説明

安全装置、画像形成装置、安全管理プログラム、及び安全制御プログラム

【課題】簡易な構成及び処理で異常負荷が含まれる箇所を判定する。
【解決手段】画像形成プロセスに応じた駆動パルスを生成して各モータドライバへ入力し、この駆動パルスに基づいて各モータドライバがそれぞれ対応するモータを駆動する。この際の駆動電流の総和を抵抗17で検出する。また、複数の駆動パルスを合成してS/H信号を生成し、サンプルホールド信号がオンの期間の駆動電流の電流値をS/H回路18にホールドし、ホールドされた電流値に基づいて消費電力量を算出する。駆動電流の総和が電流閾値ThrI以上で、かつ、消費電力量が電力閾値ThrJより小さいときには、駆動パルスのタイミングと駆動電流の総和が電流閾値ThrI以上となったタイミングを比較して異常負荷を含む箇所を特定して給電を停止し、駆動電流の総和が電流閾値ThrI以上で、かつ、消費電力量が電力閾値ThrJ以上のときには、駆動電流値を下げるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全装置、画像形成装置、安全管理プログラム、及び安全制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メインモータの駆動電流を直列抵抗で電圧に変換して検知し、検知した電圧をアナログ/デジタル(A/D)変換器でデジタル変換した出力値をCPUに出力し、CPUで、メインモータの定格入力電流のときの電圧値を閾値として出力値と比較し、出力値が閾値を超えたときに表示パネルに過負荷表示をさせる安全装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、電源装置内部の異常かもしくは負荷装置側の異常かは不明であるが、電源回路内の異常検出回路により異常が検出された場合、電源装置内への電力供給を一旦オフした後、再度オンする機能を持った第1のスイッチング手段と、電源装置内が正常に動作していることが判明した後、負荷装置側へ電力を供給する機能を持った第2のスイッチング手段と、画像形成装置に多大な損害やユーザに危害を及ぼす可能性のある漏電や商用電源の異常による入力過電圧に対して、商用電源からの電力供給をオンオフする機能を持った第3のスイッチを備えた電源装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−304718号公報
【特許文献2】特開2007−60817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、本構成を有さない場合と比較して、簡易な構成及び処理で異常負荷が含まれる箇所を判定することができる安全装置、画像形成装置、安全管理プログラム、及び安全制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の安全装置は、各々入力された駆動信号に応じて、画像形成プロセスを実行する複数の負荷の各々を駆動する複数の駆動手段と、前記画像形成プロセスに応じた駆動信号を生成し、生成した前記駆動信号を前記駆動手段に入力する入力手段と、前記複数の負荷の駆動電流の総和を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記駆動電流の総和が予め定められた電流閾値を超過したタイミングと、前記入力手段で生成された駆動信号のタイミングとを比較し、前記駆動電流の総和が予め定められた電流閾値を超過したタイミングでオンとなっている駆動信号に対応する駆動手段によって駆動されている負荷のいずれかに異常が発生していると判定する判定手段と、を含んで構成されている。
【0007】
また、請求項2の安全装置は、前記複数の駆動手段に入力する駆動信号を合成し、前記複数の負荷のいずれかが駆動状態であることを表すサンプルホールド信号を生成するサンプルホールド信号生成手段と、前記サンプルホールド信号生成手段で生成されたサンプルホールド信号がオンの期間の駆動電流の電流値をホールドするサンプルホールド回路と、前記サンプルホールド回路にホールドされた電流値と前記期間とに基づいて消費電力量を算出する算出手段と、前記駆動電流の総和が前記電流閾値以上で、かつ、前記算出手段で算出された消費電力量が予め定めた電力閾値より小さいときに、前記複数の負荷へ供給される電流値を下げるように制御し、前記駆動電流の総和が前記電流閾値以上で、かつ、前記算出手段で算出された消費電力量が前記電力閾値以上のときに、前記判定手段でいずれかに異常が発生していると判定された負荷への給電を停止するように制御する制御手段と、をさらに含んで構成されている。
