説明

安定性の良い金属コロイドとその用途

【課題】液の安定性が良く、高濃度であって粘度変化および色調の変化が少ない金属コロイドとその用途を提供する。また、様々な基材上に容易に金属鏡面光沢領域を形成できる金属コロイドとその用途を提供する。
【解決手段】水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させ金属コロイドを形成する金属コロイド粒子の改良であり、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に硫黄又は酸素のいずれか一方又はその双方を含む炭素骨格を有し、かつ硫黄又は酸素のいずれか一方又はその双方の原子又は原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコロイド液が長期間安定であり、薄膜化に適する金属コロイドとその用途に関する。更に本発明は様々な基材上に容易に金属鏡面光沢領域を形成できる金属コロイドとその用途に関する。本発明の金属コロイドからなる薄膜はプラズマディスプレイパネルのカラーフィルターや自動車用着色ランプなど様々な用途に好適に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
金属コロイドはその粒子径や金属種に応じた特有の発色を有するので、これを光学フィルターとして利用した光学分析用測定チップが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この測定チップに用いられている金属コロイドは、予め金属コロイドを製造し、このコロイド分散液にシランカップリング剤を混合してコロイド表面にアミノ基を官能基として導入したものである。ところが、このように、予め金属コロイドを形成し、その後に表面保護剤をコロイド表面に導入する場合、既に金属コロイド表面に存在している付着物によって保護剤の導入が不十分になる場合がある。また、金属コロイド等を水系で合成しているので表面保護剤が加水分解等の影響を受け、コロイドの安定性が低下する。さらに、この金属コロイドに導入されるアミノ基はタンパク質や酵素などに対する官能基として用いられており、従って、アミノ基は外側に位置し、保護剤のシロキサン結合側がコロイド表面に位置している。このため、コロイド粒子の表面性状によっては保護剤とコロイド粒子表面との密着性が不十分になり、金属コロイド膜が不安定である。
【0003】
この他に、導電性インクや導電性被膜の材料として用いられる金属コロイドとして、有機成分を含む高導電性の金属コロイド水溶液が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、この金属コロイドも水系反応によって生成されるものであり、また、金属コロイドを形成した後に有機成分を混合したものであり、上記と同様の問題がある。
【0004】
また、金属コロイドを塗料組成物やガラスの着色剤として利用することも従来から知られている。例えば、高分子量顔料分散剤の存在下で金属化合物を還元して金属コロイドを製造することが知られている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、この方法もその主な具体例は水系反応によって金属コロイドを生成させるものであり、上記と同様の問題がある。さらに、共存する高分子保護コロイドは顔料分散剤であり、シランカップリング剤からなる保護剤をコロイド粒子表面に結合させるものではない。
【0005】
さらに、塩化金酸と保護高分子とを混合して金コロイドを生成させる方法において、金属粒子表面とは逆側の末端ないし側鎖部にアミノ基を有する保護高分子を用いる製造方法が知られているが(例えば、特許文献4参照。)、この方法は一般に用いられる水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を使用せずに金コロイドを生成させることを意図しており、保護高分子の還元作用を利用している。しかし、この場合には保護剤が高分子であるため有機鎖が多く、耐熱性が不十分である。
【0006】
また、従来より金粉と称して販売及び使用されてきた金インキは、偏平状黄金分粉末(銅−亜鉛合金粉)の表面に炭素数16〜22の飽和脂肪酸で処理され、平版印刷に使用されてきた。しかし、平版印刷用インキは高粘度であるため、グラビア印刷に用いる低粘度には適していない問題があった。そこで平版印刷においてもグラビア印刷のような鏡面光沢感が得られ、表面が平滑ではない紙においても、平滑な紙と同様の効果が発揮できる方策として、平均粒径10μm以下の片状黄銅金属粉100重量部に対し、0.1〜2重量部の炭素数14〜22の飽和脂肪酸と、0.1〜2重量部の炭素数14〜22の脂肪酸アミドが混合、被覆された金インキ用金粉が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。この特許文献5では、機械粉砕法等で製造した平均粒径10μm以下の金粉に飽和脂肪酸と脂肪酸アミドを上記所定量混合した金インキを印刷用インキとして使用すると、金属間の強い優れた鏡面光沢膜が得られる。
【0007】
また、アミノ基含有アルコキシシランを使用し、熱処理によってシリカ膜を有する金属コロイドを製造する方法も知られている(例えば、非特許文献1及び2参照。)。
しかし、この方法で用いるアミノ基含有シランは原料の塩化金酸からのコロイド生成を促進させるために用いられており、保護剤として用いているわけではない。また、この方法は熱処理によってコロイド化させるために、温度によって生成するコロイドの性状が異なり、安定した透過吸収性能を得ることができず、しかも、アルコキシド中に原料から混入する酸等によってゾルゲル液の加水分解が早まり液の寿命が短くなる傾向があり、さらに液が不安定である。
【特許文献1】特開平10−160737号公報
【特許文献2】特開2001−325831号公報
【特許文献3】特開平11−80647号公報
【特許文献4】特開2000−160210号公報
【特許文献5】特開2001−19872号公報
【非特許文献1】Extended Abstracts of 66th Fall Meeting of the Chemical Society of Japan、322頁
【非特許文献2】Proc SPIE Sol-gel Optics III、vol2288、130頁-139頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
更に、ナノサイズの金粒子を分子量の小さい保護剤により保護した金コロイドは、室温乾燥において黄金色の金属光沢が発現することが知られている。この場合の保護剤としては、炭素数1〜8のクエン酸、アジピン酸、リンゴ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸等の脂肪酸、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、イソプロピルアミン、モノブチルアミン、セカンダリーブチルアミン、ターシャリーブチルアミン、モノペンチルアミン、モノヘキシルアミン等のアミン等が挙げられる。しかし、上記保護剤を用いた金コロイドの場合、コロイド液に含有するメタル濃度は5重量%程度が上限であり、それ以上の濃度では凝集化やゲル化が起こり、安定性が極めて悪いため高濃度化ができない問題があった。例えば、金属に金を用いた金属コロイドを塗布及び自然乾燥して黄金光沢を出すには、紙のような繊維性の基材に対しては少なくとも金メタル含有濃度が20重量%以上必要である。低分子量の保護剤で保護した金属コロイドを安定性を無視して高濃度化した場合、塗布面に金属光沢は発現するものの、金の黄金光沢にはほど遠く、しかも密着性が極めて悪いため触れると簡単に剥がれてしまう問題がある。
この問題を改善するために、金属コロイドに高分子バインダ等を添加した場合は、ナノサイズの金属粒子が表面プラズマ共鳴によるプラズモン発色(SPR:Surface Plasma)を生じ、赤から赤紫色に着色されてしまうため、黄金光沢は発現しない。
【0009】
一方、本発明者らは、金属コロイドの付加価値を高めるために経時安定性の追求を行ってきた。鋭意研究を重ねた結果、硫黄又は酸素の少なくとも1種を含む保護剤を用いることにより、より経時安定性に優れた金属コロイドを提供することができることを見出した。また、このことによって金属コロイド塗料を塗布した際の膜の金属光沢には何ら影響を及ぼさない。
【0010】
本発明の目的は、従来の金属コロイドないしその製造方法における上記問題を解決したものであり、コロイド液が長期間安定であり、薄膜化に適する金属コロイドとその用途を提供することにある。
本発明の別の目的は、様々な基材上に容易に金属鏡面光沢領域を形成できる金属コロイドとその用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させ金属コロイドを形成する金属コロイド粒子の改良である。その特徴ある構成は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に硫黄又は酸素のいずれか一方又はその双方を含む炭素骨格を有し、かつ硫黄又は酸素のいずれか一方又はその双方の原子又は原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含むところにある。
保護剤が硫黄又は酸素のいずれか一方又はその双方の原子又は原子団をアンカーとして金属粒子表面に対して強固に結合しているため、高い安定性が得られる。また保護剤の分子構造中に含まれるアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基は反応性が高く、あらゆる基材に対して化学結合をする。また、金属粒子同士は自発的に自己組織化して最密充填を行い、反応性の官能基との間で縮合反応する。従って、請求項1に係る金属コロイド粒子を用いた金属コロイドを基材表面に塗布又は吹付けて得られる塗布膜は強度が高く、粒子間で有機−無機ハイブリッドバルク化するものと考えられる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、保護剤が窒素を更に含み、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造をとる金属コロイド粒子である。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、保護剤に含まれる酸素がカルボニル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選ばれた少なくとも1種を由来とする金属コロイド粒子である。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれか1項に係る発明であって、保護剤に含まれるアルコキシシリル基又はハイドロキシアルキル基のいずれか一方又はその双方がキレート剤によってキレート配位している金属コロイド粒子である。
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAu、Ag、Pt、Cu、Pd、Ni、Zn、Ru、Rh及びIrからなる群より選ばれた1種又は2種以上である金属コロイド粒子である。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5いずれか1項に係る発明であって、金属コロイド粒子の平均粒子径が1〜100nmの範囲にある金属コロイド粒子である。
請求項7に係る発明は、請求項5に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である金属コロイド粒子である。
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7いずれか1項に係る発明であって、金属コロイド粒子の形状が球状、多角状又はアメーバ状を有する粒状粒子である金属コロイド粒子である。
請求項9に係る発明は、請求項1ないし8いずれか1項に係る発明であって、加熱基準温度下での色調の変化が2%以下である金属コロイド粒子である。
【0014】
請求項10に係る発明は、請求項1ないし9いずれか1項に係る発明であって、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する金属コロイド粒子である。
請求項11に係る発明は、請求項1ないし9いずれか1項に係る発明であって、Au粒子を主成分とし、Au粒子以外に不純物としてAg粒子及びCu粒子をそれぞれ含む金属コロイド粒子、又はAuを主成分とし、不純物としてAg及びCuをそれぞれ含む合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子のいずれか一方又はその双方を混合した金属コロイド粒子であって、金属コロイド粒子中に含まれる不純物含有量が5〜40%であり、不純物中に含まれるAg含有量が不純物100重量%に対して40〜60重量%であるとき、金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がイエローゴールドの色調を呈する金属コロイド粒子である。
請求項12に係る発明は、請求項1ないし9いずれか1項に係る発明であって、Au粒子を主成分とし、Au粒子以外に不純物としてAg粒子及びCu粒子をそれぞれ含む金属コロイド粒子、又はAuを主成分とし、不純物としてAg及びCuをそれぞれ含む合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子のいずれか一方又はその双方を混合した金属コロイド粒子であって、金属コロイド粒子中に含まれる不純物含有量が5〜40%であり、不純物中に含まれるAg含有量が不純物100重量%に対して65重量%以上であるとき、金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がグリーンゴールドの色調を呈する金属コロイド粒子である。
