説明

基板支持装置

【課題】 処理する基板の幅が変更されても、製造ラインの稼働率を低下させず、基板幅に合わせた基板処理を、低コストで高品質に行うことができる基板支持装置を提供する。
【解決手段】 コンベア10は、基板80の一端側を載置する固定側コンベア11と、基板80の他端側を載置すると共に、固定側コンベア11と近接または離間するコンベア幅方向Wに移動可能な可動側コンベア21とからなり、9つの可動バックアップ部材30が、可動側コンベア21の可動側本体部23とそれぞれ連結可能に設けられ、可動バックアップ部材30毎に、可動側コンベア21の可動側本体部23との連結をそれぞれ解除するストッパ50と、可動側コンベア21をコンベア幅方向Wに移動させる駆動手段2と、を有し、ストッパ50は、コンベア幅方向Wに対し、固定側コンベア11と可動側コンベア21との間で予め設定された所定位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンベア上に載置された基板の下面を、バックアップ部材で支持する基板支持装置に関するものであり、詳しくは、例えば、はんだ印刷機によりプリント基板にはんだ印刷を行うときに、コンベア上に載置されたプリント基板の下面を、バックアップ部材で支持するプリント基板支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
はんだ印刷機によりプリント基板にはんだ印刷を行うときに、印刷時にスキージが基板を押圧することにより、基板が撓んで印刷不良が生じるのを防ぐため、プリント基板製造ラインには、基板を、その下面側で支持するプリント基板支持装置が設けられている。
従来、このようなプリント基板支持装置には、例えば、特許文献1に開示されたプリント基板固定用治具装置がある。
【0003】
図13及び図14は、特許文献1のプリント基板固定用治具装置を説明する図であり、斜視図を図13に、側面図を図14に、それぞれ示す。
プリント基板製造ラインでは、幅寸法等の仕様が異なる多品種のプリント基板が搬入され、はんだ印刷機が、コンベアにより搬送されてきた基板にはんだ印刷を行い、多品種のプリント基板が製造される。
特許文献1のプリント基板固定用治具装置201は、ブロック状のバックアップ部材210をスライド軸213上で移動可能に構成し、プリント基板製造ラインで製造するプリント基板280の幅に対応させて、バックアップ部材210の配置位置を変えてプリント基板280の下面を支持する装置である。
【0004】
また、図15に、特許文献2のプリント基板固定用治具装置を説明する図を示す。プリント基板支持装置には、特許文献1のように、プリント基板をブロック状のバックアップ部材で支持する装置のほか、例えば、特許文献2に開示された基板位置決め装置のように、バックアップピンでプリント基板の下面を支持する装置もある。複数のバックアップピン311は、図15に示すように、プリント基板に合わせたバックアップ治具310に、隣接するピン同士の間隔をあけて配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1−76074号公報
【特許文献2】特開平3−289198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には、以下のような問題があった。
(1)稼働率の低下と人的ミスが生じ易くなる問題
特許文献1及び特許文献2では、プリント基板製造ラインで製造するプリント基板の幅に変更があると、作業者が、プリント基板製造ラインを一旦停止する必要がある。その後、特許文献1は、次に製造するプリント基板280の幅に対応した位置まで、バックアップ部材210を手動で移動させなければならない。また、特許文献2のような、ピンタイプのバックアップを用いたプリント基板支持装置は、次に製造するプリント基板380の幅に適したバックアップピン311付きのバックアップ治具310に段取り替えをしなければならない。
このように従来技術では、作業者が、プリント基板製造ラインを一旦停止させて、手動によりバックアップの段取り替えを行うと、基板製造の工程数が増えてしまい、基板製造の稼働率が低下する上、人的ミスも生じ易くなる。ひいては、品質管理上、歩留りが低下する虞もあり、結果的にコスト高を招くことにもなる。
(2)ピンタイプのバックアップ治具はコスト高となる問題
特許文献2のように、ピンタイプのバックアップを用いたプリント基板支持装置では、特にプリント基板製造ラインで多品種のプリント基板380を製造しようとすると、バックアップピン311を設けたバックアップ治具310を、製造するプリント基板380の幅(図15中、左右方向の大きさ)に対応させて一品一様の専用仕様で製作しなければならず、治具の製作がコスト高となる。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、処理する基板の幅が変更されても、製造ラインの稼働率を低下させず、基板幅に合わせた基板処理を、低コストで高品質に行うことができる基板支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題点を解決するために、本発明の基板支持装置は、次の構成を有している。
(1)両端側でコンベアに載置された基板を、該基板の下面側からバックアップ部材により支持する基板支持装置において、コンベアは、基板の一端側を載置する固定側コンベアと、基板の他端側を載置すると共に、固定側コンベアと近接または離間するコンベア幅方向に移動可能な可動側コンベアとからなり、複数のバックアップ部材が、可動側コンベアとそれぞれ連結可能に設けられ、バックアップ部材毎に、可動側コンベアとの連結をそれぞれ解除する連結解除手段と、可動側コンベアをコンベア幅方向に移動させる駆動手段と、を有し、連結解除手段は、コンベア幅方向に対し、固定側コンベアと可動側コンベアとの間で予め設定された所定位置に配置されていることを特徴とする。
(2)(1)に記載する基板支持装置において、固定側コンベアと可動側コンベアとの間を直線運動でバックアップ部材を移動させるガイド手段を複数箇所に有し、複数のガイド手段はそれぞれ並列に配置され、複数の連結解除手段はそれぞれ、ガイド手段毎に配置位置を変更可能にして設置されていることを特徴とする。
(3)(2)に記載する基板支持装置において、複数の連結解除手段は、複数のガイド手段に対し、千鳥状の配置で設置されていることを特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載する基板支持装置において、可動側コンベアは、磁性体からなり、複数のバックアップ部材にはそれぞれ磁石が配設され、可動側コンベアとバックアップ部材とは、磁石による吸引力で連結されることを特徴とする。
(5)(4)に記載する基板支持装置において、固定側コンベアと複数のバックアップ部材との間には、複数のバックアップ部材のそれぞれを可動側コンベアに向けて付勢する複数の付勢部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成を有する本発明の基板支持装置の作用・効果について説明する。
本発明の基板支持装置では、
(1)両端側でコンベアに載置された基板を、該基板の下面側からバックアップ部材により支持する基板支持装置において、コンベアは、基板の一端側を載置する固定側コンベアと、基板の他端側を載置すると共に、固定側コンベアと近接または離間するコンベア幅方向に移動可能な可動側コンベアとからなり、複数のバックアップ部材が、可動側コンベアとそれぞれ連結可能に設けられ、バックアップ部材毎に、可動側コンベアとの連結をそれぞれ解除する連結解除手段と、可動側コンベアをコンベア幅方向に移動させる駆動手段と、を有し、連結解除手段は、コンベア幅方向に対し、固定側コンベアと可動側コンベアとの間で予め設定された所定位置に配置されているので、例えば、プリント基板製造ラインで基板上面にはんだ印刷等の処理を施すときに、処理する基板の仕様によって、コンベア上に載置される基板の幅が異なる場合でも、製造ラインの稼働率を低下させず、製造する基板の幅に合わせた基板への処理(一例としてはんだ印刷等)を、高品質に低コストで行うことができる。