【0008】
また、請求項3の画像形成装置は、請求項1または請求項2記載の安全装置を備えた画像形成装置である。
【0009】
また、請求項4の安全管理プログラムは、コンピュータを、画像形成プロセスに応じた駆動信号を生成し、各々入力された駆動信号に応じて前記画像形成プロセスを実行する複数の負荷の各々を駆動する複数の駆動手段に、生成した前記駆動信号を入力する入力手段と、前記複数の負荷の駆動電流の総和を検出する検出手段によって検出された前記駆動電流の総和が予め定められた電流閾値を超過したタイミングと、前記入力手段で生成された駆動信号のタイミングとを比較し、前記駆動電流の総和が予め定められた電流閾値を超過したタイミングでオンとなっている駆動信号に対応する駆動手段によって駆動されている負荷のいずれかに異常が発生していると判定する判定手段として機能させるためのプログラムである。
【0010】
また、請求項5の安全制御プログラムは、コンピュータを、画像形成プロセスに応じた駆動信号を生成し、各々入力された駆動信号に応じて前記画像形成プロセスを実行する複数の負荷の各々を駆動する複数の駆動手段に、生成した前記駆動信号を入力する入力手段と、前記複数の負荷の駆動電流の総和を検出する検出手段によって検出された前記駆動電流の総和が予め定められた電流閾値を超過したタイミングと、前記入力手段で生成された駆動信号のタイミングとを比較し、前記駆動電流の総和が予め定められた電流閾値を超過したタイミングでオンとなっている駆動信号に対応する駆動手段によって駆動されている負荷のいずれかに異常が発生していると判定する判定手段と、前記複数の駆動手段に入力する駆動信号を合成し、前記複数の負荷のいずれかが駆動状態であることを表すサンプルホールド信号を生成するサンプルホールド信号生成手段と、前記サンプルホールド信号生成手段で生成されたサンプルホールド信号がオンの期間の駆動電流の電流値をホールドするサンプルホールド回路にホールドされた電流値と前記期間とに基づいて消費電力量を算出する算出手段と、前記駆動電流の総和が前記電流閾値以上で、かつ、前記算出手段で算出された消費電力量が予め定めた電力閾値より小さいときに、前記複数の負荷へ供給される電流値を下げるように制御し、前記駆動電流の総和が前記電流閾値以上で、かつ、前記算出手段で算出された消費電力量が前記電力閾値以上のときに、前記判定手段でいずれかに異常が発生していると判定された負荷への給電を停止するように制御する制御手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、請求項1の安全装置、及び請求項4の安全管理プログラムによれば、本構成を有さない場合と比較して、簡易な構成及び処理で異常負荷が含まれる箇所を判定することができる、という効果を得られる。
【0012】
また、請求項2の安全装置、及び請求項5の安全制御プログラムによれば、本構成を有さない場合と比較して、異常が発生した場合に、柔軟な対応で安全制御を行うことができる、という効果を得られる。
【0013】
また、請求項3の画像形成装置によれば、本構成を有さない場合と比較して、簡易な構成及び処理で異常負荷が含まれる箇所を判定することができ、異常が発生した場合に、柔軟な対応で安全制御を行うことができる、という効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】本実施の形態の安全装置の構成を示す概略図である。
【図3】本実施の形態の画像形成装置における安全制御処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】本実施の形態の画像形成装置におけるスリープ時安全制御処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】スリープ時(異常なし)の駆動電流、各モータの駆動パルス、及びS/Hパルスを示す図である。
【図6】スリープ時(電源異常)の駆動電流、各モータの駆動パルス、及びS/Hパルスを示す図である。
【図7】本実施の形態の画像形成装置におけるラン時安全制御処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】ラン時(異常なし)の駆動電流、各モータの駆動パルス、及びS/Hパルスを示す図である。
