説明

基板処理装置及び基板処理方法

【課題】 処理槽から基板収納容器を引き上げる際に、基板収納容器に収納された基板同士が吸着することを防止することができる基板処理装置及び基板処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 少なくとも、対向する側部の内側に夫々複数の保持溝を有し、底部に開口部を有する基板収納容器と、内部に処理液を保持する処理槽とを具備し、前記保持溝に複数の基板を各々縦向きで並列に保持した基板収納容器を前記処理槽に保持された前記処理液に浸漬して前記複数の基板を同時に処理する基板処理装置であって、前記処理槽は、その底部に、上に凸形状であり、上端部で前記基板の下端部を支持する支持具を1つ以上具備するものであり、前記基板収納容器の底部の開口部を、前記支持具に挿入することによって、前記基板収納容器に保持された複数の基板を同時に持ち上げて保持することができるものである基板処理装置及びこれを用いた基板処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関し、特に、半導体基板やガラス基板等の薄板状の基板を処理液に浸漬して処理するための基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板やガラス基板等の基板を用いて、半導体デバイスを製造する工程においては、通常、エッチングや洗浄、めっき、表面改質等の処理液に基板を浸漬して処理する表面処理工程が含まれている。このような工程においては、図6に示すように、複数枚の基板16をキャリアまたはカセットと呼ばれる基板収納容器14に同時に収納し、エッチング液や洗浄液、めっき浴や表面処理液等を保持した処理槽11に、基板収納容器14を基板ごと浸漬することが一般的である。
この基板収納容器14は、上記のような表面処理工程の前後の工程、例えば熱処理工程、印刷工程、膜堆積工程やフォトリソグラフィー工程等との基板の受け渡しにも兼用される。
【0003】
基板収納容器14の側部の内側には、基板16を保持する保持溝15が通常、一定間隔で複数設けられており、図7に示すように、保持溝15の下部を側壁から連続して基板収納容器14の下部内側にせり出して支持部14aを形成するか、もしくは図6に示すように、基板下端部に当接するように支持棒23を基板収納容器14に設けること等により、複数枚の基板を略平行に配置させて処理するようになっている。また、基板収納容器14の下部には開口部14bを有し、基板を保持した収納容器を処理液中に浸漬する際に、処理液が容易に収納容器内に流入して、基板が均一に処理されるようにするとともに、導入管18から処理槽の底板17に開口した孔を通って処理槽に導入される処理液が基板に当たりやすいようになっている。
【0004】
ところが、上記のような基板収納容器を用いて薄型の基板を処理する場合、基板収納容器14を処理槽から引き上げる際に処理液の表面張力によって隣接する基板同士が吸着することがたびたびあった。また、このような問題は、保持溝15の間隔が狭い場合は、隣接する基板同士が接触しやすいため、特に顕著であった。
【0005】
このような吸着現象が生じると、吸着面に処理液が残留し好ましくない。特に吸着がある処理槽で発生した場合には、次の工程にも処理液に浸漬して行なう処理工程があれば、次の処理工程の処理槽内で基板収納容器14を揺動したり、細かい泡状にした気体を処理槽底部から導入したりすることなどによって基板を微妙に動かし、吸着した基板同士を再度引きはがすことができる。
しかし、最後の処理を行う処理槽から引き上げる際に上記のような吸着現象が生じると、もはや吸着した基板同士を引きはがすことはできず、基板間に残留する処理液を乾燥して除去する際に、乾燥むらが発生する不具合があった。
【0006】
このような基板同士が吸着するという問題に対し、基板収納容器から洗浄装置に備えられた基板保持具に基板を移載して基板洗浄を行う洗浄装置については、保持具及び保持具に形成された保持溝の形状によって基板の揺れや傾きを防ぎ、基板同士の吸着を防ぐ方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、このような方法によっても、基板を保持具に移載するために保持具の配置が制約されているため、基板同士の吸着を十分に防ぐことができない。また、洗浄装置に備えられた基板保持具に基板を移載するため洗浄工程で2回の移載が必要となり、その際に基板にダメージを与えてしまい基板が、時には割れることがあるという問題点があった。
【0008】
