説明

多重環化合物及びその用途

ヒドロキシベンゼン成分、及び同様な複素環構造の誘導体などの化学物質であって、その塩が含まれ、抗癌剤と抗腫瘍剤として作用し、とりわけ、癌細胞のような細胞中に存在する酵素と構造ポリペプチドの活性を変調し、又は癌細胞などの細胞系における遺伝子発現レベルを変調する化学物質が開示され、併せて、こうした化学物質を調製する方法、活性成分としてこうした化学物質を含む医薬組成物、及び治療薬剤としてこれらを使用する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願No.60/926289(2007年4月26日出願)の優先権を主張し、その開示事項は、本願に全体として参照して取り入れられる。
【0002】
本発明は、多重環構造部分を含むアリール化合物及びヘテロアリール化合物、ならびに遺伝子活性の調節及び疾病状態の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
新規な薬剤についてのスクリーニングアッセイは、特定の化合物を用いた治療に対する、インビトロのモデル細胞に基づく系の応答を基礎にする。サイトカイン類の放出、細胞表面マーカーにおける交互変化、特定の酵素の活性化、ならびにイオンフラックス及び/又はpHの交互変化などの、細胞応答の種々の測定が利用されている。いくつかのこうしたスクリーンは、癌遺伝子又は腫瘍抑制因子のような特定の遺伝子に依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第87/05297号パンフレット(Johnstonら、1987年9月11日公開)特許出願
【非特許文献1】J. Honig et al., The Van Nostrand Chemist’s Dictionary, p. 650 (1953)
【非特許文献2】Hawley’s Condensed Chemical Dictionary, 11th Ed.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、各々の特定の腫瘍の種類について、対応する正常細胞に比較したとき、腫瘍細胞において異なって表れる遺伝子のユニークな信号セットを確立することができるといった概念の長所を取得することにより、可能性のある抗癌剤として使用するための化合物グループを規定するための小分子化合物のスクリーニングを利用する。10〜30の遺伝子を含む比較的小さな信号セットは、癌細胞に典型的なパターンから正常細胞に見られるパターンまで遺伝子発現プロフィルを逆転することができる化合物について、容易なハイスループットスクリーニングを可能にする。この結果として、遺伝子発現及び疾病治療、とりわけ悪性腫瘍を調節するための新規な種々の化合物が存在する。構造と活性の関連の検討は、抗腫瘍作用を有する可能性がある新規な小分子の薬剤として式I〜式VIの化合物をもたらした。
【0006】
1つの局面において、本発明は、生物学的分子とりわけタンパク質と遺伝子の阻害剤又はアゴニストとしての、修飾因子として機能する小さな有機化合物に関し、その機能は、親密的又は周辺的に癌性プロセスと関係する。前記化合物の作用の一般的メカニズムは、本発明の作用に基本的ではなく、かかる化合物は、こうしたメカニズムに限定されることなく本願に開示されている。また、本発明の化合物のターゲットであるタンパク質及び/又はポリペプチドには、プロテアーゼ又は他の代謝成分のような酵素として機能するもの、又は構造的もしくは構成的タンパク質として機能するものが挙げられ、前記ターゲットには、癌性プロセスに伴うオリゴペプチドもまた挙げられる。
【0007】
もう1つの局面において、本発明は、癌細胞、とりわけ、結腸癌に典型的な規制されない信号伝達経路に伴う遺伝子についての遺伝子発現修飾因子として機能する有機化合物に関する。
【0008】
本発明の1つの態様において、本願に開示の化合物は、癌細胞、とりわけ結腸癌細胞に対して正常(即ち、癌ではない)細胞において上方制御されると見られる遺伝子を上方制御することができ、それによって、正常細胞において見られる発現プロフィルに似ている前記遺伝子についての発現プロフィルを生成する。もう1つの態様において、本願に開示の化合物は、正常(即ち、癌ではない)細胞に対して癌細胞、とりわけ結腸癌細胞において、さもなければ上方制御した遺伝子を下方制御し、それによって、正常細胞で見られる発現プロフィルにさらに似ている前記遺伝子についての発現プロフィルを生成することが見出されている。即ち、癌状態を誘発又は持続する主要な役割を有する又は有しないかもしれない特定遺伝子を変調する活性に加え、本願に開示の薬剤は、癌のような疾病状態、とりわけ結腸腺癌などの結腸癌に、それらの組み合わせの活性が関係する一連の遺伝子の規制において価値を見出している。即ち、全体的な一連の遺伝子は変調されるものの、これらの一部を変調する効果は、全体的な疾病プロセスを回復する効果に関して、大きい又は小さいかの不釣合いなことがある。その結果、いろいろな疾病状態が、全体的な疾病プロセスを基礎にして活性又は不活性である遺伝子のいろいろなサブセットに依存することがある。特定の一連の遺伝子が、表6と表7に開示されている。
【0009】
したがって、本発明は、正常(即ち、癌ではない)細胞に見られる遺伝子に対して遺伝子変調因子として機能する能力を有し、その遺伝子は、正常細胞、とりわけ結腸細胞において上方制御もしくは下方制御されることが見出されている、新規な有機化合物に関する。こうした効果は、癌のような疾病状態から、さもなければそうした状態により陥り易いことから防ぐことができる。1つのこうした態様において、本願明細書に開示の薬剤の1又は複数の投与は、癌状態の発生を防ぐことに成功することができる。
【0010】
他の態様において、本願明細書に記載の薬剤は、互いの及び他の薬剤との組み合わせにおいて用途を見出しており、例えば、本発明の1又は複数の薬剤の混合物が組み合される場合や、本願に開示の1又は複数の薬剤が何らかの他の公知の治療薬と一緒に与えられる場合であって、公知の治療薬の効果を増強する可能性がある手段として用いられる又はその逆の場合である。
【0011】
また、本発明は、被験者、例えば、哺乳動物、とりわけヒトに、本願に開示の1又は複数の薬剤の治療上有効量を投与することによる、疾病状態、とりわけ癌、なかでも結腸癌を防止又は治療する方法に関し、こうした薬剤が、公知の薬剤の1又は複数と組み合わせて与えられる場合を含む。
【0012】
−定義−
以下の用語は、本願明細書に別に特段の明記がなければ下記の意味を有する。
【0013】
「アシル」は、カルボン酸からヒドロキシを除去して得られる基である(即ち、R−C(=O)−)。好ましいアシル基には、アセチル、ホルミル、及びプロピオニルが挙げられる。
【0014】
「アルキル」は、1〜15の炭素原子を有する飽和炭化水素鎖であり、好ましくは、1〜10、より好ましくは、1〜5の炭素原子(CからCのアルキル又はC〜Cアルキルと表示)、最も好ましくは、1〜4の炭素原子である。「アルケニル」は、少なくとも1つの(好ましくは、1つのみ)の炭素−炭素二重結合を有し、2〜15の炭素原子、好ましくは、2〜10の炭素原子、より好ましくは、2〜5の炭素原子、最も好ましくは、2〜4の炭素原子(本願明細書ではCからCのアルケニル又はC〜Cアルケニルと表示)を有する炭化水素鎖である。「アルキニル」は、少なくとも1つの(好ましくは、1つのみ)の炭素−炭素三重結合を有し、2〜15の炭素原子、好ましくは、2〜10の炭素原子、より好ましくは、2〜4の炭素原子(本願明細書ではCからCのアルキニル又はC〜Cアルキニルと表示)を有する炭化水素鎖である。アルキル鎖、アルケニル鎖、及びアルキニル鎖は(「炭化水素鎖」と総称)、別な特段の明記がなければ、直鎖又は分岐鎖であってもよく、非置換又は置換されていてもよい。好ましい分岐鎖のアルキル鎖、アルケニル鎖、及びアルキニル鎖は、1又は2の分岐、好ましくは、1つの分岐を有する。好ましい鎖はアルキルである。アルキル、アルケニル、及びアルキニルの炭化水素鎖は、それぞれ、非置換でもよく、又は1〜4の置換基で置換されてもよく、置換される場合、好ましい鎖はモノ、ジ、又はトリ置換される(その置換基は、鎖の1、2、又は3の水素原子を置換する)。アルキル、アルケニル、及びアルキニル炭化水素鎖は、それぞれ、ハロゲン、ヒドロキシ、アリールオキシ(例えば、フェノキシ)、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ(例えば、アセトキシ)、カルボキシ、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、スピロ環式置換基、アミノ、アミド、アシルアミノ、ケト、チオケト、シアノ、又はこれらの組み合わせによって置換されてもよい。好ましい炭化水素基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、第3ブチル(又はtert−ブチル)、ビニル、アリル、ブテニル、及びエキソメチレニルが挙げられる。
【0015】
また、本願明細書において称される「低級」のアルキル、アルケニル、又はアルキニル成分は(例えば、「低級アルキル」)、アルキルの場合、1〜6、好ましくは、1〜4の炭素原子からなる鎖であり、アルケニルとアルキニルの場合、2〜6、好ましくは、2〜4の炭素原子からなる鎖である。
【0016】
「アルコキシ」は、炭化水素鎖の置換基を有する酸素ラジカルであり、その炭化水素鎖はアルキル、アルケニル、又はアルキニルである(即ち、−O−アルキル、−O−アルケニル、又はO−アルキニル)。好ましいアルコキシ基には(例えば)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びアリルオキシが挙げられる。
【0017】
「アリール」は、芳香族系の炭化水素環である。アリール環は、単環又は結合二環系と三環系である。単環のアリール環は、環の中に6つの炭素原子を含む。単環のアリール環は、フェニル環とも称される。二環系のアリール環は、その環の中に、8〜17の炭素原子、好ましくは、9〜12の炭素原子を有する。二環系のアリール環には、1つの環がアリールで、他方の環がアリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロシクロアルキルである環系が挙げられる。好ましい二環系のアリール環は、5、6、又は7員環に結合した6員環を含む。アリール環は、非置換であってもよく、又は環を1〜4の置換基で置換されてもよい。アリール環は、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、アリールオキシ、アルコキシ、ヘテロアルコキシ、カルバミル、ハロアルキル、メチレンジオキシ、ヘテロアリールオキシ、又はこれらの組み合わせによって置換されてもよい。好ましいアリール環には、ナフチル、トリル、キシリル、及びフェニルが挙げられる。最も好ましいアリール環基はフェニルであり、最も好ましい置換基は、ハロゲン、アルキル、及びハロアルキルであり、最も好ましくは、−CFである。
【0018】
「アルキルアリール」又は「アルカリル」は、置換基として結合したアルキル基を有するアリール環であり、そのアルキルは、上記に規定した通りであり、アリール環は、非置換又は置換であってもよい。アルキル成分は、単鎖又は分岐鎖、置換又は非置換であってもよい。
【0019】
「アリールアルキル」又は「アラルキル」は、置換基としてそれに結合したアリール環を有する本願明細書において規定するアルキル基であり、そのアルキルは、直鎖又は分岐鎖であってもよく、置換又は非置換であってもよい。
【0020】
「アリールオキシ」は、アリール置換基を有する酸素ラジカルである(即ち、−O−アリール)。好ましいアリールオキシ基には、(例えば)フェノキシ、ナフチルオキシ、メトキシフェノキシ、及びメチレンジオキシフェノキシが挙げられる。
【0021】
「シクロアルキル」は、飽和又は不飽和の炭化水素環である。シクロアルキル環は、非芳香族系である。シクロアルキル環は、単環であり、又は縮合、スピロ、又は架橋の二環系である。単環のシクロアルキル環は、環中に約3〜約9の炭素原子、好ましくは3〜7の炭素原子、最も好ましくは5又は6の炭素原子を含む。二環系のシクロアルキル環は、環中に7〜17の炭素原子、好ましくは、7〜12の炭素原子を含む。好ましい二環系のシクロアルキル環は、5、6、又は7員環に結合した4、5、6、又は7員環を含む。シクロアルキル環は、非置換であってもよく、又は環を1〜4の置換基で置換されてもよい。シクロアルキルは、ハロ、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、ケト、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アシルアミノ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、又はこれらの組み合わせによって置換されてもよい。好ましいシクロアルキル環には、シクロプロピル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0022】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードである。好ましいハロは、フルオロ、クロロ、及びブロモであり、より好ましい典型は、クロロとフルオロであり、特には、フルオロである。
【0023】
「ハロアルキル」は、1又は複数のハロ置換基で置換された直鎖、分岐鎖、又は環状の炭化水素である。好ましくは、C〜C12のハロアルキルであり、より好ましくは、C〜Cのハロアルキルであり、さらにより好ましくは、C〜Cのハロアルキルである。好ましいハロ置換基は、フルオロ又はクロロである。最も好ましいハロアルキルは、トリフルオロメチルである。
【0024】
「ヘテロ原子」は、窒素、硫黄、又は酸素原子であり、好ましくは窒素又は酸素であり、より好ましくは窒素である。1を超えるヘテロ原子を含む基は、異なるヘテロ原子を含んでもよい。
【0025】
「ヘテロアルキル」は、炭素と少なくとも1つのヘテロ原子を含有する飽和又は不飽和鎖であり、2つのヘテロ原子が隣接することはない。ヘテロアルキル鎖は、その鎖の中に2〜15の原子(炭素とヘテロ原子)を含み、好ましくは、2〜10、より好ましくは、2〜5である。例えば、アルコキシ(即ち、−O−アルキル又は−O−ヘテロアルキル)基が、ヘテロアルキルに含まれる。ヘテロアルキル鎖は、直鎖又は分岐鎖であってもよい。好ましい分岐ヘテロアルキル鎖は、1又は2の分岐を有し、好ましくは、1つである。好ましいヘテロアルキル鎖は飽和している。不飽和ヘテロアルキル鎖は、1つ又は複数の炭素−炭素二重結合及び/又は1又は複数の炭素−炭素三重結合を有する。好ましい不飽和ヘテロアルキル鎖は、1つもしくは2つの二重結合又は1つの三重結合を有し、より好ましくは、1つの二重結合を有する。ヘテロアルキル鎖は、非置換、又は1〜4の置換基で置換されてもよい。好ましい置換ヘテロアルキル鎖は、モノ、ジ、又はトリ置換である。ヘテロアルキル鎖は、低級アルキル、ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、カルボキシ、単環式アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、スピロ環式置換基、アミノ、アシルアミノ、アミド、ケト、チオケト、シアノ、又はこれらの組み合わせで置換されてもよい。
【0026】
「ヘテロアリール」は、環中に炭素原子と1〜約6のヘテロ原子を含む芳香族環である。ヘテロアリール環は、単環系又は縮合二環系である。単環系のヘテロアリール環は、環中に5員又は6員の原子(炭素とヘテロ原子)を含む。二環系のヘテロアリール環は、環中に8〜17員の原子、好ましくは、8〜12員の原子を含む。二環系のヘテロアリール環は、1つの環がヘテロアリールで、他方の環がアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルである環系を含む。好ましい二環系のヘテロアリール環系は、5、6、又は7員環に結合した5、6、又は7員環を含む。ヘテロアリール環は、非置換であってもよく、又は環を1〜4の置換基で置換されてもよい。ヘテロアリールは、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、又はこれらの組み合わせによって置換されてもよい。好ましいヘテロアリール環には、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
【0027】
【化1】

