説明

塗布装置及び塗布方法

【課題】巻き上がるダストを低減するとともに、製造時間の短縮を可能とする。
【解決手段】基台1上には、夫々塗布機能が異なるガントリ2a〜2cとガラス基板17が載置されたワークテーブル6とが、X(T)軸方向に移動可能に設けられており、ワークテーブル6がA位置にあるとき、ガントリ2aでの塗布ヘッド8でガラス基板17上に第1の塗布動作が行なわれ、ワークテーブル6がB位置にあるとき、ガントリ2bでの塗布ヘッド8でガラス基板17上に第2の塗布動作が行なわれ、ワークテーブル6がC位置にあるとき、ガントリ2cでの塗布ヘッド8でガラス基板17上に第3の塗布動作が行なわれる。塗布処理するガラス基板17は、基板搬入側aで搬入側搬送コンベア18aからワークテーブル6上に同じ高さを保ちながら搬送され、処理済みのガラス基板17は、基板搬出側bでワークテーブル6から搬出側搬送コンベア18b上に同じ高さを保ちながら搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルなどのフラットパネルの製造に係り、特に、基板上へのシール材などの塗布や液晶の滴下塗布をする塗布装置及び塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルなどを製造する従来技術としては、その一例として、真空状態で処理を施すための複数の真空処理室と大気圧状態で処理を施す複数の大気圧処理室とを備え、これら真空処理室間や大気圧処理室間,真空処理室と大気処理室との間に夫々ガラス基板を搬送するための外部から遮断されたロボット室を設け、かかる処理室間でガラス基板を搬送するときには、ロボット室のロボットがそのガラス基板を一方の処理室から他方の処理室に自動的に搬送するようにして、液晶パネルを製造する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる従来技術によると、ガラス基板が液晶パネルとなるまでの処理が人手を介することなく、全て自動的に処理するので、粒子汚染や分子汚染の恐れがほとんどない、としている。
【0004】
また、他の例として、真空チャンバ内に設けた位置合わせ装置に基板を設置し、基板にシール材を塗布し、このようにシール材が塗布された基板と他の基板との2枚の基板を貼り合わせ、シール材を硬化し、最後に液晶を注入するという手順でパネルを製造する際、シール材を基板上に形成していく塗布作業を大気圧よりも低い圧力下で行ない、また、2枚の基板を貼り合わせる作業を大気圧以下の圧力下で行なうようにした技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
かかる従来技術によると、シール材の塗布や2枚の基板の貼り合わせが大気圧よりも低い圧力下で行なうものであるから、シール材内に混入する気泡を低減し、この気泡が原因となる割断不良やギャップ不良、または、液晶注入不良の不具合を低減できるし、基板周辺で巻き上がるダストなどの異物が低減し、異物によるパネル不良も低減できる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−324297号公報
【特許文献2】特開平2001−13507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
LCD(液晶パネル)などのフラットパネルの分野においては、年々ガラス基板のサイズの大型化が急速に進んでおり、これに伴って、その製造装置も大型化してきている。加えて、安価に製造するためには、製造装置の内部や周辺で巻き上がるダストを低減して歩留まりを向上すること、さらに同時に、パネル1枚当りの製造時間を抑制することが共に強く求められている。
【0008】
上記特許文献1に記載の従来技術では、ガラス基板からパネルを製造する際、大気圧処理室から真空処理室へガラス基板を搬送するとき、大気圧状態から真空状態への真空立ち上げ時間がロスタイムとなって、総合的な製造時間が増大するという問題がある。
【0009】
また、上記特許文献2に記載の従来技術では、真空チャンバ内で塗布作業や基板の貼り合わせ作業を行なう際、真空チャンバ内への組み込みや取り出しが人手やロボットなどによって行なわれ、これらに保持された基板が上下に動くことなどによって周囲の空気が大きく流動することになり、この空気に同伴してダクトが巻上がる。また、同じ真空チャンバを用いるのではなく、別機能を有する複数台の装置を並べてパネルの製造を行なう場合でも、対象ワークとなるガラス基板を受け渡す際に、同様にして、ロボットなどを用いる場合、これに保持される基板の動きによって周囲の空気を大きく流動することになり、その周囲の空気が流動してダストがこれに同伴されて巻き上がることになる。このようなダクトの巻上がりがあると、これがパネルに付着して不良品となる確率が高くなる。
【0010】
さらに、上記特許文献2の記載の技術では、第1の例として、塗布作業を真空環境内で行なう場合においては、真空中でシール材を塗布した後に一旦大気開放し、スペーサを散布し、点付けした紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して位置決めを仮止めしつつ2枚の基板を貼り合わせている。その後、位置決め装置から仮止めした基板を取り出して、別に用意したナイロン袋に入れて袋内を減圧し、つまり、再度真空にすることにより、2枚の基板を加圧する。次に、加熱して先に塗布したシール材を硬化して2枚の基板を接着する。最後に、袋から取り出し、つまり再度大気圧状態に開放して、大気圧中で液晶材料を封入し、液晶パネルを製造している。このため、シール材塗布から液晶パネルが完成までに2回真空状態にし、2回大気圧状態へ開放する製造手順が採られることになる。
【0011】
また、第2の例として、貼り合わせ作業を真空環境で行なう場合では、大気圧中でシール材を塗布後にスペーサを散布し、点付けした紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して位置決めして仮止めし、真空中で2枚の基板を貼り合わせる。その後、大気圧状態に開放して、位置決め装置から基板を取り出し、真空パック法、つまり、再度真空状態にすることにより、2枚の基板を加圧する。次に、この真空パック状態で加熱して、先に塗布したシール材を硬化させて2枚の基板を接着する。最後に、袋から取り出し、つまり、再度大気圧状態に開放して、大気圧中で液晶材料を封入し、液晶パネルを製造していた。この例でも、上記と同様に、シール材の塗布から液晶パネルの完成までに2回真空状態にし、2回大気圧状態へ開放する製造手順が採られることになる。
【0012】
結局のところ、第1,第2のいずれの例でも、シール材中に気泡の混入を抑制する目的で、シール材塗布から貼り合わせる工程までの塗布作業、または、貼り合わせ作業のいずれか一方を真空中で行なうものであるが、実際には、液晶注入前に熱硬化樹脂で加圧しながら圧着する時点で再度真空状態にしており、真空環境を作るための時間が必要となる。
【0013】
ここで、熱硬化樹脂でシール材を硬化させて2枚の基板を圧着する際に、真空状態にして加圧しない製造方法もある。しかし、一般的な液晶注入方式としては、次段階の液晶注入段階で、液晶パネル内部を真空にするために液晶パネルをチャンバ内で一旦真空状態にし、液晶注入口を液晶に浸した後に大気圧状態に開放して、液晶パネル内部に大気圧中で液晶を押し上げて充填していく製造方法が採用される場合が多かった。
【0014】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、巻き上がるダストを低減するとともに、製造時間の短縮を可能とした塗布装置及び塗布方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、塗布材を充填した材料収納筒と塗布材収納筒からの塗布材料を吐出するノズル吐出口とを備えた1または複数の塗布ヘッドを移動可能に設けられたガントリが1または複数台架台上に設置され、架台上に設置された基板載置テーブルに搭載された基板に対してガントリが移動し、ガントリに対して塗布ヘッドが移動することにより、基板に対して塗布ヘッドが移動し、ノズル吐出口から基板上に塗布材を吐出させる塗布装置であって、外部から基板載置テーブルへの基板の搬入は、搬入側搬送コンベアから搬入高さを基板載置テーブルでの基板載置面と同じ高さに維持した状態で行なわれ、かつ基板載置テーブルから外部への基板の搬出は、基板載置テーブルから搬出側搬送コンベアに搬出高さを基板載置テーブルでの基板載置面と同じ高さに維持した状態で行われ、基板載置テーブルを、搬入側搬送コンベアから搬入された基板が載置される位置から基板を搬出搬送コンベアに搬出する位置まで、基板を載置した状態で、移動させる第1の移動機構と、基板載置テーブルに載置された基板を回動させる第2の移動機構とを備えたものである。
