説明

導光装置及びプロジェクタ

【課題】 光源装置から射出される光線束をより多く取り込み、光軸となす角度が大きい光線束も緩やかな角度の光線束として出射可能な導光装置と当該導光装置を用いたプロジェクタを提供すること。
【解決手段】 本発明の導光装置224は、外形が直方体形状で内部が空洞の筒状のライトトンネル240と、ガラスロッド242とを備え、ライトトンネル240は、開口部の一端を入射口246、他端を出射口側端247とし、内表面に反射面241を有して内部空間を導光路とされ、ガラスロッド242は入射口246側から出射口側端247側に向かって末広がりの傾斜部243を有し、ライトトンネル240の導光路内に傾斜部243を配置してガラスロッド242の底面を光射出口とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光装置及び当該導光装置を用いたプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータの画面表示画像やビデオ映像などをスクリーンに投影する画像投影装置としてデータプロジェクタが多用されている。このプロジェクタは、高輝度の光源が用いられ、メタルハイランドランプや超高圧水銀ランプなどの小型高輝度の放電ランプにリフレクタとしての凹面反射鏡を取り付けたランプユニットをプロジェクタの光源装置としてプロジェクタに組み込むことが多い。
【0003】
そして、このランプユニットでは、回転放物線状のリフレクタ又は回転楕円面状のリフレクタを用いたものが多く用いられ、リフレクタの楕円焦点に高輝度の放電ランプを設置し、前方及び後方に向けて射出された光をこの回転放物線又は回転楕円面のリフレクタで反射させ、ライトトンネルや導光ロッド等の導光装置に集光するものとしている。
【0004】
そして、超高圧水銀ランプなどの高輝度の放電ランプを内蔵した光源装置からの光を、赤色フィルタ、緑色フィルタ、青色フィルタからなり、毎秒120回の回転速度で回転するカラーホイールを用いて赤色、緑色、青色の光とし、この赤色、緑色、青色の光を導光ロッド等を通した後、レンズにより一般的にはDMDと呼ばれるマイクロミラー表示素子に集光させ、この表示素子によりプロジェクタ装置の投影口に向けて反射させるオン状態の光の量によってスクリーン上にカラー画像を表示させるものである。
【0005】
ここでDMDとは、微小なミラーセルを制御信号により揺動させ、反射光の方向を制御し、光源側光学系により表示素子に入射された光を投影側光学系である投影レンズの方向に反射するオン状態光と光吸収板の方向に反射するオフ状態光とし、赤色光、緑色光、青色光の光をオン状態とする時間を制御してスクリーンにカラー画像を投影するものである。
【0006】
このようなプロジェクタの光源側光学系は、光を集光させるリフレクタを備える光源装置や、カラーホイール、光を均一化させるライトトンネルや導光ロッド等の導光装置と光源側レンズ群で構成されている。
【0007】
この導光装置に関しては、光をより均一化して射出するために、多くの発明がなされている。例えば、特開2003−57514号公報では、四角柱とされた中実のガラスロッドの出射口近傍に内面を反射面とする中空の四角形筒状体を組み合わせた導光装置の提案がされている。この提案では、様々な角度で入射した光を導光装置により光量の減衰を抑制しつつ光束密度の均一化をはかることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−57514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の導光装置では、表示素子に光を照射するための光源側レンズ群や表示素子で反射された光をスクリーンに投影する投影側光学系等の投影レンズの開口率の関係上、投影レンズに取り込める照明光束の角度には制限があるため、導光装置の端面から出射した光束のうち、光軸となす角度の大きな光線束を利用するためには導光装置以降の光学系の組み合わせが複雑となり、実際には利用できずに無駄な光線束となってしまうといった問題点があった。
【0010】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、光源装置から射出される光線束をより多く取り込み、光軸となす角度が大きい光線束も緩やかな角度の光線束として光射出口より出射可能な導光装置と当該導光装置を用いたプロジェクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の導光装置(224)は、外形が直方体形状で内部が空洞の筒状のライトトンネル(240)と、ガラスロッド(242)とを備え、ライトトンネル(240)は、開口部の一端を入射口(246)、他端を出射口側端(247)とし、内表面に反射面(241)を有して内部空間を導光路とし、ガラスロッド(242)は入射口(246)側から出射口側端(247)側に向かって末広がりの傾斜部(243)を有し、ライトトンネル(240)の導光路内に傾斜部(243)を配置してガラスロッド(242)の底面を光射出口とするものである。
