説明

塗布装置

【課題】本発明は、ワイヤーバーおよびマニホールドの洗浄および乾燥を自動的に行なう洗浄ユニットを有する塗布装置を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも搬送する基材(5)と該基材(5)に接するようにワイヤーバー(6)を具備し、該ワイヤーバー(6)の下部にマニホールド(7)及び該マニホールド(7)に接続される液供給管(10)を備える塗布装置であって、ワイヤーバー(6)上部に洗浄用流水ノズル(2b)が超音波発振器および超音波振動子を有する洗浄流水用ユニット(2a)に、前記乾燥用エアーノズル(3b)が乾燥用ユニット(3b)に取り付けられている洗浄ユニットを有する洗浄用カバー(1)を備え、且つ前記マニホールド(7)に接続される液供給管(10)に超音波発振器および超音波振動子を有する超音波装置(9)が具備されていることを特徴とする塗布装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコーターのワイヤーバーおよびマニホールドを自動的に洗浄することができる洗浄ユニットを有する塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、連続走行している帯状の基材に簡便に塗布液を塗布する装置として、高速・薄膜用として多用されるバーコーターがある。該バーコーターは塗布液を帯状の基材に過剰に塗布した後、細いバーで掻き落とし計量と平滑化を行う装置であり、複雑な塗布装置の設定がなく、簡単な塗布装置として広く用いられている。
【0003】
このバーは、一般に円状の細いワイヤーをらせん状に巻いたものが使用されているが、使用時間の経過とともにワイヤーの隙間に塗布液の残留物などの汚れが溜まると、塗布ムラやスジ等の欠陥を発生させる恐れがある。そこで、一定時間使用した後には洗浄する必要があり、バーコーターの洗浄には塗布に使用した希釈液と同じ液を洗浄液として、作業者が刷毛やブラシを用いて手で行うのが普通である。
【0004】
しかしながら、作業者が手で行う上記のようなバーコーターの洗浄方法では、らせん状に巻いたワイヤーに沿って上手に洗浄することが難しく、均一に洗浄ができない。そのため、洗浄ムラが生じ塗布ムラやスジ等が発生しやすく、またブラシ等で洗浄するために洗浄液が飛散して作業環境が悪く、安全衛生上でも問題となる。
【0005】
このような状況に対応するため、ワイヤーバーを着脱する手段と、前記手段に装着したワイヤーバーを洗浄する超音波洗浄槽と、洗浄されたワイヤーバーを乾燥する乾燥器を有した密封構造の洗浄装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかしながら、上記の洗浄方法や装置では、洗浄を行うためにワイヤーバーをバーコーターから取り外し、上記装置に取り付ける必要があり、またマニホールドも洗浄する必要があり、作業効率が悪いという問題点があった。
【0007】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平09−299859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、ワイヤーバーを取り外さずに該ワイヤーバーおよびマニホールドの洗浄および乾燥を可能にした洗浄ユニットを有する塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項1に係る発明は、少なくとも搬送する基材(5)と該基材(5)に接するようにワイヤーバー(6)を具備し、該ワイヤーバー(6)の下部にマニホールド(7)及び該マニホールド(7)に接続される液供給管(10)を備える塗布装置であって、ワイヤーバー(6)上部に洗浄用流水ノズル(2b)と乾燥用エアーノズル(3b)を有する洗浄用カバー(1)を備えてなることを特徴とする塗布装置である。
【0010】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載の塗布装置において、前記洗浄用流水ノズル(2b)が超音波発振器および超音波振動子を有する洗浄流水用ユニット(2a)に、前記乾燥用エアーノズル(3b)が乾燥用ユニット(3b)に取り付けられていることを特徴とする塗布装置である。