【0028】
「ヘテロアリールオキシ」は、ヘテロアリール置換基を有する酸素ラジカルである(即ち、−O−ヘテロアリール)。好ましいヘテロアリールオキシ基には(例えば)、ピリジルオキシ、フラニルオキシ、(チオフェン)オキシ、(オキサゾール)オキシ、(チアゾール)オキシ、(イソキサゾール)オキシ、ピリミジニルオキシ、ピラジニルオキシ、及びベンゾチアゾリルオキシが挙げられる。
【0029】
「ヘテロシクロアルキル」は、環中に炭素原子と1〜約4(好ましくは、1〜3)のへテロ原子を有する飽和又は不飽和環である。ヘテロシクロアルキル環は、芳香族ではない。ヘテロシクロアルキル環は、単環系であるか、又は縮合、架橋、もしくはスピロ二環系である。単環系のヘテロシクロアルキル環は、環中に3〜約9員の原子(炭素とヘテロ原子)、好ましくは、5〜7員の原子を有する。二環系のヘテロシクロアルキル環は、環中に7〜17員の原子、好ましくは、7〜12員の原子を有する。二環系のヘテロシクロアルキル環は、約7〜約17の環原子、好ましくは、7〜12の環原子を有する。二環系のヘテロシクロアルキル環は、縮合、スピロ、又は架橋した環系であってもよい。好ましい二環系のヘテロシクロアルキル環は、5、6、又は7員環に結合した5、6、又は7員環を含む。ヘテロシクロアルキル環は、非置換であってもよく、又は環を1〜4の置換基で置換されてもよい。ヘテロシクロアルキルは、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ケト、チオケト、アミノ、アシルアミノ、アシル、アミド、アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、アルコキシ、アリールオキシ、又はこれらの組み合わせによって置換されてもよい。ヘテロシクロアルキル上の好ましい置換基には、ハロとハロアルキルが挙げられる。好ましいヘテロシクロアルキル環には、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
【0030】
【化2】

【0031】
「薬学的に許容される塩」は、何らかの酸性基(例えば、カルボン酸)によって形成されるカチオン塩又は何らかの塩基性基(例えば、アミノ)によって形成されるアニオン塩である。多くのこうした塩が、当該技術分野において公知である(特許文献1、本願で参照として取り入れられる)。好ましいカチオン塩には、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムとカリウム)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウムとカルシウム)、及び有機塩が挙げられる。好ましいアニオン塩には、ハロゲン化物(例えば、塩化物又は塩酸塩)、スルフォン酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩等が挙げられる。
【0032】
こうした塩は、当業者はよく理解しており、当該技術の知識によって多くの塩を、当業者は調製することができる。さらに、溶解性、安定性、及び製剤の容易性等の理由で、当業者はある塩を別なものよりも好むことがあるものと理解される。こうした塩の決定と最適化は、当業者の実務における視野の中にある。
【0033】
「溶媒和物」は、溶質(例えば、薬物分子)と溶媒(例えば、水)の組み合わせによって得られる複合体である(非特許文献1参照)。本発明にしたがって使用される薬学的に許容される塩は、薬物分子の生物活性を妨害しないものが挙げられる(例えば、水、エタノール、酢酸、N、N−ジメチルホルムアミド、及びその他の当業者に公知で容易に決定されるもの)。溶媒和物が水の場合は、その複合体は水和物である。
【0034】
用語「光学異性体」、「立体異性体」、及び「ジアステレオマー」は、通義を有する(非特許文献2参照)。本発明の化合物における特定の保護される形態とその他の誘導体の例示は、限定を意図するものではない。その他の有用な保護基、塩の形態等の応用は、当業者の能力の範囲内にある。
【0035】
用語「代謝物」は、動物に本発明の化合物を投与した後の酵素代謝のような、通常の生理的過程による本発明の化合物から得られる生成物を指称し、動物に投与されて、普通の酵素及び/又は代謝反応に供されたときに、本発明の化合物を生成することができる化学物質である「プロドラッグ」によって生じる生成物を含むが、通常は酵素又は胃酸によって常に触媒されるとは限らない。
【0036】
1つを超える置換基について(即ち、1つを超えるR基)、置換基の説明が、その置換基が「独立して選択され」又は「独立して選択」と記載する場合、2つ以上のR基が、互いに同じ又は相違のいずれでもよいことを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0037】
1つの局面において、本発明は、一般に、式I、式II、式III、式IV、式V、又は式VIの構造を有する化合物に関する。
【0038】

【0039】
ここで、Wは下記の1つであり、

【0040】
ここで、Wが構造Iaの場合、m=0、1、2、又は3であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、Wが構造Ibの場合、m=1又は2であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、
Aは、O及び−CR2021から選択され、
Bは、N及び−CR12から選択され、
Dは、C=O及び−CR2223から選択され、
Eは、NR13及び−CR2425から選択され、
AがOの場合、DがC=Oであるならば、Eは−CR2425であり、EがNR13であるならば、Dは−CR2223であり;
【0041】
、R13、及びR14は、以下のものからそれぞれ独立して選択され、
H、CH、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、5〜9環原子シクロアルキル、
N又はOからそれぞれが独立して選択された3以下のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキルであり、該ヘテロ原子がNの場合、該環の任意の炭素をさらに置換してもよい、
5〜7環原子アリール、アリールオキシ、多環芳香族、及びヘテロ原子N又はOを有する5〜7環原子ヘテロアリール;
【0042】
ここで、Rは構造−XYからさらに選択され、
Xは、(CR3031(k=0、1、2、又は3)、SO、C=O、NR3031、又は−C(=O)NR30であり、R30とR31は、それぞれ独立してH、CH、又はC〜Cアルキルであり、
Yは、5又は6環原子の3以下の縮合又は非縮合環を含む構造から選択され、各環は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルから独立して選択され、ヘテロ原子は窒素又は酸素であり、該環は、置換又は非置換でよく、該環の2つ又は全てが、それ自身が置換又は非置換でもよいC〜Cアルキル、=CH−、C〜Cアルケニル鎖、C〜Cアルキニル鎖によって分離されてもよく、
【0043】
13とR14はそれぞれさらに、−CHO、OR15、SR15、NR1516、C〜Cアルキル−アリール、及びアリール−C〜Cアルキルから独立して選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R14、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、及びR27は、H、F、Cl、Br、I、OH、CF、CH、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、NR1516からそれぞれ独立して選択され、ここで、R15とR16は、H、CH、C〜Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、
ここで、NR13(CH14又はその一部は、結合して、ピペリジン、ピロリジン、及びテトラヒドロイソキノリンから選択された置換又は非置換の環を形成してもよく、
ここで、該R基(上記式の任意のもの)はいずれも、置換又は非置換であってもよく、該置換基は、水素、CH、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキル、F、Cl、Br、I、CN、=O、CF、NO、5〜9環原子シクロアルキル、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキル、5〜7環原子アリール、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、COOR17、CONR1819、NR1819、NR18COR19、NR18SO19、SONR1819、及びNR17CONR1819から独立して選択され、ここで、R17、R18、及びR19は、独立して、Rについて記載したものと同等であり、それぞれの該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、Rから選択された基によってさらに置換されてもよい、
並びに、これらの全ての薬学的に許容される塩、誘導体、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、水和物、及び異性体を含む。
【0044】
特定の態様において、n=2及び/又はm=2である。別の特定の例において、Rは、H、Cl、又はOMeである。別の特定の態様において、Rはカルバゾール又はジフェニルエチルである。
【0045】
本発明の化合物のもう1つの特定例は、式Iの構造を含み、ここで、AはOであり、Dは−CR2223であり、EはNR13であり、好ましくは、R22とR23の少なくとも1つがHであり、例えば、R22とR23の双方がHであり、又はR22とR23の1つがOHである。もう1つのこうした例において、AはOであり、DはC=OであってEはCR2425であり、例えば、R24とR25の少なくとも1つが水素であるか、又はAが−CR2021であり、DがC=OであってEがNR13であり、例えば、R20とR21の双方がHであるか、又はR20とR21の1つがHである。もう1つの特定例において、AはOであり、Dは−CR2223であり、EはCR2425であり、とりわけ、R22とR23の少なくとも1つが水素であり、かつR24とR25の1つが水素である。
【0046】
また、本発明は、式IIの構造を有する化合物に関する。

【0047】
ここで、Wは下記の1つであり、

【0048】
ここで、Wが構造IIaの場合、m=0、1、2、又は3であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、Wが構造IIbの場合、m=1又は2であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり
Bは、N及び−CR12から選択され、
【0049】
、R13、及びR14は、以下のものからそれぞれ独立して選択され、
H、CH、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、5〜9環原子シクロアルキル、
N又はOからそれぞれが独立して選択された3以下のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキルであり、該ヘテロ原子がNの場合、該環の任意の炭素をさらに置換してもよい、
5〜7環原子アリール、アリールオキシ、多環芳香族、及びヘテロ原子N又はOを有する5〜7環原子ヘテロアリール;
【0050】
ここで、Rは構造−XYからさらに選択され、
Xは、(CR3031(k=0、1、2、又は3)、SO、C=O、NR3031、又は−C(=O)NR30であり、R30とR31は、それぞれH、CH、又はC〜Cアルキルであり、
Yは、5又は6環原子の3以下の縮合又は非縮合環を含む構造から選択され、各環は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルから独立して選択され、ヘテロ原子は窒素又は酸素であり、該環は、置換又は非置換でよく、該環の2つ又は全てが、それ自身が置換又は非置換でもよいC〜Cアルキル、=CH−、C〜Cアルケニル鎖、C〜Cアルキニル鎖によって分離されてもよく、
13とR14はそれぞれさらに、−CHO、OR15、SR15、NR1516、C〜Cアルキル−アリール、及びアリール−C〜Cアルキルから独立して選択され、
【0051】
、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R14、R26、及びR27は、H、F、Cl、Br、I、OH、CF、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、NR1516からそれぞれ独立して選択され(ここで、R15とR16は、HとC〜Cアルキルからそれぞれ独立して選択される)、
15とR16は、H、CH、C〜Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、
ここで、NR13(CH14又はその一部は、結合して、ピペリジン、ピロリジン、及びテトラヒドロイソキノリンから選択された置換又は非置換の環を形成してもよく、
【0052】
ここで、該R基(上記式の任意のもの)はいずれも、置換又は非置換であってもよく、該置換基は、水素、CH、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキル、F、Cl、Br、I、CN、=O、CF、NO、5〜9環原子シクロアルキル、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキル、5〜7環原子アリール、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、COOR17、CONR1819、NR1819、NR18COR19、NR18SO19、SONR1819、及びNR17CONR1819から独立して選択され、ここで、R17、R18、及びR19は、独立して、Rについて記載したものと同等であり、それぞれの該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、Rから選択された基によってさらに置換されてもよい、
並びに、これらの全ての薬学的に許容される塩、誘導体、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、水和物、及び異性体を含む。
【0053】
こうした構造の特定の例において、Rは水素である。別の特定の態様において、Rはカルバゾール又はジフェニルエチルである。
【0054】
また、本発明は、式IIIの構造を有する化合物に関する。

