説明

対基板作業実行システム

【課題】停電時におけるオペレータの安全を確保可能な対基板作業実行システムを提供する。
【解決手段】それぞれが、駆動源26,56等を有し、その駆動源の作動によって回路基板に対する作業を実行する複数の作業実行装置14,16等と、それぞれが、光源を有し、その光源によって発光する機能を有する複数の光源含有機器76,86等と、複数の作業実行装置の各々の駆動源、および複数の光源含有機器の各々の光源への通電を制御する制御装置91とを備えた対基板作業実行システムにおいて、複数の光源含有機器の少なくとも1つの光源に電力を供給可能な非常用電源98を備え、停電時に、非常用電源から複数の光源含有機器の少なくとも1つの光源へ通電するように構成する。このように構成することで、停電発生時であっても、オペレータは周囲の状況を確認することが可能となり、安全を確保することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源の作動によって回路基板に対する作業を実行する複数の作業実行装置を備えた対基板作業実行システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
駆動源の作動によって作業を実行する複数の作業実行装置を備えた作業実行システムには、複数の作業実行装置が順次駆動されることで特定の作業を行うものがある。具体的にいえば、例えば、回路基板搬送装置、電子部品供給装置、電子部品装着装置等の複数の作業実行装置を備え、回路基板に対する作業を実行する対基板作業実行システムが挙げられる。このようなシステムでは、複数の作業実行装置が隣接して配設されることが多く、互いに干渉しないように制御されている。しかしながら、通常時であれば、複数の作業実行装置を互いに干渉しないように制御することが可能であるが、停電時には、複数の作業実行装置のうちの1以上のものが予期せぬ位置で停止し、作業実行装置同士が干渉する虞がある。このようなことに鑑みて、下記特許文献には、停電発生時において、非常用電源によって、実装作業を完了させ、複数の作業実行装置をそれらが互いに干渉しないような位置まで作動させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−363506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載のシステムによれば、作業実行装置同士の干渉を防止することが可能となり、システムの破損等を好適に予防することは可能である。しかしながら、上記特許文献に記載のシステムでは、停電発生時でのオペレータの安全を確保することに関しては殆ど考慮されておらず、オペレータは、暗闇の中で周囲の状況を判断せざるを得ない。具体的にいえば、このようなシステムが稼働している工場等には、大きな窓等が設置されていることが少なく、さらに、深夜にシステムが稼働していることも多い。このため、停電発生時には、工場内は非常に暗くなる。一方で、工場内には、通常、停電発生時に対応した非常灯が設置されているが、そのような非常灯は壁等に設置されており、システム周辺にいるオペレータの周囲にまで光は届き難い場合がある。このような場合には、オペレータは、暗闇の中で周囲の状況を判断するしかなく、オペレータの安全が確保されているとは言い難い。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、停電時におけるオペレータの安全を確保することが可能な対基板作業実行システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の対基板作業実行システムは、それぞれが、駆動源を有し、その駆動源の作動によって回路基板に対する作業を実行する複数の作業実行装置と、それぞれが、光源を有し、その光源によって発光する機能を有する複数の光源含有機器と、前記複数の作業実行装置の各々の駆動源、および前記複数の光源含有機器の各々の光源への通電を制御する制御装置とを備えた作業実行システムにおいて、当該作業実行システムが、さらに、前記複数の光源含有機器の少なくとも1つの光源に電力を供給可能な非常用電源を備え、前記制御装置が、停電時に、前記非常用電源から前記複数の光源含有機器の少なくとも1つの光源へ通電するように構成される。
【0006】
また、請求項2に記載の対基板作業実行システムは、請求項1に記載の対基板作業実行システムにおいて、前記複数の光源含有機器が、光源の発光によって作業に関する情報を報知する作業情報報知機器を含み、前記制御装置が、停電時に、前記非常用電源から少なくとも前記作業情報報知機器の光源へ通電するように構成される。
【0007】
また、請求項3に記載の対基板作業実行システムは、請求項2に記載の対基板作業実行システムにおいて、前記作業情報報知機器が、表示画面を有し、その表示画面に作業に関する情報を表示する表示装置であり、前記制御装置が、停電時に、作業実行時の輝度よりも高い輝度で前記表示画面が発光するように、前記非常用電源から前記表示装置の光源へ通電するように構成される。
