説明

基板処理装置及び基板処理方法

【課題】 処理液の流れ方向を常に変化させることにより、被処理基板の処理効率を上げて基板表面の均一化を可能にした基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】 複数枚の被処理基板Wを収容できる処理槽2と、処理槽の底部に配設された複数本の処理液供給管31〜35と、この処理液供給管に処理液を供給する制御装置5とを備えた基板処理装置1において、処理液供給管31〜35のうち、第1処理液供給管31は処理槽の底壁面22の中央部に、第2処理液供給管32、33は第1処理液供給管の両側に、噴射ノズルを前記処理槽内に収容される被処理基板Wの中央部に向けて配設し、第3処理液供給管34、35は前記処理槽の側壁に噴射ノズルを被処理基板Wの頂部に向けて配設し、制御装置5は被処理基板Wの洗浄時に処理液を前記第1処理液供給管31からは常時、前記第2、第3処理液供給管からは秒単位の間隔で交互に切換えて供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ、液晶表示パネル、光ディスク等の各種基板の表面を処理する基板処理装置及び基板処理方法に係り、特に、純水による水洗い洗浄時の被処理基板の処理効率を上げると共に、基板表面の均一化を可能にした基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ、液晶表示パネル、光ディスク等の各種基板は、その表面を清浄及び均一にするために、各種の薬液による薬液処理、純水による水洗い処理及び有機溶剤を用いた乾燥処理が各種の基板処理装置を使用して行われている。
この種の基板処理装置には、フッ酸、オゾン水等の薬液及び純水(以下、薬液及び純水を総称して処理液という)等の各種処理液を貯留した複数個の処理槽を併設してこれらの処理槽に被処理基板を順次浸漬して一連の表面処理を行うようにしたいわゆる多槽式処理装置、或いは一つの処理槽でこの一つの処理槽に異なる種類の処理液を順次入れ換え供給して一連の表面処理を行うようにしたいわゆる単槽式処理装置がある。
これらの基板処理装置は、何れも被処理基板を一つの薬液による処理が終了した後、次の薬液処理を行う前に、被処理基板に付着している薬液を純水により洗い落とす水洗処理を行っている。
【0003】
図8は、公知の基板処理装置200に使用されている処理槽の1例を示す断面図である。
この処理槽201は、底部に5本の処理液供給管301〜305が配設されている。これらの供給管は、何れも複数個の噴射ノズルを備え、これらの供給管のうち3本の供給管301〜303は、その噴射ノズルが被処理基板Wの中心部に向くようにして底面203に取付けられ、残り2本の供給管304、305は、その噴射ノズルが被処理基板Wの頂部に向くようにして傾斜面203a'、203b'に取付けられている。また、各処理液供給管301〜305は、それぞれバルブ51を介して1本の配管Lにより純水供給源40に接続されている。
そして、バルブ51は制御装置50に接続され、この制御装置50により各バルブの開閉制御が行われ、純水供給源40から純水を各供給管301〜305へ同時に供給して被処理基板Wの表面処理を行うようになっている。
この基板処理装置を使用すると、供給された純水は、槽内において、一定方向の水流が形成され、この水流によって被処理基板の表面が洗浄される。
【0004】
また、複数本の処理液供給管のうち、数本を順次選択・切換えて処理液を供給することにより被処理基板の表面処理を行うようにした基板処理装置も知られている(例えば、下記特許文献1、2参照)。
【0005】
図9は、下記特許文献1に記載された基板処理装置の処理槽を示す断面図である。
この処理槽100は、底部に6本の処理液供給管101〜106が配設され、これらの供給管のうち、2本の処理液供給管103、104は、その噴射ノズルが被処理基板Wの中心に向くようにして底面中央部に取付けられ、他の4本の処理液供給管101、102、105、106は、それぞれ2本をセットにして各噴射ノズルが被処理基板Wの側面を向くように各側壁に取付けられ、これら6本の供給管のうち、数本が順次選択され、更に交互に切換えられて処理液を処理槽へ供給するようになっている。
【0006】
この供給管の選択・処理液の切換えは、2つの処理ステップI、IIに分かれている。処理ステップIでは、6本の処理液供給管101〜106のうち、先ず、4本の処理液供給管102、103、104、105が選択されて、それぞれにX分単位の給液が行われ、また、処理ステップIIでは、4本の処理液供給管101、103、104、106が選択され、それぞれY分単位での給液が行われる。
そして、洗浄処理時には、これらの処理ステップが順次繰り返され、すなわち処理ステップIではX分の処理が行われ、その後、処理ステップIの処理が停止されて、処理ステップIIに切換えられてY分の処理が行われ、以後、この処理ステップI、IIが繰り返されて、合計切換え回数×(X+Y)分の時間を掛けて基板表面の洗浄処理が行われる。
例えば、アンモニア過水処理後の水洗処理は、先ず、処理ステップIで4本の処理液供給管102、103、104、105が選択されて給液され、被処理基板の洗浄が行われ、7分後に、処理ステップIIに切換えて一部異なる4本の処理液供給管101、103、104、106が選択されて給液され、被処理基板の洗浄が行われている。
この基板処理装置を使用すると、比抵抗の回復基準点10MΩを達成するのに、従来方式では処理時間が10分15秒掛かったのに対して、この処理装置では9分で達成できるとされている。
【0007】
また、下記特許文献2に記載された基板処理装置は、処理槽の対向する側壁面に、複数本の処理液供給管が配設され、これらの供給管のうち何れかの供給管を選択的に切換えて、処理液を基板に供給するものである。この装置によると、処理液の様々な流れを形成することができるので、一定の流れを継続させることにより、槽内の淀みを抑制することができる。
【0008】
【特許文献1】特開平11−150091号公報(図1、段落〔0014〕〜〔0018〕、〔0027〕、〔0028〕)
【特許文献2】特開2001−274133号公報(図7、段落〔0039〕〜〔0042〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記公知の基板処理装置200によれば、複数本の処理液供給管301〜305から同時に供給された処理液は、処理槽内において一定方向の水流を形成し、この一定方向の水流によって被処理基板の表面が効率的に洗浄される。