【0010】
すなわち、例えば、コンベア上に載置した基板にはんだ印刷機によりはんだ印刷を行うプリント基板製造ラインでは、一つの製造ラインでプリント基板の仕様毎に幅寸法が異なる多品種の基板が載置できるよう、コンベア幅を基板幅に対応させて変更する場合がある。
一方、はんだ印刷では、印刷時にスキージを基板の上面全体に密着させて高品質なはんだ印刷ができるよう、基板下面で、スキージによる押圧によって基板が撓むのを防止できる支持位置に、バックアップ部材を配置しなければならない。そのためには、コンベア上に載置する基板の幅に対応させ、コンベア幅とバックアップ部材の配置位置とを変更する段取り替えや、設備上の調整が必要となる。
【0011】
本発明の基板支持装置では、バックアップ部材と連結解除手段とが、1対1の関係で対応し、それぞれ複数箇所に備えている。また、各連結解除手段は、コンベア幅方向に対し、固定側コンベアと可動側コンベアとの間で予め設定された所定位置に配置されている。
コンベア上に載置する基板の幅に変更があるときには、その基板幅に対応する幅に、駆動手段により可動側コンベアを移動させる。このとき、各バックアップ部材が可動側コンベアと連結させて、可動側コンベアを移動させると、各バックアップ部材は、基板幅に合わせてコンベア幅方向に移動するが、所定位置に予め設定された各連結解除手段が作用すると、可動側コンベアとの連結を解除する。
これにより、可動側コンベアがたとえ移動し続けても、連結解除手段が作用すると、バックアップ部材は、作用したその位置で移動できなくなり、スキージによる押圧によって基板が撓むのを防止できる支持位置として、自動的にその支持位置に配置される。
【0012】
このようなバックアップ部材は、基板の厚みや下面形状に合わせ、隣接する支持位置同士の距離が大きく離れず、複数箇所の支持位置に配置し、基板下面全体で基板への押圧力に対する反力を、基板全面に対し、できるだけ均等になるよう作用させることが好ましい。
そこで、バックアップ部材を配置する位置を決定する連結解除手段の設置位置としては、基板の厚みや下面形状を考慮して、例えば、固定側コンベアに載置した基板の一端側と比較的近い位置、可動側コンベアに載置した基板の他端側と比較的近い位置、基板の一端側と他端側との間にある位置等に予め設定しておくことが好ましい。加えて、コンベアの搬送方向に対し、隣接するバックアップ部材同士ができるだけ近接する位置に、各連結解除手段を配置するようにすることが好ましい。
【0013】
ここで、上記に例示したように、各バックアップ部材を、コンベア幅方向に対し、基板の一端側寄りで固定側コンベアと比較的近い位置(以下、「第1位置」と称す。)、基板の他端側寄りで可動側コンベアと比較的近い位置(以下、「第3位置」と称す。)、及びこれらの間の位置(以下、「第2位置」と称す。)に、それぞれ配置する場合を一例に挙げて、基板支持装置の動作について、説明する。
【0014】
本発明の基板支持装置を用いて、基板に上記に例示したはんだ印刷等を行う場合には、基板をコンベア上に載置する前に、まず、複数のバックアップ部材の全てを可動側コンベアに連結させる。
その後、基板の一端側が固定側コンベアに、他端側が可動側コンベアにそれぞれ載置されるよう、駆動手段により、可動側コンベアを基板の両端間の距離に合わせて移動させるが、移動開始時には、バックアップ部材全てが、可動側コンベアと連結して可動側コンベアと共に、固定側コンベアから離間する向きに移動していく。
駆動手段は、固定側コンベアと可動側コンベアとの距離が基板の両端距離に達するまでの間、移動し続け、固定側コンベアと可動側コンベアとの距離が基板の両端距離に到達したら、可動側コンベアの移動を停止する。
【0015】
可動側コンベアの移動中、「第1位置」に設置した連結解除手段により、この連結解除手段と1対1で対応するバックアップ部材が、可動側コンベアとの連結を解除されて移動できなくなり、このバックアップ部材は、「第1位置」で解除された位置を基板の支持位置の一つとして、この第1位置に配置される。
【0016】
その後、複数のバックアップ部材のうち、可動側コンベアとの連結を解除したバックアップ部材を除いたバックアップ部材は、可動側コンベアと連結しながら、可動側コンベアと共に、固定側コンベアから離間する向きに移動していく。
可動側コンベアの移動中、「第2位置」に設置した連結解除手段により、この連結解除手段と1対1で対応するバックアップ部材が、可動側コンベアとの連結を解除されて移動できなくなり、このバックアップ部材は、「第2位置」で解除された位置を基板の支持位置の一つとして、この第2位置に配置される。
【0017】
同様に、複数のバックアップ部材のうち、可動側コンベアとの連結を解除したバックアップ部材を除いたバックアップ部材は、可動側コンベアと連結しながら、可動側コンベアと共に、固定側コンベアから離間する向きに移動していく。
可動側コンベアの移動中、「第3位置」に設置した連結解除手段により、この連結解除手段と1対1で対応するバックアップ部材が、可動側コンベアとの連結を解除されて移動できなくなり、このバックアップ部材は、「第3位置」で解除された位置を基板の支持位置の一つとして、この第3位置に配置される。
【0018】
あるいは、第3位置が、基板の両端距離に相当し、可動側コンベアを停止させる位置である場合には、複数のバックアップ部材のうち、可動側コンベアとの連結を解除したバックアップ部材を除いたバックアップ部材が、可動側コンベアと連結したまま、可動側コンベアが停止する。
【0019】
このように、バックアップ部材による基板の支持位置を、コンベア幅方向に対し、固定側コンベアと可動側コンベアとの間で分散させて、基板への押圧力に対する反力を、基板全面に対し、できるだけ均等になるよう作用させる。
よって、本発明の基板支持装置では、幅寸法が異なる多品種の基板をコンベア上に載置し、例えば、はんだ印刷等の基板処理を基板上面に行う場合でも、可動側コンベアの移動と各連結解除手段とにより、基板の幅に因らず、各バックアップ部材を、基板下面を支持したい所定の支持位置に、自動で適切に配置することができる。
【0020】
また、コンベア上に載置する基板の幅に変更があり、製造ラインの段取り替えを行う場合に、製造ラインを一旦停止させ手動で治具等の段取り替えを全く必要としないことから、基板製造の工程数が増えず、長時間にわたってラインの停止が生じないため、製造ラインの稼働率が低下することもなく、基板処理を多品種少量生産体制で製造する場合にも適す。
さらに、基板幅を変更するとき、治具等の段取り替えを全く必要せず、駆動手段による可動側コンベアの移動距離を変更するだけで、バックアップ部材を適切な支持位置に自動で配置できるため、治具等の取替えや調整で生じ易い人的ミスも回避でき、品質管理上、人的ミスに起因した歩留りの低下を防止でき、結果的にコスト高を招くことも抑止できる。
【0021】
ところで、バックアップピンによる従来の基板支持装置では、バックアップピンを設けたバックアップ治具を、製造する基板の幅に対応させた一品一様の専用仕様で製作しなければならず、基板幅の変更に伴う段取り替えに、高額な治具費が必要となっていた。
【0022】
これに対しても、本発明の基板支持装置では、基板幅に因らず、可動側コンベアの移動と連結解除手段とにより、バックアップ部材を、基板下面の適正な支持位置に自動的に配置することができるため、基板幅に変更があっても、従来、必要であった高額な治具費が不要となり、基板処理のコスト削減に貢献できる。
