基板洗浄装置および基板洗浄方法
【課題】基板に噴射される微細液滴の粒径の均一性を向上するとともに微細液滴を所望の速度で基板に衝突させる。
【解決手段】基板洗浄装置1は、洗浄液液滴を生成し、所定の粒径以下の微細液滴を選別する液滴生成部3、液滴生成部3から供給される微細液滴を加速ガスと共に基板9に向けて噴射する噴射ノズル4を備える。液滴生成部3は、液滴を生成する液滴生成用ノズル31、および、微細液滴を選別する液滴選別室32を備える。液滴選別室32では、液滴がキャリアガス中にて浮遊した状態で移動し、液滴選別室32内での移動距離が長い液滴が微細液滴として噴射ノズル4に供給される。その結果、基板9に噴射される微細液滴の粒径の均一性を向上することができる。また、微細液滴を適切な噴射速度で基板9に向けて噴射することにより微細液滴を所望の速度で基板に衝突させることができる。
【解決手段】基板洗浄装置1は、洗浄液液滴を生成し、所定の粒径以下の微細液滴を選別する液滴生成部3、液滴生成部3から供給される微細液滴を加速ガスと共に基板9に向けて噴射する噴射ノズル4を備える。液滴生成部3は、液滴を生成する液滴生成用ノズル31、および、微細液滴を選別する液滴選別室32を備える。液滴選別室32では、液滴がキャリアガス中にて浮遊した状態で移動し、液滴選別室32内での移動距離が長い液滴が微細液滴として噴射ノズル4に供給される。その結果、基板9に噴射される微細液滴の粒径の均一性を向上することができる。また、微細液滴を適切な噴射速度で基板9に向けて噴射することにより微細液滴を所望の速度で基板に衝突させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を洗浄する基板洗浄装置および基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体基板(以下、単に「基板」という。)の製造工程において、基板の表面に付着したパーティクルを除去する枚葉式の洗浄装置では、洗浄液の微小な液滴を基板に向けて噴射することにより基板を洗浄する技術が利用されている。
【0003】
このような洗浄装置では、基板表面に設けられたパターンに損傷を与えることなくパーティクルを除去するために、噴射される液滴のエネルギーを均一かつ適切な値とすることが好ましいが、実際の液滴の粒径は1μm〜100μm程度の広い範囲に亘っており、噴射速度のばらつきも大きい。例えば、液体と気体とを混合して生成した液滴を噴射する2流体ノズルを利用する場合、一般的に気体の流量を大きくすれば生成される液滴の粒径のばらつきを小さくすることができるが、気体流量(すなわち、液滴の噴射速度)を制御することができる範囲が限定されるため、洗浄条件の柔軟性が低下してしまう。
【0004】
そこで、予め生成した液滴を加速用ガスと混合して噴射する技術が提案されている。例えば、特許文献1では、液滴生成室内に貯溜される液体を振動させて液滴を生成し、これを混合器内に搬送して加速用ガスと混合して噴出する液滴噴射装置が開示されている。
【0005】
一方、液体の微粒子を発生する装置として、例えば、特許文献2では、2流体ノズルにより生成されて整流コーンにより微粒子分別容器の下部へと導かれた微粒子のうち、粒径が大きい微粒子の浮上を微粒子通過孔が多数設けられた微粒子選別プレートにより抑制し、粒径が小さい超微粒子のみを浮上させることにより選別して吐出する超微粒子発生装置が開示されている。また、特許文献3では、特許文献2の超微粒子発生装置において、吐出される超微粒子の粒径の分布を検出し、検出結果に基づいて微粒子を生成する2流体ノズル等を制御することにより、選別されて吐出される超微粒子の粒径を制御する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−223378号公報
【特許文献2】特開2003−10741号公報
【特許文献3】特開2003−80125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、基板上のパターンの高精細化に伴い、液滴の更なる微細化および粒径の均一化、並びに、基板上における液滴の被噴射範囲の高精度化が求められている。しかしながら、特許文献1の液滴噴射装置では、液滴生成室内において生成された液滴をそのまま混合室へと搬送して噴射しているため、液滴の粒径の均一性向上に限界があり、所望の粒径以上の大きさの液滴が基板に噴射されることにより基板に過度の衝撃を与える恐れがある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板に噴射される微細液滴の粒径の均一性を向上するとともに微細液滴を所望の速度で基板に衝突させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、基板を洗浄する基板洗浄装置であって、基板を保持する基板保持部と、洗浄用の液滴を生成し、所定の粒径以下の微細液滴を選別する液滴生成部と、前記液滴生成部からキャリアガスと共に供給される前記微細液滴を前記キャリアガスよりも高速にて噴射される加速ガスと共に前記基板に向けて噴射する2流体ノズルとを備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板洗浄装置であって、前記液滴生成部が、生成された前記液滴を前記キャリアガス中にて浮遊させつつ前記キャリアガスと共に移動させる選別室を備え、前記液滴のうち前記選別室内での移動距離が長い液滴が、前記微細液滴として前記選別室から取り出される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の基板洗浄装置であって、前記液滴生成部が、液体と気体とを混合して前記液滴を生成するもう1つの2流体ノズルを備える。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の基板洗浄装置であって、前記液滴生成部が、液体を貯溜する貯溜槽と、前記液体に超音波振動を付与して前記液滴を生成する超音波振動子とを備える。
【0012】
請求項5に記載の発明は、基板を洗浄する基板洗浄方法であって、洗浄用の液滴を生成する工程と、前記液滴から所定の粒径以下の微細液滴を選別する工程と、キャリアガスと共に供給される前記微細液滴を、前記キャリアガスよりも高速にて噴射される加速ガスと共に2流体ノズルから基板に向けて噴射する工程とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、基板に噴射される微細液滴の粒径の均一性を向上することができる。また、微細液滴を所望の速度で基板に衝突させることができる。
【0014】
請求項2の発明では、微細液滴の選別に係る構成を簡素化することができる。請求項3の発明では、液滴の生成に係る構成を簡素化することができる。請求項4の発明では、液滴の生成に係る構成を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板洗浄装置1の構成を示す正面図である。基板洗浄装置1は、半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)の表面を洗浄し、基板9の表面に付着したパーティクル等の異物を除去する装置である。
【0016】
図1に示すように、基板洗浄装置1は、円板状の基板9を保持する基板保持部2、基板9の洗浄用の微粒子として洗浄液(本実施の形態では、脱イオン水)の液滴を生成し、所定の粒径以下の液滴(以下、「微細液滴」という。)を選別する液滴生成部3、液滴生成部3から供給される微細液滴を基板9に向けて噴射する噴射ノズル4、および、これらの機構を制御する制御部5を備える。
【0017】
基板保持部2は、基板9を下側から保持する略円板状のチャック21を備え、チャック21の外周上には、基板9を把持する複数のチャックピン211が設けられる。チャック21の下面にはシャフト22が設けられ、シャフト22はモータ23に接続される。基板9は、基板9の中心がシャフト22の中心軸上に位置するようにチャック21に保持される。基板保持部2では、制御部5の制御によりモータ23が駆動されることによりシャフト22が回転し、基板9がチャック21およびシャフト22と共にシャフト22の中心軸を中心として回転する。
【0018】
液滴生成部3は、洗浄液の液滴を生成する液滴生成用ノズル31、および、液滴生成用ノズル31からの液滴を選別する液滴選別室32を備え、液滴生成用ノズル31は、液滴を噴射する先端部を液滴選別室32の内部に向けて液滴選別室32の上部に取り付けられる。液滴生成用ノズル31は、液体と気体とを液滴生成用ノズル31の外部において混合して噴射することにより液滴を生成する外部混合型の2流体ノズルであり、配管311,312およびバルブ313,314を介して洗浄液供給部315およびキャリアガス供給部316に接続されている。
【0019】
液滴生成用ノズル31の内部には、キャリアガス(本実施の形態では、窒素(N2)ガス)が流れる略円筒状の外側流路317、および、外側流路317の内側に同軸状に配置されて洗浄液が流れる略円筒状の内側流路318が設けられる。外側流路317はキャリアガス供給部316に接続され、内側流路318は洗浄液供給部315に接続される。液滴生成部3では、液滴生成用ノズル31の内側流路318の先端から吐出された洗浄液と、外側流路317の先端から噴射されたキャリアガスとが混合されて洗浄液の液滴が生成され、キャリアガスと共に液滴選別室32内に供給される。
【0020】
