説明

実装基板およびその製造方法

【課題】 発熱素子を実装する方法としては放熱性の高いアルミニウムなどの金属基板や銅などのリードフレームが一般的であり、プリント基板を用いた安価な実装構造が求められていた。
【解決手段】 絶縁基板10に行列状に多数個の素子固着電極用貫通孔21を設け、素子固着電極用貫通孔21に第1の導電箔11表面まで成長した電解メッキ層22で形成された素子固着電極部20を設け、素子固着電極部20上に発熱素子31を固着して放熱性の高い実装基板を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビアホール底面に露出する薄い導電箔に電解メッキでビアホールを埋設する多数個の素子固着電極部を設けた実装基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
照明用光源として発光ダイオード(LED)を利用する照明装置が市場に供給をされてきた。発光ダイオードも改良により、1W以上の白色の高効率パワーLEDも発売されている。この高効率パワーLEDを実装する方法としては放熱性の高いアルミニウムなどの金属基板や銅などのリードフレームが一般的であり、高効率パワーLEDが発熱で劣化しないように放熱性を高めた実装構造が要求される。
【0003】
また、上述の高効率パワーLEDに限らず一般的な半導体素子などでも放熱性を高めた実装構造が要求される。
【0004】
特許文献1には、図1(本願の図8に対応)および図2に示すように、銅、アルミニウムなどの金属基板1−1と、基板1−1上に積層された1W/mk以上の熱伝導性を有する絶縁層1−2と、絶縁層1−2上に導電パターンを有する積層された導電層1−3を有するモジュール基板1−4と、モジュール基板1−4の導電層1−3上に取り付けられた複数の発光ダイオード素子1−5と、発光ダイオード素子1−5の光照射側に配置された蛍光体を有する照明用LEDモジュールが示されている。すなわち、放熱性の高い金属基板1−1上に複数の発光ダイオード素子1−5を実装することで放熱性を実現している。
【0005】
特許文献2には、図1(本願の図9に対応)に示すように、リードフレーム2−2上に発光ダイオード素子2−5を組み込んでいる。このリードフレーム2−2は金属材料で構成され、リードフレーム2−2を介して効率よく放熱できる(0034参照)との記載がされている。すなわち、放熱性の良い金属のリードフレーム2−2を用いることで発光ダイオード素子2−5の発熱を効率よく放熱している。
【0006】
上述した金属基板あるいはリードフレームを用いる実装構造では夫々専用の金属基板あるいはリードフレームが必要となる。従って、プリント基板の改良によって発熱性を高めた実装構造も以下のように模索されている。
【0007】
特許文献3には、図2(本願の図10に対応)に示すように、表面実装デバイス3−11の下面のプリント基板3−14に複数のサーマルビア3−15を形成し、表面実装デバイス3−11の発熱をパドル3−13に熱伝導され、更にプリント基板3−14のサーマルビア3−15を介して放熱器3−17へ熱伝導する実装構造が示されている(段落0008,0009参照)。
【0008】
また、このサーマルビア3−15はスルーホールであり、通常のスルーホールメッキで形成されために極めて断面積も小さく、大面積のものを得られず複数個のサーマルビア3−15を密集して放熱性を高める構造である。
【0009】
特許文献4には、図1(本願の図11に対応)および図2に示すように、ヒートシンク4−20上に発熱素子4−30を固定し、プリント基板4−10のヒートシンク4−20の搭載領域に複数のサーマルビア4−19を設け、発熱素子4−30からの発熱をヒートシンク4−20に伝え、更にサーマルビア4−19を介して外部に放熱する実装構造が示されている(段落0017〜0030参照)。
【0010】
また、このサーマルビア4−19はプリント基板にドリル加工等により貫通孔をあけ、その内壁面に銅メッキを施すいわゆるスルーホールメッキで形成されている(段落0030参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−251441号公報
【特許文献2】特開2009−302159号公報
【特許文献3】特開2007−208123号公報
【特許文献4】特開2003−273297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した発光装置は、照明用のほかに液晶テレビのバックライト、自動車用の照明など用途が拡大をしている。用途によってはプリント基板を用いた安価な実装構造が求められる場合もある。
【0013】
しかし、特許文献1の金属基板を用いる場合は、各モジュールの金属基板ごとに実装するために、製造コストの低減は難しい。また、金属基板自体も高価で材料費も低減は難しい。
【0014】
また、特許文献2のリードフレームを用いる場合は、予めリードフレームを用意する必要があり、前述した金属基板よりは材料費は低減できるが、リードフレームはプリント基板に半田付けして実装する必要があり、実装面に大きな制約がある。また、放熱性でもリードフレームは良好な放熱が行えるが、プリント基板は絶縁体なので放熱は良好とは言えずトータルで見れば放熱性は金属基板より遥かに劣ると言える。
【0015】
更に、特許文献3、4に示されたサーマルビアを複数個も受けたプリント基板を用いる場合は、スルーホールメッキでサーマルビアが形成されるため上記した全体が金属で構成される金属基板やリードフレームに比較すればその放熱性は格段に小さい。また、放熱性を上げるためにプリント基板上にヒートシンクを介して発熱素子を固着するので、予めヒートシンクに発熱素子を固着する工程とこのヒートシンクをプリント基板に載置する工程が必要になり、プリント基板を用いる製法上の簡便性はなくなり、むしろ金属基板やリードフレームを用いる製法より複雑化する問題が生じてきた。
