説明

塗布方法および塗布装置並びにディスプレイ用部材の製造方法

【課題】吐出口周辺に突出部を有するノズルを用いてストライプ状塗布膜を形成する手段で、いかなる特性の塗布液や塗布条件であっても、塗布開始部から均一な厚さや幅のストライプ状塗布膜を形成できる塗布方法ならびに塗布装置を実現させるとともに、低コストで高品質のディスプレイ用部材を製造できるディスプレイ用部材の製造方法を提供する。
【解決手段】長手方向にわたってノズル30と被塗布部材Aの両方に接触する全幅連結ビードを形成した後に、連結ビードの連続性を切断する塗布液量を、ノズルの吐出口40を介して塗布液供給装置で吸引して、ノズルの吐出口周辺にある突出部と被塗布部材の両方に接触する部分連結ビードBPを形成して、被塗布部材上にストライプ状塗布膜を形成する塗布方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば有機ELやカラー液晶ディスプレイ用カラーフィルタ等のディスプレイ用部材を製造する分野に主として使用されるものであり、詳しくはガラス基板などの被塗布部材表面にストライプ状に所定幅の塗布膜を多数形成できる塗布方法および塗布装置並びにディスプレイ用部材の製造方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られているように、有機EL、カラー液晶ディスプレイ用カラーフィルタ、プラズマディスプレイパネルの背面板には、等ピッチに配置されたポリイミドやブラックマトリックス、ガラス等の隔壁またはバンク間に形成される直線状の溝に塗布液を充填して、ストライプ状に塗布膜を形成する工程がある。このようなストライプ状の塗布膜をガラス基板等の被塗布部材上に塗布により形成する手段としては、スクリーン印刷やノズル法がよく知られているが、スクリーン等の副資材が不要で、必要な量だけ高価な塗布液を供給して塗布膜を形成できるノズル法の方が、コスト的に優れており、最近特に注目を集めている。
【0003】
ノズル法にも、ストライプの配置ピッチにあわせて設けられた多数の吐出口を有するノズルから、塗布液を間欠的に噴射するインクジェットノズル法や、塗布液を連続して吐出する連続吐出ノズル法がある。インクジェットノズル法は、個々の吐出口での塗布液吐出を制御できるので、いかなるパターン形状にも対応できフレキシビリティが高いが、均一性、吐出安定性に課題がある。一方連続吐出ノズル法は、すべての吐出口から同時に塗布液を吐出するのでストライプ状にしか塗布できないが、逆に均一性、吐出安定性に優れているので、製造に広く利用されている。さらにまた連続吐出ノズル法にも、ノズルとガラス基板間のすきま、すなわちクリアランスを比較的大きくして、ノズルから塗布液をおおよそストライプの幅を有する柱状流(直線棒状)にして吐出し、そのままガラス基板に塗布する柱状流法と(例えば特許文献1)、クリアランスを比較的小さくしてノズル吐出口とガラス基板間に液溜まりであるビードを形成し、ビード幅に相当する幅のストライプ状塗布膜を形成するビード法(例えば特許文献2)がある。ビード法は適用できる塗布液の粘度や塗布膜厚さの範囲が柱状流法よりもはるかに広く、使用しやすいという特長がある。
【0004】
ビード法で使用するノズルは、ノズル吐出口とガラス基板間にストライプ幅のビードを形成しやすいように、ノズル吐出口を含むその周辺部であるノズル吐出口面あるいは吐出口部が、他の部分よりも塗布液吐出方向に突出しておおよそストライプ状塗布膜の幅の突出部または突起部を形成している。このことは見方を変えると、ノズル吐出口面がノズル長手方向におおよそストライプ状塗布膜の幅なるように、突出部間に形成される溝で分断されているともいえる(たとえば特許文献3)。このようなノズル吐出口面が所定幅で突出しているノズルをクリアランス100μm以下にガラス基板に近接させ、50mPas以下の低粘度の塗布液をWet膜厚20μm以下の比較的薄膜で塗布しようとすると、塗布液の吐出速度が低いのでノズル吐出口から吐出された塗布液はガラス基板の方に落下せず、ノズル吐出口面に沿って両隣の溝の方に向かっていく。そしてノズル吐出口から吐出された塗布液がすべての溝に充満すると、今度は塗布液がノズル吐出口とガラス基板間のすきまを埋めるように充満してノズル全幅に連結したビードである全幅連結ビードが形成される。この状態で、所定量の塗布液をノズル吐出口から供給しつつ、ノズルとガラス基板を相対的に水平移動させると、図6に示す通り、塗布開始部は全幅にわたって塗布されて全面塗布膜92となる。この状態でしばらく塗布していると、ノズル吐出口部の両隣にある溝に充満した塗布液がガラス基板に塗布されてなくなるために、突出しているノズル吐出口面とガラス基板間に部分的に連結するビード、すなわち部分連結ビードが形成され、それに伴ってストライプ状に塗布がなされて、ストライプ状塗布膜94が形成される。ストライプ状塗布膜94になってからも、最初はノズルの吐出口面周辺や溝に残っている塗布液が吐出口から吐出される塗布液に加算されてガラス基板に塗布されるので、ストライプ状塗布膜の開始部からある区間長だけ厚さも幅も多少大きいストライプ状塗布膜となる。
【0005】
