説明

塗布装置及び方法

【課題】塗布液がバックアップローラに転写することを防止でき、ライン速度をあげることのできる塗布装置及び方法を提供する。
【解決手段】スライドビードコータ84のスライド面86上にガイド部材100を設け、幅方向の端部を流れる塗布液88をスライドビードコータ84の側方に誘導する。これにより、スライド面86の先端とバックアップローラ82の露出面との間に塗布液88が流れなくなるので、バックアップローラ82に塗布液88が付着することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗布装置及び方法に係り、特に、薄い金属板、紙、フィルム等のシート状或いはウエブ状の被塗工基材(以下「ウエブ」という)に各種の液状物質を塗り付ける塗布装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平版印刷原版の感光層の表面にポリビニルアルコールなどの酸素非透過性樹脂の薄膜からなる酸化保護層を形成し、感光層を空気中の酸素から保護することが現在広く行なわれている。
【0003】
酸化保護層の形成にはスライドビード型塗布装置が使用される。スライドビード型塗布装置は一般的に、酸素非透過性樹脂の溶液などの塗布液を吐出する吐出スリットとこの吐出スリットから吐出された塗布液が流下するスライド面とが形成されたスライドビードコータと、このスライドビードコータのスライド面の先端近傍に設けられ、平版印刷原版を巻き掛けて一定方向に搬送するバックアップローラとを備える。このようなスライドビード型塗布装置においては、バックアップローラによって平版印刷原版を感光層が外側を向くように搬送しつつ、前記吐出スリットから溶液を吐出してスライド面に沿って流下させ、スライド面の先端部と平版印刷原版の感光層表面との間に塗布液架橋(以下、ビードという)を形成し、溶液を塗布している。
【0004】
ところで、スライドビード型塗布装置においてライン速度のスピードアップを図ると、スライド面先端とウエブ表面との間からウエブによって持ち込まれる同伴エアのためにビードが不安定になり、塗布面上に故障を発生するおそれがあった。特に、ウエブの幅方向の端部位置ではビードが不安定になりやすく、塗り残し等の問題を発生するおそれがあった。
【0005】
ビードを安定させる方法としては、ビード形成部の前段に負圧チャンバを設ける方法がある。この方法によれば、スライド面先端とウエブ表面との間から同伴エアが持ち込まれることを抑制できるので、ビードを安定させることができる。
【0006】
また、特許文献1〜3には、ウエブの幅方向の端部位置でビードを安定させる方法が提案されている。これらの方法は、スライド面上を流下する塗布液を、幅方向の端部位置において厚膜にすることによって、ビードを安定させることができる。
【特許文献1】特開平10−165872号公報
【特許文献2】特開平10−151397号公報
【特許文献3】特開平10−128212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、負圧チャンバを設ける方法や、厚膜な流れを形成する方法は、所定の速度以上にライン速度を上げるとビードの形成が不安定になり、塗布精度が低下するという問題があった。
【0008】
そこで、ウエブ表面とスライド面先端との隙間を狭くすることによって、ウエブに同伴するエアを抑制し、ビードを安定させる方法が考えられる。しかし、ウエブ表面とスライド面先端との隙間が狭いと、塗布液がウエブに転写するだけでなくバックアップローラの露出面(具体的にはウエブが巻きかけられた部分よりも幅方向に外側の部分)にも転写(付着)するという問題があった。バックアップローラの表面に転写した塗布液は、ウエブの裏側にまわり込んで付着し、ウエブの裏面が汚れるという不具合が発生する。このため、従来の塗布装置は、ウエブ表面とスライド面先端との隙間を狭くすることができず、空気同伴を抑制できないため、ライン速度を向上させることができないという問題があった。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、塗布液がバックアップローラに転写することを防止でき、ライン速度をあげることのできる塗布装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、長手方向に走行する長尺状のウエブが巻きかけられるとともに前記ウエブよりも幅寸法の大きいバックアップローラと、吐出スリットから塗布液を帯状に吐出し、スライド面を流下させ、該スライド面の先端と前記バックアップローラに巻きかけられたウエブとの間に塗布液架橋を形成して塗布を行うスライドビードコータを備えた塗布装置において、前記スライド面上に設けられ、該スライド面を流下する塗布液のうち幅方向の端部を流れる塗布液を、前記ウエブが巻きかけられてないバックアップローラの露出面の外側に流れるようにガイドするガイド部材を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、ガイド部材を設けたので、スライド面上で幅方向の端部に流れる塗布液は、バックアップローラの露出面の外側に流れる。したがって、前記隙間に流れる塗布液の流量が減少、或いは零になり、バックアップローラ表面に塗布液が付着することを防止できる。