【図9】ラン時(モータ異常)の駆動電流、各モータの駆動パルス、及びS/Hパルスを示す図である。
【図10】ラン時(電源異常)の駆動電流、各モータの駆動パルス、及びS/Hパルスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。図1に示すように、画像形成装置10は、用紙を搬送する搬送部と、画像を形成する画像形成部と、により構成されている。
【0017】
搬送部には、給紙トレイ20が備えられており、画像を形成する記録媒体としての用紙が積み重ねられて格納される。給紙トレイ20に積み重ねられた用紙の上面側には、ピックアップロール22及び給紙ロール26が設けられている。当該ピックアップロール22はナジャーソレノイド24の動作により用紙に当接又は離間されると共に回転可能に構成されている。また、給紙ロール26も回転可能となっており、ピックアップロール22が用紙に当接された状態で回転されると、用紙が1枚給紙トレイ20から持ち出される。持ち出された用紙の先端が給紙ロール26に到達すると、給紙ロール26の回転により用紙は画像形成部への搬送経路上に給紙される。
【0018】
給紙ロール26の用紙の給紙方向下流側には、搬送ロール28A、28Bが用紙の搬送経路に沿って配設されている。さらに、用紙の搬送経路上の画像形成部近傍側には、レジロール30が配設されている。レジロール30は、搬送経路上を搬送されてきた用紙の先端を一旦停止させて搬送タイミングを調節する。
【0019】
一方、画像形成部には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の色毎に、円筒状の感光体ドラム50Y、50M、50C、50Kが備えられている。各感光体ドラム50の周面には、イレーズランプ52、帯電器56、現像ロール60、及び一次転写ロール62がそれぞれ順に配設されており、感光体ドラム50は軸心が固定されて回転されて表面が各部位に順次対向されるようになっている。また、図示は省略するが、感光体ドラム50の周面にレーザ光を照射可能な位置にレーザ露光装置が設けられている。感光体ドラム50、イレーズランプ52、帯電器56、現像ロール60、一次転写ロール62、及びレーザ露光装置で1色分の画像形成ユニットを構成しており、各色に対応した4つの画像形成ユニットが中間転写ベルト68に沿って一定の間隔を空けて水平に配列されている。
【0020】
中間転写ベルト68は、ドライブロール64、アイドルロール66、各一次転写ロール62、及び二次転写ロール58に一定のテンションで掛け回されており、中間転写体として図中矢印Aの方向に回転する。
【0021】
4つの画像形成ユニットは、入力された画像データに基づいて各色のトナー像を順次形成し、これら複数のトナー像が互いに重ね合わせられるタイミングで中間転写ベルト68に転写(一次転写)する。搬送部から供給された用紙は、搬送路上を搬送され、中間転写ベルト68上に多重に転写された各色のトナー像が一括して転写(二次転写)され、転写されたトナー像が定着器40によって定着され、排出ロール32によって外部に排出される。
【0022】
定着器40は、加圧、加熱機能を持つ一対の定着ロール42A、42Bを備えており、定着ロール42Bには、熱源としてのハロゲンランプ44が設けられている。定着器40は、ハロゲンランプ44が点灯することによって定着ロール42A、42Bが所定温度になるように加熱され、用紙に転写されたトナー像が、この加熱された定着ロール42A、42Bによる加熱及び加圧によって定着される。
【0023】
また、搬送部は、両面印刷を行うための用紙搬送機構を備えている。上記のような順序で表面の印刷が終わった後、外部へ用紙が完全に排出される前に、ゲートソレノイド34により用紙が反転路へ供給され、搬送ロール28Cを経て、反転ロール36へ供給される。所定位置まで用紙が搬送されたところで、反転クラッチ38により反転ロールが反転されて、用紙が搬送ロール28Dへ送られ、搬送ロール28E、28F、28A、28B、及びレジロール30を経て、再びに二次転写位置へ供給され、用紙の裏面側が印刷される。
【0024】
また、画像形成装置10は、フィードモータ70、テイクアウェイモータ72、レジモータ74、メインモータ76、フューザモータ78、イグジットモータ80、及びデュプレクスモータ82を備えている。
【0025】
