説明

基板処理装置

【課題】部品の点数を削減することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理システム10は、ウエハWに化学反応処理を施す第2のプロセスモジュール28を有し、第2のプロセスモジュール28は、ウエハWを収容する処理容器33と、処理容器33の上部に係合することによりウエハWの処理室(チャンバ)を画成する上蓋35とを有し、上蓋35の内部には、弗化水素ガスを導入するガス導入孔40が形成され、このガス導入孔40は、一端40aがGDP36に接続するように形成され、他端40bがガス導入孔42の他端42bと接続するように形成され、処理容器33の内部には、弗化水素ガスを導入するガス導入孔42が形成され、このガス導入孔42は、一端42aが弗化水素ガスの供給源から弗化水素ガスを導入するガス導入管43に接続するように形成され、他端42bがガス導入孔40の他端40bと接続するように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、処理容器に係合することにより基板の処理室を画成する上蓋を備えた基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)から半導体デバイスを製造する半導体デバイスの製造方法では、ウエハの表面に導電膜や絶縁膜を成膜するCVD(Chemical Vapor Deposition)等の成膜工程、成膜された導電膜や絶縁膜上に所望のパターンのフォトレジスト層を形成するリソグラフィ工程、及びフォトレジスト層をマスクとして用いて処理ガスから生成されたプラズマによって導電膜をゲート電極に成形し、或いは絶縁膜に配線溝やコンタクトホールを成形するエッチング工程が順次繰り返して実行される。
【0003】
例えば、或る半導体デバイスの製造方法では、ウエハ上に形成されたポリシリコン層をエッチングすることがある。この場合、ウエハ上に形成されたトレンチ(溝)の側面にはSiOを主成分とするデポジット膜が形成される。
【0004】
ところで、デポジット膜は半導体デバイスの不具合、例えば、導通不良の原因となるため、除去する必要がある。デポジット膜の除去方法として、ウエハにCOR(Chemical Oxide Removal)処理及びPHT(Post Heat Treatment)処理を施す基板処理方法が知られている。COR処理は、デポジット膜のSiOとガス分子を化学反応させて生成物を生成する処理であり、PHT処理は、COR処理が施されたウエハを加熱して、COR処理の化学反応によってウエハに生成された生成物を気化・昇華させて該ウエハから除去する処理である。
【0005】
このCOR処理及びPHT処理からなる基板処理方法を実行する基板処理装置として、化学反応処理装置と、該化学反応処理装置に接続された熱処理装置とを備える基板処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
通常、上述した化学反応処理装置は、ウエハを収容する処理室(チャンバ)と、該チャンバ内に処理ガスとして弗化水素ガス等を供給するガス供給部としてのシャワーヘッドと、ウエハを載置する載置台とを備え、シャワーヘッドは載置台に載置されたウエハと対向するように配置される。一方、チャンバは開閉可能な上蓋を有する。よって、シャワーヘッドはチャンバの上蓋に具備され、シャワーヘッドへ弗化水素ガス等を導入する導入管はチャンバの上蓋に接続される。
【0007】
ところで、弗化水素ガスは、弗化水素分子がクラスタ化、すなわち弗化水素分子同士が鎖状結合しており、温度・圧力変化に依存する弗化水素分子のクラスタ解離による急激な温度低下が生じるので、化学反応処理装置のチャンバ内への導入経路において液化することがある。また、弗化水素ガスは、大気圧(760Torr)で沸点が19.5℃(ほぼ常温)であり、大気圧近傍では常温で液化する。
【0008】
従来、上述した弗化水素ガスを用いる化学反応処理装置では、弗化水素ガスのチャンバ内への導入経路を構成する部材すべてを調温することにより、該導入経路において弗化水素ガスが液化することを防止する。
【特許文献1】特開2005−39185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、チャンバの上蓋近傍では、上述した導入管が入り組んでおり、上蓋近傍を含めて導入管すべてを調温するためには、調温するための部品の点数が増加する。さらに、チャンバの上蓋を開閉するためには、チャンバの上蓋に接続された導入管を切り離し可能に構成する必要があり、切り離し可能に構成するための部品が必要となる。
【0010】
したがって、チャンバの上蓋に導入管を接続する場合、基板処理装置を構成する部品の点数が増加する。
【0011】