【0011】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の塗布装置において、前記マニホールド(7)に接続される液供給管(10)に超音波発振器および超音波振動子を有する超音波装置(9)が具備されていることを特徴とする請求項1又は2記載の塗布装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る塗布装置は、少なくとも搬送する基材と該基材に接するようにワイヤーバーを具備し、該ワイヤーバーの下部にマニホールド及び該マニホールドに接続される液供給管を備える塗布装置であって、ワイヤーバー上部に洗浄用流水ノズルと乾燥用エアーノズルを有する洗浄用カバーを備え、且つ前記洗浄用流水ノズルが超音波発振器および超音波振動子を有する洗浄流水用ユニットに、前記乾燥用エアーノズルが乾燥用ユニットに取り付けられていること、さらに前記マニホールドに接続される液供給管に超音波発振器および超音波振動子を有する超音波装置が具備されていることにより、洗浄用カバーに設置された洗浄流水用ユニットの洗浄用流水ノズルから超音波を加えられた洗浄液により、またマニホールドの液供給管に取り付けられた超音波装置により超音波を加えられた洗浄液により、ワイヤーバーおよびマニホールドに付着した汚れを除去することができ、洗浄用カバーに設置された乾燥用エアーノズルにより、ワイヤーバーおよびマニホールドを乾燥させることが可能となる。また、洗浄時に設置するのではなく、設置したまま塗布および基材の搬送可能な形態を有しており、このような形態により環境から異物混入を防ぐことができ、かつ塗布液の飛散も防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明に係る塗布装置の実施の形態を図1〜図7に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明に係る塗布装置の平面図であり、図2は本発明に係る塗布装置の側断面図であり、図3は本発明に係る塗布装置の洗浄用カバー(1)の斜視図であり、図4は本発明に係る塗布装置の洗浄用カバー(1)の上面図であり、図4(a)は開閉式シャッター(4a)が閉じた状態を示す上面図であり、図4(b)は開閉式シャッター(4a)が開いた状態を示す上面図であり、図5は本発明に係る塗布装置の洗浄用カバー(1)の基材(5)搬送経路側の正面図であり、図5(a)は開閉式シャッター(4a)が閉じた状態を示す正面図であり、図5(b)は開閉式シャッター(4a)が開いた状態を示す正面図であり、図6は本発明に係る塗布装置の洗浄用カバー(1)の液供給側からの正面図であり、図6(a)は開閉式シャッター(4c)が閉じた状態を示す正面図であり、図6(b)は開閉式シャッター(4c)が開いた状態を示す正面図であり、図7は本発明に係る塗布装置の洗浄流水用および乾燥用ユニット(2a、3a)の開閉式シャッター(4a)が閉じた状態を示す正面図である。
【0015】
本発明に係る塗布装置は、図1に示すように、少なくとも搬送する基材(5)と該基材(5)に接するようにワイヤーバー(6)を具備し、該ワイヤーバー(6)の下部にマニホールド(7)及び該マニホールド(7)に接続される液供給管(10)を備える塗布装置であって、液タンクおよびポンプ、フィルターからなる液供給系(14)から供給された洗浄液(8)は、一方は液供給管(10)および超音波装置(9)を通り、他方、液供給管(12)から洗浄用カバー(1)内のマニホールド(7)へと供給される。供給された洗浄液(8)は、液排出管(11)を通り液供給系(14)に戻る。そして、ワイヤーバー(6)およびマニホールド(7)の乾燥のために、エアー供給系(15)、例えばコ
ンプレッサーや高圧ブロワなどによりエアーが供給され、エアー供給管(13)を通り、洗浄用カバー(1)内のマニホールド(7)へと供給される。また、ワイヤーバー(6)および駆動系(16)が取り付けられている。塗布時には、洗浄用カバー(1)を設置したままで、基材(5)が搬送できるようになっている。
【0016】
