変位計測方法及び変位計測装置
【課題】光学素子の傾き精度の影響を受けず、構成が簡単かつ小型化が可能であって、回折格子の面方向の位置ずれに対しても影響が小さく、光学分解能の調整が可能な変位計測を行う。
【解決手段】レーザ光源12からのレーザ光13を、コリメータレンズ14によって平行光15とし、第1の回折格子16を通過させて半透過半反射ミラー22まで進行させ、一部を反射させて第1の回折格子16を通過する第1の戻り光Lrev1とする。平行光15の残りは全反射ミラー24まで進行して反射され、半透過半反射ミラー22と第1の回折格子16を通過する第2の戻り光Lrev2となる。第1の回折格子16による第1,第2の戻り光Lrev1,Lrev2の所定次数の回折光を、第1の光センサ28で光量検出し、半透過半反射ミラー22に対する全反射ミラー24の軸方向の相対的移動量に対応する干渉縞もしくはその信号から変位量を得る。
【解決手段】レーザ光源12からのレーザ光13を、コリメータレンズ14によって平行光15とし、第1の回折格子16を通過させて半透過半反射ミラー22まで進行させ、一部を反射させて第1の回折格子16を通過する第1の戻り光Lrev1とする。平行光15の残りは全反射ミラー24まで進行して反射され、半透過半反射ミラー22と第1の回折格子16を通過する第2の戻り光Lrev2となる。第1の回折格子16による第1,第2の戻り光Lrev1,Lrev2の所定次数の回折光を、第1の光センサ28で光量検出し、半透過半反射ミラー22に対する全反射ミラー24の軸方向の相対的移動量に対応する干渉縞もしくはその信号から変位量を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光干渉を利用した変位計測方法及び変位計測装置に関し、更に具体的には、計測範囲の拡大に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護と健康上の観点から、乗用車で移動していた人たちが、電動アシスト付き自転車に注目するようになってきた。特に、電動アシスト付き自転車でも、一度の充電により長い距離を走行でき、エネルギーの回生充電が行われる自転車が重視されるようになってきている。このような背景から、ブレーキ時の回生充電において、制動が掛ってから対応するものが一般的である。しかしながら、制動が掛ってから回生充電に利用するだけでは利用効率が低いため、ブレーキを掛けようとしてブレーキレバーを引き始めた制動前の状態から回生充電に利用することができれば好都合である。そのためには、ブレーキレバーを引き始めた制動前の状態,すなわち、ブレーキワイヤの張力がかかった状態を検知し、前記ブレーキワイヤの張力に比例したわずかな移動量(変位量)を測定する手段が必要となる。
【0003】
図16(A)及び(B)には、電動アシスト車両のブレーキレバー操作量とブレーキ力の関係が示されている。上述した電動アシスト付き自転車などでは、ブレーキレバーを握り始めたときに、図16(A)に示す遊び区間におけるブレーキワイヤの移動量に対応するブレーキレバーの操作量を測定し、次に、ブレーキパッドが車輪の回転を妨げようとして制動をかけ始めた時点(機械ブレーキ動作点P1)をブレーキワイヤの伸びで感知することが必要である。これは、制動がかかる前後において、回生制動と機械制動との間で制御がスムースに行われないと、搭乗者を含むドライバが急ブレーキをかけたような違和感を覚えたり、ブレーキ力の不足感を感じたりするためである。
【0004】
特に、電動アシスト自転車などのブレーキでは、ドライバによるワイヤ交換やワイヤテンション調整により遊び区間が調整され、機械ブレーキが発生するまでのブレーキレバー操作量が、図16(B)に示すように、前記機械ブレーキ動作点P1からP2にずれるといったことが容易に起こりうる。従来は、ブレーキレバーの操作量のみを検出し、予め設定していた機械ブレーキ開始の操作量に達したときに、機械ブレーキ開始と判断していた。このため、上述したユーザによる調整後の機械ブレーキ動作点P2に対応できず、回生制動と機械制動との間での制御がスムースに行われなくなってしまうという不都合がある。従って、回生充電の効率を最大限に高めるためには、ブレーキワイヤの移動量とブレーキワイヤの伸び量の双方を、同時又は時系列的に測定することによって、機械ブレーキ開始時点を直接検出できる構造であることが望ましい。
【0005】
上述したブレーキワイヤの移動量や伸び量などの微小の変位を測定する手法として、従来は、光干渉計が用いられている。図17(A)に示すマイケルソン干渉計200は、レーザ光源202と、レーザ光を平行光に直すコリメータレンズ204と、ビームを2分割して一方を固定ミラー208に照射し、もう一方を可動ミラー210に照射し、2つの反射光を干渉させるスプリッタ206と、光センサ212により構成されている。マイケルソン干渉計200では、固定側ユニット214に対して、可動ミラー210がビーム方向に1波長動くと、検出器上に光の明暗が2回発生する。この光の明暗は、図17(B)に示すように干渉縞216として観察され、1波長以下の変位は、この明暗の傾斜の電圧値を読み取ることで検出できる。また、1波長以上の変位に対しては、この明暗(干渉縞)が何回発生したかを発生することで変位を計測できる。すなわち、ミラーの移動に対して往復で2倍の行路差が発生することから、図17(C)に示すように、変位(移動距離)=1波長×明暗数×2により算出できる(なお、どちらの方向に移動したかを検出する手段は別途必要となる)。このような光干渉を利用した技術としては、例えば、下記特許文献1に示す位相差検出器及び位相差検出方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−271624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、以上のような光干渉計を用いると次のような不都合がある。
(1)計測範囲が光の波長で決められてしまい、光の波長以上の範囲を計測しようとすると、通過した光の波長を数えるようになり、光の波長以下の分解能が得られない。
(2)光学部品の位置精度が非常に厳しく、角度ずれ(0.01度オーダ),位置ずれ(サブμmオーダ)により計測ができなくなることがある。従って、温度変化,湿度変化,外部振動,経時といった使用環境により誤検出を防止するための対策が必要となる。
(3)コリメータレンズ,ミラーの組み合わせ,スプリッタが必須であるため、小型化が困難である。
(4)異なる検出感度・検出位置での変位(例えば、上述した電動アシスト自転車のブレーキワイヤの移動量と伸び量など)を、同時ないし時系列的に測定することができない。
【0008】
本発明は、以上のような点に着目したもので、光学素子の傾き精度の影響を受けず、構成が簡単かつ小型化が可能であって、位置ずれに対しても強く、光学分解能の調整が可能な変位計測方法及び変位計測装置を提供することを、その目的とする。他の目的は、異なる検出感度・検出位置での変位測定を、同時ないし時系列的に行うことができる変位計測方法及び変位計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、光源から発射された光をコリメータレンズにより平行光とし、該平行光を、その光軸上に配置された第1の回折格子を通過させ、更に、前記光軸上に前記第1の回折格子に対向して配置された半透過半反射ミラーまで進行させ、前記半透過半反射ミラーにより、前記平行光の一部を反射させて前記第1の回折格子まで戻る第1の戻り光とし、前記平行光の残りを、前記半透過半反射ミラーに対して同一光軸上で相対的に位置変化可能に配置された全反射ミラーまで進行させ、前記第1の戻り光を、前記第1の回折格子により、前記第1の戻り光と同方向に進行する0次光と、該0次光に対して回折角を有する±n次光(nは1以上の自然数)とに分けて進行させ、該±n次光のうちの所定次数の回折光を、第1の光センサで受光して光量検出するとともに、前記半透過半反射ミラーを通過し、前記全反射ミラーまで進行した平行光を、該全反射ミラーで反射させて、前記半透過半反射ミラーを通過して前記第1の回折格子まで戻る第2の戻り光とし、前記第1の回折格子に達した第2の戻り光を、前記第1の回折格子により、0次光と±n次光とに分けて進行させ、該±n次光のうち、前記所定次数の回折光を、前記第1の回折格子で受光して光量検出し、前半透過半反射ミラーに対する前記全反射ミラーの相対的な移動量に対応する干渉縞もしくはその信号から、前記平行光の軸方向の第1の変位量を測定する方法及び装置である。
【0010】
主要な形態の一つは、前記第1の回折格子と前記半透過半反射ミラーの間であって、前記平行光の光軸上に配置された第2の回折格子によって、前記第1の回折格子を通過した平行光を、該平行光と同方向に進行する0次光と±n次光とに分けて進行させ、前記第2の回折格子と前記半透過半反射ミラーとの間に、前記第2の回折格子に対向して同一光軸上で移動可能に配置されており、前記第2の回折格子と同一の格子ピッチを有する第3の回折格子によって、前記第2の回折格子を経由した0次光を、更に、同方向に進行する0次光と±n次光と、に分けて進行させ、前記第2及び第3の回折格子を経由した±n次光のうち、前記第2の回折格子による所定次数の回折光の光軸に沿う回折光を、第2の光センサで受光して光量検出するとともに、前記第2の回折格子に対する第3の回折格子の移動量に対応する干渉縞もしくはその進行から、前記平行光の軸方向の第2の変位量を測定する方法及び装置である。
【0011】
本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭にした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回折格子の傾き精度の影響を受けず、回折格子の面方向の位置ずれに対しても影響が小さく、構成が簡単かつ小型化が可能であり、光学分解能の調整が可能な変位計測方法及び変位計測装置を提供できる。また、1つの光源で、異なる位置での変位検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1の変位計測装置の基本構造を示す概略図である。
【図2】前記実施例1を示す概略図であり、(A)はワイヤ伸び量検出部の基本構造を示す図,(B-1)及び(B-2)は光路4及び光路5を示す図,(C)及び(D)は光路4及び光路5の干渉の様子を示す図である。
【図3】前記ワイヤ伸び量検出部による変位計測の定性的な動作原理を示す説明図である。
【図4】前記ワイヤ伸び量検出部による変位計測の定量的な動作原理を示す説明図である。
【図5】前記実施例1のワイヤ移動量検出部による変位計測の定性的な動作原理を示す説明図である。
【図6】(A)は前記ワイヤ移動量検出部による変位計測の定量的な動作原理を示す図,(B-1)〜(B-3)は光センサで検出される干渉縞のイメージを示す図である。
【図7】本実施例の変位計測装置を適用した電動アシスト自転車の全体構成を示す図である。
【図8】前記電動アシスト自転車のブレーキ機構を示す概略図である。
【図9】前記電動アシスト自転車のブレーキ動作と前記変位計測装置の作用を示す図である。
【図10】本実施例の変位計測ユニットの具体例を示す図である。
【図11】(A)は前記具体例のワイヤ伸び量検出部におけるレーザ光源の回路構成を示す図,(B)はワイヤ伸び量検出部における光検出回路の構成を示す図,(C)は前記光検出回路からの出力1の信号波形を示す図,(D)は前記光検出回路からの出力1の処理手順の概略を示すブロック図である。
【図12】(A)は前記具体例における遊び区間でのワイヤ移動量検出部の光センサ上の暗点カウント挙動を示す図,(B)は機械ブレーキ区間でのワイヤ伸び量検出部の光センサ上の光量挙動を示す図である。
【図13】(A)はブレーキレバー操作量とワイヤ張力の関係を示す図,(B)はブレーキレバー操作量とブレーキ力の関係を示す図である。
【図14】本発明の実施例2を示す図であり、(A)は基本構造を示す図,(B)は光検出回路の構成を示す図である。
【図15】(A)及び(B)は前記実施例2の光検出回路からの出力A及びBの信号波形を示す図,(C)は前記出力A及びBの演算結果を示す信号波形である。
【図16】(A)は電動アシスト車両におけるブレーキレバー操作量とブレーキ力の関係を示す図である。(B)はブレーキレバー操作量とブレーキ力の関係において、ブレーキ動作点が変わった場合の説明図である。
【図17】背景技術の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
<基本構造>・・・最初に、図1,図7,図8を参照しながら、本発明の実施例1の基本構造を説明する。本実施例は、本発明の変位計測を、電動アシスト自転車のブレーキワイヤの伸び量と移動量の計測に適用した例であって、図1は、本実施例の基本構造を示す概略図,図7は、電動アシスト自転車の全体構成を示す図,図8は、前記電動アシスト自転車のブレーキ機構の概略を示す図である。図1に示すように、本実施例の変位計測装置10は、レーザダイオードなどのレーザ光源12と、該レーザ光源12からのレーザ光13を直進する平行光15にするコリメータレンズ14と、前記平行光15の光軸上に順に配置された第1の回折格子16,第2の回折格子18,第3の回折格子20,半透過半反射ミラー22,全反射ミラー24と、光センサ26,28により構成されている。このうち、前記全反射ミラー24以外の構成要素は、例えば、図6に示すように、変位計測ユニット70として一体に移動可能に構成されている。一方、図7及び図8に示すように、電動アシスト自転車50は、ハンドル52と、ブレーキレバー54,チューブ58に覆われたブレーキワイヤ56,ブレーキパッド60などを含むブレーキ機構と、コントローラ64,モータ66,バッテリー68などを備えている。前記変位計測ユニット70は、例えば、図7に示すように、電動アシスト自転車50のブレーキレバー54の近傍に設けられている。
【0016】
