説明

多層配線基板、電気光学装置、電子機器、多層配線基板の製造方法、電気光学装置の製造方法、および電子機器の製造方法

【課題】 アスペクト比の大きい支柱を形成する場合であっても、歩留まりよく製造可能で、大量生産に適した多層配線基板、及びその製造方法等を提供する。
【解決手段】
基板上に形成された第1の導電層302と、第1の導電層302上に形成された絶縁膜308と、絶縁膜308上に形成された第2の導電層310と、絶縁膜308の膜厚方向に埋設され、第1の導電層302と第2の導電層302とを導通する柱状体304と、を有し、柱状体304と第1の導電層302との接続部分において柱状体304の少なくとも一部と第1の導電層302との少なくとも一部とを覆う補強材306が形成されていることを特徴とする多層配線基板により、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層配線又は半導体装置等の配線間の電気的接続を図るためのコンタクト構造を形成する技術として、例えば特許文献1に記載の方法が知られている。
【0003】
特許文献1には、金属層上に金属メッキによりメッキ支柱を形成した後、この金属層及びメッキ支柱上にポリマーをコーティングすることによりコンタクト構造を得る方法が開示されている。また、別な態様として、金属層上にフォトレジストにより支柱を形成した後、この金属層及び支柱上にポリマーをコーティングし、その後、フォトレジストを除去して形成された穴に金属材料を充填することによりコンタクト構造を得る方法が開示されている。
【特許文献1】特開2003−179139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献記載の方法では、アスペクト比の大きい支柱を用いた場合、スピンコート等の高速条件でポリマーをコーティングすると支柱が倒れてしまい、製品の歩留まりが落ちるといった虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、アスペクト比の大きい支柱を形成する場合であっても、歩留まりよく製造可能で、大量生産に適したコンタクト構造、微細構造体の製造方法、及びコンタクト構造の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、第1の導電層と、前記第1の導電層上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に形成された第2の導電層と、前記絶縁膜の膜厚方向に埋設され、前記第1の導電層と前記第2の導電層とを電気的に接続する柱状体とを備えたコンタクト構造であって、前記柱状体の根元付近に補強材が付着されてなるコンタクト構造を提供するものである。
【0007】
これによれば、柱状体の根元付近に補強材を付着し、柱状体を補強しているので、コンタクト構造の製造時においても、スピンコート等の高速条件で膜形成材料を堆積させる場合に、柱状体が傾くことを回避することが可能となる。よって、第1の導電層と第2の導電層との電気的接続をより確実になし得るコンタクト構造を提供し得る。
【0008】
前記補強材は、前記柱状体と前記第1の導電層との接続部周辺に付着することにより、前記柱状体と前記第1の導電層とを固定するものであってもよい。また、前記第1の導電層が基材上又は基材内に設けられている場合には、前記補強材が、前記基材上の前記柱状体と前記第1の導電層との接続部周辺を含む領域に付着することにより、前記柱状体と前記基材とを固定化するものであってもよい。これにより、第1の導電層と第2の導電層との電気的接続を一層確実にすることが可能となる。
【0009】
前記補強材は、絶縁材料から構成されていても、導電材料から構成されていてもよい。なお、導電層と柱状体との接続部では、エレクトロマイグレーションによる配線断面積(柱状体の断面積)の減少を伴う発熱・断線が生じ易い。しかし、補強材が導電材料から構成されている場合には、このような発熱・断線を低減し得る。
【0010】
また、本発明の他の態様は、微細な柱状体が膜厚方向に埋設された層を備えた微細構造体の製造方法であって、基材上に前記柱状体を形成する工程と、前記柱状体の根元付近に補強材を付着させ、当該柱状体を固定化する工程と、前記柱状体が固定化された基材上に、膜形成材料を堆積させる工程と、を含む微細構造体の製造方法を提供するものである。
【0011】
