説明

多座配位β−ケトイミナート金属錯体

【課題】金属含有膜を作製するために使用される多座β−ケトイミナートの金属含有錯体を提供する。
【解決手段】例えば、ビス(2,2−ジメチルー5−(ジメチルアミノエチルーイミノ)ー3ーヘキサノナートーN,O,N’)ストロンチウムやトリス(2,2−ジメチルー5−(ジメチルアミノエチルーイミノ)ー3ーヘキサノナート)イットリウムなどの化合物が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属含有多座配位β−ケトイミナート及びその溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造産業は、原子層堆積を含む化学気相堆積処理用の金属源含有前駆体を常に必要としており、シリコン、金属窒化物、金属酸化物、及びこれらの金属含有前駆体を用いた他の金属含有層のような基材上に、コンフォーマル金属含有膜を作製するために使われる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、窒素又は酸素の官能基が多座配位β−ケトイミナートのイミノ基に組み込まれている、金属含有多座配位β−ケトイミナート及びその溶液を対象とし、その多座配位β−ケトイミナートは、次の構造で表される群から選択される。
【0004】
【化1】

【0005】
式中、Mは価数が2〜5の金属である。金属の例として、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、バナジウム、タングステン、マンガン、コバルト、鉄、ニッケル、ルテニウム、亜鉛、銅、パラジウム、白金、イリジウム、レニウム及びオスミウムが挙げられる。様々な有機基が使用でき、例えば、R1は、炭素原子が1〜10個、好ましくは炭素原子を1〜6個含有する基である、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R2は、水素、アルキル、アルコキシ、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R3は、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R4は、アルキレン架橋基、好ましくは炭素原子を2又は3個含有する基であって、金属中心に配位して5員環又は6員環を形成し;R5及びR6はそれぞれ、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され、それらが連結して炭素原子、酸素原子又は窒素原子を含有する環を形成してもよい。添字nは金属Mの価数と等しい整数である。
【0006】
【化2】

【0007】
式中、Mは、チタン、ジルコニウム及びハフニウムを含む、4族及び5族の金属から選択される金属イオンであり;R1は、好ましくは炭素原子を1〜6個含有する基である、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R2は、水素、アルキル、アルコキシ、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R3は、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R4は、アルキレン架橋基、好ましくは炭素原子を2又は3個含有する基であって、金属中心に配位して5員環又は6員環を形成し;R5及びR6はそれぞれ、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され、それらが連結して炭素原子、酸素原子又は窒素原子を含有する環を形成してもよい。R7は、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;m及びnは少なくとも1であって、m+nの合計は金属の価数と等しい。
【0008】
【化3】

【0009】
式中、具体例として、Mはアルカリ土類金属、例えばカルシウム、ストロンチウム、バリウムであり;R1は、好ましくは炭素原子を1〜6個含有する基である、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R2は、水素、アルキル、アルコキシ、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R3は、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R4及びR5はそれぞれ、炭素原子2個のアルキレン架橋基であって、金属中心に配位して5員環を形成し;R6及びR7はそれぞれ、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され、あるいはそれらが連結して炭素原子、酸素原子又は窒素原子を含有する環を形成してもよく;Xは、酸素、又は水素、アルキル基もしくはアリール基で置換された窒素のいずれかである。
【発明の効果】
【0010】
これらの金属含有多座β−ケトイミナートを化学気相堆積又は原子層堆積用の前駆体として使用することによって、いくつかの利点が実現でき、例えば、
反応性錯体を良好な収率で形成する能力;
1種類の配位子が配位した、単量体錯体、特にストロンチウム錯体及びバリウム錯体を形成し、高い蒸気圧を実現できる能力;
幅広い電気的用途での使用に適した、高度にコンフォーマルな金属薄膜を製造する能力;
マイクロエレクトロニクスデバイスでの使用に適した、高度にコンフォーマルな金属酸化物薄膜を形成する能力:
錯体が高い化学反応性を有するために、金属含有多座β−ケトイミナートと基材表面との間の表面反応を促進する能力;及び
1基〜R7基を変えることにより、これらの金属含有多座β−ケトイミナートの物理的特性を調節する能力
が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、金属含有多座β−ケトイミナート前駆体と、堆積処理、例えばCVD及びALDを介して、シリコン、金属窒化物、金属酸化物及び他の金属層のような基材上に、コンフォーマル金属含有膜を作製するのに有用である、それらの前駆体の溶液とに関する。そのようなコンフォーマル金属含有膜の用途は、コンピュータチップ、光学デバイス、磁気情報記憶装置から、支持材料に被着した金属触媒の範囲に及ぶ。従来の多座β−ケトイミナート前駆体と対照的に、この多座β−ケトイミナート配位子には、少なくとも1つのアミノ有機イミノ官能基が組み込まれており、報告されている文献とは対照的に、この官能基はアルコキシ基を供与性配位子とする。
【0012】
気相堆積処理用の酸化剤として、酸素、過酸化水素及びオゾンが挙げられ、堆積処理用の還元剤として、水素、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン及びアンモニアが挙げられる。
【0013】
ある種類の金属前駆体構造が以下の構造1Aに図示されており、次式の金属Mは2価である。
【0014】
【化4】

【0015】
式中、Mは2族、8族、9族、10族の金属原子から選択される。この前駆体において好ましくは、R1は、金属がストロンチウム及びバリウムの場合はC1-10アルキル基、好ましくはtert−ブチル基又はtert−ペンチル基、コバルト又はニッケルの場合はC1-5、R2及びR3はメチル基、R5及びR6はそれぞれ低級C1-3、好ましくはメチル基、R4はC2-3アルキレン架橋基、好ましくはエチレン基である。好ましい金属は、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、鉄、コバルト及びニッケルである。
【0016】
多座β−ケトイミナート配位子を含有する第1の種類の金属錯体の範囲で、別の種類の構造が以下の構造2Aに図示されており、次式の金属Mは3価である。
【0017】
【化5】

【0018】
式中、Mは3族の金属原子から選択される。この前駆体において好ましくは、R1はC4-6アルキル基、好ましくはtert−ブチル基及びtert−ペンチル基、R2及びR3はメチル基、R5及びR6はそれぞれ低級C1-3、好ましくはメチル基、R4はC2-3アルキレン架橋基、好ましくはエチレン基である。好ましい金属は、スカンジウム、イットリウムおよびランタンである。
【0019】
第2の種類の金属含有前駆体は、式Bに示される多座β−ケトイミナート配位子から構成される。
【0020】
【化6】

