説明

天然抽出物、ナノシルバー、および天然エッセンシャルオイルを含有する抗菌剤組成物

本発明は、天然抽出物であるグレープフルーツ、五行草(Portulaca oleracea L.)、魚腥草(Houttuynia cordata Thunb)の抽出物と、ナノシルバー、および天然エッセンシャルオイルからなる抗菌活性に優れた組成物を提供するためのものである。
本発明の抗菌剤組成物は、グレープフルーツ、五行草(Portulaca oleracea L.)、および魚腥草(Houttuynia cordata Thunb)抽出物が重量比1:1:1である混合液(w/w)として構成された天然抽出物10〜30重量%、濃度が50〜1000ppmのナノシルバー1〜5重量%、1つ以上の天然エッセンシャルオイル混合物5〜30重量%、そして残りはエタノールからなることを特徴とする。
本発明に係る抗菌剤組成物は、黄色ブドウ球菌、皮膚常在菌、皮膚糸状菌などの細菌および真菌に対し優れた抗菌活性を示し、これを含有する抗菌性を有するハンドソープ、アロマ芳香剤、ハーブゲルの剤形を製造するのに適する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
技術分野
本発明は、天然抽出物であるグレープフルーツ、五行草(Portulaca oleracea L.)、魚腥草(Houttuynia cordata Thunb)の抽出物とナノシルバー、および天然エッセンシャルオイルからなる抗菌活性に優れた組成物に関するものである。
【0002】
背景技術
皮膚には無数の微生物が存在しており、これらの微生物は各種の皮膚疾患をもたらす。例えば、皮膚で化膿を引き起こす黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を初めとして、皮膚常在菌としては、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermis:表皮ブドウ球菌)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes:ニキビ菌)、ピチロスポルム・オバーレ(Pityrosporum ovale:表在性皮膚糸状菌)などがある。
【0003】
これらの菌は皮膚上に分泌された皮脂や汗を分解させて不快臭を生じさせると共に、その分解産物は皮膚に刺激を与えて炎症を引き起こす。特に、ニキビ菌(Propionibacterium acnes)は、脂肪酸分解酵素であるリパーゼ(lipase)を用いて皮脂を分解させて遊離脂肪酸を生成させる。生成された遊離脂肪酸は、皮膚に刺激を与えるだけでなく、ニキビで見られる赤い発疹である丘疹、膿疱、結節などの炎症性病変をもたらす。
【0004】
皮膚糸状菌(dermatophytes)は、毛髪および皮膚の角質層に侵入して表在性真菌症を引き起こす。表在性真菌症を引き起こす皮膚糸状菌としては、例えば小胞子菌(Microsporum)、白癬菌(Trichophyton)、および表皮菌(Epodermophyton)があり、これらの菌は白癬症を引き起こす。
【0005】
カンジダアルビカンス(Candida albicans)は、皮膚カンジダ症および慢性皮膚/粘膜カンジダ症を引き起こす。これらの真菌は皮膚の角質組織に真菌が寄生して繁殖することによって、病変を引き起こす表在性真菌症をもたらす。その他の皮膚および皮下組織に発生する肉芽腫性病変を引き起こす原因菌としては病原性真菌Sporothrix schenckiiがある。
【0006】
一方、漢方薬中には昔から細菌および真菌による皮膚病の治療に、広く外用されているものが多く知られている。
【0007】
最近、従来の民間療法として使い継がれてきた漢方薬の有効性を科学的に証明し、それに基づいて新しい抗菌活性を有する漢方薬の活性成分を探そうとする研究が活発になっている。
【0008】
比較的に広く知られている抗菌作用をする漢方薬としては、黄柏(Phellodendron amurense)、黄連(Coptis japonica)等に含まれているアルカロイドであるベルベリン(berberine)が、韓国薬局方に塩酸ベルベリンとして収録され、広範囲の抗菌スペクトルを有する。
【0009】
特に、ベルベリン(berberine)は、皮膚疾患に広く用いられており、ニキビ発生の原因菌であるニキビ菌に対して強い抗菌作用があるものとして報告されている。
【発明の概要】
【0010】
そこで、本発明は、黄色ブドウ球菌、皮膚常在菌、皮膚糸状菌などの細菌および真菌に対し優れた抗菌活性を示す天然抽出物、ナノシルバー、および天然エッセンシャルオイルを含有する抗菌剤組成物を提供することをその目的としている。
【0011】
