説明

対象物検出装置および方法

【課題】対象物検出装置の投光するレーザ光の投光方向のずれを補正できるようにする。
【解決手段】左から右に向かって走行する自車1に、所定の高さhで取り付けられた対象物検出装置2のレーザレーダ3から投光されたレーザ光は、頭上標識41により反射され、レーザレーダ3に受光され、対象物検出装置2は、頭上標識41までの距離を算出し続ける。頭上標識41がレーザ光の投光範囲外に出る瞬間、すなわちレーザ光上端31が、頭上標識41の下端bを通過する瞬間、対象物検出装置2は、頭上標識41までの距離L1を特定し、頭上標識41の設置高H、および対象物検出装置2の設置高hを基に、レーザ光上端31の平行線51に対する角度θを算出する。対象物検出装置2は、算出したθから角度Θ/2を引き、平行線51に対する光軸33の角度を求めることにより、光軸のずれを求め、これを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物検出装置および方法に関し、特に、光軸を最適な角度に調節することができるようにした対象物検出装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車に設置したレーザレーダを用いて、前を走る自動車との車間距離を測定し、この距離が、安全な距離以下になると、運転手に、もっと車間距離をとるよう警告を発したり、自動的に自車の速度を制御し、先行車との距離をあけさせたりする対象物検出装置がある。この装置の概要について、図1を参照して説明する。
【0003】
図1において、対象物検出装置2を車両前方に設置した自車1は、図中、左から右方向に走行している。自車1の前方には、先行車5が、自車1と同様の方向に走行している。対象物検出装置2のレーザレーダ3は、レーザ光4を自車の前方に向けて発射(投光)する。このレーザ光4は、先行車5の後部で反射され、その反射光は、レーザレーダ3により受光される。対象物検出装置2は、レーザレーダ3によりレーザ光4が投光されてから、先行車5に反射して、レーザレーダ3に受光されるまでの時間を測定し、その時間より、自車1と先行車5の車間距離を算出する。
【0004】
そして、対象物検出装置2は、このようにして算出した自車1と先行車5の車間距離が、予め設定されている安全な距離(先行車5が事故をおこしたり急停止したときに、自車1が危険を回避できると考えられる距離)以下であると判断した場合、自車1の運転手に、車間距離をもっととるよう警告を発したり、自動的に自車1の速度を制御して、安全な車間距離を確保させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような対象物検出装置2は、レーザレーダ3が投光するレーザ光4の光軸がずれると、図2に示すように先行車5との距離を正確に測定できないという課題があった。
【0006】
図2において、レーザレーダ3が投光するレーザ光4は、例えば、自車1の軽衝突による歪みや、レーザレーダ3を固定する固定機構の経年変化による緩みなどが原因で、図1に示したレーザ光4の正常な投光方向と比較して、投光角度が、上方に傾いてしまっている。
【0007】
このような場合、レーザレーダ3は、先行車5が、破線で示した先行車5の位置に近づくまで、レーザ光4の反射光を受光することができない。このため、対象物検出装置2は、自車1と先行車5との車間距離が、破線で示した先行車5の位置より長い場合、車間距離はおろか、先行車5の存在すら検知できない。
【0008】
そのため、異常に接近するまで先行車5を検出することができず、緊急事態に対処できないという課題があった。
【0009】
また、仮に、自車1への対象物検出装置2の設置角度が正常な場合(レーザ光4が、望ましい角度で投光された場合)においても、路面が図4に示すように、傾斜していた場合、従来の対象物検出装置2は、先行車5を検知することができないことがある。
【0010】
図3において、自車1のレーザレーダ3が投光するレーザ光4は、前方の傾斜する路面に反射され、先行車5には届いていない。すなわち、この場合、対象物検出装置2は、先行車5を検知することができない。
【0011】
このように、路面が傾斜している場合にも、異常に接近するまで先行車5を検出することができず、緊急事態に対処できないことがあった。
【0012】
この課題を解決するために、例えば特開平11−194169号公報には、路面に対する装置自体の傾きを検出する傾き検出手段、および複数の検知ビームを備え、検出された傾きに最適な検知ビームを選択する選択手段を備えた車両用物体検知装置が開示されている。
【0013】
同公報の車両用物体検知装置は、先行車との車間距離を計測するために、路面と水平な方向にレーザ光を投光する第1のレーザレーダとは別に、車両用物体検知装置自体の路面に対する傾きを測定するために、路面に向かって所定の角度でレーザ光を投光させる第2および第3のレーザレーダを備えている。
【0014】
この車両用物体検知装置においては、第2および第3のレーザレーダによる路面との距離の計測結果を基に、車両用物体検知装置自体の、路面に対する角度を算出し、ひいては、第1のレーザレーダから投光されるレーザ光の光軸の角度を演算し、演算結果に基づいて、複数ある検知ビームの中から最適な検知ビームを選択するようになされている。
【0015】
しかしながら、上記公報の発明では、車両用物体検出装置に対するレーザ光の光軸の角度は規定値として扱われ、車両用物体検知装置の路面に対する角度から、間接的に、路面に対する第1のレーザ光の光軸の角度を算出している。よって、車両用物体検出装置に対するレーザ光の光軸の角度が、例えば、装置製造時の組み立て誤差により、設計時に設定した所定の値と異なっていた場合、路面に対する光軸の角度を、正確に算出することができないという課題があった。
