説明

基準電流生成回路、及びこれを含む情報処理装置

【課題】電流の方向に関係なく負荷回路を接続でき、ブラックボックス回路として容易に取り扱える基準電流生成回路、及びこれを含む情報処理装置を提供する。
【解決手段】基準電圧に基づく基準電流を出力する第1トランジスタと第2トランジスタの制御端子にそれぞれ供給される第1及び第2バイアス電圧を生成するバイアス電圧生成部と、制御端子に第1バイアス電圧、第2バイアス電圧が印加されると基準電流に基づく電流を出力する第1導電型の第1電流出力用トランジスタ、第2導電型の第2電流出力用トランジスタと、第1電流出力用トランジスタと第2電流出力用トランジスタとの間に一端が接続されるとともに他端が負荷回路に接続され、負荷回路への電流の流し込み、又は負荷回路から電流の引き込みを行う入出力部と、入出力部の電圧値に基づき第1電流出力用トランジスタと第2電流出力用トランジスタのオン/オフを切替る切り替え部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
基準電流生成回路、及びこれを含む情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、LSI(Large Scale Integrated circuit:大規模集積回路)等の電子回路に、回路動作の基準となる基準電流を供給する基準電流生成回路がある。
【0003】
例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)トランジスタを使用したアナログ回路を含むLSI等の電子回路の動作には、基準となる電圧、電流が必要であるため、LSI等の電子回路は、基準電流を生成する基準電流生成回路を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−118451号公報
【特許文献2】特開2005−285019号公報
【特許文献3】特開2009−066921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような基準電流生成回路によって生成される基準電流は、電子回路等の負荷回路に電流を流し込む場合と、負荷回路から電流を引き抜く場合に用いられる。
【0006】
しかしながら、電流を流し込む負荷回路と、電流を引き抜く負荷回路とは電流の方向が異なるため、負荷回路の種類(電流の方向)に応じて基準電流生成回路を作り分ける必要があるという問題があった。
【0007】
また、電流を流し込む負荷回路と、電流を引き抜く負荷回路とは電流の向きが異なるため、ブラックボックス回路として取り扱うことが容易ではなく、接続を間違えると負荷回路が動作不能になるという問題があった。
【0008】
そこで、電流の方向に関係なく負荷回路を接続でき、ブラックボックス回路として容易に取り扱うことができる基準電流生成回路、及びこれを含む情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態の基準電流生成回路は、基準電圧を生成する基準電圧生成部と、それぞれ前記基準電圧に基づく基準電流を出力する第1導電型の第1トランジスタと第2導電型の第2トランジスタとを有し、前記第1トランジスタの制御端子と前記第2トランジスタの制御端子とにそれぞれ供給される第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧を生成するバイアス電圧生成部と、制御端子に前記第1バイアス電圧が印加されると前記基準電流に基づく電流を出力する第1導電型の第1電流出力用トランジスタと、制御端子に前記第2バイアス電圧が印加されると前記基準電流に基づく電流を出力する第2導電型の第2電流出力用トランジスタと、前記第1電流出力用トランジスタの電流出力端子と前記第2電流出力用トランジスタの電流入力端子との間に一端が接続されるとともに、他端が負荷回路に接続され、前記第1電流出力用トランジスタから前記負荷回路への電流の流し込み、又は、前記負荷回路から前記第2電流出力用トランジスタへの電流の引き込みを行う入出力部と、前記入出力部の電圧値に基づき、前記第1電流出力用トランジスタと前記第2電流出力用トランジスタのオン/オフを切り替える切替部とを含む。
【発明の効果】
【0010】
電流の方向に関係なく負荷回路を接続でき、ブラックボックス回路として容易に取り扱うことができる基準電流生成回路、及びこれを含む情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来の基準電流生成回路の概略的な回路構成を示す図である。
【図2】従来の基準電流生成回路の基準電流生成回路と負荷回路との接続関係を示す図である。
【図3】実施の形態1の基準電流生成回路が適用されるサーバを示す図である。
【図4】実施の形態1の基準電流生成回路を示す図である。
【図5】(A)は、NMOSトランジスタ113の出力電圧に対する出力電流の関係を示す特性図、(B)は、PMOSトランジスタ112の出力電圧に対する出力電流の関係を示す特性図である。
【図6】(A)は、実施の形態1の基準電流生成回路100のPMOSトランジスタ112、NMOSトランジスタ113のドレイン電圧と動作領域の関係を示す図、(B)は、実施の形態1の基準電流生成回路100のPMOSトランジスタ112、NMOSトランジスタ113の動作条件を示す表である。
【図7】基準飽和ドレイン電圧生成回路121として用いる比較用の回路を示す図である。
【図8】実施の形態1の基準電流生成回路100の基準飽和ドレイン電圧生成回路121の具体的な回路構成を示す図である。
【図9】実施の形態1の基準電流生成回路100のステートマシン130によって実現される処理を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1の変形例の基準電流生成回路100に含まれるバイアス電圧生成部の回路構成を示す図である。
【図11】実施の形態2の基準電流生成回路200の回路構成を示す図である。
【図12】実施の形態3の基準電流生成回路の入出力部を示す図である。
【図13】実施の形態3の基準電流生成回路の入出力部を示す図である。
【図14】実施の形態4の基準電流生成回路の基準飽和ドレイン電圧生成回路421の回路構成を示す図である。
【図15】実施の形態4の基準電流生成回路の基準飽和ドレイン電圧生成回路421Aの回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の基準電流生成回路、及びこれを含む情報処理装置を適用した実施の形態について説明する。
【0013】
実施の形態1、2の基準電流生成回路について説明する前に、まず、図1及び図2を用いて、従来の基準電流生成回路における問題点について説明する。
【0014】
図1は、従来の基準電流生成回路の概略的な回路構成を示す図である。
【0015】
図1に示す従来の基準電流生成回路1は、基準電圧生成回路10、電圧電流変換回路20、Pch(P channel)−Nch(N channel)変換回路30、及び出力部40を含む。
【0016】
従来の基準電流生成回路1は、例えば、LSIに含まれる高速シリアルインターフェイス回路、PLL(Phase Locked Loop:位相同期回路)、又はA/D(Analog/Digital)コンバータ等に含まれる。
【0017】
従来の基準電流生成回路1は、高速シリアルインターフェイス回路、PLL、又はA/Dコンバータ等のように、CMOSトランジスタを使用したアナログ回路の回路動作の基準になる基準電流を生成する。
【0018】
基準電圧生成回路10は、例えば、バンドギャップリファレンス(Band Gap Reference)回路で実現される。バンドギャップリファレンス回路は、温度依存性の少ない定電圧(基準電圧)を出力する回路であり、シリコンのバンドギャップを用いたもので、1.25(V)の出力電圧が得られる。基準電圧生成回路10は、例えば、1.25(V)の出力電圧を分圧用の抵抗器等を用いて所望の基準電圧に変換して出力する。
【0019】
電圧電流変換回路20は、エラーアンプ21、PMOS(P型MOS)トランジスタ22、及び抵抗器23を有する。
【0020】
エラーアンプ21は、非反転入力端に基準電圧生成回路10が接続され、出力端にPMOSトランジスタ22のゲートが接続され、反転入力端にPMOSトランジスタ22のドレイン電流が負帰還されるように接続されている。
【0021】
また、エラーアンプ21の出力端は、Pch−Nch変換回路30及び出力部40内の複数のPMOSトランジスタの各々のゲートにも接続されている。
【0022】
エラーアンプ21の出力電圧は、PMOSトランジスタ22、Pch−Nch変換回路30及び出力部40内のPMOSトランジスタ41〜41のゲートに入力される。
【0023】
PMOSトランジスタ22は、ゲートにエラーアンプ21の出力端が接続され、ソースに電源(電源電圧:Vdd)が接続され、ドレインは抵抗器23を介して接地されている。
【0024】
抵抗器23は、PMOSトランジスタ22のドレインと接地との間に配設されており、電圧電流変換回路20の出力電流を規定するための抵抗値を有する。
【0025】
このような電圧電流変換回路20において、エラーアンプ21は、基準電圧生成回路10から入力する基準電圧と、抵抗器23の両端間に発生する電圧とを比較し、抵抗器23にかかる電圧が基準電圧に等しくなるようにPMOSトランジスタ22を駆動する。
【0026】
このときのPMOSトランジスタ22のゲート電圧は、出力部40内の複数のPMOSトランジスタ41〜41の各々のゲート、Pch−Nch変換回路30内のPMOSトランジスタ31に、PMOSトランジスタ(31、41〜41)のゲートを駆動するためのバイアス電圧PBIASとして入力される。
【0027】
この結果、基準電圧生成回路10が出力する基準電圧は、電圧電流変換回路20内において、PMOSトランジスタ22のドレインから抵抗器23に流れる所定電流値の電流(Iref)に変換される。
【0028】
Pch−Nch変換回路30は、PMOSトランジスタ31とNMOS(N型MOS)トランジスタ32を有する。
【0029】
PMOSトランジスタ31は、ゲートに電圧電流変換回路20のエラーアンプ21の出力端が接続され、ソースに電源(電源電圧:Vdd)が接続され、ドレインはNMOSトランジスタ32のドレインに接続されている。
【0030】
NMOSトランジスタ32は、ドレインがPMOSトランジスタ31のドレインに接続されるとともに自己のゲートに接続されることにより、PMOSトランジスタ31に対してダイオード接続されている。すなわち、NMOSトランジスタ32のドレインには、PMOSトランジスタ31のドレイン電流と同一のIrefの電流が流れる。
【0031】
また、NMOSトランジスタ32のソースは接地され、ゲートは、自己のドレインに接続されるとともに、出力部40内の複数のNMOSトランジスタ42〜42の各々のゲートに接続されている。
【0032】
すなわち、NMOSトランジスタ32と、出力部40内の複数のNMOSトランジスタ42〜42とは、カレントミラー回路を構築している。
【0033】
上述のように、NMOSトランジスタ32は、PMOSトランジスタ31にダイオード接続されているため、PMOSトランジスタ31がオンになってPMOSトランジスタ31のドレイン電流(Iref)がNMOSトランジスタ32のドレインに入力すると、NMOSトランジスタ32はオンになる。このとき、NMOSトランジスタ32のゲートに生じる電圧は、出力部40のNMOSトランジスタ42〜42のゲートを駆動するためのバイアス電圧NBIASとして出力部40の複数のNMOSトランジスタ42〜42の各々に入力される。
【0034】
このため、出力部40内の複数のNMOSトランジスタ42〜42には、NMOSトランジスタ32と出力部40内の複数のNMOSトランジスタ42〜42とのサイズ比に応じた電流が流れる。
【0035】
このように、NMOSトランジスタ32のドレイン電流は、出力部40内の複数のNMOSトランジスタ42〜42で生成する電流の元になる基準電流である。このため、NMOSトランジスタ32と出力部40内の複数のNMOSトランジスタ42〜42とのサイズ比は、電圧電流変換回路20内のPMOSトランジスタ22とPch−Nch変換回路内のPMOSトランジスタ31を考慮して、出力部40内の複数のNMOSトランジスタ42〜42が出力部40に接続される負荷回路に必要な電流を生成できるように設定すればよい。
【0036】
出力部40は、n個のPMOSトランジスタ41〜41と、n個のNMOSトランジスタ42〜42とを有する。なお、nは、1以上の任意の整数である。
【0037】
PMOSトランジスタ41〜41は、それぞれのゲートがPMOSトランジスタ22のゲートと接続されることにより、PMOSトランジスタ22に対するカレントミラー回路を構築している。
【0038】
PMOSトランジスタ41〜41の各々のソースは、電源(電源電圧:Vdd)に接続され、各々のドレインには、負荷回路が1つずつ接続されている。
【0039】
なお、負荷回路については図2を用いて後述するが、負荷回路としては、例えば、高速シリアルインターフェイス回路、PLL、又はA/Dコンバータ等に含まれるオペアンプのように、CMOSトランジスタを使用したアナログ回路が挙げられる。
【0040】