【0021】
式中、Mは、チタン、ジルコニウム又はハフニウムのような、4族又は5族の金属である。示すように、錯体は、少なくとも1つのアルコキシ配位子と、少なくとも1つのアミノ有機イミノを有する多座β−ケトイミナート配位子とからなる。好ましいR1基〜R6基は式Aと同様である。好ましいR7基は、直鎖又は分岐アルキル、例えばイソプロピル、ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルであり、m及びnは少なくとも1であって、m+nの合計が金属の価数と等しい。
【0022】
最後の種類の金属含有多座β−ケトイミナート前駆体を、式Cに示す。
【0023】
【化7】

【0024】
式中、Mはアルカリ土類金属であり、R1は、炭素原子を1〜10個有する、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R2及びR3はそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R4及びR5はそれぞれ、C2-3のアルキレン架橋基、好ましくはエチレン基;R6及びR7はそれぞれ、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族、アリール、及び酸素原子又は窒素原子を含有する複素環;Xは、酸素、又は水素、アルキル基もしくはアリール基で置換された窒素のいずれかである。
【0025】
多座β−ケトイミナート配位子は、周知の手順、例えば、ナトリウムアミド又は水素化ナトリウムのような強塩基の存在下、嵩高いケトンとエチルエステルとのクライゼン縮合の後に、他の既知の手順、例えばアルキルアミノアルキルアミンとのシッフ塩基縮合反応を行って調製できる。
【0026】
【化8】

【0027】
【化9】

【0028】
配位子は、液体については真空蒸留、固体については結晶化によって精製できる。
【0029】
高収率で多座配位子を生成する好ましい方法として、嵩高いR1基、例えばケトン官能基と連結する炭素に水素が結合していないC4-10アルキル基を選択することが好ましく、最も好ましいR1基はtert−ブチル又はtert−ペンチルである。R1基は後のシッフ縮合で起こる副反応を防ぎ、後ほど金属中心を分子間相互作用から保護する。得られる金属含有錯体の分子量を低くし、高い蒸気圧を有する錯体を得ることを可能にするためには、競合する問題、すなわち多座配位子のR1基〜R7基はできる限り小さくなければならないといった問題が存在する。得られる錯体を、金属中心に配位した5員環又は6員環の形成を介してより安定にするため、好ましいR4基及びR5基は炭素原子を2〜3個含有する。
【0030】
次に、この得られた3座配位子を、純粋な金属、金属アミド、金属水素化物及び金属アルコキシドと反応させて、金属含有錯体を調製できる。また、多座配位子をアルキルリチウム又は水素化カリウムと反応させて配位子のリチウム塩又はカリウム塩を得て、その後ハロゲン化金属、MX2(X=Cl、Br、I)と反応させて、金属含有錯体を調製してもよい。4族及び5族の混合配位子錯体は、金属アルコキシドと多座配位子の比率を変えることによって作ることができる。
【0031】
【化10】