【0016】
また、本発明による塗布装置は、架台上に複数台のガントリが設置され、これら複数台のガントリのうちのいずれかのガントリに設けられているの塗布ヘッドが、他のガントリに設けられている塗布ヘッドとは異なる種類の塗布材を基板上に吐出するものである。
【0017】
また、本発明による塗布装置は、同じガントリに設けられている複数の塗布ヘッドのうちのいずれかの塗布ヘッドと他の塗布ヘッドとは、種類が異なる塗布材を基板上に吐出するものである。
【0018】
また、本発明による塗布装置は、基板載置テーブルが、基板載置テーブル上で基板を一方向に移動させるローラによる基板移動手段と、基板載置テーブル上で基板を吸着し、基板載置テーブル上で基板を位置固定する基板位置固定手段とを備えたものである。
【0019】
また、本発明による塗布装置は、基板載置テーブルが、基板載置テーブル上で基板にエアを吹き付けることによって基板を一方向に移動させる基板移動手段と、基板載置テーブル上で基板を吸着し、基板載置テーブル上で基板を位置固定する基板位置固定手段とを備えたものである。
【0020】
さらに、本発明による塗布装置は、架台上の基板載置テーブルの移動範囲を耐圧カバーで覆い、耐圧カバーで覆われた内部をエア吸引手段で大気圧よりも低い気圧に設定し、低い気圧の環境内でガントリの塗布ヘッドで基板載置テーブルに載置された基板への塗布動作を行なうものである。
【0021】
上記目的を達成するために、本発明は、塗布材料を充填した塗布材収納筒と塗布材収納筒からの塗布材料を吐出するノズル吐出口とを備えた1または複数の塗布ヘッドが移動可能に設けられたガントリが1または複数台で架台上に設置され、架台上に設置された基板載置テーブルに載置された基板に対してガントリが移動し、ガントリに対して塗布ヘッドが移動することにより、基板に対して塗布ヘッドが移動し、ノズル吐出口から基板上に塗布材を吐出させる塗布方法であって、外部から基板載置テーブルへの基板の搬入は、搬入側搬送コンベアから搬入高さを基板載置テーブルでの基板載置面と同じ高さに維持した状態で行なわれ、かつ基板載置テーブルから外部への基板の搬出は、基板載置テーブルから搬出側搬送コンベアに搬出高さを基板載置テーブルでの基板載置面と同じ高さに維持した状態で行なわれ、基板載置テーブルは、搬入側搬送コンベアから搬入された基板が載置される位置から基板を搬出搬送コンベアに搬出する位置まで、基板を載置した状態で、移動し、基板載置テーブルに載置された基板を回動させてθ軸ずれを補正するものである。
【0022】
また、本発明による塗布方法は、架台上に複数台のガントリが設置され、これら複数台のガントリのうちのいずれかのガントリに設けられている塗布ヘッドは、他のガントリに設けられている塗布ヘッドとは異なる種類の塗布材を基板上に吐出するものである。
【0023】
また、本発明による塗布装置は、同じガントリに設けられている複数の塗布ヘッドのうちのいずれかの塗布ヘッドと他の塗布ヘッドとは、種類が異なる塗布材を基板上に吐出するものである。
【0024】
また、本発明による塗布方法は、基板載置テーブル上で基板をローラによる基板移動手段で一方向に移動させて基板載置テーブル上での基板の位置決めを行ない、位置決めされた基板を吸着して、基板載置テーブル上で基板を位置固定するものである。
【0025】
また、本発明による塗布方法は、基板載置テーブル上で基板にエアを吹き付けることにより、基板を一方向に移動させて基板載置テーブル上での基板の位置決めを行ない、位置決めされた基板を吸着して、基板載置テーブル上で基板を位置固定するものである。
【0026】
さらに、本発明による塗布方法は、架台上の基板載置テーブルの移動範囲を耐圧カバーで覆い、耐圧カバーで覆われた内部を大気圧よりも低い気圧に設定し、低い気圧の環境内でガントリの塗布ヘッドで基板載置テーブルに載置された基板への塗布動作を行なうものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、3種類の材料の塗布作業、例えば、シール材塗布,導通用打点塗布及び液晶滴下塗布の各塗布作業を共通のワークテーブル(基板載置テーブル)で行ない、さらに、かかる塗布作業の前後の基板の受け渡しは搬入,搬出コンベアで行なうことにより、ダストの巻き上げを最小にした状態で、あたかも3つの機能が1つの装置内に集約して実現できるようになる。
【0028】
これにより、複数の機能を有する複数台の装置を並べて、共通の1台のロボットや装置間に設置した複数台のロボットを用いて対象ワークとなる基板の受け渡しを行なう従来のロボット搬送方式に比べて、基板の動線(移動ライン)を短縮することができて、第1に、基板の搬送時のパーティクル汚染を低減できて、液晶パネル製造時の歩留まりが向上し、第2に、設置面積を縮小できてクリーンルームの有効活用が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による塗布装置及び塗布方法の第1の実施形態の要部を示す外観斜視図である。
【図2】本発明による塗布装置及び塗布方法の第1の実施形態の全体構成を概略的に示す構成図である。
【図3】図1及び図2におけるワークテーブル6の一具体例を示す外観斜視図である。
【図4】図1及び図2におけるワークテーブル6の他の具体例を示す外観斜視図である。
【図5】図4におけるエア噴出/吸着孔28での構成の一具体例を示す図である。
【図6】図1における塗布ヘッド8の一具体例の腰部を拡大して示す斜視図である。
【図7】図1,図2に示す第1の実施形態での主制御部の構成とその制御の一具体例を示すブロック図である。
【図8】図7における副制御部34bの一具体例を示すブロック図である。
【図9】図1,図2に示す第1の実施形態の全体動作の一具体例を示すフローチャートである。
【図10】本発明による塗布装置及び塗布方法の第2の実施形態の全体構成を概略的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ガラス基板は年々大型化してきており、これまでの大型化に対応する傾向をみると、装置内で位置決めする手段が大型化し、その重量は増加の一途をたどってきている。これに伴って、駆動源であるモータの大型化やボールネジ,ガイドといった軸受や動力伝達機構の大型化、さらにまた、モータドライバの大容量化や配線規模の増大といった機構系に限らず、制御系も加えた基板駆動部の大規模化につながってしまうという問題があった。
【0031】
一方、第2の問題として、装置内外のガラス基板のやりとりにおいて、このガラス基板を搬入・搬出する手段もまた、大型化,重量化する傾向となっているという他の問題もある。
【0032】
製造プロセスを見た場合、これまで、ガラス基板にシール材を塗布する装置,電極点を打点で塗布する装置及び液晶を滴下塗布する装置といった3種の機能の装置が並んで設置されており、これがガラス基板の貼り合わせ装置へとつながっていた。これら3種の装置間では、搬送ロボットがアクセスして大型のガラス基板の搬入・搬出を行なってきた。かかる搬入・搬出動作においては、水平移動のみならず、装置間の移動中やガラス基板を各装置のテーブルへの搭置するときに、ガラス基板を保持した状態で上下動を繰り返し行なう場合もあり、これにより、周囲の空気が上下に流動し、これを同伴してダストが巻き上げられる。
【0033】
そこで、本発明では、ロボットで受け渡す方式に変えて、上記夫々の装置の塗布機能(以下では、特に断らない限り、液晶の滴下塗布機能も含む)を持つ1または複数のガントリ(門型フレーム部)を備えた1つの塗布装置または塗布システムとし、夫々のガントリに共通のワークテーブルを設けてこのワークテーブルにガラス基板を搭載し、ガラス基板が搭載されたこのワークテーブルを上記の機能毎に割り当てられた位置に設置することにより、該当するガントリを用いて該当する塗布動作を行なうようにするものであり、異なる機能の装置間の基板の移動をこれが載置されて同じワークテーブルの移動で行なうことにより、基板のロボットによる搬送や人手による搬送を排除できるようにするものである。
【0034】
また、本発明では、このワークテーブルへの基板の搬入やワークテーブルからの基板の搬出は、搬入側搬送コンベアや搬出側搬送コンベアで行なうものであり、これら搬送コンベアでは、それに搭載されたガラス基板の高さがワークテーブルに載置されているときのガラス基板の高さに等しく維持されるようにする。
