説明

媒体洗浄装置

【課題】2種類以上の洗浄液を別々に使用して媒体を洗浄する場合に、それら洗浄液の再利用性を高めることができる媒体洗浄装置を提供する。
【解決手段】媒体を横方向に搬送しながら、2種類以上の洗浄液を個別に用いて媒体を洗浄する媒体洗浄装置であって、1種類の洗浄液を用いて媒体を洗浄する洗浄機構を、媒体の搬送方向に沿って複数有し、洗浄機構は、洗浄液が蓄えられる第1タンクと、第1タンク内の洗浄液が供給され、媒体に当接して洗浄する少なくとも1つの洗浄手段と、媒体の洗浄に使用された洗浄液を浄化する浄化手段と、媒体の洗浄に使用された洗浄液が蓄えられる第2タンクと、第2タンク内の洗浄液を第1タンクに供給する洗浄液供給手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字などの情報が記録された媒体を洗浄する媒体洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文字などの情報が表面や裏面に記録された媒体(カードやシート)は、記録された情報を消去して新たな情報を記録する(リライタブル)ことで再利用される。情報の消去は、例えば特許文献1、2に開示されているような洗浄装置によって行われる。
【0003】
特許文献1の発明は、洗浄対象の媒体を横方向に搬送し、洗浄液層からローラで洗浄液を吸い上げ、そのローラで媒体を洗浄することで、媒体の所定の面に記録された情報を消去する。しかし、この文献には洗浄液の再利用についての開示がないので、特許文献1の発明は、洗浄液を頻繁に追加補充する必要がある。よって、洗浄液のコストがかかるとともに、追加補充する手間がかかるという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するために、洗浄液の再利用性(利用効率)を高める発明として、特許文献2に開示されている発明がある。この特許文献2の発明は、洗浄対象の媒体を縦方向に搬送し、洗浄液を上方から噴射して、搬送路の上流から下流に設けられた複数のブラシで媒体を洗浄することで、媒体の所定の面に記録された情報を消去する。この発明では、上方で噴射された洗浄液は、重力により上流のブラシから下流のブラシを伝っていき、一番下で回収され、再び上方の噴射位置へ引き上げられる仕組みとなっている。これにより、洗浄液が循環し、再利用されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−85685号公報
【特許文献2】特開2002−331270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、洗浄装置で洗浄される汚れは、媒体の使用により付着した軽微な汚れ(例えば手垢、塵、埃など)や印刷用インクを洗浄消去するときのインク成分はもちろん、媒体の使用環境が製造現場等である場合に付着する可能性のある油分(例えば防錆剤、機械油など)も含まれるため、1種類の洗浄液だけでは落ちにくい。従って、洗浄効果を高めるには、特性の異なる2種類以上の洗浄液を用いて、別々に媒体を洗浄することが望ましい。例えば、1つの洗浄液で油分を媒体から浮かせ、次のもう1つの洗浄液でその油分を媒体から分離させるというような手順で洗浄することにより、洗浄効果を高められる。
【0007】
しかしながら、特許文献2の発明では、洗浄液の使用は1種類を前提としており、2種類以上の洗浄液の使用は困難な構成となっている。その理由について説明する。特許文献2の発明は、上述したように、上方で噴射した洗浄液を、重力を利用して上方から下方へ移動させ、下方から再び吸い上げることで循環させる構成である。よって、特許文献2の発明において例えば2種類の洗浄液を使用するとなれば、2種類の洗浄液を両方とも上方から噴射するか、あるいは、2種類の洗浄液を搬送路上で別々に噴射するかということになる。しかし、いずれにしても2種類の洗浄液は搬送路上で混ざってしまい、適切な洗浄ができないおそれがある。すなわち、特許文献2の発明の構成は、2種類以上の洗浄液の使用に適用できない。また、特許文献2には、2種類以上の洗浄液を使用する場合の構成について開示も示唆もされていない。