【0032】
【化11】

【0033】
【化12】

【0034】
【化13】

【0035】
【化14】

【0036】
多座β−ケトイミナート配位子を有するこれらの金属含有錯体は、500℃未満の温度で、化学気相堆積(CVD)法又は原子層堆積(ALD)法のいずれかによって、金属薄膜又は金属酸化物薄膜を作るための、潜在的な前駆体として使用できる。CVD処理は、還元剤又は酸化剤があってもなくても行うことができ、一方ALD処理には、還元剤又は酸化剤のような他の反応剤を使用することが通常含まれる。
【0037】
多成分金属酸化物については、錯体が同じ多座β−ケトイミナート配位子を有している場合、これらの錯体を予備混合できる。多座β−ケトイミナート配位子を有するこれらの金属含有錯体は、周知のバブリング又はベーパードロー(vapor draw)技術によって、CVD又はALDの反応器内に気相で供給できる。適当な溶媒又は混合溶媒に錯体を溶解し、使用した溶媒又は混合溶媒に応じてモル濃度が0.001〜2Mの溶液を調製することによって、直接液体供給法も使用できる。
【0038】
堆積処理に使用する前駆体を溶解する際に使用した溶媒は、任意の相溶性の溶媒又はそれらの混合物、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、エステル、ニトリル及びアルコールを含んでもよい。好ましくは、1〜20個のエトキシ(−C24O−)繰り返し単位を有するグライム溶媒;C2-12アルカノール;C1-6アルキル部位を含むジアルキルエーテル、C4-8環状エーテル、C12−C60クラウンO4−O20エーテル(接頭のCiの範囲はエーテル化合物中の炭素原子数iであり、接尾のOiの範囲はエーテル化合物中の酸素原子数iである)からなる群から選択される有機エーテル;C6−C12脂肪族炭化水素;C6−C18芳香族炭化水素;有機エステル;有機アミン、ポリアミン;及び有機アミドからなる群から選択される溶媒が、溶液の溶媒成分に含まれる。
【0039】
別の種類の溶媒で有利なものは、RCONR’R’’の有機アミド類であり、式中、R及びR’は、炭素原子を1〜10個有するアルキルであって、これらは連結して環状基(CH2n(式中、nは4〜6、好ましくは5)を形成してもよく、R’’は炭素原子を1〜4個有するアルキル、及びシクロアルキルから選択される。N−メチル−2−ピロリジノン及びN−シクロヘキシル−2−ピロリジノンが例である。
【0040】
以下の例は、多座β−ケトイミナート配位子を有する金属含有錯体の調製に加えて、金属含有膜の堆積処理における、それら錯体の前駆体としての使用を説明する。
【実施例】
【0041】
例1 2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノンの合成:500mLのシュレンクフラスコに、2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン 29.3g(206mmol)と、無水Na2SO4 24g(170mmol)を、THF 200mLと一緒に入れた。そのフラスコに、3−(ジメチルアミノ)エチルアミン 20.08g(228mmol)をTHF 20mLに入れて、滴下して加えた。反応混合物を3日間撹拌した。完了時の反応混合物のGC/MS分析は、痕跡量の3−(ジメチルアミノ)エチルアミンを伴って反応が完了したことを示した。全ての揮発分を130℃未満の温度で蒸留除去した。引き続き、得られた淡黄色溶液をショートパス装置によって真空蒸留した。ヘキサンから結晶化して、約36gの白色結晶を収率82%で得た。ヘキサンに溶解した結晶のGC分析は、ヘキサン以外の観察可能なGCピークを1つだけ示した。固体結晶の融点は28〜30℃であることが分かった。
【0042】
1HNMR(500MHz,C66):δ=11.30(s,1H,C(O)CHC(N「H」)),5.15(s,1H,C(O)C「H」C(NH)),2.80(m,2H,HNC「H」2CH2N(CH32),2.05(t,2H,HNCH2C「H」2N(CH32),1.95(s,6H,N(C「H」32),1.50(s,3H,C(NH)C「H」3),1.35(s,9H,C(C「H」33
【0043】
例2 2,2−ジメチル−5−(ジエチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノンの合成:2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノンと同様の手順で、2,2−ジメチルヘキサ−3,5−ジオン(5.07g、36mmol)、Na2SO4(3.5g、24.66mmol)、及び3−(ジエチルアミノ)エチルアミン(5.25g、45mmol)を出発原料とした。全ての揮発分を除去した後、ショートパス真空蒸留装置によってオレンジ/黄色の液体が得られた。収率は78%である。
【0044】
1HNMR(500MHz,C66):δ=11.27(s,1H,C(O)CHC(N「H」)),5.16(s,1H,C(O)C「H」C(NH)),2.82(m,2H,HNC「H」2CH2N(CH2CH32),2.26(q,4H,N(C「H」2CH32),2.20(t,2H,HNCH2C「H」2N(CH2CH32),1.55(s,3H),1.25(s,9H,C(C「H」33),0.86(t,6H,N(CH2C「H」32
【0045】
例3 2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノプロピル−イミノ)−3−ヘキサノンの合成:2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノンと同様の手順で、2,2−ジメチルヘキサ−3,5−ジオン(19.27g、136mmol)、Na2SO4(13g、92mmol)、及び3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン(15.72g、154mmol)を出発原料とした。全ての揮発分を除去した後、ショートパス真空蒸留装置によって黄色の液体が得られた。収率は89%である。
【0046】
1HNMR(500MHz,C66):δ=11.30(s,1H,C(O)CHC(N「H」)),5.17(s,1H,C(O)C「H」C(NH)),2.84(q,2H,HNC「H」2CH2CH2N(CH32),2.05(t,2H,HNCH2CH2C「H」2N(CH32),1.94(s,6H,N(C「H」32),1.54(s,3H,C(NH)C「H」3),1.32(m,2H,HNCH2C「H」2CH2N(CH32),1.27(s,9H,C(C「H」33
【0047】
例4 2,2−ジメチル−5−(ジエチルアミノプロピル−イミノ)−3−ヘキサノンの合成:2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノンと同様の手順で、2,2−ジメチルヘキサ−3,5−ジオン(3.50g、25mmol)、Na2SO4(4.81g、34mmol)、及び3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン(3.57g、27mmol)を出発原料とした。ショートパス装置によって真空蒸留して得られた淡黄/緑色の液体の収率は67%である。
【0048】
1HNMR(500MHz,C66):δ=11.41(s,1H,C(O)CHC(N「H」)),5.17(s,1H,C(O)C「H」C(NH)),2.84(q,2H,HNC「H」2CH2N(CH32),2.28(q,4H,N(C「H」2CH32),2.19(t,2H,HNCH2CH2C「H」2N(CH2CH32),1.53(s,3H,C(NH)C「H」3),1.33(m,2H,HNCH2C「H」2CH2N(CH2CH32),1.28(s,9H,C(C「H」33),0.86(t,6H,N(CH2C「H」32
【0049】
例5 4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ペンタノンの合成:2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノンと同様の手順で、2,4−ペンタジオン(8.00g、80.7mmol)、Na2SO4(14g、98.64mmol)、及び3−(ジメチルアミノ)エチルアミン(7.83g、88.8mmol)を出発原料とした。150mTorrの減圧下、95〜105℃の油浴で真空蒸留して、緑色の液体を得た。収率は83%で、GC分析はピークを1つ示した。