【0035】
以上のことから、夫々のガントリで塗布動作が行なわれる間、ガラス基板は同じワークテーブルに搭載された状態にあって、ワークテーブルに対して動くことがなく、ガラス基板への塗布動作中、ダストが巻き上げられることはない。また、ガラス基板のワークテーブルへの搬入や搬出時でも、搬入コンベアからワークテーブルへ、また、ワークテーブルから搬出コンベアへ、高さを変えることなく(即ち、持ち上げられたり、持ち下げられたりすることなく)、搬送されることになり、これにより、ダストが巻き上げられることはない。従って、製造されるパネルの歩留まりが向上する。
【0036】
また、全てのガントリやワークテーブル,それらの駆動機構などを含む空間全体をカバーで覆い、その空間内の圧力を大気圧より低くすることにより、この空間内の空気の量を少なくし、これにより、さらにダストの巻き上げ力を小さくして巻き上げられるダストの量を低減できる構造としている。
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0038】
図1は本発明による塗布装置及び塗布方法の第1の実施形態の要部を示す外観斜視図であって、1は架台、2a,2b,2cはガントリ、3は横梁、4a,4bはX軸方向移動機構、5a,5bはリニアレール、6はワークテーブル(基板載置テーブル)、7はリニアレール、8は塗布ヘッドである。
【0039】
同図において、架台1の長さ方向をX軸方向、幅方向をY軸方向として、架台1上のY軸方向に対向する両辺部に夫々、X軸方向に沿うリニアレール5a,5bが設けられており、これらリニアレール5a,5b間がガラス基板(図示せず)が載置されるワークテーブル6の通路をなしている。この通路には、X軸方向に伸延したリニアレール7が敷設されており、また、ワークテーブル6の裏面側には、リニアモータからなるワークテーブル移動機構(図示せず)が設けられていて、これにより、ワークテーブル6は、このリニアレール7に沿って、ガラス基板が搬入される基板搬入側aからガラス基板が搬出される基板搬出側bまでの間を架台1の長手方向に沿って移動することができる。
【0040】
ここで、ワークテーブル6の移動方向はX軸方向であるが、ワークテーブル6の移動方向については、以下では、T軸方向ということにする。従って、ワークテーブル6が移動するリニアレール7も、T軸方向に伸延しているものとするし、このワークテーブル6を移動させるための上記のワークテーブル移動機構も、T軸方向移動機構ということになる。
【0041】
架台1上には、また、3台のガントリ2a〜2cが、ワークテーブル6の通路をまたぐようにして、設けられており、夫々の両端側にリニアモータからなるX軸方向移動機構(ガントリ移動機構)4a,4bが設けられている。そして、かかるX軸方向移動機構4a,4bにより、これらガントリ2a〜2cは夫々独立に、リニアレール5a,5bに沿ってX軸方向に移動することができる。
【0042】
ガントリ2a〜2c夫々の横梁3の一方の側面には、複数の塗布ヘッド8が設けられている。これら塗布ヘッド8は、ガントリ2a〜2cの横梁3に設けられたY軸方向移動機構(図示せず)により、かかる横梁3の側面をY軸方向に移動することができる。図示する例では、ガントリ2a〜2cには、6個ずつ塗布ヘッド8が設けられており、そのうちの3個の塗布ヘッド8が横梁3の一方の端側に寄せられ、残りの3個の塗布ヘッド8が横梁3の他方の端側に寄せられている状態を示している。
【0043】
ここで、ガントリ2a〜2cには夫々、機能が分担されている。最も基板搬入側aに配置されるガントリ2aはガラス基板へのシール材の塗布機能を割り当てられたものであって、そこに設けられている塗布ヘッド8は夫々シール材の塗布ヘッドである。次に基板搬入側aに配置されるガントリ2bは作成される液晶パネルの電極部となる打点のガラス基板への塗布機能が割り当てられているものであって、そこに設けられている塗布ヘッド8は夫々打点の塗布ヘッドである。最も基板搬出側bに配置されるガントリ2cはガラス基板への液晶の滴下塗布機能を割り当てられたものであって、そこに設けられている塗布ヘッド8は夫々、ガラス基板上の塗布されたシール材で囲まれた領域内に液晶を滴下塗布する塗布ヘッドである。
【0044】
塗布処理されるガラス基板(図示せず)は、図示しない搬入側搬送コンベアによって搬入側aから搬入される。このとき、ワークテーブル6は搬入側aに位置付けられており、搬入されたガラス基板が搬入側搬送コンベアからこのワークテーブル6上に移される。このようにしてガラス基板が載置されたワークテーブル6は、T軸方向移動機構により、順次所定の位置に移動され、夫々の所定位置に設定される毎に、ワークテーブル6に載置されたガラス基板上に、ガントリ2aの各塗布ヘッド8によってシール材が塗布され、ガントリ2bの各塗布ヘッド8によって打点が塗布され、ガントリ2cの各塗布ヘッド8によって液晶が滴下塗布される。しかる後、ワークテーブル6は基板搬出側bに位置付けられ、処理済みのガラス基板がこのワークテーブル6から図示しない搬出側搬送コンベアに移されて搬出搬送される。
【0045】
図2は本発明による塗布装置及び塗布方法の第1の実施形態の全体構成を概略的に示す構成図であって、9はカバー、10は基板搬入口、11は基板搬出口、12はファンフィルタユニット、13はZ軸移動テーブル、14はノズル、15は基板吸着プレート、16はローラ、17はガラス基板、18aは搬入側搬送コンベア、18bは搬出側搬送コンベアであり、図1に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
【0046】
同図において、架台1上のガントリ2a〜2cやワークテーブル6が移動範囲が、全体として、カバー9で覆われている。このカバー9の天井には、複数のファンフィルタユニット12が設けられている。このカバー9の基板搬入側aには、搬入側搬送コンベア18aで搬送されてきたガラス基板17をカバー9内に搬入するための小さい開口(ガラス基板17の幅よりも若干大きい幅で、ガラス基板17の厚みりも若干大きい高さの開口)の基板搬入口10が設けられており、この基板搬入口10から搬入されたガラス基板17はワークテーブル6上に載置される。また、このカバー9の基板搬出側bには、カバー9内から外部に塗布処理された(即ち、塗布処理済みの)ガラス基板17を排出するための、基板搬入口10と同様の大きさの小さい開口である基板搬出口11が設けられており、この基板搬出口11から搬出された塗布処理済みのガラス基板17が搬出側搬送コンベア18bに搭載される。
【0047】
ここで、ワークテーブル6の上面の基板載置面と搬送コンベア18a,18bの基板載置面とは同じ高さの面(同一平面内の面)であり、また、ワークテーブル6の基板載置面は、後述するように、基板吸着プレート15とローラ16とからなるものである。なお、かかる搬送コンベア18a,18bとしては、案内ガイドを有するローラ式の搬送コンベアのほか、ボール状のコンベア、あるいはウォーキングビーム、などを用いるとよい。
【0048】
かかる構成により、搬入側搬送コンベア18aで搬送されたガラス基板17がカバー9内に搬入されるときには、搬入側搬送コンベア18aによってガラス基板17がそのときの高さを保ったまま搬入口10からカバー17内に押し込まれ、このガラス基板17が、ワークテーブル6上に達すると、これまでの高さを保ったままローラ16によってワークテーブル6上を移動させられて、所定の位置で基板吸着プレート15上に載置されて吸着され、位置固定される。
【0049】
このようにして、ガラス基板17を搭載したワークテーブル6は、T軸方向移動機構により、T軸方向に移動して架台1上の基板搬入側a寄りのA位置に位置設定され、この位置でガントリ2aの塗布ヘッド8により、シール材の塗布が行なわれ、ガラス基板17上に複数(この場合、6個)の閉鎖したシール材のパターンが描画される。なお、かかるシール材のパターンは、ガントリ2aにおいて、塗布ヘッド8のZ軸移動テーブル13に搭載されたノズル14からシール材を吐出しながら、Y軸方向移動機構でもって塗布ヘッド8をガントリ2aの横梁3(図1)に沿ってY軸方向に移動させ、かつX軸方向移動機構4a,4b(図1)でもってガントリ2aをX軸方向に移動させることによって塗布ヘッド8をX軸方向に移動させることにより、ノズル14を矩形状のパターンの軌跡に沿って移動させて描画がされる。このとき、Z軸方向移動機構(図示せず)により、Z軸移動テーブル13のZ方向の高さが調整されて、ノズル14のシール材吐出口のガラス基板17の表面からの高さが常時規定の高さに保持される。