本発明の目的は、部品の点数を削減することができる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の基板処理装置は、基板を収容する処理容器と、前記処理容器に係合することにより前記基板の処理室を画成する上蓋とを備える基板処理装置において、前記上蓋は、前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部を具備すると共に、一端が前記ガス供給部に接続され、当該ガス供給部へ前記処理ガスを導入する第1のガス導入孔を内部に形成し、前記処理容器は、一端が前記処理ガスの供給源に接続され、当該供給源から当該処理ガスを導入する第2のガス導入孔を内部に形成しており、前記上蓋が前記処理容器に係合するとき、前記第1のガス導入孔の他端と前記第2のガス導入孔の他端とが継合することを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の基板処理装置は、請求項1記載の基板処理装置において、前記上蓋を調温する第1の調温機構と、前記処理容器を調温する第2の調温機構とを備えることを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項3記載の基板処理装置は、基板を収容する処理容器と、前記処理容器に係合することにより前記基板の処理室を画成する上蓋とを備える基板処理装置において、前記上蓋は、前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部を具備すると共に、一端が前記ガス供給部に接続され、当該ガス供給部へ前記処理ガスを導入するガス導入孔を内部に形成し、前記処理容器は、一端が前記処理ガスの供給源に接続され、当該供給源から当該処理ガスを導入するガス導入管を装着しており、前記上蓋が前記処理容器に係合するとき、前記ガス導入孔の他端と前記ガス導入管の他端とが継合することを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の基板処理装置は、請求項3記載の基板処理装置において、前記上蓋を調温する第1の調温機構と、前記処理容器を調温する第2の調温機構とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の基板処理装置によれば、上蓋が処理容器に係合するとき、上蓋の内部に形成され且つガス供給部へ処理ガスを導入する第1のガス導入孔と、処理容器の内部に形成され且つ処理ガスの供給源から処理ガスを導入する第2のガス導入孔とが継合する。これにより、処理室内へ処理ガスを導入する導入経路が形成される。その結果、処理室内へ処理ガスを導入する導入管を上蓋に接続することなく処理室内へ処理ガスを導入することができ、もって、基板処理装置を構成する部品の点数を削減することができる。
【0017】
請求項2記載の基板処理装置によれば、上蓋が調温され、且つ処理容器が調温される。これにより、上蓋の内部に形成された第1のガス導入孔、及び処理容器の内部に形成された第2のガス導入孔が調温される。その結果、第1のガス導入孔及び第2のガス導入孔内を流れる処理ガスを調温することができ、もって、第1のガス導入孔及び第2のガス導入孔内において処理ガスが液化することを防止することができる。すなわち、処理ガスの液化を防止するための専用の調温機構を設ける必要を無くすことができる。
【0018】
請求項3記載の基板処理装置によれば、上蓋が処理容器に係合するとき、上蓋の内部に形成され且つガス供給部へ処理ガスを導入するガス導入孔と、処理容器に装着され且つ処理ガスの供給源から処理ガスを導入するガス導入管とが継合する。これにより、処理室内へ処理ガスを導入する導入経路が形成される。その結果、処理室内へ処理ガスを導入する導入管を上蓋に接続することなく処理室内へ処理ガスを導入することができ、もって、基板処理装置を構成する部品の点数を削減することができる。
【0019】
請求項4記載の基板処理装置によれば、上蓋が調温され、且つ処理容器が調温される。上蓋が調温されることにより上蓋の内部に形成されたガス導入孔が調温される。一方、処理容器が調温されることにより処理容器の熱が処理容器に装着されたガス導入管に伝達されて、該ガス導入管が調温される。その結果、ガス導入孔及びガス導入管内を流れる処理ガスを調温することができ、もって、ガス導入孔及びガス導入管内において処理ガスが液化することを防止することができる。すなわち、処理ガスの液化を防止するための専用の調温機構を設ける必要を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置を備える基板処理システムについて説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置を備える基板処理システムの構成を概略的に示す平面図である。