【0016】
また、上記公報の発明では、車両用物体検出装置の直下の路面の変化を検知することはできるが、車両の前方の路面の傾斜変化を検出することはできないという課題があった。
【0017】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、レーザ光4自体を用いて、レーザ光4の光軸のずれを検知し、補正することができるようにし、また、路面の傾斜に合わせて、レーザ光4の投光角度を適応させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の対象物検出装置は、ビームを出射する出射手段と、出射手段により出射されたビームが、物体に当り反射された反射ビームを受信する受信手段と、受信手段により受信した反射ビームを反射した物体が路面であるか否かを判別する判別手段と、受信手段により受信した反射ビームを基に、路面の反射位置までの距離を測定する測定手段と、測定手段により測定された路面の反射位置までの距離を基に、路面の傾斜角度を算出する算出手段と、算出手段により算出された路面の傾斜角度を基に、ビームの出射角度を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
出射手段および受信手段は、例えば、図14のレーザレーダ3であり、ビームを出射し、路面、および路面上の対象物に反射された反射ビームを受信する。判別手段とは、例えば、図14の対象物認識/距離測定部13であり、受信手段により受信された反射ビームが路面からの反射ビームであるか否かを判断する。測定手段とは、例えば、図14の対象物認識/距離測定部13であり、受信手段により受信された反射ビームに基づいて、路面の反射位置までの距離を算出する。
【0020】
算出手段とは、例えば、図14の路面傾斜検出部71であり、測定手段により測定された路面の反射位置までの距離をもとに、路面の傾斜角度を算出する。制御手段とは、例えば、図14の投光角度計算部15、および投光角度制御部16であり、投光角度計算部15において、算出手段により算出された路面の傾斜角度を基に、路面の傾斜角度に適応したレーザ光の出射角度が算出され、投光角度制御部16において、投光角度計算部15により算出された出射角度に基づいて、レーザ光の投光角度が調節される。
【0021】
本発明の対象物検出方法は、ビームを出射する出射ステップと、出射ステップの処理により出射されたビームが、物体に当り反射された反射ビームを受信する受信ステップと、受信ステップの処理により受信した反射ビームを反射した物体が路面であるか否かを判別する判別ステップと、受信ステップの処理により受信した反射ビームを基に、路面の反射位置までの距離を測定する測定ステップと、測定ステップの処理により測定された路面の反射位置までの距離を基に、路面の傾斜角度を算出する算出ステップと、算出ステップの処理により算出された路面の傾斜角度を基に、ビームの出射角度を制御する制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0022】
出射ステップとは、例えば、図15のステップS41であり、受信ステップとは、例えば、図15のステップS42であり、判別ステップおよび測定ステップとは、例えば、図15のステップS43であり、算出ステップとは、例えば、図15のステップS44であり、制御ステップとは、例えば、図15のステップS45、ステップS46、およびステップS47である。
【0023】
本発明の第4の対象物検出装置および方法においては、ビームが出射され、出射されたビームが、物体に当り反射された反射ビームが受信され、受信した反射ビームを反射した物体が路面であるか否かが判別され、受信した反射ビームを基に、路面の反射位置までの距離が測定され、測定された路面の反射位置までの距離を基に、路面の傾斜角度が算出され、算出された路面の傾斜角度を基に、ビームの出射角度が制御される。
【発明の効果】
【0024】
本発明の対象物検出装置および方法によれば、受信した反射ビームを基に、路面までの距離を測定し、測定された路面の反射位置までの距離を基に、路面の傾斜角度を算出し、算出された路面の傾斜角度を基に、ビームの出射角度を制御するようにしたので、路面の傾斜に関わらず、先行車の検知を正確の行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の対象物検出装置2の構成例について、図4のブロック図を参照して説明する。
【0026】
対象物検出装置2の制御部11は、予め設定された所定の制御プログラムに基づいて、対象物検出装置2の各部を制御し、先行する車両の有無を判断したり、先行車5が検出された場合、先行車5との車間距離を測定し、車間距離が安全な距離か否かを判断し、安全な距離ではない場合、運転手に警告を発したりする一連の処理を実行させる。また、制御部11は、対象物認識/距離測定部13より、頭上標識(または路面)の存在を確認した旨の情報が入力されると、車両速度測定装置21から供給された自車1の走行速度に関する情報を参照して、自車1が安定した速度で走行しているか否か(加速度運動をしていないか否か)を判断し、安定している(一定の速度で走行している)と判断した場合、後述する光軸ずれを検知し、補正する所定の処理を実行する。
【0027】
レーザレーダ3は、制御部11の制御に基づいて、レーザ光4を出力し、頭上標識や先行車5などの対象物や道路などの反射体からの反射光を受光し、光電変換して信号処理部12に入力する。また、レーザレーダ3は、投光角度制御部16による制御を受け、レーザ光4の、路面に対して鉛直方向の投光角度を調節する。