請求項13に係る発明は、請求項1ないし9いずれか1項に係る発明であって、Au粒子を主成分とし、Au粒子以外に不純物としてAg粒子及びCu粒子をそれぞれ含む金属コロイド粒子、又はAuを主成分とし、不純物としてAg及びCuをそれぞれ含む合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子のいずれか一方又はその双方を混合した金属コロイド粒子であって、金属コロイド粒子中に含まれる不純物含有量が5〜40%であり、不純物中に含まれるAg含有量が不純物100重量%に対して30重量%以下であるとき、金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がレッドゴールドの色調を呈する金属コロイド粒子である。
請求項14に係る発明は、請求項1ないし9いずれか1項に係る発明であって、Au粒子を主成分とし、Au粒子以外に不純物としてAg粒子、Cu粒子及びPd粒子をそれぞれ含む金属コロイド粒子、又はAuを主成分とし、不純物としてAg、Cu及びPdをそれぞれ含む合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子のいずれか一方又はその双方を混合した金属コロイド粒子であって、金属コロイド粒子中に含まれる不純物含有量が5〜40%であり、不純物中に含まれるAg含有量が不純物100重量%に対して30重量%以下であるとき、金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する金属コロイド粒子である。
請求項15に係る発明は、請求項1ないし9いずれか1項に係る発明であって、Au粒子を主成分とし、Au粒子以外に不純物としてPd粒子を含む金属コロイド粒子、又はAuを主成分とし、不純物としてPdを含む合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子のいずれか一方又はその双方を混合した金属コロイド粒子であって、金属コロイド粒子中に含まれる不純物含有量が5〜40%であるとき、金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がホワイトゴールドの色調を呈する金属コロイド粒子である。
【0015】
請求項16に係る発明は、請求項1ないし15いずれか1項に記載の金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させたことを特徴とする金属コロイドである。
請求項17に係る発明は、請求項1ないし15いずれか1項に記載の金属コロイド粒子をゾルゲル溶液に所定の割合で混合させたことを特徴とする金属コロイドである。
請求項18に係る発明は、請求項17に係る発明であって、上記ゾルゲル溶液がシリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化タンタル及び酸化ニオブからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を形成する溶液である金属コロイドである。
【0016】
請求項19に係る発明は、請求項1ないし15いずれか1項に記載の金属コロイド粒子を水系又は非水系の溶媒に所定の割合で混合及び分散させて金属コロイドを調製し、金属コロイドを用いて成膜したことを特徴とする金属コロイド薄膜である。
請求項20に係る発明は、請求項16ないし18いずれか1項に記載の金属コロイドを基材表面に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成したことを特徴とする金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項21に係る発明は、請求項20に係る発明であって、基材がガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる群より選ばれた材質である金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項22に係る発明は、請求項20又は21に係る発明であって、基材が人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、小物袋、カード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質である金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項23に係る発明は、請求項22に係る発明であって、基材が宝飾品であって、宝飾品が貴金属粘土から作製された金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項24に係る発明は、請求項20ないし23いずれか1項に係る発明であって、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含む金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項25に係る発明は、請求項24に係る発明であって、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである金属コロイド含有塗膜形成物である。
【0017】
請求項26に係る発明は、請求項19記載の金属コロイド薄膜を基材表面に有する透明材料である。
請求項27に係る発明は、基材表面に形成した請求項19記載の金属コロイド薄膜をフィルター層とするカラーフィルターである。
請求項28に係る発明は、請求項19記載の金属コロイド薄膜を透明基材表面に有するディスプレイパネルである。
【0018】
請求項29に係る発明は、表面又は裏面のいずれか一方又はその双方が剥離処理された転写基板に請求項16ないし18いずれか1項に記載の金属コロイドを塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した金属コロイド含有塗膜を有することを特徴とする転写シートである。
請求項30に係る発明は、請求項29に係る発明であって、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を金属コロイド含有塗膜中に含む転写シートである。
請求項31に係る発明は、請求項30に係る発明であって、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである転写シートである。
【0019】
請求項32に係る発明は、基材表面に請求項29ないし31いずれか1項に記載の転写シートから転写された転写膜を有する金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項33に係る発明は、請求項32に係る発明であって、転写を施す基材が、ガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる材料群から選ばれた材質である金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項34に係る発明は、請求項32又は33に係る発明であって、基材が人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、小物袋、カード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質である金属コロイド含有塗膜形成物である。
【0020】
請求項35に係る発明は、請求項34に係る発明であって、基材が宝飾品であって、宝飾品が貴金属粘土から作製された金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項36に係る発明は、請求項32ないし35いずれか1項に係る発明であって、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含む金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項37に係る発明は、請求項36に係る発明であって、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである金属コロイド含有塗膜形成物である。
【0021】
請求項38に係る発明は、請求項16ないし18いずれか1項に記載の金属コロイドを基材に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドを有する基材を所定の雰囲気下、15〜450℃の温度で1〜60分間保持することによって得られる比抵抗1×10-3Ω・cm以下の導電膜付き基材である。
請求項39に係る発明は、請求項16ないし18いずれか1項に記載の金属コロイドをインクとして充填したペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルである。
請求項40に係る発明は、請求項16ないし18いずれか1項に記載の金属コロイドをインクとして含浸したスタンプ台及び印鑑台である。
請求項41に係る発明は、請求項40記載のスタンプ台又は印鑑台に含浸したインクを用いて描画された描画体である。
請求項42に係る発明は、請求項16ないし18いずれか1項に記載の金属コロイドをインクとしてインクジェットプリンタを用いて描画された描画体である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の金属コロイド粒子は、水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させ金属コロイドを形成する金属コロイド粒子の改良であり、その特徴ある構成は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に硫黄又は酸素のいずれか一方又はその双方を含む炭素骨格を有し、かつ硫黄又は酸素のいずれか一方又はその双方の原子又は原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含むところにある。本発明の金属コロイドは、上記金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させ、あるいは本発明の金属コロイド粒子をゾルゲル溶液に所定の割合で混合させたことを特徴とする。保護剤が硫黄又は酸素のいずれか一方又はその双方の原子又は原子団をアンカーとして、好ましくは更に窒素原子又は原子団でも金属粒子表面に強固に結合しているので、コロイド溶液が極めて安定であり、高濃度の金属コロイドを得ることができ、また粘度変化および色調の変化が少ない。さらに膜強度の大きな薄膜を形成することができる。従って、本発明の金属コロイドを用いた薄膜はカラーフィルターやディスプレイパネルなど光学材料として好適である。また、本発明の金属コロイドからなる転写シートや低抵抗の導電膜付き基材を得ることができる。更に、本発明の金属コロイドをインクとして含むペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルや、本発明の金属コロイドをインクとして含浸したスタンプ台や印鑑台、本発明の金属コロイドをインクとしたインクジェットプリントとして好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の金属コロイド粒子は、水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させ金属コロイドを形成する金属コロイド粒子の改良である。その特徴ある構成は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に硫黄又は酸素のいずれか一方又はその双方を含む炭素骨格を有し、かつ硫黄又は酸素のいずれか一方又はその双方の原子又は原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含むところにある。保護剤が硫黄又は酸素のいずれか一方又はその双方の原子又は原子団をアンカーとして金属粒子表面に対して強固に結合しているため、高い安定性が得られる。また保護剤の分子構造中に含まれるアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基は反応性が高く、あらゆる基材に対して化学結合をする。また、金属粒子同士は自発的に自己組織化して最密充填を行い、反応性の官能基との間で縮合反応する。従って、本発明の金属コロイド粒子を用いた金属コロイドを基材表面に塗布して得られる塗布膜は強度が高く、粒子間で有機−無機ハイブリッドバルク化するものと考えられる。
【0024】
図1に示すように、保護剤の一端がXで表される保護剤配位修飾部位をアンカーとして金属粒子(図1ではAu粒子)表面に結合していることによって、金属粒子表面に対しては保護剤が強固に結合され、安定性の良い金属コロイド液が得られる。また保護剤の他端に位置するRで表される保護剤末端部位がコロイド最表面となり、この保護剤末端部位を反応性の高い官能基としたため、基材との密着性に優れる。保護剤がXで表される保護剤配位修飾部位をアンカーとして金属粒子表面に結合していることは、例えばNMR、GPC、TG−DTA、FT−IR、XPS、TOF−SIMS、X線小角散乱分析(Small Angle X-ray Scattering;SAXS)、可視紫外分光、ラマン分光(Surface Enhanced Raman Scattering;SERS)、X線吸収分光(X-ray Absorption Fine Structure;XAFS)等の分析手段などによって確認することができる。上記分析手段により、保護剤がどのような元素又はどのような原子団によってアンカーされているかも確認することができる。