これによれば、柱状体の根元付近を補強材により固定化するので、スピンコート等の高速条件で膜形成材料を堆積させる場合に、柱状体が倒れることによる不良品の発生を低減し得る。よって、歩留まりよく微細構造体を大量生産可能となる。このような微細構造体としては、例えば、配線層間の電気的接続を図るためのコンタクト構造を有する半導体装置や多層配線等が挙げられる。
【0012】
また、補強材を付着する領域は、特に限定するものではなく、補強材が付着される領域は複数の柱状体に跨って広がっていてもよい。また、補強材は(絶縁膜の厚さ方向に)絶縁膜よりも厚く形成されていてもよい。一例を挙げると、例えば、補強材が付着される領域の底面の径が柱状体の径の約3倍以上、好ましくは、3〜6倍であり、また、高さが柱状体の径の約3倍以上、好ましくは3〜6倍である。補強材を付着する領域の大きさが上記下限値以上であると、柱状体をより安定化し得る傾向にある。また、補強材を付着する領域の大きさを上記好ましい範囲とすることで、さらに補強材の量を必要以上に使うことなく、柱状体の安定化を図ることが可能となる。また、補強材は、断面略三角形状、略半円状、略四角形状のいずれの形状になるように付着してもよい。
【0013】
補強材は、例えば、液滴吐出装置(いわゆるインクジェット装置)により付着することが可能である。これによれば、適切な位置に補強材を付着することが可能となるので、材料の無駄を回避することが可能となる。
【0014】
本発明の他の態様は、第1の導電層上に微細な柱状体を形成する第1工程と、前記柱状体の根元付近に外方から補強材を付着させ、当該柱状体を固定化する第2工程と、前記柱状体が固定化された第1の導電層上に、当該柱状体の先端部が露出するように絶縁膜を形成する第3工程と、を含むコンタクト構造の製造方法である。
【0015】
これによれば、柱状体を補強材により固定化するので、柱状体を含む基材上に絶縁膜を形成する場合であっても、柱状体が倒れることによる不良品の発生を低減し得る。また、柱状体の固定化を外方からの補強材の付着により行うので、簡便な工程で固定化し得る。よって、歩留まりよくコンタクト構造を備えた製品を大量生産し得る。
【0016】
前記柱状体が、導電材料から構成され、前記第3工程の後に、前記柱状体の先端部と接するように第2の導電層を形成する第4工程を含むことが好ましい。これによれば、柱状体を導電材料により形成することで、柱状体に接するように第2の導電層を形成することにより、直接コンタクト構造を形成することができるので、簡便な工程でコンタクト構造を形成し得る。
【0017】
前記補強材が、前記絶縁材料から構成されることが好ましい。これによれば、補強材を絶縁膜の一部とすることができ、柱状体自体の大きさを変えずに補強し得るので、配線の高密度化が可能となる。
【0018】
前記補強材が、導電材料から構成されることが好ましい。これによれば、補強材と柱状体が一体化され、柱状体の第1導電層との接触領域が広がるため、電気的接続をより確実にし得るとともに、アライメント精度を緩和することが可能となる。
【0019】
前記柱状体を形成する工程の後に、前記柱状体の少なくとも根元付近に親液処理を施す第5工程を含むことが好ましい。これによれば、柱状体の根元付近により確実に導電材料を付着させることが可能となる。
【0020】
前記第5工程が、前記柱状体の少なくとも根元付近に自己組織化単分子膜(SAM:Self Assembled Mono Layer)を形成する工程であることが好ましい。これによれば、柱状体に容易に親液処理を施すことが可能となる。
【0021】
また、親液処理は、例えばUV照射等のレーザ照射により柱状体の表面を粗面化することにより行ってもよい。
【0022】
前記第3工程の後に、前記柱状体を除去し、形成された空間に導電材料を充填する第6工程と、前記導電材料をパターニングする第7工程と、前記導電材料と接するように第2の導電層を形成する第8工程と、を含むことが好ましい。
【0023】
これによれば、コンタクトホールを形成するための型としての柱状体とコンタクトホールに充填する材料(コンタクトプラグを形成する材料)を別個に形成するため、柱状体を形成する材料の選択の幅が広がる。また、コンタクトプラグを構成する導電材料及び製造方法も、柱状体を形成し易い材料及び製法に限定されず、電気的接続に適した材料及び製法を利用することが可能となるので、一層の高性能化を図ることが可能となる。
【0024】
前記柱状体が前記絶縁膜とエッチングレートの異なる材料から構成されており、前記柱状体がエッチングにより除去されることが好ましい。これにより、容易にコンタクトホールを形成することが可能となる。