液滴選別室32の上部には、液滴生成用ノズル31からの液滴の中から選別された微細液滴が送出される微細液滴送出口321、および、微細液滴送出口321と液滴生成用ノズル31との間に配置される仕切板322が設けられる。仕切板322の上端および両側端部(紙面に垂直な方向の端部)は液滴選別室32の上部内面および側部内面に取り付けられており、下端は液滴選別室32の底部から上方に離れている。このため、液滴選別室32の内部空間は、仕切板322が配置された上部において、液滴生成用ノズル31側の空間(以下、「第1上部空間」という。)301と微細液滴送出口321側の空間(以下、「第2上部空間」という。)303とに分割されており、第1上部空間301および第2上部空間303は、仕切板322の下方の空間(以下、「下部空間」という。)302を介して連通する。
【0021】
液滴選別室32では、液滴生成用ノズル31により生成されて第1上部空間301に供給された液滴が、キャリアガス中にて浮遊しつつキャリアガスと共に下部空間302へと移動する。下部空間302では、粒径が大きく重い液滴は重力により液滴選別室32の底部に落下し、粒径が小さい液滴はキャリアガスと共に上昇して第2上部空間303へと移動する。そして、第2上部空間303に移動した液滴のうち、粒径が小さい一部の液滴がキャリアガスと共に上昇し続け、微細液滴送出口321に到達した液滴、すなわち、液滴選別室32内での移動距離である浮遊距離が長い液滴が、所定の粒径以下の微細液滴として微細液滴送出口321から送出されて液滴選別室32から取り出される。なお、底部に落下した洗浄液は、図示省略の排出機構により液滴選別室32から排出される。排出された洗浄液は、異物を除去するためのフィルタを介する等して洗浄液供給部315へと戻されて再利用されてもよい。
【0022】
液滴選別室32は、液滴供給管33およびバルブ331を介して噴射ノズル4に接続されており、バルブ331が開放されることにより、液滴選別室32から取り出された洗浄液の微細液滴がキャリアガスと共に噴射ノズル4へと供給される。基板洗浄装置1では、制御部5によりバルブ313,314の開度が変更され、液滴生成用ノズル31に供給される洗浄液およびキャリアガスの流量が制御されることにより、液滴選別室32から取り出されて噴射ノズル4へと供給される微細液滴の粒径および供給量が制御される。
【0023】
噴射ノズル4は、加速ガス供給管41およびバルブ42を介して加速ガス供給部43に接続されており、バルブ42が開放されることにより、噴射ノズル4から噴射される微細液滴を加速するガス(本実施の形態では、窒素ガスであり、以下、「加速ガス」という。)が噴射ノズル4に供給される。噴射ノズル4に対する加速ガスの供給量は、制御部5によりバルブ42の開度が変更されることにより制御される。また、噴射ノズル4は、アーム44を介して図示省略のノズル移動機構に接続されており、基板9の上方においてアーム44と共に移動可能とされる。
【0024】
図2は、噴射ノズル4近傍を示す断面図である。噴射ノズル4は、液滴生成部3(図1参照)からキャリアガスと共に供給された微細液滴と、加速ガス供給部43(図1参照)から供給された加速ガスとを、噴射ノズル4の外部において混合する外部混合型の2流体ノズルである。図2に示すように、噴射ノズル4は、略円筒状の外筒45、および、外筒45の内部に嵌め込まれた略円筒状の内筒46を備え、外筒45および内筒46は、中心軸J1を共有する同軸状に配置されている。
【0025】
内筒46の内部空間は、直線状の液滴搬送路461となっており、液滴搬送路461の基板9とは反対側の端部は、液滴供給管33(図1参照)に接続される液滴導入口462として開口している。基板洗浄装置1では、液滴生成部3により生成、選別されてキャリアガスにより運ばれる洗浄液の微細液滴が、液滴供給管33から液滴導入口462を介して液滴搬送路461内に導入される。液滴搬送路461の基板9側の端部は、液滴搬送路461に導入された洗浄液の微細液滴をキャリアガスと共に基板9に向けて噴出する液滴噴出口463として開口している。噴射ノズル4では、内筒46により、洗浄液の微細液滴の搬送方向が中心軸J1に沿う直線状に規制され、液滴噴出口463から中心軸J1に沿う方向(以下、「垂直方向」という。)に微細液滴が噴出される。基板9の洗浄時には、噴射ノズル4は、中心軸J1が基板9の上面に垂直になるように配置される。
【0026】
噴射ノズル4では、外筒45はほぼ一定の内径を有する。一方、内筒46は、垂直方向の各部で外径が変化し、内筒46の垂直方向における中間部46aは、外筒45の内径よりも小さな外径を有する。内筒46の液滴噴出口463側および液滴導入口462側の端部近傍には、内筒46の外周面から張り出すように、内筒46と一体的に形成されたフランジ46b,46cがそれぞれ設けられている。フランジ46b,46cは外筒45の内径にほぼ等しい外径を有しているため、外筒45の内部に嵌め込まれた内筒46は、フランジ46b,46cの外周面にて外筒45の内周面に密接する。そして、内筒46の中間部46aと外筒45の内周面との間に、中心軸J1を中心とする略円筒状の間隙である円筒流路471が形成される。外筒45の垂直方向における中間近傍には、加速ガス供給管41(図1参照)に接続される加速ガス導入口451が形成されており、加速ガスが加速ガス導入口451を介して円筒流路471に導入される。
【0027】
図3および図4は、内筒46のフランジ46b近傍を拡大して示す正面図および底面図である。図3および図4に示すように、フランジ46bは、円筒状の部位の下側に中空の円錐台が設けられた形状を有しており、中心軸J1に対して略垂直に突出している。フランジ46bには、垂直方向にフランジ46bを貫通する6つのスリット464が形成されている。各スリット464は、フランジ46bの外周面からフランジ46bの内側に向かって、中心軸J1に略平行、かつ、中心軸J1を含まない平面に沿うように、互いにほぼ等角度間隔で形成されている。各スリット464は、垂直方向に見て、フランジ46bの外周面における開口(以下、「側面開口」という。)465と中心軸J1とを結ぶ径方向に対して所定の角度にて斜交しており、また、フランジ46bから下方に突出して設けられた円筒状の内筒先端部46dの外周面にほぼ接する。
【0028】
図2に示すように、外筒45は基板9側の先端に外筒先端部45aを備える。外筒先端部45aは、液滴噴出口463側の先端に向かうに従って内径が漸次小さくなるテーパ状の内周面、および、テーパ状の内周面の下方に設けられる中心軸J1に平行な内周面を有する。噴射ノズル4では、各スリット464の側面開口465(図4参照)が外筒45の内周面により閉塞され、側面開口465の下部が外筒先端部45aのテーパ状の内周面により閉塞されることにより、円筒流路471と連通するとともに円筒流路471からの加速ガスの流れの方向を変更する方向変更部472が形成される。
【0029】
また、外筒先端部45aの内径は内筒先端部46dの外径よりも大きいため、外筒先端部45aと内筒先端部46dとの間に中心軸J1の周囲を囲む略円筒状の間隙であって、方向変更部472からの加速ガスが導かれて旋回流を形成する旋回流形成部473が形成される。旋回流形成部473の基板9側の先端は、液滴噴出口463の周囲を囲む円環状の加速ガス噴射口474として、液滴噴出口463に近接して開口している。上述のように、スリット464は内筒先端部46dの外周面にほぼ接するように形成されているため(図4参照)、噴射ノズル4を基板9側から見た場合、方向変更部472の中心軸J1側の部位は、加速ガス噴射口474と重なっている。
【0030】
噴射ノズル4では、周囲にスリット464が形成された内筒46を外筒45の内部に嵌め込むことにより、加速ガスが流れる円筒流路471、方向変更部472および旋回流形成部473(以下、これらをまとめて、「加速ガス流路47」という。)が容易に形成される。
【0031】
図5は、洗浄動作時に基板洗浄装置1において行われる処理の流れを示す図である。ただし、実際には図5に示す各ステップは並行して行われる。基板9が洗浄される際には、まず、図1に示す基板保持部2においてモータ23が制御部5により駆動され、基板9の回転が開始される。続いて、液滴生成部3において、制御部5の制御によりバルブ313,314,331,42が開放され、図5に示す処理が継続的に行われる。基板洗浄装置1では、バルブ313,314が開放されることにより、液滴生成用ノズル31に洗浄液とキャリアガスとが供給される。そして、洗浄液とキャリアガスとが液滴生成用ノズル31の外部において混合されて洗浄液の液滴が生成され、液滴選別室32内にキャリアガスと共に噴射される(ステップS11)。
【0032】
液滴選別室32内に噴射された液滴は、キャリアガス中にて浮遊しつつ液滴生成用ノズル31から微細液滴送出口321へとキャリアガスと共に液滴選別室32内を移動し、液滴生成用ノズル31により生成された液滴の中から所定の粒径以下の微細液滴が微細液滴送出口321に到達することにより選別される(ステップS12)。基板洗浄装置1では、選別された微細液滴の粒径は1μm〜10μm程度とされる。
【0033】
選別された微細液滴はキャリアガスにより運ばれ、液滴供給管33を介してキャリアガスと共に噴射ノズル4に供給される。そして、微細液滴の供給と並行して、バルブ42を介して加速ガスが加速ガス供給部43から噴射ノズル4に供給される(ステップS13)。
【0034】
