説明

基板収納容器

【課題】ロードポート装置の出し入れ口に容器本体の正面部やリムフランジを適切に接触させることのできる基板収納容器を提供する。
【解決手段】ロードポート装置の出し入れ口に、2枚の半導体ウェーハを収納する容器本体1の横長に開口した正面部を対向させる基板収納容器であって、容器本体1の正面部周縁に形成されて外方向に張り出し、ロードポート装置の出し入れ口に対向するリムフランジ10と、リムフランジ10の両側部にそれぞれ穿孔される複数の取付孔12と、複数の取付孔12に選択的に挿入される着脱自在の情報表示パッドであるインフォパッド15とを備える。各取付孔12を、リムフランジ10の正面側に位置する拡径部13と、拡径部13に一体形成されてリムフランジ10の背面側に位置する縮径部とから形成し、インフォパッド15の正面部を、リムフランジ10の正面に略面一に揃えるか、あるいは取付孔12の拡径部内に埋没させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等からなる少数枚の基板を収納する基板収納容器に関し、特に容器本体の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LSIメーカ等で半導体ウェーハを短時間で加工処理する際に使用される基板収納容器は、図示しないが、3枚以下の半導体ウェーハを収納する容器本体と、この容器本体の開口した正面部を開閉する蓋体と、容器本体の正面部に嵌合した蓋体を施錠する施錠機構とを備え、半導体加工装置とのインタフェースであるロードポート装置に搭載される(特許文献1参照)。
【0003】
容器本体は、その正面部周縁にロードポート装置の出し入れ口に対向するリムフランジが周設され、このリムフランジの両側部には丸い取付孔がそれぞれ複数穿孔されており、この複数の取付孔に、半導体ウェーハの有無や枚数等の情報を表示する着脱自在の情報表示パッドであるインフォパッドが選択的に挿入される。
【特許文献1】特開2006‐100712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来における基板収納容器は、以上のように構成され、容器本体の取付孔にインフォパッドが単に挿入されるに止まるので、取付孔に挿入されたインフォパッドの正面がリムフランジの正面から前方に突出することとなる。この結果、インフォパッドの正面の突出部分が障害となり、ロードポート装置の出し入れ口に容器本体の正面部やリムフランジが適切に接触せず、作業に支障を来たすという問題がある。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたもので、ロードポート装置の出し入れ口に容器本体の正面部やリムフランジを適切に接触させることのできる基板収納容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては上記課題を解決するため、ロードポート装置の出し入れ口に、3枚以下の基板を収納する容器本体の横長に開口した正面部を対向させるものであって、
容器本体の正面部周縁に形成されて外方向に張り出し、ロードポート装置の出し入れ口に対向するリムフランジと、このリムフランジの側部に穿孔される取付孔と、この取付孔に選択的に挿入される着脱自在の情報表示パッドとを含み、
取付孔を、リムフランジの正面側に位置する拡径部と、この拡径部に一体形成されてリムフランジの背面側に位置する縮径部とから形成し、情報表示パッドの正面部を、リムフランジの正面に略面一に揃えるか、あるいは取付孔の拡径部内に埋没させるようにしたことを特徴としている。
【0007】
なお、情報表示パッドを、取付孔の拡径部に嵌まる柱部と、この柱部から伸長して取付孔の縮径部に引っかかる弾性の係止片とから形成することが好ましい。
また、容器本体の横長に開口した正面部を開閉する蓋体を備え、この蓋体に、容器本体の正面部を閉じた蓋体を施錠する施錠機構を設け、施錠機構は、蓋体に支持されてその左右内外方向にスライド可能なスライド体と、このスライド体の先端部に回転可能に支持され、蓋体側壁の貫通孔から突出して容器本体の正面部内側の係止溝に干渉可能な係止爪と、スライド体を蓋体の左右外方向にスライドさせて係止爪を蓋体の貫通孔から突出させるバネと、スライド体の末端部側に設けられ、蓋体外部から操作ピンが挿入される操作孔とを含み、スライド体の操作孔を略円形に形成してその蓋体の左右内方向側に位置する一部を直線的な縦平坦部とし、容器本体の正面部から蓋体を取り外す場合に、スライド体の操作孔に操作ピンを挿入してスライド体を蓋体の左右内方向にスライドさせ、突出した係止爪を蓋体の貫通孔内に退没させるようにしても良い。