これにより、スライド面先端とバックアップローラとの隙間(すなわち、スライド面先端とウエブとの隙間)を狭くした場合であってもバックアップローラの露出面への塗布液の転写を防止できるので、結果としてライン速度を向上させることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記ガイド部材の位置を前記ウエブの幅方向に調節する幅方向位置調節手段が設けられることを特徴とする。請求項2の発明によれば、ガイド部材の位置をウエブの幅方向に調節できるので、幅寸法の異なるウエブに変更した場合であっても、容易に対応することができる。したがって、幅寸法の異なる多種のウエブを連続して効率よく製造することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は請求項1又は2の発明において、前記ガイド部材と前記スライド面との距離を調節するスライド面距離調節手段が設けられることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明によれば、ガイド部材とスライド面との距離を調節することができるので、ガイド部材をスライド面に当接させたり、或いはスライド面から離して配置したりすることができる。ガイド部材をスライド面に当接させた場合、前記隙間のうち、ウエブに対応する部分の外側に流れる塗布液の流量が零になるので、バックアップローラへの塗布液の転写を確実に防止することができる。
【0015】
また、ガイド部材をスライド面から離して配置した場合、塗布液の一部は前記隙間の外側に流れ、残りの塗布液がスライド面を流下して前記隙間に流れる。したがって、スライド面には常に塗布液が流れるので、スライド面の乾きを防止することができ、スライド面の乾き等によって塗布液が変質することを防止できる。また、前記隙間のうちウエブに対応する部分の外側に流れる塗布液の流量が減少するので、バックアップローラに塗布液が転写することを抑制することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は前記目的を達成するために、長手方向に走行する長尺状のウエブが巻きかけられるとともに前記ウエブよりも幅寸法の大きいバックアップローラと、吐出スリットから塗布液を帯状に吐出し、スライド面を流下させ、該スライド面の先端と前記バックアップローラに巻きかけられたウエブとの間に塗布液架橋を形成して塗布を行うスライドビードコータと、前記スライド面の先端に対して前記ウエブの走行方向の上流側に設けられた減圧チャンバとを備えた塗布装置において、前記減圧チャンバは、前記ウエブに面した部分よりも、前記ウエブが巻きかけられてないバックアップローラの露出面に面した部分の方が減圧度が大きいことを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、ウエブに面した部分での吸引力よりも、バックアップローラの露出面に面した部分での吸引力の方が大きくなるので、バックアップローラの露出面に面した隙間に流下した塗布液は、ウエブに面した隙間に流下した塗布液よりも大きな吸引力で減圧チャンバ内に吸引される。したがって、バックアップローラに転写することなく吸引される。
【0018】
請求項5に記載の発明は請求項4の発明において、前記減圧チャンバの内部には、前記ウエブに面する部分と、前記バックアップローラに面する部分とを仕切る仕切板が設けられ、該仕切板は前記ウエブの幅方向に移動自在に支持されることを特徴とする。請求項5の発明によれば、仕切板をウエブの幅方向に移動することによって、幅寸法の異なるウエブにも容易に対応することができる。したがって、幅寸法の異なる多種のウエブを連続して効率よく製造することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は前記目的を達成するために、長手方向に走行する長尺状のウエブが巻きかけられるバックアップローラと、吐出スリットから塗布液を帯状に吐出し、スライド面を流下させ、該スライド面の先端と前記バックアップローラに巻きかけられたウエブとの間に塗布液架橋を形成して塗布を行うスライドビードコータを備えた塗布装置において、前記バックアップローラは、前記ウエブよりも小さな幅寸法で形成され、前記ウエブは幅方向の両端部が前記バックアップローラから突出した状態で該バックアップローラに巻きかけられることを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、ウエブの幅方向の両端部がバックアップローラから突出した状態で巻きかけられるので、バックアップローラはウエブの内側に入った状態であり、塗布液がバックアップローラに付着することがない。したがって、スライド面先端とウエブ表面との隙間を狭くした場合であってもバックアップローラへの塗布液の転写を防止できるので、結果としてライン速度を向上させることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は請求項6の発明において、前記ウエブは金属製支持体であることを特徴とする。したがって、ウエブの幅方向の両端部がバックアップローラから突出した状態であっても、その両端部に塗布を確実に行うことができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は前記目的を達成するために、長尺状のウエブを、該ウエブよりも幅寸法が大きいバックアップローラに巻きかけて長手方向に走行させながら、スライドビードコータの吐出スリットから塗布液を帯状に吐出してスライド面を流下させ、該スライド面の先端と前記バックアップローラに巻きかけられたウエブの表面との間に塗布液架橋を形成することによって塗布を行う塗布方法において、前記スライド面を流下する塗布液を、幅方向の端部位置に設けたガイド部材でガイドすることによって、前記ウエブが巻きかけられてないバックアップローラの露出面の外側へ流すことを特徴とする。
