射出成形装置の成形条件算出方法およびその装置および成形条件算出プログラム
【課題】 射出成形動作開始当初から成形条件を算出する。
【解決手段】 ステップSP3において、境界条件の設定を行い、ステップSP4において、圧力計算を行い、ステップSP5において、キャビティ内の任意位置での物理量の目標値の時間変化(基準圧力履歴)Pa(t)が解析値Pa*(t)と等しいか否かを判定し、キャビティ内の任意位置での物理量の目標値の時間変化Pa(t)が解析値Pa*(t)と等しくないと判定された場合には、ステップSP6において、境界条件の自動修正を行い、再びステップSP4の処理を行う。
【解決手段】 ステップSP3において、境界条件の設定を行い、ステップSP4において、圧力計算を行い、ステップSP5において、キャビティ内の任意位置での物理量の目標値の時間変化(基準圧力履歴)Pa(t)が解析値Pa*(t)と等しいか否かを判定し、キャビティ内の任意位置での物理量の目標値の時間変化Pa(t)が解析値Pa*(t)と等しくないと判定された場合には、ステップSP6において、境界条件の自動修正を行い、再びステップSP4の処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形装置が実行する射出成形プロセスの中で、金型内に溶融樹脂を流し込む射出工程に適用される成形条件を算出するために使用される射出成形装置の成形条件算出方法およびその装置および成形条件算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形装置におけるキャビティ内圧力は、金型キャビティ内の任意位置における溶融樹脂の圧力であり、この圧力の時間変化を表すものをキャビティ内圧力履歴という。
【0003】
また、キャビティ内圧力は、溶融樹脂が金型キャビティ内部を進展するにつれて上昇する。
【0004】
そして、キャビティ内圧力の上昇速度はノズル流量Qinや充填済み部分の樹脂物性および流路厚みによって決定される。したがって、ノズル流量Qinが大きく、樹脂物性(粘度)が高く、流路厚みが狭ければ、上昇速度は速い。逆の場合には、上昇速度は遅い。
【0005】
また、射出成形装置においては、キャビティ内圧力に抗して金型を互いに押圧し、一体化しておくために型締め力を作用させることが必要であるが、この力は可能な限り小さいことが好ましい。実際の射出成形では、キャビティ内圧力履歴を基準値以下に抑えることにより、型締め力を抑えることができ、その結果、金型サイズの縮小、金型の軽量化、射出成形機の小形化を図る射出成形技術が提案されている。また、この射出成形技術によって、バリの発生を抑えるなど射出成形品の品質向上なども図れる。
【0006】
しかし、実際の射出成形装置では直接ノズル流量を制御することはできないため、解析に用いる入力値との差異が生じる。また、その検証は困難である。
【0007】
そこで、予め成形品の形状モデルによる溶融樹脂の流動解析を行うことで、金型キャビティ内における樹脂圧を解析し、この樹脂圧と予め設定した圧力との差異をなくするように溶融樹脂の射出速度(ノズル流量)を修正する技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−76320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述の特許文献1に記載の溶融樹脂の射出速度を制御する方法においては、キャビティ内部の基準圧力を設定し、計算により求めた型内樹脂圧が基準圧力を超えた場合に射出速度を修正するため、型内樹脂圧が基準圧力を超えるまでの初期部分の射出速度を制御することができない。そのため、ジェッティングと呼ばれる急激に型内樹脂圧が立ち上がる場合に発生する成形不良を抑えるような射出速度の制御を行うことができないという欠点がある。
【0009】
また、溶融樹脂の射出終了時点で、キャビティ内に適正以上の樹脂量が射出された場合、必要以上のキャビティ内圧力となるため、オーバーパックと呼ばれる成形不良を招く場合もある。このオーバーパックが発生した場合、成形品の重量が増大するとともに、成形品に歪が生じ、成形品の特性を阻害する虞がある。さらに、過剰な樹脂が型パーティクルライン(PL)部に入り込み、型を損傷させる可能性もある。
【0010】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、射出成形動作開始当初から成形条件を算出し、射出初期部分の射出速度を制御可能とする射出成形システムの成形条件算出方法およびその装置、さらにはその成形条件算出に用いるプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明によれば、溶融材料をスクリューの移動により金型キャビティ内部に射出して所要の成形品を成形する射出成形システムにおいて、初期成形条件の時間変化とキャビティ内部の任意位置における物理量の目標値の時間変化とを入力データとし、数値解析手法によって射出成形過程を解析して解析結果としての解析値を算出する解析値算出工程と、前記物理量の目標値の時間変化と前記解析値との比を用いて時間変化での初期成形条件の修正値を算出する成形条件修正工程とを有し、前記修正値を新たに初期成形条件として、前記解析値算出工程、および成形条件修正工程を反復することを特徴とする射出成形システムの成形条件算出方法が提供される。
