塗布装置、及び無端ベルトの製造方法
【課題】塗布槽内に塗布溶液が筋状に供給されるのを防止し、良好な塗膜を得ることが可能な塗布装置を提供すること。また、その装置を利用した無端ベルトの製造方法を提供すること。
【解決手段】塗布溶液18が満たされると共に、塗布溶液18を芯体10に塗布するための塗布槽12と、塗布槽12の周囲を囲んで設けられ、塗布溶液18を溢れさせて塗布槽12に供給する供給槽14と、供給槽14に連結され、供給槽14に塗布溶液18を供給する供給管26と、から少なくとも塗布装置を構成する。そして、この装置を利用して無端ベルトを製造する。
【解決手段】塗布溶液18が満たされると共に、塗布溶液18を芯体10に塗布するための塗布槽12と、塗布槽12の周囲を囲んで設けられ、塗布溶液18を溢れさせて塗布槽12に供給する供給槽14と、供給槽14に連結され、供給槽14に塗布溶液18を供給する供給管26と、から少なくとも塗布装置を構成する。そして、この装置を利用して無端ベルトを製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯体上にむらなく均一に溶液を塗布する塗布装置、及びその装置を用いて無端ベルトを製造する方法に関する。該無端ベルトは、特に複写機、プリンター等の電子写真方式を利用した画像形成装置に好ましく用いられる。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、感光体、帯電体、転写体、及び定着体等の小型/高性能化のために、肉厚が薄いプラスチック製フィルムからなるベルトが用いられる場合がある。その場合、ベルトに継ぎ目(シーム)があると、出力画像に継ぎ目の跡が生じるので、継ぎ目がない無端ベルトが好ましい。材料としては、強度や寸法安定性、耐熱性等の面でポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂が好ましい。(適宜、ポリイミドはPI、ポリアミドイミドはPAIと略す)
【0003】
PI樹脂で無端ベルトを作製するには、円筒体の内面にPI前駆体溶液を塗布し、回転しながら成膜する遠心成形法や、円筒体内面にPI前駆体溶液を展開する内面塗布法が知られているが、これらの方法では、PI前駆体の加熱の際に、皮膜を円筒体から抜いて加熱用芯体に載せ換える必要があり、工数がかかる短所がある。
【0004】
他のPI樹脂無端ベルトの製造方法として、芯体の表面に浸漬塗布法によってPI前駆体溶液を塗布して乾燥し、加熱反応させた後、PI樹脂皮膜を芯体から剥離する方法もある。この方法では、塗布による塗膜形成工程から、加熱反応させる皮膜形成工程まで、芯体は一貫して同じものが使用され、載せ換える工数が不要という利点を有している。
【0005】
ところが、PI樹脂の前駆体溶液は常温では非常に粘度が高く、上記浸漬塗布法で芯体上に塗布しようとすると、膜厚が所望値より厚くなりすぎる。そこで、特許文献1記載の環状体により、膜厚を制御する方法が適用できる(詳細方法は後述)。
【0006】
但し、浸漬塗布法によって塗布しようとする場合、溶液の必要量は芯体の体積以上の容積であるため、非常に多いという問題がある。
【0007】
溶液の必要量を削減するため、例えば特許文献2に開示されているような環状塗布方法を用いることができる。ここで、図10に従来の環状塗布装置の概略断面図を示す。また、図11に従来の環状塗布装置の概略平面図を示す。この環状塗布方法に適用される図10及び図11に示す環状塗布装置では、環状塗布槽120内に溶液を供給する際、環状塗布槽120に設けた供給管260から塗布溶液180を送り込む方法がとられる。ところが、例えば、塗布溶液180の粘度が1Pa・s以上のように比較的高い場合、槽内に溜まっていた塗布溶液180と供給管260から供給された供給溶液180が均一になりにくく、塗布溶液180は環状塗布槽120内に筋状に流入し(図10及び図11中、矢印)、塗膜にも筋を生じることがあった。なお、図10中、100は芯体、160は環状シール材、200は環状体、240は腕を示す。
【0008】
これは、環状塗布装置に限られず、塗布槽内に溶液を供給する場合には同様な問題であり、改善が求められていた。
【特許文献1】特開2002−91027号公報
【特許文献2】特開昭60−95546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、塗布槽内に塗布溶液が筋状に供給されるのを防止し、良好な塗膜を得ることが可能な塗布装置を提供することを目的とする。その装置を利用した無端ベルトの製造方法を提供することも目的する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
本発明の塗布装置は、
塗布溶液を芯体に塗布するための塗布槽と、
前記塗布槽の周囲を囲むように設けられ、塗布溶液を溢流させて前記塗布槽に供給する供給槽と、
前記供給槽に連結され、前記供給槽に塗布溶液を供給する供給管と、
を具備することを特徴としている。
【0011】
本発明の塗布装置では、塗布溶液を供給管から供給槽に一旦供給し、当該供給槽で溢流させることで塗布槽に供給させる。この供給槽は、塗布槽の周囲を囲むように設けられているので、供給槽から溢れた塗布溶液は塗布槽の周囲から均等に供給されることとなる。このため、例えば、塗布溶液の粘度が1Pa・s以上のように比較的高い場合でも、塗布槽内に溜まっていた塗布溶液と供給される塗布溶液とが均一になりやすく、供給される塗布溶液が塗布槽内に筋状に流入することも無くなり、良好な塗膜を得ることが可能となる。
【0012】
本発明の塗布装置において、前記供給槽には、前記供給管から供給された塗布溶液を分流させる分流板を具備することが好適である。この分流を設けることで、供給管から供給される塗布溶液の流れを供給槽内で弱めることができ、結果、供給槽全体から均等に溢れさせやすくなり、塗布溶液は塗布槽の周囲から均等に供給されることとなる。
【0013】
本発明の塗布装置において、前記塗布槽には、液を保持する共に、前記芯体の外径よりも小さい孔を持つ環状シール材を底部に具備し、前記環状シール材の孔に前記芯体を通し、前記塗布槽から前記芯体を相対的に上昇させ、前記芯体の表面に前記塗布溶液を塗布する、ことが好適である。特に、供給管を槽の側面から設けなければならない、所謂、環状塗布装置を適用することが好適である。
【0014】
本発明の塗布装置において、前記塗布槽には、前記芯体の外径よりも大きい内径の孔を有する環状体を前記塗布溶液上に浮遊状態で具備し、前記塗布溶液に接触後の前記芯体を前記環状体の前記孔に通過させて、前記芯体の表面に前記塗布溶液を塗布することが好適である。環状体により芯体に付着する余分な塗布溶液が削ぎ落とされるので、均一で良好な塗膜を得ることが可能となる。
【0015】
一方、本発明の無端ベルトの製造方法は、上記本発明の塗布装置を用いて、芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を加熱して樹脂皮膜を形成した後、樹脂皮膜を芯体から抜き取ることを特徴としている。本発明の塗布装置を用いて、皮膜形成樹脂溶液を塗布するため、良好な無端ベルトを得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、塗布槽内に塗布溶液が筋状に供給されるのを防止し、良好な塗膜を得ることが可能な塗布装置を提供することができる。また、その装置を利用した無端ベルトの製造方法を提供することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の塗布装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には全図面通して同じ符合を付与し、その説明を省略する場合がある。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略構成図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の塗布時を示す概略構成図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略平面図である。図4は、本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の塗布時を示す斜視図である。但し、図は主要部のみを示し、芯体の保持機構や昇降装置等、他の装置は省略する。
