説明

官能性アスパラギン酸エステル

【課題】広範囲の分子構築と官能基形成を可能にするアスパラギン酸エステルの効率的製造法を提供する。
【解決手段】アジリジンをミカエル−受容体分子と反応させることによってアスパラギン酸アジリジニルを形成させ、次いで該生成物に活性水素含有化合物を反応させることを含む官能性アスパラギン酸エステルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は官能性アスパラギン酸エステル並びに接着剤組成物、シーラント(sealant)組成物および塗料(coating)組成物における該エステルの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜4には、ポリイソシアネート成分とイソシアネート−反応性成分を含有する2成分系を結合剤(binding agent)とする塗料組成物が開示されている。イソシアネート反応性成分は、アミンにマレイン酸もしくはフマル酸のジエステルを反応させることによって形成されるアスパラギン酸ジエステル基を少なくとも1個有する。
【0003】
特許文献2には、ポリイソシアネート成分、アミンにマレイン酸もしくはフマル酸のジエステルを反応させることによって形成されるアスパラギン酸ジエステル基を少なくとも1個有する成分、および水吸着性ゼオライトを含有する塗料組成物が開示されている。
【0004】
2個以上の被着体を接合または固定させるためには接着剤が一般に使用されている。被着体は、2種以上もしくは2個以上のいずれかの資材または接合されるべき部材もしくは成形品等であって、材質としては木材、金属、プラスチック、紙、セラミック、石材、ガラスおよびコンクリート等が例示される。これらの用途に用いられる接着剤は広範囲の原料、例えば、エラストマー/溶剤/樹脂混合物、エポキシド、ラテックス、ポリウレタン、シリコーン、シアノアクリレート、アクリル樹脂およびホットメルト等に基づく。この種の接着剤は1もしくは複数の欠点を有する。このような欠点としては、(i)毒性であって、しばしば引火性のある溶剤を含有する、(ii)1もしくは複数の被着体群に対して適合性がない、(iii)硬化時間が望ましくないほど長い、および(iv)多くの場合、形成される接着層の強度は不十分である。
【0005】
支持体に望ましい外観を付与するために、該支持体に塗布される塗料に関しては、多くの場合、多重塗布層を形成させて、最後の塗布層を着色もしくは無着色のトップコート(topcoat)にすることが望ましい。しかしながら、被覆支持体を含む物品の老化に伴って、通常の「摩滅」過程において発生する引掻は、支持体の被覆表面の外観を劣化させる。
【0006】
シーラントは一般的には薄膜であって、しばしばプラスチックを含有しており、1もしくは複数の支持体の1もしくは複数の表面上に塗布され、これによって、液体または気体が該膜を通過することは防止される。シーラントは、支持体の暴露を防止するために使用することができ、また、支持体中の欠陥または支持体間に存在する間隙を介する暴露を防止するためにも付加的に使用されることも多い。
【0007】
多くの場合、アスパラギン酸エステルを含む高分子量化合物は、種々の接着剤、塗料およびシーラントの原料として望ましい。しかしながら、対応する前駆体の反応は非常に遅いために、加工時間が望ましくないほど長く、所望の生成物への不十分な変換および/または不純生成物の生成という問題がある。
【0008】
さらに、アスパラギン酸エステルにおける所望の官能価および/または分子構築は、当該分野において確立されているアミン−マレイン酸/フマル酸エステル合成法によって達成することはできない。このため、アスパラギン酸エステルを含む原料を配合物に利用する可能な用途は制限されている。
【0009】
なお、特許文献6には、多価アルキレンイミンエステルとその製造方法が開示されている。
【特許文献1】米国特許第5412056号明細書
【特許文献2】米国特許第5623045号明細書
【特許文献3】米国特許第5126170号明細書
【特許文献4】米国特許第5821326号明細書
【特許文献5】ヨーロッパ特許第0667362A1号明細書
【特許文献6】米国特許第2569200号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
当該分野においては、効率的に製造できるアスパラギン酸エステル含有化合物に関して広範囲の分子構築と官能基の形成を可能にする別の合成法が要請されており、本発明は、このような要請に応えるためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち本発明は、次式で表される官能性のアスパラギン酸ジアルキルエステル[アスパルテート(aspartate)]に関する。
【化1】

上記の式における符号の意義は以下の通りである。
(i)RおよびRは相互に独立して線状、分枝状もしくは環状のC〜Cアルキルを示す。
(ii)各々のRは相互に独立してH並びに線状、分枝状もしくは環状のC〜C20アルキル、アリール、アルカリールおよびアラルキルから成る群から選択される基を示す。
(iii)Yは下記の式群(1)で表される基および式群(2)の一方による1もしくは複数の電子求引性基に隣接する炭素原子から酸性水素原子を脱離させて得られる基から成る群から選択される結合基を示す:
【0012】
式群(1)
【化2】

(式中、RはHまたは線状もしくは分枝状のC〜Cアルキルを示す。)
【0013】
式群(2)
【化3】

[式中、Wはニトリル基、R11−CO−、ニトロ基、カルボン酸および該酸の塩類の残基、カルボン酸の線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキルエステル、アルケニルエステル、アリールエステル、アルカリールエステルもしくはアラルキルエステル並びに線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキスルホニルから成る群から選択される電子求引性基を示し、Wはケトン基を示し、R11はH、−OH、並びにO、Sおよび/またはNから選択される1もしくは複数のヘテロ原子を有していてもよい線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキル、アリール、アルカリールもしくはアラルキルから選択される基を示し、R12はO、Sおよび/またはNから選択される1もしくは複数のヘテロ原子を有していてもよい線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキレン、アリーレン、アルカリーレンまたはアラルキレンを示す。]
(iv)Rは線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキレン、アリーレン、アルカリーレンもしくはアラルキレン、下記の式群(3)で表される基およびこれらの混合基から成る群から選択される結合基を示す:
【0014】
式群(3)
【化4】

[式中、Rは線状もしくは分枝状のC〜Cアルキルもしくはアルキロールを示し、nは1〜4の数を示し、pは1〜1000の数を示し、qは1〜1000の数を示し、各々のRは相互に独立して線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキレン、アルケニレン、アリーレン、アルカリーレンまたはアラルキレンを示し(これらの基は所望により置換基としてヒドロキシル基、カルボン酸基または線状、分枝状もしくは環状のC〜Cカルボン酸エステル基を有していてもよい。)、rは1〜10000の数を示し、Rは線状もしくは分枝状のC〜Cアルキルを示し、Xは−OR10(式中、R10はHまたは線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキル、アリール、アルカリールもしくはアラルキルまたはこれらの混合基を示す。)または−NR(式中、Rは前記と同意義である。)を示す。]
【0015】
(v)Zは下記の式群(4)から選択される基を示す:
式群(4)
【化5】

