説明

安定なポリオール混合物を含む組成物

本発明は、互いに不相溶性である少なくとも2つのイソシアネート−反応性ポリオール構成成分と、メディエータ添加剤としての少なくとも1つのコポリマーとを含む単相の流体組成物、およびポリウレタンの製造のためのこれらの使用に関し、このコポリマーは、互いに不相溶性のポリオール構成成分間の相溶性を確実にするものであって、以下に記載される特定の構造ユニットで構成され、このユニットの一部が少なくとも1つのプロトン化可能な窒素基を有し、必要により少なくとも部分的に、少なくとも1つの酸基を含む少なくとも1つの有機化合物で塩化され、および/または必要により少なくとも部分的に1つの有機アルキル化化合物で四級化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの固有には不相溶性であるイソシアネート−反応性ポリオール構成成分と、相溶化添加剤としての少なくとも1つのコポリマーとを含む単相の液体組成物、およびさらにポリウレタンの製造のためのこれらの使用に関し、このコポリマーは、固有に不相溶性のポリオール構成成分間の相溶性を達成するものであって、以下に記載される特定の構造ユニットで構成され、このユニットの一部が少なくとも1つのプロトン化可能な窒素系基を有し、このユニットは任意選択的に、少なくとも部分的に、少なくとも1つの酸性基を有する少なくとも1つの有機化合物と塩化され、および/または任意選択的に、少なくとも部分的に有機アルキル化化合物で四級化される。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンは、建築材料に分類されるものの1つであり、種々広範な形態で広く使用されている。ポリウレタンは、コーティング、接着剤、シーラントまたはエラストマー(CASE用途)として硬質もしくは可撓性フォームの形態または圧縮形態で使用できる。使用されるポリウレタンが、特定の用途に必要とされる最もふさわしい性能プロファイルを有することを確実にするために、出発構成成分の注意深い選択が必要とされる。
【0003】
ポリウレタンは、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって製造される。大規模産業において利用可能なポリイソシアネートの選択肢は限られているが、使用できるポリオールが多数存在する。これらは、ポリエーテルポリオールからポリエステルポリオールまで、例えば鎖伸長剤または鎖架橋剤として使用される低分子量ポリオールにまで及ぶ。
【0004】
通常、ポリウレタンは、ただ1つの特定ポリオールだけでなく、種々のポリオール混合物と、ポリイソシアネートとの反応により製造され、この混合物は、低分子量または比較的高分子量であり得る。多くの場合、使用されるポリオール混合物は安定ではなく、少なくとも経時的に相分離する傾向がある。この分離は、使用されるポリオールの不相溶性による。不相溶性は、種々の原因、例えばポリオールの異なる分子量、異なるモノマー組成、異なる極性および/または異なる構造(例えば、ランダム構造またはブロック構造)を有し得る。その原因に拘わらず、不相溶性により、このようなポリオール混合物の取扱および処理に関して様々な問題が生じる。第一に、このようなポリオール混合物の貯蔵または輸送は、多くの場合ポリオール間の分離傾向のために短期間であっても不可能である。そのため、このようなポリオール混合物を加工処理し得る前に、ポリオール構成成分を確実に、均質に分散させるために新たに共混合しなければならない。これは、ポリウレタン製造者に混合設備の投資を迫り、さらにそれがエネルギー消費の増大を導く。加えて、ポリオール構成成分の不適切な共混合という危険性もあり、これらから製造されたポリウレタンは所望の性能プロファイルを有していない。そのため、ポリオール構成成分のこのような分離問題を少なくとも改善する試みが続けられている。
【0005】
不相溶性ポリオール構成成分の分離に対処するための1つの可能な方法が、先行技術、例えば米国特許第4312973号において考慮され、その方法は、不相溶性ポリオール構成成分の構造を修飾して、それらが互いに十分安定な程度まで混合された状態を保つようにすることである。しかし、ポリオール構成成分を変更することはまた、最終的にこれらから製造されるポリウレタンの性能プロファイルを変更するという危険性があるため、この分離問題の解決策は、適用不可能であることが多い。加えて、ポリウレタン製造者は、大抵は、使用されるポリオール構成成分の製造者ではないので、市場で利用可能なポリオール構成成分を用いて所望のポリウレタン性能プロファイルを達成することが強制される。
【0006】
先行技術における不相溶性ポリオール構成成分の分離問題を解決するためのさらなる試みは、不相溶性ポリオール構成成分間の相溶性を与える構成成分を使用して、不相溶性ポリオール構成成分間の分離傾向を少なくとも遅延させることである。
【0007】
米国特許第4125505号には、ポリオール構成成分の1つとして特定の構成を有するポリアルキレンオキシドは不飽和モノマーから形成される粒子状付加ポリマー、例えばスチレン−アクリロニトリルコポリマーによって、固有に不相溶性の鎖伸長剤、例えば低分子量ポリオールとの相溶性を改善できることが記載されている。ポリウレタン製造者にとってのここでの欠点は、ポリマーの分散粒子は、直接使用しない場合に、沈殿することがあり、またはこれらから製造されたポリウレタンの機械的特性に意図しない影響を及ぼし得ることである。
【0008】
米国特許第5344584号には、通常は互いに混和性でない2つのイソシアネート反応性化合物の混合物と、カルボン酸エステルまたはカルボキサミドとして酸性基を有する表面活性化合物とを混和させることが提案している。ポリカルボン酸エステルは、好ましくはヒドロキシカルボン酸または開環されたラクトンから誘導される。表面活性化合物を固有に不相溶性のポリオール構成成分に添加することにより、相溶性は改善するが、必ずしも所望の程度まで改善されるとは限らない。さらに、これらのポリカルボン酸エステルはまた、それらの可能性としての反応性のために、普遍的に適用可能というわけではない。
【0009】
互いに固有に不相溶性の短鎖および長鎖イソシアネート反応性ポリオール構成成分間に相溶剤として、米国特許第4673696号に開示される不飽和エステロールの使用に関しても同様に制限がある。これは特に、エチレン性不飽和エステロールの使用により所望でない副反応が生じ得ない場合にのみ、これらの混合物が特定のポリウレタンを製造するために使用できるからである。これらの相溶剤は、同様に、必ずしも所望の程度まで相溶性を改善できるとは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
先行技術の欠点を改善し、構成、極性および/または分子量が異なる固有に不相溶性のイソシアネート反応性ポリオール構成成分の分離傾向を、それらがさらなる反応によりポリウレタンに転化されるまで可能な限り長く抑制することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的のための、固有に不相溶性の混合物は、少なくとも2つの固有に不相溶性のポリオールの混合物であり、40℃の貯蔵温度において、単相点まで慣用の混合器具を用いて混合されてから1週間以内に視覚可能な(裸眼で)2相形成を示す混合物である。
【0012】
この目的は、本発明の液体組成物を提供することによって達成され、この組成物は、貯蔵安定な単相性を有し、
(1)イソシアネート反応性ポリオール構成成分と、
(2)少なくとも1つのさらなるイソシアネート反応性ポリオール構成成分であって、ポリオール構成成分(1)と固有に不相溶性である成分と、
(3)ポリオール構成成分(1)とポリオール構成成分(2)との間の単相性を達成する相溶化添加剤としての少なくとも1つのコポリマーと
を含み、
ここで、このコポリマーは、次の構造ユニットI〜VIを含んでいてもよく、構造ユニットI〜IIIの少なくとも1つ、および構造ユニットIV〜VIの少なくとも1つで構成される:
【化1】

式中、
Rは、水素またはアルキルラジカルを表し、
Xは、−OR基または
【化2】

基を表し、式中、
は、水素、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、官能基を有するアルキレンラジカル、シクロアルキルラジカル、芳香族ラジカル(ここでこれらのラジカルはまたそれぞれ任意選択的に、置換されていてもよい)、ポリエーテルラジカルまたはポリエステルラジカルまたはポリエーテル/ポリエステルラジカルを表し;
Yは、任意選択的に、環員として少なくとも1つのヘテロ原子を有する、4〜12個の炭素原子の、任意選択的に、置換された芳香族非塩基性ラジカル、
4〜8個の炭素原子のラクタムラジカル、
−O−または
【化3】

架橋によって結合されているポリエーテルまたはポリエステルラジカル、または
【化4】

基を表し、式中、
は、任意選択的に、置換されたアルキルラジカルまたは任意選択的に、置換されたシクロアルキルラジカルを表し;
Zは、−COOR基を表し、式中、Rは上記で定義された通りであり、または
Zは、
【化5】

基と組み合わせられて、Xが−OR基であり、Rが水素を表す場合は環状無水物基を形成するか、またはXが
【化6】

基である場合は、窒素が上記で定義された通りのRラジカルで置換された環状イミド基を形成し、
X’は、
【化7】

基または対応する四級化された
【化8】

基を表し、
【化9】

基または対応する四級化された
【化10】

基を表し、
式中、Rは、脂肪族ラジカル、好ましくはアルキレンラジカル、または芳香族ラジカル、好ましくはアリーレンラジカルを表し、
、RおよびRは、同一または異なって、それぞれアルキルラジカル、アリールラジカルまたはアリールアルキレンラジカルを表し、およびラジカルR〜Rは、任意選択的に、官能基、好ましくはヒドロキシル基で置換されてもよく、
は、同一または異なって、ラジカルR〜Rの1つの意味を有し、または水素を表し、
【化11】

は、以下に記載されるアルキル化化合物(4’)の1つの残存アニオン性ラジカル、好ましくはハライドアニオン、およびより好ましくはクロリド、ブロミドまたはヨージドを表し、またはスルフェートアニオンまたはカルボキシレートアニオンを表し、
または
X’は、
【化12】

基または
【化13】

基を表し、式中、
は上記で定義された通りであり、
、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義された通りであるが、R〜Rの少なくとも1つは水素を表し、および
【化14】