【0016】
本発明は上記した問題点に鑑みて為されたものであり、本発明の目的はプリント基板を用いてそれ自体を放熱性の良い実装基板として実現し、一括して多数の発熱素子を製造することを可能とする実装基板およびそれを用いた発熱素子の実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の実装基板は、絶縁基板の両主面に設けた第1の導電箔および第2の導電箔と、行列状に多数個配列された前記絶縁基板を貫通し前記第2の導電箔の裏面をその底部に露出する素子固着電極用貫通孔と、前記各素子固着電極用貫通孔を充填し、前記素子固着電極用貫通孔の底部の前記第2の導電箔の裏面から前記第1の導電箔表面まで成長した電解メッキ層で形成された素子固着電極部と、前記第1の導電箔で所望のパターンに形成された第1電極部と、前記第2の導電箔で所望のパターンに形成された第2電極部と、前記第1電極部と第2の電極部とを接続するスルーホールメッキ層とを具備することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の実装基板の製造方法は、両主面には第1の導電箔および第2の導電箔が貼着された絶縁基板を準備する工程と、素子固着電極部を形成する領域の前記第1の導電箔を選択的に除去し、前記絶縁基板を露出する工程と、前記絶縁基板を選択的にドライエッチングして素子固着電極用貫通孔を形成し、前記第2の導電箔の裏面を検出してドライエッチングを停止し、前記素子固着電極用貫通孔の底面に前記第2の導電箔の裏側を露出した素子固着電極用貫通孔を形成する工程と、前記第1および前記第2の導電箔の表面をフィルムで被覆する工程と、前記第2の導電箔に通電して電解メッキにより前記素子固着電極用貫通孔に底部側に露出する前記第2の導電箔の裏面から上方向のみに銅メッキ層を形成し、前記銅メッキ層で前記素子固着電極用貫通孔を充填する工程と、前記銅メッキ層の表面を平坦に研削し、平坦化する工程と、前記第1の導電箔、前記第2の導電箔、および前記絶縁基板を貫通するスルーホール孔を形成する工程と、スルーホールメッキにより前記第1の導電箔および前記第2の導電箔を接続するスルーホールメッキ層を形成する工程と、前記第1および第2の導電箔を所望のパターンにエッチングして第1電極部と第2電極部を形成する工程とを具備することを特徴とする。
【0019】
更に、本発明の実装基板の製造方法は、一主面に第1の導電箔が貼着された絶縁基板を準備する工程と、素子固着電極部を形成する領域の前記絶縁基板にルーター加工により貫通する素子固着電極用貫通孔を形成する工程と、前記絶縁基板の反対主面に第2の導電箔を貼着し、前記素子固着電極用貫通孔の底面に前記第2の導電箔の裏面側を露出させる工程と、前記第1および前記第2の導電箔の表面をフィルムで被覆する工程と、前記第2の導電箔に通電して電解メッキにより前記素子固着電極用貫通孔に底部側に露出する前記第2の導電箔の裏面から上方向のみに銅メッキ層を形成し、前記銅メッキ層で前記素子固着電極用貫通孔を充填する工程と、前記銅メッキ層の表面を平坦に研削し、平坦化する工程と、前記第1の導電箔、前記第2の導電箔、および前記絶縁基板を貫通するスルーホール孔を形成する工程と、スルーホールメッキにより前記第1の導電箔および前記第2の導電箔を接続するスルーホールメッキ層を形成する工程と、前記第1および第2の導電箔を所望のパターンにエッチングして第1電極部と第2電極部を形成する工程とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実装基板によれば、以下の効果が得られる。
【0021】
第1に、実装基板は、行列状に多数個配列された絶縁基板を貫通し第2の導電箔の裏面をその底部に露出する素子固着電極用貫通孔を埋設する電解メッキ層からなる素子固着電極部を設けることで、発熱素子からの発熱を素子固着電極部にすぐに伝達され、極めて放熱性の高いプリント基板を実現する。
【0022】
第2に、素子固着電極部は純銅の塊であり、従来の金属基板、フレームあるいはヒートシンクと同じ熱伝導性を得られる。このため従来のプリント基板でよく用いられた銅ペーストのサーマルビアでは熱伝導率はせいぜい10W/mkであったのが、銅の熱伝導率400W/mkまで引き上げられ、約40倍の放熱性の向上ができる。
【0023】
また、従来のスルーホールを銅メッキ層で形成した場合でも熱伝導率は48W/mkであり、約8倍の放熱性の向上ができる。
【0024】
第3に、実装基板の各セル22に素子固着電極部の銅メッキ層が埋め込まれた形状で配置されるので、純銅のヒートシンクがプリント基板に埋め込まれたのと等価の構造となり、プリント基板の持つ大量製造の利便性と高放熱性の特性を併せ持つ。また、素子固着電極部は各セルの中央部に位置するので、ダイシングラインに囲まれており、ダイシングされない構造である。
【0025】
第4に、実装基板では、素子固着電極部の大きさは放熱特性により設計され、形状も厚さも任意に選択できる。高い放熱性を得たいときはセル自体を大きくしたり、絶縁基板の厚みを厚くして素子固着電極部の体積を大きくすると良い。
【0026】
第5に、実装基板に行列状にセルを多数個隣接して配列するので、多数個のセルを集積でき、生産効率とコストを大幅に向上することができる。また、この実装基板では、素子固着電極部を銅メッキ層で埋め込まれた形状にするので、製造工程で無駄に捨てる原材料がほとんどなく、環境に優しい生産が実現できる。
【0027】
本発明の実装基板の製造方法によれば、以下の効果が得られる。
【0028】