噴射ノズル4に加速ガスが供給されると、加速ガスは、図2に示す円筒流路471内を加速ガス流路47の母線方向(すなわち、垂直方向)に沿って下方に流れ、方向変更部472へと導かれる。方向変更部472では、各スリット464(図4参照)の外周側において下方へと流れる加速ガスが、外筒先端部45aのテーパ状の内周面に沿って図4中の矢印Kにて示すフランジ46bの中心軸J1側に向かって流れつつ図2に示す旋回流形成部473へと導かれる。このように、方向変更部472では、加速ガスの向き(すなわち、加速ガスが流れる方向)が垂直方向から、中心軸J1を中心とする円周方向に沿う成分を有する方向へと変換される。
【0035】
方向変更部472の6つのスリット464を通過した加速ガスは、旋回流形成部473において中心軸J1を中心とする円周方向に沿って、図4中における反時計回りに旋回しつつ下方へと流れる。加速ガスは、中心軸J1を中心とする円周上において互いにほぼ等角度間隔に配列された6つのスリット464から旋回流形成部473へと導かれるため、円周方向(すなわち、旋回方向)に関して均一な旋回流となる。
【0036】
図2に示す旋回流形成部473を通過した加速ガスは、加速ガス噴射口474を介して液滴噴出口463の周囲全周から旋回流として噴射される。液滴噴出口463の周囲の各方向から噴射された加速ガスは、液滴噴出口463からキャリアガスと共に噴出される洗浄液の微細液滴の移動経路上において互いに衝突しつつキャリアガスおよび微細液滴と混合される。加速ガスはキャリアガスよりも高速にて噴射され、キャリアガスに運ばれる微細液滴は、加速ガスにより加速されつつ噴射ノズル4から基板9に向けて加速ガスと共に噴射される(ステップS14)。
【0037】
基板9への微細液滴の噴射が開始されると、図1に示す基板保持部2により回転する基板9の上方において、ノズル移動機構により噴射ノズル4が移動を開始し、基板9の中心と外周上の1点との間の上方にて、すなわち、図1中に実線にて示す位置と二点鎖線にて示す位置との間にて、往復移動を繰り返して基板9の上面全体(あるいは、所定の範囲)の洗浄が行われる。そして、基板9の洗浄が終了すると、液滴生成部3における液滴の生成および微細液滴の選別、並びに、噴射ノズル4に対する微細液滴および加速ガスの供給が停止され、噴射ノズル4の移動および基板9の回転も停止される。
【0038】
図6は、噴射ノズル4の加速ガス噴射口474から噴射される加速ガスの進行方向を示す斜視図である。図6中の矢印Nは、加速ガスの進行方向を示す。噴射ノズル4では、旋回流形成部473(図2参照)において加速ガスが液滴搬送路461(図2参照)の周囲を均一に旋回しつつ流れることにより、加速ガス噴射口474から噴射される加速ガスが、加速ガス噴射口474近傍にて旋回方向に均一な渦巻き気流となり、液滴噴出口463から中心軸J1(図2参照)に沿って噴出されるキャリアガスおよび洗浄液の微細液滴の周囲を囲みつつキャリアガスおよび微細液滴と混合される。
【0039】
図4に示すように、噴射ノズル4では、スリット464が内筒先端部46dの外周面(すなわち、図2に示す加速ガス噴射口474の内周)にほぼ接するように形成されているため、加速ガスが加速ガス噴射口474の接線方向の成分を有する方向に向けて噴射される。その結果、図6に示すように、液滴噴出口463から噴出された洗浄液の微細液滴、および加速ガス噴射口474から噴射された加速ガスの移動経路の輪郭(図6中において二点鎖線にて示す。)は、液滴噴出口463の近傍に形成される絞り部L1と、絞り部L1から基板9の表面に向かうに従って側方に広がる拡散部M1とを有する形状となる。
【0040】
絞り部L1は、微細液滴の噴射方向(すなわち、垂直方向)に直交する略円形断面の径が、垂直方向に沿う各部で基板9に近づくに従って漸次減少する略逆円錐台形状を有している。拡散部M1は、絞り部L1の基板9側において、垂直方向に直交する略円形断面の径が基板9に近づくに従って漸次増大する略円錐台形状を有している。換言すれば、絞り部L1と拡散部M1とにより、いわゆる鼓型の形状が形成される。基板洗浄装置1では、加速ガスにより加速された微細液滴が、基板9上の略円状の被噴射範囲N1に衝突する。そして、噴射ノズル4から噴射された微細液滴が衝突する範囲である被噴射範囲N1において、基板9に付着しているパーティクル等の異物が除去される(すなわち、基板9の被噴射範囲N1が洗浄される)。
【0041】
図7は、噴射ノズル4により基板9に噴射される微細液滴の粒径の分布を示す図である。図7中の実線81は、噴射ノズル4から噴射される全微細液滴の合計体積に占める粒径毎の微細液滴の合計体積の割合を示し、粒径1μm毎に体積割合を計測してプロットしたものである。破線82は、通常の使用方法による外部混合型の2流体ノズル(すなわち、液滴化されていない洗浄液をノズルから吐出し、ノズルの外部においてガスと混合して液滴を生成および噴射する2流体ノズル)から噴射される液滴の粒径分布を比較例として示したものである。破線82では、粒径10μm以下の範囲においては、実線81と同様に1μm毎に体積割合を計測しており、また、粒径10μm〜100μmの範囲においては、5μm毎に体積割合を計測してプロットしている。
【0042】
図7に示すように、基板洗浄装置1では、噴射ノズル4により基板9に噴射される微細液滴のほとんどの粒径が1μm〜10μmとなり、通常の使用方法による外部混合型の2流体ノズルに比べて粒径の均一性を向上することができる。
【0043】
図8中の実線83は、噴射ノズル4に供給される加速ガスの流量と噴射ノズル4から噴射される微細液滴の平均粒径との関係を示す図である。破線84および一点鎖線85は、通常の使用方法による外部混合型の2流体ノズル、および、通常の使用方法による内部混合型の2流体ノズル(すなわち、液滴化されていない洗浄液とガスとをノズルの内部において混合し、液滴を生成および噴射する2流体ノズル)から噴射される液滴の平均粒径の例を比較例として示したものである。
【0044】
通常の使用方法による2流体ノズルでは、液滴化されていない洗浄液に混合されるガスの流量により液滴の粒径が決定され、また、液滴の噴射速度が決定される。一方、図1に示す基板洗浄装置1では、基板9に噴射される微細液滴の粒径は、微細液滴を生成および選別して噴射ノズル4に供給する液滴生成部3によりほぼ決定され、微細液滴の噴射速度の制御は、制御部5によりバルブ42が制御されて噴射ノズル4に対する加速ガスの供給量が変更されることにより行われる。その結果、図8に示すように、通常の使用方法による2流体ノズルでは、ガスの流量が小さくなり、液滴の噴射速度が遅くなるに従って、液滴の平均粒径が大きくなっていくが、噴射ノズル4では、微細液滴の平均粒径が加速ガスの流量にほとんど依存せず、噴射速度を変更しても粒径をほぼ一定の大きさに維持することができる。
【0045】
以上に説明したように、基板洗浄装置1では、液滴生成用ノズル31により生成された洗浄液の液滴から液滴選別室32において所定の粒径以下の微細液滴を選別し、選別された微細液滴を2流体ノズルである噴射ノズル4に供給して加速ガスと共に噴射することにより、基板9に噴射される微細液滴の粒径の均一性を向上することができる。また、微細液滴の平均粒径をほぼ一定に維持したまま噴射速度を正確に制御することができるため、粒径の均一性が高い微細液滴を所望の速度で基板9に衝突させることが可能とされる。その結果、洗浄に使用される微細液滴が基板9に与える衝撃が不必要に上昇してしまうことが防止され、基板9上のパターンの破壊を適切に防止することができる。
【0046】
基板洗浄装置1では、液滴生成部3における液滴の生成に、2流体ノズルである液滴生成用ノズル31を利用することにより、液滴の生成、および、液滴を液滴選別室32内にて移動させて選別するためのキャリアガスの供給を同時に行うことができるため、液滴の生成に係る構成を簡素化することができる。また、液滴選別室32内を仕切板322にて仕切り、液滴選別室32内での移動距離が長い液滴を微細液滴として液滴選別室32から取り出すことにより、微細液滴の選別に係る構成を簡素化することができる。
【0047】
基板洗浄装置1の噴射ノズル4では、液滴噴出口463の周囲全周から加速ガスを噴射してキャリアガスの周囲を囲みつつ加速ガスとキャリアガスとを混合することにより、微細液滴の移動経路が側方に広がって微細液滴の密度が低下してしまったり、微細液滴がガスの流れの外に飛び出してしまうことが抑制され、さらに、微細液滴の被噴射範囲を精度良く制御しつつ基板9に衝突させることができる。その結果、基板洗浄装置1では、微細液滴の消費量を抑えるとともに微細液滴の被噴射範囲を正確に制御することができ、基板9の洗浄を効率良く行うことができる。
【0048】
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る基板洗浄装置の液滴生成部3aの構成を示す正面図である。第2の実施の形態に係る基板洗浄装置では、図1の液滴生成部3に代えて液滴生成部3aが設けられる。その他の構成は図1と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0049】
図9に示すように、液滴生成部3aは、洗浄液の液体を貯溜する貯溜槽341、貯溜槽341の下部に取り付けられる超音波振動子342、および、超音波振動子342に接続される発振器343を備える。貯溜槽341の側壁には、配管312およびバルブ314を介してキャリアガス供給部316に接続される開口344が形成される。開口344は貯溜槽341内の洗浄液の液面よりも上方であって液面の近傍に設けられる。貯溜槽341の側壁上部には、貯溜槽341内の洗浄液の液面よりも上方の空間と液滴選別室32の第1上部空間301とを連通する連通部345が設けられる。
