説明

変倍アフォーカル光学系

【課題】可変焦点距離素子を用い、光学系からの射出光線がほぼアフォーカルであり、収差を良好に補正し、高い光学性能を有する変倍アフォーカル光学系を提供すること。
【解決手段】可変焦点距離素子L1Vを有する第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2を有し、低倍率端状態Lから高倍率端状態Hへの変倍を前記第1レンズ群G1の焦点距離を変化させることによって行い、前記第1レンズ群G1の焦点距離と前記第2レンズ群G2の焦点距離は、一方の焦点距離が正で、他方の焦点距離が負であり、前記可変焦点距離素子L1Vは、容器内に封入された互いに屈折率が異なり混合しない第1液体材料LQ1と第2液体材料LQ2との境界面形状を変化させて焦点距離を変える変倍アフォーカル光学系。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変焦点距離素子を有する変倍アフォーカル光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可変焦点距離素子を用いた光学系が数多く提案され、その中で、光学系からの射出光線がほぼアフォーカルである光学系もいくつか提案されてきた。例えば、可変焦点距離素子にシリコンゴムを材料にした弾性体レンズを用い、簡便な可動機構のみで変倍を可能にした変倍光学系が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭61−87116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の変倍光学系では、収差補正に関して何ら開示されておらず、光学性能が高いとは言えなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、可変焦点距離素子を有する第1レンズ群と、第2レンズ群を有し、低倍率端状態から高倍率端状態への変倍を前記第1レンズ群の焦点距離を変化させることによって行い、前記第1レンズ群の焦点距離と前記第2レンズ群の焦点距離は、一方の焦点距離が正で、他方の焦点距離が負であり、前記可変焦点距離素子は、第1液体材料と、該第1液体材料と屈折率が異なり混合しない第2液体材料とを容器内に封入し、前記第1液体材料及び前記第2液体材料へ加える物理量を変化させることによって、前記第1液体材料と前記第2液体材料との境界面形状を変化させて焦点距離を変え、前記第1液体材料の基準波長における屈折率をn1、前記第2液体材料の前記基準波長における屈折率をn2、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群を有する光学系の光軸と前記光学系の最大画角に対応する射出光線とのなす角の正接をtanθ、前記光学系の低倍率端状態における前記可変焦点距離素子の屈折力をφL、前記光学系の高倍率端状態における前記可変焦点距離素子の屈折力をφHとするとき、以下の条件を満たすことを特徴とする変倍アフォーカル光学系を提供する。
0.005 < |φH−φL|×tanθ/(n1×n2) < 20 (単位:1/m)
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、可変焦点距離素子を用い、光学系からの射出光線がほぼアフォーカルであり、収差を良好に補正し、高い光学性能を有する変倍アフォーカル光学系を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の一実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系に関し説明する。
【0007】
一般的に知られている通り、光学系からの射出光線がほぼアフォーカルな光学系を構成するためには、少なくとも2つのレンズ群が必要である。2つのレンズ群で構成された光学系について、物体側のレンズ群を対物レンズ群Oとしその焦点距離をfo[mm]、瞳側のレンズ群を接眼レンズ群Eとしその焦点距離をfe[mm]とすると、ほぼアフォーカルなレンズ群を構成するためには、対物レンズ群Oと接眼レンズ群Eの主点間隔をd[mm]としたとき、以下の条件式(A)をほぼ満たす必要がある。
(A) d=fo+fe
また、このアフォーカル光学系における倍率mは、以下の式(B)で与えられる。
(B) m=−fo/fe
ここで、式(B)から分かる通り、アフォーカル光学系を変倍させるためには、少なくとも対物レンズ群Oの焦点距離foか接眼レンズ群Eの焦点距離feのいずれかを変化させることが必要である。
【0008】
そこで実施の形態においては、可変焦点距離素子を有する第1レンズ群と、第2レンズ群を有する構成とし、第1レンズ群の焦点距離を変化させることによって低倍率端状態から高倍率端状態への変倍を行って、変倍アフォーカル光学系を実現している。
【0009】
また、正立のアフォーカル光学系というのは、倍率mを正の値にするという事であり、したがって式(B)より、対物レンズ群Oの焦点距離foと接眼レンズ群Eの焦点距離feは、一方の焦点距離が正で、他方の焦点距離が負にする必要がある。
