説明

対応点探索装置

【課題】ステレオカメラを用いて得られた2つの画像についての対応点探索処理において、遠近競合を抑制した対応点探索装置を提供する。
【解決手段】ステレオカメラSCで得られた画像データが入力される画像入力部11と、画像入力部11から出力される画像データに対して、解像度変換を行う解像度変換部12と、解像度変換された画像データに対して対応点探索を行うためのポイント設定を行うポイント設定部13と、ポイント設定された画像データに対して多重解像度処理のための視差を設定するための視差設定部14と、ポイント設定された画像データに対して、ウインドウを設定するウインドウ設定部15と、ウインドウが設定された画像データに対して対応点探索処理を実行する対応点探索処理部16とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の画像の間で対応点を探索する対応点探索技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自走可能な移動体、例えば自動車において、車載カメラを用いて、前方を含めた周辺の画像を撮像し、車載表示装置に表示させる周辺表示装置が開発されている。
【0003】
このような周辺表示装置において、車載カメラとしてステレオカメラを用いて3次元画像を表示させる場合、同一の被写体が異なる視点から撮影されることで得られる2つの画像の間で、相互に画素の対応付けを行う対応点探索処理が行われる。
【0004】
このような対応点探索処理では、一般に2つの画像の間における2次元領域の相関を用いたエリアベースの探索処理が行われる。
【0005】
このエリアベースの探索処理では次のような処理が行われる。一方の画像が基準とされ、該一方の画像に対して基準点を重心位置とするウインドウが設定されるとともに、他方の画像に対して同サイズのウインドウが設定される。そして、2つのウインドウに係る画像領域の間における相関に基づき、基準点に対応する他方の画像の対応点を求めると言った処理が、一方の画像の全画素を順次に基準点としながら実施される。このようなエリアベースの探索処理の一例は特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−187138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなエリアベースの対応点探索処理を上述した周辺表示装置で使用する場合、設定するウインドウの形状によっては対応点探索処理において遠近競合が起きる可能性がある。ここで、遠近競合とは、設定ウインドウ内に遠距離の被写体と近距離の被写体との両方を含んでいる状態のことである。
【0008】
すなわち、対応点探索では、ウインドウの形状は正方形のような等方的な形状に設定されることが多いが、このような等方ウインドウの場合、路面のようにウインドウ内の距離が緩やかに変化するような位置に設定された場合や、路面と路面上の物体の両方を含むような位置に設定された場合は、ウインドウ内に複数の遠近情報を含み、遠近競合が起こりやすいという問題がある。
【0009】
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、ステレオカメラを用いて得られた2つの画像についての対応点探索処理において、遠近競合を抑制した対応点探索装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る対応点探索装置の第1の態様は、ステレオカメラからの第1および第2の画像を受け、2つの画像間で、相互に画素の対応付けを行う対応点探索装置であって、前記第1の画像に対して解像度を低下させた関係にある第1の低解像度画像および、前記第2の画像に対して解像度を低下させた関係にある第2の低解像度画像を階層的に生成する解像度変換部と、前記第1の画像に対して第1の基準点を設定する第1の基準点設定部と、前記第1の低解像度画像に対して、前記第1の基準点に対応する第2の基準点を設定する第2の基準点設定部と、前記第2の低解像度画像を対象として前記第2の基準点に対応する第2の対応点を探索する第1の探索処理、および、前記第1の画像に対して前記第1の探索処理による探索結果を利用して、前記第2の画像を対象として前記第1の基準点に対応する第1の対応点を探索する第2の探索処理を行う対応点探索部と、前記第1および第2の探索処理のためのウインドウを設定するウインドウ設定部と、を備え、前記ウインドウ設定部においては、前記第1および第2の探索処理の少なくとも一方に際して、事前の探索処理による探索結果を利用して前記ウインドウの形状を設定する。
【0011】
本発明に係る対応点探索装置の第2の態様は、前記ウインドウ設定部が、前記探索結果の信頼度を表す値についての閾値判定に基づいて前記ウインドウの形状を設定する。
【0012】
本発明に係る対応点探索装置の第3の態様は、前記ウインドウ設定部が、前記第1の探索処理に際して、前記第1および前記第2の低解像度画像のどの領域においても等方的な形状のウインドウを設定し、前記第2の探索処理に際して、前記第1の探索処理による前記探索結果の前記信頼度を表す値が所定の閾値より高い領域においては、等方的な形状のウインドウを設定し、前記所定の閾値以下の領域においては、遠近方向の長さが短く、該遠近方向に垂直な方向の長さが長い長方形状のウインドウを設定する。
【0013】
本発明に係る対応点探索装置の第4の態様は、前記対応点探索部が、前記第1の探索処理で得られた、前記第2の基準点と前記第2の対応点との視差を基準視差として前記第2の探索処理を行い、前記ウインドウ設定部は、前記第2の探索処理に際してのウインドウの設定において、前記基準視差と、前記第1の対応点より前に対応付けられた前記第2の画像上の画素の視差との比較結果に基づいて前記ウインドウの形状を設定する。
【0014】
本発明に係る対応点探索装置の第5の態様は、前記ウインドウ設定部が、前記画素の前記視差と前記基準視差とが等しい領域においては、等方的な形状のウインドウを設定し、前記画素の前記視差と前記基準視差とに違いがある場合には、遠近方向の長さが短く、該遠近方向に垂直な方向の長さが長い長方形状のウインドウを設定する。
【0015】
本発明に係る対応点探索装置の第6の態様は、前記ウインドウ設定部が、前記第1の探索処理に際して、前記第1および前記第2の低解像度画像のどの領域においても前記ステレオカメラの撮像レンズの縦横の倍率比と同じ縦横比の第1のウインドウを設定し、前記第2の探索処理に際して、前記第1の探索処理による前記探索結果の前記信頼度を表す値が所定の閾値より高い領域においては、等方的な形状の第2のウインドウを設定し、前記所定の閾値以下の領域においては、遠近方向の長さが短く、該遠近方向に垂直な方向の長さが長い長方形状の第3のウインドウを設定する。
【0016】
本発明に係る対応点探索装置の第7の態様は、前記撮像レンズは変倍レンズで構成され、前記ウインドウ設定部は、前記第1のウインドウを物体面に適用した場合に、物体面での縦横比が等方となるように前記第1のウインドウの縦横比を設定する。
【0017】
本発明に係る対応点探索装置の第8の態様は、前記変倍レンズとしてアナモフィックレンズを用いる。
【0018】
本発明に係る対応点探索装置の第9の態様は、前記ウインドウ設定部が、前記第1のウインドウの縦横比を決める前記変倍レンズの縦横の倍率比の情報をテーブル情報として有する。
【0019】
本発明に係る対応点探索装置の第10の態様は、前記第1および第2の探索処理に、位相限定相関法を使用し、前記探索結果の信頼度を表す前記値は、POC値のピークの値を用いる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る対応点探索装置の第1の態様によれば、第1および第2の探索処理の少なくとも一方に際して、事前の探索処理による探索結果を利用してウインドウの形状を設定するので、例えば、自動車の周辺表示装置に適用した場合、路面と、路面上の物体などのように、対象物に応じて遠近競合が起こりにくい形状にウインドウを設定することができ、遠近競合を抑制することができる。