【0028】
信号処理部12は、レーザレーダ3から出力されるレーザ光4およびその反射光に対応する信号に対して、所定の信号処理を施し、それを対象物認識/距離測定部13に供給する。
【0029】
対象物認識/距離測定部13は、信号処理部12より供給された信号に基づいて、頭上標識、先行車5、道路などの反射体を識別すると共に、反射体までの距離を測定し、制御部11、光軸ズレ検出部14、および安全距離判断部17に、それぞれ供給する。
【0030】
光軸ズレ検出部14は、対象物認識/距離測定部13から入力された反射体までの距離を基に、所定の演算を実行し、レーザ光4の光軸の基準方向からのずれを算出し、光軸のずれが、予め、補正可能範囲として設定された所定のずれ角度より小さいと判断した場合、投光角度計算部15に、光軸のずれ角度に関する情報を供給する。算出した光軸のずれが、補正可能範囲より大きいと判断した場合、警報提示部18に、警報を発するよう指示する。ここで、レーザ光4の光軸について、図5を参照して説明する。
【0031】
図5において、レーザレーダ3から投光されたレーザ光4は、上下に所定の幅の広がりを有しており、その端(利用可能な強度を有する範囲の境界)を、それぞれレーザ光上端31、およびレーザ光下端32とする。レーザ光上端31とレーザ光下端32が成す角度をΘとしたとき、その2等分線を、光軸33とする。なお、角度Θは、予め所定の値に設定されている。
【0032】
図4に戻って、投光角度計算部15は、光軸ズレ検出部14から、光軸のずれ角度に関する情報を入力されると、光軸のずれを補正することができるレーザ光4の投光角度を計算し、算出した値を投光角度制御部16に供給する。
【0033】
投光角度制御部16は、投光角度計算部15から、投光角度に関する情報を入力されると、対応する投光角度にするよう、レーザレーダ3を制御する。
【0034】
安全距離判断部17は、対象物認識/距離測定部13から入力された反射体までの距離を基に、先行車5との間の車間距離が安全な距離であるか否かを判断し、安全な距離ではないと判断した場合、警報提示部18に、警報を発するよう指示する。
【0035】
警報提示部18は、光軸ズレ検出部14、または、安全距離判断部17からの指示が入力されると、対応した警報を発する。
【0036】
車両速度測定装置21は、走行中の自車1の速度を常時計測し、対象物検出装置2の制御部11に供給する。
【0037】
ところで、対象物検出装置2の制御部11は、前回に光軸ずれの検出処理を行ってから、所定の時間(例えば、1日間)が経過したと判断すると、光軸ずれを検知する一連の処理を開始する。
【0038】
次に、頭上標識を利用した光軸ズレ補正処理について、図5のフローチャートを参照して、説明する。
【0039】
ステップS1において、レーザレーダ3は、レーザ光4を投光する。
【0040】
ステップS2において、レーザレーダ3は、ステップS1で投光したレーザ光4が路面上にある各種の物体(反射体)に反射してきた反射光を受光する。
【0041】
ステップS3において、レーザレーダ3は、ステップS2で受光した反射光に対応する信号(反射信号)を信号処理部12に入力する。対象物認識/距離測定部13は、信号処理部12において所定の信号処理が施された反射信号を基に、対象物(反射体)の有無、および対象物までの距離を算出する。
【0042】
ステップS4において、対象物認識/距離測定部13は、認識した対象物(反射体)が頭上標識41であるか否かを判断する。制御部11は、対象物認識/距離測定部13から、頭上標識41を確認した旨の情報が入力されるまで待機する。
【0043】
図7Aは、図中、左から右方向に走行する自車1と、頭上標識41の関係を示している。自車1に設置された対象物検出装置2のレーザレーダ3は、自車1の前方にレーザ光4を投光している。自車1の走行に伴って、遠方から頭上標識41(図中、実線)が接近し、レーザレーダ3の測定範囲内にまで接近すると、レーザ光4は、頭上標識41により反射され、レーザレーダ3は、この反射光を受光する。この信号は信号処理部12で処理された後、対象物認識/距離測定部13に入力される。対象物認識/距離測定部13は、入力された信号を基準の信号と比較することで、頭上標識41であることを認識する。基準の信号は、実験等により予め測定され、記憶されている。対象物認識/距離測定部13から、頭上標識41を認識した旨の情報が制御部11に入力されると、処理はステップS5に進む。
【0044】
ステップS5において、制御部11は、車両速度測定装置21から、自車1の走行速度を取得し、それを基に、自車1が、安定した速度(一定の速度)で走行しているか否かを判定し、安定した速度で走行していない場合、処理はステップS4に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0045】
ステップS5において、制御部11が、自車1は安定した速度で走行していると判断した場合、ステップS6に進み、制御部11からの指令により、対象物認識/距離測定部13は、レーザレーダ3が頭上標識41を検出できなくなる瞬間(直前)の、レーザレーダ3と頭上標識41の間の距離を算出する。すなわち、図7Aにおいて、自車1が右方向に走行する間、対象物認識/距離測定部13は、頭上標識41を認識し続けるが、自車1と頭上標識41との距離が頭上標識ロスト距離になると(頭上標識41が、図中、破線で示される位置(▲で示す地点)になると)、頭上標識41は、レーザ光4の投光範囲より上方の外に出てしまい、対象物認識/距離測定部13は、以後、頭上標識41を認識することができなくなる(これをロストと称する)。対象物認識/距離測定部13は、頭上標識41を認識することができなくなる直前の、レーザレーダ3と頭上標識41の間の距離(図7AのL1で示された距離)を算出し、光軸ズレ検出部14に供給する。