【0008】
また、請求項4に記載の対基板作業実行システムは、請求項2または請求項3に記載の対基板作業実行システムにおいて、前記作業情報報知機器が、表示画面を有し、その表示画面に作業に関する情報を表示する表示装置であり、前記制御装置が、停電時に、前記非常用電源から前記表示装置の光源へ通電するとともに、前記表示画面にオペレータが停電に対応するための情報を表示するように構成される。
【0009】
また、請求項5に記載の対基板作業実行システムは、請求項2ないし請求項4のいずれか1つに記載の対基板作業実行システムにおいて、前記作業情報報知機器が、表示画面と、その表示画面の角度を変更可能な角度変更機構とを有し、その表示画面に作業に関する情報を表示する表示装置であり、前記制御装置が、停電時に、前記非常用電源から前記表示装置の光源へ通電するとともに、前記角度変更機構によって前記表示画面の角度を変更するように構成される。
【0010】
また、請求項6に記載の対基板作業実行システムは、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の対基板作業実行システムにおいて、前記複数の光源含有機器が、光源の発光によって、当該作業実行システムが載置されるフロアを照らす照明機器を含み、前記制御装置が、停電時に、前記非常用電源から少なくとも前記照明機器の光源へ通電するように構成される。
【0011】
また、請求項7に記載の対基板作業実行システムは、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の対基板作業実行システムにおいて、前記複数の作業実行装置の少なくとも1つが、駆動源として電磁モータを有し、その電磁モータによる逆起電力が、前記非常用電源に充電されるように構成される。
【0012】
また、請求項8に記載の対基板作業実行システムは、請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の対基板作業実行システムにおいて、当該対基板作業実行システムが、振動により発電する振動発電機を備え、その振動発電機によって発電された電力が、前記非常用電源に充電されるように構成される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の対基板作業実行システム(以下、「作業実行システム」と略す場合がある)では、停電発生時において、非常用電源を利用して、システムの備える機器の光源によってシステムの周辺を明るくすることが可能となる。これにより、オペレータは、停電発生時であっても、周囲の状況を確認することが可能となり、自身の安全を確保することが可能となる。
【0014】
また、請求項2に記載の作業実行システムでは、光源の発光によって作業に関する情報を報知する作業情報報知機器が、停電発生時の照明として機能させられている。作業実行システムには、通常、複数の作業情報報知機器、具体的には、作業情報の表示装置,作業状況の表示灯,作業実行装置の装着状態の案内灯等が設けられており、それらシステムに従来から装備されている機器を利用して、停電発生時の明かりを確保している。したがって、請求項2に記載のシステムによれば、停電発生時用の照明等の新たな設備を設けることなく、停電発生時のオペレータの安全を確保することが可能となる。
【0015】
また、請求項3に記載の作業実行システムでは、作業情報報知機器として表示装置が採用されており、停電発生時には、通常時より、輝度を挙げた状態で表示画面が発光させられている。これにより、オペレータは周囲の状況を確認し易くなる。
【0016】
また、請求項4に記載の作業実行システムでは、停電発生時に、表示装置の表示画面にオペレータが停電に対応するための情報が表示される。これにより、オペレータは、種々の情報に基づいて、停電に対応することが可能となる。ちなみに、停電発生時に表示画面に表示される情報は、オペレータの避難に関する情報であったり、システムの停電時における対処情報であったり、オペレータに冷静さを喚起するための情報等種々のものを採用することが可能である。
【0017】
また、請求項5に記載の作業実行システムでは、停電発生時に、表示装置の表示画面が、それの角度を変更させた状態で発光させられている。これにより、停電発生時に特定の方向に向かって光を照らすことが可能となる。具体的にいえば、表示画面が下方を向くようにそれの角度を変更することで、オペレータの足元を照らすことが可能となる。一方、表示画面が上方を向くようにそれの角度を変更することで、システムの周囲を照らすことが可能となる。
【0018】
また、請求項6に記載の作業実行システムでは、停電発生時用の照明機器が設けられており、その照明機器によってフロアが照らされるようになっている。これにより、停電発生時の避難の際に、オペレータが何かのものに躓くことを防止することが可能となり、オペレータの安全を確保することが可能となる。
【0019】