【0008】
また、蓋体は、容器本体の開口した正面部に嵌め合わされて施錠機構を内蔵する筐体と、この筐体の開口した正面部を被覆する表面カバーと、この表面カバーに設けられて施錠機構のスライド体の操作孔に対向する操作口とを含み、操作口を蓋体の左右内外方向に伸びる横長に形成してその左右外方向側を拡幅部とするとともに、左右内方向側に位置する残部を狭幅部としても良い。
【0009】
ここで、特許請求の範囲における基板には、少なくとも各種のガラス基板、カバーガラス、半導体ウェーハ(φ200mm、300mm、450mm等)、フォトマスク等が含まれる。容器本体は、透明、不透明、半透明等を特に問うものではないが、φ300mmの半導体ウェーハを25、26枚収納する基板収納容器よりも背が低くされる。例えば、φ300mmの半導体ウェーハからなる基板を2枚収納する場合には、6cm以下の高さとされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロードポート装置の出し入れ口に容器本体の正面部やリムフランジを適切に接触させることができるという効果がある。
また、情報表示パッドを、取付孔の拡径部に嵌まる柱部と、この柱部から伸長して取付孔の縮径部に引っかかる弾性の係止片とから形成すれば、係止片が縮径部に係止するので、情報表示パッドを強くきつく挿入しなくても、簡易な構成で取付孔からの脱落を有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る基板収納容器の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における基板収納容器は、図1ないし図13に示すように、半導体ウェーハWを収納する容器本体1の開口した正面部の周縁に周設されて外方向に張り出し、ロードポート装置2の出し入れ口3に対向するリムフランジ10と、このリムフランジ10に穿孔される複数の取付孔12と、この複数の取付孔12に挿入される着脱自在のインフォパッド15とを備え、各取付孔12にザグリを形成してインフォパッド15の正面部を、リムフランジ10の正面に面一に揃えるか、あるいは取付孔12内に埋没させるようにしている。
【0012】
各半導体ウェーハWは、図3に示すように、例えば薄く丸いφ300mmのシリコンタイプからなり、周縁部に位置合わせや識別用のオリフラあるいは平面略半円形のノッチが選択的に形成される。
【0013】
容器本体1は、図1ないし図4に示すように、成形用の金型に所定の樹脂を含む成形材料が射出されることにより、2枚の半導体ウェーハWを整列収納する背の低いフロントオープンボックスタイプに射出成形され、開口した横長の正面部に同形の蓋体20がエンドレスのガスケット28を介し着脱自在に嵌合されるとともに、この蓋体20には、容器本体1の正面部を閉塞した蓋体20を施錠する施錠機構40が内蔵されており、ロードポート装置2に搭載されてその出し入れ口3に正面部やリムフランジ10を対向接触させる。
【0014】
金型は、図示しない射出成形用のタイプが使用され、射出成形機に装着される。この金型には、型開きと共に突き出る往復動可能な複数の突出しピンが突き出し板に固定された状態で内蔵される。
【0015】
容器本体1を成形する成形材料の所定の樹脂としては、例えば力学的性質、耐熱性、寸法安定性等に優れるポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート等があげられる。これらの樹脂には、必要なカーボン、カーボン繊維、金属繊維、カーボンナノチューブ、帯電防止剤、難燃剤等が選択的に添加される。
【0016】