は、以下で記載される塩化化合物(4)の1つの残存アニオン性ラジカルを表し、
または
X’は、
【化15】

基として、COOR基としてのZ’と組み合わせられて窒素が
【化16】

基、または対応する四級化された
【化17】

基で置換されるか、または対応する塩化された
【化18】

基で置換された環状イミド基を形成し、
式中、ラジカルR、R、R
【化19】

および
【化20】

はそれぞれ上記で定義された通りであり、
Y’は、少なくとも1つの窒素原子および任意選択的に、さらなるヘテロ原子を環員として含有するN−含有複素環式塩基性フリーラジカル、好ましくは芳香族フリーラジカルを表し、または少なくとも1つの窒素原子および任意選択的に、さらなるヘテロ原子を環員として含有する飽和または不飽和脂環式フリーラジカルを表し、
Z’は、X’と同一であるかまたは異なって、X’の意味を有する基群を表し、または−COOR基を表し、式中Rは上記で定義された通りであり、
ここで、構造ユニットIV〜VIは、任意選択的に、少なくとも部分的に、少なくとも1つの酸性基を有する少なくとも1つの好ましくはオリゴマー性有機化合物(4)で塩化された状態で存在する、および/または任意選択的に、少なくとも部分的に、有機アルキル化化合物(4’)で四級化された状態で存在する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的のための、貯蔵安定な単相を有する混合物は、2つの固有に不相溶性のポリオールの固有に不相溶性の混合物であって、相溶化添加剤(3)の添加および単相点に至る慣用の混合器具を用いた混合後に、40℃の温度での後続の貯蔵過程において1週間以内に視覚可能な(裸眼で)2相形成がない混合物である。
【0014】
相溶化添加剤(3)は、好ましくは、2つの固有に不相溶性のポリオールの固有に不相溶性の混合物に、慣用の混合器具を用いた混合により混合物について単相が確立されるような量で添加される。相溶化添加剤の添加される量は、このようにして得られた混合物の単相が、少なくとも1週間の上述した貯蔵が確実となるように選択されるのが特に好ましい。相溶化添加剤の添加される量は、このようにして得られた混合物の単相が反応して確実にポリウレタンへ転化されるように選択されるのが特に非常に好ましい。
【0015】
相溶化添加剤として使用されるコポリマーは、より詳細には、構造ユニットI〜VIにおいて以下のように特徴付けられる。
Rは、水素またはメチルもしくはエチルラジカルを表し、
Xは、−NH−R基または−OR基を表し、式中、Rは、水素、1〜6個の炭素原子のアルキルラジカル、1〜6個の炭素原子および好ましくは末端基としてOH基を有するアルキレンラジカルを表し、またはポリアルキレンオキシドラジカルを表し、
Yは、任意選択的に、置換されたフェニル、ナフチルまたはピロリドンラジカル、εカプロラクタムラジカル、−O−架橋を介して結合されるポリアルキレンオキシドラジカルを表し、またはアセテートラジカルを表し、
Zは、−COOR基を表し、式中、Rは上記で定義された通りであり、または
Zは、
【化21】

基と組み合わせられて、Xが−OR基であり、Rが水素を表す場合は、環状無水物基群を表し、またはXが
【化22】

基である場合、窒素が上記で定義されたようなRラジカルで置換された環状イミド基群を形成し、
X’は、
【化23】

基または対応する四級化された
【化24】

基を表し、
【化25】

基または対応する四級化された
【化26】

基を表し、式中、Rは、1〜6個の炭素原子を有するアルキレンラジカルを表し、
、R、RまたはRは、同一または異なって、それぞれ1〜3個の炭素原子のアルキルラジカルまたはベンジルラジカルを表し、ここでラジカルR〜Rは、任意選択的に、それぞれ−OH基で置換されてもよく、
【化27】

は、以下に記載されるアルキル化化合物(4’)の残存アニオン性ラジカル、好ましくはハライドアニオンおよびより好ましくはクロリド、ブロミドまたはヨージドを表し、またはスルフェートアニオンまたはカルボキシレートアニオンを表し、
X’は、
【化28】

基、または対応する塩化された
【化29】

基を表し、式中Rは上記で定義された通りであり、
、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義された通りであるが、R〜Rの少なくとも1つは水素を表し、および
【化30】

は以下に記載される塩化化合物(4)の1つの残存アニオン性ラジカルを表し、
またはX’は、
【化31】

基として、COOR基としてのZ’と組み合わせられて環状イミド基を形成し、ここでの窒素は、
【化32】

基または上記で定義されたような対応する四級化もしくは塩化された基で置換され、
Y’は、5〜10個の環員を有し、環員として少なくとも1つの窒素原子を有する塩基性の脂肪族または芳香族複素環式ラジカルを表し、および好ましくはイミダゾール、ピロール、ピラゾール、ピリミジン、プリン、キノリンまたはピリジンラジカルを表し;
Z’は、X’と同一または異なって、X’の上記意味を有する基群を表し、または−COOR基を表し、式中Rは上記で定義された通りであり、
ここで、構造ユニットIV〜VIは、任意選択的に、少なくとも1つの酸性基を有する少なくとも1つの好ましくはオリゴマー性有機化合物(4)で好ましくは75%まで塩化された状態で存在する、および/または任意選択的に、少なくとも1つのアルキル化化合物(4’)で四級化された状態で存在する。
【0016】
相溶化添加剤(3)として使用されるコポリマーは、共重合された構造ユニットのランダム構造、グラジエント様構造またはブロック様構造を有していてもよく、任意選択的に、櫛型構造を含む。
【0017】
好ましい実施形態において、相溶化添加剤(3)は構造化コポリマーである。
【0018】
構造化コポリマーは、線状ブロックコポリマー、グラジエントコポリマー、分枝状/星状ブロックコポリマーおよび櫛型コポリマーである。
【0019】
本発明に従って使用されるコポリマーのグラジエント様コポリマーは、ポリマー鎖に沿って、特定エチレン性不飽和モノマーの構造ユニットの濃度またはエチレン性不飽和モノマー混合物の構造ユニットの濃度が連続的に低下し、異なるエチレン性飽和モノマーの構造ユニットの濃度または異なるエチレン性不飽和モノマー混合物の構造ユニットの濃度が増大するコポリマーである。
【0020】
EP 1 416 019およびWO 01/44389には、グラジエント様コポリマーの例として参照されるものが開示されている。
【0021】
本発明に従って使用されるブロックコポリマーは、少なくとも2つの異なるエチレン性不飽和モノマー、エチレン性不飽和モノマーの2つの異なる混合物を添加することによって、またはエチレン性不飽和モノマーおよびエチレン性不飽和モノマー混合物を、制御された重合の実施時に、エチレン性不飽和モノマーまたはエチレン性不飽和モノマー混合物が反応開始時に最初に充填された時点とは異なる時点で添加することによって、得られたコポリマーである。さらなるエチレン性不飽和モノマーまたはエチレン性不飽和モノマー混合物を添加する時点において、または複数ある1構成要素としてエチレン性不飽和モノマーを添加する時点において、重合開始時に添加されたエチレン性不飽和モノマーは、既に完全に反応し得るか、または依然として部分的に未重合のままである。このような重合の結果として、ブロックコポリマーは、ポリマー鎖に沿った構造ユニットにおいて少なくとも1つの急激な転移を有し、この転移は個々のブロック間の境界を標識する。
【0022】
使用できるのが好ましいこのようなブロックコポリマー構造は、例えばABジブロックコポリマー、ABAトリブロックコポリマーまたはABCトリブロックコポリマーである。このようなブロックコポリマー構造を製造する例は、米国特許第6,849,679号、米国特許第4,656,226号、米国特許第4,755,563号、米国特許第5,085,698号、米国特許第5,160,372号、米国特許第5,219,945号、米国特許第5,221,334号、米国特許第5,272,201号、米国特許第5,519,085号、米国特許第5,859,113号、米国特許第6,306,994号、米国特許第6,316,564号、米国特許第6,413,306号、WO01/44389およびWO03/046029に見出される。
【0023】
本発明に従って使用されるのが好ましいブロックコポリマーは、ブロックあたり最小で3個の構造ユニット数を有するブロックを含有する。ブロックあたりの最小の構造ユニット数は、好ましくは3個、より好ましくは5個、および最も好ましくは10個である。
【0024】
各ブロックは、それぞれ異なる数であるが同じ構造ユニットを含有してもよく、または異なる構造ユニットで構成される。
【0025】
1つの好ましい実施形態において、相溶化添加剤(3)は、タイプA−B、A−B−A、B−A−B、A−B−Cおよび/またはA−C−Bのブロック構造を有し、ここでA、BおよびCブロックは、異なる組成の構造ユニットを表し、ここで、
ブロックA、BおよびCは、それぞれの構造ユニットI〜VIの組成が異なり、ここで2つの隣接ブロックにおいて構造ユニットIV〜VIの量は、いずれの場合も互いに5重量%超過で異なる。
【0026】
以下のブロック構造を与えるのが特に好ましい。
ブロックAは、0重量%〜25重量%の構造ユニットIV〜VIの少なくとも1つを含有し、任意選択的に、少なくとも部分的に塩化または四級化され、
ブロックBは、50重量%〜100重量%の構造ユニットIV〜VIの少なくとも1つを含有し、任意選択的に、少なくとも部分的に塩化または四級化され、
およびブロックCは、0重量%〜75重量%の構造ユニットIV〜VIの少なくとも1つを含有し、任意選択的に、少なくとも部分的に塩化または四級化され、
ここで、構造ユニットIV〜VIの重量%は、それぞれの基本的形態、すなわち塩化されていないまたは四級化されていない形態に基づく。
【0027】
特に非常に好ましい実施形態は、以下で特徴付けられる。
ブロックAは、0重量%〜10重量%の構造ユニットIV〜VIの少なくとも1つを含有し、任意選択的に、少なくとも部分的に塩化または四級化され、
ブロックBは、75重量%〜100重量%の構造ユニットIV〜VIの少なくとも1つを含有し、任意選択的に、少なくとも部分的に塩化または四級化され、
およびブロックCは、0重量%〜50重量%の構造ユニットIV〜VIの少なくとも1つを含有し、任意選択的に、少なくとも部分的に塩化または四級化され、
ここで、構造ユニットIV〜VIの重量%は、それぞれの基本的形態、すなわち塩化されていないまたは四級化されていない形態に基づく。
【0028】
相溶化添加剤として使用されるコポリマーの好ましい全体的な組成は、コポリマーの総重量に基づいて、塩化されていないまたは四級化されていない状態での構造ユニットIV〜VIの割合は、5重量%〜95重量%、好ましくは15重量%〜60重量%、およびさらにより好ましくは20重量%〜45重量%である。
【0029】
本発明に従うポリマーの数平均分子量Mは、好ましくは1000〜250000g/molの範囲、より好ましくは2000〜25000g/molの範囲、およびさらにより好ましくは2500〜10000g/molの範囲である。
【0030】
分子量の決定は、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)を用いて行われ、実施例においてより詳細に説明される。
【0031】
本発明に従って使用されるコポリマーは、少なくとも1つの構造ユニットIV〜VIが重要であり、少なくとも1つの構造ユニットIV〜VIは対応するエチレン性不飽和モノマーの重合の結果としてプロトン化可能な窒素系基を有し、またはこのようなプロトン化可能な窒素系基が、鎖類似反応を通して分子に組む込まれたものである。
【0032】
本発明の趣旨上、プロトン化可能な窒素系基は、窒素原子がプロトンの存在下で反応してカチオンを形成できる基であるが、この反応は任意選択的に、可逆的に進むことができる。これは、次の構造を用いた例によって図示できる。
【化33】