【0050】
1HNMR(500MHz,C66):δ=11.11(br,s,1H,C(O)CHC(N「H」)),4.88(s,1H,C(O)C「H」C(NH)),2.78(m,2H,HNC「H」2CH2N(CH32),2.01(t,2H,HNCH2C「H」2N(CH32),2.00(s,3H,C(O)C「H」3),1.93(s,6H,N(C「H」32),1.47(s,3H,C(NH)C「H」3
【0051】
例6 ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート−N,O,N’)ストロンチウムの合成:Sr(N(SiMe322・2THF40.0g(0.066mol)を、THF100mLと一緒に500mLのシュレンクフラスコに入れた。このフラスコに、ワックス状の2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノン29.0g(0.14mol)をTHF100mLに入れて滴下した。得られた淡黄色の透明溶液を室温で一晩撹拌した。次に、全ての揮発分を真空下で除去して黄色の固体を得て、その固体を熱ヘキサン100mLに溶解した。トラップされた揮発性液体をGC/MS分析すると、THF及び副生成物のヘキサメチルシリルアミンを含有していることが示された。THFに溶解した黄色固体のGC/MSから、THF以外は、2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノンのみであることが明らかとなり、このことは、固体が3座β−ケトイミナート配位子を含有していることを示唆する。その後、ヘキサン溶液を約30mLに濃縮すると、底に白い結晶が析出した。フラスコを−20℃に保って、より多くの無色の結晶を得た。結晶を26.1g収集し、真空下で乾燥した。収率はストロンチウム基準で77%であった。
【0052】
元素分析:C244642Srの計算値 C,56.49;N,10.98;H,9.09:検出値 C,56.34;N,11.32;H,8.91
1HNMR(500MHz,C66):δ=5.16(s,2H),2.97(t,4H),2.26(b,4H),1.89(s,12H),1.77(s,6H),1.37(s,18H)
【0053】
ビス(2,2−ジメチル−5−((ジメチルアミノエチレン)イミノ)−3−ヘキサノナート)ストロンチウムの無色の結晶を、X線単結晶解析によって構造的に特定した(図1参照)。以下の構造は、ゆがんだ8面体環境で、ストロンチウムに、2つの2,2−ジメチル−5−((ジメチルアミノエチレン)イミノ)−3−ヘキサノナート配位子が配位していることを示す。Sr−Nの距離は2.614〜2.690Åの範囲で、Sr−Oの平均は2.353Åである。図2は、ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート−N,O,N’)ストロンチウムのTGA図を示し、錯体が揮発性であるが、より高温で分解することを示す。
【0054】
例7 ビス(2,2−ジメチル−5−(ジエチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート−N,O,N’)ストロンチウムの合成:例6と同様の手順で、Sr(N(SiMe322・2THF(2.66g、0.005mol)及び2,2−ジメチル−5−(ジエチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノン(2.0g、0.008mol)を出発原料とした。全ての揮発分を除去してワークアップした後、結晶を1.91g収集し、真空下で乾燥した。収率はストロンチウム基準で84%である。
【0055】
元素分析:C285442Srの計算値 C,59.38;N,9.89;H,9.61:検出値 C,58.99;N,9.90;H,9.51
1HNMR(500MHz,C66):δ=5.14(s,2H),2.11(t,4H),2.67(b,4H),2.54(b,8H),1.76(s,6H),1.36(s,18H),0.74(t,12H)
【0056】
ビス(2,2−ジメチル−5−(ジエチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)ストロンチウムの無色の結晶を、X線単結晶解析によって構造的に特定した。以下の構造は、ゆがんだ8面体環境で、ストロンチウムに、2つの2,2−ジメチル−5−(ジエチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート配位子が配位していることを示す。Sr−Nの距離は2.604〜2.677Åの範囲で、Sr−Oの平均は2.374Åである。
【0057】
例8 トリス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)イットリウムの合成:例6と同様の手順で、Y(N(SiMe323(2.00g、3.9mmol)及び2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノン(2.41g、11.35mmol)を出発原料とした。白色固体を1.57g収集し、収率はイットリウム基準で57%である。
【0058】
元素分析:C366963Yの計算値 C,59.81;N,9.63;H,11.63:検出値 C,59.81;N,9.37;H,11.83
1HNMR(500MHz,C66):δ=5.14(s,3H),3.47(t,6H),2.49(t,6H),2.22(s,18H),1.81(s,9H),1.27(s,27H)
【0059】
トリス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)イットリウムの無色の結晶を、X線単結晶解析によって構造的に特定した(図3参照)ところ、イットリウム原子に、3つの2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート配位子が配位していることが明らかとなった。
【0060】
例9 ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)コバルトの合成:この化合物を製造するための手順(a)及び(b)を示す。(a)無水CoCl2 2g(0.015mol)を、THF 30mLと一緒に500mLシュレンクフラスコに入れた。このフラスコに、2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノン(6.4g、0.03mol)を2.5M nBuLiヘキサン溶液(12mL、0.03mol)とヘキサン 40mL中、−78℃で反応させてその場で調製した、(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)リチウムを加え、室温で30分撹拌した。混合物を室温で一晩撹拌した。反応完了後、全ての揮発分を真空下で除去して暗茶色の固体を得た。抽出及び濾過して、暗茶色の溶液と茶色の固体を得た。この茶色の固体は、痕跡量のCo化合物が混ざったLiClであった。その後、茶色の溶液を50℃で乾燥して、暗茶色の固体を得た。この暗茶色の固体を105℃、50mTorrで昇華して、緑がかった茶色の微結晶を得た。収率はコバルト基準で50%である。
【0061】
元素分析:CoC244642の計算値 C,59.86;N,11.63;H,9.63:検出値 C,59.73;N,11.62;H,9.77
1HNMR(500MHz,C66):δ=119.04,25.38,11.86,3.42,1.36,0.43,−16.00,−97.00
【0062】
ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)コバルトの単結晶を、X線単結晶解析によって特定した(図4参照)ところ、ゆがんだ8面体環境で、コバルト原子に、2つの2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート配位子が配位していることが示された。
【0063】