【0012】
この場合において、初期成形条件の時間変化とキャビティ内部の任意位置での物理量の目標値の時間変化からなる入力データの組合せを少なくとも一つ有すればよい。
第2の発明によれば、溶融材料をスクリューの移動により金型キャビティ内部に射出して所要の成形品を成形する射出成形システムにおいて、初期成形条件の時間変化とキャビティ内部の任意位置における物理量の目標値の時間変化とを入力データとし、数値解析手法によって射出成形過程を解析して解析結果としての解析値を算出する解析値算出手段と、前記物理量の目標値の時間変化と前記解析値との比を用いて時間変化での初期成形条件の修正値を算出する成形条件修正手段と、前記修正値を新たに初期成形条件として、前記解析値算出手段、および成形条件修正手段を反復動作させる反復指示手段とを含むことを特徴とする射出成形システムの成形条件算出装置が提供される。
【0013】
ここで、数値解析手法としては、有限要素法、有限体積法、境界要素法などが例示できる。
【0014】
また、初期成形条件とは、成形開始初期の成形条件であり、スクリュー位置、充填率、ノズル流量などが例示できる。
【0015】
また、物理量としては、圧力や圧力変化率などが例示できる。
【発明の効果】
【0016】
本願発明によると、スクリューやプランジャー等の移動によって溶融材料を金型キャビティ内部に射出する射出成形動作開始当初から成形条件を算出し、射出初期部分の射出速度を制御可能とするため、キャビティ内部の圧力が急激に立ち上がる場合であっても、ジェッティングやオーバーパック等の成形不良の発生を抑えることができるという特有の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の射出成形装置の成形条件算出方法および装置および成形条件算出プログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は本願発明に係る射出成形装置の主要部を示す概略図である。
【0019】
図1において、射出成形装置10は、1対の金型1と、この金型1の内部に溶融樹脂を射出するための射出機構11とを有している。
【0020】
金型1は、可動型1aおよび固定型1bとを備え、この可動型1aおよび固定型1bが閉じ合わさった状態でその内部にキャビティ1cを形成する。また、可動型1aには、キャビティ1cと外部とを連通するスプルー4が形成されている。なお、スプルー4のキャビティ1c側の端部がゲート4aであり、シリンダー2側の端部がノズル4bである。
射出機構11は、溶融樹脂12を収容するシリンダー2と、このシリンダー2内を摺動自在に移動するスクリュー3とを備えており、このスクリュー3がシリンダー2内部の溶融樹脂12をシリンダー2の外部に押し出すように摺動することで、溶融樹脂12をシリンダー2からノズル4bを通して射出可能となっている。
【0021】
図2は、図1に示す射出成形装置を用いて成形品を成形するまでのプロセスを説明する概略図であり、図2中(A)は、ノズル4bより溶融樹脂がキャビティ1c内部に射出された後に、この射出された溶融樹脂が冷却されて成形品となった後に、金型1を開いて成形品を取り出すまでの工程を示している。
【0022】
より詳細には、ノズルより溶融樹脂がキャビティ1c内部に射出される溶融樹脂射出工程p1と、この射出後にノズル4bの圧力を一定に保持する保圧工程p2と、キャビティ1c内部の溶融樹脂を冷却する冷却工程p3と、金型1を開き、成形品を取り出して自然放冷を行う自然放冷工程p4とを有している。
【0023】
また、図2中(B)は、上記工程p1〜p4のプロセスに沿って、ノズル4bの内部圧力が変化する様を示すグラフである。
【0024】
図3は本発明の射出成形装置の成形条件算出方法の一実施形態を説明するフローチャートである。
【0025】
ステップSP1において、圧力計算を行うためのデータの一部として形状データの入力を行う。なお、形状データは、キャビティ1c内の成形品の形状を格子状に分割したメッシュによって再現したモデルである。
【0026】
次いで、ステップSP2において、圧力計算を行うためのデータの一部として成形条件データの入力を行う。なお、成形条件データは、射出工程の中で設定される条件を表すデータであり、樹脂温度[℃](ノズルを通して射出される溶融樹脂の温度)、金型温度[℃](制御された金型の温度)、ノズル流量[mm3/sec](単位時間当たりにノズルを通過する溶融樹脂の体積)、時間[sec](上記ノズル流量[mm3/sec]で溶融樹脂を金型キャビティ内に射出する時間)を含む。ただし、ノズル流量―時間に代えて充填率―時間を採用することができる他、スクリュー位置―射出速度を採用することもできる。これらは、何れも、ノズル流量―時間に変換することができる。また、使用される溶融樹脂の流動性、温度等の特性を表す樹脂物性データを含むことも可能である。
【0027】
次いで、ステップSP3において、圧力計算を行うためのデータの一部として境界条件の設定を行う。なお、境界条件は、初期入力条件でのノズル流量の時間変化Qin(t)である。
【0028】
次いで、ステップSP4において、形状データ、成形条件データ、および境界条件を用い、かつ従来公知の方法を用いてキャビティ1c内の所定の点の圧力計算を行う。
