説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】処理液から金属イオンを除去でき、小型化による設置スペースの減少とコストの低減が可能な基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、基板Wの処理に用いた処理液L中から金属イオンを除去することができ、基板処理装置1は、基板Wに処理液Lを供給する基板処理機構部2と、基板Wの処理に用いた処理液Lを回収する貯留槽3と、貯留槽3内に配置されて基板Wの処理に用いた処理液Lから金属イオンを除去する処理液再生部5と、処理液再生部5により金属イオンを除去した処理液Lを基板処理機構部2に送る送液部29を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば液晶ディスプレイのような液晶ガラス基板等の処理に用いられる基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶ガラス基板、半導体基板、電子デバイス等の各種の基板を製造する際には、基板を処理する工程、例えばフッ化水素液、エッチング液、洗浄液のような処理液を基板に供給することにより、基板に所望の処理を施す工程がある。
【0003】
基板の面を処理液により処理する基板処理装置としては、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に記載されている基板処理装置は、基板処理機構と、貯留槽と、第1処理液循環機構と、第2処理液循環機構と、そして2つの吸着塔を有している。
【0004】
第1処理液循環機構は、貯留槽と基板処理機構の間で、処理液を循環させて、基板処理機構において基板処理に用いた処理液は貯留槽に回収する。第2処理液循環機構は、圧送ポンプの圧送力により、貯留槽内に回収した処理液を、2つの吸着塔のいずれか一方に対して、配管の流路を切り替えることで供給させて、選択された一方の吸着塔において処理液中の金属イオンを吸着させる。
【0005】
このように、2つの吸着塔に対する処理液の供給を交互に切り替えることで、処理液の取り替えサイクルを長くして基板処理効率の低下を防止し、基板処理コストを抑える。基板の製造工程では、金属イオンが基板に付着した場合には、製品性能が問題になるので、金属イオンに汚染させないようにするために、処理液から金属イオンを除去してから処理液を循環させる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−252049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前述のような基板処理装置では、第2処理液循環機構と2つの吸着塔は、基板処理機構と貯留槽から成るユニットに対して、外付けで設置されているので、第2処理液循環機構と2つの吸着塔を別途設置するための設置スペースが必要であり、基板処理装置全体の設置スペースの増大が避けられない。
【0008】
そして、この第2処理液循環機構が、基板処理に用いた処理液を2つの吸着塔のいずれか一方に流路を切り替えて供給させるために、切り替え用のバルブ機構と、圧送用ポンプを設ける必要があるので、基板処理装置の構造が複雑になり、基板処理装置の大型化とコスト増大が避けられない。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、処理液から金属イオンを除去でき、小型化による設置スペースの減少とコストの低減が可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、基板の処理に用いた処理液中から金属イオンを除去する基板処理装置であって、前記基板に前記処理液を供給する基板処理機構部と、前記基板の処理に用いた前記処理液を回収する貯留槽と、前記貯留槽内に配置されて、前記基板の処理に用いた前記処理液から前記金属イオンを除去する処理液再生部と、前記処理液再生部により前記金属イオンを除去した前記処理液を前記基板処理機構部に送る送液部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