説明

塗布処理方法及び塗布処理装置

【課題】塗布液の有効利用及び塗布液膜の均一化を図れるようにした塗布処理方法及び塗布処理装置を提供すること。
【解決手段】半導体ウエハWを低速の第1の回転数で回転させて、ウエハの中心部に純水DIWを供給して純水の液溜りを形成し、その後、ウエハを上記第1の回転数の状態で、ウエハの中心部に水溶性の塗布液TARCを供給し、該塗布液と上記純水とを混合する。その後、ウエハを上記第1の回転数より高速の第2の回転数で回転させて塗布液膜を形成する。塗布液と純水とを混合する工程と塗布液膜を形成する工程の時間比率を1:3〜3:1の範囲内に制御して塗布液TARCの吐出量を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば半導体ウエハや液晶ガラス基板(FPD基板)等の塗布処理方法及び塗布処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスの製造においては、例えば半導体ウエハやFPD基板等(以下にウエハ等という)にレジスト液を塗布し、マスクパターンを露光処理して回路パターンを形成させるために、フォトリソグラフィ技術が利用されている。このフォトリソグラフィ技術においては、スピンコーティング法によりウエハ等にレジスト液を塗布し、これにより形成されたレジスト膜を所定の回路パターンに応じて露光し、この露光パターンを現像処理することによりレジスト膜に回路パターンが形成されている。
【0003】
このようなフォトリソグラフィ工程において、近年のデバイスパターンの微細化、薄膜化に伴い露光の解像度を上げる要請が高まっている。しかし、デバイスパターンの微細化が進むにつれて、レジスト層中での干渉効果による解像度の低下及び面内での線幅精度の不均一が発生するという問題があった。
【0004】
上記問題を解決する方法として、レジスト層が形成されたウエハ等の表面に水溶性を有する塗布液例えばTARC(Top Anti-Reflective Coating)薬液を供給(塗布)して反射防止膜を施こすことにより、レジスト層中での干渉を防ぐことができる技術が用いられている。また、TARC薬液は、分子内の親水基と疎水基のバランスによって界面の自由エネルギ(界面張力)を低下させる作用を有する界面活性剤を含有している。
【0005】
また、一般にウエハ等の表面に塗布液を供給して塗布膜を形成する塗布処理方法においては、回転中のウエハの中心部にノズルから塗布液を供給し、遠心力によりウエハ上で塗布液を拡散することによってウエハ上に塗布液を塗布する、いわゆるスピン塗布法が多く用いられている。また、このスピン塗布法において、塗布液を少量で均一に塗布する方法として、例えば、ウエハ上に塗布液の溶剤を供給してプリウエットした後、続いてウエハの回転を第1の回転数まで加速して、この回転中のウエハに塗布液を供給し、続いてウエハの回転数を第2の回転数まで一旦減速して、ウエハ上の塗布液の膜厚を調整し、その後ウエハの回転を第3の回転数まで再び加速して、ウエハ上の塗布液を振り切り乾燥させる方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
上記スピン塗布法を用いて、例えば水溶性の塗布液(TARC薬液)をウエハに塗布する場合、プリウエットの際に、塗布液の溶剤として例えば純水がウエハ上に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3330324号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ウエハ上に塗布液の溶剤としての純水を供給してプリウエットした後、続いてウエハの回転を第1の回転数まで加速した後、ウエハの回転数を第2の回転数まで減速すると、純水は表面張力値が非常に大きいため、疎水性を有するウエハ上では広げた直後一瞬水滴となり、プリウエットの効果が小さくなる。したがって、TARC薬液をスピン塗布する際に、この水滴が起因となり塗布膜(TARC膜)の塗布不良(塗布むら)が発生するという問題がある。
【0009】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、塗布液の無駄を省いて塗布液の有効利用を図ると共に、塗布液膜の均一化を図れるようにした塗布処理方法及び塗布処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明の塗布処理方法は、被処理基板に水溶性を有する塗布液を供給して塗布液膜を形成する塗布処理方法であって、 被処理基板を低速の第1の回転数で回転させて、被処理基板の中心部に純水を供給して純水の液溜りを形成する第1の工程と、 その後、被処理基板を上記第1の回転数の状態で、被処理基板の中心部に水溶性の塗布液を供給し、該塗布液と上記純水とを混合する第2の工程と、 その後、被処理基板を上記第1の回転数より高速の第2の回転数で回転させて塗布液膜を形成する第3の工程と、を有し、 上記第2の工程と第3の工程の時間比率を制御することにより塗布液の供給量を設定することを特徴とする(請求項1)。
【0011】
この発明において、上記塗布液は少なくとも水溶性を有する液であれば任意の塗布液を用いることができ、界面活性剤を含む液を用いることができる(請求項3)。