【0050】
次いで、ワークテーブル6は、T軸方向移動機構により、T軸方向に移動して架台1上の中央部のB位置に位置設定され、この位置でガントリ2bの塗布ヘッド8により、ガラス基板17上のシール材の矩形状の描画パターン毎に、この描画パターンの外周の所定の位置(例えば、4隅の位置)に電極剤の打点の塗布が行なわれる。なお、このときも、上記と同様にして、ガントリ2bに設けられた塗布ヘッド8のX,Y軸方向の移動により、そのノズル14が各シール材の描画パターンの打点を塗布すべき位置に設定され、その位置でノズル14の吐出口から電極材が吐出される。この場合も、上記と同様にして、ノズル14の吐出口のガラス基板17の表面からの高さが常時規定の高さに保持される。
【0051】
しかる後、ワークテーブル6は、T軸方向移動機構により、T軸方向に移動して架台1上の基板搬出側b寄りのC位置に位置設定され、この位置でガントリ2cの塗布ヘッド8により、ガラス基板17上のシール材の描画パターン毎に、この描画パターンで囲まれた領域内に液晶の滴下塗布が行なわれる。なお、このときも、上記と同様にして、ガントリ2cに設けられた塗布ヘッド8のX,Y軸方向の移動により、そのノズル14が各シール材の描画パターンに囲まれた領域内の液晶が滴下されるべき位置に設定され、その位置でノズル14の吐出口から液晶が滴下される。この場合も、上記と同様にして、ノズル14の吐出口のガラス基板17の表面からの高さが常時規定の高さに保持される。
【0052】
以上により、カラス基板17への塗布処理が終了し、ワークテーブル6上のこの塗布処理済みのガラス基板17が基板搬出口11からカバー9外に排出されるが、このときには、ワークテーブル6のローラ16によってこの基板搬出口11からカバー9外にガラス基板17が、そのときの高さをそのまま維持して、押し出され、このガラス基板17が搬出側搬送コンベア18b上に達すると、そのときの高さでこの搬出側搬送コンベア18b上を移動させられて、所定の位置に位置固定される。
【0053】
このようにして、ガラス基板17は、搬入側搬送コンベア18aからカバー9内のワークテーブル6上に移されるときでも、また、カバー9内のワークテーブル6上から搬出側搬送コンベア18bに移されるときも、ロボットや人手を用いることなく、高さを一定に保持したままT軸方向の移動だけでもって行なうことができるので、カバー9内で空気が上下に流動することがなく、ダストが巻き上げられることがない。また、同様に、異なる機能が割り当てられたガントリ2a,2b,2c間のガラス基板17の移動も、ワークテーブル6に搭載されたままでT軸方向の移動だけによって行なわれるものであるから、カバー9内で空気が上下に流動することがなく、ダストが巻き上げられることがない。このため、巻き上がったダストがガラス基板17のシール材などの塗布面に付着することがなく、ダストが付着することによるパネルの歩留まりの低減を回避できるようになる。
【0054】
また、シール材の塗布,電極材の打点の塗布,液晶の滴下塗布という異なる塗布処理機能の装置(ガントリ2a〜2c)を同じ架台1上に設け、これら装置間をワークテーブル6に搭載したままでガラス基板17を移動させることにより、夫々の装置で夫々毎の塗布処理を行なうものであるから、ロボットなどを用いた装置間のガラス基板の搬送に比べ、1つの装置から次の装置に移して処理を開始させるまでの時間を短縮することができ、製造に要する時間を短縮することができるとともに、これら装置間の間隔も短縮することができ、かかる異なる機能処理を行なう装置全体の小型化を図ることができる。
【0055】
図3は図1及び図2におけるワークテーブル6の一具体例を示す外観斜視図であって、16a〜16eは基板吸着プレート、16a〜16dはローラ、19は基板載置部材、20a〜20dは連結部材、21はエア吸着孔、22a,22bは基板位置決めピン、23はクロスローラ軸受、24a〜24dはXYθ軸方向微動機構、25はクロスローラ軸受、26は直交軸受である。
【0056】
同図において、ワークテーブル6は、X軸方向に互いに平行で、かつ等間隔で配置される複数(ここでは、5個)のY軸方向が長手方向となる基板吸着ブレート15a〜15eが夫々、細長い平板状の連結部材16a〜16dで連結された構成の基板搭載部材19を有している。これら基板吸着プレート15a〜15eは、図2での基板吸着プレート15に相当するものであって、横断面形状が矩形状もしくは正方形状をなしており、連結部材20a〜20dは基板吸着プレート15a〜15eの高さよりも薄く、これにより、連結部材20a〜20dの部分が基板載置部材19の窪んだ谷部を形成している。これら谷部に(即ち、連結部材20a〜20dの上面側に)夫々、この谷部のY軸方向の全長に渡るローラ16a〜16dが配置されている。これらローラ16a〜16dは、図2でのローラ16に相当するものであって、基板載置部材19上に載置されるガラス基板17(図2)をT(X)軸方向に移動させるための基板移動機構を構成するものであり、図示しない回転駆動機構により、回転駆動される。
【0057】
基板吸着プレート15a〜15e夫々の上面には、ガラス基板17(図2)を吸着して位置固定するためのエア吸着孔21が複数個ずつ(図示では、4個ずつ)設けられており、かかる基板搭載部材19のX軸方向の端側、即ち、基板搬入側a(図1,図2)とは反対側の最も端にある基板吸着プレート15eの外側面に近接して、複数(ここでは、2個)の基板位置決めピン22a,22bが設けられている。
【0058】
また、かかる基板搭載部材19の中心部が、その裏面側で、回転部材としてのクロスローラ軸受23によって支持されており、また、基板搭載部材19の裏面でのこのクロスローラ軸受23から異なる方向で、かつ互いに等しい距離の位置が夫々、XYθ軸方向微動機構24a〜24dによって支持されている。クロスローラ軸受23は、基板搭載部材19をその支持位置を中心にθ軸方向に回動させるものであり、XYθ軸方向微動機構24a〜24dは、クロスローラ軸受25と直交軸受26とで構成されて、基板搭載部材19がクロスローラ軸受23によってその中心部を中心にθ軸方向に回動するとともに、XYθ軸方向微動機構24a〜24dによってその支持位置をθ軸方向に回動させ、XY軸方向に移動させるものである。これにより、基板搭載部材19が、その中心位置を中心に、回動し、ワークテーブル6に搭載されたガラス基板17(図1)のθ軸方向のずれを調整することができる。
【0059】
かかる構成の基板搭載部材19は、図示しない基台上に載置されており、この基台の裏面側に図1で説明したT軸方向移動機構が設けられて、これにより、ワークテーブル6がT軸方向に移動することができる。
【0060】
また、ローラ16a〜16dはこの基台に対して位置が固定されているが、基板吸着プレート16a〜16eと連結部材20a〜20dとからなる基板載置部材19や基板位置決めピン22a,22bは、クロスローラ軸受23とXYθ軸方向微動機構24a〜24dとともに、基台に対して上下動できる。
【0061】
そこで、図2で説明したように、ワークテーブル6がカバー9の基板搬入口10側にあって、搬入側搬送コンベア18aからガラス基板17を取り込むときには、基板搭載部材19は降下した状態にあり、基板位置決めピン22a,22bは上昇した状態にあって、ローラ16a〜16dや基板位置決めピン22a,22bが一部、基板載置部材19の基板吸着プレート15a〜15eの上面よりも上方に突出した状態にある。
【0062】
そして、このときには、ローラ16a〜16dは回転駆動された状態にあり、図2で説明したように、搬入側搬送コンベア18aからガラス基板17がワークテーブル6上に押し込まれ、このガラス基板17が回転するローラ16a〜16d上に乗ると、このローラ16a〜16dの回転によってもこのガラス基板17が基板位置決めピン22a,22bの方向に移動する。ガラス基板17が基板位置決めピン22a,22bに当接すると、ローラ16a〜16dの回転が停止し、基板載置部材19が上昇してその上面にガラス基板17が載置された状態となり、次いで、エア吸着孔21が基板位置固定機構として吸着動作を行なうことにより、ガラス基板17が、基板載置部材19の上面に吸着されて、ワークテーブル6上に固定された状態となる。
【0063】
また、図2で説明したように、ワークテーブル6が架台1の基板搬出側bに移動して塗布処理済みのガラス基板17を基板搬出口11を介して搬出側搬送コンベア18bに移す場合には、基板載置部材19とともに、基板位置決めピン22a,22bを降下させ、ローラ16a〜16d上にガラス基板17が搭載された状態でこれらローラ16a〜16dを回転させる。これにより、ガラス基板17はワークテーブル6上から基板搬出口11を通って搬出側搬送コンベア18bに移動する。