フィードモータ70の駆動力はピックアップロール22、及び給紙ロール26に、テイクアウェイモータ72の駆動力は搬送ロール28A、28Bに、レジモータ74の駆動力はレジロール30に、メインモータ76の駆動力は4つの画像形成ユニット、ドライブロール64、及び二次転写ロール58に、フューザモータ78の駆動力は定着器40に、イグジットモータ80の駆動力は排出ロール32に、デュプレクスモータ82の駆動力は搬送ロール28C〜28F、反転ロール36、及び反転クラッチ38にそれぞれ伝達される。各モータは、それぞれ対応するモータドライバを介して後述する制御部14と接続されている。
【0026】
本実施の形態の画像形成装置10は、図2に示すような安全装置12を含んで構成されている。安全装置12は、画像形成装置10全体の動作を制御する制御部14、各モータに電力を供給するための電源15、電源のオンオフを行うスイッチ回路16、各モータの駆動電流の総和を検出するための抵抗17、駆動電流をサンプルホールドするためのサンプルホールド(S/H)回路18、並びに検出した駆動電流の総和及びS/H回路18の出力値をデジタル値に変換して制御部14へ入力するアナログ/デジタル(A/D)変換回路19を備えている。なお、図2では、フィードモータ70及びデュプレクスモータ82と各々に対応するモータドライバのみを表示し、その他のモータに関する部分については記載を省略している。記載を省略したモータも含め、全てのモータの駆動電流の総和が抵抗17で検出される。
【0027】
制御部14は、画像形成装置10全体の制御を司るCPU、後述する安全制御プログラム等各種プログラムを記憶した記憶媒体としてのROM、ワークエリアとしてデータを一時格納するRAM、各種情報が記憶された記憶手段としてのメモリ、I/O(入出力)ポート、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。
【0028】
制御部14では、画像形成プロセスに応じた駆動パルスを生成し、生成した駆動パルスを各モータドライバへ入力する。この駆動パルスに基づいて各モータドライバがそれぞれ対応するモータを駆動する。この際の駆動電流が抵抗17で検出され、A/D変換回路19でデジタル値に変換されて制御部14に入力される。また、制御部14は、各モータドライバへ入力した駆動パルスの論理和からサンプル/ホールド(S/H)パルスを生成し、S/H回路18へ入力する。S/H回路18では、S/Hパルスがオンのときに、駆動電流をホールドし、S/H回路18内のコンデンサに電荷を蓄積する。
【0029】
次に、図3を参照して、本実施の形態の画像形成装置10における安全制御処理ルーチンについて説明する。本ルーチンは、画像形成装置10本体の電源がオンされた際に、ROMに記憶された安全制御プログラムをCPUが実行することにより開始する。なお、本ルーチンのスタートから後述する異常負荷を含む箇所を判定するステップまでが、本発明の安全管理プログラムに相当する。
【0030】
ステップ100で、画像形成装置10がラン状態か否かを判定する。ラン状態とは、図示しない画像読取部で原稿画像を読み取った読取データや、ネットワークを介して接続されたクライアントPCから送信された画像データに基づいて画像形成を実行している状態をいう。ラン状態の場合には、ステップ102へ進んで、ラン時安全制御処理を実行する。
【0031】
次に、ステップ106で、電源オフ信号を受信したか否かを判断することにより、処理を終了するか否かを判定し、終了しない場合には、ステップ100へ戻って、処理を繰り返し、終了する場合には、電源オフの処理を行って本ルーチンを終了する。
【0032】
一方、上記ステップ100で、ラン状態ではないと判定された場合には、画像形成を実行していないスリープ状態であると判断して、ステップ104へ進み、スリープ時安全制御処理を実行して処理を終了する。
【0033】
次に、図4を参照して、安全制御処理(図3)のステップ104で実行されるスリープ時安全制御処理ルーチンについて説明する。
【0034】
ステップ110で、電流閾値ThrIにスリープ時用の電流閾値ThrIを設定する。電流閾値ThrIは、スリープ状態において検出される電流値が異常であるか否かを判定できる値を設定しておく。ここで、電流閾値ThrIは、各モータによって駆動される素子及びモータ全体の電流スペック値、または試作時の各モータの測定データを基準とする。
【0035】