【0023】
従って、本発明の基板支持装置では、処理する基板の幅が変更されても、製造ラインの稼働率を低下させず、基板幅に合わせた基板処理を、低コストで高品質に行うことができる、という優れた効果を奏する。
【0024】
(2)固定側コンベアと可動側コンベアとの間を直線運動でバックアップ部材を移動させるガイド手段を複数箇所に有し、複数のガイド手段はそれぞれ並列に配置され、複数の連結解除手段はそれぞれ、ガイド手段毎に配置位置を変更可能にして設置されているので、駆動手段により可動側コンベアがコンベア幅方向に移動すると、連結解除手段で可動側コンベアとの連結を解除するまでの間、各バックアップ部材が、それぞれのガイド手段を直線運動で同時に移動することができる。
その一方で、各連結解除手段は、ガイド手段毎に配置位置を変更可能にして設置されているため、バックアップ部材が、連結解除手段の作動位置まで、ガイド手段を介して可動側コンベアと共に、固定側コンベアと離れる向きに移動し、連結解除手段の設置場所によって、各バックアップ部材を、基板下面に対し分散して配置できるようにできる。
【0025】
(3)複数の連結解除手段は、複数のガイド手段に対し、千鳥状の配置で設置されているので、各バックアップ部材を、基板下面に分散して配置できることから、基板上面にかかる押圧力に対する反力を、基板下面に万遍なく広域に作用させることができるようになる。
特に、本発明の基板支持装置を用いて基板に、例えば、はんだ印刷等を行う場合には、はんだ印刷機のスキージが基板上面にはんだ印刷するときに、千鳥状の配置された複数のバックアップ部材により、印刷時にかかるスキージによる押圧力で基板が撓むのを防止でき、基板上面がスキージに密着して、はんだ印刷の印刷精度を高くすることができる。
【0026】
(4)可動側コンベアは、磁性体からなり、複数のバックアップ部材にはそれぞれ磁石が配設され、可動側コンベアとバックアップ部材とは、磁石による吸引力で連結されるので、バックアップ部材と可動側コンベアとが、安価な手段で確実に連結できるようになる。
また、バックアップ部材と可動側コンベアとを、磁石による吸着で連結させる簡単な構造で構成されているため、可動側コンベアとバックアップ部材との連結に関する耐久性、信頼性が高くなっている。
なお、磁石による吸引力は、駆動手段により可動側コンベアをコンベア幅方向に移動させるときの駆動力より小さくする必要がある。
【0027】
(5)固定側コンベアと複数のバックアップ部材との間には、複数のバックアップ部材のそれぞれを可動側コンベアに向けて付勢する複数の付勢部材が設けられているので、各付勢部材により各バックアップ部材を可動側コンベアに押圧することで、各バックアップ部材の間で、可動側コンベアとの連結状態にバラツキがなく、それぞれのバックアップ部材の磁石と可動側コンベアとを確実に吸着させ、可動側コンベアと連結するバックアップ部材を所定位置まで確実に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態に係る基板支持装置を示す平面図である。
【図2】実施形態に係る基板支持装置の動作を説明するフローチャートである。
【図3】本実施形態に係る基板支持装置のバックアップ部材を移動させる様子を説明する図である。
【図4】図1中、A−A矢視断面図である。
【図5】図1中、B−B矢視断面図である。
【図6】図1中、C−C矢視断面図である。
【図7】実施形態に係る基板支持装置のコンベア間距離を基板幅50mmに設定した状態を示す図であり、(a)はコンベアに基板を載置する前の様子を示す図、(b)コンベアに基板を載置した様子を示す図である。
【図8】実施形態に係る基板支持装置のコンベア間距離を基板幅150mmに設定した状態を示す図であり、(a)はコンベアに基板を載置する前の様子を示す図、(b)コンベアに基板を載置した様子を示す図である。
【図9】実施形態に係る基板支持装置のコンベア間距離を基板幅250mmに設定した状態を示す図であり、(a)はコンベアに基板を載置する前の様子を示す図、(b)コンベアに基板を載置した様子を示す図である。
【図10】基板幅50mmにおいて、本実施例1と比較例1とに係るはんだ厚の測定結果を示すデータであり、(a)はサンプル数n=100のバラツキに関する表、(b)は(a)のグラフを示す。
【図11】基板幅150mmにおいて、本実施例2と比較例2とに係るはんだ厚の測定結果を示すデータであり、(a)はサンプル数n=100のバラツキに関する表、(b)は(a)のグラフを示す。
【図12】基板幅250mmにおいて、本実施例3と比較例3とに係るはんだ厚の測定結果を示すデータであり、(a)はサンプル数n=100のバラツキに関する表、(b)は(a)のグラフを示す。
【図13】特許文献1のプリント基板固定用治具装置を示す斜視図である。
【図14】特許文献1のプリント基板固定用治具装置を示す側面図である。
【図15】特許文献2のプリント基板固定用治具装置を説明する図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(実施形態)
以下、本発明に係る基板支持装置について、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の基板支持装置は、基板にはんだ印刷を行うときに、印刷時にはんだ印刷機のスキージが基板を押圧して、基板が撓んで印刷不良が生じるのを防ぐため、両端側でコンベアに載置された基板を、その下面側で支持する基板支持装置であり、基板幅の寸法が異なる多品種の基板にも対応できるプリント基板支持装置である。この基板支持装置は、図示しないはんだ印刷機の他、はんだ印刷前の基板を当該基板支持装置のコンベア上に載置するための装置や、はんだ印刷後のプリント基板を当該基板支持装置のコンベアから排出するための装置等からなる量産体制向けのプリント基板製造ラインに、その一部として設置される。
【0030】
図1に、本実施形態に係る基板支持装置の平面図を示す。図4に、図1中、A−A矢視断面図を、図5に、図1中、B−B矢視断面図を、図6に、図1中、C−C矢視断面図を、それぞれ示す。以下、図1中、左右方向を搬送方向Lとし、上下方向をコンベア幅方向Wとし、図6中、上下方向を高さHとし、他の図においてもこれらの方向に準ずる。
基板支持装置1は、図1に示すように、駆動手段2と、コンベア3と、複数の可動バックアップ部材30(バックアップ部材)と、複数のリニアガイド40(ガイド手段)と、複数のストッパ50(連結解除手段)と、複数のバネ60(付勢手段)等からなる。
【0031】
はじめに、コンベア3について説明する。コンベア3は、図1に示すように、固定側コンベア11と、可動側コンベア21とからなる。
固定側コンベア11は、参照する図6に示すように、例えば、鋼材等の磁性体の材質で形成されたフレームである固定側本体部13と、この固定側本体部13に設けられ、載置した基板80を搬送方向Lに送出させる固定側搬送ベルト12と、を有している。
可動側コンベア21は、例えば、鋼材等の磁性体の材質で形成されたフレームである可動側本体部23と、この可動側本体部23に設けられ、固定側搬送ベルト12と共に載置した基板80を搬送方向Lに送出させる可動側搬送ベルト22と、を有している。
【0032】
駆動手段2は、例えば、油圧、空圧、モータ等の駆動源により、可動側コンベア21をコンベア幅方向Wにスライドできる構造で構成されており、この駆動手段2により、可動側コンベア21が、固定側コンベア11と平行に、近接または離間するコンベア幅方向Wに移動可能となっている。駆動手段2による駆動力は、バネ60の付勢力より大きくなっている。
本実施形態では、コンベア幅方向Wに対し、固定側コンベア11の固定側本体部13と可動側コンベア21の可動側本体部23との距離は、例えば、最小距離が45mm、最大距離が250mm以上となっている。
【0033】