【0029】
次いで、ステップSP5において、キャビティ1c内の任意位置での物理量の目標値の時間変化(基準圧力履歴)Pa(t)が解析値Pa*(t)と等しいか否かを判定する。
【0030】
なお、キャビティ内の任意位置での物理量の時間変化は次のようにして得ることができる。
【0031】
キャビティ内の樹脂の流動状態を表す係数行列を[Aij]、任意位置での流量ベクトルを{qi}、任意位置での物理量ベクトルを{Pi}とすれば、任意位置での物理量ベクトル{Pi}は、次式によって計算することができる。
{Pi}=[Aij]-1{qi}
ここで、i,jは1,2,・・,a,・・,n(nは全解析点数)であり、Aijは樹脂物性(例えば、粘度)とキャビティの厚みとから算出されるものであり、代表的には、次式で定義される。
Aij=(キャビティの厚み)3/12/(粘度)
そして、Pa、Qinは、それぞれPi、qiの任意の1つである。
【0032】
したがって、物理量ベクトル{Pi}から任意の1つを選択することによって、キャビティ内の任意位置での物理量の時間変化を得ることができる。
【0033】
そして、キャビティ1c内の任意位置での物理量の目標値の時間変化Pa(t)が解析値Pa*(t)と等しくないと判定された場合には、ステップSP6において、境界条件の自動修正を行い、再びステップSP4の処理を行う。なお、境界条件の自動修正は、Qin*(t)=(Pa(t)/Pa*(t))×Qin(t)の演算により行う。
【0034】
したがって、キャビティ1c内の任意位置での物理量の目標値の時間変化Pa(t)が解析値Pa*(t)と等しいと判定されるまで、ステップSP6における境界条件の自動修正を反復する。
【0035】
ステップSP5において、キャビティ1c内の任意位置での物理量の目標値の時間変化Pa(t)が解析値Pa*(t)と等しいと判定された場合には、ステップSP7において、従来公知の方法を用いて温度計算を行う。
【0036】
次いで、ステップSP8において、従来公知の方法を用いてフローフロントの進展を行う。
【0037】
次いで、ステップSP9において、従来公知の方法を用いて溶融樹脂の充填が完了したか否かを判定する。
【0038】
溶融樹脂の充填が完了していないと判定された場合には、再びステップSP3の処理を行う。
【0039】
ステップSP9において、溶融樹脂の充填が完了したと判定された場合には、一連の処理を終了する。
【0040】
したがって、上記の一連の処理、判定を行うことによって、射出成形動作開始当初から適正な成形条件を算出することができ、急激に圧力が立ち上がる場合であっても、ジェッティングなどの成形不良の発生を抑えることができる。
【0041】
図4は本発明の射出成形装置の成形条件を算出する成形条件算出装置の一実施形態を示すブロック図である。この成形条件算出装置は、図2の溶融樹脂射出工程p1に適用されるものである。
【0042】
この成形条件算出装置は、形状データ入力、成形条件データ入力、境界条件設定などを行うための、キーボード、マウス等からなる入力装置11と、入力データを保持する入力データ用メモリ12と、基準圧力履歴を保持する基準圧力履歴用メモリ13と、従来公知の方法を用いて金型内の所定の点の圧力を計算する圧力計算部14と、計算された圧力が基準圧力履歴と一致しないことに応答して、Qin*(t)=(Pa(t)/Pa*(t))×Qin(t)の演算を行って境界条件を修正する境界条件修正部15と、従来公知の方法を用いて樹脂温度を計算する温度計算部16と、従来公知の方法を用いるフローフロント進展部17と、従来公知の方法を用いて充填完了か否かを判定し、充填完了でないと判定したことに応答して、修正された境界条件を新たな基準境界条件として圧力計算部4に供給する充填完了判定処理部18とを有している。
【0043】
そして、境界条件修正部15により修正された境界条件を実現すべく、スクリュー3(図1参照)の移動を制御する。
【0044】
上記各部は、図3のフローチャートの対応するステップの処理に対応するものであり、コンピュータにより実行されるソフトウエアによって実現可能である。ただし、同様の機能を達成するハードウエアにより構成することも可能である。
【実施例1】
【0045】
図5は、ノズルからスプルーを通して直方体状のキャビティに溶融樹脂を射出する状態を示す概略図である。図6は、本願発明の方法で溶融樹脂の射出を制御した場合におけるノズル流量の時間変化Qin(t)を示すグラフである。図7は、本願発明の方法で溶融樹脂の射出を制御した場合において、ゲートからキャビティの長手方向に12.5mmだけ離れた点Aにおける圧力の時間変化Pa(t){図中(A)参照}、および点Aにおける基準圧力{図中(B)参照}を示すグラフである。図8は、本願発明の方法で溶融樹脂の射出を制御した場合における樹脂の充填パターンを示す図である。図9は、特開平9−76320号公報の方法で溶融樹脂の射出を制御した場合におけるノズル流量の時間変化Qin(t)を示す図である。図10は、特開平9−76320号公報の方法で溶融樹脂の射出を制御した場合において、ゲートからキャビティの長手方向に12.5mmだけ離れた点Aにおける圧力の時間変化Pa(t)を示す図である。図11は、特開平9−76320号公報の方法で溶融樹脂の射出を制御した場合における樹脂の充填パターンを示す図である。