【0012】
また、この発明の塗布処理装置は、請求項1記載の塗布液処理方法を具現化するもので、被処理基板に水溶性を有する塗布液を供給して塗布液膜を形成する塗布処理装置であって、 被処理基板を該被処理基板の表面を上面にして保持する保持手段と、 上記保持手段を鉛直軸周りに回転する回転機構と、 被処理基板に塗布液を供給する塗布液ノズルと、 被処理基板に純水を供給する純水ノズルと、 上記塗布液ノズルを被処理基板の中心部に移動する第1のノズル移動機構と、 上記純水ノズルを被処理基板の中心部に移動する第2のノズル移動機構と、 上記塗布液ノズルと塗布液供給源とを接続する塗布液供給管路に介設される第1の開閉弁と、 上記純水ノズルと純水供給源とを接続する純水供給管路に介設される第2の開閉弁と、 上記回転機構の回転駆動、第1及び第2のノズル移動機構の駆動及び、上記第1及び第2の開閉弁の開閉を制御する制御手段と、を具備し、 上記制御手段により、被処理基板を低速の第1の回転数で回転させて、被処理基板の中心部に純水を供給して純水の液溜りを形成する第1の工程と、その後、被処理基板を上記第1の回転数の状態で、被処理基板の中心部に水溶性の塗布液を供給し、該塗布液と上記純水とを混合する第2の工程と、その後、被処理基板を上記第1の回転数より高速の第2の回転数で回転させて塗布液膜を形成する第3の工程を行うと共に、上記第2の工程と第3の工程の時間比率を制御することにより塗布液の供給量を設定するように形成してなる、ことを特徴とする(請求項5)。
【0013】
請求項5記載の塗布処理装置において、上記塗布液は少なくとも水溶性を有する液であれば任意の塗布液を用いることができ、界面活性剤を含む液を用いることができる(請求項7)。
【0014】
この発明において、上記第2の工程と第3の工程の時間比率の制御は、回転数の加速度を制御することによって行うことができ、第2の工程に対して第3の工程が、1:3〜3:1の範囲内とする方が好ましく(請求項2,6)、更に好ましくは、第2の工程に対する第3の工程の時間比率を1:1〜3:1とする方がよい。
【0015】
また、この発明において、上記第1の回転数は、被処理基板上に供給(吐出)される純水が被処理基板上に液溜り(純水パドル)を形成でき、その後、被処理基板上に供給(吐出)される水溶性の塗布液の吐出による衝撃を低減できる回転数である。例えば第1の回転数を10rpm〜50rpmとする方が好ましい(請求項4,8)。第1の回転数が10rpmより低速であると、液溜まり(純水パドル)が所望の大きさに広がらず、また、第1の回転数が50rpmより高速であると、液溜まり(純水パドル)が所望の大きさの円形状態を保てず広がりすぎるからである。
【0016】
また、この発明において、上記第2の回転数は、被処理基板上に供給(吐出)される塗布液を拡散して塗布液膜を形成できる回転数である。例えば第2の回転数を2000rpm〜4000rpmとする方が好ましい(請求項4,8)。第2の回転数が2000rpmより低速であると、塗布液の被処理基板上での未塗布領域が発生し、また、第2の回転数が4000rpmより高速であると、塗布液のミストが発生し、発生したミストが塗布液膜上に再付着して被覆性が悪化する懸念があるからである。
【0017】
請求項1,2,4,5,6,8記載の発明によれば、被処理基板を低速の第1の回転数で回転させて、被処理基板の中心部に純水を供給して純水の液溜りを形成した後、被処理基板を上記第1の回転数の状態で、被処理基板の中心部に水溶性の塗布液を供給して、該塗布液と上記純水とを混合することにより、塗布液の供給時に純水が被処理基板と塗布液の中間層となり塗布液の供給時(吐出時)の衝撃を軽減することができる。そして、その後、被処理基板を上記第1の回転数より高速の第2の回転数で回転させ、かつ、塗布液と純水とを混合する工程(第2の工程)と塗布液膜を形成する工程(第3の工程)の時間比率を制御、例えば第2の工程に対して第3の工程が1:3〜3:1の範囲内で制御して塗布液の吐出量を設定することで、塗布液の供給量を低減することができると共に、被処理基板上に均一な塗布液膜を形成することができる。
【0018】
また、請求項3,7記載の発明によれば、塗布液の供給時の衝撃を軽減すると共に、塗布液中の界面活性剤の濃度を低下させることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0020】
(1)請求項1,2,4,5,6,8記載の発明によれば、塗布液の有効利用が図れると共に、塗布不良(塗布むら)を低減することができ、塗布液膜の均一性の向上を図ることができる。
【0021】
(2)請求項3,7記載の発明によれば、塗布液の供給時の衝撃を軽減すると共に、塗布液中の界面活性剤の濃度を低下させることができるので、更に界面活性剤を含有する塗塗布液膜の均一性及び歩留まりの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明に係る塗布処理装置を適用する塗布・現像処理装置に露光装置を接続した処理システムの全体を示す概略平面図である。
【図2】上記処理システムの概略正面図である。
【図3】上記処理システムの概略背面図である。
【図4】この発明に係る塗布処理装置の一例を示す概略縦断面図である。