基板80は、その一端側(図1中、下側、及び図6中、右側)を固定側搬送ベルト12に、他端側(図1中、上側、及び図6中、左側)を可動側搬送ベルト22にそれぞれ載置される。基板80が、固定側搬送ベルト12及び可動側搬送ベルト22を同期的に駆動させて、本実施形態では、図1中、左側に向けて搬送されるようになっている。
【0034】
次に、可動バックアップ部材30について説明する。基板支持装置1は、複数の可動バックアップ部材30を有し、本実施形態では、説明の便宜上、9つの可動バックアップ部材30を有している。各可動バックアップ部材30は、ブロック状に形成され、図6に示すように、コンベア幅方向Wに対し、固定側搬送ベルト12と可動側コンベア21との間で、固定側搬送ベルト12及び可動側搬送ベルト22に載置された基板80を下面80b側から支える。各可動バックアップ部材30の上面は、高さ方向Hに対し、固定側搬送ベルト12及び可動側搬送ベルト22における基板80の載置面と同じ高さになっている。
【0035】
各可動バックアップ部材30は、後に詳述するリニアガイド40を軌道として、摺動しながら移動できるスライド部30Hを有している。
また、9つの可動バックアップ部材30は、可動側コンベア21の可動側本体部23とそれぞれ連結可能に設けられており、磁石Mが、各可動バックアップ部材30のうち、可動側コンベア21と対向する側面に一体となってそれぞれ配設されている。すなわち、可動側コンベア21の可動側本体部23と可動バックアップ部材30とは、9箇所とも磁石Mによる吸引力で連結されるようになっている。
【0036】
一方、固定側コンベア11と複数(本実施形態では9つ)の可動バックアップ部材30との間には、9つの可動バックアップ部材30のそれぞれを可動側コンベア21の可動側本体部23に向けて付勢する複数(本実施形態では9つ)のバネ60(付勢部材)が設けられている。バネ60は、その一端を固定側コンベア11の固定側本体部13に固定して取り付けられている。
【0037】
次に、リニアガイド40について説明する。図3に、本実施形態に係る基板支持装置のバックアップ部材を移動させる様子を説明する図を示す。
固定側コンベア11及び可動側コンベア21の下方には、平板状のベース32が設けられている。ベース32上には、図1及び図6に示すように、固定側コンベア11と可動側コンベア21との間を、コンベア幅方向Wに沿って直線運動で複数の可動バックアップ部材30を移動させるリニアガイド40が、複数箇所(本実施形態では9箇所)に設けられている。9つのリニアガイド40は、図1に示すように、搬送方向Lに対し、第1支持部P1乃至第9支持部P9の位置に、互いに隣接する支持部間の距離を等間隔にして、それぞれ並列に配置されている。
9つのリニアガイド40と9つの可動バックアップ部材30とは、1対1の関係で配設され、各可動バックアップ部材30はそれぞれ、図3に示すように、そのスライド部30Hでリニアガイド40上を自在に移動できるようになっている。
【0038】
次に、ストッパ50について説明する。可動バックアップ部材30と、可動側コンベア21の可動側本体部23との連結をそれぞれ解除するストッパ50が、複数(本実施形態では9つ)設けられ、リニアガイド40毎に配置位置を変更可能にして設置されている。
ストッパ50は、コンベア幅方向Wに対し、固定側コンベア11と可動側コンベア21との間で予め設定された所定位置に配置されるもので、具体的には、後に詳述する実施例3において基板幅250mmの場合には、9つのリニアガイド40に対し、千鳥状の配置で設置されている。
【0039】
すなわち、基板支持装置1では、可動バックアップ部材30による基板80の支持位置を、コンベア幅方向Wに対し、固定側コンベア11と可動側コンベア21との間で分散させて、基板80への押圧力に対する反力を、基板下面80bに対し、できるだけ均等になるよう作用させる必要がある。そのようにするためには、可動バックアップ部材30を配置する位置を決定するストッパ50は、基板80の厚みや下面80b形状を考慮して設定しなければならない。
【0040】
例えば、固定側コンベア11に載置した基板80の一端側と比較的近い位置、可動側コンベア21に載置した基板80の他端側と比較的近い位置、及び基板80の一端側と他端側との間にある位置で、コンベア幅方向Wに対し、隣接する可動バックアップ部材30,30同士ができるだけ近接する位置等に予め設定しておくことが好ましい。
加えて、コンベア3の搬送方向Lに対し、隣接する可動バックアップ部材30同士ができるだけ近接する位置に、ストッパ50を配置するようにすることが好ましい。
【0041】
基板支持装置1には、上記した可動バックアップ部材30の他、複数の側部バックアップ部材31が、図1及び図3に示すように、固定側搬送ベルト12、可動側搬送ベルト22及び可動バックアップ部材30と同じ高さで、可動側コンベア21の可動側本体部23と一体で高さ方向Hに沿って立設されている。
各側部バックアップ部材31は、コンベア幅方向Wの両側で、隣接するリニアガイド40同士の間に、搬送方向Lに沿う方向に対する可動バックアップ部材30の大きさに対応した隙間をもって設けられ、固定側搬送ベルト12と可動側搬送ベルト22との近傍で、固定側搬送ベルト12と可動側搬送ベルト22とに載置された基板80を支持するようになっている。
【0042】
次に、基板支持装置1の動作について、図2及び、図7乃至図9を用いて説明する。
本実施形態では、プリント基板製造ラインではんだ印刷を行う基板80の幅を、
(実施例1)基板幅50mmの場合
(実施例2)基板幅150mmの場合
(実施例3)基板幅250mmの場合
の3種類とし、基板支持装置1の動作は、可動バックアップ部材30を、この3種類の基板幅に対応した支持位置に配置する場合について、説明する。
【0043】
図2は、本実施形態に係る基板支持装置の動作を説明するフローチャートである。図7は、本実施形態に係る基板支持装置のコンベア間距離を基板幅50mmに設定した状態を示す図であり、(a)はコンベアに基板を載置する前の様子を示す図、(b)コンベアに基板を載置した様子を示す図である。図8は、図7(a)及び図7(b)と同様の図であり、基板支持装置のコンベア間距離を基板幅150mmに設定した場合である。図9も、図7(a)及び図7(b)と同様の図であり、基板支持装置のコンベア間距離を基板幅250mmに設定した場合である。
【0044】
基板支持装置1の動作を説明する前に、リニアガイド40上でのストッパ50の設定位置について、説明しておく。
(実施例1)
実施例1では、図7において図示された可動側搬送ベルト22で隠れてしまい、図7には、ストッパ50全てが図示されていないが、第1支持部P1から第9支持部P9までの全ての支持部において、参照する図3に示されたストッパ50c(50)のように、全てのストッパ50を、可動側コンベア21の可動側本体部23の下方位置にあるリニアガイド40上に、それぞれ予め設置しておく。
すなわち、コンベア幅方向Wに対し、固定側搬送ベルト12と可動側搬送ベルト22との外側間距離が50mmとなったときに、各可動バックアップ部材30が当接できる各リニアガイド40上の位置に、予め全てのストッパ50(50a:図4参照)を設置しておく。
【0045】
(実施例2)
実施例2では、第1支持部P1、第5支持部P5及び第9支持部P9において、それぞれのリニアガイド40上の各ストッパ50(50a:図4参照)を、コンベア幅方向Wに対し、中央付近から可動側コンベア21側寄りの位置に、「第1位置」として予め設置しておく。
また、第2支持部P2乃至第4支持部P4、及び第6支持部P6乃至第8支持部P8において、コンベア幅方向Wに対し、固定側搬送ベルト12と可動側搬送ベルト22との外側間距離が150mmとなったときに、各可動バックアップ部材30が当接できる各リニアガイド40上の位置に、予め各ストッパ50(50b:図5参照)を設置しておく。