【0050】
基板9の洗浄動作時に第2の実施の形態に係る基板洗浄装置において行われる処理の流れは図5と同様であり、以下、図5に沿って説明する。基板9が洗浄される際には、まず、図1に示す基板保持部2において基板9の回転が開始され、続いて、図5に示す処理が継続的に行われる。第2の実施の形態に係る基板洗浄装置では、液滴生成部3aにおいて、制御部5(図1参照)の制御により発振器343が駆動されて超音波振動子342が振動することにより、貯溜槽341内の洗浄液に超音波振動が付与されて洗浄液の液滴が生成される(ステップS11)。生成された液滴は洗浄液の液面の上方の空間にて浮遊し、この空間にキャリアガス供給部316から開口344を介してキャリアガス(本実施の形態では、窒素ガス)が供給されることにより、液滴がキャリアガスにより運ばれ、連通部345を介して液滴選別室32の第1上部空間301へと供給される。
【0051】
第1上部空間301に供給された液滴は、キャリアガス中にて浮遊しつつ液滴選別室32内をキャリアガスと共に移動し、貯溜槽341にて生成された液滴の中から所定の粒径以下の微細液滴が、第1上部空間301、下部空間302および第2上部空間303を経由して微細液滴送出口321に到達することにより選別される(ステップS12)。選別された微細液滴の粒径は1μm〜10μm程度とされる。
【0052】
選別された微細液滴は、第1の実施の形態と同様に、液滴供給管33を介してキャリアガスと共に図1に示す噴射ノズル4に供給され、同時に、加速ガスが噴射ノズル4に供給され(ステップS13)、噴射ノズル4では、液滴噴出口463(図2参照)からの洗浄液の微細液滴が加速ガス噴射口474(図2参照)からの加速ガスにより加速されつつ基板9に向けて噴射される(ステップS14)。
【0053】
基板9への微細液滴の噴射が開始されると、回転する基板9の上方において噴射ノズル4が往復移動を繰り返して基板9の上面の洗浄が行われる。基板9の洗浄が終了すると、液滴生成部3a(図9参照)における液滴の生成および微細液滴の選別、並びに、噴射ノズル4に対する微細液滴および加速ガスの供給が停止され、噴射ノズル4の移動および基板9の回転も停止される。
【0054】
以上に説明したように、第2の実施の形態に係る基板洗浄装置では、超音波振動子342により貯溜槽341内の洗浄液に超音波振動を付与することにより液滴を生成することにより、ノズルからの液体の噴出により液滴を生成する場合に比べて第1上部空間301を大幅に小型化することができるため、全体として液滴の生成に係る構成を小型化することができる。
【0055】
第2の実施の形態に係る基板洗浄装置では、第1の実施の形態と同様に、生成された洗浄液の液滴から所定の粒径以下の微細液滴を選別して噴射ノズル4から加速ガスと共に噴射することにより、基板9に噴射される微細液滴の粒径の均一性を向上することができる。また、微細液滴の平均粒径をほぼ一定に維持したまま噴射速度を制御することにより、微細液滴を所望の適切な噴射速度で基板9に向けて噴射することができるため、微細液滴を所望の速度で基板9に衝突させることができる。さらには、液滴選別室32内での移動距離が長い液滴を微細液滴として取り出すことにより、微細液滴の選別に係る構成を簡素化することができる。
【0056】
また、第1の実施の形態と同様に、噴射ノズル4により、微細液滴の移動経路が側方に広がって微細液滴の密度が低下してしまったり、微細液滴がガスの流れの外に飛び出してしまうことが抑制され、さらに、微細液滴の被噴射範囲を精度良く制御しつつ基板9に衝突させることができる。その結果、微細液滴の粒径の均一性を向上しつつ、微細液滴の消費量を抑えるとともに微細液滴の被噴射範囲を正確に制御することができ、基板9の洗浄を効率良く行うことができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0058】
例えば、上記実施の形態に係る基板洗浄装置の液滴生成部では、微細液滴の選別の基準とされる液滴選別室32内での液滴の移動距離として、主に垂直方向における上向きの移動距離(すなわち、第2上部空間303における上昇距離)が用いられるが、他の方向における移動距離を基準として微細液滴を選別する液滴選別室32が液滴生成部に設けられてもよい。
【0059】
図10は、液滴選別室の他の例を示す正面図である。図10に示す液滴選別室32aは、水平方向に長い形状を有し、図1と同様の構造を有する液滴生成用ノズル31が一方の側壁に設けられ、液滴生成用ノズル31とは反対側の側壁に微細液滴送出口321が設けられる。液滴選別室32aでは、液滴生成用ノズル31から噴射された液滴が液滴選別室32a内を水平方向に移動し、途中で落下せずに微細液滴送出口321に到達した液滴が、微細液滴として液滴選別室32aから取り出される。すなわち、図10に示す例では、液滴選別室32a内における液滴の水平方向の移動距離の長さが、微細液滴の選別の基準とされる。
【0060】
図11は、液滴選別室のさらに他の例を示す平面図である。図11に示す液滴選別室32bも図10と同様に水平方向に長い形状を有し、液滴選別室32b内における液滴の水平方向の移動距離の長さが、微細液滴の選別の基準とされる。液滴選別室32bは、対向する側壁に液滴生成用ノズル31および微細液滴送出口321を備え、さらに、液滴生成用ノズル31と微細液滴送出口321との間の側壁に複数の仕切板322aを備える。複数の仕切板322aは、液滴選別室32bの長手方向に沿って中心線を挟んで交互に配置され、各仕切板322aは、液滴生成用ノズル31側から微細液滴送出口321側へと傾斜しつつ液滴選別室32bの内部に向かって突出し、中心線を越えるように伸びる。また、仕切板322aの上下端は液滴選別室32bの上部および下部の内面に取り付けられる。液滴選別室32bでは、複数の仕切板322aにより、液滴生成用ノズル31から微細液滴送出口321に至る経路が、液滴選別室32bの長手方向の長さよりも長くされるため、液滴選別室32bの小型化が実現される。
【0061】
基板洗浄装置では、噴射ノズル4として内部混合型の2流体ノズルが利用されてもよい。また、第1の実施の形態に係る基板洗浄装置1では、液滴生成用ノズル31として内部混合型の2流体ノズルが利用されてもよい。
【0062】
基板洗浄装置では、噴射ノズル4により噴射される液滴の粒径は1μm〜10μmに限定される必要はなく、洗浄する基板9の種類等に合わせて様々に変更されてよい。また、洗浄液として、蒸留水等のイオン交換以外の方法により得られた純水が脱イオン水の代わりに用いられてもよく、目的に合わせて他の様々な液体が用いられてもよい。
【0063】
基板洗浄装置は、プリント配線基板やフラットパネル表示装置に使用されるガラス基板等、半導体基板以外の様々な基板の洗浄に利用されてよい。なお、基板の種類や大きさ等に合わせて、基板の洗浄時における回転は省略されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1の実施の形態に係る基板洗浄装置の構成を示す正面図である。
【図2】噴射ノズル近傍を示す断面図である。
【図3】フランジ近傍を示す正面図である。
【図4】フランジ近傍を示す底面図である。
【図5】基板の洗浄時の処理の流れを示す図である。
【図6】加速ガスの進行方向を示す斜視図である。
【図7】微細液滴の粒径の分布を示す図である。
【図8】加速ガスの流量と微細液滴の粒径との関係を示す図である。
【図9】第2の実施の形態に係る基板洗浄装置の液滴生成部の構成を示す正面図である。
【図10】液滴選別室の他の例を示す正面図である。
【図11】液滴選別室の他の例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 基板洗浄装置
2 基板保持部
3,3a 液滴生成部
4 噴射ノズル
9 基板
31 液滴生成用ノズル
32,32a,32b 液滴選別室
341 貯溜槽
342 超音波振動子
S11〜S14 ステップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を洗浄する基板洗浄装置および基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体基板(以下、単に「基板」という。)の製造工程において、基板の表面に付着したパーティクルを除去する枚葉式の洗浄装置では、洗浄液の微小な液滴を基板に向けて噴射することにより基板を洗浄する技術が利用されている。
【0003】
このような洗浄装置では、基板表面に設けられたパターンに損傷を与えることなくパーティクルを除去するために、噴射される液滴のエネルギーを均一かつ適切な値とすることが好ましいが、実際の液滴の粒径は1μm〜100μm程度の広い範囲に亘っており、噴射速度のばらつきも大きい。例えば、液体と気体とを混合して生成した液滴を噴射する2流体ノズルを利用する場合、一般的に気体の流量を大きくすれば生成される液滴の粒径のばらつきを小さくすることができるが、気体流量(すなわち、液滴の噴射速度)を制御することができる範囲が限定されるため、洗浄条件の柔軟性が低下してしまう。
【0004】
そこで、予め生成した液滴を加速用ガスと混合して噴射する技術が提案されている。例えば、特許文献1では、液滴生成室内に貯溜される液体を振動させて液滴を生成し、これを混合器内に搬送して加速用ガスと混合して噴出する液滴噴射装置が開示されている。