【0025】
前記絶縁膜とエッチングレートの異なる材料が、フォトレジストであることが好ましい。これにより、容易にコンタクトホールを形成することが可能となる。
【0026】
前記補強材が、フォトレジストから構成されることが好ましい。これにより、柱状体の除去時に同時に補強材を除去することができる。また、根元付近が大きなコンタクトプラグが形成されるので、第1の導電層との接続をより確実にすることが可能となるとともに、アライメント精度を緩和し得る。
【0027】
前記補強材が、前記絶縁材料から構成されることが好ましい。これによれば、補強材を絶縁膜の一部とすることができ、柱状体自体の大きさを変えずに補強し得るので、配線の高密度化が可能となる。
【0028】
本発明の他の態様は、上記コンタクト構造の製造方法を使用して製造されるコンタクト構造を備える半導体装置である。これによれば、上記コンタクト構造の製造方法を利用し得るので、安価に上記コンタクト構造を有する半導体装置を提供し得る。
【0029】
本発明の他の態様は、上記コンタクト構造の製造方法を使用して製造されるコンタクト構造を備える多層配線である。これによれば、上記コンタクト構造の製造方法を利用し得るので、安価に上記コンタクト構造を有する多層配線を提供し得る。
【0030】
本発明の他の態様は、上記半導体装置及び/又は多層配線を備える電子機器である。これによれば、安価に上記半導体装置及び/又は多層配線を備える電子機器を提供し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
本発明は、微細な柱状体が膜厚方向に埋設された層を備えた微細構造体の製造方法であって、基材に柱状体を形成し、この柱状体を有機材料(例:樹脂)又は無機材料(例:酸化シリコン)から構成される層に埋設する際に、柱状体の根元付近を補強材により固定化する工程を含む。したがって、スピンコート等の高速条件で膜形成材料を堆積させる場合に、柱状体が倒れることによる不良品の発生を低減することができ、歩留まりよく微細構造体を大量生産可能となる。
【0033】
このような微細構造体としては、特に限定するものではないが、例えば、配線層間の電気的接続を図るためのコンタクト構造を有する半導体装置や多層配線等が挙げられる。
【0034】
補強材の付着方法は、所望の位置に補強材を付与し得る限り特に限定するものではないが、例えば、液滴吐出装置(いわゆるインクジェット装置)により付着することが可能である。これによれば、適切な位置に補強材を付着することが可能となるので、材料の無駄を回避することが可能となる。
【0035】
図1は、本発明に用いられるインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッドともいう)100の構成の一例を示す図である。インクジェットヘッド100は、液滴吐出方式(いわゆるインクジェット方式)により、補強材を含む液体材料10から構成される液滴12を、ノズル110から基板200に向けて吐出させるものである。
【0036】
インクジェットヘッド100の本体112には、リザーバ108及びリザーバ108から分岐された複数の加圧室106が形成されている。リザーバ108は、各加圧室106に液体材料10を供給するための流路になっている。また、ヘッド本体112の底面には、吐出面を構成するノズルプレートが装着され、ノズルプレートには液体材料10を吐出する複数のノズル110が各加圧室106に対応して開口されている。ピエゾ素子104は、水晶等の圧電材料を一対の電極(図示略)で挟持したものであり、その一対の電極は、駆動回路102に接続されている。
【0037】
ここで、駆動回路102からピエゾ素子104に電圧を印加すると、ピエゾ素子104が膨張変形又は収縮変形する。ピエゾ素子104が収縮変形すると、加圧室106の圧力が低下してリザーバ108から加圧室106に液体材料10が流入する一方、ピエゾ素子104が膨張変形すると、加圧室106の圧力が増加してノズル110から液体材料10が吐出される。
【0038】
なお、本例では、インクジェットヘッド100の駆動方式としてピエゾ素子104を用いる場合について説明したが、これに限らず、静電駆動方式、サーマルインクジェット方式等を用いてもよい。
【0039】