(式中、R、R、R、R、RおよびR10は前記と同意義である。)
【0016】
本発明は官能性アスパルテートの製造方法および該方法によって得られる官能性アスパルテートにも関する。該方法は下記の工程(A)および(B)を含む:
(A)アジリジンにミカエル(Michael)−受容体分子を反応させることによってアジリジニルアスパルテートを形成させ、次いで
(B)該アジリジニルアスパルテートに活性水素含有化合物を反応させることによって官能性アスパルテートを生成させる。
【0017】
さらに本発明は、下記の成分(i)および(ii)を含有する接着剤組成物、シーラント組成物または塗料組成物にも関する:
(i)上記の官能性アスパルテートおよび
(ii)イソシアネート官能性物質。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施例および特に明示する場合以外は、特許請求の範囲および明細書において使用する成分や反応条件等に関連する全ての数値および表現は、「約」という用語を修飾させて理解されるべきである。この特許出願においては種々の数値範囲が開示される。これらの数値範囲は連続的であるので、該数値には最小値と最大値の間の全ての値が包含される。特に明示しない限り、この特許出願において規定される種々の数値範囲は概略的な範囲である。
【0019】
ここで使用する「アルキル」という用語は、一般式C2s+1(式中、sは規定される炭素原子の数または範囲を示す。)で表される脂肪族炭化水素鎖の1価残基を意味する。「置換アルキル」という用語は、アルキル基中の1もしくは複数の水素原子が非炭素原子または非炭素基によって置き換えられたアルキル基を意味する。この種の置換基としては、特に限定的ではないが、ハロゲン化物、アミン、アルコール、含酸素基(例えば、ケトン基およびアルデヒド基等)およびチオール等が例示される。
【0020】
ここで使用する「環状アルキル」または「シクロアルキル」という用語は、一般式C2s−1(式中、sは炭素原子の数の範囲を示す。)で表される環状の脂肪族炭化水素鎖の1価残基を意味する。「置換シクロアルキル」という用語は、環構造中に1もしくは複数のヘテロ原子(例えば、特に限定的ではないが、−O−、−NR−および−S−等が挙げられる。)を含むシクロアルキル基および/または1もしくは複数の水素原子が非炭素原子または非炭素基によって置き換えられたシクロアルキル基を意味する。この種の置換基としては、特に限定的ではないが、ハロゲン化物、アミン、アルコール、含酸素基(例えば、ケトン基およびアルデヒド基等)およびチオール等が例示される。なお、−NR−中のRは炭素原子数が1〜24のアルキル基を示す。
【0021】
「アリール」という用語は、芳香族炭化水素の1価残基を示す。芳香族炭化水素には、環状共役π軌道系中に4t+2個の電子が含まれる共役二重結合を有する炭素環式化合物が包含される(tは少なくとも1の整数を示す)。ここで使用されるように、アリール基は単一の芳香族環構造、1もしくは複数の芳香環が縮合した構造、および芳香環が共有結合で連結した構造を含んでいてもよい。これらの構造の一部または全部にはヘテロ原子が含まれていてもよい。このようなヘテロ原子としては、特に限定的ではないが、O、NおよびSが例示される。
【0022】
ここで使用する「アルキレン」という用語は、炭素鎖長がC(非環状の場合)またはC(環状の場合)〜C25(一般的にはC〜C12)の非環状または環状の2価炭化水素を意味し、該炭化水素は置換されていてもよく、あるいは非置換状態であってもよく、また、置換基を有していてもよい。アルキレン基は、特に限定的ではないが、例えば、炭素原子数が1〜12の低級アルキル残基であってもよい。特に限定的ではないが、例えば、「プロピレン」にはn−プロピレン基とイソプロピレン基の両方が含まれ、また、「ブチレン」にはn−ブチレン基、イソブチレン基およびt−ブチレン基が含まれる。
【0023】
ここで使用される「(メタ)アクリル」および「(メタ)アクリレート」という用語はアクリル酸とメタクリル酸の対応する誘導体を意味し、一方に限定されるものではない。
【0024】
ここで使用される「硬化」または「硬化性」という用語は、接着剤、シーラントまたは塗料の成分の架橋および水(他の溶剤や希釈剤が存在するときにはこれらの溶剤等を含む)の蒸発の結果としての皮膜形成の両方を意味し、これに伴って、得られる皮膜の物理化学的特性(例えば、接着強さおよび剥離強さ等)が発現する。
【0025】
ここで使用する「架橋」または「架橋性」という用語は、短鎖上の2以上の官能基の反応によってより長い2つの分子鎖を連結させる分子の短鎖の形成を意味する。
【0026】
本発明は、アスパラギン酸のジアルキルエステル(「アスパルテート」)の製造方法および該方法によって得られるアスパルテートに関する。本発明の態様には、下記の工程(A)および(B)を含むアスパルテートの製造方法が包含される:
(A)アジリジンにミカエル−受容体分子を反応させることによってアジリジニルアスパルテートを形成させ、次いで
(B)該アジリジニルアスパルテートに活性水素含有化合物を反応させることによって官能性アスパルテートを生成させる。
【0027】
本発明において使用する「アジリジン」という用語は、下記の式(I)で表される化合物を意味する。
【化6】

式中、各々のR31およびR32は相互に独立して、H並びに線状、分枝状および環状のC〜C20アルキル、アリール、アルカリールおよびアラルキルから成る群から選択され、ある場合にはHおよび線状もしくは分枝状のC〜Cアルキルから選択され、別の場合には、Hまたは線状もしくは分枝状のC〜Cアルキルから選択される。本発明の1つの態様においては、R32はHを示し、R31の少なくとも1つはHを示す。本発明の別の態様においては、アジリジンは非置換アジリジン(エチレンイミノ)、2−メチルアジリジン、2−エチルアジリジン、2−n−プロピルアジリジンおよび2−イソプロピルアジリジンから選択される。
【0028】
本発明において使用する「ミカエル−受容体分子」という用語は、炭素−炭素二重結合中の炭素を陽性にして求核的攻撃に対して好適な部位をもたらす電子求引性基(EWG)を1個もしくは複数個有する分子を意味する。本発明においては、主鎖中にミカエル−受容体を有する適当なミカエル−受容体分子もしくはポリマーはいずれも使用できる。特に限定的ではないが、ポリマー主鎖中のミカエル−受容体基としては、次式で表されるマレイン酸エステル基が例示される:
【化7】