【0046】
ステップS7において、光軸ズレ検出部14は、ステップS6で、対象物認識/距離測定部13が算出したレーザレーダ3と頭上標識41の間の距離L1を基に、光軸の鉛直面内における角度を算出する。この処理の詳細は、後述する。
【0047】
ステップS8において、光軸ズレ検出部14は、ステップS7において算出した光軸の角度に基づいて、光軸がずれているか否かを判定し、光軸がずれてはいなかった場合、処理を終了する。
【0048】
ステップS8において、光軸ズレ検出部14が、光軸がずれていたと判定した場合、ステップS9に進む。
【0049】
ステップS9において、光軸ズレ検出部14は、光軸のずれが、補正可能範囲として予め設定された所定の範囲内であるか否かを判定し、所定の範囲内であると判定した場合、ステップS10に進む。
【0050】
ステップS10において、光軸ズレ検出部14は、ステップS7で算出した光軸の角度に関する情報を投光角度計算部15に入力し、投光角度計算部15は、これを基に、光軸のずれを補正するためのレーザ光4の投光角度を計算し、算出した投光角度に関する情報を、投光角度制御部16に供給する。投光角度制御部16は、投光角度計算部15から入力された投光角度に関する情報に基づいて、レーザレーダ3を制御し、レーザ光4の投光角度を補正させる。
【0051】
ステップS9において、光軸ズレ検出部14が、光軸のずれは所定の範囲より大きいと判定した場合、ステップS11に進み、光軸ズレ検出部14は、警報提示部18に、運転手に対して警報を提示するよう指令する。警報提示部18は、この指令に従って、例えば、光軸がずれていることを示すインジケータを表示させたり、光軸がずれていることを案内する音声を出力させたりして、運転手に、光軸がずれていることを知らせる。
【0052】
以上のようにして、本願発明の対象物検出装置2は、光軸のずれを補正する一連の処理を行う。
【0053】
なお、例えば、カーナビゲーションシステムの記録媒体に、頭上標識41の設置位置を予め記録させておき、カーナビゲーションシステムと連動して、対象物検出装置2の光軸ズレ検知処理を行うようにしてもよい。すなわち、カーナビゲーションシステムが、自車1が走行する道路の前方に頭上標識41があると判断したとき、その情報を対象物検出装置2に供給し、対象物検出装置2に、光軸のずれを検知する一連の処理を行わせるようにしてもよい。また、頭上標識41の設置高に関する情報も、カーナビゲーションシステムの記録媒体に予め記録させておき、光軸ズレ検出部14が、光軸のずれを算出する際に、この頭上標識41の設置高に関する情報を用いるようにしてもよい。
【0054】
さらに、道路上の特定の対象物(例えば、頭上標識41以外の路上の看板や、トンネルの出口など)とその設置高を対応付けて、予めカーナビゲーションシステムに登録させておくことにより、頭上標識41以外の対象物を利用して、光軸のずれを検知するようにしてもよい。
【0055】
また、上述した例においては、検出のためのビームとしてレーザ光を用いたが、本発明の対象物検出装置2が用いるビームは、レーザ光に限定されるものではない。
【0056】
次に、図6のステップS7の処理、すなわち、距離L1を利用した光軸ズレ検出処理の概要について、図8を参照して説明する。
【0057】
図8は、レーザレーダ3が頭上標識41をロストした瞬間の、自車1、頭上標識41、およびレーザ光4の関係を示している。レーザレーダ3と頭上標識41間の距離L1は、対象物認識/距離測定部13のステップS6の処理によって算出されている。路面52を基準としたレーザレーダ3の設置高hは、レーザレーダ3の自車1への取り付け時に、予め計測済みである。また、頭上標識41の設置高Hは、日本国内の場合、路面52を基準とした標識下端の高さが、標準5m(例外として4.7m乃至6.0m)と定められている。平行線51は、レーザレーダ3の設置高hで、路面52と平行に引かれた便宜上の線である。
【0058】
ここで、レーザレーダ3のレーザ光4の投光口をa、頭上標識41の下端をb、下端bから路面に下ろした垂線と平行線51の交わる点をcとすると、三角形abcは、∠acbが直角な直角三角形である。辺abの長さはL1であり、辺bcの長さはH-hで算出できる。
【0059】
よって、∠bacをθとすると、角度θは、次の式で求めることができる。
sinθ=(H−h)/L1
【0060】
ところで、図5に示した通り、光軸33は、レーザ光上端31とレーザ光下端32が成す角度Θの2等分線である。
【0061】
以上のことから、光軸33が平行線51と成す角度は、θ―Θ/2で求めることができる。
【0062】
対象物検出装置2を自車1に設置する際の、平行線51に対する光軸33の適正な角度は、予め所定の範囲内に指定されており、値θ―Θ/2を、予め指定された適正な角度と比較することにより、光軸33の上下方向のずれを求めることができる。
【0063】
以上のように、レーザレーダ3から投光されたレーザ光4からの反射光を利用して、直接、光軸のずれを求めるため、対象物検出装置2に対するレーザ光4の投光角度が、設計時の理想値から大きくずれていたとしても、正確に、光軸のずれを求めることができる。
【0064】
