説明

基板搬送装置

【課題】基板処理のスループットを低減させることなく、基板搬送路上で基板を真っ直ぐに搬送しつつ、基板を傾斜姿勢に変更することができる基板搬送装置の提供。
【解決手段】駆動軸23の各マグネットギア231と、各搬送ローラ21のマグネットギア215とは、近接かつ非接触となる位置に配置されている。これにより、駆動軸23が上記駆動モータ等からの回転駆動力で回転すると、駆動軸23のマグネットギア231から、搬送ローラ21のマグネットギア215に向けて回転駆動力が伝達されるようになっている。各搬送ローラ21は、その基板搬送方向上流側の搬送ローラ21から、下流側の搬送ローラ21となるに連れて、基板Bの搬送方向に対して直交する方向において水平となる姿勢から徐々に傾斜が大きくなるように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列された複数の搬送ローラにより基板を搬送する基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板処理時に基板表面に供給された処理液の基板表面からの捌けを良くするために、基板処理部に対して基板を傾斜させた姿勢で搬送する基板搬送装置が知られている。このような基板搬送装置が採用された基板処理装置として、例えば、下記特許文献1に示されるように、水平姿勢の基板を受け入れると、基板搬送路の基板搬送方向に直交する方向における一方端部が上方に移動することで基板を傾斜姿勢に変更して、基板処理部の下流側では、基板搬送路の基板搬送方向に直交する方向における一方端部が下方に移動して、基板を水平姿勢に戻すものがある。
【0003】
また、下記特許文献2には、基板搬送ローラが、回転軸の長さ方向両端に配設された保持ローラ及び支持ローラを有し、回転軸が支持ローラを支点として保持ローラ側が上方となるように傾斜して配設された基板洗浄装置が示されている。この基板洗浄装置において、基板の姿勢を変更するために基板洗浄部の上流側に配設されたユニットでは、複数の基板搬送ローラが、基板搬送方向下流側の基板洗浄部に近づくに連れて、水平方向に対する傾斜角度が0°から15°まで緩やかに傾斜していく状態に形成され、また、基板洗浄部の下流側に配設されたユニットは、複数の基板搬送ローラが、傾斜角度15°から0°まで緩やかに傾斜するように形成されている。これにより、基板洗浄部に向けて徐々に基板の姿勢を傾斜させ、基板洗浄が終了すると、徐々に基板の姿勢を水平に戻すようにしている。
【特許文献1】特開平9−155306号公報
【特許文献2】実開平5−79976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の基板処理装置の場合、基板の姿勢を変更するには、基板を受け入れてから一旦基板搬送を停止した状態で、基板搬送路の片側を上昇又は下降させる動作を行わなければならないので、姿勢変更の行われる基板が当該基板搬送路から搬出されるまでは次の基板を搬送できず、複数の基板を連続して姿勢変更させることができない。このことは、基板処理装置のスループット向上を妨げる要因となっている。
【0005】
また、上記特許文献2に記載の基板洗浄装置の場合、基板搬送路を構成する各搬送ローラは、回転軸が支持ローラを支点として、保持ローラ側が上方となるように、傾斜角度が0°から15°まで、又は15°から0°まで徐々に傾斜させて配設されているので、隣り合う搬送ローラ同士の間隔は、搬送ローラの回転軸の長手方向における支持ローラ側と保持ローラ側とで異なる。つまり、図9の概略図に示すように、傾斜の支点となる支持ローラ6側では基板搬送ローラ同士の間隔S3は均一であるが、上方に位置する保持ローラ7側における基板搬送ローラ同士の間隔S4は、隣り合う搬送ローラに対する傾斜角度に応じて拡がる。そのため、隣り合う基板搬送ローラ同士の間隔は、搬送ローラの回転軸の長手方向における支持ローラ6側と保持ローラ7側とで異なる。従って、基板搬送路の支持ローラ6側と保持ローラ7側とで基板搬送に速度差が生じることとなり、基板搬送路上で基板を真っ直ぐに搬送することができない。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、基板処理のスループットを低減させることなく、基板搬送路上で基板を真っ直ぐに搬送しつつ、基板を傾斜姿勢に変更することができる基板搬送装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の発明は、並列された複数の搬送ローラにより基板を搬送する基板搬送装置であって、