【0010】
そこで実施の形態においては、第1レンズ群の焦点距離と第2レンズ群の焦点距離は、一方の焦点距離が正で、他方の焦点距離が負にすることで、正立変倍アフォーカル光学系を実現している。
【0011】
次に、可変焦点距離素子について述べる。
【0012】
実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、可変焦点距離素子は、第1液体材料と、第1液体材料と屈折率が異なり混合しない第2液体材料とを容器内に封入し、第1液体材料及び第2液体材料へ加える物理量を変化させることによって、第1液体材料と第2液体材料との境界面形状を変化させて焦点距離を変える構成としている。
【0013】
また、実施の形態では、第1液体材料の基準波長における屈折率をn1、第2液体材料の基準波長における屈折率をn2、第1レンズ群と第2レンズ群を有する光学系の光軸と光学系の最大画角に対応する射出光線とのなす角の正接をtanθ、光学系の低倍率端状態における可変焦点距離素子の屈折力をφL、光学系の高倍率端状態における可変焦点距離素子の屈折力をφHとするとき、以下の条件式(1)を満たしている。
(1) 0.005 < |φH−φL|×tanθ/(n1×n2) < 20
(単位:1/m)
なお、射出光線とは、第1レンズ群が物体側にある場合、第2レンズ群が物体側にある場合のいずれにおいても、使用状態において、この光学系から出て行く光のことである。
【0014】
条件式(1)は、低倍率端状態から高倍率端状態への変倍の際に、全視野に亘って収差変動による視度の変化を抑えて、変倍アフォーカル光学系として高い光学性能を得るための条件式である。
【0015】
条件式(1)の下限値を下回ると、光学系からの射出角が過剰に小さくなるため、十分な視野範囲を取ることができなくなり、全視野に亘って視度の変化を抑え、変倍アフォーカル光学系として高い光学性能を得ることができない。あるいは、低倍率端状態と高倍率端状態との間で可変焦点距離素子の屈折力差が過剰に小さくなるため、十分な変倍範囲を確保できなくなって、変倍アフォーカル光学系自体を達成できなくなる。
【0016】
条件式(1)の上限値を上回ると、低倍率端状態と高倍率端状態との間で可変焦点距離素子の屈折力差が過剰に大きくなり、変倍アフォーカル光学系全体でのペッツバール和の変動が過剰に大きくなってしまう。すると、低倍率端状態と高倍率端状態との間で視野周辺部の像面湾曲による視度変化が過剰に大きくなってしまって、低倍率端状態から高倍率端状態すべてに亘って高い光学性能を得ることができなくなる。
【0017】
なお、実施の形態の効果を確実にするために、条件式(1)の下限値を0.01にすることが好ましい。また、実施の形態の効果を更に確実にするために、条件式(1)の下限値を0.04にすることが更に好ましい。また、実施の形態の効果を確実にするために、条件式(1)の上限値を8にすることが好ましい。また、実施の形態の効果を更に確実にするために、条件式(1)の上限値を6にすることが更に好ましい。
【0018】
また、実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、前記物理量は電圧であることが望ましい。
【0019】
可変焦点距離素子は様々な手段を用いたものが提案されているが、その中で近年、電子毛管現象あるいはエレクトロウェッティング現象と呼ばれる現象を用いた可変焦点距離素子が提案されている。
【0020】
可変焦点距離素子に用いる2種類の液体材料には、導電性液体材料と絶縁性液体材料を選択する。導電性液体材料には、塩化ナトリウム等の塩類の水溶液、導電性成分あるいはイオン成分を添加して導電性を付与した液体材料等の有極性液体材料を用いることができる。絶縁性液体材料には、シリコンオイル等の油類、液体炭化水素、液体炭化水素混合物、無極性ハロゲン化物、または導電性液体材料と混合しない絶縁性の液体材料等の無極性液体材料を用いることができる。
【0021】
可変焦点距離素子へ加える物理量を電圧とすることで、エレクトロウェッティング現象を用いた簡便な構成の可変焦点距離素子を実現でき、容易に簡便な構成の変倍アフォーカル光学系を得ることができる。
【0022】
なお、第1液体材料と第2液体材料を混合させない手段として、第1液体材料及び第2液体材料の間に薄膜を配置し、第1液体材料及び第2液体材料へ加える物理量として薄膜に加える張力を制御したり、いずれかあるいは両方の液体に加える力や熱を制御したりすることで同様の可変焦点距離素子を実現することも可能である。
【0023】
また、実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系は、第1レンズ群の焦点距離変化に伴って、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔を変化させることで、光学系全体の倍率を変化させることが望ましい。
【0024】
この構成とすることで、変倍アフォーカル光学系は、低倍率端状態から高倍率端状態への変倍における、可変焦点距離素子の焦点距離変化で生じる視度変化を、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔を変化させることで補正し、高い光学性能を得ることができる。