【0023】
請求項8の発明によれば、スライド面上で幅方向の端部位置に流れる塗布液を、スライド面先端とバックアップローラ表面との隙間の外側へ流すようにしたので、前記隙間に流れる塗布液の流量が減少、或いは零になり、バックアップローラ表面に塗布液が付着することを防止できる。これにより、スライド面先端とウエブ表面との隙間を狭くした場合であってもバックアップローラへの塗布液の転写を防止できるので、結果としてライン速度を向上させることができる。
【0024】
請求項9に記載の発明は前記目的を達成するために、長尺状のウエブを、該ウエブよりも幅寸法の大きいバックアップローラに巻きかけて長手方向に走行させながら、スライドビードコータの吐出スリットから塗布液を帯状に吐出してスライド面を流下させ、該スライド面の先端と前記バックアップローラに巻きかけられたウエブの表面との間に塗布液架橋を形成することによって塗布を行う塗布方法において、前記スライド面の先端に対して前記ウエブの走行方向の上流側を減圧するとともに、前記ウエブに面する部分よりも、前記ウエブが巻きかけられてないバックアップローラの露出面に面する部分の減圧度を大きくすることを特徴とする。
【0025】
請求項9の発明によれば、ウエブに面する部分よりもバックアップローラの露出面に面する部分の吸引力が大きいので、スライド面先端とバックアップローラ表面との隙間に流下した塗布液は、スライド面先端とウエブ表面との隙間に流下した塗布液よりも大きな吸引力で吸引される。したがって、バックアップローラに転写することなく吸引される。
【0026】
請求項10に記載の発明は前記目的を達成するために、長尺状のウエブをバックアップローラに巻きかけて長手方向に走行させながら、スライドビードコータの吐出スリットから塗布液を帯状に吐出してスライド面を流下させ、該スライド面の先端と前記バックアップローラに巻きかけられたウエブの表面との間に塗布液架橋を形成することによって塗布を行う塗布方法において、前記バックアップローラは、前記ウエブよりも小さな幅寸法で形成され、前記ウエブは、該ウエブの幅方向の両端部が前記バックアップローラから突出した状態で前記バックアップローラに巻きかけられることを特徴とする。
【0027】
請求項10の発明によれば、ウエブの幅方向の両端部がバックアップローラから突出した状態で巻きかけられるので、バックアップローラはウエブの内側に入った状態であり、塗布液がバックアップローラに付着することがない。したがって、スライド面先端とウエブ表面との隙間を狭くした場合であってもバックアップローラへの塗布液の転写を防止できるので、結果としてライン速度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る塗布装置及び方法によれば、バックアップローラの露出面に塗布液が付着することを防止できるので、ウエブ表面とスライド面先端との隙間を狭めて、ウエブに同伴するエアを抑制することができ、ビードを安定させることができる。したがって、ライン速度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下添付図面に従って本発明に係る塗布装置及び方法の好ましい実施の形態について説明する。
【0030】
図1には本発明に係る塗布装置としてスライドビード型塗布装置を用いた、フォトポリマ型平版印刷版の素材としてのウエブの製造ライン10を示す構成図である。
【0031】
図1に示すように、製造ライン10の最も上流側(図1の左側)には送出装置16が配置されており、この送出装置16には、例えば厚さ0.1〜0.5mmのアルミウエブ12がロール状に巻き取られたアルミコイル14が装填されている。送出装置16は製造ライン10全体での製造速度に対応する速さでアルミウエブ12を下流側へ送り出している。ここで、平版印刷版用支持体の素材としてのアルミニウム板は、例えば、JIS1050材、JIS1100材、JIS1070材、Al−Mg系合金、Al−Mn系合金、Al−Mn−Mg系合金、Al−Zr系合金、Al−Mg−Si系合金等を適用し得る。メーカにおけるアルミニウム板の製造過程では、上記規格に適合するアルミニウムの鋳塊を製造し、このアルミニウム鋳塊を熱間圧延した後、必要に応じて焼鈍と呼ぶ熱処理を施し、冷間圧延により所定の厚さとされた帯状のアルミニウム板に仕上げる。このアルミニウム板はロール状に巻き取られてアルミコイルとされる。
【0032】
製造ライン10では、まず、送出装置16により下流側へ送り出されたアルミウエブ12を、平坦性を改善するためにローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置(図示省略)によって形状を矯正して必要な平坦性を得る。
【0033】
矯正装置の下流側には、アルミウエブ12の搬送経路に沿って上面研磨装置18及び下面研磨装置20が順次配置されている。
【0034】
