基板移載装置
【課題】基板が少ない枚数のロットも効率的に搬送することができるとともに、ロット内に基板の抜けがあっても各基板の間隔を一定にすることができる基板移載装置を提供する。
【解決手段】FOUPに収納可能な基板Wの枚数より少なく、かつ2個以上の支持アーム17を備えている。3個の支持アーム17により、FOUP内の不等間隔で収容されていた3枚の基板を、姿勢変換部に一度に搬送するとともに、3枚の基板の間隔を一定にすることができる。したがって、基板が少ない場合であっても複数の支持アーム17によって効率的に搬送することができる。また、処理部における処理を3枚の基板について均一化することができる。
【解決手段】FOUPに収納可能な基板Wの枚数より少なく、かつ2個以上の支持アーム17を備えている。3個の支持アーム17により、FOUP内の不等間隔で収容されていた3枚の基板を、姿勢変換部に一度に搬送するとともに、3枚の基板の間隔を一定にすることができる。したがって、基板が少ない場合であっても複数の支持アーム17によって効率的に搬送することができる。また、処理部における処理を3枚の基板について均一化することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板(以下、単に基板と称する)を移載する基板移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、複数枚の基板を水平姿勢で積層収容したカセットと、複数枚の基板の姿勢を変換する姿勢変換機構と、カセットと姿勢変換機構との間で基板を移載する基板搬送機構とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この装置の基板搬送機構は、基板を一枚ずつ保持する枚葉ハンドと、複数枚の基板を保持するバッチハンドとを備えている。そして、所望の搬送対象に応じて枚葉ハンドかバッチハンドのいずれか一方を装着して基板を搬送する。したがって、カセットと姿勢変換機構との間で、任意の一枚の基板を搬送したり、複数枚の基板を一括して搬送したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−354604号公報(図1及び図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、複数枚の基板のうち、1ロットに含まれる全枚数より少ない、一部の複数枚の基板を移載する場合には、枚葉ハンドを装着して枚数分に応じた回数の搬送を行わなければならない。したがって、搬送を終えるのに長時間を要するという問題がある。最近では、多品種少量生産が行われる場合があり、その場合には、1ロットが5,6枚で構成されることがあり、そのような場合であっても短時間で搬送したいという要望がある。
【0006】
また、複数枚の基板を搬送する場合には、バッチハンドを装着して1ロットを構成する全枚数を一括して搬送する。しかしながら、一部の基板が割れ等の理由によって抜けた状態であると、一部の基板同士の間隔が他の基板同士の間隔とは異なったままで搬送されるという問題がある。このような場合には、処理の際に、間隔が異なる基板は他の基板と処理状態が異なったものとなるので、同一ロット内で処理が不均一になる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板が少ない枚数のロットも効率的に搬送することができるとともに、ロット内に基板の抜けがあっても各基板の間隔を一定にすることができる基板移載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板を移載する基板移載装置において、複数枚の基板を収容可能な第1の基板収容部と、基板を処理する処理部と前記第1の基板収容部との間に配置され、複数枚の基板を収容可能な第2の基板収容部と、前記第1の基板収容部と前記第2の基板収容部との間で基板を搬送する基板搬送手段とを備え、前記基板搬送手段は、前記第1の基板収容部に収容可能な基板の枚数より少なく、かつ2以上の支持アームと、前記第1の基板収容部における各基板の収容位置に応じて前記各支持アームを移動させ、各基板を前記各支持アームで支持した後、前記第2の基板収容部に各基板を移載するまでに、前記第2の基板収容部における収容間隔に応じて各基板の間隔を一定にするように前記各支持アームの間隔を調整する間隔調整手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、基板搬送手段は、第1の基板収容部に収容可能な基板の枚数より少なく、かつ2つ以上の支持アームを備えているので、基板が少ない場合であっても複数の支持アームによって効率的に搬送することができる。また、基板搬送手段は、間隔調整手段を備え、第1の基板収容部における各基板の収容位置に応じて各支持アームを移動させ、各基板を各支持アームで支持した後、第2の基板収容部に各基板を移載するまでに、第2の基板収容部における収容間隔に応じて各基板の間隔を一定にするように各支持アームの間隔を調整する。したがって、ロット内に基板の抜けがあっても各基板の間隔を一定にして第2の基板収容部に基板を搬送することができる。その結果、第2の基板収容部から処理部に搬送されたロットは、基板同士の間隔を同じにすることができるので、処理を均一にすることができる。
【0010】
また、本発明において、前記基板搬送手段は、基板を受け渡しする際には、基板を受け渡しする前記各支持アームだけを昇降させることが好ましい(請求項2)。基板を受け渡す各支持アームだけを昇降させるので、全体を昇降させるよりも負荷を軽減することができる。
【0011】
また、本発明において、前記基板搬送手段は、基板を受け渡しする際には、前記支持アームが取り付けられているアームベースごと前記各支持アームを昇降させることが好ましい(請求項3)。全体を昇降するので、基板を受け渡す各支持アームだけを昇降させるよりも制御を簡単化することができる。
【0012】
また、本発明において、前記基板搬送手段は、前記第1の基板収容部及び前記第2の基板収容部に対して、基板を受け渡す前記各支持アームだけを水平方向に進退させることが好ましい(請求項4)。基板を受け渡す各支持アームだけを進退させるので、基板を受け渡さない各支持アームが第1の基板収容部等と干渉するのを防止できる。
【0013】
また、本発明において、前記基板搬送手段は、前記第1の基板収容部及び前記第2の基板収容部に対して、前記アームベースごと水平方向に進退させることが好ましい(請求項5)。全体を進退させるので、制御を簡単化することができる。
【0014】