【図5】上記塗布処理装置の概略横断面図である。
【図6】塗布処理装置における塗布処理プロセスの主な工程を示すフローチャートである。
【図7】塗布処理プロセスの各工程におけるウエハの回転数と、塗布液及び純水の供給タイミングを示すグラフである。
【図8】塗布処理プロセスの各工程におけるウエハ上の液膜の状態を模式的に示す概略断面図である。
【図9】塗布膜形成工程におけるウエハの回転数によるウエハ上の膜厚の状態を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、この発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1は、この発明に係る塗布処理装置を適用する塗布・現像処理装置に露光装置を接続した処理システムの全体を示す概略平面図、図2は、上記処理システムの概略正面図、図3は、上記処理システムの概略背面図である。
【0025】
上記処理システムは、被処理基板である半導体ウエハW(以下にウエハWという)を複数枚例えば25枚密閉収納するキャリア10を搬出入するためのキャリアステーション1と、このキャリアステーション1から取り出されたウエハWにレジスト塗布,現像処理等を施す処理部2と、ウエハWの表面に光を透過する浸液層を形成した状態でウエハWの表面を液浸露光する露光装置4と、処理部2と露光装置4との間に接続されて、ウエハWの受け渡しを行うインターフェース部3とを具備している。
【0026】
キャリアステーション1は、キャリア10を複数個並べて載置可能な載置部11と、この載置部11から見て前方の壁面に設けられる開閉部12と、開閉部12を介してキャリア10からウエハWを取り出すための受け渡し手段A1とが設けられている。
【0027】
また、キャリアステーション1の奥側には筐体20にて周囲を囲まれる処理部2が接続されており、この処理部2には手前側から順に加熱・冷却系のユニットを多段化した処理ユニットU1,U2,U3及び液処理ユニットU4、U5の各ユニット間のウエハWの受け渡しを行う主搬送手段A2,A3が交互に配列して設けられている。また、主搬送手段A2,A3は、キャリアステーション1から見て前後方向に配置される処理ユニットU1,U2,U3側の一面部と、後述する例えば右側の液処理ユニットU4,U5側の一面部と、左側の一面をなす背面部とで構成される区画壁21により囲まれる空間内に配設されている。また、キャリアステーション1と処理部2との間、処理部2とインターフェース部3との間には、各ユニットで用いられる処理液の温度調節装置や温湿度調節用のダクト等を備えた温湿度調節ユニット22が配置されている。
【0028】
処理ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば10段に積層して構成されている。主搬送手段A2の背面側には、例えばウエハWを疎水化処理するためのアドヒージョンユニット(AD)、ウエハWを加熱する加熱ユニット(HP)が、図3に示すように、下方から順に2段ずつ重ねられている。アドヒージョンユニット(AD)はウエハWを温調する機構を更に有する構成としてもよい。主搬送手段A3の背面側には、ウエハWのエッジ部のみを選択的に露光する周辺露光装置(WEE)23が設けられている。なお、主搬送手段A3の背面側は、主搬送手段A2の背面側と同様に熱処理ユニットが配置構成される場合もある。
【0029】
図3に示すように、処理ユニットU1では、ウエハWを載置台に載せて所定の処理を行うオーブン型の処理ユニット、例えばウエハWに所定の加熱処理を施す第1の熱処理ユニットである高温度熱処理ユニット(BAKE)、ウエハWに精度の良い温度管理下で冷却処理を施す高精度温調ユニット(CPL)、受け渡し手段A1から主搬送手段A2へのウエハWの受け渡し部となる受け渡しユニット(TRS)、温調ユニット(TCP)が上から順に例えば10段に重ねられている。なお、処理ユニットU1において、本実施形態では下から3段目はスペアの空間として設けられている。処理ユニットU2でも、例えば第4の熱処理ユニットとしてポストベーキングユニット(POST)、レジスト塗布後のウエハWに加熱処理を施す第2の熱処理ユニットであるプリベーキングユニット(PAB)、高精度温調ユニット(CPL)が上から順に例えば10段に重ねられている。更に処理ユニットU3でも、例えば露光後のウエハWに加熱処理を施す第3の熱処理ユニットとしてポストエクスポージャーベーキングユニット(PEB)、高精度温調ユニット(CPL)が例えば上から順に10段に重ねられている。
【0030】
また、液処理ユニットU4,U5は、例えば図2に示すように、レジストや現像液などの薬液収納部(CHM)の上に反射防止膜を塗布するボトム反射防止膜塗布ユニット(BCT)25と、この発明に係る塗布処理装置を備えるトップ反射防止膜塗布ユニット(TCT)26と、レジストを塗布するレジスト塗布ユニット(COT)27と、ウエハWに現像液を供給して現像処理する現像ユニット(DEV)28等を複数段例えば5段に積層して構成されている。
【0031】
インターフェース部3は、図1に示すように、処理部2と露光装置4との間に前後に設けられる第1の搬送室3A及び第2の搬送室3Bにて構成されており、それぞれに、昇降自在かつ鉛直軸回りに回転自在なアームを有する第1のウエハ搬送部30A及び第2のウエハ搬送部30Bが設けられている。