また、請求項7に記載の作業実行システムでは、電磁モータの逆起電力が、非常用電源に充電されている。これにより、省エネルギー化の進んだシステムを構築することが可能となる。
【0020】
また、請求項8に記載の作業実行システムでは、振動発電機をシステムに装備し、その振動発電機によって発電された電力が非常用電源に充電されている。システムを構成する複数の作業実行装置のなかには、システムのベース上を移動する装置が含まれる場合があり、そのような装置に振動発電機を装備すれば、非常に効率よく発電することが可能となる。したがって、請求項8に記載の作業実行システムによれば、さらなる省エネルギー化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例である対基板作業実行システムを示す斜視図である。
【図2】図1に示す対基板作業実行システムを、上部カバーを取り外した状態で示す平面図である。
【図3】図1に示す対基板作業実行システムの備える制御装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0023】
<対基板作業実行システムの構成>
図1および図2に、本発明の実施例の対基板作業実行システム(以下、「作業実行システム」と略す場合がある)10を示す。図1は、作業実行システム10の斜視図であり、図2は、上部カバーを取り除いた状態での作業実行システム10を上方からの視点において示した概略平面図である。作業実行システム10は、回路基板12に対して電子部品の装着作業を行う電子部品実装システムであり、回路基板12を搬送する搬送装置14と、回路基板に対して電子部品を装着する作動ヘッド16と、その作業ヘッド16を移動させる移動装置18と、電子部品を供給する1対の供給装置20,22とを備えている。
【0024】
搬送装置14は、1対のコンベアベルト24を有しており、それら1対のコンベアベルト24を電磁モータ(図3参照)26によって周回させることで、コンベアベルト24に支持される回路基板12を搬送する構造とされている。また、搬送装置14は、基板保持装置32を有しており、所定の位置(図2での回路基板12が図示されている位置)において回路基板12を固定的に保持する構造とされている。なお、本実施例では、搬送装置14による回路基板12の搬送方向(図2における左右方向)をX軸方向とし、その方向に直角な方向をY軸方向と称し、説明を行う。
【0025】
また、作業ヘッド16は、搬送装置14によって保持された回路基板12に対して電子部品を装着するものであり、下面に電子部品を吸着する吸着ノズル34を有する装着ヘッドである。吸着ノズル34は、正負圧供給装置(図3参照)36を介して負圧エア,正圧エア通路に通じており、負圧にて電子部品を吸着保持し、僅かな正圧が供給されることで保持した電子部品を離脱する構造とされている。さらに、作業ヘッド16は、吸着ノズル34を昇降させるノズル昇降装置(図3参照)38および吸着ノズル34をそれの軸心回りに自転させるノズル自転装置(図3参照)40を有しており、保持する電子部品の上下方向の位置および電子部品の保持姿勢を変更することが可能とされている。なお、吸着ノズル34は、作業ヘッド16に着脱可能とされており、電子部品のサイズ,形状等に応じて変更することが可能とされている。
【0026】
その作業ヘッド16は、移動装置18によって、ベース28上の任意の位置に移動可能とされている。詳しく言えば、移動装置18は、作業ヘッド16をX軸方向に移動させるためのX軸方向スライド機構50と、作業ヘッド16をY軸方向に移動させるためのY軸方向スライド機構52とを備えている。X軸方向スライド機構50は、X軸方向に移動可能にベース28上に設けられたX軸スライダ54と、駆動源としての電磁モータ(図3参照)56とを有しており、その電磁モータ56によって、X軸スライダ54がX軸方向の任意の位置に移動可能とされている。また、Y軸方向スライド機構52は、Y軸方向に移動可能にX軸スライダ54の側面に設けられたY軸スライダ58と、駆動源としての電磁モータ(図3参照)60とを有しており、その電磁モータ60によって、Y軸スライダ58がY軸方向の任意の位置に移動可能とされている。そして、そのY軸スライダ58に作業ヘッド16が取り付けられることで、作業ヘッド16は、移動装置18によって、ベース28上の任意の位置に移動可能とされている。なお、作業ヘッド16は、Y軸スライダ58にワンタッチで着脱可能とされており、種類の異なる作業ヘッド、例えば、ディスペンサヘッド等に変更することが可能とされている。
【0027】
また、1対の供給装置20,22は、搬送装置14を挟むようにして、ベース28のY軸方向における両側部に配設されている。それら1対の供給装置20,22の一方は、フィーダ型の供給装置20とされており、他方は、トレイ型の供給装置22とされている。フィーダ型の供給装置20は、テーピング化された電子部品を保持して1つずつ回路部品を送り出すテープフィーダ70を複数有しており、それら複数のテープフィーダ70の各々によって、作業ヘッド16への供給位置に回路部品を供給する構造とされている。一方、トレイ型の供給装置22は、複数の回路部品が載置された部品トレイ72を複数有しており、それら複数の部品トレイ72のうちの任意のものをトレイ移動機構(図3参照)74によって作業ヘッド16への供給位置に移動させる構造とされている。