また、本発明において、前記第1の基板収容部及び前記第2の基板収容部に対して前記各支持アームを進出させる際には、前記間隔調整手段により、基板を受け渡さない各支持アームを、前記第1の基板収容部内または前記第2の基板収容部内またはそれらを載置している載置台内へ待避させることが好ましい(請求項6)。間隔調整手段は、基板を受け渡さない各支持アームを、第1の基板収容部内または第2の基板収容部内またはそれらを載置している載置台内へ待避させるので、基板を受け渡さない各支持アームが干渉するのを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る基板移載装置によれば、基板搬送手段は、第1の基板収容部に収容可能な基板の枚数より少なく、かつ2つ以上の支持アームを備えているので、基板が少ない場合であっても複数の支持アームによって複数の基板を効率的に搬送することができる。また、基板搬送手段は、間隔調整手段を備え、第1の基板収容部における各基板の収容位置に応じて各支持アームを移動させ、各基板を各支持アームで支持した後、第2の基板収容部に各基板を移載するまでに、第2の基板収容部における収容間隔に応じて各基板の間隔を一定にするように各支持アームの間隔を調整する。したがって、ロット内に基板の抜けがあっても各基板の間隔を一定にして第2の基板収容部に基板を搬送することができる。その結果、第2の基板収容部から処理部に搬送されたロットは、基板同士の間隔を同じにすることができるので、処理を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例に係る基板移載装置を備えた基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】基板搬送装置の概略構成を示す側面図である。
【図3】第1部材内部の概略構成を示す平面図である。
【図4】基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は初期状態を示し、(b)は支持アームを基板の高さに移動する状態を示す。
【図5】基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は支持アームを進出させた状態を示し、(b)は基板を支持した状態を示す。
【図6】基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は支持アームを退出させた状態を示し、(b)は基板間隔を調整した状態を示す。
【図7】基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は基板搬送装置を回転させた状態を示し、(b)は姿勢変換機構に支持アームを進出させた状態を示す。
【図8】基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は支持アームを下降させた状態を示し、(b)は支持アームを退出させた状態を示す。
【図9】基板搬送装置によって基板を支持する際の他の動作例を説明する側面図である。
【図10】基板搬送装置によって基板側へ支持アームを進出させる際の他の動作例を示す側面図である。
【図11】基板搬送装置から支持アームを進出させる際に干渉を回避するための動作を示す側面図である。
【図12】基板搬送装置から支持アームを進出させる際に干渉を回避するための他の動作を示す側面図である。
【図13】基板搬送装置の支持アームの他の構成例を示し、支持アームを進出させる際に干渉を回避するための動作を示す平面図である。
【図14】基板搬送装置の支持アームの他の構成例を示し、支持アームを進出させる際に干渉を回避するための動作を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
図1は、実施例に係る基板移載装置を備えた基板処理装置の概略構成を示す平面図であり、図2は、基板搬送装置の概略構成を示す側面図であり、図3は、第1部材内部の概略構成を示す平面図である。
【0018】
基板処理装置は、ロードポート1と、基板搬送装置3と、姿勢変換部5と、処理部7とを備えている。ロードポート1は、基板Wを水平姿勢で積層して収容したFOUP9や、空のFOUP9を載置される。基板搬送装置3は、詳細を後述するが、FOUP9と姿勢変換部5との間で基板Wを搬送する。姿勢変換部5は、基板Wの姿勢を水平から垂直に変換したり、基板Wの姿勢を垂直から水平に変換したりする。処理部7は、処理液によって基板Wにエッチング処理を行ったり、洗浄処理を行ったりする。また、基板Wを乾燥させたり、塗布液と塗布したり、種々の処理を基板Wに対して行う。
【0019】
ロードポート1は、FOUP9が載置されると、FOUP9の蓋(不図示)を開放し、基板搬送装置3によって内部へのアクセスを可能にする。
【0020】
姿勢変換部5は、保持機構11が図示しない水平軸周りに揺動可能に構成されている。姿勢変換部5は、保持機構11を水平姿勢にすることで、垂直姿勢の基板Wを水平姿勢へと変換し、保持機構11を垂直姿勢にすることで、水平姿勢の基板Wを垂直姿勢へと変換する。
【0021】
なお、FOUP9が本発明における「第1の基板収容部」に相当し、姿勢変換部5が本発明における「第2の基板収容部」に相当する。また、ロードポート1が本発明における「載置台」に相当し、基板搬送装置3が本発明における「基板搬送手段」に相当する。また、FOUP9、姿勢変換部5、基板搬送装置3が本発明における「基板移載装置」に相当する。
【0022】
処理部7は、姿勢変換部5で垂直姿勢にされた基板Wを受け取り、所定の処理を基板Wに対して行う。また、処理を終えた基板Wを姿勢変換部5に対して垂直姿勢で受け渡す。
【0023】
基板搬送装置3は、装置基台13と、アームベース15と、支持アーム17とを備えている。装置基台13は、垂直の回転軸心P1周りに回転可能にアームベース15を支持している。また、装置基台13は、昇降機構(不図示)を内蔵し、アームベース15を昇降可能であり、さらに、水平移動機構(不図示)を内蔵し、アームベース15を水平方向に進退可能である。
【0024】
アームベース15は、ガイド19と、ラック21と、ピニオン23と、電動モータ25とを内蔵している。ガイド19は、アームベース15の内部底面から内部天井面にわたって取り付けられている。ラック21は、ガイド19の両側面に取り付けられている。ピニオン23は、ラック21に噛み合うように配置されている。電動モータ25は、ピニオン23に回転軸が連結されている。なお、ピニオン23と電動モータ25とは、交互に左右に取り付けられている。
【0025】
この実施例においては、3個の支持アーム17が備えられている構成を挙げて説明するが、支持アーム17の個数は、FOUP9に収納可能な基板Wの枚数より少なく、かつ2個以上であればよい。FOUP9に収納可能な基板Wの枚数が25枚であれば、2個から24個の支持アーム17を備えていればよい。
【0026】
各支持アーム17は同じ構成であるので、ここでは、最上部の支持アーム17について説明する。
【0027】
支持アーム17は、第1部材27と、一対の第2部材29と、一対の第3部材31と、支持アーム33とを備えている。第1部材27は、アームベース15内に配置され、ガイド19に沿って昇降自在に取り付けられている。電動モータ25は、第1部材27に内蔵されており、電動モータ25の回転駆動によって第1部材27がガイド19に沿って昇降され、支持アーム17が昇降される。第1部材27の端部には、各第2部材29の一端側が取り付けられている。各第2部材29の他端側には、各第3部材31の一端側が取り付けられている。各第3部材31の他端側には、支持アーム33の基端部が取り付けられている。各第2部材29は、第1部材27側を軸にして他端側を揺動可能にされ、各第3部材31は、第2部材29側を軸にして他端側を揺動可能に構成されている。これらの揺動は連動するように構成されており、図示しない制御部の指示により屈伸動作を行い、支持アーム33を図1に実線で示す「進出位置」と、図1に二点鎖線で示す「退出位置」とにわたって移動する。
