説明

容器から物質を取り出すためのバルブ

バルブは、ボア(bore)を規定するハウジングを有している。ハウジングの中の2つのサイド・ポートおよび2つのボトム・ポートは、ボアに連絡している。ボアに受け入れられたスプールの外側表面に、2つの環状溝が設けられている。スプール内において、環状溝からバイパス・ポートへバイパスが延びている。1つの態様例では、ボアはハウジングを部分的にだけ通って延びており、バイパス・ポートはスプールの端部にある。別の態様例では、バイパス・ポートは、スプールの外側筒状表面において、環状溝がその中に実質的に存在しない位置にある。アクチュエータは、ボア内において、第1のボトム・ポートが第1のサイド・ポートと連絡して、第2のボトム・ポートが第2のサイド・ポートと連絡する第1の状態と、第1のボトム・ポートと第2のボトム・ポートとが相互に連絡し、および第1のサイド・ポートと第2のサイド・ポートとが相互に連絡する第2の状態との間で、スプールを選択的に動作させることができる。このバルブは、デッドスペースを減少させることによって、活性の高い化学薬品に好ましく用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
この発明は、一般に、容器から化学薬品(または化学的物品(chemical products))を取り出すために用いられるバルブであって、その容器から物品を移すためにガスが用いられるバルブ、特に、容器の中へガスを入れるための通路および容器から生成物を出すための通路を有するスプール弁(spool valve)に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体を製造するために必要とされる物質は、しばしば毒性を有しおよび/または化学的に高い活性を有する(または化学的に攻撃的(chemically aggressive)である)。光学ファイバー技術(fiber optic technology)において、毒性を有しおよび化学的に高い活性を有する酸ハロゲン化物は、一般に、ガラス容器またはステンレス鋼容器の中に貯蔵される。これらの物質の貯蔵および移送のために用いられる容器内の不純物は、かなりの問題をもたらす可能性があり、従って除去する必要がある。そのような用途のために、物品をその容器から移したり、容器の外に出すために、保護ガス、例えば不活性ガスを用いて、化学的に耐性を有するスプール弁を使用して、物品を容器から取り出すことができる。大部分の場合に、連結したラインを、取り出した後にフラッシング(flushing)するために、保護ガスも用いられる。ステンレス鋼容器から物品を取り出すために、鋼製のボールバルブを用いることもできる。ガラス容器には、プラグバルブが用いられている。プラグバルブを用いて保護ガスによりフラッシングすることはできるが、適切にシールすることができない。この種の用途に、その他のガラスおよび/またはPTFEバルブも用いられている。
【0003】
米国特許第4,805,675号(以下、「675特許」とも称する)は、1つの特定のバルブがスプール弁(spool valve)である発明を開示している(その開示事項は、引用することによって本明細書に組み込まれる)。675特許のスプール弁は、バルブ・ハウジングの中を通るボア(bore)の中で、軸方向に移動することができる円筒形態のバルブ・スプールを有している。バルブ・スプールはその外側表面に第1の環状溝を有している。バルブの開いた状態において、第1の環状溝は、物品供給ライン(product supply line)を物品取出ライン(product withdrawal line)に連絡させている。例えば、物品供給ラインはディップ・チューブ(dip tube)であってよく、物品取出ラインは物品が供給されることになっている場所へ至るラインである。バルブの開いた状態において、バルブ・スプールはその外側表面に第2の環状溝をも有している。第2の環状溝は、保護ガス供給ラインをガス注入ラインに連絡させている。例えば、保護ガス供給ラインは、保護ガスの加圧された供給源からバルブに至るラインであってよく、ガス注入ラインは、バルブから容器の中へ至るラインであってよい。バルブ・スプールの外側表面には、第3の環状溝が形成されている。第3の環状溝は、スプールの軸に沿って第2の環状溝と第3の環状溝との間に第1の環状溝が位置するように形成されている。第3の環状溝はバルブ・スプールの中を通るバイパス通路によって第2の環状溝に連絡しており、従って、第1の環状溝内の圧力と等しい圧力を有するガスによって第3の環状溝は満たされている。従って、バルブを通る物品の通路として用いられる第2の環状溝は、その両側に第1の環状溝および第3の環状溝内の保護ガスが存在するので、従って(675特許によって)、ハウジングとスプールとの間の接続部(joint)を通して、容器の外部から第2の溝の中へ汚染物質が進入(leak)する可能性を低減し、および、に漏る汚染のリスクを減少させて、物品が第2の溝からバルブの外へ漏れる(leakする)可能性を低減することができる。さらに、バルブがその閉じた状態にある場合に、第2の環状溝はガス供給ラインと連通する状態に留まっているが、ガス取出ラインとは(連通状態から)シールされている。バルブがその閉じた状態にある場合に、第3の環状溝も物品取出ラインと接続される。それによって、物品取出ラインを保護ガスによってフラッシングし、物品取出ラインおよびバルブの部分から物品をパージする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
675特許に開示されているバルブは、いくつかの問題点を有していた。第一に、バルブ・スプールに環状溝を形成することはコストが高くつく。また、バイパス通路を製造するためには、長手方向のボアを形成すること、2つの半径方向ボアを形成すること、および長手方向のボアの端部を閉塞すること(plugging)が必要とされる。さらに、物品が停滞するバルブ内部の空間(すなわちデッドスペース)の規模を減少させることが望ましい。デッドスペースは望ましいものではない。それは、(活性な物品を使用した場合に)活性な物品が、バルブの構成に用いられた物質、特にバルブの使用と使用との間で、金属またはバルブ成分から抽出され得るその他の汚染物質が浸出することによって、反応し得るためである。デッドスペースは、また、同じバルブを用いて、異なる物品のバッチを保持している容器から物品を移す場合に、物品の異なるバッチの交差汚染(cross contamination)のリスクをも増大させる。さらに、物品供給チューブおよびガス取出ラインの連結用のポートは外観が非常に近似しており、意図されている用途のために、バルブに物品供給チューブおよびガス取出ラインを適切に接続することができないというリスクを増大させ得る。さらに、有毒な(または有害な)化学薬品と共にバルブを使用する場合に、バルブ・ハウジングとバルブ・スプールとの間の接続部を通してバルブの外へ化学薬品が漏れるというおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