以上より塗布開始部からストライプ状塗布膜を形成するには、塗布開始時より部分連結ビードを形成する必要がある。上記の条件下では最初は全幅連結ビードが形成されるので、これを部分連結ビードに転換するよう、特許文献3に示されるようにクリアランスを大きくしても、全幅にわたってビードが切断されるだけで、各ノズル吐出口部とガラス基板間に連結される部分連結ビードにはならない。また全幅連結ビードが形成されてから、特許文献4に示されるように、塗布液の連続性を切断しない範囲の量の塗布液をノズル吐出口から吸引しても、全くビードが切断されないので部分連結ビードにならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−10755号公報
【特許文献2】特開2007−187948号公報
【特許文献3】特開2007−313417号公報
【特許文献4】特開2002−113411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ストライプ状塗布膜幅に対応して複数の吐出口を含む吐出口面あるいは吐出口部が塗布液吐出方向に突出して突出部を形成しているノズルを用いて、被塗布部材との間に部分連結ビードを形成してストライプ状塗布膜を形成する手段において、いかなる特性の塗布液や塗布条件であっても、塗布開始部から均一な厚さや幅のストライプ状塗布膜を形成できる塗布方法ならびに塗布装置を実現させるとともに、低コストで高品質のディスプレイ用部材を製造できるディスプレイ用部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の目的は、以下に述べる手段によって達成される。
(1)本発明になる塗布方法は、長手方向に複数の吐出口が配列され、かつ各々の吐出口周辺が塗布液吐出方向に突出している突出部を有するノズルを被塗布部材に近接させ、前記ノズルの突出部と被塗布部材の両方に接触する部分連結ビードを形成した状態で、塗布液供給装置から前記ノズルに塗布液を供給して前記ノズルの吐出口から塗布液を吐出しつつ、被塗布部材の前記ノズルに対する相対移動を行って、被塗布部材上にストライプ状塗布膜を形成する塗布方法であって、前記ノズルと被塗布部材が静止した状態でノズルから塗布液を定量吐出し、長手方向にわたってノズルと被塗布部材の両方に接触する全幅連結ビードを形成した後に、連結ビードの連続性を切断する塗布液量を、ノズルの吐出口を介して塗布液供給装置で吸引して、前記ノズルの突出部と被塗布部材の両方に接触する部分連結ビードを形成して、被塗布部材上にストライプ状塗布膜を形成することを特徴とする。ここで、前記ノズルの吐出口を介して塗布液供給装置で吸引する塗布液量の吸引速度は、吐出口の個数に1吐出口あたりの吸引速度をかけ合わせたものであり、かつ1吐出口あたりの吸引速度はで0.1μl/s以下であることが好ましい。
(2)本発明になる塗布装置は、長手方向に複数の吐出口が配列され、かつ各々の吐出口周辺が塗布液吐出方向に突出している突出部を有するノズルと、該ノズルに定量の塗布液を供給する手段を含む塗布液供給手段と、被塗布部材を保持する載置台と、前記塗布器および載置台のうちの少なくとも一方を相対的に移動させる移動手段と、前記ノズルを被塗布部材に近接させる近接手段と、を備えてストライプ状塗布膜を形成する塗布装置であって、前記ノズルと被塗布部材が静止した状態でノズルから塗布液を定量吐出し、長手方向にわたってノズルと被塗布部材の両方に接触する全幅連結ビードを形成した後に、連結ビードの連続性を切断する塗布液量を、ノズルの吐出口を介して塗布液供給手段で吸引して、前記ノズルの突出部と被塗布部材の両方に接触する部分連結ビードを形成して、被塗布部材上にストライプ状塗布膜を形成するように動作制御する動作制御手段をさらに備えることを特徴とする。
(3)本発明になるディスプレイ用部材の製造方法は、(1)に記載の塗布方法を用いて、ディスプレイ用部材を製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明になる塗布方法および塗布装置を用いれば、塗布開始時よりストライプ状塗布膜幅に対応した各ノズル吐出口面と被塗布部材間に部分連結ビードが、いかなる塗布液や塗布条件に対しても形成されるのであるから、塗布開始部から均一な厚さと幅のストライプ状塗布膜を形成できる。これによって、1枚の被塗布部材の製品領域を最大限にできるので、低コスト化が可能となる。
【0010】
本発明になるディスプレイ用部材の製造方法によれば、上記の優れた塗布方法を用いてディスプレイ用部材を、1枚の被塗布部材で製品領域を最大限に活用して製造するのであるから、均一な膜厚を有する高品質のディスプレイ用部材を、低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にかかるストライプ塗布装置の一実施態様を示す斜視図である。
【図2】図1のノズル30による基板への塗布状況を示す拡大正面断面図である。
【図3】図2のノズル30の吐出口における側面断面図である。
【図4】ノズル30で基板に対して本発明の塗布方法を実施している状況を段階的に示した正面断面図である。
【図5】本発明による塗布方法により基板Aにストライプ状塗布膜を形成する状況を示す平面図である。
【図6】従来の塗布方法により基板Aにストライプ状塗布膜を形成する状況を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明にかかる塗布装置および塗布方法を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明にかかるストライプ塗布装置の一実施態様を示す斜視図、図2は図1のノズル30による基板への塗布状況を示す正面断面図、図3は図2のノズル30の吐出口における側面断面図、図4はノズル30で基板に対して本発明の塗布方法を実施している状況を段階的に示した正面断面図である。