電圧電流変換回路20内のエラーアンプ21からPMOSトランジスタ41〜41のゲートにバイアス電圧PBIASが入力すると、PMOSトランジスタ41〜41は、それぞれ、PMOSトランジスタ22とのサイズ比に応じた電流値の電流をドレインから出力する。
【0041】
このため、PMOSトランジスタ41〜41の各々のドレインに1つずつ接続される負荷回路に、PMOSトランジスタ22のドレイン電流と同一電流値(Iref)の電流が流し込まれる。
【0042】
NMOSトランジスタ42〜42は、それぞれのゲートがNMOSトランジスタ32のゲートと接続されることにより、NMOSトランジスタ32に対するカレントミラー回路を構築している。
【0043】
NMOSトランジスタ42〜42の各々のドレインには、負荷回路が1つずつ接続され、各々のドレインは、接地されている。
【0044】
なお、NMOSトランジスタ42〜42のソースに接続される負荷回路については図2を用いて後述するが、負荷回路としては、例えば、高速シリアルインターフェイス回路、PLL、又はA/Dコンバータ等に含まれるオペアンプのように、CMOSトランジスタを使用したアナログ回路が挙げられる。
【0045】
NMOSトランジスタ32からNMOSトランジスタ42〜42のゲートにバイアス電圧NBIASが入力すると、NMOSトランジスタ42〜42は、それぞれ、NMOSトランジスタ32とのサイズ比に応じた電流値の電流がドレインに流れる。
【0046】
ここで、NMOSトランジスタ32のサイズと、NMOSトランジスタ42〜42のサイズは等しいものとする。
【0047】
このため、NMOSトランジスタ42〜42の各々のドレインに1つずつ接続される負荷回路から、NMOSトランジスタ32のドレイン電流と同一電流値(Iref)の電流が引き抜かれる。
【0048】
次に、図2を用いて、従来の基準電流生成回路と負荷回路との接続関係について説明する。図2では、図1に示したPMOSトランジスタ41〜41のうちの1つについて説明するため、PMOSトランジスタ41と表記する。同様に、図2では、NMOSトランジスタ42〜42のうちの1つについて説明するため、NMOSトランジスタ42と表記する。
【0049】
図2は、従来の基準電流生成回路の基準電流生成回路と負荷回路との接続関係を示す図である。図2(A)は、PMOSトランジスタ41と負荷回路の接続関係を示し、図2(B)は、NMOSトランジスタ42と負荷回路の接続関係を示す。
【0050】
まず、図2(A)を用いて、負荷回路に電流を流し込む際の動作について説明する。
【0051】
図2(A)に示す負荷回路50は、オペアンプである。オペアンプとしての負荷回路50は、PMOSトランジスタ51、52、NMOSトランジスタ53、54、55、PMOSトランジスタ56、及びNMOSトランジスタ57、58を含む。
【0052】
PMOSトランジスタ51、52は、ともにソースが電源(電源電圧:Vdd)に接続され、互いのゲート同士が接続され、PMOSトランジスタ51のゲートは自己のドレインに接続されている。また、PMOSトランジスタ51、52のドレインは、それぞれ、NMOSトランジスタ53、54のドレインに接続されている。PMOSトランジスタ51、52は、カレントミラー回路を構築する。
【0053】
NMOSトランジスタ53のゲートは、オペアンプの反転入力端(−)となり、NMOSトランジスタ54のゲートは、オペアンプの非反転入力端(+)となる。
【0054】
NMOSトランジスタ53、54のソースは、ともに、NMOSトランジスタ55のドレインに接続されている。
【0055】
PMOSトランジスタ56のソースは電源(電源電圧:Vdd)に接続され、ゲートはPMOSトランジスタ52のドレインに接続されている。PMOSトランジスタ56のドレインは、NMOSトランジスタ57のドレインに接続されており、PMOSトランジスタ56のドレインとNMOSトランジスタ57のドレインの接続点は、オペアンプの出力端(OUT)となる。
【0056】
NMOSトランジスタ55、57のソースは、ともに接地されている。NMOSトランジスタ55、57のゲートは、互いに接続されている。
【0057】
このようなオペアンプとしての負荷回路50は、NMOSトランジスタ58を介して、基準電流生成回路1(図1参照)のPMOSトランジスタ41のドレインに接続されている。
【0058】
NMOSトランジスタ58は、ソースが接地され、ドレインはPMOSトランジスタ41のドレインに接続されるとともに、自己のゲートに接続されている。すなわち、NMOSトランジスタ58は、PMOSトランジスタ41と接地との間にダイオード接続されている。
【0059】
また、NMOSトランジスタ58のゲートは、負荷回路50のNMOSトランジスタ55、57のゲートに接続されている。
【0060】
図1に示す電圧電流変換回路20内のエラーアンプ21からPMOSトランジスタ41のゲートにバイアス電圧PBIASが入力すると、PMOSトランジスタ41は、PMOSトランジスタ22のドレイン電流にサイズ比を乗じた電流をドレインから出力する。
【0061】
上述のように、図1に示すPMOSトランジスタ22のサイズに対するPMOSトランジスタ41のサイズは、負荷回路50に必要な基準電流に応じて設定されているため、PMOSトランジスタ41は、負荷回路50に必要な基準電流を出力する定電流源として機能する。
【0062】
これにより、図2(A)に示すPMOSトランジスタ41のドレインに接続される負荷回路50に、負荷回路50に必要な基準電流が流し込まれる。
【0063】
この結果、負荷回路50は、オペアンプとしての動作可能な状態になる。
【0064】
図2(A)には、PMOSトランジスタ41、及び負荷回路50を1つずつ示すが、実際には、n個の負荷回路50が、n個のPMOSトランジスタ41〜41にそれぞれ接続されている。
【0065】
このため、n個のPMOSトランジスタ41〜41を通じて、n個の負荷回路50の各々に、PMOSトランジスタ22のドレイン電流と等しい電流値の電流が流し込まれる。
【0066】
次に、図2(B)を用いて、負荷回路から電流を引き抜く際の動作について説明する。
【0067】
図2(B)に示す負荷回路60は、オペアンプである。オペアンプとしての負荷回路60は、PMOSトランジスタ71、72、73、74、75、及びNMOSトランジスタ76、77、78を含む。
【0068】
オペアンプとしての負荷回路60は、PMOSトランジスタ71を介して、基準電流生成回路1(図1参照)のNMOSトランジスタ42のドレインに接続されている。
【0069】
PMOSトランジスタ71は、ソースが電源(電源電圧:Vdd)に接続され、ドレインはNMOSトランジスタ42のドレインに接続されるとともに、自己のゲートに接続されている。すなわち、PMOSトランジスタ71は、NMOSトランジスタ42と電源との間にダイオード接続されている。
【0070】
また、PMOSトランジスタ71のゲートは、PMOSトランジスタ72、73のゲートに接続されている。
【0071】
PMOSトランジスタ72は、ゲートがPMOSトランジスタ71、73のゲートに接続され、ソースが電源(電源電圧:Vdd)に接続され、ドレインがPMOSトランジスタ74、75のソースが並列に接続されている。
【0072】
PMOSトランジスタ73は、ゲートがPMOSトランジスタ71、72のゲートに接続され、ソースが電源(電源電圧:Vdd)に接続され、ドレインがNMOSトランジスタ78のドレインに接続されている。
【0073】
PMOSトランジスタ74は、ゲートがオペアンプの反転入力端(−)となり、ソースがPMOSトランジスタ72のドレインに接続され、ドレインがNMOトランジスタ76のドレインに接続されている。
【0074】
PMOSトランジスタ75は、ゲートがオペアンプの非反転入力端(+)となり、ソースがPMOSトランジスタ72のドレインに接続され、ドレインがNMOSトランジスタのドレインに接続されている。
【0075】
NMOSトランジスタ76は、ゲートが自己のドレインに接続されるとともに、NMOSトランジスタ77のゲートに接続され、ドレインがPMOSトランジスタ74のドレインに接続され、ソースが接地されている。NMOSトランジスタ76は、PMOSトランジスタ74にダイオード接続されている。
【0076】
NMOSトランジスタ77は、ゲートがNMOSトランジスタ76のゲートに接続され、ドレインがPMOSトランジスタ75のドレインに接続され、ソースが接地されている。
【0077】
NMOSトランジスタ78は、ゲートがPMOSトランジスタ75のドレインとNMOSトランジスタ77のドレインに接続され、ドレインがPMOSトランジスタ73のドレインに接続され、ソースが接地されている。
【0078】
PMOSトランジスタ73のドレインと、NMOSトランジスタ78のドレインの接続点は、オペアンプの出力端(OUT)となる。
【0079】
図1に示すNMOSトランジスタ32からNMOSトランジスタ42のゲートにバイアス電圧NBIASが入力すると、NMOSトランジスタ42は、NMOSトランジスタ32のドレイン電流と等しい電流値(Iref)の電流をドレインから出力する。
【0080】
図1に示すPMOSトランジスタ22のサイズに対するNMOSトランジスタ32のサイズは、負荷回路60に必要な基準電流に応じて設定されているため、NMOSトランジスタ42は、負荷回路60に必要な基準電流を出力する定電流源として機能する。
【0081】
これにより、図2(B)に示すNMOSトランジスタ42のドレインに接続される負荷回路60から、負荷回路60の動作に必要な基準電流が引き抜かれる。
【0082】
この結果、オペアンプとしての負荷回路60は、オペアンプとしての動作可能な状態になる。
【0083】
図2(B)には、NMOSトランジスタ42及び負荷回路60を1つずつ示すが、実際には、n個の負荷回路60が、n個のNMOSトランジスタ42〜42にそれぞれ接続されている。
【0084】
このため、n個のNMOSトランジスタ42〜42を通じて、n個の負荷回路60の各々に、NMOSトランジスタ32のドレイン電流と等しい電流値の電流が流し込まれる。
【0085】
上述のように、電流の流し込みが必要な負荷回路50と、電流の引き抜きが必要な負荷回路60とでは、基準電流生成回路1と負荷回路との間での電流の方向が異なる。
【0086】
このため、従来の基準電流生成回路1は、負荷回路50に電流を流し込むためのPMOSトランジスタ41〜41と、負荷回路60から電流を引き抜くためのNMOSトランジスタ42〜42とのように、回路構成が異なる2種類の回路を作成していた。
【0087】
また、電流の流し込みが必要な負荷回路50の数と、電流の引き抜きが必要な負荷回路60の数とは、基準電流生成回路1を実装する装置によって異なる。
【0088】
また、PMOSトランジスタ41〜41とNMOSトランジスタ42〜42への負荷回路50、60の接続を間違えると、負荷回路に流れる電流の方向が逆になるため、負荷回路50、60が動作不能になっていた。
【0089】
このため、従来の基準電流生成回路1では、電流の流し込みが必要な回路負荷回路50と、電流を引き抜きが必要な負荷回路60との数及び配置等に合わせて、出力部40内のPMOSトランジスタ41〜41とNMOSトランジスタ42〜42を別々に作製する必要があった。
【0090】
ところで、LSIのような電子回路は、多品種、短期間開発の要求が益々強くなってきているため、基準電流生成回路のような基本的な回路は、電流の向きに関係なく多くの電子回路に接続できるように共通化することが望ましい。
【0091】
ここで、共通性を向上させるために、出力電流の方向を流し込み又は引き抜きのどちらか一つの方向に固定した基準電流生成回路を作製し、電流の方向が逆になる負荷回路に用いる際にはカレントミラー回路を用いて電流の方向を反転させることが考えられる。
【0092】
しかしながら、カレントミラー回路は、複数のMOSトランジスタを含むため、ノイズ(熱雑音、フリッカ雑音)の発生、MOSトランジスタのばらつきによる電流コピーの精度の劣化等が生じる可能性があるという問題点がある。
【0093】
また、上述のように、基準電流生成回路と負荷回路との接続関係は、電流の方向(流し込み又は引き抜き)によって異なるため、ブラックボックス回路として取り扱うことが容易ではなく、また、基準電流生成回路と負荷回路との接続を間違えると負荷回路が動作不能になるという問題があった。
【0094】
以上のように、従来の基準電流生成回路は、電流の方向に応じた共通化が図られていないこと、ブラックボックス化が困難であること、誤接続の場合に負荷回路が動作不能になることという問題点がある。
【0095】
以下で説明する実施の形態1乃至4では、上述の問題点を解決した基準電流生成回路を提供する。以下、実施の形態1乃至4の基準電流生成回路について説明する。
【0096】
<実施の形態1>
図3は、実施の形態1の基準電流生成回路が適用されるサーバを示す図である。
【0097】
実施の形態1の基準電流生成回路が適用されるサーバ80は、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)81、制御装置82、及び記憶装置83を含む。
【0098】
CPU81は、CPUコア81Aと高速シリアルインターフェイス回路81Bとを含む演算処理装置である。高速シリアルインターフェイス回路81Bは、CPUコア81Aと制御装置82との間における高速データ通信を実現するために配設されている。
【0099】