易流動性物品の供給物を含有する容器から、易流動性物品を取り出すためのバルブは、1つの態様例において、長軸を有する円筒形態のボア(cylindrical bore)を規定するハウジングを有している。ハウジングは、第1および第2のボトム・ポートと、第1および第2のサイド・ポートとを有しており、第1および第2のボトム・ポートはボアと連絡しており、ならびに第1および第2のサイド・ポートもボアも連絡している。ボアには円筒形態のバルブ・スプールが収容されており、バルブ・スプールはボアの中で、ボアの長軸に沿って軸方向に動くことができる。バルブ・スプールは円筒状外側表面を有している。円筒状外側表面にはその軸方向に沿って分布させて第1の環状溝および第2の環状溝が設けられている。バルブ・スプール内では、バルブ・スプールの半径方向ボアを通る第2の環状溝からバイパス・ポートへバイパスが延びている。半径方向ボアは、バルブ・スプールの円筒状外側表面との交点へ延びている。交点の位置において、バルブ・スプールの外側表面には環状溝は実質的に存在していない。スプールには、第2の環状溝とバイパス・ポートとの軸方向の間に、第1の環状溝が配置されている。バルブは、ボアの中で第1の状態と第2の状態との間でバルブ・スプールを選択的にスライドさせるためのバルブ・スプール・アクチュエータをも有している。スプールが第1の状態にある場合に、第1のボトム・ポートは第1の環状溝を通して第1のサイド・ポートと連絡しており、ならびに、第2のボトム・ポートは第2の環状溝を通して第2のサイド・ポートと連絡している。スプールが第2の状態にある場合に、第1のボトム・ポートと第2のボトム・ポートとは第1の環状溝を通して相互に連絡しており、ならびに、第1のサイド・ポートと第2のサイド・ポートはバイパスおよび第2の環状溝を通して相互に連絡している。
【0006】
易流動性物品の供給物を含有する容器から、易流動性物品を取り出すためのバルブは、もう1つの態様例において、長軸を有する円筒形態のボアを規定するハウジングを有している。ボアは、ハウジングの一部を通って延びている。ハウジングは、第1および第2のボトム・ポートと、第1および第2のサイド・ポートとを有しており、第1および第2のボトム・ポートはボアと連絡しており、ならびに第1および第2のサイド・ポートもボアと連絡している。ボアには円筒形態のバルブ・スプールが収容されており、バルブ・スプールはボアの中で、ボアの長軸に沿って軸方向に動くことができる。バルブ・スプールは円筒状外側表面を有している。円筒状外側表面にはその軸方向に沿って分布させて第1の環状溝および第2の環状溝が設けられている。バルブ・スプール内では、第2の環状溝からバルブ・スプールの1つの端部におけるバイパス・ポートへバイパスが延びている。スプールの第2の環状溝とバルブ・スプールの前記1つの端部との軸方向の間に、第1の環状溝が配置されている。バルブは、ボアの中で第1の状態と第2の状態との間でバルブ・スプールを選択的にスライドさせるためのバルブ・スプール・アクチュエータをも有している。スプールが第1の状態にある場合に、第1のボトム・ポートは第1の環状溝を通して第1のサイド・ポートと連絡しており、ならびに、第2のボトム・ポートは第2の環状溝を通して第2のサイド・ポートと連絡している。スプールが第2の状態にある場合に、第1のボトム・ポートと第2のボトム・ポートとは第1の環状溝を通して相互に連絡しており、ならびに、第1のサイド・ポートと第2のサイド・ポートはバイパスおよび第2の環状溝を通して相互に連絡している。
【0007】
その他の目的および特徴は、以下に記載する説明によって明らかになるであろう。
対応する参照文字は図面にわたって対応する部分を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(好適な実施形態の説明)
最初に図1〜5Bを参照すると、本発明の1つの態様例におけるバルブが、全体として符号101で示されている。バルブ101は、中央側ボア105を有するバルブ・ハウジング103を有しており、該中央側ボア105には、(図5Aに示す)開いた状態と(図5Bに示す)閉じた状態との間で軸方向に移動することができる円筒形態のバルブ・スプール107が収容されている。バルブ・ハウジング103およびバルブ・スプール107は、化学反応に対して高い耐性を有し、金属およびその他の抽出性の汚染物質を低レベルで有する不活発な材料によって形成されることが好ましい。1つの態様例において、バルブ・ハウジング103とバルブ・スプール107は、完全フッ素化されたポリマー、例えば、PFA、TFE、PTFE、FEP、ETFEまたはそれらと同系統のフッ素化ポリマーを有している。
【0009】
バルブ・ハウジング103の下側には、図1において破線で示すような口の開いた容器113に対して、バルブ101を脱着可能に接続するためのコネクタ111が設けられている。容器113には、活性が高い化学的性質を有する化学物質(図示せず)、例えば高純度酸ハロゲン化物、例えば四塩化ケイ素、ゲルマニウム(IV)塩化物、オキシ塩化リンなどが入っている。例えば、図4に示すように、コネクタ111は、ハウジングの底部に円筒形態のフィッテング115を有することができる。フィッテング115は、容器113の口に形成された対応するカラーにねじ止めされることに適応するユニオンナット121を保持する外側ネジ溝を有している。フィッテング115の外側ネジ溝およびユニオンナット121の対応するネジ溝は左巻きのネジであり、一方、ユニオンナット121のその他のネジ溝は、右巻きのネジ溝が設けられている容器113にコネクタ111をねじ込むために、右巻きのネジ溝であることが好ましい。容器113に対するバルブ101の接続をシールするために、Oリング125(図4)を設けることができる。Oリング125は、活性の高い化学薬品の分解に対する耐性を有することが好ましい。