(b)NaH(0.34g、14mmol)を、2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノン(2.07g、12mmol)をTHF 70mLに溶解した溶液にゆっくりと加えた。バブリングを止めた後、CoCl2(1.07g、8mmol)を反応フラスコに加えた。ワークアップ後に茶色の結晶を2.25g収集し、収率は69%であった。
【0064】
例10 ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノプロピル−イミノ)−3−ヘキサノナート)コバルトの合成:例9と同様の手順で、2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノプロピレン−イミノ)−3−ヘキサノン(1.50g、0.007mol)、及びNaH(0.22g、0.009mol)を出発原料として、CoCl2(0.38g、0.003mol)を加えた。ワークアップ後、得られた茶色の固体を昇華して、オレンジ色の結晶が得られた。収率は82%である。
【0065】
元素分析:CoC265042の計算値 C,61.27;N,10.99;H,9.89:検出値 C,61.42;N,11.19;H,9.43
1HNMR(500MHz,C66):δ=14.40,8.83,1.42,−1.45,−5.54,−21.49,−31.91
【0066】
ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノプロピル−イミノ)−3−ヘキサノナート)コバルトの単結晶を、X線単結晶解析によって特定したところ、8面体環境で、コバルト原子に、2つの2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノプロピル−イミノ)−3−ヘキサノナート配位子が配位していることが示された。
【0067】
例11 ビス(4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキセノナート)コバルトの合成:例9と同様の手順で、4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−へキセノン(2.07g、0.012mol)、及びNaH(0.34g、0.14mol)を出発原料として、CoCl2(1.07g、0.008mol)を加えた。結晶はヘキサン溶液から成長させ、収率は69%である。
【0068】
元素分析:CoC183442の計算値 C,54.40;N,14.83;H,8.62:検出値 C,54.72;N,14.04;H,10.10
1HNMR(500MHz,C66):δ=25.47,17.44,8.69,1.35,−9.47,−12.00,−21.40,−116.00,120.04
【0069】
例12 ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)ニッケルの合成:例9と同様の手順で、2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノン(3.48g、0.016mol)、及び2.5Mブチルリチウム(6.5mL、0.016mol)を出発原料として、NiCl2(1.02g、0.008mol)を加えた。昇華して明るい緑色の固体を収率66%で得た。
【0070】
元素分析:NiC244642の計算値 C,59.89;N,11.63;H,9.63:検出値 C,60.80;N,11.62;H,8.80
【0071】
ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)ニッケルの単結晶を、X線単結晶解析によって特定したところ(図5参照)、8面体環境で、ニッケル原子に、2つの2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート配位子が配位していることが示された。
【0072】
例13 ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノプロピル−イミノ)−3−ヘキサノナート)ニッケルの合成:例9と同様の手順で、2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノプロピル−イミノ)−3−ヘキサノン(3.66g、0.016mol)、及び2.5Mブチルリチウム(6.3mL、0.015mol)を出発原料として、NiCl2(1.01g、0.008mol)を加えた。緑色の結晶をヘキサン溶液から収集した。
【0073】
元素分析:NiC265042の計算値 C,61.30;N,11.52;H,9.89:検出値 C,61.52;N,11.06;H,9.34
1HNMR(500MHz,C66):δ=60.00,36.56,3.57,1.47,−2.84,14.70,16.10,−76.00
【0074】
ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノプロピル−イミノ)−3−ヘキサノナート)ニッケルの単結晶を、X線単結晶解析によって特定したところ、8面体環境で、ニッケル原子に、2つの2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノプロピル−イミノ)−3−ヘキサノナート配位子が配位していることが示された。
【0075】
例14 ビス(4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキサノナート)ニッケルの合成:例9と同様の手順で、4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキサノン(2.15g、0.013mol)、及びNaH(0.36g、0.015mol)を出発原料として、NiCl2(0.74g、0.006mol)を加えた。生成物を昇華して、ヘキサンから結晶化した。収率は74%である。
【0076】
元素分析:NiC183442の計算値 C,54.43;N,14.10;H,8.63:検出値 C,54.21;N,14.04;H,10.10
【0077】
例15 トリス(イソプロポキシ)(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)チタン(IV)の合成:Ti(OCH(CH324(2.00g、0.007mol)、2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノン(1.45g、0.007mol)、及びヘキサン 15mLを100mLシュレンクフラスコに入れた。混合物を40℃で16時間撹拌した。真空下で全ての揮発分を除去し、黄色の粉末状固体をヘキサンで洗って乾燥した。昇華すると収率90%で淡緑色の結晶が得られる。
【0078】
1HNMR(500MHz,C66):δ=5.18(s,1H),5.00(b,3H),2.96(s,2H),2.48(s,6H),2.28(t,2H),1.53(s,3H),1.35(s,9H),1.30(s,18H)
【0079】
例16 トリス(イソプロポキシ)(4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキサノナート)チタンの合成:例15と同様の手順で、Ti(OCH(CH324(2.08g、0.007mol)、及び5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート(1.19g、0.007mol)を撹拌した。粘着質の黄色固体を昇華すると、収率74%で淡緑色の結晶が生成した。
【0080】
元素分析:C183824Tiの計算値 C,54.82;N,9.71;H,7.10:検出値 C,52.50;N,9.50;H,7.39
1HNMR(500MHz,C66):δ=4.92(b,3H),4.83(s,1H),2.96(s,2H),2.47(s,6H),2.27(t,2H),1.95(s,3H),1.45(s,6H),1.30(s,18H)
【0081】
トリス(イソプロポキシ)(4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキサノナート)チタンの単結晶を、X線単結晶解析によって特定したところ、チタン原子に、3つのイソプロポキシ基と、1つの5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート配位子とが配位していたことが示された。
