説明

基板搬送ローラ及びそれを具備した基板洗浄装置

【課題】ガラス基板の形状に応じてユニット化された搬送シャフトを組み合わせた、芯出しの調整が不要で、取り付けが簡単な基板搬送ローラ、及びそれを用いた基板洗浄装置を提供する。
【解決手段】第1の搬送シャフト100と、第2の搬送シャフト110と、第3の搬送シャフト120とを具備し、1つ以上の第1の搬送シャフト100が同軸上にマグネットカップリングされ、該マグネットカップリングされた1つ以上の第1の搬送シャフト100の片側に第2の搬送シャフト110がマグネットカップリングされ、その反対側に第3の搬送シャフト120がマグネットカップリングされて成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型ガラス基板の洗浄において、ガラス基板を搬送する基板搬送ローラに係り、詳しくは、ユニット化された搬送シャフトを組み合わせた基板搬送ローラとそれを用いた基板洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置に見られる表示画面の大型化に伴い、表示用のガラス基板が大型化している。このため、ガラス基板洗浄装置も大型化し、基板搬送用のローラを有した回転軸(搬送シャフト)も長尺化している。ところがこの長尺化した搬送シャフトを、一本のシャフトで実現する場合、自重による撓みを防止することや、加工精度を確保することが困難となっている。また撓みを抑えるためカーボン材等の部材を用いる場合、コスト高となる問題がある。
【0003】
長尺シャフトを複数の短尺シャフトで実現する場合、短尺シャフトをメカニカルカップリングで連結する。図4は、メカニカルカップリングを示すカップリング構造図である。2本のシャフト1が、連結部2に形成された連結穴3に左右から挿入され、直角に配置されて空けられたネジ孔4に挿入されるネジによりネジ止めされる。このメカニカルカップリング用の連結部2は、所定の長尺シャフトを得るための加工精度の確保や、取り付け時の芯出し調整を必要とする。このため、製作及び取り付けに多くの時間を費やし、コスト高となる。特許文献1には、処理室内に配置された回転チャックが、基板保持部とその下面の周縁付近から垂下した円筒状のスカート部とを有し、スカート部の下端は隔壁の上面に固定された貯留容器に貯留された純水に接液し、基板保持部の下面に中央からは中心軸が垂下しており、この中心軸は軸受けによって回転自在に支持され、中心軸には回転アクチュエータからの回転力および昇降駆動機構からの昇降駆動力がマグネットカップリングによって隔壁を介して伝達され、これにより回転チャックは回動および昇降駆動される旨の記載がある。
【特許文献1】特開平10−244201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ガラス基板の形状に応じてユニット化された搬送シャフトを組み合わせた、芯出しの調整が不要で、取り付けが簡単な基板搬送ローラ、及びそれを用いた基板洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の基板搬送ローラは、大型ガラス基板を搬送する基板搬送ローラであって、回転軸の両端にマグネット部を有し、両端のマグネット部の間に1つ以上のローラを有する第1の搬送シャフトと、回転軸の片側にマグネット部を有し、回転軸の反対側が回転軸を回転駆動する回転軸駆動部に接続され、マグネット部と回転軸駆動部との間に1つ以上のローラを有する第2の搬送シャフトと、回転軸の片側にマグネット部を有し、回転軸の反対側が回転軸を固定する回転軸固定部に接続され、マグネット部と回転軸固定部との間に1つ以上のローラを有する第3の搬送シャフトとを具備し、1つ以上の第1の搬送シャフトが同軸上にマグネットカップリングされ、該マグネットカップリングされた1つ以上の第1の搬送シャフトの片側に第2の搬送シャフトがマグネットカップリングされ、その反対側に第3の搬送シャフトがマグネットカップリングされて成ることを特徴とする。
【0006】
本発明の基板洗浄装置は、前記基板搬送ローラが複数配備されて成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カップリングの芯出しの調整が不要で、取り付けが簡単な、ユニット化された搬送シャフトを組み合わせ、任意の長さの基板搬送ローラを構成することができる。またこの基盤搬送ローラを用いてローラの芯出し調整がいらない大型基板洗浄装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明による実施の形態について、図を用いて説明する。図1は、本発明の基板搬送ローラの構成を示す構成図である。図1において、第1の搬送シャフト100は、回転軸10の両端にマグネット部20を有している。また、両端のマグネット部20の間に1つ以上のローラ30を有している。第2の搬送シャフト110は、回転軸40の片側にマグネット部50を有し、回転軸40の反対側が回転軸を回転駆動する回転軸駆動部95に接続されている。また、マグネット部50と回転軸駆動部95との間に1つ以上のローラを有している。第3の搬送シャフト120は、回転軸70の片側にマグネット部80を有し、回転軸70の反対側が回転軸70を固定する回転軸固定部97に接続されている。また、マグネット部80と回転軸固定部97との間に1つ以上のローラ90を有している。