【0032】
なお、第1及び第2のウエハ搬送部30A,30BによるウエハWの搬送のタイミング及び時間は制御手段である制御コンピュータの中央演算処理装置(CPU)を主体として構成されるコントローラ60によって制御されている。
【0033】
また、第1の搬送室3Aには、第1のウエハ搬送部30Aを挟んでキャリアステーション1側から見た右側には、複数例えば25枚のウエハWを一時的に収容するバッファカセット31が例えば上下に積層されて設けられている。なお、バッファカセット31をキャリアステーション1側から見た左側に配置してもよい。
【0034】
次に、上記塗布・現像装置を用いてウエハWを処理する手順について説明する。ここでは、ウエハWの表面にボトム反射防止膜(BARC)を形成し、その上層にレジスト層を塗布し、レジスト層の表面にトップ反射防止膜を積層した場合について説明する。まず、ウエハWを収納したキャリア10から受け渡し手段A1によりウエハWが取り出され、ウエハWは処理ユニットU1の一段をなす受け渡しユニット(TRS)を介して主搬送手段A2へと受け渡され、塗布処理の前処理として例えばボトム反射防止膜塗布ユニット(BCT)25にてその表面にボトム反射防止膜(BARC)が形成される。ボトム反射防止膜(BARC)が形成されたウエハWは、主搬送手段A2により処理ユニットU1の加熱処理部に搬送されてプリベーク(BAKE)される。
【0035】
その後、主搬送手段A2によりウエハWはレジスト塗布ユニット(COT)27内に搬入され、ウエハWの表面全体に薄膜状にレジストが塗布される。レジストが塗布されたウエハWは、主搬送手段A2により処理ユニットU2の加熱処理部に搬送されてプリベーク(PAB)される。
【0036】
その後、主搬送手段A2によりウエハWはトップ反射防止膜塗布ユニット(TCT)26にてレジスト層の表面にトップ反射防止膜が形成される。トップ反射防止膜が形成されたウエハWは、主搬送手段A2により処理ユニットU2の加熱処理部に搬送されてプリベーク(PAB)される。
【0037】
その後、ウエハWは主搬送手段A3によりプリベークユニット(PAB)から搬出され、主搬送手段A3、第1,第2のウエハ搬送部30A,30Bを経て露光装置4へ搬送され、露光が行われる。
【0038】
その後、露光を終えたウエハWは、第2のウエハ搬送部30B,第1のウエハ搬送部30Aを経て、処理部2の処理ユニットU3のポストエクスポージャーベーキングユニット(PEB)内に搬入される。ここで、ウエハWは所定の温度に加熱されることにより、レジストに含まれる酸発生剤から発生した酸をその内部領域に拡散させるポストエクスポージャーベーク(PEB)処理が行われる。そして、当該酸の触媒作用によりレジスト成分が化学的に反応することにより、この反応領域は例えばポジ型のレジストの場合には現像液に対して可溶解性となる。
【0039】
PEB処理がされたウエハWは、主搬送手段A3により現像ユニット(DEV)28内に搬入され、現像ユニット(DEV)28内に設けられた現像液ノズルによりその表面に現像液が供給されて現像処理が行われる。これにより、ウエハW表面のレジスト膜のうちの現像液に対して可溶解性の部位が溶解することにより所定のレジストパターンが形成される。更にウエハWには例えば純水などのリンス液が供給されてリンス処理がなされ、その後にリンス液を振り切るスピン乾燥が行われる。その後、ウエハWは主搬送手段A3により現像ユニット(DEV)28から搬出され、処理ユニットU2のポストベーキングユニット(POST)内に搬入されて加熱処理がなされ、主搬送手段A2、受け渡し手段A1を経由して載置部11上の元のキャリア10へと戻されて一連の塗布・現像処理を終了する。
【0040】
次に、この発明に係る塗布処理装置について、図4及び図5を参照して説明する。
【0041】
図4は、この発明に係る塗布処理装置の一例を示す概略縦断面図であり、図5は、塗布処理装置の概略横断面図である。なお、本実施の形態において、塗布液としては、露光処理時の光の反射を防止する反射防止膜を形成するため、レジスト膜が形成されたウエハW上に塗布される界面活性剤を含有する反射防止膜液体材料(TARC薬液)が用いられる。この塗布液としての反射防止膜液体材料は、例えば水溶性樹脂と、カルボン酸又はスルホン酸等の低分子有機化合物を含んでいる。
【0042】
塗布処理装置40は、図4に示すように処理容器41を有し、その処理容器41内の中央部には、ウエハWを保持して回転させる保持手段としてのスピンチャック42が設けられている。スピンチャック42は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウエハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウエハWをスピンチャック42上に吸着保持できる。
【0043】
スピンチャック42は、例えばモータなどの回転機構を備えたチャック駆動機構43を有している。チャック駆動機構43は制御手段である中央演算処理装置(CPU)を備えたコントローラ60に電気的に接続されており、コントローラ60からの制御信号に基づいて、所定の速度に回転できるようになっている。また、チャック駆動機構43には、シリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック42は上下動可能になっている。