【0025】
また、実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、光軸に沿って、第1レンズ群は第2レンズ群より物体側にあり、第1レンズ群の焦点距離変化に伴って、第1レンズ群のみを光軸に沿って移動させることで、光学系全体の倍率を変化させることが望ましい。
【0026】
この構成とすることで、変倍アフォーカル光学系は、第1レンズ群に対物レンズ群O、第2レンズ群に接眼レンズ群Eとしての働きを持たせ、低倍率端状態から高倍率端状態への変倍における、可変焦点距離素子の焦点距離変化で生じる視度変化を、第1レンズ群即ち対物レンズ群Oを移動させることで補正し、高い光学性能を得ることができる。また、第1レンズ群のみを移動させるだけでよいため、平易な可動機構で簡便な構成の変倍アフォーカル光学系を得ることができる。
【0027】
また、実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、光軸に沿って、第2レンズ群は第1レンズ群より物体側にあり、第1レンズ群の焦点距離変化に伴って、第2レンズ群のみを光軸に沿って移動させることで、光学系全体の倍率を変化させることが望ましい。
【0028】
この構成とすることで、変倍アフォーカル光学系は、第2レンズ群に対物レンズ群O、第1レンズ群に接眼レンズ群Eとしての働きを持たせ、低倍率端状態から高倍率端状態への変倍における、可変焦点距離素子の焦点距離変化で生じる視度変化を、第2レンズ群即ち対物レンズ群Oを移動させることで補正し、高い光学性能を得ることができる。また、第2レンズ群のみを移動させるだけでよいため、平易な可動機構で簡便な構成の変倍アフォーカル光学系を得ることができる。
【0029】
また、実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、第2レンズ群は、1つ以上の固定焦点距離素子のみで構成されることが望ましい。
【0030】
実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、第2レンズ群を1つ以上の固定焦点距離素子のみで構成することで、レンズ群内の構成を簡単にすることができるため、簡便な構成の変倍アフォーカル光学系を実現できる。また低倍率端状態から高倍率端状態への変倍に際し、第2レンズ群内での収差変動がないため、変倍アフォーカル光学系全体の収差変動を効率的に抑えることができ、全変倍範囲において高い光学性能を得ることができる。
【0031】
また、実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、可変焦点距離素子の空気に接する面は曲面であることが望ましい。
【0032】
実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、可変焦点距離素子の2つの液体の境界面は特定の有限範囲でのみ焦点距離可変である。一方、変倍アフォーカル光学系を実現するためには各レンズ群の最適な屈折力配置が必要となる。すなわち、第1レンズ群の焦点距離可変範囲を最適にする必要がある。そこで、第1レンズ群中の可変焦点距離素子の空気に接する面を曲面とすることで、第1レンズ群の焦点距離可変範囲を焦点距離可変素子の2つの液体の境界面の焦点距離可変範囲からシフトさせることができ、最適な屈折力配置が可能となって、簡便な構成の変倍アフォーカル光学系を実現できる。
【0033】
また、実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、第1レンズ群は1つ以上の固定焦点距離素子を有することが望ましい。
【0034】
実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、可変焦点距離素子の2つの液体の境界面は特定の有限範囲でのみ焦点距離可変である。一方、変倍アフォーカル光学系を実現するためには各レンズ群の最適な屈折力配置が必要となる。すなわち、第1レンズ群の焦点距離可変範囲を最適にする必要がある。そこで、第1レンズ群は1つ以上の固定焦点距離素子を有することで、第1レンズ群の焦点距離可変範囲を焦点距離可変素子の2つの液体の境界面の焦点距離可変範囲からシフトさせることができ、最適な屈折力配置が可能となって、簡便な構成の変倍アフォーカル光学系を実現できる。
【0035】
また、実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、第1液体材料の基準波長における屈折率をn1、第2液体材料の基準波長における屈折率をn2とするとき、以下の条件式(2)を満たすことが望ましい。
(2) 0.030 < |n1−n2| < 0.600
【0036】
条件式(2)は、低倍率端状態から高倍率端状態への変倍の際に、変倍アフォーカル光学系の収差変動を抑え高い光学性能を得るための条件式である。
【0037】