次に、ステップ112で、図5に示すように、所定時間間隔でS/Hパルスを生成し、出力する。次に、ステップ114で、S/Hパルスの立ち上がりに同期して、抵抗17で検出され、A/D変換回路19でデジタル値に変換された駆動電流の総和を取り込む。図5では、駆動電流の総和を時系列データとして表示しているが、実際に取り込むのはS/Hパルス立ち上がり時(図中矢印で示す箇所)となる。
【0036】
次に、ステップ116で取り込んだ駆動電流の総和が電流閾値ThrI以上か否かを判定する。図5に示すように、ThrIより小さい場合には、異常なしと判定して、安全制御処理(図3)のステップ100へ戻る。
【0037】
一方、上記ステップ116で、図6に示すように、駆動電流の総和が電流閾値ThrI以上であると判定された場合には、ステップ118へ進み、スリープ状態で他のモータは駆動されていないため、電源の異常であると判定して、電源オフを指示する信号をスイッチ回路16に出力して、リターンする。
【0038】
次に、図7を参照して、安全制御処理(図3)のステップ102で実行されるラン時安全制御処理ルーチンについて説明する。
【0039】
ステップ120で、電流閾値ThrI(1)にスリープ時用の電流閾値ThrI、電流閾値ThrI(2)にラン時用の電流閾値ThrI、及び電力閾値ThrJにラン時用の電力閾値ThrJを設定する。電流閾値ThrIは、ラン状態において検出される電流値が異常であるか否かを判定できる値を設定しておく。また、電力閾値ThrJは、ラン状態の消費電力量から各モータが過度に昇温している状態を判定するための単位時間当たりの消費電力量(電力×時間、時間=1)の値を設定しておく。ここで、電力閾値ThrJは、各モータが過度の昇温に至るだけの電力エネルギーを評価及び測定して基準とする。
【0040】
次に、ステップ122で、抵抗17で検出された駆動電流の総和をA/D変換回路19でデジタル値に変換した値の取り込みを開始し、駆動電流の総和を時系列データとして取得する。
【0041】
次に、ステップ124で、各モータへ入力した駆動パルスの論理和からS/Hパルスを生成し、S/HパルスをS/H回路18へ入力する。S/Hパルスは、例えば、図8に示すようなものとなる。S/H回路18では、S/Hパルスがオンのときに、抵抗17で検出した駆動電流をホールドし、S/H回路18内のコンデンサに電荷を蓄積する。次に、ステップ126で、S/H回路18内のコンデンサに蓄積された電荷量をA/D変換回路19でデジタル値に変換して取得する。
【0042】
次に、ステップ128で、現在のS/Hパルスがオン状態かオフ状態かを判定する。オン状態の場合には、ステップ130へ進む。オフ状態の場合は、ラン状態であるにもかかわらず駆動パルスが出力されていないということであり、用紙詰まりなどの装置内のトラブルにより、各モータが停止している可能性がある。各モータが停止している状態でも、電力状態を検出する必要があるため、ステップ146へ進む。
【0043】
ステップ130で、上記ステップ122で取得した駆動電流の総和が電流閾値ThrI以上か否かを判定する。図8に示すように、ThrIより小さい場合には、異常なしと判定して、安全制御処理(図3)のステップ100へ戻る。一方、図9に示すように、ThrI以上の場合には、ステップ132へ進む。
【0044】
ステップ132で、S/Hパルスがオンの期間で、かつ上記ステップ130で駆動電流の総和≧ThrIと判定された時点を含む期間(図9中のA期間、及びB期間)の消費電力量を上記ステップ126で取得した電荷量に基づいて算出する。
【0045】
次に、ステップ134で、上記ステップ132で算出した消費電力量が、電力閾値ThrJ×t以上か否かを判定する。tは、各期間の時間であり、例えば、A期間についてt、B期間についてはtである。消費電力量がThrJ×t以上の場合には、過度な昇温が生じる可能性があると判定して、ステップ138へ進み、消費電力量がThrJ×tより小さい場合には、異常電流は検出されたが、過度な昇温が生じる可能性はないと判定して、ステップ136へ進む。ここでは、A期間について、A期間の消費電力量がThrJ×tより小さいとして、ステップ136へ進む。
【0046】
ステップ136で、各モータへ供給される電流値を下げ、モータの回転速度を低速にしたり、用紙間ギャップを広げたりして、異常電流が検出されないように制御して、リターンする。
【0047】