【0046】
図5に示すように、キャビティのサイズが50mm×30mm×1mmであり、スプルーの長さが50mm、直径が2mmであり、充填時間が0.5secであり、金型温度が80℃であり、樹脂としてPA66(CM3001G30、東レ株式会社製)を使用し、樹脂温度が280℃である場合において、本願発明方法を採用した場合には、ノズル流量の時間変化Qin(t)が、図6に示すように、フィードバック制御を行わなかった場合のように当初のノズル流量がそのまま保持される{図6中(B)参照}のではなく、フィードバック制御を行うことによってノズル流量が適正流量に向かって減少し{図6中(A)参照}、ゲートから12.5mmの点Aにおける圧力の時間変化Pa(t)が、図7に示すように、フィードバック制御を行わなかった場合のように圧力が急激に上昇する{図7中(B)参照}のではなく、フィードバック制御を行うことによって圧力が徐々に上昇する{図7中(A)参照}ようになった。
【0047】
図6中、図7から分かるように、本願発明方法を採用した場合には、射出成形動作開始当初からノズル流量Qin(t)を適正に変化させて、点Aにおける圧力を基準圧力{図7中(C)参照}に近似させることができる。
【0048】
また、樹脂の充填パターン(フローフロント進展)は図8に示すようになり、後述する図11の充填パターンと比較して優れた充填パターンを示していることが分かる。
【0049】
この結果、ジェッティングなどの成形不良の発生を抑えることができる。
【0050】
これに対して、特開平9−76320号公報に記載された方法を採用した場合には、ノズル流量の時間変化Qin(t)が図9に示すようになり、ゲートから12.5mmの点Aにおける圧力の時間変化Pa(t)が図10に(A)で示すようになった。
【0051】
図9、図10から分かるように、射出成形動作開始当初はノズル流量Qin(t)を全く変化させていないので、点Aにおける圧力が基準圧力{図10中(C)参照}を大幅に超えて増加している。
【0052】
また、樹脂の充填パターン(フローフロント進展)は図11に示すようになり、優れた充填パターンではないことが分かる。
【0053】
この結果、ジェッティングなどの成形不良の発生の可能性が高くなる。
【0054】
したがって、本発明が優れていることが、実施例1から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】射出成形装置の主要部を示す概略図である。
【図2】図1の射出成形装置による射出成形プロセスを説明する概略図である。
【図3】本発明の射出成形装置の成形条件算出方法の一実施形態を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の射出成形装置の成形条件算出装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図5】本発明の射出成形装置の一実施例を示す概略図である。
【図6】本発明方法によるノズル流量の時間変化の一例を示す図である。
【図7】本発明方法による点Aの圧力の時間変化の一例を示す図である。
【図8】本発明方法による充填パターンの一例を示す図である。
【図9】従来方法によるノズル流量の時間変化の一例を示す図である。
【図10】従来方法による点Aの圧力の時間変化の一例を示す図である。
【図11】従来方法による充填パターンの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
14 圧力計算部
15 境界条件修正部
16 温度計算部
17 フローフロント進展部
18 充填完了判定処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形装置が実行する射出成形プロセスの中で、金型内に溶融樹脂を流し込む射出工程に適用される成形条件を算出するために使用される射出成形装置の成形条件算出方法およびその装置および成形条件算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形装置におけるキャビティ内圧力は、金型キャビティ内の任意位置における溶融樹脂の圧力であり、この圧力の時間変化を表すものをキャビティ内圧力履歴という。
【0003】
また、キャビティ内圧力は、溶融樹脂が金型キャビティ内部を進展するにつれて上昇する。
【0004】
そして、キャビティ内圧力の上昇速度はノズル流量Qinや充填済み部分の樹脂物性および流路厚みによって決定される。したがって、ノズル流量Qinが大きく、樹脂物性(粘度)が高く、流路厚みが狭ければ、上昇速度は速い。逆の場合には、上昇速度は遅い。
【0005】
また、射出成形装置においては、キャビティ内圧力に抗して金型を互いに押圧し、一体化しておくために型締め力を作用させることが必要であるが、この力は可能な限り小さいことが好ましい。実際の射出成形では、キャビティ内圧力履歴を基準値以下に抑えることにより、型締め力を抑えることができ、その結果、金型サイズの縮小、金型の軽量化、射出成形機の小形化を図る射出成形技術が提案されている。また、この射出成形技術によって、バリの発生を抑えるなど射出成形品の品質向上なども図れる。