また、補強材を付着する領域の大きさは、特に限定するものではなく、絶縁膜形成時において柱状体を支え得るよう固定し得る大きさであればよい。したがって、補強材を付着する領域の大きさは、柱状体のアスペクト比、絶縁膜の形成条件、柱状体と補強材との密着性、基板と補強材との密着性等によって適宜変更される。参考までに一例を挙げると、例えば、補強材が付着される領域の底面の径が柱状体の径の約3倍以上、好ましくは、3〜6であり、また、高さが柱状体の径の約3倍以上、好ましくは3〜6倍である。補強材を付着する領域の大きさが上記下限値以上であると、柱状体をより安定化し得る傾向にある。また、補強材を付着する領域の大きさを上記好ましい範囲とすることで、さらに補強材の量を必要以上に使うことなく、柱状体の安定化を図ることが可能となる。
【0040】
また、補強材の付着断面形状は、特に限定されるものではなく、例えば略三角形状、略半円状、略四角形状のいずれの形状になるように付着してもよい。また、複数の柱状体が近接する場合には、隣接する柱状体の補強材は連なって形成されていてもよい。図2に、補強材の付着断面形状の一例を示す。図2中、符号304は柱状体であり、306は補強材である。
【0041】
以下、本発明について、このようなインクジェットヘッド100を用いて、コンタクト構造を形成する方法を例に採り説明する。
【0042】
(第1の実施形態)
図3は、第1の実施形態に係るコンタクト構造の製造方法を説明するための図である。
図3(a)に示すように、基材としての基板300(例:Si基板)に形成された例えばタングステン等からなる第1の導電層302上に、導電材料からなる微細な柱状体304aを形成する。
【0043】
具体的には、第1の導電層302上に、図示しないメッキシード層(例:銅薄膜)をスパッタリング又は蒸着等により形成し、その上にフォトレジスト層を形成する。その後、柱状体を形成する所望の位置に凹部が形成されるよう露光・現像を行うことによりレジストパターンを形成する。凹部内に露出したメッキシード層上に例えば硫酸銅溶液等を用いてメッキし、Cuを堆積することで柱状体304aが得られる。
【0044】
なお、柱状体304aの形成方法は、これに限らず、例えば、予めスパッタリング又は蒸着等により金属等の導電材料からなる層を形成した後、フォトリソグラフィー技術を用いてパターニングし、エッチングすることにより柱状体304aを形成してもよい。また、スクリーン印刷等を利用して金属(例:Au)等の導電ペーストを印刷し、焼成することにより柱状体304aを形成してもよい。
【0045】
図3(b)に示すように、柱状体304aの根元付近に上述のインクジェットヘッド100を用いて補強材306を付着させ、柱状体304aを固定化させる。
【0046】
補強材306は、柱状体304aの根元付近、特に柱状体304aと第1の導電層302との接合部の周囲を固定化し得るように供与する。
【0047】
補強材306としては、例えば、絶縁材料、特に、後の工程で柱状体304aの周囲に堆積される絶縁膜308と同種の材料を用いてもよい。これによれば、補強材306を絶縁膜308の一部とすることができ、柱状体自体の大きさを変えずに補強し得るので、配線の高密度化が可能となる。また、導電材料、特に柱状体304aを構成する導電材料と同種の材料を用いてもよい。これによれば、柱状体304aと第1導電層との接触領域が広がるため、電気的接続をより確実にし得るとともに、柱状体304aと第1導電層とのアライメント精度を緩和することが可能となる。
【0048】
また、補強材306を分散又は溶解させる液体としては、特に限定するものではなく、水、アルコール等の有機溶媒等のいかなる液体であってもよい。具体的には、分散質又は溶質としての補強材306の種類、乾燥条件、塗布方法等によって適宜選択される。例えば、補強材306として低温焼成ポリシラザンを用いる場合には、液体としてキシレンもしくはジブチルエーテルを用いることができる。
【0049】
補強材306を含む液滴を所望の位置に付着させた後、液滴を乾燥させ、柱状体304aを固定化する。この際、必要に応じて焼成を行ってもよい。一例を挙げると、補強材306として低温焼成ポリシラザンを用いた場合、例えば300〜450℃で30〜120分間焼成させる。
【0050】
図3(c)に示すように、柱状体304aの先端部が露出するように、基板300上に絶縁膜308を形成する。
【0051】
具体的には、絶縁性のポリマー材料又は酸化シリコン等の絶縁材料(膜形成材料)をスピンコート等により柱状体304aを含む基板300の略全面に堆積させ、その後、エッチングバック又は化学機械研磨等により柱状体304aの先端部が露出するように絶縁膜308を除去する。
【0052】