一方、上記ステップ134で、B期間について、B期間の消費電力量(図9中斜線で示す領域)がThrJ×t以上として、ステップ138へ進むと、S/HパルスのB期間にオンとなっている駆動パルスに基づいて異常個所を特定する。なお、B期間の中で駆動電流の総和が電流閾値ThrI以上となっている期間にオンとなっている駆動パルスや、駆動電流の総和が電流閾値ThrI以上となった時点でオンとなっている駆動パルスに基づいて異常個所を特定してもよい。ここでは、フューザモータ78及びレジモータ74のいずれかに異常があると判定され、フューザモータ78及びレジモータ74が異常個所として特定される。
【0048】
次に、ステップ140で、異常個所を用いることなく使用できる機能があるか否かを判定する。この判定は、予め各モータと機能とを対応付けたテーブルを作成しておき、このテーブルを参照して判定するようにするとよい。使用できる機能がある場合には、ステップ142へ進み、異常個所に含まれるモータ、ここではフューザモータ78及びレジモータ74への給電を停止し、画像形成装置に設けられた図示しない表示装置にその旨及び使用できる機能等を表示する。一方、使用できる機能がない場合には、ステップ144へ進み、電源をオフして、処理を終了する。
【0049】
異常箇所を用いることなく使用できる機能としては、例えば、異常個所がデュプレクスモータ82の場合には、両面印刷はできないが、片面印刷は可能、とすることができる。また、画像形成装置10が、コピー機能、プリント機能、ファクシミリ機能を備えた複合機の場合には、コピー及びプリントは使用できないが、ファクシミリの送信は可能、とすることができる。
【0050】
また、上記ステップ128で、S/Hパルスがオフ状態であると判定されてステップ146へ進んだ場合には、上記ステップ122で取得した駆動電流の総和が電流閾値ThrI以上か否かを判定する。S/Hパルスがオフ状態であるということは、全ての駆動パルスがオフ状態であるため、スリープ時と同じ電流閾値ThrIを用いるものである。ThrIより小さい場合には、異常なしと判断して、ステップ128へ戻る。一方、図10に示すように、ThrI以上の場合には、ステップ148へ進んで、電源に異常ありと判定し、ステップ144で、電源をオフして、処理を終了する。
【0051】
なお、スリープ時安全制御処理(図4)のステップ118、及びラン時安全制御処理(図7)のステップ144で電源をオフする処理をした場合には、再度電源を入れた場合でも、表示画面に警告メッセージを表示し、一定時間経過後に電源をオフするような構成とすることができる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置によれば、モータ毎に駆動電流を検出して閾値と比較して異常を検出する場合と比べて、簡易な構成及び処理で異常個所を特定することができる。また、異常電流が検出された場合であって、過度の昇温の可能性がない場合には、消費電流を低下させて全機能の使用を継続できる状態とし、また、過度の昇温の可能性がある場合でも、異常個所を用いずに使用できる機能は使用を継続できる状態とするため、画像形成装置の使用が必要以上に制限されることを防止することができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、負荷としてモータの場合を説明したが、クラッチやソレノイド等も上記モータの場合と同様に扱うことができる。
【0054】
また、本実施の形態では、S/H回路の蓄積された電荷を用いて消費電力量を算出する場合について説明したが、取得した駆動電流の総和の時系列データの対象期間を積分することにより消費電力量を算出してもよい。
【0055】
また、本実施の形態では、消費電力量が電力閾値以上の場合に、異常個所を判定する場合について説明したが、駆動電流の総和が電流閾値以上の場合に、駆動電流の超過したタイミングでオンとなっている駆動パルスによって駆動される負荷のいずれかが異常であると判定してから、消費電力量が電力閾値以上か否かを判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 画像形成装置
12 安全装置
14 制御部
15 電源
16 スイッチ回路
17 抵抗
18 S/H回路
19 A/D変換回路
70 フィードモータ
72 テイクアウェイモータ
74 レジモータ
76 メインモータ
78 フューザモータ
80 イグジットモータ
82 デュプレクスモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々入力された駆動信号に応じて、画像形成プロセスを実行する複数の負荷の各々を駆動する複数の駆動手段と、