上面研磨装置18には、アルミウエブ12の上面に接するように支持された研磨ローラ22が設けられると共に、アルミウエブ12の下面に接するように一対のテンションローラ24が設けられている。研磨ローラ22は、そのローラ面が例えば不織布により構成されており、研磨時にはローラ面の線速度がアルミウエブ12の搬送速度に対して十分大きくなるように高速回転される。このとき、研磨ローラ22の回転方向は、アルミウエブ12との接触部でのローラ面の移動方向がアルミウエブ12の搬送方向と同一となる順回転方向でも、またローラ面の移動方向がアルミウエブ12の搬送方向と反対となる逆回転方向の何れでもよい。また一対のテンションローラ24は、アルミウエブ12の搬送方向に沿って研磨ローラ22を挟むように配置され、アルミウエブ12を上方へ付勢し、アルミウエブ12の上面を所定の接触圧で研磨ローラ22のローラ面へ圧接させている。
【0035】
上面研磨装置18には、セラミック粒子等を含む研磨剤を水に分散させたスラリーを研磨ローラ22とアルミウエブ12との接触部へ供給するスラリー供給部(図示省略)が設けられており、このスラリー供給部はアルミウエブ12の研磨時に単位時間当たりに所定量のスラリーを供給する。このスラリー中の研磨材が研磨ローラ22によりアルミウエブ12の上面へ擦り付けられることにより、アルミウエブ12上面のミクロ的な凹凸が平均化されるように研磨されて表面粗さが小さくなっていく。
【0036】
なお、上面研磨装置18による研磨の研磨条件は、メーカから供給されるアルミウエブ12の初期表面粗さ、製造ライン10によるアルミウエブ12の搬送速度等により変化する。したがって、アルミウエブ12の初期表面粗さ、搬送速度等に応じて研磨ローラ22の回転速度、研磨材の種類及び粒径等を設定すればよい。また、本実施形態では、1台の上面研磨装置18によってアルミウエブ12の上面を研磨しているが、複数台の上面研磨装置18をアルミウエブ12の搬送経路に沿って配置し、それぞれの上面研磨装置18により段階的にアルミウエブ12の上面を表面粗さが所定値以下となるまで研磨するようにしてもよい。
【0037】
上面が研磨されたアルミウエブ12は、上面研磨装置18の下流側に配置された下面研磨装置20により下面の表面粗さ(JIS中心線平均粗さ)が一定値以下となるように研磨される。ここで、下面研磨装置20の構造は、研磨ローラ22と一対のテンションローラ24がアルミウエブ12を介して上下逆に配置されている点を除いて、上面研磨装置18と同一であるので説明を省略する。なお、アルミウエブ12の下面の表面粗さは、0.25〜0.75μm以下とすることが好ましく、このための研磨条件(研磨ローラ22の回転速度、研磨材の種類及び粒径等)も上面の場合と同様、アルミウエブ12の初期表面粗さ、搬送速度等に応じて設定すればよい。
【0038】
研磨装置18、20により研磨されたアルミウエブ12は、研磨装置18、20の下流側で機械的又は電気化学的にその表面が粗面化される。このような粗面化方法としては、機械的な砂目立て法,電気化学的な砂目立て法などがあり、それらを単独で、あるいは適宜組合わせて粗面化を行うことができる。機械的な砂目立て法としては、例えば、ボールグレイン、ワイヤーグレイン、ブラシグレイン、液体ホーニング法などがある。また電気化学的砂目立て方法としては、交流電解エッチング法が一般的に採用されており、電解電流としては、普通の正弦波交流電流あるいは矩形波や、特殊交番電流などが用いられている。またこの電気化学的砂目立ての前処理として、アルミニウム板を苛性ソーダなどでエッチング処理をしても良い。
【0039】
製造ライン10には、粗面化処理が完了したアルミウエブ12に対して公知の陽極酸化処理を行う陽極酸化装置(図示省略)が設けられている。この陽極酸化装置は、アルミウエブ12の表面を公知の液中給電方式により陽極酸化してアルミウエブ12の表面に高い硬度を有する陽極酸化皮膜を形成する。このとき、アルミウエブ12の表面には、0.1〜10g/m2 の陽極酸化皮膜、より好ましくは0.3〜5g/m2 の陽極酸化皮膜が形成される。また陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって設定を変更する必要があるので一概には決定されないが、一般的には、電解液の濃度は1〜80wt%、液温は5〜70℃、電流密度は0.5〜60A/dm2 、電圧は1〜100V、電解時間は1sec〜5minの範囲内でそれぞれ設定される。
【0040】
陽極酸化装置の下流側には、図1に示すように、アルミウエブ12に対する感光性材料(フォトポリマー)の塗布装置26及び乾燥装置28がそれぞれ設置されている。図2に示すように、塗布装置26は、軸受部材62に回転可能に、且つアルミウエブ12に接触するように支持されたロッド64を有している。軸受部材62に隣接して堰部材66が設けられており、これらの間には塗布液供給路68が構成されている。この塗布液供給路68から供給された塗布液70(フォトポリマー)が、アルミウエブ12に接触して液溜まり72を形成する。そして、ロッド64が回転することにより、液溜まり72の塗布液70が掻き上げられてアルミウエブ12に転移される。このような構成とされた塗布装置26は、いわゆるバー塗布(あるいはロッド塗布)を行う塗布装置である。
【0041】
塗布装置26の下流側に配置された乾燥装置28には、防爆及び断熱構造とされた乾燥槽46が設けられると共に、この乾燥槽46内に複数本の案内ローラ48が配置されている。フォトポリマーが転移されたアルミウエブ12は、案内ローラ48により上面側から案内されつつ乾燥槽46内を移動する。このとき、乾燥槽46内へ熱風50が供給されることにより、アルミウエブ12上のフォトポリマーが乾燥されて感光層が形成される。
【0042】
フォトポリマーの乾燥装置28の下流側には、本発明が適用されたポリビニルアルコール(PVA)の塗布装置30、及び乾燥装置32がそれぞれ設置されている。
【0043】