制御装置82は、CPU81と記憶装置83との間に配設され、CPU81及び記憶装置83とは、例えば、専用のバスで接続されている。制御装置82は、内部回路82Aと、高速シリアルインターフェイス回路82B、82Cとを含む。内部回路82Aは例えば、メモリーコントローラ、チップセット等を含む。高速シリアルインターフェイス回路82Bは、CPU81と内部回路82Aとの間における高速データ通信を実現するために配設されている。また、高速シリアルインターフェイス回路82Cは、内部回路82Aと記憶装置83との間における高速データ通信を実現するために配設されている。
【0100】
記憶装置83は、記憶回路83Aと高速シリアルインターフェイス回路83Bとを含む。記憶回路83Aは、例えば、ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)に代表される主記憶装置、及びハードディスクに代表される補助記憶装置を含む。高速シリアルインターフェイス回路83Bは、制御装置82と記憶回路83Aとの間における高速データ通信を実現するために配設されている。
【0101】
このように、サーバ80に含まれる高速シリアルインターフェイス回路81B、82B、82C、83Bは、CMOSトランジスタを使用したアナログ回路を含むため、基準電流生成回路を含んでいる。実施の形態1の基準電流生成回路は、例えば、高速シリアルインターフェイス回路81B、82B、82C、83Bに実装される。
【0102】
図4は、実施の形態1の基準電流生成回路を示す図である。
【0103】
実施の形態1の基準電流生成回路100は、基準電圧生成回路10、電圧電流変換回路20、Pch−Nch変換回路30、入出力部110、出力電圧判定部120、及びステートマシン130を含む。
【0104】
これらのうち、基準電圧生成回路10、電圧電流変換回路20、及びPch−Nch変換回路30は、それぞれ、図1に示した従来の基準電流生成回路1に含まれる基準電圧生成回路10、電圧電流変換回路20、及びPch−Nch変換回路30と同一であるため、説明を省略する。
【0105】
なお、基準電圧生成回路10は基準電圧を生成する基準電圧生成部の一例である。電圧電流変換回路20及びPch−Nch変換回路30は、第1バイアス電圧としてのバイアス電圧PBIAS及び第2バイアス電圧としてのバイアス電圧NBIASを生成するバイアス電圧生成部の一例である。
【0106】
また、Pch−Nch変換回路30のPMOSトランジスタ31は、バイアス電圧生成部に含まれる第1導電型の第1トランジスタの一例であり、NMOSトランジスタ32は、バイアス電圧生成部に含まれる第2導電型の第2トランジスタの一例である。また、電圧電流変換回路20のPMOSトランジスタ22は、第1導電型の第3トランジスタの一例である。
【0107】
入出力部110は、PMOSトランジスタ111、PMOSトランジスタ112、NMOSトランジスタ113、及びNMOSトランジスタ114を含む。PMOSトランジスタ111、PMOSトランジスタ112、NMOSトランジスタ113、及びNMOSトランジスタ114は、電源(電源電圧Vdd)と接地との間で接続されている。これらのうち、PMOSトランジスタ111及びPMOSトランジスタ112と、NMOSトランジスタ113及びNMOSトランジスタ114とは、それぞれカスコード接続されている。
【0108】
入出力部110は、PMOSトランジスタ112とNMOSトランジスタ113の接続点に接続される入出力端子110Aを有する。入出力端子110Aには、負荷回路が接続される。
【0109】
ここで、負荷回路としては、例えば、高速シリアルインターフェイス回路、PLL、又はA/Dコンバータ等に含まれるオペアンプのように、CMOSトランジスタを使用したアナログ回路が挙げられる。
【0110】
入出力部110は、負荷回路に電流を流し込む場合は、入出力端子110Aから電流を負荷回路に出力し、負荷回路から電流を引き抜く場合は、負荷回路から入出力端子110Aを介して電流を入力する。
【0111】
PMOSトランジスタ111は、ソースが電源(電源電圧Vdd)に接続され、ゲートは電圧電流変換回路20内のエラーアンプ21の出力及びPMOSトランジスタ22のゲートに接続され、ドレインはPMOSトランジスタ112のソースに接続される。すなわち、PMOSトランジスタ111は、電圧電流変換回路20内のトランジスタ22とカレントミラー回路を構築している。
【0112】
PMOSトランジスタ111は、PMOSトランジスタ31から入力するバイアス電圧PBIASによって駆動されることにより、負荷回路に電流を流し込むための基準電流となるPMOSトランジスタ22のドレイン電流と等しい電流値の電流を出力する第1電流出力用トランジスタトランジスタである。
【0113】
すなわち、PMOSトランジスタ111は、PMOSトランジスタ22のドレイン電流と等しい電流値(Iref)の電流を出力する定電流源(ソース電流源)として機能する。このため、図4には、PMOSトランジスタ111の脇に、電流源の記号を記す。
【0114】
PMOSトランジスタ112は、ソースがPMOSトランジスタ111のドレインに接続され、ゲートがステートマシン130に接続され、ドレインがNMOSトランジスタ113のドレインと入出力部110の入出力端子110Aとに接続される。
【0115】
PMOSトランジスタ112は、ステートマシン130からゲートに入力するPch(P channel)制御信号によってオン/オフが切り替えられる。PMOSトランジスタ112がオンになると、PMOSトランジスタ111と入出力端子110Aが接続され、PMOSトランジスタ112がオフになると、PMOSトランジスタ111と入出力端子110Aは接続されていない状態になる。
【0116】
NMOSトランジスタ113は、ドレインがPMOSトランジスタ112のドレインと入出力部110の入出力端子110Aとに接続され、ゲートがステートマシン130に接続され、ソースがNMOSトランジスタ114のドレインに接続される。
【0117】
NMOSトランジスタ113は、ステートマシンからゲートに入力するNch(N channel)制御信号によってオン/オフが切り替えられる。NMOSトランジスタ113がオンになると、NMOSトランジスタ114と入出力端子110Aが接続され、NMOSトランジスタ113がオフになると、NMOSトランジスタ114と入出力端子110Aは接続されていない状態になる。
【0118】
なお、ステートマシン130からPMOSトランジスタ112のゲートに入力するPch制御信号と、NMOSトランジスタ113のゲートに入力するNch制御信号とは、逆位相である。このため、PMOSトランジスタ112のオン/オフと、NMOSトランジスタ113のオン/オフは逆位相で行われる。これにより、入出力部110の入出力端子110Aには、PMOSトランジスタ111とNMOSトランジスタ114が同時に接続されることはなく、いずれか一方が接続されるか、又は、両方とも接続されないようになる。
【0119】
PMOSトランジスタ112とNMOSトランジスタ113は、PMOSトランジスタ111又はNMOSトランジスタ114を入出力端子110Aに接続される負荷回路に切り替え的に接続する切替回路として機能する。
【0120】
NMOSトランジスタ114は、ドレインがNMOSトランジスタ113のソースに接続され、ゲートはPch−Nch変換回路30のNMOSトランジスタ32のゲートに接続され、ソースは接地されている。すなわち、NMOSトランジスタ114は、Pch−Nch変換回路30のNMOSトランジスタ32とカレントミラー回路を構築している。
【0121】
NMOSトランジスタ114は、NMOSトランジスタ32から入力されるバイアス電圧NBIASによって駆動されることにより、負荷回路から電流を引き抜くための基準電流となるNMOSトランジスタ32のドレイン電流と等しい電流値の電流を出力する第2電流出力用トランジスタトランジスタである。
【0122】
すなわち、NMOSトランジスタ114は、NMOSトランジスタ32のドレイン電流と等しい電流値(Iref)の電流を出力する定電流源(シンク電流源)として機能する。このため、図4には、NMOSトランジスタ114の脇に、電流源の記号を記す。
【0123】
出力電圧判定部120は、基準飽和ドレイン電圧生成回路121、及びコンパレータ122、123を含む。
【0124】
基準飽和ドレイン電圧生成回路121は、PMOSトランジスタ112及びNMOSトランジスタ113の動作領域と非動作領域との境界となるドレイン電圧(VDS)である飽和ドレイン電圧を生成する回路である。
【0125】
基準飽和ドレイン電圧生成回路121は、バイアス電圧PBIASとバイアス電圧NBIASに基づき、PMOSトランジスタ112の飽和ドレイン電圧Vref(Pch)と、NMOSトランジスタ113の飽和ドレイン電圧Vref(Nch)とを生成する。なお、基準飽和ドレイン電圧生成回路121の回路構成については後述する。
【0126】
コンパレータ122は、非反転入力端(+)が入出力部110の入出力端子110Aに接続され、反転入力端(−)が基準飽和ドレイン電圧生成回路121に接続される。コンパレータ122の非反転入力端(+)には、入出力端子110Aから電圧値VI/Oが入力し、反転入力端(−)には、基準飽和ドレイン電圧生成回路121からPMOSトランジスタ112の飽和ドレイン電圧Vref(Pch)が入力する。
【0127】
コンパレータ122は、入出力端子110Aの電圧値VI/Oと飽和ドレイン電圧Vref(Pch)とを比較し、比較結果を表す信号をステートマシン130に入力する。
【0128】
コンパレータ123は、非反転入力端(+)が入出力部110の入出力端子110Aに接続され、反転入力端(−)が基準飽和ドレイン電圧生成回路121に接続される。コンパレータ123の非反転入力端(+)には、入出力端子110Aから電圧値VI/Oが入力し、反転入力端(−)には、基準飽和ドレイン電圧生成回路121からNMOSトランジスタ113の飽和ドレイン電圧Vref(Nch)が入力する。
【0129】
コンパレータ123は、入出力端子110Aの電圧値VI/Oと飽和ドレイン電圧Vref(Nch)とを比較し、比較結果を表す信号をステートマシン130に入力する。
【0130】
なお、入出力端子110Aの電圧値VI/Oは、PMOSトランジスタ112のドレイン電圧と、NMOSトランジスタ113のドレイン電圧とに等しい。
【0131】
ステートマシン130は、一対の入力端にそれぞれコンパレータ122、123の出力端が接続され、一対の出力端はそれぞれPMOSトランジスタ112のゲートとNMOSトランジスタ113のゲートとに接続されている。
【0132】
ステートマシン130は、コンパレータ122とコンパレータ123から入力する比較結果に応じて、PMOSトランジスタ112のオン/オフを制御するためのPch制御信号及びNMOSトランジスタ113のオン/オフを制御するためのNch制御信号を出力する。
【0133】
このため、出力電圧判定部120及びステートマシン130は、入出力部110の入出力端子110Aの電圧値VI/Oに基づき、PMOSトランジスタ112とNMOSトランジスタ113のオン/オフを切り替える選択部として機能する。
【0134】
なお、ステートマシン130は、FF(Flip Flop:フリップフロップ)及びカウンタ等の論理回路を含むデジタル回路である。ステートマシン130の処理については後述する。
【0135】
以上のような実施の形態1の基準電流生成回路100において、PMOSトランジスタ111のゲートには電圧電流変換回路20内のエラーアンプ21の出力からバイアス電圧PBIASが、NMOSトランジスタ114のゲートにはPch−Nch変換回路30からバイアス電圧NBIASが、それぞれ常に印加される。
【0136】
実施の形態1の基準電流生成回路100は、入出力端子110Aに接続された負荷回路の種類(電流を流し込む回路、又は、電流を引き抜く回路)に応じて、PMOSトランジスタ112又はNMOSトランジスタ113のいずれかをオンにすることにより、負荷回路への電流の流し込み、又は負荷回路からの電流の引き抜きを行う。
【0137】
なお、入出力端子110Aに接続された負荷回路の種類に応じて、PMOSトランジスタ112又はNMOSトランジスタ113のいずれかをオンにする手法については後述する。
【0138】
次に、図5を用いて、電流源となるPMOSトランジスタ111及びNMOSトランジスタ114の動作領域について説明する。
【0139】
図5(A)は、NMOSトランジスタ114の出力電圧に対する出力電流の関係を示す特性図であり、図5(B)は、PMOSトランジスタ111の出力電圧に対する出力電流の関係を示す特性図である。
【0140】
図5(A)は、NMOSトランジスタ114のゲートに規定の電流を流すためのバイアス電圧である Vgs(=Vth_n+Vov)が印加された状態での出力電圧(ドレイン電圧(VDS))と出力電流(ドレイン電流)の関係を示す。なお、VgsはNMOSトランジスタ114のソースに対するゲートの電圧、Vth_nはNMOSトランジスタ114の閾値電圧、VovはNMOSトランジスタ114のオーバードライブ電圧である。
【0141】
出力電圧がVdsat(Vgs-Vth)以下では、ソース−ドレイン間の電圧が十分ではなく、NMOSトランジスタ114は線形領域(非飽和領域)に入るので、出力電圧に対して出力電流が一定になる特性が得られない。
【0142】
NMOSトランジスタ114は、出力電圧に対して出力電流が一定になる動作条件で用いる必要がある。
【0143】