【0025】
また、本発明の金属コロイド粒子は、保護剤が窒素を更に含み、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造をとることが好ましい。これにより配位修飾力が向上したり、保護剤の配位箇所が増加することで安定的に配位するため、金属コロイドの経時安定性が著しく改善される。
【0026】
保護剤中に含まれる酸素は、カルボニル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選ばれた少なくとも1種を由来とする。保護剤中の窒素を含む原子団としては、アミノ基、アミド原子団及びイミド原子団からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0027】
本発明の金属コロイド粒子の製造方法は限定されない。金属コロイド粒子に対する上記結合構造が得られる製造方法であれば良い。具体的な製法の一例としては、非水系において、チオール基を含むアルコキシシランと金属化合物とを混合し、還元剤の存在下で金属化合物を還元することによって、チオール基を含むアルコキシシランをアンカーとして上記アルコキシシランからなる保護剤が金属粒子表面に結合した金属コロイド粒子を得ることができる。
【0028】
チオール基を含むアルコキシシランの存在下で非水系の還元反応によって金属コロイド粒子を生成させる。非水系とは金属化合物の水溶液中で金属還元を行わずに、チオール基含有アルコキシシランやアルコールなどの有機溶液中で金属化合物の金属還元を行うことを云う。従来の製造方法のように、水溶液中の還元反応によって金属コロイド粒子を生成させた後にチオール基含有アルコキシシランを結合させる方法では、水中にアルコキシシランが曝されるため、加水分解の影響によって置換反応が進まない場合や、たとえ置換反応が進んでも、その後の加水分解によって安定性が損なわれ、本発明の金属コロイド粒子を得るのは難しい。
【0029】
βジケトンなどのキレート剤を用い、アルコキシシリル基又はハイドロキシアルキル基のいずれか一方又はその双方がキレート剤によってキレート配位させた金属コロイド粒子は加水分解反応を遅延させる効果があり、更に安定性が増す。
【0030】
アルコキシシランは、1個又は2個のアミノ基を含有し、かつnが1以上〜3以下の有機鎖(−CH2−)nを有するものが好ましい。3個以上のアミノ基を有するアルコキシシランは有機鎖が長くなり、その結果、焼成後の色安定性に問題が発生するだけでなく、一般に合成が困難であり、高価である。また、有機鎖のnが3以上の場合にも有機鎖が長くなり熱安定性が減少する。
【0031】
具体的には、本発明で用いるアミノ基を有するアルコキシシランとしては、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらの保護剤(アミノ基含有アルコキシシラン)の量は金属量に対してモル比で2倍から40倍であればよい。
【0032】
金属粒子の金属種は、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Pd、Ni、Zn、Ru、Rh及びIrからなる群より選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。これらの金属粒子を生成させる金属化合物としては、塩化金酸、シアン化金カリウム、塩化銀、硝酸銀、硫酸銀、シアン化銀、塩化白金酸、テトラクロロヘキサアミン白金、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、塩化イリジウム酸、塩化イリジウム、塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸銅、塩化亜鉛などの金属塩を用いることができる。
【0033】
還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、トリメチルアミンボラン、ジメチルアミンボラン、ターシャリーブチルアミンボラン、2級アミン、3級アミン次亜リン酸塩、グリセリン、アルコール、過酸化水素、ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、ホルムアルデヒド水溶液、酒石酸塩、ブドウ糖、N-N-ジエチルグリシンナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ガス、硫酸第1鉄などを用いることができる。
【0034】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子の平均粒子径は1〜100nmの範囲内、好ましくは1〜80nmの範囲内である。また、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuを主成分とするとき、Au粒子の平均粒子径は1〜60nmの範囲内が好適である。また、金属コロイド粒子の形状は球状、多角状又はアメーバ状を有する粒状粒子である。
【0035】
本発明の金属コロイド粒子は、保護剤が硫黄又は酸素のいずれか一方又はその双方の原子又は原子団をアンカーとして金属粒子表面に結合しているので金属コロイド液が安定であり、例えば、後述の実施例に示すように、初期粘度20cPに対して、80日以内の粘度が25〜30cP以下であり、初期粘度に対する粘度変化(80日以内の経時粘度/初期粘度)が1.5以下(実施例では1.25〜1.50)である。
【0036】
更に、本発明は高濃度の金属コロイドを得ることができる。従来の方法によって得られる金属コロイド濃度は概ね1重量%以下であるが、本発明においては濃度10重量%以上の金属コロイドを得ることができる。しかも、このような高濃度の金属コロイドにおいてもコロイド液が安定であり、前述したように粘度変化が小さい。例えば、金の金属コロイドの場合、金濃度は0.1重量%〜95重量%の範囲内で安定であり、分散媒には有機溶剤でも水でも扱うことができる。金属コロイド中の金濃度は、10重量%〜60重量%の範囲内がより好ましい。
【0037】
また、本発明の金属コロイドないしこの金属コロイドから得られる薄膜は優れた耐熱性を有する。具体的には、加熱基準温度、例えば300℃〜400℃前後の加熱下に400時間保持しても色調の変化が2%以下と、色調が殆ど変化しない。後述の実施例では、バインダーとしてシリカゾルに金属コロイドを添加し、スピンコートでガラス基板に成膜し、これを300℃で透過率を測定したが変化は殆ど見られなかった。
【0038】
また、本発明の金属コロイド粒子は、粒子径が例えば0.1nm以上〜60nm以下であるものは安定性に優れる。粒子径が60nmより大きいと自重によって自然沈降する現象が見られる。また粒子径が0.1nm未満では発色効果が小さくなる。
【0039】
本発明の金属コロイド粒子は、金属粒子がAu粒子を主成分とするとき、Au粒子が本来有する光沢色の色調を呈する。また、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布又は吹付けした後、塗布又は吹付けした金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜は、ピンクゴールドの色調を呈する。
【0040】
また、Au粒子を主成分とし、このAu粒子以外に不純物としてAg粒子及びCu粒子をそれぞれ含む金属コロイド粒子であって、この金属コロイド粒子中に含まれる不純物含有量が5〜40%であり、不純物中に含まれるAg含有量が不純物100重量%に対して40〜60重量%であるとき、金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布又は吹付けした後、塗布又は吹付けした金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜は、イエローゴールドの色調を呈する。
このイエローゴールドの色調を呈する金属コロイド粒子としては、Auを主成分とし、不純物としてAg及びCuをそれぞれ含む合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子でも同様のイエローゴールドの色調を呈することができる。また、上記Au粒子を主成分とし、Au粒子以外に不純物としてAg粒子及びCu粒子をそれぞれ含む金属コロイド粒子と上記合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子の双方を混合した金属コロイド粒子を用いても同様のイエローゴールドの色調を呈することができる。
【0041】
上記色調の識別はCIE 1976 L***色空間(測定用光源C:色温度6774K)によって識別可能であり、本発明のイエローゴールドの色調は、CIE 1976 L***色空間における明度指数L*値が25〜99であり、クロマティクネス指数a*値及びb*値がそれぞれ+0.1〜+10及び+20〜+60である。なお、CIE 1976 L***色空間とは、国際照明委員会(CIE)が1976年にCIE XYZ表色系を変換し、表色系内の一定距離がどの色の領域でもほぼ知覚的に等歩度の差をもつように定めた色空間である。また明度指数L*値,クロマティクネス指数a*値及びb*値は、CIE 1976 L***色空間内の直交座標系で定められる量であり、次の式(1)〜(3)で表される。
*=116(Y/Y01/3−16 …(1)
*=500[(X/X01/3−(Y/Y01/3] …(2)
*=200[(Y/Y01/3−(Z/Z01/3] …(3)
但し、X/X0,Y/Y0,Z/Z0>0.008856であり、X,Y,Zは物体色の三刺激値であり、X0,Y0,Z0は物体色を照明する光源の三刺激値でY0=100に基準化されている。
【0042】
また、Au粒子を主成分とし、このAu粒子以外に不純物としてAg粒子及びCu粒子をそれぞれ含む金属コロイド粒子、又はAuを主成分とし、不純物としてAg及びCuをそれぞれ含む合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子のいずれか一方又はその双方を混合した金属コロイド粒子であって、金属コロイド粒子中に含まれる不純物含有量が5〜40%であり、不純物中に含まれるAg含有量が不純物100重量%に対して65重量%以上であるとき、この金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布又は吹付けした後、塗布又は吹付けした金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜は、グリーンゴールドの色調を呈する。本発明のグリーンゴールドの色調は、CIE 1976 L***色空間における明度指数L*値が25〜99であり、クロマティクネス指数a*値及びb*値がそれぞれ−0.1〜−40及び+0.1〜+60である。
【0043】
また、Au粒子を主成分とし、このAu粒子以外に不純物としてAg粒子及びCu粒子をそれぞれ含む金属コロイド粒子、又はAuを主成分とし、不純物としてAg及びCuをそれぞれ含む合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子のいずれか一方又はその双方を混合した金属コロイド粒子であって、金属コロイド粒子中に含まれる不純物含有量が5〜40%であり、不純物中に含まれるAg含有量が不純物100重量%に対して30重量%以下であるとき、金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布又は吹付けした後、塗布又は吹付けした金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜は、レッドゴールドの色調を呈する。本発明のレッドゴールドの色調は、CIE 1976 L***色空間における明度指数L*値が25〜99であり、クロマティクネス指数a*値及びb*値がそれぞれ+25〜+50及び+0.1〜+60である。
【0044】
また、Au粒子を主成分とし、このAu粒子以外に不純物としてAg粒子、Cu粒子及びPd粒子をそれぞれ含む金属コロイド粒子、又はAuを主成分とし、不純物としてAg、Cu及びPdをそれぞれ含む合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子のいずれか一方又はその双方を混合した金属コロイド粒子であって、金属コロイド粒子中に含まれる不純物含有量が5〜40%であり、不純物中に含まれるAg含有量が不純物100重量%に対して30重量%以下であるとき、金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布又は吹付けした後、塗布又は吹付けした金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜は、ピンクゴールドの色調を呈する。本発明のピンクゴールドの色調は、CIE 1976 L***色空間における明度指数L*値が25〜99であり、クロマティクネス指数a*値及びb*値がそれぞれ+10〜+25及び+0.1〜+60である。
【0045】