例えば、Oリング125を、完全フッ素化されたエラストマー(例えば、テフロン(登録商標)(E.I.Du Pont De Nemours and Company Corporation,ウィルミントン、デラウェア州))によって被覆して、Oリングが化学薬品を汚染する可能性を低減することができる。別法として、Oリング125は、完全フッ素化されたエラストマー(FFKM)、例えばSimriz(登録商標)SZ485(Freudenberg−NOKの事業所であるSimrit(プリマス(Plymouth)、ミシガン州)から入手可能である)、またはKalrez(登録商標)4079(Dow Performance Elastomers(ウィルミントン(Wilmington),デラウェア州(前身はDow DuPont Elastomers社)から入手可能である)を用いて形成して、化学薬品の汚染のリスクを低減することもできる。化学的に耐性を有する材料によって被覆されたOリング125は、優れた初期特性を提供するかもしれないが、時間の経過とともに一体性(integrity)を失うおそれがあるため、コストは高くなるかもしれないが、FFKM製のOリングを用いることが好ましい。
【0010】
2つの底部のバルブ・ポート131、133がフィッテング115に形成されており、バルブ・ハウジング103の中のボア105と連絡している。図に示すボトム・ポート131、133は相互に全体として互いに平行であって、実質的に垂直にボア105に連絡している。ボトム・ポート131と133とは、ボア105の長軸に沿って、それぞれオフセットされている。例えば、図5Aおよび5Bに示す態様では、1つのボトム・ポート131(以下、「中央側ボトム・ポート(central bottom port)」とも称する)は、ボアの長手方向中央部に比較的近い位置にてボア105に連絡しており、他方のボトム・ポート133(以下「オフセット側ボトム・ポート(offset bottom port)」とも称する)はボアの長手方向中央部から比較的離れた位置にてボアに連絡している。中央側ボトム・ポート131と133とは相互に容易に区別できることが好ましく、そのことは、例えばスパージング・チューブ(図示せず)をボトム・ポートの1つに接続すべき場合に有用である。例えば、1つの態様例では、(例えば、図3および4において破線で示すような内側のネジ溝を形成することによって)中央側ボトム・ポート131はそのようなチューブ(図示せず)を該ポートに接続するために適合化されている。そして、(例えば、図3および4において破線で示すような内側のネジ溝が存在しないことによって)オフセット側ボトム・ポートにチューブを誤って接続することを防止することができる。別の態様例(図示せず)において、中央側ボトム・ポート131は特定のねじシステムによってチューブを連結するために適合化されており、オフセット側ボトム・ポート133は異なるタイプのねじシステムによってチューブを連結するために適合化されている。例えば、中央側ボトム・ポート131およびオフセット側ボトム・ポート133の一方が右巻きネジを有し、および他方は左巻きネジを有するようにすることができる。同様に、中央側ボトム・ポート131およびオフセット側ボトム・ポート133の一方が雄ネジを有し、および他方は雌ネジを有するようにすることができる。更に別の態様例(図示せず)では、中央側ボトム・ポート131は特定の直径(例えば3/8インチ)を有するチューブを接続するために適合化されており、オフセット側ボトム・ポート133は異なる直径(例えば1/4インチ)を有するチューブを接続するために適合化されていてよい。容器113から物品を移すためにバルブ101を用いる際に、ガスは、2つのボトム・ポート131および133のうちの1つを通して容器に注入され、そのポートは以下においてより詳細に説明するように操作モードによって変わり得るのであって、そして物品は2つのボトム・ポートの他方を通って容器の外へ流出する。
【0011】
バルブ・ハウジング103の側面に、2つのサイド・バルブ・ポート141、143が設けられて、それらはボア105に連絡している。図示する態様のサイド・ポート141、143は、全体として平行であって、ハウジング103の対向する側方(または側壁)に水平に連絡している。サイド・ポート141、143には、それらにガス供給ライン(図示せず)および物品取り出しライン(図示せず)を容易に接続することができるように、フィッティング145を(例えば、サイド・ポートにねじ込むことによって)接続することができる。サイド・ポート141および143は、ボア105の長軸に沿って互いにオフセットされている。例えば、図5Aおよび5Bを参照すると、一方のサイド・ポート141(以下「中央側サイド・ポート(central side port)」とも称する)はボアの長手方向中央部に比較的近い位置にてボア105に連絡しており、他方のサイド・ポート143(以下「オフセット側サイド・ポート(offset side port)」とも称する)はボアの長手方向中央部から比較的離れた位置にてボアに連絡している。図5Aおよび5Bに示す態様において、オフセット側サイド・ポート143は、ボトム・ポート131、133がボアと連絡する位置よりも相対的に、ボアの長手方向中央部から離れた位置にて、ボア105と連絡しており、中央側サイド・ポート141は、ボトム・ポート131、133がボアと連絡する位置よりも相対的に、ボアの長手方向中央部に近い位置にて、ボア105と連絡している。その結果、ボトム・ポート131、133は、ボア105の長軸上において、サイド・ポート141とサイド・ポート143との間に配置されている。容器113から物品を取り出す際に、(以下に説明するように、操作のモードに依存するが、)2つのサイド・ポート141、143のうちの一方が保護ガスの供給部(図示せず)に接続され、他方のサイド・ポートが、物品移送ライン(図示せず)に接続される。
【0012】
本明細書に例外として特に記載する場合を除いて、バルブ・スプール107は実質的に円筒形態の外側表面161を有している。第1の環状溝165はこの円筒状外側表面161に形成されている。バルブ・スプール107が開いた状態にある場合(図5A)には、オフセット側サイド・ポート143は第1の環状溝165を通って、オフセット側ボトム・ポート133と連通している。バルブ・スプール107の円筒状外側表面161には、第2の環状溝167も形成されている。図示する態様例において、第2の環状溝167はバルブ・スプール107の長手方向中央部の相対的により近くに位置しており、第1の環状溝165はバルブ・スプールバルブの長手方向中央部から相対的により離れて位置している。バルブ・スプール107がその開いた状態にある場合(図5A)には、中央側サイド・ポート141は第2の環状溝167を通って中央側ボトム・ポート131と連通している。