なお、特許文献1にも、2種類以上の洗浄液の使用する場合の構成について開示も示唆もされていない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、2種類以上の洗浄液を別々に使用して媒体を洗浄する場合に、それら洗浄液の再利用性を高めることができる媒体洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明の媒体洗浄装置は、媒体を横方向に搬送しながら、2種類以上の洗浄液を個別に用いて媒体を洗浄する媒体洗浄装置であって、1種類の洗浄液を用いて媒体を洗浄する洗浄機構を、媒体の搬送方向に沿って複数有し、洗浄機構は、洗浄液が蓄えられる第1タンクと、第1タンク内の洗浄液が供給され、媒体に当接して洗浄する少なくとも1つの洗浄手段と、媒体の洗浄に使用された洗浄液を浄化する浄化手段と、媒体の洗浄に使用された洗浄液が蓄えられる第2タンクと、第2タンク内の洗浄液を第1タンクに供給する洗浄液供給手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2種類以上の洗浄液を別々に使用して媒体を洗浄する場合に、それら洗浄液の再利用性を高めることができる媒体洗浄装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る媒体洗浄装置の構成例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
本発明の一実施形態に係る媒体洗浄装置について説明する。本実施形態の媒体洗浄装置は、表面に文字などの情報が記録(印刷)された媒体(例えば、ICカードやRFIDタグ内蔵シート等)を搬送し、特性の異なる2種類以上の洗浄液を別々に用いて洗浄することにより、媒体表面に記録された情報(印刷部分)を消去する。本実施形態では、例として、界面活性洗浄液、アルカリ性洗浄液、水を用いるものとする。洗浄の順番は、最初に界面活性洗浄液を用いた洗浄、次にアルカリ性洗浄液を用いた洗浄、最後に水を用いた洗浄(水洗い)という順番とする。
【0014】
本実施形態の媒体洗浄装置の構成例について、図1を参照して説明する。本実施形態の媒体洗浄装置には、媒体を搬送するための搬送路が設けられている。この搬送路は、媒体が搬入される位置である搬入位置60から、媒体が排出される位置である排出位置70までの間である。この搬送路上には複数のローラが設けられている。これらローラは、図示しない駆動手段(例えばモータ)によって回転駆動される。各ローラの回転により、各ローラ間を通過する媒体は、搬送路上を搬入位置60から排出位置70まで搬送されることになる。
【0015】
本実施形態の媒体洗浄装置は、上述したように、界面活性洗浄液を用いた洗浄、アルカリ性洗浄液を用いた洗浄、水を用いた洗浄の3段階の洗浄を行う。これら洗浄をそれぞれ行う機構として、本実施形態の媒体洗浄装置は、第1洗浄機構、第2洗浄機構、第3洗浄機構を有する。第1洗浄機構は、界面活性洗浄液を用いた洗浄を行う。第2洗浄機構は、アルカリ性洗浄液を用いた洗浄を行う。第3洗浄機構は、水を用いた洗浄を行う。各機構についてそれぞれ説明する。第1洗浄機構、第2洗浄機構、第3洗浄機構は、媒体の搬送方向(横方向、水平方向)に沿って順に設置される。
【0016】
第1洗浄機構は、洗浄ローラ1a、1b、1c、1d、1e、1f、拭取りローラ1g、1h、ノズル4、小タンク5、小タンク液量制御部6、フィルタ7、大タンク8、大タンク液量制御部9、ポンプ40を備える。洗浄ローラ1a〜1fの下方には小タンク5が備えられる。また、小タンク5の下方には大タンク8が備えられる。大タンク8の下方にはホース30が備えられる。洗浄ローラ1c近傍にはノズル4(ホース50の先端)が備えられる。なお、本実施形態では、ポンプ40を全ての洗浄機構に共通するものとしたが、洗浄機構毎にポンプ40を備えるようにしてもよい。
【0017】
小タンク5と大タンク8には、予め所定量の界面活性洗浄液が入っている。あるいは、大タンク8に予め所定量の界面活性洗浄液が入っていて、媒体洗浄装置の電源投入と同時に、大タンク8から界面活性洗浄液が小タンク5に供給され、所定量の界面活性洗浄液が小タンク5に溜まるという手順をとっても構わない。図1の例では、小タンク5には、矢印xで示す位置まで界面活性洗浄液が入っており、大タンク8には、矢印yで示す位置まで界面活性洗浄液が入っている。