【0033】
プロトン化可能な窒素系基を有する化合物の例は、例えば一級、二級および三級アミノ基を有する化合物、および同様に環員として少なくとも1つの窒素原子および任意選択的に、環員としてさらなるヘテロ原子を含有する脂肪族または芳香族複素環式ラジカル、例えばピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ジヒドロピロール、ピロリン、ピロリジン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ジヒドロオキサゾール、オキサゾラン、オキサゾリン、アゼピン、ピペラジン、モルホリン、チアジン、インドール、ベンズイミダゾール、キノリン、フェナジン、トリアゾールまたはトリアジンから誘導される、例えばN−含有脂肪族または芳香族複素環式ラジカルを有する化合物である。
【0034】
特に好ましいのは、一級、二級および/または三級アミノ基を有するモノエチレン性不飽和脂肪族化合物(これらのアミノ基は、脂肪族および/または芳香族フリーラジカル、好ましくはC1−C6アルキルフリーラジカルおよび/またはC6−C10アリールフリーラジカルで置換されることができる)、およびさらに5〜6環員を有し、特に好ましくはイミダゾールまたはピリジンから誘導される窒素系、好ましくは芳香族複素環である。
【0035】
本発明に従って使用されるコポリマーの構造ユニットIV〜VIは、好ましくはアミノ基を有するエチレン性不飽和、好ましくは脂肪族モノマー、および/または環員として少なくとも1つのプロトン化可能な窒素原子を有するビニル含有、好ましくは芳香族複素環から誘導できる。特に好ましくは、少なくとも1つのアミノ基を有するメタクリル酸誘導体−例えば(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミド−を使用でき、特に非常に好ましくは少なくとも1つのアミノ基を有するC1−C6アルキル(メタ)アクリレート、例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノ含有C1−C6アルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、または塩基性ビニル複素環、例えば4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジンまたはビニルイミダゾールを使用できる。
【0036】
本発明に従って使用されるコポリマーのアミノ含有構造ユニットはまた、それらの製造後の構造ユニットの変更によって、例えばオキシラン含有エチレン性不飽和モノマー、例えばグリシジルメタクリレートの重合および後続の適切な反応性アミンとの反応によっても得ることができる。
【0037】
あるいは、(メタ)アクリル酸、エステルおよびアミドから、またはマレイン酸、無水物もしくはエステルから誘導されるコポリマーの構造ユニットの、好適なアミノアルコールまたはポリアミノ−官能性化合物によるエステル化/アミド化またはエステル交換/アミド交換も、対応するプロトン化可能な窒素系基をそれぞれのコポリマーに組み込むために使用し得る。この反応の例は、例えば(メタ)アクリル酸から誘導される構造ユニットのアミド化、または(メタ)アクリレートから誘導される構造ユニットの、アミン、例えば3−ジメチルアミノプロピルアミン、3−アミノプロピルイミダゾールまたはアミノ−置換されたピリジンによるアミド化である。
【0038】
三級アミンはまた、酸素、ペルオキソ化合物、例えば過カルボン酸、または過酸化水素を用いてアミンオキシドに転化されることができ、このアミンオキシドはさらに、酸、例えば塩酸で塩化できる。
【0039】
エチレン性不飽和モノマーを重合することによって得られるプロトン化可能な窒素原子を有するコポリマーは、当業者に既知の方法によって少なくとも部分的に塩化されるおよび/または四級化されることができる。
【0040】
塩化のために、プロトン化可能な窒素系基を有する構造ユニットは、以下に記載される通り、酸性基を有する有機化合物と反応できる。
【0041】
構造ユニットIV〜VIを塩化するために有用な化合物(4)は、任意選択的に、置換された単環式、二環式または三環式のスルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸またはリン酸および脂肪族の、任意選択的に、置換されたスルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸またはリン酸からなる群から選択される少なくとも1つの塩形成構成成分、または硫酸の活性アルキルハライドまたはアルキルエステルからなる群から選択される少なくとも1つの四級化化合物(4’)、またはエポキシ化合物およびカルボン酸を含む系であることができる。
【0042】
置換された単環式、二環式または三環式のスルホン酸、カルボン酸およびホスホン酸の好ましい基は、次の式によって表される。
【化34】