本発明は、ハンドソープ、アロマ芳香剤、およびハーブゲルの剤形として用いるのに適した天然抽出物、ナノシルバー、および天然エッセンシャルオイルを含有する抗菌剤組成物を提供することをもう一つの目的としている。
【0012】
前記目的を達成するための本発明の抗菌剤組成物は、グレープフルーツ、五行草(Portulaca oleracea L.)、および魚腥草(Houttuynia cordata Thunb)抽出物が、重量比1:1:1の混合液(w/w)として構成された天然抽出物10〜30重量%、濃度が50〜1000ppmであるナノシルバー1〜5重量%、1つ以上の天然エッセンシャルオイル混合物5〜30重量%、そして残りはエタノールからなることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る抗菌剤組成物は、黄色ブドウ球菌、皮膚常在菌、皮膚糸状菌などの細菌および真菌に対し優れた抗菌活性を示し、これを含有する抗菌性を有するハンドソープ、アロマ芳香剤、およびハーブゲルの剤形を製造するのに適している。
【発明の具体的説明】
【0014】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0015】
本発明における天然抽出物としてはグレープフルーツ、五行草(Portulaca oleracea L.)、および魚腥草(Houttuynia cordata Thunb)を用いるが、グレープフルーツはかんきつ類(Citrus)に属し、その大きさは大人の拳骨の大きさよりやや大きい程度で、その皮はなめらかで淡黄色である。その果肉は非常に柔らかく、果汁が多く、白色である。その味は、少し苦味がある。グレープフルーツ種子抽出物(Grapefruit seed extract)(GSE)は、細胞組織におけるアミノ酸の供給を遮断し、分子量の小さい細胞内物質の分解と湧出によって微生物を殺し、殺菌抗菌剤、自然抗生剤などとして、医学界において多用途的で、無毒性の菌除去剤の1つとして注目されている成分である。
【0016】
韓国農産物貯蔵流通学会(Korean Journal of Food Preservation) Vol.1,1〜7(1994)によれば、グレープフルーツ種子抽出物(GSE)は幅広い微生物に対し抗菌活性を示す。
【0017】
各種の微生物に対するグレープフルーツ種子抽出物(GSE)の最小発育阻止濃度は、細菌の場合は10〜500ppm、かびの場合は250〜1,000ppm、酵母の場合は100〜250ppmであるとされている。
【0018】
韓国水産学会誌(Journal of the Korean Fisheries Society) Vol.23(4),297〜302(1990)によれば、グレープフルーツ種子抽出物(GSE)の細菌類に対する抗菌力において、例えばビブリオ(Vibrio)属は50ppmの濃度、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)とは30ppm以上の濃度で菌の増殖が抑制され、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)に対しては50ppm以上の濃度で殺菌効果を示すものであるとされている。
【0019】
また、韓国栄養食糧学会誌(Journal of the Korean Society of Food and Nutrition) Vol.24(5),690−694(1995)によれば、広範囲の天然抗菌剤としてその活用が考慮されているグレープフルーツ種子抽出物(GSE)の安定性を検討するために、グレープフルーツ種子抽出物(GSE)の急性経口毒性、皮膚刺激、および急性眼粘膜刺激性試験を行った結果、実験用白ねずみに対する急性LD50値は3.75g/kgで、皮膚に対する毒性は弱い方であり、浮腫などの病変は殆ど生じないが、目に対する刺激性はあるとされている。
【0020】
韓国食品衛生安定性学会誌(Korean Journal of the Food Hygiene and Safety) Vol.10(4),263〜270(1995)によれば、グレープフルーツ種子抽出物(GSE)は果菜類腐敗性微生物であるエンテロバクター・ピリナス(Entrerobacter Pyrinus)、フザリウム属種(Fusarium sp.)に対し500ppm以下の低い処理濃度で菌の増殖を抑制することにより、GSEの抗菌効果を明らかに観察することができると報告されている。
【0021】
一方、本発明に係る抗菌剤組成物を構成する天然抽出物のうちの1つの成分である魚腥草(Houttuynia cordata Thunb)は、三白草科に属する多年生草本である。
【0022】