【0021】
本発明に係る対応点探索装置の第2の態様によれば、探索結果の信頼度を表す値についての閾値判定に基づいてウインドウの形状を設定するので、ウインドウの設定に信頼性を有することとなる。
【0022】
本発明に係る対応点探索装置の第3の態様によれば、例えば、自動車の周辺表示装置に適用した場合、路面上の物体については等方的な形状のウインドウを設定し、遠近競合の起きやすい路面については遠近方向の長さが短い長方形状のウインドウを設定することで、遠近競合を抑制することができる。
【0023】
本発明に係る対応点探索装置の第4の態様によれば、例えば、基準視差と第1の対応点より前に対応付けられた第2の画像上の画素の視差との比較結果が一致するのであれば、正確に対応点探索が行われており、遠近競合が起きていないと判断できるので、ウインドウの設定に信頼性を有することとなる。
【0024】
本発明に係る対応点探索装置の第5の態様によれば、例えば、自動車の周辺表示装置に適用した場合、路面上の物体については等方的な形状のウインドウを設定し、遠近競合の起きやすい路面については遠近方向の長さが短い長方形状のウインドウを設定することで、遠近競合を抑制することができる。
【0025】
本発明に係る対応点探索装置の第6の態様によれば、例えば、ステレオカメラの撮像レンズの縦横の倍率比が異なるような場合でも、遠近競合を抑制することができる。
【0026】
本発明に係る対応点探索装置の第7の態様によれば、撮像レンズが変倍レンズで構成される場合に遠近競合を抑制することができる。
【0027】
本発明に係る対応点探索装置の第8の態様によれば、撮像レンズがアナモフィックレンズで構成される場合に遠近競合を抑制することができる。
【0028】
本発明に係る対応点探索装置の第9の態様によれば、変倍レンズの種類が決まれば、自動的に、ウインドウの縦横比を決定することができる。
【0029】
本発明に係る対応点探索装置の第10の態様によれば、第1および第2の探索処理に位相限定相関法を用いるので、画像の振幅成分を除去し画像の位相成分のみで相関演算が行われるため、輝度変動やノイズの影響を抑制して対応点を精度良く探索できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ステレオカメラが前方を撮像する状態を模式的に示す図である。
【図2】ステレオカメラを構成する2つのカメラのうち、一方で得られた画像を示す図である。
【図3】Y方向が長辺となった長方形のウインドウを設定した場合に得られる、遠近競合が起こりにくい領域を模式的に表す図である。
【図4】Y方向が長辺となった長方形のウインドウのサイズを示す図である。
【図5】X方向が長辺となった長方形のウインドウを設定した場合に得られる、遠近競合が起こりにくい領域を模式的に表す図である。
【図6】X方向が長辺となった長方形のウインドウのサイズを示す図である。
【図7】正方形のウインドウを設定した場合に得られる、遠近競合が起こりにくい領域を模式的に表す図である。
【図8】正方形のウインドウのサイズを示す図である。
【図9】路面に正方形のウインドウを設定した場合を模式的に示す図である。
【図10】路面にX方向が長辺となった長方形のウインドウを設定した場合を模式的に示す図である。
【図11】本発明に係る対応点探索装置の構成を示すブロック図である。
【図12】撮像画像を例示する模式図である。
【図13】縮小された低解像度の画像を例示する模式図である。
【図14】縮小された低解像度の画像を例示する模式図である。
【図15】縮小された低解像度の画像を例示する模式図である。
【図16】対応点探索を説明する模式図である。
【図17】最下層画像に設定した基準点を示す図である。
【図18】最下層画像に設定したウインドウを示す図である。
【図19】縮小された参照画像に設定した処理対象点を示す図である。
【図20】縮小された参照画像に設定した処理対象点を示す図である。
【図21】参照画像に設定した処理対象点を示す図である。
【図22】多重解像度処理の概念図である。
【図23】位相限定相関法を用いた対応点探索処理を説明するための図である。
【図24】位相限定相関法を用いた処理結果を示す図である。
【図25】本発明に係る対応点探索装置の動作を示すフローチャートである。
【図26】ウインドウ設定の具体例を説明する図である。
【図27】ウインドウ設定の具体例を説明する図である。
【図28】アナモフィックレンズの特性を模式的に示す図である。
【図29】撮影対象となる物体面を表す図である。
【図30】アナモフィックレンズを介して撮影された画像面を表す図である。
【図31】物体面に対して等方的なウインドウを設定した図である。
【図32】アナモフィックレンズを介して撮影された画像面に発明に係るウインドウを設定した図である。
【図33】アナモフィックレンズを介して撮影された画像面に等方的なウインドウを設定した図である。
【図34】物体面に対して非等方的なウインドウを設定した図である。
【図35】変倍レンズを用いて撮像した画像に対するウインドウ設定の具体例を説明する図である。
【図36】変倍レンズを用いて撮像した画像に対するウインドウ設定の具体例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<序>
実施の形態の説明に先立って、ウインドウ形状による遠近競合の状態の違いと、発明の概要について説明する。
【0032】
図1は、車両MVの進行方向(Z方向)の前方を撮像するステレオカメラSCが、前方を撮像する状態を模式的に示しており、車両MVの前方の路面RS上に物体OBが存在している状況を模式的に示している。なお、図1においてX方向が路面RSを横断する方向であり、路面RSに対して垂直な方向がY方向である。
【0033】
図2は、ステレオカメラSCを構成する2つのカメラのうち、一方で得られた画像を示す図である。このような画像を取得した場合、形状の異なる3種類のウインドウによってそれぞれ得られる遠近競合が起こりにくい領域を図3〜図8を用いて模式的に表す。
【0034】
図3は、Y方向が長辺となった長方形のウインドウWD1を設定した場合に得られる、遠近競合が起こりにくい領域を模式的に表す図であり、図2に示す物体OBが占める矩形領域を物体領域OBR1として示し、物体領域OBR1の周辺を周辺領域PR2として示し、物体領域OBR1の周辺のうち、物体領域OBR1の近傍領域であって、遠近競合が起きる可能性のある領域を周辺競合領域PR1として示し、物体領域OBR1内の遠近競合が起こりにくい領域を非競合物体領域OBR2として示している。なお、図3には、物体領域OBR1のサイズも示しており、物体領域OBR1はX方向に沿った長辺の長さがm、Y方向に沿った短辺の長さがnとなっている。
【0035】
また、図4にはウインドウWD1のサイズを示しており、ウインドウWD1はY方向に沿った長辺の長さが2a、X方向に沿った短辺の長さが2bとなっている。
【0036】
図5は、X方向が長辺となった長方形のウインドウWD2を設定した場合に得られる、遠近競合が起こりにくい領域を模式的に表す図であり、図5に示す物体OBが占める矩形領域を物体領域OBR1として示し、物体領域OBR1の周辺を周辺領域PR2として示し、物体領域OBR1の周辺のうち、物体領域OBR1の近傍領域であって、遠近競合が起きる可能性のある領域を周辺競合領域PR1として示し、物体領域OBR1内の遠近競合が起こりにくい領域を非競合物体領域OBR2として示している。なお、図5には、物体領域OBR1のサイズも示しており、物体領域OBR1は、X方向に沿った長辺の長さがm、Y方向に沿った短辺の長さがnとなっている。
【0037】
また、図6にはウインドウWD2のサイズを示しており、ウインドウWD2はX方向に沿った長辺の長さが2a、Y方向に沿った短辺の長さが2bとなっている。
【0038】