【0010】
しかしながら、上記基板処理装置200では、流路に当たる領域に面した基板表面は効率よく洗浄されるが、この流路から外れた領域に面した基板表面は、流路が形成されていないために流速が遅くなり、また淀み部分が発生することがあることから、十分に洗浄されない。そのため、被処理基板の表面は、水洗いが良好に行われた領域と不十分な領域とに分かれ、いわゆる洗浄ムラが発生する。
そこで、このような洗浄ムラをなくそうとすると、大量の処理液を使用し、長時間掛けて洗浄処理を行う必要がある。したがって、このような方法では、処理能力の向上が期待できず、処理費用も高騰する。また、流路が一定方向に固定されるので、依然として洗浄ムラは解消されず、その結果、被処理基板表面の高品質な均一化を達成することが難しい。
【0011】
また、上記特許文献1に記載された処理装置は、複数本の供給管を選択して切換えるので、切換え毎に流路が変更される。しかしながら、このような選択・切換えによっても、洗浄ムラは解消さず、結果として、近年要求されている被処理基板表面の高品質な均一化の仕様に適合させることは難しい。詳しくは、この処理槽では、2つの処理ステップを設定し、これらの処理ステップを組み合わせることによって洗浄処理を行っているが、各処理ステップの処理時間は何れも分単位のものとなっている。このため、例えば処理ステップIにおいてはX分(実施例では7分)掛けて洗浄を行っているので、この間に、槽内では一定方向の流路が形成され、この流路によって基板表面が洗浄されている。したがって、この間は上記基板処理装置200と同じように、被処理基板上で良好な洗浄が行われている領域と不十分な洗浄しか行われない領域が発生し、洗浄が不十分な領域に例えばエッチング液が付着している場合は、この処理ステップIの間、すなわち、ほぼ7分間はエッチングが進行してしまう。この7分間が経過すると処理ステップIIに切換えられて流路が変更されるが、処理ステップIで薬液処理されたエッチングが進んだ領域は修復されず、したがって基板表面の均一化処理を実現することは難しい。
【0012】
加えて、上記特許文献1の基板処理装置は、処理槽の底部及び両側壁に近接した箇所に発生する「よどみ」を解消することを目的としている。このため、基板表面に付着した薬液等を効率よく洗い落とすことが難しくなっている。さらに、全体の処理時間が長い(実施例では9分)ので、この処理時間の長さに比例して処理液の使用量が多くなる。
【0013】
さらに、上記特許文献2に記載された基板処理装置は、一定の方向、例えば時計回りに回転する流路を形成して基板表面を処理するものであって、この装置を使用しても上記課題は解決されない。
【0014】
近年、半導体デバイスの高密度化及び高精細化が進んでいる。この動向に合わせて、基板処理装置には、基板表面をより平坦にするために一層の均一化、いわゆるユニフォミティーが要求されている。
【0015】
そこで、本発明者らは、上記従来技術の基板処理装置では、このような要求を満たすことができる高精度な被処理基板表面の均一化が困難であることに鑑み、その原因を探求したところ、その要因が被処理基板に付着した薬液を純水で洗い落とすスピード、すなわち薬液を純水に置き換える置換スピード、いわゆる置換効率の高低にあることを突き止めた。そして、種々の対応策を検討した結果、複数本の処理液供給管の選択・切換えの順序を変え、且つ切換え時間を短時間に行うことにより、薬液と純水との置換効率の向上が図れることを見出し、この置換効率を上げればより高精度な被処理基板表面の均一化が達成できることに想到し、本発明を完成するに至ったものである。
【0016】
すなわち、本発明の目的は、処理液の流れ方向を常に変化させることにより、被処理基板の処理効率を上げると共に、基板表面の均一化を可能にした基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の基板処理装置は、複数枚の被処理基板を垂直に立設した状態で収容できる大きさの箱型の処理槽と、この処理槽の底部に配設された複数本の処理液供給管と、これらの処理液供給管に所定のタイミングで処理液を供給する制御装置とを備えた基板処理装置において、
前記各処理液供給管は、それぞれ複数個の噴射ノズルを有しており、これら複数本の処理液供給管のうち、第1処理液供給管は前記処理槽の底壁面の中央部に、第2処理液供給管は前記第1処理液供給管の両側に、それぞれの噴射ノズルが収容される被処理基板の中央部に向けて配設され、更に第3処理液供給管は前記処理槽の対向する両側壁に噴射ノズルが前記被処理基板の頂部に向けて配設され、前記制御装置は、前記被処理基板の洗浄時に処理液を前記第1処理液供給管からは常時、前記第2、第3処理液供給管からは秒単位の間隔で交互に切換えて供給する切換手段を有していることを特徴とする。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置において、前記切換手段は、前記第2、第3処理液供給管の切換えを1〜60秒間隔で行うことを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の基板処理装置は、複数枚の被処理基板を垂直に立設した状態で収容できる大きさの箱型の処理槽と、この処理槽の底部に配設された複数本の処理液供給管と、これらの処理液供給管に所定のタイミングで処理液を供給する制御装置とを備えた基板処理装置において、
前記各処理液供給管は、それぞれ複数個の噴射ノズルを有しており、これら複数本の処理液供給管のうち、第1処理液供給管は前記処理槽の底壁面の中央部に、第2、第3処理液供給管は前記第1処理液供給管の両側に、それぞれの噴射ノズルが収容される被処理基板の中央部に向けて配設され、更に第4処理液供給管は前記処理槽の対向する両側壁に噴射ノズルが前記被処理基板の頂部に向けて配設され、前記制御装置は、前記被処理基板の洗浄時に処理液を前記第1処理液供給管からは常時、他の前記第2処理液供給管、前記第3処理液供給管、前記第4処理液供給管からは秒単位の間隔で何れか1つを順次切換えて供給する切換手段を有していることを特徴とする。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の基板処理装置において、前記切換手段は、前記第2〜第4処理液供給管の切換えを1〜60秒間隔で行うことを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載の基板処理装置は、複数枚の被処理基板を垂直に立設した状態で収容できる大きさの箱型の処理槽と、この処理槽の底部に配設された複数本の処理液供給管と、これらの供給管に所定のタイミングで処理液を供給する制御装置を備えた基板処理装置において、