前記ブレーキ機構は、図8(A)に示すように、ブレーキレバー54の操作によってブレーキワイヤ56に張力をかけ、ブレーキパッド60をリム62に押し当てる公知の構成となっている。前記ブレーキレバー54を引き始めた遊び区間では、図8(B)に示すようにブレーキワイヤ56が移動し、ブレーキパット60がリム62に接触して機械ブレーキによる制動がかかっている状態では、図8(C)に示すように、ブレーキワイヤ56が伸びる。本実施例では、前記変位計測装置10のレーザ光源12,コリメータレンズ14,第2の回折格子18,第3の回折格子20,光センサ26(第2の光センサ)からなるワイヤ伸び量検出部によって、図8(C)に示すブレーキワイヤ56の伸び量を検出し、該伸び量に対応するブレーキ操作力を計測する。
【0017】
これと同時に、前記レーザ光源12,コリメータレンズ14,第1の回折格子16,半透過半反射ミラー22,全反射ミラー24,光センサ28(第1の光センサ)からなるワイヤ移動量検出部によって、図8(B)に示すブレーキワイヤ56の移動量を検出し、ブレーキ操作量を計測することとしている。本実施例では、このように2つの変位量検出部を設けることによって、ブレーキワイヤの伸び量と移動量を一つの光源を利用して同時(ないし時系列的に)計測することにより、図16に示す機械ブレーキ動作点P1やP2を直接検知し、遊び区間での回生を最大にして、回生充電の効率を高めるものである。
【0018】
<ワイヤ伸び量検出部>・・・先に、上述した2つの変位検出部のうち、前記ワイヤ伸び量検出部について説明する。なお、第1〜第3の回折格子16〜20を経由した平行光15は、実際には、前記平行光15と同方向に進行する0次光(0次回折光)と、該0次光に対して回折角を有する±n次光(又は±n次回折光と表現し、nは1以上の自然数)に分かれて進行するが、ここでは便宜上、第1の回折格子16,第2の回折格子18,第3の回折格子20を経由した後に、前記平行光15と同方向に進行する0次光をまとめて直進光30と表現している。
【0019】
図2(A)は、ワイヤ伸び量検出部の基本構造を示す図,(B-1)及び(B-2)はそれぞれ光路4及び光路5を示す図,(C)及び(D)は光路4及び5の干渉の様子を示す図である。前記ワイヤ伸び量検出部のうち、第2の回折格子18は、前記第1の回折格子16を通過した直進光30を、直進光30と回折光32に分けて進行させるものである。前記第3の回折格子20は、前記第2の回折格子18と同一の格子ピッチPを有しており、該第2の回折格子18と対向し、かつ、前記直進光30の光軸上で相対移動可能に配設されており、前記第2の回折格子18を通過した直進光30を、更に、直進光30と回折光34に分けて進行させるものである。前記光センサ26としては、フォトダイオードなどが利用される。前記回折光32は、より具体的には、第1の回折格子16の0次光、かつ、第2の回折格子18の1次光のうち、第3の回折格子20を経由した後も同方向に進行する0次光である。更に、前記第1の回折格子16,第2の回折格子18を経由した0次光(直進光30)のうち、第3の回折格子20を経由した1次光が、前記回折光34である。なお、本実施例では、1次光を利用することとしたが、他の所定次数の回折光を利用して、以下に説明する変位量の測定を行うようにしてもよい。
【0020】
第2の回折格子18と第3の回折格子20は、同一の所定ピッチ(図1(A)の格子ピッチP)で形成された多数の溝18A,20Aを有しており、2枚の回折格子の回折方向が同じになるように設定されている。また、光センサ26は、第3の回折格子20により回折する回折光34を含め、第2の回折格子18による回折光32の光軸に沿う回折光のみを受光して、干渉光36の光量を検出するもので、第2の回折格子18に対する第3の回折格子20の相対的な移動量(図2(A)に示す変位量X)に対応する干渉縞,もしくは、その信号から第2の回折格子18と第3の回折格子20間の軸方向の変位量(すなわち、直進する平行光15の軸方向の変位量)を測定するものである。なお、ここでいう軸方向とは、第2の回折格子18及び第3の回折格子20の主面に直交する方向をさすものとする。
【0021】
図2(B-1)には、光路L4が第2の回折格子18で回折される様子が示されており、図2(B-2)には、光路L5が第3の回折格子20で回折される様子が示されている。ここで、図2(B-1)に示す光路L4は、第1の回折格子16を経由して直進し(0次光)、第2の回折格子18を経由した回折光(本実施例の場合は1次光)のうち、第3の回折格子20を経由した後も同じ向きに進む回折光32のみ(0次光→1次光→0次光)を示している。図2(B-2)に示す光路L5は、第1の回折格子16及び第2の回折格子18を経由した後に直進して(0次光)、第3の回折格子20に入射した光のうち、前記図2(B-1)に示す回折光32と同方向に進行する1次回折光34(0次光→0次光→1次光)のみが示されている。また、図2(C)には、これら光路L4及びL5を重ね合わせた様子が示されている。本発明では、後述するように、第2の回折格子18に対する第3の回折格子20の移動前と移動後における干渉光36の光量測定によって変位量の測定が可能となるが、図1(D)に示すように、光路L4,L5が同じ光路を共有し、更に回折格子の透過回折光が回折格子の傾きの影響を受け難い特性を利用しているため、チルト(振動影響)などで第3の回折格子20が振動したとしても、干渉縞に悪影響を与えることがない。また、上述した背景技術の光学系で最も大きな素子であるスプリッタの削減が可能であるため、装置の小型化及び低コスト化が可能となる。
【0022】
次に、図3を参照しながら、前記ワイヤ伸び量検出部の動作原理を定性的に説明する。まず、第2の回折格子18と第3の回折格子20が、所定の間隔で対向配置されているところに、レーザ光源12からコリメータレンズ14を通過して平行光15となったレーザ光のうち、前記第1の回折格子16を通過した直進光30を、第2の回折格子18に入射させる。入射光は、第2の回折格子18で回折した光(行路1及び行路3)と直進光(図2(A)の直進光30)の2つに分かれ、第3の回折格子20に入射される。前記直進光は、第3の回折格子20で更に回折され(行路2)、固定側の回折光と可動側の回折光が干渉し、これを光センサ26で光量検出する。第3の回折格子20が、図3に実線で示す位置から点線で示す位置まで軸方向に移動すると、行路2の回折光の、回折する光軸上の位置が、位置P1からP2に移動する。移動前は、干渉光1は、行路1と行路2の回折光の干渉で位相差がないが、移動後は、行路2と行路3の回折光の干渉光2となり、図3に示す位相差が発生する。従って、前記移動量に比例した干渉縞が明暗を繰り返し、移動量を検出することができる。
【0023】
次に、図4を参照しながら、前記ワイヤ伸び量検出部の動作原理を定量的に説明する。図4(A)に示すように、透過型回折格子(図では、第3の回折格子20)の入射角θと回折角φの関係(入射角θは0度)は、λを波長,Pを回折格子ピッチとすると、1次回折光では下記数式1のようになる。
【数1】
【0024】
一方、図4(B)に示すように、第3の回折格子20のΔdの移動に対して、行路2の行路長はΔd変化するが、行路3の行路長Δd2は、下記の数式2で表わされる通りとなる。
【数2】
ここで、移動前は、可動側の行路2と固定側の行路1は行路差がないとすると、移動後の行路差Δは、下記の数式3で表わされる。
【数3】
【0025】
ここで、前記定量的動作原理に基づき、具体例を説明する。透過型回折格子の入射角θを0とし、波長λを0.65μm,格子ピッチP(ここではCD−R基板の溝ピッチ)を1.6μmとすると、前記数式1から、
回折角φ=ASIN(0.65/1.6)=24.0°
となる。そして、前記CDR基板を回折格子に用いたときの回折角φは24度となることから、移動量Δdに対する行路2と行路3の行路差Δは、上記数式3から、
Δ=Δd(1/cos(24°)−1)=0.094
となり、約11波長の移動で1回の干渉の明暗が発生することとなる。
【0026】
上述した背景技術の干渉計では、1波長の移動量に対して、干渉の明暗は必ず2回発生するが、本実施例では、干渉縞の発生間隔は回折角φに依存し、該回折角φにより検出範囲の拡大が可能となる。また、回折角φは、格子ピッチPと波長により決定されるため、干渉縞の発生間隔は、格子ピッチPに依存すると言い替えることができ、第2の回折格子18,第3の回折格子20の格子ピッチPの微細化により、1波長以下のオーダで変位量の検出が可能となる。このように、検出範囲の拡大により、リニアの部分の検出が可能となり、サブμm領域から20mm前後までの広範囲の変位検出が可能となる。
【0027】
下記表1には、一例として、第2及び第3の回折格子18,20の格子の本数(本/mm),格子ピッチP(μm),回折角φ(度),倍率G(倍),検出範囲(μm)の関係が示されている。第3の回折格子20がΔd移動したときの行路差をΔとすれば、Δは、上述した数式3で示される。倍率Gは、Δd/Δとなる。G=1のときは、検出範囲は光の1波長でSIN波状となり、Gが大きくなると、検出範囲は、波長λ×倍率Gとなり、SIN波拡大によってリニア検出が可能となる。
【表1】
【0028】
<ワイヤ移動量検出部>・・・次に、図5及び図6を参照しながら、本実施例のワイヤ移動量検出部について説明する。まず、図5を参照して、ワイヤ移動量検出部の構成と定性的な動作原理を説明する。ワイヤ移動量検出部は、前記レーザ光源12,コリメータレンズ14,第1の回折格子16,半透過半反射ミラー22,全反射ミラー24,光センサ28(第1の光センサ)により構成されている。前記第1の回折格子16は、前記平行光15の光軸上に配置されており、入射した光を、直進する0次光(0次回折光)と、該0次光に対して回折角を有する±n次光(±n次回折光)に分けて進行させるものである。前記半透過半反射ミラー22は、前記直進光30の光軸上に、前記第2及び第3の回折格子18,20を間に挟むようにして、前記第1の回折格子16と対向するように配設されており、前記第1の回折格子16を通過した直進光(光路L1)の一部を反射させて、前記第1の回折格子16まで戻る光路L2(第1の戻り光Lrev1)と、残りの直進する光路L3に分割するものである。
【0029】
前記全反射ミラー24は、前記半透過半反射ミラー22に対して、同一の光軸上で相対的に位置変化可能に配置されており、前記半透過半反射ミラー22を通過した直進光30(光路L3)を反射させて、前記半透過半反射ミラー22を通過して前記第1の回折格子16まで戻る第2の戻り光Lrev2とするものである。なお、本実施例では、前記第1の回折格子16と半透過半反射ミラー22の間に、上述した第2の回折格子18及び第3の回折格子20が配設されているため、図5に示す光路L1は、第1の回折格子16,第2の回折格子18,第3の回折格子20の0次回折光となる。同様に、前記第1の戻り光Lrev1(光路L2)と第2の戻り光Lrev2は、ともに第3の回折格子20及び第2の回折格子18の0次回折光、かつ、第1の回折格子16の1次回折光であり、光センサ28に照射される。該光センサ28は、前記第1及び第2の戻り光Lrev1,Lrev2の回折光を受光して光量検出するもので、半透過半反射ミラー22に対する全反射ミラー24の相対的な移動量(図6(A)の変位Y参照)に比例する干渉縞,もしくは、その信号から、半透過半反射ミラー22と全反射ミラー24間の変位Yを測定することができる。前記光センサ28としては、フォトダイオードなどが利用される。また、本実施例では、光センサ28によって、第1の回折格子16による1次回折光を受光することとしているが、前記ワイヤ伸び量検出部と同様に、他の次数の回折光を受光して変位Yを計測してもよい。
【0030】
次に、図6を参照しながら、前記ワイヤ移動量検出部の動作原理を定量的に説明する。図6(A)は、ワイヤ移動量検出部の動作を示す説明図,図6(B-1)〜(B-3)は、光センサ28で検出される干渉縞のイメージを示す図である。図6(A)には、本実施例の変位計測装置10を構成する各部のうち、前記全反射ミラー24以外の構成要素が、該全反射ミラー24に対して相対的に移動可能な変位計測ユニット70として一体化されている様子が示されている。同図6(A)に示すように、半透過半反射ミラー22に対する全反射ミラー24の相対的な変位量(ないし、全反射ミラー24に対する変位計測ユニット70の変位量)をYとしたとき、第1の戻り光Lrev1と第2の戻り光Lrev2の光路差は、2Y増加する。移動前の光センサ28の明暗状態が「明」(図6(B-1)の枠F1内参照)であって、レーザ光源12の発振波長をλとした場合、
Y=λ/4×(2n+1)(nは任意の整数)
となったときに、光センサ28上の明暗は「明」から「暗」に変化する(図6(B-3)の枠F3内参照)。また、「明」から「暗」に変化する途中段階である
0<Y<λ/4×(2n+1)
のとき、光センサ28上の干渉縞は、明暗の中間状態となる(図6(B-2)の枠F2内参照)。なお、前記図6(B-1)〜(B-3)において、干渉縞全体を取り込むと、干渉縞は変化しても、光量の変化が微小になり検出感度が低下するため、本実施例では、同図に枠F1〜F3で示す一部領域を取り込むことにより、高い検出感度を得ることとしている。
【0031】
<具体例>・・・次に、図9〜図13も参照しながら、本実施例の具体例を説明する。図9は、前記電動アシスト自転車のブレーキ動作と前記変位計測装置の作用を示す図,図10は、変位計測ユニットの具体例を示す図である。図11(A)は、前記具体例におけるレーザ光源の回路構成を示す図,図11(B)はワイヤ伸び量検出部における光検出回路の構成を示す図,図11(C)は前記光検出回路からの出力1の信号波形を示す図,(D)は前記光検出回路からの出力1の処理手順の概略を示すブロック図である。図12(A)は、前記具体例における遊び区間でのワイヤ移動量検出部の光センサ28上の暗点カウント挙動を示す図,図12(B)は機械ブレーキ区間でのワイヤ伸び量検出部の光センサ26上の光量挙動を示す図である。図13(A)はブレーキレバー操作量とワイヤ張力の関係を示す図,図13(B)はブレーキレバー操作量とブレーキ力の関係を示す図である。なお、電動アシスト自転車50及びそのブレーキ機構については、上述した通りである。
【0032】
前記変位計測ユニット70は、ブレーキハンドル(自転車ハンドル)52に固定された筐体11の中に、ブレーキレバー54の近傍に、図示しないガイドシャフトなどによってブレーキワイヤ56に沿って移動可能に設けられている。一方、前記全反射ミラー24は、前記筐体11の一方の側面11B側に固定されている。前記ブレーキワイヤ56は、前記筐体11の側面11Aから側面11B側の間を貫通している。前記変位計測ユニット70は、図10に示すように、透明樹脂成型体72に、レーザ光源12,コリメータレンズ14,第1の回折格子16〜第3の回折格子20,半透過半反射ミラー22,光センサ26及び28を収納した構成となっている。前記透明樹脂成型体72の上部には、側面72Aから側面72Bにかけて、ブレーキワイヤ56が貫通する貫通孔74が設けられており、前記ブレーキワイヤ56は、ネジ76A,76Bにより2箇所で透明樹脂成型体72に固定されている