【0006】
しかし、実際の射出成形装置では直接ノズル流量を制御することはできないため、解析に用いる入力値との差異が生じる。また、その検証は困難である。
【0007】
そこで、予め成形品の形状モデルによる溶融樹脂の流動解析を行うことで、金型キャビティ内における樹脂圧を解析し、この樹脂圧と予め設定した圧力との差異をなくするように溶融樹脂の射出速度(ノズル流量)を修正する技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−76320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述の特許文献1に記載の溶融樹脂の射出速度を制御する方法においては、キャビティ内部の基準圧力を設定し、計算により求めた型内樹脂圧が基準圧力を超えた場合に射出速度を修正するため、型内樹脂圧が基準圧力を超えるまでの初期部分の射出速度を制御することができない。そのため、ジェッティングと呼ばれる急激に型内樹脂圧が立ち上がる場合に発生する成形不良を抑えるような射出速度の制御を行うことができないという欠点がある。
【0009】
また、溶融樹脂の射出終了時点で、キャビティ内に適正以上の樹脂量が射出された場合、必要以上のキャビティ内圧力となるため、オーバーパックと呼ばれる成形不良を招く場合もある。このオーバーパックが発生した場合、成形品の重量が増大するとともに、成形品に歪が生じ、成形品の特性を阻害する虞がある。さらに、過剰な樹脂が型パーティクルライン(PL)部に入り込み、型を損傷させる可能性もある。
【0010】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、射出成形動作開始当初から成形条件を算出し、射出初期部分の射出速度を制御可能とする射出成形システムの成形条件算出方法およびその装置、さらにはその成形条件算出に用いるプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明によれば、溶融材料をスクリューの移動により金型キャビティ内部に射出して所要の成形品を成形する射出成形システムにおいて、初期成形条件の時間変化とキャビティ内部の任意位置における物理量の目標値の時間変化とを入力データとし、数値解析手法によって射出成形過程を解析して解析結果としての解析値を算出する解析値算出工程と、前記物理量の目標値の時間変化と前記解析値との比を用いて時間変化での初期成形条件の修正値を算出する成形条件修正工程とを有し、前記修正値を新たに初期成形条件として、前記解析値算出工程、および成形条件修正工程を反復することを特徴とする射出成形システムの成形条件算出方法が提供される。
【0012】
この場合において、初期成形条件の時間変化とキャビティ内部の任意位置での物理量の目標値の時間変化からなる入力データの組合せを少なくとも一つ有すればよい。
第2の発明によれば、溶融材料をスクリューの移動により金型キャビティ内部に射出して所要の成形品を成形する射出成形システムにおいて、初期成形条件の時間変化とキャビティ内部の任意位置における物理量の目標値の時間変化とを入力データとし、数値解析手法によって射出成形過程を解析して解析結果としての解析値を算出する解析値算出手段と、前記物理量の目標値の時間変化と前記解析値との比を用いて時間変化での初期成形条件の修正値を算出する成形条件修正手段と、前記修正値を新たに初期成形条件として、前記解析値算出手段、および成形条件修正手段を反復動作させる反復指示手段とを含むことを特徴とする射出成形システムの成形条件算出装置が提供される。
【0013】
ここで、数値解析手法としては、有限要素法、有限体積法、境界要素法などが例示できる。
【0014】
また、初期成形条件とは、成形開始初期の成形条件であり、スクリュー位置、充填率、ノズル流量などが例示できる。
【0015】
また、物理量としては、圧力や圧力変化率などが例示できる。
【発明の効果】
【0016】
本願発明によると、スクリューやプランジャー等の移動によって溶融材料を金型キャビティ内部に射出する射出成形動作開始当初から成形条件を算出し、射出初期部分の射出速度を制御可能とするため、キャビティ内部の圧力が急激に立ち上がる場合であっても、ジェッティングやオーバーパック等の成形不良の発生を抑えることができるという特有の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の射出成形装置の成形条件算出方法および装置および成形条件算出プログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は本願発明に係る射出成形装置の主要部を示す概略図である。
【0019】
図1において、射出成形装置10は、1対の金型1と、この金型1の内部に溶融樹脂を射出するための射出機構11とを有している。
【0020】
金型1は、可動型1aおよび固定型1bとを備え、この可動型1aおよび固定型1bが閉じ合わさった状態でその内部にキャビティ1cを形成する。また、可動型1aには、キャビティ1cと外部とを連通するスプルー4が形成されている。なお、スプルー4のキャビティ1c側の端部がゲート4aであり、シリンダー2側の端部がノズル4bである。