図3(d)に示すように、柱状体304aの先端部に接するように第2の導電層310を形成する。第2の導電層310は、第1の導電層302と同様に形成し得る。
【0053】
第1の実施形態によれば、柱状体304aを補強材306により固定化するので、柱状体304aを含む基板300上に絶縁膜308を形成する場合であっても、柱状体304aが倒れることによる不良品の発生を低減し得る。また、柱状体304aの固定化を外方からの補強材306の付着により行うので、簡便な工程で固定化を行える。よって、歩留まりよくしかも簡便な工程でコンタクト構造を備えた製品を生産し得るので、大量生産にも好適である。
【0054】
(変形例)
液体材料(補強材306)の付着性をさらに向上させるため、柱状体304aに親液処理を施してもよい。
【0055】
以下、図4を参照しながら具体的に説明する。図4は、柱状体に親液処理を施す工程を説明するための図である。
【0056】
上記図3(a)に示す工程の後に、図4(a)に示すように、柱状体304a及び第1の導電層302を含む基板300上に自己組織化単分子膜(SAM:Self Assembled Mono Layer)400を形成する。
【0057】
具体的には、例えば、Au等の導電材料から構成される柱状体304aを含む基板300を、チオール類(例:オクタチオール又はオクタデカンチオール等)等のSAM400を構成し得る材料を含む溶液中に浸漬させる。この際、溶液の濃度及び浸漬時間は特に限定するものではなく、形成したいSAM400の密度等に応じて適宜選択される。その後、乾燥させることにより、柱状体304aを含む基板300上にSAM400を形成し得る。
【0058】
次に、図4(b)に示すように、指向性の高いUV光を基板300と垂直に照射する。これにより、柱状体304aの側面を除き、SAM400を選択的に除去し得る。
【0059】
その後、上記図3(b)以降に示す工程と同様の工程により、コンタクト構造を得ることが可能となる。
【0060】
このように、SAM400を形成することで、補強材306をより選択的かつ強固に柱状体304aに付着させることが可能となる。
【0061】
なお、本変形例では、SAM膜を形成することで、柱状体304aの親液性を高めたが、親液処理は、これに限定されず、例えばUV照射等のレーザ照射により柱状体の表面を粗面化することにより行ってもよい。
【0062】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、柱状体304aをコンタクトプラグとなる導電材料で構成した場合について説明した。これに対し、第2の実施形態では、柱状体304aとしてフォトレジスト等の除去可能な材料で構成する場合について説明する。
【0063】
図5は、第2の実施形態に係るコンタクト構造の製造方法を説明するための図である。
図5(a)に示すように、基板300に形成された第1の導電層302上に、後に形成する絶縁膜308とエッチングレートの異なる材料から構成される柱状体304bを形成する。
【0064】
絶縁膜308とエッチングレートの異なる材料としては、特に限定するものではなく、例えばフォトレジストが用いられる。以下、絶縁膜308とエッチングレートの異なる材料として、フォトレジストを用いた場合を例に採り説明する。
【0065】
まず、第1の導電層302を含む基板300の略全面にフォトレジストを形成し、露光・現像することで、所望の位置にフォトレジストからなる柱状体304bを形成する。
【0066】
次に、図5(b)に示すように、インクジェットヘッド100を用いて、柱状体304bの根元付近に補強材306を付着させ、柱状体304を固定化する。
【0067】
ここで、補強材306としては、柱状体304bを構成した材料と同じ材料(ここでは、フォトレジスト)から構成されることが好ましい。これにより、後の工程で柱状体304bを除去する際に同時に補強材306を除去することができる。また、これにより、根元付近が大きなコンタクトプラグが形成されるので、第1の導電層302との接続をより確実にすることが可能となるとともに、アライメント精度を緩和し得る。また、補強材306は、上記に限らず、例えば、絶縁材料、特に絶縁膜308と同種の材料から構成されていてもよい。これによれば、補強材306を絶縁膜308の一部とすることができ、柱状体自体の大きさを変えずに補強し得るので、配線の高密度化が可能となる。
【0068】
図5(c)に示すように、柱状体304bの先端部が露出するように、基板300上に絶縁膜308を形成する。