複数の搬送ローラのうちの1つの搬送ローラを、その回転軸周りに回転自在に支持する第1支持手段と、
前記複数の搬送ローラのうち、前記第1支持手段に支持された搬送ローラに隣り合う搬送ローラを、その回転軸の長手方向中央部分に直交する方向に延びる水平軸周りに回動させて傾斜させた状態で、当該回転軸周りに回転自在に支持する第2支持手段と、
前記第1支持手段及び第2支持手段に支持された両搬送ローラを含む前記複数の搬送ローラを回転駆動する回転駆動手段とを備え、
前記回転駆動手段によって回転駆動される搬送ローラによって基板を搬送し、前記第1支持手段及び第2支持手段に支持された両搬送ローラ間で当該基板を移動させて当該基板の傾斜姿勢を変更するものである。
【0008】
この構成によれば、基板の傾斜姿勢を変更するために搬送ローラが有していなければならない傾斜を、第2支持手段が、搬送ローラをその回転軸の長手方向中央部分に直交する方向に延びる水平軸の周りに回動させて傾斜させた状態として支持することで付与しているので、これら隣り合う搬送ローラ同士の間隔は、搬送ローラの回転軸の長手方向における一方端側と他方端側とで異ならずに同一となる。そのため、基板搬送路の基板搬送方向に直交する方向における一方端側と他方端側とでは基板搬送速度が同一となり、速度差が生じないので、上記複数の搬送ローラによって構成される基板搬送路上で基板を真っ直ぐに搬送することができる。また、基板搬送路は上下動せず、第2支持手段によって搬送ローラに付与されている傾斜によって、搬送中の基板の傾斜姿勢を徐々に変化させるので、基板の搬送を停止させることなく、複数の基板の傾斜姿勢を連続して変更でき、基板処理のスループットを低減させることがない。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板搬送装置であって、前記回転駆動手段は、前記水平軸がその回転軸周りに回転し、前記水平軸に取り付けられたマグネットギアによって、前記複数の搬送ローラの各回転軸の中央部分から前記複数の搬送ローラのそれぞれに対して回転駆動力を伝達するものである。
【0010】
この構成では、搬送ローラに傾斜を付与するための回動中心となる上記水平軸を利用してマグネットギアを取り付け、搬送ローラの各回転軸の中央部分から各搬送ローラに回転駆動力を伝達するようにしているので、回転駆動手段からの回転駆動力を伝達する機構を設けるために別個に新たなスペースが必要となることがない。また、マグネットギアを用いることで、部材同士で摩擦を生じさせることなく、回転駆動手段からの回転駆動力を搬送ローラに伝達するので、塵等を発生させずにクリーンな状態を保って、当該回転駆動力を伝達することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の基板搬送装置であって、前記回転駆動手段は、前記水平軸がその回転軸周りに回転し、前記水平軸と前記複数の搬送ローラの各回転軸との間に掛け渡されたベルトによって、前記複数の搬送ローラの各回転軸の中央部分から前記複数の搬送ローラのそれぞれに対して回転駆動力を伝達するものである。
【0012】
この構成によれば、搬送ローラに傾斜を付与するための回動中心となる上記水平軸を利用して、搬送ローラの各回転軸との間にベルトを掛け渡し、搬送ローラの各回転軸の中央部分から各搬送ローラに回転駆動力を伝達するようにしているので、回転駆動手段からの回転駆動力を伝達する機構を設けるために別個に新たなスペースが必要となることがない。また、上記ベルトによる駆動力伝達により、部材同士の間に生じる摩擦を極力低減して、回転駆動手段からの回転駆動力を搬送ローラに伝達するので、塵等の発生を抑制して、クリーンな状態で当該回転駆動力を伝達することができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の基板搬送装置であって、前記複数の搬送ローラの各回転軸には、その長手方向における予め定められた位置に、前記回転駆動手段からの駆動力が伝達されずに自由回転して前記基板を支持するフリーローラが設けられている。
【0014】