更に、Au粒子を主成分とし、このAu粒子以外に不純物としてPd粒子を含む金属コロイド粒子、又はAuを主成分とし、不純物としてPdを含む合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子のいずれか一方又はその双方を混合した金属コロイド粒子であって、金属コロイド粒子中に含まれる不純物含有量が5〜40%であるとき、金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布又は吹付けした後、塗布又は吹付けした金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜は、ホワイトゴールドの色調を呈する。本発明のホワイトゴールドの色調は、CIE 1976 L***色空間における明度指数L*値が25〜99であり、クロマティクネス指数a*値及びb*値がそれぞれ+0.1〜+10及び+0.1〜+20である。
【0046】
本発明の金属コロイドは、前述した本発明の金属コロイド粒子を水系又は非水系の溶媒に所定の割合で混合及び分散させ、あるいは本発明の金属コロイド粒子をゾルゲル溶液に所定の割合で混合させたことを特徴とする。溶媒は水系でも非水系でもよく、混合割合も任意に調整できる。ゾルゲル溶液としてはシリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化タンタル及び酸化ニオブからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を形成する溶液を用いることができる。これらのバインダーを用いることによって、バインダー中での金属の分散が均一化し、所望の特性を有効に利用することができる。例えば、金コロイドでは、その均一分散によって510nm付近での吸収を利用した赤色フィルターを実現できる。また、バインダーが耐熱性を有する場合にはその効果はより一層大きくなる。
【0047】
本発明の金属コロイド薄膜は、金属コロイドを用いて成膜することで形成することができるが、その成膜方法は特に限定されない。例えば、上記金属コロイド粒子を有機溶媒に分散した溶液、あるいはゾルゲル溶液に混合した溶液を基材表面に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後に乾燥し、あるいは塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後に乾燥し、その後焼成して薄膜を形成してもよい。本発明の金属コロイドを基材表面に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後に、金属コロイドから分散媒を除去して形成することで金属コロイド含有塗膜形成物を得ることができる。基材としては、ガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる群より選ばれた材質が挙げられる。具体的に基材を例示すれば、人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、お守り袋や印鑑ケースなどの用途が挙げられる小物袋、名刺や記念カード、招待カード、グリーティングカードなどの用途が挙げられるカード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質が挙げられる。なお、本発明における神仏像とは、世界中に存在するあらゆる宗教に関わる像のことを指し、何ら宗教の宗派に限定されるものではない。また基材が宝飾品であるとき、この宝飾品は貴金属粘土から作製されたものでもよい。
【0048】
本発明の金属コロイド含有塗膜形成物には、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含むことが好ましい。塗膜に上記金属粉末等を含むことで装飾性が高まる。このうち、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属としてAuを用いることで、高い審美性が得られる。
【0049】
また、本発明の金属コロイド薄膜を基材表面に有する透明材料として使用してもよい。本発明の金属コロイドの用途は、例示すれば、書道、陶芸、ガラス細工、宗教や仏壇関係に用いられる金属顔料として使用することができる。また、水性及び油性ボールペン用にインクとして含ませて使用することもできる。また、ペン筆、万年筆、マーカー等のペンインク液や筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルとしても使用することができる。特に金属コロイドをインクとして充填したペンにおいては、インクを容器に移したりする手間がいらず、手軽に金属コロイドからなる文字や模様を描くのに非常に便利である。また、ディスポーザブルアンプルとは、金属コロイドを充填し、容器上部を熱圧着することで、金属コロイドを封入している合成樹脂からなる使い捨て容器のことであり、充填された金属コロイドは蓋の部分を横方向に回転させることで容易に開封することができ、任意の容器に移して金属コロイドからなるインクとして使用可能である。このディスポーザブルアンプルを用いて小分けに金属コロイドを保管することで、使用する際には必要な分だけを開封すればよいので、高価な金属コロイドを無駄に劣化させることが少ないという点において非常に有効である。上記ペン、ペン用カートリッジ、ディスポーザブルアンプルの形式及び形態は限定されない。また、紙或いはフィルムへの印刷用インクとしても使用することができる。また、ネイルアート等の化粧装飾としても使用することができる。更に、配線材を形成するための塗料としても使用することができる。印刷方法としては、平版印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、カルトン印刷、金属印刷、フォーム印刷、両面印刷、オーバープリント、インクジェット印刷、スクリーン印刷、スリットコート法、ディスペンサー法、スピンコート法、スプレイ法、ディッピング法、エアブラシ法等が挙げられる。しかし上記用途に限定されるものではない。
【0050】
上記金属コロイドからなる薄膜はコロイド粒子に応じた色調と高い透明性を有するので、この薄膜を形成した透明材料はカラーフィルターや、プラズマディスプレイパネル(PDP)として利用することができる。
【0051】
また、表面又は裏面のいずれか一方又はその双方が剥離処理された転写基板に本発明の金属コロイドを塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した金属コロイド含有塗膜を有する転写シートとして利用することができる。また、本発明の転写シートには、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を金属コロイド含有塗膜中に含むことが好ましい。塗膜に上記金属粉末等を含むことで装飾性が高まる。このうち、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属としてAuを用いることで、高い審美性が得られる。
【0052】
本発明の転写シートの金属コロイド含有塗膜を基材表面に転写させることで、表面に転写膜を有する金属コロイド含有塗膜形成物を得ることができる。転写を施す基材としては、ガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる材料群から選ばれた材質が挙げられる。具体的に基材を例示すれば、人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、お守り袋や印鑑ケースなどの用途が挙げられる小物袋、名刺や記念カードなどの用途が挙げられるカード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質が挙げられる。なお、本発明における神仏像とは、世界中に存在するあらゆる宗教に関わる像のことを指し、何ら宗教の宗派に限定されるものではない。また基材が宝飾品であるとき、この宝飾品は貴金属粘土から作製されたものでもよい。また転写を施す基材には、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含むことが好ましい。基材に上記金属粉末等を含ませることで装飾性が高まる。このうち、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属としてAuを用いることで、高い審美性が得られる。
【0053】
更に、本発明の金属コロイドを基材に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドを有する基材を所定の雰囲気下、15〜450℃の温度で1〜60分間保持することによって、比抵抗1×10-3Ω・cm以下の低抵抗の導電膜付きの基材が得られる。導電膜を形成するための条件としては、15℃以上350℃未満の温度では30分〜60分保持することが好ましい。上記温度範囲内で保持時間が30分未満であると、溶媒或いは保護剤の分解或いは脱離が不十分であるため、所望の導電性が発現しない場合がある。また保持時間が60分を越えても、得られる導電膜の比抵抗はさほど変わらないため、生産性やコストの面で好ましくない。また、350〜450℃の温度では1〜60分保持することが好ましい。上記温度範囲内で保持時間が1分未満であると、溶媒或いは保護剤の分解或いは脱離が不十分であるか、或いは焼結が不十分であるため、所望の導電性が発現しない場合がある。また保持時間が60分を越えても、得られる導電膜の比抵抗はさほど変わらないため、生産性やコストの面で好ましくない。
また、本発明の金属コロイドをインクとして含浸したスタンプ台及び印鑑台とすることができる。更に、これらのスタンプ台又は印鑑台に含浸したインクを用いて描画された描画体や、本発明の金属コロイドをインクとしてインクジェットプリンタを用いて描画された描画体などとしても利用することができる。
【実施例】
【0054】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<合成1>
金属塩として塩化金酸を、保護剤前駆体としてγ-メルカプトプロピルトリメトキシシランを、還元剤としてジメチルアミンボランをそれぞれ用意した。先ず、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン9.00gにジメチルアミンボランを適量添加した。また、金属濃度が4.0重量%になるように塩化金酸を溶解したメタノール液を徐々に投入して混合溶液を調製した。この混合溶液の調製は60℃に保温し、混合溶液をマグネチックスターラーで攪拌しながら行い、金属コロイド粒子が生成して赤色を呈するまで還元反応させた。次に、還元反応を終えた混合溶液を室温にまで冷却し、冷却後、混合溶液を限外濾過法により脱塩を行い、水を分散媒とした金属コロイドを得た。この金属コロイドに水に適宜添加して濃度を調節し、金属コロイド粒子を水に分散させた濃度50重量%の金属コロイドを得た。
保管容器に入れた金属コロイドの写真を図2に、透過電子顕微鏡(TEM)により撮影した金属コロイド粒子の写真を図3にそれぞれ示す。また、得られた金属コロイド中の金属コロイド粒子を構成する保護剤分子についてTOF−SIMS分析を行った。TOF−SIMS分析によりAuとCSからなるクラスターイオンが優勢に検出された。更に、NMR(C,H)の分析結果を併せることにより、保護剤分子は硫黄によってAu粒子表面に配位修飾していることが判った。
【0055】
<合成2>
金属塩として塩化金酸を、保護剤前駆体としてγ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-アミノエタノール及びアセチルアセトンを、還元剤としてジメチルアミンボランをそれぞれ用意した。先ず、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.00gと2-アミノエタノール5.00gとアセチルアセトン12.00gを混合し、この混合液にジメチルアミンボランを適量添加した。また、金属濃度が4.0重量%になるように塩化金酸を溶解したメタノール液を徐々に投入して混合溶液を調製した。この混合溶液の調製は60℃に保温し、混合溶液をマグネチックスターラーで攪拌しながら行い、金属コロイド粒子が生成して赤色を呈するまで還元反応させた。次に、還元反応を終えた混合溶液を室温にまで冷却し、冷却後、混合溶液を限外濾過法により脱塩を行い、水を分散媒とした金属コロイドを得た。この金属コロイドに水に適宜添加して濃度を調節し、金属コロイド粒子を水に分散させた濃度50重量%の金属コロイドを得た。
得られた金属コロイド中の金属コロイド粒子を構成する保護剤分子についてTOF-SIMS分析を行った。TOF-SIMS分析により、AuとCS、AuとCN、もしくはAuとCOからなるクラスターイオンが優勢に検出された。更に、NMR(C,H)の分析結果を併せることにより、保護剤分子は硫黄、窒素及び酸素によってAu粒子表面に配位修飾していることが判った。
【0056】
<合成3〜27>
金属塩、保護剤前駆体、還元剤及び分散媒の種類を次の表1及び表2に示す化合物にそれぞれ変更した以外は、合成1と同様にして各種金属コロイドを得た。なお、表1及び表2中の保護剤前駆体の種類欄において、記号(A)〜(H)で示される化合物を表3に示す。
【0057】
また合成3〜27でそれぞれ得られた金属コロイド粒子の保護剤分子構造についても、NMR、TOF-SIMS、FT-IR、SAXS、可視紫外分光、SERS、XAFS等を組合せて解析することで確認した。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
<実施例1>
合成1において製造した金属コロイドを実施例1の濃度50重量%の水媒体からなる金属コロイドとした。
<比較例1>
先ず、金属塩として塩化金酸を、保護前駆体としてγ-アミノプロピルトリエトキシシランを、還元剤としてジメチルアミンボランを用意した。