【0019】
なお、本実施形態の環状塗布装置を用いて、芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する。ここで、「芯体上に塗布」とは、芯体側面の表面、及び該表面に層を有する場合は、その層の表面に塗布することをいう。また、「芯体を上昇」とは、塗布時の液面との相対関係であり、「芯体を停止し、塗布溶液面を下降」させる場合を含む。
【0020】
本実施形態に係る塗布装置は、環状塗布槽12と、その側面の周囲を囲むように供給槽14と、が設けられている。本実施例では、筒状の槽内に、当該槽よりも小さい径を持つ筒状の堰を同心円状に設けることで、槽内を径方向で2分し、環状塗布槽12と供給槽14とを設けている。このように、一つの槽内を2分する形態でもよいが、2つの槽を別体で設ける形態でもよい。
【0021】
環状塗布槽12の底部には、芯体10の外径より若干小さい穴を有する環状シール材16を設けられており、芯体10を環状シール材16の中心に挿通させ、環状塗布槽12に塗布溶液18を収容する。これにより、塗布溶液18は漏れることがない。環状塗布槽12に満たされた塗布溶液18上には、中央に円孔22を有する環状体20を設置する。環状体20には、停止時の環状体を支えるために、腕24が取り付けられている。なお、図3及び図4中、腕24は省略してある。
【0022】
供給槽14には、その外枠面に周方向に等間隔で塗布溶液18を供給する供給管26が4つ設けられている。なお、供給槽14は、溢流したときに塗布溶液18が環状塗布槽12に流れるように、外枠の高さが内枠よりも高く構成されている。また、供給槽14の外枠と内枠との間隔は5〜20mm程度が好ましい。一方、供給管26(供給口)の数は、環状塗布槽12や供給槽14の大きさにもよるが、2〜20個程度、等間隔の位置に設けることがよい。
【0023】
供給管26からは塗布溶液18が送り込まれが、槽内に塗布溶液18を送り込む方法としては、加圧空気を利用して圧送する方法や、適宜のポンプにより圧送する方法がある。
【0024】
環状体20の材質は、溶液の溶剤によって侵されない金属やプラスチック等から選ばれる。環状体20の沈没防止のために、環状体20の外側又は環状塗布槽12には、腕24のほか、環状体20を支える足を設けても良い。
【0025】
ここで、塗布時、芯体10の外径と円孔22の内径との間隙により、塗膜28の膜厚が決まるので、円孔22の内径は、所望の膜厚により調整する。また、円孔22内径の真円度が低いと膜厚均一性が低下するので、真円度は20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることはさらに好ましい。もちろん、真円度が0μmであることが最適なのであるが、加工上は困難である。
【0026】
環状体20の内壁面は、溶液に浸る下部が広く、上部が狭い形状であれば、直線的傾斜面のほか、階段状や曲線的でもよい。真円度を高く加工するために、円孔内壁面の上部には、芯体と平行になる部分があってもよい。
【0027】
本実施形態に係る塗布装置では、塗布時には図2に示すように、芯体10の下に他の芯体10A(これはベルトを作製しない中間体であってもよい)をつなぎ、環状塗布槽12の下部から上部に押し上げて、芯体10の表面に塗膜28を形成する。その際、環状体20は塗布溶液18の摩擦抵抗によって持ち上げられ、塗膜28の膜厚は、環状体20の円孔22と芯体10との隙間によって一定値に規制される。これにより、均一な塗膜28が得られる。
【0028】
ここで、塗布する際の芯体10の引き上げ速度は、0.1〜1.5m/min程度が好ましい。芯体10を引き上げると、環状体20は浮遊状態で設置されているので、塗布溶液18の粘性による摩擦抵抗により持ち上げられる。環状体20は自由移動可能なので、芯体10と環状体20との摩擦抵抗が周方向で一定になるように、すなわち間隙が均一になるように環状体20は動き、芯体10上には均一な膜厚の塗膜28が形成される。このように、環状体20により膜厚を規制するので、膜厚を均一にして高粘度の溶液を塗布することができる。
【0029】
そして、環状塗布槽12への塗布溶液18の供給は、供給管26から供給された塗布溶液18を一旦供給槽14へ貯めた後、溢流させて行う。この供給槽14は環状塗布槽12の周囲を囲むように設けられているので、供給槽14から溢れた塗布溶液は環状塗布槽12の周囲から均等に供給される。このため、例えば、塗布溶液18の粘度が1Pa・s以上のように比較的高い場合でも、環状塗布槽12内に溜まっていた塗布溶液18と供給される塗布溶液とが均一になりやすく、供給される塗布溶液18が環状塗布槽12内に筋状に流入することも無くなり、良好な塗膜を得ることが可能となる。
【0030】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略構成図である。図6は、本発明の第2実施形態に係る環状塗布装置の塗布時を示す斜視図である。但し、図は主要部のみを示し、芯体の保持機構や昇降装置等、他の装置は省略する。
【0031】
本実施形態に係る環状塗布装置は、供給管26から供給される塗布溶液18を分流穴30Aを通過させることで分流する分流板30が供給槽14に配設されている。
【0032】
分流板30は、供給槽14を上下に2分するように配置され、供給された塗布溶液18を塗布溶液18を分流するための分流穴30Aが複数設けられている。また、分流板30の配置位置は、供給槽14の内枠高さの中間程度がよい。
【0033】
この分流穴30Aは、供給管26(供給口)の数よりも多く設けることがより細かく分流する観点からよい。また、分流穴30Aの大きさや数は、塗布溶液の通過を妨げない適宜のものとするが、数は多いほど好ましい。
【0034】
なお、分流板30は、1つに限られず、図7に示すように、2つ設けた形態であってもよい。この形態の場合、2つの分流板30のうち、下方の分流板30に設ける分流穴30Aの数は、供給口の数よりも多く、上方の分流板30の分流穴30Aの数より少ないことがよい。また、2つの分流板30の配置位置は、供給槽14の内枠の高さを3分の1程度ずつ区切るような高さが好ましい。なお、分流板30は、塗布溶液の通過を妨げない程度で、3つ以上設けることもできる。
【0035】
これ以外の構成は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0036】
本実施形態に係る環状塗布装置では、供給槽14を上下に分ける分流板30を設け、当該分流板30の分流穴30Aにより、供給された塗布溶液18を分流するので、供給管から供給される塗布溶液の流れは供給槽14内で弱められ、供給槽14の周方向全体から均等に溢れさせやすくなり、塗布溶液18は塗布槽の周囲から均等に供給されることとなる。
【0037】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略構成図である。図9は、本発明の第3実施形態に係る環状塗布装置の停止時示す概略平面図である。但し、図は主要部のみを示し、芯体の保持機構や昇降装置等、他の装置は省略する。