この構成では、大型の基板が搬送ローラによる搬送中に撓んでも、上記フリーローラが基板表面に当接して基板を支持するので、搬送ローラから基板への回転駆動力伝達時における回転駆動力の減損が低減され、基板搬送路の基板搬送方向に直交する方向における一方端側と他方端側とにおける基板搬送速度を更に確実に同一にすることができ、基板搬送路における基板搬送をより確実に真っ直ぐに行うことができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の基板搬送装置であって、前記各搬送ローラの回転軸に設けられているフリーローラは、隣り合う前記搬送ローラに設けられているフリーローラに対して、回転軸長手方向における位置を異ならせて配設されているものである。
【0016】
この構成では、フリーローラを上記千鳥配置として、搬送中の基板が撓む場合に、この基板をやや撓んだ状態としたまま、少ない支持ポイントで支持できるようにして、基板を搬送ローラに更になじませることができるようにしている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、第2支持手段に支持された搬送ローラを上記水平軸周りに回動させて傾斜させ、基板搬送路の基板搬送方向に直交する方向における一方端側と他方端側の基板搬送速度が同一とすることができるので、基板搬送路上で基板を真っ直ぐに搬送することができる。また、基板搬送路が上下動するのではなく、第2支持手段によって搬送ローラに付与されている傾斜によって、搬送中の基板の傾斜姿勢を徐々に変化させるので、基板の搬送を停止させることなく複数の基板を連続して傾斜姿勢に変更でき、基板処理のスループットを低減させることがない。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、搬送ローラの回動中心となる上記水平軸を利用してマグネットギアを取り付けて各搬送ローラに回転駆動力を伝達するので、回転駆動手段からの回転駆動力を伝達する機構を設けるために必要となるスペースを削減することができる。また、マグネットギアを用いることにより、部材同士の塵等を発生させずにクリーンな状態を保って、当該回転駆動力を伝達することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、搬送ローラの回動中心となる上記水平軸を利用して、搬送ローラの各回転軸との間にベルトを掛け渡して各搬送ローラに回転駆動力を伝達するので、回転駆動手段からの回転駆動力を伝達する機構を設けるために必要となるスペースを削減することができる。また、上記ベルトによる駆動力伝達とすることにより、部材同士の摩擦を極力低減して、クリーンな状態で当該回転駆動力を伝達することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、大型の基板が搬送ローラによる搬送中に撓んでも、上記フリーローラが基板表面に当接して基板を支持するので、搬送ローラから基板への回転駆動力伝達時における回転駆動力の減損が低減され、基板搬送路の基板搬送方向に直交する方向における一方端側と他方端側とにおける基板搬送速度が更に確実に同一なものとでき、基板搬送路における基板搬送をより確実に真っ直ぐに行うことができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、搬送中に撓んだ状態となった基板を、やや撓んだ状態としたまま、少ない支持ポイントで支持することができるので、基板を搬送ローラに更になじませることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る基板搬送装置について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る基板搬送装置が備えられた基板処理装置を示す説明図である。この図に示すように、基板処理装置1は、前工程からの基板Bを受け入れる基板導入部2、内部に基板Bの処理空間を有する処理装置本体3、及び処理後の基板Bを後工程に受け渡す基板導出部4が直列に配設されている。基板処理装置1は、基板導入部2、処理装置本体3及び基板導出部4の順に基板Bを搬送して基板Bに所定の処理を施すものである。この基板導入部2又は基板導出部4が、本発明に係る基板搬送装置の一実施形態である。