【0013】
バルブ・スプール107の中にはバイパス171が設けられており、該バイパス171は、第2の環状溝167から、スプール107の円筒状外側表面161に形成されたバイパス・ポート173へ延びている。図示する態様例において、バイパス・ポート173は、スプール107の長手方向中央部から、第1の環状溝165および第2の環状溝167の両者よりも、相対的に離れて位置している。例えば、図5Aおよび5Bを参照すると、図示する態様例のバイパス171は、スプール107内の長手方向の通路181、該長手方向の通路181から第2の環状溝167へ延びるバルブ・スプール内の第1の半径方向ボア183、ならびに、該長手方向の通路からバイパス・ポート173へ延びるスプール内の第2の半径方向ボア185を有している。プラグ187は、長手方向の通路181の端部をシールするために用いられている。重要なことは、バルブ・スプールの実質的に円筒形態の外側表面と半径方向ボア185との交点において、バルブ・スプールの外側表面161に環状溝を形成することなく、バルブ・スプール107にバイパス・ポート173を形成することであって、それによってバルブ101を製造するコストを低減することができる。例えば、図5Aおよび5Bに示す態様例において、バルブ・スプールの円筒状外側表面161と半径方向ボア185との交点191に、バイパス・ポート173が形成されている。さらに、バルブ・スプール107の外側表面161には、前記交点191の位置において、実質的に環状溝が設けられていない。バルブ・スプール107がその閉じた状態にある場合(図5B)に、ボトム・ポート131、133は互いに第1の環状溝165を通して連通している。その場合に、サイド・ポート141、143は、バイパス171を通して相互に連通している。バルブ・スプール107がその閉じた状態(図5B)にある場合に、ボトム・ポート131、133とサイド・ポート141、143との間には、流体が実質的に流通することはない。
【0014】
図5Aおよび5Bに示すように、バルブ・スプール107の外側表面161に軸方向に沿って設けられた一連の4つの環状チャンネルには、それぞれ4つのOリング195'、195''、195'''および195''''の1つが取り付けられている。Oリングは、バルブ・ハウジング103とバルブ・スプール107との同時的な係合によって、シールを形成している。第1のOリング195'は、バルブ・スプール107とバルブ・ハウジング103との間の接続部と、第2の環状溝167との間にてシールを形成している。第2のOリング195''は、第2の環状溝167と第1の環状溝165との間にてシールを形成している。第3のOリング195'''は、バイパス・ポート173と第1の環状溝165との間にてシールを形成している。第4のOリング195''''は、バルブ・スプール107とバルブ・ハウジング103との間の接続部と、バイパス・ポート173との間にてシールを形成している。Oリング195'、195''、195'''および195''''は、化学反応に対して高い耐性を有し、金属またはその他の抽出性の汚染物質を低レベルで有する弾性材料によって形成されることが好ましい。例えば、Oリング195'、195''、195'''および195''''は、完全フッ素化されたエラストマー(FFKM)、例えばSimriz(登録商標)SZ485および/またはKalrez(登録商標)4079により形成することができる。更に図5Aおよび5Bを参照すると、バルブ・ハウジング103のボア105に、一連の円周溝201を設けることが好ましい。それらの位置は、バルブ・スプール107がその開いた状態(図5A)とその閉じた状態(図5B)との間で進退する動きによって、Oリング195'、195''、195'''および195''''が摩擦によって摩耗することを低減するように、各ポート131、133、141および143がボアと連絡する位置と同心円となるボア105に長手方向に沿って分布する位置である。所望する場合には、バルブ101のリーク(または漏れ)を更に防止するために、追加的なOリングを用いることもできる。
【0015】
バルブ101は、バルブ・スプール107のその開いた状態(図5A)とその閉じた状態(図5B)との間で進退する動きを操作することができるように、バルブ・スプール・アクチュエータ211を更に有することもできる。例えば、図示する態様例において、バルブ・スプール107の一端215は、作動ノブ219の雌ネジ溝217に係合する雄ネジ溝を有している。作動ノブ219は、バルブ・スプール107の長軸まわりで回転し得るように、バルブ・ハウジング103に回転自在に取り付けられている。しかしながら、ノブ219は、バルブ・ハウジング103に対して、バルブ・スプール107の長軸の向きに動くこと(または並進運動すること)については、拘束されている。例えば、図示する態様例において、ノブ219は、バルブ・ハウジング103に形成されている対合ボア227の内側に嵌る寸法のボス225を有している。ボスが対合ボア227の中に進入する際に、バルブ・ハウジング103に形成される1対のスルーホール233と環状溝229とが位置合わせされるように、ボス225の外側表面に環状溝229が形成されている。スルーホール233を通してピン235が挿入されると、ボス225の中に形成された環状溝229とピンとが係合することによって、バルブ・ハウジング103に対してノブ219が軸方向も移動することが拘束される。従って、ノブ219を回転させることによって、バルブ・スプール107を、バルブ・ハウジング103のボア105の中で軸方向に移動させることができる。バルブ・ハウジング103のスルーホール247を通して、およびバルブ・スプール107の長いスロット249の中へ、ペグ245を挿入することによって、バルブ・スプールがバルブ・ハウジングに対して回転することを防止することができる。長いスロット249の長さによって、バルブ・スプール107の軸状の移動も制限される。
【0016】