【0055】
ここで、Wは下記の構造を有し、

【0056】
m=0、1、2、又は3であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、
Bは、N及び−CR12から選択され、
ここで、Rは構造−XYからさらに選択され、
Xは、(CR3031(k=0、1、2、又は3)、SO、C=O、NR3031、又は−C(=O)NR30であり、R30とR31は、それぞれH、CH、又はC〜Cアルキルであり、
Yは、5又は6環原子の3以下の縮合又は非縮合環を含む構造から選択され、各環は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルから独立して選択され、ヘテロ原子は窒素又は酸素であり、該環は、置換又は非置換でよく、該環の2つ又は全てが、それ自身が置換又は非置換でもよいC〜Cアルキル、=CH−、C〜Cアルケニル鎖、C〜Cアルキニル鎖によって分離されてもよく、
【0057】
、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、H、F、Cl、Br、I、OH、CF、CH、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、メトキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、NR1516からそれぞれ独立して選択され、
13はさらに、C〜Cヒドロキシアルキル及び−CHOから独立して選択され、
【0058】
ここで、R14は、H、CH、C〜Cアルキル、分岐及び非分岐C〜Cアルケニル、分岐及び非分岐C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、OR15、SR15、−C(=O)R15、−C(=O)OR15、分岐及び非分岐(C〜Cアルキル)−NR1516、NR1516、分岐及び非分岐(C〜Cアルキル)−NR151617NR151617、C(=O)NR1516、C(=O)ONR1516、N又はOから選択された3以下のヘテロ原子を有する5〜7員ヘテロシクロアルキル、アラルキル、及びアルキルアリールから選択され、
【0059】
ここで、該シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルの各々は、H、F、Cl、Br、I、CF、分岐及び非分岐C〜Cアルキル、分岐及び非分岐C〜Cアルケニル、分岐及び非分岐C〜Cアルキニル、分岐及び非分岐C〜Cアルコキシ、分岐及び非分岐C〜Cアルキルアミノ、分岐及び非分岐C〜Cアミノアルキル、−C(=O)R15、−C(=O)R21、C(=O)OR15、C(=O)OR21、C〜Cシクロアルキル、−OR15、−SR15、−NR1516から選択された基によってさらに置換されてもよく、ここで、各々の該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、及びアミノアルキル基は、1又は複数のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、又はtert−ブチルよってさらに置換されてもよく、
【0060】
ここで、R15及びR16は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−R21、C〜Cアルケニル、置換又は非置換フェニル、−C(=O)R19、−C(=O)OR19、(C〜Cアルキル)−OH、(C〜Cアルキル)−NR1920、−NR1920、C(=O)−NR1920(ここで、該R19及びR20の各々は、独立して、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、又はtert−ブチル)からそれぞれ独立して選択され、
ここで、R21は、5〜7員シクロアルキル、5〜7員アリール、5〜7員ヘテロアリール、及び5〜7員ヘテロシクロアルキルから選択され、該ヘテロ原子はN又はOであり、その各々は、R15から選択された基で置換されてもよく、
【0061】
ここで、該R基(上記式の任意のもの)はいずれも、置換又は非置換であってもよく、該置換基は、水素、CH、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキル、F、Cl、Br、I、CN、=O、CF、NO、5〜9環原子シクロアルキル、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキル、5〜7環原子アリール、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、COOR17、CONR1819、NR1819、NR18COR19、NR18SO19、及びNR17CONR1819から独立して選択され、ここで、R17、R18、及びR19は、独立して、Rについて記載したものと同等であり、それぞれの該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、Rから選択された基によってさらに置換されてもよい、
並びに、これらの全ての薬学的に許容される塩、誘導体、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、水和物、及び異性体を含む。
【0062】
こうした化合物の特定の例において、R20とRはそれぞれ水素であるか、又はR20とRの少なくとも1つは水素である。
【0063】
また、本発明は、式IVの構造を有する化合物に関する。

【0064】
ここで、Wは以下の一方であり、

【0065】
ここで、Wが構造IVaの場合、m=0、1、2、又は3であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、Wが構造IVbの場合、m=1又は2であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、
Bは、N及び−CR12から選択され、
13及びR14は、以下のものからそれぞれ独立して選択され、
H、CH、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、5〜9環原子シクロアルキル、
OR15、SR15、又はNR1516
N又はOから選択された3以下のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキルであり、該ヘテロ原子がNの場合、該環の任意の炭素をさらに置換してもよい、
5〜7環原子アリール、アリールオキシ、多環芳香族、N及びOから選択されたヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロアリール、アラルキル、及びアルキルアリール;
【0066】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R14、R20、R21、及びR22は、H、F、Cl、Br、I、OH、CF、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、NR1516からそれぞれ独立して選択され、ここで、R15とR16は、H、CH、及びC〜Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、
ここで、NR13(CH14又はその一部は、結合して、ピペリジン、ピロリジン、及びテトラヒドロイソキノリンから選択された置換又は非置換の環を形成してもよく、
【0067】
ここで、該R基(上記式の任意のもの)はいずれも、置換又は非置換であってもよく、該置換基は、水素、CH、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキル、F、Cl、Br、I、CN、=O、CF、NO、5〜9環原子シクロアルキル、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキル、5〜7環原子アリール、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、COOR17、CONR1819、NR1819、NR18COR19、NR18SO19、及びNR17CONR1819から独立して選択され、ここで、R17、R18、及びR19は、独立して、Rについて記載したものと同等であり、それぞれの該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、Rから選択された基によってさらに置換されてもよい、
並びに、これらの全ての薬学的に許容される塩、誘導体、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、水和物、及び異性体を含む。
【0068】
本発明の全ての式の好ましい態様において、Rは、4−フェニルフェニル、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、又はフルオレンであり、各々は、2位又は3位であり、Rがカルバゾールの場合、好ましくは、その窒素が置換される。
【0069】
これらの化合物の特定の例において、R20とR21はそれぞれ水素であるか、又はR20とR21の少なくとも1つは水素である。
【0070】
本発明は、さらに、式Vの構造を有する化合物に関する。

【0071】
ここで、n=0、1、2、3、4、又は5であり、
Bは、N及び−CR12から選択され、
13及びR14は、以下のものからそれぞれ独立して選択され、
H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、5〜9環原子シクロアルキル、
OR15、SR15、又はNR1516
N又はOから選択された3以下のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキルであり、該ヘテロ原子がNの場合、該環の任意の炭素をさらに置換してもよい、
5〜7環原子アリール、アリールオキシ、多環芳香族、ヘテロ原子N又はOを有する5〜7環原子ヘテロアリール、アラルキル、及びアルキルアリール;
、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、及びR27は、H、F、Cl、Br、I、OH、CF、CH、C〜Cアルキル、=CH−、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、NR1516からそれぞれ独立して選択され、ここで、R15とR16は、H、CH、及びC〜Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、
ここで、NR13(CH14又はその一部は、結合して、ピペリジン、ピロリジン、テトラヒドロイソキノリン、及びピペラジンから選択された置換又は非置換の環を形成してもよく、
【0072】
ここで、該R基(上記式の任意のもの)はいずれも、置換又は非置換であってもよく、該置換基は、水素、CH、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキル、F、Cl、Br、I、CN、=O、CF、NO、5〜7環原子シクロアルキル、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロシクロアルキル、5〜7環原子アリール、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、COOR17、CONR1819、NR1819、NR18COR19、NR18SO19、及びNR17CONR1819から独立して選択され、ここで、R17、R18、及びR19は、独立して、Rについて記載したものと同等であり、それぞれの該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、Rから選択された基によってさらに置換されてもよい、
並びに、これらの全ての薬学的に許容される塩、誘導体、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、水和物、及び異性体を含む。
【0073】
こうした化合物の特定の例において、R20とR21はそれぞれ水素であるか、又はR20とR21の少なくとも1つは水素である。別の特定の態様において、Rは、カルバゾール又はジフェニルエチルである。
【0074】
また、本発明は、式VIの構造を有する化合物に関する。

【0075】
ここで、Wは下記の1つであり、

【0076】
ここで、Wが構造VIaの場合、m=0、1、2、又は3であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、Wが構造VIbの場合、m=1又は2であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、
p=0、1、2、又は3であり、
【0077】
Aは、O及び−CR2021から選択され、
Bは、N及び−CR12から選択され、
Dは、C=O及び−CR2223から選択され、
Eは、NR13及び−CR2425から選択され、
X=(CR3031、q=0、1、又は2であり、
Y=(CR3233、r=0、1、又は2であり、
【0078】
、R13、及びR14は、以下のものからそれぞれ独立して選択され、
H、CH、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、5〜9環原子シクロアルキル、
N又はOからそれぞれが独立して選択された3以下のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキルであり、該ヘテロ原子がNの場合、該環の任意の炭素をさらに置換してもよい、
5〜7環原子アリール、アリールオキシ、多環芳香族、ヘテロ原子N又はOを有する5〜7環原子ヘテロアリール、アラルキル、及びアルキルアリール;
【0079】
ここで、Rは構造−XYからさらに選択され、
Xは、(CR3031(k=0、1、2、又は3)、SO、C=O、NR3031、又は−C(=O)NR30であり、R30とR31は、それぞれH、CH、又はC〜Cアルキルであり、
Yは、5又は6環原子の3以下の縮合又は非縮合環を含む構造から選択され、各環は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルから独立して選択され、ヘテロ原子は窒素又は酸素であり、該環は、置換又は非置換でよく、該環の2つ又は全てが、それ自身が置換又は非置換でもよいC〜Cアルキル、=CH−、C〜Cアルケニル鎖、又はC〜Cアルキニル鎖によって分離されてもよく、
13とR14はそれぞれさらに、−CHO、OR15、SR15、又はNR1516から独立して選択され、
【0080】
、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、及びR33は、H、F、Cl、Br、I、OH、CF、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、NR1516からそれぞれ独立して選択され、
ここで、R15とR16は、H、CH、C〜Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、
ここで、NR13(CH14又はその一部は、結合して、ピペリジン、ピロリジン、テトラヒドロイソキノリン、及びピペラジンから選択された置換又は非置換の環を形成してもよく、
【0081】
ここで、該R基(上記式の任意のもの)はいずれも、置換又は非置換であってもよく、該置換基は、水素、CH、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキル、F、Cl、Br、I、CN、=O、CF、NO、5〜9環原子シクロアルキル、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキル、5〜7環原子アリール、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、COOR17、CONR1819、NR1819、NR18COR19、NR18SO19、及びNR17CONR1819から独立して選択され、ここで、R17、R18、及びR19は、独立して、Rについて記載したものと同等であり、それぞれの該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、Rから選択された基によってさらに置換されてもよい、
並びに、これらの全ての薬学的に許容される塩、誘導体、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、水和物、及び異性体を含む。
【0082】
式VIの好ましい態様において、各々のR、R、R、及びRは水素である。別の特定例において、n=2であり、及び/又はRはH、Cl、又はOMeであり、及び/又はR13はHである。
【0083】
式I〜式VIの好ましい態様において、Rは、3以下の縮合環又は非縮合環を有する構造であり、該環は、4−フェニルフェニル、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、フルオレン、フェニル、又はナフチルから選択される。後者の各々は、とりわけ、低級アルキル基で置換されてもよく、好ましくは、メチル又はエチルであり、各環は、1つ又は2つの炭素のアルキル鎖によって分子の残りから隔てられることができる。これらの非常に好ましい態様は、N−メチルカルバゾール及びN−エチルカルバゾールであり、とりわけ、これらは少なくともメチレン基によって分子の残りから隔てられ、例えば、該メチレンは、ピペリジン環の窒素に結合する。
【0084】
また、本発明は、これらの任意のものの薬学的組成物を意図し、該組成物は、薬学的に許容される担体中のこうした化合物の治療的有効量を含む。本発明はさらに、哺乳類における癌又は腫瘍の転移を予防する、治療する、又は回復させる方法に関係し、こうした化合物又は組成物の有効量を該哺乳類に投与することを含む。
【0085】
即ち、これらの態様は、中央のベンゼン環又はピリジン環がシクロアルキル環に結合した構造を含み、好ましい態様において、ベンゼン環である。こうした態様の特定の非限定例は、以下の1つの式を有する。
【0086】