【0023】
基板Bは、前工程からコンベアあるいはロボット等からなる上流側引継ぎ手段20を介して基板導入部2に移され、ついで搬送手段5の駆動によって基板導入部2から処理装置本体3に導入されて所定の処理が施される。この処理後、基板Bは基板導出部4に移送され、基板導出部4の下流端でコンベアあるいはロボット等からなる下流側引継ぎ手段40によって次工程に導出される。
【0024】
処理装置本体3内には、ローラコンベアからなる搬送手段5が設けられている。搬送手段5を構成する各ローラ51は、その軸心が基板Bの搬送方向に対して直交する面内であって、水平方向に対して傾斜して設けられている。処理装置本体3内の各ローラ51の傾斜角度は全て同一角度に設定されて基板搬送路5aを形成している。これによって基板Bは処理装置本体3内において傾斜姿勢で基板搬送路5aを搬送されつつ所定の処理が施される。
【0025】
上記処理装置本体3は、本実施形態においては、薬洗部31、水洗部32、及び乾燥部37が直列に配設されて形成されている。薬洗部31は、搬送手段5によって搬送されつつある基板Bの表裏に所定の薬液を供給して基板Bを洗浄(薬洗)する。薬洗部31には、薬液供給ノズル31bが、基板搬送路5aを挟むように上下に設けられており、上下の薬液供給ノズル31bからの薬液吐出によって基板Bの表裏面に薬液が供給される。この薬液の存在下で、基板搬送路5aを搬送されつつある基板Bの表裏面は複数個のブラシ31fでブラッシング処理され、清浄化される。
【0026】
基板Bに供給された薬液、すなわち基板Bを洗浄することによって汚染物を含有しつつある薬液は、基板Bの傾斜面に沿って流下する。これにより、短い洗浄時間で高い洗浄作用が得られる。しかも、基板Bの傾斜面に沿って速やかに流下するので、基板Bによる薬液の持ち出し量も低減され、薬液の消費量も低減され、また、良好な液切りが行われる。
【0027】
水洗部32は、搬送手段5によって搬送される上記薬洗後の基板Bに洗浄水を供給して洗浄(水洗)する。水洗部32の内部は、低圧水供給部33、高圧水供給部34、超音波洗浄水供給部35及び純水供給部36に区分されている。薬洗部31から導出された基板Bは、低圧水供給部33、高圧水供給部34、超音波洗浄水供給部35、及び純水供給部36に順次導入され、所定の水洗処理が施された後、乾燥部37に向けて導出される。
【0028】
低圧水供給部33は、基板搬送路5aを挟むように上下に配設された低圧水供給ノズル33aを有し、高圧水供給部34は同様に配設された高圧水供給ノズル34aを有している。また、超音波洗浄水供給部35には、基板搬送路5aを通過する基板Bの表面に吐出口を向けた超音波水供給ノズル35aが設けられ、純水供給部36には基板搬送路5aを挟むように上下に配設された純水供給ノズル36aが設けられている。
【0029】
このような一連の低圧水供給部33、高圧水供給部34、超音波洗浄水供給部35及び純水供給部36からなる水洗部32においては、基板Bはその搬送方向に直交する面内で傾斜したローラ51によって傾斜姿勢で搬送されるようになっており、これによって各供給部33,34,35,36で基板Bに供給された洗浄用の水は速やかに基板Bの傾斜面を流下するため、下流側の乾燥部37には最小限度の洗浄水しか持ち込まれない。
【0030】
乾燥部37は、水洗部32の純水供給部36から導出された基板Bを乾燥するためのものであり、内部には基板搬送路5aを挟むように設けられた上下一対のエアーナイフ37bを備えている。この乾燥部37においても薬洗槽31aにおけると同様にローラ51は基板Bの搬送方向に直交する面内で水平方向に対して傾斜され、これによって基板Bに付着している洗浄水の液切りが良好に行われる。乾燥部37での処理を終えた基板Bは基板導出部4に搬出され、下流側引継ぎ手段40により次工程に向けて導出される。
【0031】
次に、基板導入部2について説明する。図2は基板導入部2の平面図、図3は基板導入部2を図1の矢印a方向から見た側面図、図4は基板導入部2を図1の矢印b方向から見た側面図、図5は、駆動軸23のマグネットギア231と、搬送ローラ21のマグネットギア215とを示す斜視図、図6は基板導入部2を構成する搬送ローラ21の傾斜姿勢を概念的に示す斜視図、図7は各搬送ローラ21の傾斜姿勢を示す側面図である。なお、図3では、図1の矢印A方向から見た最も手前側の搬送ローラ21及びローラ支持機構22等を示しており、傾斜角度の異なる他の搬送ローラ21の図示は省略している。