容器113からの物品の取り出しにバルブ101を使うために、バルブは図1に示すように容器と接続される。その結果、図3に示すように、2つのボトム・ポート131、133が容器113の内側へ延びており、2つのサイド・ポート141、143が容器113から外側へ延びている。サイド・ポート141、143の1つにガス供給ライン(図示せず)が接続され、サイド・ポートの他方に物品移送ライン(図示せず)が接続される。チューブ(図示せず)が、中央側ボトム・ポート131から容器の中に含まれている物品の中へ延びるように、中央側ボトム・ポート131に接続されることも好ましい。ガス供給ラインと物品移送ラインとをサイド・ポート141、143に接続する方式は、容器から物品を取り出す方法に依存している。
【0017】
1つの操作モードでは、バルブ101をバブリング(bubbling)に用いることができる。バブリング・モードでは、ガス供給ライン(図示せず)は中央側サイド・ポート141に接続され、物品移送ライン(図示せず)はオフセット側サイド・ポート143に接続される。従って、バルブ・スプール107がその開いた状態(図5A)にある場合に、ガス供給ラインからバルブの中へのガスの流れは、中央側サイド・ポート141を通り、第2の環状溝167を通り、中央側ボトム・ポート131を通ってバルブ101から出て、およびチューブ(この操作モードでは、スパーリング・チューブである)(図示せず)を通って、物品の中に入る。物品は、スパーリング・チューブを通して物品の中へ保護ガスを注入することによって形成されるガス気泡の中で気化し、その結果、気化させる物品のためのキャリヤーガスになる。キャリヤーガスおよび物品蒸気は、オフセット側ボトム・バルブ133を通して、バルブ101に流入し、第1の環状溝165を通して、オフセット側サイド・ポート143を通してバルブから出て、その後、キャリヤーガスおよび物品蒸気を所望の位置へ導く物品移送ラインの中に流入させる。
【0018】
容器113から所望の量の物品を取り出すと、ノブ219を回して、バルブ・スプール107をその閉じた状態(図5B)へ移動させる。閉じた状態において、2つのボトム・ポート131、133は第1の環状溝165を通して互いに接続しているが、その他について容器113はシールされている。他方で、2つのサイド・ポート141、143はバイパス171を通して互いに接続されている。従って、保護ガスは、中央側サイド・ポート141を通ってガス供給部からバルブ101中へ流入し、バイパス171を経由してバルブを通り、オフセット側サイド・ポート143を通ってバルブの外部へ流出する。このようにして、保護ガスを用いて、オフセット側サイド・ポート143および物品移送ラインをフラッシュし、そこからの物品の排出を促進することができる。
【0019】
操作のもう1つのモードでは、容器113から液状物品を閉じた移送モードで移送するために、バルブ101を用いることができる。バブリング・モードから液状物品の閉じた移送モードへバルブ101を転化させるために必要とされることは、ガス供給ライン(図示せず)および物品移送ライン(図示せず)のサイド・ポート141、143への接続を逆転させるか、またはチューブを中央側ボトム・ポート131から切り離し、チューブを(もしくは他の好適なチューブを)オフセット側ボトム・ポート133に接続することである。従って、液状物品の閉じた移送モードの操作のために、オフセット側サイド・ポート143にガス供給ラインを接続し、中央側サイド・ポート141に物品移送ラインを接続する。バルブ101がその開いた状態にある場合に、ガス供給部からのガスを、オフセット側サイド・ポート143、第1の環状溝165、およびオフセット側ボトム・ポート133を通して、容器113を加圧するために用いることができる。液状物品は、中央側ボトム・ポート131に接続されるチューブ(この場合にはディップ・チューブとして機能する)(図示せず)を流れて、中央側ボトム・ポートを通ってバルブの中に入り、第2の環状溝167を通って、中央側サイド・ポート141を通ってバルブから出て、そして物品移送ラインへ流入する。容器113から所望量の液状物品が取り出されると、ノブ219を回して、バルブ・スプール107をその閉じた状態へ移動させる。バブリング・モードの場合と同様に、バルブ101がその閉じた状態(図5B)にある場合に、第1の環状溝165を通して2つのボトム・ポート131、133は相互に連絡しているが、その他について容器113はシールされている。一方、保護ガスはオフセット側サイド・ポート143を通って、バルブ101の中に流入し、バイパス171を通り、中央側サイド・ポート141を通って出て、それによってそこからの物品のパージを促進する。
【0020】
図6〜8Bは、全体として符号1001で示される本発明の第2の態様例に係るバルブを示している。例外として特に記載する事項を除いて、バルブ1001は、上述したバルブ101と同様である。バルブ1001はバルブ・ハウジング1003を有しており、バルブ・ハウジング1003は中央側ボア1005を有している。中央側ボア1005は円筒形態のバルブ・スプール1007を収容しており、バルブ・スプール1007は、(図8Aに示す)開いた状態と(図8Bに示す)閉じた状態との間で軸方向に移動することができる。ボア1005はハウジング1003の中の一部分に延びており、ボア1005の一方の端部1005aは閉じている。
【0021】
バルブ101について上述したのと同様に、2つのボトム・バルブ・ポート1031、1033と、2つのサイド・バルブ・ポート141、143とは、ボア1005と連絡している。しかしながら、バルブ101とは対照的に、バルブ1001の中央側およびオフセット側のバルブ・ポート1031および1033は、それらにチューブを接続するために、いずれもネジ溝が設けられている。ボトム・ポート1031と1033とは、(例えば、異なる寸法に形成することによって)互いに容易に識別できることが好ましい。例えば、図6に示すように、中央側ボトム・ポート1031は、特定のチューブ(例えば、スパージングチューブ(sparging tube)、図示せず)をそこに接続し得る寸法に形成されたネジ溝付きボア1031aを有することができ、その一方で、オフセット側ボトム・ポート1033は、該オフセット側ボトム・ポートに前記特定のチューブを誤って接続することを防止するために、前記特定のチューブを接続するには不適切な寸法を有するネジ溝付きボア1033aを有することができる。オフセット側ボトム・ポート1033のネジ溝付きボア1033aは、異なるチューブ(例えばディップ・チューブ、図示せず)をそこに接続するための寸法とすることができ、その場合に、中央側ボトム・ポート1031のネジ溝付きボア1031aと寸法が異なることによって、そのチューブ(例えばディップ・チューブ)を中央側ボトム・ポートに誤って接続することを防止することができる。