また、図2に示すように、ワイヤーバー(6)上部に洗浄用流水ノズル(2b)と乾燥用エアーノズル(3b)を有する洗浄用カバー(1)を備えている塗布装置である。この洗浄用カバー(1)は、ワイヤーバー(6)およびマニホールド(7)を洗浄するための装置であって、超音波装置を有する洗浄流水用ユニット(2a)には洗浄用流水ノズル(2b)が、乾燥用ユニット(3a)には乾燥用エアーノズル(3b)が取り付けられている。ここで洗浄用流水ノズル(2b)は、洗浄液(8)が供給されたときにワイヤーバー(6)に当たるように角度が調整されて取り付けられている。また、ワイヤーバー(6)の装着時に使用する開閉式シャッター(4a)、基材(5)搬送時に使用する開閉式シャッター(4b)が取り付けられている。さらに、超音波装置(9)がマニホールド(7)の液供給管(10)に取り付けられている。
【0017】
また、図3に示すように、洗浄用カバー(1)上面に開閉式シャッター(4a)が、基材(5)搬送側の側面2ヵ所に開閉式シャッター(4b)、さらに開閉式シャッター(4c)が取り付けられている。また超音波装置(9)を有する液供給管(10)が、洗浄流水用ユニット(2a)に洗浄液(8)を供給するための液供給管(12)が、乾燥用ユニット(3a)に乾燥用のエアーを供給するためのエアー供給管(13)が、洗浄液(8)をマニホールド(7)から排出するための液排出管(11)が取り付けられている。
【0018】
次に、図4(a)、(b)は、洗浄用カバー(1)の上から見た形状であり、図4(a)は基材(5)搬送時および洗浄時における開閉式シャッター(4a)が閉じた状態で、図4(b)はワイヤーバー(6)取り外し時における開閉式シャッター(4a)が開いた状態である。また、一方の側面には、液排出管(11)、液供給管(12)、エアー供給管(13)が取り付けられている。
【0019】
図5(a)、(b)は、洗浄用カバー(1)の基材(5)搬送経路側から見た形状であり、図5(a)は洗浄時における開閉式シャッター(4b)が閉じた状態で、図5(b)は基材(5)搬送時における開閉式シャッター(4b)が開いた状態である。また、正面には液供給管(10)および超音波装置(9)が、一方の側面には、液排出管(11)、エアー供給管(13)が取り付けられている。
【0020】
図6(a)、(b)は、洗浄用カバー(1)の液供給側から見た形状であり、図6(a)は基材(5)搬送時および洗浄時における開閉式シャッター(4c)が閉じた状態で、図6(b)はワイヤーバー(6)の取り外し時における開閉式シャッター(4c)が開いた状態である。また液排出管(11)、液供給管(12)、エアー供給管(13)が取り付けられている。
【0021】
図7は、洗浄流水用および乾燥用ユニット(2a、3a)の上から見た形状であり、開閉式シャッター(4a)が閉じた状態である。洗浄用流水ノズル(2b)を有する洗浄流水用ユニット(2a)が内側2ヶ所に取り付けられており、また乾燥用エアーノズル(3b)を有する乾燥用ユニット(3a)が外側2ヶ所に取り付けられている。加えて各ユニットに洗浄液(8)および乾燥用エアーを供給するための液供給管(12)、エアー供給管(13)が取り付けられている。ここで使用する前記洗浄用流水ノズル(2b)および乾燥用エアーノズル(3b)、は、広幅型のスリットノズルでも1点集中型のノズルでもよく、形態を指定するものではない。
【0022】
前記超音波装置(9)の超音波振動子は、大きく分けて単結晶(水晶やニオブ酸リチウム等)、磁気(チタン酸バリウムやPZT等)、高分子材料(ポリフッ化ビニデンフィルム)に分類でき、ここで用いる超音波振動子は圧電振動子型であり、その圧電材料の種類には、圧電セラミックス(BaTiO3、PZT,PbTiO3)、圧電薄膜(ZnO)、圧電高分子膜等を用いたものが採用される。
【0023】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
【実施例】
【0024】
先ず、開閉式シャッター(4a、4b、4c)は閉じられた状態にする。液供給系(14)のポンプにより液供給管(10)を通ってきた洗浄液(8)が洗浄用カバー(1)に取り付けられた超音波装置(9)により加振されマニホールド(7)内に供給されていく。他方、ポンプにより液供給管(12)を通ってきた洗浄液(8)は、該洗浄用カバー(1)に取り付けられた洗浄流水用ユニット(2a)を通り、超音波振動素子により加振された洗浄液(8)が洗浄用流水ノズル(2b)より排出され、ワイヤーバー(6)に当たる。このとき、該洗浄用流水ノズル(2b)から排出された洗浄液(8)がワイヤーバー(6)に当たるように調整しておくことが重要である。この2経路から洗浄液(8)が供給されることで、ワイヤーバー(6)およびマニホールド(7)内を洗浄していく。このとき、ワイヤーバー(6)は回転していることが望ましい。そして、マニホールド(7)に溜まった洗浄液(8)は液排出管(11)を通って排出され、液タンクに戻り、再びポンプにより供給されていく。このような循環洗浄を行う。