【0046】
(実施例3)
実施例3では、第1支持部P1、第5支持部P5及び第9支持部P9において、それぞれのリニアガイド40上の各ストッパ50(50a)を、コンベア幅方向Wに対し、中央付近から固定側コンベア11側寄りの位置に、「第1位置」として予め設置しておく。
また、第2支持部P2、第4支持部P4、第6支持部P6及び第8支持部P8において、それぞれのリニアガイド40上の各ストッパ50(50b)を、コンベア幅方向Wに対し、中央付近から可動側コンベア21側寄りの位置に、「第2位置」として予め設置しておく。
また、第3支持部P3及び第7支持部P7において、コンベア幅方向Wに対し、固定側搬送ベルト12と可動側搬送ベルト22との外側間距離が250mmとなったときに、各可動バックアップ部材30が当接できる各リニアガイド40上の位置に、各ストッパ50(50c:図6参照)を予め設置しておく。
【0047】
次に、基板支持装置1の動作を説明する。
はじめに、基板支持装置1では、固定側コンベア11と可動側コンベア21との間隔が、次にはんだ印刷を行う基板80の幅と対応しておらず、各可動バックアップ部材30の配置位置を調整する必要がある状態を初期状態とする。
ステップS1では、駆動手段2により可動側コンベア21を固定側コンベア11側に移動させて、固定側コンベア11の固定側本体部13と可動側コンベア21の可動側本体部23とを、一旦、最小幅である距離45mmまで近接させる。
【0048】
これにより、第1支持部P1から第9支持部P9までの全ての支持部において、各バネ60の付勢力により、各可動バックアップ部材30を介して9つの磁石M(Ma,Mb,Mc)全てが、可動側本体部23に吸着される(ステップS2)。
ステップS3では、9つの磁石Mが可動側本体部23に吸着されているのを確認した後、可動側コンベア21を、駆動手段2により固定側コンベア11と離間する向き(コンベア幅方向Wの開方向)に移動させる。可動側コンベア21が移動すると、磁石Mと一体の可動バックアップ部材30が、図3に示すように、可動側コンベア21に吸着されて可動側コンベア21と共に、コンベア幅方向Wの開方向に移動する。
【0049】
固定側コンベア11を移動させ、図7に示すように、固定側搬送ベルト12と可動側搬送ベルト22との外側間距離が50mmに達したところで、作業者が、次にはんだ印刷を行う基板80の基板幅50mmであるか否かを判断する(ステップS4)。
「YES」の場合、すなわち実施例1の場合は、可動側コンベア21の移動を停止させ、このときに、9つの可動バックアップ部材30が、それぞれの磁石Ma(M)により吸着された状態で、全てのストッパ50(50a)に当接する。すなわち、それぞれの可動バックアップ部材30と一体となった磁石Mが、可動バックアップ部材30の可動側本体部23に吸着する。
【0050】
その結果、第1支持部P1から第9支持部P9までの全ての支持部において、コンベア幅方向Wに対し、固定側搬送ベルト12と可動側搬送ベルト22との間では、9つの可動バックアップ部材30が、図7(a)に示すように、コンベア幅方向Wに並ぶ2つの側部バックアップ部材31,31の中央で、かつ搬送方向Lに対し隣り合う側部バックアップ部材31,31同士の間に挟まれた位置に、基板80の支持位置として定まる。かくして、実施例1の場合における可動バックアップ部材30の移動配置作業は終了する。
この後、図7(b)に示すように、固定側コンベア11の固定側搬送ベルト12、可動側コンベア21の可動側搬送ベルト22、9つの可動バックアップ部材30の側部バックアップ部材31に基板80を載置して、次工程に進みはんだ印刷81を行う。
【0051】
一方、基板幅が50mmを超える基板80を載置してはんだ印刷を行うときで、「NO」の場合、すなわち実施例2または実施例3の場合には、可動側コンベア21をコンベア幅方向Wの開方向に引き続き移動させて、ステップS5に進む。
ステップS5では、実施例2,3の場合、可動側コンベア21の移動中、第1支持部P1、第5支持部P5及び第9支持部P9において、可動バックアップ部材30が「第1位置」に設置したストッパ50aに当接して、それ以上の可動バックアップ部材30の移動が規制される。
【0052】
すなわち、可動側コンベア21が移動し続けると、駆動手段2により可動側コンベア21を移動させる駆動力が、第1支持部P1、第5支持部P5及び第9支持部P9における可動バックアップ部材30の磁石M(Ma)と可動側搬送ベルト22との吸着力に打ち勝つ。これにより、各磁石Maと可動側搬送ベルト22との連結が「第1位置」で解除されて、第1支持部P1、第5支持部P5及び第9支持部P9において各可動バックアップ部材30が移動できなくなり、これらの可動バックアップ部材30は、図8(a)に示すように、「第1位置」で解除された位置を基板80の支持位置の一つとして、この第1位置に配置される。
【0053】
一方、第2支持部P2乃至第4支持部P4、及び第6支持部P6乃至第8支持部P8では、可動バックアップ部材30は、これと一体の磁石M(Mb)が可動側本体部23に吸着して可動側コンベア21と連結しながら、可動側コンベア21と共に、固定側コンベア11から離間する向きに移動していく。
【0054】
ステップS6では、図8に示すように、固定側搬送ベルト12と可動側搬送ベルト22との外側間距離が150mmに達したところで、作業者が、次にはんだ印刷を行う基板80の基板幅150mmであるか否かを判断する。
「YES」の場合、すなわち実施例2の場合は、可動側コンベア21の移動を停止させる。このときには、第2支持部P2乃至第4支持部P4、及び第6支持部P6乃至第8支持部P8において、6つの可動バックアップ部材30が、それぞれの磁石Mb(M)により吸着された状態で、各可動バックアップ部材30と1対1で対応するそれぞれのストッパ50に当接する。すなわち、可動バックアップ部材30と一体となった磁石Mが、可動バックアップ部材30の可動側本体部23に吸着する。
【0055】
その結果、コンベア幅方向Wに対し、固定側搬送ベルト12と可動側搬送ベルト22との間では、9つの可動バックアップ部材30が、図8(a)に示すように、コンベア幅方向Wに並ぶ2つの側部バックアップ部材31,31を跨ぐ位置で、かつ搬送方向Lに対し隣り合う側部バックアップ部材31,31同士の間に挟まれた位置に、基板80の支持位置として定まる。かくして、実施例2の場合における可動バックアップ部材30の移動配置作業は終了する。
この後、図8(b)に示すように、固定側コンベア11の固定側搬送ベルト12、可動側コンベア21の可動側搬送ベルト22、9つの可動バックアップ部材30の側部バックアップ部材31に基板80を載置して、次工程に進みはんだ印刷81を行う。
【0056】
一方、基板幅が150mmを超える基板80を載置してはんだ印刷を行うときで、「NO」の場合、すなわち実施例3の場合には、可動側コンベア21をコンベア幅方向Wの開方向に引き続き移動させて、ステップS7に進む。
ステップS7では、実施例3の場合、可動側コンベア21の移動中、第1支持部P1、第5支持部P5及び第9支持部P9において、可動バックアップ部材30が「第1位置」に設置したストッパ50aに当接して、それ以上の可動バックアップ部材30の移動が規制される。
また、第2支持部P2、第4支持部P4、第6支持部P6及び第8支持部P8において、可動バックアップ部材30が「第2位置」に設置したストッパ50bに当接して、それ以上の可動バックアップ部材30の移動が規制される。
【0057】
すなわち、可動側コンベア21が移動し続けると、駆動手段2により可動側コンベア21を移動させる駆動力が、第1支持部P1、第2支持部P2、第4支持部P4乃至第6支持部P6、第8支持部P8、及び第9支持部P9における可動バックアップ部材30の磁石M(Ma,Mb)と可動側搬送ベルト22との吸着力に打ち勝つ。