前記植物は、湿地でより繁殖し、植物全体から魚の生臭い匂いがする。地下茎は白色で柔らかく、水平に真っすぐに伸びており、地上茎は葉と共に毛がなく、高さ20〜50cmで真っすぐに伸び、いくつかの縦線がある。
【0023】
魚腥草は、葉を磨り潰した場合に刺激のある魚の臭いを有する。そのためそれは中国語で“Yu Xing Cao”とも名付けられ、そして漢方薬(yuは魚、xingは魚の臭いを意味し、caoは草の一般的な用語である)でもある。そして、また10種類の病気を治療すると信じられていることから十薬(多治療薬)とも呼ばれる。
【0024】
漢方と民間療法において、根元、葉、幹を含む魚腥草の全体が、水腫、梅毒、膀胱炎、子宮炎、乳腫、肺膿、中耳炎、中風、肺炎、皮膚炎、肝炎、高血圧、強心・解熱、利尿、淋病、および尿道炎などの症状の緩和または治療のための薬剤として用いられている。
【0025】
魚腥草は、最も有名な民間薬の一つであって、その青葉の汁は化膿、腫れ物、創傷などに塗れば治療効果があり、また瘡毒(sore toxic)病原因子を取り除き、利尿効果がある。淋病、尿道炎などには魚腥草30gを煮込んで飲む。また、この煮込んだ汁で痔、疥癬などの治療のため洗うときにも用いており、風呂用にも用いる(韓国薬用植物辞典)。
【0026】
民間療法では、魚腥草の汁をしぼり出して、治療のために水虫、痔、蛇毒、漆かぶれの患部につけたりし、解熱、解毒、排尿障害(dysuria)および湿疹の治療に効果があり、また傷、洗顔、駆虫、皮膚病および胃腸病の治療にも良い。
【0027】
加えて、魚腥草は、皮膚組織の再生作用と傷治療とに効果があり、抗菌および抗真菌効果を有し、抗酸化効果および血液循環の促進により皮膚老化の予防にも効果がある。
【0028】
一方、五行草(Portulaca oleracea L.)は、毒性がなく、刺激を与えることがないため、フルンケルや浮腫のような皮膚病の治療に優れた効能がある。従って、五行草は医薬品として広く用いられてきており、長寿のために毒性の全くない食品として昔から先祖がよく食べていたものである。
【0029】
東洋医学では、五行草は解熱および解毒、排膿および利尿作用があるとして、赤痢、腸炎、細菌性赤痢の治療のために煮込んで飲む。
【0030】
また、急性皮膚感染、疥癬、および湿疹の治療のために、五行草は外用で打ち砕いて患部に貼ったり、その汁で洗ったり、煮込んで飲んだりする。五行草は、虫毒の他にも蛇毒などを癒すのに用いられており、膿形成や傷の悪化に伴う色々な病気を治療する作用をする。
【0031】
五行草は多量に摂取しても副作用がなく、調理した香味野菜(potherbs)の形で食べられる。このような五行草の効能は化粧品やその他の環境による皮膚病または化粧により生じる弊害から生じ得る副作用を除くのに効果がある。
【0032】
また、五行草は天然保湿因子(Natural Moisturizing factors)である多糖類(Polysaccharides)とアミノ酸(Amino acids)とを多量に含有するため、渇水期にも多くの水分を含有して非常に乾燥しにくい。すなわち、五行草は抗炎症効果と皮膚刺激を緩和する効果がある。本発明の抗菌剤組成物は、天然抽出物としてグレープフルーツ、五行草(Portulaca oleracea L.)、および魚腥草(Houttuynia cordata Thunb)抽出物の重量比1:1:1混合液(w/w)を用いる。天然抽出物の使用量は10〜30重量%、好ましくは1〜5重量%にすると良い。
【0033】
ここで、天然抽出物の量を10重量%未満で用いる場合は抗菌効果の有効成分の作用効率が落ちて所望する抗菌効果を得ることはできない。逆に、天然抽出物の量を30重量%超過して用いる場合はナノシルバーとエッセンシャルオイルとの相乗効果が抑制される問題点がある。そのため、前記範囲内で前記天然抽出物を用いることが好ましい。
【0034】
一方、銀をナノ状態にすれば、強力な殺菌性と抗菌性とを有するようになる。研究報告によれば、銀は650種の細菌とウイルスとを滅菌できるとされ、菌類にも非常に優れた効果を有すると知られている。また、ナノシルバーは塩素系より数十倍強力な殺菌力を有しながらも、人体には全く無害である。一般的に、高純度のナノシルバーの場合は食べても人体には全く異常がないものとして認められている。このようなナノシルバーの抗菌作用は3つのメカニズムによって作用するものと推定されている。
【0035】