射出機構11は、溶融樹脂12を収容するシリンダー2と、このシリンダー2内を摺動自在に移動するスクリュー3とを備えており、このスクリュー3がシリンダー2内部の溶融樹脂12をシリンダー2の外部に押し出すように摺動することで、溶融樹脂12をシリンダー2からノズル4bを通して射出可能となっている。
【0021】
図2は、図1に示す射出成形装置を用いて成形品を成形するまでのプロセスを説明する概略図であり、図2中(A)は、ノズル4bより溶融樹脂がキャビティ1c内部に射出された後に、この射出された溶融樹脂が冷却されて成形品となった後に、金型1を開いて成形品を取り出すまでの工程を示している。
【0022】
より詳細には、ノズルより溶融樹脂がキャビティ1c内部に射出される溶融樹脂射出工程p1と、この射出後にノズル4bの圧力を一定に保持する保圧工程p2と、キャビティ1c内部の溶融樹脂を冷却する冷却工程p3と、金型1を開き、成形品を取り出して自然放冷を行う自然放冷工程p4とを有している。
【0023】
また、図2中(B)は、上記工程p1〜p4のプロセスに沿って、ノズル4bの内部圧力が変化する様を示すグラフである。
【0024】
図3は本発明の射出成形装置の成形条件算出方法の一実施形態を説明するフローチャートである。
【0025】
ステップSP1において、圧力計算を行うためのデータの一部として形状データの入力を行う。なお、形状データは、キャビティ1c内の成形品の形状を格子状に分割したメッシュによって再現したモデルである。
【0026】
次いで、ステップSP2において、圧力計算を行うためのデータの一部として成形条件データの入力を行う。なお、成形条件データは、射出工程の中で設定される条件を表すデータであり、樹脂温度[℃](ノズルを通して射出される溶融樹脂の温度)、金型温度[℃](制御された金型の温度)、ノズル流量[mm3/sec](単位時間当たりにノズルを通過する溶融樹脂の体積)、時間[sec](上記ノズル流量[mm3/sec]で溶融樹脂を金型キャビティ内に射出する時間)を含む。ただし、ノズル流量―時間に代えて充填率―時間を採用することができる他、スクリュー位置―射出速度を採用することもできる。これらは、何れも、ノズル流量―時間に変換することができる。また、使用される溶融樹脂の流動性、温度等の特性を表す樹脂物性データを含むことも可能である。
【0027】
次いで、ステップSP3において、圧力計算を行うためのデータの一部として境界条件の設定を行う。なお、境界条件は、初期入力条件でのノズル流量の時間変化Qin(t)である。
【0028】
次いで、ステップSP4において、形状データ、成形条件データ、および境界条件を用い、かつ従来公知の方法を用いてキャビティ1c内の所定の点の圧力計算を行う。
【0029】
次いで、ステップSP5において、キャビティ1c内の任意位置での物理量の目標値の時間変化(基準圧力履歴)Pa(t)が解析値Pa*(t)と等しいか否かを判定する。
【0030】
なお、キャビティ内の任意位置での物理量の時間変化は次のようにして得ることができる。
【0031】
キャビティ内の樹脂の流動状態を表す係数行列を[Aij]、任意位置での流量ベクトルを{qi}、任意位置での物理量ベクトルを{Pi}とすれば、任意位置での物理量ベクトル{Pi}は、次式によって計算することができる。
{Pi}=[Aij]-1{qi}
ここで、i,jは1,2,・・,a,・・,n(nは全解析点数)であり、Aijは樹脂物性(例えば、粘度)とキャビティの厚みとから算出されるものであり、代表的には、次式で定義される。
Aij=(キャビティの厚み)3/12/(粘度)
そして、Pa、Qinは、それぞれPi、qiの任意の1つである。
【0032】
したがって、物理量ベクトル{Pi}から任意の1つを選択することによって、キャビティ内の任意位置での物理量の時間変化を得ることができる。
【0033】
そして、キャビティ1c内の任意位置での物理量の目標値の時間変化Pa(t)が解析値Pa*(t)と等しくないと判定された場合には、ステップSP6において、境界条件の自動修正を行い、再びステップSP4の処理を行う。なお、境界条件の自動修正は、Qin*(t)=(Pa(t)/Pa*(t))×Qin(t)の演算により行う。
【0034】
したがって、キャビティ1c内の任意位置での物理量の目標値の時間変化Pa(t)が解析値Pa*(t)と等しいと判定されるまで、ステップSP6における境界条件の自動修正を反復する。
【0035】
ステップSP5において、キャビティ1c内の任意位置での物理量の目標値の時間変化Pa(t)が解析値Pa*(t)と等しいと判定された場合には、ステップSP7において、従来公知の方法を用いて温度計算を行う。
【0036】
次いで、ステップSP8において、従来公知の方法を用いてフローフロントの進展を行う。
【0037】
次いで、ステップSP9において、従来公知の方法を用いて溶融樹脂の充填が完了したか否かを判定する。
【0038】
溶融樹脂の充填が完了していないと判定された場合には、再びステップSP3の処理を行う。
【0039】
ステップSP9において、溶融樹脂の充填が完了したと判定された場合には、一連の処理を終了する。
【0040】
したがって、上記の一連の処理、判定を行うことによって、射出成形動作開始当初から適正な成形条件を算出することができ、急激に圧力が立ち上がる場合であっても、ジェッティングなどの成形不良の発生を抑えることができる。
