説明

大型部品のブロー成形用架橋ポリエチレン樹脂

本発明は、概して、ポリエチレンの製造に関し、具体的には、長鎖分岐のレベルを増加するために、押し出しの間、過酸化物類と混合されるポリエチレンの製造に関する。一側面では、該ポリエチレンは、大型部品のブロー成形(LPBM)用途に使用される。一実施形態において、該架橋ポリエチレンは、約0.945g/ccから約0.965g/ccの密度と、例えば、少なくとも10から25の分子量分布(MWD)と、約1dg/分から約30dg/分の高負荷溶解指数(HLMI)(ASTM D1238、21.6kg)とを有する。一実施形態において、該架橋ポリエチレンは、100時間から1000時間のESCR、および120,000psiから250,000psiの曲げ弾性率を有する少なくとも1つのオレフィンを含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2006年12月29日に申請された、米国仮特許出願番号第60/877,925号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概して、ポリエチレンの製造に関し、具体的に、過酸化物類と混合されて、長鎖分岐のレベルを増加させるポリエチレンの製造に関する。一側面では、ポリエチレンは、大型部品のブロー成形(LPBM)用途に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本発明の開示およびその利点をより完全に理解できるように、添付の図、および発明を実施するための形態と関連して、以下の簡単な説明をここで参照するが、同様の参照番号は、同様の部分を表す。
【0004】
【図1】本発明の一実施形態の試料に関する、密度およびHLMIの関数としての、ESCR(耐環境応力亀裂性)のプロットである。
【図2】本発明の一実施形態の試料に関する、密度およびHLMIの関数としての、曲げ弾性率のプロットである。
【図3】実施例4の試料に関する、異なる量の過酸化物、および追加のHMAを含む、試料によるレオロジー特性のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ポリエチレンの加工可能性の向上は、押し出しの前またはその間に、遊離基開始剤をポリエチレンに追加することによって、ポリエチレンの長鎖分岐のレベルを追加、または増加することにより、実現され得るということが明らかになってきた。変性ポリエチレンは、例えば、大型部品のブロー成形用途で使用され得る。
【0006】
大型部品のブロー成形(LPBM)で使用される典型的なポリエチレン樹脂は、クロム触媒を活用するユニモーダル化学反応装置技術(スラリーループおよび気相)に基づく。
【0007】
特に、大型の部品を作製する際に有用であるポリエチレンは、天然にバイモーダルであり、チーグラー・ナッタ触媒重合、ならびに、恐らくメタロセン重合およびクロム触媒重合から得ることができる。
【0008】
ユニモーダルクロム樹脂と比較して、バイモーダル樹脂の特異的な分子構造の結果として、加工特徴は著しく異なる。最高の性能(良好な環境応力亀裂抵抗性(ESCR)、充填性に対する剛性および落下試験に対する耐低温衝撃性)を有する完成容器を製造する際の主要な要因は、容器は最適な壁面分布で作製されるということである。LPBMプロセス/機器は、典型的には、非常に特異的な膨張、沈下および伸長特徴を有する、Total Petrochemicals,USA,Inc.のHDPE 54050のようなユニモーダルクロム樹脂を用いるために最適化される。バイモーダルZN樹脂の加工特徴は、ユニモーダルクロム樹脂と著しく異なるため、現在の機器(プロセス条件、工具および鋳型の設計)を使用して最適な壁面分布を伴う容器を製造することが困難となることから、その樹脂から、バイモーダル樹脂のより優れた特性を十分に活かすことが困難となる。
【0009】
大型部品のブロー成形(LPBM)用途における、樹脂に必要な主要な性能は、化学物質に対する抵抗性(ESCR)、製品の蓄積可能性および側部近接性(密度剛性)、ならびに低温落下抵抗性を含む。完成部品の優れた加工および固形状態特性がこれらの樹脂を使用して実現される一方、チーグラー・ナッタ(ZN)触媒技術を活用するバイモーダル樹脂は、例えば、剛性の損害に対する環境応力亀裂抵抗性(ESCR)における、段階的変化の改良を可能にする。このことは、所定の密度(これは、剛性に結びつく)において、バイモーダルグレードのESCRは、従来のユニモーダルのグレードよりも高いということを意味する。逆にいえば、所定のレベルのESCRにおいて、バイモーダルグレードは、より高い密度で産生することができ、ひいては、より固い完成した容器に結びつく。この改良は、より多くのコモノマーが樹脂の高分子量(Mw)画分に組み込まれるようにバイアスされ得る、好適なバイモーダルグレードのコモノマーの取り込みの結果である。次いで、本利点は、必要とされるポリエチレンが、より少なくなる(軽量)容器、または改良された積み重ね性能を有する容器に結びつき得る。
【0010】
