説明

外観検査装置

【課題】検査用ステージの復路において検査しない時間を省略して検査の効率化を図り、短時間に多くの検査対象物を検査できるようにした外観検査装置を提供する。
【解決手段】プリント基板9を積層するスタッカ10と、このスタッカ10から一枚ずつプリント基板9を取り出すピックアップ機構2と、このピックアップ機構2によって吸着して取り出されたプリント基板9を載置する検査用ステージ4と、この検査用ステージ4に載置されたプリント基板9を検査する外観検査部7とを備えてなる外観検査装置100において、検査用ステージ40、41を複数備え、これら複数の検査用ステージ40、41を上下方向にローテーションさせることによって順次外観検査部7にプリント基板9を通過させ、検査結果に応じて回収用スタッカ830に回収させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物を検査する外観検査装置に関し、より詳しくは、複数の検査対象物を効率よく検査する外観検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
検査対象物に形成されたパッドやレジスト、シルクなどは、外観検査装置によって検査される。このような外観検査装置のうち複数枚のプリント基板を連続して検査できるようにした装置として、例えば、下記の特許文献1に記載されるような装置が知られている。
【0003】
この特許文献1に記載される外観検査装置は、検査対象となるプリント基板を所定枚数積層するスタッカと、このスタッカに積層されたプリント基板を持ち上げるリフターと、このリフターによって持ち上げられたプリント基板を吸着して検査用レール上に移動させる機構と、この検査用レール上に載置されたプリント基板を検査する外観検査部と、この外観検査部による検査によって良否の判定されたプリント基板を回収する回収部を備えるようにしたものである。
【特許文献1】特開2003−165614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような外観検査装置を用いてプリント基板を検査する場合、一般に、次のような工程によって処理が行われる。まず、複数のプリント基板を検査する場合、作業者が複数のプリント基板を検査装置のスタッカに収納し、検査用のスタートスイッチを押下する。すると、このスタッカに積層されたプリント基板が、リフターによって持ち上げられ、その最上部分から順に一枚ずつ吸着機構によって取り出される。この取り出されたプリント基板は、そのスタッカの近くで待機していた検査用ステージに載せられ、外観検査部まで運ばれて検査が行われる。そして、その良否に基づき、その下流側に設けられた選別回収部によって回収される。そして、このような選別回収を行った後、次のプリント基板を検査すべく、同一経路を通って検査用ステージをスタッカ近くの待機位置まで戻し、以下同様の処理を行っていく。
【0005】
ところで、このような外観検査装置を用いて検査対象物を検査する場合、作業の効率化や、処理時間の短縮化などを図る必要がある。しかしながら、上述のような工程や機構を用いて検査を行う場合、検査用ステージを往復させたのでは、復路においては何も検査が行われないため、処理時間の無駄が生じてしまう。
【0006】
また、このように連続して検査をする際、検査対象物がずれた状態で載すると、正規の基準画像と比較処理をするための画像の位置合わせ処理に時間がかかってしまうといった不具合も生じる。
【0007】
さらには、このように連続して検査をするために、複数の検査対象物をスタッカに収納する場合、プリント基板の表面に傷を付けず、しかも、効率よくスタッカ内にプリント基板を収納する必要がある。これは、検査対象物を回収する側のスタッカについても同様であり、検査の終えた検査対象物を回収する場合においては、表面に傷を付けず、しかも、効率よく検査対象物を回収できるようにしなければならない。
【0008】
そこで、本発明は、第一に、検査用ステージの復路における検査の無処理時間を少なくして検査時間の短縮化を図ることのできる外観検査装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、第二に、検査対象物を連続して検査する際、あらかじめ位置決めされた状態で検査対象物を検査用ステージに載置できるようにすることによって、画像の位置合わせ処理にかかる時間を短縮化できるようにした外観検査装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、第三に、連続検査のために検査対象物をまとめてスタッカ内に収納する際、もしくは、回収用スタッカから取り出す際、検査対象