式中
Aは、カルボキシ、スルホンまたはP(=O)(OH)基を表し、R、RまたはRはそれぞれ独立に、水素、またはヒドロキシル、オキソ、チオ、−NO、カルボキシ、スルホン、カルバモイル、スルホ、スルファモイル、アンモニウム、アミジノ、シアノ、ホルムアミドおよびハロゲンからなる群から選択される官能基または誘導される官能基からなる群から選択された置換基を表し、または
、RまたはRはそれぞれ独立に、飽和または不飽和脂肪族、脂環式またはヘテロ脂環式基、炭素環式または複素環式アリール基、縮合炭素環式、複素環式または炭素環式−複素環式基を表し、それはさらに上述のような官能基または誘導された官能基の1つで置換できる。
【0043】
単環式または二環式のスルホン酸からなる群から選択される特定塩形成構成成分を以下に記載する。
3−ニトロベンゼンスルホン酸、4−スルホフタル酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゼン−スルホン酸、4−ドデシルベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、スルファニル酸、ベンゼン−1,3−ジスルホン酸、3−スルホ安息香酸、4−アセチルスルホン酸、4−スクシンイミドベンゼンスルホン酸、4−フタルイミドベンゼンスルホン酸。
【0044】
塩形成構成成分として使用するのにさらに好適なスルホン酸は、
(+)−カンファ−10−スルホン酸および異性体、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、異性体混合物、例えばナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸、ナフタレン−1−スルホン酸および異性体、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸および異性体、8−ヒドロキシキノリンスルホン酸である。
【0045】
塩形成構成成分として使用するのに好適なものは、次の単環式または二環式のカルボン酸およびリン酸である。
フタル酸、無水トリメリト酸、イソフタル酸、5−ニトロイソフタル酸、4−ニトロ安息香酸および異性体、安息香酸4−スルファミド、3,5−ジニトロ安息香酸および異性体、1−ナフチル酢酸、2−クロロ−安息香酸および異性体、3−ヒドロキシナフトエ酸、2,4−ジクロロ安息香酸および異性体、N−(4−カルボキシフェニル)フタルイミド、4−フェニル安息香酸、1−ナフトエ酸、フタロイルグリシン、3,4,5−トリメトキシ−安息香酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、3−フタルイミドプロピオン酸、2−フタルイミドプロピオン酸、4−メチル−2−フタルイミド吉草酸、2−フタルイミドイソ−吉草酸、2−フタルイミド酪酸、フタルイミド−コハク酸、2−フタルイミドグルタル酸、2−フタルイミド安息香酸、2,4,6−トリクロロフェノキシ酢酸、2−(2,4−ジクロロフェノキシ)プロピオン酸、4−(2,4−ジクロロフェノキシ)酪酸、3−(2,4−ジクロロベンゾイル)−プロピオン酸、3−(2,4−ジクロロベンゾイル)酪酸、2,4−ジクロロフェニルアクリル酸、3−(4,5−ジクロロフタルイミド)安息香酸、2−テトラクロロフタルイミド安息香酸、3−テトラクロロフタルイミド安息香酸。
【0046】
少なくとも1つのカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸および/またはリン酸基を有するこれらの記載された有機化合物はまた、好ましくはエステル合物として使用されてもよい。これらのエステル化合物は、オリゴマ性またはポリマー性であってもよく、少なくともあと1つのカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸および/またはリン酸基群を含んでいてもよい。
【0047】
対応する化合物は、
次式のリン酸エステル(HO)3−nPO(OR10(n=1または2)、または
式R13PO(OH)(OR10)のホスホン酸エステル、
一般式HOSO11のスルホン酸、
式HOSO11の酸性硫酸エステルである。
式中、R10およびR11は、同一または異なって、少なくとも5個の炭素原子を有する、アルキル、アリールもしくはアラルキルラジカルおよび/または5000g/molまでの数平均分子量を有するアルコキシル化アルコールラジカルおよび/または5000g/molまでの数平均分子量を有する少なくとも1つのカルボン酸エステル基を有するラジカル、または好ましくは5000g/molまでの数平均分子量を有するポリエーテルポリエステルラジカル、またはこのような化合物の混合物を表し;R13は、各出現時において同一または異なって、R10の意味を有し、または水素を表す。
【0048】
1つの好ましい実施形態において、塩化は、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸および/またはリン酸ポリマー性エステルを用いて行われ、それらは好ましくはポリアルキレンオキシドから誘導される。特に好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドから誘導される、好ましくはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドから誘導されるポリアルキレンオキシドの反応によって得られるカルボン酸および/またはリン酸ポリマー性エステルであり、好ましくはアルキレンオキシドの3〜15個の繰り返しユニットを有する。
【0049】
特に非常に好ましいのは、好ましくはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドからのカルボン酸およびリン酸のポリマー性ポリアルキレンオキシドを塩化のために用いることであり、それはさらに少なくともエーテル結合を介してC−C24アルコールに連結し、またはさらにエステル結合を介して脂肪酸ラジカルに連結する。これらの酸性ポリマー性エステルの酸性基は、ここでより好ましくは酸性ジおよびトリカルボン酸の部分エステルの形態で存在し、例えばコハク酸、マレイン酸またはフタル酸としての酸性ジカルボン酸モノエステル、またはトリメリト酸のモノまたはジエステルの形態で存在する。対応するカルボン酸ポリマー性エステルは、アルキル、アリール、アラルキルまたはアルキルアリールアルコキシレート、例えばノニルフェノールエトキシレート、イソノニルアルコールエトキシレート、イソトリデシルアルコールエトキシレートまたはブタノールもしくはメタノール−開始アルキレンオキシドポリエーテルと、ジおよびトリカルボン酸またはそれらの誘導体(例えば無水物、ハライド)との反応によって得ることができる。
【0050】
あるいは、これらのアルコキシレートのリン酸化生成物は、リン酸ポリマー性エステルとして使用できる。
【0051】
上記で記載される酸構成成分を用いた塩化に対して別の可能性としてまたはさらに、本発明に従うコポリマーのプロトン化可能な窒素系基はまた、カルボン酸の存在下、例えば活性な、任意選択的に、置換されたアルキルハライド、例えばメチルヨージド、メチルクロリドまたはベンジルクロリドと、ジアルキルスルフェート、例えばC−C−ジアルキルスルフェートまたはオキシラン化合物とのアルキル化反応を用いて、四級化できる。
【0052】
本発明に従って使用されるコポリマーは、塩化されるだけでなく、いずれか1つのコポリマーにおいて四級化された構造ユニットを有していてもよい。しかし、少なくとも部分的に塩化されたコポリマーと少なくとも部分的に四級化されたコポリマーの混合物を相溶化添加剤として使用することもできる。
【0053】
既に塩化されたまたは四級化された(プロトン化またはアルキル化のいずれかによる)アミノ含有エチレン性不飽和モノマーを用いることにより、塩化されたおよび/または四級化されたモノマーの直接重合によっても、塩化されたおよび/または四級化された形態での構造ユニットIV〜VIを得ることができる。
【0054】
重合のために直接使用できるこのようなモノマーの例は、例えば2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリドおよび2−ベンジルジメチルアンモニウムメチル(メタ)アクリレートクロリドである。
【0055】
本発明に従って使用されるコポリマー、特に構造ユニットI〜IIIのコポリマーは、好ましくは次のエチレン性不飽和モノマーを用いて得ることができる。1〜22個の炭素原子を有する直鎖、分枝状または脂環式アルコールのアルキル(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートおよびt−ブチル(メタ)アクリレート;アリール(メタ)アクリレート、例えばベンジル(メタ)アクリレートまたはフェニル(メタ)アクリレート、ここでアリールラジカルはそれぞれ、非置換であってもよく、または4回まで置換されてもよく、例えば4−ニトロフェニルメタクリレート;2〜36個の炭素原子を有する直鎖、分枝状または脂環式ジオールのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3,4−ジヒドロキシブチルモノメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオールモノメタクリレート、ヒドロキシフェノキシプロピルメタクリレート;オリゴマー性またはポリマー性エーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたは混合ポリエチレン/プロピレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、5〜80個の炭素原子を有するポリ(プロピレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、1−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシメチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、アリルオキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシブチル(メタ)アクリレート、1−エトキシ−エチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、220〜1200の数平均分子量Mを有するカプロラクトンおよび/またはバレロラクトン−修飾ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(ここで、ヒドロキシ(メタ)アクリレートは好ましくは2〜8個の炭素原子を有する直鎖、分枝状または脂環式ジオールから誘導される);ハロゲン化アルコールの(メタ)アクリレート、例えば6〜20個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル(メタ)アクリレート;オキシラン含有(メタ)アクリレート、例えば2,3−エポキシブチルメタクリレート、3,4−エポキシブチルメタクリレートおよびグリシジル(メタ)アクリレート;スチレンおよび置換されたスチレン、例えばα−メチルスチレンまたは4−メチルスチレン;メタアクリロニトリルおよびアクリロニトリル;ビニル含有非塩基性複素環、例えば1−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]−2−イミダゾリジンおよびN−ビニル−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム;1〜20個の炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステル、例えばビニルアセテート;マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノエステルおよびマレイン酸ジエステル;1〜22個の炭素原子を有する直鎖、分枝状または脂環式アルキル基を有するマレイミド、N−フェニルマレイミドおよびN−置換マレイミド、例えばN−エチルマレイミドおよびN−オクチルマレイミド;(メタ)アクリルアミド;1〜22個の炭素原子を有する直鎖、分枝状または脂環式アルキル基を有するN−アルキルおよびN,N−ジアルキル−置換されたアクリルアミド、例えばN−(t−ブチル)アクリルアミドおよびN,N−ジメチルアクリルアミド;シリル含有(メタ)アクリレート、例えばトリメチルシリル(メタ)アクリレートおよび3−(トリメチルシリル)プロピルメタクリレート。
【0056】
重合が生じた後、これらのエチレン性不飽和モノマーから誘導される構造ユニットは、さらに修飾され得る。例えばオキシラン構造は、求核性化合物、例えば4−ニトロ安息香酸と反応できる。ヒドロキシル基は、ラクトン、例えばε−カプロラクトンと反応でき、ポリエステルを形成できる。OH基は、酸または塩基性触媒作用によるエステル開裂によりエステル基から放出できる。
【0057】
好ましくは、相溶化添加剤(3)は、構造化コポリマーであり、およびより好ましくはブロック、グラジエントまたは櫛型コポリマーであり、好ましくは制御されたフリーラジカル重合またはイオン性プロセスによって製造される。
【0058】
制御されたフリーラジカル重合または基移動重合を通してこのような相溶化添加剤(3)を製造するのが特に好ましい。
【0059】
以下に記載される重合技術のいずれが使用されるかに依存して、異なる重合技術は、異なるミクロ構造を導き得るまたはより正確には異なる配列の構造ユニットI〜VIを導き得るので、同一のエチレン性不飽和モノマーが使用される場合であっても、および同じモル比であっても異なるコポリマーが得られる。例えば、同一モノマー混合物から異なる技術によって製造されるブロックコポリマーは、異なるミクロ構造化ブロックを伴って得ることができる。さらに、コポリマーはまた、それらの分子量およびそれらの分子量分布に関して明白に異なり得る。同じことがグラジエント様コポリマーにも当てはまる。
【0060】
種々のプロセスは、制御された重合を行うことに関して文献にて既知である。一部のプロセスの概要は、Prog.Polym.Sci.32(2007)93−146に見出される。
【0061】
本発明の組成物において相溶化添加剤として使用されるコポリマーを製造するための重合技術として、エチレン性不飽和モノマーを重合するためのいずれかの先行技術の重合技術を使用できる。
【0062】
制御された重合を行うための一部の技術を、ここで例として記載する。
【0063】
原子移動ラジカル重合(ATRP)は、制御された重合を与え、例えばChem.Rev.2001,101,2921およびChem.Rev.2007,107,2270−2299に記載されている。
【0064】
制御された重合方法はまた、可逆的付加開裂連鎖移動プロセス(RAFT)および付加開裂連鎖移動を含み、このRAFTは特定の重合調節剤が使用される場合、MADIX(キサンテートの相互交換を介するマクロモノマー設計)として既知であり、RAFTは、例えばPolym.Int.2000,49,993,Aust.J.Chem.2005,58,379、J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.2005,43,5347、Chem.Lett.1993,22,1089、J.Polym.Sci.,Part A 1989,27,1741およびさらに1991,29,1053およびさらに1993,31,1551およびさらに1994,32,2745およびさらに1996,34,95およびさらに2003,41,645およびさらに2004,42,597およびさらに2004,42,6021およびさらにMacromol.Rapid Commun.2003,24,197、Polymer 2005,46,8458−8468およびさらにPolymer 2008,49,1079−1131および米国特許第6291620号、WO98/01478、WO98/58974およびWO99/31144に記載されている。
【0065】
制御された重合のためのさらなるプロセスは、ニトロキシル化合物を重合調節剤(NMP)として利用し、例えばChem.Rev.2001,101,3661に開示されている。
【0066】
重合のさらなる制御された方法は、例えばO.W.Websterにおける「Group Transer Polymerization」、「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」,volume 7,H.F.Mark,N.M.Bikales,C.G.Overberger and G.Menges,Eds.,Wiley Interscience,New York 1987,page 580 ff.,およびさらにO.W.Webster,Adv.Polym.Sci.2004,167,1−34に開示されるような基移動重合(GTP)である。
【0067】
例えばMacromol.Symp.1996,111,63に記載されるようなテトラフェニルエタンを用いる制御されたフリーラジカル重合は、制御された重合のさらなる例である。
【0068】
重合調節剤として1,1−ジフェニルエテンを用いる制御されたフリーラジカル重合は、例えばMacromolecular Rapid Communications,2001,22,700に記載されている。
【0069】
イニファータを用いた制御されたフリーラジカル重合は、例えばMakromol.Chem.Rapid.Commun.1982,3,127に開示されている。
【0070】
有機コバルト錯体を用いる制御されたフリーラジカル重合は、例えばJ.Am.Chem.Soc.1994,116,7973から、Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.38,1753−1766(2000)から、Chem.Rev.2001,101,3611−3659から、およびさらにMacromolecules 2006,39,8219−8222から既知である。
【0071】
重合のさらなる制御された技術は、例えばMacromolecules 2008,41,6261において;Chem.Rev.2006,106,3936−3962において、または米国特許第7034085号において記載されるようにヨウ素化合物を用いる退化的連鎖移動である。
【0072】
チオケトンの存在下での、制御されたフリーラジカル重合は、例えばChem.Commun.2006,835−837において、およびMacromol.Rapid Commun.2007,28,746−753において記載されている。
【0073】
より詳細には、好ましくは、構造化コポリマーは、いずれかの先行技術の制御されたリビング重合技術、例えばATRP、RAFT、MADIX、NMP、GTP、テトラフェニルエタンを用いる制御されたフリーラジカル重合、1,1−ジフェニルエテンを用いる制御されたフリーラジカル重合、イニファータを用いる制御されたフリーラジカル重合、チオケトンの存在下での制御されたフリーラジカル重合、および有機コバルト錯体を用いた制御されたフリーラジカル重合を用いて得ることができる。
【0074】
特定重合プロセスにて使用される開始剤は、当業者に既知である。例えばフリーラジカル重合プロセスは、アゾ開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ペルオキシ化合物、例えばジベンゾイルペルオキシドおよびジクミルペルオキシドだけでなく、ペルスルフェート、例えばアンモニウムペルオキソジスルフェート、ナトリウムペルオキソジスルフェートおよびカリウムペルオキソジスルフェートを利用できる。
【0075】
同様に、制御されたリビング重合プロセスのために使用される開始剤、重合調節剤および触媒は、当業者に既知である。
【0076】
原子移動ラジカル重合のための開始剤は、例えば以下である。
1〜10個の炭素原子を有するハロアルカン、例えばカーボンテトラブロミドおよび1,1,1−トリクロロエタン;
2〜10個の炭素原子を有するハロアルコール、例えば2,2,2−トリクロロエタノール;
2〜20個の炭素原子を有する2−ハロカルボン酸およびエステル、例えばクロロ酢酸、2−ブロモプロピオン酸、メチル2−ブロモプロピオネート、メチル2−クロロプロピオネート、エチル2−ブロモイソブチレートおよびエチル2−クロロイソブチレート;
2〜10個の炭素原子を有する2−ハロカルボニトリル、例えば2−クロロアセトニトリルおよび2−ブロモプロピオニトリル;
2〜10個の炭素原子を有するアルキルおよびアリールスルホニルクロリド、例えばメタンスルホニルクロリドおよびベンゼンスルホニルクロリド;および
7〜20個の炭素原子を有する1−アリール−1−ハロアルカン、例えばベンジルクロリド、ベンジルブロミドおよび1−ブロモ−1−フェニルエタン。
【0077】
ATRPのための触媒は、例えば窒素系リガンド、例えば2,2’−ビピリジンまたはN,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレン−トリアミンを有する塩化銅または臭化銅錯体であり、これはまた、銅金属、リガンドおよび開始剤からインサイチュで生じることができる。さらなる触媒は、Chem.Rev.2001,101,2921においておよびProg.Polym.Sci 32(2007)93−146において、およびさらにChem.Rev.2007,107,2270−2299において記載されている。
【0078】
一部の重合プロセスについて開始剤と重合調節剤との付加体、例えばNMPプロセスのためのアルコキシアミンを利用することは、先行技術である。それらの例は、Chem.Rev.2001,101,3661,「V.Approaches to alkoxyamines」またはAngewandte Chemie Int.Ed.2004,43,6186に記載されている。NMRプロセスに関してさらに、例えば、Macromol.Rapid Commun.2007,28,147に記載されるように、インサイチュで開始剤/調節剤を形成できる。NMPプロセスのための開始剤/調節剤のさらなる例は、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジンオキシル(TEMPO)またはN−tert−ブチル−N−[1−ジエチルホスホノ−(2,2−ジメチル−プロピル)]ニトロキシルならびにまたWO96/24620およびDE602004008967に記載される化合物である。
【0079】
GTPプロセスは、開始剤としてシリルケテンアセタール、例えば[(1−メトキシ−2−メチル−1−プロペニル)オキシ]−トリメチルシランを利用する。さらなる例は、米国特許第4,822,859号、米国特許第4,780,554号およびEP 0 184 692B1に見出される。
【0080】
GTPは、触媒として米国特許第4,659,782号に記載されるフルオライドおよび米国特許第4,588,795号に記載されるオキシアニオンを使用する。GTPのために好ましい触媒は、テトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートである。
【0081】
RAFTプロセスのための調節剤としては、例えばチオカルボン酸エステル、チオカルバメートまたはキサントゲン酸エステルが挙げられ、多くの場合、フリーラジカル開始剤、例えばアゾ開始剤、ペルオキシ化合物またはペルスルフェートと組み合わせて使用される。
【0082】
有機コバルト錯体を用いた制御されたフリーラジカル重合のための触媒は、例えばChem.Rev.2001,101,3611に記載されている。
【0083】
制御されたリビング重合プロセスのための開始剤、重合調節剤および触媒のさらなる例は、重合技術に関する上述の文献に記載されている。Prog.Polym.Sci.31(2006)671−722に記載される、いわゆるデュアルまたはヘテロ官能性開始剤の使用も可能である。
【0084】
記載された重合は、有機溶媒および/または水中で行うことができ、溶媒なしで行うことができる。溶媒が使用される場合、重合は、ポリマーが溶媒中に溶解される典型的な溶媒重合、または例えばAngewandte Chemie Int.Ed.2004,43,6186およびMacromolecules 2004,37,4453に記載されるエマルションまたはミニエマルション重合として行われることができる。得られたエマルションまたはミニエマルションポリマーは、塩形成によって水溶解でき、ポリマーの均質溶液が製造される。しかし、コポリマーは、塩化の後、依然として水不溶性である場合がある。
【0085】
ここで得られたコポリマーは、末端基としての重合調節剤を介して必ずしも規定されない。末端基は、重合後、例えば全体としてまたは部分的に分離し得る。例えばNMPを介して製造されたコポリマーのニトロキシル末端基は、温度を、重合温度を超えて上昇させることによって熱的に分離され得る。この重合調節剤の分離はまた、例えば、さらなる化学化合物、例えば重合開始剤、例えばフェノール誘導体を添加することによって、またはMacromolecules 2001,34,3856に記載されるプロセスによって達成できる。
【0086】
硫黄含有RAFT調節剤は、温度を上昇させることによって熱的に、酸化剤、例えば過酸化水素、過酸、オゾンまたは他の漂白剤の添加によってコポリマーから分離でき、または求核剤、例えばアミンと反応させてチオール末端基を形成できる。
【0087】
さらに、ATRPによって発生するハロゲン末端基は、脱離反応によって分離でき、または置換反応によって他の末端基に転化できる。このような転換の例は、Chem.Rev.2001,101,2921に記載される。
【0088】
本発明はさらに、制御されたリビングフリーラジカル重合によって、または基移動重合によって本発明に従って使用されるコポリマーの製造を提供する。
【0089】
このように得られたコポリマーは、ポリウレタンの製造のための反応構成成分として固有に不相溶性のポリオールの相溶性を確実にするのに非常に有用である。
【0090】
ポリオール構成成分(1)とポリオール構成成分(2)との不相溶性は、特にそれらの異なる分子量、それらの異なる構成および/またはそれらの異なる極性によって生じ得る。
【0091】
従って、オリゴマ性またはポリマー性ポリアルキレンオキシドポリオールは、短鎖ポリオールと不相溶性であることが周知である。また、イソシアネート−反応性のオリゴマー性またはポリマー性ポリアルキレンオキシドのポリオールは、それらが異なるアルキレンオキシドから構成される場合、あるいは同じタイプのアルキレンオキシド、例えば同等の分子量を有するポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドを含む、またはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから形成されるポリエーテルを含み、そのポリエーテルそれぞれがほぼ同じ数の構造ユニットを有するが、異なる割合のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを有する場合は、分離し易い。
【0092】
同じことが、ポリエステルまたはポリエーテル−ポリエステルポリオールについても当てはまる。
【0093】
本発明の使用される相溶化添加剤(3)は、このような種々に生じた分離傾向を改善し、ポリオール構成成分(1)および(2)のための単相組成物を、相溶化添加剤(3)と混合された時点から、ポリイソシアネート構成成分とのさらなる反応性転化の時まで、40℃で少なくとも1週間確実にする。
【0094】
ポリオール構成成分(1)は、次の一般式の少なくとも1つのポリオールを含有する。
HO−B−OH
式中、Bは、次を含む基から選択される二価のフリーラジカルを表す。
(i)2〜8個の炭素原子を有するアルキレンフリーラジカル;
(ii)式−CH−B’−CH−のフリーラジカル、それぞれについてB’が、基1a)〜5a)の1つを表し、
【化35】