条件式(2)の下限値を下回ると、可変焦点距離素子の第1液体材料と第2液体材料の境界面における屈折率差が過剰に低くなる。すると、境界面での屈折力が弱まるため、低倍率端状態から高倍率端状態への変倍の際に第1液体材料と第2液体材料との境界面形状の変化が過剰に大きくなって像面湾曲の変動を抑えることが困難となり、高い光学性能の変倍アフォーカル光学系を得ることができなくなってしまう。
【0038】
条件式(2)の上限値を上回ると、可変焦点距離素子の第1液体材料と第2液体材料の境界面における屈折率差が過剰に高くなる。すると、境界面の面精度誤差の影響を受けやすくなってしまい、境界面の面精度誤差に伴う偏心コマ収差の変動を抑えることが困難となって、高い光学性能の変倍アフォーカル光学系を得ることができなくなってしまう。
【0039】
なお、実施の形態の効果を確実にするために、条件式(2)の下限値を0.050にすることが好ましい。また、実施の形態の効果を更に確実にするために、条件式(2)の下限値を0.080にすることが更に好ましい。また、実施の形態の効果を確実にするために、条件式(2)の上限値を0.550にすることが好ましい。また、実施の形態の効果を更に確実にするために、条件式(2)の上限値を0.500にすることが更に好ましい。
【0040】
また、基準波長は本光学系の使用波長の範囲内であることが好ましいことは言うまでもない。
【0041】
また、実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、第1液体材料と第2液体材料は、ほぼ同密度であることが望ましい。
【0042】
実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、第1液体材料と第2液体材料の密度をほぼ同じにすることで、2つの液体の境界面にかかる重力方向の影響や振動による混合を回避することができる。その結果、重力方向の影響や振動による混合が原因で生じる2つの液体の境界面形状歪みに起因する偏心コマ収差の発生を回避できるので、重力や加速度の影響を受けない高い光学性能を確保することができる。
【0043】
また、実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、第1液体材料と第2液体材料のうち少なくとも一方は、不凍材料成分を含むことが望ましい。
【0044】
実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、使用温度により第1液体材料あるいは第2液体材料が凍結し固化してしまうことがある。すると光学特性が変化するばかりでなく、境界面形状の変更をできなくなり変倍アフォーカル光学系を実現できない。そこで、第1液体材料と第2液体材料のうち少なくとも一方は、エチレングリコールなどの不凍材料成分を含ませることにより、凍結による固化を防止し、広い温度範囲に亘って変倍アフォーカル光学系を実現できる。なお、不凍材料成分は、第1液体材料と第2液体材料のうち凝固点が高い方の液体、あるいは導電性の液体に含ませることが望ましい。
【0045】
また、実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、可変焦点距離素子は、第1液体材料に接する第1光学窓と、第2液体材料に接する第2光学窓とを有し、低倍率端状態において、第1液体材料と第1光学窓が接する面から境界面までの光軸上の距離をDL1L、第2液体材料と第2光学窓が接する面から境界面までの光軸上の距離をDL2L、高倍率端状態において、第1液体材料と第1光学窓が接する面から境界面までの光軸上の距離をDL1H、第2液体材料と第2光学窓が接する面から境界面までの光軸上の距離をDL2Hとするとき、以下の条件式を満たすことが望ましい。
(3) DL1L > 0.005 (単位:mm)
(4) DL2L > 0.005 (単位:mm)
(5) DL1H > 0.005 (単位:mm)
(6) DL2H > 0.005 (単位:mm)
【0046】
条件式(3)は低倍率端状態において、可変焦点距離素子の境界面形状精度を保持し、高い光学性能を実現するための条件式である。
【0047】
条件式(3)の下限値を下回ると、境界面は第1光学窓に過剰に近接する。すると第1光学窓と境界面との間に張力が発生するため、境界面形状精度が悪化し、球面収差や像面湾曲などの収差が発生して高い光学性能を維持できない。
【0048】
条件式(4)は低倍率端状態において、可変焦点距離素子の境界面形状精度を保持し、高い光学性能を実現するための条件式である。
【0049】
条件式(4)の下限値を下回ると、境界面は第2光学窓に過剰に近接する。すると第2光学窓と境界面との間に張力が発生するため、境界面形状精度が悪化し、球面収差や像面湾曲などの収差が発生して高い光学性能を維持できない。
【0050】
条件式(5)は高倍率端状態において、可変焦点距離素子の境界面形状精度を保持し、高い光学性能を実現するための条件式である。
【0051】
条件式(5)の下限値を下回ると、境界面は第1光学窓に過剰に近接する。すると第1光学窓と境界面との間に張力が発生するため、境界面形状精度が悪化し、球面収差や像面湾曲などの収差が発生して高い光学性能を維持できない。