【0028】
上述した支持アーム17は、高さ方向において支持アーム17同士が最接近した状態では、FOUP9における基板Wの収容間隔と、姿勢変換部5における基板Wの保持間隔に一致することが好ましい。
【0029】
なお、上述したガイド19と、ピニオン23と、ラック21と、電動モータ25とが本発明における「間隔調整手段」に相当する。また、電動モータ25が本発明における「駆動手段」に相当する。
【0030】
次に、図4〜図8を参照して、上述した基板搬送装置3による基板Wの移載動作について説明する。なお、図4は、基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は初期状態を示し、(b)は支持アームを基板の高さに移動する状態を示す。図5は、基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は支持アームを進出させた状態を示し、(b)は基板を支持した状態を示す。図6は、基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は支持アームを退出させた状態を示し、(b)は基板間隔を調整した状態を示す。図7は、基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は基板搬送装置を回転させた状態を示し、(b)は姿勢変換機構に支持アームを進出させた状態を示す。図8は、基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は支持アームを下降させた状態を示し、(b)は支持アームを退出させた状態を示す。
【0031】
ここでは、図4(a)に示すように、FOUP9内に基板Wが3枚だけ収容された状態であり、上の2枚の基板Wから複数枚の基板W収納間隔分を隔てて1枚の基板Wが収容されているものとして説明する。また、初期状態では、図4(a)に示すような位置に各支持アーム17があるものとする。
【0032】
まず、FOUP9内にある各基板Wの収容位置に対応する位置に、各支持アーム17を移動する(図4(b))。より詳細には、各支持アーム17は、各基板Wの下面より若干下に支持アーム33が位置するように電動モータ25の駆動によって移動される。
【0033】
次に、各支持アーム17をFOUP9に進出させ(図5(a))、各支持アーム17を所定高さだけ上昇させる(図5(b))。ここいう所定高さとは、FOUP9に収容されている基板Wを支持アーム17で持ち上げつつも、FOUP9内における上の収容部に基板Wが接触しない高さである。このように、基板Wを受け渡す各支持アーム17だけを昇降させるので、全体を昇降させるよりも負荷を軽減することができる。
【0034】
次に、各支持アーム17をFOUP9から退出させる(図6(a))。そして、各支持アーム17のうち、下の支持アーム17を中央の支持アーム17側に上昇させて、各支持アーム17の間隔を一定にする(図6(b))。この間隔は、FOUP9内における収容部の間隔または姿勢変換部5の保持機構11における保持間隔であり、処理部で処理される基板が最適に処理されるように考慮された間隔のことである。したがって、必ずしも一定にする必要はなく、処理に最適な間隔であればよい。
【0035】
次に、基板搬送装置3のアームベース15を装置基台13の回転軸P1周りに回転させて、基板搬送装置3の支持アーム17を姿勢変換部5の保持機構11に向けさせる(図7(a))。そして、基板Wを支持した全支持アーム17を保持機構11に進出させる(図7(b))。
【0036】
基板搬送装置3の全支持アーム3を所定高さだけ下降させる(図8(a))。所定高さとは、保持機構11に保持された下の基板Wに支持アーム17が接触しない高さのことである。そして、支持アーム17を保持機構11から退出させる(図8(b))。
【0037】
上述した一連の動作により、FOUP9に不等間隔で収納されていた3枚の基板Wが、姿勢変換部5の保持機構11において等間隔で保持される。その後、姿勢変換部5は、3枚の基板Wの姿勢を垂直姿勢に変換した後、処理部7へ3枚の基板Wを渡す。
【0038】
これにより、FOUP9内の不等間隔で収容されていた3枚の基板Wを、姿勢変換部5に一度に搬送するとともに、3枚の基板Wの間隔を一定にすることができる。したがって、基板Wが少ない場合であっても複数の支持アーム17によって効率的に搬送することができる。また、処理部7における処理を3枚の基板Wについて均一化することができる。
【0039】
なお、上述した説明においては、基板WをFOUP9から受け取る際に、支持アーム17を上昇させた。しかし、例えば、図9に示すようにしてもよい。図9は、基板搬送装置によって基板を支持する際の他の動作例を説明する側面図である。
【0040】
基板搬送装置3は、支持アーム17をFOUP9に進出させた状態で、アームベース15を所定高さだけ上昇させるようにしてもよい。所定高さとは、FOUP9に収容されている基板Wを支持アーム17で持ち上げつつも、FOUP9内における上の収納部に基板Wが接触しない高さである。なお、姿勢変換部5においては、アームベース15を所定高さだけ下降させるようにすればよい。
【0041】
このようにして基板Wを受け渡すようにすることにより、各電動モータ25を制御するのに比較して、受け渡しの制御を簡易化することができる。
【0042】
また、上述した説明においては、支持アーム17をFOUP9に進出させる際に、支持アーム17を伸長させた。しかし、例えば、図10に示すようにしてもよい。図10は、基板搬送装置によって基板側へ支持アームを進出させる際の他の動作例を示す側面図である。
【0043】
支持アーム17は、屈伸動作により進退動作する構成であるが、例えば、支持アーム17を常に伸長動作させた状態とし、FOUP9に進出させる際には、アームベース15ごとFOUP9側へ水平移動させるようにしてもよい。また、姿勢変換部5に対しても同様にしてもよい。なお、このような進退制御にする場合には、支持アーム17を屈伸動作しない長さが一定の構成としてもよいので、支持アーム17の構成を簡易化できてコストを低減することができる。
【0044】
上述した実施例では、3枚の基板Wを3個の支持アーム17で移載する場合を説明した。しかし、移載したい基板Wが1枚だけの場合には、他の支持アーム17が移載の際に邪魔になることがある。そのような場合について、図11を参照して説明する。図11は、基板搬送装置から支持アームを進出させる際に干渉を回避するための動作を示す側面図である。
【0045】
例えば、FOUP9に4枚の基板Wが収容されており、その内の一番上の基板Wだけを搬送したい場合には、最上部の支持アーム17だけをその基板Wに対向する位置へ移動させる。中央部の支持アーム17と最下部の支持アーム17は、FOUP17の収容部の最下部に移動させる。このように下の支持アーム17を待避させた状態で、全支持アーム17をFOUP9に進出させ、全支持アーム17を上昇させると、最上部の支持アーム17だけが基板Wを受け取ることができ、他の支持アーム17が不要な基板Wを載置したり、FOUP17と干渉したりするのを防止できる。また、姿勢変換部5においても同様である。