物に傷や破損を生じさせることなく、かつ、効率よく検査対象物を収納し、もしくは、取り出すことのできる外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第一の目的を達成するために、プリント基板などの検査対象物を積層するスタッカと、当該スタッカから一枚ずつ検査対象物を取り出すピックアップ機構と、当該取り出された検査対象物を載置する検査用ステージと、当該検査用ステージに載置された検査対象物を検査する外観検査部とを備えてなる外観検査装置において、前記検査用ステージを複数備え、当該複数の検査用ステージをローテーションさせることによって順次外観検査部に検査対象物を通過させ、検査結果に応じて回収用スタッカに回収させるようにしたものである。
【0012】
このような構成を用いれば、第一の検査用ステージの復路においても、他の第二の検査用ステージを用いて検査対象物を検査することができるので、処理時間の短縮化を図ることができるようになる。
【0013】
また、別の発明では、検査用ステージの上流側に位置決め機構を設け、当該位置決め機構によって検査対象物を位置決めした後、その検査対象物を検査用ステージに載置できるようにする。
【0014】
検査対象物を検査する場合、検査対象物を正確に位置決めしておかなければ画像の位置合わせの処理に時間がかかってしまうが、本発明のように、検査用ステージに載置する前に物理的に位置決めしておけば、このような画像の位置合わせ処理にかかる時間を短縮化することができるようになる。
【0015】
さらに、このような位置決めステージを複数のブロック体で構成し、このブロック体の隙間に設けられた突出片を移動させることによって、検査対象物をブロック体の端部に設けられた側壁に片寄せして位置決めする。
【0016】
このように構成すれば、検査対象物の端部を押し付けて位置決めするので、正確かつ確実に検査対象物を位置決めすることができるようになる。
【0017】
加えて、検査対象物を積層するための機構を、検査対象物を載置するためのベース部材と、当該ベース部材を昇降させるリフターとを備え、ベース部材を最下部に位置させた状態でスタッカを前方にスライドさせるようにする。
【0018】
従来、検査対象物をスタッカに積層する場合、装置内に固定されたスタッカに検査対象物を積層していく方法や、スタッカ全体を前方へ引き出して上から検査対象物を積層していく方法などが採用されていたが、前者のように、装置内に固定されたスタッカに積層していく方法では、無理な姿勢で検査対象物を積層させていかなければならず、しかも、検査対象物を上から落とし込まなければならないことから、傷や破損を生じさせる可能性があった。また、後者のように、スタッカ全体を前方にスライドさせる方法では、スタッカを昇降させるためのリフターも一緒に引き出さなければならず、スライドレールに負担をかけてしまっていた。これに対して、本発明では、リフターによってベース部材が最下部に下げられた状態でスタッカのみを前方へ引き出せるようにしたので、リフターも一緒に引き出す必要がなくなり、スライドレールへの負担を軽減することができる。しかも、楽な姿勢で検査対象物を積層することができることから、作業の効率化を図ることができる。
【0019】
また、検査用ステージの移動方向上に、検査対象物の表面をクリーニングするクリーニング機構を設けるとともに、当該検査用ステージ上に、検査対象物との摩擦を増加させる樹脂部材を設けるようにする。
【0020】
このようにすれば、その樹脂部材によって検査対象物が検査用ステージに強く固定されるので、検査対象物のゴミや埃などを取り除く際に検査対象物がずれることを防止できる。また、これにより、位置ずれに基づく画像の位置合わせ処理の時間も短縮化できるようになる。
【0021】
また、このように検査された検査対象物を回収する際、検査対象物を常に回収用スタッカの最上部に位置させながらベース部材を順次下降させるようにする。
【0022】
上記特許文献1に記載される装置では、検査された検査対象物を回収する際、スタッカに検査対象物を上から落とし込むようにしているが、このような構成であると、落下の際に検査対象物に傷や破損を生じさせてしまう可能性がある。これに対して、本発明では、スタッカの上部にベース部材を位置させた状態で順次ベース部材を下降させるようにしたので、検査対象物を落下させるようなことがなく、検査対象物に傷や破損などを生じさせることがなくなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、プリント基板などの検査対象物を積層するスタッカと、当該スタッカから一枚ずつ検査対象物を取り出すピックアップ機構と、当該取り出された検査対象物を載置する検査用ステージと、当該検査用ステージに載置された検査対象物を検査する外観検査部とを備えてなる外観検査装置において、前記検査用ステージを複数備え、当該複数の検査用ステージをローテーションさせることによって順次外観検査部に検査対象物を通過させ、検査結果に応じて回収用スタッカに回収させるようにしたので、第一の検査用ステージの復路においても、他の第二の検査用ステージを検査することができるので、処理時間の短縮化を図ることができるようになる。