【0012】
そして、傾斜部(243)は、光軸を含む水平面に対し上下対称且つ光軸を含む垂直面に対し左右対称とするものである。
又、ガラスロッド(242)は、傾斜部(243)の底部に角柱部(244)を設ける場合があり、ライトトンネル(240)内の反射面(241)は、入射口(246)側から傾斜部(243)の途中までの間に形成することもある。
【0013】
更に、ガラスロッド(242)は四角錐台形状とし、中心軸が光軸線上に位置するように配置し、上面を入射口(246)と略同一面上に配置し、且つ、底面をライトトンネル(240)の出射口側端(247)と略同一面上に配置し、当該底面をライトトンネル(240)の出射口側端(247)と同一の大きさとすることもある。
又、傾斜部の入射口(246)側端部近傍は、傾斜角の大きい先端部(245)とすることもある。
【0014】
そして、本発明のプロジェクタは、光源装置(210)と、光源側光学系(220)と、投影画像を生成する表示素子(230)と、投影画像を投影する投影側光学系(250)と、プロジェクタ制御手段(181)とを備え、光源側光学系(220)は、カラーホイール(221)と、導光装置(224)と、光源側レンズ群(226)と、ミラー(228)とを備え、導光装置(224)としては、上述したような種々のガラスロッド(242)とライトトンネル(240)とを組み合わせたものを用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光源装置から射出される光線束を取り込み、光軸となす角度が大きい光線束も緩やかな角度の光線束として光射出口より射出可能な導光装置とし、導光装置を透過した光を効率的に表示素子に照射することを可能とし、明るい画像の投影可能なプロジェクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るプロジェクタの斜視図。
【図2】本発明に係るプロジェクタの上面を取り除いた平面図。
【図3】本発明に係る導光装置のガラスロッドの先端が点である実施例を示す斜視図。
【図4】本発明に係る導光装置のガラスロッドの先端が線状である実施例を示す斜視図。
【図5】本発明に係る導光装置の反射経路を模式的に示す図。
【図6】本発明に係る導光装置のガラスロッドの先端が点である他の例を示す斜視図。
【図7】本発に係る導光装置のガラスロッドの先端が線状である他の例を示す斜視図。
【図8】本発明に係る導光装置のガラスロッドの他の形状を示す斜視図。
【図9】本発明に係る導光装置のガラスロッドの更に他の形状を示す斜視図。
【図10】本発明に係る導光装置のガラスロッドの別の形状を示す斜視図。
【図11】本発明に係る導光装置のガラスロッドの更に別の形状を示す斜視図。
【図12】本発明に係る導光装置のガラスロッドの先端を面とした形状を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態のプロジェクタ100は、光源装置210と、光源側光学系220と、投影画像を生成する表示素子230と、投影画像を投影する投影側光学系250と、プロジェクタ制御手段181とを備え、光源側光学系220は、カラーホイール221と、導光装置224と、光源側レンズ群226と、ミラー228とを備えている。
【0018】
そして、導光装置224は、外形が直方体形状で内部が空洞の筒状のライトトンネル240と、ガラスロッド242とを備え、ライトトンネル240は、開口部の一端を入射口246、他端を出射口側端247とし、内表面に反射面241を有して内部空間を導光路としている。
【0019】
又、ガラスロッド242は、入射口246側から出射口側端247側に向かって末広がりの傾斜部243を有し、中心軸が光軸線上に位置するようにライトトンネル240の導光路内に傾斜部243が配置されており、ガラスロッド242の先端は入射口246と略同一面上に配置され、底面は出射口側端247と略同一面上に配置されている。
【0020】
本最良の形態によれば、光源装置から射出される光線束を取り込み、光軸となす角度が大きい光線束も緩やかな角度の光線束として光射出口としたガラスロッドの底面から射出することのできる導光装置を備え、明るい投影画像を形成可能なプロジェクタとすることができる。