【0023】
図1において、基板処理システム10は、半導体デバイス用のウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)W(基板)にプラズマ処理を施す第1のプロセスシップ11と、該第1のプロセスシップ11と平行に配置され、ウエハWに後述する化学反応処理及び加熱処理を施す第2のプロセスシップ12と、第1のプロセスシップ11及び第2のプロセスシップ12がそれぞれ接続された矩形状の共通搬送室としてのローダーモジュール13とを備える。
【0024】
ローダーモジュール13には、上述した第1のプロセスシップ11及び第2のプロセスシップ12の他、25枚のウエハWを収容する容器としてのフープ(Front Opening Unified Pod)14がそれぞれ載置される3つのフープ載置台15と、フープ14から搬出されたウエハWの位置をプリアライメントするオリエンタ16とが接続されている。
【0025】
第1のプロセスシップ11及び第2のプロセスシップ12は、ローダーモジュール13の長手方向に沿う側壁に接続されると共にローダーモジュール13を挟んで3つのフープ載置台15と対向するように配置され、オリエンタ16はローダーモジュール13の長手方向に関する一端に配置される。
【0026】
ローダーモジュール13は、内部に配置された、ウエハWを搬送するスカラ型デュアルアームタイプの搬送アーム機構17と、各フープ載置台15に対応するように側壁に配置されたウエハWの投入口としての3つのロードポート18とを有する。搬送アーム機構17は、フープ載置台15に載置されたフープ14からウエハWをロードポート18経由で取り出し、該取り出したウエハWを第1のプロセスシップ11、第2のプロセスシップ12やオリエンタ16へ搬出入する。
【0027】
第1のプロセスシップ11は、ウエハWにプラズマ処理を施す第1のプロセスモジュール19と、該第1のプロセスモジュール19にウエハWを受け渡すリンク型シングルピックタイプの第1の搬送アーム20を内蔵する第1のロードロックモジュール21とを有する。
【0028】
第1のプロセスモジュール19は、円筒状の処理容器(チャンバ)と、該チャンバ内に配置された上部電極及び下部電極(いずれも図示しない)とを有し、該上部電極及び下部電極の間の距離はウエハWにプラズマ処理としてのエッチング処理を施すための適切な間隔に設定されている。また、下部電極はウエハWをクーロン力等によってチャックするESC22をその頂部に有する。
【0029】
第1のプロセスモジュール19では、チャンバ内部に処理ガスを導入し、上部電極及び下部電極間に電界を発生させることによって導入された処理ガスをプラズマ化してイオン及びラジカルを発生させ、該イオン及びラジカルによってウエハWにエッチング処理を施す。
【0030】
ローダーモジュール13の内部圧力は大気圧に維持される一方、第1のプロセスモジュール19の内部圧力は真空に維持される。そのため、第1のロードロックモジュール21は、第1のプロセスモジュール19との連結部に真空ゲートバルブ23を備えると共に、ローダーモジュール13との連結部に大気ゲートバルブ24を備えることによって、その内部圧力を調整可能な真空予備搬送室として構成される。
【0031】
第1のロードロックモジュール21の内部には、略中央部に第1の搬送アーム20が設置され、該第1の搬送アーム20より第1のプロセスモジュール19側に第1のバッファ25が設置され、第1の搬送アーム20よりローダーモジュール13側には第2のバッファ26が設置される。第1のバッファ25及び第2のバッファ26は、第1の搬送アーム20の先端部に配置されたウエハWを支持する支持部(ピック)27が移動する軌道上に配置され、エッチング処理済みのウエハWを一時的に支持部27の軌道の上方に待避させることにより、エッチング未処理のウエハWとエッチング処理済みのウエハWとの第1のプロセスモジュール19における円滑な入れ換えを可能とする。
【0032】
基板処理システム10の第1のプロセスシップ11では、ウエハW上に所定のパターンで形成されたハードマスクを利用して該ウエハWのポリシリコン層をエッチングする。このとき、エッチングによって形成されたトレンチ(溝)の側面にSiOBr層、すなわち、疑似SiO層からなるデポジット膜が形成される。ここで、スループット向上の観点から当該デポジット膜と当該ウエハW上に形成されたハードマスクとを同時に除去することが好ましい。
【0033】
基板処理システム10の第2のプロセスシップ12では、処理ガスとして弗化水素ガスを用いた化学反応処理をウエハWに施し、さらに、加熱処理をウエハWに施すことにより、上述したデポジット膜とハードマスクとを同時に除去する。もともと、ハードマスクは弗化水素によって除去可能である。また、デポジット膜は以下の化学反応処理及び加熱処理を利用することにより除去可能である。