【0022】
バルブ101に関連して上述したのと同様の方法で、第1および第2の環状溝165、167が、バルブ・スプール1007の円筒状外側表面1061に形成されている。従って、バルブ・スプールがその開いた状態(図8A)にあるときに、オフセット側サイド・ポート143は第1の環状溝165を通してオフセット側ボトム・ポート1033と連通しており、中央側サイド・ポート141は第2の環状溝167を通してボトム・ポート1031と連通している。
【0023】
バルブ・スプール1007にはバイパス1071が形成されており、バイパス1071は第2の環状溝167からスプール1007の端部に形成されたバイパス・ポート1073へ延びている。バイパス・ポート1073は、第1および第2の環状溝165、167の両者よりも、スプール1007の長手方向中央部から相対的に離れて位置する。例えば、図8Aおよび8Bを参照すると、図に示す態様のバイパス1071は、開放端を有する長手方向経路1081と、該長手方向経路1081から第2の環状溝167へ延びるバルブ・スプールの中の1つの半径方向ボア183とを有している。スプールの端部における長手方向経路1081の開放端は、バイパス・ポート1073となっている。重要な事項は、閉じた端部1005aを有するボア1005を形成し、長手方向経路1081の開放端をバイパス・ポート1073として使用することによって、その閉じた端部においてバルブ1001から物品が漏れ得るという可能性が実質的に低減されることである。バルブ・スプールの外側表面1061に第3の環状溝を形成する必要が全くないという事項だけではなく、スプール1081内の長手方向経路の端部を閉塞させる必要が全くないという事項によっても、スプール1007を形成するコストが下げられる。同様に、スプール1007内にバイパス通路1071を形成することは、単独の半径方向ボア183のみを形成する(すなわち、上述した半径方向ボア185は排除される)ということを必要とする。さらに、ボア1005の閉じた端部をシールするためのOリングを必要としない(すなわち、バルブ101は排除される)ことによって、更にコストを節約することができる。図8Aおよび8Bに示すように、例えばバイパス・ポート1073は、ボア1005の隣接する端部(ブラインド端部)に連通している。更に、バルブ・スプール1007の外側表面およびハウジング1003の両者にはわずかに3つのOリング195'、195''、195'''が係合して、ポート141、143、1031、1033、およびバイパス1071を通ることを除いて、第1および第2の環状溝165、167およびバイパス・ポート1073を相互に、ならびにバルブ1001の外部から、シールする。
【0024】
バルブ1001はバルブ・スプール・アクチュエータ219をも有しており、該バルブ・スプール・アクチュエータ219は、バルブ・スプール1007を上述したようにその開いた状態(図8A)と閉じた状態(図8B)との間で軸方向に進退して動かすように操作することができる。バルブ1001を用いて、バルブ101に関連して一般に上述した方法と同様の方法で、バブリング・モードまたは液状物品の閉じた移送モードのいずれかで、容器113から物品を取り出すことができる。バルブ・スプール1007がその開いた状態(図8A)にある場合に、バイパス・ポート1073はボア1005の閉じた端部1005aにおける終端部(dead end)である。バルブ・スプール1007がその閉じた状態(図8B)にある場合に、バルブ1001を閉じた際に、バルブ・スプール1007が退避することによって設けられたボア1005の端部の空間(volume)を通して、バイパス・ポート1073はオフセット側サイド・ポート143に連絡する。従って、保護ガスを用いるパージングは、上述した方法と本質的に同様にして達成することができる。
【0025】
さらに、バルブ1001のバルブ・スプール・アクチュエータ219は、場合によってバルブ・ロック1101を有している(図8Bに最も良好に示されている)。バルブ・ロック1101は、ハウジング1003に対するバルブ・スプールの移動を拘束することによって、バルブ・スプール1007を選択的に特定の位置(例えば閉じた状態)にロックする操作を行うことができる機構である。例えば、バルブ・ロック1101は、バルブ1001が装備された化学薬品の容器を安全に移送するために、バルブ・スプール1007をその閉じた状態にロックするように用いることができる。
【0026】
例えば、図8Bに示すバルブ・ロック1101はバルブ・スプール・リテーナ(valve spool retainer)1107(例えば保持ヘッド)を有しており、バルブ・スプール・リテーナ1107はバルブ・スプール1007の端部1215におけるネジ溝付きボア1105の中にねじ込むことができるシャフト1103を有している。バルブ・スプール1007がその閉じられた状態にある場合(図8b)には、シャフト1103をボア1105の中にネジ込んで、リテーナ1107がバルブ作動ノブ219の端部に隣接する(例えば、接触する)状態にすることができる。リテーナ1107は、(例えば、リテーナ1107の直径をボア217の直径よりも少なくともわずかでも大きく形成することによって)バルブ作動ノブ219の端部において、ネジ溝付きボア217の中へリテーナ1107が動くことが妨げられるように構成されている。バルブ・ロック1101がこの位置にある場合に、リテーナ1107とバルブ作動ノブ219との間の接触によって、バルブ・スプール1007をその開いた状態へ動作させ得るバルブ作動ノブ219の回転を防止することができる。その結果として、バルブ作動ノブ219を回転させるために、ボアから十分な距離へシャフト1103のネジが緩められて、バルブ・スプール1007がその開いた状態へ移動するまで、バルブ・スプール1007はその閉じた状態にロックされて留まることになる。同様のバルブ・ロックをバルブ101と共に使用することもできるし、本発明の範囲を逸脱することなく、そのバルブ・ロックを省略することもできると理解されたい。本発明の範囲を逸脱することなく、バルブ・スプール1007をロックするために種々の機構を用いることができる。
【0027】
