理する第1処理ユニットおよび第2処理ユニットを有する基板処理装置において実行される基板処理方法であって、
前記基板処理装置が、
処理液を加圧して送り出すポンプと、
前記ポンプに接続された処理液供給路と、
前記処理液供給路から分岐した第1分岐路と、
前記処理液供給路から分岐した第2分岐路と、
前記第1分岐路に接続され、前記第1処理ユニットに配置された第1ノズルと、
前記第2分岐路に接続され、前記第2処理ユニットに配置された第2ノズルと、
前記第1分岐路に介装された第1一次側バルブと、
前記第2分岐路に介装された第2一次側バルブとを含み、
前記基板処理方法が、前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブを開くステップを含む、基板処理方法。
【請求項14】
前記基板処理装置が、
前記第1ノズルに接続された第1排液路と、
前記第2ノズルに接続された第2排液路と、
前記第1排液路に介装された第1二次側バルブと、
前記第2排液路に介装された第2二次側バルブとをさらに含み、
前記基板処理方法が、前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブおよび前記第2二次側バルブを開くステップをさらに含む、請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記基板処理装置が、前記第1ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させる第1ノズル移動機構をさらに含み、
前記基板処理方法は、前記第1ノズル移動機構が前記第1ノズルを前記退避位置と前記処理位置との間で移動させるときに、前記第1一次側バルブを閉じるステップを含む、請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記第1ノズルが、前記第1分岐路に接続された第1一次側開口と前記第1排液路に接続された第1二次側開口と複数の第1吐出孔とが形成された中空の第1ノズル本体を有し、前記複数の第1吐出孔から処理液の液滴を吐出する第1処理液ヘッドの形態を有しており、
前記第2ノズルが、前記第2分岐路に接続された第2一次側開口と前記第2排液路に接続された第2二次側開口と複数の第2吐出孔とが形成された中空の第2ノズル本体を有し、前記複数の第2吐出孔から処理液の液滴を吐出する第2処理液ヘッドの形態を有している、請求項14または15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
処理液によって基板を処理する第1処理ユニット、第2処理ユニットおよび第3処理ユニットを有する基板処理装置において実行される基板処理方法であって、
前記基板処理装置は、
処理液を加圧して送り出すポンプと、
前記ポンプに接続された処理液供給路と、
前記処理液供給路から分岐した第1分岐路と、
前記処理液供給路から分岐した第2分岐路と、
前記処理液供給路から分岐した第3分岐路と、
前記第1分岐路に接続され、前記第1処理ユニットに配置された第1ノズルと、
前記第2分岐路に接続され、前記第2処理ユニットに配置された第2ノズルと、
前記第3分岐路に接続され、前記第3処理ユニットに配置された第3ノズルと、
前記第1分岐路に介装された第1一次側バルブと、
前記第2分岐路に介装された第2一次側バルブと、
前記第3分岐路に介装された第3一次側バルブとを含み、
前記基板処理方法は、前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブまたは前記第3一次側バルブを開くステップを含む、基板処理方法。
【請求項18】
前記第2一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブまたは前記第3一次側バルブを開くステップをさらに含む、請求項17に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記第3一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブまたは前記第2一次側バルブを開くステップをさらに含む、請求項17または18に記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記基板処理装置が、
前記第1ノズルに接続された第1排液路と、
前記第2ノズルに接続された第2排液路と、
前記第3ノズルに接続された第3排液路と、
前記第1排液路に介装された第1二次側バルブと、
前記第2排液路に介装された第2二次側バルブと、
前記第3排液路に介装された第3二次側バルブとをさらに含み、
前記基板処理方法が、前記第1一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第2一次側バルブおよび前記第2二次側バルブ、または前記第3一次側バルブおよび前記第3二次側バルブを開くステップを含む、請求項17に記載の基板処理方法。
【請求項21】
前記第2一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブおよび前記第1二次側バルブ、または前記第3一次側バルブおよび前記第3二次側バルブを開くステップを含む、請求項20に記載の基板処理方法。
【請求項22】
前記第3一次側バルブを閉じるときに、前記ポンプを駆動状態に保持したまま、前記第1一次側バルブおよび前記第1二次側バルブ、または前記第2一次側バルブおよび前記第2二次側バルブを開くステップを含む、請求項20または21に記載の基板処理方法。
【請求項23】
前記基板処理装置は、
前記第1ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させる第1ノズル移動機構と、
前記第2ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させる第2ノズル移動機構と、
前記第3ノズルを退避位置と処理位置との間で移動させる第3ノズル移動機構と
をさらに含み、
前記基板処理方法が、前記第1ノズル移動機構が前記第1ノズルを前記退避位置と前記処理位置との間で移動させるときに、前記第1一次側バルブを閉じるステップと、前記第2ノズル移動機構が前記第2ノズルを前記退避位置と前記処理位置との間で移動させるときに、前記第2一次側バルブを閉じるステップと、前記第3ノズル移動機構が前記第3ノズルを前記退避位置と前記処理位置との間で移動させるときに、前記第3一次側バルブを閉じるステップとを含む、請求項21に係る請求項22に記載の基板処理方法。
【請求項24】
前記第1ノズルが、前記第1分岐路に接続された第1一次側開口と前記第1排液路に接続された第1二次側開口と複数の第1吐出孔とが形成された中空の第1ノズル本体を有し、前記複数の第1吐出孔から処理液の液滴を吐出する第1処理液ヘッドの形態を有しており、
前記第2ノズルが、前記第2分岐路に接続された第2一次側開口と前記第2排液路に接続された第2二次側開口と複数の第2吐出孔とが形成された中空の第2ノズル本体を有し、前記複数の第2吐出孔から処理液の液滴を吐出する第2処理液ヘッドの形態を有しており、
前記第3ノズルが、前記第3分岐路に接続された第3一次側開口と前記第3排液路に接続された第3二次側開口と複数の第3吐出孔とが形成された中空の第3ノズル本体を有し、前記複数の第3吐出孔から処理液の液滴を吐出する第3処理液ヘッドの形態を有している、請求項20〜23のいずれか一項に記載の基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−48179(P2013−48179A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186274(P2011−186274)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】