【0052】
条件式(6)は高倍率端状態において、可変焦点距離素子の境界面形状精度を保持し、高い光学性能を実現するための条件式である。
【0053】
条件式(6)の下限値を下回ると、境界面は第2光学窓に過剰に近接する。すると第2光学窓と境界面との間に張力が発生するため、境界面形状精度が悪化し、球面収差や像面湾曲などの収差が発生して高い光学性能を維持できない。
【0054】
また、実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、可変焦点距離素子は、第1液体材料に接する第1光学窓と、第2液体材料に接する第2光学窓とを有し、低倍率端状態から高倍率端状態において、第1液体材料と第1光学窓が接する面から境界面までの距離と、第2液体材料と第2光学窓が接する面から境界面までの距離の和が不変であることが望ましい。
【0055】
実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系では、低倍率端状態から高倍率端状態において、第1液体材料と第1光学窓が接する面から境界面までの距離と、第2液体材料と第2光学窓が接する面から境界面までの距離の和が不変になる構成とすることで、可変焦点距離素子全体の光軸方向の厚みを変化させる必要がなくなり、簡単な構成の可変焦点距離素子を得ることができる。従って、簡便な構成の変倍アフォーカル光学系を実現できる。
【0056】
なお、実施の形態にかかる変倍アフォーカル光学系は、観察光学系に限られるものではなく、撮影光学系のアフォーカルフロントコンバータやリレー光学系などにも適用できることは言うまでもない。
【0057】
また、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔を微小変化させる、あるいは第1レンズ群G1の焦点距離を微小変化させることで、光学系からの射出光線をアフォーカルからずらす所謂視度調整を行うことも可能である。
【0058】
〔実施例〕
以下、本発明にかかる変倍アフォーカル光学系の各実施例に関し図面を参照しつつ説明する。
【0059】
[第1実施例]
図1は、第1実施例にかかる変倍アフォーカル光学系のレンズ構成図であり、Lは低倍率端状態、Mは中間倍率状態、Hは高倍率端状態をそれぞれ表している。
【0060】
第1レンズ群G1は第2レンズ群G2より物体側に配置され、第1レンズ群G1が対物レンズ群、第2レンズ群G2が接眼レンズ群の役割を持っている。
【0061】
第1レンズ群G1は、物体側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL1Sと可変焦点距離素子L1Vとで構成されている。可変焦点距離素子L1Vは、第1液体材料LQ1と、第1液体材料LQ1と屈折率が異なり混合しない第2液体材料LQ2とを容器内に封入し、第1液体材料LQ1及び第2液体材料LQ2へ加える物理量である電圧を変化させることによって、第1液体材料LQ1と第2液体材料LQ2の境界面LB形状を変化させ焦点距離可変にした素子であり、第1レンズ群G1全体の焦点距離を負の範囲で変化させることができる。
【0062】
可変焦点距離素子L1Vは、物体側から順に、容器の一部である平行平板ガラスL11(第1光学窓)と、第1液体材料LQ1からなるレンズ部L12と、第2液体材料LQ2からなるレンズ部L13と、容器の一部である平凹レンズL14(第2光学窓)とで構成されている。平凹レンズL14は瞳EP側の面が凹面形状になっている。即ち空気に接している面は曲面となっている。第1液体材料は導電性液体材料である塩化ナトリウム水溶液と不凍液であるエチレングリコールの混合液、第2液体材料は絶縁性液体材料であるシリコンオイルであり、また同じ密度で構成されている。
【0063】
第2レンズ群G2は、第1レンズ群G1の瞳EP側に位置固定で配置され、固定焦点距離素子である両凸形状の正レンズL2Sのみで構成されている。
【0064】
低倍率端状態Lから高倍率端状態Hへの変倍は、第1レンズ群G1中の可変焦点距離素子L1Vの屈折力を負の屈折力が弱くなる方向に変化させ、かつ第1レンズ群G1のみを瞳EP側へ移動させることで行い、簡便な構成で変倍アフォーカル光学系を実現している。
【0065】
以下の表1に第1実施例にかかる変倍アフォーカル光学系の諸元の値を掲げる。表中のmは光学系全体の倍率(単位:無次元)、ωは最大半画角(単位:度)、θは最大光線射出半角(単位:度)である。なお、表中のθの対応値は、主光線すなわち射出瞳の中心を通過する光線についての値である。レンズデータにおけるndは基準波長であるd線(λ=587.6nm)における屈折率であり、空気の屈折率nd=1.000000は記載を省略している。ここで、光学系は可視光線において使用することを想定しているので、基準波長が使用波長の範囲に入っている事は明らかである。レンズデータ及び可変データにおけるRLQは、第1液体材料LQ1と第2液体材料LQ2の境界面LBの曲率半径を表す。後述する第2実施例の表2においても同様の符号を使用し、以降の説明は省略する。
【0066】