前記各処理液供給管は、それぞれ複数個の噴射ノズルを有しており、これら複数本の処理液供給管のうち、第1処理液供給管は前記処理槽の底壁面の中央部に噴射ノズルが収容される被処理基板の中央部に向けて配設され、第2処理液供給管は前記処理槽の対向する両側壁に噴射ノズルが前記被処理基板の頂部に向けて配設され、前記制御装置は、前記被処理基板の洗浄時に処理液を前記第1、第2処理液供給管から秒単位の間隔で交互に切換えて供給させる切換手段を有していることを特徴とする。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の基板処理装置において、前記切換手段は、前記第1、第2処理液供給管の切換えを1〜60秒間隔で行うことを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の基板処理方法は、処理槽内に複数枚の被処理基板を収容し、前記処理槽の底部に配設した複数本の処理液供給管から制御手段により所定のタイミングで処理液を供給して被処理基板の表面を処理する基板処理方法において、
前記各処理液供給管は、それぞれ複数個の噴射ノズルを有しており、これら複数本の処理液供給管のうち、第1処理液供給管は前記処理槽の底壁面の中央部に、第2処理液供給管は前記第1処理液供給管の両側に、それぞれの各噴射ノズルが前記被処理基板の中央部に向けて配設し、更に第3処理液供給管が前記処理槽の対向する両側壁に噴射ノズルが前記被処理基板の頂部に向けて配設し、前記制御手段により、前記被処理基板の洗浄時に処理液を前記第1処理液供給管からは常時、前記第2、第3処理液供給管からは秒単位の間隔で交互に切換えて供給し、前記処理槽の底部から上方へ向かって噴射させて前記被処理基板の表面を処理することを特徴とする。
【0024】
請求項8に記載の基板処理方法は、処理槽内に複数枚の被処理基板を収容し、前記処理槽の底部に配設した複数本の処理液供給管から制御手段により所定のタイミングで処理液を供給して被処理基板の表面を処理する基板処理方法において、
前記各処理液供給管は、それぞれ複数個の噴射ノズルを有しており、これら複数本の処理液供給管のうち、第1処理液供給管は前記処理槽の底壁面の中央部に、第2、第3処理液供給管は前記第1処理液供給管の両側に、それぞれの噴射ノズルが収容される被処理基板の中央部に向けて配設し、更に第4処理液供給管は前記処理槽の対向する両側壁に噴射ノズルが前記被処理基板の頂部に向けて配設し、前記制御手段により、前記被処理基板の洗浄時に処理液を前記第1処理液供給管からは常時、他の前記第2処理液供給管、前記第3処理液供給管、前記第4処理液供給管からは秒単位の間隔で何れか1つを順次切換えて供給し、前記処理槽の底部から上方へ向かって噴射させて前記被処理基板の表面を処理することを特徴とする。
【0025】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の基板処理方法において、前記第2、第3処理液供給管は、前記第1処理液供給管より処理液が多く供給されることを特徴とする。
【0026】
請求項10に記載の基板処理方法は、処理槽内に複数枚の被処理基板を収容し、前記処理槽の底部に配設した複数本の処理液供給管から制御手段により所定のタイミングで処理液を供給して被処理基板の表面を処理する基板処理方法において、
前記各処理液供給管は、それぞれ複数個の噴射ノズルを有しており、これら複数本の処理液供給管のうち、第1処理液供給管が前記処理槽の底壁面の中央部に噴射ノズルが前記被処理基板の中央部に向けて配設し、第2処理液供給管が前記処理槽の対向する両側壁に噴射ノズルが前記被処理基板の頂部に向けて配設し、前記制御手段は、前記被処理基板の洗浄時に処理液を前記第1、第2処理液供給管から秒単位の間隔で交互に切換え、底部から上方へ向かって噴射させて前記被処理基板の表面を処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、上記構成を備えることにより以下に示す優れた効果を奏する。すなわち、請求項1、2の発明によれば、被処理基板の洗浄時に、純水等の処理液の供給が第1処理液供給管からは常時、第2、第3処理液供給管からは秒単位の間隔で交互に切換えられて供給されることにより、処理槽の底部から被処理基板の中央部を通って上方へ向かう上昇乱流を形成しながらオーバーフローされる。
この上昇乱流は、決まった流路を形成することなく随時その流路及び流速を変更しながら処理液の供給がなされるので、短時間に被処理基板表面の全面へ拡大され、あたかも基板表面を処理液で擦るようにして付着された薬液、パーティクル等を素早く洗い落とすことができる。また、この乱流は複数枚の被処理基板間にも入り込み、この基板間に留まっている薬液等の追い出しも良好に行われる。
その結果、被処理基板の表面は、流路及び流速が素早く変化する処理液で処理されるので、より高精度な均一化処理が可能になると共に処理時間も短縮される。また、この処理時間の短縮に伴って処理液の使用量も低減できる。この場合、切換え時間が1秒未満であると乱流は起こるが切換時間が早すぎて処理液に薬液を洗い落とすための流速が形成されないために、基板表面を処理液で擦るようにして付着された薬液、パーティクルを素早く洗い落とすことができず、かえって被処理基板の表面の均一性が損なわれる場合があり、また、切換時間が60秒を超えると、従来例との差異が少なくなってしまうために好ましくない。
【0028】
請求項3、4の発明によれば、被処理基板の洗浄時に、純水等の処理液の供給が第1処理液供給管からは常時、他の第2処理液供給管、第3処理液供給管、第4処理液供給管からは秒単位の間隔で何れか1つを順次切換えて供給されることにより、処理槽の底部から被処理基板の中央部を通って上方へ向かう上昇乱流を形成しながらオーバーフローされる。