【0082】
例17 トリス(tert−ブトキシ)(4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキサノナート)ハフニウム(IV)の合成:例15の同様の手順で、Hf(OC(CH334(2.73g、0.006mol)、及び5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノン(1.01g、0.005mol)を出発原料とした。揮発分をGC/MSで調べると、2−メチル−2−プロパノールが観察された。白色固体を収率95%で収集した。ペンタン/ヘキサン溶液から結晶化して、無色のブロック状結晶が得られる。
【0083】
1HNMR(500MHz,C66):δ=4.81(s,1H),2.89(t,2H),2.44(s,8H),1.55(s,9H),1.42(s,3H),1.36(s,18H)
【0084】
例18 トリス(tert−ブトキシ)(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)ジルコニウム(IV)の合成:例15と同様の手順で、Zr(OC(CH334(1.81g、0.005mol)、及び2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノン(1.05g、0.005mol)を出発原料とした。ワークアップして淡黄色固体を収率95%で得た。
【0085】
1HNMR(500MHz,C66):δ=4.86(s,1H,BuCOC「H」CN),2.91(b,t,2H,NC「H」2CH2NMe2),2.39(b,s,6H,CH2N(C「H」32),2.39(b,t,2H,NCH2C「H」2NMe2),1.55(s,9H,(C「H」33CCO),1.49(s,3H,COCHCN(C「H」3)),1.31(s,27H,(OC(C「H」33
【0086】
トリス(tert−ブトキシ)(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)ジルコニウム(IV)の無色の結晶を、X線単結晶解析によって特定したところ、ジルコニウム原子に、3つのtert−ブトキシ基と、置換された1つの2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート配位子とが配位していたことが示された。
【0087】
例19 トリス(tert−ブトキシ)(4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキサノナート)ジルコニウム(IV)の合成:例15と同様の手順で、Zr(OC(CH334(2.2g、0.006mol)、及び5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノン(1.0g、0.006mol)をTHF中で撹拌して、ワークアップ後に、淡黄色固体を収率82%で得た。
【0088】
1HNMR(500MHz,C66):δ=4.86(s,1H,CH3COC「H」CN),2.90(s,2H,NC「H」2CH2NMe2),2.36(b,s,6H,CH2N(C「H」32),2.36(b,t,2H,NCH2C「H」2NMe2),1.89(s,3H,C「H」3COCHCN),1.51(s,9H,C「H」3(CH32COCH),1.41(s,3H,CH3COCHCNCH3),1.35(s,18H,(C「H」32(CH3)COCH)
【0089】
トリス(tert−ブトキシ)(4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキサノナート)ジルコニウム(IV)の無色の結晶を、X線単結晶解析によって特定したところ(図6参照)、ジルコニウム原子に、3つのtert−ブトキシ基と、置換された1つの4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキサノナート配位子とが配位していたことが示された。図7は、トリス(tert−ブトキシ)(4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキサノナート)ジルコニウム(IV)のTGA図を示し、錯体が揮発性で残渣が2%未満であることを示す。
【0090】
例20 ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)バリウムの合成:例6と同様の手順で、Ba(N(SiMe322・2THF、及び2,2−ジメチル−5−(ジエチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノンを出発原料とした。全ての揮発分を除去すると、非常に粘ちょうなオレンジ色の油が得られた。NMRは、未反応の2,2−ジメチルー5−(ジエチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノンがいくらかあることを示唆する。遊離した配位子をショートパス蒸留で除去して、オレンジ色の固体を得た。
【0091】
1HNMR(500MHz,C66):δ=5.11(br,s),3.10(br,s),2.21(br,s),1.95(br,s),1.80(s,6H),1.38(s)
【0092】
例21 テトラキス(エトキシ)(4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキサノナート)タンタル(V)の合成:2,2−ジメチル−(5−(ジメチルアミノ)プロピル−イミノ)−3−へキセノン(0.64g、3.8mmol)を、Ta2(OEt)10(1.50g、1.85mmol)を入れたフラスコにゆっくりと加えた。フラスコを80℃で3時間加熱し、次に副生成物のエタノールを真空下で除去して、透明なオレンジ色の液体を1.6g得た。収率は98%である。
【0093】
1HNMR(500MHz,C66):δ=4.79(s,1H),4.76(q,2H),4.71(q,2H),4.31(q,2H),4.28(q,2H),3.74(t,2H),2.60(t,2H),2.13(s,6H),1.85(s,3H),1.70(s,3H),1.40(t,3H),1.38(t,3H),1.20(t,6H)
【0094】
例22 2,2−ジメチル−5−(2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル−イミノ)−3−ヘキサノンの合成:磁気撹拌装置を備えた100mL丸底フラスコに、2,2−ジメチルヘキサン−3,5−ジオン 8gを、1.1当量の2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチルアミン、無水硫酸ナトリウム及び無水ジエチルエーテルと合わせて入れ、窒素下で3日間撹拌した。エーテルをロータリーエバポレーターで除去し、ビグルー管を通して残渣を真空蒸留して、生成物を9.7g得た。
【0095】
1HNMR(300MHz,THFd8):δ=11.05(s,1H),5.06(s,1H),3.51(t,2H),3.50(t,2H),3.37(q,2H),2.42(t,2H),2.17(s,6H),1.92(s,3H),1.05(s,9H)
【0096】
例23 ビス(2,2−ジメチル−5−(2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)バリウムの合成:グローブボックス内で、磁気撹拌装置を備えた100mLシュレンクフラスコに、昇華したバリウム金属 1.25gを、2,2−ジメチル−5−(2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル−イミノ)−3−ヘキサノン 3.15g、及び無水THF 30mLと合わせて入れた。フラスコをシュレンクラインに配置し、コールドフィンガー凝縮器を取り付けた。無水アンモニアをフラスコ内で凝縮させ、コールドフィンガー凝縮器を用いて4時間還流した。フラスコ及び凝縮器は放置して室温まで一晩で戻し、ガスバブラーを通してアンモニアを逃がした。セライトを通して曇った琥珀色の溶液を濾過し、生成物を熱ヘキサンから白色結晶として結晶化した。
【0097】
1HNMR(300MHz,THFd8):δ=4.64(s,1H),3.94(t,2H),3.71(t,2H),3.51(t,2H),2.49(t,2H),2.18(s,6H),1.78(s,3H),1.10(s,9H)