【0087】
ここで、p=0、1、2、又は3であり、Rは、表1〜3に列挙した範囲の構造を有し、これらの一部であって全てではない好ましい態様を表4に示す。
【0088】
本発明の構造の別の好ましい態様において、環の窒素、例えば、ピペリジン又はピロリジンの環の窒素に結合した置換基(例えば、表1〜3の構造のR)は、ジフェニルエチル又はカルバゾール基であり、この後者は、好ましくは、少なくとも1つ又は複数のメチレン基、好ましくは、1又は2のメチレン基によって該環の窒素から隔てられ、ここで、該カルバゾールが置換される場合、その環の窒素で、好ましくは、H、低級アルキル、又はベンジルの1つによって置換される。本発明の全ての態様において、アリール基、アルカリル基、又はアラルキル基に言及する場合、置換又は非置換フェニル基は、該置換基の好ましいアリール部分である。
【0089】
本発明は、NR13(CH14(例えば、式Iの構造においてEがNR13)の原子が結合してピペラジン環を形成する式の態様を包含するものではない。
【0090】
付加的な好ましい態様において、NR13(CH14は、N,N−ジアルキル、N−アルキル−N−アルケニル、N−アルキル−N−アルキルアミノアルキル、及びN−アルキル−N−アルコキシアルキルから選択される。さらなる好ましい態様には、構造的制限としてこれらの好ましい態様の任意のもの又は全てを統合した化合物が挙げられる。
【0091】
本発明の任意の構造において、R14は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、シクロアルキル、OR15、SR15、又はNR1516(ここで、R15及びR16H及びC〜Cアルキルからそれぞれ独立して選択される);N又はOから選択された3以下のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキルであり、該ヘテロ原子がNの場合、該環の任意の炭素をさらに置換してもよい;アリール、アリールオキシ、多環芳香族、ヘテロ原子N又はOを有するヘテロアリール、アラルキル、及びアルキルアリール;並びに、F、Cl、Br、I、OH、CF、NR1516(ここで、R15及びR16H及びC〜Cアルキルからそれぞれ独立して選択される);の任意のものから選択することができ、置換又は非置換でよく、置換基は、水素、メチル、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキル、ハロゲン、CN、CF、NO、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、COOR17、CONR1819、NR1819、NR18COR19、NR18SO19、及びNR17CONR1819から独立して選択され、ここで、R17、R18、及びR19は、独立して、Rについて記載したものと同等であり、それぞれの該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、及びアリールは、本明細書に記載のRから選択された基によってさらに置換されてもよい。
【0092】
1つの態様において、本発明は、以下の一般的構造の1つを有する化合物に関する(ここで、各々のR基は、本発明の構造について本明細書で規定する意味を有する)。
【0093】

【0094】
非常に好ましい態様において、本発明の化合物は、表1に示す構造を有するものである。
【0095】
非常に好ましい態様において、本発明の化合物は、表2に示す構造を有するものである。
【0096】
非常に好ましい態様において、本発明の化合物は、表3に示す構造を有するものである。
【0097】
非常に好ましい態様において、本発明の化合物は、表4に示す構造を有するものである。
【0098】
非常に好ましい態様において、本発明の化合物は、表5に示す構造を有するものである。
【0099】
非常に好ましい態様において、本発明の化合物は、S1〜S11で規定される構造を有するものである。
【0100】
もう1つの局面において、本発明は、本発明の任意の化合物の組成物に関するものであり、好ましくは、該化合物は、治療的に有効な量で薬学的に許容される担体の中に存在する。こうした組成物は、一般に、その化合物を毒性でない量で含む(即ち、治療用途に安全な量)。
【0101】
上述のように、本発明は、薬物、とりわけ癌の治療に有用な薬物の活性成分として本発明の化合物を使用することに関する。このため、本発明の化合物は、薬学的に許容される媒体及び賦形剤との混合物中の活性成分として式I〜Vの化合物を含む薬学的組成物中で存在し、該組成物は、該組成物を受け入れる個体に有害な抗体の生成をそれ自体では引き起こさない任意の医薬品を含み、過度の毒性なしに投与されることができる。薬学的に許容される担体には、限定されるものではないが、水、食塩水、グリセロール、及びエタノール等の液体が挙げられ、鼻腔その他の気道送達又は眼系への送達のために噴霧を形成するのに有用な担体を含む。薬学的に許容される担体、希釈剤、及び他の賦形剤の詳細な説明が、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Mack Pub.Co.,N.J.現行版)に記載されている。こうした賦形剤の使用は、当業者によく知られており、本明細書においてはこれ以上の説明はしないものとする。
【0102】
また、上述のように、本発明は、哺乳類における遺伝子の特定セットの発現レベルの変化に伴う疾病を予防又は治療する方法に関係し、本発明の化合物の有効量を該哺乳類に投与することを含む。
【0103】
本発明による化合物は、そうした治療を必要とする哺乳類、とりわけヒトにおける腫瘍、とりわけ原発腫瘍のサイズと数を低減する効果を有する。原発腫瘍又は転移性細胞の数における統計的に有意な変化は、典型的に、少なくとも約10%、好ましくは20%、30%、50%、70%、90%、又はそれ以上である。
【0104】
本発明によると、本明細書に記載の薬剤は、他の化学療法、放射線治療、免疫療法、外科治療などの本明細書に記載の病状の他の治療と組み合わせることができる。また、本発明の化合物は、鎮痛薬、利尿薬、抗利尿薬、抗ウイルス薬、抗生物質、栄養剤、貧血治療剤、血液凝固治療剤、骨治療剤、及び精神・心理治療剤のような他の薬剤を組み合わせて投与することができる。
【0105】
適切な治療投与量の決定は、例えば、治療をもたらす又は治療をもたらすと予測される当該分野で公知のパラメータ又は因子を用いて、医師によってなされる。一般に、投与量は、最適投与量より若干少ない量から開始し、その後、何らかのマイナスの副作用に対する所望又は最適な効果が得られるまで、少しずつ増加させる。
【0106】
用語「有効量」は、所望の応答をもたらす、又は症状又は兆候、例えば、転移又は原発腫瘍の進行、サイズ、又は成長を寛解させるのに十分な量を意味する。典型的な哺乳類宿主には、マウス、ラット、ネコ、イヌ、及びヒトなどの霊長類が挙げられる。特定の患者についての有効量は、治療される状態、患者の全体的な健康、投与の方法、ルート、及び用量、並びに副作用の重症度などの因子によって変わることがある。好ましくは、この効果は、定量における変化で、少なくとも10%、好ましくは、20%、30%、50%、70%、90%、又はそれ以上をもたらす。組み合わせの場合、有効量は、成分の組み合わせに対する比に関係し、その効果は、個々の成分単独のものに限られない。
【0107】
治療上の有効量は、典型的に、少なくとも約10%、通常は、少なくとも約20%、好ましくは、少なくとも約30%、又はより好ましくは、少なくとも50%にわたって症状を変調することができる。あるいは、転移の変調は、種々の細胞種の転移又は輸送がもたらされることを意味する。このことは、例えば、影響を及ばされる細胞の数における統計的に有意な又は定量可能な変化が得られることに帰結すると考えられる。このことは、ある時間間隔又は標的領域の中に引き付けられる標的細胞の数の減少であってもよい。原発腫瘍の進行、サイズ、又は成長の速度もまたモニターすることができる。
【0108】
別な局面において、本発明は、異常な遺伝子発現によって生じる疾病の防止又は治療方法に関し、その疾病は、癌、心臓血管疾患、関節炎、骨粗鬆症、炎症、歯周病、及び皮膚疾患からなる群より選択され、こうした治療又は予防を必要とする哺乳動物に、本発明の化合物の治療上有効量を投与することを含む。
【0109】
その好ましい態様において、疾病は癌であり、より好ましくは、大腸癌であり、最も好ましくは、腺癌であり、治療は、腫瘍の成長、転移、又はその双方を予防、抑止、又は復帰する。
【0110】
好ましい態様において、本発明は、哺乳動物における癌又は腫瘍の転移を防止、治療、又は回復させる方法に関するものであり、本発明の化合物の治療上有効量をその哺乳動物に投与することを含み、好ましくは、その哺乳動物はヒトである。
【0111】
本発明の化合物は、細胞、とりわけ哺乳動物の細胞、例えば、癌細胞、好ましくは、大腸細胞、最も好ましくは、腺癌に見られる1又は複数の遺伝子の変調によって、普通に治療効果を発揮する。即ち、本発明の1又は複数の化合物は、遺伝子セットの変調を本発明の1又は複数の化合物によって定めることにより、こうした遺伝子セットを決定する又は境界を画定するために使用することができる。例えば、ある遺伝子セットが、他の正常細胞、とりわけ癌細胞と同じ組織又は器官の正常細胞に対して、癌細胞において上方制御されることが見出された場合、こうした遺伝子、又はこうした遺伝子を含む細胞を、本発明の1又は複数の化合物と接触させることにより、ある遺伝子セットが、変調されるそれらの共通の特性によって決定することができる(遺伝子の発現の変化に基づき、例えば、その発現によって転写されるRNAの速度もしくは量又は生成するポリペプチドの量の変化)。こうした変調の範囲は、当然、接触に使用されるその1又は複数の化合物の量に関係してもよい。こうした変調には、全ての測定される遺伝子(即ち、その組の遺伝子)の増加した発現、その組の全ての遺伝子の減少した発現、又はその組の一部の遺伝子の発現の増加とその他の減少した発現が挙げられる。このため、テスト化合物(遺伝子又はそれを含む細胞との接触に使用された化合物)により変調されなかった遺伝子は、その組の一員とは見なされない。
【0112】
このように、本発明は、遺伝子セットの各員の発現が、その遺伝子セットを本発明の化合物と接触させる結果として変調される遺伝子セットに関する。特定の態様において、その遺伝子セットの各員の発現は、その接触の結果として増加し、又はその接触の結果として減少する。別の好ましい態様において、遺伝子セットは、細胞中に存在する。こうした遺伝子セットは、通常、特定の疾病プロセスに関係し、例えば、本発明の化合物によって全ての遺伝子セットが変調され、こうした化合物が、抗悪性腫瘍薬のような特定の治療効果を有する。
【0113】
別の局面において、本発明は、本発明の遺伝子セットの発現を変調する薬剤を特定する方法に関し、
(a)テスト化合物のような化合物を、遺伝子又はポリヌクレオチドの源のようなテスト系、例えば、ある疾病又は疾患と関係すると見られるもの、又はある化合物又は化合物群によって変調される組、とりわけ細胞中に見られるものに接触させ、又は別の仕方で使用し、その細胞は、その遺伝子セットの各員が発現する条件下で、本発明の遺伝子セットの各員に対応する1又は複数のポリヌクレオチドを含むテスト系を呈し、
(b)その処置の結果として、工程(a)における該1又は複数のポリヌクレオチドの各々の発現における変化を測定する、
ことを含み、工程(b)の発現におけるその変化は、テスト化合物によるその遺伝子セットの各員の変調を示し、それによって、その遺伝子セットの発現を変調するテスト化合物を特定する。
【0114】
1つの態様において、細胞は、遺伝子又は遺伝子セットを含む天然由来の細胞であり、あるいは、遺伝子又はポリヌクレオチドの遺伝子セットを含むように設計された組換え型細胞であってもよい。代替の態様において、テスト系は、無細胞系における遺伝子又はポリヌクレオチドを含んでもよい。
【0115】
関連の局面において、本発明は、遺伝子セット、例えば、本発明の遺伝子セットの発現を変調するテスト化合物を特定する方法を提供し、
(a)テスト化合物を、本発明の遺伝子セットの各員に対応する1又は複数のポリヌクレオチドに、その遺伝子セットの員が発現する条件下で接触させ、
(b)その接触の結果として、工程(a)におけるその1又は複数のポリヌクレオチドの各々の発現の変化を測定する、
ことを含み、工程(b)の発現におけるその変化は、その遺伝子セットの員の変調を示し、それによって、その遺伝子セットの発現を変調するテスト化合物を特定する。
【0116】
本願明細書における用語「対応する遺伝子」、「対応するポリヌクレオチド」、又は「遺伝子に対応するポリヌクレオチド」は、本願明細書の表4と表5において開示された遺伝子の1つによってコード化されたRNAに対し、少なくとも90%同一、好ましくは、少なくとも95%同一、最も好ましくは、少なくとも98%同一、及び特に同一であるRNAをコード化するポリヌクレオチド及び/又は遺伝子を指称する。こうした遺伝子は、同じポリペプチド配列もまたコード化すると考えられるが、相違が保存的アミノ酸置換基に限定され、同じ全体的な三次元構造が維持された、こうしたアミノ酸配列の相違を含んでもよい。「対応する遺伝子」には、そのスプライスバリアントが挙げられる。
【0117】
本発明の方法に有用なポリヌクレオチドは、事実上、ゲノムであってもよく、このため、ヒト遺伝子のような実際の遺伝子の配列を呈してもよく、又はメッセンジャーRNA(mRNA)に由来したcDNA配列であって、このため、対応するゲノム配列に由来する連続的なエクソン配列を呈してもよく、又は本発明のプロセスを実施する目的で、元来から全体的に合成であってもよい。最初のRNA転写の最終的なmRNAへの変換を起し得る処理のため、本願明細書に開示の配列は、完全なゲノム配列よりも少ないものを表わしてもよい。また、それらは、リポソームRNAと転写RNAに由来する配列を表わしてもよい。この結果、細胞中に存在する遺伝子(そしてゲノム配列を表わす)及びcDNA配列などの本願明細書に開示のポリヌクレオチド転写物は、同じであってもよく、あるいは、cDNAが含むものが完全なゲノム配列よりも少なくてもよい。こうした遺伝子とcDNA配列は、それらが両方とも、同じ又は関連のRNA配列をコード化するため(即ち、いろいろな処理段階でのスプライスバリアント又はRNAであるという意味に関し)、こうした遺伝子又はcDNA配列は、依然として、「対応する配列」(本願明細書のある箇所で規定)と考えられる。このため、非限定的例に過ぎないが、RNA転写物をコード化する遺伝子(次により短いmRNAに処理される)は、こうしたRNAの双方をコード化すると考えられ、したがって、cDNA(例えば、本願明細書に開示の配列)を補完するRNA(通常のワトソン・クリック補完規則を用い)をコード化するか、又はさもなければそれによってコード化されると考えられる。このように、本願明細書に開示の配列は、癌細胞(ここでは乳癌)に含まれる遺伝子に対応し、遺伝子によってコード化されるRNAと同じ配列を表わす又は補完するため、遺伝子の活性又は発現を決めるために使用される。こうした遺伝子は、本発明の方法に使用される細胞において生じ得るいろいろな対立遺伝子とスプライスバリアントもまた含み、例えば、抗腫瘍薬のアッセイのために組換え型細胞が使用されるか、こうした細胞が、本願明細書に開示のポリヌクレオチドを発現するように設計される場合であって、非設計の癌細胞に見られるよりも高いレベルでこうしたポリヌクレオチドを発現するように設計された細胞などであり、あるいは、こうした組換え型細胞が、そのように設計された後にのみ、こうしたポリヌクレオチドを発現する場合である。こうした設計には、本願明細書に開示の1又は複数のポリヌクレオチドがこうした細胞のゲノムの中に挿入された又はベクターの中に存在する場合のような、遺伝子設計が挙げられる。
【0118】
こうした細胞、とりわけ哺乳動物の細胞は、こうしたポリペプチドをマスキングすることができる抗体又は他の薬剤でテストし、それによって細胞の癌性を除去するため、それらの表面上に本発明の1又は複数のポリペプチドを発現するように設計することもできる。こうした設計には、細胞の遺伝的相補性がポリペプチドを発現するように設計される遺伝子操作、及び細胞が物理的に操られてその原形質膜の中に本発明のポリペプチドを取り込む、例えば、化学物質及び/又は他の薬剤を用いた直接の挿入によってこの結果を得るといった非遺伝子操作の双方が含まれる。
【0119】
こうした方法の好ましい態様において、発現における割り出される変化は、その1又は複数のポリヌクレオチドの発現における減少又はその発現における減少である。他の好ましい態様において、発現における割り出される変化は、その1又は複数のポリヌクレオチドの転写における変化、あるいは、ポリペプチド、又はそのポリヌクレオチドによってコード化された発現生成物の活性の変化、例えば、細胞によって合成されたそのポリペプチドの量の変化などである。用語「発現生成物」は、自然の翻訳産物、及び遺伝子コード縮重及びそれゆえ同じアミノ酸のコード化から得られる任意の核酸配列コード化等価物であるポリペプチド又はタンパク質を意味する。
【0120】
付加的な好ましい態様において、その1又は複数のポリヌクレオチドは、細胞、好ましくは、癌細胞、より好ましくは、大腸癌細胞、最も好ましくは、大腸癌細胞が腺癌細胞である細胞に存在する。本発明の別な好ましい態様において、その細胞は、その遺伝子セットを含むように設計された組換え型細胞である。
【0121】
こうした方法は、本発明の化合物のような、期待される治療活性などの同様な活性を有する他の化合物を特定するために役立ち、このため、治療化合物用の大規模のスクリーニングアッセイの基礎として役立つ。その結果、本発明の1又は複数の化合物は、細胞のゲノム内の遺伝子セット又はサブセットの存在を決定するために用いることができる。このため、本発明の構造的に関係する化合物のグループによって変調される全ての遺伝子セットは、遺伝子セットを形成することができ、一方、あるグループの各化合物によって規制されるいろいろな遺伝子セットがサブセットを形成すると考えられる。限定されない例として、本発明の構造的に関連する5つの化合物のグループ(いずれも式Iの構造を一般的に有する)が、定められた遺伝子1〜20の発現を変調する場合(増加又は減少により)、この後者のグループは、遺伝子セットを形成する。次に、さらなる試験が、遺伝子1〜6が化合物Aによって変調されたこと、遺伝子7〜10が化合物Bによって変調されたこと、遺伝子2〜4と遺伝子9〜12が化合物Cによって変調されたこと、遺伝子10〜20が化合物Dによって変調されたこと、及び偶数の遺伝子が化合物Eによって変調されることを判断する。化合物Cによって変調された遺伝子のような遺伝子のこれらの各グループは、遺伝子1〜20の遺伝子セットのサブセットと考えられる。類似の仕方において、化合物Eによって変調された遺伝子は、そのものが少なくとも2つのサブセットにさらに再分割されることができ、ここで、1つのサブセットは、その発現が化合物Eによって増加する遺伝子から構成され、他のサブセットは、その発現が化合物Eによって減少する遺伝子から構成され、このようにして、サブセットのサブセットを生じる。留意するべきこととして、本発明の構成の中で、サブセットを特定する必要はなく、いわゆるサブセットの各々は、それ自身の権利において、本発明において用いられるような遺伝子セットである。このように、組とサブセットの特定は、本発明の1又は複数の化合物の接触から得られる遺伝子の変調を求めようとする、本発明の方法のユーザーの要望の程度の関数である。即ち、単一の化合物によって変調された遺伝子は、遺伝子セットを形成し、本発明の方法を実施する上で、1を超える化合物による変調についていろいろな遺伝子のグループを比較する必要はなく、ただし、このことは、当然ながら行ってもよい。
【0122】
上述のように、本発明は、複数の遺伝子サブセットを含む遺伝子セットに関し、ここで、その複数の各サブセットは、本発明の方法によって特定される遺伝子セットである。また、本発明は、本願明細書においては構造について特に説明しないが、本発明の化合物によって変調された1又は複数の遺伝子セットを変調する能力によって特定される新規な化合物のような、本発明の方法を用いて活性を有すると特定された化合物に関する。
【0123】
好ましい態様において、本発明は、表6及び/又は表7において特定される遺伝子セットと遺伝子のサブセットを包含する。疾病、とりわけ癌の治療のために本発明の化合物を使用するにおいて、本発明は、特に、表7の遺伝子セット又はサブセットの発現を変調する化合物の使用を想定する。
【0124】
また、本発明は、本発明の化合物の調製のための方法を含む。
【0125】
−化合物の調製−
本発明の化合物は、当該技術で公知の種々の手順を用いて調製することができる。本発明の化合物を調製するのに使用される出発物質は、公知であり、公知の方法によって製造され、又は市販されている。特に好ましい合成は、以下の一般的な反応スキームに記載されている。
【0126】
これらの本発明のために製造される化合物の例は、下記に示されており、調製が示されていない化合物は、文献公知の方法又は当業者の一般的知識によって製造することができる又は
【0127】
一部の反応は、分子の別の潜在的反応官能性がマスキング又は保護されたとき、何らかの不都合な副反応が回避及び/又は反応収率が高まり、最も適切に実施されることを当業者は認識していると考えられる。多くの場合、こうした高い収率を達成する又は不都合な反応を回避するために保護基が使用される。こうした反応は、十分に、当業者の能力の範囲内である。いくつかの例がT.Greene,Protecting Groups in Organic Synthesisに見られる。
【実施例】
【0128】
実施例1
(a)ジエチルビフェニル−4−イルメチルホスホネート
【0129】