【0024】
また、検査用ステージの上流側に位置決め機構を設け、当該位置決め機構によって検査対象物を位置決めした後、その検査対象物を検査用ステージに載置するようにしたので、画像の位置合わせ処理にかかる時間を短縮化することができるようになる。
【0025】
さらに、このような位置決めステージを複数のブロック体で構成し、このブロック体の隙間に設けられた突出片を移動させることによって、検査対象物をブロック体の端部に設けられた側壁に片寄せするようにしたので、正確かつ確実に検査対象物を位置決めすることができるようになる。
【0026】
加えて、検査対象物を積層するための機構を、検査対象物を載置するためのベース部材と、このベース部材をスタッカ内で昇降させるリフターとを備えるように構成し、ベース部材を最下部に位置させた状態でスタッカを前方へスライドさせるようにしたので、従来のようにリフターも一緒に引き出す必要がなくなり、スライドレールへの負担を軽減することができる。しかも、楽な姿勢で検査対象物を積層することができることから、作業の効率化を図ることができる。
【0027】
また、検査用ステージの移動方向上に、検査対象物の表面をクリーニングするクリーニング機構を設けるとともに、当該検査用ステージ上に、検査対象物との摩擦を増加させる樹脂部材を設けるようにしたので、検査対象物のゴミや埃などを取り除く際に検査対象物がずれてしまうことを防止することができ、位置ずれに基づく画像の位置合わせ処理などの時間を短縮化することができるようになる。
【0028】
また、このように検査された検査対象物を回収する際、検査対象物を常に回収用スタッカの最上部に位置させながらベース部材を順次下降させるようにしたので、検査対象物を落下させることがなくなり、検査対象物への傷や破損などを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
まず、本実施の形態における外観検査装置100の概要について説明する。この外観検査装置100は、プリント基板9に形成された配線パターンやパッド、レジスト、シルクなどの形成状態を検査するもので、図1に示すように、検査対象となる複数枚のプリント基板9を積層する積層機構1と、この積層されたプリント基板9を上から一枚ずつ取り出すピックアップ機構2と、このピックアップ機構2によって取り出されたプリント基板9を位置決めステージ30上で位置決めする位置決め機構3と、この位置決めステージ30で位置決めされたプリント基板9を載置する検査用ステージ4(40、41)と、この検査用ステージ4をローテーションさせるローテーション機構5と、プリント基板9の表面をクリーニングするクリーニング機構6よ、プリント基板9の外観を検査する外観検査部7と、外観の検査結果に基づいてプリント基板9を選別回収する選別回収機構8とを備えている。以下、本実施の形態における外観検査装置100の詳細について説明する。
【0031】
まず、積層機構1は、図2や図3に示すように、検査対象となるプリント基板9を積み重ねた状態で収納するもので、そのプリント基板9を収納するスタッカ10と、このスタッカ10を入口の作業者側へスライドさせるスライド機構11と、スタッカ10内におけるベース部材10dを底板10aから独立して昇降させるリフター12とを備えている。
【0032】
このスタッカ10は、底板10aと側壁10bと奥壁10cを有しており、この底板10aの上部にベース部材10dを分離可能に設けている。そして、このスタッカ10をスライド機構11を介して前面に引き出し、その解放された前面部分からプリント基板9をベース部材10d上に載置できるようにしている。この底板10aと奥壁10cには、後述するフォーク12bを通すためのスリット100cが設けられている。
【0033】
スライド機構11は、スライドレール11bと、このスライドレール11bを介して取り付けられる載置部材11aを設けている。この載置部材11a上には、スタッカ10の底板10aが載置され、これによって、スタッカ10全体を載置部材11aごと前方へ引き出せるようにしている。
【0034】