容器本体1の内部、具体的には相対向する両側壁の内面には、半導体ウェーハWを水平に支持する左右一対のティース4が対設され、この一対のティース4が上下方向に間隔をおいて配列される。各ティース4は、容器本体1の前後方向に細長い板に成形され、容器本体1の背面壁寄りの末端部が先細りとされる。また、容器本体1の外周面には、容器本体1の機械的強度や剛性を高めるリブフランジ5が成形され、背面壁側のリブフランジ5が容器本体1の脱型時に突出しピンに対向する。
【0017】
リブフランジ5は、容器本体1の背面壁と両側壁とに外側から一体成形され、変形した平面略U字形を呈する。背面壁のリブフランジ5は、例えば細長い肉厚の板形に形成され、両側部が容器本体1の背面壁両側部の略中央に水平に位置しており、中央部が容器本体1の背面壁中央部の下方に位置する。また、背面壁のリブフランジ5の両側部は、容器本体1の正面部が下方に傾かないよう金属製のバランスウェイト6が下方からそれぞれ後付けで螺着され、容器本体1の金型からの脱型時に複数の突出しピンに外側から対向するよう機能する。
【0018】
背面壁のリブフランジ5の中央部は、略W字形に屈曲形成されて凹部を形成し、この凹部の開口が下方に向いて容器本体1のロードポート装置2に対する位置決め部7として機能する。また、各側壁のリブフランジ5は、例えば細長い肉厚の板形に形成され、前部が各側壁前部の下方に位置しており、前部以外の残部が各側壁の前部以外の残部の略中央に水平に位置して背面壁のリブフランジ5と一体化する。各側壁のリブフランジ5の前部は、略逆V字形に屈曲して凹部を形成し、この凹部の開口が下方に向いてロードポート装置2に対する位置決め部7として機能する。
【0019】
容器本体1の天井の略中心部には、平面略Y字形を呈する複数の被取付リブ8が立設され、この複数の被取付リブ8上には、図示しない搬送機構に把持される平面略三角形あるいは多角形の吊持フランジ9が螺子等の締結具を介し着脱自在に後から螺着される。
【0020】
容器本体1の正面部は、図2ないし図5、図7ないし図9に示すように、外方向に広がるよう屈曲形成されてリムフランジ10を形成し、このリムフランジ10の内部両側には、蓋体20施錠用の係止溝11がそれぞれ上下方向に切り欠かれる。リムフランジ10の左右に張り出した両側部には、複数の取付孔12がそれぞれ上下方向に並べて丸く穿孔され、この複数の取付孔12にインフォパッド15が選択的に挿入され、かつロードポート装置2の検出手段(例えば、光電センサ、フォトセンサ、タッチセンサ等)に検出されることにより、半導体ウェーハWの有無や枚数、基板収納容器のタイプ等がロードポート装置2に識別される。
【0021】
各取付孔12は、図7や図8に示すように、リムフランジ10の正面側に位置する丸い拡径部13と、この拡径部13に一体形成されてリムフランジ10の背面側に位置する丸い縮径部14とから形成される。また、インフォパッド15は、図8に示すように、取付孔12の拡径部13に嵌まる円柱部16と、この円柱部16の背面側から伸長する一対の係止片17とから構成される。この一対の係止片17は、弾性やバネ性を有して円柱部16の半径内外方向に撓み、縮径部14の周縁に係止してインフォパッド15の取付孔12からの脱落を防止する。
【0022】
蓋体20は、図2、図4、図7、図10ないし図13に示すように、容器本体1の正面部に着脱自在に嵌合され、施錠機構40を内蔵する横長の筐体21と、この筐体21の開口した正面部(表面部)に螺着されて被覆する透明の表面カバー32とを備えて構成され、容器本体1に対して図示しない蓋体開閉装置により取り付け、取り外しされる。
【0023】
筐体21は、その内部両側に施錠機構40用の複数の保持リブ22がそれぞれ一体的に突出形成され、周壁の両側部には、容器本体1の係止溝11に対向する施錠機構40用の溝孔23がそれぞれ切り欠かれており、各溝孔23の内周縁付近には、施錠機構40用の支持リブ24が一体的に突出形成される。筐体21の裏面中央部には、横長の取付穴25が凹み形成され、この取付穴25には、複数の半導体ウェーハWの前部周縁を弾性片により弾発的に保持するフロントリテーナ26が装着される。
【0024】
筐体21の裏面周縁部には、横長で枠形の取付溝27が切り欠かれ、この取付溝27には、容器本体1との間に介在する弾性のガスケット28が嵌合される。このガスケット28は、例えば耐熱性、難燃性、耐寒性、圧縮特性に優れるシリコーンゴム、フッ素ゴム、あるいはダイヤモンドライクカーボン(DLCともいう)31をコーティング可能な各種の熱可塑性エラストマー(例えば、オレフィン系等)等を成形材料として弾性変形可能な横長の枠形に成形される。