(iii)構造式−(B’’−O)n−B’’−のフリーラジカル、式中、B’’は2〜4個の炭素原子を有するアルキレンフリーラジカルであり、nは1〜20、好ましくは1〜10の整数であり、および
(iv)ポリエーテル、ポリエステルまたはポリエーテル−ポリエステルから誘導されるラジカル。
【0095】
本発明に従う特に好ましい組成物は、ポリオール構成成分(1)がCまたはCまたはC12またはC16基をB基として含むか、基B’がCH(OH)ラジカルである組成物である。
【0096】
好ましくは鎖伸長剤として既知のもの、ここで好ましくは、すなわち短鎖脂肪族ポリオール、およびより好ましくは2〜8個の炭素原子を有する脂肪族ポリオール、例えばエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオールおよびグリセロールがここで考慮される。
【0097】
ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールは、ポリオール構成成分(1)についてさらに特に好ましい変形例である。
【0098】
第2のイソシアネート反応性ポリオール構成成分(2)は、好ましくはヒドロキシル基を有するポリアルキレンオキシドおよびより好ましくは2〜4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドから誘導されるポリアルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドから誘導されるポリアルキレンオキシドである。これらのポリアルキレンオキシドは、それらが、低分子量ジオール、グリセロールまたは多価アルコールを用いて開始されたかどうかに依存して、2、3またはそれ以上の末端ヒドロキシル基を有し、5〜100個のアルキレンオキシドユニットを有する;特定の場合、ポリアルキレンオキシドはまた、アミン、例えば脂肪族ジアミンを用いて開始されてもよい。比較的高分子量のポリオール構成成分が、特定のアルキレンオキシドだけから構成されるのではない場合、この問題のポリアルキレンオキシドは、ランダム構造またはブロック様構造を有することができ、このブロック様構造において、ランダムに構成されたブロックと、ただ1つの特定のアルキレンオキシドで構成されたブロックとが同時に交互であってもよい。
【0099】
ポリオール構成成分(2)として使用するのに好ましいものとしてはさらに、ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテル/ポリエステルポリオールがある。
【0100】
固有に不相溶性のポリオール構成成分(1)および(2)の特に好ましい組み合わせは、ポリエーテル、ポリエステルまたはポリエーテル/ポリエステルポリオールと混合された短鎖脂肪族ジオールまたはグリセロールである。
【0101】
同様に、ポリエーテルポリオールと、ポリエステルポリオールまたは異なるポリエーテルポリオールまたは異なるポリエステルポリオールまたは異なるポリエーテル/ポリエステル混合物との相互に不相溶性の混合物が好ましい。
【0102】
液体形態、例えば本質的に液体または溶解された形態であるのが好ましい相溶化添加剤(3)は、固有に不相溶性のポリオール混合物に関して、−単純な混和および単一の共混合によって−、ポリオールが反応してポリウレタンを形成するときまで相分離期間を延ばす。
【0103】
得られたポリオール混合物に添加されたコポリマーは、好ましくはその中で固体粒子の形態では存在しない。
【0104】
本発明の組成物を製造するために、ポリオール構成成分(1)およびポリオール構成成分(2)は、互いに固有に不相溶性であり、相溶化添加剤(3)の存在下で、好ましくは振とうまたは撹拌により均質化される。ポリウレタンの製造に使用されるいずれかの慣用補助剤および/または付加剤は、必要に応じて既にこの段階で混合できる。あるいは、これらの試薬はまた、後日、ポリウレタンに転化される直後に添加できる。
【0105】
このような補助剤および付加剤の例は、触媒および反応促進剤(例えば塩基性化合物、例えば三級アミンの形態、または有機金属化合物、例えば有機スズの形態)、膨張剤(物理的膨張剤、例えば炭化水素またはハロゲン化炭化水素およびさらに化学的膨張剤、例えば水またはカルボン酸)、泡安定化剤、消泡剤、脱気剤、粘度低減剤、チキソトロープ剤、熱安定剤、難燃剤、湿潤および分散剤、安定剤(例えば、UV安定剤および他の光防護剤、加水分解安定剤)、酸化防止剤、染料、顔料、有機または有機充填剤、プロセス添加剤、接着促進剤、可塑剤、帯電防止剤、溶媒である。
【0106】
本発明に従う組成物の好ましい実施形態において、構成成分(1)〜(3)から形成される100重量%に基づいて、それらの割合は、
1重量%〜99重量%のポリオール構成成分(1)と、
1重量%〜99重量%のポリオール構成成分(2)と、
0.1〜10重量%の相溶化添加剤(3)と
であり、
ただし、構成成分(1)〜(3)の量は常に合計が100重量%とならなければならない。
【0107】
ポリオール構成成分(1)、ポリオール構成成分(2)および相溶化添加剤(3)から形成される100重量%に基づいて本発明に従う特に好ましい組成物において、相溶化添加剤(3)の割合は、0.25重量%〜5重量%、およびより好ましくは0.5重量%〜4重量%である。
【0108】
本発明の組成物は、好適な触媒の存在下、有機ポリイソシアネート化合物との反応によってポリウレタンを製造するための安定なポリオール構成成分として使用できる。
【0109】
好適な有機ポリイソシアネートの例は、2つ以上のイソシアネート基を有する有機化合物である。これらの化合物は、ポリウレタンの製造のために知られている。好適な有機ポリイソシアネートは、炭化水素ジイソシアネート、例えばアルキレンおよびアリーレンジイソシアネートであり、また既知のトリイソシアネートである。好適なポリイソシアネートは、例えば1,2−ジイソシアナトエタン、1,3−ジイソシアナト−プロパン、1,2−ジイソシアナトプロパン、1,4−ジイソシアナト−ブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナト−ヘキサン、ビス(3−イソシアナトプロピル)エーテル、ビス(3−イソシアナトプロピル)スルフィド、1,7−ジイソシアナトヘプタン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、1,6−ジイソシアナト−3−メトキシヘキサン、1,8−ジイソシアナトオクタン、1,5−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルペンタン、1,9−ジイソシアナトノナン、1,4−ブチレングリコールの1,10−ジイソシアナトプロピルエーテル、1,11−ジイソシアナトウンデカン、1,12−ジイソシアナトドデカン、ビス(イソシアナトヘキシル)スルフィド、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、2,4−ジイソシアナト−1−クロロベンゼン、2,4−ジイソシアナト−1−ニトロベンゼンおよび2,5−ジイソシアナト−1−ニトロベンゼンおよびさらにこれらの混合物である。さらに好適な化合物は、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび1,4−キシリレンジイソシアネートである。好適な化合物としてはまた、米国特許第3384653号の修飾された液体MDIイソシアネートおよび米国特許第3394164号、米国特許第3644457号、米国特許第3457200号および米国特許第3883571号の種々の疑似プレポリマーが挙げられる。
【0110】
特に好ましいポリイソシアネートは、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメチルジイソシアネート(「モノマーMDI」または「ポリマーMDI」の形態)、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびさらにそれらのオリゴマーである。
【0111】
好適な触媒および/または発泡剤は、ドイツ出願公開DOS2730374から識別できる。
【0112】
相分離安定化されたポリオール構成成分としての本発明の組成物とポリイソシアネートとの反応によるポリウレタンの製造を使用して、ポリウレタンフォームを製造し、ならびに発泡されていないポリウレタン材料が製造し得る(CASE用途);ポリウレタンの製造は文献に既知であり、例えばR.Leppkes,「Die Bibliothek der Technik,Bd.91:polyurethane」,Verlag moderne Industrie,Landsberg/Lech 1993、およびさらにR.Herrington,K.Hock,「Flexible Polyurethane Foams」,Dow Chemical Comp.,Midland(USA)1997、およびさらにS.Lee,「The Huntsman polyurethane Book」;Huntsman Int.LLC,2002、およびさらにU.Meier−Westhues,「Polyurethane−Lacke,Kleb−und Dichtstoffe」,Vincentz Network,2007,およびさらにG.Oertel,「Kunststoffhandbuch,Bd.7:polyurethane」,Hanser Fachbuch,2004,およびさらにK.Uhlig,「Polyurethan−Taschenbuch」,Hanser Fachbuchverlag,2005に記載されている。
【0113】
従って本発明はまた、ポリウレタン製造のための相分離安定化されたポリオール構成成分としての本発明の組成物の使用を提供し、さらにまたポリウレタンの製造プロセスを提供し、それぞれの場合に、本発明の組成物は、相分離安定化されたポリオール混合物を含み、触媒の存在下で有機ポリイソシアネートと反応させる。
【0114】
本発明はまた、本発明の組成物を用いて得られた、ポリウレタン塊、ポリウレタンボディおよび/またはポリウレタンフォームを提供し、触媒の存在下にて有機ポリイソシアネートとの反応によって、相分離安定化されたポリオール混合物を含む。
【実施例】
【0115】
【表1】