の一態様によれば、基板の処理に用いた処理液中から金属イオンを除去する基板処理方法であって、基板処理機構部が前記基板に前記処理液を供給して、前記基板の処理に用いた前記処理液を貯留槽に回収して、前記貯留槽内に配置された処理液再生部が、前記基板の処理に用いた前記処理液から前記金属イオンを除去し、前記処理液再生部により前記金属イオンを除去した前記処理液を前記基板処理機構部に送ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、処理液から金属イオンを除去でき、小型化による設置スペースの減少とコストの低減が可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る基板処理装置の全体構造を示す図である。
【図2】基板処理装置の処理液再生部の構造例を示す斜視図である。
【図3】本発明の別の実施形態の基板処理装置の全体構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る基板処理装置の全体構造を示す図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の基板処理装置1は、基板Wに任意の処理を施す装置である。基板処理装置1は、例えば液晶ディスプレイに用いられる液晶ガラス基板のような基板Wの主面Sに形成された酸化膜や自然有機物を、処理液Lを用いて除去する装置である。この基板処理装置1では、基板Wの主面Sに形成された酸化膜や自然有機物を除去する処理液としては、例えばHF(フッ化水素)を用いることができる。
【0017】
この基板処理装置1は、基板処理機構部2と、貯留槽3と、送液部29と、貯留槽3内に配置されて処理液Lから金属イオンの除去を行って処理液を再生する処理液再生部5を有している。
【0018】
図1に示す基板処理機構部2は、上述した基板Wの主面Sに対して処理液Lを供給して、基板Wの主面Sに形成された酸化膜や自然有機物のような除去対象物Dを除去する。この基板処理機構部2は、チャンバ2Aと、基板搬送部2Bと、処理液供給管2Cと、処理液回収受け部6を有している。
【0019】
チャンバ2Aの閉鎖空間内には、基板搬送部2Bと、処理液供給管2Cと、処理液回収受け部6の上部が配置されている。基板搬送部2Bは、複数の搬送用ローラ2Fと、この搬送用ローラ2Fを回転させるモータ2Gを有している。基板Wは、複数の搬送用ローラ2Fの上に置かれている。このため、このモータ2Gは、制御部100の指令により駆動されることで、搬送用ローラ2Fを回転させて、基板Wを矢印Y方向(図1の紙面垂直方向)に所定の速度で搬送することができる。
【0020】
処理液供給管2Cは、基板Wの上方に配置されている。処理液供給管2Cは、配管30とポンプ4を通じて貯留槽3に接続されている。処理液供給管2Cは、複数の供給ノズル2Hを有している。貯留槽3内に収容されている処理液Lは、処理液供給管2Cの複数の供給ノズル2Hから、基板Wの主面Sに対して供給することができる。
【0021】
図1に示すように、処理液回収受け部6は、基板Wの下方に位置されている。この処理液回収受け部6は、基板Wの主面Sの処理に使用された処理液Lを全量回収して、貯留槽3内の処理液再生部5側に案内する機能を有する。
【0022】
処理液回収受け部6は、Z1方向に向かって下がるように傾斜された処理液案内部6Aと、処理液案内部6Aにより回収した処理液Lを貯留槽3内に案内する案内配管部6Bを有する。案内配管部6Bは、貯留槽3内にZ1方向に沿って挿入されており、案内配管部6Bの開放端部6Cは、貯留槽3の底部3Bの内面3Cに対して間隔をおいて位置されている。
【0023】
貯留槽3は、例えば直方体形状の閉鎖された収容空間3Fを有している。この貯留槽3は、例えば基板処理機構部2の下部あるいは側部に配置されており、貯留槽3は、側壁部3Aと、底部3Bと、蓋部3Dを有している。蓋部3Dは、側壁部3Aの上部分の開口部3Eを開閉可能に閉じるために置かれており、この蓋部3Dを例えばZ2方向に取り外すことで、開口部3Eを通じて収容空間3Fを開放することができる。案内配管部6Bの開放端部6Cは、蓋部3Dの中央の穴3Gを通じて、収容空間3F内にZ1方向に挿入されている。処理液供給タンクとしての貯留槽3内の処理液再生部5には、処理液供給源222が接続されており、貯留槽3内には処理液供給源222から処理液が補充できる。