【0044】
スピンチャック42の周囲には、ウエハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ44が設けられている。カップ44の下面には、回収した液体を排出するドレイン管路45とカップ44内の雰囲気を排気する排気管路46が接続されている。
【0045】
図5に示すように、カップ44のX方向負方向(図5の下方向)側には、Y方向(図5の左右方向)に沿って延伸するガイドレール47が形成されている。ガイドレール47は、例えばカップ44のY方向負方向(図5の左方向)側の外方からY方向正方向(図5の右方向)側の外方まで形成されている。ガイドレール47には、第1及び第2のノズル移動機構である第1及び第2のノズル駆動部48a,48bが移動自在に装着されている。第1及び第2のノズル駆動部48a,48bは、コントローラ60に電気的に接続されており、コントローラ60からの制御信号に基づいてガイドレール47に沿って移動自在に形成されている。
【0046】
第1のノズル駆動部48aには、X方向に向かって第1のアーム49aが取り付けられており、この第1のアーム49aには、図4及び図5に示すように塗布液を供給する塗布液ノズル50が支持されている。この場合、塗布液ノズル50は少量の塗布液が吐出可能なノズル径例えば直径0.8mmに形成されている。第1のアーム49aは、第1のノズル駆動部48aにより、ガイドレール47上を移動自在に構成されている。これにより、塗布液ノズル50は、カップ44のY方向正方向側の外方に設置された待機部51からカップ44内のウエハWの中心部上方まで移動でき、更にウエハWの表面上をウエハWの径方向に移動できる。また、第1のアーム49aは、第1のノズル駆動部48aによって昇降自在であり、塗布液ノズル50の高さを調整できる。
【0047】
塗布液ノズル50には、図4に示すように、塗布液供給源52に接続する塗布液供給管路53が接続されている。塗布液供給源52は、塗布液を貯留するボトルにて形成されており、気体供給源例えばN2ガス供給源54から供給される気体(N2ガス)の加圧によって塗布液が塗布液ノズル50側へ供給(圧送)されるようになっている。塗布液供給管路53には、塗布液供給源52側から順にフィルタ55、ポンプ56及び流量調節機能を有する第1の開閉弁V1が介設されている。なお、塗布液供給源52とN2ガス供給源54とを接続するN2ガス供給管路54aには開閉弁V3が介設されている。
【0048】
第2のノズル駆動部48bには、X方向に向かって第2のアーム49bが取り付けられており、この第2のアーム49bには、塗布液の溶剤、例えば純水を供給する純水ノズル57が支持されている。第2のアーム49bは、図5に示す第2のノズル駆動部48bによってガイドレール47上を移動自在であり、純水ノズル57を、カップ44のY方向負方向側の外方に設けられた待機部58からカップ44内のウエハWの中心部上方まで移動させることができる。また、第2のノズル駆動部48bによって、第2のアーム49bは昇降自在であり、純水ノズル57の高さを調節できる。
【0049】
純水ノズル57には、図4に示すように、純水供給源59に接続する純水供給管路59aが接続されている。純水供給源58内には、純水が貯留されている。純水供給管路59aには、流量調節機能を有する第2の開閉弁V2が介設されている。
【0050】
上記第1及び第2の開閉弁V1,V2、及びN2ガス供給管路54aの開閉弁V3は、それぞれコントローラ60に電気的に接続されており、コントローラ60からの制御信号に基づいて開閉動作するようになっている。
【0051】
なお、以上の構成では、塗布液を供給する塗布液ノズル50と純水を供給する純水ノズル57が別々のアームに支持されているが、同じアームに支持され、そのアームの移動の制御により、塗布液ノズル50と純水ノズル57の移動と供給タイミングを制御してもよい。
【0052】
上述のスピンチャック42の回転動作と上下動作、第1のノズル駆動部48aによる塗布液ノズル50の移動動作、第1の開閉弁V1による塗布液ノズル50の塗布液の供給動作、第2のノズル駆動部48bによる純水ノズル57の移動動作、第2の開閉弁V2による純水ノズル57の純水の供給動作などの駆動系の動作は、コントローラ60により制御されている。コントローラ60は、例えばCPUやメモリなどを備えたコンピュータにより構成され、例えばメモリに記憶されたプログラムを実行することによって、塗布処理装置40におけるレジスト塗布処理を実現できる。なお、塗布処理装置40におけるレジスト塗布処理を実現するための各種プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MD)、メモリーカードなどの記憶媒体Hに記憶されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部60にインストールされたものが用いられている。
【0053】