第1に、素子固着電極用貫通孔の底面に第2の導電箔の裏側を露出した素子固着電極用貫通孔を形成する工程と、第2の導電箔に通電して電解メッキにより素子固着電極用貫通孔に底部側に露出する第2の導電箔の裏面から上方向のみに銅メッキ層を形成し、銅メッキ層で素子固着電極用貫通孔を充填する工程とにより、純銅の素子固着電極部を実装基板に埋め込んで形成できる。これにより従来のプリント基板ではサーマルビアあるいはスルーホールでしか放熱性を向上できなかったものが、純銅のヒートシンクがプリント基板に多数個埋め込まれたのと等価の構造の実装基板を製造できるようになった。
【0029】
第2に、第1の導電箔の素子固着電極部が形成される予定の領域とその周辺部を除いてフィルムで覆い、第2の導電箔はその表面をフィルムで覆い、第2の導電箔のみをマイナス電極して電解メッキを行うので、素子固着電極用貫通孔の底面に露出した第2の導電箔の裏面のみが電解メッキの電極として働き、ここにのみ銅メッキ層が析出され、時間とともに成長して素子固着電極用貫通孔を埋設する。これにより銅メッキ層は素子固着電極用貫通孔の底面に露出した第2の導電箔の裏面から成長するので、ボイドを発生することなく密度の高い純銅の塊を形成し、良好なヒートシンクを形成する。しかも、素子固着電極用貫通孔の形状はどのような形状を選択してもそれを確実に埋設する素子固着電極部が形成できる。絶縁基板の厚みも選択が可能であり、その場合でも銅の電解メッキの時間を選ぶことで、銅メッキ層で素子固着電極用貫通孔を埋設するように成長させることができる。
【0030】
すなわち、素子固着電極部の銅メッキ層はどのような形状でも厚みでも対応ができる。
【0031】
第3に、第1の導電箔上のフィルムおよび素子固着電極用貫通孔より突出した銅メッキ層は機械的に研削してその表面を平坦にするので、発熱素子を固着することが可能となる。
【0032】
また、スルーホールメッキ層で素子固着電極部の蓋メッキも兼ねるので、工程の簡略化もできる。
【0033】
第4に、各セルを行列状に多数個隣接して配置することで、発熱素子を組み込んだ半導体装置を大量に製造することが可能であり、素子固着電極部は各セルの中央部に配置することでダイシング時にダイシングされることもない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の発光装置の(A)上面図、(B)断面図である。
【図2】本発明に用いる実装基板の(A)上面図、(B)上面図である。
【図3】本発明に用いる実装基板の(A)表面一部拡大図、(B)裏面一部拡大図である。
【図4】本発明の製造方法を説明する断面図である。
【図5】本発明の製造方法を説明する断面図である。
【図6】本発明の製造方法を説明する断面図である。
【図7】本発明の製造方法を説明する断面図である。
【図8】従来の発光装置を説明する断面図である。
【図9】従来の発光装置を説明する断面図である。
【図10】従来の発光装置を説明する断面図である。
【図11】従来の発光装置を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1から図7を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0036】
まず、図1に本発明の実装基板を用いた発光装置を示す。図1(A)はその上面図であり、図1(B)は図1(A)のa−a線断面図である。
【0037】
本実施形態の実装基板を用いた発熱素子は、絶縁基板10と、第1の導電箔11と、第2の導電箔12と、第1電極部13と、第2電極部14と、素子固着電極部20と、発熱素子31とから構成される。
【0038】
絶縁基板10は、第1および第2の導電箔11、12の支持基板として働き、FR4(エポキシド織ガラス布)、BT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板、ガラスエポキシ基板、ガラスポリイミド基板などである。本実施形態では一例としてBT樹脂からなる基板を用いる。絶縁基板10の厚みt1は例えば50〜600μm程度である。
【0039】
第1の導電箔11および第2の導電箔12は、絶縁基板10の両面に接着剤で圧着して貼り付けられる。第1の導電箔11および第2の導電箔12としては、エッチング可能な金属であればよい。本実施形態では、銅から成る金属箔を採用した。これらは後述の第1電極部13および第2電極部14と共に配線の一部を構成する。
【0040】
つまり、これらの膜厚は、配線として必要な厚さが選択される。配線の厚さは、実装される回路素子の電流容量などによって任意に決定することができる。第1の導電箔11と第2の導電箔12の膜厚は同等であり、例えば9μm〜35μmである。
【0041】
第1電極部13および第2電極部14は、第1および第2の導電箔11、12とその表面の電解メッキ層とで形成される。第1電極部13と第2電極部14もまた配線の一部を構成するため、その膜厚は配線として必要な厚さが任意に選択される。
【0042】
素子固着電極部20は、絶縁基板10のほぼ中央付近で、絶縁基板10を貫通して素子固着電極用貫通孔21を形成し、素子固着電極用貫通孔21の底部に露出された第2の導電箔の絶縁基板10との接着面側から銅の電解メッキで固着電極用貫通孔方向のみに成長させて銅メッキ層22で埋設した後、その表面を平らに研削し、更に第1電極部13と連結して形成する。
【0043】
本発明の特徴は、素子固着電極用貫通孔21の底部に露出された第2の導電箔12の絶縁基板10との接着面側(すなわち、裏面側)からのみ銅の電解メッキを長時間行うことで
銅メッキ層22を素子固着電極用貫通孔21を埋設するように成長させている点にある。これは従来のスルーホールメッキでは両面の導電箔から銅メッキ層を析出させていたのとは根本的に異なり、大面積の素子固着電極用貫通孔21であっても確実に素子固着電極用貫通孔21を埋設するまで電解銅メッキを続けることができる。
【0044】