【0116】
分子量は、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)を用いて決定した。
【0117】
較正は、M1000000〜162の分子量を有するポリスチレン標準による。
【0118】
分析のためのテトラヒドロフランは、溶出液として使用される。
【0119】
次のパラメータは、二回の測定にて観察される。
脱気:オンライン脱気装置
流速:1ml/分
分析時間:45分
検出器:屈折計およびUV検出器
注入体積:100μl〜200μl
【0120】
モル質量平均M;MおよびMおよびさらに多分散性M/Mはソフトウェアサポートを用いてコンピュータ計算される。ベースライン点および評価限界は、ドイツ標準仕様DIN55672Part1に合わせて固定する。
【0121】
[I 相溶化添加剤の製造]
[コポリマー1の製造]
撹拌器、還流冷却器およびガス入口を備えた3ツ口フラスコに、69.70gの1−メトキシ−2−プロピルアセテートを最初に充填し、7.70gのブチルメタクリレートと窒素下20℃で混合する。次いで3.75gの1−トリメチルシロキシ−1−メトキシ−2−メチルプロパンおよび0.375gのテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートを、セプタムを通して注入により添加する。30分以内に、60.00gのブチルメタクリレートを計量する。反応温度を40℃まで上昇させ、冷却によってそのレベルを維持する。ブチルメタクリレートの添加の後、32.80gのN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを20分の間に計量し、その間再び冷却して、温度が40℃を超えないことを確実にする。30分間の撹拌後、3mlのエタノールを添加する。モノマーは完全に転化された(残存モノマー含有量はHPLCを介して決定される);生成物:Mn=9100g/mol(GPCによる)。
【0122】
[コポリマー2の製造]
撹拌器、還流冷却器およびガス入口を備えた3ツ口フラスコに、47.2gの1−メトキシ−2−プロピルアセテートおよび3.81gの2−[N−tert−ブチル−N−[1−ジエチルホスホノ−(2,2−ジメチルプロピル)]ニトロキシ]−2−メチルプロパン酸およびさらに46.00gのブチルアクリレートを最初に3ツ口丸底フラスコに充填し、窒素下、120℃で加熱する。撹拌を120℃で2.5時間継続する。
【0123】
その後、21.00gのN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを2ml/分の速度で添加する。この後、さらに120℃で6時間撹拌する。この後の転化は98%を超える(残存モノマー含有量はHPLCによって決定される)。生成物:Mn=3000g/mol(GPCによる)。
【0124】
[酸1の製造]
撹拌器、還流冷却器およびガス入口を備えた3ツ口フラスコにおいて、266.60gのポリエーテルAおよび46.60gの無水マレイン酸と共に0.18gの炭酸カリウムを80℃に加熱し、窒素下で4時間撹拌する。プロセスにおいて、色が無色から褐色に変化する。マレイン酸のモノエステルが得られる。
【0125】
[酸2の製造]
撹拌器、還流冷却器およびガス入口を備えた3ツ口フラスコにおいて、1414.06gのポリエーテルBおよび200.23gのマレイン酸無水物と共に84.98gの1−メトキシ−2−プロピルアセテートおよび0.73gの炭酸カリウムを80℃に加熱し、窒素下で4時間撹拌する。プロセスにおいて、色が無色から褐色に変化する。マレイン酸のモノエステルが得られる。
【0126】
[酸3の製造]
撹拌器、還流冷却器およびガス入口を備えた3ツ口フラスコにおいて、100.00gのポリエーテルA、34.12gの無水トリメリト酸および0.134gのp−トルエンスルホン酸を窒素下、170℃で5時間撹拌する。
【0127】
[コポリマー1の塩(すなわち、ポリマー3)の製造]
撹拌器、還流冷却器およびガス入口を備えた3ツ口フラスコにおいて、コポリマー1の製造において得られた50.32gの溶液(30.19gのコポリマーを20.13gの1−メトキシ−2−プロピルアセテート中に含有する)およびさらに酸2の製造において得られた49.68gの溶液(47.20gのポリマー性酸および2.48gの1−メトキシ−2−プロピルアセテートを含有する)を、窒素下、120℃で3時間撹拌する。
【0128】
[コポリマー2の塩(すなわち、ポリマー4)の製造]
撹拌器、還流冷却器およびガス入口を備えた3ツ口フラスコにおいて、コポリマー2の製造において得られた50.32gの溶液(30.19gのコポリマーを20.13gの1−メトキシ−2−プロピルアセテート中に含有する)およびさらに酸2の製造で得られた49.68gの溶液(47.20gのポリマー性酸および2.48gの1−メトキシ−2−プロピルアセテートを含有する)を、窒素下、120℃で3時間撹拌する。
【0129】
[コポリマー1の塩(すなわち、ポリマー5)の製造]
撹拌器、還流冷却器およびガス入口を備えた3ツ口フラスコにおいて、コポリマー1の製造において得られた20.00gの溶液(12.0gのコポリマーを8.0gの1−メトキシ−2−プロピルアセテート中に含有する)およびさらに16.00gの酸1を、窒素下、120℃で3時間撹拌する。
【0130】
[コポリマー2の塩(すなわち、ポリマー6)の製造]
撹拌器、還流冷却器およびガス入口を備えた3ツ口フラスコにおいて、コポリマー2の製造において得られた20.00gの溶液(12.0gのコポリマーを8.0gの1−メトキシ−2−プロピルアセテート中に含有する)およびさらに16.00gの酸1を、窒素下、120℃で3時間撹拌する。
【0131】
[コポリマー1の塩(すなわち、ポリマー7)の製造]
撹拌器、還流冷却器およびガス入口を備えた3ツ口フラスコにおいて、コポリマー2の製造において得られた20.00gの溶液(12.0gのコポリマーを8.0gの1−メトキシ−2−プロピルアセテート中に含有する)およびさらに45.00gの酸3を、窒素下、120℃で3時間撹拌する。
【0132】
[ポリマー8(米国特許第5,344,584号による、比較例)の製造]
撹拌器、還流冷却器およびガス入口を備えた3ツ口フラスコに、612.90gのε−カプロラクトンを最初に充填し、80℃で1時間窒素下で撹拌する。次いで100.00gの2−ブチル−1−オクタノールおよびキシレン中のジブチルスズジラウレート10%溶液0.14gを添加した後、160℃で5時間撹拌する。混合物を20℃まで冷却し、ワックス状物質を形成する。
【0133】
得られた100gの反応生成物を取り出し、撹拌器、還流冷却器およびガス入口を備えた3ツ口フラスコにおいて窒素下80℃に加熱する。30分以内に、8.50gのポリリン酸を添加する。撹拌は、80℃でさらに4時間継続する。20℃まで冷却してワックス状物質を得る。
【0134】
[II性能例
[分離試験のための一般的手順]
64.0gのポリオールXおよび16.0gの1,4−ブタンジオールをビーカー中で混合する。表1に報告される相溶化添加剤量を添加する。その後、混合物を溶解装置(歯付きディスク、40mm直径、1分あたり930回転)で120秒間均質化され、続いて円筒状の密封可能な100mlガラス容器(直径3.5cm、高さ14cm)に移す。
【0135】
密封された容器において40℃で貯蔵が行われる。特定の時間間隔後、混合物を、分離の開始に関して視覚的に試験する。第2の相は、液体混合物の表面に形成される。
【0136】
【表2】