(化学反応処理)
SiO+6HF → HSiF+2H
(加熱処理)
SiF → SiF↑+2HF↑
O → HO↑
第2のプロセスシップ12は、ウエハWに上述した化学反応処理を施す第2のプロセスモジュール28(基板処理装置)と、該第2のプロセスモジュール28に真空ゲートバルブ29を介して接続された、ウエハWに上述した加熱処理を施す第3のプロセスモジュール30と、第2のプロセスモジュール28及び第3のプロセスモジュール30にウエハWを受け渡すリンク型シングルピックタイプの第2の搬送アーム31を内蔵する第2のロードロックモジュール32とを有する。
【0034】
図2は、図1における線II−IIに沿う断面図である。
【0035】
図2において、第2のプロセスモジュール28は、ウエハWを収容する円筒状の処理容器33と、該処理容器33内に配置されたウエハWの載置台としての冷却ステージ34と、図3(B)に示すように処理容器33の上部に係合することによりウエハWの処理室(チャンバ)を画成する上蓋35と、該チャンバ内のガス等を排気する第2のプロセスモジュール排気系(図示しない)とを有する。上蓋35は、図3(A)に示すように、処理容器33から分離することもできる。
【0036】
冷却ステージ34は調温機構として冷媒室(図示しない)を有する。この冷媒室には所定温度の冷媒、例えば、冷却水やガルデン液が循環供給され、当該冷媒の温度によって冷却ステージ34の上面に載置されたウエハWの処理温度が化学反応処理に適した温度に制御される。
【0037】
また、冷却ステージ34は、その上面から突出自在なリフトピンとしての複数のプッシャーピン(図示しない)を有し、これらのプッシャーピンは、ウエハWが冷却ステージ34に載置されるときには冷却ステージ34に収容され、化学反応処理が施されたウエハWを第2のプロセスモジュール28内から搬出するときには、冷却ステージ34の上面から突出してウエハWを上方へ持ち上げる。
【0038】
上蓋35はチャンバ内に弗化水素ガスを供給するガス供給部としての円板状のGDP(Gas Distribution Plate)36を下方に具備する(特に、図3(A)参照)。GDP36はバッファ室38と複数のガス供給孔39とを有する。バッファ室38はガス供給孔39を介してチャンバ内に連通する。また、GDP36は、上蓋35が処理容器33の上部に係合するとき、冷却ステージ34に対向する。
【0039】
また、上蓋35の内部には、GDP36へ弗化水素ガスを導入するガス導入孔40(第1のガス導入孔)が形成されている。このガス導入孔40は、一端40aがバッファ室38内に接続するように形成されており、他端40bは上蓋35が処理容器33の上部に係合するときに、後述するガス導入孔42の他端42bと接続するように形成されている。この上蓋35では、バッファ室38内及びガス導入孔40内を弗化水素ガスが流れる。
【0040】
また、上蓋35は調温機構としてヒータ41(第1の調温機構)を内蔵する。このヒータ41は、上蓋35全体を加熱する。上蓋35はバッファ室38だけでなくガス導入孔40も内部に有するため、結果としてヒータ41はバッファ室38内を流れる弗化水素ガスだけでなく、ガス導入孔40内を流れる弗化水素ガスも加熱する。これにより、ガス導入孔40内において弗化水素ガスが液化するのを防止する。
【0041】
処理容器33の内部には、弗化水素ガスの供給源(図示しない)から弗化水素ガスを導入するガス導入孔42(第2のガス導入孔)が形成されている。このガス導入孔42は、一端42aが弗化水素ガスの供給源から弗化水素ガスを導入するガス導入管43に接続するように形成されており、他端42bは上蓋35が処理容器33の上部に係合するときに、ガス導入孔40の他端40bと接続するように形成されている。これにより、上蓋35が処理容器33の上部に係合するとき、ガス導入孔40の他端40bとガス導入孔42の他端42bとは継合する。なお、ガス導入孔42の他端42bの周縁には、Oリング44が設置され、弗化水素ガスの漏洩を防止する。
【0042】
また、処理容器33は調温機構としてヒータ45(第2の調温機構)を内蔵する。このヒータ45は、内壁面に不純物等が付着するのを防止するために処理容器33全体を加熱する。ここで、処理容器33はガス導入孔42を内部に有するため、結果としてヒータ45はガス導入孔42内を流れる弗化水素ガスを加熱する。これにより、ガス導入孔42内において弗化水素ガスが液化するのを防止する。
【0043】
この第2のプロセスモジュール28では、ウエハWに上記化学反応処理を施す際、弗化水素ガスを弗化水素ガスの供給源からガス導入管43、ガス導入孔42及びガス導入孔40を介してGDP36のバッファ室38内に導入し、バッファ室38内に導入された弗化水素ガスをGDP36によりチャンバ内へ供給する。