本実施形態では一例として、レーザを用いたドライエッチング加工により素子固着電極用貫通孔21を形成する。尚、NC工作機(NCルーター)を用いたルーター加工により素子固着電極用貫通孔21を形成することも可能である。素子固着電極用貫通孔21は、正方形、円、楕円、あるいは多角形等の形に形成される。ドライエッチング加工の場合には小径の素子固着電極用貫通孔を形成するのに適し、ルーター加工の場合には大きい径の素子固着電極用貫通孔を形成するのに適している。
【0045】
素子固着電極部20の大きさは載置する発熱素子31よりは大きい正方形、円、楕円、あるいは多角形等の任意の形に形成される。詳しくは、ドライエッチング加工ではレーザの描画により任意の形が可能であり、ルーター加工では予め決められたルーターの形状に形成される。
【0046】
一例として素子固着電極部20の形状は、上面および下面開口の直径は2.2〜2.3mmであり、高さは2.0mmの長方形状である。
【0047】
発熱素子31としては三族窒化物系化合物半導体(例えば、ガリウムナイトライド)の高効率パワー発熱素子であり、素子の一主面に第1電極32、反対主面に第2電極33が設けられる。発熱素子31の形状は、底面が0.15mm四方であり、高さは60μm〜100μmである。ここでは一例として高さが100μmの発熱素子31を用いた。発熱素子31は、素子固着電極部20上に第2電極33を対向して配置され、素子固着電極部20の表面に接着剤34によって固着される。
【0048】
接着剤34は、例えば貴金属を含む導電ペーストである。尚、金(Au)メッキを施し、Au共晶により固着してもよい。
【0049】
発熱素子31の各電極は金属細線30のワイヤボンディングにより所定の第1電極部13と接続される。第1電極部13はスルーホール孔のスルーホールメッキ層を介して所定の第2電極部14と接続される。
【0050】
透明樹脂35は全体を覆い、発熱素子31および金属細線30の保護と同時に発熱素子31のレンズとして働く。
【0051】
本実施形態の発光装置50を実装する際には、裏面に露出する第2電極部14を半田などにより実装用のマザー基板に表面実装される。
【0052】
次に、図2〜図3を用いて実装基板のパターンについて説明する。図2(A)はその表面の上面図であり、図2(B)はその裏面の上面図である。図3(A)はその表面の一部拡大図であり、図3(B)はその裏面の一部拡大図である。
【0053】
図2(A)(B)に示す実装基板は具体的に70mm×70mmの大きさに切断されている。周辺は額縁状の枠部2が設けられ、枠部2の中に行列状に各セル22が隣接して配列される。図2では、11行10列に5mm×5mmのセル22が配列され、全体で110個のセル22が設けられる。各セル22間の境界はダイシングラインとなる。
【0054】
各セル22の略中央付近に素子固着電極部20の銅メッキ層が絶縁基板10に埋め込まれた形状(図中黒塗り部分)で配置され、本例では1辺が2mm〜3mmの範囲の長方形状にしてある。素子固着電極部20の大きさは放熱特性により設計され、形状も厚さも任意に選択できる。高い放熱性を得たいときはセル22自体を大きくしたり、絶縁基板10の厚みを厚くすれば良い。
【0055】
枠部2の4辺には複数個の位置合わせ孔5が設けられ、右上には切欠き部6を設けて裏表と上下方向の認識に利用する。また、枠部2には各セル22の境界に対応するマーク7が設けられ、対向する辺のマーク7がダイシングラインを規定し、ダイシング時の位置合わせに用いる。これらは製造工程における各セル22との位置合わせに用いられ極めて精度の高い発熱素子装置の製造を実現する。
【0056】
次に、図3(A)に実装基板1の表面一部拡大図を示し、図3(B)に実装基板1の裏面一部拡大図を示す。各セル22の大きさは5mm×5mmと極めて微小である。
【0057】
各セル22において、第1電極部13は絶縁基板10の表面に設けられ、4つの島にパターンニングされる。その一つは素子固着電極部20と連結され、他の3つは分離されている。第2電極部14は絶縁基板10の裏面に設けられ、5つの島にパターンニングされる。中央の細長い島は素子固着電極部20と連結され、その両側に2個づつ島を配置している。
【0058】
各セル22の両側には2個づつ設けたスルーホール孔15a、15b、16a、16bを形成し、各スルーホール孔に形成されるスルーホールメッキ層で第1電極部13と第2電極部14の対応する島を電気的に接続している。スルーホール孔15a、15b、16a、16bはダイシングライン上に重ねて設けられ、ダイシング時に半分が切り取られるが、残りの半分が各セル22の側面に露出して残され、サイドスルーホール構造となる。
【0059】
各島のパターニングは載置する発熱素子の持つ電極の数に対応して行われる。第1電極部13の島はその表面に発熱素子の固着や金属細線のボンディングを行えるようにボンディング可能な金属メッキ層23aを設けており、第2電極部14の島には表面実装が可能なように半田付け可能な金属層24a、24b、24e(図1(B)、図5(J)参照)を設けている。
【0060】
本発明の実装基板の特徴は本例の場合、70mm×70mmの大きさの絶縁基板に110個のヒートシンクとして働く素子固着電極部20を埋め込むことで、放熱性の高いプリント基板が実現できた点にある。これによりプリント基板の持つ組み立ての簡便性と放熱性を併せ持つ実装基板が実現できた。
【0061】
続いて、図4〜図7を参照して本発明の実装基板の製造方法および発熱素子の実装方法について説明する。
【0062】
〔実施例1〕
以下に本実施の形態の一例として、レーザを用いたドライエッチングにより実装基板を製造する方法を説明する。
【0063】
第1工程(図4(A))では、両主面に第1の導電箔11および第2の導電箔12が貼着された絶縁基板10を準備する。
【0064】