【0009】
第1乃至第3の搬送シャフト100、110、120は、それぞれ独立してユニット化されている。このため、基板搬送ローラ200は、任意の数の第1の搬送シャフト100が同軸上にマグネットカップリングされ、そのマグネットカップリングされた1つ以上の第1の搬送シャフト100の片側に、第2の搬送シャフト110がマグネットカップリングされ、その反対側に第3の搬送シャフト120がマグネットカップリングされて構成されている。これにより、基板搬送ローラ200のシャフトの長さは、ガラス基板の形状に合わせて任意に調整することが可能となる。
【0010】
図2は、本発明の基板搬送ローラの搬送シャフトのマグネット部の構造を示す構造図である。図2において、マグネット部20は、円周内に沿って配置された互いに対極する偶数個の磁極25を有し、回転軸10の端部に固定されている。これら2本の回転軸10の端部に固定されたマグネット部25は、対向する反対の磁極同士が互いに引き合い、マグネットカップリングされる。これにより、芯出しの調整が不要で、ユニット化された第1乃至第3の搬送シャフト100、110、120を互いに組み合わせ、任意の長さの基板搬送ローラ200を構成することができる。マグネット部20は、パッキン等による気密構造としても良く、これにより水中もしくは薬液中での使用が可能になる。
【0011】
図3は、本発明の基板搬送ローラを用いた基板洗浄装置の構成図である。図3において、基板洗浄装置300は、複数本の基板搬送ローラ200が洗浄用の筐体40内に配備され、第3のシャフトの片側は、回転軸固定部97に接続され、第3のシャフトの片側は筐体40外に設置されている回転軸駆動部95に接続されて構成されている。大型ガラス基板130は、洗浄用の筐体40の入口から搬入され、洗浄設備(図示されず)により洗浄された後、出口から搬出される。基板洗浄装置300の基板搬送部分については、大型ガラス基板130の形状に合わせて第1の搬送シャフト100の本数を決め、第2、3の搬送シャフト110、120とマグネットカップリングさせることで基板搬送ローラ200を構成し、これを所定の本数だけ配備することにより簡単に組み立てることができる。
【0012】
以上説明したように本発明の基板搬送ローラは、カップリングの芯出しの調整が不要なユニット化された搬送シャフトを組み合わせることにより、任意の長さの基板搬送ローラを構成することができる。またこの基盤搬送ローラを用いて簡単に大型基板洗浄装置を組み上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の基板搬送ローラの構成を示す構成図。
【図2】本発明の搬送シャフトのマグネット部の構造を示す構造図。
【図3】本発明の基板搬送ローラを用いた基板洗浄装置の構成図。
【図4】メカニカルカップリングを示すカップリング構造図。
【符号の説明】
【0014】
10 回転軸
20 マグネット部
25 磁極
30 ローラ
40 回転軸
50 マグネット部
60 ローラ
70 回転軸
80 マグネット部
90 ローラ
95 回転軸駆動部
97 回転軸固定部
100 第1の搬送シャフト
110 第2の搬送シャフト
120 第3の搬送シャフト
130 大型ガラス基板
140 筐体
200 基板搬送ローラ
300 基板洗浄装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型ガラス基板を搬送する基板搬送ローラであって、
回転軸の両端にマグネット部を有し、前記両端のマグネット部の間に1つ以上のローラを有する第1の搬送シャフトと、
前記回転軸の片側に前記マグネット部を有し、前記回転軸の反対側が前記回転軸を回転駆動する回転軸駆動部に接続され、前記マグネット部と前記回転軸駆動部との間に1つ以上のローラを有する第2の搬送シャフトと、
前記回転軸の片側に前記マグネット部を有し、前記回転軸の反対側が前記回転軸を固定する回転軸固定部に接続され、前記マグネット部と前記回転軸固定部との間に1つ以上のローラを有する第3の搬送シャフトとを具備し、
1つ以上の前記第1の搬送シャフトが同軸上にマグネットカップリングされ、該マグネットカップリングされた前記1つ以上の第1の搬送シャフトの片側に前記第2の搬送シャフトがマグネットカップリングされ、その反対側に前記第3の搬送シャフトがマグネットカップリングされて成ることを特徴とする基板搬送ローラ。
【請求項2】
請求項1に記載の基板搬送ローラが複数配備されて成ることを特徴とする基板洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−285243(P2008−285243A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129439(P2007−129439)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】