【0137】
)一般的手順において示されるポリオールXおよび1,4−ブタンジオールの量に基づく使用された量。ポリマー3からポリマー6それぞれの添加剤物質2.42gは、1−メトキシ−2−プロピルアセテート中の溶液として本発明の実施例にて得られたコポリマー3.12gに対応する。
)米国特許第4,673,696号による
)米国特許第5,344,584号による
)ポリマー8の添加により系の増粘化が生じたので決定できない
【0138】
説明
++ 分離なし
+ 最小限の初期分離
○ 分離の開始が明確
− 完全な分離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵安定な単相性を有する液体組成物であって、
(1)イソシアネート反応性ポリオール構成成分と、
(2)少なくとも1つのさらなるイソシアネート反応性ポリオール構成成分であって、前記ポリオール構成成分(1)と固有に不相溶性である成分と、
(3)前記ポリオール構成成分(1)および(2)の間の単相性を達成する相溶化添加剤としての少なくとも1つのコポリマーと
を含み、
前記コポリマーは、次の構造ユニットI〜VIを含んでいてもよく、構造ユニットI〜IIIの少なくとも1つと、構造ユニットIV〜VIの少なくとも1つとで構成され、
【化1】

式中、
Rは、水素またはアルキルラジカルを表し、
Xは、−OR基または
【化2】

基を表し、式中、
は、水素、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、官能基を有するアルキレンラジカル、シクロアルキルラジカル、芳香族ラジカル(ここでこれらのラジカルはまた、それぞれ任意選択的に、置換されていてもよい)、ポリエーテルラジカルまたはポリエステルラジカルまたはポリエーテル/ポリエステルラジカルを表し;
Yは、任意選択的に、環員として少なくとも1つのヘテロ原子を有する、4〜12個の炭素原子の、任意選択的に、置換された芳香族非塩基性ラジカル、
4〜8個の炭素原子のラクタムラジカル、
−O−または
【化3】

の架橋によって結合されているポリエーテルまたはポリエステルラジカル、または
【化4】

基を表し、式中、
は、任意選択的に、置換されたアルキルラジカルまたは任意選択的に、置換されたシクロアルキルラジカルを表し、
Zは、−COOR基を表し、式中、Rは上記で定義された通りであり、または
Zは、
【化5】

基と組み合わせられて、Xが−OR基であり、Rが水素を表す場合は環状無水物基を形成するか、またはXが
【化6】

基である場合は、窒素が上記で定義された通りのRラジカルで置換された環状イミド基を形成し、
X’は、
【化7】

基または対応する四級化された
【化8】

基を表し、
【化9】

基または対応する四級化された
【化10】

基を表し、
式中、Rは、脂肪族ラジカル、好ましくはアルキレンラジカル、または芳香族ラジカル、好ましくはアリーレンラジカルを表し、
、RおよびRは、同一または異なって、それぞれアルキルラジカル、アリールラジカルまたはアリールアルキレンラジカルを表し、およびラジカルR〜Rは、任意選択的に、前記官能基、好ましくはヒドロキシル基で置換されてもよく、
は、同一または異なって、ラジカルR〜Rの1つの意味を有し、または水素を表し、
【化11】

は、以下に記載されるアルキル化化合物(4’)の1つの残存アニオン性ラジカル、好ましくはハライドアニオン、およびより好ましくはクロリド、ブロミドもしくはヨージドを表し、またはスルフェートアニオンもしくはカルボキシレートアニオンを表し、
または
X’は、対応する塩化された
【化12】

基または対応する塩化された
【化13】

基を表し、式中、Rは上記で定義された通りであり、
、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義された通りであるが、R〜Rの少なくとも1つは水素を表し、および
【化14】