【0046】
また、FOUP9内の収容部の全てに基板Wが収容され、その内の最上部と最下部の基板Wだけを移載したい場合について図12を参照して説明する。図12は、基板搬送装置から支持アームを進出させる際に干渉を回避するための他の動作を示す側面図である。
【0047】
このような場合には、最上部の支持アーム17を最上部の基板Wに対応させ、中央部の支持アーム17を最下部の基板Wに対応させる位置に移動させる。最下部の支持アーム17は、ロードポート1に形成された待避部41に対応する位置に移動させる。なお、アームベース15は、待避部41に支持アーム17が待避できるように支持アーム17の移動範囲を拡大して構成しておく。
【0048】
このようにすることにより、FOUP9の全収容部が基板Wで満たされている場合であっても、任意の基板Wだけを移載することが可能となる。
【0049】
また、FOUP9の全収容部が基板Wで満たされた状態で、全枚数より少ない複数枚の基板Wを移載する場合であって、支持アーム17が、移載したい基板Wの枚数よりも多い構成である場合には、上下方向で隣接する支持アーム17を各基板Wの収容位置に対応する位置に移動するのが好ましい。これは、移載したい基板Wの枚数よりも支持アーム17が多い場合に、移載する必要のない基板Wを支持アーム17が支持することを避けるためである。
【0050】
また、上述した支持アーム17の待避方法に代えて、次のような方法を採用してもよい。ここで、図13を参照する。図13は、基板搬送装置の支持アームの他の構成例を示し、支持アームを進出させる際に干渉を回避するための動作を示す平面図である。
【0051】
この基板搬送装置3はアームベース15Aを備え、アームベース15Aは支持アーム17Aを備えている。支持アーム17Aの基端部は、鉛直軸P2周りに揺動可能に構成されている。支持アーム17Aの先端部が前方(図13の右方向)へ向けられた状態が基板Wを受け渡す位置であり、支持アーム17Aの先端部が側方(図13の上下方向)へ移動された状態が基板Wを受け渡さない位置である。したがって、上記のように基板Wの受け渡しに用いられない支持アーム17Aを側方へ待避させることにより、FOUP9等との干渉を回避することができる。
【0052】
ここで、図14を参照する。図14は、基板搬送装置の支持アームの他の構成例を示し、支持アームを進出させる際に干渉を回避するための動作を示す平面図である。
【0053】
この基板搬送装置3は、アームベース15Bを備えている。アームベース15Bは、支持アーム17Bを複数備えている。アームベース15Bは、任意の支持アーム17Bを鉛直軸P3周りに揺動可能に構成されている。支持アーム17Bの両方の先端部が前方(図14の右方向)へ向けられた状態が基板Wを受け渡す位置であり、支持アーム17Bの両方の先端部がFOUP9と干渉しない同方向の側方(図14の下方向)に移動された状態が基板Wを受け渡さない位置である。したがって、このような構成を採用しても、受け渡しに関与しない支持アーム17BがFOUP9等と干渉することを防止できる。
【0054】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0055】
(1)上述した実施例では、FOUP9と姿勢変換部5との間で支持アーム17が基板Wを移載する構成としたが、カセット間における移載や、FOUP9とバッファ、カセットとバッファとの間、あるいは基板搬送装置3と別の基板搬送装置との間における移載にも本発明を適用することができる。
【0056】
(2)上述した実施例では、各支持アーム17の間隔調整手段として、ガイド19と、ラック21と、ピニオン23と、電動モータ25とを備える構成を採用した。しかし、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、ラック21とピニオン23に代えて、複数本の螺軸と、各螺軸に螺合した昇降ネジと、各螺軸を個別に回転させる複数個の電動モータとを備え、各支持アーム17を各昇降ネジに取り付ける構成としてもよい。
【0057】
(3)上述した実施例では、各支持アーム17で支持した基板Wの間隔を、FOUP9から基板Wを引き出した直後に調整した。しかし、本発明は、間隔調整をこのようなタイミングに限定されるものではない。つまり、搬送先の姿勢変換部5に基板Wを渡すまでに間隔の調整を行えばよく、例えば、アームベース15を搬送先に向けて回転させながら間隔調整を行ってもよい。これにより、搬送効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 … ロードポート
3 … 基板搬送装置
5 … 姿勢変換部
7 … 処理部
9 … FOUP
11 … 保持機構
13 … 装置基台
15 … アームベース
17 … 支持アーム
19 … ガイド
21 … ラック
23 … ピニオン
25 … 電動モータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板(以下、単に基板と称する)を移載する基板移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、複数枚の基板を水平姿勢で積層収容したカセットと、複数枚の基板の姿勢を変換する姿勢変換機構と、カセットと姿勢変換機構との間で基板を移載する基板搬送機構とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この装置の基板搬送機構は、基板を一枚ずつ保持する枚葉ハンドと、複数枚の基板を保持するバッチハンドとを備えている。そして、所望の搬送対象に応じて枚葉ハンドかバッチハンドのいずれか一方を装着して基板を搬送する。したがって、カセットと姿勢変換機構との間で、任意の一枚の基板を搬送したり、複数枚の基板を一括して搬送したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−354604号公報(図1及び図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、複数枚の基板のうち、1ロットに含まれる全枚数より少ない、一部の複数枚の基板を移載する場合には、枚葉ハンドを装着して枚数分に応じた回数の搬送を行わなければならない。したがって、搬送を終えるのに長時間を要するという問題がある。最近では、多品種少量生産が行われる場合があり、その場合には、1ロットが5,6枚で構成されることがあり、そのような場合であっても短時間で搬送したいという要望がある。
【0006】