【0064】
このようにして、ガラス基板17を搬入側搬送コンベア18aから、ロボットや人手を用いることなく、ワークテーブル6上に移送させることができるし、また、塗布処理済みのガラス基板17をワークテーブル6から、ロボットや人手を用いることなく、搬出側搬送コンベア18b上に移送させることができる。
【0065】
図4は図1及び図2におけるワークテーブル6の他の具体例を示す外観斜視図であって、27は基板吸着プレート、27aは基板載置面、27bは前側面、28はエア噴出/吸着孔であり、図3に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
【0066】
同図において、この具体例は、1つの平板状の基板吸着プレート27が、図3に示した具体例と同様、図示しない基台上にクロスローラ軸受23及びXYθ軸方向微動機構24a〜24dによって支持された構成をなしている。但し、この基板吸着プレート27は、この基台に対する位置及び高さが固定されている。この基板吸着プレート27の上面は平坦な面をなして、図示しないガラス基板の載置面27aとなるものであり、この基板載置面27aはこれにガラス基板全体が載置される面積を有している。
【0067】
この基板吸着プレート27の基板搬入側a(図2)とは反対側の前側面27b側に近接して、先の図3に示す具体例と同様、複数(ここでは、2個)の基板位置決めピン22a,22bが設けられている。これら基板位置決めピン22a,22bは、先の図3に示す具体例と同様、基台に対して上下動するものであって、図2で説明したように、ワークテーブル6がカバー9の基板搬入口10側にあって、搬入側搬送コンベア18aからガラス基板17を取り込むときには、基板位置決めピン22a,22bは上昇した状態にあって、基板吸着プレート27の基板載置面27aよりも上方に突出した状態にある。これにより、基板搬入口10(図2)から搬入されたガラス基板17は、これら基板位置決めピン22a,22bに当接することにより、基板吸着プレート27に対して位置決めされる。また、図2で説明したように、ワークテーブル6がカバー9の基板搬出口11側にあって、ワークテーブル6から搬出側搬送コンベア18bにガラス基板17が搬出されるときには、基板位置決めピン22a,22bは下降した状態にあって、基板吸着プレート27の基板載置面27aよりも下方にある。
【0068】
基板吸着プレート27の基板載置面27aには、X(T)軸方向とY軸方向とに沿って所定の間隔でエア噴出/吸着孔28が設けられている(図4では、X軸方向に9個ずつ、Y軸方向に7個ずつ設けられている場合を示すが、これに限るものではない)。これらエア噴出/吸着孔28は、基板載置面27aにガラス基板が位置決めされた状態で搭載されているときには、エア吸着孔として機能し、ガラス基板を基板載置面27aにエア吸着して固定させる。また、搬入側搬送コンベア18aからガラス基板17を搬入するときや搬出側搬送コンベア18bにガラス基板17を搬出するときには、このガラス基板17を基板載置面27a上をX軸(T軸)方向に移動させるために、エア噴出/吸着孔28は、エア噴出孔として機能する。
【0069】
図5は図4におけるエア噴出/吸着孔28での構成の一具体例を示す図であって、29はエア吸着孔、30はエア噴出孔であり、前出図面に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0070】
図5(a)において、エア噴出/吸着孔28には、エア吸着孔29とエア噴出孔30とが連通している。エア吸着孔29では、真空ポンプなどの真空駆動源(図示せず)により、矢印で示すように、基板吸着プレート27の基板載置面27a側のエアが吸引され、エア噴出孔30では、エアポンプなどのエア駆動源(図示せず)により、基板吸着プレート27のエア噴出/吸着孔28から外部にエアが噴出される。ここで、エア吸着孔29は、基板載置面27aに垂直な方向に設置されているが、エア噴出孔30は、基板載置面27aに対してT(X)軸方向に傾斜して設けられており、これにより、エア噴出孔30から噴出されるエアは、エア噴出/吸着孔28から基板載置面27aに対してT(X)軸方向に傾斜して噴出されることになる。
【0071】
図5(b)は、図2で説明したように、ガラス基板17を搬入側搬送コンベア18aからワークテーブル6上に移す場合や塗布処理済みのガラス基板17をワークテーブル6から搬出側搬送コンベア18b上に移す場合のエア噴出/吸着孔28の状態を示すものである。
【0072】
この場合には、エア噴出孔30からダクト量を低減した清浄なエアが噴出するものであって、破線矢印で示すように、エアはエア噴出/吸着孔28から基板載置面27aに対してT(X)軸方向に傾斜して噴出されてガラス基板17の裏面に当てられる。これにより、ガラス基板17は、基板載置面27aからわずかに(例えば、2μm程度)持ち上げられ、かつT軸方向に押されることになる。従って、ガラス基板17は、基板載置面27aに沿ってT(X)軸方向に搬送されることになる。
【0073】
図5(c)は、図2で説明したように、ワークテーブル6上で位置決めされたガラス基板17をこのワークテーブル6の基板載置面27aに固定した状態を示すものである。
【0074】
この場合には、エア吸着孔29からエアを吸引するものであって、図5(b)で説明したように、ガラス基板17がT(X)軸方向に搬送され、基板位置決めピン22a,22b(図4)により、基板載置面27aに対して位置決めされると、エア噴出孔30からのエアの噴出が停止して、代わりにエア吸着孔29からエアの吸引が行なわれる。これにより、ガラス基板17が基板載置面27aに載置され、さらにエアの吸引が行なわれることにより、ガラス基板17が基板載置面27aに吸着されて位置が固定される。
【0075】
このようにして、エアの作用により、基板載置面27aに対してガラス基板17をT(X)軸方向に搬送し、また、ガラス基板17を基板載置面27aに固定するものであり、基板吸着プレート27には、エア噴出/吸着孔28による基板移動機構と基板位置固定機構とが設けられていることになる。また、図5(c)に示す状態にある塗布処理済みのガラス基板17を搬出側搬送コンベア18b(図2)に搬送するときには、図5(c)に示す状態から図5(b)に示す状態に切り替えればよい。エア吸着孔29でのエア吸着/停止やエア噴出孔30でのエア噴出/停止は、電磁弁によって切り替え動作によって行なわれる。
【0076】
なお、基板載置面27aにエア吸着孔29とエア噴出孔30とを別々に設けるようにしてもよいし、また、図5において、エア噴出/吸着孔28にエア噴出孔30のような傾斜したエア孔を連通し、このエア孔をエア吸着とエア噴出とに兼用するようにしてもよい。
【0077】
この具体例では、図3に示す具体例のようなロール16が不要となるし、基板載置部材19を上下動させる駆動手段も不要となり、構成がより簡略化される。
【0078】
図6は図1における塗布ヘッド8の一具体例の要部を拡大して示す斜視図であって、31は塗布材収納筒、32はノズル支持具、33は距離計であり、前出図面に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0079】
同図において、塗布材収納筒31やノズル14が設けられたノズル支持具31及び距離計33は、Z軸移動テーブル13(図2)に設けられている。
【0080】
なお、ガントリ2aの塗布ヘッド8では、塗布材収納筒31に塗布材としてシール材が収納され、ガントリ2bの塗布ヘッド8では、塗布材収納筒31に塗布材として導電性の液体が収納され、ガントリ2cの塗布ヘッド8では、塗布材収納筒31に塗布材として液晶が収納されている。
【0081】
距離計33は、ノズル14の先端部からワークテーブル6(図1)に搭載されているガラス基板17の表面(上面)までの距離を非接触式の三角測距法で計測する。即ち、距離計33の筐体内に発光素子が設けられ、この発光素子から放射されたレーザ光はガラス基板17上の計測点Sで反射し、同じくこの筐体内に設けられた受光素子で受光され、その受光位置に応じて計測される。また、ガラス基板17上でのレーザ光の計測点Sとノズル14の直下位置とは、ガラス基板17上で僅かな距離ΔX及びΔYだけずれているが、この僅かな距離程度のずれでは、ガラス基板17の表面の凹凸の差が無視できる範囲なので、距離計33の計測結果とノズル14の先端部からガラス基板17の表面(上面)までの距離との間に差は殆ど存在しない。従って、この距離計33の計測結果に基いてZ軸移動テーブル13(図2)を制御することにより、ガラス基板17の表面の凹凸(うねり)に合わせてノズル14の先端部からガラス基板17の表面(上面)までの距離(間隔)を一定に維持することができる。