次に、以上のように構成された塗布処理装置40で行われる塗布処理プロセスについて説明する。図6は、塗布処理装置40における塗布処理プロセスの主な工程を示すフローチャートである。図7は、塗布処理プロセスの各工程におけるウエハWの回転数と、塗布液及び純水の供給タイミングを示すグラフ、図8は、塗布処理プロセスの各工程におけるウエハ上の液膜の状態を模式的に示す概略断面図である。なお、図7におけるプロセスの時間の長さは、技術の理解の容易さを優先させるため、必ずしも実際の時間の長さに対応していない。
【0054】
塗布処理装置40に搬入されたウエハWは、まず、スピンチャック42に吸着保持される。続いて第2のアーム49bにより待機部58の純水ノズル57がウエハWの中心部の上方まで移動する。次に、図4に示すようにチャック駆動機構43を制御してスピンチャック42によりウエハWを第1の回転数である例えば10rpm〜50rpm、本実施の形態においては10rpmで回転させる。このウエハWの回転と同時に、図8(a)に示すように純水ノズル57からウエハWの中心部に純水DIWが供給される(図6及び図7の工程S1)。このようにウエハWを第1の回転数で低速回転させた場合、ウエハWに供給された純水DIWはウエハW上をほとんど拡散せず、例えば約0.5mm〜4.0mmの純水の液溜り(純水パドルPD)を形成する。なお、この工程S1は例えば4秒間行われる。
【0055】
純水DIWの供給が終了すると、純水ノズル57がウエハWの中心部上方から外方へ移動し、第1のアーム49aにより待機部51の塗布液ノズル50がウエハWの中心部上方まで移動する。
【0056】
その後、第1の回転数例えば10rpmの状態で、図8(b)に示すように塗布液ノズル50からウエハWの中心部に塗布液(TARC薬液)TARCを供給(吐出)する(図6及び図7の工程S2)。このようにウエハWを低速回転の第1の回転数の状態で、純水DIWすなわち純水パドルPD上に塗布液TARCを供給(吐出)することで、純水パドルPDによって塗布液TARCの吐出インパクトを低減することができると共に、塗布液TARC中に含有されている界面活性剤の濃度を低下することができる。したがって、塗布液TARCの供給(吐出)時の気泡の発生を抑制することができる。なお、この工程S2は例えば0.5秒〜1.5秒間、本実施の形態では0.5秒間行われる。
【0057】
上記のようにして、純水パドルPDの上に塗布液TARCを供給(吐出)して塗布液TARCの下層に純水DIWが残った混合層が形成されると、図7に示すように、ウエハWの回転を第2の回転数である例えば2000rpm〜4000rpm、本実施の形態においては2000rpmまで加速させる。この間、図8(c)に示すように塗布液ノズル50から塗布液TARCは供給され続けている。このようにウエハWを第2の回転数で高速回転させた場合、混合層PTはウエハW上を拡散し、塗布液TARCは混合層PTに先導されてウエハW上を拡散して塗布液膜を形成する(図6及び図7の工程S3)。そして混合層PTは、純水DIWに比べてレジスト膜に対する接触角が小さく濡れ性が良いため、塗布液TARCはウエハW上の全面を円滑かつ均一に拡散することができる。また、この際、気泡が発生したとしても極微量でかつ純水DIWで阻止されてウエハW上への付着確率は少なく斑にならない。なお、この工程S3は0.5秒〜1.5秒間、本実施の形態では1.5秒間行われる。
【0058】
塗布液TARCがウエハW上の全面に拡散して塗布液膜が形成されると、図7に示すようにウエハWの回転を第3の回転数である例えば100rpmまで減速させる。そして、このようにウエハWが第3の回転数で回転中、ウエハW上の塗布液TARCに中心へ向かう力が作用し、ウエハW上の塗布液膜が乾燥(調整)される(図6及び図7の工程S4)。なお、この行程S4は例えば1秒間行われる。
【0059】
ウエハW上の塗布液TARCの膜厚が調整されると、図7に示すようにウエハWの回転を第4の回転数である例えば1000〜2000rpm、本実施の形態では1500rpmまで加速させる。これにより、ウエハWの全面に拡散した塗布液TARCは乾燥され、塗布膜が形成される(図6及び図7の工程S5)。なお、この工程S5は例えば10秒間行われる。
【0060】
なお、上記実施形態では、純水DIWと塗布液TARCとを混合する工程(S2)を0.5秒とし、塗布液膜を形成する工程(S3)を1.5秒とした場合について説明(図7のI参照)したが、図7中のIIに示すように上記工程S2を1.0秒とし、上記工程S3を1.0秒にしてもよく、あるいは、図7中のIIIに示すように上記工程S2を1.5秒とし、上記工程S3を0.5秒にしてもよい。このように、純水DIWと塗布液TARCとを混合する工程(S2)と塗布液膜を形成する工程(S3)の時間比率を、純水DIWと塗布液TARCとを混合する工程(S2)に対する塗布液膜を形成する工程(S3)が、1:3〜3:1の範囲内{すなわちS2:S3=1:3〜3:1の範囲内}に制御することにより、塗布液TARCの吐出量を、塗布液膜厚を均一に形成できる範囲内に設定することができる。
【0061】
上記実施形態によれば、ウエハWを低速の第1の回転数で回転させて、ウエハWの上に純水パドルPDを形成し、この第1の回転数で回転した状態で、塗布液TARCを供給(吐出)することで、純水パドルPDによって塗布液TARCの吐出インパクトを低減することができ、ウエハWを低速の第1の回転数で回転しながら純水DIWと塗布液TARCを混合させることで、塗布液TARC中に含有されている界面活性剤の濃度を部分的に低下することができる。これにより、塗布液TARCの供給(吐出)時の気泡の発生を抑制することができ、塗布不良(塗布むら)を低減することができるので、純水DIWと塗布液TARCとを混合する工程(S2)において、塗布液膜を均一に広げることができる。