図3に示すように、塗布装置30は、アルミウエブ12が巻きかけられるバックアップローラ82と、このバックアップローラ82に隣接配置されたスライドビードコータ84と、で構成されている。スライドビードコータ84の上面は、バックアップローラ82に向かって下降し、下端がアルミウエブ12との間にわずかな隙間を構成するように形成された傾斜面(スライド面)86とされている。また、スライドビードコータ84の内部には、塗布液88(PVA)を貯留する貯留部90が設けられており、吐出スリット92に連通されている。図示しない流出装置によって、貯留部90内の塗布液88が吐出スリット92からスライド面86に流出され、スライド面86を流れて(スライドして)、アルミウエブ12に転移される。このような構成とされた塗布装置30は、いわゆるスライド塗布を行う塗布装置である。なお、本実施形態では、塗布液88が1種類のみ(PVA)であるため、貯留部90は図3に実線で示すように1つのみ設けられていれば十分であるが、複数の塗布液を多層に塗布する場合には、これに対応して、図3に二点鎖線で示すように貯留部90が複数設けられたものが使用される。また、一般的にスライドビードコータ84には隣接して減圧チャンバ98が設けられており、スライド面86の先端(図3の右端)に対してアルミウエブ12の走行方向の上流側から負圧がかけられている。
【0044】
塗布装置30の下流側に配置された図1の乾燥装置32は、基本的にフォトポリマーの乾燥装置28と同一構造とされており、その乾燥槽56内を移動するアルミウエブ12を複数本の案内ローラ58により案内しつつ、アルミウエブ12上のPVAを熱風50によって乾燥する。これにより、アルミウエブ12上には、感光層を覆うように酸素遮断層としてのオーバーコート層が形成される。ただし、感光層とオーバーコート層とではそれぞれ適正な乾燥条件が異なるため、それぞれの乾燥条件に応じて乾燥槽46、56へ供給される熱風温度や乾燥槽46、56の搬送方向に沿った長さ等が設定されている。
【0045】
このようにして、本実施形態の製造ライン10では、感光層上にオーバーコート層が形成されることにより、フォトポリマ型平版印刷版の素材としてのウエブの製造が完了する。製造されたウエブはウエブ巻取装置38によりロール状に巻き取られてウエブロール36とされる。このウエブロール36は、フォトポリマ型平版印刷版の加工ライン(図示省略)のウエブ供給装置へ供給され、このウエブ供給装置により巻き出されて加工ラインの加工速度に対応する速度でラインの下流側へ供給される。
【0046】
ところで、本発明に係る塗布装置30には、塗布液88がバックアップローラ82の表面に付着することを防止する付着防止手段が設けられている。以下、付着防止手段の異なる第1〜第4の実施形態について説明する。
【0047】
図4は、第1の実施形態の塗布装置を示す平面図であり、図5は図4の5−5線に沿う断面図である。図4に示すように、第1の実施形態の塗布装置は、スライド面86上に、一対のガイド部材100、100を備えている。各ガイド部材100は三角柱状に形成されており、その側面の一つ(以下、側面100a)は、スライド面86上の塗布液88の流れと平行に、且つ、バックアップローラ82に巻きかけられたアルミウエブ12の幅方向の端部位置に合わせて配置されている。また、ガイド部材100は、他の側面100b、100cが側面100aよりも外側に配置されており、特に側面100bは、塗布液88をスライドビードコータ84の側面に誘導するように形成されている。
【0048】
また、ガイド部材100は、図5に示すように、底面100dがスライド面86に当接されている。各ガイド部材100の上部には連結部材102が取り付けられており、この連結部材102には送りネジ104が螺合されている。送りネジ104はアルミウエブ12の幅方向に配設されており、不図示の駆動モータによって回転するようになっている。また、連結部材102は、アルミウエブ12の幅方向に配設されたガイドレール(不図示)に沿ってスライド自在に支持されている。したがって、前記駆動モータを駆動すると、連結部材102がアルミウエブ12の幅方向に移動し、ガイド部材100の位置がアルミウエブ12の幅方向に調節される。ガイド部材100の位置は、上述したように側面100aがアルミウエブ12の幅方向の端部位置になるように調節される。なお、ガイド部材100の位置を調節する手段は、送りネジ機構に限定するものではなく、油圧シリンダ等の他の手段を用いてもよい。
【0049】
上記の如く構成された塗布装置によれば、スライド面86を流下する塗布液88のうち、幅方向の端部を流れる塗布液88は、ガイド部材100の側面100bによってスライドビードコータ84の側方に誘導される。したがって、塗布液88は、スライド面86先端とアルミウエブ12表面との隙間S1に流れる一方で、スライド面86先端とバックアップローラ82の露出面との隙間S2に流れることが防止される。これにより、バックアップローラ82の露出面に塗布液88が付着することを防止できる。よって、バックアップローラ82とスライドビードコータ84の距離を縮めてビードを安定させることができ、ライン速度の向上を図ることができる。
【0050】
また、本実施の形態の塗布装置によれば、アルミウエブ12の幅方向の端部位置に応じてガイド部材100の位置をアルミウエブ12の幅方向に調節することができるので、幅寸法の異なるアルミウエブ12に変更した場合にも容易に対応することができ、バックアップローラ82への塗布液88の付着を確実に防止できる。
【0051】