また、この積層機構1におけるリフター12は、ベース部材10dを載置するフォーク12bと、このフォーク12bを昇降させるためのウォームシャフト機構12aとを備えている。このフォーク12bは、奥壁10cに設けられたスリット100cや底板10aに設けられたスリット100cを介してスタッカ10内に突出するように設けられる。このフォーク12bの動作について説明すると、まず、フォーク12bは、初期状態でスタッカ10の底板10aよりも下方に位置している。この状態では、スタッカ10の底板10aはスライド機構11を構成する載置部材11a上に載置されているため、スライドレール11bを介してスタッカ10全体を前方への引き出せる状態となっている。そして、このスタッカ10を収納した状態でフォーク12bを上方へ移動させると、そのフォーク12bの上昇に伴って、図3に示すように、そのフォーク12bが底板10aのスリット100cを介してスタッカ10内に進入し、ベース部材10dおよびプリント基板9を持ち上げる。これにより底板10aから独立してベース部材10dが持ち上げられる。このベース部材10dは、最上部に存在するプリント基板9がスタッカ10上部の光センサ10eを遮光するまで持ち上げられる。これによって、常にスタッカ10の最上部にプリント基板9を位置させ、ピックアップ機構2によって一枚ずつプリント基板9を取り出せる状態としている。
【0035】
ピックアップ機構2は、図1や図4に示すように、スタッカ10内のプリント基板9を位置決めステージ30まで移動させる第一の吸着部材20と、すでに位置決めステージ30上に位置決めされた状態で載置されているプリント基板9を検査用ステージ4まで移動させる第二の吸着部材21とを備えてなり、これら第一の吸着部材20と第二の吸着部材21を連結部材22を介して一体的に移動させる。これにより、スタッカ10内のプリント基板9を位置決めステージ30まで移動させ、また、位置決めステージ30上のプリント基板9を検査用ステージ4まで移動させる。これら第一の吸着部材20および第二の吸着部材21は、プリント基板9が接触している部分にのみ大きな吸引力を作用させる吸着機構を設けている。
【0036】
この吸着機構について説明すると、吸着機構は、図5および図6に示すように、吸引ポンプが接続される側(図では上側)の内側吸引口23と外側吸引口24との間の空間内で移動する遮蔽部材25を備えている。この遮蔽部材25は、上下方向に沿った貫通孔25aを中央に有しており、その貫通孔25aにピン状のガイドピン26aを貫通させることで上下方向へ移動される。このガイドピン26aは、外側吸引口24の内側に隙間を形成するための隙間形成部材26上に設けられるもので、遮蔽部材25を当接させることによって外側吸引口24との隙間を形成する。この隙間形成部材26は、外側吸引口24の円形開口部に跨って設けられる。そして、このガイドピン26aを遮蔽部材25の貫通孔25aに貫通させ、さらに、この遮蔽部材25をバネ27によって外側吸引口24側へ付勢する。次に、この吸着機構の作用について図6を用いて説明すると、まず、外側吸引口24にプリント基板9が存在していない初期状態で吸引ポンプを作動させると、吸引ポンプからの吸引力によって遮蔽部材25が内側吸引口23側へ吸引されて内側吸引口23を遮蔽し、これによって、遮蔽部材25の貫通孔25aとガイドピン26aとの間に形成された僅かな隙間28から外気を吸引するだけで、ほとんど大きな吸引力は作用しない。次に、外側吸引口24にプリント基板9が接触した場合、今度は、外側吸引口24が遮蔽され、空間内における空気が吸引されて圧力が低下する。そして、ある程度空間内の圧力が低下すると、今度はバネ27の付勢力によって遮蔽部材25が外側吸引口24側へ押され、この際、隙間形成部材26に遮蔽部材25が接触することによって大きな幅の吸引流路が形成される。これにより、大きな吸引力でプリント基板9が吸引される。すなわち、この吸着機構は、プリント基板9が接触している部分にのみ大きな吸引力を作用させ、また、プリント基板9が接触していない部分やスルーホールが存在する部分にはほとんど吸引力を作用させないようにしている。これによって、吸引ポンプの出力をあげることなくプリント基板9の接触している部分にのみ強い吸引力を作用させるようにしている。
【0037】
そして、このような吸着機構を有するピックアップ機構2によってスタッカ10内のプリント基板9を持ち上げ、位置決め機構3側まで移動させる。
【0038】