図7は、正方形のウインドウWD3を設定した場合に得られる、遠近競合が起こりにくい領域を模式的に表す図であり、図7に示す物体OBが占める矩形領域を物体領域OBR1として示し、物体領域OBR1の周辺を周辺領域PR2として示し、物体領域OBR1の周辺のうち、物体領域OBR1の近傍領域であって、遠近競合が起きる可能性のある領域を周辺競合領域PR1として示し、物体領域OBR1内の遠近競合が起こりにくい領域を非競合物体領域OBR2として示している。なお、図7には、物体領域OBR1のサイズも示しており、物体領域OBR1は、X方向に沿った長辺の長さがm、Y方向に沿った短辺の長さがnとなっている。
【0039】
また、図8にはウインドウWD3のサイズを示しており、ウインドウWD3は一辺の長さが2cとなっている。
【0040】
図3、図5および図7の比較により、非競合物体領域OBR2が最も広いのは、図7の正方形のウインドウWD3を設定した場合であることが判る。
【0041】
ここで、図3、図5および図7のそれぞれの非競合物体領域OBR2の面積は、以下の数式(1)〜(6)を用いて算出することができる。
【0042】
すなわち、非競合物体領域OBR2は、設定したウインドウの領域に物体領域と周辺領域とを同時に含まない領域で定義することができ、これに従えば、ウインドウWD1を設定した図3の場合の非競合物体領域OBR2の面積S1は下記の数式(1)で表される。
【0043】
【数1】

【0044】
同様に、ウインドウWD2を設定した図5の場合の非競合物体領域OBR2の面積S2は下記の数式(2)で表される。
【0045】
【数2】

【0046】
また、ウインドウWD3を設定した図7の場合の非競合物体領域OBR2の面積S3は下記の数式(3)で表される。
【0047】
【数3】

【0048】
なお、ウインドウWD1〜WD3の面積は何れも等しいものとし、4ab=4c2であるものとする。
【0049】
ここで、各サイズに数値を入れ、m=200、n=150、2a=32、2b=8、2c=16とする。なお、各数値は、画素数であり上述した面積S1〜S3も、正確には画素数を指しているが、便宜的に面積としている。
【0050】
上記各サイズを、数式(1)〜(3)に代入すると、面積S1〜S3は、それぞれ下記の数式(4)〜(6)で表され、正方形のウインドウWD3を設定した場合の非競合物体領域OBR2が最も広いことが判る。
【0051】
【数4】

【0052】
【数5】

【0053】
【数6】

【0054】
しかし、ウインドウWD3のような等方ウインドウの場合、先に説明したように、路面のようにウインドウ内の距離が緩やかに変化するような位置に設定された場合や、路面と路面上の物体の両方を含むような位置に設定された場合は、ウインドウ内に複数の遠近情報を含み、遠近競合が起こりやすい。
【0055】
図9の(a)部には、路面RSにウインドウWD3を設定した場合を模式的に示しており、視差値の大きな手前側と、視差値の小さな奥側とで距離情報が異なり、遠近競合が起こりやすいことが判る。
【0056】
また、図9の(b)部には、路面RSと路面上の物体OBの両方を含むようにウインドウWD3を設定した場合を模式的に示しており、複数の遠近情報が混在して遠近競合が起こりやすいことを示している。
【0057】
一方、図10の(a)部には、路面RSを横断する方向(X方向)に長いウインドウWD2を設定した場合を模式的に示しており、ウインドウ内での視差の変化が小さく、距離情報が混在せず、遠近競合が起こりにくいことが判る。
【0058】
また、図10の(b)部には、路面RSと路面上の物体OBとで、設定するウインドウの形状を変更した場合を模式的に示しており、物体OB近傍の路面RSには、路面RSを横断する方向(X方向)に長いウインドウWD2を設定し、物体OB上には等方ウインドウであるウインドウWD3を設定している。
【0059】
物体OB近傍の路面RSに設定したウインドウWD2内では、視差の変化が小さく、遠近競合が起こりにくく、また物体OB上に設定した等方ウインドウでは、視差の変化が小さく、ほぼ同じ距離情報となるので遠近競合が起こりにくく、また、先に説明したように、非競合物体領域も広くできる。
【0060】
従って、路面と、路面上の物体などのように、対象物に応じて遠近競合が起こりにくい形状にウインドウを設定することで、遠近競合を抑制するというのが、本願発明の概要である。
【0061】
<実施の形態>
<装置構成>
図11は、本発明に係る対応点探索装置10の構成を示すブロック図である。図11に示すように対応点探索装置10は、基準画像を撮影するカメラ1aと、参照画像を撮影するカメラ1bとで構成されるステレオカメラSCで得られた画像データが入力される画像入力部11と、画像入力部11から出力される画像データに対して、解像度変換を行って多重解像度処理のための多重解像度画像を生成する解像度変換部12と、解像度変換された全ての層の画像データについての対応点探索が終了したか否かを判定する残層判定部21と、基準画像の全画素についての対応点探索が終了したか否かを判定する残画素判定部22と、解像度変換された画像データに対して対応点探索を行うためのポイント設定を行うポイント設定部13と、ポイント設定された画像データに対して多重解像度処理のための視差を設定するための視差設定部14と、ポイント設定された画像データに対して、ウインドウを設定するウインドウ設定部15と、ウインドウが設定された画像データに対して対応点探索処理を実行する対応点探索処理部16とを備えている。
【0062】
カメラ1aで撮影された基準画像の画像データ(基準画像データ)は、画像入力部11内の基準画像入力部11aに画素単位で与えられ、カメラ1bで撮影された参照画像の画像データ(参照画像データ)は、画像入力部11内の参照画像入力部11bに画素単位で与えられる。
【0063】
解像度変換部12の基準画像解像度変換部12aにおいては、基準画像をベースとして、該基準画像に対して解像度を段階的に低下させた関係にある画像(低解像度基準画像)を生成し、参照画像解像度変換部12bにおいては、参照画像をベースとして、該参照画像に対して解像度を段階的に低下させた関係にある画像(低解像度参照画像)を生成する。
【0064】
解像度変換部12の基準画像解像度変換部12aおよび参照画像解像度変換部12bのそれぞれからは、解像度変換された基準画像データおよび参照画像データが、ポイント設定部13の基準点設定部13aおよび比較点設定部13bに与えられる。基準点設定部13aでは、対応点探索を行うための基準点が設定され、比較点設定部13bでは基準点に対応する比較点が設定される。
【0065】
視差設定部14の基準画像視差設定部14aおよび参照画像視差設定部14bでは、対応点の探索の基準となる所定の視差(ここでは初期視差)を含むように、基準画像においては基準点を仮に設定し、参照画像においては比較点を仮に設定する。所定の初期視差としては、例えば、ゼロ等が設定される。
【0066】
ウインドウ設定部15の基準点ウインドウ設定部15aおよび比較点ウインドウ設定部15bでは、それぞれ、基準点および比較点を中心として包含するウインドウを設定する。
【0067】
ウインドウが設定された画像データは、対応点探索処理部16に与えられて、対応点探索処理が実行される。なお、対応点探索処理については後に説明する。
【0068】
対応点探索処理が終了した後は、算出された対応点に対して、平行化、歪補正、3次元再構成等の処理を行うことで3次元情報を取得し、当該3次元情報に基づいて3次元画像データを算出する。なお、これらの処理を行う構成については従来的なものであれば良く、本願発明との関係が薄いので、図示および説明は省略する。
【0069】
次に、各構成について以下にさらに説明する。
【0070】
<画像入力部>
画像入力部11は、ステレオカメラSCによって撮像された同一の被写体を同じタイミングでとらえた第1撮像画像G1および第2撮像画像G2を取得する。
【0071】
図12は、第1および第2撮像画像G1およびG2の形態をそれぞれ例示する模式図である。第1および第2撮像画像G1およびG2では、多数の画素がマトリックス状に配列される。具合的には、縦方向(Y方向)に第1所定数(ここでは、480個)の画素が配列されるとともに、横方向(X方向)に第2所定数(ここでは、640個)の画素が配列される。
【0072】