【0018】
洗浄対象の媒体が搬入位置60に来たことが、図示しない検知手段(例えばセンサ)により検知されると、大タンク液量制御部9は、大タンク8内の所定量の界面活性洗浄液を大タンク8外へ送出するように制御する。この大タンク液量制御部9は、大タンク8の底部に設けられている。大タンク液量制御部9は、界面活性洗浄液をタンク外へ送出する制御を行う機能の他に、タンク内の液量が予め定められた量を下回ったことを検知し、図示しない制御手段(例えばCPU:Central Processing Unit)に通知する機能を有する。その通知を受けた制御手段は、画面表示や音声放出等によりユーザに液量不足を報知するよう制御する。なお、ここでは、上述したように検知手段と大タンク液量制御部9によって液量をコントロールしながら界面活性洗浄液を大タンク8から送出するが、別の例として、媒体洗浄装置の電源投入と同時に、大タンク液量制御部9により、大タンク8内の界面活性洗浄液が小タンク5に継続的に供給されるように制御する構成をとっても構わない。
【0019】
ホース30は、大タンク液量制御部9とポンプ40とを繋ぐ、界面活性洗浄液の流路である。大タンク8から送出された界面活性洗浄液は、ホース30を介してポンプ40へ入る。
【0020】
ポンプ40は、ホース30から入ってきた界面活性洗浄液を、ホース50へ送出する。ポンプ40は、複数の液体を別々に収容、送出することができるものであり、ここでは、ホース30から入ってきた界面活性洗浄液を、内蔵する界面活性洗浄液用の収容器(図示せず)に一旦収容した後で、ホース50へ送出する。
【0021】
ホース50は、ポンプ40で汲み上げられた界面活性洗浄液の流路であり、その一端には、汲み上げられた界面活性洗浄液を放出するためのノズル4が設けられている。図1の例では、ノズル4は、洗浄ローラ1cの右斜め上方に設けられている。ノズル4からは、ポンプ40にて汲み上げられた界面活性洗浄液が放出される。これにより、洗浄ローラ1cに界面活性洗浄液が付着(浸透)する。付着しなかった界面活性洗浄液は、小タンク5内に流れ落ち、蓄えられる。また、洗浄ローラ1cは、小タンク5内にほぼ収容されるようになっており、小タンク内5に貯蔵されている界面活性洗浄液に常に浸るようになっている。これにより、洗浄ローラ1cに界面活性洗浄液が確実に付着(浸透)する。なお、本実施形態では、ノズル4を洗浄ローラ1c近傍に設け、放出される洗浄液が洗浄ローラ1cに付着するように構成したが、放出される洗浄液が小タンク5へ直接供給されるように構成してもよい。
【0022】
洗浄ローラ1cの上方には、洗浄ローラ1aと1bが設けられている。洗浄ローラ1cと1bは当接しており、洗浄ローラ1bと1aは当接している。これら洗浄ローラ1a、1b、1cの少なくとも1つが図示しない駆動手段により回転駆動することで、全ての洗浄ローラが回転駆動する。この回転駆動により、洗浄ローラ1cに付着した界面活性洗浄液は、1b及び1aにも付着する。その後、搬入位置60から搬送されてくる媒体が洗浄ローラ1aと1bの間を通過することで、各洗浄ローラに付着している界面活性洗浄液により媒体の両面が洗浄されることになる。なお、洗浄ローラ1aと1bは、洗浄のときに媒体の両面に付着した界面活性洗浄液をある程度取り除いてから搬送路に排出する。
【0023】
洗浄ローラ1a、1b、1cの左隣には、洗浄ローラ1a、1b、1cと同様の構成である洗浄ローラ1d、1e、1fが設けられている。洗浄ローラ1fは、上記洗浄ローラ1cと同様に、小タンク内5に貯蔵されている界面活性洗浄液に常に浸るようになっている。これにより、洗浄ローラ1fに界面活性洗浄液が確実に付着する。
【0024】
洗浄ローラ1fの上方には、洗浄ローラ1eと1dが設けられている。洗浄ローラ1fと1eは当接しており、洗浄ローラ1eと1dは当接している。これら洗浄ローラ1d、1e、1fの少なくとも1つが図示しない駆動手段により回転駆動することで、全ての洗浄ローラが回転駆動する。この回転駆動により、洗浄ローラ1fに付着した界面活性洗浄液は、1e及び1dにも付着する。その後、洗浄ローラ1aと1bを通過して搬送されてくる媒体が洗浄ローラ1dと1eの間を通過することで、各洗浄ローラに付着している界面活性洗浄液により媒体の両面が洗浄されることになる。なお、洗浄ローラ1dと1eは、洗浄のときに媒体の両面に付着した界面活性洗浄液をある程度取り除いてから搬送路に排出する。