【0038】
本実施形態に係る環状塗布装置は、第2実施形態において、各供給管26から供給される塗布溶液18を周方向に分流する第2分流板32が配設されている。この第2分流板32は分流板30の下方で且つ分流板30と垂直になるように設けられている。また、各供給管26ごとに、第2分流板32は一方の周方向の分流した塗布溶液18が供給槽14内側へ、他方の周方向に分流した塗布溶液18が供給槽14の外側へ流れるように配置されている(図9中、点線は塗布溶液18の流れを示す。)。なお、分流板30の分流穴30Aは、第2分流板32により供給槽14の内外側に分流された塗布溶液18をそれぞれ流入させるように、2列に設けられている。
【0039】
これ以外は、第2実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0040】
本実施形態に係る環状塗布装置では、供給管26から供給された塗布溶液18は、まず、第2分流板32により周方向に分流され、そして、周方向に分流された塗布溶液18は、分流板30の分流穴30Aを通過した後、隣同士の供給管26から供給される塗布溶液18と重ね合わせて溢流されることとなる。このため、第2実施形態に比べ、より効果的に、供給管から供給される塗布溶液の流れは供給槽14内で弱められ、供給槽14の周方向全体から均等に溢れさせやすくなり、塗布溶液18は塗布槽の周囲から均等に供給されることとなる。
【0041】
上記1〜3実施形態では、塗布装置として環状塗布装置を適用した形態を説明したが、これに限られず、浸漬塗布装置にも適用することが可能である。なお、環状塗布装置では、環状塗布槽7は浸漬塗布の槽よりも小さくできるので、溶液の必要量が少なくて済む利点がある。
【0042】
以下、上記第1〜3実施形態に係る環状塗布装置を適用した本発明の無端ベルトの製造方法について説明する。
【0043】
本発明の無端ベルトの製造方法は、芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、該塗膜を加熱して樹脂皮膜を形成する皮膜形成工程と、樹脂皮膜を芯体から抜き取って無端ベルトを得る抜き取り工程と、を有する。
【0044】
まず、芯体について説明する。芯体は、アルミニウムやステンレス、ニッケル、銅等の金属円筒が好ましい。芯体の長さは、端部に生じる無効領域に対する余裕幅を確保するため、目的とする無端ベルトの長さより、10〜40%程度長いことが望ましい。芯体の外径は、無端ベルトの直径に合わせ、肉厚は芯体としての強度が保てる厚さにする。
【0045】
芯体の両端には、芯体を保持する保持板を取り付けてもよい。保持板は、ねじで固定しても良いし、芯体と溶接してもよい。保持板には、必要に応じて、円形や扇形など任意形状である通風孔や、中央に心棒を通す穴、又は軸があってもよい。また、吊り下げや載置のための部品を取り付けてもよい。
【0046】
形成される皮膜が芯体表面に接着するのを防ぐため、芯体表面をフッ素樹脂やシリコーン樹脂で被覆したり、表面に離型剤を塗布する方法がある。
【0047】
皮膜形成樹脂の種類によっては、加熱時に溶剤の揮発物や、反応時に発生する気体があり、加熱後の樹脂皮膜は、その気体のために、部分的に膨れを生じることがある。これは特に、PI樹脂皮膜において膜厚が50μmを越えるような場合に顕著である。
【0048】
上記膨れを防止するために、特開2002−160239号公報開示の如く、芯体表面はRa0.2〜2μm程度に粗面化することが好ましい。粗面化の方法には、ブラスト、切削、サンドペーパーがけ等の方法がある。これにより、PI樹脂から生じる気体は、芯体とPI樹脂皮膜の間に形成されるわずかな隙間を通って外部に出ることができ、膨れを生じない。
【0049】
次に、皮膜形成樹脂溶液について説明する。皮膜形成樹脂溶液は、強度などの観点から、PI前駆体、又はPAI樹脂などを溶液化(塗液化)したものが好適に挙げられる。PI前駆体又はPAI樹脂としては、種々の公知のものを用いることができる。それらの溶剤は、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、等の非プロトン系極性溶剤であり、常温での揮発性は低い。なお、溶液の濃度、粘度等は、適宜選択されるが、好ましい溶液の固形分濃度は10〜40質量%、粘度は1〜100Pa・sである。
【0050】
次に、塗膜形成工程について説明する。塗膜形成工程では、上記第1〜3実施形態に係る環状塗布装置を用いて、塗布溶液として皮膜形成樹脂溶液を芯体表面に塗布する。
【0051】
次に、皮膜形成工程について説明する。皮膜形成工程では、皮膜形成樹脂溶液を芯体表面塗布した後、芯体を加熱乾燥装置に入れ、溶剤の乾燥を行う。乾燥時に塗膜が垂れる場合には、芯体を水平にして、回転させながら乾燥すると良い。回転速度は1〜60rpm程度が好ましい。
【0052】
加熱条件は、90〜170℃の温度で20〜60分間が好ましい。その際、温度が高いほど加熱時間は短くてよく、温度は、段階的、又は一定速度で上昇させてもよい。
【0053】
溶液がPAI樹脂溶液である場合には、溶剤の乾燥だけで皮膜を得ることができる。
【0054】
溶液がPI前駆体溶液の場合、塗膜から溶剤を除去しすぎると、皮膜はまだ強度を保持していないので、割れを生じやすい。そこで、ある程度(PI前駆体皮膜中に15〜45質量%)、溶剤を残留させておくのがよい。
【0055】
その後、250〜450℃、好ましくは300〜350℃前後で、20〜60分間、PI前駆体皮膜を加熱して縮合反応させることで、PI樹脂が形成される。その際、温度を段階的に上昇させてもよい。この工程では、皮膜は固定されているので、芯体の向きはどちらでもよいし、加熱中の回転もしなくてよい。
【0056】
次に、抜き取り工程について説明する。抜き取り工程では、皮膜形成後、冷却し、形成された皮膜を芯体から剥離して無端ベルトを得る。無端ベルトには、さらに必要に応じて、穴あけ加工やリブ付け加工、等が施されることがある。
【0057】
このようにして、無端ベルトを製造することができる。得られた無端ベルトを転写ベルトとして使用する場合には、樹脂溶液の中に必要に応じて導電性物質を分散させる。導電性物質としては、例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素系物質、銅、銀、アルミニウム等の金属又は合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、SnO2−In2O3複合酸化物等の導電性金属酸化物、等が挙げられる。なお、これらの用途に好ましい無端ベルトの膜厚は30〜150μm程度である。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0059】
(実施例1)
PI前駆体溶液(商品名:UワニスA、宇部興産製、濃度18質量%)に、カーボンブラック(商品名:スペシャルブラック4、デグザヒュルス社製)を固形分質量比で30%混合し、次いで対向衝突型分散機により分散した。更に、シリコーンレベリング剤(商品名:DC3PA、ダウコーニングトーレシリコーン社製)を、濃度が500ppmになるよう添加し、塗布溶液とした。
【0060】
別途、外径366mm、肉厚10mm、長さ450mmのアルミニウム製円筒を用意し、球形アルミナ粒子によるブラスト処理により、表面をRa1.0μmに粗面化した。該円筒の真円度は20μm以下であった。
【0061】
円筒の表面には、シリコーン系離型剤(商品名:セパコート、信越化学製)を塗布し、芯体とした。