従来技術を熟知している当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した典型的な態様例を種々の方法で変更することができると理解するであろう。例えば、バルブ1001を通る通路の構成(configuration)は、本発明の範囲を逸脱することなく、上述したおよび図面に示したもの以外の構成であってもよい。同様に、ポートおよび対応する通路の相対的な位置は、本発明の範囲を逸脱することなく、変更することができる。さらに、本発明の範囲を逸脱することなく、ポートをチューブ、ガス供給ラインおよび物品移送ラインに接続するために、様々の異なるタイプのコネクタを用いることができる。さらに、本明細書において用いた「ボトム」(底部)および「サイド」(側方)という用語は、図面に示すような向きに配置される場合のバルブを指している。本発明の範囲を逸脱することなく、バルブ1001は種々の方法で(または形態で)回転させ得ると理解されたい。(例えば、ボアがハウジングを通って部分的に延びるように形成することによって、)ボア105の一端を閉鎖させて、物品が周囲の環境の中にリーク(または漏れ出)したりおよび/またはバルブ・スプールとハウジングとの間の接続部を通って、汚染物質がバルブの中にリークしたりし得る可能性を低減することも望ましい。
【0028】
本発明の要素またはそれの好適な態様例を紹介する場合に、「a」(1つの)、「an」(1つの)、「the」(その)、及び「said」(前記の)という冠詞等は、1つ又は複数の要素があることを意図するものである。「comprising」(含んでなる)、「including」(含む)及び「having」(有する)という用語は、包含する関係であることを意図するものであって、記載した事項以外の追加的な要素が存在してもよいことを意味する。
【0029】
上述した事項を考慮すると、本発明の複数の目的が達成されること、およびその他の有利な効果が達成されることが理解される。
【0030】
本発明の範囲を逸脱することなく、上述した構成について種々の変更を行うことができるので、上記発明の詳細な説明に含まれていたおよび添付図面に示されたすべての事項は、例示を目的とするものであって、限定することを意図してはいないということに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明のバルブの1つの態様例の斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すバルブの端面図である。
【図3】図3は、図1に示すバルブの底面図である。
【図4】図4は、図1に示すバルブの側面図であって、バルブの一部を断面によって示している。
【図5】図5は、図2における5−5線についてのバルブの断面図である。図5Aおよび5Bは開いた状態および閉じた状態を示している。
【図6】図6は、本発明のもう1つの態様におけるバルブを示している。
【図7】図7は、図6に示すバルブの側面図であって、バルブの一部を断面によって示している。
【図8】図8は、図6に示すバルブの(図2における5−5線に対応する平面に)ついてのバルブの断面図である。図8Aおよび8Bは開いた状態および閉じた状態を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
易流動性物品の供給物を含有する容器から、易流動性物品を取り出すためのバルブであって;
長軸を有する円筒状ボアを規定するハウジングであって、前記ハウジング内において前記ボアと連絡する第1および第2のボトム・ポートと、前記ハウジング内において前記ボアと連絡する第1および第2のサイド・ポートとを有するハウジング;
前記ボア内に収容され、該ボアの長軸に沿って軸方向に移動することができる円筒状バルブ・スプールであって、円筒状外側表面、該円筒状外側表面に軸方向に沿って設けられている第1および第2の環状溝、前記第2の環状溝から、バルブ・スプールの半径方向のボアを通って、バルブ・スプールの円筒状外側表面との交点まで延びるバルブ・スプール内のバイパスを有し、該バルブ・スプールの外側表面は前記交点の位置において環状溝を実質的に有しておらず、前記第2の環状溝とバイパス・ポートとの軸方向の間において前記第1の環状溝がスプールに設けられている円筒状バルブ・スプール;ならびに
前記ボア内においてバルブ・スプールを第1の状態と第2の状態との間で選択的にスライドさせるバルブ・スプール・アクチュエータ
を有してなり、
スプールが第1の状態にあるときに、第1のボトム・ポートは第1の環状溝を通って第1のサイド・ポートに連絡し、および、第2のボトム・ポートは第2の環状溝を通って第2のサイド・ポートに連絡すること、ならびに、スプールが第2の状態にあるときに、第1および第2のボトム・ポートは第1の環状溝を通って相互に連絡し、および、第1および第2のサイド・ポートは第2の環状溝およびバイパスを通って相互に連絡することを特徴とするバルブ。
【請求項2】
ボアが一端部において閉じていることを特徴とする請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
バルブ・スプールの円筒状外側表面における環状のチャンネル内に少なくとも1つのOリングが収容されており、該Oリングと、バルブ・スプールおよびバルブ・ハウジングとの係合によってシールを形成することを特徴とする請求項1に記載のバルブ。
【請求項4】
少なくとも1つのOリングが完全フッ素化された弾性材料によって本質的に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のバルブ。
【請求項5】
第1および第2のボトム・ポートの1つはそこにチューブを接続することに適合化されており、ならびに、第1および第2のボトム・ポートのもう一つはそこにチューブを接続することに適合化されていないことを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載のバルブ。
【請求項6】
バルブ・スプールがハウジングに対して移動することを選択的に抑制するように操作可能であるバルブ・ロックを更に有してなることを特徴とする請求項1に記載のバルブ。
【請求項7】
バルブ・ロックがバルブ・スプール・リテーナを有してなり、該バルブ・スプール・リテーナは、バルブ・スプールの一端部におけるネジ溝付きボアの中にねじ込むことができるネジ溝付きシャフトを有することを特徴とする請求項5に記載のバルブ。
【請求項8】
易流動性物品の供給物を含有する容器から、易流動性物品を取り出すためのバルブであって;