γ-アミノプロピルトリエトキシシラン9.00g並びに金メタル換算濃度で4.0重量%になるように塩化金酸を溶解したメタノール液を添加した。続いて還元剤であるジメチルアミンボランを金属コロイド粒子が生成して赤色を呈するまで適量添加した。その時の温度は60℃で保温し、マグネチックスターラーで攪拌しながら進めた。冷却後は限外濾過法によって脱塩し、濃度50重量%の水媒体からなる金属コロイド液を得た。
この金属コロイド液を用いて和紙に書いた文字には金本来の持つ色調と金属光沢が現れ、また、文字表面を布で擦っても金属が剥がれることがなかった。
【0062】
<比較評価1>
実施例1及び比較例1においてそれぞれ得られた金属コロイドをそれぞれ2分割し、一方を25℃に、他方を40℃にそれぞれ保管して保管日数における金属コロイド液の粘度についての経時変化を調べた。この結果を図4に示す。
図4より明らかなように、比較例1の金属コロイドは、25℃保存においては初期粘度5cPに対して、保存日数60日で6〜6.5cPと粘度変化は約60%の変化であったが、40℃保存においては12日経過前後から粘度が急激に上昇し、60日後には12cPに達し、粘度変化は140%の変化であった。この結果から比較例1の金属コロイドは、高温における経時安定性に劣っていることが判る。一方、実施例1の金属コロイドは、初期粘度が5cPに対して25℃保存、40℃保存どちらの場合でも60日以内の粘度は6〜6.5cPと最大で約30%の変化であった。この結果から、本発明の金属コロイドは高温保管であっても経時安定性に優れていることが判る。
【0063】
<実施例2>
合成1及び合成7においてそれぞれ得られた金属コロイドをシリカゾルに混合してコロイド濃度8重量%の溶液とし、これをガラス基板に塗布して成膜し、300℃で焼成して金属コロイド薄膜を形成した。一方、次の表4に示す保護剤を用いて作製した比較試料の金属コロイドを用いて同様の膜を形成した。これら形成した金属コロイド薄膜の鉛筆硬度をそれぞれ測定した。得られた結果を表4に示す。
表4より明らかなように、本発明の金属コロイド薄膜は何れも鉛筆硬度が7H以上(6Hで傷が生じない)であるのに対し、比較試料の金属コロイド薄膜では1H以下(1Hで傷発生)であった。なお、本発明の薄膜の硬度は加熱使用後でも変化しなかった。
【0064】
【表4】

【0065】
<実施例3>
実施例2の金属コロイド液について、調製直後の透過率と400時間経過後の透過率を測定した。この結果を図5(調製直後の透過率)及び図6(400時間経過後)にそれぞれ示す。
図5及び図6より明らかなように、380nm〜780nmの波長領域において、調製直後の透過率と400時間経過後の透過率は殆ど変化しておらず、本発明の金属コロイド液は経時安定性に優れている結果が得られた。
また、これらの試料について色度変化についても併せて測定した。得られた測定結果は、色度座標系においてx座標の値が測定開始時が0.6420であり、400時間経過後が0.6408であった。x座標の変化率は0.19%であった。また、y座標の値は測定開始時が0.3428であり、400時間経過後が0.3443であった。y座標の変化率は0.44%であった。この結果から変化率が極めて小さく、この点からも経時安定性に優れることが確認された。なお、他の金属コロイドについても同様の試験を行ったところ、何れも色調の変化は2%以下であった。
【0066】
<実施例4>
合成1〜27でそれぞれ得られた50重量%濃度の金属コロイドを用意し、この50重量%濃度の金属コロイドを用いて5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%及び40重量%にそれぞれ希釈した金属コロイドをそれぞれ調製した。次に、5重量%〜50重量%濃度にそれぞれ調製した金属コロイドを用い、墨汁用の筆を用いて和紙に所定の文字を書き、自然乾燥を施した。30重量%濃度の金属コロイドを用いて表面に文字を書いた和紙の写真を図7に示す。また、図7には和紙以外の材質の紙を用い、これらの表面に文字を書いた紙の写真も併せて示す。
濃度が30重量%以上の金属コロイドを用いた場合、書いた文字には金属の持つ本来の色調と金属鏡面光沢が現れ、文字表面を布で擦っても金属が剥がれることはなかった。濃度が25重量%以下の金属コロイドを用いた場合でも書いた文字には金属鏡面光沢が現れたが、金属の本来の色調からずれてきた感覚を受けた。上記金属コロイドを3週間室温保存し、保存した金属コロイドを用いて再度和紙に文字を書いてみたが、保存前と同様に、書いた文字には金属の持つ本来の色調と金属鏡面光沢が現れた。
【0067】
<実施例5>
実施例4で使用した5重量%〜50重量%の金属コロイドに、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールを金属重量に対して5〜15%の範囲内で混合して液を調製した。次に、調製した金属コロイドを用い、墨汁用の筆を用いて和紙に所定の文字を書き、自然乾燥を施した。
濃度が25重量%以上の金属コロイドを用いた場合、書いた文字には金属の持つ本来の色調と金属鏡面光沢が現れ、文字表面を布で擦っても金属が剥がれることはなかった。濃度が20重量%以下の金属コロイドを用いた場合でも書いた文字には金属鏡面光沢が現れたが、金属の本来の色調からずれてきた感覚を受けた。上記金属コロイドを3週間室温保存し、保存した金属コロイドを用いて再度和紙に文字を書いてみたが、保存前と同様に、書いた文字には金属の持つ本来の色調と金属鏡面光沢が現れた。
【0068】
<実施例6>
先ず、ガラスコップ及び陶磁器、磁器製のコーヒーカップ及びポリカーボネート性のプラスチック板をそれぞれ用意した。次いで、実施例4で調製した金属コロイドを用い、ガラスコップ及び陶磁器にそれぞれ所定の模様を描いた。また磁器製のコーヒーカップ側面及びポリカーボネート性のプラスチック板表面にそれぞれ所定の文字を書いた。模様を描いたガラスコップの写真を図8に、文字を書いた磁器製のコーヒーカップの写真を図9にそれぞれ示す。
濃度が15重量%以上の金属コロイドを用いた場合、金属の持つ本来の色調と金属鏡面光沢が現れ、表面を布で擦っても金属が剥がれることはなかった。濃度が10重量%以下の金属コロイドを用いた場合でも金属鏡面光沢は現れたが、金属の本来の色調からずれてきた感覚を受けた。上記金属コロイドを3週間40℃で保存し、保存した金属コロイドを用いて再度ガラスコップ、陶磁器、磁器製のコーヒーカップ及びポリカーボネート性のプラスチック板にそれぞれ文字や模様を書いてみたが、保存前と同様に、金属の持つ本来の色調と金属鏡面光沢が現れた。
【0069】
<実施例7>
先ず、実施例4で調製した金属コロイドを、人工毛、人工まつ毛、プラスチックモデル、お守り袋、印鑑ケース、記念カード、招待カード、グリーティングカード、人形、仏像、位牌、額縁、衣服及び織物にそれぞれ塗布した。人工毛にはエアブラシにて吹付ける方法により塗布し、人工まつ毛、プラスチックモデル、人形及び仏像には筆で全体を塗布した。また、位牌には筆で所望の文字を書き、額縁はフレーム部分のみを筆で塗布し、記念カード、招待カード、グリーティングカード、お守り袋、印鑑ケース、衣服及び織物には筆で所望の文字又は模様を描画した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を十分に除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜を形成した。
金属コロイド含有塗膜を形成したプラスチックモデルを図10(a)に、額縁を図10(b)にそれぞれ示す。図10(a)及び図10(b)より明らかなように、金属コロイド含有塗膜は金属本来の持つ金属光沢色調を発現し、光輝性、デザイン性に優れていることが判る。
【0070】
<実施例8>
先ず、実施例4で調製した金属コロイドを以下の宝飾品に塗布した。指輪、銀粘土から作られた指輪、ピアス、イヤリング、ブレスレッド、ネックレス、キーホルダー及びかんざしには筆を用いて金コロイドを塗布し、また、時計、髪留め、ブローチ及びネクタイピンにはエアブラシにて吹付ける方法により塗布した。金属コロイド含有塗膜を形成した銀粘土から作られた指輪、イヤリング及びブローチをそれぞれ図11(a)、図11(b)及び図11(c)にそれぞれ示す。
図11(a)、図11(b)及び図11(c)より明らかなように、金属コロイド含有塗膜は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現した、光輝性及びデザイン性に優れた宝飾品となることが判る。
【0071】
<実施例9>
実施例4で調製した金属コロイドと、天然爪及び人工爪をそれぞれ用意した。図12に示すマニキュア用筆を用いて金属コロイドを塗布する方法により、天然爪及び人工爪表面に金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜を形成した。塗布法により金属コロイド含有塗膜を形成した天然爪を図13に示す。
図13より明らかなように、天然爪表面及び人工爪表面にそれぞれ形成した金属コロイド含有塗膜は、金本来の持つ金光沢の色調を発現し、金属鏡面を有した平滑性に優れた膜となることが判る。
【0072】
<実施例10>
図14に示すマニキュア用エアブラシを用いて金属コロイドを吹付ける方法により、天然爪表面及び人工爪表面に実施例4で調製した金属コロイドを吹付けた。吹付け後は、ドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜を形成した。吹付け法により金属コロイド含有塗膜を形成した天然爪を図15に示す。
図15より明らかなように、天然爪表面及び人工爪表面にそれぞれ形成した金属コロイド含有塗膜は、金本来の持つ金光沢の色調を発現しているが、前述した実施例9の筆で塗布して形成した塗膜とは異なり、艶消し(mat)された光沢を有し、かつ平滑性に優れた塗膜が得られていることが判る。
【0073】
<実施例11>
先ず実施例9と同様にマニキュア用筆を用いて天然爪表面及び人工爪表面に実施例4で調製した金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜を形成した。次に形成した金属コロイド含有塗膜の上からトップコート剤を塗布して重ね塗りすることにより、トップコーティングして金属コロイド含有塗膜を剥がれ難くした。人工爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜は、実施例9で得られた塗膜と同様に金本来の持つ金光沢の色調を発現し、更には金属鏡面を有した平滑性に優れた塗膜である。
【0074】
<実施例12>
先ず、人工爪表面にアンダーコート層を形成した。次に、実施例9と同様にマニキュア用筆を用いてアンダーコート層表面に実施例4で調製した金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜を形成した。人工爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜は、実施例9及び実施例11で得られた塗膜と同様に金本来の持つ金光沢の色調を発現し、更には金属鏡面を有した、平滑性に優れた塗膜となった。
【0075】
<実施例13>
先ず、人工爪表面にアンダーコート層を形成した。次に、実施例9と同様にマニキュア用筆を用いてアンダーコート層表面に実施例4で調製した金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜を形成した。次に形成した金属コロイド含有塗膜の上からトップコート剤を塗布して重ね塗りすることにより、トップコーティングして金属コロイド含有塗膜を剥がれ難くした。人工爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜は実施例9、実施例11及び実施例12で得られた塗膜と同様に金本来の持つ金光沢の色調を発現し、更には金属鏡面を有した、平滑性に優れた塗膜となった。
【0076】
<実施例14>
金属コロイドを塗布する際に、エアブラシを用いて爪の先だけに塗布した以外は実施例13と同様にして金属コロイド含有塗膜を人工爪表面に形成した。また、金属コロイドを塗布する際に、マニキュア用筆で爪表面に所望の模様を描いた以外は実施例13と同様にして金属コロイド含有塗膜を人工爪表面に形成した。爪の先だけにエアブラシを用いて塗布した人工爪及びマニキュア用筆で爪表面に所望の模様を描いた人工爪は実施例9、実施例11〜13と同様に金属本来の持つ金属本来の色調を発現しているだけでなく、非常にデザイン性に優れていた。
【0077】
<実施例15>
実施例4で調製した金属コロイドに、平均粒径が1〜10nmの金属微粒子を0.5%〜3%含有した以外は実施例13と同様にして金属コロイド含有塗膜を人工爪表面に形成した。得られた金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪を図16に示す。
図16より明らかなように、人工爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜はピンクゴールドの色調を発現し、非常にデザイン性に優れていることが判る。
【0078】
<実施例16>
合成19で得られた金属コロイドを用いた以外は実施例13と同様にして金属コロイド含有塗膜を人工爪表面に形成した。金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪を図17(a)に示す。
図17(a)より明らかなように、人工爪に形成した塗膜は、金属鏡面を有し、平滑性に優れているだけでなく、イエローゴールドの色調を発現したデザイン性に優れた膜であることが判る。
【0079】
<実施例17>