【0098】
例24 2,2−ジメチル−5−(2−(2−(ジメチルアミノ−エチル)(メチルアミノ))エチル−イミノ)−3−ヘキサノンの合成:磁気撹拌装置を備えた100mL丸底フラスコに、2,2−ジメチルヘキサン−3,5−ジオン 1.9gを、1.1当量の2−(2−(ジメチルアミノ−エチル)(メチルアミノ))エチルアミン、無水硫酸ナトリウム及び無水ジエチルエーテルと合わせて入れ、窒素下で一晩撹拌した。エーテルをロータリーエバポレーターで除去し、ビグルー管を通して残渣を真空蒸留して、生成物を2.7g得た。
【0099】
1HNMR(300MHz,THFd8):δ=10.99(s,1H),5.06(s,1H),3.28(q,2H),2.53(t,2H),2.48(t,2H),2.37(t,2H),2.25(s,3H),2.15(s,6H),1.92(s,3H),1.06(s,9H)
【0100】
例25 ビス(2,2−ジメチル−5−(2−(2−(ジメチルアミノ−エチル)(メチルアミノ))エチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)バリウムの合成:グローブボックス内で、磁気撹拌装置を備えた50mLシュレンクフラスコに、昇華したバリウム金属 1.05gを、2,2−ジメチル−5−(2−(2−(ジメチルアミノ−エチル)(メチルアミノ))エチル−イミノ)−3−ヘキサノン 2.72g、及び無水THF 20mLと合わせて入れた。フラスコをシュレンクラインに配置し、コールドフィンガー凝縮器を取り付けた。無水アンモニアをフラスコ内で凝縮させ、コールドフィンガー凝縮器を用いて4時間還流した。フラスコ及び凝縮器は放置して室温まで一晩で戻し、ガスバブラーを通してアンモニアを逃がした。曇った灰色の懸濁液を濃縮し、熱ヘキサン中に懸濁し、セライトを通して濾過した。生成物を熱ヘキサンから数回再結晶化して、無色の結晶を0.4g得た。
【0101】
元素分析:C3060BaN62の計算値 C,53.45;N,12.47;H,8.97:検出値 C,53.33;N,12.71;H,9.44
1HNMR(500MHz,C66):δ=5.07(s,1H),3.28(br,s,2H),2.49(非常にブロード,6H),2.23(s,6H),2.22(sh,3H),1.84(s,3H),1.40(s,9H)
【0102】
ビス(2,2−ジメチル−5−(2−(2−(ジメチルアミノ−エチル)(メチルアミノ))エチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)バリウムの単結晶を、X線単結晶解析によって特定したところ、4座配位の状態で、バリウム原子に、2つの2,2−ジメチル−5−(2−(2−(ジメチルアミノ−エチル)(メチルアミノ))エチル−イミノ)−3−ヘキサノナート配位子が配位していることが示された。
【0103】
例26 ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート−N,O,N’)ストロンチウムの、1M N−メチル−2−ピロリジノン溶液の調製:ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート−N,O,N’)ストロンチウム 0.25gを含む1mLバイアルに、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP) 0.49mLを加えたところ、薄黄色の透明溶液になった。溶液を一晩室温で保持し、その後真空下で乾燥して薄黄色の固体を得た。図9は、ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート−N,O,N’)ストロンチウムのNMPへの溶解前後のTGA/DSCを示し、ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート−N,O,N’)ストロンチウムとNMPとが相溶性であって、得られた溶液をCVD又はALD処理に使用できることを示唆している。
【0104】
例27 ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート−N,O,N’)ストロンチウムの、1.0M N−シクロヘキシル−2−ピロリジノン溶液の調製:ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート−N,O,N’)ストロンチウム(0.10g、0.20mmol)を含む2mLバイアルに、N−シクロヘキシル−2−ピロリジノン 0.19mLを加えたところ、淡緑色の透明溶液になった。この溶液のTGAは、この混合物が揮発性であることを示す。
【0105】
例28 トリス(イソプロポキシ)(4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキセノナート)チタンの、0.9M N−メチル−2−ピロリジノン溶液の調製:トリス(イソプロポキシ)(4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキセノナート)チタン(0.1g、0.25mmol)を含む2mLバイアルに、N−メチル−2−ピロリジノン 0.27mLを加えたところ、明るいオレンジ色の溶液になった。この溶液のTGAは、この混合物が揮発性であることを示す。
【0106】
例29 トリス(tert−ブトキシ)(4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキサノナート)ジルコニウム(IV)の、0.75M N−メチル−2−ピロリジノン溶液の調製:トリス(tert−ブトキシ)(4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキサノナート)ジルコニウム(IV)(0.10g、0.21mmol)を含む2mLバイアルに、N−メチル−2−ピロリジノン 0.28mLを加えたところ、黄緑色の溶液になった。この溶液のTGAは、この混合物が揮発性であることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート−N,O,N’)ストロンチウムの結晶構造を表す図である。
【図2】ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート−N,O,N’)ストロンチウムのTGA図であり、錯体が揮発性で、より高温では分解することを示す。
【図3】トリス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)イットリウムの結晶構造を表す図である。
【図4】ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)コバルトの結晶構造を表す図である。
【図5】ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)ニッケルの結晶構造を表す図である。
【図6】トリス(tert−ブトキシ)(4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキサノナート)ジルコニウム(IV)の結晶構造を表す図である。
【図7】トリス(tert−ブトキシ)(4−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−2−ヘキサノナート)ジルコニウム(IV)のTGA図であり、錯体が揮発性で、残渣が2%未満であることを示す。
【図8】ビス(2,2−ジメチル−5−(2−(2−(ジメチルアミノ−エチル)(メチルアミノ))エチル−イミノ)−3−ヘキサノナート)バリウムの結晶構造を表す図である。
【図9】NMPに溶解する前(破線)及び溶解した後(実線)の、ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート−N,O,N’)ストロンチウムのTGA/DSC図であり、ビス(2,2−ジメチル−5−(ジメチルアミノエチル−イミノ)−3−ヘキサノナート−N,O,N’)ストロンチウムとNMPとが相溶性であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下からなる群から選択される構造によって表される、金属含有錯体。
【化1】