位置決め機構3は、図7および図8に示すように、平面状の位置決めステージ30と、この位置決めステージ30上に載置されたプリント基板9を片寄せするガイド機構32を備えている。この位置決めステージ30は、正方形状の複数のブロック体30aを所定の隙間31をもって平面状に配列することによって構成される。一方、ガイド機構32は、図7や図8に示すように、このブロック体30aの隙間31内でX方向およびY方向に移動可能に設けられる複数の突出片32aと、これら複数の突出片32aを移動可能に保持する突出片保持体33とを備えている。この突出片保持体33を移動させることによってプリント基板9の位置決めを行う場合は、まず、ブロック体30aの隙間31から突出する突出片32aをX方向およびY方向へ移動させ、これによってプリント基板9をX方向およびY方向に移動させる。このとき、プリント基板9の反対側の端部は、位置決めステージ30の端部に設けられた側壁34(図7参照)に押し当てられ、これによって、プリント基板9が片寄せされた状態で位置決めされる。この突出片32aは、種々の大きさのプリント基板9に対応できるようにすべく、長孔320とネジを介して突出片保持体33に取り付けられる。そして、突出片32aの位置を変更する場合は、ネジを緩めて長孔320の範囲内で突出部分の位置をずらし、所望の箇所でネジ止めして固定する。
【0039】
この位置決め機構3によって位置決めされたプリント基板9は、上述の第二の吸着部材21によって吸着され、検査用ステージ4まで運ばれる。
【0040】
この検査用ステージ4は、位置決めステージ30と同一平面上に設けられ、また、上述の吸着機構と同様の機構を用いている。すなわち、プリント基板9の載置されている部分にのみ大きな吸引力を作用させるようにしている。この検査用ステージ4は、この実施の形態では2つ設けられ、ローテーション機構5によって、上下間でローテーションさせるようにしている。
【0041】
このローテーション機構5について詳述すると、ローテーション機構5は、図9や図10に示すように、検査用ステージ4を水平方向に移動させる水平移動機構51と、移動方向の最後部および最前部で検査用ステージ4を上下方向に入れ替える昇降機構52とを備えている。この水平移動機構51は、シャフトモータなどによって構成され、リニアエンコーダなどによって移動が制御される。また、昇降機構52は、コンプレッサーによって検査用ステージ4を昇降させる。これらの水平移動機構51や昇降機構52は、検査用ステージ4をローテーションさせる際にそれぞれが干渉しないように、図10に示すように、それぞれ進行方向に沿って右側と左側に設けられる。そして、このローテーション機構5によって検査用ステージ4を移動させる場合、それぞれの検査用ステージ4が対照となる状態、すなわち、第一の検査用ステージ40を上部中央に位置させた場合は、第二の検査用ステージ41を下部中央に位置させ、また、第一の検査用ステージ40を上部最後部に位置させた場合は、第二の検査用ステージ41を下部最前部に位置させる。また、昇降機構52を用いて第一の検査用ステージ40を下部最前部で上方へ持ち上げる場合は、第二の検査用ステージ41を上部最後部で下方へ移動させる。
【0042】
この検査用ステージ4は、鍔状の支持部42aを介して昇降機構52に支持される。この支持部42aには、側方から吸引ポンプが接続され、中空状に構成された検査用ステージ4の内部全体の圧力を下げるようにしている。この検査用ステージ4の内部には、前述のピックアップ機構2で用いられる吸着部材が取り付けられており、検査用ステージ4の中空部分の全体の圧力を下げることによって、それぞれの吸着部材にチューブなどを接続することなくプリント基板9を吸着できるようにしている。これにより、第一の検査用ステージ40と第二の検査用ステージ41を移動させる際、吸引ポンプからの伸びるチューブを絡ませるようなことがなくなり、検査用ステージ4をスムーズに移動させることができるようになる。
【0043】
一方、検査用ステージ4の上部移動方向上には、図1に示すように、プリント基板9の表面をクリーニングするためのクリーニング機構6が設けられる。このクリーニング機構6は、検査用ステージ4に載置されたプリント基板9に接触することによって従動回転するクリーニングローラ60と、このクリーニングローラ60に付着したゴミなどを取り除く拭き取りローラ61を備えている。このクリーニングローラ60は、移動してきたプリント基板9の表面に接触する位置に設けられる。しかし、このようにクリーニングローラ60をプリント基板9に接触させると、プリント基板9が検査用ステージ4上でずれてしまう可能性がある。このため、この実施の形態では、検査用ステージ4上に弾性を有する樹脂部材42を設けている。この樹脂部材42には、検査用ステージ4に形成された外部開口部と同じ位置に開口部を設けており、これによって、吸引時に確実にプリント基板9を吸着させるようにしている。
【0044】