なお、第1および第2撮像画像G1およびG2では、左上の位置が原点とされ、第1および第2撮像画像G1およびG2を構成する各画素の横方向における位置がX座標で示され、縦方向における位置がY座標で示される。つまり、第1および第2撮像画像G1およびG2では、各画素の位置がXYの座標(x,y)で示され、例えば、右方向(X方向)に1画素ずれるとX座標の値が1つ増加し、下方向(Y方向)に1画素ずれるとY座標の値が1つ増加する。
【0073】
また、対応点探索動作では、第1撮像画像G1が基準となる画像(基準画像)となり、第2撮像画像G2が参照される画像(参照画像)となる。以下では、第1撮像画像G1を基準画像G1と称し、第2撮像画像G2を参照画像G2と称し、それぞれ、基準画像入力部11aおよび参照画像入力部11bによって取得される。なお、画像取得部11では、厳密には、基準画像G1および参照画像G2を示すデータが取得されるが、本明細書では、基準画像G1を示すデータおよび基準画像G1そのものを基準画像G1と総称し、参照画像G2を示すデータおよび参照画像G2そのものを参照画像G2と総称する。
【0074】
<解像度変換部>
解像度変換部12は、基準画像G1をベースとして、該基準画像G1に対して解像度を段階的に低下させた関係にある画像(低解像度基準画像)を基準画像解像度変換部12aで生成するとともに、参照画像G2をベースとして、該参照画像G2に対して解像度を段階的に低下させた関係にある画像(低解像度参照画像)を参照画像解像度変換部12bで生成する。
【0075】
より詳細には、基準画像解像度変換部12aでは、基準画像G1を構成する複数の縦方向の画素の列(垂直ライン)および複数の横方向の画素の行(水平ライン)のうち、1列おきの垂直ラインおよび1行おきの水平ラインがそれぞれ間引かれることで、縮小された低解像度の基準画像(第1縮小基準画像)G11(図13)が生成される。なお、第1縮小基準画像G11は、縦方向に320個および横方向に240個の画素がマトリックス状に配列されている。
【0076】
そして、基準画像解像度変換部12aでは、第1縮小基準画像G11のうち、1列おきの垂直ラインおよび1行おきの水平ラインがそれぞれ間引かれることで、更に縮小された低解像度の基準画像(第2縮小基準画像)G12(図14)が生成される。なお、第2縮小基準画像G12は、縦方向に160個および横方向に120個の画素がマトリックス状に配列されている。
【0077】
さらに、基準画像解像度変換部12aでは、第2縮小基準画像G12のうち、1列おきの垂直ラインおよび1行おきの水平ラインがそれぞれ間引かれることで、更に縮小された低解像度の基準画像(第3縮小基準画像)G13(図15)が生成される。なお、第3縮小基準画像G13は、縦方向に80個および横方向に60個の画素がマトリックス状に配列されている。
【0078】
また、参照画像解像度変換部12bでは、参照画像G2を構成する複数の垂直ラインおよび複数の水平ラインのうち、1列おきの垂直ラインおよび1行おきの水平ラインがそれぞれ間引かれることで、縮小された低解像度の参照画像(第1縮小参照画像)G21(図13)が生成される。なお、第1縮小参照画像G21は、縦方向に320個および横方向に240個の画素がマトリックス状に配列されている。
【0079】
そして、参照画像解像度変換部12bでは、第1縮小参照画像G21のうち、1列おきの垂直ラインおよび1行おきの水平ラインがそれぞれ間引かれることで、更に縮小された低解像度の参照画像(第2縮小参照画像)G22(図14)が生成される。なお、第2縮小参照画像G22は、縦方向に160個および横方向に120個の画素がマトリックス状に配列されている。
【0080】
さらに、参照画像解像度変換部12bでは、第2縮小参照画像G22のうち、1列おきの垂直画素ラインおよび1行おきの水平ラインがそれぞれ間引かれることで、更に縮小された低解像度の参照画像(第3縮小参照画像)G23(図15)が生成される。なお、第3縮小参照画像G23では、縦方向に80個および横方向に60個の画素がマトリックス状に配列されている。
【0081】
このように、解像度変換部12によって、基準画像G1と参照画像G2の組が基準とされ、1段階解像度が低減された第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21との組が1層目の高解像度の画像の組として生成される。また、2段階解像度が低減された第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22との組が、2層目の低解像度の画像の組として形成される。更に、3段階解像度が低減された第3縮小基準画像G13と第3縮小参照画像G23との組が、3層目(最下層)の低解像度の画像の組として形成される。
【0082】
<ポイント設定部>
ポイント設定部13の、基準点設定部13aは、基準画像G1に対して、図16に示すように対応点探索の基準となる点(基準点)Sp1を設定する。
【0083】
具体的には、まず、基準画像G1のうちの左上の画素が基準点Sp1として設定される。そして、基準点Sp1に対しての対応点探索により参照画像G2から対応点が検出される度に、新たな基準点Sp1が設定される。より詳細には、基準画像G1に対して、図16の矢印で示されるように、基準点Sp1が、上方向(+Y方向)から順に、左から右方向(X方向)に沿って所定画素(ここでは、1画素)ずつずらされながら(スキャンされながら)時間順次に設定され、各基準点Sp1に対応する対応点を、参照画像G2上で検出する。
【0084】
換言すれば、基準画像G1については、−Y方向から+Y方向に向けて並んだX方向に平行な各水平ラインに沿って、基準点Sp1が時間順次に設定される。そして、X方向に平行な1つの水平ラインに沿った基準点Sp1の設定が完了すると、1画素分+Y方向に位置するX方向に平行な次の水平ラインに沿って基準点Sp1が時間順次に設定される。
【0085】
また、ポイント設定部13の、比較点設定部13bは、基準点設定部13aで基準点Sp1を設定する動作と平行して、基準点設定部13aと同様のスキャン動作により、参照画像G2におけるウインドウ設定のための中心点(比較点)を設定する。
【0086】
<視差設定部>
視差設定部14の基準画像視差設定部14aでは、図17で示されるように、基準点設定部13aによって設定された基準点Sp1に対応する点(基準点)Sp13を最下層画像である第3縮小基準画像G13に対して設定し、参照画像視差設定部14bでは、最下層画像である第3縮小参照画像G23に対して、演算処理の対象となる点(処理対象点)Pp23を設定する。ここでは、第3縮小基準画像G13における基準点Sp13の位置と、第3縮小参照画像G23における処理対象点Pp23の位置との間におけるX座標のずれ量が、予め定めた初期視差に相当する。
【0087】
<ウインドウ設定部>
ウインドウ設定部15の基準点ウインドウ設定部15aでは、図18で示されるように、第3縮小基準画像G13に対して基準点Sp13を中心として包含するウインドウ(基準領域)W13を設定し、比較点ウインドウ設定部15bでは、図18で示されるように、第3縮小参照画像G23に対して処理対象点Pp23を中心として包含するウインドウ(比較領域)W23を設定する。なお、基準領域W13および比較領域W23は、同一サイズの領域である。
【0088】
<対応点探索処理部>
対応点探索処理部16は、第3縮小参照画像G23を対象として基準点Sp13に対応する対応点を探索する。この下層対応点探索処理部367では、後述する位相限定相関法(POC法)を用いて得られる基準領域W13と比較領域W23との相関に基づいて、対応点の探索が行われる。
【0089】
このように、多重解像度処理においては、まず、視差設定部14、ウインドウ設定部15、および対応点探索処理部16によって、第3縮小基準画像G13に対して基準点Sp13が設定されるとともに、第3縮小参照画像G23を対象として基準点Sp13に対応する対応点を探索する処理が行われる。
【0090】
そして、対応点探索処理部16による探索結果を示す情報は、適宜、次層である第2縮小基準画像G12および第2縮小参照画像G22を用いての対応点探索のためにフィードバックされる。