このため、電流の引き抜きを行う場合には、入出力端子110Aの電圧は、NMOSトランジスタ114が飽和領域に入る飽和ドレイン電圧Vdsat以上である必要がある。
【0144】
一般的に、飽和ドレイン電圧は、トランジスタの二乗則から式(1)で求められる。
【0145】
【数1】

【0146】
基準飽和ドレイン電圧生成回路121は、NMOSトランジスタ114の動作領域と非動作領域との境界となる飽和ドレイン電圧Vdsatを生成する。
【0147】
なお、NMOSトランジスタ114の飽和ドレイン電圧Vdsatは、例えば、NMOSトランジスタ114のドレイン電流が飽和ドレイン電流Isatの90%以上になる電圧値として規定すればよい。ここで、90%という値は一例にすぎず、基準電流生成回路100の利用環境や動作条件等に応じて適切な値に設定することができる。
【0148】
図5(B)は、PMOSトランジスタ111のゲートに規定の電流を流すためのバイアス電圧Vgs(=Vth_p-Vov)が印加された状態での出力電圧(ドレイン電圧(VDS))と出力電流(ドレイン電流)の関係を示す。なお、VgsはPMOSトランジスタ111のソースに対するゲートの電圧、Vth_pはPMOSトランジスタ111の閾値電圧、VovはPMOSトランジスタ111のオーバードライブ電圧である。
【0149】
出力電圧がVdd-Vov(=Vdd-Vdsat)より高い領域では、PMOSトランジスタ111は線形領域(非飽和領域)に入るので、出力電圧に対して出力電流が一定になる特性が得られない。
【0150】
PMOSトランジスタ111は、電流の流し込みを行う場合に、出力電圧に対して出力電流が一定になる動作条件で用いる必要がある。
【0151】
このため、電流の流し込みを行う場合には、入出力端子110Aの電圧は、PMOSトランジスタ111が飽和領域に入る飽和ドレイン電圧Vdd-Vdsat以下である必要がある。
【0152】
なお、PMOSトランジスタ111の飽和ドレイン電圧Vdd-Vdsatは、例えば、PMOSトランジスタ111のドレイン電流が飽和ドレイン電流Isatの90%以上になる電圧値として規定すればよい。
【0153】
次に、図6を用いて、PMOSトランジスタ111、NMOSトランジスタ114のドレイン電圧と動作領域の関係について説明する。
【0154】
図6(A)は、実施の形態1の基準電流生成回路100のPMOSトランジスタ111、NMOSトランジスタ114のドレイン電圧と動作領域の関係を示す図である。図6(B)は、実施の形態1の基準電流生成回路100のPMOSトランジスタ112、NMOSトランジスタ113の動作条件を示す表である。
【0155】
図6(A)に示すように、PMOSトランジスタ111は、ドレイン電圧がVdd-Vdsat以下で動作(オン)し、ドレイン電圧がVdd-Vdsatより高くなると非動作(オフ)となる。
【0156】
また、NMOSトランジスタ114は、ドレイン電圧がVdsat以上で動作(オン)し、ドレイン電圧がVdsatより低くなると非動作(オフ)となる。
【0157】
これは、図6(B)の表に示す通りである。
【0158】
以上より、PMOSトランジスタ111とNMOSトランジスタ114とをオン/オフさせるためには、次のように動作させる必要がある。すなわち、入出力端子110Aの電圧がVdsat以上、Vdd-Vdsat未満の領域では、PMOSトランジスタ112をオンにするとともに、NMOSトランジスタ113をオフにする。また、ドレイン電圧がVdd-Vdsat以上の領域では、NMOSトランジスタ113をオンにするとともに、PMOSトランジスタ113をオフにする。
【0159】
このような動作は、基準飽和ドレイン電圧生成回路121が生成する飽和ドレイン電圧Vref(Pch)をVdd-Vdsatに設定するとともに、飽和ドレイン電圧Vref(Nch)をVdsatに設定することによって実現される。
【0160】
次に、図7及び図8を用いて、基準飽和ドレイン電圧生成回路121の具体的な回路構成について説明する。
【0161】
図7は、基準飽和ドレイン電圧生成回路として用いる比較用の回路を示す図である。
【0162】
基準飽和ドレイン電圧生成回路は、飽和ドレイン電圧Vref(Pch)としての電圧Vdd-Vdsatと、飽和ドレイン電圧Vref(Nch)としての電圧Vdsatとの2種類の電圧を出力することのできる回路であればよい。
【0163】
ここで、2種類の電圧Vdd-Vdsat、Vdsatを生成する回路は、図7に示すように、3つの抵抗器R1、R2、R3を電源と接地との間に直列接続し、抵抗器R1、R2の接続点の電圧と、抵抗器R2、R3の接続点の電圧とを出力する回路を組み、抵抗器R1、R2、R3の抵抗値の比率を調整することによって実現することができる。
【0164】
このような回路を基準飽和ドレイン電圧生成回路として用いれば、電圧Vdd-Vdsatを飽和ドレイン電圧Vref(Pch)としてコンパレータ122の反転入力端(−)に入力するとともに、電圧Vdsatを飽和ドレイン電圧Vref(Nch)としてコンパレータ123の反転入力端(−)に入力することができる。
【0165】
しかしながら、図7に示すように抵抗器R1、R2、R3を直列接続しただけの回路は、電源電圧の変動によって、電圧Vdd-Vdsat、Vdsatに変動が生じる場合がある。
【0166】
このため、実施の形態1の基準電流生成回路100は、図8に示す回路を基準飽和ドレイン電圧生成回路121として用いることが望ましい。
【0167】
図8は、実施の形態1の基準電流生成回路100の基準飽和ドレイン電圧生成回路121の回路構成を示す図である。
【0168】
図8に示すように、基準飽和ドレイン電圧生成回路121として、MP1〜MP4、及びMN1〜MN4を含む回路を構築する。
【0169】
MP1〜MP4は、それぞれ、PMOSトランジスタである。MN1〜MN4は、それぞれ、NMOSトランジスタである。
【0170】
MP1のゲートには、バイアス電圧PBIASが入力され、MN2とMN4のゲートには、バイアス電圧NBIASが入力される。
【0171】
ここで、バイアス電圧PBIAS、NBIASは、それぞれ、入出力部110のPMOSトランジスタ111、NMOSトランジスタ114のゲートに入力するバイアス電圧と共通のバイアス電圧であり、それぞれ、電圧電流変換回路20内のエラーアンプ21の出力及びPMOSトランジスタ22のゲート、Pch−Nch変換回路30のNMOSトランジスタ32のゲートから入力する(図4参照)。
【0172】
PMOSトランジスタ111、NMOSトランジスタ114の閾値電圧をそれぞれVth_p、Vth_n、オーバードライブ電圧をVov(V over drive)とすると、バイアス電圧PBIASは(Vdd-Vth_p-Vov)と表され、バイアス電圧NBIASは(Vth_n+Vov)と表される。
【0173】
MP1は、ソースが電源(電源電圧Vdd)に接続され、ドレインはMP2のソースに接続される。また、上述のように、MP1のゲートは、電圧電流変換回路20内のエラーアンプ21の出力及びPMOSトランジスタ22のゲートに接続されており、バイアス電圧PBIAS(Vdd-Vth_p-Vov)が入力する。なお、MP1のドレイン電圧は、飽和ドレイン電圧Vref(Pch)(=Vdd-Vdsat)として出力される。
【0174】
MP2は、ソースがMP1のドレインに接続され、ドレインがMN1のドレインに接続され、ゲートがMP3のゲートに接続される。MP2は、MP1にカスコード接続されており、MP1のドレイン電圧の変動を抑制するために設けられている。
【0175】
MP3は、ソースが電源(電源電圧Vdd)に接続され、ドレインがMN2のドレインに接続され、ゲートがMP2のゲートに接続されている。また、MP3のゲートは自己のドレインに接続されている。すなわち、MP3は、電源とMN2のドレインとの間にダイオード接続されている。
【0176】
また、MP3のゲート幅は、MP1、MP2、MP4のゲート幅の1/4に設定される。MP3は、ゲート幅以外は、MP1、MP2、MP4と同一のサイズを有する。
【0177】
MP4は、ソースが電源(電源電圧Vdd)に接続され、ドレインがMN3のドレインに接続され、ゲートは自己のドレインに接続されている。すなわち、MP4は、電源とMN3のドレインとの間にダイオード接続されている。
【0178】
MN1は、ドレインがMP2のドレインに接続され、ソースが接地され、ゲートはMN3のゲートに接続されている。また、MN1のドレインは自己のゲートに接続されている。すなわち、MN1は、MP2のドレインと接地との間にダイオード接続されている。
【0179】
また、MN1のゲート幅は、MN2、MN3、MN4のゲート幅の1/4に設定される。MN1は、ゲート幅以外は、MN2、MN3、MN4と同一のサイズを有する。
【0180】
MN2は、ドレインがMP3のドレインに接続され、ソースが接地され、ゲートはPch−Nch変換回路30のNMOSトランジスタ32のゲートに接続されている。MN2のゲートには、バイアス電圧NBIAS(Vth_n+Vov)が入力する。
【0181】
MN3は、ドレインがMP4のドレインに接続され、ソースがMN4のドレインに接続され、ゲートがMN1のゲートに接続される。MN3は、MN4にカスコード接続されており、MN4のドレイン電圧を固定するために配設されている。
【0182】
MN4は、ドレインがMN3のソースに接続され、ソースが接地され、ゲートがPch−Nch変換回路30のNMOSトランジスタ32のゲートに接続されている。
【0183】
図8に示す基準飽和ドレイン電圧生成回路121において、バイアス電圧PBIAS(VDD-Vth_p-Vov)をMP1のゲートに印加すると、MP1のドレイン電圧は、カスコード接続されたMP2によって固定され、Vdd-Vdsatになる。基準飽和ドレイン電圧生成回路121は、MP1のドレイン電圧Vdd-Vdsatをコンパレータ122の反転入力端(−)に入力する飽和ドレイン電圧Vref(Pch)として出力する。
【0184】
MP2のゲートに入力する電圧は、MN2、MP3がバイアス電圧NBIAS(Vth_n+Vov)から生成する。MP3のゲート幅は、MP1、MP2、MP4のゲート幅の1/4であるため、MP3のゲートから出力される電圧は、Vdd-Vth_p-2×Vovになる。
【0185】
また、MN4のゲートにバイアス電圧NBIASが印加され、MN4にカスコード接続されたMN3でドレイン電圧の変動を抑制することで、MN4のドレイン電圧はVdsatに固定される。MN4のドレイン電圧Vdsatは、基準飽和ドレイン電圧Vref(Nch)としてコンパレータ123の反転入力端(−)に入力する。
【0186】
基準飽和ドレイン電圧Vref(Pch)(= Vdd-Vdsat)を生成する電流パスの一番下流側にあるMN1のゲート幅がMN2、MN3、MN4のゲート幅の1/4に設定されているため、MN3のゲート電圧は、Vth_n+2×Vovになる。
【0187】
以上のように、図8に示す回路を基準飽和ドレイン電圧生成回路121として用いることにより、電圧Vdd-Vdsatと電圧Vdsatを高精度に生成することができる。
【0188】
図8に示す回路は、トランジスタ(MP1〜MP4、MN1〜MN4)だけで実現されているため、電流源として用いるPMOSトランジスタ111、NMOSトランジスタ114と同一サイズのトランジスタを用いることにより、製造時のばらつき(特に、チップ間でのばらつき)を抑制することができる。
【0189】
また、図8に示す回路は、電流源として用いるPMOSトランジスタ111、NMOSトランジスタ114と同一サイズのトランジスタを用いるとともに、電圧電流変換回路20とPch−Nch変換回路30から出力されるバイアス電圧PBIAS、NBIASに基づいて、電圧Vdd-Vdsat、Vdsatを生成している。
【0190】
このため、電圧電流変換回路20で生成する基準電流(Iref)の電流値を変更した場合でも、基準飽和ドレイン電圧Vref(Pch)、Vref(Nch)として用いる電圧Vdd-Vdsat、Vdsatが追従できるという利点がある。
【0191】
また、電流源として用いるPMOSトランジスタ111、NMOSトランジスタ114と同一サイズのトランジスタを用いることにより、電源電圧Vddが変動しても、電圧Vdd-Vdsat、Vdsatが追従できるという利点がある。
【0192】
次に、図9のフローチャートを用いて、ステートマシン130の処理について説明する。
【0193】
図9は、実施の形態1の基準電流生成回路100のステートマシン130によって実現される処理を示すフローチャートである。
【0194】
ステートマシン130は、処理を開始すると(START)、まず、Pch制御信号及びNch制御信号をともにオフにする(ステップS1)。PMOSトランジスタ112及びNMOSトランジスタ113をともにオフにすることにより、ステートマシン130を初期化するためである。なお、この場合、Pch制御信号は“1”、Nch制御信号は“0”である。
【0195】
ステートマシン130は、Pch制御信号をオンにする(ステップS2)。具体的には、ステートマシン130は、Pch制御信号を“0”にし、PMOSトランジスタ112をオンにする。
【0196】
ステートマシン130は、入出力端子110Aの電圧値VI/Oが、PMOSトランジスタ111の動作条件となる出力電圧Vdd-Vsat以下であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0197】