【0013】
図1を参照すると、塗布液をストライプ状に塗布可能なストライプ塗布装置1が示されている。
【0014】
このストライプ塗布装置1は、被塗布部材である基板Aに塗布液を塗布するノズル30と、ノズル30と基板Aが取りつけられてこれらを自在に移動させるXYZステージ10と、ノズル30に塗布液を供給する塗布液供給手段である塗布液供給装置50と、XYZステージ10と塗布液供給装置50の動作を統括的に制御する制御装置80と、より構成されている。
【0015】
XYZステージ10の吸着盤14には基板Aが載置され、Z軸リニア駆動装置12にはノズル30が固定保持されている。吸着盤14の上面には図示されていない吸着孔が多数配置されており、図示されていない真空源からの真空圧によって基板Aを吸着保持することができる。この吸着盤14はその中央部で図示しない回転軸を介してX−θ駆動装置16に取り付けられている。X−θ駆動装置16は、ベース26上に固定されており、吸着盤14のX−Y平面内での回転とX方向(基板A長手方向)の往復動を自在に行なうことができる。なおX、Y、Zの方向については、図1に示される通りで、XYZステージ10の左下隅にX、Y、Z各軸の原点Oが設けられているとともに、原点Oでの矢印の方向が正方向である。またX−Y平面内での回転方向がθ方向となっている。
【0016】
ノズル30を保持するZ軸リニア駆動装置12は、ノズル30をZ方向すなわち上下方向に自在に昇降することができるもので、ブラケット18に固定されている。ブラケット18はさらにY軸リニア駆動装置20に保持されている。Y軸リニア駆動装置20は、ベース26上の一端に配置されている門型ベース28上に固定されており、ブラケット18をY方向に自在に往復動することができる。その結果ブラケット18に固定されているノズル30をY方向にも自在に往復動させることができる。さらに吸着盤14の上方のブラケット18に対応する位置にはCCDカメラ22と高さセンサー24も装着されている。CCDカメラ22は制御装置80に電気的に連結されており、基板Aのアライメントマークの位置を検知して、それを制御装置80に伝え、制御装置80がX−θ駆動装置16やY軸リニア駆動装置20を駆動することによって、ノズル30に対する基板Aの位置合わせやθ方向の相対回転角度設定を行うことができる。一方高さセンサー24は、基板Aの上面の位置を検知、すなわち基板Aの厚さを検知し、それを電気的に接続されている制御装置80に伝える。その信号に基づいて制御装置80がZ軸リニア駆動装置12等を駆動することによって、ノズル30の最下面と基板A上面とのすきま、すなわちクリアランスを所定値に設定することができる。
【0017】
再びノズル30を見ると、塗布液供給装置50に連なる供給ホース68とノズル30が常時接続されており、これによりノズル30へは塗布液供給装置50から塗布液を供給することができる。ノズル30へ供給された塗布液は、ノズル30の内部通路を経て基板Aに向かってノズル30より吐出される。
【0018】
なお、塗布液供給装置50は、供給ホース68の上流側に、フィルター56、供給バルブ52、シリンジポンプ60、吸引バルブ54、吸引ホース70、タンク72を備えている。タンク72には塗布液74が蓄えられており、圧空源76に連結されて任意の大きさの背圧を塗布液74に付加することができる。タンク72内の塗布液74は、吸引ホース70を通じてシリンジポンプ60に供給される。シリンジポンプ60では、シリンジ62、ピストン64が本体66に取り付けられている。ここでピストン64は図示しない駆動源によって上下方向に自在に往復動できる。シリンジポンプ60は、一定の内径を有するシシリンジ62内に塗布液74を充填し、それをピストン64により押し出して、ノズル30に一定容量の塗布液を供給できる定容量間欠供給型のポンプである。シリンジ62内に塗布液74を充填するときは、吸引バルブ54を開、供給バルブ52を閉として、ピストン64を下方に移動させる。またシリンジ62内に充填された塗布液をノズル30に向かって供給するときは、吸引バルブ54を閉、供給バルブ52を開とし、ピストン64を上方に移動させることで、ピストン64でシリンジ62内部の塗布液74を押し上げ排出する。また、吸引バルブ54を閉、供給バルブ52を開のままでピストン64を下方に移動させると、ノズル30から塗布液をシリンジポンプの方へ吸引することができる。
【0019】
上記したように、制御信号にて動作するX−θ駆動装置16、Y軸リニア駆動装置20、Z軸リニア駆動装置12、塗布液供給装置50、等はすべて制御装置80に電気的に接続されている。そして、制御装置80に組み込まれた自動運転プログラムにしたがって制御指令信号が各機器に送信されて、あらかじめ定められた動作を行う。なお条件変更時は操作盤82に適宜変更パラメータを入力すれば、それが制御装置80に伝達されて、運転動作の変更が実現できる。特に塗布液供給装置50の中では、シリンジポンプ60、供給バルブ52、吸引バルブ54が電気的に接続されており、制御装置80にその電気的信号をとりこんだり、制御装置80からの指令により、塗布液をノズル30に供給したり、ノズル30から吸引したりする等の任意の動作をさせることができる。制御装置80を用いれば、ストライプ塗布装置1の動作を自在に制御できるので、与えられた塗布条件下での塗布を自在に行うことができる。
【0020】
ストライプ塗布装置1を構成する1要素であるノズル30については、図2、図3を用いて詳細に説明する。