【0032】
上述したように、基板導入部2は、上流側引継ぎ手段20から受け取った基板Bを処理装置本体3に向けて搬送するが、上流側引継ぎ手段20から水平な姿勢で受け取った基板Bを、基板搬送方向に対して直交する方向であって水平面に対して傾斜した姿勢に基板Bの姿勢を変更してから、基板Bを処理装置本体3に搬出するものである。
【0033】
基板導入部2には、複数の搬送ローラ21が、その回転軸211が基板搬送方向に直交する方向に延び、かつ、それぞれの搬送ローラ21が水平面に対して予め定められた傾斜角度を有した状態で配設されている。各搬送ローラ21は、その回転軸211が、その回転軸211周りに回転自在となる状態でローラ支持機構(第1又は第2支持手段)22に支持されている。このローラ支持機構22は、搬送ローラ21の回転軸211の両端部を支持する2つの側壁部22aと、これら側壁部22aが取り付けられる底面部22bとを有し、底面部22bは搬送ローラ21の長手方向に延び、底面部22bの長手方向両端部にそれぞれ設けられた側壁部22a間に搬送ローラ21の回転軸211が掛け渡されている。これら各ローラ支持機構22のそれぞれが、上記予め定められた傾斜角度が付与されて取り付けられており、これら各ローラ支持機構22にそれぞれ搬送ローラ21が軸支されることで、各搬送ローラ21が上記予め定められた傾斜角度をもって基板搬送路を構成するようになっている。
【0034】
各搬送ローラ21の回転軸211には、その長手方向の両端部近傍に、コロ212が取り付けられている。回転軸211は、後述する回転駆動軸からの回転駆動力で回転駆動し、コロ212は回転軸211に伴って回転軸211周りに回転する。各搬送ローラ21に設けられたコロ212の上部に基板Bが載置され、搬送ローラ21の回転軸211及びコロ212が処理装置本体3側に向かう方向に回転することで、コロ212上の基板Bが処理装置本体3に向けて搬送される。
【0035】
さらに、各搬送ローラ21の回転軸211には、その長手方向における所定位置に、回転軸211には固定されず、回転軸211が回転しても空回りする状態でフリーローラ213が取り付けられている。すなわち、フリーローラ213は、回転駆動軸からの駆動力の伝達を受けずに、回転軸211とは別個に自由回転して、搬送ローラ21のコロ212上を搬送される基板Bを下方から支持する。各搬送ローラ21におけるフリーローラ213は、図2に示すように、例えば、ある搬送ローラ21では、回転軸211の長手方向中央部近傍位置に1つ取り付けられ、当該搬送ローラ21に隣り合う別の搬送ローラ21では、回転軸211両端部と長手方向中央部との各中間位置にそれぞれ取り付けられる。そして、続く各搬送ローラ21においても、これら2つの搬送ローラ21と同様の取り付け位置にフリーローラ213が取り付けられる。複数の搬送ローラ21によって構成される基板搬送路全体としては、フリーローラ213の配置を平面視で見た場合、図2に示すように、複数のフリーローラ213が千鳥配置となるように配置されている。これにより、大型の基板Bが搬送ローラ21による搬送中に撓んでも、各フリーローラ213が基板Bの下面に当接して、基板Bをやや撓んだ状態で支持するようになっている。
【0036】
また、上記のようにして傾斜を有する各搬送ローラ21の下方となる回転軸211端部側には、各搬送ローラ21の間に、サイドガイドローラ214が設けられている。このサイドガイドローラ214は、コロ214aと、コロ214aの下部に取り付けられた回転軸214bとを有し、この回転軸214bは、上記ローラ支持機構22の底面部22bに、当該回転軸214b周りに回転自在として取り付けられている。搬送ローラ21によって搬送される基板Bが、その自重により、傾斜姿勢にある搬送ローラ21上を、下方側となるコロ212に向かって移動してくると、当該基板Bの側部がサイドガイドローラ214がに当接して、サイドガイドローラ214が基板Bの傾斜下方側への移動を規制するようになっている。サイドガイドローラ214は、上記したように、回転軸214bが回転自在とされているので、基板Bの処理装置本体3方向への搬送に伴って、基板Bの当該移動を妨げない方向に回転する。
【0037】