なお、アルミウエブ12の幅方向の端部位置を検出する検出手段を設け、この検出手段の検出結果に基づいてガイド部材100の位置を幅方向に調節し、ガイド部材100の側面100aが常にアルミウエブ12の幅方向の端部位置に配置されるようにしてもよい。これにより、アルミウエブ12が蛇行した場合にも、常にバックアップローラ82に塗布液88が付着することを防止できる。
【0052】
また、上述した実施形態においてガイド部材100の底面100dにゴム等の弾性体を設け、ガイド部材100とスライド面86との密着性を高めてもよい。
【0053】
さらに、ガイド部材100の形状は上述した実施の形態に限定されるものではなく、スライド面86を流下する塗布液88のうち幅方向の端部を流れる塗布液88が隙間S2の外側に誘導される形状であればよい。したがって、例えば側面100bを円弧状の凹形状に形成してもよい。
【0054】
図6は第2の実施形態の塗布装置を示す平面図であり、図7は図6の7−7線に沿う断面図である。なお、第2の実施形態の塗布装置は、図4、図5に示した第1の実施形態と比較して、第1の実施形態のガイド部材100がスライド面86に当接していたのに対し、第2の実施形態のガイド部材110はスライド面86から離れて配置されている点で大きく異なっている。
【0055】
図7に示すように、第2の実施形態のガイド部材110は、その底部110dがスライド面86から離れて配置されている。底部110dとスライド面86との距離は、吐出スリット92からの塗布液88の吐出量に応じて調節され、底部110dが確実に塗布液88に触れる範囲に調節される。
【0056】
ガイド部材110の上端には連結部材112が取り付けられる。連結部材112はガイドレール116にスライド自在に支持されており、ガイドレール116は上下方向に配置されるとともに、装置本体(不図示)に固定された支持部材118に取り付けられている。支持部材118には、上下方向に配置された送りネジ114が回動自在に支持され、この送りネジ114に前記連結部材112が螺合される。送りネジ114は、モータ120によって回転するようになっている。したがって、モータ120を駆動すると、送りネジ114が回転し、連結部材112が上下方向に移動する。これにより、ガイド部材110の位置を上下方向に調節することができ、ガイド部材110とスライド面86との距離を調節することができる。なお、ガイド部材110とスライド面86との距離は、0.05mm以上3mm以下に調節することが好ましい。これは、ガイド部材110とスライド面86との距離が0.05mm未満だと、スライド面86上の液量が少なくなり、渇きが発生し、反対に、ガイド部材110とスライド面86との距離が3mmを超えると、スライド面86上の液量が多くなり、塗布液88がバックアップローラ82に付着するためである。
【0057】
図6に示すように、ガイド部材110は、略V字状に形成され、その鋭角な部分が塗布液88の流れ方向の上流側に配置される。したがって、ガイド部材110に触れた塗布液88は、ガイド部材110によって内側と外側とに別れて誘導される。その際、外側に誘導された塗布液88は、スライドビードコータ84の側方に流れるように構成され、内側に誘導された塗布液88は、アルミウエブ12の端部に流れるように構成される。
【0058】
上記の如く構成された第2の実施形態によれば、ガイド部材110がスライド面86から離れて配置されているので、スライド面86の幅方向の端部を流れる塗布液88は、その一部がガイド部材110によってスライドビードコータ84の側方に押し出される一方で、残りがガイド部材110とスライド面86との間を通り、スライド面86先端とバックアップローラ82の露出面との隙間S2に流れ込む。したがって、隙間S2に流れる塗布液88の流量が減少するので、バックアップローラ82の露出面に塗布液88が付着することを防止することができる。よって、バックアップローラ82とスライドビードコータ84の距離を縮めて同伴エアの流れ込みを防止することができ、ビードを安定させることができるので、ライン速度を向上させることができる。
【0059】
また、第2の実施形態によれば、ガイド部材110をスライド面86から離して配置することによって、塗布液88がスライド面86に常に流れるようにしたので、スライド面86が露出されることがない。したがって、スライド面86に付着した塗布液88が乾くことがなく、乾きによる塗布液88の変質を防止することができる。
【0060】
また、第2の実施形態によれば、ガイド部材110がV状に形成されているので、塗布液88はアルミウエブ12の幅方向の端部位置において膜厚な流れを形成する。したがって、幅方向の端部位置においてビードを安定して形成することができ、ライン速度の増加時に面上故障が発生することを防止できる。
【0061】
さらに第2の実施形態では、ガイド部材110とスライド面86との距離を調節できるようにしたので、塗布液88の吐出流量や、バックアップローラ82とスライドビードコータ84との距離を変えた場合にも対応することができる。
【0062】
なお、第2の実施の形態においても、第1の実施形態と同様に、ガイド部材110の位置をアルミウエブ12の幅方向に調節できるように構成するとよい。これにより、アルミウエブ12の幅寸法を変更した場合にも容易に対応することができる。
【0063】
図8は、第3の実施形態のスライドビードコータ84を示す斜視図である。同図に示すように、第3の実施形態のスライドビードコータ84には、減圧チャンバ130が隣接して形成されている。減圧チャンバ130は、スライド面86の先端に対して、アルミウエブ12の走行方向の上流側に配置されており、二点鎖線で示すバックアップローラ82に対して所定の隙間をおいて配置されている。