【0033】
また、側面72A側に設けられた図示しない円形凹状スペースに、レーザ光源12が嵌め込まれており、該レーザ光源12は、透明樹脂成型体72の外部に設けられたレーザ駆動回路78に接続されている。また、透明樹脂成型体72を厚み方向に貫通したスペース(ないし切れ込み)80Aにはコリメータレンズ14が配置され、周縁が接着剤などで固定されている。このほか、スペース80Bには、第1の回折格子16が配置され、スペース80Cには、第2の回折格子18及び第3の回折格子20が配置され、それぞれの背面が、透明接着剤などで固定されている。更に、スペース80Dには、半透過半反射ミラー22が配置され、スペース80Eには、光センサ26が配置され、スペース80Fには光センサ28が配置されている。
【0034】
このほか、前記透明樹脂成型体72には、光の通路となる図示しないスペースのほか、第2の回折格子18側の上方に設けられたスリット86Aと、第3の回折格子20側の上方に設けられたスリット86Bが形成されている。前記スリット86Aは、前記スペース80Cと連続している。これらスリット86A,86Bは、第2の回折格子18と第3の回折格子20の境目で、透明樹脂成型体72がブレーキワイヤ56とともに軸方向に伸縮(図10の矢印F10参照)するようにバネ性を付与するためのものである。また、本実施例では、2つのスリット86A,86Bを設けることにより、第3の回折格子20が第2の回折格子18に対して平行に移動可能となっており、正確な移動量を測定することができる。なお、透明樹脂成型体72は、厚み方向に撓みはないものとする。前記光センサ26,28は、それぞれ、透明樹脂成型体72の外部に設けられたI/V変換回路82,84に接続されている。
【0035】
前記透明樹脂成型体72としては、例えば、アクリルやポリカーボネートなどの透明樹脂であって、15mm角で、厚さが5mm程度のものを利用した。また、レーザ光源12としては、波長650nm,出力5mWのレーザダイオードLDを利用し、光軸は射出角の小さい方を回折格子18,20の溝18A及び20Aに平行な方向にとった。コリメータレンズ14は、NA0.65,有効径4mm,幅1.5mmのものを利用し、第1の回折格子16としては、格子ピッチが0.72μm,格子の溝深さが216nmのものを使用した。また、第2の回折格子18及び第3の回折格子20としては、格子ピッチPが1.6μm,溝16A及び18Aの深さが150nm,溝幅が0.5μmのものを利用した。
【0036】
第2の回折格子18と第3の回折格子20の回折方向は同じ方向に設定し、回折格子間の距離は、レーザ光源12のコヒーレンス長(1mm程度)以内に設定する。これは、2つの回折格子18,20の間の距離を大きくすると、光の干渉性が悪くなり、干渉の明暗が取れなくなるためと、入射する光ビーム径を大きくする必要があるためである。また、半透過半反射ミラー22としては、透過率50%,反射率50%のものを利用し、全反射ミラー24としては、反射率100%のものを利用した。受光素子である光センサ26としては、干渉光36の一部を取り込み可能なサイズとし、他方の光センサ28としては、第1の戻り光Lrev1と第2の戻り光Lrev2の干渉光の一部を取り込めるサイズのものを使用した。
【0037】
以上のような構成の変位計測ユニット70では、ブレーキワイヤ56の伸びを検出するために、第2の回折格子18と第3の回折格子20を境目(図10の点線部分)にして透明樹脂成型体72を2つの部分に分けたときに、各々の部分をネジ76A,76Bでブレーキワイヤ56に固定するとともに、分かれた2つの部分がスリット86A,86Bの周囲でつながったバネ性を有する構造となっている。このため、ブレーキワイヤ56が伸びると、図9(C)に示すように2つの回折格子18,20が平行な状態を保ったまま、ブレーキワイヤ56の伸縮に合わせて間隔Iが変化するため、伸び量(変位X)が検出できる。同時に、変位計測ユニット70自体が、図9(B)に示すように、ブレーキワイヤ56とともに移動し、図9(A)に示すブレーキレバー操作開始前と比べて全反射ミラー24と半透過半反射ミラー22の間隔が変化するため、ブレーキワイヤ56の移動量(変位Y)が検出できる。
【0038】
図11(A)には、前記レーザ光源12の回路構成が示されている。本例では、レーザ光源12としてレーザダイオードLDを利用しており、該レーザダイオードLDは、電流制限抵抗R1を介して電源に接続されている。一方、図11(B)には、本例のワイヤ伸び量検出部の光検出回路が示されている。本例では、光センサ26としてフォトダイオードPDを利用している。フォトダイオードPDでは、受光した干渉光の光量に応じて電流が発生し、オペアンプOPのマイナス入力端子に入力されて電圧に変換され、出力1として出力される。すなわち、オペアンプOPがI/V変換回路82に相当する。なお、図11(B)に示す回路では、2つの抵抗R2及びR3が設けられている。一方の抵抗R2は、オペアンプOPの出力の動作点(光信号が0の時の出力電圧)を決定し、両端がオペアンプOPに接続されている抵抗R3は、光センサ26(フォトダイオードPD)の入射光量に対して出力電圧の利得を決定する抵抗であって、抵抗が大きいほど、同じ光量で出力電圧が大きくなる。
【0039】
図11(C)には、オペアンプOPから出力された出力1の波形が示されている。同図における横軸は、変位Xを示し、縦軸は検出電圧を示している。同図に示すように、本例の検出方式では、検出特性は、sin波状となるため、電気信号の強度から変位Xを求めることができる。具体的には、図11(D)に示すように、前記出力1を、増幅回路90によって増幅し、スライサ92で2値化スライスを行う。そして、クロックカウンタ94でクロックカウントを行い、演算装置96によって所定の演算ファームによってカウント数×光源の波長λの演算を行い、前記変位Xを求める。なお、図11(C)に示す検出特性のsin波は、振幅全体を100%使用することができるが、光センサ26の原点位置調整のずれによる検出範囲のずれを想定すると、20%のマージンを設定し、振幅の±80%程度の範囲を使用するとよい。なお、ワイヤ移動量検出部の光センサ28の光検出回路,出力波形,演算処理手順も、前記光センサ26の場合と同様である。
【0040】
以上のような構成の変位計測ユニット70では、図8(A)及び図9(A)に示す状態から、ドライバがブレーキレバー54を引き始めると、図8(B)に示すように、ブレーキワイヤ56が移動するとともに、図9(B)に示すように前記ブレーキワイヤ56とともに変位計測ユニット70が移動して、変位Yが生じる。そして、半透過半反射ミラー22に対する全反射ミラー24の相対的な変位Yから、ブレーキワイヤ56の移動量,すなわち、該移動量に対応するブレーキレバー54の操作量をmmオーダで計測することができる。また、変位計測ユニット70は、図9に示す第2の回折格子18と第3の回折格子20間の間隔Iの変化から、図8(C)に示すブレーキレバー54の操作によるブレーキワイヤ56の伸び(変位X)をμmオーダで検出し、電動アシスト自転車50の遊び区間から機械ブレーキ区間への移行を感知する。一方、前記電動アシスト自転車50のコントローラ64では、変位計測ユニット70からの出力に応じた最適な回生ブレーキ力を決定し、最適な回生ブレーキ制御が働くようにモータ66を制御する。すると、モータ66が発電機として機能し、発生した電気をバッテリー68に充電する。また、コントローラ64は、バッテリー68の電池性能や状況を検知している。
【0041】
このような変位計測装置10を搭載した電動アシスト自転車50では、ブレーキワイヤ56の張力による微小変形を検知することが可能になるため、図13(A)に示す従来ブレーキの遊びの部分で、モータ66を発電機にしてバッテリー68に充電を行う回生ブレーキをかけることができる。更に、図13(B)に示すように、機械ブレーキ時(ブレーキパッドがタイヤに接触する領域)も、回生ブレーキを並列に制御して動作させるため、利用効率を高めることができる。本実施例によれば、ドライバによるブレーキ調整により機械ブレーキ動作点がずれた場合、例えば、図16(B)のブレーキ動作点P1からP2へのずれなどでも、調整後の機械ブレーキ動作点を直接感知できるため、高い回生効率を常に維持できる。
【0042】
前記遊び区間から機械ブレーキ区間への移行の感知を具体的に示すと、前記遊び区間では、ワイヤ移動量検出部の光センサ28上の干渉縞のみが変化し、ワイヤ伸び量検出部の光センサ26の干渉縞は不変である。図12(A)には、前記遊び区間における光センサ28上の暗点カウント挙動が示されている。同図中、横軸は変位計測ユニット70の移動距離(変位Y)(nm),縦軸は暗点カウント数である。同図に示すように、光センサ28上の暗点カウントを行うことで、μm,mmオーダでの移動量(変位Y)を感知できる。一方、前記機械ブレーキ区間では、ワイヤ伸び量検出部の光センサ26上の干渉縞にも変化が発生する。図13(B)は、横軸がワイヤ伸び量検出部の移動量(変位X),縦軸が光量であって、機械ブレーキ区間における光センサ26上の光量変化を示している。同図(B)に示す光量変化から、上述した定量原理に基づいて、機械ブレーキ開始を感知することができる。
【0043】
このように、実施例1によれば、次のような効果が得られる。
(1)レーザ光源12からの平行な直進光の光軸上に、第1の回折格子16,半透過半反射ミラー22,全反射ミラー24を順に配置し、そして、前記直進光を、前記第1の回折格子16を通過させて半透過半反射ミラー22まで進行させ、全反射ミラー24まで進行する直進光30と、第1の回折格子16まで戻る第1の戻り光Lrev1に分割する。全反射ミラー24まで達した光は、反射されて半透過半反射ミラー22を通過し、第1の回折格子16に戻る第2の戻り光Lrev2となる。前記第1の戻り光Lrev1と第2の戻り光Lrev2の第1の回折格子16による所定次数の回折光を光センサ28で受光して光量検出することとしたので、半透過半反射ミラー22と全反射ミラー24間の相対的な位置変化に対応するブレーキワイヤ56の移動量(変位量)を検出できる。
(2)前記変位量の検出が、光路共有方式であるため、チルト影響がキャンセルされ、外乱(振動)による誤検出を防止することができる。
(3)スプリッタを利用しないため、部品点数を削減して小型化・低コスト化を図ることができる。また、構成が簡単なため、位置ずれに対しても強い。
(4)計測範囲を1波長以上に広げ、1波長以下の変位から1波長以上の変位までを連続的に計測でき、回折格子のピッチにより光学分解能の調整が可能である。
【0044】
(5)前記第1の回折格子16と半透過半反射ミラー22の間に、同一の格子ピッチPを有する第2の回折格子18と第3の回折格子20を、同一軸上で相対的に移動可能に配置し、前記第2の回折格子18及び第3の回折格子20による回折光のうち、前記第2の回折格子18による所定次数の回折光の光軸に沿う回折光を、光センサ26で受光して光量検出する。そして、第2の回折格子18に対する第3の回折格子20の移動量(変位X)に応じた干渉縞もしくはその信号から、軸方向の移動量に対応する変位量を検出し、ブレーキワイヤ56の伸び量を計測するため、同一光源を利用して、同一光軸上での異なる位置での変位量の計測が同時または時系列的に可能となる。本実施例では、これら2つの変位量の計測結果から、機械ブレーキ開始点を直接感知できるため、回生充電の効率向上を図ることができる。
【実施例2】
【0045】
次に、図14及び図15を参照しながら本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする。本実施例は、上述した実施例におけるワイヤ伸び量検出部の変形例を示す図であり、図14(A)は、本実施例のワイヤ伸び量検出部の基本構造を示す図,図14(B)は光検出回路の構成を示す図である。また、図14(A)及び(B)は、前記光検出回路からの出力A及びBの信号波形を示す図,(C)は前記出力A及びBの演算結果を示す信号波形である。本実施例は、第3の回折格子側に段差を設けて、2分割光センサの出力を割り算することで、レーザ光源の光量の変動があっても、検出位置が変化しないようにするとともに、sin状の検出特性を直線状にする例である。
【0046】
図14(A)に示すように、変位計測装置100は、第3の回折格子102に位相板104を設けて段差を付けるとともに、前記実施例1の光センサ26の代わりに、2分割光センサ106を使用したほかは、上述した実施例1と同様の構成となっている。前記位相板104は、例えば3μm程度の厚みdを有し、第3の回折格子102と同じ材料によって、段差の加工または成型の金型などによって形成される。レーザ光源12からコリメータレンズ14を通過して平行光となった直進光は、第1の回折格子16を通過し、固定側の第2の回折格子18によって回折光と直進光に分かれ、更にその直進光は、可動側の第3の回折格子102に入射して位相板104がない部分の表面で回折される(図14(A)の太線)とともに、位相板104がある部分では、該位相板104を通って第3の回折格子102の表面でも回折される(図14(A)の一点鎖線)。前記2分割光センサ106は、本実施例では、図14(B)に示すように2つのフォトダイオードPD1及びPD2からなる2分割フォトダイオードを利用している。
【0047】
2相シフト法を用いる場合は、行路差Δがλ/4*(1/cos(φ)−1)異なる2つの干渉縞を作成し、演算により変位に換算する。この場合、段差の深さdは、nを基板の屈曲率とすると、下記数式4で表される。
【数4】
例えば、波長λを0.65μm,基板の屈曲率nを1.58として、前記数式4に代入すると、段差の深さdは、
d=λ/(1/cos(φ)−1)/(n−1)/4
=0.65/0.094/(1.58−1)*1/4→2.98μm
と決定される。
【0048】