【0025】
洗浄ローラ1d、1e、1fの左隣には、拭取りローラ1g、1hが設けられている。洗浄ローラ1dと1eの間を通過して搬送されてくる媒体は、これら拭取りローラ1gと1hの間を通過することで、媒体の両面に付着していた界面活性洗浄液が拭き取られる。媒体が拭取りローラ1gと1hを通過すると、界面活性洗浄液を用いた洗浄が終了となり、次は、第2洗浄機構によるアルカリ性洗浄液を用いた洗浄が開始される。これについては後述する。
【0026】
なお、各洗浄ローラによる媒体の洗浄のときやノズル4からの放出のときに、下方に流れ落ちる界面活性洗浄液は、小タンク5に収容されることになる。小タンク5の中央には、開口部を備えた小タンク液量制御部6が設けられている。小タンク液量制御部6は、小タンク5内の界面活性洗浄液の量を一定に保つよう制御する。図1の例では、開口部の面と、界面活性洗浄液の水位(矢印xで示す位置)とが同じ位置になっている。小タンク5内に流れ落ちてきた界面活性洗浄液でかさが増し、上記水位を超えると、溢れた界面活性洗浄液が開口部からタンク下方へ流れ落ちるようになっている。
【0027】
小タンク5の下方には、大タンク8が設けられている。なお、本実施形態では、例として、小タンク5のすぐ下にフィルタ7が設けられている。フィルタ7は、小タンク液量制御部6から流れ落ちてくる界面活性洗浄液の不純物等を取り除く。フィルタ7により浄化された界面活性洗浄液は、さらに下方へ落ちる。なお、フィルタ7の設置位置は、図1の例に限定されない(例えば、ホース30における任意の位置であってもよい)。
【0028】
大タンク8には、フィルタ7から落下した界面活性洗浄液が蓄えられる。蓄えられた界面活性洗浄液は、大タンク液量制御部9の制御により、所定のタイミング(例えば、媒体の搬入位置60到達時)で大タンク8外へ送出され、ホース30を介してポンプ40へ供給される。
【0029】
このようにして、第1洗浄機構では、界面活性洗浄液を循環させることで再利用を実現している。
【0030】
第2洗浄機構は、洗浄ローラ2a、2b、2c、2d、2e、2f、拭取りローラ2g、2h、ノズル10、小タンク11、小タンク液量制御部12、フィルタ13、大タンク14、大タンク液量制御部15、ポンプ40を備える。洗浄ローラ2a〜2fの下方には小タンク11が備えられる。また、小タンク11の下方には大タンク14が備えられる。大タンク14の下方にはホース31が備えられる。洗浄ローラ2c近傍にはノズル10(ホース51の先端)が備えられる。
【0031】
小タンク11と大タンク14には、予め所定量のアルカリ性洗浄液が入っている。あるいは、大タンク14に予め所定量のアルカリ性洗浄液が入っていて、媒体洗浄装置の電源投入と同時に、大タンク14からアルカリ性洗浄液が小タンク11に供給され、所定量のアルカリ性洗浄液が小タンク11に溜まるという手順をとっても構わない。図1の例では、小タンク11には、矢印xで示す位置までアルカリ性洗浄液が入っており、大タンク14には、矢印yで示す位置までアルカリ性洗浄液が入っている。
【0032】
洗浄対象の媒体が第1洗浄機構(拭取りローラ1g、1h)を出たことが、図示しない検知手段(例えばセンサ)により検知されると、大タンク液量制御部15は、大タンク14内の所定量のアルカリ性洗浄液を大タンク14外へ送出するように制御する。この大タンク液量制御部15は、大タンク14の底部に設けられている。大タンク液量制御部15は、アルカリ性洗浄液をタンク外へ送出する制御を行う機能の他に、タンク内の液量が予め定められた量を下回ったことを検知し、図示しない制御手段(例えばCPU)に通知する機能を有する。その通知を受けた制御手段は、画面表示や音声放出等によりユーザに液量不足を報知するよう制御する。なお、ここでは、上述したように検知手段と大タンク液量制御部15によって液量をコントロールしながらアルカリ性洗浄液を大タンク14から送出するが、別の例として、媒体洗浄装置の電源投入と同時に、大タンク液量制御部15により、大タンク14内のアルカリ性洗浄液が小タンク11に継続的に供給されるように制御する構成をとっても構わない。