この上昇乱流は、決まった流路を形成することなく随時その流路及び流速を変更しながら処理液の供給がなされるので、短時間に被処理基板表面の全面へ拡大され、あたかも基板表面を処理液で擦るようにして付着された薬液、パーティクル等を素早く洗い落とすことができる。また、この乱流は複数枚の被処理基板間にも入り込み、この基板間に留まっている薬液等の追い出しも良好に行われる。
その結果、被処理基板の表面は、流路及び流速が素早く変化する処理液で処理されるので、より高精度な均一化処理が可能になると共に処理時間も短縮される。また、この処理時間の短縮に伴って処理液の使用量も低減できる。この場合、切換え時間が1秒未満であると乱流は起こるが切換時間が早すぎて処理液に薬液を洗い落とすための流速が形成されないために、基板表面を処理液で擦るようにして付着された薬液、パーティクルを素早く洗い落とすことができず、かえって被処理基板の表面の均一性が損なわれる場合があり、また、切換時間が60秒を超えると、従来例との差異が少なくなってしまうために好ましくない。
【0029】
請求項5、6の発明によれば、被処理基板の洗浄時に、第1、第2処理液供給管から純水等の処理液が秒単位の間隔で交互に切換えられて供給されることにより、処理槽の底部から被処理基板の中央部を通って上方へ向かう上昇流と、処理槽中央上部から底部へ向かう下降流を交互に形成しながらオーバーフローされる。
この上昇流及び下降流により生じる乱流は、決まった流路を形成することなく随時その流路及び流速を変更しながら処理液の供給がなされるので、短時間に被処理基板表面の全面へ拡大され、あたかも基板表面を処理液で擦るようにして付着された薬液、パーティクル等を素早く洗い落とすことができる。また、この乱流は複数枚の被処理基板間にも入り込み、この基板間に留まっている薬液等の追い出しも良好に行われる。
その結果、被処理基板の表面は、流路及び流速が素早く変化する処理液で処理されるので、より高精度な均一化処理が可能になると共に処理時間も短縮される。また、この処理時間の短縮に伴って処理液の使用量も低減できる。
【0030】
請求項7の発明によれば、被処理基板の処理時に、純水等の処理液は第1処理液供給管からは常時、第2、第3処理液供給管からは秒単位の間隔で交互に切換えられて供給されることにより、処理槽の底部から被処理基板の中央部を通って上方へ向かう上昇乱流を形成しながらオーバーフローされる。すなわち、第2処理液供給管及び第3処理液供給管が秒単位で切換えられて、処理槽内へ処理液が供給されることにより、底部の中央に位置する第1処理液供給管の垂直方向の流路を境にして、両サイドに第2処理液供給管により形成される時計方向及び反時計方向の渦流に別方向の流れが第3処理液供給管から供給されることになるので、それまでの流れの中に異なる流れが導入され、一部乱流が生じた後別の渦流を形成しようとするが、さらに所定時間後には給液される処理液供給管が変更されるので定常な流れになる前に再び別の乱流が生じる。
したがって、この上昇乱流は、決まった流路を形成することなく随時その流路及び流速を変更しながら処理液の供給がなされるので、短時間に被処理基板表面の全面へ拡大され、あたかも基板表面を処理液で擦るようにして付着された薬液、パーティクル等を素早く洗い落とすことができる。また、この上昇の乱流は複数枚の被処理基板間にも入り込み、この基板間に留まっている薬液等の追い出しも良好に行われる。その結果、被処理基板の表面は、流路及び流速が素早く変化する処理液で処理されるので、より高精度な均一化処理が可能になると共に処理時間も短縮される。また、この処理時間の短縮に伴って処理液の使用量も低減できる。
【0031】
請求項8の発明によれば、被処理基板の処理時に、純水等の処理液は第1処理液供給管からは常時、他の第2〜第4処理液供給管からは秒単位の間隔で何れか1つを順次切換えて供給されることにより、処理槽の底部から被処理基板の中央部を通って上方へ向かう上昇乱流を形成しながらオーバーフローされる。すなわち、第2処理液供給管〜第4処理液供給管が秒単位で切換えられて、処理槽内へ処理液が供給されることにより、第2処理液供給管により形成される時計方向及び反時計方向の渦流に別方向の流れが第3処理液供給管から供給されることになるので、それまでの流れの中に異なる流れが導入され、一部乱流が生じた後別の渦流を形成しようとするが、さらに所定時間後には給液される処理液供給管が変更されるので定常な流れになる前に再び別の乱流が生じる。
したがって、この上昇乱流は、決まった流路を形成することなく随時その流路及び流速を変更しながら処理液の供給がなされるので、短時間に被処理基板表面の全面へ拡大され、あたかも基板表面を処理液で擦るようにして付着された薬液、パーティクル等を素早く洗い落とすことができる。また、この上昇の乱流は複数枚の被処理基板間にも入り込み、この基板間に留まっている薬液等の追い出しも良好に行われる。その結果、被処理基板の表面は、流路及び流速が素早く変化する処理液で処理されるので、より高精度な均一化処理が可能になると共に処理時間も短縮される。また、この処理時間の短縮に伴って処理液の使用量も低減できる。
【0032】
請求項9の発明によれば、処理槽内に渦流を発生させることで、被処理基板の表面処理が良好に行われるので、第2、第3処理液供給管から供給される処理液の量を第1処理液供給管より大きくすると渦流が生じやすく、被処理基板表面の薬液、パーティクル等をより良好に洗い落とすことができるようになる。
【0033】
請求項10の発明によれば、被処理基板の処理時に、第1、第2処理液供給管からは、秒単位の間隔で交互に切換えられて供給されることにより、処理槽の底部から被処理基板の中央部を通って上方へ向かう上昇流と、処理槽中央上部から底部へ向かう下降流を交互に形成しながらオーバーフローされる。すなわち、第1処理液供給管及び第2処理液供給管が秒単位で切換えられて、処理槽内へ処理液が供給されることにより、処理槽の中央線を境にして、両サイドに第1、第2処理液供給管により時計方向及び反時計方向の渦流が形成される。それと同時に、処理槽の中心部分には第1処理液供給管からの処理液供給により上昇流が形成されることとなるが、所定時間経過後に給液を行う処理液供給管を第2処理液供給管に変更すると、処理槽の中心部分には反対に下降流を形成しようとする。これにより、秒単位で処理液を供給する処理液供給管を変更することにより、定常な流れとなることがないと共に、上昇流と下降流が衝突するために大きな乱流が生じることとなる。