は、以下で記載される塩化化合物(4)の1つの残存アニオン性ラジカルを表し、
または
X’は、
【化15】

基として、COOR基としてのZ’と組み合わせられて窒素が
【化16】

基、または対応する四級化された
【化17】

基で置換されるか、または対応する塩化された
【化18】

基で置換された環状イミド基を形成し、
式中、ラジカルR、R、R
【化19】

および
【化20】

はそれぞれ上記で定義された通りであり、
Y’は、少なくとも1つの窒素原子および任意選択的に、さらなるヘテロ原子を環員として含有するN−含有複素環式塩基性フリーラジカル、好ましくは芳香族塩基性フリーラジカルを表し、または少なくとも1つの窒素原子および任意選択的に、さらなるヘテロ原子を環員として含有する飽和または不飽和脂環式塩基性フリーラジカルを表し、
Z’は、X’と同一であるかまたは異なって、X’の意味を有する基群を表し、または−COOR基を表し、式中Rは上記で定義された通りであり、
ここで、前記構造ユニットIV〜VIは、任意選択的に、少なくとも部分的に、少なくとも1つの酸性基を有する少なくとも1つの好ましくはオリゴマー性有機化合物(4)で塩化された状態で存在する、および/または任意選択的に、少なくとも部分的に、有機アルキル化化合物(4’)で四級化された状態で存在する、組成物。
【請求項2】
前記ポリオール構成成分(1)が、少なくとも1つの短鎖ポリオール、好ましくは2〜8個の炭素原子と、少なくとも2つのヒドロキシル基とを有する脂肪族ポリオール、または少なくとも2つの末端ヒドロキシル基を有するポリアルキレンオキシドであり、前記ポリオール構成成分(2)が、少なくとも1つのポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリオール構成成分(1)がエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールまたはグリセロールである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物であって、前記構造ユニットI〜VIにおいて、
Rは、水素またはメチルもしくはエチルラジカルを表し、
Xは、−NH−R基または−OR基を表し、式中、Rは、水素、1〜6個の炭素原子のアルキルラジカル、1〜6個の炭素原子および好ましくは末端基としてOH基を有するアルキレンラジカルを表し、またはポリアルキレンオキシドラジカルを表し、
Yは、任意選択的に、置換されたフェニル、ナフチルまたはピロリジンラジカル、εカプロラクタムラジカル、−O−架橋を介して結合されるポリアルキレンオキシドラジカルを表し、またはアセテートラジカルを表し、
Zは、−COOR基を表し、式中、Rは上記で定義された通りであり、または
Zは、
【化21】

基と組み合わせられて、Xが−OR基であり、Rが水素を表す場合は、環状無水物基群を形成し、またはXが
【化22】

基である場合、窒素が上記で定義されたようなRラジカルで置換された環状イミド基群を形成し、
X’は、
【化23】

基または対応する四級化された
【化24】

基を表し、
【化25】

基または対応する四級化された
【化26】

基を表し、式中、Rは、1〜6個の炭素原子を有するアルキレンラジカルを表し、
、R、RまたはRは、同一または異なって、それぞれ1〜3個の炭素原子のアルキルラジカルまたはベンジルラジカルを表し、ここで前記ラジカルR〜Rは、任意選択的に、それぞれ−OH基で置換されてもよく、
【化27】

は、以下に記載されるアルキル化化合物(4’)の1つの残存アニオン性ラジカル、好ましくはハライドアニオンおよびより好ましくはクロリド、ブロミドまたはヨージドを表し、またはスルフェートアニオンまたはカルボキシレートアニオンを表し、
X’は、対応する塩化された
【化28】

基、または対応する塩化された
【化29】

基を表し、式中Rは上記で定義された通りであり、
、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義された通りであるが、R〜Rの少なくとも1つは水素を表し、および
【化30】

は以下に記載される塩化化合物(4)の1つの残存アニオン性ラジカルを表し、
またはX’は、
【化31】

基として、COOR基としてのZ’と組み合わせられて環状イミド基を形成し、ここで窒素は、
【化32】

基または対応する四級化もしくは塩化された基で置換され、
Y’は、5〜10個の環員を有し、環員として少なくとも1つの窒素原子を有する塩基性の脂肪族または芳香族複素環式ラジカルを表し、および好ましくはイミダゾール、ピロール、ピラゾール、ピリミジン、プリン、キノリンまたはピリジンラジカルを表し;
Z’は、X’と同一または異なって、X’の上記意味を有する基群を表し、または−COOR基を表し、式中Rは上記で定義された通りであり、
ここで、前記構造ユニットIV〜VIは、任意選択的に、少なくとも1つの酸性基を有する少なくとも1つの好ましくはオリゴマー性有機化合物(4)で好ましくは75%まで塩化された状態で存在する、および/または任意選択的に、少なくとも1つの有機アルキル化化合物(4’)で四級化された状態で存在する、組成物。
【請求項5】
前記塩化されていない非四級化状態の構造ユニットIV〜VIの割合が、前記コポリマー(3)の総重量に基づいて、5重量%〜95重量%、好ましくは15重量%〜60重量%、およびより好ましくは20重量%〜45重量%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記コポリマーが、1000〜250000、好ましくは2000〜25000、およびより好ましくは2500〜10000g/molの数平均分子量を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記コポリマーが、共重合された構造ユニットのランダム構造体、グラジエント様構造体またはブロック様構造体を有し、任意選択的に、櫛型構造体を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記コポリマーがジブロックコポリマーまたはトリブロックコポリマーである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
2つの隣接するブロックにおける前記構造ユニットIV〜VIの量が、少なくとも5重量%異なる、請求項7または8に記載の組成物。
【請求項10】
前記コポリマーが制御されたフリーラジカル重合またはイオン重合によって製造される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記コポリマーが、制御されたフリーラジカル重合、好ましくは原子移動ラジカル重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合、重合調節剤としてのニトロキシル化合物の存在下での制御されたフリーラジカル重合、テトラフェニルエタンを用いる制御されたフリーラジカル重合、1,1−ジフェニルエテンを用いる制御されたフリーラジカル重合、イニファータを用いる制御されたフリーラジカル重合、チオケトンの存在下での制御されたフリーラジカル重合または有機コバルト錯体の存在下での制御されたフリーラジカル重合によって製造される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記コポリマーが、グループトランスファー重合により製造される、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記コポリマーの前記構造ユニットI〜IIIが、任意選択的に、官能基、例えばOH、ハロゲン、ラクトンおよび/またはエポキシ基を有していてもよい(メタ)アクリル酸エステルを含む群から選択されるエチレン性不飽和モノマーの重合によって得られる、またはポリエーテル、(メタ)アクリルアミド、任意選択的に、置換されたスチレン、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、マレイミド、環員として少なくとも1つの窒素原子を有するビニル含有非塩基性複素環およびカルボン酸のビニルエステルから誘導される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記コポリマーの前記構造ユニットIV〜VIが、アミノ基を有するエチレン性不飽和モノマー、および環員として少なくとも1つのプロトン化可能な窒素原子を有するビニル含有塩基性、好ましくは芳香族複素環、好ましくは少なくとも1つのアミノ基を有する(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミド、より好ましくは少なくとも1つのアミノ基を有するC1−C6アルキル(メタ)アクリレートおよび少なくとも1つのアミノ基を有する(C1−C6)アルキル(メタ)アクリルアミドおよび4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジンおよびビニルイミダゾール、およびオキシラン含有、エチレン性不飽和モノマー、好ましくは適切な反応性アミンと反応するグリシジルメタクリレートを含む群から選択されるエチレン性不飽和モノマーの重合によって得られる、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記コポリマーが液体形態である、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記コポリマーが、カルボキシル、スルホン酸、ホスホン酸および/またはリン酸基を有する少なくとも1つの、好ましくは少なくともオリゴマー性の有機化合物で少なくとも部分的に塩化されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
酸基を含有する前記有機化合物が、好ましくは3〜15個の繰り返しユニットを有し、少なくとも1つのカルボキシル、スルホン酸、ホスホン酸またはリン酸基を有し、好ましくは少なくとも1つの末端カルボキシルおよび/またはリン酸基を有し、好ましくはエチレンおよび/またはプロピレンオキシドから形成されるポリアルキレンオキシドである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記ポリアルキレンオキシドがさらに、エステル基群を介して少なくとも1つの脂肪酸に結合し、および/またはエーテル基群を介して少なくとも1つのC1−C24アルコールに結合している、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記コポリマーが、任意選択的に、置換されたアルキルハライド、ジアルキルスルフェートおよび/または酸と組み合せたエポキシ化合物を含む群から選択される少なくとも1つの有機化合物と反応することによって四級化されている、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記相溶化添加剤が、少なくとも部分的に塩化されたコポリマーおよび少なくとも部分的に四級化されたコポリマーの組み合わせからなる、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記コポリマーの少なくとも5重量%が、塩化されたおよび/または四級化されたアミノ含有構造ユニットからなる、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物がさらに補助剤および付加剤を含有する、請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
補助剤および付加剤によって、触媒、反応促進剤、鎖架橋剤、起泡剤、泡安定化剤、消泡剤、脱気剤、粘度低減剤、チキソトロープ剤、熱安定剤、任意選択的に、酸化阻害剤と共に難燃剤、染料、顔料、有機または有機充填剤、湿潤および分散剤、プロセス添加剤、接着促進剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化安定剤、溶媒を含む群から選択される少なくとも1つの化合物が存在する、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
ポリオール構成成分(1)と、ポリオール構成成分(2)と、コポリマー(3)とから形成される100重量%に基づいて、前記構成成分(1)の割合が、1重量%〜99重量%であり、前記構成成分(2)の割合が、1重量%〜99重量%であり、前記コポリマー(3)の割合が、0.1重量%〜10重量%であるが、ただし、前記構成成分(1)〜(3)の量は常に合計が100重量%でなければならない、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
ポリオール構成成分(1)、ポリオール構成成分(2)およびコポリマー(3)から形成される100重量%に基づいて、前記コポリマー(3)の割合が、0.25重量%〜5重量%である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
ポリウレタンの製造のための請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項27】
前記組成物が少なくとも1つの有機ポリイソシアネート構成成分と反応する、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
発泡されたポリウレタン塊、または発泡されていないポリウレタン塊を製造するための請求項26および27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物が、触媒の存在下、少なくとも1つの有機ポリイソシアネート化合物と反応する、発泡されたまたは発泡されていないポリウレタン塊を製造するためのプロセス。
【請求項30】
請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物を、少なくとも1つの有機ポリイソシアネート構成成分と反応させることによって得ることができる発泡されたまたは発泡されていないポリウレタン物品。

【公表番号】特表2012−521449(P2012−521449A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501185(P2012−501185)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001859
【国際公開番号】WO2010/108672
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(596089399)ビック−ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【Fターム(参考)】