長軸を有する円筒状ボアを規定するハウジングであって、該ボアは該ハウジングを部分的に通って延びており、前記ハウジング内において前記ボアと連絡する第1および第2のボトム・ポートと、前記ハウジング内において前記ボアと連絡する第1および第2のサイド・ポートとを有するハウジング;
前記ボア内に収容され、該ボアの長軸に沿って軸方向に移動することができる円筒状バルブ・スプールであって、円筒状外側表面、該円筒状外側表面に軸方向に沿って設けられている第1および第2の環状溝、前記第2の環状溝からバルブ・スプールの一端部におけるポートへ延びるバルブ・スプール内のバイパスを有しており、前記第1の環状溝は第2の環状溝と前記バルブ・スプールの一端部との軸方向の間で該スプールに設けられている円筒状バルブ・スプール;ならびに
前記ボア内においてバルブ・スプールを第1の状態と第2の状態との間で選択的にスライドさせるバルブ・スプール・アクチュエータ
を有してなり、
スプールが第1の状態にあるときに、第1のボトム・ポートは第1の環状溝を通って第1のサイド・ポートに連絡し、および、第2のボトム・ポートは第2の環状溝を通って第2のサイド・ポートに連絡すること、ならびに、スプールが第2の状態にあるときに、第1および第2のボトム・ポートは第1の環状溝を通って相互に連絡し、および、第1および第2のサイド・ポートは第2の環状溝およびバイパスを通って相互に連絡することを特徴とするバルブ。
【請求項9】
バルブ・スプールを通るバイパスは開放端を有する長手方向経路を有しており、該経路はバルブ・スプールの中からバルブ・スプールの前記一端部へ延びており、該経路の開放端がバイパス・ポートであることを特徴とする請求項8に記載のバルブ。
【請求項10】
バイパスが、バルブ・スプール内に1つの半径方向のボアだけを有することを特徴とする請求項8に記載のバルブ。
【請求項11】
バルブ・スプールの円筒状外側表面における環状のチャンネル内に少なくとも1つのOリングが収容されており、該Oリングと、バルブ・スプールおよびバルブ・ハウジングとの係合によってシールを形成し、ならびに該Oリングが完全フッ素化された弾性材料によって本質的に形成されていることを特徴とする請求項8に記載のバルブ。
【請求項12】
Oリングが完全フッ素化された弾性材料によって本質的に形成されていることを特徴とする請求項11に記載のバルブ。
【請求項13】
第1および第2のボトム・ポートの一方はそこにチューブを接続することに適合化されており、ならびに、第1および第2のボトム・ポートの他方はそこにチューブを接続することに適合化されていないことを特徴とする請求項8に記載のバルブ。
【請求項14】
バルブ・スプールがハウジングに対して移動することを選択的に抑制するように操作可能であるバルブ・ロックを更に有してなることを特徴とする請求項8に記載のバルブ。
【請求項15】
バルブ・ロックがバルブ・スプール・リテーナを有してなり、該バルブ・スプール・リテーナは、バルブ・スプールの一端部におけるネジ溝付きボアの中にねじ込むことができるネジ溝付きシャフトを有することを特徴とする請求項5に記載のバルブ。
【請求項16】
易流動性物品の供給物を含有する容器から、易流動性物品を取り出すためのバルブであって;
長軸を有する円筒状ボアを規定するハウジングであって、前記ハウジング内において前記ボアと連絡する第1および第2のボトム・ポートと、前記ハウジング内において前記ボアと連絡する第1および第2のサイド・ポートとを有するハウジング;
前記ボア内に収容され、該ボアの長軸に沿って軸方向に移動することができる円筒状バルブ・スプールであって、円筒状外側表面、該円筒状外側表面に軸方向に沿って設けられている第1および第2の環状溝、前記第2の環状溝からバルブ・スプールの一端部におけるポートへ延びるバルブ・スプール内のバイパスを有しており、前記第1の環状溝は第2の環状溝とバイパス・ポートとの軸方向の間で該バルブ・スプールに設けられており、該バイパス・ポートは該ボアの一端部に隣接している円筒状バルブ・スプール;ならびに
前記ボア内においてバルブ・スプールを第1の状態と第2の状態との間で選択的にスライドさせるバルブ・スプール・アクチュエータであって、前記第1の状態は、第1のボトム・ポートが第1の環状溝を通って第1のサイド・ポートに連絡し、および、第2のボトム・ポートが第2の環状溝を通って第2のサイド・ポートに連絡する状態であり、ならびに、前記第2の状態は、第1および第2のボトム・ポートが第1の環状溝を通って相互に連絡し、および、第1および第2のサイド・ポートが第2の環状溝およびバイパスを通って相互に連絡する状態であって、
前記バイパス・ポートは前記隣接するボアの一端部と連通することを特徴とするバルブ。
【請求項17】
前記バイパスが、バルブ・スプール内に1つの半径方向のボアだけを有することを特徴とする請求項16に記載のバルブ。
【請求項18】
バルブ・スプールを通るバイパスは開放端を有する長手方向経路を有しており、該経路はバルブ・スプールの中からバルブ・スプールの前記端部へ延びており、該経路の開放端がバイパス・ポートであることを特徴とする請求項17に記載のバルブ。
【請求項19】
前記ハウジングによって規定されるボアが、該ハウジングを通って部分的に延びることを特徴とする請求項16に記載のバルブ。
【請求項20】
バルブ・スプールの外側表面上にOリングを3つだけ有しており、前記バルブ・スプールと前記ハウジングとの間でシールを形成することを特徴とする請求項16に記載のバルブ。
【請求項21】
前記3つのOリングは完全フッ素化された弾性材料によって本質的に形成されていることを特徴とする請求項20に記載のバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2008−537529(P2008−537529A)
【公表日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504219(P2008−504219)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/011053
【国際公開番号】WO2006/104992
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(598169572)シグマ−アルドリッチ・カンパニー (31)
【氏名又は名称原語表記】Sigma−Aldrich Co.
【Fターム(参考)】