【0062】
上記第1実施形態と同様な構成の環状塗布装置を用いて塗布を行った(図1〜4参照)。ここで、本環状塗布装置は次のようにして作製した。まず、内径500mm、内高80mmの槽の底面に内径386mmの穴をあけ、底面の裏面には、内径362mmの穴を有する厚さ0.5mmの硬質ポリエチレン製の環状シール材を取り付けた。槽の側面には、下から20mmの位置に、内径9mmのフッ素樹脂チューブから供給管を、周方向60°間隔で6箇所設置した。また、槽の内側には、内径472mm、厚さ0.5mm、高さ50mmの筒状の堰を設けて、槽の径方向に2分して、供給槽と塗布槽を設けた。
【0063】
また、環状体として、外径420mm、円孔の最小部の内径367.1mm、高さ50mmのアルミニウム製のものを作製した。内壁は直線傾斜状であり、鉛直線との傾斜角は7°とした。上端には芯体と平行になる部分を2mm形成したが、その内径の真円度は8μmであった。
【0064】
まず、このような本環状塗布装置の中央に芯体を通し、環状体を配置した後、加圧容器(図示せず)から0.5MPaのエアの圧力で、供給槽に塗布溶液を注入した。流量は約100ml/分であり、塗布溶液は、まず、供給槽に満たされ、次いで供給槽から溢流して環状塗布槽に供給され満された。その後、塗布溶液の高さが供給槽の内枠と同じ高さになった時点で、溶液の注入を停止した。
【0065】
次いで、芯体の下に他の芯体を配置し、0.8m/分で押し上げて塗布を行った。その際、環状体は約20mm持ち上げられた。これにより、芯体の上には、濡れ膜厚が約500μmのPI前駆体塗膜が形成された。
【0066】
塗布後、芯体の中央に20mmφのステンレス製シャフトを通し、回転台に載せて水平にし、6rpmで回転させながら、80℃で20分間、130℃で30分間、加熱してPI前駆体塗膜を乾燥させた。これにより、厚さ約150μmのPI前駆体皮膜を得た。
【0067】
次いで、芯体を垂直にし、シャフトを外して台に載せ、加熱装置に入れて200℃で30分、320℃で30分加熱反応させ、PI樹脂皮膜を形成した。
【0068】
室温に冷えた後、芯体と皮膜の間にエアを吹き込みながら、芯体から皮膜を抜き取り、無端ベルトを得た。無端ベルトの膜厚は75±2μmで、むらは小さかった。該無端ベルトは両端から約35mmずつ切断し、長さ360mmの無端ベルトを得た。得られた無端ベルトは、100Vにおいて体積抵抗率を測定すると、約1010Ωcmの半導電性を有しており、電子写真用転写ベルトとして使用することができた。
【0069】
上記塗布において、溶液の減少分だけ再び塗布溶液を注入して、その次の塗布を行えば、常に一定の量で塗布を継続することができる。
【0070】
(比較例1)
実施例1において、槽に筒状の堰を設けず、環状塗布槽に直接供給管から塗布溶液が供給される構成と以外は実施例1と同様にして環状塗布装置を作製した(図10、図11参照)。本環状塗布装置における環状塗布槽にPI前駆体溶液を直接注入したところ、溶液は筋を引きながら満ちていった(図10、図11参照)。
【0071】
そして、実施例1と同じ液量になった時点で注入を停止し、他は同様にして塗布を行ったところ、塗膜には、溶液の筋に該当する筋模様が見られた。
【0072】
作製された無端ベルトの膜厚は、筋の部分で6μm程度薄くなっており、不均一であった。また、その箇所で体積抵抗率も変化しており、電子写真用転写ベルトとして使用した場合、画像濃度に筋状のむらを生じていた。
【0073】
(実施例2)
上記第2実施形態と同様な構成の環状塗布装置を用いて塗布を行った(図5〜図6参照)。ここで、本環状塗布装置は次のようにして作製した。実施例1において、さらに、供給槽を上下に2分するように、幅14mmの分流板を底部から25mmの高さに取り付けた。分流板には、内径5mmの流入穴を24個あけてある。これにより、6箇所の供給管(供給口)から供給される溶液は、流入穴を通過することで24分割されて分流板から流出し、次いで供給槽から溢流することになる。
【0074】
このようにして、他は実施例1と同様にして塗布を行った。得られた無端ベルトの膜厚を詳しく測定すると、75±1μmで、むらは実施例1の結果よりもさらに小さくなっていた。
【0075】
(実施例3)
上記第3実施形態と同様な構成の環状塗布装置を用いて塗布を行った(図8〜図9参照)。ここで、本環状塗布装置は次のようにして作製した。実施例1において、さらに、供給槽を上下に2分するように、幅14mmの分流板を底部から30mmの高さに取り付けた。そして、各供給管から供給される分流板の下方で且つ分流板と垂直なるように第2分流板を取り付けた。分流板には、内径4mmの流入穴を1列24個、合計で48個設けてある。
【0076】
このようにして、他は実施例1と同様にして塗布を行った。得られた無端ベルトの膜厚を詳しく測定すると、75±0.5μmで、むらは実質的にほとんどないという結果であった。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の塗布時を示す概略構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の塗布時を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略構成図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る環状塗布装置の塗布時を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る環状塗布装置の他の一例の停止時を示す概略構成図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略構成図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る環状塗布装置の停止時示す概略平面図である。
【図10】従来の環状塗布装置の概略断面図を示す。
【図11】従来の環状塗布装置の概略平面図を示す。
【符号の説明】
【0078】
10 芯体
12 環状塗布槽
14 供給槽
16 環状シール材
18 塗布溶液
20 環状体
22 円孔
24 腕
26 供給管
28 塗膜
30 分流板
30A 分流穴
32 第2分流板
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯体上にむらなく均一に溶液を塗布する塗布装置、及びその装置を用いて無端ベルトを製造する方法に関する。該無端ベルトは、特に複写機、プリンター等の電子写真方式を利用した画像形成装置に好ましく用いられる。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、感光体、帯電体、転写体、及び定着体等の小型/高性能化のために、肉厚が薄いプラスチック製フィルムからなるベルトが用いられる場合がある。その場合、ベルトに継ぎ目(シーム)があると、出力画像に継ぎ目の跡が生じるので、継ぎ目がない無端ベルトが好ましい。材料としては、強度や寸法安定性、耐熱性等の面でポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂が好ましい。(適宜、ポリイミドはPI、ポリアミドイミドはPAIと略す)
【0003】
PI樹脂で無端ベルトを作製するには、円筒体の内面にPI前駆体溶液を塗布し、回転しながら成膜する遠心成形法や、円筒体内面にPI前駆体溶液を展開する内面塗布法が知られているが、これらの方法では、PI前駆体の加熱の際に、皮膜を円筒体から抜いて加熱用芯体に載せ換える必要があり、工数がかかる短所がある。
【0004】