大型部品のブロー成形は、典型的には、例えば、ジェリー缶の場合の、5ガロン(20リットル)から、ドラムの場合の、30〜55ガロン、およびインダストリアルバルクコンテイナー(IBC)の場合の、275(1040リットル)〜330ガロン(1250リットル)に及ぶ範囲の容器の大きさを包含する。
【0011】
バイモーダル樹脂の生来の固体状態特性を損失することなく、ユニモーダルクロム樹脂に対するバイモーダル樹脂の加工の差異を最小限にするために、バイモーダル樹脂のレオロジー挙動は、過酸化物等の遊離基開始剤を介する長鎖分岐(LCB)を追加することによって、改変され得る(すなわち、膨張を増加させ、沈下を軽減し、伸張特性が典型的なLPBMユニモーダルグレードにより近く一致するように、剪断応答を増加させる)。
【0012】
本発明のポリエチレンは、ホモポリマーまたはコポリマーであり得る。本明細書に記載されるプロセスを通じて形成されるポリマー(およびその混合物)は、直鎖低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、および高密度ポリエチレンを含み得るが、これらに限定されるものではない。一側面では、エチレンポリマーは、エチレン含有量が約90モル%から約100モル%であり、バランスがC−C10アルファオレフィンから構成されるコポリマーである。
【0013】
チーグラー・ナッタ触媒ポリエチレン樹脂は、例えば、その内容は、参照により全体で本明細書に組み込まれる、2006年6月23日に申請された、Kayo Vizziniらによる、「Formation of Ziegler−Natta Catalyst」という名称の、米国出願第11/474,145号に開示される、触媒および重合方法によって製造され得る。かかる用途に使用され得る他の種類のポリエチレン樹脂の他の例としては、一例として、その内容は、参照により全体で本明細書に組み込まれる、「Improved Crosslinking Resins」いう名称の、2007年4月4日に申請された、Guentherらの米国特許出願第11/732,617号に開示されたものが挙げられる。
【0014】
その大部分が、典型的には、直鎖の開始ポリマーを架橋するために、遊離基開始剤がポリエチレン樹脂に加えられる。過酸化物は、本明細書で使用される時、ポリエチレン分子の軽度な架橋または分岐をもたらすものである。好適な遊離基開始剤は、過酸化物であり、特に、有機過酸化物である。ジアルキルおよびペルオキシケタル型過酸化物等の、いくつかの種類の有機過酸化物が、特に適しているということが発見されている。遊離基開始剤としての使用に適した、市販のジアルキル過酸化物の他の例は、Arkemaによる、ジアルキル過酸化物である、LUPERSOL 101、およびLUPERSOL 101PP20として入手可能の、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンである。他には、市販のペルオキシケタル過酸化物は、LUPERSOL 233および533であり、それらは、それぞれ、t−ブチル型およびt−アミル型過酸化物の例であり、これらも、Arkemaから入手可能である。当業者に既知である、架橋および/または鎖分岐のための、他の過酸化物または他の遊離基開始剤も使用され得る。
【0015】
過酸化物は、通常、液体として追加されるが、過酸化物は、過酸化物被覆固形物送達(すなわち、マスターバッチ)等の他の形態でも追加することができる。過酸化物は、ポリエチレンが押し出し機に供給される前または後に、追加されるか、またはポリエチレンと組み合わされ得る。過酸化物が、押し出しの前に、フラフに加えられる場合、過酸化物は、ポリマーが押し出し機に導入される前に、ポリマー全体に完全に混合、または分散されるべきである。別の方法としては、過酸化物は、押し出し機内で、ポリエチレン溶融体に注入され得る。過酸化物は、ギアポンプまたは他の送達装置によってなど、当業者に既知の任意の方法を通じて、フラフストリームまたは押し出し機の中へ、導入され得る。酸素または空気が開始剤として使用される場合、これらは、好ましくは、ポリエチレン溶融体内で押し出し機に注入されるが、押し出し機のフラフウアップストリームに導入してもよい。Guentherらの米国特許第6,433,103号に開示されるように、有機過酸化物または他の処理剤が、押し出しの前にフラフへ組み込まれ、または、押し出しのプロセスの間にポリマー溶融体に注入され得る。
【0016】
しかしながら、過酸化物の選択は、直面する特定の用途および押し出し機に依存する。典型的な押し出し機の温度は約350°F(約177°C)から約550°F(約288°C)である。押し出し機の温度またはポリエチレン溶融体は、過酸化物の熱分解温度を上回ることが重要である。したがって、押し出し機の温度は、典型的には、完全な分解を確実にするために、使用される過酸化物の熱分解温度よりも少なくとも5%またはそれ以上高い温度になるであろう。押し出し機の温度は、所望のスループットによって決定される、温度データに対する過酸化物半減期と押し出し機内の滞留時間との組み合わせを使用して決定され得る。
【0017】