【0021】
図2は図1にあるノズル30をY方向、すなわち基板A短辺方向ならびにノズル30の長手方向(X方向)に直交する方向、に見た中央部の断面を拡大して示しており、塗布液74をノズル30でクリアランスLCだけ離れた基板Aにストライプ状に塗布している状況を示している。ノズル30は紙面に垂直な方向、すなわち図1のY方向に移動し、これが塗布方向となる。図2で、ノズル30を構成する本体34の中央部に、ノズル30の長手方向に伸びるマニホールド38が形成されている。このマニホールド38には斜線で示す塗布液74が充満しており、中央部上方には供給口42が設けられている。供給口42は図1の供給ホース68と接続しており、この供給口42を介して塗布液供給装置50から塗布液74をマニホールド38に供給することができる。マニホールド38の下方の下板部32には貫通部36がマニホールド38と連通して形成されている。この貫通部36の下端がノズル30の最下端面である吐出口面46で開口して、吐出口40を形成する。したがって吐出口40は塗布液供給装置50と流体的に連通しているので、塗布液供給装置50から塗布液74が供給されれば、吐出口40から塗布液74は下向きに吐出される。この下向きが塗布液吐出方向となる。また塗布液供給装置50から塗布液74が吸引されれば、吐出口40に接する塗布液74は吐出口40から吸引されてノズル30の内部に入っていく。
【0022】
吐出口40は吐出口面46に含まれているが、吐出口面46は下板部32の外面49よりも、塗布液74の吐出方向である下向きに突出量LAだけ突出して、吐出口面46の両隣に連なる傾斜部48とともに突出部44を形成している。すなわち、吐出口40の吐出口周辺が塗布液吐出方向に突出量LAだけ突出して突出部44となっている。吐出口40はノズル30の長手方向にピッチLRで複数個設けられているので、突出部44も同じくノズル30の長手方向にピッチLRで複数個設けられることになる。なお下板部32の外面49は、隣合う突出部44の傾斜部48に挟まれた所にある下板部32の外側の面と定義される。
【0023】
吐出口40から吐出された塗布液74が、突出部44と基板Aとの間に部分連結ビードBPを形成すれば、吐出口40から一定量の塗布液を吐出しつつ、ノズル30を基板Aに対して相対移動させることにより、ストライプ幅LBのストライプ状塗布膜が形成できることになる。なおストライプ幅LBは吐出口面46の幅LDとは必ずしも一致しない。
【0024】
吐出口40の形状については、塗布液74の吐出方向に見て円形、矩形、長穴形状等いかなるものであってもよい。吐出口40の幅LEは、吐出口面46の幅LD以下であることが好ましい。傾斜部48の塗布液74の吐出方向に対する角度φはいかなる角度でもよいが、好ましくは−10〜80度、より好ましくは0〜45度にする。この角度範囲にあれば、吐出口面46の幅LDに近い最小のストライプ幅LBを有する部分連結ビードBPが実現できるからである。吐出口40と貫通部36をノズル30の長手方向、すなわちX方向に見ると、図3に示すようになる。吐出口40の塗布方向長さLFは、吐出口面46の塗布方向長さLGよりも小さいことが好ましい。また吐出口面46の塗布方向、すなわちY方向両隣にも傾斜部47が形成されている。傾斜部47の塗布液74の吐出方向に対する角度は、傾斜部48の塗布液74の吐出方向に対する角度φに準ずる。
【0025】
次に、ストライプ塗布装置1を用いた塗布液74のガラス基板上へのストライプ状の塗布方法について図1と図4を用いて説明する。まず準備作業として、図1のタンク72〜ノズル30まで塗布液74はすでに充満されており、タンク72以降のノズル30までの残留空気を排出する作業も既に終了している。この時の塗布液供給装置50の状態は、シリンジ62に塗布液74が充填、吸引バルブ54は閉、供給バルブ52は開、そしてピストン64は最下端の位置にあり、いつでも塗布液74をノズル30に供給できるようになっている。また吸着盤14、ノズル30もそれぞれ初期位置で待機している。すなわち吸着盤14はX方向には原点位置、X−Y平面内の回転方向(θ方向)には吸着盤14の長手側端部がX方向と平行になるように配置されている。ノズル30はY方向には原点位置、Z方向には一番高い位置に配置されている。
【0026】
つづいてストライプ塗布装置1の動作開始信号が操作盤82から制御装置80に伝えられると、吸着盤14の表面に図示しないリフトピンが上昇し、図示しない移載装置からガラス基板である基板Aがリフトピン上部に載置される。そしてリフトピンを下降させて基板Aを吸着盤14上に載置し、同時に吸着保持する。次いで高さセンサー24によって基板Aの高さを検知するとともに、CCDカメラ22で2ヶ所設けられているアライメントマークを検知して、アライメントマークで定められた塗布方向とY方向が一致するように吸着盤14を回転させる。次いで予め定めた基板Aの塗布開始位置直上にノズル30の吐出口40が位置するように、X−θ駆動装置16を駆動して吸着盤14をX方向に移動させるとともに、Y軸リニア装置20を駆動してノズル30をY方向に移動させる。ノズル30が基板A上の塗布開始位置直上に来たら停止させるとともに、測定した基板Aの高さに応じて、図4(a)に示す通り、基板Aとノズル30の吐出口面46との間のすきまが所定のクリアランスLCの値になるように、Z軸リニア駆動装置12を駆動してノズル30をZ方向に下降停止させる。なお図4では塗布液74は斜線で示されている。基板Aとノズル30の間のすきまがクリアランスLCで静止している状態で、塗布液供給装置50のシリンジポンプ60を駆動してピストン64を上側に移動させ、一定量QAの塗布液74をノズル30の吐出口40から吐出する。吐出口40から吐出された塗布液74は最初は図4(b)に示す通り、基板Aの方には落下せずに、吐出口面46を伝わって、それぞれの突出部44の間にある下板部32の外面49の方に向かい、そこで蓄積される。塗布液はさらに吐出口40から吐出されつづけるので、塗布液は図4(c)に示される通り、各突出部44の間に充満する。そしてついには塗布液は、図4(d)に示す通りに、ノズル30と基板Aとの間のすきま全てに充満して、全幅連結ビードBWを形成する。