【0024】
この貯留槽3の収容空間3Fには、複数の処理液再生部5が配置されている。収容空間3F内の処理液再生部5と貯留槽3の側壁部3Aとの間には、処理液の溜め部7が形成されている。図1の例では、蓋部3Dを取り外すことにより、各処理液再生部5は、貯留槽3の収容空間3F内から開口部3Eを通じて貯留槽3内から取り外すことができる。
【0025】
図2は、処理液再生部5の構造例を示す斜視図である。
【0026】
図2に示すこの処理液再生部5の構造は、図1と図2に示す構造例に限らず、任意の選択することができる。処理液再生部5は、作業者が図2に示す取っ手8を握って貯留槽3内からZ2方向に容易に持ち上げて取り出すことができるように、ユニット構造となっている。ここで、処理液再生部5の構造例を説明する。
【0027】
処理液再生部5は、例えば金属板で作られており、図1と図2に示す水平方向の複数の仕切り部材10,11,12,13,14,15と、図2に示す左右側部の仕切り部材16,17と、図1に示す処理液案内部材18,19,20P,21P,22P,23Pを有している。水平方向の複数の仕切り部材10,11,12,13,14,15と、左右側部の仕切り部材16,17と、処理液案内部材18,19,20P,21P,22P,23Pは、金属板により作られている。ただし、図面を見易くするために、図1では左右側部の仕切り部材16,17の図示を省略し、図2では処理液案内部材18,19,20P,21P,22Pの図示を省略している。
【0028】
図1と図2に示すように、仕切り部材10,11,12,13,14,15は、左右側部の仕切り部材16,17に対して例えば同じ間隔をおいて、X方向に沿って平行に固定されている。各仕切り部材10,11,12,13,14,15は、X方向に沿って少しずつ位置をずらしてあることで、処理液Lの流路10R,11R,12R,13R,14Rを確保している。このように、処理液再生部5には、処理液Lを通すための複数の流路10R,11R,12R,13R,14Rが、Z2方向に沿って積み重ねるようにして形成されている。複数の流路10R,11R,12R,13R,14Rには、処理液Lから金属イオンを除去するための金属イオン除去部材としてのキレート剤20,21とイオン交換樹脂22,23が着脱可能にそれぞれ配置されている。
【0029】
図1に示すように、仕切り部材10,11の流路10Rには、キレート剤20が着脱可能に配置されている。仕切り部材11,12の流路11Rには、キレート剤21が着脱可能に配置されている。仕切り部材12,13の流路12Rには、イオン交換樹脂22が着脱可能に配置されている。仕切り部材13,14の流路13Rには、イオン交換樹脂23が着脱可能に配置されている。
【0030】
キレート剤20は、処理液再生部5において処理液Lを流すための流路の最も上流側に位置され、処理液Lの流路の上流側から下流側に向かって、すなわち下側から上側にZ2方向に向かって、キレート剤20,21とイオン交換樹脂22,23の順番に位置されている。ただし、仕切り部材14,15の流路14Rには、キレート剤20,21とイオン交換樹脂22,23は配置されておらず、流路14Rは単なる処理液Lの案内路である。
これらのキレート剤20,21とイオン交換樹脂22,23は、金属イオン除去部材の例であり、好ましくはブロック状に作られている。これにより、作業者は、キレート剤20,21とイオン交換樹脂22,23を、仕切り部材10,11,12,13,14の複数の流路10R,11R,12R,13Rから容易に取り出して交換することができる。
【0031】
ここで、キレート剤20,21は、一般的に、有機系のアミノカルボン酸塩を総称したものであり、処理液L内の金属イオンを吸着して、この吸着された金属は特定の溶液によって遊離するという性質を有する。キレート剤20,21としては、具体的には、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、NTA(二トリロ三酢酸)等であるが、これらに特に限定されるものではない。本発明の実施形態では、キレート剤20,21は、処理液L中から、ある特定の物質の除去、例えばボロンイオンの除去を行うことができる。