ステートマシン130は、ステップS3において、入出力端子110Aの電圧値VI/OがVdd-Vsat以下であると判定すれば(S3 YES)、処理を終了する(END)。
【0198】
この場合は、入出力端子110Aに、電流の流し込みが必要な負荷回路が接続されている場合に相当する。電流の流し込みが必要な負荷回路が入出力端子110Aに接続されると、PMOSトランジスタ111からPMOSトランジスタ112及び入出力端子110Aを経て負荷回路まで電流パスが形成されて電流が流れるため、入出力端子110Aの電圧値VI/OはVdd-Vdsat以下となる。
【0199】
ステートマシン130は、ステップS3において、入出力端子110Aの電圧値VI/OがVdd-Vsat以下ではない(S3 NO)と判定した場合は、Pch制御信号をオフにする(ステップS4)。具体的には、ステートマシン130は、Pch制御信号を“1”にしてPMOSトランジスタ112をオフにする。
【0200】
これは、入出力端子110Aに、負荷回路が接続されていない場合、又は、電流の引き抜きを必要とする負荷回路が接続された場合に相当する。これらの場合は、電流源であるPMOSトランジスタ111から負荷回路への電流パスが形成されないため、入出力端子110Aの電圧値VI/Oは、電源電圧(Vdd)と同一になり、Vdd-Vsatより高くなる。
【0201】
ステートマシン130は、Nch制御信号をオンにする(ステップS5)。具体的には、ステートマシン130は、Nch制御信号を“1”にして、NMOSトランジスタ113をオンにする。S5の処理は、電流の引き抜きが必要な負荷回路が入出力端子110Aに接続されたか否かを判定するための準備として、NMOSトランジスタ113をオンにする処理である。
【0202】
ステートマシン130は、入出力端子110Aの電圧値VI/OがNMOSトランジスタ114の動作条件となる出力電圧Vdsat以上であるか否かを判定する(ステップS6)。電流の引き抜きが必要な負荷回路が入出力端子110Aに接続されたか否かを判定するためである。
【0203】
ステートマシン130は、ステップS6において、入出力端子110Aの電圧値VI/OがVdsat以上であると判定した場合は(S6 YES)、処理を終了する(END)。
【0204】
この場合は、入出力端子110Aに、電流の引き抜きが必要な負荷回路が接続されている場合に相当する。電流の引き抜きが必要な負荷回路が入出力端子110Aに接続されると、負荷回路から入出力端子110A及びNMOSトランジスタ113を経てNMOSトランジスタ114まで電流パスが形成されて電流が流れるため、入出力端子110Aの電圧値VI/OはVdsat以上となる。
【0205】
ステートマシン130は、ステップS6において、入出力端子110Aの電圧値VI/OがVdsat以上ではないと判定した場合は(S6 NO)、Nch制御信号をオフにする(ステップS7)。
【0206】
これは、入出力端子110Aに、負荷回路が接続されていない場合に相当する。この場合は、負荷回路から電流源であるNMOSトランジスタ114への電流パスが形成されないため、入出力端子110Aの電圧値VI/Oは接地電圧と同一になる。
【0207】
ステートマシン130は、ステップS7の処理を終えると、一連の処理を終了する(END)。
【0208】
以上、実施の形態1の基準電流生成回路100によれば、電流の流し込みが必要な負荷回路、又は電流の引き抜きが必要な負荷回路のどちらが入出力端子110Aに接続されても、ステートマシン130が入出力端子110Aの電圧値VI/Oに基づいて電流源を選択する。入出力端子110Aの電圧値VI/Oに基づいてPMOSトランジスタ112又はNMOSトランジスタ113のいずれかをオンにすることにより、電流源は、PMOSトランジスタ111又はNMOSトランジスタ114のいずれかに選択される。
【0209】
すなわち、電流の流し込みが必要な負荷回路であっても、電流の引き抜きが必要な負荷回路であっても、入出力部110の入出力端子110Aに接続するだけで、電流パスを形成することができ、負荷回路を動作させることができる。
【0210】
このため、実施の形態1によれば、従来の基準電流生成回路1の出力部40(図1参照)のように、電流を流し込むタイプの負荷回路用の回路と、電流を引き抜くための負荷回路用の回路を作り分ける必要がなく、電流の方向に関係なく共通化を図った基準電流生成回路100を提供することができる。
【0211】
なお、入出力端子110Aに負荷回路が接続されていない場合は、PMOSトランジスタ111、NMOSトランジスタ114ともにオフになるため、入出力端子110Aに電流が流れることはない。
【0212】
また、電流の方向に関わらず回路の共通化を図ったため、ブラックボックス回路として取り扱うことが容易になるとともに、負荷回路の接続間違いが生じないようにすることができる。
【0213】
このため、実施の形態1の基準電流生成回路100は、多品種、短期間開発の要求が強まっているLSIのような電子回路に好適である。
【0214】
なお、以上では、図9に示したように、ステートマシン130が入出力端子110Aに電流を流し込む必要のある負荷回路が接続されているか否かを判定し(ステップS3)、電流を流し込む必要のある負荷回路が接続されていないと判定した場合に(S3 NO)、入出力端子110Aに電流を引き抜く必要のある負荷回路が接続されているか否かを判定する(S6)形態について説明した。
【0215】
しかしながら、判定の順番は、上述の順番とは逆であってもよい。すなわち、ステートマシン130が入出力端子110Aに電流を引き抜く必要のある負荷回路が接続されているか否かを判定し、電流を引き抜く必要のある負荷回路が接続されていないと判定した場合に、入出力端子110Aに電流を流し込む必要のある負荷回路が接続されているか否かを判定してもよい。
【0216】
また、以上では、バイアス電圧生成部として電圧電流変換回路20及びPch−Nch変換回路30を含む形態について説明したが、バイアス電圧生成部は、図10に示す回路であってもよい。
【0217】
図10は、実施の形態1の変形例の基準電流生成回路100に含まれるバイアス電圧生成部の回路構成を示す図である。
【0218】
図10に示すバイアス電圧生成部20Aは、エラーアンプ21、PMOSトランジスタ22、及び抵抗器23に加えて、エラーアンプ24、NMOSトランジスタ25、及び抵抗器26を含む。
【0219】
図10に示すバイアス電圧生成部20Aは、バイアス電圧PBIASとバイアス電圧NBIASを生成するため、基準電流生成回路100にバイアス電圧生成部20Aを用いる場合は、図4に示すPch−Nch変換回路30は不要である。
【0220】
エラーアンプ21、PMOSトランジスタ22、及び抵抗器23の接続関係及び動作は、図4に示すエラーアンプ21、PMOSトランジスタ22、及び抵抗器23と同一である。PMOSトランジスタ22のゲート電圧から出力するバイアス電圧PBIASは、図4に示す入出力部110のPMOSトランジスタ111のゲートに入力する。図10では、PMOSトランジスタ22がバイアス電圧生成部の第1導電型の第1トランジスタの一例である。また、エラーアンプ21はバイアス電圧生成部の第1エラーアンプの一例であり、抵抗器23はバイアス電圧生成部の第1抵抗器の一例である。
【0221】
エラーアンプ24は、非反転有力端に基準電圧生成回路10が接続され、出力端にNSMOSトランジスタ25のゲートが接続され、反転入力端にNMOSトランジスタ25のドレイン電流が負帰還されるように接続されている。
【0222】
NMOSトランジスタ25は、ゲートにエラーアンプ24の出力端が接続され、ソースが接地され、ドレインは抵抗器26を介して電源(電源電圧Vdd)に接続されている。
【0223】
抵抗器26は、NMOSトランジスタ25のドレインと電源との間に配設されている。
【0224】
このような電圧電流変換回路20において、エラーアンプ24は、基準電圧生成回路10から入力する基準電圧と、抵抗器26の下流側における電圧とを比較し、抵抗器26の下流側の電圧が基準電圧に等しくなるようにNMOSトランジスタ25を駆動する。
【0225】
NSMOSトランジスタ25のゲート電圧は、バイアス電圧NBIASとして直接出力され、図4に示す入出力部110のNMOSトランジスタ114のゲートに入力する。図10では、NMOSトランジスタ25がバイアス電圧生成部の第2導電型の第2トランジスタの一例である。また、エラーアンプ24はバイアス電圧生成部の第2エラーアンプの一例であり、抵抗器26はバイアス電圧生成部の第2抵抗器の一例である。
【0226】
<実施の形態2>
図11は、実施の形態2の基準電流生成回路200の回路構成を示す図である。
【0227】
実施の形態2の基準電流生成回路200は、図4に示す実施の形態1の基準電流生成回路100の入出力部110をn個に増設した点が、実施の形態1の基準電流生成回路100と異なる。
【0228】
基準電流生成回路200は、入出力部110、110、・・・、110n−1、110、逆マルチプレクサ140、及びマルチプレクサ150を含む。
【0229】
図11では、基準電圧生成回路10、電圧電流変換回路20、及びPch−Nch変換回路30の図示を省略するが、入出力部110〜110の各々のPMOSトランジスタ111及びNMOSトランジスタ114のゲートは、それぞれ、電圧電流変換回路20内のエラーアンプ21の出力及びPMOSトランジスタ22のゲートとPch−Nch変換回路30のNMOSトランジスタ32のゲートに接続されている。
【0230】
このため、入出力部110〜110の各々のPMOSトランジスタ111のゲートには、電圧電流変換回路20内のエラーアンプ21の出力及びPMOSトランジスタ22のゲートからバイアス電圧PBIASが入力する。また、入出力部110〜110の各々のNMOSトランジスタ114のゲートには、Pch−Nch変換回路30のNMOSトランジスタ32のゲートからバイアス電圧NBIASが入力する。
【0231】
入出力部110〜110の各々のPMOSトランジスタ111及びNMOSトランジスタ114は、それぞれ、電圧電流変換回路20内のPMOSトランジスタ22及びPch−Nch変換回路30のNMOSトランジスタ32とカレントミラー回路を構築している。
【0232】
また、入出力部110〜110の各々の入出力端子110A〜110Aには、それぞれ、電流の流し込みが必要な負荷回路、又は、電流の引き抜きが必要な負荷回路のいずれかが接続される。なお、すべての入出力端子110A〜110Aに負荷回路を接続する必要はなく、負荷回路が接続されない入出力端子が存在してもよい。
【0233】
また、入出力部110〜110は、それぞれ、一対のFF115、116を有する。入出力部110〜110の各々の内部において、FF115の出力端子は、PMOSトランジスタ112のゲートに接続されており、FF116の出力端子は、NMOSトランジスタ113のゲートに接続されている。 入出力部110〜110の各々の内部にあるFF115は、ステートマシン130から入力するPch制御信号を保持する。同様に、入出力部110〜110の各々の内部にあるFF116は、ステートマシン130から入力するNch制御信号を保持する。
【0234】
なお、入出力部110〜110の各々の内部のPMOSトランジスタ112又はNMOSトランジスタ113のどちらをオンにするかを決定していない初期状態では、PMOSトランジスタ112及びNMOSトランジスタ113の両方をオフにするために、FF115にはデータ“1”が設定され、FF116には、データ“0”が設定される。
【0235】
逆マルチプレクサ140は、入出力部110〜110の各々のFF115、116の入力端子に接続されている。
【0236】
マルチプレクサ150は、入出力部110〜110の各々の入出力端子110A〜110Aに接続されている。
【0237】
逆マルチプレクサ140及びマルチプレクサ150には、入出力部110〜110のうちのいずれか1つを選択するための選択信号がステートマシン130から入力している。ステートマシン130は、n個の入出力部110〜110を順番に選択するために、選択信号を順次切り替える。
【0238】
逆マルチプレクサ140及びマルチプレクサ150によって入出力部110〜110のうちのいずれか1つが選択されると、選択された入出力部では、実施の形態1の基準電流生成回路100と同様に、ステートマシン130によって図9に示す処理と同一の処理が行われる。逆マルチプレクサ140及びマルチプレクサ150による入出力部110〜110のうちのいずれか1つの選択は、逆マルチプレクサ140及びマルチプレクサ150に入力する選択信号に基づいて行われる。選択信号は、入出力部110〜110のうちのいずれか1つを示す。
【0239】
ステートマシン130がPch制御信号をオンにすると(図9のステップS2参照)、逆マルチプレクサ140は、オンにされたPch制御信号を、入力した選択信号が示す入出力部のFF115を通じてPMOSトランジスタ112のゲートに入力する。また、ステートマシン130がNch制御信号をオンにすると(図9のステップS5参照)、逆マルチプレクサ140は、オンにされたNch制御信号を、入力する選択信号が示す入出力部のFF116を通じてNMOSトランジスタ113のゲートに入力する。
【0240】
そして、ステートマシン130によって図9に示す処理と同一の処理が行われた結果、負荷回路の種類に応じて、PMOSトランジスタ112、又はNMOSトランジスタ113がオンにされる。