【0082】
このようにして、ノズル14の先端部からガラス基板17の表面(上面)までの距離(間隔)を一定に維持し、かつ、ノズル14から吐出される単位時間当りの塗布材の量を定量に維持することにより、ガラス基板17上に塗布描画されるパターンはその幅や厚さが一様になる。
【0083】
なお、図示しないが、照明の可能な光源を備えた鏡筒と画像認識カメラは、各ノズル14の平行調整や間隔調整用に使用される他、ガラス基板17の位置合わせや塗布材の描画パターンの形状認識などのために、ガラス基板17に対向するように設けられている。
【0084】
図2に戻って、この実施形態では、以上の各部を制御する制御部を備えている。即ち、架台1の内部には、各機構の駆動を行なうリニアモータとテーブルを移動させるモータを制御する主制御部が設けられている。そして、この主制御部に、ケーブルを介して、副制御部が接続されている。副制御部は、Z軸移動テーブル13(図2)を駆動するZ軸サーボモータを制御する。
【0085】
図7はかかる主制御部の構成とその制御の一具体例を示すブロック図であって、34aは主制御部、34aaはマイクロコンピュータ、34abはモータコントローラ、34acは画像処理コントローラ、34adは外部インターフェース、34aeはデータ通信バス、34afはガントリ移動用X軸リニアモータ用ドライバ(以下、X軸ドライバと略称)、34agは塗布ヘッド部移動用Y軸リニアモータ用ドライバ(以下、Y軸ドライバと略称)、34ahはワークテーブル回転用θ軸モータ用ドライバ(以下、θ軸ドライバと略称)、34aiはワークテーブル移動用T軸リニアモータ用ドライバ(以下、T軸ドライバと略称)、34bは副制御部、34cはハードディスク、34dはUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)メモリ、34fはモニタ、34gはキーボード、35はレギュレータ、36はバルブユニット、37は画像認識カメラ、38は通信ケーブルである。
【0086】
同図において、主制御部34aは、マイクロコンピュータ34aa、ガントリ2a〜2cの横梁3でのY軸方向移動機構を駆動するY軸ドライバ34agやガントリ2a〜2cのX軸方向移動機構を駆動するX軸ドライバ34af,ガラス基板17が搭載されたワークテーブル8(図1)をθ軸方向に駆動するθ軸ドライバ34ah,ワークテーブル6をT軸方向に駆動するT軸ドライバ34aiを制御するモータコントローラ34ab、画像認識カメラ37で得られる映像信号を処理する画像処理コントローラ34ac及び副制御部34bや塗布ヘッド8(図1)のシール材などの塗布材の塗布動作を制御するレギュレータ35,バルブユニット36と通信を行なう外部インターフェース34adを内蔵しており、これらマイクロコンピュータ34aaとモータコントローラ34abと画像処理コントローラ34acと外部インターフェース34adとがデータ通信バス34aeを介して相互に接続されている。また、副制御部34bは、この外部インターフェース34adに通信ケーブル38を介して接続されている。
【0087】
また、主制御部34aには、USBメモリ34dや外部記憶装置であるハードディスク34c,モニタ34fやキーボード34gなどが接続されている。キーボード34gから入力されたデータなどは、モニタ34fで表示されるとともに、ハードディスク34cやUSBメモリ34dなどの記憶媒体に記憶保管される。
【0088】
マイクロコンピュータ34aaには、図示しないが、主演算部や後述する塗布描画を行なうための処理プログラムを格納したROM,主演算部での処理結果や外部インターフェース34ad,モータコントローラ34abからの入力データを格納するRAM,外部インターフェース34adやモータコントローラ34abとデータをやりとりする入出力部などを備えている。
【0089】
Y軸ドライバ34agで駆動される各塗布ヘッド8のY軸方向移動機構としてのリニアモータやX軸ドライバ34aで駆動されるガントリ2a〜2c(図1)のX軸方向移動機構4a,4bとしてのリニアモータは、各塗布ヘッド8やガントリ2a〜2cの位置を検出するリニアスケールが設けられており、その検出結果を夫々Y軸ドライバ34ag,X軸ドライバ34afに供給して塗布ヘッド8のY軸方向,X軸方向の位置制御が行なわれる。また、同様にして、θ軸ドライバ34ahで駆動されるワークテーブル6(図1)の回転駆動モータは、このガラス基板17の回転量を検出するエンコーダが内蔵されており、その検出結果をθ軸ドライバ34ahに供給してガラス基板17の向きの制御が行なわれる。さらに、T軸ドライバ34aiで駆動されるワークテーブル6のT軸方向移動機構としてのリニアモータは、このワークテーブル6の位置を検出するリニアスケールが設けられており、その検出結果を夫々T軸ドライバ34aiに供給してワークテーブル6の位置制御が行なわれる。この位置制御により、ワークテーブル6は、図2で示す搬入されたガラス基板17を搭載するための基板搬入側aの位置や塗布処理されたガラス基板17を搬出するための基板搬出側bの位置,A位置,B位置,C位置での位置設定が行なわれる。
【0090】
なお、図7では図示しないが、図3に示す構成のワークテーブル6に対するローラ16a〜16dの回転駆動機構,基板載置部材19や基板位置決めピン22a,22bの上下動駆動機構も設けられており、これらもモータコントローラ34abによって制御される。
【0091】
図8は図7における副制御部34bの一具体例を示すブロック図であって、34baはマイクロコンピュータ、34bbはモータコントローラ、34bcは外部インターフェース、34bdはデータ通信バス、39はZ軸モータ用ドライバ(以下、Z軸ドライバと略称する)であり、前出の図面に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0092】
同図において、副制御部34bは、マイクロコンピュータ34baやモータコントローラ34bb,距離計33(図6)で得られる高さデータの入力や主制御部34aとの信号伝送を行なう外部インターフェース34bcを内蔵しており、これらはデータ通信バス34bdを介して相互に接続されている。また、マイクロコンピュータ34baには、図示しないが、主演算部や後述する塗布描画時のノズル14(図2,図6)のガラス基板17の表面からの高さ制御を行なうための処理プログラムを格納したROM,主演算部での処理結果や外部インターフェース34bc及びモータコントローラ34bbからの入力データを格納するRAM,外部インターフェース34bcやモータコントローラ34bbとデータをやりとりする入出力部などを備えている。モータコントローラ34bbによって制御されるZ軸ドライバ39は、塗布ヘッド8(図1)毎に設けられてそのZ軸サーボモータを駆動するものであって、これらZ軸サーボモータには、その回転量を検出するエンコーダが内蔵されており、その検出結果がZ軸ドライバ39に戻してノズル14の高さ位置制御が行なわれる。
【0093】
主制御部34aと副制御部34bとの連携した制御のもと、各モータ(リニアモータやZ軸サーボモータ,θ軸サーボモータなど)が、キーボード34g(図7)から入力されてマイクロコンピュータ34aaのRAMに格納されているデータに基いて移動・回転することにより、X軸方向移動機構4a,4bがガントリ2a〜2cをX軸方向に任意の距離だけ移動させ、かつ、ノズル14(図2)を上下に移動するZ軸移動テーブル13(図2)を介して、ガントリ2a〜2cの横梁3(図1)に設けられた塗布ヘッド8のY軸方向移動機構により、Y軸方向に任意の距離だけ移動させ、その移動中、塗布材収納筒31(図2)に設定した圧力で継続して加圧されてノズル14の先端部の吐出口からシール材などの液状の塗布材が吐出され、ガラス基板17にこの塗布材による所望のパターンが描画される。
【0094】
ノズル14がY軸方向へ水平移動中に、距離計33がノズル14とガラス基板17の表面との間の間隔を計測し、これを常に一定の間隔を維持するように、ノズル14の高さがZ軸移動テーブル13の上下移動で制御される。
【0095】
副制御部34bによるZ軸方向の制御は、ガントリの機能毎に異なる。ガントリ2aに取り付けた塗布ヘッド8はZ軸方向の移動によってシール材の塗布ヘッド8のノズル14を上下駆動し、ガントリ2bでは、同様に、Z軸方向の移動によって電極部となる打点塗布用の塗布ヘッド8のノズル14を上下駆動し、ガントリ2cでは、同様に、Z軸方向の移動によって液晶滴下用の塗布ヘッド8のノズル14を上下駆動する。