【0028】
なお、供給装置20のテープフィーダ70は、供給するべき回路部品の不足,回路部品の種類の交換等に対応するべく、ベース28に着脱可能とされており、その着脱の可否を案内するための案内灯76が、図1に示すように、テープフィーダ70の上方に設けられている。その案内灯76は、それに内蔵された光源の発光によりテープフィーダ70を着脱可能であるか否かを案内するためのものであり、テープフィーダ70の着脱可能な状態である場合には、緑色に発光し、着脱できない状態である場合には、赤色に発光するようになっている。
【0029】
また、作業実行システム10は、マークカメラ(図3参照)80およびパーツカメラ(図3参照)82を備えている。マークカメラ80は、下方を向いた状態でY軸スライダ58の下面に固定されており、移動装置18によって移動させられることで、回路基板12の表面を任意の位置において撮像することが可能となっている。一方、パーツカメラ82は、上を向いた状態でベース28上に設けられており、作業ヘッド16の有する吸着ノズル34によって吸着保持された電子部品を撮像することが可能となっている。マークカメラ80によって得られた画像データおよび、パーツカメラ82によって得られた画像データは、画像処理装置(図3参照)84において処理され、回路基板12に関する情報,基板保持装置32による回路基板12の保持位置誤差,吸着ノズル34による電子部品の保持位置誤差等が取得される。
【0030】
また、作業実行システム10には、図1に示すように、Y軸方向における両側面に1対の表示装置86が設けられている。各表示装置86は、それの表示画面87に作業ヘッド16、供給装置20,22等による作業に関する情報を表示するものであり、その表示は表示画面87に内蔵されている光源の発光により行われている。その各表示装置86には、表示画面87の角度を変更する角度変更機構(図3参照)88が設けられており、表示画面87をオペレータの見易い角度に調整することが可能とされている。また、作業実行システム10には、上部カバーの上面にシグナルタワー89が立設されている。シグナルタワー89は、それの光源の発光により作業実行システム10の作動状況を示すものであり、良好に作動している場合には、緑色に発光し、良好に作動していない場合、つまり、何らかの異常が発生している場合には、赤色に発光するようになっている。また、作業実行システム10のX方向における両側面の下方には、1対の非常用照明90(図では一方のみが示されている)が設けられており、後に詳しく説明するように、停電時にフロアを照らすものとされている。
【0031】
さらに、作業実行システム10は、図3に示すように、制御装置91を備えている。制御装置91は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体とするコントローラ92と、上記電磁モータ26,56,60,基板保持装置32,正負圧供給装置36,ノズル昇降装置38,ノズル自転装置40,テープフィーダ70,トレイ移動機構74,角度変更機構88の各々に対応する複数の駆動回路94と、案内灯76,表示画面87,シグナルタワー89,非常用照明90の各々に対応する制御回路96とを備えている。
【0032】
また、コントローラ92には、各駆動回路94を介して搬送装置,移動装置等の各装置14,18等の駆動源が接続されており、搬送装置,移動装置等の各装置14,18等の作動を制御することが可能とされている。また、コントローラ92には、制御回路96を介して表示画面87,シグナルタワー89,非常用照明90等の光源が接続されており、光源の発光により表示画面87に各種情報を表示したり、シグナルタワー89等を点灯させたりすることが可能とされている。さらに、コントローラ92には、マークカメラ80およびパーツカメラ82によって得られた画像データを処理する画像処理装置84が接続されている。
【0033】
また、作業実行システム10には、非常用電源98が設けられており、その非常用電源98は、搬送装置14の電磁モータ26および、移動装置18の電磁モータ56,60の各々の駆動回路94に接続されている。各駆動回路94は、各電磁モータ26,56,60で生じた逆起電力によって発電された電力を非常用電源98に回生可能な構造とされており、逆起電力に依拠した電力が非常用電源98に充電されるようになっている。さらに、図2に示すように、移動装置18のX軸スライダ54の上面には、振動発電機100が設けられており、その振動発電機100も非常用電源98に接続されている。振動発電機100は、公知のものであるため、簡単に説明するが、振動によって電力を発電する構造とされており、その発電された電力も非常用電源98に充電されるようになっている。そして、その非常用電源98は、制御回路96を介して、案内灯76,表示画面87,シグナルタワー89,非常用照明90の光源および、駆動回路94を介して、角度変更機構88に接続されている。