外観検査部7は、図12および図13に示すように、側壁板70と、これらの側壁板70に跨って取り付けられる半円筒状のブラケット71と、この半円筒状のブラケット71の上面に取り付けられる照明基板72と、この照明基板72に取り付けられたLED73からの光のうち、プリント基板9によって反射された光を受光するラインセンサ74とを具備してなる。そして、このラインセンサ74で受光された画像と正規の基準画像とを比較することにより、プリント基板9の良否を判定する。
【0045】
選別回収機構8は、図14に示すように、検査用ステージ4に載置されたプリント基板9をピックアップする第二のピックアップ機構80と、この第二のピックアップ機構80によって持ち上げられたプリント基板9を回収用スタッカ830内に回収するための回収機構83とを備える。この第二のピックアップ機構80は、上述のピックアップ機構2と同じ吸着部材81をアーム82の先端に有してなるもので、このアーム82を左右に回転させることによってプリント基板9を収納できるようにしている。なお、図14は、プリント基板9の進行方向に沿って最後部側から見た図である。
【0046】
一方、回収機構83は、プリント基板9を回収する2つの回収用スタッカ830を備えて構成される。一方は、良品用の回収用スタッカであり、他方は不良品用の回収用スタッカである。それぞれの回収用スタッカ830には、プリント基板9を載置するベース部材831と、このベース部材831を昇降させるウォームシャフト機構832が設けられており、そのウォームシャフトを回転させることによってそのウォームシャフトに連結された昇降台836を昇降させるようにしている。この昇降台836上には、スライドレール834を介してベース部材831が取り付けられており、任意の位置でベース部材831を引き出せるようにしている。また、この回収用スタッカ830には、最上部に光センサ835が設けられており、この光センサが透光状態となるまでベース部材831を順次下降させるようにしている。つまり、常にプリント基板9を回収用スタッカ830の最上部に位置させるようにして、回収時にプリント基板9を落下させないようにしている。
【0047】
次に、このように構成された外観検査装置100を用いてプリント基板9を検査する場合の動作例について説明する。
【0048】
まず、検査対象となる複数のプリント基板9を検査する場合、これらのプリント基板9を入口側のスタッカ10に収納する。この収納の際には、スタッカ10のみを前方へ引き出し、その引き出されたスタッカ10のベース部材10d上にプリント基板9をまとめて積層する。そして、そのスタッカ10を装置100内に押し入れ、図示しない扉を閉めた後にスイッチを入れる。
【0049】
すると、リフター12によってフォーク12bが上方に持ち上げられ、そのフォーク12bが底板10aのスリット100cを通ってベース部材10dを底板10aから持ち上げる。
【0050】
このベース部材10dの持ち上げによってプリント基板9が光センサ10eを遮光すると、リフター12の駆動が停止される。そして、ピックアップ機構2を駆動させて、第一の吸着部材20を下降させ、スタッカ10の最上部に存在するプリント基板9を持ち上げて、位置決めステージ30上にそのプリント基板9を移動させる。
【0051】
このプリント基板9が位置決めステージ30まで移動されると、今度は、位置決め機構3を駆動させて、突出片32aをX方向およびY方向に移動させる。これによって、プリント基板9を、位置決めステージ30の側壁34に押し当て、位置決めを行う。
【0052】
このようにして、このプリント基板9の位置決めが行われると、再びピックアップ機構2を作動させ、第二の吸着部材21によってプリント基板9を吸着して第一の検査用ステージ40まで移動させる。なお、この第二の吸着部材21によってプリント基板9を移動させるのと同時に、第一の吸着部材20によって次のプリント基板9がスタッカ10から位置決めステージ30まで運ばれる。
【0053】
次に、検査用ステージ4にプリント基板9が載置されると、その検査用ステージ4の吸着機構を作動させ、プリント基板9を第一の検査用ステージ40に吸着させる。このとき、プリント基板9はすでに位置決めされた状態となっており、また、第一の検査用ステージ40上の樹脂部材42によって強く吸着される。このような状態とした後、次に、昇降機構52によって第一の検査用ステージ40を上方に保持したまま水平方向へ移動させ、第一の検査用ステージ40に載置されたプリント基板9をクリーニング機構6に通す。このクリーニング機構6によって、プリント基板9の表面がクリーニングローラ60に接触し、表面のゴミや埃などを除去する。そして、このようにクリーニング機構によってゴミや埃を除去した後、そのプリント基板9を外観検査部7に移動させ、そこで、配線パターンやパッド、シルク、レジストなどを検査する。