【0025】
ガスケット28は、図12や図13に示すように、蓋体20の取付溝27に嵌合するエンドレスで枠形の取付部29と、この取付部29に一体形成されて容器本体1のリムフランジ10内に圧接して変形する接触部30とを備え、この接触部30の全面に、高平滑性、耐磨耗性、耐腐食性、低摩擦係数、高ガスバリヤ性に優れる硬質のダイヤモンドライクカーボン31がバッチ処理等によりコーティングされており、このダイヤモンドライクカーボン31がリムフランジ10の内周縁に接触する。
【0026】
ガスケット28は、断面形が略U字形に形成されてその両自由端部の厚さと長さとが相違し、この両自由端部の内側自由端部よりも外側自由端部が長く伸長される。このガスケット28の両自由端部は、薄肉の内側自由端部が容易に変形するよう斜めにカットされて蓋体20の取付溝27内に密嵌し、厚肉の外側自由端部の端面が断面略三角形に尖って接触部30とされており、この接触部30以外の残部が取付部29とされる。
【0027】
ダイヤモンドライクカーボン31は、炭素を含有したガスがプラズマ中で原子状に分解されることにより非晶質の硬質膜に形成され、緻密なアモルファス構造により表面が滑らかで結晶粒界があるという特徴を有しており、ガスケット28の柔軟性や追従性を維持する観点から10〜300nm程度の厚さにコーティングされる。
【0028】
表面カバー32は、横長の略矩形に形成され、両側部には、施錠機構40用の操作口33がそれぞれ略凸字形に穿孔されており、中央部と最両側部とには、蓋体開閉装置に真空吸着される正面円形の吸着領域36がそれぞれ形成される。各操作口33は、蓋体20の左右内外方向に伸びる横長に形成され、左右外方向側が湾曲辺付きの拡幅部34とされるとともに、左右内方向側に位置する残部が矩形の狭幅部35とされており、裏面側周縁部には、施錠機構40用の一対のガイド片37が筐体21の内方向に向け一体形成される。
【0029】
施錠機構40は、図4、図7、図10等に示すように、筐体21の内部両側に支持されて左右内外方向にスライド可能な一対のリンクプレート41と、筐体21の各溝孔23に出没可能に軸支されてリンクプレート41の先端部に連結支持され、容器本体1の係止溝11に嵌合して干渉する揺動可能な一対の係止爪45と、各リンクプレート41に嵌入されて容器本体1の係止溝11に係止爪45を干渉させる一対のコイルバネ47と、各リンクプレート41の最末端部43側に穿孔され、蓋体外部から各操作ピンが挿入される操作孔48とを備えて構成される。
【0030】
各リンクプレート41は、例えば先端部が二股に分かれた略Y字形の板に形成され、棒形の中央部にはコイルバネ47用の筒体であるカラー42がスライド可能に嵌入されており、末端部と最末端部43とが表面カバー32の一対のガイド片37にスライド可能に挟持されるとともに、最末端部43には、表面カバー32の操作口33に対向する正面略半楕円形の操作孔48が穿孔される。
【0031】
リンクプレート41の末端部には、カラー42のスライドや脱落を規制する略U字形のアームであるリンクアーム44がピンを介し左右内外方向に揺動可能に嵌入軸支され、このリンクアーム44が筐体21の保持リブ22にピンを介し左右内外方向に揺動可能に軸支される。
【0032】
各係止爪45は、変形した略V字形に屈曲形成され、屈曲部が筐体21の支持リブ24にピンを介し揺動可能に軸支される。この係止爪45は、その一端部がリンクプレート41の二股の先端部間にピンを介し揺動可能に軸支され、二股に分岐した他端部の間には、容器本体1の係止溝11内に摺接する複数のローラ46がピンを介し回転可能に支持される。各ローラ46は、例えば容器本体1と同様の材料等を使用して筒形に成形される。
【0033】
各コイルバネ47は、リンクプレート41の中央部に嵌通されてリンクプレート41の幅広の先端部側とカラー42との間に介在し、カラー42をリンクアーム44に圧接するとともに、筐体21の溝孔23から係止爪45の他端部、すなわち複数のローラ46を外部に突出させる。
【0034】