次に、図7Bは、光軸が、予め設定された所定の範囲より上方に傾いた場合の例について示している。図7Bにおいても図7Aと同様に、自車1は、図中、左から右方向に向かって走行している。レーザレーダ3は、接近する頭上標識41を認識し続ける。そして、頭上認識ロスト距離に達したとき(頭上標識41が、破線で示される位置になると)、頭上標識41は、レーザ光4の視野外に出てしまう。このときの、レーザレーダ3と頭上標識41の間の距離をL2とする。
【0065】
図示したように、図7Aの光軸が正常な場合におけるレーザレーダ3と頭上標識41の間の距離L1と比較して、図7Bに示した光軸が上方に傾いている場合のレーザレーダ3と頭上標識41の間の距離L2は、短くなっている。距離L2を基に、上述した原理の演算を行うことにより、光軸33のずれが求められ、その結果、ずれの大きさが、対象物検出装置2が正常に作動できる範囲を超えていると判定され、運転手に、警告を表示するようになっている。
【0066】
以上のような原理によって、本発明の対象物検出装置2は、光軸33のずれを検知することができる。
【0067】
次に、本発明の対象物検出装置2による、路面を利用した光軸ズレ補正方法について、図9のフローチャートを参照して説明する。なお、頭上標識を利用した光軸ズレ補正方法と同一の処理に関しては、適宜、省略する。
【0068】
ステップS21において、レーザレーダ3は、レーザ光4を投光する。
【0069】
ステップS22において、レーザレーダ3は、ステップS21で投光したレーザ光4が路面52、および路面上にある各種の物体(反射体)に反射してきた反射光を受光する。
【0070】
ステップS23において、レーザレーダ3は、ステップS22で受光した反射光に対応する信号(反射信号)を信号処理部12に入力する。対象物認識/距離測定部13は、信号処理部12において所定の信号処理が施された反射信号を基に、路面52からの反射信号を識別し、路面52までの距離を算出する。
【0071】
なお、路面52からの反射光であるか否かは、路面52からの反射光に基づく反射信号の特徴量を実験により予め求めておき、その特徴量と比較することで判定することができる。
【0072】
ステップS24において、制御部11は、車両速度測定装置21から、自車1の走行速度を取得し、それを基に、自車1が、安定した速度(一定の速度)で走行しているか否かを判定し、安定した速度で走行していない場合、処理はステップS21に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0073】
ステップS25において、光軸ズレ検出部14は、ステップS23で、対象物認識/距離測定部13が算出したレーザレーダ3と路面52の間の距離を基に、光軸の鉛直面内における角度を算出する。この処理の詳細は、後述する。
【0074】
以後、ステップS26は、図6のステップS8と、ステップS27は、図6のステップS9と、ステップS28は、図6のステップS10と、ステップS29は、図6のステップS11と同様の処理である。
【0075】
以上のようにして、路面52を利用した光軸ズレの補正処理は行われる。
【0076】
次に、路面52を利用した光軸ズレ検知の原理について、図10を参照して説明する。なお、光軸ズレ検知方法の原理は、図8に示された頭上標識41を利用した検知方法と類似点が多いため、以下の説明においては、詳細な説明は、適宜省略する。
【0077】
路面52を利用した光軸ズレ検知方法においては、対象物検出装置2は、頭上標識41からの反射光を利用する代わりに、路面52からの反射光を利用する。図10に示すように、レーザ光下端62のレーザ光4は、点eで、路面52に反射し、反射光はレーザレーダ3により受光される。この反射光を基に、対象物認識/距離測定部13において、路面52からの反射か否かが識別されると共に、レーザレーダ3の投光口dとレーザ光下端62と路面52との交点eの間の距離L3が算出される。対象物認識/距離測定部13は、算出した距離L3を光軸ズレ検出部14に供給する。
【0078】
光軸ズレ検出部14は、対象物認識/距離測定部13から供給された距離L3とレーザレーダ3の設置高hを基に、以下の式により、θを算出する。
【0079】
sinθ=h/L3
【0080】
そして、光軸ズレ検出部14は、θからΘ/2を引き算した値(θ−Θ/2)から、平行線51を基準とした光軸63の角度を算出する。
【0081】
以上のようにして、対象物検出装置2は、路面52を利用して、光軸のずれを検知することもできる。上述した、路面52を利用した光軸ズレ検知方法は、下方への光軸のずれを検知することができるほか、所定の角度までなら、上方への光軸のずれを検知することも可能である。
【0082】
なお、本発明の対象物検出装置2は、頭上標識41のみを利用した光軸ズレ検知処理を行うように設定すること、および、路面52のみを利用した光軸ズレ検知処理を行うように設定することができる。また、本発明の対象物検出装置2は、頭上標識41を利用した光軸ズレ検知処理、および路面52を利用した光軸ズレ検知処理を、状況に応じて、適宜、選択して用いるように設定することもできる。
【0083】
次に、図6のステップS10、および、図9のステップS28の、光軸のずれを補正する処理の詳細について、図11乃至図13を参照して説明する。図11乃至図13は、光軸のずれを補正するための、異なる方法についてそれぞれ図示したものである。光軸のずれを補正する第1の方法について、図11を参照して説明する。
【0084】
図11においては、レーザレーダ3が投光するレーザ光4A(図中、点線)は、基準となる光軸の角度(先行車5を的確に検知することができる角度)より上方にずれていたとする。ここで、図6のステップS8(図9のステップS26)において、光軸がずれていると判定され、図6のステップS9(図9のステップS27)において、光軸のずれは、補正可能な程度であると判定される。