【0027】
一定量QAの塗布液74の吐出口40からの吐出が完了したら、シリンジポンプ60を反転駆動、すなわちピストン64を逆側つまり下側に移動させて、一定量QBの塗布液74をシリンジポンプ60の方に吸引する。これによって吐出口40から全幅連結ビードBWを形成している塗布液74の一部が吸引/回収される。一定量QBは、全幅連結ビードBWの連続性を切断する塗布液量に設定されるので、図4(e)に示す通りに、隣合う各突出部44の間の所から全幅連結ビードBWは切断されはじめて塗布液74のない切断空間84を形成し、ついには図4(f)に示す通りに、切断空間84が最大化してノズル30の吐出部44と基板Aだけにビードが連結された状態となり、部分連結ビードBPが形成される。
なお、塗布液供給装置であるシリンジポンプ60で一定量QBの塗布液を吐出口40を介して吸引する時の吸引速度VBは、吐出口40の個数n、1吐出口あたりの吸引速度VBEから、VB=n×VBE、となり、1吐出口あたりの吸引速度VBEで好ましくは0.1μl/s以下、より好ましくは0.05μl/s以下にする。1吐出口あたりの吸引速度VBEがこの範囲より大きくなるような吸引速度VBでシリンジポンプ60を吸引すると、慣性の影響を受けて、ノズル30の供給口42の近くにある複数の吐出口40から塗布液を多く吸引するが、供給口42から離れた複数の吐出口40からは塗布液をほとんど吸引しない、すなわちノズル30の長手方向にわたって塗布液を均一に吸引しなくなってしまう。この結果、供給口42の近くの複数の吐出口40では全幅連結ビードBWがすべてなくなるほどの塗布液量が吸引される一方、供給口42から離れた複数の吐出口40では全幅連結ビードBWがそのまま残って切断されず、部分連結ビードBPが形成されなくなる。すなわち、ノズル30の長手方向全体にわたって均一に部分連結ビードBPを形成するには、1吐出口あたりの吸引速度VBEが上記範囲となるような吸引速度VBにてシリンジポンプ60で吸引することが必要となる。
また一定量QAについては、ノズル30と基板Aの間に塗布液を充填できる容積QCの90〜110%が好ましく、一定量QBは一定量QAの20〜50%が好ましい。一定量QA、QBともに、全幅連結ビードBWや部分連結ビードBPが安定かつ均一に形成できるように、上記範囲内で微調整すればよい。
図4(f)の部分連結ビードBPが形成された状態になってから、シリンジポンプ60のピストン64を所定速度で上昇させて塗布液74をノズル30に供給し、ノズル30から塗布液74を吐出口40から吐出開始するとともに、Y軸リニア駆動装置20を駆動して一定速度でノズル30をY方向に移動開始し、塗布液74の基板Aへの塗布を始めて、ストライプ状塗布膜を形成する。基板Aの塗布終了位置がノズル30の吐出口40の位置にきたらシリンジポンプ60のピストン64を停止させて塗布液74の供給を停止し、つづいてZ軸リニア駆動装置12を駆動して、ノズル30を上昇させる。これによって基板Aとノズル30の突出部44間に形成された部分連結ビードBPが断ち切られ、ストライプ状の塗布が終了する。塗布終了後もY軸リニア駆動装置20は動きつづけ、終点位置にきたらノズル30は一旦停止し、今度は初期位置に向かって逆方向にY軸リニア駆動装置20を駆動してノズル30を移動させる。続いてX−θ駆動装置16を駆動して吸着盤14をX方向に移動させるとともに、Y軸リニア装置20を駆動してノズル30をY方向に移動させ、基板Aの次の塗布開始位置上にノズル30の吐出口40が来るようにする。これらの動作と並行して、供給バルブ52を閉、吸引バルブ54は開としてから、ピストン64を一定速度で下降させ、タンク72の塗布液74をシリンジ62に充填する。充填完了後、ピストン64を停止させ、吸引バルブ54を閉、供給バルブ52を開として、ノズル30が基板Aの塗布開始位置上に来るのを待ち、同じ動作を繰り返して次のストライプ状塗布膜を形成する。
【0028】
なお塗布終了後にノズル30が初期位置にもどり、基板Aでの予定の塗布が完了している場合は、基板Aの吸着を解除し、リフトピンを上昇させて基板Aを持ち上げる。この時図示されない移載装置によって基板Aの下面が保持され、次の工程に基板Aを搬送する。これと並行して、供給バルブ52を閉、吸引バルブ54は開としてから、ピストン64を一定速度で下降させ、タンク72の塗布液74をシリンジ62に充填する。充填完了後、ピストン64を停止させ、吸引バルブ54を閉、供給バルブ52を開として、次の基板Aが来るのを待ち、同じ動作をくりかえす。なおシリンジポンプ60への塗布液74の充填については、随時行えばよく、1〜N(整数)回の塗布ごとに行ってもよいし、1〜N枚の基板への塗布が完了した時点で行ってもよい。
【0029】