以上のようにして厚み(段差の深さd)が決定された位相板104が設けられた第3の102を通過した光は、各々の2分割光センサ106に入射される。ここで、図14(B)に示すように、2分割光センサ106の一方のフォトダイオードPD1で受光した干渉光の光量に応じて電流が発生し、オペアンプOP1のマイナス入力端子に入力され、電圧に変換されて出力信号Aとして出力される。出力信号Aは、図15(A)に示すようにsin波としてオペアンプOP1から出力される。一方、他方のフォトダイオードPD2で干渉光を受光すると、その光量に応じて電流が発生し、オペアンプOP2のマイナス入力端子に入力され、電圧に変換されて出力信号Bとして出力される。出力信号Bは、変位Xに対して、出力信号Aと90度位相がずれたsin波,すなわち、図15(B)に示すようなcos波として出力される。なお、図中の抵抗R4〜7の作用は、上述した実施例1の抵抗R2及びR3と同様である。
【0049】
前記2つの出力信号AとBを割り算すると、TanXとなることから、下記数式5に示すように、2つの信号を割り算した結果のATAN(すなわち、Tan−1)の計算をすることで、変位Xが求められる。
【数5】
このような演算は、出力信号A及びBを、図14(B)に示す演算装置108に入力し、AD変換によるデジタル処理によって行われる。図15(C)には、その結果が示されている。この場合も、振幅の±80%を検出範囲とすると好都合であることは、上述した実施例1の検出方式の場合と同様である。このように、実施例2によれば、位相板104によって可動側の第3の回折格子102に深さdの段差を設け、干渉光を2分割光センサ106で受光することとしたので、位相シフトにより特性をリニア化することができるという効果がある。
【0050】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法,材質は一例であり、同様の効果を奏するものであれば、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、前記実施例1の変位計測ユニット70では、第2の回折格子18側に設けたスリット86Aと、第3の回折格子20側に設けたスリット86Bにより、透明樹脂成型体72にバネ性を付与することとしたが、これも一例であり、2つ回折格子18,20の中間部付近に図示しないスリットを設けてバネ性を付与するなど、同様の効果を奏する範囲内で、適宜設計変更可能である。
(2)前記実施例1では、0次回折光と1次回折光を利用して変位測定を行うこととしたが、これも一例であり、1次回折光以外の任意の次数の回折光(例えば、2次光など)を利用してもよい。
【0051】
(3)上述した実施例では、光源としてレーザ光源12を用いることとしたが、これも一例であり、安価なLED(低コヒーレンス)光源を利用してもよい。このとき、半導体レーザ(可干渉距離1mm)以外の低コストの光源,例えば、可干渉距離が概略10μm以下であるLEDを利用する場合は、図4(A)及び(B)に示す回折角φを小さくすることで対応可能となる。図4(B)に示す行路差は、上述した数式3で示す通りであるから、例えば、検出範囲3.6mmのセンサを構成する場合には、Δd=3.6mm,回折角φ=0.76°の条件とすると、光路差Δ=0.36μmとなる。すなわち、干渉する2つの行路差が、可干渉距離(空間的コヒーレンス長)の10μmよりも小さくなるため、測定限界内に入り、測定が可能となる。なお、前記回折角φは、上述したように、格子ピッチPの変更によって任意に対応可能である。
【0052】
(4)前記実施例1では、応用例として電動アシスト自転車50のブレーキワイヤの伸び(張力)による変位量を測定することで、ブレーキ力を検出することとしたが、ブレーキワイヤ56を支えているチューブ58の間に変位計測ユニット70を挟み、変位計測ユニット70へのブレーキワイヤ56の長さ方向の応力からブレーキ力を検出してもよい。
(5)前記実施例1では、第1の回折格子16,半透過半反射ミラー22,全反射ミラー24,光センサ28からなる第1の変位量検出部(ワイヤ移動量検出部)と、第2の回折格子18,第3の回折格子20,光センサ26からなる第2の変位検出部(ワイヤ伸び量検出部)の双方を設けることとしたが、これは一例であり、第2の変位検出部は、必要に応じて設けるようにすればよい。
【0053】
(6)上述した実施例1では、電動アシスト自転車50で回生ブレーキを効率良くかけるためにブレーキワイヤ56の伸び量と移動量の双方を検出する装置を具体例として挙げたが、これは一例であり、本発明は、機械系の歪測定などのように、微小変位の計測全般や、微小長さの計測器の校正などに適用可能である。例えば、カメラのズームやフォーカス機能は、現状では、メカSWアレーで位置検出を行っているが、本発明を適用することにより、位置検出装置の小型化とフレキレスの要求に応えることが可能となる。また、検出範囲の拡大により、波長以上の移動に対してリニアな検出が可能となることから、光マイクロホンなどへの応用も可能である。更に、微小振動などの検出も可能であり、振動センサなどへの応用も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、光源から発射されコリメータレンズを経由した平行光を、その光軸上に配置された第1の回折格子を通過させて、更に、前記光軸上に配置された半透過半反射ミラーまで進行させ、前記平行光の一部を反射させて前記第1の回折格子まで戻る第1の戻り光とし、残りの平行光を、前記半透過半反射ミラーに対して前記光軸上で移動可能に配置された全反射ミラーまで進行させて反射させ、前記半透過半反射ミラーを通過して前記第1の回折格子まで戻る第2の戻り光とする。そして、前記第1及び第2の戻り光が、前記第1の回折格子によって0次光と±n次光に分けられたときの所定次数の回折光を、第1の光センサで受光して光量検出する。そして、前記半透過半反射ミラーに対する前記全反射ミラーの相対的な移動量に対応する干渉縞もしくはその信号から、前記平行光軸方向の第1の変位量をサブμmから20mm前後までの広範囲で測定可能としたので、微小変位を測定するための変位計測装置の用途に適用できる。特に、温度や環境の補正なしに正確に計測できるため、機械系の歪やねじれなどを測定したり、電動アシスト自転車のブレーキワイヤの移動量(や伸び量)を検出したりする用途に好適である。
【0055】
また必要に応じて、前記第1の回折格子と前記半透過半反射ミラーとの間であって、前記平行光の光軸上に、前記第1の回折格子を通過した平行光を、該平行光と同方向に進行する0次光と±n次光とに分けて進行させ、更に、前記第2の回折格子と前記半透過半反射ミラーとの間に、前記第2の回折格子に対向して前記平行光の光軸上で移動可能に配置されており、前記第2の回折格子と同一の格子ピッチを有する第3の回折格子によって、前記第2の回折格子を経由した0次光を、更に同方向に直進する0次光と、±n次光とに分けて進行させる。そして、前記第2及び第3の回折格子を経由した回折光のうち、前記第2の回折格子による所定次数の回折光の光軸に沿う回折光を、第2の光センサで受光する。そして、第2の回折格子に対する第3の回折格子の移動量に比例する干渉縞もしくはその信号から、前記平行光の軸方向の第2の変位量を測定することで、1つの光源で、前記第1及び第2の回折格子間とは異なる位置・異なる検出感度での変位測定が、同時または時系列的に可能となる。このため、変位測定の検出対象が複数ある場合(例えば、電動アシスト自転車のブレーキワイヤの伸び量と移動量など)のセンサとして好適である。
【符号の説明】
【0056】
10:変位計測装置
11:筐体
11A,11B:側面
12:レーザ光源
13:レーザ光
14:コリメータレンズ
15:平行光
16:第1の回折格子
18:第2の回折格子
18A,18B:溝
20:第3の回折格子
22:半透過半反射ミラー
24:全反射ミラー
26,28:光センサ
30:直進光
32,34:回折光
36:干渉光
50:電動アシスト自転車
52:ハンドル
54:ブレーキレバー
56:ブレーキワイヤ
58:チューブ
60:ブレーキパッド
62:リム
64:コントローラ
66:モータ
68:バッテリー
70:変位計測ユニット
72:透明樹脂成型体
72A,72B:側面
74:貫通孔
76A,76B:ネジ
78:レーザ駆動回路
80A〜80F:スペース
80F:通路
82:I/V変換回路
84:ネジ
86A,86B:スリット
90:増幅回路
92:スライサ
94:クロックカウンタ
96:演算装置
100:変位計測装置
102:第3の回折格子
104:位相板
106:2分割光センサ
108:演算装置
200:マイケルソン干渉計
202:レーザ光源
204:コリメータレンズ
206:スプリッタ
208:固定ミラー
210:可動ミラー
212:光センサ
214:固定側ユニット
216:干渉縞
F1〜F3:枠
L1〜L5:光路
Lrev1,Lrev2:戻り光
LD:レーザダイオード
OP,OP1,OP2:オペアンプ
PD,PD1,PD2:フォトダイオード
R1:電流制限抵抗
R2〜R7:抵抗
【技術分野】
【0001】
本発明は、光干渉を利用した変位計測方法及び変位計測装置に関し、更に具体的には、計測範囲の拡大に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護と健康上の観点から、乗用車で移動していた人たちが、電動アシスト付き自転車に注目するようになってきた。特に、電動アシスト付き自転車でも、一度の充電により長い距離を走行でき、エネルギーの回生充電が行われる自転車が重視されるようになってきている。このような背景から、ブレーキ時の回生充電において、制動が掛ってから対応するものが一般的である。しかしながら、制動が掛ってから回生充電に利用するだけでは利用効率が低いため、ブレーキを掛けようとしてブレーキレバーを引き始めた制動前の状態から回生充電に利用することができれば好都合である。そのためには、ブレーキレバーを引き始めた制動前の状態,すなわち、ブレーキワイヤの張力がかかった状態を検知し、前記ブレーキワイヤの張力に比例したわずかな移動量(変位量)を測定する手段が必要となる。
【0003】
図16(A)及び(B)には、電動アシスト車両のブレーキレバー操作量とブレーキ力の関係が示されている。上述した電動アシスト付き自転車などでは、ブレーキレバーを握り始めたときに、図16(A)に示す遊び区間におけるブレーキワイヤの移動量に対応するブレーキレバーの操作量を測定し、次に、ブレーキパッドが車輪の回転を妨げようとして制動をかけ始めた時点(機械ブレーキ動作点P1)をブレーキワイヤの伸びで感知することが必要である。これは、制動がかかる前後において、回生制動と機械制動との間で制御がスムースに行われないと、搭乗者を含むドライバが急ブレーキをかけたような違和感を覚えたり、ブレーキ力の不足感を感じたりするためである。
【0004】
特に、電動アシスト自転車などのブレーキでは、ドライバによるワイヤ交換やワイヤテンション調整により遊び区間が調整され、機械ブレーキが発生するまでのブレーキレバー操作量が、図16(B)に示すように、前記機械ブレーキ動作点P1からP2にずれるといったことが容易に起こりうる。従来は、ブレーキレバーの操作量のみを検出し、予め設定していた機械ブレーキ開始の操作量に達したときに、機械ブレーキ開始と判断していた。このため、上述したユーザによる調整後の機械ブレーキ動作点P2に対応できず、回生制動と機械制動との間での制御がスムースに行われなくなってしまうという不都合がある。従って、回生充電の効率を最大限に高めるためには、ブレーキワイヤの移動量とブレーキワイヤの伸び量の双方を、同時又は時系列的に測定することによって、機械ブレーキ開始時点を直接検出できる構造であることが望ましい。
【0005】
上述したブレーキワイヤの移動量や伸び量などの微小の変位を測定する手法として、従来は、光干渉計が用いられている。図17(A)に示すマイケルソン干渉計200は、レーザ光源202と、レーザ光を平行光に直すコリメータレンズ204と、ビームを2分割して一方を固定ミラー208に照射し、もう一方を可動ミラー210に照射し、2つの反射光を干渉させるスプリッタ206と、光センサ212により構成されている。マイケルソン干渉計200では、固定側ユニット214に対して、可動ミラー210がビーム方向に1波長動くと、検出器上に光の明暗が2回発生する。この光の明暗は、図17(B)に示すように干渉縞216として観察され、1波長以下の変位は、この明暗の傾斜の電圧値を読み取ることで検出できる。また、1波長以上の変位に対しては、この明暗(干渉縞)が何回発生したかを発生することで変位を計測できる。すなわち、ミラーの移動に対して往復で2倍の行路差が発生することから、図17(C)に示すように、変位(移動距離)=1波長×明暗数×2により算出できる(なお、どちらの方向に移動したかを検出する手段は別途必要となる)。このような光干渉を利用した技術としては、例えば、下記特許文献1に示す位相差検出器及び位相差検出方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−271624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、以上のような光干渉計を用いると次のような不都合がある。
(1)計測範囲が光の波長で決められてしまい、光の波長以上の範囲を計測しようとすると、通過した光の波長を数えるようになり、光の波長以下の分解能が得られない。
(2)光学部品の位置精度が非常に厳しく、角度ずれ(0.01度オーダ),位置ずれ(サブμmオーダ)により計測ができなくなることがある。従って、温度変化,湿度変化,外部振動,経時といった使用環境により誤検出を防止するための対策が必要となる。
(3)コリメータレンズ,ミラーの組み合わせ,スプリッタが必須であるため、小型化が困難である。
(4)異なる検出感度・検出位置での変位(例えば、上述した電動アシスト自転車のブレーキワイヤの移動量と伸び量など)を、同時ないし時系列的に測定することができない。
【0008】