【0069】
具体的には、絶縁性のポリマー材料又は酸化シリコン等の絶縁材料(膜形成材料)をスピンコート等により柱状体304bを含む基板300の略全面に堆積させ、その後、エッチングバック又は化学機械研磨等により柱状体304bの先端部が露出するように絶縁膜308を除去する。なお、絶縁材料は、柱状体304bを構成する材料とのエッチングレートが大きいもの(例えば、エッチングレートが100〜1000倍)を使用する。
【0070】
図5(d)に示すように、柱状体304bを例えばドライエッチング法等により除去する。これにより、コンタクトホール(空間)320が形成される。
【0071】
その後、図5(e)に示すように、コンタクトホール320を含む基板300の略全面に、Cu、Au、W等の導電材料を堆積し、パターニングすることにより、コンタクトプラグ322及び第2の導電層324を得ることができる。
【0072】
第2の実施形態によれば、コンタクトホール320を形成するための型として柱状体304bを利用しており、コンタクトプラグ322を形成する材料とは別個にしているため、柱状体304bを形成する材料の選択の幅が広がる。また、コンタクトプラグ322を構成する導電材料及び製造方法も、柱状体を形成し易い材料及び製法に限定されず、電気的接続に適した材料及び製法を利用することが可能となるので、一層の高性能化を図ることが可能となる。
【0073】
なお、上記例では、柱状体304bとしてフォトレジストを用いた場合を例に採り説明したが、これに限定されない。例えば、柱状体304bを構成する材料として酸化シリコンを用い、絶縁膜308として有機シリコン酸化膜を用いてもよい。この場合は、エッチャントとして例えば希フッ酸等を用いることにより選択的に酸化シリコンを除去し得る。
【0074】
上述したように、本発明のコンタクト構造の製造方法により製造したコンタクト構造は、半導体装置500及び多層配線600に好適に利用し得る。
【0075】
図6(a)は、本発明のコンタクト構造の製造方法により製造したコンタクト構造を備えた半導体装置500の一例を示す図であり、図6(b)は、多層配線600の一例を示す図である。なお、図6(a)及び(b)中、符号502は半導体基板であり、504は導電層(配線層)であり、506はコンタクトプラグであり、508は絶縁膜である。
【0076】
このような半導体装置500及び多層配線600は、半導体装置500及び/又は多層配線600を備えた電気光学装置に好適に利用し得る。ここでいう、電気光学装置とは、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)装置、液晶表示装置、電気泳動装置等が挙げられる。
【0077】
図7は、電気光学装置700(例:有機EL装置)を含んで構成される各種電子機器の例を示す図である。
【0078】
図7(A)は携帯電話への適用例であり、当該携帯電話830はアンテナ部831、音声出力部832、音声入力部833、操作部834、および本発明の電気光学装置700を備えている。図7(B)はビデオカメラへの適用例であり、当該ビデオカメラ840は受像部841、操作部842、音声入力部843、および電気光学装置700を備えている。図7(C)はテレビジョンへの適用例であり、当該テレビジョン900は電気光学装置700を備えている。なお、パーソナルコンピュータ等に用いられるモニタ装置に対しても同様に電気光学装置700を適用し得る。図7(D)はロールアップ式テレビジョンへの適用例であり、当該ロールアップ式テレビジョン910は電気光学装置700を備えている。
【0079】
なお、電子機器としてはこれに限定されず、本発明の加工方法(エッチング方法)は、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、電子手帳、電光掲示盤、宣伝広告用ディスプレイ、ICカード、PDA等のあらゆる電子機器の製造方法に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明に用いられるインクジェットヘッドの構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、補強材の付着断面形状の一例を示す図である
【図3】図3は、第1の実施形態に係るコンタクト構造の製造方法を説明するための図である。
【図4】図4は、柱状体に親液処理を施す工程を説明するための図である。