一の主面に銅の第1の導電箔11を貼着し、他の主面に第1の導電箔11と同等の厚みの第2の導電箔12を貼着した絶縁基板10を準備する。
【0065】
絶縁基板10としては、例えばFR4またはBT樹脂からなる基板、ガラスエポキシ基板またはガラスポリイミド基板、場合によってはフッ素基板、ガラスPPO基板またはセラミック基板など、フレキシブルシート、フィルムなどでもよい。本実施形態では、一例として厚さt1が100μm程度のBT樹脂基板を採用した。絶縁基板1は60〜600μmで選ばれ、素子固着電極部が放熱に必要とされる厚さと同じに厚さとなる。
【0066】
第1の導電箔11および第2の導電箔12としては、銅から成る金属箔を採用した。第1の導電箔11、第2の導電箔12の膜厚は同等であり、9μm〜35μm(例えば18μm)程度である。
【0067】
第2工程(図4(B))では、予定の素子固着電極用貫通孔21を形成する領域の第1の導電箔11を選択的に除去し、絶縁基板10を露出する。
【0068】
後述するが本実施形態では一例として、レーザを用いたドライエッチング(レーザビア加工)により素子固着電極用貫通孔を形成する。その際レーザが照射される領域に導電箔(Cu)が存在すると、Cuに対してレーザが反射されるのでマスクとして働く。
【0069】
そこで、本工程において、所望のパターンが形成されたレジストPRなどをマスクとして、素子固着電極用貫通孔21が形成される予定の領域の第1の導電箔11をエッチングにより選択的に除去し、当該領域の絶縁基板10が露出した開口部OPを形成する。
【0070】
第3工程(図4(C))では、絶縁基板10を選択的にドライエッチングして素子固着電極用貫通孔21を形成し、第2の導電箔12の裏面を検出してドライエッチングを停止し、素子固着電極用貫通孔21の底面に第2の導電箔12の裏面側を露出する。
【0071】
開口部OPから露出した絶縁基板10をドライエッチングする。ここでは、ドライエッチングとしてレーザを用いたエッチング(レーザビア加工法)を採用する。レーザは、例えばYAGレーザ、COレーザなどであり、BT樹脂の絶縁基板10がエッチング可能で、第2の導電箔12であるCuが溶融しない程度の条件でレーザ照射する。
【0072】
レーザビア加工法としては、第1の導電箔11を除去した開口部OPの直径に対して同等のレーザ加工を行うコンフォーマル加工法や、開口部OPの直径より小さくレーザ加工を行うラージウィンドウ加工法などがある。
【0073】
開口部OPから露出した絶縁基板10にレーザを照射する。絶縁基板10が除去され、第2の導電箔12の裏面(絶縁基板10と当接する側)の露出を検出して、エッチング(レーザ照射)を停止する。これにより絶縁基板10を完全に貫通するビアホール形状の素子固着電極用貫通孔21が形成され、第2の導電箔12の裏面の一部が露出する。この露出した第2の導電箔12は第5工程で電解めっきする際にマイナス電極となる。
【0074】
本実施形態では、第2の導電箔12により終点検出が可能となるので、正確且つ容易に、素子固着電極用貫通孔21と、その素子固着電極用貫通孔21の底部のマイナス電極を形成することができる。また、第2の導電箔12による終点検出を可能とするために、絶縁基板10が加工可能で、第2の導電箔12(Cu)が溶融しない程度のレーザ照射条件を適宜選択する。
【0075】
尚、レーザビア加工法で形成された素子固着電極用貫通孔21は、その側壁が平坦な垂直面21aとなる。素子固着電極用貫通孔21の大きさは素子固着電極部20上に載置される発熱素子31よりは大きい正方形、円、楕円、あるいは多角形等の形に形成される。一例として、素子固着電極用貫通孔21の形状は、上面および底面開口の径は2.2〜2.3mmであり、高さは2.0mmの長方形状である。素子固着電極用貫通孔21の形状はレーザの描画により任意の形状に選択ができ、発熱素子31よりは大きい正方形、長方形、円、楕円、あるいは多角形等の任意の形に選べる。
【0076】
第4工程(図4(D))では、第1および第2の導電箔11、12の表面をフィルム40、41で被覆する。
【0077】
フィルム40、41としては、例えばドライフィルムを用いる。本実施形態では、一例としてリストン社 FRA063シリーズを採用した。
【0078】
ホトレジストをフィルム状にしたフィルム40、41を第1および第2の導電箔11、12の表面に貼り付ける。この際、第1の導電箔11は、素子固着電極部20が形成される予定の領域とその周辺部を除いてフィルム40で被覆される。なお、図示はしないが、第1の導電箔11の表面に貼付されるフィルム40は、素子固着電極部20が形成される予定の領域を完全に覆って貼付することもできる。この場合には、後述の第5工程のメッキ液が素子固着電極用貫通孔21内に入る大きさの開口部を設けてフィルム40で被覆される。
【0079】
第5工程(図4(E))では、銅の電解メッキにより素子固着電極用貫通孔21の底面に露出した第2の導電箔12の裏面に銅メッキ層22を形成し、素子固着電極用貫通孔21を埋設する。
【0080】
本工程は、本発明の特徴とする工程であり、第1の導電箔11の素子固着電極部20が形成される予定の領域とその周辺部を除いてフィルム40で覆い、第2の導電箔12はその表面をフィルム41で覆い、第2の導電箔12のみをマイナス電極して電解メッキを行うことに特徴がある。これにより、素子固着電極用貫通孔21の底面に露出した第2の導電箔12の裏面のみが電解メッキの電極として働き、ここにのみ銅メッキ層22が析出され、時間とともに成長して素子固着電極用貫通孔21を埋設する。
【0081】
これは通常のスルーホールメッキでは両面の導電箔をマイナス電極として働かせ銅の電解メッキを行っているのと著しく異なっている。詳しくは、パラジウムなどの溶液に基板を浸漬した後に銅の無電解メッキをしてから電解メッキを行い、両面の導電箔から銅メッキ層の成長を行うので、貫通孔の入口側から銅メッキ層が成長するので、貫通孔を銅メッキ層で埋設することは難しい。