第1に、銀の陽イオン(Ag)が、細菌に存在する−SH基、−COOH基、および−OH基などと強く結合して細菌の細胞膜を破壊または細胞の機能をかく乱させる。第2に、ナノ状態のコロイド銀が触媒作用をして酸素が活性酸素(O2+,O2−,O)に転換され、殺菌作用を発揮する。このメカニズムの根拠として酸素(結合酸素、溶存酸素など)が銀の陽イオン(Ag)の触媒作用によって活性酸素に転換されて殺菌作用を発揮する時、ここにスーパーオキシド・ジムターゼ(Superoxide dismutase)(SOD)を添加すれば、抗菌力がなくなることからその根拠を推定することができる。第3に、金属としての抗菌および殺菌作用を挙げることができる。他の金属や一般の銀の場合とは異なり、ナノシルバーは10nm以下の小さい大きさにナノ化しているため、100nm〜200nm程度の微生物がそれを摂取することができ、摂取時に呼吸器障害および代謝障害で菌が死ぬと推定することができる。その他の無機担体を用いた抗菌剤においても、無機担体から解離した抗菌金属イオン(例えばAg,Zn2+,およびCu2+)が細胞膜および酵素などのタンパク質と結合して、細胞のエネルギ代謝を阻害すると推定されている。その証拠としては銀の陽イオン(Ag)が菌体の内部に転移することから説明することができる。但し、銀粒子の大きさは2nm〜10nm以下の大きさであり、微生物がそれを摂取した時に代謝障害により微生物の死をもたらすため、金属そのものとして殺菌力も有している。
【0036】
前記ナノシルバーは、粒子大きさが5〜20nm範囲のものを用いることが好ましい。本発明の抗菌剤組成物に対し、濃度50〜1000ppmのナノシルバーが1〜5重量%、好ましくは3〜5重量%含有させることがよく、前記範囲以下では抗菌効果の低下が生じる。逆に、それ以上では溶解度低下による析出などの相溶性の問題があるため、上記のような範囲内で含有させることが好ましい。
【0037】
一方、アロマセラピーは、古代エジプト、中国、インドなどで植物の花、葉、根元、および幹が人間の精神と身体に有益な効果をもたらすという事実が発見されてから発展した多様な伝統的治療の分岐であると言える。エッセンシャルオイルは、植物そのものの生命周期と発芽過程とで重要な役割を担い、病気に対抗する力を持ち、植物の生育に必要なホルモンや生命力として描写されており、宗教意識や創傷治癒、そして美容などに用いられてきた。
【0038】
天然エッセンシャルオイル類のうちの抗菌、抗炎症効果があるものとして知られている、ユーカリ(eucalyptus)オイル、ジャーマンカモミールオイル、シダーウッドオイル、シナモンオイル、ベルガモットオイル、レモンオイル、サイプレスオイル、レモングラスオイル、ジュニパーベリーオイル、ティーツリーオイル、ペパーミントオイル、ローズマリーオイル、サンダルウッドオイル、ジンジャーオイル、ラベンダーオイル、タイムオイルなどは昔から西洋では優れた抗菌作用および抗炎症作用のために皮膚疾患に用いられている。
【0039】
ユーカリは、フトモモ科の背が高い常緑樹で、オーストラリアで最も多く自生している。その樹木の葉から抽出したオイルは、鎮痛効果、抗ウイルス、および抗菌効果がある。
【0040】
ジャーマンカモミールは、地中海沿岸が原産地であるキク科の植物であり、その花びらから抽出したオイルは、ヨーロッパで2000年以上、家庭用常備薬として用いられてきた。ジャーマンカモミールオイルは、強力な抗菌作用と抗炎症作用とを有するアズレン成分が入っており、ニキビ、湿疹、おむつによる湿疹、火傷などの皮膚炎症の治療に効果がある。
【0041】
シダーウッドは、ヒノキ科の針葉樹であり、そこから抽出したオイルは、古代エジプト時代に死体の防腐処理用、化粧品として用いられ、その香りは蟻、蛾、そして他の有害な昆虫を退治する機能を有しており、抗菌作用と殺虫および殺菌作用とがある。
【0042】
シナモンは、熱帯のクスノキ科の樹木であり、その葉と枝とから抽出したオイルは、大半のバクテリアに対して優れた抗菌作用がある。
【0043】
ベルガモットは、ミカン科(Rutaceae family)のカンキツ類の植物であり、その皮から抽出したオイルは、殺菌効果があり、湿疹、ハタケ、ニキビ、皮膚と頭皮との脂漏症、水痘、帯状疱疹、そして虫退治に効果的である。
【0044】
レモンは、ミカン科の樹木であり、その皮から抽出したオイルは、殺菌作用、抗菌作用、抗酸化作用があり、結核菌に対し0.2%希釈においても非活性化させるものとして知られている。
【0045】
サイプレスは、ヒノキ科の常緑樹であり、その葉から抽出したオイルは、防虫および抗菌効果がある。
【0046】
レモングラスは、イネ科の芳香暖地型牧草(aromatic tropical grass)であり、その葉から抽出したオイルは、抗菌、抗酸化、抗真菌作用をする。
【0047】
ジュニパーベリーは、ヒノキ科の常緑針葉樹であり、その実から抽出したオイルは、抗菌と殺菌活性とがあり、ひげそり後につけるローションなどに用いられている。
【0048】
ティーツリーはフトモモ科の低木であり、その葉と小枝とから抽出したオイルは、全種の細菌の感染に対して優れた抗菌、抗バクテリア、抗菌、および殺菌活性を有する。