【0096】
ガントリ2aのシール材塗布用の塗布ヘッド8の例で説明すると、主制御部34aと副制御部34bとの連携した制御のもと、各モータが、キーボード34gから入力されてマイクロコンピュータ34aaのRAMに格納されているデータに基いて、移動・回転することにより、ワークテーブル6(図1)に保持されたガラス基板17をX軸方向に任意の距離を移動し、かつ、ノズル14を上下に移動するZ軸移動テーブル13(図2)を介して支持したノズル14(図2)を、ガントリ2a,2bをそのX軸方向移動機構4a,4bでX軸方向に移動させることにより、X軸方向に任意の距離だけ移動させ、その移動中、塗布材収納筒31(図6)に設定した気圧が継続して印加されてノズル14の先端部の吐出口から塗布材、即ち、シール材が吐出され、ガラス基板17に塗布材の所望の描画パターンが塗布される。
【0097】
ノズル14のX軸方向へ水平移動中に、距離計33(図6)でノズル14とガラス基板17との間隔を計測し、この間隔が常に一定に維持されるように、ノズル14のZ軸方向の位置をZ軸移動テーブル13の上下移動によって制御する。
【0098】
図9は以上の第1の実施形態の全体動作の一具体例を示すフローチャートである。以下、図2などを参照して、この動作を説明する。
【0099】
同図において、動作開始されると(ステップ100)、まず、T軸ドライバ34aiが動作して、ワークテーブル6を架台1の基板搬入側a寄り、つまり、図2のA位置寄りに移動させ、これと同時に、ガントリ2b,2cを基板搬出側b寄り、つまり、図2のC位置寄りに退避させる(ステップ101)。次に、搬入側搬送コンベア18aからワークテーブル6へガラス基板17を引き込みつつ、同時にガントリ2aをガラス基板17が位置決めされる位置、つまり、図2のA位置寄りに移動させる。ワークテーブル6の基板位置決めピン22a,22b(図3,図4)で決まる所定の位置でガラス基板17を仮位置決めし、エア吸着孔21(図3),エア噴出/吸着孔28(図4)によって吸着固定する(ステップ102)。
【0100】
しかる後、画像認識カメラ37(図7)でガラス基板17上のマークを認識した後、位置決めし、θ軸ドライバ34ah(図7)によってワークテーブル6の下面に設けられているクロスローラ軸受23やXYθ軸方向微動機構24a〜24dにより、θ軸方向の位置ずれを補正する(ステップ103)。
【0101】
位置ずれが正しく補正されると、Y軸ドライバ34ag(図7)やZ軸ドライバ39(図8)を駆動することにより、ガントリ2aでのY軸移動機構やZ軸移動テーブル13を動作させて、塗布ヘッド8のノズル14(図6)の高さをパターンの描画高さに設定し、塗布ヘッド8でガラス基板17上にシール材を塗布する(ステップ104)。
【0102】
シール材塗布処理後、ワークテーブル6をX軸ドライバ34afを動作させて架台1の中間位置、つまり、図2のB位置に移動させ、同時に、先にシール材塗布を終えたガントリ2aを架台1の搬入側a寄り、つまり、図2のA位置寄りに退避させる(ステップ105)。
【0103】
次に、ガントリ2bを架台1の中間位置、つまり、図2のB位置寄りに移動させ、電極材の打点塗布を実行する(ステップ106)。打点材の塗布が終了すると、ワークテーブル6を架台1の搬出側b寄り、つまり、図2のC位置に移動させ、同時に、電極材の打点塗布処理を終えたガントリ2bを架台1の搬入側a寄り、つまり、図2のA位置寄りに退避させる(ステップ107)。
【0104】
次に、ガントリ2cを架台1の搬出側b寄り、つまり、図2のC位置寄りに移動させ、シール材で囲まれた内部に液晶を滴下塗布する(ステップ108)。
【0105】
これで一連の塗布動作が終了し、ワークテーブル6から搬出側搬送コンベア18bへガラス基板17が移される(ステップ109)。
【0106】
そして、以上の全工程を停止するか否かを判定し(ステップ1110)、全てのガラス基板17についてかかる一連の処理が終了すると、作業が全て終了して動作が停止する(ステップ111)。
【0107】
ところで、以上の第1の実施形態では、1つのガントリに6個の塗布ヘッド8を設置しており、リニアモータによるこれら塗布ヘッド8のためのY軸方向移動機構によってガントリの横梁3上をその長手方向(Y軸方向)に移動できる構造としているものである。このY軸方向移動機構によって塗布ヘッド8の停止位置を変えることにより、外形2〜3(m)角サイズの1枚の大型のガラス基板17から複数枚のパネルを製作する時の塗布に対応できるようにしている。
【0108】
なお、この実施形態では、各ガントリ2a〜2cに6個ずつ塗布ヘッド8を設置し、同じガントリ、例えば、ガントリ2aの6個の塗布ヘッド8は全てシール材塗布用としているが、使用状況に応じて、ガントリ2aの6個の塗布ヘッド8とガントリ2bの6個の塗布ヘッド8との計12個の塗布ヘッド8を全てシール材塗布用として、あるいは打点材塗布用として用いるなどの選択も可能である。
【0109】
また、この実施形態では、同じガントリに設けられている塗布ヘッド8は、全て同じ塗布材をガラス基板17上に塗布するものとしたが、同じガントリに異なる種類の塗布材を塗布する塗布ヘッドを設け、そのガントリに異なる機能をもたせるようにしてもよい。例えば、ガントリ2aにおいて、6個の塗布ヘッド8の内の3個の塗布ヘッド8がシール材を吐出する塗布ヘッドとし、残りの3個の塗布ヘッド8が電極材を吐出する塗布ヘッドとして、このガントリ2aにシール材の塗布機能と電極材の塗布機能との2つの異なる機能を持たせるようにすることもできる。また、このことからして、基台1上にガントリを1台のみ設け、このガントリに、同様にして、シール材の塗布機能、電極材の塗布機能及び液晶の滴下塗布機能を持たせるようにすることもできる。
【0110】
さらに、ガントリ2aに設置した6個の塗布ヘッド8を休止させて、ガントリ2aごと一方のストロークエンド側に退避させ、2つのガントリ2b,2cの塗布ヘッド8を活用することも可能であり、テーチング・データとして設定し、臨機応変に活用することもできる。
【0111】
この第1の実施形態によると、複数材料の塗布、例えば、シール材塗布や導通用打点塗布,液晶滴下塗布を共通のワークテーブル6で行なうものであって、これにより、あたかも3つの機能が1つの装置内に集約して実現できるようになる。
【0112】
図10は本発明による塗布装置及び塗布方法の第2の実施形態の全体構成を概略的に示す構成図であって、40は耐圧カバー、41aは基板搬入ゲート、41bは基板搬出ゲート、42は吸引ブロア、43は配管であり、図2に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0113】
同図において、この第2の実施形態は、架台1上のワークテーブル6とガントリ2a〜2cが移動する範囲を剛性のある耐圧カバー40で覆い、この耐圧カバー40の基板搬入側aに搬入側搬送コンベア18aから耐圧カバー40内にガラス基板17を搬入してワークテーブル6上に載置するための基板搬入ゲート41aと、耐圧カバー40の基板搬出側bに塗布処理済みのガラス基板17を耐圧カバー40内のワークテーブル6から外部に搬出して搬出側搬送コンベア18bに載置するための基板搬出ゲート41bとが設けられており、これらゲート41a,41bは開閉可能であって、ガラス基板17が搬入のために、また、搬出のために通過するときのみ、開放される。
【0114】
また、耐圧カバー40の内部は配管43を通してエア吸引手段としての吸引ブロア42に接続しており、この吸引ブロア42により、耐圧カバー40の内部が大気圧力よりも低い圧力の環境に設定されている。このように、内部を大気圧力よりも低い圧力の環境とすることにより、空気の密度が低下し、ワークテーブル6やガントリ2a〜2cといった構造物の移動によって巻き上がるダストの同伴能力が低下する。このことは、大気圧環境下に比べて、小さいダストしか巻き上がらず、さらには、巻き上がるダストの量が少量となり、クリーンな環境となったことで製造するパネルの歩留まりがより向上することにつながる。
【0115】
なお、塗布処理時間との兼ね合いにもよるが、耐圧カバー40の内部の圧力をさらに下げて高真空にする場合には、吸引ブロア42に代えて、真空ポンプを用いて吸引してもよい。
【0116】
以上の構成以外については、先の第1の実施形態と同様であり、その動作も図9で表わされることになる。
【0117】