また、複数枚の基板を搬送する場合には、バッチハンドを装着して1ロットを構成する全枚数を一括して搬送する。しかしながら、一部の基板が割れ等の理由によって抜けた状態であると、一部の基板同士の間隔が他の基板同士の間隔とは異なったままで搬送されるという問題がある。このような場合には、処理の際に、間隔が異なる基板は他の基板と処理状態が異なったものとなるので、同一ロット内で処理が不均一になる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板が少ない枚数のロットも効率的に搬送することができるとともに、ロット内に基板の抜けがあっても各基板の間隔を一定にすることができる基板移載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板を移載する基板移載装置において、複数枚の基板を収容可能な第1の基板収容部と、基板を処理する処理部と前記第1の基板収容部との間に配置され、複数枚の基板を収容可能な第2の基板収容部と、前記第1の基板収容部と前記第2の基板収容部との間で基板を搬送する基板搬送手段とを備え、前記基板搬送手段は、前記第1の基板収容部に収容可能な基板の枚数より少なく、かつ2以上の支持アームと、前記第1の基板収容部における各基板の収容位置に応じて前記各支持アームを移動させ、各基板を前記各支持アームで支持した後、前記第2の基板収容部に各基板を移載するまでに、前記第2の基板収容部における収容間隔に応じて各基板の間隔を一定にするように前記各支持アームの間隔を調整する間隔調整手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、基板搬送手段は、第1の基板収容部に収容可能な基板の枚数より少なく、かつ2つ以上の支持アームを備えているので、基板が少ない場合であっても複数の支持アームによって効率的に搬送することができる。また、基板搬送手段は、間隔調整手段を備え、第1の基板収容部における各基板の収容位置に応じて各支持アームを移動させ、各基板を各支持アームで支持した後、第2の基板収容部に各基板を移載するまでに、第2の基板収容部における収容間隔に応じて各基板の間隔を一定にするように各支持アームの間隔を調整する。したがって、ロット内に基板の抜けがあっても各基板の間隔を一定にして第2の基板収容部に基板を搬送することができる。その結果、第2の基板収容部から処理部に搬送されたロットは、基板同士の間隔を同じにすることができるので、処理を均一にすることができる。
【0010】
また、本発明において、前記基板搬送手段は、基板を受け渡しする際には、基板を受け渡しする前記各支持アームだけを昇降させることが好ましい(請求項2)。基板を受け渡す各支持アームだけを昇降させるので、全体を昇降させるよりも負荷を軽減することができる。
【0011】
また、本発明において、前記基板搬送手段は、基板を受け渡しする際には、前記支持アームが取り付けられているアームベースごと前記各支持アームを昇降させることが好ましい(請求項3)。全体を昇降するので、基板を受け渡す各支持アームだけを昇降させるよりも制御を簡単化することができる。
【0012】
また、本発明において、前記基板搬送手段は、前記第1の基板収容部及び前記第2の基板収容部に対して、基板を受け渡す前記各支持アームだけを水平方向に進退させることが好ましい(請求項4)。基板を受け渡す各支持アームだけを進退させるので、基板を受け渡さない各支持アームが第1の基板収容部等と干渉するのを防止できる。
【0013】
また、本発明において、前記基板搬送手段は、前記第1の基板収容部及び前記第2の基板収容部に対して、前記アームベースごと水平方向に進退させることが好ましい(請求項5)。全体を進退させるので、制御を簡単化することができる。
【0014】
また、本発明において、前記第1の基板収容部及び前記第2の基板収容部に対して前記各支持アームを進出させる際には、前記間隔調整手段により、基板を受け渡さない各支持アームを、前記第1の基板収容部内または前記第2の基板収容部内またはそれらを載置している載置台内へ待避させることが好ましい(請求項6)。間隔調整手段は、基板を受け渡さない各支持アームを、第1の基板収容部内または第2の基板収容部内またはそれらを載置している載置台内へ待避させるので、基板を受け渡さない各支持アームが干渉するのを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る基板移載装置によれば、基板搬送手段は、第1の基板収容部に収容可能な基板の枚数より少なく、かつ2つ以上の支持アームを備えているので、基板が少ない場合であっても複数の支持アームによって複数の基板を効率的に搬送することができる。また、基板搬送手段は、間隔調整手段を備え、第1の基板収容部における各基板の収容位置に応じて各支持アームを移動させ、各基板を各支持アームで支持した後、第2の基板収容部に各基板を移載するまでに、第2の基板収容部における収容間隔に応じて各基板の間隔を一定にするように各支持アームの間隔を調整する。したがって、ロット内に基板の抜けがあっても各基板の間隔を一定にして第2の基板収容部に基板を搬送することができる。その結果、第2の基板収容部から処理部に搬送されたロットは、基板同士の間隔を同じにすることができるので、処理を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例に係る基板移載装置を備えた基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】基板搬送装置の概略構成を示す側面図である。
【図3】第1部材内部の概略構成を示す平面図である。
【図4】基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は初期状態を示し、(b)は支持アームを基板の高さに移動する状態を示す。
【図5】基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は支持アームを進出させた状態を示し、(b)は基板を支持した状態を示す。
【図6】基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は支持アームを退出させた状態を示し、(b)は基板間隔を調整した状態を示す。
【図7】基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は基板搬送装置を回転させた状態を示し、(b)は姿勢変換機構に支持アームを進出させた状態を示す。
【図8】基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は支持アームを下降させた状態を示し、(b)は支持アームを退出させた状態を示す。
【図9】基板搬送装置によって基板を支持する際の他の動作例を説明する側面図である。
【図10】基板搬送装置によって基板側へ支持アームを進出させる際の他の動作例を示す側面図である。
【図11】基板搬送装置から支持アームを進出させる際に干渉を回避するための動作を示す側面図である。
【図12】基板搬送装置から支持アームを進出させる際に干渉を回避するための他の動作を示す側面図である。
【図13】基板搬送装置の支持アームの他の構成例を示し、支持アームを進出させる際に干渉を回避するための動作を示す平面図である。
【図14】基板搬送装置の支持アームの他の構成例を示し、支持アームを進出させる際に干渉を回避するための動作を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
図1は、実施例に係る基板移載装置を備えた基板処理装置の概略構成を示す平面図であり、図2は、基板搬送装置の概略構成を示す側面図であり、図3は、第1部材内部の概略構成を示す平面図である。