各操作孔48は、基本的には正面略楕円形に形成され、その蓋体20の左右内方向側に位置する周縁部が上下方向に直線的な縦平坦部49に切り欠かれており、この縦平坦部49に操作ピンが蓋体20の取り外し時に接触する。
【0035】
各操作ピンは、図示しないが、細長い円柱形のピン部と、このピン部に一体成形されて半径外方向に膨出する膨出部とを備え、自動あるいは手動により操作される。この操作ピンは、ピン部が操作口33を貫通してリンクプレート41の操作孔48に挿入され、膨出部が表面カバー32の操作口33に適切に接触・干渉して蓋体20を支持するよう機能する。
【0036】
上記構成において、容器本体1の複数の取付孔12にインフォパッド15を選択的に挿入する場合には、選択した取付孔12にインフォパッド15の一対の係止片17を挿入して押圧すれば良い。すると、取付孔12の縮径部14の裏面側周縁に一対の係止片17が撓みながら係止し、取付孔12の拡径部13にインフォパッド15の円柱部16が嵌合し、リムフランジ10の正面にインフォパッド15の正面部が面一に揃えられて整合する。
【0037】
逆に、容器本体1の取付孔12からインフォパッド15を取り外す場合には、インフォパッド15の一対の係止片17を内方向に撓ませて縮径部14の裏面側周縁との係止を解除し、リムフランジ10の背面側から正面側にインフォパッド15を押圧すれば良い。
【0038】
また、半導体ウェーハWを収納した容器本体1の開口した正面部を蓋体20により閉じる場合には、容器本体1のリムフランジ10内に蓋体20を蓋体開閉装置により押圧して嵌合し、リムフランジ10の内周縁にガスケット28の接触部30をダイヤモンドライクカーボン31を介して圧接・変形させ、容器本体1の各係止溝11に蓋体20の溝孔23を対向させれば良い。
【0039】
すると、圧縮されていた各コイルバネ47の復元作用によりリンクプレート41が保持リブ22、ガイド片37、リンクアーム44に案内されつつ蓋体20の左右外方向に水平にスライドして係止爪45を蓋体20の表裏方向に揺動させ、この係止爪45の他端部が蓋体20の溝孔23から外部に弧を描きながら突出して回転可能な複数のローラ46を容器本体1の係止溝11に嵌入し、この複数のローラ46の嵌入により、容器本体1の正面部が蓋体20により強固に閉じられ、かつ気密性や密閉性が確保される。
【0040】
このように施錠機構40に負荷が作用しない場合には、容器本体1の各係止溝11内に揺動突出した係止爪45のローラ46が転がり接触可能に嵌入し、容器本体1の正面部が蓋体20により覆われることとなる。
【0041】
これに対し、半導体ウェーハWを収納した容器本体1の正面部から施錠状態の蓋体20を取り外す場合には、一対のリンクプレート41の操作孔48に操作ピンを蓋体20の操作口33を介し外部からそれぞれ挿入し、各操作ピンを操作口33の拡幅部34から狭幅部35方向に動かすことにより、各リンクプレート41を蓋体20の左右内方向にスライドさせれば良い。
【0042】
すると、各リンクプレート41がコイルバネ47を圧縮しながら蓋体20の左右内方向に水平にスライドし、係止爪45が弧を描きながら揺動してその露出した他端部、すなわち複数のローラ46を蓋体20の溝孔23内に退没させ、この係止爪45の他端部の退没により、容器本体1の係止溝11から複数のローラ46が外れて容器本体1から蓋体20を取り外すことが可能になる。
【0043】
上記構成によれば、取付孔12にザグリが形成されるので、インフォパッド15の正面部を、リムフランジ10の正面に面一に揃えたり、あるいは取付孔12内に埋没させることができ、取付孔12に挿入されたインフォパッド15の正面がリムフランジ10の正面から前方に突出することがない。したがって、インフォパッド15の正面の突出部分が障害物となることがないので、ロードポート装置2の出し入れ口3に容器本体1の正面部やリムフランジ10が適切に接触し、半導体製造作業の円滑化、迅速化、容易化を図ることができる。
【0044】