【0033】
ホース31は、大タンク液量制御部15とポンプ40とを繋ぐ、アルカリ性洗浄液の流路である。大タンク14から送出されたアルカリ性洗浄液は、ホース31を介してポンプ40へ入る。
【0034】
ポンプ40は、ホース31から入ってきたアルカリ性洗浄液を、ホース51へ送出する。ポンプ40は、複数の液体を別々に収容、送出することができるものであり、ここでは、ホース31から入ってきたアルカリ性洗浄液を、内蔵するアルカリ性洗浄液用の収容器(図示せず)に一旦収容した後で、ホース51へ送出する。
【0035】
ホース51は、ポンプ40で汲み上げられたアルカリ性洗浄液の流路であり、その一端には、汲み上げられたアルカリ性洗浄液を放出するためのノズル10が設けられている。図1の例では、ノズル10は、洗浄ローラ2cの右斜め上方に設けられている。ノズル10からは、ポンプ40にて汲み上げられたアルカリ性洗浄液が放出される。これにより、洗浄ローラ2cにアルカリ性洗浄液が付着(浸透)する。付着しなかったアルカリ性洗浄液は、小タンク11内に流れ落ち、蓄えられる。また、洗浄ローラ2cは、小タンク11内にほぼ収容されるようになっており、小タンク内11に貯蔵されているアルカリ性洗浄液に常に浸るようになっている。これにより、洗浄ローラ2cにアルカリ性洗浄液が確実に付着(浸透)する。なお、本実施形態では、ノズル10を洗浄ローラ2c近傍に設け、放出される洗浄液が洗浄ローラ2cに付着するように構成したが、放出される洗浄液が小タンク11へ直接供給されるように構成してもよい。
【0036】
洗浄ローラ2cの上方には、洗浄ローラ2aと2bが設けられている。洗浄ローラ2cと2bは当接しており、洗浄ローラ2bと2aは当接している。これら洗浄ローラ2a、2b、2cの少なくとも1つが図示しない駆動手段により回転駆動することで、全ての洗浄ローラが回転駆動する。この回転駆動により、洗浄ローラ2cに付着したアルカリ性洗浄液は、2b及び2aにも付着する。その後、第1洗浄機構から出て搬送されてくる媒体が洗浄ローラ2aと2bの間を通過することで、各洗浄ローラに付着しているアルカリ性洗浄液により媒体の両面が洗浄されることになる。なお、洗浄ローラ2aと2bは、洗浄のときに媒体の両面に付着したアルカリ性洗浄液をある程度取り除いてから搬送路に排出する。
【0037】
洗浄ローラ2a、2b、2cの左隣には、洗浄ローラ2a、2b、2cと同様の構成である洗浄ローラ2d、2e、2fが設けられている。洗浄ローラ2fは、上記洗浄ローラ2cと同様に、小タンク内11に貯蔵されているアルカリ性洗浄液に常に浸るようになっている。これにより、洗浄ローラ2fにアルカリ性洗浄液が確実に付着する。
【0038】
洗浄ローラ2fの上方には、洗浄ローラ2eと2dが設けられている。洗浄ローラ2fと2eは当接しており、洗浄ローラ2eと2dは当接している。これら洗浄ローラ2d、2e、2fの少なくとも1つが図示しない駆動手段により回転駆動することで、全ての洗浄ローラが回転駆動する。この回転駆動により、洗浄ローラ2fに付着したアルカリ性洗浄液は、2e及び2dにも付着する。その後、洗浄ローラ2aと2bを通過して搬送されてくる媒体が洗浄ローラ2dと2eの間を通過することで、各洗浄ローラに付着しているアルカリ性洗浄液により媒体の両面が洗浄されることになる。なお、洗浄ローラ2dと2eは、洗浄のときに媒体の両面に付着したアルカリ性洗浄液をある程度取り除いてから搬送路に排出する。
【0039】
洗浄ローラ2d、2e、2fの左隣には、拭取りローラ2g、2hが設けられている。洗浄ローラ2dと2eの間を通過して搬送されてくる媒体は、これら拭取りローラ2gと2hの間を通過することで、媒体の両面に付着していたアルカリ性洗浄液が拭き取られる。媒体が拭取りローラ2gと2hを通過すると、アルカリ性洗浄液を用いた洗浄が終了となり、次は、第3洗浄機構による水を用いた洗浄が開始される。これについては後述する。
【0040】