【0041】
図4は本発明の射出成形装置の成形条件を算出する成形条件算出装置の一実施形態を示すブロック図である。この成形条件算出装置は、図2の溶融樹脂射出工程p1に適用されるものである。
【0042】
この成形条件算出装置は、形状データ入力、成形条件データ入力、境界条件設定などを行うための、キーボード、マウス等からなる入力装置11と、入力データを保持する入力データ用メモリ12と、基準圧力履歴を保持する基準圧力履歴用メモリ13と、従来公知の方法を用いて金型内の所定の点の圧力を計算する圧力計算部14と、計算された圧力が基準圧力履歴と一致しないことに応答して、Qin*(t)=(Pa(t)/Pa*(t))×Qin(t)の演算を行って境界条件を修正する境界条件修正部15と、従来公知の方法を用いて樹脂温度を計算する温度計算部16と、従来公知の方法を用いるフローフロント進展部17と、従来公知の方法を用いて充填完了か否かを判定し、充填完了でないと判定したことに応答して、修正された境界条件を新たな基準境界条件として圧力計算部4に供給する充填完了判定処理部18とを有している。
【0043】
そして、境界条件修正部15により修正された境界条件を実現すべく、スクリュー3(図1参照)の移動を制御する。
【0044】
上記各部は、図3のフローチャートの対応するステップの処理に対応するものであり、コンピュータにより実行されるソフトウエアによって実現可能である。ただし、同様の機能を達成するハードウエアにより構成することも可能である。
【実施例1】
【0045】
図5は、ノズルからスプルーを通して直方体状のキャビティに溶融樹脂を射出する状態を示す概略図である。図6は、本願発明の方法で溶融樹脂の射出を制御した場合におけるノズル流量の時間変化Qin(t)を示すグラフである。図7は、本願発明の方法で溶融樹脂の射出を制御した場合において、ゲートからキャビティの長手方向に12.5mmだけ離れた点Aにおける圧力の時間変化Pa(t){図中(A)参照}、および点Aにおける基準圧力{図中(B)参照}を示すグラフである。図8は、本願発明の方法で溶融樹脂の射出を制御した場合における樹脂の充填パターンを示す図である。図9は、特開平9−76320号公報の方法で溶融樹脂の射出を制御した場合におけるノズル流量の時間変化Qin(t)を示す図である。図10は、特開平9−76320号公報の方法で溶融樹脂の射出を制御した場合において、ゲートからキャビティの長手方向に12.5mmだけ離れた点Aにおける圧力の時間変化Pa(t)を示す図である。図11は、特開平9−76320号公報の方法で溶融樹脂の射出を制御した場合における樹脂の充填パターンを示す図である。
【0046】
図5に示すように、キャビティのサイズが50mm×30mm×1mmであり、スプルーの長さが50mm、直径が2mmであり、充填時間が0.5secであり、金型温度が80℃であり、樹脂としてPA66(CM3001G30、東レ株式会社製)を使用し、樹脂温度が280℃である場合において、本願発明方法を採用した場合には、ノズル流量の時間変化Qin(t)が、図6に示すように、フィードバック制御を行わなかった場合のように当初のノズル流量がそのまま保持される{図6中(B)参照}のではなく、フィードバック制御を行うことによってノズル流量が適正流量に向かって減少し{図6中(A)参照}、ゲートから12.5mmの点Aにおける圧力の時間変化Pa(t)が、図7に示すように、フィードバック制御を行わなかった場合のように圧力が急激に上昇する{図7中(B)参照}のではなく、フィードバック制御を行うことによって圧力が徐々に上昇する{図7中(A)参照}ようになった。
【0047】
図6中、図7から分かるように、本願発明方法を採用した場合には、射出成形動作開始当初からノズル流量Qin(t)を適正に変化させて、点Aにおける圧力を基準圧力{図7中(C)参照}に近似させることができる。
【0048】
また、樹脂の充填パターン(フローフロント進展)は図8に示すようになり、後述する図11の充填パターンと比較して優れた充填パターンを示していることが分かる。
【0049】
この結果、ジェッティングなどの成形不良の発生を抑えることができる。
【0050】
これに対して、特開平9−76320号公報に記載された方法を採用した場合には、ノズル流量の時間変化Qin(t)が図9に示すようになり、ゲートから12.5mmの点Aにおける圧力の時間変化Pa(t)が図10に(A)で示すようになった。
【0051】
図9、図10から分かるように、射出成形動作開始当初はノズル流量Qin(t)を全く変化させていないので、点Aにおける圧力が基準圧力{図10中(C)参照}を大幅に超えて増加している。
【0052】
また、樹脂の充填パターン(フローフロント進展)は図11に示すようになり、優れた充填パターンではないことが分かる。
【0053】
この結果、ジェッティングなどの成形不良の発生の可能性が高くなる。
【0054】
したがって、本発明が優れていることが、実施例1から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】射出成形装置の主要部を示す概略図である。
【図2】図1の射出成形装置による射出成形プロセスを説明する概略図である。