これにより、各磁石Maと可動側搬送ベルト22との連結が「第1位置」で解除されて、図4に示すように、第1支持部P1、第5支持部P5、及び第9支持部P9において各可動バックアップ部材30が移動できなくなる。また、各磁石Mbと可動側搬送ベルト22との連結が「第2位置」で解除されて、図5に示すように、第2支持部P2、第4支持部P4、第6支持部P6、及び第8支持部P8において各可動バックアップ部材30が移動できなくなる。9つの可動バックアップ部材30は、図9(a)に示すように、「第1位置」及び「第2位置」で解除された位置を基板80の支持位置の一つとして、この第1位置と第2位置に配置される。
【0058】
一方、第3支持部P3及び第7支持部P7では、可動バックアップ部材30は、これと一体の磁石M(Mc)が可動側本体部23に吸着して可動側コンベア21と連結しながら、可動側コンベア21と共に、固定側コンベア11から離間する向きに移動していく。
【0059】
ステップS8では、図1、図6及び図9に示すように、固定側搬送ベルト12と可動側搬送ベルト22との外側間距離が250mmに達したところで、作業者が、次にはんだ印刷を行う基板80の基板幅250mmであるか否かを判断する。
「YES」の場合、すなわち実施例3の場合は、可動側コンベア21の移動を停止させる。このときには、第3支持部P3及び第7支持部P7において、2つの可動バックアップ部材30が、それぞれの磁石Mcにより吸着された状態で、各可動バックアップ部材30と1対1で対応するそれぞれのストッパ50に当接する。すなわち、可動バックアップ部材30と一体となった磁石Mcが、可動バックアップ部材30の可動側本体部23に吸着する。
【0060】
その結果、コンベア幅方向Wに対し、固定側搬送ベルト12と可動側搬送ベルト22との間では、9つの可動バックアップ部材30が、図1及び図9(a)に示すように、搬送方向Lに対し隣り合う側部バックアップ部材31,31同士の間に挟まれた状態で、コンベア幅方向Wに並ぶ2つの側部バックアップ部材31,31を跨いだ千鳥状の配置位置で、基板80の支持位置として定まる。かくして、実施例3の場合における可動バックアップ部材30の移動配置作業は終了する。
この後、図9(b)に示すように、固定側コンベア11の固定側搬送ベルト12、可動側コンベア21の可動側搬送ベルト22、9つの可動バックアップ部材30の側部バックアップ部材31に基板80を載置して、次工程に進みはんだ印刷81を行う。
【0061】
一方、ステップS8において「NO」の場合には、ステップS7に戻り、固定側搬送ベルト12と可動側搬送ベルト22との外側間距離が250mmとなるまで、可動側コンベア21をコンベア幅方向Wの開方向に引き続き移動させる。
【0062】
次に、本実施形態に係る基板支持装置1を用いたプリント基板製造ラインで、基板80にはんだ印刷81を行ったプリント基板(製品)について、品質調査を行い、基板支持装置1が製品の品質に及ぼす影響を確認した。
具体的には、品質調査は、本実施形態に係る基板支持装置1を用いて製造した製品と、特許文献2のような、バックアップピンにより基板下面を支持する従来装置を用いて製造した製品とを、それぞれサンプル数n=100(ヶ)作製して、はんだ印刷の厚み(はんだ厚)を全数測定した。そして、はんだ厚の測定値のバラツキについて、基板支持装置1を用いた場合と、従来装置を用いた場合とを対比させ、基板支持装置1を用いて製造した製品が、従来装置を用いてこれまで問題なく製造してきた製品と、品質上、差異があるかどうかを確認した。
【0063】
また、品質調査において、基板支持装置1を用いて製造した製品は、前述したように、
(実施例1)基板幅50mmの基板80を製造した場合
(実施例2)基板幅150mmの基板80を製造した場合
(実施例3)基板幅250mmの基板80を製造した場合
の3つの場合である。
一方、従来装置を用いて製造した製品は、
(比較例1)基板幅50mmの基板を製造した場合
(比較例2)基板幅150mmの基板を製造した場合
(比較例3)基板幅250mmの基板を製造した場合
の3つの場合である。
【0064】
また、調査条件として、
(1)調査に用いた基板は、(比較例1乃至3)と(実施例1乃至3)とも、厚さ1.6(mm)のガラスエポキシ製の基板である。
(2)はんだ印刷の条件について、スキージによる基板への押圧力は、(比較例1乃至3)と(実施例1乃至3)とも、0.01MPaである。
(3)(実施例1乃至3)及び(比較例1乃至3)において、品質管理上、検査基準として、測定値が許容範囲内とされるはんだ厚の規格値は、180±50(μm)とし、規格下限値130(μm)から規格上限値230(μm)までの間に、測定値が入っていることが、品質上、良品とされる条件である。
【0065】
品質調査において、基板支持装置1を用いた場合と、従来装置を用いた場合との対比に用いた要因は、品質管理手法で一般的に用いられている、3σの値とCp値との2つの要因である。
具体的には、3σは、サンプル数n=100全数のはんだ厚の測定値について、平均値、標準偏差σを求め、平均値を中心とした正規分布で、平均値より片側(+側あるいは−側)で標準偏差の値を3倍した3σ(平均値±3σの範囲内に99.7%の測定データが収まる範囲)ものである。Cp値は、(規格上限値−規格下限値)/6σで算出した値であり、工程能力を意味するものである。
【0066】
次に、実施例1乃至3と比較例1乃至3との分析結果を、図10乃至図12に、それぞれ示す。
図10は、基板幅50mmにおいて、本実施例1と比較例1とに係るはんだ厚の測定結果を示すデータであり、(a)はサンプル数n=100のバラツキに関する表、(b)は(a)のグラフを示す。
図11は、基板幅150mmにおいて、本実施例2と比較例2とに係るはんだ厚の測定結果を示すデータであり、(a)はサンプル数n=100のバラツキに関する表、(b)は(a)のグラフを示す。
図12は、基板幅250mmにおいて、本実施例3と比較例3とに係るはんだ厚の測定結果を示すデータであり、(a)はサンプル数n=100のバラツキに関する表、(b)は(a)のグラフを示す。
【0067】
はじめに、図10を用いて、実施例1と比較例1とを対比して、実施例1の有意性を検討する。
図10に示すように、実施例1は、規格値180±50(μm)の中心値180(μm)に対し、3(μm)小さい177(μm)であり、この3(μm)の大きさは、片側測定公差50(μm)の6%分に相当する。工程能力は、Cp=5.725である。
一方、比較例1は、中心値180(μm)に対し、7(μm)小さい173(μm)であり、この7(μm)の大きさは、片側測定公差50(μm)の14%分に相当する。工程能力は、Cp=5.203である。
【0068】
実施例1と、品質上、これまで問題なく製造されてきた比較例1とを対比しても、実施例1に係るはんだ厚の平均値177(μm)は、比較例1より中心値180(μm)に近づく結果となった。また、工程能力について、実施例1は、比較例1でも優れたCp=5.203をさらに上回る結果となった。
よって、実施例1の結果は、比較例1に劣らず、有意性を持った結果であることが判る。
【0069】
次に、図11を用いて、実施例2と比較例2とを対比して、実施例2の有意性を検討する。
図11に示すように、実施例2は、規格値180±50(μm)の中心値180(μm)に対し、2(μm)大きい182(μm)であり、この2(μm)の大きさは、片側測定公差50(μm)の4%分に相当する。工程能力は、Cp=6.320である。
一方、比較例2は、中心値180(μm)に対し、5(μm)小さい175(μm)であり、この5(μm)の大きさは、片側測定公差50(μm)の10%分に相当する。工程能力は、Cp=5.579である。
【0070】