式中、RおよびRp'は相互に独立して線状、分枝状もしくは環状のC〜C20アルキル、アリール、アルカリールまたはアラルキルを示し、sとtは相互に独立して1〜1000(ある場合には、1〜500、別の場合には1〜100)の数を示す。
【0029】
本発明の1つの態様においては、適当なミカエル−受容体分子には、特に限定的ではないが、炭素−炭素二重結合を有すると共に、次の群から選択される1もしくは複数のEWGを有する分子が包含される:ケトン基、ニトリル基、ニトロ基、カルボン酸とこれらの対応する塩の残基、カルボン酸の線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキルエステル基、アルケニルエステル基、アリールエステル基、アルカリールエステル基もしくはアラルキルエステル基、および線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキルスルホニル基。
【0030】
本発明の特定の態様においては、適当なミカエル−受容体分子には、特に限定的ではないが、マレイン酸の線状、分枝状もしくは環状のC〜Cジアルキルエステル、フマル酸の線状、分枝状もしくは環状のC〜Cジアルキルエステル、マレイミド、線状、分枝状もしくは環状のC〜CN−アルキルマレイミド、マレイン酸のモノアミド、フマル酸のモノアミド、マレイン酸のジアミド、フマル酸のジアミド、マレイン酸の線状、分枝状もしくは環状のC〜CN−アルキルアミド、フマル酸の線状、分枝状もしくは環状のC〜CN−アルキルアミド。
【0031】
ここで使用する「活性水素含有化合物」とは、アジリジン部分の開環反応をもたらすのに十分に酸性な水素原子を有する化合物を意味する。
【0032】
本発明の1つの態様においては、活性水素含有化合物には、特に限定的ではないが、次の化合物が包含される:ヒドロキシル基、カルボン酸基、チオール基、アミン基、酸性CH基およびこれらの任意の混合基から成る群から選択される2以上の官能基を有するポリ(メタ)アクリル化合物、線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキレン、アルケニレン、アリーレン、アルカリーレンもしくはアラルキレン、ポリエーテルおよびポリエステル。
【0033】
ここで使用する「(メタ)アクリル」および「(メタ)アクリレート」という用語には、アクリル酸並びにその対応するエステル、アミドおよび塩と共に、メタクリル酸並びにその対応するエステル、アミドおよび塩が包含される。
【0034】
本発明の別の態様においては、活性水素含有化合物は少なくとも1個(ある場合には、数平均で少なくとも1.5個であり、また、別の場合には、少なくとも2個)の活性水素含有基を有する。
【0035】
本発明のさらに別の態様においては、活性水素含有化合物は次式(II)で表される:
Z−R−Y’ (II)
式中、Y’は下記の群から選択される基を示す:−OH、−SH、−NRH、−COOH、−O−P(O)−OH、−P(O)−OH、−S(O)−OH、並びに下記の式(III)および/または(IV)による1もしくは複数の電子求引性基に隣接して位置する炭素上に酸性水素を有する基:
【化8】

【0036】
上記の基を示す式において、Rは線状もしくは分枝状のC〜Cアルキル基を示し、Wはニトリル基、R11−、CO−、ニトロ基、カルボン酸およびこれらの対応する塩の残基、線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール基、またはカルボン酸のアラルキルエステルおよび線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキルスルホニル基から選択される電子求引性基を示し、Wはケトン基を示し、R11はH、−OHおよび線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキル基、アリール基、アルカリール基もしくはアラルキル基(該C〜C24基はO、Sおよび/またはNから選択される1もしくは複数のヘテロ原子を有していてもよい。)から選択される基を示し、R12は線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキレン基、アリーレン基、アルカリーレン基またはアラルキレン基(該C〜C24はO、Sおよび/またはNから選択されるヘテロ原子を有していてもよい。)を示す。
【0037】
上記の式IIにおいて、Rは連結基であって、線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキレン基、アリーレン基、アルカリーレン基もしくはアラルキレン基、
−(−[CHR−]n−O−)p−R−[式中、Rは線状もしくは分枝状のC〜Cアルキル基もしくはアルキロール基を示し、nは1〜4の数(ある場合には2または3を示す。)を示し、pは1〜1000の数(ある場合には1〜500、別の場合には2〜250、ある情況下では2〜100、別の情況下では2〜50)を示す。]、および下記の式群で表される基並びにこれらの任意の混合基から選択される連結基を示す:
【0038】
【化9】

上記の式群で表される基において、qは1〜1000の数(ある場合には、1〜500、別の場合には2〜250、ある情況下では2〜100、別の情況下では2〜50の数を示す。)を示し、各々のRは相互に独立して線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキレン基、アルケニレン基、アリーリン基、アルカリーレン基、もしくはアラルキレン基を示し(該C〜C24基は所望により置換基としてヒドロキシル基、カルボン酸基または線状、分枝状もしくは環状のC〜Cカルボン酸エステル基を有していてもよい。)、rは1〜10000の数(ある場合には1〜500、別の場合には2〜250、ある情況下では2〜100、別の情況下では2〜50の数)を示し、Rは線状もしくは分枝状のC〜Cアルキル基を示し、Xは−OR10もしくは−NR(式中、R10はHまたは線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキル基、アリール基、アルカリール基もしくはアラルキル基を示し、Rは前記と同意義である。)を示す。
【0039】
また、式IIにおいて、Zは−H、−OR10、−R−OR10、−NR、−R−N、−SH、−R−SHおよび下記の式群で表される基から選択される基を示す:
【化10】

上記の式群において、R、RおよびR10は前記と同意義であり、RとRは相互に独立して、線状、分枝状もしくは環状のC〜C(ある場合にはC〜C)アルキル基またはポリマー主鎖の一部を示す。
【0040】
本発明の特定の態様は、Z−R−Y−基がポリエステル残基である官能性アスパルテートに関する。この態様の一部の態様はポリエステルがカルボン酸官能性ポリエステルである官能性アスパルテートに関する。
【0041】
本発明の別の特定の態様においては、式IIで表される活性水素含有化合物におけるZ−R−Y’基は、官能性アスパルテート中のポリエーテル残基である。この態様の一部の態様においては、ポリエーテルはヒドロキシル官能性ポリエーテルである。
【0042】
本発明の他の態様は、Z−R−Y’基が、1または複数の活性水素を有するポリ(メタ)アクリレートである式IIで表されるZ−R−Y’活性水素含有化合物に関する。この態様の一部の態様においては、ポリ(メタ)アクリレートはカルボン酸官能性ポリアクリレートである。
【0043】
本発明の他の特定の態様においては、式IIで表される活性水素含有化合物は、線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキル、アルケニル、アリール、アルカリールまたはアラルキルジカルボン酸残基であるZ−R−Y’基を有する。この態様の一部の態様においては、ジカルボン酸は下記の化合物またはこれらの任意の混合物である:アジピン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸およびノナン二酸。
【0044】
別の特定の態様においては、ミカエル受容体分子はマレイン酸のジエステルもしくはジアミドであり[この場合、各々のエステル基もしくはアミド基は相互に独立して線状、分枝状もしくは環状のC〜C(ある場合にはC〜C)アルキル基を示す。]、アジリジンは式Iに対応し、また、活性水素含有化合物は式II(式中、Y’はカルボン酸を示す。)に対応する。
【0045】
本発明の1つの態様においては、官能性ジアルキルアスパルテートの製造方法において触媒を使用する。適当な触媒は工程(A)または(B)において使用することができる。
【0046】
本発明の1つの特定の態様においては、工程(A)で使用される触媒は、飽和もしくは不飽和カルボン酸の金属塩(特に限定的ではないが、メタクリル酸ナトリウムが例示される。)、アルコラート(特に限定的ではないが、アルミニウムエチラートが例示される。)およびアルカリ性アミド(特に限定的ではないがナトリウムアミドが例示される。)から選択することができる。
【0047】
本発明の別の態様においては、工程(B)で使用される触媒はブレンステッド酸およびルイス酸から選択される。触媒として使用できるルイス酸としては、特に限定的ではないが、次の触媒が例示される:トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、金属ハロゲン化物(例えば、CuCl・2HO、BiCl等)および適当な金属のトリフレート[トリフルオロメタンスルホネート(TF)の略称](例えば、Yb(OTF)、LiNTF、Sn(OTF)およびCu(OTF))。触媒として使用することができるブレンステッド酸としては、特に限定的ではないが、塩酸、硫酸および過塩素酸が例示される。この態様の一部の態様においては、不均一触媒を使用することもでき、この種の触媒としてはシリカゲルおよび/またはモンモリロナイトクレーが例示される。
【0048】
本発明による官能性アスパルテートの製造法の特に限定的ではない1つの態様においては、ミカエル受容体分子および式Iで表されるアジリジンは30℃よりも低温において、撹拌下で30分間〜24時間混合させる。未反応のアジリジンは真空下で除去するか、または求電子試薬を用いて未反応アジリジンと反応させてこれを掃去する。また、これらの処理を併用してもよい。この反応によってアジリジニルアスパルテートが得られ、これを酸性の官能性ポリエーテル(活性水素含有化合物)と共に4〜24時間撹拌する。反応の終了は、特に限定的ではないが、例えば、クロマトグラフィーまたはゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって確認することができる。
【0049】
本発明の態様は、本発明によって得られる官能性ジアルキルアスパルテートに関する。本発明の特定の態様は、次式Vで表される官能性ジアルキルアスパルテートに関する:
【化11】