【図5】図5は、第2の実施形態に係るコンタクト構造の製造方法を説明するための図である。
【図6】図6は、本発明のコンタクト構造の製造方法により製造したコンタクト構造を備えた半導体装置及び多層配線の一例を示す図である。
【図7】図7は、電気光学装置を含んで構成される各種電子機器の例を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
10・・・液体材料、12・・・液滴、100・・・インクジェットヘッド、102・・・駆動回路、104・・・ピエゾ素子、106・・・加圧室、108・・・リザーバ、110・・・ノズル、112・・・ヘッド本体、200・・・基板、300・・・基板、302・・・第1の導電層、304a・・・柱状体、304b・・・柱状体、304・・・柱状体、306・・・補強材、308・・・絶縁膜、310・・・第2の導電層、320・・・コンタクトホール、322・・・コンタクトプラグ、324・・・第2の導電層、500・・・半導体装置、502・・・半導体基板、504・・・導電層(配線層)、506・・・コンタクトプラグ、508・・・絶縁膜、600・・・多層配線、700・・・電気光学装置、830・・・携帯電話、831・・・アンテナ部、832・・・音声出力部、833・・・音声入力部、834・・・操作部、840・・・ビデオカメラ、841・・・受像部、842・・・操作部、843・・・音声入力部、900・・・テレビジョン、910・・・ロールアップ式テレビジョン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電層と、前記第1の導電層上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に形成された第2の導電層と、前記絶縁膜の膜厚方向に埋設され、前記第1の導電層と前記第2の導電層とを電気的に接続する柱状体とを備えたコンタクト構造であって、
前記柱状体の根元付近に補強材が付着されてなることを特徴とするコンタクト構造。
【請求項2】
前記補強材が、前記柱状体と前記第1の導電層との接続部周辺に付着することにより、前記柱状体と前記第1の導電層とを固定するものである、請求項1に記載のコンタクト構造。
【請求項3】
前記第1の導電層が基材上又は基材内に設けられており、前記補強材が、前記基材上の前記柱状体と前記第1の導電層との接続部周辺を含む領域に付着することにより、前記柱状体と前記基材とを固定化するものである、請求項1に記載のコンタクト構造。
【請求項4】
前記補強材が絶縁材料から構成されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載のコンタクト構造。
【請求項5】
前記補強材が導電材料から構成されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載のコンタクト構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のコンタクト構造を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
微細な柱状体が膜厚方向に埋設された層を備えた微細構造体の製造方法であって、
基材上に前記柱状体を形成する工程と、
前記柱状体の根元付近に補強材を付着させ、当該柱状体を固定化する工程と、
前記柱状体が固定化された基材上に、膜形成材料を堆積させる工程と、
を含むことを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項9】
第1の導電層上に微細な柱状体を形成する第1工程と、
前記柱状体の根元付近に外方から補強材を付着させ、当該柱状体を固定化する第2工程と、
前記柱状体が固定化された第1の導電層上に、当該柱状体の先端部が露出するように絶縁膜を形成する第3工程と、
を含むことを特徴とするコンタクト構造の製造方法。
【請求項10】
前記柱状体を形成する工程の後に、前記柱状体の少なくとも根元付近に親液処理を施す第5工程を含む、請求項8又は請求項9に記載のコンタクト構造の製造方法。
【請求項11】
前記第5工程が、前記柱状体の少なくとも根元付近に自己組織化単分子膜を形成する工程である、請求項10に記載のコンタクト構造の製造方法。
【請求項12】
前記第3工程の後に、
前記柱状体を除去し、形成された空間に導電材料を充填する第6工程と、
前記導電材料をパターニングする第7工程と、
前記導電材料と接するように第2の導電層を形成する第8工程と、