表1から分かる通り、低倍率端状態Lから高倍率端状態Hに亘って、第1液体材料と第1光学窓が接する面から境界面までの距離と、第2液体材料と第2光学窓が接する面から境界面までの距離の和が不変になっている。
【0067】
なお、第1実施例において、曲率半径及び面間隔等の単位には「mm」を用いるが、光学系は比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、「mm」に限定されること無く他の適当な単位を用いることもできる。後述する第2実施例においても同様とする。
【0068】
(表1)
[全体諸元]
レンズ状態 低倍率端状態 中間倍率状態 高倍率端状態
m 0.36 0.60 0.80
ω 25.70 17.55 12.40
θ 9.00 9.00 9.00
[レンズデータ]
面番号 曲率半径 面間隔 nd
1) 250.000 1.000 1.491080
2) 12.475 3.500
3) ∞ 1.000 1.516800
4) ∞ DL1 1.378000 (第1液体材料LQ1)
5) RLQ DL2 1.715000 (第2液体材料LQ2)
6) ∞ 1.000 1.516800
7) 20.000 D1
8) 30.000 3.500 1.491080
9) -28.000 15.000
10> ∞ (射出瞳EP)
[可変データ]
レンズ状態 低倍率端状態 中間倍率状態 高倍率端状態
RLQ -17.770 90.000 17.600
DL1 1.700 1.200 0.500
DL2 0.800 1.300 2.000
D1 15.200 9.810 2.800
[条件式対応値]
(1) |φH−φL|×tanθ/(n1×n2) = 0.42
(2) |n1−n2| = 0.337
(3) DL1L = 1.700
(4) DL2L = 0.800
(5) DL1H = 0.500
(6) DL2H = 2.000
【0069】
図2は、第1実施例にかかる変倍アフォーカル光学系の基準波長d線(λ=587.6nm)に対する諸収差図を示し、(a)は低倍率端状態L、(b)は中間倍率状態M、(c)は高倍率端状態Hにおける諸収差図をそれぞれ示している。
【0070】
球面収差図の単位はm−1(ディオプターD)であり、hは入射高を示す。なお、入射高hとは、最も物体側のレンズ面をランド光が通過する高さであり、ランド光とは、画角ゼロの光線のうち最も光軸から離れた光線のことである。非点収差図中の実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面(単位:m−1;ディオプターD)を示す。Aは光線入射角(単位:度)を示す。コマ収差図の縦軸は各入射角でのコマ収差(単位:分)を表す。なお、以下の第2実施例の諸収差図においても同様の符号を使用し、以降の説明は省略する。
【0071】
図2によれば、収差が良好に補正され、かつ低倍率端状態Lと高倍率端状態Hとの間の収差変動も抑えられ、高い光学性能を有していることは明らかである。
【0072】
[第2実施例]
図3は、第2実施例にかかる変倍アフォーカル光学系のレンズ構成図であり、Lは低倍率端状態、Mは中間倍率状態、Hは高倍率端状態をそれぞれ表している。
【0073】
第1レンズ群G1は第2レンズ群G2より瞳EP側に配置され、第1レンズ群G1が接眼レンズ群、第2レンズ群G2が対物レンズ群の役割を持っている。
【0074】
第2レンズ群G2は、固定焦点距離素子であり物体側の面が強い屈折力を持った両凸形状の正レンズL2Sのみで構成されている。
【0075】
第1レンズ群G1は、第2レンズ群G2の瞳EP側に配置され、物体側から順に、瞳EP側が強い屈折力を持った両凹形状のレンズL1Sと可変焦点距離素子L1Vとで構成されている。可変焦点距離素子L1Vは、第1液体材料LQ1と、第1液体材料LQ1と屈折率が異なり混合しない第2液体材料LQ2とを容器内に封入し、第1液体材料LQ1及び第2液体材料LQ2へ加える物理量である電圧を変化させることによって、第1液体材料LQ1と第2液体材料LQ2の境界面LB形状を変化させ焦点距離可変にした素子であり、第1レンズ群G1全体の焦点距離を負の範囲で変化させることができる。
【0076】
可変焦点距離素子L1Vは、物体側から順に、容器の一部である平行平板ガラスL11(第1光学窓)と、第1液体材料LQ1からなるレンズ部L12と、第2液体材料LQ2からなるレンズ部L13と、容器の一部である平行平板ガラスL14(第2光学窓)とで構成されている。第1液体材料は導電性液体材料である塩化ナトリウム水溶液、第2液体材料は絶縁性液体材料であるシリコンオイルであり、同じ密度で構成されている。
【0077】
低倍率端状態Lから高倍率端状態Hへの変倍は、第1レンズ群G1中の可変焦点距離素子L1Vの屈折力を負の屈折力が強くなる方向に変化させ、かつ第2レンズ群G2のみを物体側へ移動させることで行い、簡便な構成で変倍アフォーカル光学系を実現している。
【0078】
以下の表2に第2実施例にかかる変倍アフォーカル光学系の諸元の値を掲げる。
表2から分かる通り、低倍率端状態Lから高倍率端状態Hに亘って、第1液体材料と第1光学窓が接する面から境界面までの距離と、第2液体材料と第2光学窓が接する面から境界面までの距離の和が不変になっている。