図5は以上の本発明の塗布方法により基板Aにストライプ状塗布膜94を形成する状況を示す平面図、図6は従来の塗布方法により基板Aにストライプ状塗布膜を形成する、すなわち図4(d)の状態から塗布開始した時の基板Aにストライプ状塗布膜94を形成する状況を示す平面図である。図5に示すように、以上詳細を説明した本発明の塗布方法を用いれば、最初から矢印で示す塗布方向に向かってストライプ状塗布膜94が形成される。また部分連結ビードBPの大きさを塗布液を吸引する一定量QBで調整できるので、最初からストライプ状塗布膜の厚さや幅を均一にして、膜厚が均一にならない非製品領域を最小にして製品領域を最大にすることができる。一方従来の塗布方法によると、図6に示すように、最初は全面塗布膜92が形成され、矢印で示す塗布方向の途中から幅方向すなわちノズル30の長手方向に開始位置がばらばらなストライプ状の塗布膜94が形成される。また制御する手段がないので、ストライプ状塗布膜94が形成し始める位置での膜厚や幅は全くの成り行きで、一定の値に収束するまでの時間もかかる。したがって、膜厚や幅が均一にならない非製品領域が非常に大きくなってしまう。
【0030】
なお本発明の塗布方法は、塗布液を吐出する複数の吐出口の周辺に塗布液吐出方向に突出する突出部を有するノズルにのみ有効である。吐出口の周辺に突出部がない、すなわち吐出口が複数あっても吐出口面が連続した同一平面であるノズルでは、全幅連結ビードを形成してから、連結ビードの連続性を切断する塗布液量を吐出口から吸引しても、各吐出口ごとにビードを保持する部分がないので、単に塗布液が吸引されて位置や大きさがランダムな図4に示す切断空間84ができるだけで、部分連結ビードは形成できない。吐出口の周辺に突出部を有するノズルなら、全幅連結ビードを形成してから、連結ビードの連続性を切断する塗布液量を吐出口から吸引すると、突出部のエッジ部分、すなわち吐出口面46と傾斜部48の境界部分付近で、塗布液すなわちビードの一端が保持されるので、部分連結ビードが形成できるのである。
【0031】
以上の塗布方法で、部分連結ビードBPを形成する時のクリアランスLCと、その後のストライプ状塗布を行う時のクリアランスは同じでもよいし、異なっていてもよいが、吐出口からの吸引を均一にしかも確実に行うために、部分連結ビードBPを形成する時のクリアランスをストライプ状塗布時のクリアランスよりも小さくすることが好ましい。また部分連結ビードBPを形成する時のクリアランスも、塗布液74を吐出口40から一定量QA吐出するときのクリアランスと、吐出口40から塗布液74を一定量QB吸引する時のクリアランスを、上記のように同じにしてもよいし異なっていてもよいが、より均等に吸引できることから、塗布液を吸引する時のクリアランスを塗布液を吐出する時のクリアランスよりも小さくすることがより好ましい。
【0032】
また上記の塗布方法では、基板Aは隔壁等のパターンが形成されていないガラス基板での実施態様例を示したが、基板Aがストライプ状に複数の隔壁が形成されたパターン基板であっても上記の塗布方法がそのまま適用できる。この場合、ストライプ状の塗布を開始する位置は、基板上のパターンが形成されている所でもよいしパターンが形成されていないフラットな面上でもよい。ただし、パターンが形成されている部分での塗布膜を均一にするには、パターン基板のパターンが形成されていない所で上記の塗布方法によりストライプ状の塗布膜をまず形成してから、パターン基板の隔壁間にストライプ状塗布膜を塗布する(隔壁間に形成される溝に塗布液を充填する)ようにするのが、より有利となる。
【0033】
なお、本発明はいかなる塗布液にも適用できるが、粘度が0.5〜100mPasの塗布液にその有効性が如実に現れるので、それに適用することがより好ましい。さらに塗布条件としては、塗布速度は1mm/s〜500mm/s、より好ましくは10mm/s〜350mm/sである。クリアランスLCは好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜150μmである。塗布厚さも特に限定されないが、より薄い方がその効力を一層発揮するので、Wet厚さで好ましくは1〜20μm、より好ましくは2〜10μmである。また本発明が適用できるノズル形状については特に限定されないが、その効果をより一層発揮するには、突出量LAは好ましくは10〜2000μm、より好ましくは20〜500μmである。10μmより小さいと、突出部44と基板Aの間に部分連結ビードBPが形成できず、2000μmより大きいと、ノズル30の形状加工難度が増大する。吐出口面の幅LDは好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μm、吐出口面の塗布方向長さLGは好ましくは50〜2000μm、より好ましくは100〜1000μm、吐出口の幅LEと塗布方向長さLFは好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。
【0034】
また上記実施態様例では間欠型の定容量ポンプとしてシリンジポンプを使用したが、定容量の塗布液の供給と吸引が行われるのならこれに限定されることはなく、ベロフラム型ポンプ(商品名CTポンプ)、ダイヤフラムポンプ、チュービングポンプ、ギアポンプ等が好適に用いることができる。
【0035】
なおストライプ塗布装置1については、構成を変えて、ノズル30を固定、基板AをY方向に移動させてストライプ状に塗布できるようにしてもよい。
【実施例】