【0130】
4−(ブロモメチル)ビフェニル(4.0g、16.2ミリモル)及び亜リン酸トリエチル(3.5g、21ミリモル)の混合物をアルゴン下の100℃で2時間及び150℃で24時間にわたって撹拌した。室温に冷却した後、透明な溶液が無色の固体になった。生成物が定量的収率で得られ、そのまま次の工程に使用した。
【0131】
(b)メチル−3−クロロ−4−(4−オキソシクロヘキシルオキシ)ベンゾエート
【0132】

【0133】
無水THF(40mL)中の1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(2.54g、16ミリモル)及びメチル3−クロロ−4−ヒドロキシベンゾエート(2.5g、13.4ミリモル)の混合物に室温でトリフェニルホスフィン(4.2g、16ミリモル)を添加した。THF(10mL)中のDIAD(3.1mL、16ミリモル)を20分間にわたって滴状で添加し、その反応混合物を室温で終夜にわたって撹拌した。水を添加することによって反応をクエンチし、酢酸エチルで混合物を抽出した。統合した有機抽出物を1NのHClで洗浄した後、水とブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、真空下で濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィで精製し(ヘキサン中の20%EtOAc)、無色の高粘度のオイルとして生成物を得た(4.4g)。ケタールをTHF(10mL)に溶かし、5%HCl(15mL)を用いて加水分解し、終夜にわたって撹拌した。通常の水系後処理とそれに続くEtOAc抽出により、粗シクロヘキサノン誘導体が得られ、これをさらにフラッシュカラムクロマトグラフィで精製し(ヘキサン中の40%EtOAc)、無色の粘性のある生成物を得た(2.75g、73%)。
【0134】
(c)メチル4−(4−(ビフェニル−4−イルメチレン)シクロヘキシルオキシ)−3−クロロベンゾエート
【0135】

【0136】
THF(10mL)中のジエチルビフェニル−4−イルメチルホスホネート(1.5g、4.9ミリモル)及び15−クラウン−5(0.070mL、0.35ミリモル)の氷冷の撹拌溶液にNaOH(オイル中95%、125mg、4.9ミリモル)を添加し、その混合物を0℃で30分間にわたって撹拌した。その混合物に、THF(3mL)中のメチル3−クロロ−4−(4−オキソシクロヘキシルオキシ)ベンゾエート(1g、3.5ミリモル)の溶液を0℃で10分間にわたって滴状で添加し、その混合物を室温で4時間にわたって撹拌した。その混合物を氷水の中に注ぎ入れ、EtOAcで抽出した。有機層を飽和NaHCO水溶液とブラインで洗浄し、乾燥し、ろ過し、真空中で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィで精製して、メチルエステルとエチルエステルの混合物が得られ(625mg)、これをそのまま加水分解工程に使用した。
【0137】
(d)4−(4−(ビフェニル−4−イルメチレン)シクロヘキシルオキシ)−3−クロロ安息香酸
THF:MeOH(20:5)の混合物中の上記エステル(625mg)の溶液に50%NaOH水溶液(2.82g、0.35ミリモル)を添加し、その混合物を室温で終夜にわたって撹拌した。その混合物をEtOAcで希釈し、1NのHCl(50mL)を用いて室温で酸性にした。有機層を分離し、EtOAcを用いて水層を抽出した。統合した有機層を乾燥し(MgSO)、ろ過し、真空中で濃縮した。無色の生成物が沈殿し、ろ過し、乾燥して、対応する酸を得た(580mg)。
【0138】
(e)4−(4−(ビフェニル−4−イルメチレン)シクロヘキシルオキシ)−3−クロロ−N−(2−ジエチルアミノ)エチルベンズアミド
【0139】