実施例2と、品質上、これまで問題なく製造されてきた比較例2とを対比しても、実施例2に係るはんだ厚の平均値182(μm)は、比較例2より中心値180(μm)に近づく結果となった。また、工程能力について、実施例2は、比較例2でも優れたCp=5.679をさらに上回る結果となった。
よって、実施例2の結果は、比較例2に劣らず、有意性を持った結果であることが判る。
【0071】
次に、図12を用いて、実施例3と比較例3とを対比して、実施例3の有意性を検討する。
図12に示すように、実施例3は、規格値180±50(μm)の中心値180(μm)に対し、1(μm)小さい179(μm)であり、この1(μm)の大きさは、片側測定公差50(μm)の2%分に相当する。工程能力は、Cp=5.977である。
一方、比較例3は、中心値180(μm)に対し3(μm)大きい183(μm)であり、この3(μm)の大きさは、片側測定公差50(μm)の6%分に相当する。工程能力は、Cp=5.384である。
【0072】
実施例3と、品質上、これまで問題なく製造されてきた比較例3とを対比しても、実施例3に係るはんだ厚の平均値179(μm)は、比較例3より中心値180(μm)に近づく結果となった。また、工程能力について、実施例3は、比較例3でも優れたCp=5.384をさらに上回る結果となった。
よって、実施例3の結果は、比較例3に劣らず、有意性を持った結果であることが判る。
【0073】
このように、はんだ厚のバラツキについて、基板支持装置1を用いて製造した製品と、従来装置を用いてこれまで問題なく製造してきた製品とを比較したが、基板支持装置1を用いて製造した製品は、従来装置を用いて製造した製品と、基板幅50mm、150mm、250mmの何れの基板幅の場合も、品質上、差異がないことが確認できた。
すなわち、基板支持装置1を用いたプリント基板製造ラインで、基板80の上面80aにはんだ印刷を行っても、特許文献2のような、バックアップピンにより基板下面を支持する従来装置を用いて製造する場合と同様、製造する基板80の幅に合わせて、基板80へのはんだ印刷を高品質に行うことができる。
【0074】
前述した構成を有する本実施形態に係る基板支持装置1の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る基板支持装置1では、コンベア幅方向Wに沿う方向の両端側でコンベア3に載置された基板80を、該基板80の下面80b側から可動バックアップ部材30により支持する基板支持装置1において、コンベア3は、基板80の一端側を載置する固定側コンベア11と、基板80の他端側を載置すると共に、固定側コンベア11と近接または離間するコンベア幅方向Wに移動可能な可動側コンベア21とからなり、9つの可動バックアップ部材30が、可動側コンベア21の可動側本体部23とそれぞれ連結可能に設けられ、可動バックアップ部材30毎に、可動側コンベア21の可動側本体部23との連結をそれぞれ解除する9つのストッパ50と、可動側コンベア21をコンベア幅方向Wに移動させる駆動手段2と、を有し、9つのストッパ50はそれぞれ、コンベア幅方向Wに対し、固定側コンベア11と可動側コンベア21との間で予め設定された所定位置(第1位置、第2位置及び可動側本体部23の下方位置)に配置されているので、プリント基板製造ラインで基板80の上面80aにはんだ印刷等の処理を施すときに、処理する基板80の仕様によって、コンベア3上に載置される基板80の幅が異なる場合でも、製造ラインの稼働率を低下させず、製造する基板80の幅に合わせた基板80へのはんだ印刷を、高品質に低コストで行うことができる。
【0075】
すなわち、本実施形態のように、コンベア上に載置した基板80にはんだ印刷機によりはんだ印刷81を行うプリント基板製造ラインでは、一つの製造ラインでプリント基板の仕様毎に幅寸法が異なる多品種の基板80が載置できるよう、コンベア幅を基板幅に対応させて変更する場合がある。
一方、はんだ印刷では、印刷時にスキージを基板80の上面80a全体に密着させて高品質なはんだ印刷81ができるよう、基板80の下面80bで、スキージによる押圧によって基板80が撓むのを防止できる支持位置に、バックアップ部材を配置しなければならない。そのためには、コンベア上に載置する基板の幅に対応させ、コンベア幅とバックアップ部材の配置位置とを変更する段取り替えや、設備上の調整が必要となる。
【0076】
本実施形態に係る基板支持装置1では、可動バックアップ部材30とストッパ50とが、1対1の関係で対応し、それぞれ9箇所に備えている。
また、各ストッパ50は、コンベア幅方向Wに対し、固定側コンベア11の固定側本体部13と可動側コンベア21の可動側本体部23との間で予め設定された所定位置(第1位置、第2位置及び可動側本体部23の下方位置)に配置されている。
【0077】
コンベア3上に載置する基板80の幅に変更があるときには、その基板幅に対応する幅に、駆動手段2により可動側コンベア21を移動させる。
このとき、各可動バックアップ部材30が、磁石Mにより可動側コンベア21の可動側本体部23と連結させて、可動側コンベア21を移動させると、各可動バックアップ部材30は、基板80の幅に合わせてコンベア幅方向Wに移動するが、所定位置に予め設定された各ストッパ50が作用すると、可動側コンベア21の可動側本体部23との連結を解除する。
これにより、可動側コンベア21がたとえ移動し続けても、ストッパ50が作用すると、可動バックアップ部材30は、作用したその位置で移動できなくなり、スキージによる押圧によって基板80が撓むのを防止できる支持位置として、自動的にその支持位置に配置される。
【0078】
このような可動バックアップ部材30は、基板80の厚みや下面80bの形状に合わせ、隣接する支持位置同士の距離が大きく離れず、複数箇所の支持位置に配置し、基板80の下面80b全体で基板80への押圧力に対する反力を、基板80全面に対し、できるだけ均等になるよう作用させることが好ましい。
そこで、可動バックアップ部材30を配置する位置を決定するストッパ50の設置位置としては、基板80の厚みや下面80b形状を考慮して、例えば、固定側コンベア11の固定側搬送ベルト12に載置した基板の一端側と比較的近い位置、可動側コンベア21の可動側搬送ベルト22に載置した基板80の他端側と比較的近い位置、基板80の一端側と他端側との間にある位置等に予め設定しておくことが好ましい。
加えて、コンベア10の搬送方向Lに対し、隣接する可動バックアップ部材30,30同士ができるだけ近接する位置に、各ストッパ50を配置するようにすることが好ましい。
【0079】
このように、可動バックアップ部材30による基板の支持位置を、コンベア幅方向Wに対し、固定側コンベア11と可動側コンベア21との間で分散させて、基板80への押圧力に対する反力を、基板80全面に対し、できるだけ均等になるよう作用させることができる。
よって、本実施形態に係る基板支持装置1では、幅寸法が異なる多品種の基板80をコンベア3上に載置し、はんだ印刷81等の基板処理を基板80の上面80aに行う場合でも、可動側コンベア21の移動と各ストッパ50とにより、基板80の幅に因らず、各可動バックアップ部材30を、基板80の下面80bを支持したい所定の支持位置に、自動で適切に配置することができる。
【0080】
また、コンベア3上に載置する基板80の幅に変更があり、製造ラインの段取り替えを行う場合に、製造ラインを一旦停止させ手動で治具等の段取り替えを全く必要としないことから、基板製造の工程数が増えず、長時間にわたってラインの停止が生じない。そのため、製造ラインの稼働率が低下することもなく、基板処理を多品種少量生産体制で製造する場合にも適する。
さらに、基板80の幅を変更するとき、治具等の段取り替えを全く必要せず、駆動手段2による可動側コンベア21の移動距離を変更するだけで、可動バックアップ部材30を適切な支持位置に自動で配置できるため、治具等の取替えや調整で生じ易い人的ミスも回避でき、品質管理上、人的ミスに起因した歩留りの低下を防止でき、結果的にコスト高を招くことも抑止できる。