【0085】
すると、図6のステップS10(図9のステップS28)において、投光角度計算部15は、光軸ズレ検出部14から入力された光軸の角度に関する情報を基に、光軸のずれを補正するためのレーザ光4の投光角度を計算し、投光角度制御部16は、投光角度計算部15で算出された投光角度に関する情報に基づいて、レーザレーダ3を制御し、投光角度をレーザ光4Aからレーザ光4Bの位置に補正させる。
【0086】
投光角度を、レーザ光4Aからレーザ光4Bの位置に補正する方法としては、例えば、予め、対象物検出装置2にレーザレーダ3を鉛直方向に旋回させる駆動機構を備えるようにさせておき、その駆動機構によりレーザレーダ3を旋回させ、光軸の角度を、投光角度計算部15により算出された所定の角度分だけ連続的に変化させてゆき、補正させる方法が考えられる。
【0087】
なお、レーザ光4の投光角度を連続的に変化させる方法は、上述の方法に限定されるものではない。
【0088】
次に、光軸のずれを補正する第2の方法について、図12を参照して説明する。図12において、対象物検出装置2は、レーザレーダ3の投光するレーザ光4の投光角度を、予め設定した所定の角度だけ切り替えることができるようになっており、レーザ光4C、レーザ光4D、およびレーザ光4Eの中から選択できるようになっている。投光角度鮮魚部16は、投光角度計算部15により算出された光軸の角度に関する情報に従って、例えば、レーザ光4Cからレーザ光4Dに、または、レーザ光4Cからレーザ光4Eに、投光角度を切り替えることにより、光軸のずれを補正する。
【0089】
なお、図12においては、レーザ光4C、レーザ光4D、およびレーザ光4Eの3通りの投光角度を示したが、投光角度は、この3通りに限定されるものではなく、例えば10通りの投光角度を選べるように装置を構成することも可能である。図11および図12に示された光軸の補正方法の違いは、図11に示した光軸の補正方法が、連続的に光軸の角度を変化させるのに対し、図12に示した補正方法は、不連続的に光軸を変化させることである。
【0090】
次に、光軸のずれを補正する第3の方法について、図13を参照して説明する。図13に示された光軸の補正方法は、図11および図12に示された方法を組み合わせたものである。すなわち、図13において、レーザ光が、レーザ光4F(点線で図示)のように、基準となる投光角度よりも上方に角度が付きすぎていた場合、投光角度制御部16の制御により、まず、投光されるレーザ光が、基準となる投光角度に最も近い投光角度であるレーザ光4G(破線で図示)に切り替えられる(図12に示された補正方法と同一)。さらに、投光角度制御部16は、レーザ光の光軸をレーザ光4Gからレーザ光4G´(実線で図示)に変化させる(図11に示された補正方法と同一)。このようにして、レーザ光4の光軸を補正する。
【0091】
なお、光軸の補正方法は、上述した方法に限定されるものではない。
【0092】
ところで、図3を用いて、先に説明したように、レーザレーダ3が投光するレーザ光4の光軸が、基準に一致した角度であっても、路面の傾斜の影響により、先行車5を検知することができないことがある。その結果、先行車5に異常接近してしまい、運転手が危険にさらされる可能性がある。なお、図3においては、自車1の前方の路面が上り坂の場合の例について示されているが、自車1の前方の路面が、上り坂から平坦な角度になる場合、平坦な角度から下り坂になる場合、その他、路面の傾斜が変化する全ての場所で起こりうる。
【0093】
そこで、次に、上述した問題点、すなわち、路面の傾斜による影響で、対象物検出装置2が、先行車5を検知することができなくなる問題を解消する装置、および方法について、以下に述べる。
【0094】
図14は、そのような対象物検出装置2の構成例を示したブロック図である。図14においては、対象物認識/距離測定部13と投光角度計算部15の間に、路面傾斜検出部71が挿入されている。
【0095】
路面傾斜検出部71は、対象物認識/距離測定部13から供給された路面までの距離に関する情報を基に、所定の演算を行い、自車1の前方の路面の傾斜を検出し、投光するレーザ光4の光軸の角度を変更させる必要があるか否かを判定する。その結果、角度を変更する必要があると判断した場合、光軸の角度を変化させるタイミングを演算する。そして、路面の傾斜角度に関する情報を投光角度計算部15に供給し、光軸の角度を変化させるタイミングに関する情報を投光角度制御部16に供給する。
【0096】
それ以外の構成は、図4に示された対象物検出装置2と同様であるため、説明は省略する。
【0097】
次に、図15のフローチャートを参照して、路面傾斜に対するレーザ光4の光軸を適応させる処理について説明する。
【0098】
ステップS41において、レーザレーダ3は、レーザ光4を投光する。図16Aは、自車1に取り付けられた対象物検出装置2のレーザレーダ3がレーザ光4を前方の路面52に投光している状況を示している。図16において、自車1は、図中、左から右方向に走行している。
【0099】
ステップS42において、レーザレーダ3は、ステップS41で投光したレーザ光4が路面52、および路面上にある各種の物体(反射体)に反射してきた反射光を受光する。図16においては、△で示された地点でレーザ光4が反射され、反射光は、レーザレーダ3により受光される。
【0100】
ステップS43において、レーザレーダ3は、ステップS42で受光した反射光に対応する信号(反射信号)を信号処理部12に入力する。対象物認識/距離測定部13は、信号処理部12において所定の信号処理が施された反射信号を基に、路面52からの反射信号を識別し、路面52までの距離を算出する。
【0101】