【0005】
一方、液体の微粒子を発生する装置として、例えば、特許文献2では、2流体ノズルにより生成されて整流コーンにより微粒子分別容器の下部へと導かれた微粒子のうち、粒径が大きい微粒子の浮上を微粒子通過孔が多数設けられた微粒子選別プレートにより抑制し、粒径が小さい超微粒子のみを浮上させることにより選別して吐出する超微粒子発生装置が開示されている。また、特許文献3では、特許文献2の超微粒子発生装置において、吐出される超微粒子の粒径の分布を検出し、検出結果に基づいて微粒子を生成する2流体ノズル等を制御することにより、選別されて吐出される超微粒子の粒径を制御する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−223378号公報
【特許文献2】特開2003−10741号公報
【特許文献3】特開2003−80125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、基板上のパターンの高精細化に伴い、液滴の更なる微細化および粒径の均一化、並びに、基板上における液滴の被噴射範囲の高精度化が求められている。しかしながら、特許文献1の液滴噴射装置では、液滴生成室内において生成された液滴をそのまま混合室へと搬送して噴射しているため、液滴の粒径の均一性向上に限界があり、所望の粒径以上の大きさの液滴が基板に噴射されることにより基板に過度の衝撃を与える恐れがある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板に噴射される微細液滴の粒径の均一性を向上するとともに微細液滴を所望の速度で基板に衝突させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、基板を洗浄する基板洗浄装置であって、基板を保持する基板保持部と、洗浄用の液滴を生成し、所定の粒径以下の微細液滴を選別する液滴生成部と、前記液滴生成部からキャリアガスと共に供給される前記微細液滴を前記キャリアガスよりも高速にて噴射される加速ガスと共に前記基板に向けて噴射する2流体ノズルとを備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板洗浄装置であって、前記液滴生成部が、生成された前記液滴を前記キャリアガス中にて浮遊させつつ前記キャリアガスと共に移動させる選別室を備え、前記液滴のうち前記選別室内での移動距離が長い液滴が、前記微細液滴として前記選別室から取り出される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の基板洗浄装置であって、前記液滴生成部が、液体と気体とを混合して前記液滴を生成するもう1つの2流体ノズルを備える。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の基板洗浄装置であって、前記液滴生成部が、液体を貯溜する貯溜槽と、前記液体に超音波振動を付与して前記液滴を生成する超音波振動子とを備える。
【0012】
請求項5に記載の発明は、基板を洗浄する基板洗浄方法であって、洗浄用の液滴を生成する工程と、前記液滴から所定の粒径以下の微細液滴を選別する工程と、キャリアガスと共に供給される前記微細液滴を、前記キャリアガスよりも高速にて噴射される加速ガスと共に2流体ノズルから基板に向けて噴射する工程とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、基板に噴射される微細液滴の粒径の均一性を向上することができる。また、微細液滴を所望の速度で基板に衝突させることができる。
【0014】
請求項2の発明では、微細液滴の選別に係る構成を簡素化することができる。請求項3の発明では、液滴の生成に係る構成を簡素化することができる。請求項4の発明では、液滴の生成に係る構成を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板洗浄装置1の構成を示す正面図である。基板洗浄装置1は、半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)の表面を洗浄し、基板9の表面に付着したパーティクル等の異物を除去する装置である。
【0016】
図1に示すように、基板洗浄装置1は、円板状の基板9を保持する基板保持部2、基板9の洗浄用の微粒子として洗浄液(本実施の形態では、脱イオン水)の液滴を生成し、所定の粒径以下の液滴(以下、「微細液滴」という。)を選別する液滴生成部3、液滴生成部3から供給される微細液滴を基板9に向けて噴射する噴射ノズル4、および、これらの機構を制御する制御部5を備える。
【0017】
基板保持部2は、基板9を下側から保持する略円板状のチャック21を備え、チャック21の外周上には、基板9を把持する複数のチャックピン211が設けられる。チャック21の下面にはシャフト22が設けられ、シャフト22はモータ23に接続される。基板9は、基板9の中心がシャフト22の中心軸上に位置するようにチャック21に保持される。基板保持部2では、制御部5の制御によりモータ23が駆動されることによりシャフト22が回転し、基板9がチャック21およびシャフト22と共にシャフト22の中心軸を中心として回転する。
【0018】
液滴生成部3は、洗浄液の液滴を生成する液滴生成用ノズル31、および、液滴生成用ノズル31からの液滴を選別する液滴選別室32を備え、液滴生成用ノズル31は、液滴を噴射する先端部を液滴選別室32の内部に向けて液滴選別室32の上部に取り付けられる。液滴生成用ノズル31は、液体と気体とを液滴生成用ノズル31の外部において混合して噴射することにより液滴を生成する外部混合型の2流体ノズルであり、配管311,312およびバルブ313,314を介して洗浄液供給部315およびキャリアガス供給部316に接続されている。
【0019】
液滴生成用ノズル31の内部には、キャリアガス(本実施の形態では、窒素(N2)ガス)が流れる略円筒状の外側流路317、および、外側流路317の内側に同軸状に配置されて洗浄液が流れる略円筒状の内側流路318が設けられる。外側流路317はキャリアガス供給部316に接続され、内側流路318は洗浄液供給部315に接続される。液滴生成部3では、液滴生成用ノズル31の内側流路318の先端から吐出された洗浄液と、外側流路317の先端から噴射されたキャリアガスとが混合されて洗浄液の液滴が生成され、キャリアガスと共に液滴選別室32内に供給される。
【0020】
液滴選別室32の上部には、液滴生成用ノズル31からの液滴の中から選別された微細液滴が送出される微細液滴送出口321、および、微細液滴送出口321と液滴生成用ノズル31との間に配置される仕切板322が設けられる。仕切板322の上端および両側端部(紙面に垂直な方向の端部)は液滴選別室32の上部内面および側部内面に取り付けられており、下端は液滴選別室32の底部から上方に離れている。このため、液滴選別室32の内部空間は、仕切板322が配置された上部において、液滴生成用ノズル31側の空間(以下、「第1上部空間」という。)301と微細液滴送出口321側の空間(以下、「第2上部空間」という。)303とに分割されており、第1上部空間301および第2上部空間303は、仕切板322の下方の空間(以下、「下部空間」という。)302を介して連通する。
【0021】
液滴選別室32では、液滴生成用ノズル31により生成されて第1上部空間301に供給された液滴が、キャリアガス中にて浮遊しつつキャリアガスと共に下部空間302へと移動する。下部空間302では、粒径が大きく重い液滴は重力により液滴選別室32の底部に落下し、粒径が小さい液滴はキャリアガスと共に上昇して第2上部空間303へと移動する。そして、第2上部空間303に移動した液滴のうち、粒径が小さい一部の液滴がキャリアガスと共に上昇し続け、微細液滴送出口321に到達した液滴、すなわち、液滴選別室32内での移動距離である浮遊距離が長い液滴が、所定の粒径以下の微細液滴として微細液滴送出口321から送出されて液滴選別室32から取り出される。なお、底部に落下した洗浄液は、図示省略の排出機構により液滴選別室32から排出される。排出された洗浄液は、異物を除去するためのフィルタを介する等して洗浄液供給部315へと戻されて再利用されてもよい。
【0022】
液滴選別室32は、液滴供給管33およびバルブ331を介して噴射ノズル4に接続されており、バルブ331が開放されることにより、液滴選別室32から取り出された洗浄液の微細液滴がキャリアガスと共に噴射ノズル4へと供給される。基板洗浄装置1では、制御部5によりバルブ313,314の開度が変更され、液滴生成用ノズル31に供給される洗浄液およびキャリアガスの流量が制御されることにより、液滴選別室32から取り出されて噴射ノズル4へと供給される微細液滴の粒径および供給量が制御される。
【0023】
噴射ノズル4は、加速ガス供給管41およびバルブ42を介して加速ガス供給部43に接続されており、バルブ42が開放されることにより、噴射ノズル4から噴射される微細液滴を加速するガス(本実施の形態では、窒素ガスであり、以下、「加速ガス」という。)が噴射ノズル4に供給される。噴射ノズル4に対する加速ガスの供給量は、制御部5によりバルブ42の開度が変更されることにより制御される。また、噴射ノズル4は、アーム44を介して図示省略のノズル移動機構に接続されており、基板9の上方においてアーム44と共に移動可能とされる。