他のPI樹脂無端ベルトの製造方法として、芯体の表面に浸漬塗布法によってPI前駆体溶液を塗布して乾燥し、加熱反応させた後、PI樹脂皮膜を芯体から剥離する方法もある。この方法では、塗布による塗膜形成工程から、加熱反応させる皮膜形成工程まで、芯体は一貫して同じものが使用され、載せ換える工数が不要という利点を有している。
【0005】
ところが、PI樹脂の前駆体溶液は常温では非常に粘度が高く、上記浸漬塗布法で芯体上に塗布しようとすると、膜厚が所望値より厚くなりすぎる。そこで、特許文献1記載の環状体により、膜厚を制御する方法が適用できる(詳細方法は後述)。
【0006】
但し、浸漬塗布法によって塗布しようとする場合、溶液の必要量は芯体の体積以上の容積であるため、非常に多いという問題がある。
【0007】
溶液の必要量を削減するため、例えば特許文献2に開示されているような環状塗布方法を用いることができる。ここで、図10に従来の環状塗布装置の概略断面図を示す。また、図11に従来の環状塗布装置の概略平面図を示す。この環状塗布方法に適用される図10及び図11に示す環状塗布装置では、環状塗布槽120内に溶液を供給する際、環状塗布槽120に設けた供給管260から塗布溶液180を送り込む方法がとられる。ところが、例えば、塗布溶液180の粘度が1Pa・s以上のように比較的高い場合、槽内に溜まっていた塗布溶液180と供給管260から供給された供給溶液180が均一になりにくく、塗布溶液180は環状塗布槽120内に筋状に流入し(図10及び図11中、矢印)、塗膜にも筋を生じることがあった。なお、図10中、100は芯体、160は環状シール材、200は環状体、240は腕を示す。
【0008】
これは、環状塗布装置に限られず、塗布槽内に溶液を供給する場合には同様な問題であり、改善が求められていた。
【特許文献1】特開2002−91027号公報
【特許文献2】特開昭60−95546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、塗布槽内に塗布溶液が筋状に供給されるのを防止し、良好な塗膜を得ることが可能な塗布装置を提供することを目的とする。その装置を利用した無端ベルトの製造方法を提供することも目的する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
本発明の塗布装置は、
塗布溶液を芯体に塗布するための塗布槽と、
前記塗布槽の周囲を囲むように設けられ、塗布溶液を溢流させて前記塗布槽に供給する供給槽と、
前記供給槽に連結され、前記供給槽に塗布溶液を供給する供給管と、
を具備することを特徴としている。
【0011】
本発明の塗布装置では、塗布溶液を供給管から供給槽に一旦供給し、当該供給槽で溢流させることで塗布槽に供給させる。この供給槽は、塗布槽の周囲を囲むように設けられているので、供給槽から溢れた塗布溶液は塗布槽の周囲から均等に供給されることとなる。このため、例えば、塗布溶液の粘度が1Pa・s以上のように比較的高い場合でも、塗布槽内に溜まっていた塗布溶液と供給される塗布溶液とが均一になりやすく、供給される塗布溶液が塗布槽内に筋状に流入することも無くなり、良好な塗膜を得ることが可能となる。
【0012】
本発明の塗布装置において、前記供給槽には、前記供給管から供給された塗布溶液を分流させる分流板を具備することが好適である。この分流を設けることで、供給管から供給される塗布溶液の流れを供給槽内で弱めることができ、結果、供給槽全体から均等に溢れさせやすくなり、塗布溶液は塗布槽の周囲から均等に供給されることとなる。
【0013】
本発明の塗布装置において、前記塗布槽には、液を保持する共に、前記芯体の外径よりも小さい孔を持つ環状シール材を底部に具備し、前記環状シール材の孔に前記芯体を通し、前記塗布槽から前記芯体を相対的に上昇させ、前記芯体の表面に前記塗布溶液を塗布する、ことが好適である。特に、供給管を槽の側面から設けなければならない、所謂、環状塗布装置を適用することが好適である。
【0014】
本発明の塗布装置において、前記塗布槽には、前記芯体の外径よりも大きい内径の孔を有する環状体を前記塗布溶液上に浮遊状態で具備し、前記塗布溶液に接触後の前記芯体を前記環状体の前記孔に通過させて、前記芯体の表面に前記塗布溶液を塗布することが好適である。環状体により芯体に付着する余分な塗布溶液が削ぎ落とされるので、均一で良好な塗膜を得ることが可能となる。
【0015】
一方、本発明の無端ベルトの製造方法は、上記本発明の塗布装置を用いて、芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を加熱して樹脂皮膜を形成した後、樹脂皮膜を芯体から抜き取ることを特徴としている。本発明の塗布装置を用いて、皮膜形成樹脂溶液を塗布するため、良好な無端ベルトを得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、塗布槽内に塗布溶液が筋状に供給されるのを防止し、良好な塗膜を得ることが可能な塗布装置を提供することができる。また、その装置を利用した無端ベルトの製造方法を提供することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の塗布装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には全図面通して同じ符合を付与し、その説明を省略する場合がある。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略構成図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の塗布時を示す概略構成図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略平面図である。図4は、本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の塗布時を示す斜視図である。但し、図は主要部のみを示し、芯体の保持機構や昇降装置等、他の装置は省略する。
【0019】
なお、本実施形態の環状塗布装置を用いて、芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する。ここで、「芯体上に塗布」とは、芯体側面の表面、及び該表面に層を有する場合は、その層の表面に塗布することをいう。また、「芯体を上昇」とは、塗布時の液面との相対関係であり、「芯体を停止し、塗布溶液面を下降」させる場合を含む。
【0020】
本実施形態に係る塗布装置は、環状塗布槽12と、その側面の周囲を囲むように供給槽14と、が設けられている。本実施例では、筒状の槽内に、当該槽よりも小さい径を持つ筒状の堰を同心円状に設けることで、槽内を径方向で2分し、環状塗布槽12と供給槽14とを設けている。このように、一つの槽内を2分する形態でもよいが、2つの槽を別体で設ける形態でもよい。
【0021】
環状塗布槽12の底部には、芯体10の外径より若干小さい穴を有する環状シール材16を設けられており、芯体10を環状シール材16の中心に挿通させ、環状塗布槽12に塗布溶液18を収容する。これにより、塗布溶液18は漏れることがない。環状塗布槽12に満たされた塗布溶液18上には、中央に円孔22を有する環状体20を設置する。環状体20には、停止時の環状体を支えるために、腕24が取り付けられている。なお、図3及び図4中、腕24は省略してある。
【0022】
供給槽14には、その外枠面に周方向に等間隔で塗布溶液18を供給する供給管26が4つ設けられている。なお、供給槽14は、溢流したときに塗布溶液18が環状塗布槽12に流れるように、外枠の高さが内枠よりも高く構成されている。また、供給槽14の外枠と内枠との間隔は5〜20mm程度が好ましい。一方、供給管26(供給口)の数は、環状塗布槽12や供給槽14の大きさにもよるが、2〜20個程度、等間隔の位置に設けることがよい。