【0140】
DCM(10mL)中の上記酸(110mg、0.26ミリモル)、HOBt.HO(53mg、0.39ミリモル)、及びEDAC(75mg、0.39ミリモル)の混合物にN’,N’−ジエチルエタン−1,2−ジアミン(0.037mL、0.20ミリモル)を添加し、その混合物をアルゴン下の室温で16時間にわたって撹拌した。その混合物を1NのNaOH水溶液を用いてアルカリ性にし、DCMで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、ろ過し、真空中で濃縮した。粗生成物をHPLCで精製し、128mg(88%)の最終生成物を得た。
【0141】
実施例2
4−(4−(ビフェニル−4−イルメチル)シクロヘキシルオキシ)−3−クロロ−N−(2−ジエチルアミノ)エチルベンズアミド
【0142】

【0143】
上記工程の化合物(97mg、0.18ミリモル)をMeOH/THF(1:1、4mL)に溶かし、室温で2時間30分間にわたって10%Pd/C(23.4mg)の上で水素化した。触媒をろ過によって除去し、真空中でろ液を濃縮した。残留物をHPLCで精製し、最終生成物を得た(88mg、89%)。
【0144】
実施例3
(a)tert−ブチル−4−(4−クロロブタノイル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0145】

【0146】
THF(150mL)中のtert−ブチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート(6.1g、30.2ミリモル)、4−クロロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−1−オン(5.0g、25.2ミリモル)、トリフェニルホスフィン(7.9g、30.2ミリモル)、及びDIAD(5.9mL、30.2ミリモル)を用い、標準的なミツノブ条件を踏襲して、表題の化合物を調製した(9.6g、58%)。
【0147】
(b)4−(ジメチルアミノ)−1−(4−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ブタン−1−オン
【0148】

【0149】
DMF(6mL)中の上記の調製した(4−クロロブタノイル)フェノキシ誘導体(1.0g、2.6ミリモル)に過剰のKCO(3当量)及び過剰のジメチルアミン塩酸塩(3当量)を添加し、その反応混合物を終夜にわたって60℃で撹拌した。標準的な水系後処理とEtOAcを用いた抽出により、予期された結合生成物と廃棄生成物の混合物が得られた。TFA/DCM(3mL:15mL)の混合物を用いたその混合物のN−boc脱保護により、400mgの4−(ジメチルアミノ)−1−(4−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ブタン−1−オンと廃棄生成物の混合物が得られた。これをそのまま次の還元的アミノ化工程に使用した。実験条件は最適化されていない。
【0150】
(c)4−(ジメチルアミノ)−1−(4−(1−((9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル)メチル)ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ブタン−1−オン
【0151】

【0152】
THF(10mL)中のNaBH(OAc)(370mg、1.8ミリモル)を用いた9−エチルカルバゾール−3−カルボキシアルデヒド(300mg、1.34ミリモル)と上記で調製した混合物(390mg)の還元的アミノ化とそれに続く標準的な実験手順は、2つの生成物の混合物を生じた。この混合物をHPLC法によって精製し、予期された生成物A(168mg)と廃棄生成物B(600mg)を得た。
【0153】
実施例4
5−(ジメチルアミノ)−2−(4−(1−((9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル)メチル)ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ペンタン−2−オール
【0154】

【0155】
THF(3M、0.2mL)中のMeMgBr溶液を、0℃のアルゴン下で、THF(1mL)中の上記で調製したフェニルブタノン誘導体(60mg、0.12ミリモル)の撹拌溶液に滴状で添加した。反応混合物を室温まで加温し、終夜にわたって撹拌した。LC−MSは、予期された生成物の80%の転化率を示した。EtOAcを用いた標準的な水系後処理の後、粗生成物をHPLCによって精製した。実験条件は最適化されていない。
【0156】
実施例5
4−((1−((9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル)メチル)ピペリジン−4−イル)メチル)−N−(3−(2−メチルピペリジン−1−イル)プロピル)ベンズアミド
【0157】

【0158】
4−(ブロモメチル)ベンゾエート(25.0g、109ミリモル)と亜リン酸トリエチル(24.2mL、142ミリモル)を混合し、その混合物を150℃に加熱し、終夜にわたって撹拌した。過剰の出発物質を160℃での蒸留によって除去し、無色オイルとして生成物を残存させた(23.4g、75%)。
【0159】

【0160】
15−クラウン−5(1.96g、8.9ミリモル)と先の反応の生成物(30.0g、105ミリモル)をTHF(150mL)に溶かし、0℃まで冷却し、NaH(95%無水、2.65g、105ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で30分間にわたって撹拌し、氷浴の中に入れた後、THF(75mL)中のtert−ブチル−4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(20.9g、105ミリモル)を40分間にわたって滴状で添加した。この混合物を室温で終夜にわたって混合した。この混合物を水(150mL)で希釈し、EtOAc(2×150mL)を用いて抽出した。有機層を飽和NaHCO(100mL)水溶液と飽和NaCl水溶液(100mL)で洗浄し、無水MgSOの上で乾燥し、ろ過し、真空中で抽出した。粗生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=80/20)で精製し、メチルエステルとエチルエステルの半固体の混合物(27.5g、79%)が得られ、これをそのまま使用した。
【0161】

【0162】
DCM(60mL)中のエステル(10.5g、31.7ミリモル)の溶液にTFA(30mL)を添加し、反応混合物を室温で4時間にわたって撹拌した。溶媒を真空下で除去し、オイルをDCM(100mL)とNaOH(1N、100mL)の間で分割した。水層をDCM(100mL)でもう一度抽出した。統合した有機層を硫酸ナトリウムの上で乾燥し、ろ過し、真空下で抽出した。最終生成物が飴色オイル(7.2g、98%)として得られた。
【0163】

【0164】
THF(70mL)中の4−ピペリジン−4−イリデンメチル−安息香酸メチルエステル(2.00g、8.6ミリモル)と9−エチル−9H−カルバゾール−3−カルバルデヒド(4.82g、21.6ミリモル)の溶液にナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(4.58g、21.6ミリモル)を添加し、反応混合物を終夜にわたって撹拌した。メタノール(10mL)とNaOH水溶液(10N、12mL、120ミリモル)を添加し、混合物を終夜にわたって撹拌した。反応混合物をEtOAc(200mL)に注ぎ入れ、HCl水溶液(4N、38mL、150ミリモル)を添加し、層を分離し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水MgSOの上で乾燥し、ろ過し、結晶の生成が開始するまで真空下で体積を低下させた。沈殿をろ過によって収集し、EtOAcで洗浄し、真空中で乾燥して、白色固体として生成物を得た(3.01g、82%)。
【0165】

【0166】
先に記載した方法を用いて前記化合物を調製した。収率が83%の白色塩酸塩であった。
【0167】

【0168】
出発物質(130mg、0.231ミリモル)をMeOH(10mL)に溶かし、Pd−C(10%、90mg)を添加した。反応物を水素雰囲気下で終夜にわたって撹拌した。ろ過助剤を通して混合物をろ過し、メタノールで洗浄し、真空下で減量させ、分取用HPLCを用いて精製した。白色の塩酸塩として最終生成物が得られた(95mg、73%)。
【0169】
実施例6
4−(1−(ビフェニル−4−イルスルホニル)ピペリジン−4−イルオキシ)−3−クロロ−N−(3−(2−メチルピペリジン−1−イル)プロピル)ベンズアミド
【0170】

【0171】
上述の3−クロロ−4−(ピペリジン−4−イルオキシ)−安息香酸メチルエステル(200mg、0.74ミリモル)をDCM(10mL)に溶かし、トリエチルアミン(207μL、1.48ミリモル)とビフェニル−4−スルホニルクロリド(187mg、0.74ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で30分間にわたって撹拌した後、溶媒を真空下で除去した。得られたオイルをTHF(20mL)及びMeOH(5mL)に溶かした。NaOH(10N、1.0mL)を添加し、その混合物を室温で終夜にわたって撹拌した。反応混合物をEtOAc(100mL)に注ぎ入れ、HCl水溶液(4N、5mL)を添加し、層を分離し、有機層を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、無水MgSOの上で乾燥し、ろ過し、真空下で溶媒を除去した。得られたガラス状固体(332mg、90%)を精製せずに使用した。
【0172】

【0173】
上述したと同様な方法を用い、前記化合物を調製した。分取用HPLCを用いた精製と塩酸塩への転化の後、白色固体(115mg、71%)として最終生成物を得た。
【0174】
実施例7
N−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−(4−((1−(ジメチルアミノ)シクロヘキシル)メチルカルバモイル)ベンジリデン)ピペリジン−1−カルボキサミド
【0175】

【0176】
DCM(5mL)中の4−ピペリジン−4−イリデンメチル安息香酸メチルエステル(192mg、0.86ミリモル)の溶液に室温で1−クロロ−4−イソシアナト−2−トリフルオロメチルベンゼン(200mg、0.86ミリモル)を添加した。15分間の後、真空下で溶媒を除去し、THF(20mL)、MeOH(5mL)、及びNaOH(10N、1.0mL)を添加した。その混合物を室温で終夜にわたって撹拌した。反応混合物をEtOAc(100mL)に注ぎ入れ、HCl水溶液(4N、5mL)を添加し、層を分離し、有機層を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、無水MgSOの上で乾燥し、ろ過し、真空下で溶媒を除去した。得られた固体(375mg、96%)を精製せずに使用した。
【0177】

【0178】
上述したと同様な方法を用い、前記化合物を調製した。分取用HPLCを用いた精製と塩酸塩への転化の後、白色固体(153mg、60%)として最終生成物を得た。
【0179】
実施例8
4−(1−(3−クロロ−4−フルオロフェニルカルバモイル)ピペリジン−4−イルオキシ)−N−メチルピコリンアミド
【0180】

【0181】
0℃に冷やしたDMF(無水、10mL)中の無水水素化ナトリウム(95%、182mg、7.21ミリモル)の混合物に、DMF(5mL)に溶かした4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.45g、7.21ミリモル)を滴状で添加した。この混合物を室温まで暖めたのち、DMF(10mL)に溶かした4−クロロピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(1.50g、7.21ミリモル)を10分間にわたって滴状で添加し、その混合物を室温で終夜にわたって撹拌した。この混合物を酢酸エチル(100mL)に注ぎ入れ、飽和NaCl(3×50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムの上で乾燥し、ろ過し、真空下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=50/50)によって精製し、無色オイルとして生成物を得た(2.00g、51%)。
【0182】

【0183】
上述したと同様な方法を用い、4−(ピペリジン−4−イルオキシ)−ピペリジン−2−カルボン酸メチルアミドを調製した。オイルの定量的収率が得られた。
【0184】

【0185】
上述したと同様な方法を用い、前記化合物を調製した。残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=50/50)によって精製し、白色固体として生成物を得た(62%)。
【0186】
実施例9
N−メチル−4−(1−(4−(フェニルエチニル)ベンジル)ピペリジン−4−イルオキシ)ピコリンアミド
【0187】

【0188】
上述したと同様な方法を用い、前記化合物を調製した。分取用HPLCを用いた精製と塩酸塩への転化の後、白色固体(120mg、59%)として最終生成物を得た。
【0189】
実施例10
N−メチル−4−(1−(ナフタレン−1−イルスルホニル)ピペリジン−4−イルオキシ)ピコリンアミド
【0190】

【0191】
上述したと同様な方法を用い、前記化合物を調製した。分取用HPLCを用いた精製の後、白色固体(110mg、81%)として最終生成物を得た。
【0192】
表1は、本発明の特定の化合物の構造を示し、オルト、メタ、及びパラは、中央ベンゼン環(別の態様において、ピリジン環であってもよい)の置換基の位置を指称し、該構造は、4つの式で示された1つを有する。
【0193】

【0194】
【表1】

【0195】

【0196】

【0197】

【0198】

【0199】

【0200】

【0201】

【0202】

【0203】

【0204】

【0205】

【0206】

【0207】
表2は、本発明の特定の化合物の構造を示し、オルト、メタ、及びパラは、中央ベンゼン環(別の態様において、ピリジン環であってもよい)の置換基の位置を指称し、該構造は、4つの式で示された1つを有する。
【0208】

【0209】
【表2】

【0210】

【0211】

【0212】

【0213】

【0214】

【0215】
表3は、本発明の特定の化合物の構造を示し、オルト、メタ、及びパラは、中央ベンゼン環(別の態様において、ピリジン環であってもよい)の置換基の位置を指称し、該構造は、4つの式で示された1つを有する。
【0216】

【0217】
【表3】

【0218】

【0219】

【0220】

【0221】

【0222】

【0223】
【表4】

【0224】

【0225】

【0226】

【0227】

【0228】
【表5】

【0229】

【0230】

【0231】
また、1つの光学異性体が、他のものよりも好適な特性を有する可能性もあり、したがって、本願の開示事項は、その光学異性体が、本発明の方法にしたがって有益な生理活性を有するならば、その光学異性体を含んでもよいことを認識するべきである。特段の明記がなければ、本願における光学的活性の異性体は、その構造が一員である化合物の分類についてその構造が本願に記載の活性を有するならば、その化合物の全ての鏡像異性体又はジアステレオマーを包含するものである。
【0232】
別の好ましい態様において、本発明の化合物は、以下の特定構造を含む。
【0233】