【0044】
図1に戻り、第3のプロセスモジュール30は、筐体状の処理容器(チャンバ)46と、該チャンバ46内に配置されたウエハWの載置台としての加熱ステージ47と、該加熱ステージ47の近傍に配置され、加熱ステージ47に載置されたウエハWを上方に持ち上げるバッファアーム48とを有する。
【0045】
加熱ステージ47は、表面に酸化皮膜が形成されたアルミからなり、内蔵された電熱線等からなるヒータ(図示しない)によって載置されたウエハWを上記加熱処理に適した温度まで加熱する。
【0046】
バッファアーム48は、上記化学反応処理が施されたウエハWを一時的に第2の搬送アーム31における支持部49の軌道の上方に待避させることにより、第2のプロセスモジュール28や第3のプロセスモジュール30におけるウエハWの円滑な入れ換えを可能とする。
【0047】
第2のロードロックモジュール32は、第2の搬送アーム31を内蔵する筐体状の搬送室(チャンバ)50を有する。また、ローダーモジュール13の内部圧力は大気圧に維持される一方、第2のプロセスモジュール28及び第3のプロセスモジュール30の内部圧力は真空若しくは大気圧以下に維持される。そのため、第2のロードロックモジュール32は、第3のプロセスモジュール30との連結部に真空ゲートバルブ51を備えると共に、ローダーモジュール13との連結部に大気ドアバルブ52を備えることによって、その内部圧力を調整可能な真空予備搬送室として構成される。
【0048】
本実施の形態によれば、第2のプロセスモジュール28において、上蓋35が処理容器33の上部に係合するとき、上蓋35の内部に形成されたガス導入孔40と、処理容器33の内部に形成されたガス導入孔42とが継合する。これにより、チャンバ内へ弗化水素ガスを導入する導入経路が形成される。その結果、チャンバ内へ弗化水素ガスを導入する導入管を上蓋35に接続することなくチャンバ内へ弗化水素ガスを導入することができ、もって、第2のプロセスモジュール28を構成する部品の点数を削減することができる。さらに、上蓋35が処理容器33の上部に係合するとき、ガス導入孔40とガス導入孔42とが継合して、ガスを導入する導入経路が形成されるので、該導入経路を切り離し可能に構成するための部品を必要とすることなく処理容器33から上蓋35を分離することができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置を備える基板処理システムについて説明する。
【0050】
本実施の形態は、その構成や作用が上述した第1の実施の形態と基本的に同じであり、第2のプロセスモジュールの構成が上述した第1の実施の形態と異なるのみである。したがって、同様の構成については説明を省略し、以下に第1の実施の形態と異なる構成や作用についてのみ説明を行う。
【0051】
図4は、本実施の形態における第2のプロセスモジュールの断面図である。
【0052】
図4において、第2のプロセスモジュール53は、ガス導入管54が装着された円筒状の処理容器55を有する。ガス導入管54は、弗化水素ガスの供給源(図示しない)から弗化水素ガスを導入する。また、ガス導入管54は、一端54aが弗化水素ガスの供給源から弗化水素ガスを導入するガス導入管43に接続し、他端54bは上蓋35が処理容器55の上部に係合するときに、ガス導入孔40の他端40bと接続する。これにより、上蓋35が処理容器55の上部に係合するとき、ガス導入孔40の他端40bとガス導入管54の他端54bとは継合する。なお、ガス導入管54の他端54bの周縁には、Oリング44が設置され、弗化水素ガスの漏洩を防止する。
【0053】
また、処理容器55は調温機構として第1の実施の形態と同様のヒータ45を内蔵する。このヒータ45は、処理容器55全体を加熱する。ここで、処理容器55にはガス導入管54が装着されているため、処理容器55の熱がガス導入管54に伝達され、結果としてヒータ45はガス導入管54内を流れる弗化水素単ガスを加熱する。これにより、ガス導入管54内において弗化水素ガスが液化するのを防止する。
【0054】
この第2のプロセスモジュール53では、ウエハWに上記化学反応処理を施す際、弗化水素ガスを弗化水素ガスの供給源からガス導入管43、ガス導入管54及びガス導入孔40を介してGDP36のバッファ室38内に導入し、バッファ室38内に導入された弗化水素ガスをGDP36によりチャンバ内へ供給する。
【0055】