【0062】
また、上記実施形態によれば、純水DIWと塗布液TARCとを混合する工程(S2)によって塗布液膜を均一に広げた状態で、塗布液TARCを供給(吐出)しながらウエハWを第2の回転数で高速回転させて、ウエハW上の混合層PTを拡散し、塗布液TARCが混合層PTに先導されてウエハW上を拡散して塗布液膜を形成する。これにより、少量の塗布液TARCによって塗布膜の均一化が図れる。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されるものではなく、種々の態様を採りうるものである。例えば上述した実施の形態では、水溶性の塗布液として反射防止膜を形成する塗布液を例にとって説明したが、本発明は、RELACS(Resolution Enhancement Lithography Assisted by Chemical Shrink)技術におけるレジストパターン寸法縮小剤(RELACS剤)にも適用できる。また、上述した実施の形態では、ウエハに塗布処理を行う例であったが、本発明は、基板がウエハ以外のFPD基板、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板の塗布処理にも適用することができる。
【0064】
また、上記実施形態では、露光装置が液浸露光である場合について説明したが、この発明に係る塗布処理装置(方法)は、液浸露光以外の露光技術を採用する塗布・現像処理装置にも適用できる。
【実施例】
【0065】
次に、塗布処理におけるウエハWの回転制御(加速制御)と塗布液TARCの使用量の評価実験について説明する。
【0066】
まず、塗布液TARCの被覆性の良くない試料としてアドヒージョン(ADH)処理を施したウエハを用意する。次に、純水DIWと塗布液TARCとを混合する工程(S2)時のウエハの回転数が10rpm、塗布液膜を形成する工程(S3)時のウエハの回転数が2000rpmの場合について、純水DIWと塗布液TARCとを混合する工程(S2)と塗布液膜を形成する工程(S3)の時間比率を、塗布膜厚の形成(被覆性)が確保できる最小限の塗布液TARCの吐出量を基にして表1,表2及び表3に示すように、0.5(秒):1.5(秒)、1.0(秒):1.0(秒)、1.5(秒):0.5(秒)、換言すると、純水DIWと塗布液TARCとを混合する工程(S2)に対して塗布液膜を形成する工程(S3)を、1:3,1:1,3:1とする。
【表1】

【表2】

【表3】

【0067】
上記工程(S2)と(S3)の時間比率を、それぞれ0.5(秒):1.5(秒){実施例1}、1.0(秒):1.0(秒){実施例2}、1.5(秒):0.5(秒){実施例3}としたときの塗布膜の被覆性能と塗布液TARCの吐出量を調べたところ、表4に示すような結果が得られた。
【表4】

【0068】
上記評価の結果、実施例1では、塗布液TARCの吐出量1.8mlで塗布膜厚の形成(被覆性)が確保でき、実施例2では、塗布液TARCの吐出量0.6mlで塗布膜厚の形成(被覆性)が確保でき、また実施例3では、塗布液TARCの吐出量0.4mlで塗布膜厚の形成(被覆性)が確保できた。これにより、実施例1においては、現行の低速回転でウエハ上に塗布液TARCを供給(吐出)し、高速回転で広げる方式の場合の吐出量5.0ml〜6.0mlに比べて大幅に吐出量を少なくすることができた。また、実施例1においては、吐出量が1.7ml以下では塗布液膜の均一性(被覆性)が不良であったが、実施例2においては吐出量0.6mlまで塗布液膜の均一性(被覆性)が良好であり、実施例3においては吐出量0.4mlまで塗布液膜の均一性(被覆性)が良好にあり、実施例1に比べて更に大幅に吐出量を少なくすることができた。
【0069】
上記評価実験では、塗布液膜を形成する工程(S3)時のウエハの回転数が2000rpmの場合について説明したが、ウエハの回転数が2000rpm,2500rpm,3000rpm,4000rpmの場合について、ウエハ表面に塗布液(吐出量0.5ml)を供給(吐出)して膜厚分布を調べたところ、図9に示すように、ウエハの回転数が2000rpm,2500rpm,3000rpm,4000rpmにおいては膜厚に殆ど変化ない結果が得られた。これにより、塗布液膜を形成する工程(S3)時のウエハの回転数は、2000rpm〜4000rpmの範囲内であればよいことが判った。
【0070】
なお、ウエハの回転数が1500rpmの場合は、2000rpm〜4000rpmの場合と膜厚は殆ど変化ないが、未塗布領域が発生し、2000rpm〜4000rpmの場合と比較して0.1ml程度被覆限界が低下する。また、ウエハの回転数が4000rpmより高速になると、塗布液のミストが発生し、ミストが塗布液膜上に再付着して被覆性に悪影響を及ぼす。
【0071】