【0023】
供給管26からは塗布溶液18が送り込まれが、槽内に塗布溶液18を送り込む方法としては、加圧空気を利用して圧送する方法や、適宜のポンプにより圧送する方法がある。
【0024】
環状体20の材質は、溶液の溶剤によって侵されない金属やプラスチック等から選ばれる。環状体20の沈没防止のために、環状体20の外側又は環状塗布槽12には、腕24のほか、環状体20を支える足を設けても良い。
【0025】
ここで、塗布時、芯体10の外径と円孔22の内径との間隙により、塗膜28の膜厚が決まるので、円孔22の内径は、所望の膜厚により調整する。また、円孔22内径の真円度が低いと膜厚均一性が低下するので、真円度は20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることはさらに好ましい。もちろん、真円度が0μmであることが最適なのであるが、加工上は困難である。
【0026】
環状体20の内壁面は、溶液に浸る下部が広く、上部が狭い形状であれば、直線的傾斜面のほか、階段状や曲線的でもよい。真円度を高く加工するために、円孔内壁面の上部には、芯体と平行になる部分があってもよい。
【0027】
本実施形態に係る塗布装置では、塗布時には図2に示すように、芯体10の下に他の芯体10A(これはベルトを作製しない中間体であってもよい)をつなぎ、環状塗布槽12の下部から上部に押し上げて、芯体10の表面に塗膜28を形成する。その際、環状体20は塗布溶液18の摩擦抵抗によって持ち上げられ、塗膜28の膜厚は、環状体20の円孔22と芯体10との隙間によって一定値に規制される。これにより、均一な塗膜28が得られる。
【0028】
ここで、塗布する際の芯体10の引き上げ速度は、0.1〜1.5m/min程度が好ましい。芯体10を引き上げると、環状体20は浮遊状態で設置されているので、塗布溶液18の粘性による摩擦抵抗により持ち上げられる。環状体20は自由移動可能なので、芯体10と環状体20との摩擦抵抗が周方向で一定になるように、すなわち間隙が均一になるように環状体20は動き、芯体10上には均一な膜厚の塗膜28が形成される。このように、環状体20により膜厚を規制するので、膜厚を均一にして高粘度の溶液を塗布することができる。
【0029】
そして、環状塗布槽12への塗布溶液18の供給は、供給管26から供給された塗布溶液18を一旦供給槽14へ貯めた後、溢流させて行う。この供給槽14は環状塗布槽12の周囲を囲むように設けられているので、供給槽14から溢れた塗布溶液は環状塗布槽12の周囲から均等に供給される。このため、例えば、塗布溶液18の粘度が1Pa・s以上のように比較的高い場合でも、環状塗布槽12内に溜まっていた塗布溶液18と供給される塗布溶液とが均一になりやすく、供給される塗布溶液18が環状塗布槽12内に筋状に流入することも無くなり、良好な塗膜を得ることが可能となる。
【0030】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略構成図である。図6は、本発明の第2実施形態に係る環状塗布装置の塗布時を示す斜視図である。但し、図は主要部のみを示し、芯体の保持機構や昇降装置等、他の装置は省略する。
【0031】
本実施形態に係る環状塗布装置は、供給管26から供給される塗布溶液18を分流穴30Aを通過させることで分流する分流板30が供給槽14に配設されている。
【0032】
分流板30は、供給槽14を上下に2分するように配置され、供給された塗布溶液18を塗布溶液18を分流するための分流穴30Aが複数設けられている。また、分流板30の配置位置は、供給槽14の内枠高さの中間程度がよい。
【0033】
この分流穴30Aは、供給管26(供給口)の数よりも多く設けることがより細かく分流する観点からよい。また、分流穴30Aの大きさや数は、塗布溶液の通過を妨げない適宜のものとするが、数は多いほど好ましい。
【0034】
なお、分流板30は、1つに限られず、図7に示すように、2つ設けた形態であってもよい。この形態の場合、2つの分流板30のうち、下方の分流板30に設ける分流穴30Aの数は、供給口の数よりも多く、上方の分流板30の分流穴30Aの数より少ないことがよい。また、2つの分流板30の配置位置は、供給槽14の内枠の高さを3分の1程度ずつ区切るような高さが好ましい。なお、分流板30は、塗布溶液の通過を妨げない程度で、3つ以上設けることもできる。
【0035】
これ以外の構成は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0036】
本実施形態に係る環状塗布装置では、供給槽14を上下に分ける分流板30を設け、当該分流板30の分流穴30Aにより、供給された塗布溶液18を分流するので、供給管から供給される塗布溶液の流れは供給槽14内で弱められ、供給槽14の周方向全体から均等に溢れさせやすくなり、塗布溶液18は塗布槽の周囲から均等に供給されることとなる。
【0037】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略構成図である。図9は、本発明の第3実施形態に係る環状塗布装置の停止時示す概略平面図である。但し、図は主要部のみを示し、芯体の保持機構や昇降装置等、他の装置は省略する。
【0038】
本実施形態に係る環状塗布装置は、第2実施形態において、各供給管26から供給される塗布溶液18を周方向に分流する第2分流板32が配設されている。この第2分流板32は分流板30の下方で且つ分流板30と垂直になるように設けられている。また、各供給管26ごとに、第2分流板32は一方の周方向の分流した塗布溶液18が供給槽14内側へ、他方の周方向に分流した塗布溶液18が供給槽14の外側へ流れるように配置されている(図9中、点線は塗布溶液18の流れを示す。)。なお、分流板30の分流穴30Aは、第2分流板32により供給槽14の内外側に分流された塗布溶液18をそれぞれ流入させるように、2列に設けられている。
【0039】
これ以外は、第2実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0040】
本実施形態に係る環状塗布装置では、供給管26から供給された塗布溶液18は、まず、第2分流板32により周方向に分流され、そして、周方向に分流された塗布溶液18は、分流板30の分流穴30Aを通過した後、隣同士の供給管26から供給される塗布溶液18と重ね合わせて溢流されることとなる。このため、第2実施形態に比べ、より効果的に、供給管から供給される塗布溶液の流れは供給槽14内で弱められ、供給槽14の周方向全体から均等に溢れさせやすくなり、塗布溶液18は塗布槽の周囲から均等に供給されることとなる。
【0041】
上記1〜3実施形態では、塗布装置として環状塗布装置を適用した形態を説明したが、これに限られず、浸漬塗布装置にも適用することが可能である。なお、環状塗布装置では、環状塗布槽7は浸漬塗布の槽よりも小さくできるので、溶液の必要量が少なくて済む利点がある。
【0042】
以下、上記第1〜3実施形態に係る環状塗布装置を適用した本発明の無端ベルトの製造方法について説明する。
【0043】
本発明の無端ベルトの製造方法は、芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、該塗膜を加熱して樹脂皮膜を形成する皮膜形成工程と、樹脂皮膜を芯体から抜き取って無端ベルトを得る抜き取り工程と、を有する。
【0044】