本発明は、以上のような点に着目したもので、光学素子の傾き精度の影響を受けず、構成が簡単かつ小型化が可能であって、位置ずれに対しても強く、光学分解能の調整が可能な変位計測方法及び変位計測装置を提供することを、その目的とする。他の目的は、異なる検出感度・検出位置での変位測定を、同時ないし時系列的に行うことができる変位計測方法及び変位計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、光源から発射された光をコリメータレンズにより平行光とし、該平行光を、その光軸上に配置された第1の回折格子を通過させ、更に、前記光軸上に前記第1の回折格子に対向して配置された半透過半反射ミラーまで進行させ、前記半透過半反射ミラーにより、前記平行光の一部を反射させて前記第1の回折格子まで戻る第1の戻り光とし、前記平行光の残りを、前記半透過半反射ミラーに対して同一光軸上で相対的に位置変化可能に配置された全反射ミラーまで進行させ、前記第1の戻り光を、前記第1の回折格子により、前記第1の戻り光と同方向に進行する0次光と、該0次光に対して回折角を有する±n次光(nは1以上の自然数)とに分けて進行させ、該±n次光のうちの所定次数の回折光を、第1の光センサで受光して光量検出するとともに、前記半透過半反射ミラーを通過し、前記全反射ミラーまで進行した平行光を、該全反射ミラーで反射させて、前記半透過半反射ミラーを通過して前記第1の回折格子まで戻る第2の戻り光とし、前記第1の回折格子に達した第2の戻り光を、前記第1の回折格子により、0次光と±n次光とに分けて進行させ、該±n次光のうち、前記所定次数の回折光を、前記第1の回折格子で受光して光量検出し、前半透過半反射ミラーに対する前記全反射ミラーの相対的な移動量に対応する干渉縞もしくはその信号から、前記平行光の軸方向の第1の変位量を測定する方法及び装置である。
【0010】
主要な形態の一つは、前記第1の回折格子と前記半透過半反射ミラーの間であって、前記平行光の光軸上に配置された第2の回折格子によって、前記第1の回折格子を通過した平行光を、該平行光と同方向に進行する0次光と±n次光とに分けて進行させ、前記第2の回折格子と前記半透過半反射ミラーとの間に、前記第2の回折格子に対向して同一光軸上で移動可能に配置されており、前記第2の回折格子と同一の格子ピッチを有する第3の回折格子によって、前記第2の回折格子を経由した0次光を、更に、同方向に進行する0次光と±n次光と、に分けて進行させ、前記第2及び第3の回折格子を経由した±n次光のうち、前記第2の回折格子による所定次数の回折光の光軸に沿う回折光を、第2の光センサで受光して光量検出するとともに、前記第2の回折格子に対する第3の回折格子の移動量に対応する干渉縞もしくはその進行から、前記平行光の軸方向の第2の変位量を測定する方法及び装置である。
【0011】
本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭にした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回折格子の傾き精度の影響を受けず、回折格子の面方向の位置ずれに対しても影響が小さく、構成が簡単かつ小型化が可能であり、光学分解能の調整が可能な変位計測方法及び変位計測装置を提供できる。また、1つの光源で、異なる位置での変位検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1の変位計測装置の基本構造を示す概略図である。
【図2】前記実施例1を示す概略図であり、(A)はワイヤ伸び量検出部の基本構造を示す図,(B-1)及び(B-2)は光路4及び光路5を示す図,(C)及び(D)は光路4及び光路5の干渉の様子を示す図である。
【図3】前記ワイヤ伸び量検出部による変位計測の定性的な動作原理を示す説明図である。
【図4】前記ワイヤ伸び量検出部による変位計測の定量的な動作原理を示す説明図である。
【図5】前記実施例1のワイヤ移動量検出部による変位計測の定性的な動作原理を示す説明図である。
【図6】(A)は前記ワイヤ移動量検出部による変位計測の定量的な動作原理を示す図,(B-1)〜(B-3)は光センサで検出される干渉縞のイメージを示す図である。
【図7】本実施例の変位計測装置を適用した電動アシスト自転車の全体構成を示す図である。
【図8】前記電動アシスト自転車のブレーキ機構を示す概略図である。
【図9】前記電動アシスト自転車のブレーキ動作と前記変位計測装置の作用を示す図である。
【図10】本実施例の変位計測ユニットの具体例を示す図である。
【図11】(A)は前記具体例のワイヤ伸び量検出部におけるレーザ光源の回路構成を示す図,(B)はワイヤ伸び量検出部における光検出回路の構成を示す図,(C)は前記光検出回路からの出力1の信号波形を示す図,(D)は前記光検出回路からの出力1の処理手順の概略を示すブロック図である。
【図12】(A)は前記具体例における遊び区間でのワイヤ移動量検出部の光センサ上の暗点カウント挙動を示す図,(B)は機械ブレーキ区間でのワイヤ伸び量検出部の光センサ上の光量挙動を示す図である。
【図13】(A)はブレーキレバー操作量とワイヤ張力の関係を示す図,(B)はブレーキレバー操作量とブレーキ力の関係を示す図である。
【図14】本発明の実施例2を示す図であり、(A)は基本構造を示す図,(B)は光検出回路の構成を示す図である。
【図15】(A)及び(B)は前記実施例2の光検出回路からの出力A及びBの信号波形を示す図,(C)は前記出力A及びBの演算結果を示す信号波形である。
【図16】(A)は電動アシスト車両におけるブレーキレバー操作量とブレーキ力の関係を示す図である。(B)はブレーキレバー操作量とブレーキ力の関係において、ブレーキ動作点が変わった場合の説明図である。
【図17】背景技術の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
<基本構造>・・・最初に、図1,図7,図8を参照しながら、本発明の実施例1の基本構造を説明する。本実施例は、本発明の変位計測を、電動アシスト自転車のブレーキワイヤの伸び量と移動量の計測に適用した例であって、図1は、本実施例の基本構造を示す概略図,図7は、電動アシスト自転車の全体構成を示す図,図8は、前記電動アシスト自転車のブレーキ機構の概略を示す図である。図1に示すように、本実施例の変位計測装置10は、レーザダイオードなどのレーザ光源12と、該レーザ光源12からのレーザ光13を直進する平行光15にするコリメータレンズ14と、前記平行光15の光軸上に順に配置された第1の回折格子16,第2の回折格子18,第3の回折格子20,半透過半反射ミラー22,全反射ミラー24と、光センサ26,28により構成されている。このうち、前記全反射ミラー24以外の構成要素は、例えば、図6に示すように、変位計測ユニット70として一体に移動可能に構成されている。一方、図7及び図8に示すように、電動アシスト自転車50は、ハンドル52と、ブレーキレバー54,チューブ58に覆われたブレーキワイヤ56,ブレーキパッド60などを含むブレーキ機構と、コントローラ64,モータ66,バッテリー68などを備えている。前記変位計測ユニット70は、例えば、図7に示すように、電動アシスト自転車50のブレーキレバー54の近傍に設けられている。
【0016】
前記ブレーキ機構は、図8(A)に示すように、ブレーキレバー54の操作によってブレーキワイヤ56に張力をかけ、ブレーキパッド60をリム62に押し当てる公知の構成となっている。前記ブレーキレバー54を引き始めた遊び区間では、図8(B)に示すようにブレーキワイヤ56が移動し、ブレーキパット60がリム62に接触して機械ブレーキによる制動がかかっている状態では、図8(C)に示すように、ブレーキワイヤ56が伸びる。本実施例では、前記変位計測装置10のレーザ光源12,コリメータレンズ14,第2の回折格子18,第3の回折格子20,光センサ26(第2の光センサ)からなるワイヤ伸び量検出部によって、図8(C)に示すブレーキワイヤ56の伸び量を検出し、該伸び量に対応するブレーキ操作力を計測する。
【0017】
これと同時に、前記レーザ光源12,コリメータレンズ14,第1の回折格子16,半透過半反射ミラー22,全反射ミラー24,光センサ28(第1の光センサ)からなるワイヤ移動量検出部によって、図8(B)に示すブレーキワイヤ56の移動量を検出し、ブレーキ操作量を計測することとしている。本実施例では、このように2つの変位量検出部を設けることによって、ブレーキワイヤの伸び量と移動量を一つの光源を利用して同時(ないし時系列的に)計測することにより、図16に示す機械ブレーキ動作点P1やP2を直接検知し、遊び区間での回生を最大にして、回生充電の効率を高めるものである。
【0018】
<ワイヤ伸び量検出部>・・・先に、上述した2つの変位検出部のうち、前記ワイヤ伸び量検出部について説明する。なお、第1〜第3の回折格子16〜20を経由した平行光15は、実際には、前記平行光15と同方向に進行する0次光(0次回折光)と、該0次光に対して回折角を有する±n次光(又は±n次回折光と表現し、nは1以上の自然数)に分かれて進行するが、ここでは便宜上、第1の回折格子16,第2の回折格子18,第3の回折格子20を経由した後に、前記平行光15と同方向に進行する0次光をまとめて直進光30と表現している。
【0019】
図2(A)は、ワイヤ伸び量検出部の基本構造を示す図,(B-1)及び(B-2)はそれぞれ光路4及び光路5を示す図,(C)及び(D)は光路4及び5の干渉の様子を示す図である。前記ワイヤ伸び量検出部のうち、第2の回折格子18は、前記第1の回折格子16を通過した直進光30を、直進光30と回折光32に分けて進行させるものである。前記第3の回折格子20は、前記第2の回折格子18と同一の格子ピッチPを有しており、該第2の回折格子18と対向し、かつ、前記直進光30の光軸上で相対移動可能に配設されており、前記第2の回折格子18を通過した直進光30を、更に、直進光30と回折光34に分けて進行させるものである。前記光センサ26としては、フォトダイオードなどが利用される。前記回折光32は、より具体的には、第1の回折格子16の0次光、かつ、第2の回折格子18の1次光のうち、第3の回折格子20を経由した後も同方向に進行する0次光である。更に、前記第1の回折格子16,第2の回折格子18を経由した0次光(直進光30)のうち、第3の回折格子20を経由した1次光が、前記回折光34である。なお、本実施例では、1次光を利用することとしたが、他の所定次数の回折光を利用して、以下に説明する変位量の測定を行うようにしてもよい。
【0020】
第2の回折格子18と第3の回折格子20は、同一の所定ピッチ(図1(A)の格子ピッチP)で形成された多数の溝18A,20Aを有しており、2枚の回折格子の回折方向が同じになるように設定されている。また、光センサ26は、第3の回折格子20により回折する回折光34を含め、第2の回折格子18による回折光32の光軸に沿う回折光のみを受光して、干渉光36の光量を検出するもので、第2の回折格子18に対する第3の回折格子20の相対的な移動量(図2(A)に示す変位量X)に対応する干渉縞,もしくは、その信号から第2の回折格子18と第3の回折格子20間の軸方向の変位量(すなわち、直進する平行光15の軸方向の変位量)を測定するものである。なお、ここでいう軸方向とは、第2の回折格子18及び第3の回折格子20の主面に直交する方向をさすものとする。
【0021】
図2(B-1)には、光路L4が第2の回折格子18で回折される様子が示されており、図2(B-2)には、光路L5が第3の回折格子20で回折される様子が示されている。ここで、図2(B-1)に示す光路L4は、第1の回折格子16を経由して直進し(0次光)、第2の回折格子18を経由した回折光(本実施例の場合は1次光)のうち、第3の回折格子20を経由した後も同じ向きに進む回折光32のみ(0次光→1次光→0次光)を示している。図2(B-2)に示す光路L5は、第1の回折格子16及び第2の回折格子18を経由した後に直進して(0次光)、第3の回折格子20に入射した光のうち、前記図2(B-1)に示す回折光32と同方向に進行する1次回折光34(0次光→0次光→1次光)のみが示されている。また、図2(C)には、これら光路L4及びL5を重ね合わせた様子が示されている。本発明では、後述するように、第2の回折格子18に対する第3の回折格子20の移動前と移動後における干渉光36の光量測定によって変位量の測定が可能となるが、図1(D)に示すように、光路L4,L5が同じ光路を共有し、更に回折格子の透過回折光が回折格子の傾きの影響を受け難い特性を利用しているため、チルト(振動影響)などで第3の回折格子20が振動したとしても、干渉縞に悪影響を与えることがない。また、上述した背景技術の光学系で最も大きな素子であるスプリッタの削減が可能であるため、装置の小型化及び低コスト化が可能となる。
【0022】
次に、図3を参照しながら、前記ワイヤ伸び量検出部の動作原理を定性的に説明する。まず、第2の回折格子18と第3の回折格子20が、所定の間隔で対向配置されているところに、レーザ光源12からコリメータレンズ14を通過して平行光15となったレーザ光のうち、前記第1の回折格子16を通過した直進光30を、第2の回折格子18に入射させる。入射光は、第2の回折格子18で回折した光(行路1及び行路3)と直進光(図2(A)の直進光30)の2つに分かれ、第3の回折格子20に入射される。前記直進光は、第3の回折格子20で更に回折され(行路2)、固定側の回折光と可動側の回折光が干渉し、これを光センサ26で光量検出する。第3の回折格子20が、図3に実線で示す位置から点線で示す位置まで軸方向に移動すると、行路2の回折光の、回折する光軸上の位置が、位置P1からP2に移動する。移動前は、干渉光1は、行路1と行路2の回折光の干渉で位相差がないが、移動後は、行路2と行路3の回折光の干渉光2となり、図3に示す位相差が発生する。従って、前記移動量に比例した干渉縞が明暗を繰り返し、移動量を検出することができる。
【0023】
次に、図4を参照しながら、前記ワイヤ伸び量検出部の動作原理を定量的に説明する。図4(A)に示すように、透過型回折格子(図では、第3の回折格子20)の入射角θと回折角φの関係(入射角θは0度)は、λを波長,Pを回折格子ピッチとすると、1次回折光では下記数式1のようになる。
【数1】
【0024】
一方、図4(B)に示すように、第3の回折格子20のΔdの移動に対して、行路2の行路長はΔd変化するが、行路3の行路長Δd2は、下記の数式2で表わされる通りとなる。
【数2】
ここで、移動前は、可動側の行路2と固定側の行路1は行路差がないとすると、移動後の行路差Δは、下記の数式3で表わされる。
【数3】
【0025】