式中、RおよびRは相互に独立して線状、分枝状もしくは環状のC〜Cアルキル基を示し、各々のRは相互に独立してHおよび線状、分枝状もしくは環状のC〜C20アルキル基、アリール基、アルカリール基およびアラルキル基から選択される基を示す。
【0050】
式Vにおいて、Yは−O−、−S−、−NR−、−O−P(O)−O−、−P(O)−O−、−S(O)−O−、−CO−O−および次式IIIaおよびIVaで表されるような式IIIまたはIVによる1もしくは複数の電子求引性基に隣接する炭素原子から酸性水素原子(H)を除去して得られる基から選択される連結基を示す:
【化12】

式中、WとWは前記と同意義である。
また、式Vにおいて、Rは上記の連結基を示し、Zは前記と同意義である。
【0051】
本発明の特定の態様は、X−R−Y−基がポリエステル残基である官能性アスパルテートに関する。この態様の一部の態様においては、ポリエステルはカルボン酸官能性ポリエステルである。
【0052】
本発明の別の態様においては、Z−R−Y−基は、官能性アスパルテート中のポリエーテル残基である。この態様の一部の態様においては、ポリエーテルはヒドロキシル官能性ポリエーテルである。
【0053】
本発明の別の態様は、Z−R−Y−基がポリ(メタ)アクリレート残基である官能性アスパルテートに関する。この態様の一部の態様においては、ポリ(メタ)アクリレートはカルボン酸官能性ポリアクリレートである。
【0054】
本発明の他の特定の態様においては、官能性アスパルテートが含有するZ−R−Y−基は、線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキル、アルケニル、アリール、アルカリールもしくはアラルキルを有するジカルボン酸のモノエステル残基である。この態様の一部の態様においては、該ジカルボン酸はアジピン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸およびこれらの任意の混合物から選択される。
【0055】
本発明の1つの特定の態様においては、前記の式Vで表される官能性アスパルテートは次式Vaで表される化合物に対応する:
【化13】