【実施例】
【0021】
本発明に係るプロジェクタは、プロジェクタ制御手段としてのマイクロコンピュータを内蔵し、図1に示すように、略直方体とされるケースの前面パネル120にはレンズカバー121を備えた投影口123を有し、ケースの上面パネル110には電源スイッチ111としてのキーや手動画質調整キー113、自動画質調整キー114、電源ランプインジケータ112、光源ランプインジケータ115、過熱インジケータ116などのキー及びインジケータ類、スピーカを内側に配置した拡声穴118や開閉蓋119を有し、図示しない背面パネルには電源コネクタやパーソナルコンピュータと接続するUSB端子、画像信号入力用のビデオ端子やミニD−サブ端子などの各種信号入力端子を有するプロジェクタ100である。
【0022】
そして、上面の開閉蓋119の内部には、画質や画像の微調整及びプロジェクタ100の各種動作設定を行うサブキーを有し、ケースの左側面パネルには吸気口が、右側面パネル140には排気口145が設けられ、内部に冷却ファンを有するものである。
【0023】
又、底面パネルの前方には突出量を調整可能とした前足部材170を有し、底面パネルの後方左右には固定式の後足部材175を有し、前足部材170の突出量を調整してプロジェクタ100の前方高さを変化させ、スクリーンの高さにあわせた画像の投影を可能としているものである。
【0024】
そして、このプロジェクタ100の内部には、図2に示すように、超高圧水銀ランプなどの放電ランプ211を内蔵する光源装置210、及び、光源側光学系220としてカラーホイール221や導光装置224、照明側光学系として複数枚の光源側レンズ群226と1枚のミラー228を有するものである。
【0025】
更に、ランプ電源回路187やプロジェクタ制御手段181を取り付けた回路基板180、光源装置210からの射出光を表示素子230に照射する光源側光学系220、及び、複数の画素を行方向及び列方向にマトリクス状に配列して入射した光の反射を制御することにより画像を表示する表示素子230、更に、表示素子230からの射出光をスクリーン等の投影面に投影する投影側光学系250である固定レンズ群253や可動レンズ群255を組み込んだプロジェクタ100である。
【0026】
この回路基板180には、マイクロコンピュータによるプロジェクタ制御手段181が設けられ、この制御手段181により、プロジェクタ内の各回路の動作制御を行い、電源スイッチ111がオン状態とされると光源装置210の放電ランプ211を点灯させると共に、冷却ファン190を放電ランプ211の出力や冷却ファン190のファン形状及び配置などに合わせた定格速度で駆動させ、左側面パネル150の吸気口155から外気を取り入れ、右側面パネル140の排気口145から内部の空気を排出しつつプロジェクタ100をスタンバイ状態とするものである。
【0027】
そして、放電ランプ211の温度が所定温度に上昇して発光が安定すると、画像信号の入力による画像の投影を可能とするものである。
又、電源スイッチ111がオフ状態とされると放電ランプ211を消灯すると共に、タイマーにより数分間程度の所定時間だけ冷却ファン190の駆動を持続させてプロジェクタ100の内部を冷却した後に全ての動作を停止させる等の制御も行なうものである。
【0028】
そして、表示素子230は、カラーフィルターのような入射光を着色する手段を備えない表示素子230であり、この実施例では、一般にDMD(Digital Micromirror Device)と略称されるマイクロミラー表示素子を用いている。このマイクロミラー表示素子の横と縦の比は通常4:3とされている。
【0029】
このマイクロミラー表示素子は、その正面方向に対して一方向に傾いた入射方向から入射した光を、複数のマイクロミラーの傾き方向の切換えにより正面方向のオン状態光線と斜め方向のオフ状態光線とに分けて反射することにより画像を表示するものであり、一方の傾き方向に傾動されたマイクロミラーに入射した光をこのマイクロミラーにより正面方向に反射するオン状態光線とし、他方の傾き方向に傾動されたマイクロミラーに入射した光をこのマイクロミラーにより斜め方向に反射してオフ状態光線とすると共に、このオフ状態光線を吸光板で吸収し、正面方向への反射による明表示と、斜め方向への反射による暗表示とにより画像を表示するものである。
【0030】
そして、光源装置210は、内部に放電ランプ211を備え、内面が反射面とされる楕円球面形状のリフレクタと、このリフレクタの前方にリフレクタ前方の開口を塞ぐように防爆面が設置されるものであり、放電ランプ211はランプ電源回路187から電源を供給可能に導線により接続され、放電ランプ211が発光してリフレクタの反射面により反射して、光源装置210の前方に光を照射するものである。