【0082】
本工程では、電解メッキは、第2の導電箔12のみをマイナス電極に接続して行い、素子固着電極用貫通孔21の底部側に露出する第2の導電箔12の裏面から上方向のみに銅メッキ層22を徐々に成長させる。本実施形態では、電解メッキの条件の一例として、電解銅メッキ液で、電流密度を40Aとすると、時間当たり25〜30μmの銅メッキ層22を析出できる。銅メッキ層22は素子固着電極用貫通孔21を充填するために、素子固着電極用貫通孔21を覆うフィルム40からキノコ状に飛び出るまで電解メッキを継続して行い、フィルム40の表面より飛び出た形状で終了する。
【0083】
本工程では、第2の導電箔12の裏面から上方向のみに銅メッキ層22を徐々に成長させるため、従来のスルーホールメッキのようにボイドが発生することもなくなる。
【0084】
従って、銅メッキ層22は、素子固着電極用貫通孔21を充填する形になり、上面および底面で第1および第2の導電箔11、12と一体化した純銅の塊になり、ヒートシンクとしての働きを可能にする。
【0085】
第6工程(図5(F))では、第1の導電箔11上のフィルム40および素子固着電極用貫通孔21より突出した銅メッキ層22を機械的に研削し、その表面を平坦にする。
【0086】
セラミック刃のグラインダーを用いて機械的に研削し、キノコ状に突出した銅メッキ層22と第1の導電箔11上のフィルム40との高さを略平坦にする。この際、銅メッキ層22の表面が略平坦になればよく、第1の導電箔11の表面と同等の高さになるまで研削する必要はない。
【0087】
この研削後には機械的研削により生じた表面の歪を除去するためと表面をより平坦化するために薄めのエッチング液で軽くエッチングを行う。この処理をフラッシュエッチングとも呼んでいる。
【0088】
この工程では、100μm以上の厚さの銅メッキ層22であっても、その表面の5μm以下の凹凸に平坦化できるので、その上に発熱素子を固着できる純銅の素子固着電極部20を実現できる。
【0089】
第7工程(図5(G))では、第1および第2の導電箔11、12の表面のフィルム40、41を除去する。
【0090】
苛性ソーダ溶液を用いて、表面フィルム40、41の溶解除去を行い、第1および第2の導電箔11、12の表面を露出する。
【0091】
第8工程(図5(H))では、第1の導電箔11、第2の導電箔12、および絶縁基板10を貫通するスルーホール孔15、16を形成する。
【0092】
本工程では、絶縁基板10の端部に予定のスルーホール孔15、16が形成される。スルーホール孔15、16はルーター加工により0.2mm程度の径に形成される。
【0093】
第9工程(図5(I))では、スルーホールメッキにより第1の導電箔11および第2の導電箔12、スルーホール孔15、16の内壁にスルーホールメッキ層を形成する。
【0094】
絶縁基板10の全体をパラジウム溶液に浸漬して、第1の導電箔11および第2の導電箔12表面と、スルーホール孔15、16内にCuの無電解メッキを施し、更にCuの電解メッキを施して、約20μmの膜厚のスルーホールメッキ層を形成する。
【0095】
スルーホールメッキ層は、スルーホール孔15、16の側壁に露出した絶縁基板10表面を覆う。またスルーホールメッキ層は、第1の導電箔11表面および第2の導電箔12表面に形成され、これらと一体化して絶縁基板10の端部において第1の導電箔11および第2の導電箔12を接続する。
【0096】
スルーホールメッキ層は、前述の第6工程で機械的に研削された素子固着電極用貫通孔21の銅メッキ層22の微細な凹凸を被覆して第1の導電箔11表面を平坦にする蓋メッキ層としての役割もある。
【0097】
第10工程(図5(J))では、第1電極部13、素子固着電極部20及び第2電極部14に選択的に導電性金属層23を電解メッキにより付着する。導電性金属層23は、ボンディング可能で硬度の高い多層金属層である。ここでは例えば、ニッケル(Ni)−金(Au)層またはNi−Ag層である。また、パラジウム(Pd)などを用いたNi−Pd層やAg−Pd層であってもよい。Ni層は硬度が高い金属層であり、Au層またはAg層は金属細線28とのボンディングを可能とする。
【0098】
ここでは、発熱素子を固着する素子固着電極部20の中央部と、第1電極部13のボンディングを行う領域と、第2電極部14で表面実装を行う領域を露出してレジスト層(図示せず)で覆い、電解メッキが行われる。ニッケル層は約5μm、金、銀あるいはパラジウム層は約0.2μmに形成される。金、銀あるいはパラジウム層はボンディングを可能にするとともに発光素子のリフレクタとしての働きも有している。
【0099】
なお、本工程でスルーホール孔15、16はメッキ液の侵入を防ぐために石膏などの絶縁物で埋めると良い。
【0100】
第11工程(図6(K))では、第1および第2の導電箔11、12を所望のパターンにエッチングして第1電極部13と第2電極部14を形成する。
【0101】
本工程では、第1電極部13および第2電極部14をレジスト層(図示せず)で被覆し、レジスト層をマスクとして第1の導電箔11および第2の導電箔12のエッチングを行う。これにより分離溝27、28が形成され、第1電極部13および第2電極部14がパターンニングされる。
【0102】
このエッチングでは塩化第2鉄溶液を用いる。続いて、レジスト層の剥離除去を行う。
【0103】
これにより、発熱素子31を固着する素子固着電極部20と第1電極部13および第2電極部14で形成される取り出し電極13aおよび裏面実装電極14bとが形成され、各発熱素子31が載置されるセルのパターンが行列状に多数個形成される。各セルのパターンの形状についてはすでに図2(A)を参照して説明しているので、ここでは省略する。
【0104】