【0018】
基板処理装置は、ロードポート1と、基板搬送装置3と、姿勢変換部5と、処理部7とを備えている。ロードポート1は、基板Wを水平姿勢で積層して収容したFOUP9や、空のFOUP9を載置される。基板搬送装置3は、詳細を後述するが、FOUP9と姿勢変換部5との間で基板Wを搬送する。姿勢変換部5は、基板Wの姿勢を水平から垂直に変換したり、基板Wの姿勢を垂直から水平に変換したりする。処理部7は、処理液によって基板Wにエッチング処理を行ったり、洗浄処理を行ったりする。また、基板Wを乾燥させたり、塗布液と塗布したり、種々の処理を基板Wに対して行う。
【0019】
ロードポート1は、FOUP9が載置されると、FOUP9の蓋(不図示)を開放し、基板搬送装置3によって内部へのアクセスを可能にする。
【0020】
姿勢変換部5は、保持機構11が図示しない水平軸周りに揺動可能に構成されている。姿勢変換部5は、保持機構11を水平姿勢にすることで、垂直姿勢の基板Wを水平姿勢へと変換し、保持機構11を垂直姿勢にすることで、水平姿勢の基板Wを垂直姿勢へと変換する。
【0021】
なお、FOUP9が本発明における「第1の基板収容部」に相当し、姿勢変換部5が本発明における「第2の基板収容部」に相当する。また、ロードポート1が本発明における「載置台」に相当し、基板搬送装置3が本発明における「基板搬送手段」に相当する。また、FOUP9、姿勢変換部5、基板搬送装置3が本発明における「基板移載装置」に相当する。
【0022】
処理部7は、姿勢変換部5で垂直姿勢にされた基板Wを受け取り、所定の処理を基板Wに対して行う。また、処理を終えた基板Wを姿勢変換部5に対して垂直姿勢で受け渡す。
【0023】
基板搬送装置3は、装置基台13と、アームベース15と、支持アーム17とを備えている。装置基台13は、垂直の回転軸心P1周りに回転可能にアームベース15を支持している。また、装置基台13は、昇降機構(不図示)を内蔵し、アームベース15を昇降可能であり、さらに、水平移動機構(不図示)を内蔵し、アームベース15を水平方向に進退可能である。
【0024】
アームベース15は、ガイド19と、ラック21と、ピニオン23と、電動モータ25とを内蔵している。ガイド19は、アームベース15の内部底面から内部天井面にわたって取り付けられている。ラック21は、ガイド19の両側面に取り付けられている。ピニオン23は、ラック21に噛み合うように配置されている。電動モータ25は、ピニオン23に回転軸が連結されている。なお、ピニオン23と電動モータ25とは、交互に左右に取り付けられている。
【0025】
この実施例においては、3個の支持アーム17が備えられている構成を挙げて説明するが、支持アーム17の個数は、FOUP9に収納可能な基板Wの枚数より少なく、かつ2個以上であればよい。FOUP9に収納可能な基板Wの枚数が25枚であれば、2個から24個の支持アーム17を備えていればよい。
【0026】
各支持アーム17は同じ構成であるので、ここでは、最上部の支持アーム17について説明する。
【0027】
支持アーム17は、第1部材27と、一対の第2部材29と、一対の第3部材31と、支持アーム33とを備えている。第1部材27は、アームベース15内に配置され、ガイド19に沿って昇降自在に取り付けられている。電動モータ25は、第1部材27に内蔵されており、電動モータ25の回転駆動によって第1部材27がガイド19に沿って昇降され、支持アーム17が昇降される。第1部材27の端部には、各第2部材29の一端側が取り付けられている。各第2部材29の他端側には、各第3部材31の一端側が取り付けられている。各第3部材31の他端側には、支持アーム33の基端部が取り付けられている。各第2部材29は、第1部材27側を軸にして他端側を揺動可能にされ、各第3部材31は、第2部材29側を軸にして他端側を揺動可能に構成されている。これらの揺動は連動するように構成されており、図示しない制御部の指示により屈伸動作を行い、支持アーム33を図1に実線で示す「進出位置」と、図1に二点鎖線で示す「退出位置」とにわたって移動する。
【0028】
上述した支持アーム17は、高さ方向において支持アーム17同士が最接近した状態では、FOUP9における基板Wの収容間隔と、姿勢変換部5における基板Wの保持間隔に一致することが好ましい。
【0029】
なお、上述したガイド19と、ピニオン23と、ラック21と、電動モータ25とが本発明における「間隔調整手段」に相当する。また、電動モータ25が本発明における「駆動手段」に相当する。
【0030】
次に、図4〜図8を参照して、上述した基板搬送装置3による基板Wの移載動作について説明する。なお、図4は、基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は初期状態を示し、(b)は支持アームを基板の高さに移動する状態を示す。図5は、基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は支持アームを進出させた状態を示し、(b)は基板を支持した状態を示す。図6は、基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は支持アームを退出させた状態を示し、(b)は基板間隔を調整した状態を示す。図7は、基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は基板搬送装置を回転させた状態を示し、(b)は姿勢変換機構に支持アームを進出させた状態を示す。図8は、基板の移載ステップを説明する模式図であり、(a)は支持アームを下降させた状態を示し、(b)は支持アームを退出させた状態を示す。
【0031】
ここでは、図4(a)に示すように、FOUP9内に基板Wが3枚だけ収容された状態であり、上の2枚の基板Wから複数枚の基板W収納間隔分を隔てて1枚の基板Wが収容されているものとして説明する。また、初期状態では、図4(a)に示すような位置に各支持アーム17があるものとする。
【0032】
まず、FOUP9内にある各基板Wの収容位置に対応する位置に、各支持アーム17を移動する(図4(b))。より詳細には、各支持アーム17は、各基板Wの下面より若干下に支持アーム33が位置するように電動モータ25の駆動によって移動される。
【0033】
次に、各支持アーム17をFOUP9に進出させ(図5(a))、各支持アーム17を所定高さだけ上昇させる(図5(b))。ここいう所定高さとは、FOUP9に収容されている基板Wを支持アーム17で持ち上げつつも、FOUP9内における上の収容部に基板Wが接触しない高さである。このように、基板Wを受け渡す各支持アーム17だけを昇降させるので、全体を昇降させるよりも負荷を軽減することができる。
【0034】
次に、各支持アーム17をFOUP9から退出させる(図6(a))。そして、各支持アーム17のうち、下の支持アーム17を中央の支持アーム17側に上昇させて、各支持アーム17の間隔を一定にする(図6(b))。この間隔は、FOUP9内における収容部の間隔または姿勢変換部5の保持機構11における保持間隔であり、処理部で処理される基板が最適に処理されるように考慮された間隔のことである。したがって、必ずしも一定にする必要はなく、処理に最適な間隔であればよい。