【0031】
又、光源装置210からの射出光をマイクロミラー表示素子230に入射させる光源側光学系220は、カラーホイール221や導光装置224、複数枚のレンズである光源側レンズ群226、及び、ミラー228で構成している。このカラーホイール221は薄肉円盤状であり、光源装置210からの射出光を順次着色するためのカラーフィルターを平面上に有している。
【0032】
又、導光装置224は、カラーホイール221の射出側に入射面を対向させる位置として配置し、入射口から入射した光を導光装置224の内周面の反射面により反射しながら導いて光射出口から均一な強度分布の光として射出するものである。
【0033】
そして、光源側光学系220のミラー228は、光源装置210から射出され、カラーホイール221と導光装置224と光源側レンズ群226とを透過した光を、表示素子230に向けて反射することにより表示素子230にその正面方向に対して一方の方向に傾いた方向から光を投射するものである。
【0034】
又、投影側光学系250は、固定レンズ群253を内蔵する固定鏡筒と、この固定鏡筒に係合され、回転操作により軸方向に進退移動可能とされる可動レンズ群255を内蔵する可動鏡筒とを備え、これらの鏡筒内に組み込まれた複数枚のレンズの組み合わせによりズームレンズを形成する投影側光学系250としているものである。
【0035】
このように、このプロジェクタ100は、光源装置210から光を一方向に射出させ、光源側光学系220のカラーホイール221を高速で回転駆動させることにより、光源装置210から光源側光学系220に入射した光を、カラーホイール221により順次着色し、さらに導光装置224のライトトンネル240により強度分布を均一にして、光源側光学系220としての光源側レンズ群226及びミラー228により表示素子230に向けて投射するものである。
【0036】
そして、電源投入時から所定時間が経過して光源装置210からの光が安定すると、カラーホイールを透過することで着色された各色の光の投射周期に同期させて表示素子230に各色の単色画像データを順次書込むことにより、表示素子230の正面方向に反射するオン状態光線により表示素子230に各色の単色画像を順次形成させ、表示素子230から順次射出する各色の単色画像光を、投影側光学系250のレンズ群253、255により拡大して投影面に投影するものであり、投影面に、各色の3色の単色画像が重なったフルカラー画像を表示するものである。
【0037】
そして、本実施例の導光装置224は、図3、図4に示すように、外形が直方体形状で、内部も同様に直方体形状の空洞とされる筒状のライトトンネル240と、ライトトンネル240の内部に配置された屈折率が空気より大きなガラスロッド242とを有している。
【0038】
このライトトンネル240は、外形状が直方体形状で内部が空洞の筒状であり、開口部の一端を入射口246、他端を出射口側端247とし、内表面には反射面241を備えており、内表面に反射面241を形成することにより内部空間を導光路としている。
又、ライトトンネル240の両端開口部は、マイクロミラー表示素子の形状にあった光線束を射出するために、マイクロミラー表示素子の横と縦の比と同様に略4:3の比率で成形されている。
【0039】
そして、ガラスロッド242は、入射口246側から出射口側端247の方向に向かって末広がりの傾斜部243を有した形状であり、ライトトンネル240の導光路内に傾斜部243を配置するものである。
この傾斜部243は、光軸を含む水平面に対し上下対称且つ光軸を含む垂直面に対し左右対称に成形されている。
【0040】
この図3に示した導光装置224のガラスロッド242は、四角錐形状であり、底面はライトトンネル240の出射口側端247と同一の寸法で同一の形状に成形されており、光源装置からの射出光の光軸上にガラスロッド242の中心軸が位置し、ガラスロッド242の先端は入射口246と略同一面上に位置し、底面は出射口側端247と略同一面上に位置し、ライトトンネル240の入射口246から出射口側端247までの長さとガラスロッド242の底面から先端までの高さを同一としている。
【0041】
又、図4に示す導光装置224のガラスロッド242は、ガラスロッド242の傾斜部243における上下の斜面が光軸と交わる角、及び、ガラスロッド242の傾斜部243における左右の斜面が光軸と交わる角の全てを同一の角度として成形しており、ガラスロッド242の先端は横に伸びた線状となっている。
【0042】