式中、Z、R、R32、R31、RおよびRは前記と同意義であり、XはOもしくは前記のNRを示す。
【0056】
本発明の別の態様は、下記の成分を含有する接着剤組成物、シーラント組成物もしくは塗料組成物に関する:
(i)前述の1種もしくは複数種の官能性ジアルキルアスパルテートおよび
(ii)イソシアネート官能性物質。
【0057】
本発明の1つの態様においては、イソシアネート官能性物質は、イソシアネート基を2〜6個有するポリイソシアネートである。特定の態様においては、ポリイソシアネートは次式VIで表される化合物である:
OCN−R17−NCO (VI)
式中、R17は線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アリーレンおよびアラルキレンから選択される基を示し、これらの基は所望により1もしくは複数のイソシアネート基を有していてもよい。
【0058】
本発明の別の特定の態様においては、ポリイソシアネートは以下に例示する化合物およびこれらの任意の混合物から選択される:1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−および−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−2−イソシアナトメチルシクロペンタン、1−イソシアナト−3−イソシアナトメメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタン、2,4’−ジシクロヘキシル−メタンジイソシアネート、1,3−および1,4−ビス−(シソイアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチル−シクロヘキシル)−メタン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−ジイソシアネート、α,α,α’,α’−1,4−キシレンジイソシアネート、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルイレンジイソシアネート、2,6−トルイレンジイソシアネート、2,4−ジフェニル−メタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル−メタンジイソシアネート、および1,5−ジイソシアナトナフタレン。
【0059】
本発明の他の態様においては、ポリイソシアネートは、ビウレット基、ウレタン基、ウレットジオン基、アロファネート基、イソシアヌレート基および/またはイミノオキサジアジンジオン基を有する1もしくは複数のポリイソシアネート付加物を含むことができる。
【0060】
特に限定的ではないが、ビウレット基含有ポリイソシアネートには、下記の特許文献に開示されている方法に従って、共反応成分として、例えば、水、第三アルコール、第一および第二モノアミン並びに第一および/または第二ジアミン等を使用することにより調製される生成物が包含される:米国特許第3124605号、同第3358010号、同第3644490号、同第3862973号、同第3903126号、同第3903127号、同第4051165号、同第4147714号および同第4220749号各明細書。これらの特許文献の関連する部分は本願明細書の一部を成す。この種のポリイソシアネートのNCO含有量および平均NCO官能価はそれぞれ18〜22重量%および3〜3.5である。
【0061】
特に限定的ではないが、ウレタン基含有ポリイソシアネートとしては、米国特許第3183112号明細書に開示されている方法に従って、過剰量のポリイソシアネート(場合によってはジイソシアネート)を低分子量グリコールおよび400未満の分子量を有するポリオール(例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2−ジヒドロキシプロパンおよびこれらの任意の混合物等)と反応させることによって調製される化合物が例示される。該特許明細書の関連部分も本願明細書の一部を成す。この種のウレタン基含有ポリイソシアネートのNCO基含有量および平均NCO官能価はそれぞれ12〜20重量%および2.5〜3である。
【0062】
特に限定的ではないが、ウレットジオンジイソシアネートとしては、適当な触媒(例えば、トリアルキルホスフィン触媒)の存在下において、ジイソシアネートのイソシアネート基の一部を低重合させることによって調製される化合物が例示される。この種の化合物は他の脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネート、特に前記のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート等との混合物として使用することができる。
【0063】
特に限定的ではないが、アロファネート基含有ポリイソシアネートとしては、米国特許第3769318号、同第4160080号および同第4177342号各明細書に開示されている方法に従って調製される化合物が例示される。これらの特許明細書の関連する部分も本願明細書の一部を成す。この種のアロファネート基含有ポリイソシアネートのNCO含有量および平均NCO官能価はそれぞれ12〜21重量%および2〜4.5である。
【0064】
特に限定的ではないが、イソシアヌレートとアロファネート基を含有するポリイソシアネートとしては、米国特許第5124427号、同第5208334号および同第5235018号各明細書に開示されている方法に従って調製される化合物が例示される。これらの特許明細書の関連する部分も本願明細書の一部を成す。この種のポリイソシアネートは、モノイソシアヌレート基およびモノアロファネート基を約10:1〜1:10(ある場合には5:1〜1:7)の割合で含有する。
【0065】
特に限定的ではないが、イミノオキサジアジンジオンと所望によるイソシアヌレート基を含有するポリイソシアネートとしては、米国特許第5914383号明細書に記載されているような特殊な含フッ素触媒の存在下で調製される化合物が例示される。該特許明細書の関連する部分も本願明細書の一部を成す。この種のポリイソシアネートの平均NCO官能価およびNCO含有量はそれぞれ3〜3.5および5〜30重量%(ある場合には10〜25重量%であり、別の場合には15〜25重量%)である。
【0066】
本発明の1つの態様においては、接着剤、シーラントまたは塗料組成物は二成分系組成物であり、第1成分は前述の成分(i)を含有し、第2成分は成分(ii)を含有する。この態様の特定な態様においては、第1成分はアミン連鎖延長剤(iii)をさらに含有する。
【0067】
本発明の別の態様においては、接着剤、シーラントまたは塗料組成物は1種もしくは複数種の下記の添加剤を含有することができる:均染剤、湿潤剤、流れ調整剤、皮張り防止剤、消泡剤、充填剤、定着剤、粘度調整剤、可塑剤、顔料、染料、UV吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤およびこれらの任意の混合物。
【0068】
本発明に使用される可塑剤としては、特に限定的ではないが、下記のものが例示される:ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジオクチルアジペート、イソデシルマロネート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、ブチルオレエート、メチルアセチルリシノレエート、トリクレシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、ポリプロピレングリコールアジペートおよびポリブチレングリコールアジペート等。この種の可塑剤は単独で使用してもよく、あるいは2種以上併用してもよい。
【0069】
本発明において使用される定着剤としては、特に限定的ではないが、次のものが例示される:エポキシ樹脂、フェノール樹脂、当該分野において既知のシランおよびアミノシランカップリング剤、アルキルチタネートおよび/または芳香族ポリイソシアネート等。
【0070】
本発明において、硬化のために使用してもよい硬化触媒としては、特に限定的ではないが、次のものが例示される:チタネートエステル(例えば、テトラブチルチタネートおよびテトラプロピルチタネート等)、有機錫化合物(例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫およびナフテン酸錫等)、オクチル酸鉛、アミン系化合物とこれらの塩およびカルボキシレート(例えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジノ、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリンおよび1,3−ジアザビシクロ[5,4,6]ウンデセン−7(DBU)等)、過剰量のポリアミンと多塩基酸との反応によって調製される低分子量ポリアミド、過剰量のポリアミンとエポキシ化合物との反応によって調製される生成物、および既知のシラノール縮合触媒、例えば、アミノ基含有シランカップリング剤(例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等)。上記の化合物は単独で使用してもよく、あるいは2種以上併用してもよい。
【0071】
本発明において使用される均染剤としては、特に限定的ではないが、ニトロセルロースやセルロースアセテートブチレート等のセルロース等が例示される。
【0072】
本発明において使用される湿潤剤としては、特に限定的ではないが、グリコール、シラン、アニオン性界面活性剤および当該分野において既知のその他の湿潤剤が例示される。
【0073】
本発明において使用される流れ調整剤としては、特に限定的ではないが、ポリアクリル酸エステル、非イオン性のフッ素化アルキルエステル界面活性剤、非イオン性のアルキルアリールポリエーテルアルコールおよびシリコーン等並びに次の市販品が例示される:「レジフロー(RESIFLOW)(登録商標)」[エストロン・ケミカル社(パルシパニー、ニュージャーシー)製]、「ベンゾイン(Benzoin)(登録商標)」(DSM社製)、「モダフロー(MODAFLOW)(登録商標)」(モンサント社製)および「サーフィノール(SURFYNOL)(登録商標)」[エア・プロダクツ社(ベスレヘム、ペンシルバニア)]。
【0074】
本発明において使用される皮張り防止剤としては、特に限定的ではないが、次のものが例示される:レシチン、オキシム(例えば、特に限定的ではないが、ブチルアルデヒドオキシムおよびメチルエチルケトキシム等が挙げられる。)およびヒドロキノン類(例えば、2,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキノンおよびヒドロキノンやアントラキノンのメチルエステル等が挙げられる。)等。
【0075】
本発明において使用される消泡剤としては、特に限定的ではないが、次の市販品が例示される:「フォーメックス(FOAMEX)(登録商標)」[ローム・アンド・ハース社(フィラデルフィア、ペンシルバニア)製]、「BYK(登録商標)[BYK−ヘミーUSA社(ワリーグフォード、コネチカット)製]、および「フォームブレーク(FoamBrake)(登録商標)」[BASF社(モントオリーブ、ニュージャーシー)製]。
【0076】
本発明に使用される充填剤としては、特に限定ではないが、次のものが例示される:ヒュームド(fumed)シリカ、沈降シリカ、無水ケイ酸、ケイ酸水和物、タルク、カーボンブラック、石灰石粉末、コロイド状の被覆状もしくは非被覆状炭酸カルシウム、被覆状もしくは非被覆状重質炭酸カルシウム、被覆状もしくは非被覆状沈降炭酸カルシウム、カオリン、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、二酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華および繊維充填剤(例えば、ガラス繊維およびガラスフィラメント等)。充填剤は適当な粒径を有していればよく、例えば、本発明の1つの態様においては、充填剤の粒径は5nm〜10μm(ある場合には10nm〜5μmであり、別の場合には25nm〜1μmである。)である。
【0077】
本発明で使用される粘度調整剤としては、特に限定的ではないが、次のものが例示される:アルカリ可溶性もしくは酸可溶性エマルションポリマー、疎水性に変性されたアルカリ可溶性もしくは酸可溶性エマルションポリマー、「アクリゾル(ACRYSOL)(登録商標)」[ローム・アンド・ハース社製]、セルロース系材料、変性セルロース系材料および天然ゴム(例えば、キサンタンゴム等)。
【0078】
本発明で使用される顔料としては、特に限定的ではないが、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄およびカーボンブラック等が例示される。
【0079】
本発明で使用される染料としては、特に限定的ではないが、媒染染料(即ち、植物、昆虫および藻類から調製される染料)および直接染料(例えば、特に限定的ではないが、ベンジジンもしくはその誘導体から調製される染料が挙げられる。)等が例示される。
【0080】
本発明で使用される紫外線吸収剤としては、特に限定的ではないが、次のものが例示される:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤およびニッケル系光安定剤。
【0081】
本発明で使用される熱安定剤としては、特に限定的ではないが、次のものが例示される:HCl掃去剤(例えば、特に限定的ではないが、エポキシド化大豆油等が挙げられる。)、β−チオジプロピオン酸のエステル(例えば、特に限定的ではないが、ラウリルエステル、ステアリルエステル、ミリスチルエステルおよびトリデシルエステル等が挙げられる。)、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジブチル−ジチオカルバミド酸亜鉛、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス−(β−ドデシルメルカプト)−プロピオネートおよびリン酸鉛。
【0082】
本発明で使用される酸化防止剤としては、特に限定的ではないが、次のものが例示される:2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンおよび「イルガノッツクス(IRGANOX)(登録商標)」[チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社(バーゼル、スイス国)製の酸化防止剤]。
【0083】
本発明は第1の被着体(adherend)もしくは支持体(substrate)および第2の被着体もしくは支持体を接合させる方法も提供する。この方法は次の工程(a)〜(c)を含む:
(a)前述の成分(i)、(ii)および所望による(iii)を含有する接着剤組成物を、第1被着体表面の少なくとも一部分および所望による第2被着体表面の少なくとも一部分に塗布し、
(b)第1被着体の接着剤組成物塗布表面を第2被着体の表面と接触させることによって接合アセンブリーを形成させ(この場合、被接触表面の少なくとも一方には接着剤組成物が塗布されている。)、次いで、
(c)接合アセンブリー中の接着剤組成物を硬化させる。
【0084】
上記の接合法によって得られるアセンブリーは第1被着体と第2被着体を具有しており、これらの被着体は相互に独立して、次に例示する材料から選択される1種もしくは複数種の材料を含有する:木材、金属、プラスチック、紙、セラミック、鉱物、石材、ガラスおよびコンクリート。
【0085】
本発明の特定の態様においては、金属には鉄またはアルミニウムが含まれる。また、本発明の別の態様においては、プラスチックにはポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレンテレフタレート)およびこれらの任意の混合物が含まれる。
【0086】
本発明の他の態様においては、第1支持体と第2支持体は0℃〜150℃の温度で接触させる。また、第1支持体と第2支持体は大気圧〜500psiの圧力下で接触させる。
【0087】
本発明は、上記の接合方法によって得られるアセンブリー、即ち、第1の被着体もしくは支持体および第2の被着体もしくは支持体が相互に接合されたアセンブリーにも関する。
【0088】
さらに本発明は、下記の成分(i)および(ii)並びに所望による成分(iii)を含有する接着剤組成物、シーラントまたは塗料組成物にも関する:
(i)請求項16に記載の官能性アスパルテート、
(ii)前述のイソシアネート官能性物質、
(iii)前述のアミン連鎖延長剤。
【0089】
本発明は、上記の成分(i)、(ii)および所望による(iii)を含有する塗料組成物を支持体表面の少なくとも一部分に塗布することを含む支持体の被覆方法並びに該被覆方法によって得られる被覆支持体にも関する。支持体の材料としては、特に限定的ではないが、次の群から選択される1種もしくは複数種の材料が例示される:木材、金属、プラスチック、紙、セラミック、鉱物、石材、ガラスおよびコンクリート。特定の態様においては、支持体には木材、金属(例えば、含鉄支持体およびアルミニウム支持体等)およびプラスチックが含まれる。
【0090】
塗料組成物は常套の手段、例えば、はけ塗法、浸漬法、流し塗法および噴霧法等によって塗布することができる。塗料組成物を支持体上に塗布すると、該組成物は凝集し、実質的に連続な皮膜が支持体上に形成される。加熱処理または風乾処理によって該皮膜から液体を除去することによって、支持体の表面上にフィルムが形成される。
【0091】
さらに本発明は、2成分系の塗料組成物であって、第1成分が前述の成分(i)および所望による成分(iii)を含有し、第2成分が前述の成分(ii)を含有する塗料組成物にも関する。
【0092】
さらにまた本発明は、前述の成分(i)および(ii)を一緒に混合することを含む組成物の塗布方法にも関する。
【実施例】
【0093】
本発明を以下の実施例によってより詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を例示的に説明するものである。当業者には明らかなように、これらの実施例の多数の修正と変形が可能である。実施例中において、特に言及しない限り、全ての「部」および「百分率」は重量に基づく。
【0094】
実施例1
この実施例においては、本発明による中間体であるジエチル2−(2−メチル−1−アジリジニル)サクシネートの合成例について説明する。熱伝対、撹拌機、窒素導入口、滴下漏斗および冷フィンガー(cold finger)を備えた丸底フラスコ内において、2−メチルアジリジン8.08g(0.1415mol)を30℃よりも低温でジエチルマレエート24.36g(0.1415mol)と混合し、該混合物を撹拌処理に一夜付した。未反応の2−メチルアジリジンは真空下で除去した。反応の完結は、ガスクロマトグラフィー(GC)によって確認した。
【0095】
実施例2〜9
撹拌機を備えた丸底フラスコ内において、実施例1で調製した生成物を活性水素含有化合物と室温下で混合させることによって、アスパルテート官能性化合物を調製した。この場合、実施例1で得られた生成物と活性水素含有化合物の反応比は、1:1の当量比とした。反応の完結は、GPCとGCを使用して確認した。個々の実施例において使用した活性水素含有化合物を以下の表1に示す。
【0096】
アスパルテート官能性化合物およびポリイソシアネート「デスモデューア(DESMODUR)(登録商標)N−3300」を手作業で混合した(NCO:NH=1:1)。生成物の「ショアーA硬度」および「ショアーD硬度」をDIN53505およびASTM D2240に従って測定した。破断点におけると引張り強さと伸びはDIN/ISO 527に従って測定した。この場合、測定には、インストロン社(カントン、マサチューセッツ)製の「インストロン(INSTRON)(登録商標)4444」を使用した。
測定結果を以下の表1に示す。
【0097】
【表1】