【0024】
図2は、噴射ノズル4近傍を示す断面図である。噴射ノズル4は、液滴生成部3(図1参照)からキャリアガスと共に供給された微細液滴と、加速ガス供給部43(図1参照)から供給された加速ガスとを、噴射ノズル4の外部において混合する外部混合型の2流体ノズルである。図2に示すように、噴射ノズル4は、略円筒状の外筒45、および、外筒45の内部に嵌め込まれた略円筒状の内筒46を備え、外筒45および内筒46は、中心軸J1を共有する同軸状に配置されている。
【0025】
内筒46の内部空間は、直線状の液滴搬送路461となっており、液滴搬送路461の基板9とは反対側の端部は、液滴供給管33(図1参照)に接続される液滴導入口462として開口している。基板洗浄装置1では、液滴生成部3により生成、選別されてキャリアガスにより運ばれる洗浄液の微細液滴が、液滴供給管33から液滴導入口462を介して液滴搬送路461内に導入される。液滴搬送路461の基板9側の端部は、液滴搬送路461に導入された洗浄液の微細液滴をキャリアガスと共に基板9に向けて噴出する液滴噴出口463として開口している。噴射ノズル4では、内筒46により、洗浄液の微細液滴の搬送方向が中心軸J1に沿う直線状に規制され、液滴噴出口463から中心軸J1に沿う方向(以下、「垂直方向」という。)に微細液滴が噴出される。基板9の洗浄時には、噴射ノズル4は、中心軸J1が基板9の上面に垂直になるように配置される。
【0026】
噴射ノズル4では、外筒45はほぼ一定の内径を有する。一方、内筒46は、垂直方向の各部で外径が変化し、内筒46の垂直方向における中間部46aは、外筒45の内径よりも小さな外径を有する。内筒46の液滴噴出口463側および液滴導入口462側の端部近傍には、内筒46の外周面から張り出すように、内筒46と一体的に形成されたフランジ46b,46cがそれぞれ設けられている。フランジ46b,46cは外筒45の内径にほぼ等しい外径を有しているため、外筒45の内部に嵌め込まれた内筒46は、フランジ46b,46cの外周面にて外筒45の内周面に密接する。そして、内筒46の中間部46aと外筒45の内周面との間に、中心軸J1を中心とする略円筒状の間隙である円筒流路471が形成される。外筒45の垂直方向における中間近傍には、加速ガス供給管41(図1参照)に接続される加速ガス導入口451が形成されており、加速ガスが加速ガス導入口451を介して円筒流路471に導入される。
【0027】
図3および図4は、内筒46のフランジ46b近傍を拡大して示す正面図および底面図である。図3および図4に示すように、フランジ46bは、円筒状の部位の下側に中空の円錐台が設けられた形状を有しており、中心軸J1に対して略垂直に突出している。フランジ46bには、垂直方向にフランジ46bを貫通する6つのスリット464が形成されている。各スリット464は、フランジ46bの外周面からフランジ46bの内側に向かって、中心軸J1に略平行、かつ、中心軸J1を含まない平面に沿うように、互いにほぼ等角度間隔で形成されている。各スリット464は、垂直方向に見て、フランジ46bの外周面における開口(以下、「側面開口」という。)465と中心軸J1とを結ぶ径方向に対して所定の角度にて斜交しており、また、フランジ46bから下方に突出して設けられた円筒状の内筒先端部46dの外周面にほぼ接する。
【0028】
図2に示すように、外筒45は基板9側の先端に外筒先端部45aを備える。外筒先端部45aは、液滴噴出口463側の先端に向かうに従って内径が漸次小さくなるテーパ状の内周面、および、テーパ状の内周面の下方に設けられる中心軸J1に平行な内周面を有する。噴射ノズル4では、各スリット464の側面開口465(図4参照)が外筒45の内周面により閉塞され、側面開口465の下部が外筒先端部45aのテーパ状の内周面により閉塞されることにより、円筒流路471と連通するとともに円筒流路471からの加速ガスの流れの方向を変更する方向変更部472が形成される。
【0029】
また、外筒先端部45aの内径は内筒先端部46dの外径よりも大きいため、外筒先端部45aと内筒先端部46dとの間に中心軸J1の周囲を囲む略円筒状の間隙であって、方向変更部472からの加速ガスが導かれて旋回流を形成する旋回流形成部473が形成される。旋回流形成部473の基板9側の先端は、液滴噴出口463の周囲を囲む円環状の加速ガス噴射口474として、液滴噴出口463に近接して開口している。上述のように、スリット464は内筒先端部46dの外周面にほぼ接するように形成されているため(図4参照)、噴射ノズル4を基板9側から見た場合、方向変更部472の中心軸J1側の部位は、加速ガス噴射口474と重なっている。
【0030】
噴射ノズル4では、周囲にスリット464が形成された内筒46を外筒45の内部に嵌め込むことにより、加速ガスが流れる円筒流路471、方向変更部472および旋回流形成部473(以下、これらをまとめて、「加速ガス流路47」という。)が容易に形成される。
【0031】
図5は、洗浄動作時に基板洗浄装置1において行われる処理の流れを示す図である。ただし、実際には図5に示す各ステップは並行して行われる。基板9が洗浄される際には、まず、図1に示す基板保持部2においてモータ23が制御部5により駆動され、基板9の回転が開始される。続いて、液滴生成部3において、制御部5の制御によりバルブ313,314,331,42が開放され、図5に示す処理が継続的に行われる。基板洗浄装置1では、バルブ313,314が開放されることにより、液滴生成用ノズル31に洗浄液とキャリアガスとが供給される。そして、洗浄液とキャリアガスとが液滴生成用ノズル31の外部において混合されて洗浄液の液滴が生成され、液滴選別室32内にキャリアガスと共に噴射される(ステップS11)。
【0032】
液滴選別室32内に噴射された液滴は、キャリアガス中にて浮遊しつつ液滴生成用ノズル31から微細液滴送出口321へとキャリアガスと共に液滴選別室32内を移動し、液滴生成用ノズル31により生成された液滴の中から所定の粒径以下の微細液滴が微細液滴送出口321に到達することにより選別される(ステップS12)。基板洗浄装置1では、選別された微細液滴の粒径は1μm〜10μm程度とされる。
【0033】
選別された微細液滴はキャリアガスにより運ばれ、液滴供給管33を介してキャリアガスと共に噴射ノズル4に供給される。そして、微細液滴の供給と並行して、バルブ42を介して加速ガスが加速ガス供給部43から噴射ノズル4に供給される(ステップS13)。
【0034】
噴射ノズル4に加速ガスが供給されると、加速ガスは、図2に示す円筒流路471内を加速ガス流路47の母線方向(すなわち、垂直方向)に沿って下方に流れ、方向変更部472へと導かれる。方向変更部472では、各スリット464(図4参照)の外周側において下方へと流れる加速ガスが、外筒先端部45aのテーパ状の内周面に沿って図4中の矢印Kにて示すフランジ46bの中心軸J1側に向かって流れつつ図2に示す旋回流形成部473へと導かれる。このように、方向変更部472では、加速ガスの向き(すなわち、加速ガスが流れる方向)が垂直方向から、中心軸J1を中心とする円周方向に沿う成分を有する方向へと変換される。
【0035】
方向変更部472の6つのスリット464を通過した加速ガスは、旋回流形成部473において中心軸J1を中心とする円周方向に沿って、図4中における反時計回りに旋回しつつ下方へと流れる。加速ガスは、中心軸J1を中心とする円周上において互いにほぼ等角度間隔に配列された6つのスリット464から旋回流形成部473へと導かれるため、円周方向(すなわち、旋回方向)に関して均一な旋回流となる。
【0036】
図2に示す旋回流形成部473を通過した加速ガスは、加速ガス噴射口474を介して液滴噴出口463の周囲全周から旋回流として噴射される。液滴噴出口463の周囲の各方向から噴射された加速ガスは、液滴噴出口463からキャリアガスと共に噴出される洗浄液の微細液滴の移動経路上において互いに衝突しつつキャリアガスおよび微細液滴と混合される。加速ガスはキャリアガスよりも高速にて噴射され、キャリアガスに運ばれる微細液滴は、加速ガスにより加速されつつ噴射ノズル4から基板9に向けて加速ガスと共に噴射される(ステップS14)。
【0037】
基板9への微細液滴の噴射が開始されると、図1に示す基板保持部2により回転する基板9の上方において、ノズル移動機構により噴射ノズル4が移動を開始し、基板9の中心と外周上の1点との間の上方にて、すなわち、図1中に実線にて示す位置と二点鎖線にて示す位置との間にて、往復移動を繰り返して基板9の上面全体(あるいは、所定の範囲)の洗浄が行われる。そして、基板9の洗浄が終了すると、液滴生成部3における液滴の生成および微細液滴の選別、並びに、噴射ノズル4に対する微細液滴および加速ガスの供給が停止され、噴射ノズル4の移動および基板9の回転も停止される。
【0038】
図6は、噴射ノズル4の加速ガス噴射口474から噴射される加速ガスの進行方向を示す斜視図である。図6中の矢印Nは、加速ガスの進行方向を示す。噴射ノズル4では、旋回流形成部473(図2参照)において加速ガスが液滴搬送路461(図2参照)の周囲を均一に旋回しつつ流れることにより、加速ガス噴射口474から噴射される加速ガスが、加速ガス噴射口474近傍にて旋回方向に均一な渦巻き気流となり、液滴噴出口463から中心軸J1(図2参照)に沿って噴出されるキャリアガスおよび洗浄液の微細液滴の周囲を囲みつつキャリアガスおよび微細液滴と混合される。
【0039】