【0241】
PMOSトランジスタ112をオンにする場合は、FF115にオン(“0”)のPch制御信号が設定され、FF116にオフ(“0”)のNch制御信号が設定される。また、NMOSトランジスタ113をオンにする場合は、FF115にオフ(“1”)のPch制御信号が設定され、FF116にオン(“1”)のNch制御信号が設定される。
【0242】
実施の形態2の基準電流生成回路200では、ステートマシン130が選択信号を順次切り替えることによって、逆マルチプレクサ140がPch制御信号/Nch制御信号を入力する入出力部を、n個の入出力部110〜110から順次選択する。
【0243】
マルチプレクサ150は、選択信号が示す入出力部(110〜110のうちのいずれか1つ)から出力されるVI/Oを出力電圧判定部120に供給する。出力電圧判定部120は、選択信号が示す入出力部(110〜110のうちのいずれか1つ)のVI/Oと基準電圧とを比較し、比較結果に応じてPch制御信号又はNch制御信号を出力する。
【0244】
各入出力部のFF115、FF116は、ステートマシン130によって設定されたPch制御信号、Nch制御信号をそれぞれ保持する。
【0245】
なお、逆マルチプレクサ140及びマルチプレクサ150による入出力部110〜110の選択は、入出力部を1つずつ選択するように順番に行えばよく、例えば、入出力部110〜110の順に選択を行えばよい。
【0246】
以上のように、実施の形態2の基準電流生成回路200では、入出力端子110A〜110Aの各々に負荷回路が接続されると、逆マルチプレクサ140及びマルチプレクサ150が入出力部110〜110を1つずつ順番に選択する。
【0247】
そして、入出力部110〜110の各々について、図9に示した処理を行い、負荷回路の種類に応じてNMOSトランジスタ112、又はNMOSトランジスタ113をオンにするために、FF115、FF116にPch制御信号、Nch制御信号をそれぞれ設定する。
【0248】
このため、実施の形態2によれば、電流の流し込みが必要な負荷回路、又は電流の引き抜きが必要な負荷回路のどちらが入出力端子110A〜110Aに接続されても、ステートマシン130が入出力端子110A〜110Aの電圧値VI/Oに基づいて電流源を選択する。電流源は、入出力端子110A〜110Aの電圧値VI/Oに基づいて、PMOSトランジスタ111又はNMOSトランジスタ114のいずれかが選択される。
【0249】
すなわち、電流の流し込みが必要な負荷回路であっても、電流の引き抜きが必要な負荷回路であっても、入出力部110〜110の入出力端子110A〜110Aに接続するだけで、電流パスを形成することができ、負荷回路を動作させることができる。
【0250】
このため、実施の形態2によれば、従来の基準電流生成回路1の出力部40(図1参照)のように、電流を流し込むタイプの負荷回路用と、電流を引き抜くための負荷回路用の回路を作り分ける必要がなく、電流の方向に応じた共通化を図った基準電流生成回路200を提供することができる。
【0251】
また、電流の方向に関わらず回路の共通化を図ったため、ブラックボックス回路として取り扱うことが容易になるとともに、負荷回路の接続間違いが生じないようにすることができる。
【0252】
このため、実施の形態2の基準電流生成回路200は、多品種、短期間開発の要求が強まっているLSIのような電子回路に好適である。
【0253】
<実施の形態3>
実施の形態3の基準電流生成回路は、入出力部の回路構成が実施の形態1の基準電流生成回路100の入出力部110と異なる。その他の構成は、実施の形態1の基準電流生成回路100と同様であるため、実施の形態1と同一の構成要素には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0254】
図12は、実施の形態3の基準電流生成回路の入出力部を示す図である。
【0255】
実施の形態3の基準電流生成回路の入出力部310では、電源(電源電圧Vdd)と接地との間に、PMOSトランジスタ111及びNMOSトランジスタ114が直接的に接続されており、PMOSトランジスタ111のドレインとNMOSトランジスタ114のドレインとの接続点に入出力部310の入出力端子310Aが接続されている。
【0256】
なお、図12に示すPMOSトランジスタ111は、実施の形態1のPMOSトランジスタ111と同様に、負荷回路に電流を流し込むための電流源(ソース電流源)である。また、図12に示すNMOSトランジスタ114は、実施の形態1のNMOSトランジスタ114と同様に、負荷回路から電流を引き抜くための電流源(シンク電流源)である。このため、PMOSトランジスタ111とNMOSトランジスタ114の脇に、電流源の記号を記す。
【0257】
PMOSトランジスタ111のゲートには、PMOSトランジスタ311のドレインとPMOSトランジスタ313のソースが接続されている。
【0258】
PMOSトランジスタ311は、ソースが電源(電源電圧Vdd)に接続され、ドレインがPMOSトランジスタ111のゲートとPMOSトランジスタ313のソースとに接続され、ゲートがインバータ312の出力端に接続されている。
【0259】
インバータ312は、入力端がステートマシン130(図4参照)とPMOSトランジスタ313のゲートとに接続され、出力端はPMOSトランジスタ311のゲートに入力されている。インバータ312の入力端には、ステートマシン130からPch制御信号が入力する。
【0260】
PMOSトランジスタ313は、ソースがPMOSトランジスタ111のゲートとPMOSトランジスタ311のドレインとに接続され、ドレインが電圧電流変換回路20内のエラーアンプ21の出力及びPMOSトランジスタ22(図4参照)のゲートに接続され、ゲートがインバータ312の入力端とステートマシン130(図4参照)に接続されている。
【0261】
PMOSトランジスタ313のドレインには、電圧電流変換回路20内のエラーアンプ21の出力及びPMOSトランジスタ22のゲートからバイアス電圧PBIASが入力する。また、PMOSトランジスタ313のゲートには、ステートマシン130からPch制御信号が入力する。
【0262】
NMOSトランジスタ114のゲートには、NMOSトランジスタ314のドレインとNMOSトランジスタ316のソースが接続されている。
【0263】
NMOSトランジスタ314は、ソースが接地され、ドレインがNMOSトランジスタ114のゲートとNMOSトランジスタ316のソースとに接続され、ゲートがインバータ315の出力端に接続されている。
【0264】
インバータ315は、入力端がNMOSトランジスタ316のゲートとステートマシン130(図4参照)とに接続されており、出力端がNMOSトランジスタ314のゲートに接続されている。インバータ315の入力端には、ステートマシン130からNch制御信号が入力する。
【0265】
NMOSトランジスタ316は、ソースがNMOSトランジスタ114のゲートとNMOSトランジスタ314のドレインに接続されており、ドレインがPch−Nch変換回路30のNMOSトランジスタ32(図4参照)のゲートに接続されており、ゲートがインバータ315の入力端とステートマシン130とに接続されている。
【0266】
NMOSトランジスタ316のドレインには、Pch−Nch変換回路30のNMOSトランジスタ32のゲートからバイアス電圧NBIASが入力する。また、NMOSトランジスタ316のゲートには、ステートマシン130からNch制御信号が入力する。
【0267】
このような入出力部310において、初期状態では、バイアス電圧PBIAS、NBIASは、それぞれ、電圧電流変換回路20及びPch−Nch変換回路30からPMOSトランジスタ313のドレイン、NMOSトランジスタ316のドレインに常時入力している。
【0268】
また、初期状態では、ステートマシン130からインバータ312の入力端とPMOSトランジスタ313のゲートとに入力するPch制御信号は、オフ(“1”)である。
【0269】
これにより、インバータ312の出力が“0”となり、PMOSトランジスタ311がオンになるため、PMOSトランジスタ111はオフである。なお、このときPMOSトランジスタ313はオフである。
【0270】
また、初期状態では、ステートマシン130からインバータ315の入力端とNMOSトランジスタ316のゲートとに入力するNch制御信号はオフ(“0”)である。
【0271】
これにより、インバータ315の出力は“1”となり、NMOSトランジスタ314がオンになるため、NMOSトランジスタ114はオフである。なお、このときNMOSトランジスタ316はオフである。
【0272】
Pch制御信号がオン(“0”)になると、インバータ312の出力が“1”になることによってPMOSトランジスタ311がオフになり、PMOSトランジスタ313がオンになるため、PMOSトランジスタ111のゲートにバイアス電圧PBIASが入力し、PMOSトランジスタ111がオンになる。
【0273】
また、Nch制御信号がオン(“1”)になると、インバータ315の出力が“0”になることによってNMOSトランジスタ314がオフになり、NMOSトランジスタ316がオンになるため、NMOSトランジスタ114のゲートにバイアス電圧NBIASが入力し、NMOSトランジスタ114がオンになる。
【0274】
以上のように、入出力部310は、実施の形態1の入出力部110と同様に、ステートマシン130から入力されるPch制御信号、Nch制御信号によってPMOSトランジスタ111、NMOSトランジスタ114のオン/オフを制御できる。
【0275】
このため、入出力部310を実施の形態1の入出力部110の代わりに用いた実施の形態3の基準電流生成回路は、実施の形態1の基準電流生成回路100と同様に、電流の流し込みが必要な負荷回路、又は電流の引き抜きが必要な負荷回路のどちらが入出力端310Aに接続されても、電流パスを形成することができ、負荷回路を動作させることができる。
【0276】
従って、実施の形態3によれば、従来の基準電流生成回路1の出力部40(図1参照)のように、電流を流し込むタイプの負荷回路用と、電流を引き抜くための負荷回路用の回路を作り分ける必要がなく、電流の方向に応じた共通化を図った基準電流生成回路を提供することができる。
【0277】
また、電流の方向に関わらず回路の共通化を図ったため、ブラックボックス回路として取り扱うことが容易になるとともに、負荷回路の接続間違いが生じないようにすることができる。
【0278】
このため、実施の形態3の基準電流生成回路は、多品種、短期間開発の要求が強まっているLSIのような電子回路に好適である。
【0279】
なお、実施の形態3の基準電流生成回路の入出力部310は、実施の形態2の基準電流生成回路200に適用してもよい。
【0280】
<実施の形態4>
実施の形態4の基準電流生成回路は、実施の形態3の入出力部310のカスコード化を行うとともに、基準飽和ドレイン電圧生成回路をカスコード化を行う点が実施の形態3の基準電流生成回路と異なる。その他の構成は、実施の形態3の基準電流生成回路と同様であるため、実施の形態3と同一の構成要素には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0281】
まず、図13を用いて、実施の形態4の基準電流生成回路の入出力部の回路について説明する。
【0282】
図13は、実施の形態4の基準電流生成回路の入出力部を示す図である。
【0283】
実施の形態4の基準電流生成回路の入出力部410は、PMOSトランジスタ111及びPMOSトランジスタ112と、NMOSトランジスタ113及びNMOSトランジスタ114とを、それぞれ、実施の形態1と同様に、電源(電源電圧Vdd)と接地との間でカスコード接続した回路構成を有する。
【0284】
また、PMOSトランジスタ112のドレインとNMOSトランジスタ113のドレインとの接続点に入出力部410の入出力端子410Aが接続されている。
【0285】
PMOSトランジスタ111のゲートには、実施の形態1と同様に、電圧電流変換回路20内のエラーアンプ21の出力及びPMOSトランジスタ22のゲートからバイアス電圧PBIASが入力する。
【0286】
PMOSトランジスタ112のゲートには、PMOSトランジスタ411のドレインとPMOSトランジスタ413のソースが接続されている。
【0287】
PMOSトランジスタ411は、ソースが電源(電源電圧Vdd)に接続され、ドレインがPMOSトランジスタ112のゲートとPMOSトランジスタ413のソースとに接続され、ゲートがインバータ412の出力端に接続されている。
【0288】
インバータ412は、入力端がステートマシン130(図4参照)とPMOSトランジスタ413のゲートとに接続され、出力端はPMOSトランジスタ411のゲートに入力されている。インバータ412の入力端には、ステートマシン130からPch制御信号が入力する。
【0289】
PMOSトランジスタ413は、ソースがPMOSトランジスタ112のゲートとPMOSトランジスタ411のドレインとに接続され、ドレインにバイアス電圧PBIASCが入力し、ゲートがインバータ412の入力端とステートマシン130(図4参照)に接続されている。
【0290】
このように、実施の形態4では、実施の形態3のPMOSトランジスタ111をPMOSトランジスタ112でカスコード化することにより、PMOSトランジスタ111のドレイン電圧を固定している。