【0098】
上記の表1における活性水素含有化合物に関する脚注の意義は以下の通りである。
(1)アジピン酸、1,6−ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールとのポリエステル[数平均分子量(Mn):1030]。
(2)アジピン酸、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよびトリメチロールプロパンとのポリエステル(数平均分子量:1275)。
(3)ポリエーテル(ヒドロキシル官能価:2、Mn:425)[バイエル社製の「マルトラノール(MULTRANOL)(登録商標)9121」]にヘキサヒドロフタル酸無水物を反応させることによって調製された酸性の官能性ポリエーテル。この調製法は米国特許第6384175号明細書の記載に従った。
【0099】
(4)ポリエーテル(ヒドロキシル官能価:5.8、Mn:859)[バイエル社製の「マルトラノール4030」]にヘキサヒドロフタル酸無水物を反応させることによって調製された酸性の官能性ポリエーテル。この調製法は米国特許第6384175号明細書の記載に従った。
(5)ポリエーテル(ヒドロキシル官能価:3、Mn:439)[バイエル社製の「マルトラノール4035」]にヘキサヒドロフタル酸無水物を反応させることによって調製された酸性の官能性ポリエーテル。この調製法は米国特許第6384175号明細書の記載に従った。
(6)ポリエーテル(ヒドロキシル官能価:5、Mn:625)[バイエル社製の「マルトラノール4034」]にヘキサヒドロフタル酸無水物を反応させることによって調製された酸性の官能性ポリエーテル。この調製法は米国特許第6384175号明細書の記載に従った。
【0100】
実施例10〜12
上記の実施例の記載に準拠して、実施例1で得られた生成物に2種の活性水素含有化合物を反応させることによってアスパルテート官能性化合物を調製した。次いで、アスパルテート官能性化合物を上記の実施例に記載のようにして、「デスモデュールN−3300」と手作業で混合させた。生成物の特性評価は上記の実施例に記載のようにしておこなった。結果を以下の表2に示す。
【0101】
【表2】