【0036】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
【0037】
実施例1
370×470mmで厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板に、厚さ2μmで幅が20μm、基板短辺方向の長さ350mmのポリイミド膜が隔壁、すなわちバンクとして基板長辺方向にピッチ100μmで4609本配置されている有機ELのパターン基板を用意した。なおポリイミド膜は基板中央にあり、基板短辺方向の両側10mm、基板長手方向の両側5mmがストライプ状のポリイミド膜のない非製品領域であった。さらに隔壁としてのポリイミド膜の間にはITO透明電極が陽極としてガラス基板上に0.1μm、その上に正孔注入輸送層が0.2μm形成されていた。正孔注入輸送層はポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォン酸が混合されたものを主成分とするものであった。
【0038】
次に隔壁間の正孔注入輸送層の上にR、G、Bの発光材をストライプ状に塗布すべく、RGB発光材を準備した。RGB発光材はいずれもポリフェニレンビニレン系高分子であり、R発光材は固形分濃度1%で粘度が2mPas、G発光材は固形分濃度0.5%で粘度が1.5mPas、B発光材は固形分濃度1%で粘度が1mPasであった。図1に示すストライプ塗布装置1でストライプ状の塗布を行うべく、専用のノズル30を準備した。
【0039】
このノズルには、幅LE=40μmで塗布方向長さLF=100μmの矩形状の吐出口がピッチLR=300μmでn=512個配置されており、吐出口面46は幅LD=60μm、塗布方向長さLG=300μm、突出量LA=100μm、φ=10度であった。このノズル30をストライプ塗布装置1にとりつけ、上記のR発光材をタンク72〜ノズル30まで充填した。上記のポリイミドのストライプ膜が形成された基板を吸着盤14に吸着後、基板上のアライメントマークをCCDカメラ22で検知して、ノズル30を基板の塗布開始位置の直上に配置した。
【0040】
なお塗布開始位置は、X方向には、原点に一番近い基板の隔壁間の溝が、ノズル30の一番原点に近い吐出口と一致する位置、Y方向には原点に一番近い基板端部から5mmの位置であった。また吐出口が直線状に連なる方向と、ポリイミド膜がストライプとなって伸びる方向が直交するように基板AのX−Y平面内の回転角度をX−θ駆動装置16により調整をした。高さセンサー24で測定した基板高さに基づいて吐出口面46と基板A間のすきまであるクリアランスLC=40μmとなるように、ノズル30を下降させた。そしてシリンジポンプ60を駆動して、供給速度10μl/sでQA=6μlだけR発光材をノズル30から吐出して、全幅連結ビードBWを形成した。続いてシリンジポンプ60を逆側に駆動して、吸引速度VB=2μl/s(吐出口40の個数n=512、ノズル30の1つの吐出口あたりの吸引速度VBE=約0.00394μl/s)でQB=5.6μlだけ、ノズル30の吐出口40から全幅連結ビードBWを形成する塗布液を吸引して、塗布液の連結を切断して部分連結ビードBPを形成した。
【0041】
つづいてシリンジポンプ60を順方向に駆動して、供給速度7.7μl/sでノズル30より吐出開始し、この吐出開始より0.2秒後にY軸リニア駆動装置を駆動開始して、ノズル30をY方向に50mm/sで移動開始した。そして基板短辺方向の塗布開始位置から360mmの位置でシリンジポンプ60を停止させるとともに、塗布開始位置から365mmの位置でZ軸リニア駆動装置を駆動して、ノズル30を上昇させた。これらの動作によって基板端部から5mmの塗布開始位置から60μm幅でWet厚さ5μmの360mm長のストライプ状塗布膜が512本形成され、ポリイミド膜の隔壁間にすべてR発光材が充填され、隔壁上に乗り上げる物や、充填されていない部分もなかった。
【0042】
なお塗布方向には隔壁の前後に5mmずつ、隔壁パターンのない基板上にもストライプ状の塗布膜が形成された。次にノズル30の塗布開始位置を負のX方向に153.6mmだけ移動させて、同様の塗布を行い、さらにノズル30の塗布開始位置を正のX方向に153.6mmだけ移動させて同様の塗布を行って、合計1536本のストライプ状塗布膜を形成し、予定していたポリイミド膜の隔壁間にR発光材を全て充填した。R発光材の塗布が完了した基板を取り出し、ホットプレートで120℃、10分の乾燥を行った。
【0043】
引き続いてG発光材、B発光材についても同様のストライプ状塗布を行った。G発光材についてはR発光材のすぐ隣の隔壁間に塗布できるように位置決めをし、シリンジポンプ60のストライプ塗布時の吐出速度が15.4μl/sである他は、すべてR発光材と同じ条件にて塗布と乾燥を行った。B発光材についても、R発光材とG発光材の間の隔壁間に塗布できるように位置決めをし、吐出口40からの吸引量QB=5.7μlであるほかは、すべてR発光材と同じ条件に塗布と乾燥を行った。以上の塗布と乾燥を行った結果、R、G、B発光材ともに、基板端部から5mmの塗布開始位置から、50nm厚さ、60μm幅で360mm長のストライプ状塗布膜が、それぞれ1536本形成され、すべてのポリイミド膜の隔壁間がR、G、B発光材が規則正しく充填された。なお、厚さむらは、R、G、B発光材ともに、塗布両端から5mm除外した製品領域で、±5%以下で、非常に良好であった。
【0044】