図4に示すように、噴射ノズル4では、スリット464が内筒先端部46dの外周面(すなわち、図2に示す加速ガス噴射口474の内周)にほぼ接するように形成されているため、加速ガスが加速ガス噴射口474の接線方向の成分を有する方向に向けて噴射される。その結果、図6に示すように、液滴噴出口463から噴出された洗浄液の微細液滴、および加速ガス噴射口474から噴射された加速ガスの移動経路の輪郭(図6中において二点鎖線にて示す。)は、液滴噴出口463の近傍に形成される絞り部L1と、絞り部L1から基板9の表面に向かうに従って側方に広がる拡散部M1とを有する形状となる。
【0040】
絞り部L1は、微細液滴の噴射方向(すなわち、垂直方向)に直交する略円形断面の径が、垂直方向に沿う各部で基板9に近づくに従って漸次減少する略逆円錐台形状を有している。拡散部M1は、絞り部L1の基板9側において、垂直方向に直交する略円形断面の径が基板9に近づくに従って漸次増大する略円錐台形状を有している。換言すれば、絞り部L1と拡散部M1とにより、いわゆる鼓型の形状が形成される。基板洗浄装置1では、加速ガスにより加速された微細液滴が、基板9上の略円状の被噴射範囲N1に衝突する。そして、噴射ノズル4から噴射された微細液滴が衝突する範囲である被噴射範囲N1において、基板9に付着しているパーティクル等の異物が除去される(すなわち、基板9の被噴射範囲N1が洗浄される)。
【0041】
図7は、噴射ノズル4により基板9に噴射される微細液滴の粒径の分布を示す図である。図7中の実線81は、噴射ノズル4から噴射される全微細液滴の合計体積に占める粒径毎の微細液滴の合計体積の割合を示し、粒径1μm毎に体積割合を計測してプロットしたものである。破線82は、通常の使用方法による外部混合型の2流体ノズル(すなわち、液滴化されていない洗浄液をノズルから吐出し、ノズルの外部においてガスと混合して液滴を生成および噴射する2流体ノズル)から噴射される液滴の粒径分布を比較例として示したものである。破線82では、粒径10μm以下の範囲においては、実線81と同様に1μm毎に体積割合を計測しており、また、粒径10μm〜100μmの範囲においては、5μm毎に体積割合を計測してプロットしている。
【0042】
図7に示すように、基板洗浄装置1では、噴射ノズル4により基板9に噴射される微細液滴のほとんどの粒径が1μm〜10μmとなり、通常の使用方法による外部混合型の2流体ノズルに比べて粒径の均一性を向上することができる。
【0043】
図8中の実線83は、噴射ノズル4に供給される加速ガスの流量と噴射ノズル4から噴射される微細液滴の平均粒径との関係を示す図である。破線84および一点鎖線85は、通常の使用方法による外部混合型の2流体ノズル、および、通常の使用方法による内部混合型の2流体ノズル(すなわち、液滴化されていない洗浄液とガスとをノズルの内部において混合し、液滴を生成および噴射する2流体ノズル)から噴射される液滴の平均粒径の例を比較例として示したものである。
【0044】
通常の使用方法による2流体ノズルでは、液滴化されていない洗浄液に混合されるガスの流量により液滴の粒径が決定され、また、液滴の噴射速度が決定される。一方、図1に示す基板洗浄装置1では、基板9に噴射される微細液滴の粒径は、微細液滴を生成および選別して噴射ノズル4に供給する液滴生成部3によりほぼ決定され、微細液滴の噴射速度の制御は、制御部5によりバルブ42が制御されて噴射ノズル4に対する加速ガスの供給量が変更されることにより行われる。その結果、図8に示すように、通常の使用方法による2流体ノズルでは、ガスの流量が小さくなり、液滴の噴射速度が遅くなるに従って、液滴の平均粒径が大きくなっていくが、噴射ノズル4では、微細液滴の平均粒径が加速ガスの流量にほとんど依存せず、噴射速度を変更しても粒径をほぼ一定の大きさに維持することができる。
【0045】
以上に説明したように、基板洗浄装置1では、液滴生成用ノズル31により生成された洗浄液の液滴から液滴選別室32において所定の粒径以下の微細液滴を選別し、選別された微細液滴を2流体ノズルである噴射ノズル4に供給して加速ガスと共に噴射することにより、基板9に噴射される微細液滴の粒径の均一性を向上することができる。また、微細液滴の平均粒径をほぼ一定に維持したまま噴射速度を正確に制御することができるため、粒径の均一性が高い微細液滴を所望の速度で基板9に衝突させることが可能とされる。その結果、洗浄に使用される微細液滴が基板9に与える衝撃が不必要に上昇してしまうことが防止され、基板9上のパターンの破壊を適切に防止することができる。
【0046】
基板洗浄装置1では、液滴生成部3における液滴の生成に、2流体ノズルである液滴生成用ノズル31を利用することにより、液滴の生成、および、液滴を液滴選別室32内にて移動させて選別するためのキャリアガスの供給を同時に行うことができるため、液滴の生成に係る構成を簡素化することができる。また、液滴選別室32内を仕切板322にて仕切り、液滴選別室32内での移動距離が長い液滴を微細液滴として液滴選別室32から取り出すことにより、微細液滴の選別に係る構成を簡素化することができる。
【0047】
基板洗浄装置1の噴射ノズル4では、液滴噴出口463の周囲全周から加速ガスを噴射してキャリアガスの周囲を囲みつつ加速ガスとキャリアガスとを混合することにより、微細液滴の移動経路が側方に広がって微細液滴の密度が低下してしまったり、微細液滴がガスの流れの外に飛び出してしまうことが抑制され、さらに、微細液滴の被噴射範囲を精度良く制御しつつ基板9に衝突させることができる。その結果、基板洗浄装置1では、微細液滴の消費量を抑えるとともに微細液滴の被噴射範囲を正確に制御することができ、基板9の洗浄を効率良く行うことができる。
【0048】
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る基板洗浄装置の液滴生成部3aの構成を示す正面図である。第2の実施の形態に係る基板洗浄装置では、図1の液滴生成部3に代えて液滴生成部3aが設けられる。その他の構成は図1と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0049】
図9に示すように、液滴生成部3aは、洗浄液の液体を貯溜する貯溜槽341、貯溜槽341の下部に取り付けられる超音波振動子342、および、超音波振動子342に接続される発振器343を備える。貯溜槽341の側壁には、配管312およびバルブ314を介してキャリアガス供給部316に接続される開口344が形成される。開口344は貯溜槽341内の洗浄液の液面よりも上方であって液面の近傍に設けられる。貯溜槽341の側壁上部には、貯溜槽341内の洗浄液の液面よりも上方の空間と液滴選別室32の第1上部空間301とを連通する連通部345が設けられる。
【0050】
基板9の洗浄動作時に第2の実施の形態に係る基板洗浄装置において行われる処理の流れは図5と同様であり、以下、図5に沿って説明する。基板9が洗浄される際には、まず、図1に示す基板保持部2において基板9の回転が開始され、続いて、図5に示す処理が継続的に行われる。第2の実施の形態に係る基板洗浄装置では、液滴生成部3aにおいて、制御部5(図1参照)の制御により発振器343が駆動されて超音波振動子342が振動することにより、貯溜槽341内の洗浄液に超音波振動が付与されて洗浄液の液滴が生成される(ステップS11)。生成された液滴は洗浄液の液面の上方の空間にて浮遊し、この空間にキャリアガス供給部316から開口344を介してキャリアガス(本実施の形態では、窒素ガス)が供給されることにより、液滴がキャリアガスにより運ばれ、連通部345を介して液滴選別室32の第1上部空間301へと供給される。
【0051】
第1上部空間301に供給された液滴は、キャリアガス中にて浮遊しつつ液滴選別室32内をキャリアガスと共に移動し、貯溜槽341にて生成された液滴の中から所定の粒径以下の微細液滴が、第1上部空間301、下部空間302および第2上部空間303を経由して微細液滴送出口321に到達することにより選別される(ステップS12)。選別された微細液滴の粒径は1μm〜10μm程度とされる。
【0052】
選別された微細液滴は、第1の実施の形態と同様に、液滴供給管33を介してキャリアガスと共に図1に示す噴射ノズル4に供給され、同時に、加速ガスが噴射ノズル4に供給され(ステップS13)、噴射ノズル4では、液滴噴出口463(図2参照)からの洗浄液の微細液滴が加速ガス噴射口474(図2参照)からの加速ガスにより加速されつつ基板9に向けて噴射される(ステップS14)。
【0053】
基板9への微細液滴の噴射が開始されると、回転する基板9の上方において噴射ノズル4が往復移動を繰り返して基板9の上面の洗浄が行われる。基板9の洗浄が終了すると、液滴生成部3a(図9参照)における液滴の生成および微細液滴の選別、並びに、噴射ノズル4に対する微細液滴および加速ガスの供給が停止され、噴射ノズル4の移動および基板9の回転も停止される。
【0054】
以上に説明したように、第2の実施の形態に係る基板洗浄装置では、超音波振動子342により貯溜槽341内の洗浄液に超音波振動を付与することにより液滴を生成することにより、ノズルからの液体の噴出により液滴を生成する場合に比べて第1上部空間301を大幅に小型化することができるため、全体として液滴の生成に係る構成を小型化することができる。
【0055】