【0032】
また、イオン交換樹脂22,23は、例えば球状細粒の有機高分子重合体であり、処理液L内の金属イオンを吸着して、吸着された金属イオンの代わりにそれまでイオン交換樹脂中に存在した同符号のイオンを出す。イオン交換樹脂22,23は、処理液L中から金属イオンの除去、例えばFeイオン,Alイオン,Niイオン,Cuイオン,Crイオンを除去できる。
【0033】
なお、処理液再生部5では、仕切り部材10,11,12,13,14,15の枚数やキレート剤とイオン交換樹脂の配置数の変更や、キレート剤とイオン交換樹脂の配置順序の変更は、任意に行うことができる。
【0034】
図1に示すように、貯留槽3内には、処理液再生部5の横側に処理液の溜め部7が設けられている。これにより、処理液再生部5を通過して処理された処理液Lは、いったん処理液の溜め部7に溜まるようになっている。すでに述べたように、貯留槽3の処理液の溜め部7と処理液供給管2Cとは、配管30により接続されている。この配管30の途中には、ポンプ4が接続されている。この配管30とポンプ4は、処理液再生部5により金属イオンを除去した処理液Lを、基板処理機構部2に送り返すための送液部29を構成している。すなわち、このポンプ4は、制御部100の指令により、処理液の溜め部7に溜まっている金属イオンを除去済みの処理液Lを、処理液供給管2Cに戻すことができる。このように、貯留槽3には、金属イオンを除去済みの処理液Lをいったん処理液の溜め部7に溜めておくことで、ポンプ4は、処理液供給管2C側にスムーズに安定して圧送することができる。
【0035】
上述した基板Wの製造工程では、金属イオンが基板に付着した場合には、製品性能が問題になるので、金属イオンに汚染させないようにするために、処理液Lから金属イオンを除去してから、処理液Lを基板処理機構部2の処理液供給管2Cに対して循環させるようになっている。
【0036】
次に、上述した構成を有する基板処理装置1により基板Wを処理する場合の基板処理装置1の動作例を説明する。
【0037】
図1では、処理液Lを循環させる際の処理液Lの流れは、矢印M1〜M7で示している。
【0038】
基板処理機構部2では、基板Wが搬送用ローラ2Fの上に置かれ、矢印Y方向(図1の紙面垂直方向)に所定の速度で搬送することができる。処理液供給管2C内に収容されている処理液Lは、処理液供給管2Cの複数の供給ノズル2Hから、基板Wの主面Sに対して供給することで、処理液Lにより基板Wの主面Sの除去対象物Dを除去する。
【0039】
処理液Lが基板Wの主面Sの除去対象物Dを除去すると、処理液Lには金属イオンが含まれている。この金属イオンを含む処理液Lの全量は、基板Wから処理液回収受け部6の処理液案内部6Aに落下する。落下した処理液Lは、案内配管部6B内を通じて矢印M1に沿って案内されて、矢印M2に示すように開放端部6Cから処理液案内部材18側に送られる。そして、処理液Lは、処理液案内部材18により案内されて流路10R内のキレート剤20を通る。キレート剤20を通った処理液Lは、処理液案内部材19と仕切り部材11の間を矢印M3に示すように上昇するように通過して、流路11R内のキレート剤21を通る。
【0040】
キレート剤21を通った処理液Lは、処理液案内部材20Pと仕切り部材12の間を矢印M4に示すように上昇するように通過して、流路12R内のイオン交換樹脂22を通る。イオン交換樹脂22を通った処理液Lは、処理液案内部材21Pと仕切り部材13の間を矢印M5に示すように上昇するように通過して、流路13R内のイオン交換樹脂23を通る。イオン交換樹脂23を通った処理液Lは、処理液案内部材22Pと仕切り部材14の間を矢印M6に示すように上昇するように通過して、流路14R内を通過する。処理液Lは、処理後に、矢印M7に示すようにいったん処理液の溜め部7に溜まる。
【0041】
このようにして処理液Lが、キレート剤20,21とイオン交換樹脂22,23を順次通過することにより、処理液L中の金属イオンは、貯留槽3内に配置された処理液再生部5内のキレート剤20,21とイオン交換樹脂22,23により確実に除去することができる。