【0035】
次に、基板搬送装置3のアームベース15を装置基台13の回転軸P1周りに回転させて、基板搬送装置3の支持アーム17を姿勢変換部5の保持機構11に向けさせる(図7(a))。そして、基板Wを支持した全支持アーム17を保持機構11に進出させる(図7(b))。
【0036】
基板搬送装置3の全支持アーム3を所定高さだけ下降させる(図8(a))。所定高さとは、保持機構11に保持された下の基板Wに支持アーム17が接触しない高さのことである。そして、支持アーム17を保持機構11から退出させる(図8(b))。
【0037】
上述した一連の動作により、FOUP9に不等間隔で収納されていた3枚の基板Wが、姿勢変換部5の保持機構11において等間隔で保持される。その後、姿勢変換部5は、3枚の基板Wの姿勢を垂直姿勢に変換した後、処理部7へ3枚の基板Wを渡す。
【0038】
これにより、FOUP9内の不等間隔で収容されていた3枚の基板Wを、姿勢変換部5に一度に搬送するとともに、3枚の基板Wの間隔を一定にすることができる。したがって、基板Wが少ない場合であっても複数の支持アーム17によって効率的に搬送することができる。また、処理部7における処理を3枚の基板Wについて均一化することができる。
【0039】
なお、上述した説明においては、基板WをFOUP9から受け取る際に、支持アーム17を上昇させた。しかし、例えば、図9に示すようにしてもよい。図9は、基板搬送装置によって基板を支持する際の他の動作例を説明する側面図である。
【0040】
基板搬送装置3は、支持アーム17をFOUP9に進出させた状態で、アームベース15を所定高さだけ上昇させるようにしてもよい。所定高さとは、FOUP9に収容されている基板Wを支持アーム17で持ち上げつつも、FOUP9内における上の収納部に基板Wが接触しない高さである。なお、姿勢変換部5においては、アームベース15を所定高さだけ下降させるようにすればよい。
【0041】
このようにして基板Wを受け渡すようにすることにより、各電動モータ25を制御するのに比較して、受け渡しの制御を簡易化することができる。
【0042】
また、上述した説明においては、支持アーム17をFOUP9に進出させる際に、支持アーム17を伸長させた。しかし、例えば、図10に示すようにしてもよい。図10は、基板搬送装置によって基板側へ支持アームを進出させる際の他の動作例を示す側面図である。
【0043】
支持アーム17は、屈伸動作により進退動作する構成であるが、例えば、支持アーム17を常に伸長動作させた状態とし、FOUP9に進出させる際には、アームベース15ごとFOUP9側へ水平移動させるようにしてもよい。また、姿勢変換部5に対しても同様にしてもよい。なお、このような進退制御にする場合には、支持アーム17を屈伸動作しない長さが一定の構成としてもよいので、支持アーム17の構成を簡易化できてコストを低減することができる。
【0044】
上述した実施例では、3枚の基板Wを3個の支持アーム17で移載する場合を説明した。しかし、移載したい基板Wが1枚だけの場合には、他の支持アーム17が移載の際に邪魔になることがある。そのような場合について、図11を参照して説明する。図11は、基板搬送装置から支持アームを進出させる際に干渉を回避するための動作を示す側面図である。
【0045】
例えば、FOUP9に4枚の基板Wが収容されており、その内の一番上の基板Wだけを搬送したい場合には、最上部の支持アーム17だけをその基板Wに対向する位置へ移動させる。中央部の支持アーム17と最下部の支持アーム17は、FOUP17の収容部の最下部に移動させる。このように下の支持アーム17を待避させた状態で、全支持アーム17をFOUP9に進出させ、全支持アーム17を上昇させると、最上部の支持アーム17だけが基板Wを受け取ることができ、他の支持アーム17が不要な基板Wを載置したり、FOUP17と干渉したりするのを防止できる。また、姿勢変換部5においても同様である。
【0046】
また、FOUP9内の収容部の全てに基板Wが収容され、その内の最上部と最下部の基板Wだけを移載したい場合について図12を参照して説明する。図12は、基板搬送装置から支持アームを進出させる際に干渉を回避するための他の動作を示す側面図である。
【0047】
このような場合には、最上部の支持アーム17を最上部の基板Wに対応させ、中央部の支持アーム17を最下部の基板Wに対応させる位置に移動させる。最下部の支持アーム17は、ロードポート1に形成された待避部41に対応する位置に移動させる。なお、アームベース15は、待避部41に支持アーム17が待避できるように支持アーム17の移動範囲を拡大して構成しておく。
【0048】
このようにすることにより、FOUP9の全収容部が基板Wで満たされている場合であっても、任意の基板Wだけを移載することが可能となる。
【0049】
また、FOUP9の全収容部が基板Wで満たされた状態で、全枚数より少ない複数枚の基板Wを移載する場合であって、支持アーム17が、移載したい基板Wの枚数よりも多い構成である場合には、上下方向で隣接する支持アーム17を各基板Wの収容位置に対応する位置に移動するのが好ましい。これは、移載したい基板Wの枚数よりも支持アーム17が多い場合に、移載する必要のない基板Wを支持アーム17が支持することを避けるためである。
【0050】
また、上述した支持アーム17の待避方法に代えて、次のような方法を採用してもよい。ここで、図13を参照する。図13は、基板搬送装置の支持アームの他の構成例を示し、支持アームを進出させる際に干渉を回避するための動作を示す平面図である。
【0051】
この基板搬送装置3はアームベース15Aを備え、アームベース15Aは支持アーム17Aを備えている。支持アーム17Aの基端部は、鉛直軸P2周りに揺動可能に構成されている。支持アーム17Aの先端部が前方(図13の右方向)へ向けられた状態が基板Wを受け渡す位置であり、支持アーム17Aの先端部が側方(図13の上下方向)へ移動された状態が基板Wを受け渡さない位置である。したがって、上記のように基板Wの受け渡しに用いられない支持アーム17Aを側方へ待避させることにより、FOUP9等との干渉を回避することができる。
【0052】
ここで、図14を参照する。図14は、基板搬送装置の支持アームの他の構成例を示し、支持アームを進出させる際に干渉を回避するための動作を示す平面図である。
【0053】
この基板搬送装置3は、アームベース15Bを備えている。アームベース15Bは、支持アーム17Bを複数備えている。アームベース15Bは、任意の支持アーム17Bを鉛直軸P3周りに揺動可能に構成されている。支持アーム17Bの両方の先端部が前方(図14の右方向)へ向けられた状態が基板Wを受け渡す位置であり、支持アーム17Bの両方の先端部がFOUP9と干渉しない同方向の側方(図14の下方向)に移動された状態が基板Wを受け渡さない位置である。したがって、このような構成を採用しても、受け渡しに関与しない支持アーム17BがFOUP9等と干渉することを防止できる。
【0054】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0055】