以上で本発明の実装基板が完成される。以下はその実装基板を用いた発光素子などを発熱素子として組み込む製造方法を説明している。
【0105】
第12工程(図6(L))では、素子固着電極部20上に発熱素子31を固着する。
【0106】
発熱素子31の下面の第2電極33を導電接着剤34で素子固着電極部20上に固着する。発熱素子31の固着にはチップマウンターを用いる。発熱素子31が実際に固着されるのは、素子固着電極部20上に積層された導電性金属層23(23b)である。
【0107】
発熱素子31としては高効率のLEDのほかに、トランジスタ、パワーMOS半導体素子、IGBT、パワー集積回路等も含まれる。
【0108】
導電接着剤34は、例えば銀(Ag)などの導電性ペーストを用いる。また、発熱素子31は、素子固着電極部20上に金(Au)メッキを施し、Au共晶により固着してもよく、その場合は別途Auメッキを行う。
【0109】
第13工程(図6(M))では、発熱素子の上面の第1電極32と取り出し電極13aとを金属細線30で接続する。
【0110】
金の金属細線30を用いてボンダーで電極の位置をパターン認識しながら超音波熱圧着により、発熱素子31の第1電極32と、取り出し電極13a上を被覆する導電性金属層23aとを接続する。
【0111】
第14工程(図6(N))では、発熱素子31及び金属細線30を透明樹脂で被覆する。
【0112】
発熱素子31および金属細線30を透明樹脂35で被覆する。透明樹脂は、発熱素子31および金属細線30を外気より保護し、また光を散乱させるレンズとしても働く。
【0113】
第15工程(図6(N))では、実装を完了した各セルを矢印で示したダイシングラインでダイシングして個別の発光装置に分離する。
【0114】
図2に示すように、絶縁基板10には多数個のセルが行列状に配列される。また、図3示すように各セル間のダイシングライン上にはスルーホール孔15a、15b、16a、16bが重ねて設けてある。そして、絶縁基板10に行列状に配列された多数個のセルをプダイシングにより個別の完成した発光装置50に分離する。このときにスルーホール孔15a、15b、16a、16bもダイシングされ、夫々のセルにサイドスルーホールの形状で残る。
【0115】
具体的には、実装基板1の周辺にある位置合わせ孔5でダイシング時の位置決めをし、対向するマーク7でダイシングラインを特定してダイシングを行う。この結果、実装基板1に行列状に多数個埋め込まれたヒートシンクとなる素子固着電極部20に発熱素子31を大量に実装できる。
【0116】
本発明の実装基板に実装された発熱素子を組み込んだ半導体装置はダイシングで個別の半導体装置に分離され、筐体などを構成するステンレスや鉄の金属板やセラミック基板の上に貼り付けられた高放熱性のプリント基板やフィルム基板のマザー基板に表面実装されて組み込まれる。これにより、本発明の半導体装置では発熱素子31からの熱が一旦素子固着電極部20に伝達され、その熱が素子固着電極部20から拡散して、マザー基板を介して機器の筐体などで作られる大型の放熱板に伝えられて熱を外部に逃がす。
【0117】
〔実施例2〕
以下に本実施の形態の他の一例として、NC工作機(NCルーター)を用いた切削加工で実装基板を製造する方法を説明する。なお、工程の一部は前述の実施例1の工程と重複するため、ここでは異なる工程のみを詳細に説明していく。
【0118】
第1工程(図7(A))では、一の主面には第1の導電箔が貼着された絶縁基板を準備する。
【0119】
一の主面に銅などの第1の導電箔11を貼着した絶縁基板10を準備する。
【0120】
本実施形態では、絶縁基板10の一例として厚さt1が60μm程度のBT樹脂基板を採用した。第1の導電箔11はエッチングが可能な金属であればよく、本実施形態では銅から成る金属箔を採用し、その膜厚は9μm〜35μm(例えば13μm)程度である。
【0121】
第2工程(図7(B))では、第1の導電箔11および絶縁基板10を選択的に切削して素子固着電極用貫通孔21を形成する。
【0122】
素子固着電極用貫通孔21が形成される予定の領域を選択的に切削する。ここでは、NC工作機(NCルーター)を用いてリーマーにより切削加工する。リーマーに限らず、エンドミルやドリルによる切削でもよい。
【0123】
本実施形態では、ルーターにより正確且つ容易に、素子固着電極用貫通孔21を機械的に形成することができる。また、素子固着電極用貫通孔21は、その側壁21aが垂直面となる。素子固着電極用貫通孔21の幅は素子固着電極部20に固着される発熱素子31よりは大きい正方形、円、楕円、あるいは多角形等の形に形成される。一例として、素子固着電極用貫通孔21の形状は、上面および下面開口の径は2.2〜2.3mmであり、高さは2.0mmの長方形状である。
【0124】
第3工程(図7(C))では、第2の導電箔12をボンディングシート18で貼着する。
【0125】
本工程では、第2の導電箔12を絶縁基板10の第1の導電箔11を設けた反対主面にボンディングシート18で貼着する。この結果、素子固着電極用貫通孔21の底面に第2の導電箔12の裏面の一部が露出するビアホールを形成できる。この露出した第2の導電箔12は第5工程で電解メッキする際にマイナス電極に接続する。なお、素子固着電極用貫通孔21の底面にあるボンディングシート18はレーザエッチングで除去する。
【0126】
第4工程(図7(D))では、第1および第2の導電箔11、12の表面をフィルム40、41で被覆する。
【0127】
本実施形態では、一例としてリストン社 FRA063シリーズを採用した。
【0128】
ホトレジストをフィルム状にしたフィルム40、41を第1および第2の導電箔11、12の表面に貼り付ける際、第1の導電箔11には素子固着電極部20が形成される予定の領域とその周辺部を除いてフィルム40で被覆する。なお、図示はしないが、素子載置部20が形成される予定の領域上に重ねてフィルム40を貼付することもできる。この場合には、後述の第5工程のメッキ液が素子固着電極用貫通孔21内に入る大きさの開口部を除いてフィルム40で被覆される。