ここで、前記定量的動作原理に基づき、具体例を説明する。透過型回折格子の入射角θを0とし、波長λを0.65μm,格子ピッチP(ここではCD−R基板の溝ピッチ)を1.6μmとすると、前記数式1から、
回折角φ=ASIN(0.65/1.6)=24.0°
となる。そして、前記CDR基板を回折格子に用いたときの回折角φは24度となることから、移動量Δdに対する行路2と行路3の行路差Δは、上記数式3から、
Δ=Δd(1/cos(24°)−1)=0.094
となり、約11波長の移動で1回の干渉の明暗が発生することとなる。
【0026】
上述した背景技術の干渉計では、1波長の移動量に対して、干渉の明暗は必ず2回発生するが、本実施例では、干渉縞の発生間隔は回折角φに依存し、該回折角φにより検出範囲の拡大が可能となる。また、回折角φは、格子ピッチPと波長により決定されるため、干渉縞の発生間隔は、格子ピッチPに依存すると言い替えることができ、第2の回折格子18,第3の回折格子20の格子ピッチPの微細化により、1波長以下のオーダで変位量の検出が可能となる。このように、検出範囲の拡大により、リニアの部分の検出が可能となり、サブμm領域から20mm前後までの広範囲の変位検出が可能となる。
【0027】
下記表1には、一例として、第2及び第3の回折格子18,20の格子の本数(本/mm),格子ピッチP(μm),回折角φ(度),倍率G(倍),検出範囲(μm)の関係が示されている。第3の回折格子20がΔd移動したときの行路差をΔとすれば、Δは、上述した数式3で示される。倍率Gは、Δd/Δとなる。G=1のときは、検出範囲は光の1波長でSIN波状となり、Gが大きくなると、検出範囲は、波長λ×倍率Gとなり、SIN波拡大によってリニア検出が可能となる。
【表1】
【0028】
<ワイヤ移動量検出部>・・・次に、図5及び図6を参照しながら、本実施例のワイヤ移動量検出部について説明する。まず、図5を参照して、ワイヤ移動量検出部の構成と定性的な動作原理を説明する。ワイヤ移動量検出部は、前記レーザ光源12,コリメータレンズ14,第1の回折格子16,半透過半反射ミラー22,全反射ミラー24,光センサ28(第1の光センサ)により構成されている。前記第1の回折格子16は、前記平行光15の光軸上に配置されており、入射した光を、直進する0次光(0次回折光)と、該0次光に対して回折角を有する±n次光(±n次回折光)に分けて進行させるものである。前記半透過半反射ミラー22は、前記直進光30の光軸上に、前記第2及び第3の回折格子18,20を間に挟むようにして、前記第1の回折格子16と対向するように配設されており、前記第1の回折格子16を通過した直進光(光路L1)の一部を反射させて、前記第1の回折格子16まで戻る光路L2(第1の戻り光Lrev1)と、残りの直進する光路L3に分割するものである。
【0029】
前記全反射ミラー24は、前記半透過半反射ミラー22に対して、同一の光軸上で相対的に位置変化可能に配置されており、前記半透過半反射ミラー22を通過した直進光30(光路L3)を反射させて、前記半透過半反射ミラー22を通過して前記第1の回折格子16まで戻る第2の戻り光Lrev2とするものである。なお、本実施例では、前記第1の回折格子16と半透過半反射ミラー22の間に、上述した第2の回折格子18及び第3の回折格子20が配設されているため、図5に示す光路L1は、第1の回折格子16,第2の回折格子18,第3の回折格子20の0次回折光となる。同様に、前記第1の戻り光Lrev1(光路L2)と第2の戻り光Lrev2は、ともに第3の回折格子20及び第2の回折格子18の0次回折光、かつ、第1の回折格子16の1次回折光であり、光センサ28に照射される。該光センサ28は、前記第1及び第2の戻り光Lrev1,Lrev2の回折光を受光して光量検出するもので、半透過半反射ミラー22に対する全反射ミラー24の相対的な移動量(図6(A)の変位Y参照)に比例する干渉縞,もしくは、その信号から、半透過半反射ミラー22と全反射ミラー24間の変位Yを測定することができる。前記光センサ28としては、フォトダイオードなどが利用される。また、本実施例では、光センサ28によって、第1の回折格子16による1次回折光を受光することとしているが、前記ワイヤ伸び量検出部と同様に、他の次数の回折光を受光して変位Yを計測してもよい。
【0030】
次に、図6を参照しながら、前記ワイヤ移動量検出部の動作原理を定量的に説明する。図6(A)は、ワイヤ移動量検出部の動作を示す説明図,図6(B-1)〜(B-3)は、光センサ28で検出される干渉縞のイメージを示す図である。図6(A)には、本実施例の変位計測装置10を構成する各部のうち、前記全反射ミラー24以外の構成要素が、該全反射ミラー24に対して相対的に移動可能な変位計測ユニット70として一体化されている様子が示されている。同図6(A)に示すように、半透過半反射ミラー22に対する全反射ミラー24の相対的な変位量(ないし、全反射ミラー24に対する変位計測ユニット70の変位量)をYとしたとき、第1の戻り光Lrev1と第2の戻り光Lrev2の光路差は、2Y増加する。移動前の光センサ28の明暗状態が「明」(図6(B-1)の枠F1内参照)であって、レーザ光源12の発振波長をλとした場合、
Y=λ/4×(2n+1)(nは任意の整数)
となったときに、光センサ28上の明暗は「明」から「暗」に変化する(図6(B-3)の枠F3内参照)。また、「明」から「暗」に変化する途中段階である
0<Y<λ/4×(2n+1)
のとき、光センサ28上の干渉縞は、明暗の中間状態となる(図6(B-2)の枠F2内参照)。なお、前記図6(B-1)〜(B-3)において、干渉縞全体を取り込むと、干渉縞は変化しても、光量の変化が微小になり検出感度が低下するため、本実施例では、同図に枠F1〜F3で示す一部領域を取り込むことにより、高い検出感度を得ることとしている。
【0031】
<具体例>・・・次に、図9〜図13も参照しながら、本実施例の具体例を説明する。図9は、前記電動アシスト自転車のブレーキ動作と前記変位計測装置の作用を示す図,図10は、変位計測ユニットの具体例を示す図である。図11(A)は、前記具体例におけるレーザ光源の回路構成を示す図,図11(B)はワイヤ伸び量検出部における光検出回路の構成を示す図,図11(C)は前記光検出回路からの出力1の信号波形を示す図,(D)は前記光検出回路からの出力1の処理手順の概略を示すブロック図である。図12(A)は、前記具体例における遊び区間でのワイヤ移動量検出部の光センサ28上の暗点カウント挙動を示す図,図12(B)は機械ブレーキ区間でのワイヤ伸び量検出部の光センサ26上の光量挙動を示す図である。図13(A)はブレーキレバー操作量とワイヤ張力の関係を示す図,図13(B)はブレーキレバー操作量とブレーキ力の関係を示す図である。なお、電動アシスト自転車50及びそのブレーキ機構については、上述した通りである。
【0032】
前記変位計測ユニット70は、ブレーキハンドル(自転車ハンドル)52に固定された筐体11の中に、ブレーキレバー54の近傍に、図示しないガイドシャフトなどによってブレーキワイヤ56に沿って移動可能に設けられている。一方、前記全反射ミラー24は、前記筐体11の一方の側面11B側に固定されている。前記ブレーキワイヤ56は、前記筐体11の側面11Aから側面11B側の間を貫通している。前記変位計測ユニット70は、図10に示すように、透明樹脂成型体72に、レーザ光源12,コリメータレンズ14,第1の回折格子16〜第3の回折格子20,半透過半反射ミラー22,光センサ26及び28を収納した構成となっている。前記透明樹脂成型体72の上部には、側面72Aから側面72Bにかけて、ブレーキワイヤ56が貫通する貫通孔74が設けられており、前記ブレーキワイヤ56は、ネジ76A,76Bにより2箇所で透明樹脂成型体72に固定されている
【0033】
また、側面72A側に設けられた図示しない円形凹状スペースに、レーザ光源12が嵌め込まれており、該レーザ光源12は、透明樹脂成型体72の外部に設けられたレーザ駆動回路78に接続されている。また、透明樹脂成型体72を厚み方向に貫通したスペース(ないし切れ込み)80Aにはコリメータレンズ14が配置され、周縁が接着剤などで固定されている。このほか、スペース80Bには、第1の回折格子16が配置され、スペース80Cには、第2の回折格子18及び第3の回折格子20が配置され、それぞれの背面が、透明接着剤などで固定されている。更に、スペース80Dには、半透過半反射ミラー22が配置され、スペース80Eには、光センサ26が配置され、スペース80Fには光センサ28が配置されている。
【0034】
このほか、前記透明樹脂成型体72には、光の通路となる図示しないスペースのほか、第2の回折格子18側の上方に設けられたスリット86Aと、第3の回折格子20側の上方に設けられたスリット86Bが形成されている。前記スリット86Aは、前記スペース80Cと連続している。これらスリット86A,86Bは、第2の回折格子18と第3の回折格子20の境目で、透明樹脂成型体72がブレーキワイヤ56とともに軸方向に伸縮(図10の矢印F10参照)するようにバネ性を付与するためのものである。また、本実施例では、2つのスリット86A,86Bを設けることにより、第3の回折格子20が第2の回折格子18に対して平行に移動可能となっており、正確な移動量を測定することができる。なお、透明樹脂成型体72は、厚み方向に撓みはないものとする。前記光センサ26,28は、それぞれ、透明樹脂成型体72の外部に設けられたI/V変換回路82,84に接続されている。
【0035】
前記透明樹脂成型体72としては、例えば、アクリルやポリカーボネートなどの透明樹脂であって、15mm角で、厚さが5mm程度のものを利用した。また、レーザ光源12としては、波長650nm,出力5mWのレーザダイオードLDを利用し、光軸は射出角の小さい方を回折格子18,20の溝18A及び20Aに平行な方向にとった。コリメータレンズ14は、NA0.65,有効径4mm,幅1.5mmのものを利用し、第1の回折格子16としては、格子ピッチが0.72μm,格子の溝深さが216nmのものを使用した。また、第2の回折格子18及び第3の回折格子20としては、格子ピッチPが1.6μm,溝16A及び18Aの深さが150nm,溝幅が0.5μmのものを利用した。
【0036】
第2の回折格子18と第3の回折格子20の回折方向は同じ方向に設定し、回折格子間の距離は、レーザ光源12のコヒーレンス長(1mm程度)以内に設定する。これは、2つの回折格子18,20の間の距離を大きくすると、光の干渉性が悪くなり、干渉の明暗が取れなくなるためと、入射する光ビーム径を大きくする必要があるためである。また、半透過半反射ミラー22としては、透過率50%,反射率50%のものを利用し、全反射ミラー24としては、反射率100%のものを利用した。受光素子である光センサ26としては、干渉光36の一部を取り込み可能なサイズとし、他方の光センサ28としては、第1の戻り光Lrev1と第2の戻り光Lrev2の干渉光の一部を取り込めるサイズのものを使用した。
【0037】
以上のような構成の変位計測ユニット70では、ブレーキワイヤ56の伸びを検出するために、第2の回折格子18と第3の回折格子20を境目(図10の点線部分)にして透明樹脂成型体72を2つの部分に分けたときに、各々の部分をネジ76A,76Bでブレーキワイヤ56に固定するとともに、分かれた2つの部分がスリット86A,86Bの周囲でつながったバネ性を有する構造となっている。このため、ブレーキワイヤ56が伸びると、図9(C)に示すように2つの回折格子18,20が平行な状態を保ったまま、ブレーキワイヤ56の伸縮に合わせて間隔Iが変化するため、伸び量(変位X)が検出できる。同時に、変位計測ユニット70自体が、図9(B)に示すように、ブレーキワイヤ56とともに移動し、図9(A)に示すブレーキレバー操作開始前と比べて全反射ミラー24と半透過半反射ミラー22の間隔が変化するため、ブレーキワイヤ56の移動量(変位Y)が検出できる。
【0038】
図11(A)には、前記レーザ光源12の回路構成が示されている。本例では、レーザ光源12としてレーザダイオードLDを利用しており、該レーザダイオードLDは、電流制限抵抗R1を介して電源に接続されている。一方、図11(B)には、本例のワイヤ伸び量検出部の光検出回路が示されている。本例では、光センサ26としてフォトダイオードPDを利用している。フォトダイオードPDでは、受光した干渉光の光量に応じて電流が発生し、オペアンプOPのマイナス入力端子に入力されて電圧に変換され、出力1として出力される。すなわち、オペアンプOPがI/V変換回路82に相当する。なお、図11(B)に示す回路では、2つの抵抗R2及びR3が設けられている。一方の抵抗R2は、オペアンプOPの出力の動作点(光信号が0の時の出力電圧)を決定し、両端がオペアンプOPに接続されている抵抗R3は、光センサ26(フォトダイオードPD)の入射光量に対して出力電圧の利得を決定する抵抗であって、抵抗が大きいほど、同じ光量で出力電圧が大きくなる。
【0039】
図11(C)には、オペアンプOPから出力された出力1の波形が示されている。同図における横軸は、変位Xを示し、縦軸は検出電圧を示している。同図に示すように、本例の検出方式では、検出特性は、sin波状となるため、電気信号の強度から変位Xを求めることができる。具体的には、図11(D)に示すように、前記出力1を、増幅回路90によって増幅し、スライサ92で2値化スライスを行う。そして、クロックカウンタ94でクロックカウントを行い、演算装置96によって所定の演算ファームによってカウント数×光源の波長λの演算を行い、前記変位Xを求める。なお、図11(C)に示す検出特性のsin波は、振幅全体を100%使用することができるが、光センサ26の原点位置調整のずれによる検出範囲のずれを想定すると、20%のマージンを設定し、振幅の±80%程度の範囲を使用するとよい。なお、ワイヤ移動量検出部の光センサ28の光検出回路,出力波形,演算処理手順も、前記光センサ26の場合と同様である。
【0040】