なお、各洗浄ローラによる媒体の洗浄のときやノズル10からの放出のときに、下方に流れ落ちるアルカリ性洗浄液は、小タンク11に収容されることになる。小タンク11の中央には、開口部を備えた小タンク液量制御部12が設けられている。小タンク液量制御部12は、小タンク11内のアルカリ性洗浄液の量を一定に保つよう制御する。図1の例では、開口部の面と、アルカリ性洗浄液の水位(矢印xで示す位置)とが同じ位置になっている。小タンク11内に流れ落ちてきたアルカリ性洗浄液でかさが増し、上記水位を超えると、溢れたアルカリ性洗浄液が開口部からタンク下方へ流れ落ちるようになっている。
【0041】
小タンク11の下方には、大タンク14が設けられている。なお、本実施形態では、例として、小タンク11のすぐ下にフィルタ13が設けられている。フィルタ13は、小タンク液量制御部12から流れ落ちてくるアルカリ性洗浄液の不純物等を取り除く。フィルタ13により浄化されたアルカリ性洗浄液は、さらに下方へ落ちる。なお、フィルタ13の設置位置は、図1の例に限定されない(例えば、ホース31における任意の位置であってもよい)。
【0042】
大タンク14には、フィルタ13から落下したアルカリ性洗浄液が蓄えられる。蓄えられたアルカリ性洗浄液は、大タンク液量制御部15の制御により、所定のタイミング(例えば、第1洗浄機構での洗浄終了時)で大タンク14外へ送出され、ホース31を介してポンプ40へ供給される。
【0043】
このようにして、第2洗浄機構では、アルカリ性洗浄液を循環させることで再利用を実現している。
【0044】
第3洗浄機構は、洗浄ローラ3a、3b、3c、3d、3e、3f、拭取りローラ3g、2h、ノズル16、小タンク17、小タンク液量制御部18、フィルタ19、大タンク20、大タンク液量制御部21、ポンプ40を備える。洗浄ローラ3a〜3fの下方には小タンク17が備えられる。また、小タンク17の下方には大タンク20が備えられる。大タンク20の下方にはホース32が備えられる。洗浄ローラ3c近傍にはノズル16(ホース52の先端)が備えられる。
【0045】
小タンク17と大タンク20には、予め所定量の水が入っている。あるいは、大タンク20に予め所定量の水が入っていて、媒体洗浄装置の電源投入と同時に、大タンク20から水が小タンク17に供給され、所定量の水が小タンク17に溜まるという手順をとっても構わない。図1の例では、小タンク17には、矢印xで示す位置まで水が入っており、大タンク20には、矢印yで示す位置まで水が入っている。
【0046】
洗浄対象の媒体が第2洗浄機構(拭取りローラ2g、2h)を出たことが、図示しない検知手段(例えばセンサ)により検知されると、大タンク液量制御部21は、大タンク20内の所定量の水を大タンク20外へ送出するように制御する。この大タンク液量制御部21は、大タンク20の底部に設けられている。大タンク液量制御部21は、水をタンク外へ送出する制御を行う機能の他に、タンク内の液量が予め定められた量を下回ったことを検知し、図示しない制御手段(例えばCPU)に通知する機能を有する。その通知を受けた制御手段は、画面表示や音声放出等によりユーザに液量不足を報知するよう制御する。なお、ここでは、上述したように検知手段と大タンク液量制御部21によって液量をコントロールしながら水を大タンク20から送出するが、別の例として、媒体洗浄装置の電源投入と同時に、大タンク液量制御部21により、大タンク20内の水を小タンク17に継続的に供給するように制御する構成をとっても構わない。
【0047】
ホース32は、大タンク液量制御部21とポンプ40とを繋ぐ、水の流路である。大タンク20から送出された水は、ホース32を介してポンプ40へ入る。
【0048】
ポンプ40は、ホース32から入ってきた水を、ホース52へ送出する。ポンプ40は、複数の液体を別々に収容、送出することができるものであり、ここでは、ホース32から入ってきた水を、内蔵する水用の収容器(図示せず)に一旦収容した後で、ホース52へ送出する。
【0049】
ホース52は、ポンプ40で汲み上げられた水の流路であり、その一端には、汲み上げられた水を放出するためのノズル16が設けられている。図1の例では、ノズル16は、洗浄ローラ3cの右斜め上方に設けられている。ノズル16からは、ポンプ40にて汲み上げられた水が放出される。これにより、洗浄ローラ3cに水が付着(浸透)する。付着しなかった水は、小タンク17内に流れ落ち、蓄えられる。また、洗浄ローラ3cは、小タンク17内にほぼ収容されるようになっており、小タンク内17に貯蔵されている水に常に浸るようになっている。これにより、洗浄ローラ3cに水が確実に付着(浸透)する。なお、本実施形態では、ノズル16を洗浄ローラ3c近傍に設け、放出される水が洗浄ローラ3cに付着するように構成したが、放出される水が小タンク17へ直接供給されるように構成してもよい。