以上のように、上記の各実施形態では、複数の機能を有する複数台の装置(ガントリ)を並べ、これら装置を移動可能とするとともに、ガラス基板が載置されたワークテーブルが装置によって塗布処理が行なわれる位置まで移動するものであるから、共通の1台のロボットや装置間に設置した複数台のロボットを使って対象ワークとなるガラス基板の受け渡しを行なうロボット搬送による基板の受け渡しを行なう必要がなく、また、ガラス基板の動線(移動ライン)を短縮することよって、第1に、ガラス基板の搬送時のパーティクル汚染を低減できて、液晶パネルの製造時の部留りが向上し、第2に、設置面積を縮小できてクリーンルームの有効活用が図れる。
【0118】
なお、以上の実施形態では、液晶パネルの作成のための塗布処理を例としたものであるが、これのみに限るものではない。従って、塗布処理される基板も、ガラス基板とは限らないものである。
【符号の説明】
【0119】
1 架台
2a〜2c ガントリ
3 横梁
4a,4b X軸方向移動機構
5a,5b リニアレール
6 ワークテーブル
7 リニアレール
8 塗布ヘッド
9 カバー
10 基板搬入口
11 基板搬出口
13 Z軸移動テーブル
14 ノズル
15,15a〜15e 基板吸着プレート
16,16a〜16d ローラ
17 ガラス基板
18a 搬入側搬送コンベア
18b 搬出側搬送コンベア
19 基板載置部材
20a〜20d 連結部材
21 エア吸着孔
22a,22b 基板位置決めピン
23 クロスローラ軸受
24a〜24d XYθ軸方向微動機構
25 クロスローラ軸受
26 直交軸受
27 基板吸着プレート
27a 基板載置面
27b 前側面
28 エア噴出/吸着孔
29 エア吸着孔
30 エア噴出孔
34af ガントリ移動用X軸リニアモータ用ドライバ
34ag 塗布ヘッド部移動用Y軸リニアモータ用ドライバ
34ah ワークテーブル回転用θ軸モータ用ドライバ
34ai ワークテーブル移動用T軸リニアモータ用ドライバ
34b 副制御部
39 Z軸モータ用ドライバ
40 耐圧カバー
41a 基板搬入ゲート
41b 基板搬出ゲート
42 吸引ブロア
43 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布材を充填した材料収納筒と該塗布材収納筒からの塗布材料を吐出するノズル吐出口とを備えた1または複数の塗布ヘッドを移動可能に設けられたガントリが1または複数台架台上に設置され、該架台上に設置された基板載置テーブルに搭載された基板に対して該ガントリが移動し、該ガントリに対して該塗布ヘッドが移動することにより、該基板に対して該塗布ヘッドが移動し、該ノズル吐出口から該基板上に該塗布材を吐出させる塗布装置において、
外部から該基板載置テーブルへの該基板の搬入は、搬入側搬送コンベアから搬入高さを該基板載置テーブルでの基板載置面と同じ高さに維持した状態で行なわれ、かつ該基板載置テーブルから外部への該基板の搬出は、該基板載置テーブルから搬出側搬送コンベアに搬出高さを該基板載置テーブルでの基板載置面と同じ高さに維持した状態で行われ、
該基板載置テーブルを、搬入側搬送コンベアから搬入された該基板が載置される位置から該基板を該搬出搬送コンベアに搬出する位置まで、該基板を載置した状態で、移動させる第1の移動機構と、
該基板載置テーブルに載置された該基板を回動させる第2の移動機構と
を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記架台上に複数台の前記ガントリが設置され、
複数台の前記ガントリのうちのいずれかの前記ガントリに設けられている前記塗布ヘッドは、他の前記ガントリに設けられている前記塗布ヘッドとは異なる種類の前記塗布材を前記基板上に吐出することを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
同じ前記ガントリに設けられている前記複数の塗布ヘッドのうちのいずれかの前記塗布ヘッドと他の前記塗布ヘッドとは、種類が異なる前記塗布材を前記基板上に吐出することを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
請求項1,2または3において、
前記基板載置テーブルは、
前記基板載置テーブル上で前記基板を一方向に移動させるローラによる基板移動手段と、
前記基板載置テーブル上で前記基板を吸着し、前記基板載置テーブル上で前記基板を位置固定する基板位置固定手段と
を備えたことを特徴とするとする塗布装置。
【請求項5】
請求項1,2または3において、
前記基板載置テーブルは、
前記基板載置テーブル上で前記基板にエアを吹き付けることによって前記基板を一方向に移動させる基板移動手段と、
前記基板載置テーブル上で前記基板を吸着し、前記基板載置テーブル上で前記基板を位置固定する基板位置固定手段と
を備えたことを特徴とするとする塗布装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つにおいて、
前記架台上の前記基板載置テーブルの移動範囲を耐圧カバーで覆い、該耐圧カバーで覆われた内部をエア吸引手段で大気圧よりも低い気圧に設定し、該低い気圧の環境内で前記ガントリの前記塗布ヘッドで前記基板載置テーブルに載置された前記基板への塗布動作を行なうことを特徴とするとする塗布装置。
【請求項7】
塗布材料を充填した塗布材収納筒と該塗布材収納筒からの塗布材料を吐出するノズル吐出口とを備えた1または複数の塗布ヘッドが移動可能に設けられたガントリが1または複数台で架台上に設置され、該架台上に設置された基板載置テーブルに載置された基板に対して該ガントリが移動し、該ガントリに対して該塗布ヘッドが移動することにより、該基板に対して該塗布ヘッドが移動し、該ノズル吐出口から該基板上に該塗布材を吐出させる塗布方法において、
外部から該基板載置テーブルへの該基板の搬入は、搬入側搬送コンベアから搬入高さを該基板載置テーブルでの基板載置面と同じ高さに維持した状態で行なわれ、かつ該基板載置テーブルから外部への該基板の搬出は、該基板載置テーブルから搬出側搬送コンベアに搬出高さを該基板載置テーブルでの基板載置面と同じ高さに維持した状態で行われ、
該基板載置テーブルは、搬入側搬送コンベアから搬入された該基板が載置される位置から該基板を該搬出搬送コンベアに搬出する位置まで、該基板を載置した状態で、移動し、
該基板載置テーブルに載置された該基板を回動させてθ軸ずれを補正する
ことを特徴とする塗布方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記架台上に複数台の前記ガントリが設置され、
複数台の前記ガントリのうちのいずれかの前記ガントリに設けられている前記塗布ヘッドは、他の前記ガントリに設けられている前記塗布ヘッドとは異なる種類の前記塗布材を前記基板上に吐出することを特徴とする塗布方法。
【請求項9】
請求項7または8において、
同じ前記ガントリに設けられている前記複数の塗布ヘッドのうちのいずれかの前記塗布ヘッドと他の前記塗布ヘッドとは、種類が異なる前記塗布材を前記基板上に吐出することを特徴とする塗布方法。
【請求項10】
請求項7,8または9において、
前記基板載置テーブル上で前記基板をローラによる基板移動手段で一方向に移動させて前記基板載置テーブル上での前記基板の位置決めを行ない、
位置決めされた前記基板を吸着して、前記基板載置テーブル上で前記基板を位置固定する
ことを特徴とするとする塗布方法。
【請求項11】
請求項7,8または9において、
前記基板載置テーブル上で前記基板にエアを吹き付けることにより、前記基板を一方向に移動させて前記基板載置テーブル上での前記基板の位置決めを行ない、
位置決めされた前記基板を吸着して、前記基板載置テーブル上で前記基板を位置固定する
ことを特徴とするとする塗布方法。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれか1つにおいて、
前記架台上の前記基板載置テーブルの移動範囲を耐圧カバーで覆い、該耐圧カバーで覆われた内部を大気圧よりも低い気圧に設定し、該低い気圧の環境内で前記ガントリの前記塗布ヘッドで前記基板載置テーブルに載置された前記基板への塗布動作を行なうことを特徴とするとする塗布方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−284580(P2010−284580A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139430(P2009−139430)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】