以上のような構成の変位計測ユニット70では、図8(A)及び図9(A)に示す状態から、ドライバがブレーキレバー54を引き始めると、図8(B)に示すように、ブレーキワイヤ56が移動するとともに、図9(B)に示すように前記ブレーキワイヤ56とともに変位計測ユニット70が移動して、変位Yが生じる。そして、半透過半反射ミラー22に対する全反射ミラー24の相対的な変位Yから、ブレーキワイヤ56の移動量,すなわち、該移動量に対応するブレーキレバー54の操作量をmmオーダで計測することができる。また、変位計測ユニット70は、図9に示す第2の回折格子18と第3の回折格子20間の間隔Iの変化から、図8(C)に示すブレーキレバー54の操作によるブレーキワイヤ56の伸び(変位X)をμmオーダで検出し、電動アシスト自転車50の遊び区間から機械ブレーキ区間への移行を感知する。一方、前記電動アシスト自転車50のコントローラ64では、変位計測ユニット70からの出力に応じた最適な回生ブレーキ力を決定し、最適な回生ブレーキ制御が働くようにモータ66を制御する。すると、モータ66が発電機として機能し、発生した電気をバッテリー68に充電する。また、コントローラ64は、バッテリー68の電池性能や状況を検知している。
【0041】
このような変位計測装置10を搭載した電動アシスト自転車50では、ブレーキワイヤ56の張力による微小変形を検知することが可能になるため、図13(A)に示す従来ブレーキの遊びの部分で、モータ66を発電機にしてバッテリー68に充電を行う回生ブレーキをかけることができる。更に、図13(B)に示すように、機械ブレーキ時(ブレーキパッドがタイヤに接触する領域)も、回生ブレーキを並列に制御して動作させるため、利用効率を高めることができる。本実施例によれば、ドライバによるブレーキ調整により機械ブレーキ動作点がずれた場合、例えば、図16(B)のブレーキ動作点P1からP2へのずれなどでも、調整後の機械ブレーキ動作点を直接感知できるため、高い回生効率を常に維持できる。
【0042】
前記遊び区間から機械ブレーキ区間への移行の感知を具体的に示すと、前記遊び区間では、ワイヤ移動量検出部の光センサ28上の干渉縞のみが変化し、ワイヤ伸び量検出部の光センサ26の干渉縞は不変である。図12(A)には、前記遊び区間における光センサ28上の暗点カウント挙動が示されている。同図中、横軸は変位計測ユニット70の移動距離(変位Y)(nm),縦軸は暗点カウント数である。同図に示すように、光センサ28上の暗点カウントを行うことで、μm,mmオーダでの移動量(変位Y)を感知できる。一方、前記機械ブレーキ区間では、ワイヤ伸び量検出部の光センサ26上の干渉縞にも変化が発生する。図13(B)は、横軸がワイヤ伸び量検出部の移動量(変位X),縦軸が光量であって、機械ブレーキ区間における光センサ26上の光量変化を示している。同図(B)に示す光量変化から、上述した定量原理に基づいて、機械ブレーキ開始を感知することができる。
【0043】
このように、実施例1によれば、次のような効果が得られる。
(1)レーザ光源12からの平行な直進光の光軸上に、第1の回折格子16,半透過半反射ミラー22,全反射ミラー24を順に配置し、そして、前記直進光を、前記第1の回折格子16を通過させて半透過半反射ミラー22まで進行させ、全反射ミラー24まで進行する直進光30と、第1の回折格子16まで戻る第1の戻り光Lrev1に分割する。全反射ミラー24まで達した光は、反射されて半透過半反射ミラー22を通過し、第1の回折格子16に戻る第2の戻り光Lrev2となる。前記第1の戻り光Lrev1と第2の戻り光Lrev2の第1の回折格子16による所定次数の回折光を光センサ28で受光して光量検出することとしたので、半透過半反射ミラー22と全反射ミラー24間の相対的な位置変化に対応するブレーキワイヤ56の移動量(変位量)を検出できる。
(2)前記変位量の検出が、光路共有方式であるため、チルト影響がキャンセルされ、外乱(振動)による誤検出を防止することができる。
(3)スプリッタを利用しないため、部品点数を削減して小型化・低コスト化を図ることができる。また、構成が簡単なため、位置ずれに対しても強い。
(4)計測範囲を1波長以上に広げ、1波長以下の変位から1波長以上の変位までを連続的に計測でき、回折格子のピッチにより光学分解能の調整が可能である。
【0044】
(5)前記第1の回折格子16と半透過半反射ミラー22の間に、同一の格子ピッチPを有する第2の回折格子18と第3の回折格子20を、同一軸上で相対的に移動可能に配置し、前記第2の回折格子18及び第3の回折格子20による回折光のうち、前記第2の回折格子18による所定次数の回折光の光軸に沿う回折光を、光センサ26で受光して光量検出する。そして、第2の回折格子18に対する第3の回折格子20の移動量(変位X)に応じた干渉縞もしくはその信号から、軸方向の移動量に対応する変位量を検出し、ブレーキワイヤ56の伸び量を計測するため、同一光源を利用して、同一光軸上での異なる位置での変位量の計測が同時または時系列的に可能となる。本実施例では、これら2つの変位量の計測結果から、機械ブレーキ開始点を直接感知できるため、回生充電の効率向上を図ることができる。
【実施例2】
【0045】
次に、図14及び図15を参照しながら本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする。本実施例は、上述した実施例におけるワイヤ伸び量検出部の変形例を示す図であり、図14(A)は、本実施例のワイヤ伸び量検出部の基本構造を示す図,図14(B)は光検出回路の構成を示す図である。また、図14(A)及び(B)は、前記光検出回路からの出力A及びBの信号波形を示す図,(C)は前記出力A及びBの演算結果を示す信号波形である。本実施例は、第3の回折格子側に段差を設けて、2分割光センサの出力を割り算することで、レーザ光源の光量の変動があっても、検出位置が変化しないようにするとともに、sin状の検出特性を直線状にする例である。
【0046】
図14(A)に示すように、変位計測装置100は、第3の回折格子102に位相板104を設けて段差を付けるとともに、前記実施例1の光センサ26の代わりに、2分割光センサ106を使用したほかは、上述した実施例1と同様の構成となっている。前記位相板104は、例えば3μm程度の厚みdを有し、第3の回折格子102と同じ材料によって、段差の加工または成型の金型などによって形成される。レーザ光源12からコリメータレンズ14を通過して平行光となった直進光は、第1の回折格子16を通過し、固定側の第2の回折格子18によって回折光と直進光に分かれ、更にその直進光は、可動側の第3の回折格子102に入射して位相板104がない部分の表面で回折される(図14(A)の太線)とともに、位相板104がある部分では、該位相板104を通って第3の回折格子102の表面でも回折される(図14(A)の一点鎖線)。前記2分割光センサ106は、本実施例では、図14(B)に示すように2つのフォトダイオードPD1及びPD2からなる2分割フォトダイオードを利用している。
【0047】
2相シフト法を用いる場合は、行路差Δがλ/4*(1/cos(φ)−1)異なる2つの干渉縞を作成し、演算により変位に換算する。この場合、段差の深さdは、nを基板の屈曲率とすると、下記数式4で表される。
【数4】
例えば、波長λを0.65μm,基板の屈曲率nを1.58として、前記数式4に代入すると、段差の深さdは、
d=λ/(1/cos(φ)−1)/(n−1)/4
=0.65/0.094/(1.58−1)*1/4→2.98μm
と決定される。
【0048】
以上のようにして厚み(段差の深さd)が決定された位相板104が設けられた第3の102を通過した光は、各々の2分割光センサ106に入射される。ここで、図14(B)に示すように、2分割光センサ106の一方のフォトダイオードPD1で受光した干渉光の光量に応じて電流が発生し、オペアンプOP1のマイナス入力端子に入力され、電圧に変換されて出力信号Aとして出力される。出力信号Aは、図15(A)に示すようにsin波としてオペアンプOP1から出力される。一方、他方のフォトダイオードPD2で干渉光を受光すると、その光量に応じて電流が発生し、オペアンプOP2のマイナス入力端子に入力され、電圧に変換されて出力信号Bとして出力される。出力信号Bは、変位Xに対して、出力信号Aと90度位相がずれたsin波,すなわち、図15(B)に示すようなcos波として出力される。なお、図中の抵抗R4〜7の作用は、上述した実施例1の抵抗R2及びR3と同様である。
【0049】
前記2つの出力信号AとBを割り算すると、TanXとなることから、下記数式5に示すように、2つの信号を割り算した結果のATAN(すなわち、Tan−1)の計算をすることで、変位Xが求められる。
【数5】
このような演算は、出力信号A及びBを、図14(B)に示す演算装置108に入力し、AD変換によるデジタル処理によって行われる。図15(C)には、その結果が示されている。この場合も、振幅の±80%を検出範囲とすると好都合であることは、上述した実施例1の検出方式の場合と同様である。このように、実施例2によれば、位相板104によって可動側の第3の回折格子102に深さdの段差を設け、干渉光を2分割光センサ106で受光することとしたので、位相シフトにより特性をリニア化することができるという効果がある。
【0050】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法,材質は一例であり、同様の効果を奏するものであれば、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、前記実施例1の変位計測ユニット70では、第2の回折格子18側に設けたスリット86Aと、第3の回折格子20側に設けたスリット86Bにより、透明樹脂成型体72にバネ性を付与することとしたが、これも一例であり、2つ回折格子18,20の中間部付近に図示しないスリットを設けてバネ性を付与するなど、同様の効果を奏する範囲内で、適宜設計変更可能である。
(2)前記実施例1では、0次回折光と1次回折光を利用して変位測定を行うこととしたが、これも一例であり、1次回折光以外の任意の次数の回折光(例えば、2次光など)を利用してもよい。
【0051】
(3)上述した実施例では、光源としてレーザ光源12を用いることとしたが、これも一例であり、安価なLED(低コヒーレンス)光源を利用してもよい。このとき、半導体レーザ(可干渉距離1mm)以外の低コストの光源,例えば、可干渉距離が概略10μm以下であるLEDを利用する場合は、図4(A)及び(B)に示す回折角φを小さくすることで対応可能となる。図4(B)に示す行路差は、上述した数式3で示す通りであるから、例えば、検出範囲3.6mmのセンサを構成する場合には、Δd=3.6mm,回折角φ=0.76°の条件とすると、光路差Δ=0.36μmとなる。すなわち、干渉する2つの行路差が、可干渉距離(空間的コヒーレンス長)の10μmよりも小さくなるため、測定限界内に入り、測定が可能となる。なお、前記回折角φは、上述したように、格子ピッチPの変更によって任意に対応可能である。
【0052】
(4)前記実施例1では、応用例として電動アシスト自転車50のブレーキワイヤの伸び(張力)による変位量を測定することで、ブレーキ力を検出することとしたが、ブレーキワイヤ56を支えているチューブ58の間に変位計測ユニット70を挟み、変位計測ユニット70へのブレーキワイヤ56の長さ方向の応力からブレーキ力を検出してもよい。
(5)前記実施例1では、第1の回折格子16,半透過半反射ミラー22,全反射ミラー24,光センサ28からなる第1の変位量検出部(ワイヤ移動量検出部)と、第2の回折格子18,第3の回折格子20,光センサ26からなる第2の変位検出部(ワイヤ伸び量検出部)の双方を設けることとしたが、これは一例であり、第2の変位検出部は、必要に応じて設けるようにすればよい。
【0053】
(6)上述した実施例1では、電動アシスト自転車50で回生ブレーキを効率良くかけるためにブレーキワイヤ56の伸び量と移動量の双方を検出する装置を具体例として挙げたが、これは一例であり、本発明は、機械系の歪測定などのように、微小変位の計測全般や、微小長さの計測器の校正などに適用可能である。例えば、カメラのズームやフォーカス機能は、現状では、メカSWアレーで位置検出を行っているが、本発明を適用することにより、位置検出装置の小型化とフレキレスの要求に応えることが可能となる。また、検出範囲の拡大により、波長以上の移動に対してリニアな検出が可能となることから、光マイクロホンなどへの応用も可能である。更に、微小振動などの検出も可能であり、振動センサなどへの応用も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、光源から発射されコリメータレンズを経由した平行光を、その光軸上に配置された第1の回折格子を通過させて、更に、前記光軸上に配置された半透過半反射ミラーまで進行させ、前記平行光の一部を反射させて前記第1の回折格子まで戻る第1の戻り光とし、残りの平行光を、前記半透過半反射ミラーに対して前記光軸上で移動可能に配置された全反射ミラーまで進行させて反射させ、前記半透過半反射ミラーを通過して前記第1の回折格子まで戻る第2の戻り光とする。そして、前記第1及び第2の戻り光が、前記第1の回折格子によって0次光と±n次光に分けられたときの所定次数の回折光を、第1の光センサで受光して光量検出する。そして、前記半透過半反射ミラーに対する前記全反射ミラーの相対的な移動量に対応する干渉縞もしくはその信号から、前記平行光軸方向の第1の変位量をサブμmから20mm前後までの広範囲で測定可能としたので、微小変位を測定するための変位計測装置の用途に適用できる。特に、温度や環境の補正なしに正確に計測できるため、機械系の歪やねじれなどを測定したり、電動アシスト自転車のブレーキワイヤの移動量(や伸び量)を検出したりする用途に好適である。
【0055】
また必要に応じて、前記第1の回折格子と前記半透過半反射ミラーとの間であって、前記平行光の光軸上に、前記第1の回折格子を通過した平行光を、該平行光と同方向に進行する0次光と±n次光とに分けて進行させ、更に、前記第2の回折格子と前記半透過半反射ミラーとの間に、前記第2の回折格子に対向して前記平行光の光軸上で移動可能に配置されており、前記第2の回折格子と同一の格子ピッチを有する第3の回折格子によって、前記第2の回折格子を経由した0次光を、更に同方向に直進する0次光と、±n次光とに分けて進行させる。そして、前記第2及び第3の回折格子を経由した回折光のうち、前記第2の回折格子による所定次数の回折光の光軸に沿う回折光を、第2の光センサで受光する。そして、第2の回折格子に対する第3の回折格子の移動量に比例する干渉縞もしくはその信号から、前記平行光の軸方向の第2の変位量を測定することで、1つの光源で、前記第1及び第2の回折格子間とは異なる位置・異なる検出感度での変位測定が、同時または時系列的に可能となる。このため、変位測定の検出対象が複数ある場合(例えば、電動アシスト自転車のブレーキワイヤの伸び量と移動量など)のセンサとして好適である。