なお、上記評価実験では、純水DIWと塗布液TARCとを混合する工程(S2)時のウエハの回転数が10rpmの場合について説明したが、ウエハの回転数が、10rpm〜50rpmの範囲内であれば、液溜まり(純水パドル)が所望の大きさに広がるので、純水DIWと塗布液TARCとを混合する工程(S2)時のウエハの回転数が10rpm〜50rpmの範囲内であれば、上記評価実験と同様の結果が得られると推測できる。
【0072】
なお、ウエハの回転数が10rpmより低速であると、液溜まり(純水パドル)を形成する外周部の堰の一部が壊れ、壊れた部分より純水がヒゲ(枝)状に延び所望の大きさの円形状態を保つことができない。したがって、純水DIWと塗布液TARCとを混合する工程(S2)時のウエハの回転数が10rpm〜50rpmの範囲内が好適である。
【符号の説明】
【0073】
W 半導体ウエハ(被処理基板)
40 塗布処理装置
42 スピンチャック(保持手段)
43 チャック駆動機構(回転機構)
48a 第1のノズル駆動部
48b 第2のノズル駆動部
50 塗布液ノズル
57 純水ノズル
60 コントローラ(制御手段)
V1,V2,V3 開閉弁
DIW 純水
TARC 塗布液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板に水溶性を有する塗布液を供給して塗布液膜を形成する塗布処理方法であって、
被処理基板を低速の第1の回転数で回転させて、被処理基板の中心部に純水を供給して純水の液溜りを形成する第1の工程と、
その後、被処理基板を上記第1の回転数の状態で、被処理基板の中心部に水溶性の塗布液を供給し、該塗布液と上記純水とを混合する第2の工程と、
その後、被処理基板を上記第1の回転数より高速の第2の回転数で回転させて塗布液膜を形成する第3の工程と、を有し、
上記第2の工程と第3の工程の時間比率を制御することにより塗布液の供給量を設定することを特徴とする塗布処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の塗布処理方法において、
上記第2の工程と第3の工程の時間比率は、第2の工程に対して第3の工程が、1:3〜3:1の範囲内であることを特徴とする塗布処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の塗布処理方法において、
上記塗布液が界面活性剤を含む液であることを特徴とする塗布処理方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の塗布処理方法において、
上記第1の回転数が10rpm〜50rpmであり、上記第2の回転数が2000rpm〜4000rpmであることを特徴とする塗布処理方法。
【請求項5】
被処理基板に水溶性を有する塗布液を供給して塗布液膜を形成する塗布処理装置であって、
被処理基板を該被処理基板の表面を上面にして保持する保持手段と、
上記保持手段を鉛直軸周りに回転する回転機構と、
被処理基板に塗布液を供給する塗布液ノズルと、
被処理基板に純水を供給する純水ノズルと、
上記塗布液ノズルを被処理基板の中心部に移動する第1のノズル移動機構と、
上記純水ノズルを被処理基板の中心部に移動する第2のノズル移動機構と、
上記塗布液ノズルと塗布液供給源とを接続する塗布液供給管路に介設される第1の開閉弁と、
上記純水ノズルと純水供給源とを接続する純水供給管路に介設される第2の開閉弁と、
上記回転機構の回転駆動、第1及び第2のノズル移動機構の駆動及び、上記第1及び第2の開閉弁の開閉を制御する制御手段と、を具備し、
上記制御手段により、被処理基板を低速の第1の回転数で回転させて、被処理基板の中心部に純水を供給して純水の液溜りを形成する第1の工程と、その後、被処理基板を上記第1の回転数の状態で、被処理基板の中心部に水溶性の塗布液を供給し、該塗布液と上記純水とを混合する第2の工程と、その後、被処理基板を上記第1の回転数より高速の第2の回転数で回転させて塗布液膜を形成する第3の工程を行うと共に、上記第2の工程と第3の工程の時間比率を制御することにより塗布液の供給量を設定するように形成してなる、ことを特徴とする塗布処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の塗布処理装置において、
上記第2の工程と第3の工程の時間比率は、第2の工程に対して第3の工程が、1:3〜3:1の範囲内であることを特徴とする塗布処理装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の塗布処理装置において、
上記塗布液が界面活性剤を含む液であることを特徴とする塗布処理装置。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかに記載の塗布処理装置において、
上記第1の回転数が10rpm〜50rpmであり、上記第2の回転数が2000rpm〜4000rpmであることを特徴とする塗布処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−177504(P2010−177504A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19460(P2009−19460)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】