【0034】
<停電発生時における電子部品実装システムの制御>
上記作業実行システム10では、通常時において、搬送装置,移動装置等の各装置14,18等が順次駆動されることで、回路基板12に電子部品が実装されている。そして、その実装作業に関する情報が、表示装置86の表示画面87に表示されるとともに、実装作業が正常な状態で行われているか否かがシグナルタワー89の点灯により示されている。さらに、実装作業において供給するべき回路部品の不足,回路部品の種類の交換等に対応するべく、テープフィーダを着脱するための案内灯76が点灯されている。これら全ての装置、シグナルタワー、案内灯等は、工場電源(図示省略)に接続されており、工場電源から電力が供給されている。
【0035】
一方で、案内灯76、表示装置86,シグナルタワー89は、上述したように、非常用電源98にも接続されており、非常用電源98からも電力供給が可能とされている。また、非常用電源98には、非常用照明90も接続されている。これにより、本システム10では、停電発生時において、案内灯76、表示画面87、シグナルタワー89,非常用照明90が、非常用電源98からの電力供給により、点灯されるようになっている。
【0036】
具体的に説明すれば、案内灯76、表示装置86,シグナルタワー89は、工場電源と非常用電源98とに接続されており、通常時には、工場電源からそれら案内灯76、表示装置86等に電力が供給されるように、コントローラ92によって制御回路96等が制御されている。コントローラ92には、工場電源の電圧を監視することで、停電の発生を検出するための停電検出部110が設けられており、その停電検出部110によって、停電の発生が検出された場合に、停電時制御が停電時制御実行部112によって行われるようになっている。
【0037】
停電時制御では、案内灯76、シグナルタワー89の各々に非常用電源98から電力が供給されるように、コントローラ92によってその各々の制御回路96が制御される。これにより、案内灯76、シグナルタワー89が点灯され、それら案内灯76、シグナルタワー89がシステム10の周囲を照らす照明として機能する。また、非常用照明90に非常用電源98から電力が供給されるように、コントローラ92によって非常用照明90の制御回路96が制御される。これにより、オペレータの足元を明るくすることが可能となる。
【0038】
また、表示装置86の表示画面87に、非常用電源98から電力が供給されるとともに、工場内での避難経路に関する情報が表示されるように、コントローラ92によって表示画面87の制御回路96が制御される。この際、表示画面87の輝度は、通常時、つまり、実装作業時での輝度より高くされている。さらに、表示装置86の角度変更機構88に非常用電源98から電力が供給されるとともに、表示画面87が下方を向くように、コントローラ92によって角度変更機構88の駆動回路94が制御される。このように、表示装置86が制御されることで、表示画面86によってオペレータの足元を照らすとともに、オペレータに避難経路を示すことが可能となる。
【0039】
本システム10では、上述した停電時制御によって、停電発生時のシステム周辺の明かりを確保することで、オペレータは周囲の状況を確認することが可能となり、オペレータの安全性を確保することが可能となる。さらに、表示画面87によって避難経路をオペレータに報知することで、オペレータの更なる安全性を確保することが可能となる。
【0040】
ちなみに、上記実施例において、対基板作業実行システム10は、対基板作業実行システムの一例であり、対基板作業実行システム10を構成する搬送装置14、装着ヘッド16、移動装置18、供給装置20,22は、作業実行装置の一例である。搬送装置14の電磁モータ26および、移動装置18の電磁モータ56,60は、電磁モータの一例である。また、対基板作業実行システム10を構成する案内灯76、表示装置86、シグナルタワー89は、光源含有装置および、作業情報報知機器の一例である。その表示装置86は、表示装置の一例であり、その表示装置86の表示画面87および、角度変更機構88は、表示画面および、角度変更機構の一例である。さらに、非常用照明90、非常用電源98および、振動発電機100は、照明機器、非常用電源および、振動発電機の一例である。
【0041】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、停電時の表示画面87に、避難経路に関する情報が表示されていたが、その他種々の情報を表示することが可能である。例えば、懐中電灯等の設置位置,工場近辺の避難場所等のオペレータの安全を確保するために有益な情報であったり、システムの停電時における対処情報であったり、オペレータに冷静さを喚起するための情報等を表示することが可能である。
【0042】