【0042】
図1に示すように、貯留槽3の収容空間3F内には、複数の処理液再生部5が予め配置されているので、基板処理機構部2と貯留槽3から成るユニットに対して、従来のように処理液Lから金属イオンを除去するための再生処理装置を別途外付けする必要がなく、従来必要であった2つの吸着塔のいずれか一方に流路を切り替えるための切り替え用のバルブ機構や、2つの吸着塔へ処理液を送るための圧送用ポンプを設ける必要もない。金属イオンを除去した処理液Lは、1つのポンプ4を用いて処理液供給管2C側に送るだけで良い。このため、基板処理装置1の構造が簡単化でき、基板処理装置1の小型化とコスト低減が図れることになる。
【0043】
処理液の溜め部7の溜まっている処理液Lからは金属イオンが除去されており、溜め部7内の処理液Lは、ポンプ4の作動により、処理液供給管2C内に圧送することができるので、処理液Lの再利用ができる。このようにして、処理液Lを循環させることで、処理液Lから金属イオンを除去して再循環させて再利用することができる。
【0044】
ところで、図1に示す貯留槽3内に配置された処理液再生部5を、貯留槽3内から取り出す場合には、作業者は、蓋部3Dを貯留槽3からZ2方向に持ち上げて取り外して、そして処理液再生部5の取っ手8を掴んでZ2方向に持ち上げる。これにより、貯留槽3の開口部3Eから外に出すことができる。
【0045】
作業者が使用済みのキレート剤20,21とイオン交換樹脂22,23を、流路10R,11R,12R,13Rからそれぞれ取り外して、新しいキレート剤20,21とイオン交換樹脂22,23を流路10R,11R,12R,13R内にそれぞれ装着する。この際に、キレート剤20,21とイオン交換樹脂22,23は、好ましくはブロック状に作られているので、作業者は持ち易く、キレート剤20,21とイオン交換樹脂22,23は、仕切り部材10,11,12,13,14により形成されている空間内に装着したり、逆に仕切り部材10,11,12,13,14により形成されている空間内から容易に取り出して交換することができる。なお、キレート剤とイオン交換樹脂は、ブロック毎の交換をする以外に、ユニットでの交換をしても良い。つまり、ユニットとして一体になったキレート剤とイオン交換樹脂毎に交換することができる。
【0046】
その後、キレート剤20,21とイオン交換樹脂22,23を交換した処理液再生部5は、再び貯留槽3の開口部3Eを通じて貯留槽3内に装着して、蓋部3Dにより開口部3Eを閉じればよい。
【0047】
次に、本発明の別の実施形態を説明する。図3は、本発明の別の実施形態の基板処理装置1Aの全体構造を示す図である。図3に示す基板処理装置1Aの部分が、図1に示す基板処理装置1の対応する部分と実質的に同じである場合には、同じ符号を記してその説明を援用する。図3に示す基板処理装置1Aでは、貯留槽3内に配置された処理液再生部55の構造が、図1に示す基板処理装置1の貯留槽3内に配置された処理液再生部5の構造と異なる。
【0048】
図3に示す処理液再生部55は、らせん形状の管部56を有しており、この管部56の内部空間は、処理液Lを通すための流路である。案内配管部6Bの開放端部6Nは、管部56の始端部56Aに対して着脱可能に接続されている。一方、管部56の終端部56Bは、処理液の溜め部7に対して開放端部となっている。この管部56の流路の途中には、キレート剤40,41とイオン交換樹脂42,43が、始端部56Aから終端部56Bに向かって順番に、しかも間隔をおいて配置されている。
【0049】
図3に示す基板処理機構部2では、基板Wが搬送用ローラ2Fの上に置かれ、矢印Y方向(図1の紙面垂直方向)に所定の速度で搬送することができる。処理液供給管2C内に収容されている処理液Lは、処理液供給管2Cの複数の供給ノズル2Hから、基板Wの主面Sに対して供給することで、処理液Lにより基板Wの主面Sの除去対象物Dを除去する。基板Wの主面Sの除去対象物Dを除去して、処理液Lにはこれから除去しようとする金属イオンが含まれている。
【0050】