【0091】
すなわち、対応点探索処理部16による第3縮小基準画像G13および第3縮小参照画像G23に対する探索結果に応じて得られる基準視差に基づいて、第2縮小参照画像G22における演算処理の対象となる点(処理対象点)が設定される。
【0092】
より詳細には、対応点探索処理部16で得られた基準視差は視差設定部14に与えられ、視差設定部14では、図19で示されるように、第2縮小参照画像G22に対して、処理対象点Pp22を設定する。このとき、第2縮小基準画像G12における基準点(図示せず)の位置と、第2縮小参照画像G22における処理対象点Pp22の位置との間におけるX座標のずれ量が、基準視差に相当する。なお、図19では、比較点ウインドウ設定部15bで設定されるウインドウ(比較領域)W22も併せて示している。
【0093】
また、第2縮小基準画像G12および第2縮小参照画像G22を用いての対応点探索の後は、対応点探索処理部16による探索結果を示す情報は、次層である第1縮小基準画像G11および第1縮小参照画像G21を用いての対応点探索のためにフィードバックされる。
【0094】
すなわち、対応点探索処理部16による第2縮小基準画像G12および第2縮小参照画像G22に対する探索結果に応じて得られる基準視差に基づいて、第1縮小参照画像G21における処理対象点が設定される。
【0095】
より詳細には、対応点探索処理部16で得られた基準視差は視差設定部14に与えられ、視差設定部14では、図20で示されるように、第1縮小参照画像G21に対して、処理対象点Pp21を設定する。このとき、第1縮小基準画像G11における基準点(図示せず)の位置と、第1縮小参照画像G21における処理対象点Pp21の位置との間におけるX座標のずれ量が、基準視差に相当する。なお、図20では、比較点ウインドウ設定部15bで設定されるウインドウ(比較領域)W21も併せて示している。
【0096】
さらに、第1縮小基準画像G11および第1縮小参照画像G21を用いての対応点探索の後は、対応点探索処理部16による探索結果を示す情報は、最上層である基準画像G1および参照画像G2を用いての対応点探索のためにフィードバックされる。
【0097】
すなわち、対応点探索処理部16による第1縮小基準画像G11および第2縮小参照画像G21に対する探索結果に応じて得られる基準視差に基づいて、第1縮小参照画像G2における処理対象点が設定される。
【0098】
より詳細には、対応点探索処理部16で得られた基準視差は視差設定部14に与えられ、視差設定部14では、図21で示されるように、参照画像G2に対して、処理対象点Pp2を設定する。このとき、基準画像G1における基準点(図示せず)の位置と、参照画像G2における処理対象点Pp2の位置との間におけるX座標のずれ量が、基準視差に相当する。なお、図21では、比較点ウインドウ設定部15bで設定されるウインドウ(比較領域)W2も併せて示している。
【0099】
なお、上述したように、対応点探索処理部16では、POC法により対応点の探索が行われ、得られた対応点と基準点との視差に関する情報を視差設定部14に与えるとともに、POC値のピークの情報をウインドウ設定部15に与える構成となっている。これについては、後に説明する。
【0100】
また、対応点探索処理が終了した後は、算出された対応点に対して、平行化、歪補正、3次元再構成等の処理を行うことで3次元情報を取得し、当該3次元情報に基づいて3次元画像データを算出する。なお、これらの処理を行う構成については従来的ものであれば良く、本願発明との関係が薄いので、図示および説明は省略する。
【0101】
図22には、以上説明した多重解像度処理の概念図を示す。図22において、第1縮小基準画像G11、第2縮小基準画像G12および第3縮小基準画像G13が階層的に示されており、低解像度側から高解像度側に向けて対応点探索処理部16による探索結果、すなわち「解」の情報が与えられることが示されている。
【0102】
<残層判定部>
残層判定部21は、探索処理の対象とすべき画像の組(層)の全てに対して処理が終わったか否かを判定し、処理が終わっていない画像の組が存在していれば、その旨を示す信号が、解像度変換された基準画像データおよび参照画像データとともにとともに残画素判定部22に与えられる。一方、探索処理の対象とすべき画像の組が存在しない場合には、対応点探索の結果を出力する。
【0103】
<残画素判定部>
残画素判定部22は、基準点設定部13aによって基準画像G1の全画素が基準点Sp1として設定されたか否かを判定する。ここでは、基準画像G1の全画素が基準点Sp1として設定されていなければ、その旨を示す信号が、解像度変換された基準画像データおよび参照画像データとともにポイント設定部13に与えられる。一方、基準画像G1の全画素が基準点Sp1として既に設定されていれば、基準画像G1と参照画像G2との間における対応点探索動作を終了する。
【0104】
<対応点探索処理>
次に、図23および図24を用いて、対応点探索処理部16での対応点探索処理について説明する。対応点探索処理部16では、対応点探索処理に位相限定相関法(POC:Phase Only Correlation)を用いる。
【0105】
図23は、位相限定相関法を用いた対応点探索処理を説明するための図である。位相限定相関法を用いた対応点探索処理では、まず基準画像上のウインドウ内の画像と、参照画像上のウインドウ内の画像とが抽出される。これらの画像については、次の数式のように表されるものとする。
【0106】
【数7】

【0107】
ここで、上記の数式におけるf(n1,n2)およびg(n1,n2)は、基準画像上のウインドウ内の画像および参照画像上のウインドウ内の画像を示している。また、N1およびN2は、例えばN1=2M1+1、N2=2M2+1と設定されている。
【0108】
次に、基準画像および参照画像のウインドウ内の各画像に対し、次の数式に示す演算式を用いた2次元のフーリエ変換処理T1a、T1bを行う。
【0109】
【数8】

【0110】
なお、上記の数式のただし書におけるWの添字Pには、N1、N2が代入され、またkの添字sには、1、2が代入される。
【0111】
このようなフーリエ変換処理T1a、T1bが施された各画像に対しては、次の数式に示す演算式を用いて、画像の振幅成分を除去するための規格化処理T2a、T2bが行われる。
【0112】
【数9】

【0113】
規格化処理T2a、T2bが完了すると、次の数式に示す演算式を用いた合成処理T3が行われる。
【0114】
【数10】

【0115】
合成処理T3とともに、次の数式に示す演算式を用いた2次元の逆フーリエ変換処理T4が行われる。これにより、各画像間の相関演算が実施されることとなり、その結果(POC値)が出力される。
【0116】
【数11】

【0117】
以上の位相限定相関法を用いた処理により、例えば図24に示すような結果が得られる。この図24においては、ウインドウ(N1×N2)内で相関が高い箇所のPOC値が大きくなっており、POC値のピークJcに対応する参照画像上のウインドウ内の位置が、基準画像上のウインドウの中心点(指定点)に対応した参照画像上の対応点に相当することとなる。
【0118】
以上のような位相限定相関法を用いた対応点探索処理によれば、画像の振幅成分を除去し画像の位相成分のみで相関演算が行われるため、輝度変動やノイズの影響を抑制して参照画像上の対応点を精度良く探索できる。
【0119】
なお、本願では、先に説明したように、ウインドウの設定に特徴を有しており、このウインドウの設定に際しては、POC値のピークJcを用いてウインドウの設定変更を行う。すなわち、POC値のピークJc(規格化されたもの)が1および1に近い値であれば信頼度の高い数値であり、物体領域であると判断され、路面であればピークJcが1より小さくなり、また、遠近競合が起こって信頼度が低下していればピークJcがさらに小さくなるので、遠近競合部と判断される。このように、物体領域、路面、遠近競合部で適宜、閾値を設定することで、物体領域、路面および遠近競合部の何れであるかを判定することができ、それぞれに合わせたウインドウの設定が可能となる。なお、ウインドウの設定の例については後に説明する。