【0049】
ペパーミントは、シソ科の芳香性の薬草であり、その葉と、花が咲いた先端部分とから抽出したオイルは、気管支疾患に効果的であり、抗炎症、抗菌、消炎、抗ウイルス効果がある。
【0050】
ローズマリーは、シソ科に属する常緑で多年生の低木であり、その花部分から抽出したオイルは、抗菌、抗真菌、殺菌、防虫作用がある。
【0051】
サンダルウッドは、ビャクダン科に属する小さな常緑樹であり、木の心材を乾燥した後に抽出したオイルは、抗菌、殺菌作用を有する。
【0052】
ジンジャーは、ショウガ科に属する薬効のある多年生草本であり、乾燥した根元から抽出したオイルは、殺菌、抗菌、および抗酸化効果がある。
【0053】
ラベンダーは、シソ科の低木であり、その花部分から抽出したオイルは最も大衆的であり、広範囲の抗菌作用、鎮静作用、抗炎症作用を有するとして知られている。
【0054】
最後に、タイムはシソ科の常緑樹であり、その葉と花とから抽出したオイルは、抗菌作用、抗酸化作用、抗腐敗作用、殺菌解毒作用、および寄生虫退治に効果がある。
【0055】
本発明の抗菌剤組成物は上記で言及した通り、ユーカリオイル、ジャーマンカモミールオイル、シダーウッドオイル、シナモンオイル、ベルガモットオイル、レモンオイル、サイプレスオイル、レモングラスオイル、ジュニパーベリーオイル、ティーツリーオイル、ペパーミントオイル、ローズマリーオイル、サンダルウッドオイル、ジンジャーオイル、ラベンダーオイル、およびタイムオイルからなる群から選択された少なくとも1つの天然エッセンシャルオイルを含む。その天然エッセンシャルオイルの使用量は5〜30重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲内で用いることが良い。天然エッセンシャルオイルの使用量が5重量%未満である場合は抗菌力低下の問題がある。逆に、天然エッセンシャルオイルの使用量が30重量%を超過して用いる場合はエッセンシャルオイルの強い香りのため顧客へ不満をもたらす問題がある。そのため、前記のような範囲内で天然エッセンシャルオイルを添加することが好ましい。
【実施例】
【0056】
ここで、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明すれば次の通りである。これらの例は、本発明の例示のためのみに用いられ、本発明の範囲および精神を限定するものではない。
【0057】
実施例1
次の表1に示された成分の組成に従って、グレープフルーツ、五行草(Portulaca oleracea L.)、および魚腥草(Houttuynia cordata Thunb)の抽出物と濃度が1000ppmのナノシルバー、そしてシナモンオイル、ティーツリーオイル、レモンオイルからなるエッセンシャルオイルを含む抗菌剤組成物を製造した。この時のベース溶液として、1,3−ブチレングリコールおよびエタノールが1:2の混合液を用いた。
【0058】
製造した組成物の抗菌力実験は、ペーパーディスク法(Paper Disc Test)(Kirby−Bauer Antimicrobial Sensitivity Test)によって行った。先ず、各菌株を活性化させるために各菌株に合う適切な培地に48〜72時間前に培養した。このように準備した菌培養液を培地に0.1mlずつ塗抹乾燥させた。これを上記で製造した抗菌剤組成物を30μl取り、直径8mmのペーパーディスク(paper disc)に点滴して次の表2のような条件で培養した。培養終了後、上記ペーパーディスクの周辺に示される透明帯(Clear zone)の直径を測定した。得られた結果(抗菌効果)を次の表3に示した。
【0059】
比較例1
天然抽出物のみによる抗菌効果を観察するために、次の表1のような組成および組成比率で抗菌剤組成物を製造すること以外には上記実施例1と同様に実施した。上記ペーパーディスクの周辺に示される透明帯(Clear zone)の直径を測定した。得られた結果(抗菌効果)を次の表3に示した。
【0060】
比較例2
ナノシルバーだけによる抗菌効果を観察するために、次の表1のような組成および組成比率で抗菌剤組成物を製造すること以外には前記実施例1と同様に実施した。上記ペーパーディスクの周辺に示される透明帯(Clear zone)の直径を測定した。得られた結果(抗菌効果)を次の表3に示した。
【0061】
比較例3
天然エッセンシャルオイルだけによる抗菌力効果を観察するために、次の表1のような組成および組成比率で抗菌剤組成物を製造すること以外には前記実施例1と同様に実施した。前記ペーパーディスクの周辺に示される透明帯(Clear zone)の直径を測定した。得られた結果(抗菌効果)を次の表3に示した。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【0065】