【0054】
外観検査部7で外観が検査されると、そのプリント基板9は、上段の最後部まで運ばれ、そこで、第一の検査用ステージ40の吸着動作が停止される。そして、プリント基板9を第一の検査用ステージ40から取り除ける状態とし、回収機構83の吸着部材81を下降させて、プリント基板9を持ち上げてそれぞれの回収用スタッカ830に収納する。このとき、回収用スタッカ830内の上方に待機しているベース部材831上にプリント基板9が載置される。
【0055】
このプリント基板9の回収と同時に、昇降機構52を作動させて第一の検査用ステージ40を下降させ、この状態で前方まで移動させる。この時、第二の検査用ステージ41は、第一の検査用ステージ40と対照的な位置、すなわち、第一の検査用ステージ40が最後部の下方に位置している場合は、最前部の上方に位置しており、そこでピックアップ機構2によって次のプリント基板9を載置できるようにしている。以下、同様の処理を行うことによって、順次プリント基板9を検査して回収用スタッカ830に回収していく。
【0056】
このような処理を連続して行うことにより全てのプリント基板9が回収された場合、回収用スタッカ830のベース部材831を作業者側にスライドさせてプリント基板9を回収する。
【0057】
上述のように、上記実施の形態によれば、第一の検査用ステージ40と第二の検査用ステージ41をローテーションさせてプリント基板9を検査するようにしたので、復路における検査処理の無駄を解消することができ、検査時間の短縮化を図ることができるようになる。
【0058】
また、位置決め機構3によってプリント基板9を位置決めした後に、そのプリント基板9を検査用ステージ4に載置させるようにしたので、画像の位置合わせ処理にかかる時間を短縮化することができ、全体としての検査時間を短くすることができる。
【0059】
さらに、位置決めステージ30を複数のブロック体30aで構成し、このブロック体30aの隙間31から突出する突出片32aを移動させてプリント基板9を側壁34側に片寄せするようにしたので、正確かつ確実にプリント基板9を位置決めすることができる。
【0060】
加えて、スタッカ10内に設けられたベース部材10dを底板10aから分離して昇降させるリフター12を備え、このリフター12によってフォーク12bが最下部に位置している場合にのみスタッカ10を前方へ引き出せるようにしたので、リフター12も一緒に引き出す必要がなくなり、スライドレール11bへの負担を小さくすることができるようになる。また、楽な姿勢でプリント基板9をスタッカ10内に積層することができることから、作業の効率化を図ることができるようになる。
【0061】
また、検査用ステージ4の移動方向上に、プリント基板9のゴミや埃を取り除くクリーニング機構6を設けるとともに、この検査用ステージ4上に、プリント基板9との摩擦を増加させる樹脂部材42を設けるようにしたので、クリーニング時におけるプリント基板9のずれを防止することができ、後の検査時における画像の位置合わせ処理を短縮化することができるようになる。
【0062】
また、このように検査されたプリント基板9を回収する際、ベース部材831を回収用スタッカ830の上方から順次下降させながら積層するようにしたので、プリント基板9を回収用スタッカ830内で落下させるようなことがなくなり、プリント基板9へ傷を防止することができるようになる。
【0063】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0064】
例えば、上記実施の形態では、プリント基板9を検査する場合について説明したが、これに限らず、液晶パネルなどの検査に適用することもできる。もちろん、液晶パネル以外のものであってもよい。
【0065】
また、上記実施の形態では、2つの検査用ステージ40、41を交互に移動させるようにしているが、検査用ステージの数は2つに限定されることなく、3つ以上であってもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、位置決め機構3として突出片32aを移動させる機構を用いているが、これ以外の方法を採用してもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、ローテーション機構5として検査用ステージ4を上下方向に入れ替える機構を採用しているが、このような方法に限定されることはなく、同一平面状で左右に検査用ステージを入れ替えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施の形態における外観検査装置の概略図
【図2】同形態における積層機構の正面図