【0120】
<対応点探索動作>
次に、図25に示すフローチャートを用いて、図11を参照しつつ本実施形態に係る対応点探索動作について説明する。
【0121】
ステレオカメラSCにより基準画像および参照画像が撮像され対応点探索処理が開始されると、画像入力部11の基準画像入力部11aおよび参照画像入力部11bが、それぞれ基準画像および参照画像を取得する(ステップS1)。
【0122】
次に、解像度変換部12によって、基準画像G1(図12)をベースとして、該基準画像G1から解像度が段階的に低減された関係にある第1〜3層目の第1〜3縮小基準画像G11〜G13(図13〜図15)がそれぞれ生成されるとともに、参照画像G2(図12)をベースとして、該参照画像G2から解像度が段階的に低減された関係にある第1〜3層目の第1〜3縮小参照画像G21〜23(図13〜図15)がそれぞれ生成される(ステップS2)。
【0123】
次に、残層判定部21において、探索処理の対象とすべき画像の組(層)全てに対して処理が終わったか否かを判定し(ステップS3)、処理が終わっていない画像の組が存在していれば、その旨を示す信号が、解像度変換された基準画像データおよび参照画像データとともに残画素判定部22に与えられる。一方、探索処理の対象とすべき画像の組が存在しない場合には、対応点探索の結果を出力する(ステップS9)。
【0124】
ここで、多重解像度処理では、最下層側から最上層に向けて探索処理が実行され、本実施の形態では、第3縮小基準画像G13および第3縮小参照画像G23が最初に探索処理の対象となる画像の組として指定され、次いで、第2縮小基準画像G12および第2縮小参照画像G22、第1縮小基準画像G11および第1縮小参照画像G21の順で指定され、最後に基準画像G1および参照画像G2が探索処理の対象となる。従って、残層判定部22では、最上層の基準画像G1および参照画像G2の処理が終わっていれば、探索処理の対象とすべき画像の組は存在しないという判定を行う。なお、以下の説明では、第3縮小基準画像G13および第3縮小参照画像G23に対する探索処理を実行する場合を中心に説明する。
【0125】
残画素判定部22では、処理すべき画素が基準画像G1に残っているか否か、すなわち基準点設定部13aによって基準画像G1の全画素が基準点Sp1(図16)として設定されたか否かを判定し(ステップS4)、処理すべき画素が残っていればその旨を示す信号が、解像度変換された基準画像データおよび参照画像データとともにポイント設定部13に与えられる。一方、処理すべき画素が残っていない場合には、対応点探索動作を終了する。
【0126】
次に、ポイント設定部13の基準点設定部13aにおいて、基準画像G1に対して、基準点Sp1を設定し、比較点設定部13bでは、基準点設定部13aで基準点Sp1を設定する動作と平行して、基準点設定部13aと同様のスキャン動作により、参照画像G2におけるウインドウ設定のための中心点(比較点)を設定する(ステップS5)。
【0127】
次に、視差設定部14において、第3縮小基準画像G13と第3縮小参照画像G23との間における所定の初期視差が仮に設定される(ステップS6)。
【0128】
具体的には、基準画像視差設定部14aにおいて、ステップS5で設定された基準点Sp1に対応する基準点Sp13が第3縮小基準画像G13に対して設定される。また、参照画像視差設定部14bにおいて、第3縮小参照画像G23に対して、演算処理の対象となる点(処理対象点)Pp23を設定する。ここでは、第3縮小基準画像G13における基準点Sp13の位置に対して、予め定めた初期視差に基づいて第3縮小参照画像G23における処理対象点Pp23の位置を設定するが、初期視差はゼロに設定する場合が多い。
【0129】
次に、ウインドウ設定部15の基準点ウインドウ設定部15aにおいて、第3縮小基準画像G13に対して基準点Sp13を中心として包含するウインドウW13(図18)を設定し、比較点ウインドウ設定部15bでは、第3縮小参照画像G23に対して処理対象点Pp23を中心として包含するウインドウW23を設定する(ステップS7)。なお、基準領域W13および比較領域W23は、同一サイズの領域である。
【0130】
ここで、基準領域W13および比較領域W23の形状は、対応点探索に使用されるPOC値のピークJc(図25)を用いてウインドウ設定部15で決定する。すなわち、POC法ではPOC値のピークJcに対応する参照画像上のウインドウ内の位置が、基準画像上のウインドウの中心点に対応した参照画像上の対応点に相当することとなるが、このPOC値のピークJc(規格化されたもの)が1および1に近い値であれば物体領域であると判断され、路面であればピークJcが1より小さくなり、遠近競合が起こっていればピークJcがさらに小さくなるので、予め、路面、遠近競合部で適宜、閾値を設定しておき、それに基づいて、現在着目している部分が物体領域であるか、路面であるか、あるいは遠近競合部の何れであるかを判定する。なお、判定のための閾値としては、ピークJcが1であるか、それ以外であるかによって判定しても良いし、1に近い値を閾値として設定し、それ以上であるか否かで判定しても良い。
【0131】
そして、路面であると判定した場合は、次にウインドウを設定する際には、図5に示したように、X方向が長辺、Y方向(2次元画像上で遠近方向)が短辺となった長方形のウインドウWD2を設定する。また、物体領域あるいは遠近競合部であると判定した場合は、次にウインドウを設定する際には、図7に示したように、正方形のウインドウWD3を設定する。このとき、ウインドウWD2とWD3とで面積が同じとなるように設定することで、特徴量を同等とすることができる。なお、解像度の低い層においては、ウインドウの形状は変更せず、例えば、最上層である基準画像G1の基準点に対応する参照画像G2上の対応点を探索する際にのみ、ウインドウの形状を変更するようにしても良い。
【0132】
このように、対応点探索に使用されるPOC値のピークJcを用いてウインドウの形状を決定するので、対応点探索処理部16での探索結果は、視差設定部14に基準視差を定めるための情報としてフィードバックされるだけでなく、ウインドウ設定部15にPOC値のピークJcの情報をフィードバックする構成となっている。
【0133】
なお、ウインドウ設定部15では、探索処理の対象となっている画像の組(層)に対して、最初にウインドウを設定する際は、デフォルトで正方形のウインドウを設定するものとし、2回目以降のウインドウの設定に対してフィードバック結果を反映させる。
【0134】
最後に、対応点探索処理部16において、第3縮小参照画像G23を対象として基準点Sp13に対応する対応点が探索される(ステップS8)。
【0135】
ステップS5〜S8を経て、第3縮小参照画像G23を対象として基準点Sp13に対応する対応点を探索した後は、次に、ステップS5〜S8を経て第2縮小参照画像G22を対象として基準点に対応する対応点を探索し、第2縮小参照画像G22を対象として基準点に対応する対応点を探索した後は、次に、ステップS5〜S8を経て第1縮小参照画像G21を対象として基準点に対応する対応点を探索し、第1縮小参照画像G21を対象として基準点に対応する対応点を探索した後は、次に、ステップS5〜S8を経て基準画像G1の基準点Sp1に対応する参照画像G2上の対応点を探索する。そして、参照画像G2上の対応点を決定した後は、基準画像G1の新たな基準点を設定し、再び、同様の対応点探索処理を繰り返す。これを、基準画像G1上に処理すべき画素がなくなるまで繰り返す。
【0136】
<ウインドウ設定の具体例>
次に、図26および図27を用いて、ウインドウ設定の具体例について説明する。図24および図25においては、解像度変換を行って得られた解像度の異なる複数の画像を示しており、図26の(a)部には、基準画像G1と参照画像G2の組に対応する層(レイヤー0)の画像に対してウインドウWD3を設定した例を示しており、図26の(b)部には、基準画像G11と参照画像G21の組に対応する層(レイヤー1)の画像に対してウインドウWD3を設定した例を示しており、図26の(c)部には、基準画像G12と参照画像G22の組に対応する層(レイヤー2)の画像に対してウインドウWD3を設定した例を示している。