を含む、請求項9に記載のコンタクト構造の製造方法。
【請求項13】
前記柱状体が前記絶縁膜とエッチングレートの異なる材料から構成されており、前記柱状体がエッチングにより除去される、請求項12に記載のコンタクト構造の製造方法。
【請求項14】
前記絶縁膜とエッチングレートの異なる材料が、フォトレジストである、請求項13に記載のコンタクト構造の製造方法。
【請求項15】
前記補強材が、フォトレジストから構成される、請求項14に記載のコンタクト構造の製造方法。
【請求項16】
前記補強材が、前記絶縁材料から構成される、請求項14に記載のコンタクト構造の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された第1の導電層と、
前記第1の導電層上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された第2の導電層と、
前記絶縁膜の膜厚方向に埋設され、前記第1の導電層と前記第2の導電層とを導通する柱状体と、を有し、
前記柱状体と前記第1の導電層との接続部分において前記柱状体の少なくとも一部と前記第1の導電層との少なくとも一部とを覆う補強材が形成されていることを特徴とする多層配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載の多層配線基板において、
前記補強材が、前記第1の導電層上の前記柱状体との接続部に選択的に形成されていることを特徴とする多層配線基板。
【請求項3】
請求項1または2に記載の多層配線基板において、
前記補強材は絶縁材料を含有することを特徴とする多層配線基板。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の多層配線基板において、
前記補強材は導電材料を含有することを特徴とする多層配線基板。
【請求項5】
請求項4に記載の多層配線基板を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
基材上に前記柱状体を形成する工程と、
前記基材の少なくとも一部と前記柱状体の少なくとも一部とを覆う補強材を形成する工程と、
前記柱状体及び前記補強材が形成された基材上に、絶縁膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の多層配線基板の製造方法において、
前記補強材は該補強材を含む液体材料を液滴吐出ヘッドから吐出して形成することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の多層配線基板の製造方法において、
前記柱状体を形成する工程の後に、前記柱状体の少なくとも一部を覆う領域に前記液体材料に対して親液処理を施す工程を含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の多層配線基板の製造方法において、
前記親液処理を施す工程は、前記柱状体の少なくとも一部を覆う領域に自己組織化単分子膜を形成する工程であることを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法において、
前記絶縁膜を形成する工程の後に、
前記柱状体を除去し、前記柱状体の形成されていた空間に導電材料を充填する工程を含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の多層配線基板の製造方法において、
前記柱状体が前記絶縁膜とエッチングレートの異なる材料から構成されていることを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【請求項13】
請求項7乃至12のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法を用いることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の電気光学装置の製造方法を用いることを特徴とする電子機器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−73610(P2006−73610A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252326(P2004−252326)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】