前記画像形成プロセスに応じた駆動信号を生成し、生成した前記駆動信号を前記駆動手段に入力する入力手段と、
前記複数の負荷の駆動電流の総和を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記駆動電流の総和が予め定められた電流閾値を超過したタイミングと、前記入力手段で生成された駆動信号のタイミングとを比較し、前記駆動電流の総和が予め定められた電流閾値を超過したタイミングでオンとなっている駆動信号に対応する駆動手段によって駆動されている負荷のいずれかに異常が発生していると判定する判定手段と、
を含む安全装置。
【請求項2】
前記複数の駆動手段に入力する駆動信号を合成し、前記複数の負荷のいずれかが駆動状態であることを表すサンプルホールド信号を生成するサンプルホールド信号生成手段と、
前記サンプルホールド信号生成手段で生成されたサンプルホールド信号がオンの期間の駆動電流の電流値をホールドするサンプルホールド回路と、
前記サンプルホールド回路にホールドされた電流値と前記期間とに基づいて消費電力量を算出する算出手段と、
前記駆動電流の総和が前記電流閾値以上で、かつ、前記算出手段で算出された消費電力量が予め定めた電力閾値より小さいときに、前記複数の負荷へ供給される電流値を下げるように制御し、前記駆動電流の総和が前記電流閾値以上で、かつ、前記算出手段で算出された消費電力量が前記電力閾値以上のときに、前記判定手段でいずれかに異常が発生していると判定された負荷への給電を停止するように制御する制御手段と、
を含む請求項1記載の安全装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の安全装置を備えた画像形成装置。
【請求項4】
コンピュータを、
画像形成プロセスに応じた駆動信号を生成し、各々入力された駆動信号に応じて前記画像形成プロセスを実行する複数の負荷の各々を駆動する複数の駆動手段に、生成した前記駆動信号を入力する入力手段と、
前記複数の負荷の駆動電流の総和を検出する検出手段によって検出された前記駆動電流の総和が予め定められた電流閾値を超過したタイミングと、前記入力手段で生成された駆動信号のタイミングとを比較し、前記駆動電流の総和が予め定められた電流閾値を超過したタイミングでオンとなっている駆動信号に対応する駆動手段によって駆動されている負荷のいずれかに異常が発生していると判定する判定手段と、
して機能させるための安全管理プログラム。
【請求項5】
コンピュータを、
画像形成プロセスに応じた駆動信号を生成し、各々入力された駆動信号に応じて前記画像形成プロセスを実行する複数の負荷の各々を駆動する複数の駆動手段に、生成した前記駆動信号を入力する入力手段と、
前記複数の負荷の駆動電流の総和を検出する検出手段によって検出された前記駆動電流の総和が予め定められた電流閾値を超過したタイミングと、前記入力手段で生成された駆動信号のタイミングとを比較し、前記駆動電流の総和が予め定められた電流閾値を超過したタイミングでオンとなっている駆動信号に対応する駆動手段によって駆動されている負荷のいずれかに異常が発生していると判定する判定手段と、
前記複数の駆動手段に入力する駆動信号を合成し、前記複数の負荷のいずれかが駆動状態であることを表すサンプルホールド信号を生成するサンプルホールド信号生成手段と、
前記サンプルホールド信号生成手段で生成されたサンプルホールド信号がオンの期間の駆動電流の電流値をホールドするサンプルホールド回路にホールドされた電流値と前記期間とに基づいて消費電力量を算出する算出手段と、
前記駆動電流の総和が前記電流閾値以上で、かつ、前記算出手段で算出された消費電力量が予め定めた電力閾値より小さいときに、前記複数の負荷へ供給される電流値を下げるように制御し、前記駆動電流の総和が前記電流閾値以上で、かつ、前記算出手段で算出された消費電力量が前記電力閾値以上のときに、前記判定手段でいずれかに異常が発生していると判定された負荷への給電を停止するように制御する制御手段と、
して機能させるための安全制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−217663(P2010−217663A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65869(P2009−65869)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】