【0137】
このように、図26においては、路面RS上の物体OBに対してウインドウを設定する場合には、等方的なウインドウWD3を設定する例を示しているが、これにより、先に説明したように非競合物体領域の面積を広くすることができる。
【0138】
また、図27の(a)部には、基準画像G1と参照画像G2の組に対応する層(レイヤー0)の画像に対してウインドウWD2を設定した例を示しており、図27の(b)部には、基準画像G11と参照画像G21の組に対応する層(レイヤー1)の画像に対してウインドウWD3を設定した例を示しており、図27の(c)部には、基準画像G12と参照画像G22の組に対応する層(レイヤー2)の画像に対してウインドウWD3を設定した例を示している。
【0139】
図27においては、路面RSと、路面RS上の物体OBとの境界部分に対してウインドウを設定する場合には、レイヤーによってウインドウの形状を変更する例を示している。すなわち、レイヤー1およびレイヤー2の画像に対しては、遠近競合が起きやすい路面RSと、路面RS上の物体OBとの境界部分においても等方的なウインドウを設定するが、レイヤー0の画像に対しては、路面RS上では、路面RSを横断する方向に長いウインドウWD2を設定することで、ウインドウ内での視差の変化が小さく、距離情報が混在せず、遠近競合を抑制することができる。
【0140】
このように、路面と、路面上の物体などのように、対象物に応じて遠近競合が起こりにくい形状にウインドウを設定することで、遠近競合を抑制することができる。
【0141】
<ウインドウ設定の変形例>
図26を用いて示したように、物体領域では、画像面上のウインドウは等方的な形状であることが望ましいが、画像面上でのウインドウ形状は、物体面上で等方的な形状となるように設定しないと、画像面上の縦横で周波数特性が大きく変わってしまうことから、被写体パターンの姿勢依存性が大きく現れ、傾きなどの姿勢変動による方向性を持つこととなる。この結果、対応点探索の精度低下に繋がる可能性があるが、これに対する対策として物体面上で等方的となるようなウインドウ設定を画像面上で行うことが考えられる。
【0142】
しかし、レンズの種類によっては、物体面上で等方的となるようなウインドウ設定を画像面上で行っても、必ずしも等方的なウインドウにできない場合がある。
【0143】
例えば、横方向に画角が広く、縦方向は画角が狭いアナモフィックレンズのような縦横比の異なるレンズを用いてステレオカメラを構成する場合、レンズの特性から、物体面上で等方的となる画像面上でのウインドウは、縦方向に伸びたウインドウ形状となる。
【0144】
このようなウインドウの場合は、画像面上での等方的なウインドウ設定と同様に、路面と車両との両方を含む位置での設定では、遠近の情報を含みやすいため、出力結果の遠近競合が起こりやすい。このような場合にも、本願発明によるウインドウ形状の変更は有効である。
【0145】
以下、ステレオカメラの撮像レンズにアナモフィックレンズを用いた場合のウインドウ形状の変更例について説明する。
【0146】
図28に示すアナモフィックレンズALは、円筒の軸(Y軸方向)と垂直な方向(X軸方向)に画像を圧縮するように構成されており、被写体A1をアナモフィックレンズALを通して撮影することで、画面PN上にはX軸方向に圧縮された画像A2が映されることになる。
【0147】
図29は、撮影対象となる物体面を表しており、自車両MVの運転席から見た前方を見た状態を表している。
【0148】
図30は、図29に示す物体面のうち、枠線で囲まれた領域RIについてアナモフィックレンズを介して撮影された画像面を表しており、水平方向が圧縮されて、垂直方向に伸長していることが判る。
【0149】
ここで、対応点探索を行うために、図31に示すように、物体面に対して演算の周波数特性が等方となるように等方的なウインドウW1を設定した場合、アナモフィックレンズを介して得られた画像面上では、物体面と同様の周波数特性を含むように演算領域を設定するために、図32に示すウインドウW2のように垂直方向に伸長したウインドウサイズとすることが望ましい。このときに、先に説明した、ウインドウ設定部15では、アナモフィックレンズのレンズ特性に基づいてウインドウの縦横比を設定することで、対応付け精度の低下を防止することができる。
【0150】
一方、図33に示すように、図32に示したウインドウW2と同じ面積(画素数)を有し、等方的に設定されたウインドウW3を画像面上に設定した場合、ウインドウW2と同レベルの情報量を含んでいるため、図32の場合と同精度での対応点探索が可能となるが、画像面上で等方的なウインドウを設定すると、物体面上でのウインドウは図34に示すウインドウW4のように、縦横比が大きく変わり、算出可能な周波数特性が大きく異なることとなる。この結果、対応点算出領域における被写体パターンの姿勢依存性が大きくなることとなり、望ましくはない。
【0151】
また、図33に示すウインドウW3のように、水平方向に長いウインドウを設定すると、水平方向に圧縮された画像面では、遠近競合が生じ、遠近の判別が難しくなるという問題もある。
【0152】
ここで、多重解像度処理により対応付けを行う場合、下層の低解像度画像では、上層の高解像度画像での基準視差を決定することが目的であるので、低解像度画像ではウインドウは等方的な形状に設定し、上層の高解像度画像で使用する基準視差を取得する。
【0153】
そして、最終的な対応点探索結果を算出する階層、すなわち最上層の画像においては、遠近競合を軽減するために、遠近競合の起きやすい領域では、遠近競合を抑制する形状のウインドウ設定を行う。
【0154】
以下、図35および図36を用いて、変倍レンズ(アナモフィックレンズ)を用いて撮像した画像に対するウインドウ設定の具体例について説明する。図35および図36においては、解像度変換を行って得られた解像度の異なる複数の画像を示しており、図35の(a)部には、基準画像G1と参照画像G2の組に対応する層(レイヤー0)の画像に対してウインドウWD3を設定した例を示しており、図35の(b)部には、基準画像G11と参照画像G21の組に対応する層(レイヤー1)の画像に対してウインドウWD1を設定した例を示しており、図35の(c)部には、基準画像G12と参照画像G22の組に対応する層(レイヤー2)の画像に対してウインドウWD1を設定した例を示している。
【0155】
このように、図35においては、解像度の高いレイヤー0の画像においては、路面RS上の物体OBに対してウインドウを設定する場合には、等方的なウインドウWD3を設定するが、解像度の低いレイヤー1および2の画像においては、変倍レンズの縦横の倍率比に従って、縦方向(路面RSを横断する方向とは垂直な方向)が長辺となった長方形のウインドウWD1を設定している。これにより、非競合物体領域の面積を広くすることができる。
【0156】
また、図36の(a)部には、基準画像G1と参照画像G2の組に対応する層(レイヤー0)の画像に対してウインドウWD2を設定した例を示しており、図36の(b)部には、基準画像G11と参照画像G21の組に対応する層(レイヤー1)の画像に対してウインドウWD1を設定した例を示しており、図36の(c)部には、基準画像G12と参照画像G22の組に対応する層(レイヤー2)の画像に対してウインドウWD1を設定した例を示している。
【0157】
図36においては、路面RSと、路面RS上の物体OBとの境界部分に対してウインドウを設定する場合には、レイヤーによってウインドウの形状を変更する例を示している。すなわち、レイヤー1およびレイヤー2の画像に対しては、遠近競合が起きやすい路面RSと、路面RS上の物体OBとの境界部分においては、変倍レンズの縦横の倍率比に従って、縦方向(路面RSを横断する方向とは垂直な方向)が長辺となった長方形のウインドウWD1を設定し、レイヤー0の画像に対しては、路面RS上では、路面RSを横断する方向に長いウインドウWD2を設定することで、ウインドウ内での視差の変化が小さく、距離情報が混在せず、遠近競合を抑制することができる。