また、上記実施例では、作業実行システムを構成する作業実行装置として、搬送装置,装着ヘッド,供給装置等の回路基板に電子部品を実装する実装作業を実行するための装置が採用されているが、実装作業が行われる前の回路基板に対する作業を実行するための装置、実装作業が行われた後の回路基板に対する作業を実行するための装置等を採用することが可能である。具体的には、例えば、作業実行装置として、回路基板にクリームはんだを印刷するスクリーン印刷機、回路基板に印刷されたクリームはんだ若しくは回路基板に実装された電子部品を検査する検査機、回路基板に印刷されたクリームはんだを硬化させるリフロー装置等が挙げられる。
【符号の説明】
【0043】
10:対基板作業実行システム 14:搬送装置(作業実行装置) 16:装着ヘッド(作業実行装置) 18:移動装置(作業実行装置) 20:供給装置(作業実行装置) 22:供給装置(作業実行装置) 26:電磁モータ 56:電磁モータ 60:電磁モータ 76:案内灯(光源含有装置)(作業情報報知機器) 86:表示装置(光源含有装置)(作業情報報知機器) 87:表示画面 88:角度変更機構 89:シグナルタワー(光源含有装置)(作業情報報知機器) 90:非常用照明(照明機器) 98:非常用電源 100:振動発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが、駆動源を有し、その駆動源の作動によって回路基板に対する作業を実行する複数の作業実行装置と、
それぞれが、光源を有し、その光源によって発光する機能を有する複数の光源含有機器と、
前記複数の作業実行装置の各々の駆動源、および前記複数の光源含有機器の各々の光源への通電を制御する制御装置と
を備えた対基板作業実行システムにおいて、
当該対基板作業実行システムが、
さらに、前記複数の光源含有機器の少なくとも1つの光源に電力を供給可能な非常用電源を備え、
前記制御装置が、
停電時に、前記非常用電源から前記複数の光源含有機器の少なくとも1つの光源へ通電するように構成された対基板作業実行システム。
【請求項2】
前記複数の光源含有機器が、
光源の発光によって作業に関する情報を報知する作業情報報知機器を含み、
前記制御装置が、
停電時に、前記非常用電源から少なくとも前記作業情報報知機器の光源へ通電するように構成された請求項1に記載の対基板作業実行システム。
【請求項3】
前記作業情報報知機器が、
表示画面を有し、その表示画面に作業に関する情報を表示する表示装置であり、
前記制御装置が、
停電時に、作業実行時の輝度よりも高い輝度で前記表示画面が発光するように、前記非常用電源から前記表示装置の光源へ通電するように構成された請求項2に記載の対基板作業実行システム。
【請求項4】
前記作業情報報知機器が、
表示画面を有し、その表示画面に作業に関する情報を表示する表示装置であり、
前記制御装置が、
停電時に、前記非常用電源から前記表示装置の光源へ通電するとともに、前記表示画面にオペレータが停電に対応するための情報を表示するように構成された請求項2または請求項3に記載の対基板作業実行システム。
【請求項5】
前記作業情報報知機器が、
表示画面と、その表示画面の角度を変更可能な角度変更機構とを有し、その表示画面に作業に関する情報を表示する表示装置であり、
前記制御装置が、
停電時に、前記非常用電源から前記表示装置の光源へ通電するとともに、前記角度変更機構によって前記表示画面の角度を変更するように構成された請求項2ないし請求項4のいずれか1つに記載の対基板作業実行システム。
【請求項6】
前記複数の光源含有機器が、
光源の発光によって、当該作業実行システムが載置されるフロアを照らす照明機器を含み、
前記制御装置が、
停電時に、前記非常用電源から少なくとも前記照明機器の光源へ通電するように構成された請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の対基板作業実行システム。
【請求項7】
前記複数の作業実行装置の少なくとも1つが、駆動源として電磁モータを有し、
その電磁モータによる逆起電力が、前記非常用電源に充電されるように構成された請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の対基板作業実行システム。
【請求項8】
当該対基板作業実行システムが、振動により発電する振動発電機を備え、
その振動発電機によって発電された電力が、前記非常用電源に充電されるように構成された請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の対基板作業実行システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−55107(P2013−55107A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190482(P2011−190482)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】