【0129】
第5工程以降は実施例1と同じであるので説明を省略する。ただし、ボンディング18は省略されている。
【符号の説明】
【0130】
1 実装基板
2 枠部
5 位置合わせ孔
7 マーク
10 絶縁基板
11 第1の導電箔
12 第2の導電箔
13 第1電極部
14 第2電極部
20 素子載置部
21 素子載置用貫通孔
22 メッキ層
23、23a、24a、24b、24e 導電性金属層
27、28 分離溝
30 金属細線
31 発熱素子
32 第1電極
33 第2電極
34 接着剤
35 透明樹脂
40、41 フィルム
50 発光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板の両主面に設けた第1の導電箔および第2の導電箔と、
行列状に多数個配列された前記絶縁基板を貫通し前記第2の導電箔の裏面をその底部に露出する素子固着電極用貫通孔と、
前記各素子固着電極用貫通孔を充填し、前記素子固着電極用貫通孔の底部の前記第2の導電箔の裏面から前記第1の導電箔表面まで成長した電解メッキ層で形成された素子固着電極部と、
前記第1の導電箔で所望のパターンに形成された第1電極部と、
前記第2の導電箔で所望のパターンに形成された第2電極部と、
前記第1電極部と第2の電極部とを接続するスルーホールメッキ層とを具備することを特徴とする実装基板。
【請求項2】
前記素子固着電極部はその上に載置される発熱素子よりも大きく形成されることを特徴とする請求項1に記載の実装基板。
【請求項3】
前記素子固着電極部の体積はその上に載置される発熱素子の発熱により前記絶縁基板の厚みを選択して変えることを特徴とする請求項1に記載の実装基板。
【請求項4】
前記各素子固着電極部、前記各第1電極部および前記各第2電極部はダイシングラインで囲まれていることを特徴とする請求項1に記載の実装基板。
【請求項5】
両主面には第1の導電箔および第2の導電箔が貼着された絶縁基板を準備する工程と、
素子固着電極部を形成する領域の前記第1の導電箔を選択的に除去し、前記絶縁基板を露出する工程と、
前記絶縁基板を選択的にドライエッチングして素子固着電極用貫通孔を形成し、前記第2の導電箔の裏面を検出してドライエッチングを停止し、前記素子固着電極用貫通孔の底面に前記第2の導電箔の裏側を露出した素子固着電極用貫通孔を形成する工程と、
前記第1および前記第2の導電箔の表面をフィルムで被覆する工程と、
前記第2の導電箔に通電して電解メッキにより前記素子固着電極用貫通孔に底部側に露出する前記第2の導電箔の裏面から上方向のみに銅メッキ層を形成し、前記銅メッキ層で前記素子固着電極用貫通孔を充填する工程と、
前記銅メッキ層の表面を平坦に研削し、平坦化する工程と、
前記第1の導電箔、前記第2の導電箔、および前記絶縁基板を貫通するスルーホール孔を形成する工程と、
スルーホールメッキにより前記第1の導電箔および前記第2の導電箔を接続するスルーホールメッキ層を形成する工程と、
前記第1および第2の導電箔を所望のパターンにエッチングして第1電極部と第2電極部を形成する工程とを具備することを特徴とする実装基板の製造方法。
【請求項6】
前記銅メッキ層で前記素子固着電極用貫通孔を充填する工程において、前記銅メッキ層は前記第1の導電箔に貼着した前記フィルム表面より突出させることを特徴とする請求項5に記載の実装基板の製造方法。
【請求項7】
前記銅メッキ層の表面を平坦に研削し、平坦化する工程において、前記銅メッキ層を研削後にフラッシュエッチングすることを特徴とする請求項5に記載の実装基板の製造方法。
【請求項8】
一主面に第1の導電箔が貼着された絶縁基板を準備する工程と、
素子固着電極を形成する領域の前記絶縁基板にルーター加工により貫通する素子固着電極用貫通孔を形成する工程と、
前記絶縁基板の反対主面に第2の導電箔を貼着し、前記素子固着電極用貫通孔の底面に前記第2の導電箔の裏面側を露出させる工程と、
前記第1および前記第2の導電箔の表面をフィルムで被覆する工程と、
前記第2の導電箔に通電して電解メッキにより前記素子固着電極用貫通孔に底部側に露出する前記第2の導電箔の裏面から上方向のみに銅メッキ層を形成し、前記銅メッキ層で前記素子固着電極用貫通孔を充填する工程と、
前記銅メッキ層の表面を平坦に研削し、平坦化する工程と、
前記第1の導電箔、前記第2の導電箔、および前記絶縁基板を貫通するスルーホール孔を形成する工程と、
スルーホールメッキにより前記第1の導電箔および前記第2の導電箔を接続するスルーホールメッキ層を形成する工程と、
前記第1および第2の導電箔を所望のパターンにエッチングして第1電極部と第2電極部を形成する工程とを具備することを特徴とする実装基板の製造方法。
【請求項9】
前記銅メッキ層で前記素子固着電極用貫通孔を充填する工程において、前記銅メッキ層は前記第1の導電箔に貼着した前記フィルム表面より突出させることを特徴とする請求項8に記載の実装基板の製造方法。
【請求項10】
前記銅メッキ層の表面を平坦に研削し、平坦化する工程において、前記銅メッキ層を研削後にフラッシュエッチングすることを特徴とする請求項8に記載の実装基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−142459(P2012−142459A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294622(P2010−294622)
【出願日】平成22年12月30日(2010.12.30)
【出願人】(598150488)株式会社エレメント電子 (13)
【Fターム(参考)】