【特許文献1】特開平8−195431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、処理槽から基板収納容器を引き上げる際に、基板収納容器に収納された基板同士が吸着することを防止することができる基板処理装置及び基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、少なくとも、対向する側部の内側に夫々複数の保持溝を有し、底部に開口部を有する基板収納容器と、内部に処理液を保持する処理槽とを具備し、前記保持溝に複数の基板を各々縦向きで並列に保持した基板収納容器を前記処理槽に保持された前記処理液に浸漬して前記複数の基板を同時に処理する基板処理装置であって、前記処理槽は、その底部に、上に凸形状であり、上端部で前記基板の下端部を支持する支持具を1つ以上具備するものであり、前記基板収納容器の底部の開口部を、前記支持具に挿入することによって、前記基板収納容器に保持された複数の基板を同時に持ち上げて保持して処理することができるものであることを特徴とする基板処理装置を提供する(請求項1)。
【0011】
このように構成された基板処理装置であれば、処理槽内に備えられた支持具によって、基板収納容器に収納された複数の基板を基板収納容器の保持溝内で上方へ動かし、保持溝に固定されている基板を一旦解放することができるため、基板を保持溝の間隔に再配置することができる。その結果、簡単な構造の基板処理装置であっても、複数の基板を収納した基板収納容器を処理槽に保持された処理液内から引き上げる際に隣り合った基板同士が吸着することを防止することができる基板処理装置とすることができる。
【0012】
この場合、前記基板下端部を支持する支持具の上端部は棒状または線状であることが好ましい(請求項2)。
【0013】
このように、基板下端部を支持する支持具の上端部が棒状または線状であれば、基板の下部が支持具によって持ち上げられた際に、基板が支持具によって自由度を失うことがなく、より効果的に基板の再配置を行なうことができる。
【0014】
また、前記支持具は、該支持具内部を通って処理液を噴出する孔を有するものであることが好ましい(請求項3)。
【0015】
このように、支持具が支持具内部を通って処理液を噴出する孔を有するものであれば、支持具から処理液を噴出することができ、基板収納容器の保持溝に固定された基板の解放を促し、より効果的に基板同士の吸着を防ぐことができる。
【0016】
また、前記処理槽は、超音波振動子を具備するものであることが好ましい(請求項4)。
また、前記処理槽は、前記基板収納容器を揺動させる手段を具備するものであることが好ましい(請求項5)。
【0017】
このように、処理槽が超音波振動子を具備するものであったり、基板収納容器を揺動させる手段を具備するものであれば、目的とする処理が効率よく行われるとともに、基板収納容器の保持溝に固定された基板の解放を促し、より効果的に基板同士の吸着を防ぐことができる。
【0018】
また、本発明は、上記の基板処理装置を用いて基板の処理を行なう基板処理方法であって、前記基板収納容器の底部の開口部を、前記支持具に挿入することによって、前記基板収納容器に保持された複数の基板を前記基板収納容器の底部から同時に持ち上げて処理をした後に、前記基板収納容器を前記処理槽から引き上げることを特徴とする基板処理方法を提供する(請求項6)。
【0019】
このように、上記の基板処理装置を用いて、基板収納容器の底部の開口部を、支持具に挿入することによって、基板収納容器に保持された複数の基板を基板収納容器の底部から同時に持ち上げて処理をした後に、基板収納容器を処理槽から引き上げる基板処理方法であれば、処理槽内に備えられた支持具によって、基板収納容器に収納された複数の基板を基板収納容器の保持溝内で上方へ動かし、保持溝に固定されている基板を一旦解放することができるため、基板を保持溝の間隔に再配置することができる。その結果、複数の基板を収納した基板収納容器を処理槽に保持された処理液内から引き上げる際に隣り合った基板同士が吸着しにくくすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、処理槽の底部に支持具を具備することによって、基板収納容器の保持溝に固定されている基板を一旦解放して、保持溝の間隔に再配置することにより、簡単な構造の基板処理装置で基板収納容器の引き上げ時に基板同士の吸着を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
前述のように、薄型の基板を基板収納容器に収納し、処理槽に保持された処理液によって基板を処理する場合、基板収納容器を処理槽から引き上げる際に処理液の表面張力によって隣接する基板同士が吸着してしまうことがあるという問題があった。特に、このような吸着が最後の処理槽で発生すると、残留した処理液が乾燥して、基板にステインを発生させるという問題が生じる。
【0022】
そこで、本研究者らは、まず、基板収納容器内で隣接する基板同士が吸着する原因を詳細に検討した。
そして、基板収納容器の保持溝の内側は、通常、表面研磨などの処理はなされておらず、金型から成形したときに生じた表面粗さが存在することに着目した。このような表面粗さのため、基板収納容器に収納された基板は、収納時又は処理時に基板が保持溝に固定されることがあり、保持溝が一定間隔で設けられている場合であっても、隣接する基板同士の間隔は正確には一定でないか、互いに平行ではない状態で基板が基板収納容器内に固定されてしまうことがあることがわかった。特に、矩形等の円形以外の形状を有する基板においては、基板収納容器内で基板が自由に回転できないことから、基板が基板収納容器内に不均一に配置されやすいことがあることがわかった。