【0064】
減圧チャンバ130の内部には、二枚の仕切板132、132が設けられており、この仕切板132によって減圧チャンバ130の内部が中央のエリア130aと両サイドのエリア130b、130bに仕切られている。中央のエリア130aと両サイドのエリア130b、130bはそれぞれ異なる負圧発生源134a、134bに接続されている。そして、中央部のエリア130aよりも両サイドのエリア130bの方が減圧度が大きくなるように設定される。たとえば、中央部のエリア130aの内圧を−300Paとし、両サイドのエリア130bの内圧を−500Paとする。
【0065】
仕切板132、132は、アルミウエブ12の幅方向にスライド自在に支持され、不図示の駆動手段によって移動するようになっている。仕切板132、132の位置は、バックアップローラ82に巻きかけられたアルミウエブ12の幅方向の端部位置になるように配置される。したがって、中央のエリア130aはアルミウエブ12に面して形成され、両サイドのエリア130b、130bはバックアップローラ82の露出面に面して形成される。
【0066】
上記の如く構成された第3の実施形態によれば、バックアップローラ82に面した部分の減圧度が、アルミウエブ12に面した部分の減圧度よりも大きいので、バックアップローラ82とスライド面86先端との隙間に流れた塗布液88は、アルミウエブ12とスライド面86先端との隙間に流れた塗布液88よりも大きな吸引力で減圧チャンバ130内に吸引される。したがって、塗布液88がアルミウエブ12とスライド面86先端との隙間にビードを形成した状態であっても、バックアップローラ82とスライド面86先端との隙間に流れた塗布液88は、バックアップローラ82に付着することなく減圧チャンバ130に流れる。これにより、塗布液88がバックアップローラ82に付着することを防止できるので、バックアップローラ82とスライドビードコータ84との距離を縮めてビードを安定させることができ、ライン速度を向上させることができる。
【0067】
また、上記の如く構成された第3の実施形態によれば、幅寸法の異なるアルミウエブ12に変更した際に、そのアルミウエブ12の幅方向の端部位置に合わせて仕切板132、132の位置を移動させることによって、アルミウエブ12の幅寸法の変更に容易に対応することができる。
【0068】
図9は、第4の実施形態における塗布装置を示す平面図である。同図に示す塗布装置は、バックアップローラ82の幅寸法W1が、アルミウエブ12の幅寸法W2よりも小さく形成されている。そして、アルミウエブ12は、幅方向の両端部がバックアップローラ82から突出した状態で巻きかけられている。
【0069】
このように構成された第4の実施形態では、バックアップローラ82はアルミウエブ12の内側に入り込んでおり、露出面がない状態なので、バックアップローラ82に塗布液88が付着するおそれがない。例えば、図9に示すように、スライド面86の幅寸法W3がアルミウエブ12の幅寸法W2よりも大きい場合、スライド面86を流下する塗布液88のうち、幅方向の両端部を流れる塗布液88は、スライド面86の先端からそのまま流れ落ちるので、バックアップローラ82に付着するおそれがない。したがって、バックアップローラ82とスライドビードコータ84の間隔を狭めてビードを安定させることができ、ライン速度を向上させることができる。
【0070】
なお、上述した第4の実施形態において、アルミウエブ12の幅寸法W2とバックアップローラ82の幅寸法W1との差(W2−W1)は、0mmを超えて60mm以下が好ましく、1mm以上10mm以下がより好ましい。
【実施例】
【0071】
塗布液として水系酸化防止膜層形成液(液粘度10cp)を用い、支持体には、陽極酸化皮膜を形成したアルミウエブ(幅1000mm)を使用した。塗布条件は、ライン速度150〜300m/分、塗布量30cc/m2 で行った。使用した塗布乾燥機は、送液幅1600mmで、リップ先端とウエブとの距離は0.2mmにて塗布テストを行った。以下の表1に結果を示す。なお、表1において、塞き止めタイプとは第1の実施形態で説明した装置であり、流量調整タイプとは第2の実施形態で説明した装置であり、チャンバー内圧制御とは第3の実施形態で説明した装置であり、ロール内幅とは第4の実施形態で説明した装置である。
【0072】
【表1】

表1から分かるように、本発明の対策を採らなかった試験1、2、3では、減圧チャンバの内圧を変化させてもロールの転写を防止できなかった。これに対し、本発明の対策を採った試験4、5、6、8、9では、ロールの転写を防止する効果が得られた。また、チャンバー内圧制御を採った試験7では、転写の抑制効果は得られたが、内側(中央)のエリアと外側(両サイド)のエリアの圧力差が小さかったため、転写を完全に無くすことができなかった。したがって、内側のエリアと外側のエリアの圧力差は、200Pa以上が好ましいことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る塗布装置としてスライドビード型塗布装置を用いたウエブの製造ラインを示す構成図
【図2】ロッド塗布装置を示す構成図
【図3】スライドビード塗布装置を示す構成図
【図4】第1の実施形態の塗布装置を示す平面図
【図5】図4の塗布装置の5−5線に沿う断面図
【図6】第2の実施形態の塗布装置を示す平面図