合成20で得られた金属コロイドを用いた以外は実施例13と同様にして金属コロイド含有塗膜を人工爪表面に形成した。金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪を図17(b)に示す。
図17(b)より明らかなように、人工爪に形成した塗膜は、金属鏡面を有し、平滑性に優れているだけでなく、グリーンゴールドの色調を発現したデザイン性に優れた膜であることが判る。
【0080】
<実施例18>
合成21で得られた金属コロイドを用いた以外は実施例13と同様にして金属コロイド含有塗膜を人工爪表面に形成した。金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪を図17(c)に示す。
図17(c)より明らかなように、人工爪に形成した塗膜は、金属鏡面を有し、平滑性に優れているだけでなく、レッドゴールドの色調を発現したデザイン性に優れた膜であることが判る。
【0081】
<実施例19>
合成22で得られた金属コロイドを用いた以外は実施例13と同様にして金属コロイド含有塗膜を人工爪表面に形成した。金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪を図17(d)に示す。
図17(d)より明らかなように、人工爪に形成した塗膜は、金属鏡面を有し、平滑性に優れているだけでなく、ピンクゴールドの色調を発現したデザイン性に優れた膜であることが判る。
【0082】
<実施例20>
合成23で得られた金属コロイドを用いた以外は実施例13と同様にして金属コロイド含有塗膜を人工爪表面に形成した。金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪を図17(e)に示す。
図17(e)より明らかなように、人工爪に形成した塗膜は、金属鏡面を有し、平滑性に優れているだけでなく、ホワイトゴールドの色調を発現したデザイン性に優れた膜であることが判る。
【0083】
<実施例21>
先ず、人工爪表面にアンダーコート剤を塗布乾燥してアンダーコート層を形成した。次いで、実施例9と同様にマニキュア用筆を用いてアンダーコート層表面に実施例4で調製した金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜を形成した。次に、形成した金属コロイド含有塗膜の上からトップコート剤を塗布し、トップコート剤が完全に乾燥する前に、所望の箇所に素材としてラメ剤を振りかけ、更にダイヤモンド天然石及びピンクサファイヤ天然石を散りばめ、上から押し付けるようにして定着させ、ドライヤーの風をあててトップコート剤を乾燥させることでそれら素材を固定化した。更にトップコート剤を塗布することにより素材の固定化を強固にした。金属コロイド含有塗膜とラメ剤、ダイヤモンドやピンクサファイヤの天然宝石を組合わせることで光輝性及びデザイン性が向上した。
【0084】
<実施例22>
先ず、マニキュア用筆を用いて人工爪の先だけに実施例4で調製した金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜を形成した。次に、形成した金属コロイド含有塗膜の上からトップコート剤を塗布し、トップコート剤が完全に乾燥する前に、所望の箇所に素材としてパール及びダイヤモンド天然石を並べて、上から押し付けるようにして定着させ、ドライヤーの風をあててトップコート剤を乾燥させることでそれら素材を固定化した。更にトップコート剤を塗布することにより素材の固定化を強固にした。得られた金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪を図18(a)に示す。
図18(a)より明らかなように、爪の先だけに形成した金属コロイド含有塗膜とパール、ダイヤモンドの天然宝石を組合わせることで光輝性及びデザイン性が向上した。
【0085】
<実施例23>
先ず、マニキュア用筆を用いて人工爪表面に実施例4で調製した金属コロイドで所望の模様を描いた。描画後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜を形成した。次に、形成した金属コロイド含有塗膜の上からトップコート剤を爪表面全面に塗布し、トップコート剤が完全に乾燥する前に、所望の箇所に素材として金箔粉末、ダイヤモンド天然石及びピンクサファイヤ天然石を散りばめ、上から押し付けるようにして定着させ、ドライヤーの風をあててトップコート剤を乾燥させることでそれら素材を固定化した。更にトップコート剤を塗布することにより素材の固定化を強固にした。得られた金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪を図18(b)に示す。
図18(b)より明らかなように、金属コロイド含有塗膜と金箔粉末、ダイヤモンド及びピンクサファイヤの天然宝石を組合わせることで光輝性及びデザイン性が向上していることが判る。
【0086】
<実施例24>
先ず、離形性合成紙からなる基材2の片面にアクリル樹脂からなるコーティング液を塗布し、表面保護層4を形成した。次に、この表面保護層4の上に実施例4で調製した金コロイドを塗布し、金属コロイド含有塗膜層5を形成した。更に、金属コロイド含有塗膜層5の上にホットメルト型樹脂からなるコーティング液を塗布することにより接着剤層6を形成し、基材2上に、表面保護層4、金属コロイド含有塗膜層5及び接着剤層6からなる転写層3が形成された図19に示す転写シート1を作製した。
【0087】
<実施例25>
インクジェットプリンタにより文字や模様を描画して金属コロイド含有塗膜層5を形成した以外は実施例24と同様にして転写シートを作製した。
【0088】
<実施例26>
実施例24及び実施例25の転写シートを用いて紙、衣類、皮革及びガラスに熱圧転写することにより、表面に金属コロイド含有塗膜を形成した。金属コロイド含有塗膜は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れていた。また塗膜を指で擦っても剥離しなかった。なお、熱圧転写方法は従来より公知の方法により行うことが可能である。
【0089】
<実施例27>
150mm×150mm×1mmのプラズマ処理済みガラスシートを用意し、実施例4の合成13で得られた50重量%濃度Auコロイドをインクジェットプリンターのインクタンクに入れてガラスシート上に線幅約2mm、長さ100mmの黄金光沢色の線を5本描画した。描画したガラスシートを室温で乾燥した後、黄金光沢色の線の電気抵抗値を測定したところ、その測定値は9.6×10-6Ω・cmであった。
<実施例28>
150mm×150mm×1mmのプラズマ処理済みガラスシートを用意し、実施例4の合成5で得られた50重量%濃度Auコロイドをインクジェットプリンターのインクタンクに入れてガラスシート上に線幅約2mm、長さ100mmの黄金光沢色の線を5本描画した。描画したガラスシートを300℃で10分間大気中焼成した後、黄金光沢色の線の電気抵抗値を測定したところ、その測定値は2.5×10-6Ω・cmであった。
【0090】
<実施例29>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを用意し、実施例4の合成16で得られた40重量%濃度Ruコロイドを用いて回転速度200rpm、3分間の条件でスピンコートを施してアルミナシート表面に塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートを大気中350℃で1分焼成した後、自然冷却させた。室温まで冷却した後、得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、その抵抗値は、7.1×10-4Ω・cmであった。
<実施例30>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを用意し、実施例4の合成17で得られた50重量%濃度Ptコロイドを用いてスクリーン印刷を施してアルミナシート表面の10mm×25mmの範囲に塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートを大気中400℃で10分焼成した後、自然冷却させた。室温まで冷却した後、得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、その抵抗値は、4.9×10-4Ω・cmであった。
【0091】
<実施例31>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを用意し、実施例4の合成18で得られた30重量%濃度Cuコロイドを用いて回転速度200rpm、3分間の条件でスピンコートを施してアルミナシート表面に塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートを2%水素含有アルゴンガス雰囲気中300℃で10分焼成した後、自然冷却させた。室温まで冷却した後、得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、その抵抗値は、2.5×10-5Ω・cmであった。
<実施例32>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを用意し、実施例4の合成24で得られた30重量%濃度Niコロイドを用いてオフセット印刷を施してアルミナシート表面の10mm×25mmの範囲に塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートを2%水素含有アルゴンガス雰囲気中450℃で1分焼成した後、自然冷却させた。室温まで冷却した後、得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、その抵抗値は、5.5×10-5Ω・cmであった。
【0092】
<実施例33>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを用意し、実施例4の合成25で得られた30重量%濃度Ni/Znコロイドを用いて回転速度200rpm、3分間の条件でスピンコートを施してアルミナシート表面に塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートを2%水素含有アルゴンガス雰囲気中450℃で10分焼成した後、自然冷却させた。室温まで冷却した後、得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、その抵抗値は、9.3×10-5Ω・cmであった。
<実施例34>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを用意し、実施例4の合成26で得られた30重量%濃度Rhコロイドを用いてスプレー塗布を施してアルミナシート表面に塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートをアルゴンガス雰囲気中400℃で10分焼成した後、自然冷却させた。室温まで冷却した後、得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、その抵抗値は、2.5×10-5Ω・cmであった。
【0093】
<実施例35>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを用意し、実施例4の合成27で得られた30重量%濃度Irコロイドを用いて回転速度200rpm、3分間の条件でスピンコートを施してアルミナシート表面に塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートをアルゴンガス雰囲気中400℃で10分焼成した後、自然冷却させた。室温まで冷却した後、得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、その抵抗値は、4.5×10-5Ω・cmであった。
<実施例36>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを用意し、実施例4の合成5で得られた50重量%濃度Auコロイドを用いてスクリーン印刷を施してアルミナシート表面の10mm×25mmの範囲に塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートを大気中15℃で1時間自然乾燥した。得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、その抵抗値は、1.3×10-4Ω・cmであった。
<実施例37>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを用意し、実施例4の合成5で得られた50重量%濃度Auコロイドを用いてスクリーン印刷を施してアルミナシート表面の10mm×25mmの範囲に塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートを大気中350℃で1分焼成した後、自然冷却させた。室温まで冷却した後、得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、その抵抗値は、2.7×10-6Ω・cmであった。
【0094】
<比較例2>