【0023】
本発明者らは、上記のように、基板が基板収納容器内に不均一に配置されている場合、例えば、ある2枚の基板の間隔がそれらの外側の基板との間隔よりも狭い場合は、処理液から引き上げる際に2枚の基板間と外側で圧力差が生じるため、2枚の基板が互いに接近し吸着するものと考えた。そこで、基板の間隔が一定となるように、上記のような保持溝による基板の固定を解消し、基板を保持溝の間隔に再配置することが、基板同士の吸着を防止する一つの手段であることを見出し、本発明を完成させた。
【0024】
以下、添付の図面を参照して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に本発明に係る基板処理装置の概略図を示す。また、図4Aに本発明に係る基板処理装置を並列した基板の主面方向から見た図を示す。
【0025】
図1および図4Aに示したように、本発明に係る基板処理装置の処理槽11はその底部に支持具12を具備している。この場合、導入管18を通って処理槽11に供給される処理液10を供給しやすくするように処理液10を通す孔等が形成されている底板17を設け、底板17上に支持具12を設けてもよい。この処理槽11は処理目的に応じてポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネートやフッ素樹脂などの有機樹脂、ステンレス鋼板等を材料とすることができ、上部は基板収納容器14を浸漬できるように開放されており、基板16が処理液10に完全に浸漬される深さで作製されている。また、本発明にかかる基板処理装置の基板収納容器14は、対向する側部の内側に基板16を保持する複数の保持溝15を具備しており、その保持溝15の下には基板16を下方から支持する支持部14aが形成されていてもよい。また、基板収納容器14の底部には開口部14bが形成されており、処理液10が流入できるようになっている。
【0026】
そして、図4Bに示したように、この支持具12に基板収納容器14の開口部14bが挿入されることによって基板収納容器14に収納された複数の基板16が一定の高さ(H)で上方へ同時に持ち上げられて保持され、基板収納容器14の支持部14aから離れ、保持溝15から一旦解放される構成となっている。
【0027】
また、処理槽11は、ヒーター(不図示)や温度計(不図示)などを備えていてもよい。
基板の処理に用いられる処理液10は、所望の処理を行なうのに適した液体を適宜選択することができ、例えば、半導体ウエーハなどの洗浄装置であれば、最終段の処理槽の処理液はそれまでの処理液を洗い落とすために純水が用いられることが多く、有機物の除去を目的とする基板洗浄装置であれば、代表的にはアルコール系の有機溶剤などが処理液として使用されることもある。
【0028】
基板16の形状は、円形、正方形、矩形など、目的に応じ種々の形状が採用される。例えば、半導体ウエーハなどであれば円形、太陽電池やマスク基板などであれば正方形や矩形であるのが一般的である。基板収納容器14は基板形状に適合する形状に作製されればよい。
【0029】
本発明の本質的な要素を構成する支持具12の形状は、基板収納容器14に収納された基板16を、一定の高さ(H)で保持することができればどのようなものでもよく、図1に示されている形状のほか、例えば支持具12の上端の断面が半円形、矩形、円形であるものでもよく、これらを総称して棒状と表現する。また、図3に示すような線状の材料19の両端を処理槽11の底部に所定の高さで固定したものなどでもよい。
【0030】
支持具12によって保持される基板16が保持される高さ(H)については、基板16を保持溝15の下端から持ち上げて解放するのに必要な移動量が確保されればよく、基板16の直径または長辺1に対してHが0.05以上あれば好ましい。但し、持ち上げられた基板16は基板収納容器14の側部に設けられた保持溝15によっても支持される必要があるため、Hは基板収納容器14と基板16の形状によって決まる所定の値以下である必要がある。図1に示したように、保持溝15を基板保持容器3の側壁と平行な平面に射影した長さをLとすると、H<Lの関係を満たす必要があり、隣接する基板の接触を回避するためには基板16の直径または長辺1に対してH<0.25×Lであれば、保持溝15によって基板16が十分に保持されるので、好ましい。
【0031】
また、本発明における支持具には、各々の基板の位置を固定するための支持溝などの表面構造がなく、支持具の基板と当接する部分が、点接触、あるいは基板の厚さ方向に線接触であることが好ましい。
ここで、「点接触、あるいは基板の厚さ方向に線接触」との意味であるが、厳密には、現実に発明を実施する場合は接触箇所がある程度の面積を有する面接触となるため、本発明の支持具においては、基板の配列方向に対していくらかの幅を有していてもよい。具体的には、基板16の直径または長辺1に対して、当接する部分の幅は0.1以下であれば、十分に基板16が支持具12から自由であるので好ましい。