ステップS44において、路面傾斜検出部71は、対象物認識/距離測定部13より、ステップS43で算出された路面52までの距離を入力され、これを基に、路面52の傾斜角度を演算し、傾斜角度が予め設定された所定の角度範囲より大きいか否かを判定する。演算方法の例の詳細は、後述する。その結果、図6Aに示された路面52のような場合、路面52は傾斜していない(傾斜角度は所定の角度範囲内)と判断され、ステップS41に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0102】
ここで、図6Bに示されたように、図中、左から右方向に走行する自車1の前方に点Tを境に上り坂になっている路面が現れたとする。図6Bにおいては、点Tより左側の路面52aは、平坦な路面であり、点Tより右側の路面52bは、上り坂になっている。すると、図6Bに示されたように、ステップS41で投光されたレーザ光4は△で示された地点で反射されステップS42において受光され、ステップS43において、路面52bまでの距離が算出される。ここで、図6Bにおける路面52bまでの距離は、図6Aにおける路面52までの距離と比較して、短くなっている。
【0103】
この場合、ステップS44において、路面傾斜検出部71は、路面52bの傾斜角度は所定の角度範囲より大きいと判断し、処理はステップS45に進む。
【0104】
ステップS45において、路面傾斜検出部71は、ステップS44で演算した路面の傾斜角度に関する情報を投光角度計算部15に供給する。投光角度計算部15は、供給された情報を基に、路面状況に適切な、レーザ光4の投光角度を計算し、投光角度制御部16に供給する。
【0105】
ステップS46において、路面傾斜検出部71は、ステップS43で算出した路面52bまでの距離、ステップS44で算出した路面52bの傾斜角度、および車両速度測定装置21から制御部11に供給される自車1の速度情報を参照して、レーザ光4の光軸を変化させるタイミングを計算し、投光角度制御部16に供給する。
【0106】
ステップS47において、投光角度制御部16は、投光角度計算部15から供給されたレーザ光4の投光角度に関する情報と、路面傾斜検出部71から供給されたレーザ光4の光軸を変化させるタイミングに関する情報に基づいて、レーザレーダ3を制御し、路面傾斜検出部71が算出したタイミングで、光軸の投光角度を、投光角度計算部15が算出した投光角度に変化させる。図17は、投光角度を変化させたレーザ光を図示している。
【0107】
図17においては、対象物検出装置2は、投光角度をレーザ光4H(点線で図示)からレーザ光4J(実線で図示)に変化させている。このように、レーザ光の投光角度を変化させることにより、前方に先行車5があった場合、先行車5を確実に検知することができる。
【0108】
なお、投光角度を変化させる方法は、図11乃至図13に示された方法のうち、いずれかの方法を用いることができる。ただし、投光角度を変化させる方法は、上述した方法に限るものではない。
【0109】
次に、路面傾斜検出部71が路面の傾斜を演算する原理の1例について、図18を参照して説明する。
【0110】
図18においては、図中左から右方向に走行する自車1の前方に、点Tを境に傾斜した路面52bがある。対象物検出装置2のレーザレーダ3は、レーザ光4を投光している。レーザ光4は点Rにおいて、レーザ光下端32が路面52bに反射されている。対象物認識/距離測定部13は、レーザ光4の投光口Qから点Rまでの距離L4を算出する。
【0111】
点Rを通り、路面52aに平行な線を平行線81とし、レーザ光4の投光口Qから路面52aに垂直に降ろした垂線が、平行線81と交わる点をP、垂線が路面52aと交わる点をOとする。
【0112】
ここで、レーザレーダ3の設置高、すなわち、点Oから点Qまでの長さHは、対象物検出装置2の設置時に、予め計測済みである。また、∠RQP(以後、∠Qと称する)は、光軸の投光角度により決定されるものであり、光軸の投光角度は、投光角度制御部16が管理している。よって、∠Qは、光軸の投光角度を基に算出することができる。また、三角形PQRは、∠RPQが直角な直角三角形である。
【0113】
よって、点Oを原点(0,0)とした場合の、点Rの座標を(x,y)とおくと、点R(x,y)は、
x=L4sin∠Q
y=H−L4cos∠Q
で求められる。
【0114】
路面傾斜検出部71は、対象物認識/距離測定部13から常時、供給される路面52までの距離情報を基に、点Rの座標を逐一算出し続け、得られた複数の座標を基に、路面の傾斜角度を算出する。ただし、自車1は走行しているため、点Rを算出してから、次に点Rを算出するまでに、自車1は移動している。そこで、路面傾斜検出部71は、この移動距離を含んだ計算式により、路面の傾斜角度を算出する。
【0115】
上述したような原理により、路面傾斜検出部71は、路面の傾斜を算出する。
【0116】
ところで、上述の説明は、上り坂に対してレーザ光4の投光角度を適応的に変化させる例であるが、下り坂に対しても、レーザ光4の投光角度を適応させることができる。図19Aは、平坦な路面52、図19Bは、平坦な路面52a、および、点Uを境に、下り坂になっている路面52Cを表わしている。
【0117】
図19Aおよび図19Bにおいて、自車1は、図中、左から右方向に走行しており、レーザレーダ3より投光されたレーザ光4は、△で示された地点で路面52(路面52C)に反射されている。対象物認識/距離測定部13は、△で示された位置までの距離を算出している。図19Bのように下り坂になっている場合、対象物認識/距離測定部13が算出した路面52Cまでの距離は、図19Aの平坦な路面52で対象物認識/距離測定部13が算出した距離と比較して、長くなっている。路面52Cまでの距離に基づいて、先に述べた原理により下り坂においても、路面の傾斜角度を算出することができる。