【0081】
ところで、バックアップピンによる従来の基板支持装置では、バックアップピンを設けたバックアップ治具を、製造する基板の幅に対応させた一品一様の専用仕様で製作しなければならず、基板幅の変更に伴う段取り替えに、高額な治具費が必要となっていた。
【0082】
これに対しても、本実施形態に係る基板支持装置1では、基板幅に因らず、可動側コンベア21の移動とストッパ50とにより、可動バックアップ部材30を、基板80の下面80bの適正な支持位置に自動的に配置することができるため、基板幅に変更があっても、従来、必要であった高額な治具費が不要となり、基板処理のコスト削減に貢献できる。
【0083】
従って、本実施形態に係る基板支持装置1では、処理する基板80の幅が変更されても、製造ラインの稼働率を低下させず、基板幅に合わせた基板処理を、低コストで高品質に行うことができる、という優れた効果を奏する。
【0084】
また、本実施形態に係る基板支持装置1では、固定側コンベア11の固定側本体部13と可動側コンベア21の可動側本体部23との間を直線運動で可動バックアップ部材30を移動させるリニアガイド40を9箇所に有し、9つのリニアガイド40はそれぞれ並列に配置され、9つのストッパ50はそれぞれ、リニアガイド40毎に配置位置を変更可能にして設置されているので、駆動手段2により可動側コンベア21がコンベア幅方向Wに移動すると、ストッパ50で可動側コンベア21との連結を解除するまでの間、各可動バックアップ部材30が、それぞれのリニアガイド40を直線運動で同時に移動することができる。
【0085】
その一方で、各ストッパ50は、リニアガイド40毎に配置位置を変更可能にして設置されているため、可動バックアップ部材30が、ストッパ50の作動位置まで、リニアガイド40を介して可動側コンベア21と共に、固定側コンベア11と離れる向きに移動し、ストッパ50の設置場所によって、各可動バックアップ部材30を、基板80の下面80bに対し分散して配置できるようにできる。
【0086】
また、本実施形態に係る基板支持装置1では、9つのストッパ50は、9つのリニアガイド40に対し、千鳥状の配置で設置されているので、各可動バックアップ部材30を、基板80の下面80bに分散して配置できることから、基板80の上面80aにかかる押圧力に対する反力を、基板80の下面80bに万遍なく広域に作用させることができるようになる。
特に、本実施形態に係る基板支持装置1を用いて基板80に、はんだ印刷81等を行う場合には、はんだ印刷機のスキージが基板80の上面80aにはんだ印刷するときに、千鳥状の配置された9つの可動バックアップ部材30により、印刷時にかかるスキージによる押圧力で基板80が撓むのを防止でき、基板80の上面80aがスキージに密着して、はんだ印刷81の印刷精度を高くすることができる。
【0087】
また、本実施形態に係る基板支持装置1では、可動側コンベア21の可動側本体部23は、鋼材等の磁性体の材質からなり、9つの可動バックアップ部材30にはそれぞれ磁石Mが配設され、可動側コンベア21と可動バックアップ部材30とは、磁石Mによる吸引力で連結されるので、可動バックアップ部材30と可動側コンベア21の可動側本体部23とが、安価な手段で確実に連結できるようになる。
また、可動バックアップ部材30と可動側コンベア21とを、磁石Mによる吸着で連結させる簡単な構造で構成されているため、可動側コンベア21と可動バックアップ部材30との連結に関する耐久性、信頼性が高くなっている。
【0088】
また、本実施形態に係る基板支持装置1では、固定側コンベア11と9つの可動バックアップ部材30との間には、9つの可動バックアップ部材30のそれぞれを可動側コンベア21に向けて付勢する9つのバネ60が設けられているので、各バネ60により各可動バックアップ部材30を可動側コンベア21に押圧することで、各可動バックアップ部材30との間で、可動側コンベア21との連結状態にバラツキがなく、それぞれの可動バックアップ部材30の磁石Mと可動側コンベア21とを確実に吸着させ、可動側コンベア21と連結する可動バックアップ部材30を所定位置まで確実に移動させることができる。
【0089】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
例えば、実施形態では、基板支持装置1に、バックアップ部材30、リニアガイド40及びストッパ50を、それぞれ9つ設けた。しかしながら、バックアップ部材、ガイド手段、及び連結解除手段の数量は、実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 基板支持装置
2 駆動手段
3 コンベア
11 固定側コンベア
21 可動側コンベア
30 可動バックアップ部材(バックアップ部材)
40 リニアガイド(ガイド手段)
50 ストッパ(連結解除手段)
M(Ma,Mb,Mc) 磁石
60 バネ(付勢部材)
80 基板
80b (基板の)下面
W コンベア幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端側でコンベアに載置された基板を、該基板の下面側からバックアップ部材により支持する基板支持装置において、
前記コンベアは、前記基板の一端側を載置する固定側コンベアと、前記基板の他端側を載置すると共に、前記固定側コンベアと近接または離間するコンベア幅方向に移動可能な可動側コンベアとからなり、
前記複数のバックアップ部材が、前記可動側コンベアとそれぞれ連結可能に設けられ、
前記バックアップ部材毎に、前記可動側コンベアとの連結をそれぞれ解除する連結解除手段と、前記可動側コンベアを前記コンベア幅方向に移動させる駆動手段と、を有し、
前記連結解除手段は、前記コンベア幅方向に対し、前記固定側コンベアと前記可動側コンベアとの間で予め設定された所定位置に配置されていることを特徴とする基板支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載する基板支持装置において、
前記固定側コンベアと前記可動側コンベアとの間を直線運動で前記バックアップ部材を移動させるガイド手段を複数箇所に有し、
前記複数のガイド手段はそれぞれ並列に配置され、
前記複数の連結解除手段はそれぞれ、前記ガイド手段毎に配置位置を変更可能にして設置されていることを特徴とする基板支持装置。
【請求項3】
請求項2に記載する基板支持装置において、
前記複数の連結解除手段は、前記複数のガイド手段に対し、千鳥状の配置で設置されていることを特徴とする基板支持装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載する基板支持装置において、
前記可動側コンベアは、磁性体からなり、
前記複数のバックアップ部材にはそれぞれ磁石が配設され、
前記可動側コンベアと前記バックアップ部材とは、前記磁石による吸引力で連結されることを特徴とする基板支持装置。
【請求項5】
請求項4に記載する基板支持装置において、
前記固定側コンベアと前記複数のバックアップ部材との間には、前記複数のバックアップ部材のそれぞれを前記可動側コンベアに向けて付勢する複数の付勢部材が設けられていることを特徴とする基板支持装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−89644(P2012−89644A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234440(P2010−234440)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】