また、特に、割れやすい薄型基板を洗浄する等の場合、処理液に耐性のある緩衝材料が支持具12の、基板16に当接する部分に取り付けてあってもよい。
【0032】
尚、支持具の表面の形状としては、基板収納容器の保持溝15の間隔と対応しない微少な凹凸、例えば支持具の加工時に伴う支持具表面の荒さや、加工精度による支持具の湾曲などがあっても本発明の実施に支障はない。
支持具12の上端部の稜線は処理槽11の底面と平行、すなわち直線になっているのが通常の形態であるが、例えば図5に示すように支持具12の上端部の稜線30が底面に対して一方向に傾斜していたり(図5(a))、支持具12の中央に向かって両端から傾斜していてもよい(図5(b))。または、図5(c)に示すように周期的に高低のある凹凸形状を有していてもよい。この場合、支持具12の凹凸形状の周期は基板16が支持具12の凹凸に嵌込まれて固定されないように、基板間隔よりも広い必要がある。なお、図5の各図には、処理槽11の底面の基準線31を示してある。
【0033】
このような形状を有する支持具12を使用すると、隣接する基板同士の支持高さが異なることにより、基板収納容器14の側壁のうち、基板の整列方向の側面から見たときに、基板同士が重なり合う面積が減少する。先にも記したように、基板収納容器14を垂直方向に引き上げる過程で基板が吸着することから、静置時に隣接する基板同士の重なり合う面積を減らしておくことにより、引き上げ動作初期の基板同士の吸着する機会を減らすことができる。
【0034】
隣接する基板同士の支持高さの違いは、基板16の直径または長辺1に対して、0.01以上が好ましく、さらに好ましくは0.02以上である。このような基板同士の支持高さの違いがあれば、十分に基板同士の吸着機会を減少させることができる。
また、洗浄等の処理の効果が損なわれないように、処理槽の液面から基板が露出しないことが好ましい。
支持具12の材質は、処理液に耐性のあるものであれば、処理槽11に使用されるものと同じ材質であっても、違う材質であってもよく、先に挙げたポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネートやフッ素樹脂、ステンレス鋼板などを加工したものが例として挙げられる。また、図3に示す線状の支持具19であれば、ステンレスワイヤーにフッ素樹脂等を被覆したものが例として挙げられる。
【0035】
支持具12の取り付け位置は、基板16の重心から垂直方向に下ろした延長線上で基板16を支持することができるように取り付けてあればよい。角基板の場合は支持位置が大きくずれると、支持具12で基板16を支持している状態において基板16が保持溝15に対して平行にならず、基板収納容器14の引き上げ時に基板16が保持溝15に再度強く固定されやすくなるため、取り付け位置に十分配慮する必要がある。
【0036】
また、支持具12は複数が略平行に備え付けられていてもよく、形状の異なるものが複数取り付けられていてもよい。この場合も、複数の支持具12が基板16を支持する位置の重心が基板の重心よりも大きくずれると、やはり基板収納容器14の引き上げ時に基板16が保持溝15に再度強く固定されやすくなるため、取り付け位置に十分配慮する必要がある。
【0037】
また、図2に示すように、支持具12の内部が空洞であり、該支持具12の表面には孔13が複数形成されており、処理液を内部に導入することによって、支持具12の表面から処理液が噴出するような構造であってもよい。これにより、処理槽11に浸漬した時点で吸着していた基板16を、噴出した処理液が与える外力によって振動させ、吸着した基板同士を引き剥がして再配置を促すことができる。
【0038】
これと同じ効果を期待するものとして、図4A、図4Bに示したように、処理槽11に超音波振動子21を取り付け、基板処理装置内もしくは装置外に設置した超音波発振機(図示せず)と接続し、処理槽11内に超音波を伝搬させ、処理液10を介して処理槽11内に浸漬した基板16の再配置を促進してもよい。
【0039】
また、基板処理装置の基板収納容器14の搬送手段、あるいは処理槽11の内部に、基板収納容器14を揺動する手段22を有していてもよい。
例えば搬送手段であれば、基板収納容器14を処理槽11に移送した後、基板収納容器14を把持したまま上下動するなどして、基板16を支持具12に複数回離合させることで、保持溝15に固定されている基板16を保持溝15から効果的に解放することができる。
また、処理槽11の内部に基板収納容器14を揺動する手段、例えば基板収納容器14の下部を支持するアームなどを有する場合は、アームを上下あるいはスイングして揺動を繰り返すことにより、同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