【0234】
【表6】

【0235】
【表7A】

【0236】
【表7B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの構造を有する化合物、

ここで、Wは下記の1つであり、

ここで、Wが構造Iaの場合、m=0、1、2、又は3であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、Wが構造Ibの場合、m=1又は2であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、
Aは、O及び−CR2021から選択され、
Bは、N及び−CR12から選択され、
Dは、C=O及び−CR2223から選択され、
Eは、NR13及び−CR2425から選択され、
AがOの場合、DがC=Oであるならば、Eは−CR2425であり、EがNR13であるならば、Dは−CR2223であり;
、R13、及びR14は、以下のものからそれぞれ独立して選択され、
H、CH、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、5〜9環原子シクロアルキル、
N又はOからそれぞれが独立して選択された3以下のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキルであり、該ヘテロ原子がNの場合、該環の任意の炭素をさらに置換してもよい、
5〜7環原子アリール、アリールオキシ、多環芳香族、及びヘテロ原子N又はOを有する5〜7環原子ヘテロアリール;
ここで、Rは構造−XYからさらに選択され、
Xは、(CR3031(k=0、1、2、又は3)、SO、C=O、NR3031、又は−C(=O)NR30であり、R30とR31は、それぞれ独立してH、CH、又はC〜Cアルキルであり、
Yは、5又は6環原子の3以下の縮合又は非縮合環を含む構造から選択され、各環は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルから独立して選択され、ヘテロ原子は窒素又は酸素であり、該環は、置換又は非置換でよく、該環の2つ又は全てが、それ自身が置換又は非置換でもよいC〜Cアルキル、=CH−、C〜Cアルケニル鎖、C〜Cアルキニル鎖によって分離されてもよく、
13とR14はそれぞれさらに、−CHO、OR15、SR15、NR1516、C〜Cアルキル−アリール、及びアリール−C〜Cアルキルから独立して選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R14、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、及びR27は、H、F、Cl、Br、I、OH、CF、CH、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、NR1516からそれぞれ独立して選択され、ここで、R15とR16は、H、CH、C〜Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、
ここで、NR13(CH14又はその一部は、結合して、ピペリジン、ピロリジン、及びテトラヒドロイソキノリンから選択された置換又は非置換の環を形成してもよく、
ここで、該R基(上記式の任意のもの)はいずれも、置換又は非置換であってもよく、該置換基は、水素、CH、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキル、F、Cl、Br、I、CN、=O、CF、NO、5〜9環原子シクロアルキル、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキル、5〜7環原子アリール、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、COOR17、CONR1819、NR1819、NR18COR19、NR18SO19、SONR1819、及びCONR1819から独立して選択され、ここで、R17、R18、及びR19は、独立して、Rについて記載したものと同等であり、それぞれの該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、Rから選択された基によってさらに置換されてもよい、
並びに、これらの全ての薬学的に許容される塩、誘導体、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、水和物、及び異性体を含む、化合物。
【請求項2】
nが2である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mが2である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、H、Cl、又はOMeである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、4−フェニルフェニル、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、フルオレン、フェニル、又はナフチルから選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
NR13(CH14が、N,N−ジアルキル、N−アルキル−N−アルケニル、N−アルキル−N−アルキルアミノアルキル、及びN−アルキル−N−アルコキシアルキルから選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
AがOであり、Dが−CR2223であり、EがNR13である請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
22とR23の一方がHである請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
22とR23の双方がHである請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
22とR23の一方がOHである請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
AがOであり、DがC=Oであり、EがCR2425である請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
24とR25の一方がHである請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
Aが−CR2021であり、DがC=Oであり、EがNR13である請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
20とR21の双方がHである請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
20とR21の一方がHである請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
AがOであり、Dが−CR2223であり、EがCR2425である請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
22とR23の一方が水素であり、かつR24とR25の一方が水素である請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
式IIの構造を有する化合物、

ここで、Wは下記の1つであり、

ここで、Wが構造IIaの場合、m=0、1、2、又は3であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、Wが構造IIbの場合、m=1又は2であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり
Bは、N及び−CR12から選択され、
、R13、及びR14は、以下のものからそれぞれ独立して選択され、
H、CH、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、5〜9環原子シクロアルキル、
N又はOからそれぞれが独立して選択された3以下のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキルであり、該ヘテロ原子がNの場合、該環の任意の炭素をさらに置換してもよい、
5〜7環原子アリール、アリールオキシ、多環芳香族、及びヘテロ原子N又はOを有する5〜7環原子ヘテロアリール;
ここで、Rは構造−XYからさらに選択され、
Xは、(CR3031(k=0、1、2、又は3)、SO、C=O、NR3031、又は−C(=O)NR30であり、R30とR31は、それぞれH、CH、又はC〜Cアルキルであり、
Yは、5又は6環原子の3以下の縮合又は非縮合環を含む構造から選択され、各環は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルから独立して選択され、ヘテロ原子は窒素又は酸素であり、該環は、置換又は非置換でよく、該環の2つ又は全てが、それ自身が置換又は非置換でもよいC〜Cアルキル、=CH−、C〜Cアルケニル鎖、C〜Cアルキニル鎖によって分離されてもよく、
13とR14はそれぞれさらに、−CHO、OR15、SR15、NR1516、C〜Cアルキル−アリール、及びアリール−C〜Cアルキルから独立して選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R14、R26、及びR27は、H、F、Cl、Br、I、OH、CF、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、NR1516からそれぞれ独立して選択され(ここで、R15とR16は、HとC〜Cアルキルからそれぞれ独立して選択される)、
15とR16は、H、CH、C〜Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、
ここで、NR13(CH14又はその一部は、結合して、ピペリジン、ピロリジン、及びテトラヒドロイソキノリンから選択された置換又は非置換の環を形成してもよく、
ここで、該R基(上記式の任意のもの)はいずれも、置換又は非置換であってもよく、該置換基は、水素、CH、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキル、F、Cl、Br、I、CN、=O、CF、NO、5〜9環原子シクロアルキル、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキル、5〜7環原子アリール、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、COOR17、CONR1819、NR1819、NR18COR19、NR18SO19、SONR1819、及びNR17CONR1819から独立して選択され、ここで、R17、R18、及びR19は、独立して、Rについて記載したものと同等であり、それぞれの該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、Rから選択された基によってさらに置換されてもよい、
並びに、これらの全ての薬学的に許容される塩、誘導体、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、水和物、及び異性体を含む、化合物。
【請求項19】
nが2である請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
mが2である請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
が、H、Cl、又はOMeである請求項18に記載の化合物。
【請求項22】
が、4−フェニルフェニル、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、フルオレン、フェニル、又はナフチルから選択される請求項18に記載の化合物。
【請求項23】
NR13(CH14が、N,N−ジアルキル、N−アルキル−N−アルケニル、N−アルキル−N−アルキルアミノアルキル、及びN−アルキル−N−アルコキシアルキルから選択される請求項18に記載の化合物。
【請求項24】
が水素である請求項18に記載の化合物。
【請求項25】
式IIIの構造を有する化合物、

ここで、Wは下記の構造を有し、

m=0、1、2、又は3であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、
Bは、N及び−CR12から選択され、
ここで、Rは構造−XYからさらに選択され、
Xは、(CR3031(k=0、1、2、又は3)、SO、C=O、NR3031、又は−C(=O)NR30であり、R30とR31は、それぞれH、CH、又はC〜Cアルキルであり、
Yは、5又は6環原子の3以下の縮合又は非縮合環を含む構造から選択され、各環は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルから独立して選択され、ヘテロ原子は窒素又は酸素であり、該環は、置換又は非置換でよく、該環の2つ又は全てが、それ自身が置換又は非置換でもよいC〜Cアルキル、=CH−、C〜Cアルケニル鎖、C〜Cアルキニル鎖によって分離されてもよく、
、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、H、F、Cl、Br、I、OH、CF、CH、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、NR1516からそれぞれ独立して選択され、
13はさらに、C〜Cヒドロキシアルキル及び−CHOから独立して選択され、
ここで、R14は、H、CH、C〜Cアルキル、分岐及び非分岐C〜Cアルケニル、分岐及び非分岐C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、OR15、SR15、−C(=O)R15、−C(=O)OR15、分岐及び非分岐(C〜Cアルキル)−NR1516、NR1516、分岐及び非分岐(C〜Cアルキル)−NR151617NR151617、C(=O)NR1516、C(=O)ONR1516、N又はOから選択された3以下のヘテロ原子を有する5〜7員ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロ原子N又はOを有するヘテロアリール、アラルキル、及びアルキルアリールから選択され、
ここで、該シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルの各々は、H、F、Cl、Br、I、CF、分岐及び非分岐C〜Cアルキル、分岐及び非分岐C〜Cアルケニル、分岐及び非分岐C〜Cアルキニル、分岐及び非分岐C〜Cアルコキシ、分岐及び非分岐C〜Cアルキルアミノ、分岐及び非分岐C〜Cアミノアルキル、−C(=O)R15、−C(=O)R21、C(=O)OR15、C(=O)OR21、C〜C−シクロアルキル、−OR15、−SR15、−NR1516から選択された基によってさらに置換されてもよく、ここで、各々の該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、及びアミノアルキル基は、1又は複数のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、又はtert−ブチルよってさらに置換されてもよく、
ここで、R15及びR16は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−R21、C〜Cアルケニル、置換又は非置換フェニル、−C(=O)R19、−C(=O)OR19、(C〜Cアルキル)−OH、(C〜Cアルキル)−NR1920、−NR1920、C(=O)−NR1920(ここで、該R19及びR20の各々は、独立して、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、又はtert−ブチル)からそれぞれ独立して選択され、
ここで、R21は、5〜7員シクロアルキル、5〜7員アリール、5〜7員ヘテロアリール、及び5〜7員ヘテロシクロアルキルから選択され、該ヘテロ原子はN又はOであり、その各々は、R15から選択された基で置換されてもよく、
ここで、該R基(上記式の任意のもの)はいずれも、置換又は非置換であってもよく、該置換基は、水素、CH、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキル、F、Cl、Br、I、CN、=O、CF、NO、5〜9環原子シクロアルキル、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキル、5〜7環原子アリール、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、COOR17、CONR1819、NR1819、NR18COR19、NR18SO19、及びNR17CONR1819から独立して選択され、ここで、R17、R18、及びR19は、独立して、Rについて記載したものと同等であり、それぞれの該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、Rから選択された基によってさらに置換されてもよい、
並びに、これらの全ての薬学的に許容される塩、誘導体、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、水和物、及び異性体を含む、化合物。
【請求項26】
nが2である請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
mが2である請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
が、H、Cl、又はOMeである請求項25に記載の化合物。
【請求項29】
が、4−フェニルフェニル、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、フルオレン、フェニル、又はナフチルから選択される請求項25に記載の化合物。
【請求項30】
NR13(CH14が、N,N−ジアルキル、N−アルキル−N−アルケニル、N−アルキル−N−アルキルアミノアルキル、及びN−アルキル−N−アルコキシアルキルから選択される請求項25に記載の化合物。
【請求項31】
20とRがそれぞれ水素である請求項25に記載の化合物。
【請求項32】
20とRの少なくとも一方が水素である請求項25に記載の化合物。
【請求項33】
式IVの構造を有する化合物、

ここで、Wは以下の一方であり、

ここで、Wが構造IVaの場合、m=0、1、2、又は3であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、Wが構造IVbの場合、m=1又は2であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、
Bは、N及び−CR12から選択され、
13及びR14は、以下のものからそれぞれ独立して選択され、
H、CH、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、5〜9環原子シクロアルキル、
OR15、SR15、又はNR1516
N又はOから選択された3以下のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキルであり、該ヘテロ原子がNの場合、該環の任意の炭素をさらに置換してもよい、
5〜7環原子アリール、アリールオキシ、多環芳香族、N及びOから選択されたヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロアリール、アラルキル、及びアルキルアリール;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R14、R20、R21、及びR22は、H、F、Cl、Br、I、OH、CF、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、NR1516からそれぞれ独立して選択され、ここで、R15とR16は、H、CH、及びC〜Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、
ここで、NR13(CH14又はその一部は、結合して、ピペリジン、ピロリジン、及びテトラヒドロイソキノリンから選択された置換又は非置換の環を形成してもよく、
ここで、該R基(上記式の任意のもの)はいずれも、置換又は非置換であってもよく、該置換基は、水素、CH、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキル、F、Cl、Br、I、CN、=O、CF、NO、5〜9環原子シクロアルキル、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキル、5〜7環原子アリール、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、COOR17、CONR1819、NR1819、NR18COR19、NR18SO19、及びNR17CONR1819から独立して選択され、ここで、R17、R18、及びR19は、独立して、Rについて記載したものと同等であり、それぞれの該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、Rから選択された基によってさらに置換されてもよい、
並びに、これらの全ての薬学的に許容される塩、誘導体、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、水和物、及び異性体を含む、化合物。
【請求項34】
nが2である請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
mが2である請求項33に記載の化合物。
【請求項36】
が、H、Cl、又はOMeである請求項33に記載の化合物。
【請求項37】
が、4−フェニルフェニル、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、フルオレン、フェニル、又はナフチルから選択される請求項33に記載の化合物。
【請求項38】
NR13(CH14が、N,N−ジアルキル、N−アルキル−N−アルケニル、N−アルキル−N−アルキルアミノアルキル、及びN−アルキル−N−アルコキシアルキルから選択される請求項33に記載の化合物。
【請求項39】
20とR21がそれぞれ水素である請求項33に記載の化合物。
【請求項40】
20とR21の少なくとも一方が水素である請求項33に記載の化合物。
【請求項41】
式Vの構造を有する化合物、