そして最後に塗布したRGB発光材と隔壁の上を覆うように陰電極を蒸着して有機EL素子を作成した。この有機EL素子をさらに後工程で所定の処理をして表示装置に形成したところ、RGBの色が基板全面にわたって均一で、品質的に申し分ないものであった。
【0045】
実施例2
上記実施例1で、全幅連結ビードBW形成後にシリンジポンプ60を逆側に駆動して、QB=5.6μlだけノズル30の吐出口40から全幅連結ビードBWを形成する塗布液を吸引する時に、吸引速度VB=54μl/s(吐出口40の個数n=512、ノズル30の1つの吐出口あたりの吸引速度VBE=が0.105μl/s)にしたことの他は、上記実施例と全く同様にしてポリイミド膜が隔壁として配置されているパターン基板上にストライプ状の塗布を行った。塗布後の基板を確認したところ、ストライプ状の塗布膜は、R、G、B発光材あわせて4482本が360mmの全長にわたって形成されていたが、残り126本は隔壁内に発光材が充填されていない部分が塗布方向にわたってランダムに観察された。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、有機EL、カラーフィルター、プラズマディスプレイ等の基板上に面にストライプ状の塗布膜を形成する各種ディスプレイ用部材の製造に利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 ストライプ塗布装置
10 XYZステージ
12 Z軸リニア駆動装置
14 吸着盤
16 X−θ駆動装置
18 ブラケット
20 Y軸リニア駆動装置
22 CCDカメラ
24 高さセンサー
26 ベース
28 門型ベース
30 ノズル
32 下板部
34 本体
36 貫通部
38 マニホールド
40 吐出口
42 供給口
44 突出部
46 吐出口面
47 傾斜部
48 傾斜部
49 外面
50 塗布液供給装置
52 供給バルブ
54 吸引バルブ
56 フィルター
60 シリンジポンプ
62 シリンジ
64 ピストン
66 本体
68 供給ホース
70 吸引ホース
72 タンク
74 塗布液
76 圧空源
80 制御装置
82 操作盤
84 切断空間
92 全面塗布膜
94 ストライプ状塗布膜
A 基板
BP 部分連結ビード
BW 全幅連結ビード
LA 突出量
LB 部分連結ビードBPの幅(ストライプ幅)
LC クリアランス
LD 吐出口面46の幅
LE 吐出口40の幅
LG 吐出口面46の塗布方向長さ
LF 吐出口40の塗布方向長さ
LR ピッチ
QA 塗布液供給量
QB 塗布液吸引量
θ X−Y平面内の回転方向
φ 塗布液74の吐出方向を基準とした傾斜部48となす角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に複数の吐出口が配列され、かつ各々の吐出口周辺が塗布液吐出方向に突出している突出部を有するノズルを被塗布部材に近接させ、前記ノズルの突出部と被塗布部材の両方に接触する部分連結ビードを形成した状態で、塗布液供給装置から前記ノズルに塗布液を供給して前記ノズルの吐出口から塗布液を吐出しつつ、被塗布部材の前記ノズルに対する相対移動を行って、被塗布部材上にストライプ状塗布膜を形成する塗布方法であって、前記ノズルと被塗布部材が静止した状態でノズルから塗布液を定量吐出し、長手方向にわたってノズルと被塗布部材の両方に接触する全幅連結ビードを形成した後に、連結ビードの連続性を切断する塗布液量を、ノズルの吐出口を介して塗布液供給装置で吸引して、前記ノズルの突出部と被塗布部材の両方に接触する部分連結ビードを形成して、被塗布部材上にストライプ状塗布膜を形成することを特徴とする塗布方法。
【請求項2】
前記ノズルの吐出口を介して塗布液供給装置で吸引する塗布液量の吸引速度は、吐出口の個数に1吐出口あたりの吸引速度をかけ合わせたものであり、かつ1吐出口あたりの吸引速度は0.1μl/s以下であることを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
【請求項3】
長手方向に複数の吐出口が配列され、かつ各々の吐出口周辺が塗布液吐出方向に突出している突出部を有するノズルと、該ノズルに定量の塗布液を供給する手段を含む塗布液供給手段と、被塗布部材を保持する載置台と、前記塗布器および載置台のうちの少なくとも一方を相対的に移動させる移動手段と、前記ノズルを被塗布部材に近接させる近接手段と、を備えてストライプ状塗布膜を形成する塗布装置であって、前記ノズルと被塗布部材が静止した状態でノズルから塗布液を定量吐出し、長手方向にわたってノズルと被塗布部材の両方に接触する全幅連結ビードを形成した後に、連結ビードの連続性を切断する塗布液量を、ノズルの吐出口を介して塗布液供給手段で吸引して、前記ノズルの突出部と被塗布部材の両方に接触する部分連結ビードを形成して、被塗布部材上にストライプ状塗布膜を形成するように動作制御する動作制御手段をさらに備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の塗布方法を用いて、ディスプレイ用部材を製造することを特徴とするディスプレイ用部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−177707(P2011−177707A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18074(P2011−18074)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】