また、容器本体1から蓋体20を取り外さない施錠機構40の非操作時には、容器本体1の係止溝11に係止爪45がコイルバネ47により絶えず嵌入して容器本体1の正面部やリムフランジ10を蓋体20により強固に閉じるので、容器本体1から蓋体20が外れることが全くなく、蓋体20の施錠や開閉に支障を来たすおそれがない。また、容器本体1の係止溝11に係止爪45が直接嵌入するのではなく、係止爪45の回転可能な複数のローラ46が嵌入して摺接するので、容器本体1と係止爪45との擦れによりパーティクルが発生して半導体ウェーハWを汚染させるおそれがない。
【0045】
なお、上記実施形態では円柱部16から一対の係止片17が伸長するインフォパッド15を示したが、何らこれに限定されるものではない。例えば、特に問題が生じないのであれば、インフォパッド15を断面略凸字形に形成しても良い。また、一対の係止片17ではなく、複数(3本、4本等)の係止片17を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体とロードポート装置を模式的に示す側面説明図である。
【図2】本発明に係る基板収納容器の実施形態を模式的に示す斜視説明図である。
【図3】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体を模式的に示す正面説明図である。
【図4】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体を模式的に示す断面側面図である。
【図5】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体を模式的に示す平面説明図である。
【図6】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体を模式的に示す底面説明図である。
【図7】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体とその蓋体を模式的に示す正面説明図である。
【図8】本発明に係る基板収納容器の実施形態におけるリムフランジ、取付孔、インフォパッドを模式的に示す断面説明図である。
【図9】本発明に係る基板収納容器の実施形態を模式的に示す側面説明図である。
【図10】本発明に係る基板収納容器の実施形態における蓋体を模式的に示す分解斜視説明図である。
【図11】本発明に係る基板収納容器の実施形態における蓋体の裏面を模式的に示す斜視説明図である。
【図12】本発明に係る基板収納容器の実施形態におけるガスケットを模式的に示す正面説明図である。
【図13】図12のXIII‐XIII線断面説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 容器本体
2 ロードポート装置
3 出し入れ口
10 リムフランジ
12 取付孔
13 拡径部
14 縮径部
15 インフォパッド(情報表示パッド)
16 円柱部
17 係止片
20 蓋体
40 施錠機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロードポート装置の出し入れ口に、3枚以下の基板を収納する容器本体の横長に開口した正面部を対向させる基板収納容器であって、
容器本体の正面部周縁に形成されて外方向に張り出し、ロードポート装置の出し入れ口に対向するリムフランジと、このリムフランジの側部に穿孔される取付孔と、この取付孔に選択的に挿入される着脱自在の情報表示パッドとを含み、
取付孔を、リムフランジの正面側に位置する拡径部と、この拡径部に一体形成されてリムフランジの背面側に位置する縮径部とから形成し、情報表示パッドの正面部を、リムフランジの正面に略面一に揃えるか、あるいは取付孔の拡径部内に埋没させるようにしたことを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
情報表示パッドを、取付孔の拡径部に嵌まる柱部と、この柱部から伸長して取付孔の縮径部に引っかかる弾性の係止片とから形成した請求項1記載の基板収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−214902(P2009−214902A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59455(P2008−59455)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】