まず、芯体について説明する。芯体は、アルミニウムやステンレス、ニッケル、銅等の金属円筒が好ましい。芯体の長さは、端部に生じる無効領域に対する余裕幅を確保するため、目的とする無端ベルトの長さより、10〜40%程度長いことが望ましい。芯体の外径は、無端ベルトの直径に合わせ、肉厚は芯体としての強度が保てる厚さにする。
【0045】
芯体の両端には、芯体を保持する保持板を取り付けてもよい。保持板は、ねじで固定しても良いし、芯体と溶接してもよい。保持板には、必要に応じて、円形や扇形など任意形状である通風孔や、中央に心棒を通す穴、又は軸があってもよい。また、吊り下げや載置のための部品を取り付けてもよい。
【0046】
形成される皮膜が芯体表面に接着するのを防ぐため、芯体表面をフッ素樹脂やシリコーン樹脂で被覆したり、表面に離型剤を塗布する方法がある。
【0047】
皮膜形成樹脂の種類によっては、加熱時に溶剤の揮発物や、反応時に発生する気体があり、加熱後の樹脂皮膜は、その気体のために、部分的に膨れを生じることがある。これは特に、PI樹脂皮膜において膜厚が50μmを越えるような場合に顕著である。
【0048】
上記膨れを防止するために、特開2002−160239号公報開示の如く、芯体表面はRa0.2〜2μm程度に粗面化することが好ましい。粗面化の方法には、ブラスト、切削、サンドペーパーがけ等の方法がある。これにより、PI樹脂から生じる気体は、芯体とPI樹脂皮膜の間に形成されるわずかな隙間を通って外部に出ることができ、膨れを生じない。
【0049】
次に、皮膜形成樹脂溶液について説明する。皮膜形成樹脂溶液は、強度などの観点から、PI前駆体、又はPAI樹脂などを溶液化(塗液化)したものが好適に挙げられる。PI前駆体又はPAI樹脂としては、種々の公知のものを用いることができる。それらの溶剤は、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、等の非プロトン系極性溶剤であり、常温での揮発性は低い。なお、溶液の濃度、粘度等は、適宜選択されるが、好ましい溶液の固形分濃度は10〜40質量%、粘度は1〜100Pa・sである。
【0050】
次に、塗膜形成工程について説明する。塗膜形成工程では、上記第1〜3実施形態に係る環状塗布装置を用いて、塗布溶液として皮膜形成樹脂溶液を芯体表面に塗布する。
【0051】
次に、皮膜形成工程について説明する。皮膜形成工程では、皮膜形成樹脂溶液を芯体表面塗布した後、芯体を加熱乾燥装置に入れ、溶剤の乾燥を行う。乾燥時に塗膜が垂れる場合には、芯体を水平にして、回転させながら乾燥すると良い。回転速度は1〜60rpm程度が好ましい。
【0052】
加熱条件は、90〜170℃の温度で20〜60分間が好ましい。その際、温度が高いほど加熱時間は短くてよく、温度は、段階的、又は一定速度で上昇させてもよい。
【0053】
溶液がPAI樹脂溶液である場合には、溶剤の乾燥だけで皮膜を得ることができる。
【0054】
溶液がPI前駆体溶液の場合、塗膜から溶剤を除去しすぎると、皮膜はまだ強度を保持していないので、割れを生じやすい。そこで、ある程度(PI前駆体皮膜中に15〜45質量%)、溶剤を残留させておくのがよい。
【0055】
その後、250〜450℃、好ましくは300〜350℃前後で、20〜60分間、PI前駆体皮膜を加熱して縮合反応させることで、PI樹脂が形成される。その際、温度を段階的に上昇させてもよい。この工程では、皮膜は固定されているので、芯体の向きはどちらでもよいし、加熱中の回転もしなくてよい。
【0056】
次に、抜き取り工程について説明する。抜き取り工程では、皮膜形成後、冷却し、形成された皮膜を芯体から剥離して無端ベルトを得る。無端ベルトには、さらに必要に応じて、穴あけ加工やリブ付け加工、等が施されることがある。
【0057】
このようにして、無端ベルトを製造することができる。得られた無端ベルトを転写ベルトとして使用する場合には、樹脂溶液の中に必要に応じて導電性物質を分散させる。導電性物質としては、例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素系物質、銅、銀、アルミニウム等の金属又は合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、SnO2−In2O3複合酸化物等の導電性金属酸化物、等が挙げられる。なお、これらの用途に好ましい無端ベルトの膜厚は30〜150μm程度である。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0059】
(実施例1)
PI前駆体溶液(商品名:UワニスA、宇部興産製、濃度18質量%)に、カーボンブラック(商品名:スペシャルブラック4、デグザヒュルス社製)を固形分質量比で30%混合し、次いで対向衝突型分散機により分散した。更に、シリコーンレベリング剤(商品名:DC3PA、ダウコーニングトーレシリコーン社製)を、濃度が500ppmになるよう添加し、塗布溶液とした。
【0060】
別途、外径366mm、肉厚10mm、長さ450mmのアルミニウム製円筒を用意し、球形アルミナ粒子によるブラスト処理により、表面をRa1.0μmに粗面化した。該円筒の真円度は20μm以下であった。
【0061】
円筒の表面には、シリコーン系離型剤(商品名:セパコート、信越化学製)を塗布し、芯体とした。
【0062】
上記第1実施形態と同様な構成の環状塗布装置を用いて塗布を行った(図1〜4参照)。ここで、本環状塗布装置は次のようにして作製した。まず、内径500mm、内高80mmの槽の底面に内径386mmの穴をあけ、底面の裏面には、内径362mmの穴を有する厚さ0.5mmの硬質ポリエチレン製の環状シール材を取り付けた。槽の側面には、下から20mmの位置に、内径9mmのフッ素樹脂チューブから供給管を、周方向60°間隔で6箇所設置した。また、槽の内側には、内径472mm、厚さ0.5mm、高さ50mmの筒状の堰を設けて、槽の径方向に2分して、供給槽と塗布槽を設けた。
【0063】
また、環状体として、外径420mm、円孔の最小部の内径367.1mm、高さ50mmのアルミニウム製のものを作製した。内壁は直線傾斜状であり、鉛直線との傾斜角は7°とした。上端には芯体と平行になる部分を2mm形成したが、その内径の真円度は8μmであった。
【0064】
まず、このような本環状塗布装置の中央に芯体を通し、環状体を配置した後、加圧容器(図示せず)から0.5MPaのエアの圧力で、供給槽に塗布溶液を注入した。流量は約100ml/分であり、塗布溶液は、まず、供給槽に満たされ、次いで供給槽から溢流して環状塗布槽に供給され満された。その後、塗布溶液の高さが供給槽の内枠と同じ高さになった時点で、溶液の注入を停止した。
【0065】
次いで、芯体の下に他の芯体を配置し、0.8m/分で押し上げて塗布を行った。その際、環状体は約20mm持ち上げられた。これにより、芯体の上には、濡れ膜厚が約500μmのPI前駆体塗膜が形成された。
【0066】
塗布後、芯体の中央に20mmφのステンレス製シャフトを通し、回転台に載せて水平にし、6rpmで回転させながら、80℃で20分間、130℃で30分間、加熱してPI前駆体塗膜を乾燥させた。これにより、厚さ約150μmのPI前駆体皮膜を得た。
【0067】
次いで、芯体を垂直にし、シャフトを外して台に載せ、加熱装置に入れて200℃で30分、320℃で30分加熱反応させ、PI樹脂皮膜を形成した。
【0068】
室温に冷えた後、芯体と皮膜の間にエアを吹き込みながら、芯体から皮膜を抜き取り、無端ベルトを得た。無端ベルトの膜厚は75±2μmで、むらは小さかった。該無端ベルトは両端から約35mmずつ切断し、長さ360mmの無端ベルトを得た。得られた無端ベルトは、100Vにおいて体積抵抗率を測定すると、約1010Ωcmの半導電性を有しており、電子写真用転写ベルトとして使用することができた。