【0291】
なお、バイアス電圧PBIASCは、PMOSトランジスタ111にカスコード接続されたPMOSトランジスタ112のゲートをオン/オフするためのバイアス電圧であり、基準電圧生成回路10(図4参照)とは別の基準電圧生成回路を用いて、生成すればよい。
【0292】
また、NMOSトランジスタ114のゲートには、Pch−Nch変換回路30のNMOSトランジスタ32のゲートからバイアス電圧NBIASが入力する。
【0293】
NMOSトランジスタ113のゲートには、NMOSトランジスタ414のドレインとNMOSトランジスタ416のソースが接続されている。
【0294】
NMOSトランジスタ414は、ソースが接地され、ドレインがNMOSトランジスタ113のゲートとNMOSトランジスタ416のソースとに接続され、ゲートがインバータ415の出力端に接続されている。
【0295】
インバータ415は、入力端がNMOSトランジスタ416のゲートとステートマシン130(図4参照)とに接続されており、出力端がNMOSトランジスタ414のゲートに接続されている。インバータ415の入力端には、ステートマシン130からNch制御信号が入力する。
【0296】
NMOSトランジスタ416は、ソースがNMOSトランジスタ113のゲートとNMOSトランジスタ414のドレインに接続されており、ドレインがバイアス電圧NBIASCに接続され、ゲートがインバータ415の入力端とステートマシン130とに接続されている。
【0297】
このように、実施の形態4では、NMOSトランジスタ114にNMOSトランジスタ113をカスコード接続することにより、NMOSトランジスタ114のドレイン電圧を固定している。
【0298】
NMOSトランジスタ416のドレインには、バイアス電圧NBIASCが入力する。また、NMOSトランジスタ416のゲートには、ステートマシン130からNch制御信号が入力する。
【0299】
なお、バイアス電圧NBIASCは、NMOSトランジスタ114にカスコード接続されたNMOSトランジスタ113のゲートをオン/オフするためのバイアス電圧であり、バイアス電圧PBIASCと同様に、基準電圧生成回路10(図4参照)とは別の基準電圧生成回路を用いて、生成すればよい。
【0300】
このような入出力部410において、初期状態では、バイアス電圧PBIAS、NBIASは、それぞれ、電圧電流変換回路20及びPch−Nch変換回路30からPMOSトランジスタ111のゲート、NMOSトランジスタ114のゲートに常に入力している。
【0301】
また、初期状態では、PMOSトランジスタ413のドレインには、バイアス電圧PBIASCが入力し、NMOSトランジスタ416のドレインには、バイアス電圧NBIASCが入力している。
【0302】
また、初期状態では、ステートマシン130からインバータ412の入力端とPMOSトランジスタ413のゲートとに入力するPch制御信号は、オフ(“1”)である。
【0303】
これにより、インバータ412の出力が“0”となり、PMOSトランジスタ411がオンになるため、PMOSトランジスタ112はオフである。なお、このときPMOSトランジスタ413はオフである。
【0304】
また、初期状態では、ステートマシン130からインバータ415の入力端とNMOSトランジスタ416のゲートとに入力するNch制御信号はオフ(“0”)である。
【0305】
これにより、インバータ415の出力は“1”となり、NMOSトランジスタ414がオンになるため、NMOSトランジスタ113はオフである。なお、このときNMOSトランジスタ416はオフである。
【0306】
Pch制御信号がオン(“0”)になると、インバータ412の出力が“1”になることによってPMOSトランジスタ411がオフになり、PMOSトランジスタ413がオンになるため、PMOSトランジスタ112のゲートにバイアス電圧PBIASCが入力し、PMOSトランジスタ112がオンになる。これにより、PMOSトランジスタ111から入出力端410Aに電流を流し込むことができる。
【0307】
また、Nch制御信号がオン(“1”)になると、インバータ415の出力が“0”になることによってNMOSトランジスタ414がオフになり、NMOSトランジスタ416がオンになるため、NMOSトランジスタ113のゲートにバイアス電圧NBIASCが入力し、NMOSトランジスタ113がオンになる。これにより、NMOSトランジスタ114は、入出力端410Aから電流を引き抜くことができる。
【0308】
以上のように、入出力部410は、実施の形態1の入出力部110と同様に、ステートマシン130から入力されるPch制御信号、Nch制御信号によってPMOSトランジスタ111、NMOSトランジスタ114のオン/オフを制御できる。
【0309】
このため、入出力部410を実施の形態1の入出力部110の代わりに用いた実施の形態4の基準電流生成回路は、実施の形態1の基準電流生成回路100と同様に、電流の流し込みが必要な負荷回路、又は電流の引き抜きが必要な負荷回路のどちらが入出力端410Aに接続されても、電流パスを形成することができ、負荷回路を動作させることができる。
【0310】
次に、図14を用いて、基準飽和ドレイン電圧生成回路について説明する。図14に示す基準飽和ドレイン電圧生成回路は、図13に示した入出力部410とともに用いる回路である。
【0311】
図14は、実施の形態4の基準電流生成回路の基準飽和ドレイン電圧生成回路421の回路構成を示す図である。
【0312】
図14に示すように、基準飽和ドレイン電圧生成回路421として、MP1〜MP5、及びMN1〜MN6を含む回路を構築する。
【0313】
MP1〜MP5は、それぞれ、PMOSトランジスタである。MN1〜MN6は、それぞれ、NMOSトランジスタである。
【0314】
MP1のゲートには、バイアス電圧PBIASが入力され、MN2とMN4のゲートには、バイアス電圧NBIASが入力される。
【0315】
ここで、バイアス電圧PBIAS、NBIASは、それぞれ、入出力部410のPMOSトランジスタ111、NMOSトランジスタ114のゲートに入力するバイアス電圧と共通のバイアス電圧であり、それぞれ、電圧電流変換回路20内のエラーアンプ21の出力及びPMOSトランジスタ22のゲート、Pch−Nch変換回路30のNMOSトランジスタ32のゲートから入力する(図4参照)。
【0316】
PMOSトランジスタ111、NMOSトランジスタ114の閾値電圧をそれぞれVth_p、Vth_n、オーバードライブ電圧をVov(Vover drive)とすると、バイアス電圧PBIASは(Vdd-Vth_p-Vov)と表され、バイアス電圧NBIASは(Vth_n+Vov)と表される。
【0317】
MP1は、ソースが電源(電源電圧Vdd)に接続され、ドレインはMP2のソースに接続される。また、上述のように、MP1のゲートは、電圧電流変換回路20内のエラーアンプ21の出力及びPMOSトランジスタ22のゲートに接続されており、バイアス電圧PBIAS(Vdd-Vth_p-Vov)が入力する。
【0318】
MP2は、MP1にカスコード接続されており、ソースがMP1のドレインに接続され、ドレインはMP5のソースに接続され、ゲートには、バイアス電圧PBIASCが入力される。
【0319】
MP2のドレイン電圧は、飽和ドレイン電圧Vref(Pch)(=Vdd-2×Vov=Vdd-2×Vdsat)として出力される。
【0320】
なお、バイアス電圧PBIASCは、図13に示すPMOSトランジスタ413のドレインに入力するバイアス電圧PBIASCと同一であり、同一の基準電圧生成回路から入力すればよい。
【0321】
MP5は、ソースがMP2のドレインに接続され、ドレインがMN1のドレインに接続され、ゲートがMP3のゲートに接続される。MP5は、MP2にカスコード接続されており、MP2のドレイン電圧の変動を抑制するために設けられている。
【0322】
MP3は、ソースが電源(電源電圧Vdd)に接続され、ドレインがMN5のドレインに接続され、ゲートがMP5のゲートに接続されている。また、MP3のゲートは自己のドレインに接続されている。すなわち、MP3は、電源とMN5のドレインとの間にダイオード接続されている。
【0323】
また、MP3のゲート幅は、MP1、MP2、MP4、MP5のゲート幅の1/9に設定される。MP3は、ゲート幅以外は、MP1、MP2、MP4、MP5と同一のサイズを有する。
【0324】
MP4は、ソースが電源(電源電圧Vdd)に接続され、ドレインがMN3のドレインに接続され、ゲートは自己のドレインに接続されている。すなわち、MP4は、電源とMN3のドレインとの間にダイオード接続されている。
【0325】
MN1は、ドレインがMP5のドレインに接続され、ソースが接地され、ゲートはMN3のゲートに接続されている。また、MN1のドレインは自己のゲートに接続されている。すなわち、MN1は、MP5のドレインと接地との間にダイオード接続されている。
【0326】
また、MN1のゲート幅は、MN2〜MN6のゲート幅の1/9に設定される。MN1は、ゲート幅以外は、MN2〜MN6と同一のサイズを有する。
【0327】
MN2は、ドレインがMN5のソースに接続され、ソースが接地され、ゲートはPch−Nch変換回路30のNMOSトランジスタ32のゲートに接続されている。MN2のゲートには、バイアス電圧NBIAS(Vth_n+Vov)が入力する。
【0328】
MN3は、ドレインがMP4のドレインに接続され、ソースがMN6のドレインに接続され、ゲートがMN1のゲートに接続される。MN3は、MN6にカスコード接続されている。
【0329】
MN4は、ドレインがMN6のソースに接続され、ソースが接地され、ゲートがPch−Nch変換回路30のNMOSトランジスタ32のゲートに接続されている。
【0330】
MN5は、ドレインがMP3のドレインに接続され、ソースがMN2のドレインに接続され、ゲートにバイアス電圧NBIASCが入力される。MN5は、MN2にカスコード接続されており、MN2のドレイン電圧を固定するために設けられている。
【0331】
MN6は、ドレインがMN3のソースに接続され、ソースがMN4のドレインに接続され、ゲートにバイアス電圧NBIASCが入力される。MN6は、MN4にカスコード接続されており、MN4のドレイン電圧を固定するために設けられている。
【0332】
なお、MN5、MN6のゲートに入力するバイアス電圧NBIASCは、図13に示すNMOSトランジスタ416のドレインに入力するバイアス電圧NBIASCと同一であり、同一の基準電圧生成回路から入力すればよい。
【0333】
実施の形態1では、トランジスタMP3、MN1のサイズを他のトランジスタのサイズの1/4にすることにより、MP2のゲートとMN3のゲートに印加するバイアス電圧をそれぞれVDD-Vth_p-2×Vov、Vth_n+2×Vovに設定していた。
【0334】
これに対して、実施の形態4では、MP3とMN1のサイズを他のトランジスタの1/9に設定することにより、MP5のゲートとMN3のゲートに印加するバイアス電圧をそれぞれVDD-Vth_p-3×Vov、Vth_n+3×Vovにしている。
【0335】
このように、MP3とMN1のサイズを他のトランジスタの1/9に設定することにより、図14に示す基準飽和ドレイン電圧生成回路421においてもトランジスタのカスコード化を行うことができ、基準飽和ドレイン電圧生成回路421をより安定的に動作させることができる。
【0336】
なお、MP1、MP2、MP5、MN1のオーバードライブは、Vovであるため、基準飽和ドレイン電圧生成回路421が正常に動作するためには、電源電圧が最低でもVth_n+3×Vov+3×Vov=Vth_n+6×Vovが必要になる。
【0337】
このため、電源電圧が不足する可能性がある場合には、より低い電源電圧で動作可能な図15に示す基準飽和ドレイン電圧生成回路を用いることができる。
【0338】
図15は、実施の形態4の基準電流生成回路の基準飽和ドレイン電圧生成回路421Aの回路構成を示す図である。
【0339】
図15に示す基準飽和ドレイン電圧生成回路421Aは、図14に示す基準飽和ドレイン電圧生成回路421に、MP6、MP7、MN7を追加することにより、図14に示すMP5とMN1の電流パスを分割したものである。
【0340】
以下、図14に示す基準飽和ドレイン電圧生成回路421Aとの相違点について説明する。
【0341】
MP6のゲートとMP7のゲートは、それぞれ、MP1のゲートとMP2のゲートに接続されている。すなわち、MP6、MP7には、MP1、MP2と同一の電流が流れる。
【0342】
また、MP5のドレインには、MN7がダイオード接続されている。
【0343】
MN7は、ゲートとドレインが接続されているため、ダイオードとして機能する。MN7のソースは接地されている。
【0344】
図15に示す基準飽和ドレイン電圧生成回路421Aでは、図14でバイアス電圧Vth_n+3×Vovを生成するMN1をMP5とは異なる電流パス(MP6、MP7を通る電流パス)に接続し、電源と接地との間に挿入するトランジスタの数を1つ減らしたため、最小動作電圧をVth_n+3×Vov+2×Vov=Vth_n+5×Voへ低減することができる。
【0345】
以上、本発明の例示的な実施の形態の基準電流生成回路、及びこれを含む情報処理装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