第2の実施の形態に係る基板洗浄装置では、第1の実施の形態と同様に、生成された洗浄液の液滴から所定の粒径以下の微細液滴を選別して噴射ノズル4から加速ガスと共に噴射することにより、基板9に噴射される微細液滴の粒径の均一性を向上することができる。また、微細液滴の平均粒径をほぼ一定に維持したまま噴射速度を制御することにより、微細液滴を所望の適切な噴射速度で基板9に向けて噴射することができるため、微細液滴を所望の速度で基板9に衝突させることができる。さらには、液滴選別室32内での移動距離が長い液滴を微細液滴として取り出すことにより、微細液滴の選別に係る構成を簡素化することができる。
【0056】
また、第1の実施の形態と同様に、噴射ノズル4により、微細液滴の移動経路が側方に広がって微細液滴の密度が低下してしまったり、微細液滴がガスの流れの外に飛び出してしまうことが抑制され、さらに、微細液滴の被噴射範囲を精度良く制御しつつ基板9に衝突させることができる。その結果、微細液滴の粒径の均一性を向上しつつ、微細液滴の消費量を抑えるとともに微細液滴の被噴射範囲を正確に制御することができ、基板9の洗浄を効率良く行うことができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0058】
例えば、上記実施の形態に係る基板洗浄装置の液滴生成部では、微細液滴の選別の基準とされる液滴選別室32内での液滴の移動距離として、主に垂直方向における上向きの移動距離(すなわち、第2上部空間303における上昇距離)が用いられるが、他の方向における移動距離を基準として微細液滴を選別する液滴選別室32が液滴生成部に設けられてもよい。
【0059】
図10は、液滴選別室の他の例を示す正面図である。図10に示す液滴選別室32aは、水平方向に長い形状を有し、図1と同様の構造を有する液滴生成用ノズル31が一方の側壁に設けられ、液滴生成用ノズル31とは反対側の側壁に微細液滴送出口321が設けられる。液滴選別室32aでは、液滴生成用ノズル31から噴射された液滴が液滴選別室32a内を水平方向に移動し、途中で落下せずに微細液滴送出口321に到達した液滴が、微細液滴として液滴選別室32aから取り出される。すなわち、図10に示す例では、液滴選別室32a内における液滴の水平方向の移動距離の長さが、微細液滴の選別の基準とされる。
【0060】
図11は、液滴選別室のさらに他の例を示す平面図である。図11に示す液滴選別室32bも図10と同様に水平方向に長い形状を有し、液滴選別室32b内における液滴の水平方向の移動距離の長さが、微細液滴の選別の基準とされる。液滴選別室32bは、対向する側壁に液滴生成用ノズル31および微細液滴送出口321を備え、さらに、液滴生成用ノズル31と微細液滴送出口321との間の側壁に複数の仕切板322aを備える。複数の仕切板322aは、液滴選別室32bの長手方向に沿って中心線を挟んで交互に配置され、各仕切板322aは、液滴生成用ノズル31側から微細液滴送出口321側へと傾斜しつつ液滴選別室32bの内部に向かって突出し、中心線を越えるように伸びる。また、仕切板322aの上下端は液滴選別室32bの上部および下部の内面に取り付けられる。液滴選別室32bでは、複数の仕切板322aにより、液滴生成用ノズル31から微細液滴送出口321に至る経路が、液滴選別室32bの長手方向の長さよりも長くされるため、液滴選別室32bの小型化が実現される。
【0061】
基板洗浄装置では、噴射ノズル4として内部混合型の2流体ノズルが利用されてもよい。また、第1の実施の形態に係る基板洗浄装置1では、液滴生成用ノズル31として内部混合型の2流体ノズルが利用されてもよい。
【0062】
基板洗浄装置では、噴射ノズル4により噴射される液滴の粒径は1μm〜10μmに限定される必要はなく、洗浄する基板9の種類等に合わせて様々に変更されてよい。また、洗浄液として、蒸留水等のイオン交換以外の方法により得られた純水が脱イオン水の代わりに用いられてもよく、目的に合わせて他の様々な液体が用いられてもよい。
【0063】
基板洗浄装置は、プリント配線基板やフラットパネル表示装置に使用されるガラス基板等、半導体基板以外の様々な基板の洗浄に利用されてよい。なお、基板の種類や大きさ等に合わせて、基板の洗浄時における回転は省略されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1の実施の形態に係る基板洗浄装置の構成を示す正面図である。
【図2】噴射ノズル近傍を示す断面図である。
【図3】フランジ近傍を示す正面図である。
【図4】フランジ近傍を示す底面図である。
【図5】基板の洗浄時の処理の流れを示す図である。
【図6】加速ガスの進行方向を示す斜視図である。
【図7】微細液滴の粒径の分布を示す図である。
【図8】加速ガスの流量と微細液滴の粒径との関係を示す図である。
【図9】第2の実施の形態に係る基板洗浄装置の液滴生成部の構成を示す正面図である。
【図10】液滴選別室の他の例を示す正面図である。
【図11】液滴選別室の他の例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 基板洗浄装置
2 基板保持部
3,3a 液滴生成部
4 噴射ノズル
9 基板
31 液滴生成用ノズル
32,32a,32b 液滴選別室
341 貯溜槽
342 超音波振動子
S11〜S14 ステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を洗浄する基板洗浄装置であって、
基板を保持する基板保持部と、
洗浄用の液滴を生成し、所定の粒径以下の微細液滴を選別する液滴生成部と、
前記液滴生成部からキャリアガスと共に供給される前記微細液滴を前記キャリアガスよりも高速にて噴射される加速ガスと共に前記基板に向けて噴射する2流体ノズルと、
を備えることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板洗浄装置であって、
前記液滴生成部が、生成された前記液滴を前記キャリアガス中にて浮遊させつつ前記キャリアガスと共に移動させる選別室を備え、
前記液滴のうち前記選別室内での移動距離が長い液滴が、前記微細液滴として前記選別室から取り出されることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板洗浄装置であって、
前記液滴生成部が、液体と気体とを混合して前記液滴を生成するもう1つの2流体ノズルを備えることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の基板洗浄装置であって、
前記液滴生成部が、
液体を貯溜する貯溜槽と、
前記液体に超音波振動を付与して前記液滴を生成する超音波振動子と、
を備えることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項5】
基板を洗浄する基板洗浄方法であって、
洗浄用の液滴を生成する工程と、
前記液滴から所定の粒径以下の微細液滴を選別する工程と、
キャリアガスと共に供給される前記微細液滴を、前記キャリアガスよりも高速にて噴射される加速ガスと共に2流体ノズルから基板に向けて噴射する工程と、
を備えることを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項1】
基板を洗浄する基板洗浄装置であって、
基板を保持する基板保持部と、
洗浄用の液滴を生成し、所定の粒径以下の微細液滴を選別する液滴生成部と、
前記液滴生成部からキャリアガスと共に供給される前記微細液滴を前記キャリアガスよりも高速にて噴射される加速ガスと共に前記基板に向けて噴射する2流体ノズルと、
を備えることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板洗浄装置であって、
前記液滴生成部が、生成された前記液滴を前記キャリアガス中にて浮遊させつつ前記キャリアガスと共に移動させる選別室を備え、
前記液滴のうち前記選別室内での移動距離が長い液滴が、前記微細液滴として前記選別室から取り出されることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板洗浄装置であって、
前記液滴生成部が、液体と気体とを混合して前記液滴を生成するもう1つの2流体ノズルを備えることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の基板洗浄装置であって、
前記液滴生成部が、
液体を貯溜する貯溜槽と、
前記液体に超音波振動を付与して前記液滴を生成する超音波振動子と、
を備えることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項5】
基板を洗浄する基板洗浄方法であって、
洗浄用の液滴を生成する工程と、
前記液滴から所定の粒径以下の微細液滴を選別する工程と、
キャリアガスと共に供給される前記微細液滴を、前記キャリアガスよりも高速にて噴射される加速ガスと共に2流体ノズルから基板に向けて噴射する工程と、
を備えることを特徴とする基板洗浄方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−140306(P2006−140306A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328324(P2004−328324)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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