したがって、この上昇流及び下降流により生じる乱流は、決まった流路を形成することなく随時その流路及び流速を変更しながら処理液の供給がなされるので、短時間に被処理基板表面の全面へ拡大され、あたかも基板表面を処理液で擦るようにして付着された薬液、パーティクル等を素早く洗い落とすことができる。また、この乱流は複数枚の被処理基板間にも入り込み、この基板間に留まっている薬液等の追い出しも良好に行われる。その結果、被処理基板の表面は、流路及び流速が素早く変化する処理液で処理されるので、より高精度な均一化処理が可能になると共に処理時間も短縮される。また、この処理時間の短縮に伴って処理液の使用量も低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための基板処理装置及び基板処理方法を例示するものであって、本発明をこの基板処理装置及び基板処理方法に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0035】
図1は本発明の実施例1に係る基板処理装置を示す概略断面図であり、図1(a)は底部付近に設けられた3つの処理液供給管から処理液を供給した状態を示す図、図1(b)は中央部と傾斜面に設けられた3つの処理液供給管から処理液を供給した状態を示す図である。
基板処理装置1は、図1に示すように、処理液及び複数枚の被処理基板を収容できる大きさの処理槽2と、この処理槽2内の底部に配設された複数本の処理液供給管31〜35と、処理液供給管に連結された配管Lの途中に設けられた複数個のバルブ51〜53と、これらのバルブ51〜53の開閉制御を行う制御装置5とを備えている。
【0036】
処理槽2は、複数枚の被処理基板、例えば直径300mmの円板状の半導体ウェーハ(以下、ウェーハという)Wを50枚程度、垂直に立設した状態で収容できる大きさを有する箱型の容器からなり、図1に示すように、その縦断面形状が底部に平坦面を有する細長な六角形状をなしている。すなわち、上方に開口部21を有し、周囲が側壁23a、23bで囲まれ、ウェーハが十分浸漬できる深さで、この底部22の両角部に所定角度の傾斜面23a'、23b'が形成された構成を有している。
【0037】
また、この処理槽2には、底部付近に複数本、図1では5本の処理液供給管31〜35が配設される。これら5本の処理液供給管31〜35は、それぞれ複数個の噴射ノズル(図示省略)が所定のピッチで長手方向に1列又は複数列形成されている。
そして、各処理液供給管31〜35は噴射ノズルが所定の方向に向くようにして取付けられる。すなわち、5本の処理液供給管31〜35のうち、3本の処理液供給管31、32、33は、それぞれの噴射ノズルがウェーハWの中心部に向くようにして底部22近傍に取付けられ、残りの2本の処理液供給管34、35は、その噴射ノズルがウェーハWの頂部を向くようにして、それぞれ傾斜面23a'、23b'に取付けられる。
【0038】
また、5本の処理液供給管31〜35には、配管L及びバルブ51〜53を介して純水が供給される。このバルブ51〜53は、制御装置5に接続されており、この制御装置5で開閉制御が行われる。また、各バルブ51〜53には、純水供給源が接続されている。
【0039】
次に、この基板処理装置を使用したウェーハの処理方法を図1、図2を参照して説明する。図2は実施例1に係る基板処理装置の処理槽に処理液を供給するタイミングチャートである。
この基板処理装置1は、制御装置5により各バルブ51〜53を開閉制御することで各処理液供給管31〜35へ処理液を供給して処理槽2内でウェーハWの表面処理を行う。
ウェーハWの表面処理のうち、純水を使用した洗浄処理は、先ず、図2に示すように、時刻tにおいて、制御装置5によりバルブ51を開いて中央部に位置する処理液供給管31から処理槽2内に純水を供給する。この処理液供給管31からの給液は、この洗浄処理が終了する最終時刻tまで継続して行う。
【0040】
また、制御装置5はこのバルブ51の開放とほぼ同時にバルブ52を開いて、処理液供給管31の両サイドに隣接する2本の処理液供給管32、33から処理槽2内へ純水を時刻tまでの秒単位の所定時間、例えば10秒間供給する。このとき、バルブ53は閉じておく。
処理液供給管31からの給液により、処理槽2の底部22中央部から上方へ向けた垂直方向の上昇流路が形成される。また、この処理液供給管31の両側に位置する処理液供給管32、33からの給液により、この垂直方向の流路を境にして、その両サイドに時計方向及び反時計方向の渦流が形成される。
したがって、この垂直方向の流路及び左右の渦流は、ウェーハWのほぼ中心部を通って上昇流、いわゆるアップ・フローで流れ、ウェーハWの洗浄が行われる。なお、アップ・フローした純水は、その一部が外槽(図示省略)へオーバーフローする。
【0041】
次に、時刻tから10秒経過した時刻tにおいて、バルブ52を閉じて各処理液供給管32、33からの純水供給を停止し、これとほぼ同時に、バルブ53を開いて傾斜面に位置する2本の処理液供給管34、35から純水を時刻tまで供給する。t〜t間の時間は、t〜t間の時間と同じく10秒である。
各処理液供給管34、35からの給液により、底部の中央に位置する処理液供給管31の垂直方向の流路を境にして、両サイドに既に各処理液供給管32、33からの給液により形成されていた時計方向及び反時計方向の渦流の流れが徐々に変化するが、定常流になる前のt(10秒後)にバルブ53を開放し、バルブ52を閉鎖するので一定の流れにならない。したがって、この流路の変更により、ウェーハWの両側部が効率よく洗浄される。
【0042】
以後、同様のタイミングで制御装置5により各バルブ52、53を10秒間隔で交互に切換えて、各処理液供給管32、33及び処理液供給管34、35から処理槽2内へ純水を供給してウェーハWの洗浄を行う。
したがって、一対の処理液供給管32、33及び処理液供給管34、35が秒単位で切換えられて、処理槽2内へ純水が供給されることにより、底部の中央に位置する処理液供給管31の垂直方向の流路を境にして、両サイドに各処理液供給管32、33により形成されていた時計方向及び反時計方向の渦流に別方向の流れが各処理液供給管34、35から供給されるので、それまでの流れの中に異なる流れが導入され、一部乱流が生じた後別の渦流を形成しようとするが、10秒後には給液される処理液供給管がさらに変更されるので定常な流れになる前に再び別の乱流が生じる。