この処理液Lは、基板Wから処理液回収受け部6の処理液案内部6Aに落下する。落下した処理液Lは、案内配管部6B内を通じて矢印M1に沿って案内されて、矢印M12で示すように開放端部6Nと管部56の始端部56Aから入り、矢印M13とM14で示すようにキレート剤40を通る。キレート剤40を通った処理液Lは、矢印M15とM16で示すようにキレート剤41を通る。
【0051】
キレート剤41を通った処理液Lは、矢印M17とM18で示すようにイオン交換樹脂42を通る。イオン交換樹脂42を通った処理液Lは、矢印M19とM20で示すようにイオン交換樹脂43を通る。イオン交換樹脂43を通った処理液Lは、管部56内を矢印M21に示すように通過して、処理液Lは、矢印M22に示すように、いったん処理液の溜め部7に溜まる。
【0052】
これにより、処理液L中の金属イオンは、貯留槽3内に配置された処理液再生部55内のキレート剤40,41とイオン交換樹脂42,43により除去することができる。
【0053】
図3に示すように、貯留槽3の収容空間3Fには、複数の処理液再生部5が配置されているので、基板処理機構部2と貯留槽3のユニットに対して、処理液Lから金属イオンを除去するために再生処理装置を外付けする必要がなく、従来必要であった2つの吸着塔のいずれか一方に流路を切り替えるための切り替え用のバルブ機構や、2つの吸着塔へ処理液を送るための圧送用ポンプを設ける必要がない。金属イオンを除去した処理液Lは、1つのポンプ4を用いて処理液の溜め部7から処理液供給管2C側に送るだけで良い。このため、基板処理装置の構造が簡単化でき、基板処理装置の小型化とコスト低減が図れることになる。
【0054】
このように、処理液の溜め部7の溜まっている処理液Lからは金属イオンが除去されており、溜め部7内の処理液Lは、ポンプ4の作動により、処理液供給管2C内に圧送することができるので、処理液Lを循環して再利用することができる。
【0055】
ところで、図3に示す貯留槽3内に配置された処理液再生部55を、貯留槽3内から取り出す場合には、作業者は蓋部3Dを貯留槽3からZ2方向に持ち上げて取り外す。作業者は、案内配管部6Bの開放端部6Nと管部56の始端部56Aの連結を外して、案内配管部6Bを貯留槽3内から取り外すとともに、取っ手88を掴んで処理液再生部55を貯留槽3内から取り外す。
【0056】
そして、作業者が新しい処理液再生部55を再び貯留槽3の開口部3Eを通じて貯留槽3内に装着し、案内配管部6Bを貯留槽3内に入れて、案内配管部6Bの開放端部6Nと管部56の始端部56Aの連結を行い、蓋部3Dにより開口部3Eを閉じればよい。
【0057】
以上説明したように、本発明の実施形態の基板処理装置1を用いて,例えば液晶基板や薄膜トランジスタ(TFT)を製造する際に、処理液Lを使い捨てすることなく、処理液L中の金属イオン濃度を管理しながら、処理液Lを循環して再利用することができる。処理液を使い捨てする場合に比べて、処理液の使用量を大幅に低減できる。
【0058】
本発明の実施形態の基板処理装置と基板処理方法は、液晶ガラス基板の他に半導体基板、電子デバイス等の各種の基板を製造する際には、エッチング液や洗浄液等の処理液が基板に供給されることにより、基板を処理する工程に対して適用できる。
【0059】
本発明の実施形態の基板処理装置は、基板を処理液で処理する基板処理装置であって、基板に処理液を供給する基板処理機構部と、基板の処理に用いた処理液を回収する貯留槽と、貯留槽内に配置されて、基板の処理に用いた処理液から金属イオンを除去する処理液再生部と、処理液再生部により金属イオンを除去した処理液を基板処理機構部に送る送液部と、を備える。これにより、処理液から金属イオンを除去でき、処理液再生部は貯留槽内に予め配置されているので、処理液再生部を別途設置するためにスペースは不要であるので、小型化による設置スペースの減少とコストの低減が可能である。しかも、流路を積み重ねることで、スペース効率だけでなく、流路の長さを稼ぐことができる。このことで、処理液中の金属イオン除去やイオン交換を確実に処理することができる。
【0060】
処理液再生部には、処理液を通すための複数の流路が積み重ねて形成されており、各流路には処理液から金属イオンを除去するための金属イオン除去部材が配置されている。流路内の金属イオン除去部材を用いることにより、貯留槽内の処理液から金属イオンを除去できる。