上記複数の搬送ローラ21の長手方向における略中央部には、その下方に、各搬送ローラ21に対して直交する方向に延びる回転駆動軸(水平軸)23が設けられている。この駆動軸23は、図略の駆動モータ等からの回転駆動力でその回転軸周りに回転する。各搬送ローラ21には、当該駆動軸23の上方となる位置(搬送ローラ21の長手方向における略中央部)に、マグネットギア215が設けられている。一方、駆動軸23には、搬送ローラ21と交差する各位置(各搬送ローラ21のマグネットギア215の下方位置)に、マグネットギア231が設けられている。駆動軸23の各マグネットギア231と、各搬送ローラ21のマグネットギア215とは、近接かつ非接触となる位置に配置されている。これにより、駆動軸23が上記駆動モータ等からの回転駆動力で回転すると、駆動軸23のマグネットギア231から、搬送ローラ21のマグネットギア215に向けて回転駆動力が伝達されるようになっている。これら駆動モータ、駆動軸23及びマグネットギア231は、特許請求の範囲でいう回転駆動手段の一例である。但し、回転駆動手段を駆動モータ、駆動軸23及びマグネットギア231からなる構成に限定するものではない。
【0038】
図5に示すように、搬送ローラ21のマグネットギア215は、その周面に永久磁石のN極帯とS極帯とが交互に設けられている。一方、駆動軸23のマグネットギア231は、その周面に永久磁石のN極帯とS極帯とが螺旋状に設けられている。搬送ローラ21のマグネットギア215のN極帯とS極帯は、駆動軸23のマグネットギア231のN極帯とS極帯に対して、最接近した状態で吸引し合う状態を常に維持しようとするため、駆動軸23が回転して、駆動軸23のマグネットギア231のN極帯とS極帯が回転軸方向に順次移動すると、搬送ローラ21のマグネットギア215周面のNS両極帯は、駆動軸23のマグネットギア231のNS両極帯の移動を追って連続的に移動する。そのため、駆動軸23のマグネットギア231の回転に追動して搬送ローラ21のマグネットギア215が回転し、駆動軸23から各搬送ローラ21に回転駆動力が伝達される。
【0039】
続いて、図6及び図7を参照して、基板導入部2の各搬送ローラ21の傾斜姿勢について説明する。なお、以下に説明する各搬送ローラ21の傾斜姿勢は、例えば、ローラ支持機構22を基板導入部2のケーシングに傾斜角度を付けて取り付けることによって付与される。図6に示すように、各搬送ローラ21は、その基板搬送方向上流側の搬送ローラ21から、下流側の搬送ローラ21となるに連れて、基板Bの搬送方向に対して直交する方向において水平となる姿勢から徐々に傾斜が大きくなるように設けられ、最下流の搬送ローラ21は、処理装置本体3内の各ローラ51と同一の傾斜角か、或いは、各ローラ51の傾斜角に近い傾斜角であって、基板導入部2から処理装置本体33内のローラ51にスムーズに基板Bを移動させることができる傾斜角となるように設定されている。例えば、複数の搬送ローラ21は、基板搬送方向最上流位置の搬送ローラ21が上記水平方向とされ、処理装置本体3の手前となる基板搬送方向最下流位置のローラが上記水平方向に対して最も傾斜角が大きくなるように設定される。これら最上流位置と最下流位置の両搬送ローラ21の間に配設されている各搬送ローラ21は、隣り合う上流側の搬送ローラ21に対して徐々に一定角度ずつ傾斜が付けられ、最終的に最下流位置の搬送ローラ21の傾斜角度等となるように設定されている。これら隣り合う搬送ローラ21の一方を支持するローラ支持機構22が特許請求の範囲でいう第1支持手段の一例であり、他方の搬送ローラ21を支持するローラ支持機構22が特許請求の範囲でいう第2支持手段の一例となる。
【0040】
上記各搬送ローラ21に付与される傾斜角は、各搬送ローラ21の長手方向の略中央位置を中心として回動させ、各搬送ローラ21をその長手方向における一端部を上方又は下方に位置させた状態とすることで付与される。例えば、図7に示すように、各ローラ支持機構22の底面部22bの長手方向略中央位置に、駆動軸23周りにローラ支持機構22が回転自在となるように駆動軸23を内包する連結部22cを設ける。そして、各搬送ローラ21を必要な傾斜角度分だけ駆動軸23周りに回動させ、各ローラ支持機構22を基板導入部2のケーシングに固定する。このように構成することで、図6に示すように、隣り合う搬送ローラ21同士の間隔は、搬送ローラ21の長手方向における一端側の間隔S1と、他端側の間隔S2とが、同じ間隔となるように設定されている。