【0050】
洗浄ローラ3cの上方には、洗浄ローラ3aと3bが設けられている。洗浄ローラ3cと3bは当接しており、洗浄ローラ3bと3aは当接している。これら洗浄ローラ3a、3b、3cの少なくとも1つが図示しない駆動手段により回転駆動することで、全ての洗浄ローラが回転駆動する。この回転駆動により、洗浄ローラ3cに付着した水は、3b及び3aにも付着する。その後、第2洗浄機構から出て搬送されてくる媒体が洗浄ローラ3aと3bの間を通過することで、各洗浄ローラに付着している水により媒体の両面が洗浄されることになる。なお、洗浄ローラ3aと3bは、洗浄のときに媒体の両面に付着した水をある程度取り除いてから搬送路に排出する。
【0051】
洗浄ローラ3a、3b、3cの左隣には、洗浄ローラ3a、3b、3cと同様の構成である洗浄ローラ3d、3e、3fが設けられている。洗浄ローラ3fは、上記洗浄ローラ3cと同様に、小タンク内17に貯蔵されている水に常に浸るようになっている。これにより、洗浄ローラ3fに水が確実に付着する。
【0052】
洗浄ローラ3fの上方には、洗浄ローラ3eと3dが設けられている。洗浄ローラ3fと3eは当接しており、洗浄ローラ3eと3dは当接している。これら洗浄ローラ3d、3e、3fの少なくとも1つが図示しない駆動手段により回転駆動することで、全ての洗浄ローラが回転駆動する。この回転駆動により、洗浄ローラ3fに付着した水は、3e及び3dにも付着する。その後、洗浄ローラ3aと3bを通過して搬送されてくる媒体が洗浄ローラ3dと3eの間を通過することで、各洗浄ローラに付着している水により媒体の両面が洗浄されることになる。なお、洗浄ローラ3dと3eは、洗浄のときに媒体の両面に付着した水をある程度取り除いてから搬送路に排出する。
【0053】
洗浄ローラ3d、3e、3fの左隣には、拭取りローラ3g、3hが設けられている。洗浄ローラ3dと3eの間を通過して搬送されてくる媒体は、これら拭取りローラ3gと3hの間を通過することで、媒体の両面に付着していた水が拭き取られる。媒体は、拭取りローラ3gと3hを通過すると、水を用いた洗浄が終了となり、排出位置70に至る。このように全ての洗浄工程を経た媒体は、排出位置70から本実施形態の媒体洗浄装置の外部へ排出される。
【0054】
なお、各洗浄ローラによる媒体の洗浄のときやノズル16からの放出のときに、下方に流れ落ちる水は、小タンク17に収容されることになる。小タンク17の中央には、開口部を備えた小タンク液量制御部18が設けられている。小タンク液量制御部18は、小タンク17内の水の量を一定に保つよう制御する。図1の例では、開口部の面と、水の水位(矢印xで示す位置)とが同じ位置になっている。小タンク17内に流れ落ちてきた水でかさが増し、上記水位を超えると、溢れた水が開口部からタンク下方へ流れ落ちるようになっている。
【0055】
小タンク17の下方には、大タンク20が設けられている。なお、本実施形態では、例として、小タンク17のすぐ下にフィルタ19が設けられている。フィルタ19は、小タンク液量制御部18から流れ落ちてくる水の不純物等を取り除く。フィルタ19により浄化された水は、さらに下方へ落ちる。なお、フィルタ19の設置位置は、図1の例に限定されない(例えば、ホース32における任意の位置であってもよい)。
【0056】
大タンク20には、フィルタ19から落下した水が蓄えられる。蓄えられた水は、大タンク液量制御部21の制御により、所定のタイミング(例えば、第2洗浄機構での洗浄終了時)で大タンク20外へ送出され、ホース32を介してポンプ40へ供給される。
【0057】