【0158】
このように、路面と、路面上の物体などのように、対象物に応じて遠近競合が起こりにくい形状にウインドウを設定することで、遠近競合を抑制することができる。
【0159】
ここで、変倍レンズの縦横の倍率比に従ってウインドウの形状を設定する具体例としては、例えば、垂直方向に対する水平方向の比率(圧縮比)が1/4となるレンズを使用する場合は、ウインドウWDの縦(Y軸方向)横(X軸方向)の比率を4対1となるように設定し、垂直方向に対する水平方向の比率が1/2となるレンズを使用する場合は、ウインドウWDの縦横の比率が2対1となるように設定する。これは、基準画像においてもSN昭画像においても同様である。
【0160】
また、レンズ特性については、予め種々のカメラ(変倍率率レンズを含んだ)に対するレンズ特性を対応点探索装置10内のデータテーブル等に記憶させておき、ステレオカメラSC(図11)と対応点探索装置10とを接続したときに、対応点探索装10がステレオカメラSCを構成するカメラの種類を判別して、上記データテーブルからレンズ特性を読み出してウインドウ設定部15に情報を与えるようにすれば良い。また、ステレオカメラSCを構成するカメラから、レンズ特性を対応点探索装置10に与えるような構成であれば、ウインドウ設定部15で、その情報を受けるようにすれば良い。
【0161】
なお、上記のようにアナモフィックレンズの特性が判明している場合は、それに合わせてウインドウの縦横比を設定すれば良いが、特性が判らない場合は、縦方向が長くなるようなウインドウサイズ、例えば縦横の比率を2対1に一律に設定する構成を採れば、精度低下を軽減できる。
【0162】
また、図35および図36を用いた説明では、低解像度画像では、変倍レンズの縦横の倍率比に従って、縦方向が長辺となった長方形のウインドウWD1を設定するものとして説明したが、このウインドウWD1は、物体面にウインドウを設定した場合の形状が等方的となるように縦横の寸法を設定するようにしても、同様の効果が得られる。このとき、物体面のウインドウと画像面のウインドウとで同じ面積となるように設定することが望ましい。
【0163】
<ウインドウ変更のための判定方法の他の例>
以上の説明においてはウインドウ変更のための判定は、POC値のピークを信頼度の指標として用いて判定するものとして説明したが、他の方法としては、低解像度画像での対応点探索で得られた基準視差に基づいて得られた、より上層の画像での対応点の周辺情報に基づいて判定を行っても良い。
【0164】
すなわち、得られた対応点の周辺(この場合は当該対応点より前に対応付けられた画素)での視差と、上記基準視差とが同じ値であるなら、その近傍では正確に対応点探索が行われていると考えられ、遠近競合が起きていないと考えられる。このような場合は物体領域を探索しているものと判断して、等方的なウインドウを設定する。一方、視差に違いがある場合は、遠近競合が起きている可能性が高く、路面を探索しているものと判断して、ウインドウWD2(図6)のような、横方向(路面を横断する方向)が長辺となった長方形のウインドウを設定する。このような判定方法でも、それぞれのシーンに適したウインドウ形状の設定が可能となる。
【符号の説明】
【0165】
11 画像入力部
12 解像度変換部
13 ポイント設定部
14 視差設定部
15 ウインドウ設定部
16 対応点探索処理部
SC ステレオカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステレオカメラからの第1および第2の画像を受け、2つの画像間で、相互に画素の対応付けを行う対応点探索装置であって、
前記第1の画像に対して解像度を低下させた関係にある第1の低解像度画像および、前記第2の画像に対して解像度を低下させた関係にある第2の低解像度画像を階層的に生成する解像度変換部と、
前記第1の画像に対して第1の基準点を設定する第1の基準点設定部と、
前記第1の低解像度画像に対して、前記第1の基準点に対応する第2の基準点を設定する第2の基準点設定部と、
前記第2の低解像度画像を対象として前記第2の基準点に対応する第2の対応点を探索する第1の探索処理、および、前記第1の画像に対して前記第1の探索処理による探索結果を利用して、前記第2の画像を対象として前記第1の基準点に対応する第1の対応点を探索する第2の探索処理を行う対応点探索部と、
前記第1および第2の探索処理のためのウインドウを設定するウインドウ設定部と、を備え、
前記ウインドウ設定部においては、前記第1および第2の探索処理の少なくとも一方に際して、事前の探索処理による探索結果を利用して前記ウインドウの形状を設定する、対応点探索装置。
【請求項2】
前記ウインドウ設定部は、
前記探索結果の信頼度を表す値についての閾値判定に基づいて前記ウインドウの形状を設定する、請求項1記載の対応点探索装置。
【請求項3】
前記ウインドウ設定部は、
前記第1の探索処理に際して、前記第1および前記第2の低解像度画像のどの領域においても等方的な形状のウインドウを設定し、
前記第2の探索処理に際して、前記第1の探索処理による前記探索結果の前記信頼度を表す値が所定の閾値より高い領域においては、等方的な形状のウインドウを設定し、前記所定の閾値以下の領域においては、遠近方向の長さが短く、該遠近方向に垂直な方向の長さが長い長方形状のウインドウを設定する、請求項2記載の対応点探索装置。
【請求項4】
前記対応点探索部は、
前記第1の探索処理で得られた、前記第2の基準点と前記第2の対応点との視差を基準視差として前記第2の探索処理を行い、
前記ウインドウ設定部は、
前記第2の探索処理に際してのウインドウの設定において、
前記基準視差と、前記第1の対応点より前に対応付けられた前記第2の画像上の画素の視差との比較結果に基づいて、前記ウインドウの形状を設定する、請求項1記載の対応点探索装置。
【請求項5】
前記ウインドウ設定部は、
前記画素の前記視差と前記基準視差とが等しい領域においては、等方的な形状のウインドウを設定し、
前記画素の前記視差と前記基準視差とに違いがある場合には、遠近方向の長さが短く、該遠近方向に垂直な方向の長さが長い長方形状のウインドウを設定する、請求項4記載の対応点探索装置。
【請求項6】
前記ウインドウ設定部は、
前記第1の探索処理に際して、前記第1および前記第2の低解像度画像のどの領域においても前記ステレオカメラの撮像レンズの縦横の倍率比と同じ縦横比の第1のウインドウを設定し、
前記第2の探索処理に際して、前記第1の探索処理による前記探索結果の前記信頼度を表す値が所定の閾値より高い領域においては、等方的な形状の第2のウインドウを設定し、前記所定の閾値以下の領域においては、遠近方向の長さが短く、該遠近方向に垂直な方向の長さが長い長方形状の第3のウインドウを設定する、請求項2記載の対応点探索装置。
【請求項7】
前記撮像レンズは変倍レンズで構成され、
前記ウインドウ設定部は、
前記第1のウインドウを物体面に適用した場合に、物体面での縦横比が等方となるように前記第1のウインドウの縦横比を設定する、請求項6記載の対応点探索装置。
【請求項8】
前記変倍レンズとしてアナモフィックレンズを用いる、請求項7記載の対応点探索装置。
【請求項9】
前記ウインドウ設定部は、
前記第1のウインドウの縦横比を決める前記変倍レンズの縦横の倍率比の情報をテーブル情報として有する、請求項5記載の対応点探索装置。
【請求項10】
前記第1および第2の探索処理に、位相限定相関法を使用し、
前記探索結果の信頼度を表す前記値は、POC値のピークの値を用いる、請求項2記載の対応点探索装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2011−164905(P2011−164905A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26638(P2010−26638)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】