これらの乱流により、あたかも基板表面を処理流で擦るようにして、付着された薬液、パーティクル等が素早く洗い流される。
この秒単位の切換え給液により、処理槽内の流速が急峻に変化すると共に、処理液供給管32、33と処理液供給管34、35とにより形成される渦流が相互に作用することにより処理槽2内に均一な乱流が形成されるので、ウェーハW表面のパーティクルの付着を抑制できる。
【0043】
この基板処理槽1を使用した具体例として、容積50リットルの処理槽2を使用し、この中に直径300mmのウェーハを収容し、各処理液供給管31〜35に所定量の純水を所定時間供給して洗浄した。詳しくは、処理液供給管31からは、20L/min、各処理液供給管32、33の合計供給量20L/min、各処理液供給管34、35の合計供給量18L/min、各供給時間tn−1〜tを10秒にしてウェーハWを洗浄した。その結果、純水を約109.8L使用し、合計170秒で良好な洗浄ができた。
【実施例2】
【0044】
図3は本発明の実施例2に係る基板処理装置の概略断面図、図4は実施例2の基板処理装置における処理液供給管から処理槽内への処理液供給プロセスを説明する断面図、図5は実施例2の基板処理装置の処理槽に処理液を供給するタイミングチャートを示す図である。なお、図5に示すタイミングチャートの切換え時間であるt〜tは実施例1と同様に等間隔に設定されており、例えば10秒間隔である。
【0045】
この基板処理装置1Aは、図3に示すように、上記実施例1の基板処理装置1と比べて中央の処理液供給管31の両側に位置する処理液供給管32、33が個々のバルブ52、53に接続され、これらのバルブの開閉により処理槽へ個別に純水が供給されるようになっている点が異なる。すなわち、各供給管32、33は、それぞれ異なるバルブ52、53を介して純水供給源に接続され、制御装置5により各バルブ51〜54を切換えることによって、各供給管31〜36から処理槽2へ純水が供給される。そこで、両者に共通する構成は同一符号を付してその説明を援用し、異なる動作についてのみ説明する。
【0046】
処理槽2への純水の供給は、図4及び図5に示すように、制御装置5によりバルブ51を開いて中央部に位置する処理液供給管31から処理槽2内に純水を供給する。この処理液供給管31からの給液は、この洗浄処理が終了するまで継続して行われ、このときの供給量は定量で、例えば10L/minである。
そして先ず、図4(a)に示すように、処理液供給管31から純水を供給しながら、制御装置5によりバルブ52を開いて、中央の処理液供給管31に隣接する一方の処理液供給管32から処理槽2内へ純水をtからtの間、例えば10秒間供給する。この処理液供給管32からの処理液の供給量は処理液供給管31より多く、例えば20L/minである。また、このときバルブ53、54は閉じられている。そして、各処理液供給管31、32から処理液を給液することにより、槽中央部の上昇流形成に伴い、図4(a)の右側では時計回り、左側では反時計回りの渦流が形成される。しかしながら、処理槽供給管32は右側に片寄っているため、右側の時計回りの渦流がやや小さくなる。
【0047】
その後、所定時間tに達した時点で、バルブ52を閉じて処理液供給管32からの純水供給を停止し、これとほぼ同時に、バルブ53を開いて処理液供給管33から純水の供給を所定時間tからtの間行う(図4(b)参照)。tからtのときに形成された2つの渦流においては右側の時計回りの渦流の方が左側の反時計回りの渦流より小さかったのに対してtからtのときにおいては、処理液供給管33からの新たな方向の流れによって、逆に左側の反時計回りの渦流の方が右側の時計回りの渦流より小さくなる流れを形成しようとする流れとなっている。この供給により、各処理液供給管31、32で形成された渦流、すなわち、バルブ52が開かれた時点で処理液供給管32からの供給が停止されているので慣性と処理液供給管31による残留渦流と、処理液供給管33からの供給に基づく新たな方向の水流とが衝突し、処理槽2内で乱流が発生する。
【0048】
次いで、所定時間tに達した時点で、バルブ53を閉じて処理液供給管33からの純水供給を停止し、これとほぼ同時に、バルブ54を開いて傾斜面に位置する処理液供給管34、35から純水を同時に所定時間tからtの間供給して、槽内で新たな上昇水流を形成する(図4(c)参照)。このときも、処理液供給管33により形成された渦流が、処理液供給管34、35により生成される新たな水流による槽内の流れは図1(b)の流れに移り変わろうとしているので、先の流れと衝突し、処理槽2内には乱流が発生する。そして、図4(a)〜図4(c)に示すような切換えを所定回数(例えば図5ではt回)行うことにより、ウェーハWの表面処理がなされる。
【0049】
この基板処理装置1Aを使用した具体例として、容積40リットルの処理槽2を使用し、この中に直径300mmのウェーハを収容し、各処理液処理液供給管31〜35に所定量の純水を所定時間供給して洗浄した。詳しくは、処理液供給管31からは、常時10L/minの処理液を供給し、処理液供給管32、33から供給される処理液及び処理液供給管34、35から供給される処理液の合計をそれぞれ20L/minとして実施した。その結果、合計処理時間6分、純水使用量180リットルでエッチングユニフォミティー3%が達成できた。このユニフォミティーを例えば図8に示した従来技術の処理装置を使用すると、処理時間が8分掛かり、その純水使用量は480リットルであった。この結果、実施例2の基板処理装置1Aによれば、処理時間が短縮されると共に純水使用量が大幅に低減されている。
【実施例3】
【0050】
上記実施例1、2では、処理槽2の底部22付近に3本の処理液供給管を配設したが、中央の処理液供給管を省いても同様の作用が期待できる。そこで、実施例3の基処理装置1Bは、上記基板処理装置1で底部に位置する3本の処理液供給管31〜33のうち、中央の処理液供給管31を省いた、或いは使用しない構成を有している。したがって、この構成は、実施例1、2の装置と処理液供給管31を省き或いは不使用にしただけで、その他の構成は同じであるので、両者に共通な構成は同一符号を付してその説明を援用し、異なる動作についてのみ説明する。