所望の特性および加工性を実現するために必要な過酸化物または開始剤の量は、変化し得る。しかしながら、少なすぎる量は所望の効果を実現せず、多すぎる量は、望ましくない製品を製造する可能性があるという点で、過酸化物または開始剤の量は重要である。典型的には、過酸化物の使用量は、約5から約150ppmであり、別の実施形態では、約10から100ppmであり、さらなる実施形態では、約25から約75ppmである。当然ながら、当業者に既知である他の添加剤を樹脂の最初の製造の間、さらに押し出しの間に、使用することが可能であり、所望の効果を実現するために必要とされる過酸化物の量は変更され得る。
【0018】
一実施形態では、フェノール型および/またはリン酸塩型抗酸化物質が、ポリマーの分解を防ぐために、過酸化物を追加する前または後にバイモーダルエチレンポリマーに追加される。本発明の別の非限定的な実施形態では、亜リン酸塩抗酸化物質およびフェノール抗酸化物質を含む、1つまたはそれ以上の抗酸化物質が使用される。抗酸化物質および過酸化物ならびに/または空気は、反対の効果を有するという理由で、バランスのため、またはトレードオフとして使用され、通常、製品における樹脂の特徴および最終的な仕上がりの制御を維持するために、対で採用されるべきである。過酸化物の比率を増加させることがLCBを増加させる一方で、抗酸化物質の導入は、ポリマーの溶解または熱的安定性を向上させる。
【0019】
本発明の一非限定的な実施例では、抗酸化物質の比率は、全樹脂に基づいて、約300から約3,000重量ppmの範囲である。本発明の非限定的な別の実施例では、抗酸化物質の比率は、全樹脂に基づいて、約1000から約2000重量ppmの範囲であり得る。本発明の一非限定的な実施例では、適した抗酸化物質としては、Irganox1010(フェノール抗酸化物質)およびIrgafos168およびUltranox627A(亜リン酸塩抗酸化物質)等のフェノールおよび亜リン酸塩が挙げられ、これらのすべてはCiba−Geigyから入手可能であるが、これらに限定されるものではない。本発明のさらなる非限定的な実施例では、1つまたはそれ以上の抗酸化物質が、約400ppmから約1800ppmの範囲の量で、製造される製品において存在する。
【0020】
本発明を実行する際に使用することのできる適した処理剤、およびポリマー製品へのそれらの組み込みの問題をさらに説明する目的で、Guentherらの先述の米国特許第6,433,103号が参照され、その全体の開示は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0021】
「Method of Producing Polyethylene Resins for Use in Blow Molding」という名称である、Guentherらの特許第6,433,103号に記載されるように、ポリマーの長鎖分岐は、剪断応答で、またはより具体的には、周波数掃引のCarreau−Yasudaによる「a」のパラメータで特徴付けされ得る。流動幅は、ニュートン型と指数法則型の粘性の剪断速度依存性の間の遷移領域の幅を示す。流動幅は、樹脂の緩和時間分布の関数であり、それは、ひいては、樹脂の分子構造の関数となる。これは、コックスメルツ則を仮定して、修正されたCarreau−Yasuda(CY)モデルを用いて、線形粘弾性動的発振周波数掃引の実験を使用して作成された流れ曲線をフィットすることにより、実験的に、決定され、
【数1】

式中、
η=粘性(Pa s)であり、
γ=剪断速度(1/s)であり、
a=流動幅パラメータ[ニュートン挙動と指数法則挙動との間の遷移領域の幅を表
すCYモデルパラメータ]であり、
λ=緩和時間(秒)[遷移領域の時間での位置を表すCYモデルパラメータ]であ
り、
η=ゼロ剪断粘度(Pa s)[ニュートンプラトーを定義するCYモデルパラ
メータ]であり、
n=指数法則の定数[高剪断速度領域の最終の勾配を定義するCYモデルパラメー
タ]である。
モデルのフィッティングを容易にするため、指数法則の定数(n)は、一定値(n=0)に保持される。実験は、平行版形状およびストレインを使用して、線形粘弾性レジーム内で、0.1から316.2秒−1の周波数の範囲に対して実行することができる。周波数掃引は、3つの温度(170℃、200℃および230℃)で行うことができ、それからデータは既知の時間温度換算法を使用して190℃でマスター曲線を形成するようにシフトできる。
【0022】
長鎖分岐(LCB)のレベルにおける差異のない樹脂に関して、流動幅パラメータ(a)は、分子量分布の幅に反比例するということが観測されている。同様に、分子量分布における差異のない試料に関して、幅パラメータ(a)は、長鎖分岐のレベルに反比例するということが見出されている。樹脂の流動幅の増加は、それゆえ、樹脂に対する幅パラメータ(a)値の減少として見なされる。この相関は、分子構造におけるこれらの変化を伴う緩和時間分布における変化の結果である。
【0023】