【図7】図6の塗布装置の7−7線に沿う断面図
【図8】第3の実施形態における減圧チャンバを示す斜視図
【図9】第4の実施形態の塗布装置を示す平面図
【符号の説明】
【0074】
10…製造ライン、12…アルミウエブ、30…塗布装置、82…バックアップローラ、84…スライドビードコータ、86…スライド面、88…塗布液、92…吐出スリット、100、110…ガイド部材、130…減圧チャンバ、132…仕切板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に走行する長尺状のウエブが巻きかけられるとともに前記ウエブよりも幅寸法の大きいバックアップローラと、
吐出スリットから塗布液を帯状に吐出し、スライド面を流下させ、該スライド面の先端と前記バックアップローラに巻きかけられたウエブとの間に塗布液架橋を形成して塗布を行うスライドビードコータを備えた塗布装置において、
前記スライド面上に設けられ、該スライド面を流下する塗布液のうち幅方向の端部を流れる塗布液を、前記ウエブが巻きかけられてないバックアップローラの露出面の外側に流れるようにガイドするガイド部材を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記ガイド部材の位置を前記ウエブの幅方向に調節する幅方向位置調節手段が設けられることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記ガイド部材と前記スライド面との距離を調節するスライド面距離調節手段が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布装置。
【請求項4】
長手方向に走行する長尺状のウエブが巻きかけられるとともに前記ウエブよりも幅寸法の大きいバックアップローラと、
吐出スリットから塗布液を帯状に吐出し、スライド面を流下させ、該スライド面の先端と前記バックアップローラに巻きかけられたウエブとの間に塗布液架橋を形成して塗布を行うスライドビードコータと、
前記スライド面の先端に対して前記ウエブの走行方向の上流側に設けられた減圧チャンバとを備えた塗布装置において、
前記減圧チャンバは、前記ウエブに面した部分よりも、前記ウエブが巻きかけられてないバックアップローラの露出面に面した部分の方が減圧度が大きいことを特徴とする塗布装置。
【請求項5】
前記減圧チャンバの内部には、前記ウエブに面する部分と、前記バックアップローラに面する部分とを仕切る仕切板が設けられ、該仕切板は前記ウエブの幅方向に移動自在に支持されることを特徴とする請求項4に記載の塗布装置。
【請求項6】
長手方向に走行する長尺状のウエブが巻きかけられるバックアップローラと、
吐出スリットから塗布液を帯状に吐出し、スライド面を流下させ、該スライド面の先端と前記バックアップローラに巻きかけられたウエブとの間に塗布液架橋を形成して塗布を行うスライドビードコータを備えた塗布装置において、
前記バックアップローラは、前記ウエブよりも小さな幅寸法で形成され、前記ウエブは幅方向の両端部が前記バックアップローラから突出した状態で該バックアップローラに巻きかけられることを特徴とする塗布装置。
【請求項7】
前記ウエブは金属製支持体であることを特徴とする請求項6に記載の塗布装置。
【請求項8】
長尺状のウエブを、該ウエブよりも幅寸法の大きいバックアップローラに巻きかけて長手方向に走行させながら、スライドビードコータの吐出スリットから塗布液を帯状に吐出してスライド面を流下させ、該スライド面の先端と前記バックアップローラに巻きかけられたウエブの表面との間に塗布液架橋を形成することによって塗布を行う塗布方法において、
前記スライド面を流下する塗布液を、幅方向の端部位置に設けたガイド部材でガイドすることによって、前記ウエブが巻きかけられてないバックアップローラの露出面の外側へ流すことを特徴とする塗布方法。
【請求項9】
長尺状のウエブを、該ウエブよりも幅寸法の大きいバックアップローラに巻きかけて長手方向に走行させながら、スライドビードコータの吐出スリットから塗布液を帯状に吐出してスライド面を流下させ、該スライド面の先端と前記バックアップローラに巻きかけられたウエブの表面との間に塗布液架橋を形成することによって塗布を行う塗布方法において、
前記スライド面の先端に対して前記ウエブの走行方向の上流側を減圧するとともに、前記ウエブに面する部分よりも、前記ウエブが巻きかけられてないバックアップローラの露出面に面する部分の減圧度を大きくすることを特徴とする塗布方法。
【請求項10】
長尺状のウエブをバックアップローラに巻きかけて長手方向に走行させながら、スライドビードコータの吐出スリットから塗布液を帯状に吐出してスライド面を流下させ、該スライド面の先端と前記バックアップローラに巻きかけられたウエブの表面との間に塗布液架橋を形成することによって塗布を行う塗布方法において、
前記バックアップローラは、前記ウエブよりも小さな幅寸法で形成され、前記ウエブは、該ウエブの幅方向の両端部が前記バックアップローラから突出した状態で前記バックアップローラに巻きかけられることを特徴とする塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−239659(P2006−239659A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62984(P2005−62984)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】