【0051】
この基板処理装置1Bを使用したウェーハWの処理方法を図6、図7を参照して説明する。図6は本発明の実施例3に係る基板処理装置を示す概略断面図であり、図6(a)は底部付近に設けられた2つの処理液供給管から処理液を供給した状態を示す図、図6(b)は傾斜面に設けられた2つの処理液供給管から処理液を供給した状態を示す図、図7は処理槽に処理液を供給するタイミングチャートを示したものである。
この基板処理装置1Bは、制御装置5により各バルブ52、53を開閉制御することで各処理液供給管32〜35へ処理液を供給して処理槽2内でウェーハWの表面処理を行う。
ウェーハWの表面処理のうち、純水を使用した洗浄処理は、先ず、図7に示すように、時刻tにおいて、制御装置5によりバルブ52を開いて中央部に位置する処理液供給管32、33から処理槽2内に純水を供給する。このとき、バルブ53は閉じておく。
処理液供給管32、33からの給液により、処理槽2の底部22中央部から上方へ向けたほぼ垂直方向の上昇流路が形成され、この流路は、その両サイドで時計方向及び反時計方向の渦流となり、この渦流は、ウェーハWのほぼ中心部を通って上昇流、いわゆるアップ・フローで流れ、ウェーハWの洗浄が行われる。なお、アップ・フローした純水は、その一部が外槽(図示省略)へオーバーフローする。
【0052】
次に、時刻tから10秒経った時刻tにおいて、バルブ52を閉じて各処理液供給管32、33からの純水供給を停止し、これとほぼ同時に、バルブ53を開いて傾斜面に位置する2本の処理液供給管34、35から純水を時刻tまで供給する。t〜t間の時間は、t〜t間の時間と同じく10秒である。
各処理液供給管34、35からの給液により、時刻t〜tで処理液供給管32、33によって形成されていた時計方向及び反時計方向の渦流の流れが実施例1と同様に徐々に変化するが、中心に上昇流がないため中心部分では下降流を生じようとする。この流れは実施例1より大きな乱流を生じさせる。したがって、この流路の変更により、さらにウェーハWの両側部が効率よく洗浄される。この渦流は、実施例1の基板処理装置1では、処理液供給管31からの給液により、中央部に常に上昇流を形成していたが、この基板処理装置1Bでは中央部分に下降流を生じようとする給液を行うので、実施例1の基板処理装置1よりも乱流が大きいものとなる。
【0053】
以後、同様のタイミングで制御装置5により、各バルブ52、53を10秒間隔で交互に切換えて、各処理液供給管32、33及び処理液供給管34、35から処理槽2内へ純水を供給してウェーハWの洗浄を行う。
したがって、一対の処理液供給管32、33及び処理液供給管34、35が秒単位で切換えられて、処理槽2内へ純水が供給されることにより、中央部に形成されていた上昇流が10秒後に下降流に変化し始める。変化し始めたところで、また10秒後に再び上昇流に変化し始めると言ったように、常に中央部の流れが変化し続けることになる。これらの流れ方向の反転により、ウェーハWが洗浄される。
この秒単位の切換え給液により、処理槽内の流速が急峻に変化すると共に、処理液供給管32、33と処理液供給管34、35とにより形成される渦流が相互に作用することにより処理槽2内に均一な乱流が発生し、定常的な淀みがなくなるので、ウェーハW表面のパーティクルの付着を抑制させることができる。
【0054】
この基板処理槽1Bを使用した具体例として、容積50リットルの処理槽2を使用し、この中に直径300mmのウェーハを収容し、各処理液供給管32〜35に所定量の純水を所定時間供給して洗浄した。詳しくは、各処理液供給管32、33の合計供給量28L/min、各処理液供給管34、35の合計供給量26L/min、各供給時間tn−1〜tを10秒にしてウェーハWを洗浄した。その結果、純水を約106.8L使用し、合計240秒で良好な洗浄ができた。
さらに詳しい実施例はないが、複数薬液を使用する単一槽においての直前に使用され他処理液の追い出しに関しても有効な方法であることは明白である。
また、本実施例では切換時間を一定値10秒としたが、この切換時間は1〜60秒の間であれば所定の作用が奏され、またこの切換時間を徐々に変えたり、途中又は最後に定常流を交えるなど、多くのバリエーションが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施例1に係る基板処理装置を示す概略断面図であり、図1(a)は底部付近に設けられた3つの処理液供給管から処理液を供給した状態を示す図であり、図1(b)は中央部と傾斜面に設けられた3つの処理液供給管から処理液を供給した状態を示す図、
【図2】実施例1に係る基板処理装置の処理槽に処理液を供給するタイミングチャート、
【図3】本発明の実施例2に係る基板処理装置を示す概略断面図、
【図4】実施例2に係る基板処理装置の処理液供給管から処理槽内への処理液供給プロセスを説明する断面図、
【図5】実施例2に係る基板処理装置の処理槽に処理液を供給するタイミングチャート、
【図6】本発明の実施例3に係る基板処理装置を示す概略断面図であり、図6(a)は底部付近に設けられた2つの処理液供給管から処理液を供給した状態を示す図、図6(b)は傾斜面に設けられた2つの処理液供給管から処理液を供給した状態を示す図、
【図7】実施例3に係る基板処理装置の処理槽に処理液を供給するタイミングチャート、
【図8】従来技術の基板処理装置を示す概略断面図、
【図9】従来技術の基板処理装置を示す断面図。
【符号の説明】
【0056】
1、1A、1B 基板処理装置
2 処理槽
5 制御装置
31〜35 処理液供給管
51〜54 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の被処理基板を垂直に立設した状態で収容できる大きさの箱型の処理槽と、この処理槽の底部に配設された複数本の処理液供給管と、これらの処理液供給管に所定のタイミングで処理液を供給する制御装置とを備えた基板処理装置において、