本実施の形態によれば、第2のプロセスモジュール53において、上蓋35が処理容器53の上部に係合するとき、上蓋35の内部に形成されたガス導入孔40と、処理容器53に装着されたガス導入管54とが継合する。これにより、チャンバ内へ弗化水素ガスを導入する導入経路が形成される。したがって、上述した第1の実施の形態と同様の効果を実現することができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、処理ガスを導入するガス導入管54が処理容器55に装着される。したがって、処理容器55からガス導入管54のみを取り外すことができるので、処理ガスとして腐食性の高いガスを導入する場合、ガス導入管54の内部が腐食したとき、容易に当該ガス導入管54のみを交換することができる。
【0057】
また、上述した各実施の形態における上蓋35は、ヒンジタイプやスイングアームタイプ等、どのようなタイプの上蓋であってもよい。
【0058】
上述した各実施の形態では、ウエハWに施す化学反応処理とウエハWに施す加熱処理とを別々のプロセスモジュールで行ったが、これらの処理を1つのプロセスモジュールで行ってもよい。
【0059】
また、上述した各実施の形態に係る基板処理装置を備える基板処理システムとして、2つのプロセスシップが平行に配置されたものについて説明したが、基板処理システムの構成はこれに限られない。具体的には、複数のプロセスモジュールがタンデムに配置されたものやクラスター状に配置されたものであってもよい。
【0060】
また、化学反応処理や加熱処理が施される基板は半導体デバイス用のウエハに限られず、LCDやFPD(Flat Panel Display)等に用いる各種基板や、フォトマスク、CD基板、プリント基板等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置を備える基板処理システムの構成を概略的に示す平面図である。
【図2】図1における線II−IIに沿う断面図である。
【図3】第2のプロセスモジュールにおける上蓋の開閉を説明する図であり、(A)は上蓋が処理容器から分離した状態を示し、(B)は上蓋が処理容器の上部に係合した状態を示す。
【図4】本発明の第2の実施の形態における第2のプロセスモジュールの断面図である。
【符号の説明】
【0062】
W ウエハ
10 基板処理システム
28,53 第2のプロセスモジュール
33,55 処理容器
35 上蓋
36 GDP
40,42 ガス導入孔
41,45 ヒータ
44 Oリング
54 ガス導入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容する処理容器と、前記処理容器に係合することにより前記基板の処理室を画成する上蓋とを備える基板処理装置において、
前記上蓋は、前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部を具備すると共に、一端が前記ガス供給部に接続され、当該ガス供給部へ前記処理ガスを導入する第1のガス導入孔を内部に形成し、
前記処理容器は、一端が前記処理ガスの供給源に接続され、当該供給源から当該処理ガスを導入する第2のガス導入孔を内部に形成しており、
前記上蓋が前記処理容器に係合するとき、前記第1のガス導入孔の他端と前記第2のガス導入孔の他端とが継合することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記上蓋を調温する第1の調温機構と、前記処理容器を調温する第2の調温機構とを備えることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
基板を収容する処理容器と、前記処理容器に係合することにより前記基板の処理室を画成する上蓋とを備える基板処理装置において、
前記上蓋は、前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部を具備すると共に、一端が前記ガス供給部に接続され、当該ガス供給部へ前記処理ガスを導入するガス導入孔を内部に形成し、
前記処理容器は、一端が前記処理ガスの供給源に接続され、当該供給源から当該処理ガスを導入するガス導入管を装着しており、
前記上蓋が前記処理容器に係合するとき、前記ガス導入孔の他端と前記ガス導入管の他端とが継合することを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
前記上蓋を調温する第1の調温機構と、前記処理容器を調温する第2の調温機構とを備えることを特徴とする請求項3記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−186865(P2008−186865A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17048(P2007−17048)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】