【符号の説明】
【0056】
10:変位計測装置
11:筐体
11A,11B:側面
12:レーザ光源
13:レーザ光
14:コリメータレンズ
15:平行光
16:第1の回折格子
18:第2の回折格子
18A,18B:溝
20:第3の回折格子
22:半透過半反射ミラー
24:全反射ミラー
26,28:光センサ
30:直進光
32,34:回折光
36:干渉光
50:電動アシスト自転車
52:ハンドル
54:ブレーキレバー
56:ブレーキワイヤ
58:チューブ
60:ブレーキパッド
62:リム
64:コントローラ
66:モータ
68:バッテリー
70:変位計測ユニット
72:透明樹脂成型体
72A,72B:側面
74:貫通孔
76A,76B:ネジ
78:レーザ駆動回路
80A〜80F:スペース
80F:通路
82:I/V変換回路
84:ネジ
86A,86B:スリット
90:増幅回路
92:スライサ
94:クロックカウンタ
96:演算装置
100:変位計測装置
102:第3の回折格子
104:位相板
106:2分割光センサ
108:演算装置
200:マイケルソン干渉計
202:レーザ光源
204:コリメータレンズ
206:スプリッタ
208:固定ミラー
210:可動ミラー
212:光センサ
214:固定側ユニット
216:干渉縞
F1〜F3:枠
L1〜L5:光路
Lrev1,Lrev2:戻り光
LD:レーザダイオード
OP,OP1,OP2:オペアンプ
PD,PD1,PD2:フォトダイオード
R1:電流制限抵抗
R2〜R7:抵抗
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から発射された光をコリメータレンズにより平行光とし、
該平行光を、その光軸上に配置された第1の回折格子を通過させ、更に、前記光軸上に前記第1の回折格子に対向して配置された半透過半反射ミラーまで進行させ、
前記半透過半反射ミラーにより、前記平行光の一部を反射させて前記第1の回折格子まで戻る第1の戻り光とし、前記平行光の残りを、前記半透過半反射ミラーに対して同一光軸上で相対的に位置変化可能に配置された全反射ミラーまで進行させ、
前記第1の戻り光を、前記第1の回折格子により、前記第1の戻り光と同方向に進行する0次光と、該0次光に対して回折角を有する±n次光(nは1以上の自然数)とに分けて進行させ、該±n次光のうちの所定次数の回折光を、第1の光センサで受光して光量検出するとともに、
前記半透過半反射ミラーを通過し、前記全反射ミラーまで進行した平行光を、該全反射ミラーで反射させて、前記半透過半反射ミラーを通過して前記第1の回折格子まで戻る第2の戻り光とし、
前記第1の回折格子に達した第2の戻り光を、前記第1の回折格子により、0次光と±n次光とに分けて進行させ、該±n次光のうち、前記所定次数の回折光を、前記第1の回折格子で受光して光量検出し、
前半透過半反射ミラーに対する前記全反射ミラーの相対的な移動量に対応する干渉縞もしくはその信号から、前記平行光の軸方向の第1の変位量を測定することを特徴とする変位計測方法。
【請求項2】
前記第1の回折格子と前記半透過半反射ミラーの間であって、前記平行光の光軸上に配置された第2の回折格子によって、前記第1の回折格子を通過した平行光を、該平行光と同方向に進行する0次光と±n次光とに分けて進行させ、
前記第2の回折格子と前記半透過半反射ミラーとの間に、前記第2の回折格子に対向して同一光軸上で移動可能に配置されており、前記第2の回折格子と同一の格子ピッチを有する第3の回折格子によって、前記第2の回折格子を経由した0次光を、更に、同方向に進行する0次光と±n次光とに分けて進行させ、
前記第2及び第3の回折格子を経由した±n次光のうち、前記第2の回折格子による所定次数の回折光の光軸に沿う回折光を、第2の光センサで受光して光量検出するとともに、
前記第2の回折格子に対する第3の回折格子の移動量に対応する干渉縞もしくはその信号から、前記平行光の軸方向の第2の変位量を測定することを特徴とする請求項1記載の変位計測方法。
【請求項3】
光源と、
前記光源から発射された光を平行光にするためのコリメータレンズと、
前記平行光の光軸上に配置されており、前記平行光を、同方向に進行する0次光と、±n次光とに分けて進行させる第1の回折格子と、
前記平行光の光軸上に、前記第1の回折格子と対向して配置されており、前記第1の回折格子を通過した平行光の一部を反射させて前記第1の回折格子まで戻る第1の戻り光とし、前記平行光の残りを通過させる半透過半反射ミラーと、
該半透過半反射ミラーに対して、同一光軸上で相対的に位置変化可能に配置されており、前記半透過半反射ミラーを通過した平行光を反射させて、前記半透過半反射ミラーを通過して前記第1の回折格子まで戻る第2の戻り光とする全反射ミラーと、
前記第1の回折格子によって回折された前記第1及び第2の戻り光の±n次光のうち、第1の戻り光の所定次数の回折光の光軸に沿う回折光を受光して光量検出する第1の光センサと、
を備えており、
前記半透過半反射ミラーに対する前記全反射ミラーの相対的な移動量に対応する干渉縞もしくはその信号から、前記平行光の軸方向の第1の変位量を測定することを特徴とする変位計測装置。
【請求項4】
前記第1の回折格子と前記半透過半反射ミラーの間であって、前記平行光の光軸上に配置されており、前記第1の回折格子を通過した平行光を、該平行光と同方向に進行する0次光と、±n次光とに分けて進行させる第2の回折格子と、
該第2の回折格子と前記半透過半反射ミラーとの間に、前記第2の回折格子に対して同一光軸上で移動可能に配置されており、前記第2の回折格子と同一の格子ピッチを有するとともに、前記第2の回折格子を経由した0次光を、更に同方向に直進する0次光と、±n次光とに分けて進行させる第3の回折格子と、
前記第2及び第3の回折格子を経由した±n次光のうち、前記第2の回折格子による所定次数の回折光の光軸に沿う回折光を受光して光量検出する第2の光センサと、
を備えるとともに、
前記第2の回折格子に対する第3の回折格子の移動量に比例する干渉縞もしくはその信号から、前記平行光の軸方向の第2の変位量を測定することを特徴とする請求項3記載の変位計測装置。
【請求項5】
前記第3の回折格子が前記第2の回折格子と対向する面に段差を有する位相板を設け、前記第2の光センサとして、2分割光センサを用いるとともに、
前記2分割光センサから出力される2つの信号を合成する演算手段,
を備えたことを特徴とする請求項4記載の変位計測装置。
【請求項6】
前記光源,コリメータレンズ,第1の回折格子,半透過半反射ミラー,第1の光センサが、透明樹脂成型体内に設けられた空間に設置されるとともに、
前記全反射ミラーが、前記透明樹脂成型体の外部に配置されており、
前記透明樹脂成型体と前記全反射ミラーが相対移動可能となるように、いずれか一方が軸に沿って移動可能に取り付けられたことを特徴とする請求項3記載の変位計測装置。
【請求項7】
前記光源,コリメータレンズ,第1の回折格子,第2の回折格子,第3の回折格子,半透過半反射ミラー,第1の光センサ,第2の光センサが、透明樹脂成型体内に設けられた空間に配置され、
前記全反射ミラーが、前記透明樹脂成型体の外部に配置されており、
前記透明樹脂成型体と前記全反射ミラーが相対移動可能となるように、いずれか一方が軸に沿って移動可能に取り付けられるとともに、
前記透明樹脂成型体が、前記第2の回折格子と第3の回折格子が平行状態を保つように、これら2つの回折格子を境目に伸縮可能なバネ性を示すことを特徴とする請求項4又は5記載の変位計測装置。
【請求項1】
光源から発射された光をコリメータレンズにより平行光とし、
該平行光を、その光軸上に配置された第1の回折格子を通過させ、更に、前記光軸上に前記第1の回折格子に対向して配置された半透過半反射ミラーまで進行させ、
前記半透過半反射ミラーにより、前記平行光の一部を反射させて前記第1の回折格子まで戻る第1の戻り光とし、前記平行光の残りを、前記半透過半反射ミラーに対して同一光軸上で相対的に位置変化可能に配置された全反射ミラーまで進行させ、
前記第1の戻り光を、前記第1の回折格子により、前記第1の戻り光と同方向に進行する0次光と、該0次光に対して回折角を有する±n次光(nは1以上の自然数)とに分けて進行させ、該±n次光のうちの所定次数の回折光を、第1の光センサで受光して光量検出するとともに、
前記半透過半反射ミラーを通過し、前記全反射ミラーまで進行した平行光を、該全反射ミラーで反射させて、前記半透過半反射ミラーを通過して前記第1の回折格子まで戻る第2の戻り光とし、
前記第1の回折格子に達した第2の戻り光を、前記第1の回折格子により、0次光と±n次光とに分けて進行させ、該±n次光のうち、前記所定次数の回折光を、前記第1の回折格子で受光して光量検出し、
前半透過半反射ミラーに対する前記全反射ミラーの相対的な移動量に対応する干渉縞もしくはその信号から、前記平行光の軸方向の第1の変位量を測定することを特徴とする変位計測方法。
【請求項2】
前記第1の回折格子と前記半透過半反射ミラーの間であって、前記平行光の光軸上に配置された第2の回折格子によって、前記第1の回折格子を通過した平行光を、該平行光と同方向に進行する0次光と±n次光とに分けて進行させ、
前記第2の回折格子と前記半透過半反射ミラーとの間に、前記第2の回折格子に対向して同一光軸上で移動可能に配置されており、前記第2の回折格子と同一の格子ピッチを有する第3の回折格子によって、前記第2の回折格子を経由した0次光を、更に、同方向に進行する0次光と±n次光とに分けて進行させ、
前記第2及び第3の回折格子を経由した±n次光のうち、前記第2の回折格子による所定次数の回折光の光軸に沿う回折光を、第2の光センサで受光して光量検出するとともに、
前記第2の回折格子に対する第3の回折格子の移動量に対応する干渉縞もしくはその信号から、前記平行光の軸方向の第2の変位量を測定することを特徴とする請求項1記載の変位計測方法。
【請求項3】
光源と、
前記光源から発射された光を平行光にするためのコリメータレンズと、
前記平行光の光軸上に配置されており、前記平行光を、同方向に進行する0次光と、±n次光とに分けて進行させる第1の回折格子と、
前記平行光の光軸上に、前記第1の回折格子と対向して配置されており、前記第1の回折格子を通過した平行光の一部を反射させて前記第1の回折格子まで戻る第1の戻り光とし、前記平行光の残りを通過させる半透過半反射ミラーと、
該半透過半反射ミラーに対して、同一光軸上で相対的に位置変化可能に配置されており、前記半透過半反射ミラーを通過した平行光を反射させて、前記半透過半反射ミラーを通過して前記第1の回折格子まで戻る第2の戻り光とする全反射ミラーと、
前記第1の回折格子によって回折された前記第1及び第2の戻り光の±n次光のうち、第1の戻り光の所定次数の回折光の光軸に沿う回折光を受光して光量検出する第1の光センサと、
を備えており、
前記半透過半反射ミラーに対する前記全反射ミラーの相対的な移動量に対応する干渉縞もしくはその信号から、前記平行光の軸方向の第1の変位量を測定することを特徴とする変位計測装置。
【請求項4】
前記第1の回折格子と前記半透過半反射ミラーの間であって、前記平行光の光軸上に配置されており、前記第1の回折格子を通過した平行光を、該平行光と同方向に進行する0次光と、±n次光とに分けて進行させる第2の回折格子と、
該第2の回折格子と前記半透過半反射ミラーとの間に、前記第2の回折格子に対して同一光軸上で移動可能に配置されており、前記第2の回折格子と同一の格子ピッチを有するとともに、前記第2の回折格子を経由した0次光を、更に同方向に直進する0次光と、±n次光とに分けて進行させる第3の回折格子と、
前記第2及び第3の回折格子を経由した±n次光のうち、前記第2の回折格子による所定次数の回折光の光軸に沿う回折光を受光して光量検出する第2の光センサと、
を備えるとともに、
前記第2の回折格子に対する第3の回折格子の移動量に比例する干渉縞もしくはその信号から、前記平行光の軸方向の第2の変位量を測定することを特徴とする請求項3記載の変位計測装置。
【請求項5】
前記第3の回折格子が前記第2の回折格子と対向する面に段差を有する位相板を設け、前記第2の光センサとして、2分割光センサを用いるとともに、
前記2分割光センサから出力される2つの信号を合成する演算手段,
を備えたことを特徴とする請求項4記載の変位計測装置。
【請求項6】
前記光源,コリメータレンズ,第1の回折格子,半透過半反射ミラー,第1の光センサが、透明樹脂成型体内に設けられた空間に設置されるとともに、
前記全反射ミラーが、前記透明樹脂成型体の外部に配置されており、
前記透明樹脂成型体と前記全反射ミラーが相対移動可能となるように、いずれか一方が軸に沿って移動可能に取り付けられたことを特徴とする請求項3記載の変位計測装置。
【請求項7】
前記光源,コリメータレンズ,第1の回折格子,第2の回折格子,第3の回折格子,半透過半反射ミラー,第1の光センサ,第2の光センサが、透明樹脂成型体内に設けられた空間に配置され、
前記全反射ミラーが、前記透明樹脂成型体の外部に配置されており、
前記透明樹脂成型体と前記全反射ミラーが相対移動可能となるように、いずれか一方が軸に沿って移動可能に取り付けられるとともに、
前記透明樹脂成型体が、前記第2の回折格子と第3の回折格子が平行状態を保つように、これら2つの回折格子を境目に伸縮可能なバネ性を示すことを特徴とする請求項4又は5記載の変位計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図6】
【公開番号】特開2011−215004(P2011−215004A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83537(P2010−83537)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
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