前記各処理液供給管は、それぞれ複数個の噴射ノズルを有しており、これら複数本の処理液供給管のうち、第1処理液供給管は前記処理槽の底壁面の中央部に、第2処理液供給管は前記第1処理液供給管の両側に、それぞれの噴射ノズルが収容される被処理基板の中央部に向けて配設され、更に第3処理液供給管は前記処理槽の対向する両側壁に噴射ノズルが前記被処理基板の頂部に向けて配設され、前記制御装置は、前記被処理基板の洗浄時に処理液を前記第1処理液供給管からは常時、前記第2、第3処理液供給管からは秒単位の間隔で交互に切換えて供給する切換手段を有していることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記切換手段は、前記第2、第3処理液供給管の切換えを1〜60秒間隔で行うことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
複数枚の被処理基板を垂直に立設した状態で収容できる大きさの箱型の処理槽と、この処理槽の底部に配設された複数本の処理液供給管と、これらの処理液供給管に所定のタイミングで処理液を供給する制御装置とを備えた基板処理装置において、
前記各処理液供給管は、それぞれ複数個の噴射ノズルを有しており、これら複数本の処理液供給管のうち、第1処理液供給管は前記処理槽の底壁面の中央部に、第2、第3処理液供給管は前記第1処理液供給管の両側に、それぞれの噴射ノズルが収容される被処理基板の中央部に向けて配設され、更に第4処理液供給管は前記処理槽の対向する両側壁に噴射ノズルが前記被処理基板の頂部に向けて配設され、前記制御装置は、前記被処理基板の洗浄時に処理液を前記第1処理液供給管からは常時、他の前記第2処理液供給管、前記第3処理液供給管、前記第4処理液供給管からは秒単位の間隔で何れか1つを順次切換えて供給する切換手段を有していることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
前記切換手段は、前記第2〜第4処理液供給管の切換えを1〜60秒間隔で行うことを特徴とする請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
複数枚の被処理基板を垂直に立設した状態で収容できる大きさの箱型の処理槽と、この処理槽の底部に配設された複数本の処理液供給管と、これらの供給管に所定のタイミングで処理液を供給する制御装置を備えた基板処理装置において、
前記各処理液供給管は、それぞれ複数個の噴射ノズルを有しており、これら複数本の処理液供給管のうち、第1処理液供給管は前記処理槽の底壁面の中央部に噴射ノズルが収容される被処理基板の中央部に向けて配設され、第2処理液供給管は前記処理槽の対向する両側壁に噴射ノズルが前記被処理基板の頂部に向けて配設され、前記制御装置は、前記被処理基板の洗浄時に処理液を前記第1、第2処理液供給管から秒単位の間隔で交互に切換えて供給させる切換手段を有していることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
前記切換手段は、前記第1、第2処理液供給管の切換えを1〜60秒間隔で行うことを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
処理槽内に複数枚の被処理基板を収容し、前記処理槽の底部に配設した複数本の処理液供給管から制御手段により所定のタイミングで処理液を供給して被処理基板の表面を処理する基板処理方法において、
前記各処理液供給管は、それぞれ複数個の噴射ノズルを有しており、これら複数本の処理液供給管のうち、第1処理液供給管は前記処理槽の底壁面の中央部に、第2処理液供給管は前記第1処理液供給管の両側に、それぞれの各噴射ノズルが前記被処理基板の中央部に向けて配設し、更に第3処理液供給管が前記処理槽の対向する両側壁に噴射ノズルが前記被処理基板の頂部に向けて配設し、前記制御手段により、前記被処理基板の洗浄時に処理液を前記第1処理液供給管からは常時、前記第2、第3処理液供給管からは秒単位の間隔で交互に切換えて供給し、前記処理槽の底部から上方へ向かって噴射させて前記被処理基板の表面を処理することを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
処理槽内に複数枚の被処理基板を収容し、前記処理槽の底部に配設した複数本の処理液供給管から制御手段により所定のタイミングで処理液を供給して被処理基板の表面を処理する基板処理方法において、
前記各処理液供給管は、それぞれ複数個の噴射ノズルを有しており、これら複数本の処理液供給管のうち、第1処理液供給管は前記処理槽の底壁面の中央部に、第2、第3処理液供給管は前記第1処理液供給管の両側に、それぞれの噴射ノズルが収容される被処理基板の中央部に向けて配設し、更に第4処理液供給管は前記処理槽の対向する両側壁に噴射ノズルが前記被処理基板の頂部に向けて配設し、前記制御手段により、前記被処理基板の洗浄時に処理液を前記第1処理液供給管からは常時、他の前記第2処理液供給管、前記第3処理液供給管、前記第4処理液供給管からは秒単位の間隔で何れか1つを順次切換えて供給し、前記処理槽の底部から上方へ向かって噴射させて前記被処理基板の表面を処理することを特徴とする基板処理方法。
【請求項9】
前記第2、第3処理液供給管は、前記第1処理液供給管より処理液が多く供給されることを特徴とする請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
処理槽内に複数枚の被処理基板を収容し、前記処理槽の底部に配設した複数本の処理液供給管から制御手段により所定のタイミングで処理液を供給して被処理基板の表面を処理する基板処理方法において、
前記各処理液供給管は、それぞれ複数個の噴射ノズルを有しており、これら複数本の処理液供給管のうち、第1処理液供給管が前記処理槽の底壁面の中央部に噴射ノズルが前記被処理基板の中央部に向けて配設し、第2処理液供給管が前記処理槽の対向する両側壁に噴射ノズルが前記被処理基板の頂部に向けて配設し、前記制御手段は、前記被処理基板の洗浄時に処理液を前記第1、第2処理液供給管から秒単位の間隔で交互に切換え、底部から上方へ向かって噴射させて前記被処理基板の表面を処理することを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−186310(P2006−186310A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263187(P2005−263187)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(391060395)エス・イー・エス株式会社 (46)
【Fターム(参考)】