製造された架橋樹脂の物理的特徴の例が本明細書に記載される。一実施形態では、架橋ポリエチレンは、例えば、約0.945g/ccから約0.965g/cc、または約0.950g/ccから約0.962g/cc、または約0.952g/ccから約0.960g/ccの密度を有する。さらに、かかるエチレンベースのポリマーは、例えば、少なくとも10から25の分子量分布(MWD)を有する。架橋エチレンポリマーは、例えば、約1dg/分から約30dg/分、または約2dg/分から約20dg/分、または約3dg/分から約10dg/分の高負荷溶解指数(high load melt index:HLMI)(ASTM D1238、21.6kg)を有し得る。一実施形態では、架橋ポリマーは、100時間から1000時間のESCR、および120,000psiから250,000psiの曲げ弾性率を有する。
【0024】
以下のASTM試験を使用して、本明細書に開示されるポリマーの物理的特徴を決定した。密度は、ASTM D792ガイドラインに基づき測定された。メルトフローインデックスは、ASTM D1238(A)ガイドラインに基づき測定された。曲げ弾性率(剛性の計算)は、ASTM D790を使用して測定され、ESCRは、ASTM D1693、条件B10%イゲパルを使用して測定された。
【0025】
一実施形態では、「大型部品」は、本明細書では、少なくとも5ガロン(18.9リットル)から55ガロン(208.2リットル)までを保持する/保持することができる容器および/または大きさの製品であることを定義し、別の実施形態では、大型の部品は、少なくとも55ガロン(208.2リットル)から275ガロン(1040リットル)までを保持する/保持することができる大きさの容器である製品であることを定義し、さらに別の実施形態では、大型の部品は、275ガロン(1040リットル)から330ガロン(1250リットル)までを保持する/保持することができる大きさの容器である製品を定義する。
【0026】
本発明の架橋樹脂から生産され得る製品の他の例は、例えば、Guentherらによって2007年7月6日に申請された、Guentherらの「Bimodal Blow Molding Resin And Products Made Therefrom」という名称の、米国特許出願第11/774,311号で開示され、それは、参照することにより全体で本明細書に組み込まれる。さらには、本ポリエチレンおよび方法によって製造される製品は、工業用部品、配管および管状製品、工業用容器およびドラム、ならびに農薬、工業用化学薬品、および食品を含むがこれらに限定されない種々の使用のための消費者用容器をさらに含む。
【0027】
先述に加えて、本発明の樹脂で作製され得る製品の種類は、実質的に制限なく、大型部品とみなされ、少なくとも1ポンド(約0.45kg)の樹脂から150ポンド(約68kg)またはそれ以上の樹脂で作製される製品を含む。作製され得る大型部品のブロー成形の製品の種類のさらなる例としては、例えば、テーブルトップ、バスケットゴールベース、スタジアムシート、プラスチック貯蔵容器、ボート、および船が挙げられる。
【0028】
実験例
本発明のPE樹脂の実施形態に関するESCRデータを、本発明のESCRデータと従来のユニモーダルクロムをベースとするLPBMグレード(HDPE 54050)の対比について、表1に挙げ、図1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
試料1〜5は、過酸化物が追加されていないバイモーダルであり、その一方、試料6は、50ppmの過酸化物(Lupersol101)を用いて作製されたバイモーダルである。密度とESCRとの間の強力な関係が存在する一方(ESCRは密度における減少を伴い増加する)、この関係におけるシフトが、例えば、0.956g/ccの密度でみられるESCRにおける200%の増加等のように、本発明のバイモーダル樹脂に対して観察され得る。
【0031】
同様に、曲げ弾性率に関して、表2および図2で示される樹脂剛性の場合、樹脂密度は大きな役割を果たすが、しかしながら、所定の密度(例えば、0.956g/cc)では、従来のユニモーダルLPBMバイモーダル樹脂では、グレードの密度に対して、20%程度の剛性における段階的変化の増加が観察される。
【0032】
【表2】

【0033】
表3は、様々なppmの過酸化物を伴うポリエチレン樹脂ならびに、その結果として生じるゼロ剪断粘度および緩和時間の例を記載する。
【0034】
【表3】

【0035】
図3は、表3に関連する。目標の加工特性は、剪断応答または緩和挙動をより近く一致させることによりにより実現され、周波数掃引粘性データを使用して実現される、ゼロ剪断粘度(または緩和時間)によって、この場合は定義される(図3を参照のこと)。図3に示されるように、同等のHLMI値において、バイモーダル樹脂(四角によって表される)は、この場合はTotal Petrochemicals USA, Inc. HDPEグレード54050を使用して示される(丸によって表される)ユニモーダルLPBMグレードよりも、非常に低いゼロ剪断粘度を有する。本特性は、成形加工プロセスの拡張および形成段階に影響を及ぼす、より少ない膨張(低復元力)、より多い沈下、およびより低い伸長粘性へと結びつく。LCBの増加は、バイモーダルのグレードの生来のレオロジー特性をオフセットし、既存の機器(プロセス条件、工具および鋳型の設計)とより良く適合させるであろうということが考えられる。