【0118】
本発明においては、以上のような方法を用いることにより、光軸のずれを補正し、また、路面の傾斜に応じてレーザ光4の投光角度を適応させる機能を持たせた対象物検出装置を実現することができる。
【0119】
以上においては、レーザ光によるビームを用いるようにしたが、ミリ波等の充分鋭い指向性を確保することができる電波によるビームを用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】従来の対象物検出装置による対象物検出の方法を説明する図である。
【図2】従来の対象物検出装置による光軸のずれを説明する図である。
【図3】従来の対象物検出装置の問題点を説明する図である。
【図4】本発明の対象物検出装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】図4の対象物検出装置が投光するレーザ光の光軸について説明する図である。
【図6】図4の対象物検出装置の動作を説明するフローチャートである。
【図7】図4の対象物検出装置の光軸ズレ検知方法を説明する図である。
【図8】図4の対象物検出装置の光軸ズレ検知方法を説明する、別の図である。
【図9】図4の対象物検出装置の他の光軸ズレ検出方法による動作を説明するフローチャートである。
【図10】図4の対象物検出装置の他の光軸ズレ検知方法を説明する図である。
【図11】図4の対象物検出装置の光軸のずれを補正する方法を説明する図である。
【図12】図4の対象物検出装置の光軸のずれを補正する他の方法を説明する図である。
【図13】図4の対象物検出装置の光軸のずれを補正する、さらに他の方法を説明する図である。
【図14】本発明の対象物検出装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図15】図14の対象物検出装置の動作を説明するフローチャートである。
【図16】図14の対象物検出装置の路面傾斜算出方法を説明する図である。
【図17】図14の対象物検出装置の光軸の路面傾斜への適応方法を説明する図である。
【図18】図14の対象物検出装置の光軸の路面傾斜算出方法を説明する、別の図である。
【図19】図14の対象物検出装置の光軸の路面傾斜算出方法を説明する、さらに別の図である。
【符号の説明】
【0121】
1 自車
2 対象物検出装置
3 レーザレーダ
4 レーザ光
5 先行車
11 制御部
12 信号処理部
13 対象物認識/距離測定部
14 光軸ズレ検出部
15 投光角度計算部
16 投光角度制御部
17 安全距離判定部
18 警報提示部
21 車両速度測定装置
31 レーザ光上端
32 レーザ光下端
33 光軸
41 頭上標識
51 平行線
52 路面
61 レーザ光上端
62 レーザ光下端
63 光軸
71 路面傾斜検出部
81 平行線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面上の対象物を検出する対象物検出装置において、
ビームを出射する出射手段と、
前記出射手段により出射された前記ビームが、物体に当り反射された反射ビームを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記反射ビームを反射した前記物体が前記路面であるか否かを判別する判別手段と、
前記受信手段により受信した前記反射ビームを基に、前記路面の反射位置までの距離を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された前記路面の反射位置までの距離を基に、前記路面の傾斜角度を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された前記路面の前記傾斜角度を基に、前記ビームの出射角度を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする対象物検出装置。
【請求項2】
路面上の対象物を検出する対象物検出装置において、
ビームを出射する出射ステップと、
前記出射ステップの処理により出射された前記ビームが、物体に当り反射された反射ビームを受信する受信ステップと、
前記受信ステップの処理により受信した前記反射ビームを反射した前記物体が前記路面であるか否かを判別する判別ステップと、
前記受信ステップの処理により受信した前記反射ビームを基に、前記路面の反射位置までの距離を測定する測定ステップと、
前記測定ステップの処理により測定された前記路面の反射位置までの距離を基に、前記路面の傾斜角度を算出する算出ステップと、
前記算出ステップの処理により算出された前記路面の前記傾斜角度を基に、前記ビームの出射角度を制御する制御ステップと
を含むことを特徴とする対象物検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2006−276023(P2006−276023A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104227(P2006−104227)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【分割の表示】特願2001−252290(P2001−252290)の分割
【原出願日】平成13年8月23日(2001.8.23)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】