【0041】
続いて、基板導出部4について説明する。基板導出部4は、処理装置本体3から傾斜姿勢で搬出されてきた基板Bを水平姿勢に変更するものであるが、基板導出部4を構成する複数の搬送ローラも、基板導入部2と各搬送ローラ21と同様に構成される。すなわち、基板導出部4の各搬送ローラに付与される傾斜角は、各搬送ローラ21の長手方向の中央位置を中心として、各搬送ローラ21を長手方向における一端部を上方又は下方に位置させて、隣り合う上流側の搬送ローラ21に対して一定角度を付けることによって行われ、隣り合う搬送ローラ同士の間隔を比較した場合に、搬送ローラ21の長手方向における一端側の間隔と、他端側の間隔とが同じ間隔とされる。但し、基板導出部4では、各搬送ローラは、その基板搬送方向最上流側では、処理装置本体3内におけるローラ51と同一の傾斜角か、或いは、各ローラ51の傾斜角に近い傾斜角であって、基板導出部4が処理装置本体3内のローラ51からスムーズに基板Bを受け取ることができる傾斜角となるように設定され、これに続く複数の搬送ローラは、隣り合う上流側の搬送ローラ21に対して徐々に一定角度ずつ傾斜が付けられ、最終的に最下流位置の搬送ローラ21に至った時点で、水平姿勢となるように設定されている。
【0042】
例えば、上記基板導入部2及び基板導出部4の各搬送ローラに付与される傾斜角度は、隣り合う上流側の搬送ローラに対して角度差が0.3度未満(理想的には0.28度以下)とされる。なお、この場合における各搬送ローラ21間の間隔は100〜200mm未満(理想的には190mm)、搬送速度15m/分、基板Bの基板搬送方向長さは2400mmである。
【0043】
上記構成でなる基板導入部2が上流側引継ぎ手段20から水平姿勢の基板Bを受け取ると、複数の搬送ローラ21による処理装置本体3方向への搬送が進むに連れて、徐々に基板Bの姿勢が、処理装置本体3内で複数のローラ51によって形成される基板搬送路5aの傾斜角度とほぼ同一の傾斜を有するように変更され、当該傾斜姿勢に変更された基板Bは処理装置本体3に引き渡される。
【0044】
また、処理装置本体3から搬出されてきた傾斜姿勢の基板Bは、ほぼその傾斜姿勢のままで基板導出部4に受け取られ、複数の搬送ローラ21による下流側引継ぎ手段40方向への搬送が進むに連れて、徐々に基板Bが水平姿勢に変更され、当該水平姿勢に変更された基板Bは下流側引継ぎ手段40に引き渡される。
【0045】
このような基板導入部2又は基板導出部4によれば、上記複数の搬送ローラによって構成される基板搬送路の基板搬送方向に直交する方向における一方端側と他方端側とにおける基板搬送速度が同一となり速度差が生じないので、基板搬送路上で基板Bを真っ直ぐに搬送しつつ、当該搬送に伴って、基板Bの傾斜姿勢を変更することができる。また、基板搬送路は上昇又は下降の動作を行わず、各搬送ローラ21に付与された傾斜により、基板搬送に伴って基板Bの傾斜姿勢を変化させていくので、基板Bの姿勢変更のために基板搬送を停止させる必要がなく、複数の基板Bを連続して傾斜姿勢に変更できる。そのため、基板処理のスループットを低減させることがない。
【0046】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、基板導入部2における駆動軸23から各搬送ローラ21への回転駆動力伝達は、駆動軸23のマグネットギア231と、搬送ローラ21のマグネットギア215とによって行われているが、この回転駆動力伝達機構は一例に過ぎない。例えば、図8に示すように、駆動軸23と各搬送ローラ21とを、駆動軸23及び搬送ローラ21の回転に伴って、駆動軸23及び搬送ローラ21の周面を移動するOリング状のベルト28で連結し、このベルト28を介して駆動軸23の回転駆動力が各搬送ローラ21に伝達されるようにしてもよい。基板導出部4における回転駆動力伝達機構も同様である。
【0047】