【0079】
(表2)
[全体諸元]
レンズ状態 低倍率端状態 中間倍率状態 高倍率端状態
m 1.19 1.44 1.88
ω 6.80 5.59 4.14
θ 8.00 8.00 8.00
[レンズデータ]
面番号 曲率半径 面間隔 nd
1) 26.000 5.000 1.589130
2) -260.000 D1
3) -30.000 1.000 1.516800
4) 24.000 1.500
5) ∞ 1.000 1.516800
6) ∞ DL1 1.383000 (第1液体材料LQ1)
7) RLQ DL2 1.635000 (第2液体材料LQ2)
8) ∞ 1.000 1.516800
9) ∞ 15.000
10> ∞ (射出瞳EP)
[可変データ]
レンズ状態 低倍率端状態 中間倍率状態 高倍率端状態
RLQ 30.000 90.000 -37.500
DL1 0.900 1.200 1.500
DL2 1.600 1.300 1.000
D1 4.220 9.500 15.200
[条件式対応値]
(1) |φH−φL|×tanθ/(n1×n2) = 0.13
(2) |n1−n2| = 0.252
(3) DL1L = 0.900
(4) DL2L = 1.600
(5) DL1H = 1.500
(6) DL2H = 1.000
【0080】
図4は、第2実施例にかかる変倍アフォーカル光学系の基準波長d線(λ=587.6nm)に対する諸収差図を示し、(a)は低倍率端状態L、(b)は中間倍率状態M、(c)は高倍率端状態Hにおける諸収差図をそれぞれ示している。
【0081】
図4によれば、収差が良好に補正され、かつ低倍率端状態Lと高倍率端状態Hとの間の収差変動も抑えられ、高い光学性能を有していることは明らかである。
【0082】
以上述べたように、本実施の形態によれば、可変焦点距離素子を用い、光学系からの射出光線がほぼアフォーカルであり、収差を良好に補正し、カメラ用ファインダやカメラ用コンバータレンズ、望遠鏡などに用いることができ、高い光学性能を有する変倍アフォーカル光学系を提供することができる。
【0083】
なお、各実施例の変倍アフォーカル光学系では、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔D1を微小変化させる、あるいは第1レンズ群G1の焦点距離を微小変化させることで、光学系からの射出光線をアフォーカルから僅かにずらす所謂視度調整を行うことも可能である。
【0084】
また、各実施例として、2群構成のレンズ系を示したが、該2群を含む3群及びそれ以上の群構成の光学系も同等の効果を有するレンズ系であることは言うまでもない。また、各レンズ群内の構成においても、実施例の構成にレンズを付加しただけのレンズ群は同等の効果を有するレンズ群であることは言うまでもない。また、上述の実施の形態及び実施例は例に過ぎず、上述の構成や形状、液体材料に限定されるものではなく、また変倍範囲の拡大や縮小、移動など、本発明の範囲内において適宜修正、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1実施例にかかる変倍アフォーカル光学系のレンズ構成図。
【図2】第1実施例にかかる変倍アフォーカル光学系の諸収差図であり、(a)は低倍率端状態、(b)は中間倍率状態、(c)は高倍率端状態における諸収差図をそれぞれ示している。
【図3】第2実施例にかかる変倍アフォーカル光学系のレンズ構成図。
【図4】第2実施例にかかる変倍アフォーカル光学系の諸収差図であり、(a)は低倍率端状態、(b)は中間倍率状態、(c)は高倍率端状態における諸収差図をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0086】
L ・・・ 低倍率端状態
M ・・・ 中間倍率状態
H ・・・ 高倍率端状態
G1 ・・・ 第1レンズ群
G2 ・・・ 第2レンズ群
L1V ・・・ 第1レンズ群中の可変焦点距離素子
L1S ・・・ 第1レンズ群中の負レンズ
L2S ・・・ 第2レンズ群中の正レンズ
LQ1 ・・・ 可変焦点距離素子中の第1液体材料
LQ2 ・・・ 可変焦点距離素子中の第2液体材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変焦点距離素子を有する第1レンズ群と、第2レンズ群を有し、
低倍率端状態から高倍率端状態への変倍を前記第1レンズ群の焦点距離を変化させることによって行い、
前記第1レンズ群の焦点距離と前記第2レンズ群の焦点距離は、一方の焦点距離が正で、他方の焦点距離が負であり、
前記可変焦点距離素子は、第1液体材料と、該第1液体材料と屈折率が異なり混合しない第2液体材料とを容器内に封入し、前記第1液体材料及び前記第2液体材料へ加える物理量を変化させることによって、前記第1液体材料と前記第2液体材料との境界面形状を変化させて焦点距離を変え、