【0061】
金属イオン除去部材は、キレート剤とイオン交換樹脂である。これにより、処理液から金属イオンをキレート剤とイオン交換樹脂により除去できる。
【0062】
処理液再生部は、貯留槽内から取り外し可能に貯留槽内に配置され、キレート剤とイオン交換樹脂は、ブロック状になっている。処理液再生部は貯留槽内から取り外して交換でき、キレート剤とイオン交換樹脂がブロック状になっているので、作業者は使用済みのキレート剤とイオン交換樹脂を、処理液再生部から取り外して、新たなキレート剤とイオン交換樹脂に簡単に交換できる。
【0063】
処理液は、基板の主面の酸化物あるいは自然有機物の除去を行うフッ化水素である。これにより、処理液であるフッ化水素は、基板の主面の処理を行うことができる。
【0064】
本発明の実施形態の基板処理方法は、基板を処理液で処理する基板処理方法であって、基板処理機構部が基板に処理液を供給して、基板の処理に用いた処理液を貯留槽に回収して、貯留槽内に配置された処理液再生部が、基板の処理に用いた処理液から金属イオンを除去し、処理液再生部により金属イオンを除去した処理液を基板処理機構部に送る。これにより、処理液から金属イオンを除去でき、処理液再生部は貯留槽内に配置されているので、処理液再生部を別途設置するためにスペースは不要であるので、小型化による設置スペースの減少とコストの低減が可能である。しかも、流路を積み重ねることで、スペース効率だけでなく、流路の長さを稼ぐことができる。このことで、処理液中の金属イオン除去やイオン交換を確実に処理することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1,1A 基板処理装置
2 基板処理機構部
3 貯留槽
5 処理液再生部
7 処理液の溜め部
10R、11R、12R、13R、14R 流路
20,21 キレート剤
22,23 イオン交換樹脂
29 送液部
L 処理液
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理液で処理する基板処理装置であって、
前記基板に前記処理液を供給する基板処理機構部と、
前記基板の処理に用いた前記処理液を回収する貯留槽と、
前記貯留槽内に配置されて、前記基板の処理に用いた前記処理液から金属イオンを除去する処理液再生部と、
前記処理液再生部により前記金属イオンを除去した前記処理液を前記基板処理機構部に送る送液部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記処理液再生部には、前記処理液を通すための複数の流路が積み重ねて形成されており、各前記流路には前記処理液から前記金属イオンを除去するための金属イオン除去部材が配置されていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記金属イオン除去部材は、キレート剤とイオン交換樹脂であることを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理液再生部は、前記貯留槽内から取り外し可能に前記貯留槽内に配置され、前記キレート剤とイオン交換樹脂は、ブロック状になっていることを特徴とする請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板を処理液で処理する基板処理方法であって、
基板処理機構部が前記基板に前記処理液を供給して、前記基板の処理に用いた前記処理液を貯留槽に回収して、
前記貯留槽内に配置された処理液再生部が、前記基板の処理に用いた前記処理液から金属イオンを除去し、
前記処理液再生部により前記金属イオンを除去した前記処理液を前記基板処理機構部に送ることを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−74248(P2013−74248A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214350(P2011−214350)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】