(式中、Mは価数が2〜5の金属族であり、R1は、炭素原子が1〜10個の、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R2は、水素、アルキル、アルコキシ、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R3は、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R4は、アルキレン架橋基であり;R5及びR6はそれぞれ、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族、アリール、及び酸素原子又は窒素原子のいずれかを含有する複素環からなる群から選択され、nは金属Mの価数と等しい整数である。);
【化2】

(式中、Mは4族及び5族の金属から選択される金属イオンであり;R1は、炭素原子が1〜10個の、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R2は、水素、アルキル、アルコキシ、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R3は、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R4は、アルキレン架橋基であり;R5及びR6はそれぞれ、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族、アリール、及び酸素原子又は窒素原子を含有する複素環からなる群から選択され、R7は、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;m及びnは少なくとも1であって、m+nの合計は金属Mの価数と等しい。);並びに
【化3】

(式中、Mはアルカリ土類金属であり;R1は、炭素原子が1〜10個の、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R2及びR3はそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、環状脂肪族及びアリールからなる群から選択され;R4及びR5はそれぞれ、C2-3アルキレン架橋基であり;R6及びR7はそれぞれ、アルキル、フルオロアルキル、環状脂肪族、アリール、及び酸素原子又は窒素原子を含有する複素環からなる群から選択され;Xは、酸素、又は水素、アルキル基もしくはアリール基で置換された窒素のいずれかである。)
【請求項2】
Mが、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、バナジウム、タングステン、マンガン、コバルト、鉄、ニッケル、ルテニウム、亜鉛、銅、パラジウム、白金、イリジウム、レニウム及びオスミウムからなる群から選択される、請求項1の構造Aの金属含有錯体。
【請求項3】
Mが、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムからなる群から選択される、請求項2に記載の金属含有錯体。
【請求項4】
1がtert−ブチル及びtert−ペンチルからなる群から選択され、R2及びR3がそれぞれメチル及びエチルからなる群から選択され、R4がC2アルキレン架橋基であり、R5及びR6がそれぞれメチル及びエチルからなる群から選択される、請求項3に記載の金属含有錯体。
【請求項5】
Mがストロンチウム、R1がtert−ブチル、R2及びR3がメチル、R4がC2アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項3に記載の金属含有錯体。
【請求項6】
Mがストロンチウム、R1がtert−ブチル、R2及びR3がメチル、R4がC2アルキレン架橋基、R5及びR6がエチルである、請求項3に記載の金属含有錯体。
【請求項7】
Mが、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選択される、請求項3に記載の金属含有錯体。
【請求項8】
1がC1-6アルキルからなる群から選択され、R2及びR3がそれぞれメチル及びエチルからなる群から選択され、R4がC2-3アルキレン架橋基であり、R5及びR6がそれぞれメチル及びエチルからなる群から選択される、請求項7に記載の金属含有錯体。
【請求項9】
Mがコバルト、R1がメチル、R2及びR3がメチル、R4がC2アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項7に記載の金属含有錯体。
【請求項10】
Mがコバルト、R1がtert−ブチル、R2及びR3がメチル、R4がC2アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項7に記載の金属含有錯体。
【請求項11】
Mがコバルト、R1がメチル、R2及びR3がメチル、R4がC3アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項7に記載の金属含有錯体。
【請求項12】
Mがコバルト、R1がtert−ブチル、R2及びR3がメチル、R4がC3アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項7に記載の金属含有錯体。
【請求項13】
Mがニッケル、R1がメチル、R2及びR3がメチル、R4がC2アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項7に記載の金属含有錯体。
【請求項14】
Mがニッケル、R1がtert−ブチル、R2及びR3がメチル、R4がC2アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項7に記載の金属含有錯体。
【請求項15】
Mがニッケル、R1がメチル、R2及びR3がメチル、R4がC3アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項7に記載の金属含有錯体。
【請求項16】
Mがニッケル、R1がtert−ブチル、R2及びR3がメチル、R4がC3アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項7に記載の金属含有錯体。
【請求項17】
Mが、イットリウム、ランタン、プラセオジム、セリウム、サマリウム、エルビウム、イッテルビウム及びルテチウムからなる群から選択される、請求項2に記載の金属含有錯体。
【請求項18】
1がC1-5アルキルからなる群から選択され、R2及びR3がそれぞれメチル及びエチルからなる群から選択され、R4がC2-3アルキレン架橋基であり、R5及びR6がそれぞれメチル及びエチルからなる群から選択される、請求項17に記載の金属含有錯体。
【請求項19】
Mがイットリウム、R1がtert−ブチル、R2及びR3がメチル、R4がC2アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項17に記載の金属含有錯体。
【請求項20】
Mがイットリウム、R1がtert−ブチル、R2及びR3がメチル、R4がC3アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項17に記載の金属含有錯体。
【請求項21】
Mがランタン、R1がtert−ブチル、R2及びR3がメチル、R4がC2アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項17に記載の金属含有錯体。
【請求項22】
Mがランタン、R1がtert−ブチル、R2及びR3がメチル、R4がC3アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項15に記載の金属含有錯体。
【請求項23】
Mが、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される、請求項1の構造Bで表される金属含有錯体。
【請求項24】
1がC1-5アルキルからなる群から選択され、R2及びR3がそれぞれメチル及びエチルからなる群から選択され、R4がC2-3アルキレン架橋基であり、R5及びR6がそれぞれメチル及びエチルからなる群から選択され、R7が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルからなる群から選択される、請求項23に記載の金属含有錯体。
【請求項25】
Mがチタン、R1がメチル、R2及びR3がメチル、R4がC2アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項23に記載の金属含有錯体。
【請求項26】
Mがハフニウム、R1がメチル、R2及びR3がメチル、R4がC2アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項23に記載の金属含有錯体。
【請求項27】
Mがジルコニウム、R1がメチル、R2及びR3がメチル、R4がC2アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項23に記載の金属含有錯体。
【請求項28】
Mがチタン、R1がtert−ブチル、R2及びR3がメチル、R4がC2アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項23に記載の金属含有錯体。
【請求項29】
Mがハフニウム、R1がtert−ブチル、R2及びR3がメチル、R4がC2アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項23に記載の金属含有錯体。
【請求項30】
Mがジルコニウム、R1がtert−ブチル、R2及びR3がメチル、R4がC2アルキレン架橋基、R5及びR6がメチルである、請求項23に記載の金属含有錯体。
【請求項31】
Mが、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムからなる群から選択される、請求項1の構造Cで表される金属含有錯体。
【請求項32】
1がtert−ブチル及びtert−ペンチルからなる群から選択され、R2及びR3がメチルであり、R4及びR5がそれぞれC2アルキレン架橋基であり、R6及びR7がそれぞれ、メチル及びエチルからなる群から選択され、Xが酸素及びNCH3からなる群から選択される、請求項31に記載の金属含有錯体。
【請求項33】
Mがバリウム、R1がtert−ブチル、R2及びR3がメチル、R4及びR5がそれぞれC2アルキレン架橋基、R6及びR7がメチル、XがNCH3である、請求項31に記載の金属含有錯体。
【請求項34】
1〜20個のエトキシ(−C24O−)繰り返し単位を有するグライム溶媒;C2-12アルカノール;C1-6アルキル部位を含むジアルキルエーテル、C4-8環状エーテル、C12−C60クラウンO4−O20エーテル(接頭のCiの範囲は該エーテル化合物中の炭素原子数iであり、接尾のOiの範囲は該エーテル化合物中の酸素原子数iである)からなる群から選択される有機エーテル;C6−C12脂肪族炭化水素;C6−C18芳香族炭化水素;有機エステル;有機アミン;及びポリアミン;並びに有機アミドからなる群から選択される溶媒に溶解した、請求項1に記載の金属含有錯体。
【請求項35】
前記溶媒が、N−メチル−2−ピロリジノン、N−エチル−2−ピロリジノン及びN−シクロヘキシル−2−ピロリジノンからなる群から選択される有機アミドである、請求項34に記載の前駆体源。
【請求項36】
コンフォーマル金属酸化物薄膜を基材上に形成するための気相堆積方法であって、前駆体源及び酸素含有化学物質を堆積室に導入して金属酸化物膜を基材に堆積するものであり、請求項1に記載の前記金属含有錯体を該前駆体源として用いることが改良点に含まれる、気相堆積方法。
【請求項37】
前記気相堆積方法が化学気相堆積及び原子層堆積からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記酸素含有化学物質が、水、O2、H22、オゾン及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
コンフォーマル金属薄膜を基材上に形成するための気相堆積方法であって、前駆体源及び還元剤を堆積室に導入して金属膜を基材に堆積するものであり、請求項1に記載の前記金属含有錯体を該前駆体源として用いることが改良点に含まれる、気相堆積方法。
【請求項40】
前記還元剤が、水素、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、アンモニア及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
コンフォーマル金属酸化物薄膜を基材上に形成するための気相堆積方法であって、前駆体源の溶液及び酸素含有化学物質を堆積室に導入して金属酸化物膜を基材に堆積するものであり、1〜20個のエトキシ(−C24O−)繰り返し単位を有するグライム溶媒;C2-12アルカノール;C1-6アルキル部位を含むジアルキルエーテル、C4-8環状エーテル、C12−C60クラウンO4−O20エーテル(接頭のCiの範囲は該エーテル化合物中の炭素原子数iであり、接尾のOiの範囲は該エーテル化合物中の酸素原子数iである)からなる群から選択される有機エーテル;C6−C12脂肪族炭化水素;C6−C18芳香族炭化水素;有機エステル;有機アミン;及びポリアミン;並びに有機アミドからなる群から選択される溶媒に溶解した、請求項1に記載の前記金属含有錯体から構成される溶液を用いることが改良点に含まれる、気相堆積方法。
【請求項42】
コンフォーマル金属薄膜を基材上に形成するための気相堆積方法であって、前駆体源の溶液及び還元剤を堆積室に導入して金属膜を基材に堆積するものであり、1〜20個のエトキシ(−C24O−)繰り返し単位を有するグライム溶媒;C2-12アルカノール;C1-6アルキル部位を含むジアルキルエーテル、C4-8環状エーテル、C12−C60クラウンO4−O20エーテル(接頭のCiの範囲は該エーテル化合物中の炭素原子数iであり、接尾のOiの範囲は該エーテル化合物中の酸素原子数iである)からなる群から選択される有機エーテル;C6−C12脂肪族炭化水素;C6−C18芳香族炭化水素;有機エステル;有機アミン;及びポリアミン;並びに有機アミドからなる群から選択される溶媒に溶解した、請求項1に記載の前記金属含有錯体から構成される溶液を用いることが改良点に含まれる、気相堆積方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−302656(P2007−302656A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−115819(P2007−115819)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】