前記第1液体材料の基準波長における屈折率をn1、前記第2液体材料の前記基準波長における屈折率をn2、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群を有する光学系の光軸と前記光学系の最大画角に対応する射出光線とのなす角の正接をtanθ、前記光学系の低倍率端状態における前記可変焦点距離素子の屈折力をφL、前記光学系の高倍率端状態における前記可変焦点距離素子の屈折力をφHとするとき、以下の条件を満たすことを特徴とする変倍アフォーカル光学系。
0.005 < |φH−φL|×tanθ/(n1×n2) < 20 (単位:1/m)
【請求項2】
前記物理量は電圧であることを特徴とする請求項1に記載の変倍アフォーカル光学系。
【請求項3】
前記第1レンズ群の焦点距離変化に伴って、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔を変化させることで、前記光学系全体の倍率を変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の変倍アフォーカル光学系。
【請求項4】
光軸に沿って、前記第1レンズ群は前記第2レンズ群より物体側にあり、前記第1レンズ群の焦点距離変化に伴って、前記第1レンズ群のみを光軸に沿って移動させることで、前記光学系全体の倍率を変化させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の変倍アフォーカル光学系。
【請求項5】
光軸に沿って、前記第2レンズ群は前記第1レンズ群より物体側にあり、前記第1レンズ群の焦点距離変化に伴って、前記第2レンズ群のみを光軸に沿って移動させることで、前記光学系全体の倍率を変化させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の変倍アフォーカル光学系。
【請求項6】
前記第2レンズ群は、1つ以上の固定焦点距離素子のみで構成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の変倍アフォーカル光学系。
【請求項7】
前記可変焦点距離素子の空気に接する面は曲面であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の変倍アフォーカル光学系。
【請求項8】
前記第1レンズ群は1つ以上の固定焦点距離素子を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の変倍アフォーカル光学系。
【請求項9】
前記第1液体材料の基準波長における屈折率をn1、前記第2液体材料の前記基準波長における屈折率をn2とするとき、以下の条件を満たすことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の変倍アフォーカル光学系。
0.030 < |n1−n2| < 0.600
【請求項10】
前記第1液体材料と前記第2液体材料は、ほぼ同密度であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の変倍アフォーカル光学系。
【請求項11】
前記第1液体材料と前記第2液体材料のうち少なくとも一方は、不凍材料成分を含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の変倍アフォーカル光学系。
【請求項12】
前記可変焦点距離素子は、前記第1液体材料に接する第1光学窓と、前記第2液体材料に接する第2光学窓とを有し、
低倍率端状態において、前記第1液体材料と前記第1光学窓が接する面から前記境界面までの光軸上の距離をDL1L、前記第2液体材料と前記第2光学窓が接する面から前記境界面までの光軸上の距離をDL2L、
高倍率端状態において、前記第1液体材料と前記第1光学窓が接する面から前記境界面までの光軸上の距離をDL1H、前記第2液体材料と前記第2光学窓が接する面から前記境界面までの光軸上の距離をDL2Hとするとき、以下の条件を満たすことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の変倍アフォーカル光学系。
DL1L > 0.005 (単位:mm)
DL2L > 0.005 (単位:mm)
DL1H > 0.005 (単位:mm)
DL2H > 0.005 (単位:mm)
【請求項13】
前記可変焦点距離素子は、前記第1液体材料に接する第1光学窓と、前記第2液体材料に接する第2光学窓とを有し、
低倍率端状態から高倍率端状態において、前記第1液体材料と前記第1光学窓が接する面から前記境界面までの距離と、前記第2液体材料と前記第2光学窓が接する面から前記境界面までの距離の和が不変であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の変倍アフォーカル光学系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−203648(P2008−203648A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41132(P2007−41132)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】