先ず、保護剤兼還元剤としてクエン酸ナトリウムを用意し、このクエン酸ナトリウム45gと塩化金酸15gをイオン交換水240gに溶解して、100℃の還流下1時間攪拌した。得られた赤紫色の金属コロイドは、冷却後に限外濾過法によって脱塩することで金の金属コロイド粒子が得られた。この金属コロイド粒子を水溶媒に添加して、濃度10重量%の水媒体の金属コロイドを調製した。上記合成を3回実施し、合計150gの金属コロイドを得た。なお、金濃度が10重量%を越える金属コロイドについても合成を施してみたが、得られた合成物は、不安定であり凝集してしまってコロイド化できていなかった。また水以外の媒体を用いた場合、得られた金属コロイドは凝集化してしまっていた。
【0095】
次いで、濃度10重量%の水媒体の金属コロイドを用い、墨汁用の筆を用いて和紙に所定の文字を書き、自然乾燥を施した。しかし、和紙に書いた文字は赤紫色に滲んで光沢が得られなかった。次に、上記金属コロイドにポリビニルアルコールを金属重量に対して5〜15%の範囲内で混合溶解して液を調製した。この混合液を用いて墨汁用の筆を用いて和紙に所定の文字を書き、自然乾燥を施した。しかし、和紙に書いた文字は赤紫色に滲んで光沢は得られなかった。
【0096】
次に、上記混合液を用い、実施例6と同様に、ガラスコップ及び陶磁器にそれぞれ所定の模様を描いた。また磁器製のコーヒーカップ側面及びポリカーボネート性のプラスチック板表面にそれぞれ所定の文字を書いた。全ての基材において、上記混合液を一度塗った塗布表面は金属的な反射光沢が得られたが、金の色調とは違った紫色を帯びた金色を示した。また三度重ね塗りを施すことで、漸く金色らしい金属光沢が現れたが、本来の黄金からはかけ離れた色調であり、塗布表面を擦ると簡単にとれてしまった。また、ポリビニルアルコール添加液とシラン化合物A〜Cの添加液を上記金属コロイドにそれぞれ所定量混合した混合液を用いて、同様の塗布を施したが、得られた塗布表面は更に金とはかけ離れた色合いとなり、光沢も失われてしまっていた。またこの塗布表面においても擦ると簡単にとれてしまった。なお、これらの金属コロイドは2日で完全に凝集した。
【0097】
<実施例38>
本発明の金属コロイドをインクとして充填したペン用カートリッジ及びこのペン用カートリッジを接続したペンの一例について説明する。
図20(a)に示すように、ペン用カートリッジ10は、下部が密閉された筒体11と、この筒体11上部に接合され、中心に連通孔が設けられた蓋部13及び蓋部13の連通孔に緩挿された球状の栓14から構成され、この筒体11内部に本発明の実施例4で調製した金属コロイド12が充填される。筒体11及び蓋部13は合成樹脂製が好ましく、球状の栓14は金属製が好ましい。ペン用カートリッジ10は、蓋部13が下方又は斜め下方に向いた状態で、緩挿された球状の栓14がカートリッジの内部に押し上げられることで、蓋部13と球状の栓14との間に隙間が生じ、この隙間から金属コロイドが重力によって流れ出るようになっている。
また図20(b)に示すように、このペン用カートリッジ10を組み込んだペン20は、筒状の上部軸胴21と、上端が上部軸胴21の下端と接続可能な筒状の下部軸胴22と、下部軸胴22の他端に接続される穂先26から構成される。下部軸胴22の内壁にはペン用カートリッジ10を嵌挿し、蓋部13と接触して球状の栓14をペン用カートリッジ10内部に押し上げる接続部23が設けられる。接続部23の内部には、ペン用カートリッジ10が接続部23に接続され、この接続部23により球状の栓14が押し上げられた際に、重力によりカートリッジ10内部から流れ出る金属コロイドを含浸する芯部24が下部軸胴22の他端を突出して設けられる。下部軸胴22の他端に接続された穂先26は、芯部24に含浸した金属コロイドを先端から吐出するように構成される。上部軸胴21、下部軸胴22及び接続部23は合成樹脂製が好ましい。また芯部24は金属コロイドが含浸可能な細孔が形成された構造を有する合成樹脂が好ましい。
ペン20へのペン用カートリッジ10の接続は、カートリッジの蓋部13を接続部23にあて、この接続部23と栓14をペン用カートリッジ10内部に押込むことで接続される。その際に、カートリッジ10内部に充填された金属コロイド12は、蓋部13と球状の栓14との隙間から流れ出て芯部24に含浸され、この芯部24を通じて穂先26へと供給される。このように構成されたペン用カートリッジ10を接続したペンは、非常に描きやすく、なめらかに描画することができた。このペンは所望の基材に所望の文字を書いたり、模様を描いたりするのにも非常に便利であり、またペンを用いて描画した文字や模様は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れていた。
【0098】
<実施例39>
本発明の金属コロイドを充填したディスポーザブルアンプルの一例について説明する。
図21に示すように、ディスポーザブルアンプル30は、下部が密閉された筒体31とこの筒体31上部に接合された切断部33と蓋部32とから構成される。切断部33は手動で切断可能なように筒体31及び蓋部32よりも幅が広くないように設けられる。筒体31、蓋部32及び切断部33は合成樹脂製が好ましい。ディスポーザブルアンプル30は、筒体31内部に本発明の実施例4で調製した金属コロイド34を充填した後に、切断部33及び蓋部32を熱圧着することで金属コロイド34が封入された構造を有する。
このように構成されたディスポーザブルアンプル30では、蓋部32を横方向に回転させることにより、蓋部32はテコの原理で切断部33から容易に切断することができ、この切断面が筒体31内部と連通する。この連通部から筒体31内部に充填された金属コロイドを取出して使用することができる。
【0099】
<実施例40>
実施例4で調製した30重量%濃度の金属コロイドを十分に染み込ませることでスタンプ台及び印鑑台を作製した。それらの写真を図22に示す。また、それらを用いて模様を施した印鑑ケース及びカードもあわせて図23及び図24に示す。図23及び図24より明らかなように、金属コロイドからなるスタンプ台又は印鑑台を用いて作製した模様には金本来のもつ色調と金属光沢が現れた。
【0100】
<実施例41>
実施例4で調製した30重量%濃度の金属コロイドを用いてインクジェットプリンタ装置にて描画試験を行った。基材としては紙、皮革及び木材を用い、紙を用いて名刺、グリーティングカード、記念カード及び招待カードを作成し、皮革としては革の財布に描画した。木材としては位牌に所望の文字を描画した。金属コロイド含有塗膜を形成した名刺、グリーティングカード及び革の財布を図25に示す。図25より明らかなように、金属コロイドを用いてインクジェット装置により描画した模様には金本来のもつ色調と金属光沢が現れた。
【0101】
<実施例42>
実施例4で調製した金属コロイドをインクとして筆で色紙に文字と模様を描画した。この文字と模様は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れていた。なお、文字や模様を描画する際は、前述した実施例28で示した金属コロイドをインクとして充填したペンを用いてもよい。
【0102】
<実施例43>
実施例4で調製した金属コロイドをインクとして、色紙に手形及び足形をとった。その手形及び足形は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れていた。
【0103】
<実施例44>
先ず、印鑑やスタンプを用いて市販品の黒色インクにて表面に模様が施された紙、黒色ペンにて表面に文字及び模様が描画された色紙及び黒色インクを用いて手形及び足形をつけた色紙を用意した。次いで、画像走査装置(スキャナ)を用いてそれぞれの紙及び色紙表面を走査して、コンピューター内に画像データとして取り込んだ。次に、本発明の金属コロイドをインクとするインクジェットプリンターを使用して、取り込んだ画像データを基に紙及び色紙に画像データを印刷した。本発明の金属コロイドを用いて紙及び色紙に印刷した文字及び模様は、黒色で描画等された文字及び模様と同様の形状が得られており、更に金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れていた。
なお、この実施例44では、画像走査装置(スキャナ)を用いてそれぞれの紙及び色紙表面を走査して、コンピューター内に画像データとして取り込んでからインクジェットプリンターを用いて印刷したが、それぞれの紙及び色紙のような原紙だけではなく、これらの原紙が写されている写真、これらの模様や文字等が掲載された印刷物や刊行物を画像走査装置(スキャナ)を用いて走査して、コンピューター内に画像データとして取り込んだり、画像データとなっているものを直接インクジェットプリンターで印刷してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の金属コロイド粒子の模式図。
【図2】合成1で得られた本発明の金属コロイド粒子を保管容器に入れた写真図。
【図3】合成1で得られた本発明の金属コロイド粒子の透過電子顕微鏡写真図。
【図4】比較評価1における実施例1及び比較例1の金属コロイドの粘度変化を示すグラフ。
【図5】実施例3の金属コロイド調製直後の透過率を示すグラフ。
【図6】実施例3の金属コロイド調製後400時間熱負荷使用後の透過率を示すグラフ。
【図7】実施例4の金属コロイドを用いて表面に文字を書いた和紙の写真図。
【図8】実施例6の金属コロイドを用いて表面に模様を描いたガラスコップの写真図。
【図9】実施例6の金属コロイドを用いて表面に文字を書いた磁器製のコーヒーカップの写真図。
【図10(a)】実施例7の金属コロイドを用いて表面に塗布したプラスチックモデルの写真図。
【図10(b)】実施例7の金属コロイドを用いてフレーム部分を塗布した額縁の写真図。
【図11(a)】実施例8の金属コロイドを用いて表面に塗布した銀粘土から作られた指輪の写真図。
【図11(b)】実施例8の金属コロイドを用いて表面に塗布したイヤリングの写真図。
【図11(c)】実施例8の金属コロイドを用いて表面に塗布したブローチの写真図。
【図12】実施例9のマニキュア用筆を用いた金属コロイドの塗布方法を示す写真図。
【図13】図12の塗布方法により表面に金属コロイド含有塗膜を形成した指の爪の写真図。
【図14】実施例10のマニキュア用エアブラシを用いた金属コロイドの吹付け方法を示す写真図。
【図15】図14の吹付け方法により表面に金属コロイド含有塗膜を形成した指の爪の写真図。
【図16】実施例15の表面にピンクゴールドの色調を発現した金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪の写真図。
【図17(a)】実施例16の表面にイエローゴールドの色調を発現した金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪の写真図。
【図17(b)】実施例17の表面にグリーンゴールドの色調を発現した金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪の写真図。
【図17(c)】実施例18の表面にレッドゴールドの色調を発現した金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪の写真図。
【図17(d)】実施例19の表面にピンクゴールドの色調を発現した金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪の写真図。
【図17(e)】実施例20の表面にホワイトゴールドの色調を発現した金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪の写真図。
【図18(a)】実施例22の表面に金属コロイド含有塗膜、パール及びダイヤモンドの天然宝石を組合わせて形成した人工爪の写真図。
【図18(b)】実施例23の表面に金属コロイド含有塗膜、金箔粉末、ダイヤモンド及びピンクサファイヤの天然宝石を組合わせて形成した人工爪の写真図。
【図19】実施例24の転写シートの断面図。
【図20(a)】実施例38の金属コロイドをインクとして充填したペン用カートリッジの断面図。
【図20(b)】実施例38のペン用カートリッジを接続したペンの断面図。
【図21】実施例39のディスポーザブルアンプルの断面図。
【図22】実施例40の金属コロイドを染み込ませて作製したスタンプ台及び印鑑台の写真図。
【図23】図22のスタンプ台を用いて模様を施した印鑑ケースの写真図。
【図24】図22の印鑑台を用いて模様を施した紙の写真図。
【図25】実施例41の金属コロイドをインクとして用い、インクジェットプリンタ装置によって描画した革の財布、名刺及びグリーティングカードの写真図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させ金属コロイドを形成する金属コロイド粒子において、
前記金属コロイド粒子が金属粒子と前記粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、前記保護剤が分子中に硫黄又は酸素のいずれか一方又はその双方を含む炭素骨格を有し、かつ前記硫黄又は酸素のいずれか一方又はその双方の原子又は原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、
前記保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含むことを特徴とする金属コロイド粒子。
【請求項2】
保護剤が窒素を更に含み、かつ前記窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造をとる請求項1記載の金属コロイド粒子。
【請求項3】
保護剤に含まれる酸素がカルボニル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選ばれた少なくとも1種を由来とする請求項1記載の金属コロイド粒子。
【請求項4】