【0036】
本発明は、そのいくつかの形態のみで示されてきたが、本発明は、そのように限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更および修正が許容されるということが、当業者に明らかであろう。従って、当然のことながら、添付される特許請求の範囲は、広範に、および本発明の範囲に一致する様式で解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋ポリエチレンを用いて製品を形成する方法であって、
少なくともエチレンを含むバイモーダルポリマーを製造するステップと、
前記エチレンポリマーを押し出し、押し出しの間、前記エチレンポリマーを架橋するために少なくとも1つの過酸化物を、加えるステップと、
製品を形成するステップと、を含み、
前記架橋バイモーダルエチレンポリマーから作製された前記製品は、押し出しの前またはその間に、前記過酸化物を追加せずに同様のエチレンポリマーで製造された製品と比較して、改良されたESCRを有する、方法。
【請求項2】
前記製品はドラムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記製品は、パイプまたは他の管状製品を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記架橋は、前記過酸化物を追加しない前記同様のエチレンポリマーと比較して、より高いゼロ剪断粘度によって示される、高レベルの鎖絡み合いに起因する溶融強度の向上をもたらす剪断応答の増加を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記過酸化物を追加する前または後に抗酸化物質を前記バイモーダルエチレンポリマーに加えるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エチレンポリマーはコポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
5ppmから150ppmの前記過酸化物が前記エチレンポリマーに加えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
10ppmから100ppmの前記過酸化物が前記エチレンポリマーに加えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記架橋エチレンポリマーは、バイモーダル樹脂に対して10から25の分子量分布(MWD)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記架橋エチレンポリマーは、100時間から1000時間のESCR(条件B 10%イゲパル)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記架橋エチレンポリマーは、0.945g/ccから0.965g/ccの密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記架橋エチレンポリマーは、12,000psiから25,000psiの曲げ弾性率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記架橋エチレンポリマーは、1dg/分から30dg/分の高負荷溶解指数(HLMI)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法によって製造される製品。
【請求項15】
少なくとも1ポンドから150ポンドのポリエチレンが、前記製品を製造するために使用される、請求項1に記載の方法によって製造される製品。
【請求項16】
前記製品は、工業用部品、工業用容器、または消費者用容器から選択される、請求項14に記載の製品。
【請求項17】
前記製品は、農薬、工業用化学薬品、または食品用容器である、請求項14に記載の製品。
【請求項18】
前記製品は少なくとも5ガロン(18.9リットル)から55ガロン(208.2リットル)までを保持する大きさの容器である、請求項14に記載の製品。
【請求項19】
前記製品は、少なくとも55ガロン(208.2リットル)から400ガロン(1816リットル)までを保持する大きさの容器である、請求項14に記載の製品。
【請求項20】
前記製品は、少なくとも1ポンドのポリエチレン樹脂から150ポンドまでの樹脂から作製される、請求項14に記載の製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−514596(P2010−514596A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544288(P2009−544288)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/089049
【国際公開番号】WO2008/083276
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】