表3に記載のように、実施例1は比較例1〜3と比べ、より広い透明帯(Clear Zone)を示すことから、天然抽出物、ナノシルバー、およびエッセンシャルオイルの各々による抗菌力より優れていることが分かり、これは、これらが互いに相乗効果を有し、より優れた抗菌効果を発揮するということが分かる。
【0066】
製造例1
次のような組成でハンドソープを製造した。製造した抗菌性ハンドソープに対する抗菌効果を測定した。得られた結果を次の表4に示した。
【0067】
【表4】

【0068】
比較製造例1
次のような組成で抗菌性を有するハンドソープを製造した。抗菌性ハンドソープに対する抗菌効果を測定した。得られた結果を次の表4に示した。
【0069】
【表5】

【0070】
比較製造例2
次のような組成で抗菌性を有するハンドソープを製造した。抗菌性ハンドソープに対する抗菌効果を測定した。得られた結果を次の表4に示した。
【0071】
【表6】

【0072】
比較製造例3
次のような組成で抗菌性を有するハンドソープを製造した。抗菌性ハンドソープに対する抗菌効果を測定した。得られた結果を次の表4に示した。
【0073】
【表7】

【0074】
【表8】

【0075】
保湿ハンドソープである製造例1、比較製造例1、比較製造例2、比較製造例3に対する抗菌力テストの結果、天然抽出物とナノシルバーおよび天然エッセンシャルオイルの相乗効果により抗菌力が増加することが分かった。
【0076】
上記発明の抗菌組成物は、次のような多様な製品に応用することができる。
【0077】
製造例2
次のような組成で抗菌性を有するアロマ芳香剤を製造した。
【0078】
【表9】

【0079】
製造例3
【表10】

【0080】
本発明の好ましい態様は例示のために開示されているが、添付された特許請求の範囲に開示された発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者であれば様々な改変、付加、および置換が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレープフルーツ、五行草(Portulaca oleracea L.)、および魚腥草(Houttuynia cordata Thunb)抽出物が、重量比1:1:1の混合液(w/w)で構成された天然抽出物10〜30重量%、濃度が50〜1000ppmのナノシルバー1〜5重量%、1つ以上の天然エッセンシャルオイル混合物5〜30重量%、および残りはエタノールからなることを特徴とする、抗菌剤組成物。
【請求項2】
前記天然抽出物が1〜5重量%、濃度50〜1000ppmのナノシルバーが3〜5重量%、および天然エッセンシャルオイルが5〜15重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ナノシルバー粒子の大きさが5〜20nmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記天然エッセンシャルオイルが、ユーカリオイル、ジャーマンカモミールオイル、シダーウッドオイル、シナモンオイル、ベルガモットオイル、レモンオイル、サイプレスオイル、レモングラスオイル、ジュニパーベリーオイル、ティーツリーオイル、ペパーミントオイル、ローズマリーオイル、サンダルウッドオイル、ジンジャーオイル、ラベンダーオイル、およびタイムオイルからなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−534675(P2008−534675A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505218(P2008−505218)
【出願日】平成17年4月9日(2005.4.9)
【国際出願番号】PCT/KR2005/001015
【国際公開番号】WO2006/109898
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(504253913)パイオンテック カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】PION−TECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】395−1, Hwasan−ri, Ochang−myeon, Cheongwon−gun, Chungcheongbuk−do, 363−885, Republic of Korea
【Fターム(参考)】