保護剤に含まれるアルコキシシリル基又はハイドロキシアルキル基のいずれか一方又はその双方がキレート剤によってキレート配位している請求項1ないし3いずれか1項に記載の金属コロイド粒子。
【請求項5】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAu、Ag、Pt、Cu、Pd、Ni、Zn、Ru、Rh及びIrからなる群より選ばれた1種又は2種以上である請求項1記載の金属コロイド粒子。
【請求項6】
金属コロイド粒子の平均粒子径が1〜100nmの範囲にある請求項1ないし5いずれか1項に記載の金属コロイド粒子。
【請求項7】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である請求項5記載の金属コロイド粒子。
【請求項8】
金属コロイド粒子の形状が球状、多角状又はアメーバ状を有する粒状粒子である請求項1ないし7いずれか1項に記載の金属コロイド粒子。
【請求項9】
加熱基準温度下での色調の変化が2%以下である請求項1ないし8いずれか1項に記載の金属コロイド粒子。
【請求項10】
Auコロイド粒子を主成分とし、前記Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する請求項1ないし9いずれか1項に記載の金属コロイド粒子。
【請求項11】
Au粒子を主成分とし、前記Au粒子以外に不純物としてAg粒子及びCu粒子をそれぞれ含む金属コロイド粒子、又はAuを主成分とし、不純物としてAg及びCuをそれぞれ含む合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子のいずれか一方又はその双方を混合した金属コロイド粒子であって、
前記金属コロイド粒子中に含まれる不純物含有量が5〜40%であり、前記不純物中に含まれるAg含有量が不純物100重量%に対して40〜60重量%であるとき、
前記金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がイエローゴールドの色調を呈する請求項1ないし9いずれか1項に記載の金属コロイド粒子。
【請求項12】
Au粒子を主成分とし、前記Au粒子以外に不純物としてAg粒子及びCu粒子をそれぞれ含む金属コロイド粒子、又はAuを主成分とし、不純物としてAg及びCuをそれぞれ含む合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子のいずれか一方又はその双方を混合した金属コロイド粒子であって、
前記金属コロイド粒子中に含まれる不純物含有量が5〜40%であり、前記不純物中に含まれるAg含有量が不純物100重量%に対して65重量%以上であるとき、
前記金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がグリーンゴールドの色調を呈する請求項1ないし9いずれか1項に記載の金属コロイド粒子。
【請求項13】
Au粒子を主成分とし、前記Au粒子以外に不純物としてAg粒子及びCu粒子をそれぞれ含む金属コロイド粒子、又はAuを主成分とし、不純物としてAg及びCuをそれぞれ含む合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子のいずれか一方又はその双方を混合した金属コロイド粒子であって、
前記金属コロイド粒子中に含まれる不純物含有量が5〜40%であり、前記不純物中に含まれるAg含有量が不純物100重量%に対して30重量%以下であるとき、
前記金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がレッドゴールドの色調を呈する請求項1ないし9いずれか1項に記載の金属コロイド粒子。
【請求項14】
Au粒子を主成分とし、前記Au粒子以外に不純物としてAg粒子、Cu粒子及びPd粒子をそれぞれ含む金属コロイド粒子、又はAuを主成分とし、不純物としてAg、Cu及びPdをそれぞれ含む合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子のいずれか一方又はその双方を混合した金属コロイド粒子であって、
前記金属コロイド粒子中に含まれる不純物含有量が5〜40%であり、前記不純物中に含まれるAg含有量が不純物100重量%に対して30重量%以下であるとき、
前記金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する請求項1ないし9いずれか1項に記載の金属コロイド粒子。
【請求項15】
Au粒子を主成分とし、前記Au粒子以外に不純物としてPd粒子を含む金属コロイド粒子、又はAuを主成分とし、不純物としてPdを含む合金からなる金属粒子を含む金属コロイド粒子のいずれか一方又はその双方を混合した金属コロイド粒子であって、
前記金属コロイド粒子中に含まれる不純物含有量が5〜40%であるとき、
前記金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がホワイトゴールドの色調を呈する請求項1ないし9いずれか1項に記載の金属コロイド粒子。
【請求項16】
請求項1ないし15いずれか1項に記載の金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させたことを特徴とする金属コロイド。
【請求項17】
請求項1ないし15いずれか1項に記載の金属コロイド粒子をゾルゲル溶液に所定の割合で混合させたことを特徴とする金属コロイド。
【請求項18】
上記ゾルゲル溶液がシリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化タンタル及び酸化ニオブからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を形成する溶液である請求項17記載の金属コロイド。
【請求項19】
請求項1ないし15いずれか1項に記載の金属コロイド粒子を水系又は非水系の溶媒に所定の割合で混合及び分散させて金属コロイドを調製し、前記金属コロイドを用いて成膜したことを特徴とする金属コロイド薄膜。
【請求項20】
請求項16ないし18いずれか1項に記載の金属コロイドを基材表面に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成したことを特徴とする金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項21】
基材がガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる群より選ばれた材質である請求項20記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項22】
基材が人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、小物袋、カード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質である請求項20又は21記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項23】
基材が宝飾品であって、前記宝飾品が貴金属粘土から作製された請求項22記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項24】
金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含む請求項20ないし23いずれか1項に記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項25】
金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである請求項24記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項26】
請求項19記載の金属コロイド薄膜を基材表面に有する透明材料。
【請求項27】
基材表面に形成した請求項19記載の金属コロイド薄膜をフィルター層とするカラーフィルター。
【請求項28】
請求項19記載の金属コロイド薄膜を透明基材表面に有するディスプレイパネル。
【請求項29】
表面又は裏面のいずれか一方又はその双方が剥離処理された転写基板に請求項16ないし18いずれか1項に記載の金属コロイドを塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した金属コロイド含有塗膜を有することを特徴とする転写シート。
【請求項30】
金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を金属コロイド含有塗膜中に含む請求項29記載の転写シート。
【請求項31】
金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである請求項30記載の転写シート。
【請求項32】
基材表面に請求項29ないし31いずれか1項に記載の転写シートから転写された転写膜を有する金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項33】
転写を施す基材が、ガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる材料群から選ばれた材質である請求項32記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項34】
基材が人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、小物袋、カード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質である請求項32又は33記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項35】
基材が宝飾品であって、前記宝飾品が貴金属粘土から作製された請求項34記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項36】
金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含む請求項32ないし35いずれか1項に記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項37】
金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである請求項36記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項38】
請求項16ないし18いずれか1項に記載の金属コロイドを基材に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドを有する基材を所定の雰囲気下、15〜450℃の温度で1〜60分間保持することによって得られる比抵抗1×10-3Ω・cm以下の導電膜付き基材。
【請求項39】
請求項16ないし18いずれか1項に記載の金属コロイドをインクとして充填したペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプル。
【請求項40】
請求項16ないし18いずれか1項に記載の金属コロイドをインクとして含浸したスタンプ台及び印鑑台。
【請求項41】
請求項40記載のスタンプ台又は印鑑台に含浸したインクを用いて描画された描画体。
【請求項42】
請求項16ないし18いずれか1項に記載の金属コロイドをインクとしてインクジェットプリンタを用いて描画された描画体。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図19】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【図11(c)】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17(a)】
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【図17(b)】
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【図17(c)】
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【図17(d)】
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【図17(e)】
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【図18(a)】
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【図18(b)】
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【図20(a)】
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【図20(b)】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−35205(P2006−35205A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108965(P2005−108965)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(597065282)株式会社ジェムコ (151)
【Fターム(参考)】