このようにして、第3洗浄機構では、水を循環させることで再利用を実現している。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、2種類以上の洗浄液を別々に使用して媒体を洗浄する場合に、それら洗浄液の再利用性を高めることができる。よって、洗浄液を補充する頻度を減少させることができるので、洗浄液のコストを削減することができるとともに、ユーザによる洗浄液の補充作業を軽減することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1a、1b、1c、1d、1e、1f、2a、2b、2c、2d、2e、2f、3a、3b、3c、3d、3e、3f 洗浄ローラ(洗浄手段の一例)
1g、1h、2g、2h、3g、3h 拭取りローラ
4、10、16 ノズル(液体供給手段の一例)
5、11、17 小タンク(第1タンクの一例)
6、12、18 小タンク液量制御部(第1タンク液量制御手段の一例)
7、13、19 フィルタ(浄化手段の一例)
8、14、20 大タンク(第2タンクの一例)
9、15、21 大タンク液量制御部(第2タンク液量制御手段の一例)
30、31、32、50、51、52 ホース(液体供給手段の一例)
40 ポンプ(液体供給手段の一例)
60 搬入位置
70 排出位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を横方向に搬送しながら、2種類以上の洗浄液を個別に用いて前記媒体を洗浄する媒体洗浄装置であって、
1種類の洗浄液を用いて前記媒体を洗浄する洗浄機構を、前記媒体の搬送方向に沿って複数有し、
前記洗浄機構は、
前記洗浄液が蓄えられる第1タンクと、
前記第1タンク内の洗浄液が供給され、前記媒体に当接して洗浄する少なくとも1つの洗浄手段と、
前記媒体の洗浄に使用された洗浄液を浄化する浄化手段と、
前記媒体の洗浄に使用された洗浄液が蓄えられる第2タンクと、
前記第2タンク内の洗浄液を前記第1タンクに供給する洗浄液供給手段と、
を有することを特徴とする媒体洗浄装置。
【請求項2】
前記第1タンクに蓄えられる洗浄液の量を一定に保つように制御する第1タンク液量制御手段を有し、
前記第1タンク液量制御手段は、
前記第1タンク内の洗浄液の量が予め定められた液量を超えた場合、超えた分の洗浄液を前記第2タンクへ送出することを特徴とする請求項1記載の媒体洗浄装置。
【請求項3】
前記第2タンクに蓄えられる洗浄液の量を一定に保つように制御する第2タンク液量制御手段を有し、
前記第2タンク液量制御手段は、
予め定められたタイミングで前記第2タンク内の所定量の洗浄液を前記洗浄液供給手段へ送出することを特徴とする請求項1又は2記載の媒体洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄手段の下方に前記第1タンクが設けられ、前記第1タンクの下方に前記第2タンクが設けられており、
前記媒体の洗浄に使用された洗浄液は、前記洗浄手段を伝うことで、及び、前記洗浄手段から落下することで、前記第1タンクに回収され、
前記第1タンクに回収された洗浄液は、前記第1タンク内において予め定められた液量を超えた分の洗浄液が前記第2タンクへ落下することで、前記第2タンクに回収されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の媒体洗浄装置。
【請求項5】
前記浄化手段は、
前記第1タンクと前記第2タンクの間に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の媒体洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄機構は、
界面活性洗浄液を用いて前記媒体を洗浄する第1洗浄機構と、
アルカリ性洗浄液を用いて前記第1洗浄機構で洗浄された媒体を洗浄する第2洗浄機構と、
水を用いて前記第2洗浄機構で洗浄された媒体を洗浄する第3洗浄機構と、
であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の媒体洗浄装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−72918(P2011−72918A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227079(P2009−227079)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】