【0069】
上記塗布において、溶液の減少分だけ再び塗布溶液を注入して、その次の塗布を行えば、常に一定の量で塗布を継続することができる。
【0070】
(比較例1)
実施例1において、槽に筒状の堰を設けず、環状塗布槽に直接供給管から塗布溶液が供給される構成と以外は実施例1と同様にして環状塗布装置を作製した(図10、図11参照)。本環状塗布装置における環状塗布槽にPI前駆体溶液を直接注入したところ、溶液は筋を引きながら満ちていった(図10、図11参照)。
【0071】
そして、実施例1と同じ液量になった時点で注入を停止し、他は同様にして塗布を行ったところ、塗膜には、溶液の筋に該当する筋模様が見られた。
【0072】
作製された無端ベルトの膜厚は、筋の部分で6μm程度薄くなっており、不均一であった。また、その箇所で体積抵抗率も変化しており、電子写真用転写ベルトとして使用した場合、画像濃度に筋状のむらを生じていた。
【0073】
(実施例2)
上記第2実施形態と同様な構成の環状塗布装置を用いて塗布を行った(図5〜図6参照)。ここで、本環状塗布装置は次のようにして作製した。実施例1において、さらに、供給槽を上下に2分するように、幅14mmの分流板を底部から25mmの高さに取り付けた。分流板には、内径5mmの流入穴を24個あけてある。これにより、6箇所の供給管(供給口)から供給される溶液は、流入穴を通過することで24分割されて分流板から流出し、次いで供給槽から溢流することになる。
【0074】
このようにして、他は実施例1と同様にして塗布を行った。得られた無端ベルトの膜厚を詳しく測定すると、75±1μmで、むらは実施例1の結果よりもさらに小さくなっていた。
【0075】
(実施例3)
上記第3実施形態と同様な構成の環状塗布装置を用いて塗布を行った(図8〜図9参照)。ここで、本環状塗布装置は次のようにして作製した。実施例1において、さらに、供給槽を上下に2分するように、幅14mmの分流板を底部から30mmの高さに取り付けた。そして、各供給管から供給される分流板の下方で且つ分流板と垂直なるように第2分流板を取り付けた。分流板には、内径4mmの流入穴を1列24個、合計で48個設けてある。
【0076】
このようにして、他は実施例1と同様にして塗布を行った。得られた無端ベルトの膜厚を詳しく測定すると、75±0.5μmで、むらは実質的にほとんどないという結果であった。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の塗布時を示す概略構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る環状塗布装置の塗布時を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略構成図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る環状塗布装置の塗布時を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る環状塗布装置の他の一例の停止時を示す概略構成図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る環状塗布装置の停止時を示す概略構成図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る環状塗布装置の停止時示す概略平面図である。
【図10】従来の環状塗布装置の概略断面図を示す。
【図11】従来の環状塗布装置の概略平面図を示す。
【符号の説明】
【0078】
10 芯体
12 環状塗布槽
14 供給槽
16 環状シール材
18 塗布溶液
20 環状体
22 円孔
24 腕
26 供給管
28 塗膜
30 分流板
30A 分流穴
32 第2分流板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布溶液を芯体に塗布するための塗布槽と、
前記塗布槽の周囲を囲んで設けられ、塗布溶液を溢流させて前記塗布槽に供給する供給槽と、
前記供給槽に連結され、前記供給槽に塗布溶液を供給する供給管と、
を具備することを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記供給槽には、前記供給管から供給された塗布溶液を分流させる分流板を具備することを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記塗布槽には、前記塗布溶液を保持する共に、前記芯体の外径よりも小さい孔を持つ環状シール材を底部に具備し、
前記環状シール材の孔に前記芯体を通し、前記塗布槽から前記芯体を相対的に上昇させ、前記芯体の表面に前記塗布溶液を塗布する、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記塗布槽には、前記芯体の外径よりも大きい内径の孔を有する環状体を前記塗布溶液上に浮遊状態で具備し、
前記塗布溶液に接触後の前記芯体を前記環状体の前記孔に通過させて、前記芯体の表面に前記塗布溶液を塗布する
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗布装置を用いて、芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を加熱して樹脂皮膜を形成した後、樹脂皮膜を芯体から抜き取ることを特徴とする無端ベルトの製造方法。
【請求項1】
塗布溶液を芯体に塗布するための塗布槽と、
前記塗布槽の周囲を囲んで設けられ、塗布溶液を溢流させて前記塗布槽に供給する供給槽と、
前記供給槽に連結され、前記供給槽に塗布溶液を供給する供給管と、
を具備することを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記供給槽には、前記供給管から供給された塗布溶液を分流させる分流板を具備することを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記塗布槽には、前記塗布溶液を保持する共に、前記芯体の外径よりも小さい孔を持つ環状シール材を底部に具備し、
前記環状シール材の孔に前記芯体を通し、前記塗布槽から前記芯体を相対的に上昇させ、前記芯体の表面に前記塗布溶液を塗布する、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記塗布槽には、前記芯体の外径よりも大きい内径の孔を有する環状体を前記塗布溶液上に浮遊状態で具備し、
前記塗布溶液に接触後の前記芯体を前記環状体の前記孔に通過させて、前記芯体の表面に前記塗布溶液を塗布する
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗布装置を用いて、芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を加熱して樹脂皮膜を形成した後、樹脂皮膜を芯体から抜き取ることを特徴とする無端ベルトの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−33691(P2007−33691A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214928(P2005−214928)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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