【図3】本発明の射出成形装置の成形条件算出方法の一実施形態を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の射出成形装置の成形条件算出装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図5】本発明の射出成形装置の一実施例を示す概略図である。
【図6】本発明方法によるノズル流量の時間変化の一例を示す図である。
【図7】本発明方法による点Aの圧力の時間変化の一例を示す図である。
【図8】本発明方法による充填パターンの一例を示す図である。
【図9】従来方法によるノズル流量の時間変化の一例を示す図である。
【図10】従来方法による点Aの圧力の時間変化の一例を示す図である。
【図11】従来方法による充填パターンの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
14 圧力計算部
15 境界条件修正部
16 温度計算部
17 フローフロント進展部
18 充填完了判定処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融材料をスクリューの移動により金型キャビティ内部に射出して所要の成形品を成形する射出成形装置において、初期成形条件の時間変化とキャビティ内部の任意位置における物理量の目標値の時間変化とを入力データとし、数値解析手法によって射出成形過程を解析して解析結果としての解析値を算出する解析値算出工程と、前記物理量の目標値の時間変化と前記解析値との比を用いて時間変化での初期成形条件の修正値を算出する成形条件修正工程とを有し、前記修正値を新たに初期成形条件として、前記解析値算出工程、および成形条件修正工程を反復することを特徴とする射出成形装置の成形条件算出方法。
【請求項2】
初期成形条件の時間変化とキャビティ内部の任意位置での物理量の目標値の時間変化からなる入力データの組合せを少なくとも一つ有することを特徴とする請求項1に記載の射出成形システムの成形条件算出方法。
【請求項3】
溶融材料をスクリューの移動により金型キャビティ内部に射出して所要の成形品を成形する射出成形装置において、初期成形条件の時間変化とキャビティ内部の任意位置における物理量の目標値の時間変化とを入力データとし、数値解析手法によって射出成形過程を解析して解析結果としての解析値を算出する解析値算出手段(4)と、前記物理量の目標値の時間変化と前記解析値との比を用いて時間変化での初期成形条件の修正値を算出する成形条件修正手段(5)と、前記修正値を新たに初期成形条件として、前記解析値算出手段、および成形条件修正手段を反復動作させる反復指示手段(8)とを含むことを特徴とする射出成形装置の成形条件算出装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2の各工程をコンピュータに実行させて射出成形装置の成形条件を算出するためのプログラム。
【請求項1】
溶融材料をスクリューの移動により金型キャビティ内部に射出して所要の成形品を成形する射出成形装置において、初期成形条件の時間変化とキャビティ内部の任意位置における物理量の目標値の時間変化とを入力データとし、数値解析手法によって射出成形過程を解析して解析結果としての解析値を算出する解析値算出工程と、前記物理量の目標値の時間変化と前記解析値との比を用いて時間変化での初期成形条件の修正値を算出する成形条件修正工程とを有し、前記修正値を新たに初期成形条件として、前記解析値算出工程、および成形条件修正工程を反復することを特徴とする射出成形装置の成形条件算出方法。
【請求項2】
初期成形条件の時間変化とキャビティ内部の任意位置での物理量の目標値の時間変化からなる入力データの組合せを少なくとも一つ有することを特徴とする請求項1に記載の射出成形システムの成形条件算出方法。
【請求項3】
溶融材料をスクリューの移動により金型キャビティ内部に射出して所要の成形品を成形する射出成形装置において、初期成形条件の時間変化とキャビティ内部の任意位置における物理量の目標値の時間変化とを入力データとし、数値解析手法によって射出成形過程を解析して解析結果としての解析値を算出する解析値算出手段(4)と、前記物理量の目標値の時間変化と前記解析値との比を用いて時間変化での初期成形条件の修正値を算出する成形条件修正手段(5)と、前記修正値を新たに初期成形条件として、前記解析値算出手段、および成形条件修正手段を反復動作させる反復指示手段(8)とを含むことを特徴とする射出成形装置の成形条件算出装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2の各工程をコンピュータに実行させて射出成形装置の成形条件を算出するためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−198796(P2006−198796A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10325(P2005−10325)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】
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