基準電圧を生成する基準電圧生成部と、
それぞれ前記基準電圧に基づく基準電流を出力する第1導電型の第1トランジスタと第2導電型の第2トランジスタとを有し、前記第1トランジスタの制御端子と前記第2トランジスタの制御端子とにそれぞれ供給される第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧を生成するバイアス電圧生成部と、
制御端子に前記第1バイアス電圧が印加されると前記基準電流に基づく電流を出力する第1導電型の第1電流出力用トランジスタと、
制御端子に前記第2バイアス電圧が印加されると前記基準電流に基づく電流を出力する第2導電型の第2電流出力用トランジスタと、
前記第1電流出力用トランジスタの電流出力端子と前記第2電流出力用トランジスタの電流入力端子との間に一端が接続されるとともに、他端が負荷回路に接続され、前記第1電流出力用トランジスタから前記負荷回路への電流の流し込み、又は、前記負荷回路から前記第2電流出力用トランジスタへの電流の引き込みを行う入出力部と、
前記入出力部の電圧値に基づき、前記第1電流出力用トランジスタと前記第2電流出力用トランジスタのオン/オフを切り替える切替部と
を含む、基準電流生成回路。
(付記2)
前記切替部は、
前記第1電流出力用トランジスタの電流出力端子と前記入出力部との間に接続され、前記電流出力端子と前記入出力部との接続状態を切り替える第1切替回路と、
前記第2電流出力用トランジスタの電流入力端子と前記入出力部との間に接続され、前記電流入力端子と前記入出力部との接続状態を切り替える第2切替回路と、
前記入出力部の電圧値に基づき、前記第1切替回路及び前記第2切替回路の接続状態を切り替えることにより、前記第1電流出力用トランジスタと前記第2電流出力用トランジスタのオン/オフを切り替える切替制御部と
を有する、付記1に記載の基準電流生成回路。
(付記3)
前記切替部は、
前記第1電流出力用トランジスタの前記制御端子と前記バイアス電圧生成部との間に接続され、前記第1電流出力用トランジスタの前記制御端子と前記バイアス電圧生成部との接続状態を切り替える第1切替回路と、
前記第2電流出力用トランジスタの前記制御端子と前記バイアス電圧生成部との間に接続され、前記第2電流出力用トランジスタの前記制御端子と前記バイアス電圧生成部との接続状態を切り替える第2切替回路と、
前記入出力部の電圧値に基づき、前記第1切替回路及び前記第2切替回路の接続状態を切り替えることにより、前記第1電流出力用トランジスタと前記第2電流出力用トランジスタのオン/オフを切り替える切替制御部と
を有する、付記1に記載の基準電流生成回路。
(付記4)
前記第1切替回路は第1導電型のトランジスタであり、前記第2切替回路は第2導電型のトランジスタである、付記2又は3に記載の基準電流生成回路。
(付記5)
前記切替制御部は、
前記第1バイアス電圧及び前記第2バイアス電圧に基づき、前記第1トランジスタの飽和領域と非飽和領域との境界となる第1基準電圧を生成するとともに、前記第2トランジスタの飽和領域と非飽和領域との境界となる第2基準電圧を生成する飽和電圧生成回路と、
前記入出力部の電圧値を前記第1基準電圧と比較した比較結果を出力する第1比較部と、
前記入出力部の電圧値を前記第2基準電圧と比較した比較結果を出力する第2比較部と、
前記第1比較部の比較結果と前記第2比較部の比較結果とに基づき、前記第1切替回路と前記第2切替回路の接続状態を切り替えるステートマシンと
を含む、付記2乃至4のいずれか一項に記載の基準電流生成回路。
(付記6)
前記バイアス電圧生成部は、
前記基準電圧を電流に変換するための第1導電型の第3トランジスタと、
前記第3トランジスタの電流出力端子に接続される抵抗器と、
出力端が前記第3トランジスタの制御端子に接続され、前記基準電圧と、前記第3トランジスタの前記電流出力端子の電圧とを比較するエラーアンプと
をさらに有し、
前記第3トランジスタの制御端子は前記第1トランジスタの前記制御端子に接続されているとともに、前記第2トランジスタは前記第1トランジスタの電流出力端子にダイオード接続されており、前記第1トランジスタは、前記第3トランジスタの電流出力端子に通流する電流の電流として前記基準電流を出力する、付記1乃至5のいずれか一項に記載の基準電流生成回路。
(付記7)
前記バイアス電圧生成部は、
前記第1トランジスタの電流出力端子に接続される第1抵抗器と、
出力端が前記第1トランジスタの制御端子に接続され、前記基準電圧と、前記第1トランジスタの前記電流出力端子の電圧とを比較する第1エラーアンプと、
前記第2トランジスタの電流出力端子に接続される第2抵抗器と、
出力端が前記第2トランジスタの制御端子に接続され、前記基準電圧と、前記第2トランジスタの前記電流出力端子の電圧とを比較する第2エラーアンプと
をさらに有する、付記1乃至5のいずれか一項に記載の基準電流生成回路。
(付記8)
前記第1電流出力用トランジスタ、前記第2電流出力用トランジスタ、前記第1切替回路、及び前記第2切替回路を複数組含むとともに、
前記複数組の前記第1電流出力用トランジスタ、前記第2電流出力用トランジスタ、前記第1切替回路、及び前記第2切替回路の入力側に接続される逆マルチプレクサと、
前記複数組の前記第1電流出力用トランジスタ、前記第2電流出力用トランジスタ、前記第1切替回路、及び前記第2切替回路の出力側に接続されるマルチプレクサと
をさらに含む、付記1乃至7のいずれか一項に記載の基準電流生成回路。
(付記9)
前記第1導電型トランジスタ及び前記第2導電型トランジスタは、前記第1電流出力用トランジスタ及び前記第2電流出力用トランジスタのサイズに対する所定の割合のサイズを有する、付記1乃至9に記載の基準電流生成回路。
(付記10)
付記1乃至9のいずれか一項に記載の基準電流生成回路を含む入出力ポートと、
前記入出力ポートを有する演算処理装置、制御装置、又は記憶装置と
を含む、情報処理装置。
【符号の説明】
【0346】
100、200 基準電流生成回路
10 基準電圧生成回路
20 電圧電流変換回路
20A バイアス電圧生成部
21、24 エラーアンプ
22 PMOSトランジスタ
23、26 抵抗器
25 NMOSトランジスタ
30 Pch−Nch変換回路
31 PMOSトランジスタ
32 NMOSトランジスタ
80 サーバ
81 CPU
81A CPUコア
81B、82B、82C、83B 高速シリアルインターフェイス回路
82 制御装置
82A 内部回路
83 記憶装置
83A 記憶回路
110、110〜110 入出力部
110A、110A〜110A 入出力端子
111 PMOSトランジスタ
112 PMOSトランジスタ
113 NMOSトランジスタ
114 NMOSトランジスタ
115、116 FF
120 出力電圧判定部
121、421、421A 基準飽和ドレイン電圧生成回路
122、123 コンパレータ
130 ステートマシン
140 逆マルチプレクサ
150 マルチプレクサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電圧を生成する基準電圧生成部と、
それぞれ前記基準電圧に基づく基準電流を出力する第1導電型の第1トランジスタと第2導電型の第2トランジスタとを有し、前記第1トランジスタの制御端子と前記第2トランジスタの制御端子とにそれぞれ供給される第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧を生成するバイアス電圧生成部と、
制御端子に前記第1バイアス電圧が印加されると前記基準電流に基づく電流を出力する第1導電型の第1電流出力用トランジスタと、
制御端子に前記第2バイアス電圧が印加されると前記基準電流に基づく電流を出力する第2導電型の第2電流出力用トランジスタと、
前記第1電流出力用トランジスタの電流出力端子と前記第2電流出力用トランジスタの電流入力端子との間に一端が接続されるとともに、他端が負荷回路に接続され、前記第1電流出力用トランジスタから前記負荷回路への電流の流し込み、又は、前記負荷回路から前記第2電流出力用トランジスタへの電流の引き込みを行う入出力部と、
前記入出力部の電圧値に基づき、前記第1電流出力用トランジスタと前記第2電流出力用トランジスタのオン/オフを切り替える切替部と
を含む、基準電流生成回路。
【請求項2】
前記切替部は、
前記第1電流出力用トランジスタの電流出力端子と前記入出力部との間に接続され、前記電流出力端子と前記入出力部との接続状態を切り替える第1切替回路と、
前記第2電流出力用トランジスタの電流入力端子と前記入出力部との間に接続され、前記電流入力端子と前記入出力部との接続状態を切り替える第2切替回路と、
前記入出力部の電圧値に基づき、前記第1切替回路及び前記第2切替回路の接続状態を切り替えることにより、前記第1電流出力用トランジスタと前記第2電流出力用トランジスタのオン/オフを切り替える切替制御部と
を有する、請求項1に記載の基準電流生成回路。
【請求項3】
前記切替部は、
前記第1電流出力用トランジスタの前記制御端子と前記バイアス電圧生成部との間に接続され、前記第1電流出力用トランジスタの前記制御端子と前記バイアス電圧生成部との接続状態を切り替える第1切替回路と、
前記第2電流出力用トランジスタの前記制御端子と前記バイアス電圧生成部との間に接続され、前記第2電流出力用トランジスタの前記制御端子と前記バイアス電圧生成部との接続状態を切り替える第2切替回路と、
前記入出力部の電圧値に基づき、前記第1切替回路及び前記第2切替回路の接続状態を切り替えることにより、前記第1電流出力用トランジスタと前記第2電流出力用トランジスタのオン/オフを切り替える切替制御部と
を有する、請求項1に記載の基準電流生成回路。
【請求項4】
前記第1切替回路は第1導電型のトランジスタであり、前記第2切替回路は第2導電型のトランジスタである、請求項2又は3に記載の基準電流生成回路。
【請求項5】
前記切替制御部は、
前記第1バイアス電圧及び前記第2バイアス電圧に基づき、前記第1トランジスタの飽和領域と非飽和領域との境界となる第1基準電圧を生成するとともに、前記第2トランジスタの飽和領域と非飽和領域との境界となる第2基準電圧を生成する飽和電圧生成回路と、
前記入出力部の電圧値を前記第1基準電圧と比較した比較結果を出力する第1比較部と、
前記入出力部の電圧値を前記第2基準電圧と比較した比較結果を出力する第2比較部と、
前記第1比較部の比較結果と前記第2比較部の比較結果とに基づき、前記第1切替回路と前記第2切替回路の接続状態を切り替えるステートマシンと
を含む、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の基準電流生成回路。
【請求項6】
前記バイアス電圧生成部は、
前記基準電圧を電流に変換するための第1導電型の第3トランジスタと、
前記第3トランジスタの電流出力端子に接続される抵抗器と、
出力端が前記第3トランジスタの制御端子に接続され、前記基準電圧と、前記第3トランジスタの前記電流出力端子の電圧とを比較するエラーアンプと
をさらに有し、
前記第3トランジスタの制御端子は前記第1トランジスタの前記制御端子に接続されているとともに、前記第2トランジスタは前記第1トランジスタの電流出力端子にダイオード接続されており、前記第1トランジスタは、前記第3トランジスタの電流出力端子に通流する電流の電流として前記基準電流を出力する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基準電流生成回路。
【請求項7】
前記バイアス電圧生成部は、
前記第1トランジスタの電流出力端子に接続される第1抵抗器と、
出力端が前記第1トランジスタの制御端子に接続され、前記基準電圧と、前記第1トランジスタの前記電流出力端子の電圧とを比較する第1エラーアンプと、
前記第2トランジスタの電流出力端子に接続される第2抵抗器と、
出力端が前記第2トランジスタの制御端子に接続され、前記基準電圧と、前記第2トランジスタの前記電流出力端子の電圧とを比較する第2エラーアンプと
をさらに有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基準電流生成回路。
【請求項8】
前記第1電流出力用トランジスタ、前記第2電流出力用トランジスタ、前記第1切替回路、及び前記第2切替回路を複数組含むとともに、
前記複数組の前記第1電流出力用トランジスタ、前記第2電流出力用トランジスタ、前記第1切替回路、及び前記第2切替回路の入力側に接続される逆マルチプレクサと、
前記複数組の前記第1電流出力用トランジスタ、前記第2電流出力用トランジスタ、前記第1切替回路、及び前記第2切替回路の出力側に接続されるマルチプレクサと
をさらに含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基準電流生成回路。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の基準電流生成回路を含む入出力ポートと、
前記入出力ポートを有する演算処理装置、制御装置、又は記憶装置と
を含む、情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−44548(P2012−44548A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185398(P2010−185398)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】