【0025】
一通りの循環洗浄が終了し洗浄液(8)を抜いた時点で、エアー供給系(15)により乾燥用ユニット(3a)に取り付けられた乾燥用エアーノズル(3b)からエアーが供給され、ワイヤーバー(6)およびマニホールド(7)を乾燥していく。
【0026】
本発明に係る塗布装置の洗浄方法は以上の通りで、洗浄用カバー(1)に設置された洗浄流水用ユニット(2a)の洗浄用流水ノズル(2b)から超音波を加えられた洗浄液(8)と、マニホールド(7)の液供給管(10)に取り付けられた超音波装置(9)により超音波を加えられた洗浄液(8)とにより、ワイヤーバー(6)およびマニホールド(7)に付着した汚れを除去することができ、且つ、洗浄用カバー(1)に設置された乾燥用エアーノズル(3b)により、ワイヤーバー(6)およびマニホールド(7)を乾燥させることが可能となる。また、洗浄時に設置するのではなく、設置したまま塗布および基材(5)の搬送可能な形態を有しており、このような形態より環境から異物混入を防ぐことができ、且つ、塗液の飛散も防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る塗布装置の平面図である。
【図2】本発明に係る塗布装置の側断面図である
【図3】本発明に係る塗布装置の洗浄用カバーの斜視図である。
【図4】本発明に係る塗布装置の洗浄用カバーの上面図であり、図4(a)は開閉式シャッターが閉じた状態を示す上面図であり、図4(b)は開閉式シャッターが開いた状態を示す上面図である。
【図5】本発明に係る塗布装置の洗浄用カバーの基材搬送経路側の正面図であり、図5(a)は開閉式シャッターが閉じた状態を示す正面図であり、図5(b)は開閉式シャッターが開いた状態を示す正面図である。
【図6】本発明に係る塗布装置の洗浄用カバーの液供給側からの正面図であり、図6(a)は開閉式シャッターが閉じた状態を示す正面図であり、図6(b)は開閉式シャッターが開いた状態を示す正面図である。
【図7】本発明に係る塗布装置の洗浄流水用および乾燥用ユニットの開閉式シャッターが閉じた状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0028】
1・・・洗浄用カバー
2a・・・洗浄流水用ユニット
2b・・・洗浄用流水ノズル
3a・・・乾燥用ユニット
3b・・・乾燥用エアーノズル
4a、4b、4c・・・開閉式シャッター
5・・・基材
6・・・ワイヤーバー
7・・・マニホールド
8・・・洗浄液
9・・・超音波装置
10・・・液供給管
11・・・液排出管
12・・・液供給管
13・・・エアー供給管
14・・・液供給系
15・・・エアー供給系
16・・・駆動系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも搬送する基材と該基材に接するようにワイヤーバーを具備し、該ワイヤーバーの下部にマニホールド及び該マニホールドに接続される液供給管を備える塗布装置であって、ワイヤーバー上部に洗浄用流水ノズルと乾燥用エアーノズルを有する洗浄用カバーを備えてなることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記洗浄用流水ノズルが超音波発振器および超音波振動子を有する洗浄流水用ユニットに、前記乾燥用エアーノズルが乾燥用ユニットに取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
【請求項3】
前記マニホールドに接続される液供給管に超音波発振器および超音波振動子を有する超音波装置が具備されていることを特徴とする請求項1又は2記載の塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−144245(P2007−144245A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338171(P2005−338171)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】