(1)上述した実施例では、FOUP9と姿勢変換部5との間で支持アーム17が基板Wを移載する構成としたが、カセット間における移載や、FOUP9とバッファ、カセットとバッファとの間、あるいは基板搬送装置3と別の基板搬送装置との間における移載にも本発明を適用することができる。
【0056】
(2)上述した実施例では、各支持アーム17の間隔調整手段として、ガイド19と、ラック21と、ピニオン23と、電動モータ25とを備える構成を採用した。しかし、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、ラック21とピニオン23に代えて、複数本の螺軸と、各螺軸に螺合した昇降ネジと、各螺軸を個別に回転させる複数個の電動モータとを備え、各支持アーム17を各昇降ネジに取り付ける構成としてもよい。
【0057】
(3)上述した実施例では、各支持アーム17で支持した基板Wの間隔を、FOUP9から基板Wを引き出した直後に調整した。しかし、本発明は、間隔調整をこのようなタイミングに限定されるものではない。つまり、搬送先の姿勢変換部5に基板Wを渡すまでに間隔の調整を行えばよく、例えば、アームベース15を搬送先に向けて回転させながら間隔調整を行ってもよい。これにより、搬送効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 … ロードポート
3 … 基板搬送装置
5 … 姿勢変換部
7 … 処理部
9 … FOUP
11 … 保持機構
13 … 装置基台
15 … アームベース
17 … 支持アーム
19 … ガイド
21 … ラック
23 … ピニオン
25 … 電動モータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を移載する基板移載装置において、
複数枚の基板を収容可能な第1の基板収容部と、
基板を処理する処理部と前記第1の基板収容部との間に配置され、複数枚の基板を収容可能な第2の基板収容部と、
前記第1の基板収容部と前記第2の基板収容部との間で基板を搬送する基板搬送手段とを備え、
前記基板搬送手段は、
前記第1の基板収容部に収容可能な基板の枚数より少なく、かつ2以上の支持アームと、
前記第1の基板収容部における各基板の収容位置に応じて前記各支持アームを移動させ、各基板を前記各支持アームで支持した後、前記第2の基板収容部に各基板を移載するまでに、前記第2の基板収容部における収容間隔に応じて各基板の間隔を一定にするように前記各支持アームの間隔を調整する間隔調整手段と、
を備えていることを特徴とする基板移載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板移載装置において、
前記基板搬送手段は、基板を受け渡しする際には、基板を受け渡しする前記各支持アームだけを昇降させることを特徴とする基板移載装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板移載装置において、
前記基板搬送手段は、基板を受け渡しする際には、前記支持アームが取り付けられているアームベースごと前記各支持アームを昇降させることを特徴とする基板移載装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の基板移載装置において、
前記基板搬送手段は、前記第1の基板収容部及び前記第2の基板収容部に対して、基板を受け渡す前記各支持アームだけを水平方向に進退させることを特徴とする基板移載装置。
【請求項5】
請求項3に記載の基板移載装置において、
前記基板搬送手段は、前記第1の基板収容部及び前記第2の基板収容部に対して、前記アームベースごと水平方向に進退させることを特徴とする基板移載装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板移載装置において、
前記第1の基板収容部及び前記第2の基板収容部に対して前記各支持アームを進出させる際には、前記間隔調整手段により、基板を受け渡さない各支持アームを、前記第1の基板収容部内または前記第2の基板収容部内またはそれらを載置している載置台内へ待避させることを特徴とする基板移載装置。
【請求項1】
基板を移載する基板移載装置において、
複数枚の基板を収容可能な第1の基板収容部と、
基板を処理する処理部と前記第1の基板収容部との間に配置され、複数枚の基板を収容可能な第2の基板収容部と、
前記第1の基板収容部と前記第2の基板収容部との間で基板を搬送する基板搬送手段とを備え、
前記基板搬送手段は、
前記第1の基板収容部に収容可能な基板の枚数より少なく、かつ2以上の支持アームと、
前記第1の基板収容部における各基板の収容位置に応じて前記各支持アームを移動させ、各基板を前記各支持アームで支持した後、前記第2の基板収容部に各基板を移載するまでに、前記第2の基板収容部における収容間隔に応じて各基板の間隔を一定にするように前記各支持アームの間隔を調整する間隔調整手段と、
を備えていることを特徴とする基板移載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板移載装置において、
前記基板搬送手段は、基板を受け渡しする際には、基板を受け渡しする前記各支持アームだけを昇降させることを特徴とする基板移載装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板移載装置において、
前記基板搬送手段は、基板を受け渡しする際には、前記支持アームが取り付けられているアームベースごと前記各支持アームを昇降させることを特徴とする基板移載装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の基板移載装置において、
前記基板搬送手段は、前記第1の基板収容部及び前記第2の基板収容部に対して、基板を受け渡す前記各支持アームだけを水平方向に進退させることを特徴とする基板移載装置。
【請求項5】
請求項3に記載の基板移載装置において、
前記基板搬送手段は、前記第1の基板収容部及び前記第2の基板収容部に対して、前記アームベースごと水平方向に進退させることを特徴とする基板移載装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板移載装置において、
前記第1の基板収容部及び前記第2の基板収容部に対して前記各支持アームを進出させる際には、前記間隔調整手段により、基板を受け渡さない各支持アームを、前記第1の基板収容部内または前記第2の基板収容部内またはそれらを載置している載置台内へ待避させることを特徴とする基板移載装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−199303(P2012−199303A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61156(P2011−61156)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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