また、上記実施形態では、基板導入部2に複数の搬送ローラ21が設けられ、基板搬送方向最上流側の搬送ローラ21最下流側の搬送ローラ21にかけて、隣り合う搬送ローラに対して一定の傾斜角度を順次付与していくことで、これら複数の搬送ローラ21からなる基板搬送路上を搬送される基板Bの傾斜姿勢が変更されるようにしているが、搬送ローラ21の数は特に限定されない。例えば、ある搬送ローラ21が、隣り合う基板搬送方向上流側の搬送ローラ21に対して一定の傾斜角度を付与され、これら搬送ローラ21のいずれかに並設されている他の搬送ローラ21は、隣り合う搬送ローラ21に対して傾斜が付与されていない構成とされていても、本発明の目的を達成することができる。基板導出部4における各搬送ローラも同様である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板搬送装置が備えられた基板処理装置を示す説明図である。
【図2】基板導入部の平面図である。
【図3】基板導入部を図1の矢印a方向から見た側面図である。
【図4】基板導入部を図1の矢印b方向から見た側面図である。
【図5】回転駆動軸のマグネットギアと、搬送ローラのマグネットギアとを示す斜視図である。
【図6】基板導入部を構成する搬送ローラの傾斜姿勢を概念的に示す斜視図である。
【図7】各搬送ローラの傾斜姿勢を示す側面図である。
【図8】搬送ローラを回転駆動する機構の他の実施形態を示す図である。
【図9】従来の基板搬送機構における搬送ローラの傾斜姿勢を概念的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 基板処理装置
2 基板導入部
3 処理装置本体
4 基板導出部
21 搬送ローラ
211 回転軸
212 コロ
213 フリーローラ
214 サイドガイドローラ
214a コロ
214b 回転軸
215 マグネットギア
22 ローラ支持機構
22a 側壁部
22b 底面部
22c 連結部
23 駆動軸
231 マグネットギア
28 ベルト
B 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列された複数の搬送ローラにより基板を搬送する基板搬送装置であって、
複数の搬送ローラのうちの1つの搬送ローラを、その回転軸周りに回転自在に支持する第1支持手段と、
前記複数の搬送ローラのうち、前記第1支持手段に支持された搬送ローラに隣り合う搬送ローラを、その回転軸の長手方向中央部分に直交する方向に延びる水平軸周りに回動させて傾斜させた状態で、当該回転軸周りに回転自在に支持する第2支持手段と、
前記第1支持手段及び第2支持手段に支持された両搬送ローラを含む前記複数の搬送ローラを回転駆動する回転駆動手段とを備え、
前記回転駆動手段によって回転駆動される搬送ローラによって基板を搬送し、前記第1支持手段及び第2支持手段に支持された両搬送ローラ間で当該基板を移動させて当該基板の傾斜姿勢を変更する基板搬送装置。
【請求項2】
前記回転駆動手段は、前記水平軸がその回転軸周りに回転し、前記水平軸に取り付けられたマグネットギアによって、前記複数の搬送ローラの各回転軸の中央部分から前記複数の搬送ローラのそれぞれに対して回転駆動力を伝達する請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記回転駆動手段は、前記水平軸がその回転軸周りに回転し、前記水平軸と前記複数の搬送ローラの各回転軸との間に掛け渡されたベルトによって、前記複数の搬送ローラの各回転軸の中央部分から前記複数の搬送ローラのそれぞれに対して回転駆動力を伝達する請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記複数の搬送ローラの各回転軸には、その長手方向における予め定められた位置に、前記回転駆動手段からの駆動力が伝達されずに自由回転して前記基板を支持するフリーローラが設けられている請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記各搬送ローラの回転軸に設けられているフリーローラは、隣り合う前記搬送ローラに設けられているフリーローラに対して、回転軸長手方向における位置を異ならせて配設されている請求項4に記載の基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−321623(P2006−321623A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147388(P2005−147388)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】