【0102】
上記の表2における活性水素含有化合物に関する脚注の意義は以下の通りである。
(1)アジピン酸、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよびトリメチロールプロパンから調製された酸性末端基を有するポリエステル。
(2)バイエル社(ピッツバーグ、ペンシルバニア)製の「デスモフェン(DESMOPHEN)(登録商標)NH1420」。
(3)イミン官能性ポリアミン。
【0103】
以上の詳細な説明は本願発明を単に例示的に説明するためのものである。本願明細書の開示内容に接した当業者であれば、本願発明の技術的思想を逸脱することなく、特許請求の範囲によって規定される範囲内において、多種多様な変形態様を想到することができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明による新規な官能性アスパラギン酸ジアルキルは、特に接着剤組成物、シーラント組成物および塗料組成物等の製造原料として特に有用である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式で表される官能性アスパラギン酸ジアルキル:
【化1】

上記の式における符号の意義は以下の通りである。
(i)RおよびRは相互に独立して線状、分枝状もしくは環状のC〜Cアルキルを示す。
(ii)各々のRは相互に独立してH並びに線状、分枝状および環状のC〜C20アルキル、アリール、アルカリールおよびアラルキルから成る群から選択される基を示す。
(iii)Yは下記の式群(1)で表される基および式群(2)の一方による1もしくは複数の電子求引性基に隣接する炭素原子から酸性水素原子を脱離させて得られる基から成る群から選択される結合基を示す:
式群(1)
【化2】

(式中、RはHまたは線状もしくは分枝状のC〜Cアルキルを示す。)
式群(2)
【化3】

[式中、Wはニトリル基、R11−CO−、ニトロ基、カルボン酸および該酸の塩類の残基、カルボン酸の線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキルエステル、アルケニルエステル、アリールエステル、アルカリールエステルもしくはアラルキルエステル並びに線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキルスルホニルから成る群から選択される電子求引性基を示し、Wはケトン基を示し、R11はH、−OH、並びにO、Sおよび/またはNから選択される1もしくは複数のヘテロ原子を有していてもよい線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキル、アリール、アルカリールもしくはアラルキルから選択される基を示し、R12はO、Sおよび/またはNから選択される1もしくは複数のヘテロ原子を有していてもよい線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキレン、アリーレン、アルカリーレンまたはアラルキレンを示す。]
(iv)Rは線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキレン、アリーレン、アルカリーレンもしくはアラルキレン、下記の式群(3)で表される基およびこれらの混合基から成る群から選択される結合基を示す:
式群(3)
【化4】

[式中、Rは線状もしくは分枝状のC〜Cアルキルもしくはアルキロールを示し、nは1〜4の数を示し、pは1〜1000の数を示し、qは1〜1000の数を示し、各々のRは相互に独立して線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキレン、アルケニレン、アリーレン、アルカリーレンまたはアラルキレンを示し(これらの基は所望により置換基としてヒドロキシル基、カルボン酸基または線状、分枝状もしくは環状のC〜Cカルボン酸エステル基を有していてもよい。)、rは1〜10000の数を示し、Rは線状もしくは分枝状のC〜Cアルキルを示し、Xは−OR10(式中、R10はHまたは線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキル、アリール、アルカリールもしくはアラルキルまたはこれらの混合基を示す。)または−NR(式中、Rは前記と同意義である。)を示す。]
(v)Zは下記の式群(4)から選択される基を示す:
式群(4)
【化5】