図1に示すような、支持具12を具備した処理槽11及び基板収納容器14を用いて、太陽電池基板50枚を同時に純水で洗浄した。この操作を10回繰り返した。この場合、支持具での持ち上げ高さは20mmであった。太陽電池基板は、縦×横が15cm×15cm、厚さが200μmのものを用いた。基板収納容器14は、保持溝15の幅は2mm、保持溝間の距離は4mmのものを用いた。
【0041】
その結果、隣接する太陽電池基板が吸着した箇所は1箇所もなく、洗浄後にステインは一切検出されず、明らかに本発明の効果が得られた。
【0042】
(比較例)
図6に示すような、支持棒23を底部に具備した基板収納容器14、及び、支持具12を具備しない処理槽11を用いて、実施例と同様の条件で太陽電池基板50枚の洗浄を10回行なった。
【0043】
その結果、1回の洗浄につき平均3箇所の太陽電池基板の吸着があった。
【0044】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0045】
例えば、上記実施形態においては、処理液に浸漬することによる一連の基板処理工程の中で最後の工程となる洗浄工程について主に述べたが、本発明は、後にさらに処理液による基板処理工程が続く場合であっても適用できることは言うまでもない。この場合は、次工程に前工程の処理液をできるだけ持ち込まないという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る基板処理装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る支持具の例を示す概略図である。
【図3】本発明に係る支持具の別の例を示す概略図である。
【図4A】本発明に係る基板処理装置の一例を並列した基板の主面方向から見た概略図であり、基板収納容器の開口部を支持具に挿入していない状態を示す図である。
【図4B】本発明に係る基板処理装置の一例を並列した基板の主面方向から見た概略図であり、基板収納容器の開口部を支持具に挿入している状態を示す図である。
【図5】本発明に係る支持具の形状の例を示す概略図である。
【図6】従来の基板処理装置の一例を示す概略図である。
【図7】基板処理容器の一例を基板の主面方向から見た概略図である。
【符号の説明】
【0047】
10…処理液、 11…処理槽、 12…支持具、 13…噴出孔、
14…基板収納容器、 14a…支持部、 14b…開口部、 15…保持溝、
16…基板、 17…底板、 18…導入管、 19…線状の支持具、
21…超音波振動子、 22…揺動手段、
23…支持棒、
30…稜線、 31…底面の基準線、
L…保持溝の高さ、 H…支持具によって基板が保持される高さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、対向する側部の内側に夫々複数の保持溝を有し、底部に開口部を有する基板収納容器と、内部に処理液を保持する処理槽とを具備し、前記保持溝に複数の基板を各々縦向きで並列に保持した基板収納容器を前記処理槽に保持された前記処理液に浸漬して前記複数の基板を同時に処理する基板処理装置であって、前記処理槽は、その底部に、上に凸形状であり、上端部で前記基板の下端部を支持する支持具を1つ以上具備するものであり、前記基板収納容器の底部の開口部を、前記支持具に挿入することによって、前記基板収納容器に保持された複数の基板を同時に持ち上げて保持して処理することができるものであることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記基板下端部を支持する支持具の上端部は棒状または線状であることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記支持具は、該支持具内部を通って処理液を噴出する孔を有するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理槽は、超音波振動子を具備するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理槽は、前記基板収納容器を揺動させる手段を具備するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の基板処理装置を用いて基板の処理を行なう基板処理方法であって、前記基板収納容器の底部の開口部を、前記支持具に挿入することによって、前記基板収納容器に保持された複数の基板を前記基板収納容器の底部から同時に持ち上げて処理をした後に、前記基板収納容器を前記処理槽から引き上げることを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−281342(P2007−281342A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108597(P2006−108597)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000190149)信越半導体株式会社 (867)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】