ここで、n=0、1、2、3、4、又は5であり、
Bは、N及び−CR12から選択され、
13及びR14は、以下のものからそれぞれ独立して選択され、
H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、5〜9環原子シクロアルキル、
OR15、SR15、又はNR1516
N又はOから選択された3以下のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキルであり、該ヘテロ原子がNの場合、該環の任意の炭素をさらに置換してもよい、
5〜7環原子アリール、アリールオキシ、多環芳香族、ヘテロ原子N又はOを有する5〜7環原子ヘテロアリール、アラルキル、及びアルキルアリール;
、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、及びR27は、H、F、Cl、Br、I、OH、CF、CH、C〜Cアルキル、=CH−、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、NR1516からそれぞれ独立して選択され、ここで、R15とR16は、H、CH、及びC〜Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、
ここで、NR13(CH14又はその一部は、結合して、ピペリジン、ピロリジン、テトラヒドロイソキノリン、及びピペラジンから選択された置換又は非置換の環を形成してもよく、
ここで、該R基(上記式の任意のもの)はいずれも、置換又は非置換であってもよく、該置換基は、水素、CH、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキル、F、Cl、Br、I、CN、=O、CF、NO、5〜7環原子シクロアルキル、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロシクロアルキル、5〜7環原子アリール、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、COOR17、CONR1819、NR1819、NR18COR19、NR18SO19、及びNR17CONR1819から独立して選択され、ここで、R17、R18、及びR19は、独立して、Rについて記載したものと同等であり、それぞれの該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、Rから選択された基によってさらに置換されてもよい、
並びに、これらの全ての薬学的に許容される塩、誘導体、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、水和物、及び異性体を含む、化合物。
【請求項42】
、R、R、及びRの各々が水素である請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
nが2である請求項41に記載の化合物。
【請求項44】
が、H、Cl、又はOMeである請求項41に記載の化合物。
【請求項45】
13がHである請求項41に記載の化合物。
【請求項46】
その薬学的に許容される塩を含む、表1の構造を有する化合物。
【請求項47】
その薬学的に許容される塩を含む、表2の構造を有する化合物。
【請求項48】
その薬学的に許容される塩を含む、表3の構造を有する化合物。
【請求項49】
その薬学的に許容される塩を含む、表4の化合物の構造を有する化合物。
【請求項50】
その薬学的に許容される塩を含む、表5の化合物の構造を有する化合物。
【請求項51】
薬学的に許容される担体中に請求項1の化合物の治療的有効量を含む組成物。
【請求項52】
薬学的に許容される担体中に請求項18の化合物の治療的有効量を含む組成物。
【請求項53】
薬学的に許容される担体中に請求項25の化合物の治療的有効量を含む組成物。
【請求項54】
薬学的に許容される担体中に請求項33の化合物の治療的有効量を含む組成物。
【請求項55】
薬学的に許容される担体中に請求項41の化合物の治療的有効量を含む組成物。
【請求項56】
薬学的に許容される担体中に請求項49の化合物の治療的有効量を含む組成物。
【請求項57】
哺乳類に、請求項1に記載の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳類における癌又は腫瘍の転移を予防する、治療する、又は回復させる方法。
【請求項58】
哺乳類に、請求項18に記載の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳類における癌又は腫瘍の転移を予防する、治療する、又は回復させる方法。
【請求項59】
哺乳類に、請求項25に記載の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳類における癌又は腫瘍の転移を予防する、治療する、又は回復させる方法。
【請求項60】
哺乳類に、請求項33に記載の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳類における癌又は腫瘍の転移を予防する、治療する、又は回復させる方法。
【請求項61】
哺乳類に、請求項41に記載の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳類における癌又は腫瘍の転移を予防する、治療する、又は回復させる方法。
【請求項62】
哺乳類に、請求項49に記載の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳類における癌又は腫瘍の転移を予防する、治療する、又は回復させる方法。
【請求項63】
哺乳類に、表1に記載の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳類における癌又は腫瘍の転移を予防する、治療する、又は回復させる方法。
【請求項64】
哺乳類に、表2に記載の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳類における癌又は腫瘍の転移を予防する、治療する、又は回復させる方法。
【請求項65】
哺乳類に、表3に記載の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳類における癌又は腫瘍の転移を予防する、治療する、又は回復させる方法。
【請求項66】
哺乳類に、表4に記載の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳類における癌又は腫瘍の転移を予防する、治療する、又は回復させる方法。
【請求項67】
哺乳類に、表5に記載の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳類における癌又は腫瘍の転移を予防する、治療する、又は回復させる方法。
【請求項68】
異常な遺伝子発現によって変調した疾病を予防又は治療する方法であって、該疾病が、癌、心臓血管疾患、関節炎、骨粗鬆症、炎症、歯周病、及び皮膚疾患からなる群より選択され、こうした治療又は防止を必要とする哺乳動物に、請求項1、18、25、33、41、又は49に記載の化合物の治療的有効量を投与することを含む予防又は治療方法。
【請求項69】
該疾病が癌であり、該治療が、腫瘍の成長、転移、又はその双方を予防、抑止、又は復帰する請求項68に記載の方法。
【請求項70】
該癌が大腸癌である請求項69に記載の方法。
【請求項71】
該大腸癌が腺癌である請求項70に記載の方法。
【請求項72】
式VIの構造を有する化合物、

ここで、Wは下記の1つであり、

ここで、Wが構造VIaの場合、m=0、1、2、又は3であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、Wが構造VIbの場合、m=1又は2であり、かつn=0、1、2、3、4、又は5であり、
p=0、1、2、又は3であり、
Aは、O及び−CR2021から選択され、
Bは、N及び−CR12から選択され、
Dは、C=O及び−CR2223から選択され、
Eは、NR13及び−CR2425から選択され、
X=(CR3031、q=0、1、又は2であり、
Y=(CR3233、r=0、1、又は2であり、
、R13、及びR14は、以下のものからそれぞれ独立して選択され、
H、CH、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、5〜9環原子シクロアルキル、
N又はOからそれぞれが独立して選択された3以下のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキルであり、該ヘテロ原子がNの場合、該環の任意の炭素をさらに置換してもよい、
5〜7環原子アリール、アリールオキシ、多環芳香族、ヘテロ原子N又はOを有する5〜7環原子ヘテロアリール、アラルキル、及びアルキルアリール;
ここで、Rは構造−XYからさらに選択され、
Xは、(CR3031(k=0、1、2、又は3)、SO、C=O、NR3031、又は−C(=O)NR30であり、R30とR31は、それぞれH、CH、又はC〜Cアルキルであり、
Yは、5又は6環原子の3以下の縮合又は非縮合環を含む構造から選択され、各環は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルから独立して選択され、ヘテロ原子は窒素又は酸素であり、該環は、置換又は非置換でよく、該環の2つ又は全てが、それ自身が置換又は非置換でもよいC〜Cアルキル、=CH−、C〜Cアルケニル鎖、又はC〜Cアルキニル鎖によって分離されてもよく、
13とR14はそれぞれさらに、−CHO、OR15、SR15、又はNR1516から独立して選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、及びR33は、H、F、Cl、Br、I、OH、CF、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、NR1516からそれぞれ独立して選択され、
ここで、R15とR16は、H、CH、C〜Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、
ここで、NR13(CH14又はその一部は、結合して、ピペリジン、ピロリジン、テトラヒドロイソキノリン、及びピペラジンから選択された置換又は非置換の環を形成してもよく、
ここで、該R基(上記式の任意のもの)はいずれも、置換又は非置換であってもよく、該置換基は、水素、CH、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルキル、F、Cl、Br、I、CN、=O、CF、NO、5〜9環原子シクロアルキル、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜9環原子ヘテロシクロアルキル、5〜7環原子アリール、N及びOから選択された1又は2のヘテロ原子を有する5〜7環原子ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキル、COOR17、CONR1819、NR1819、NR18COR19、NR18SO19、及びNR17CONR1819から独立して選択され、ここで、R17、R18、及びR19は、独立して、Rについて記載したものと同等であり、それぞれの該シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、Rから選択された基によってさらに置換されてもよい、
並びに、これらの全ての薬学的に許容される塩、誘導体、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、水和物、及び異性体を含む、化合物。
【請求項73】
AがOである請求項72に記載の化合物。
【請求項74】
Aが−CR2021である請求項72に記載の化合物。
【請求項75】
Bが−CR12である請求項72に記載の化合物。
【請求項76】
DがC=Oである請求項72に記載の化合物。
【請求項77】
EがNR13である請求項72に記載の化合物。
【請求項78】
該アリールがフェニルである請求項72に記載の化合物。
【請求項79】
が、4−フェニルフェニル、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、フルオレン、フェニル、又はナフチルから選択される請求項72に記載の化合物。
【請求項80】
薬学的に許容される担体中に請求項72の化合物の治療的有効量を含む組成物。
【請求項81】
哺乳類に、請求項72に記載の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳類における癌又は腫瘍の転移を予防する、治療する、又は回復させる方法。
【請求項82】
化合物S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、又はS11の構造を有する化合物。
【請求項83】
遺伝子セットの各員の発現が、請求項1、18、25、33、41、又は72に記載の化合物による治療の結果として変調される遺伝子セット。
【請求項84】
該接触の結果として、該遺伝子セットの各員の発現が増加する又は該遺伝子セットの各員が減少する請求項83に記載の遺伝子セット。
【請求項85】
該遺伝子セットの員が、表6において特定される遺伝子から選択される請求項83に記載の遺伝子セット。
【請求項86】
該遺伝子セットの員が、表7A及び表7Bにおいて特定される遺伝子から選択される請求項83に記載の遺伝子セット。
【請求項87】
該遺伝子セットが細胞内に存在する請求項83に記載の遺伝子セット。
【請求項88】
請求項83に記載の遺伝子セットの発現を変調する薬剤を特定する方法であって、
(a)ある化合物を、請求項83に記載の遺伝子セットの各員に対応する1又は複数のポリヌクレオチドを含むテスト系に、該遺伝子セットの員が発現する条件下で接触させ、
(b)該接触の結果として、工程(a)におけるその1又は複数のポリヌクレオチドの各々の発現の変化を測定する、
ことを含み、工程(b)の該発現における変化は、該遺伝子セットの員の変調を示し、それによって、該遺伝子セットの発現を変調する薬剤として該テスト化合物を特定する、薬剤を特定する方法。
【請求項89】
該発現における変化が、該1又は複数のポリヌクレオチドの発現の減少である請求項88に記載の方法。
【請求項90】
該発現における変化が、該1又は複数のポリヌクレオチドの転写の変化である請求項88に記載の方法。
【請求項91】
該発現における変化が、該ポリヌクレオチドによってコード化されたポリペプチドの活性の変化を測定することによって求められる請求項88に記載の方法。
【請求項92】
該1又は複数のポリヌクレオチドが細胞中に存在する請求項88に記載の方法。
【請求項93】
該細胞が癌細胞である請求項88に記載の方法。
【請求項94】
該癌細胞が大腸癌細胞である請求項93に記載の方法。
【請求項95】
該大腸癌細胞が腺癌細胞である請求項94に記載の方法。
【請求項96】
該細胞が、該遺伝子セットを含むように設計された組換え型細胞である請求項88に記載の方法。
【請求項97】
複数の遺伝子サブセットを含む遺伝子セットであって、該複数の遺伝子サブセットの各々が、請求項88に記載の方法によって特定される遺伝子セット。
【請求項98】
請求項88に記載の方法を用いて活性を有すると特定される化合物。

【公表番号】特表2010−527915(P2010−527915A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506273(P2010−506273)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/005331
【国際公開番号】WO2008/133975
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(501128379)アバロン ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】