【図3】同形態における積層機構の動作状態を示す図
【図4】同形態におけるピックアップ機構の外観を示す図
【図5】同形態における吸着機構の原理を示す図
【図6】同形態における吸着機構の動作例を示す図
【図7】同形態における位置決め機構の外観を示す図
【図8】同形態における位置決め機構の詳細を示す図
【図9】同形態における昇降機構および水平移動機構の概要を示す図
【図10】同形態におけるローテーション機構の概要を示す図
【図11】同形態における検査用ステージの平面図
【図12】同形態における外観検査部の側面図
【図13】同形態における外観検査部の照明装置を示す図
【図14】同形態における選別回収機構を示す図
【符号の説明】
【0069】
1 積層機構
2 ピックアップ機構
3 位置決め機構
4 検査用ステージ
5 ローテーション機構
6 クリーニング機構
7 外観検査部
8 選別回収機構
9 プリント基板
10 スタッカ
10d ベース部材
11b スライドレール
11a 載置部材
12a ウォームシャフト機構
12b フォーク
12 リフター
30 位置決めステージ
30a ブロック体
32a 突出片
34 側壁
40 第一の検査用ステージ
41 第二の検査用ステージ
42 樹脂部材
51 水平移動機構
52 昇降機構
60 クリーニングローラ
61 拭き取りローラ
100 外観検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板などの検査対象物を積層するスタッカと、当該スタッカから一枚ずつ検査対象物を取り出すピックアップ機構と、当該取り出された検査対象物を載置する検査用ステージと、当該検査用ステージに載置された検査対象物を検査する外観検査部とを備えてなる外観検査装置において、
前記検査用ステージを複数備え、当該複数の検査用ステージをローテーションさせることによって順次外観検査部に検査対象物を通過させ、検査結果に応じて回収用スタッカに回収させるようにしたことを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
プリント基板などの検査対象物を積層するスタッカと、当該スタッカから一枚ずつ検査対象物を取り出して位置決めステージに移動させる第一の吸着部材と、当該位置決めステージで検査対象物を位置決めする位置決め機構と、当該位置決めステージから検査対象物を検査用ステージに移動させる第二の吸着部材と、当該位置決めされた検査対象物を載置する検査用ステージとを備えてなる外観検査装置であって、
前記検査用ステージを複数備え、当該複数の検査用ステージをローテーションさせることによって順次外観検査部に検査対象物を通過させ、検査結果に応じて回収用スタッカに回収させるようにしたことを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
前記位置決め機構が、所定の隙間を設けて配列された複数のブロック体と、当該ブロック体の端部に設けられた側壁と、前記ブロック体の隙間内で移動する突出片とを設けてなるものであり、ブロック体上に載置された検査対象物を前記突出片によって側壁に当接させて位置決めするものである請求項2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記積層機構が、検査対象物を載置するためのベース部材と、当該ベース部材を昇降させるリフターとを備え、ベース部材を最下部に位置させた状態でスタッカを前方にスライドさせるスライド機構を備えてなるものである請求項1から4いずれか1項に記載の外観検査装置。
【請求項5】
検査用ステージの移動方向の上方に、検査対象物の表面をクリーニングするクリーニング機構を設けるとともに、当該検査用ステージ上に、検査対象物との摩擦を増加させる樹脂部材を設けた請求項1から5いずれか1項に記載の外観検査装置。
【請求項6】
さらに、当該検査された検査対象物を回収する回収機構を設け、当該回収機構を、検査された検査対象物を載置するためのベース部材と、検査対象物を常に回収用スタッカの最上部に位置させながらベース部材を下降させるリフターとを備えて構成した請求項1から6いずれか1項に記載の外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−337043(P2006−337043A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158803(P2005−158803)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(597028081)株式会社メガトレード (27)
【Fターム(参考)】