(式中、R、R、R、R、RおよびR10は前記と同意義である。)
【請求項2】
Z−R−Y−がポリエステル残基である請求項1記載のアスパラギン酸ジアルキル。
【請求項3】
ポリエステルがカルボン酸官能性ポリエステルである請求項2記載のアスパラギン酸ジアルキル。
【請求項4】
Z−R−Y−がポリエーテル残基である請求項1記載のアスパラギン酸ジアルキル。
【請求項5】
ポリエーテルがヒドロキシル官能性ポリエーテルである請求項4記載のアスパラギン酸ジアルキル。
【請求項6】
Z−R−Y−がポリアクリレート残基である請求項1記載のアスパラギン酸ジアルキル。
【請求項7】
ポリ(メタ)アクリレートがカルボン酸官能性ポリ(メタ)アクリレートである請求項6記載のアスパラギン酸ジアルキル。
【請求項8】
Z−R−Y−が線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキル、アルケニル、アリール、アルカリールまたはアラルキルジカルボン酸のモノエステル残基である請求項1記載のアスパラギン酸ジアルキル。
【請求項9】
ジカルボン酸が、アジピン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸またはこれらの混合物である請求項8記載のアスパラギン酸ジアルキル。
【請求項10】
下記の工程(A)および(B)を含む官能性アスパラギン酸エステルの製造方法:
(A)アジリジンをミカエル−受容体分子と反応させることによってアスパラギン酸アジリジニルを形成させ、次いで
(B)アスパラギン酸アジリジニルを活性水素含有化合物と反応させることによって官能性アスパラギン酸エステルを生成させる。
【請求項11】
アジリジンが非置換アジリジン、2−メチルアジリジン、2−エチルアジリジン、2−n−プロピルアジリジン、および2−イソプロピルアジリジンから選択される請求項10記載の方法。
【請求項12】
ミカエル−受容体分子が次の群から選択される請求項10記載の方法:マレイン酸の線状、分枝状もしくは環状のC〜Cジアルキルエステル、フマル酸の線状、分枝状もしくは環状のC〜Cジアルキルエステル、マレイミド、線状、分枝状もしくは環状のC〜CN−アルキルマレイミド、マレイン酸のモノアミド、フマル酸のモノアミド、マレイン酸のジアミド、フマル酸のジアミド、マレイン酸の線状、分枝状もしくは環状のC〜CN−アルキルアミドおよびフマル酸の線状、分枝状もしくは環状のC〜CN−アルキルアミド。
【請求項13】
活性水素含有化合物が下記の群から選択される請求項10記載の方法:線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキレン、アルケニレン、アリーレン、アルカリーレンまたはアラルキレン、ポリエーテル、ポリエステル、並びにヒドロキシル基、カルボン酸基、チオール基、アミン基、リン酸基、スルホン酸基、酸性CH基およびこれらの混合基から成る群から選択される2個もしくはそれよりも多くの官能基を有するポリ(メタ)アクリル酸。
【請求項14】
工程(A)において触媒を使用する請求項10記載の方法。
【請求項15】
工程(B)において触媒を使用する請求項10記載の方法。
【請求項16】
請求項10記載の方法によって製造される官能性アスパラギン酸エステル。
【請求項17】
下記の成分(i)および(ii)を含有する接着剤組成物、シーラント組成物または塗料組成物:
(i)請求項1記載の官能性アスパラギン酸ジアルキル、および
(ii)イソシアネート官能性物質。
【請求項18】
イソシアネート官能性物質が、2〜6個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートである請求項17記載の組成物。
【請求項19】
ポリイソシアネートが次式で表される構造を有する請求項18記載の組成物:
OCN−R17−NCO
[式中、R17は線状、分枝状もしくは環状のC〜C24アルキレン、アリーレンおよびアラルキレンから選択される(これらの基は所望により1または複数のイソシアネート基を有していてもよい。)。]
【請求項20】
ポリイソシアネートが下記の群から選択される請求項18記載の組成物:1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−および−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−2−イソシアナトメチルシクロペンタン、1−イソシアナト−3−イソシアナトメメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタン、2,4’−ジシクロヘキシル−メタンジイソシアネート、1,3−および1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチル−シクロヘキシル)−メタン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−ジイソシアネート、α,α,α’,α’−1,4−キシレンジイソシアネート、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルイレンジイソシアネート、2,6−トルイレンジイソシアネート、2,4−ジフェニル−メタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル−メタンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナトナフタレンおよびこれらの任意の混合物。
【請求項21】
下記の群から選択される1または複数の添加剤を含有する請求項17記載の組成物:均染剤、湿潤剤、流れ調整剤、皮張り防止剤、消泡剤、充填剤、定着剤、粘度調整剤、可塑剤、顔料、染料、UV吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤およびこれらの任意の混合物。
【請求項22】
アミン連鎖延長剤(iii)を含有する請求項17記載の組成物。
【請求項23】
アミンが線状、分枝状もしくは環状の2官能性のC〜C24アルキルアミン、アリールアミン、アルカリールアミンまたはアラルキルアミン(これらのアミンは所望により−O−、−NH−および−S−から選択される1もしくは複数のヘテロ原子を含んでいてもよい。)である請求項22記載の組成物。
【請求項24】
第1成分が成分(i)を含有し、第2成分が成分(ii)を含有する2成分系組成物としての請求項17記載の組成物。
【請求項25】
第1成分がアミン連鎖延長剤(iii)をさらに含有する請求項24記載の組成物。
【請求項26】
請求項24記載の成分(i)および成分(ii)を混合することを含む、支持体への組成物の塗布方法。
【請求項27】
下記の工程(a)および(b)を含む、第1支持体の第2支持体への接着方法:
(a)請求項17記載の塗料組成物を第1支持体または第2支持体の少なくとも1つの表面上に塗布し、次いで
(b)第1支持体の表面を第2支持体の表面と接触させる(この場合、これらの接触させる表面の少なくとも一方は塗布された塗料組成物を有する。)。
【請求項28】
第1支持体と第2支持体の一方または両方が、下記の群から選択される材質の支持体を含有する請求項27記載の方法:木材、金属、プラスチック、紙、キャンバス、セラミック、石材、ガラスおよびコンクリート。
【請求項29】
金属が鉄またはアルミニウムを含む請求項28記載の方法。
【請求項30】
プラスチックがポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレンテレフタレート)およびこれらの任意の混合物から選択される請求項28記載の方法。
【請求項31】
第1支持体と第2支持体を0℃〜150℃の温度で接触させる請求項27記載の方法。
【請求項32】
第1支持体と第2支持体を大気圧〜500psiの圧力下で接触させる請求項27記載の方法。
【請求項33】
相互に接着された第1支持体と第2支持体を少なくとも含む、請求項27記載の方法によって製造されるアセンブリー。
【請求項34】
請求項17記載の組成物を、支持体の表面の少なくとも一部に塗布することを含む、支持体の被覆方法。
【請求項35】
請求項34記載の方法によって製造される被覆支持体。
【請求項36】
下記の成分(i)および成分(ii)を含有する接着剤組成物、シーラント組成物または塗料組成物:
(i)請求項16記載の官能性アスパラギン酸エステル、および
(ii)イソシアネート官能性物質。
【請求項37】
アミン連鎖延長剤(iii)を含有する請求項36記載の組成物。
【請求項38】
アミンが、線状、分枝状もしくは環状の2官能性のC〜C24アルキルアミン、アリールアミン、アルカリールアミンまたはアラルキルアミン(これらのアミンは所望により−O−、−NH−および−S−から選択されるヘテロ原子を含んでいてもよい。)である請求項37記載の組成物。
【請求項39】
イソシアネート官能性物質が、2〜6個のイソシアネート基を含むポリイソシアネートである請求項36記載の組成物。
【請求項40】
第1成分が成分(i)を含有し、第2成分が成分(ii)を含有する2成分系組成物としての請求項36記載の組成物。
【請求項41】
請求項36記載の成分(i)および成分(ii)を混合させることを含む、支持体上への組成物の塗布方法。
【請求項42】
成分(i)がアミン連鎖延長剤を含有する請求項41記載の方法。
【請求項43】
イソシアネート官能性物質が、2〜6個のイソシアネート基を含むポリイソシアネートである請求項37記載の組成物。
【請求項44】
第1成分が成分(i)および(iii)を含有し、第2成分が成分(ii)を含有する2成分系組成物としての請求項37記載の組成物。
【請求項45】
請求項37記載の成分(i)、成分(ii)および成分(iii)を混合させることを含む、支持体上への組成物の塗布方法。
【請求項46】
下記の工程(a)および(b)を含む第1支持体の第2支持体への接着方法:
(a)第1支持体または第2支持体の少なくとも1つの表面上へ請求項36記載の組成物を塗布し、次いで
(b)第1支持体の表面を第2支持体の表面と接触させる(この場合、接触させる表面の少なくとも一方は塗布された組成物を有する。)。
【請求項47】
相互に接着させた第1支持体と第2支持体を少なくとも含むアセンブリー。
【請求項48】
支持体の表面の少なくとも一部に請求項36記載の組成物を塗布することを含む、支持体の被覆方法。
【請求項49】
請求項48記載の方法によって製造される被覆支持体。
【請求項50】
イソシアネート官能性物質が、ビウレット基、ウレタン基、ウレットジオン基、アロファネート基、イソシアヌレート基および/またはイミノオキサジアジンジオン基を含む1もしくは複数のポリイソシアネート付加物を含有する請求項36記載の組成物。



【公開番号】特開2006−28515(P2006−28515A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205643(P2005−205643)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】