そして、光源装置210からの射出光の光軸上にガラスロッド242の中心軸が位置し、ガラスロッド242の先端は入射口246と略同一面上に配置し、底面は出射口側端247と略同一面上に配置し、ライトトンネル240の入射口246から出射口側端247までの長さとガラスロッド242の底面から先端までの高さを略同一としている。
【0043】
この図4に示すガラスロッド242のように、ガラスロッド242の上下左右の斜面と光軸の開き角を同一に成形することで、先端を点とした図3に示すガラスロッド242と比較して、ガラスロッド242の上下の方向に射出される光線束と、左右の方向に射出される光線束の拡散の角度を同一とすることができる。
【0044】
これらのような傾斜部243を有するガラスロッド242がライトトンネル240に挿入された導光装置224では、図5に示すように、入射口246から入射した入射光は、まずガラスロッド242の傾斜部243の斜面に入射し、入射した光線は屈折して傾斜部243内に侵入し、光軸との開き角の大きい光はもう一方の斜面から射出される。このとき、光軸と光線のなす角はガラスロッド242の屈折率が空気より大きいため、傾斜部243への入射光の光軸に対する開き角よりも傾斜部243から出射される光の光軸に対する開き角が小さくなる。
【0045】
そして、ガラスロッド242の傾斜部243を透過した光は反射面241で反射されて再びガラスロッド242の傾斜部243の斜面より傾斜部243の内部へ入射される。
このようにガラスロッド242を透過する光は、ガラスロッド242への入射と出射を繰り返すうちに光軸に対する開き角が小さくなり、ガラスロッド242に侵入した光が傾斜部243の斜面に対して臨界角に達するようになり、ガラスロッド242の内部で全反射を生じるようになる。
【0046】
そして全反射により光軸とのなす角が更に小さくなり、ガラスロッド242の底面から外部に射出される。
又、ガラスロッド242の傾斜部243における対向する斜面で全反射を繰り返すことにより入射口246より入射した光線束の光軸とのなす角が小さくなる光は、開口の大きさに対してガラスロッド242の長さが長いほど、光軸とのなす角度を小さくする効果が大きくなる。
【0047】
更に、入射角度の緩い光線は傾斜部243を透過する回数が少なく、比較的入射口246の近傍、すなわちガラスロッド242の細い部分で全反射を開始するため光量損失を減少させる重畳効果がある。
【0048】
尚、入射光束の角度を出射側で小さくするには、本実施例のようにガラスロッド242を用いずに、ライトトンネル240の入射面側が縮小されるようにライトトンネル240の反射面を末広がりにすることで実現できるが、これでは入射光束を取り込む入射口246の面積が小さくなるため、光源装置210のリフレクタから出射された光線束のサイズより入射口246のサイズが小さくなってしまい、導光装置224内に取り込むことができない光線束が発生し、利用できない光線束が発生してしまうため結果として有効な光線束が増えることはない。
【0049】
そして、傾斜部243を備えたガラスロッド242をライトトンネル240内に配置する導光装置224では、導光装置224内に入射した光線束が全てガラスロッド242の臨界角に達して全反射を開始した後は、ガラスロッド242の外部に光が漏れることはなくなるため、全ての入射光がガラスロッド242内部で全反射を開始した後はライトトンネル240内の反射面241は不要となる。
【0050】
従って、図6、図7に示すように、ライトトンネル240内の反射面241を入射口246側から傾斜部243の途中までの間に成形したものを用いることもでき、ガラスロッド242の中心軸が光軸線上にくるようにライトトンネル240の導光路内に配置するものであって、ガラスロッド242の固定具をライトトンネル240の反射面241を形成しない部分に内装することや、反射面241を全長に亘って形成したライトトンネル240であってガラスロッド242よりも短いライトトンネル240とし、ガラスロッド242とライトトンネル240とを個別の支持具で支持することもできる。
【0051】
このような導光装置224とすることにより、光軸となす角が大きな入射光を、導光路内で光軸となす角度を小さくしてガラスロッド242の底面である光射出口より射出することができ、又、光軸となす角が小さな入射光は全反射を早く開始させてライトトンネル240の内面での反射を少なくし、光射出口より射出する光量均一効果の効率を上げることができる。
【0052】
又、導光装置224の他の形状として、図8、図9に示すように、上述した図3、図4に示すガラスロッド224の傾斜部243の出射口側端部にライトトンネル240の内形形状と略同一の角柱部244を成形したものを用いることもできる。
【0053】
ここで、図8、図9に示す両導光装置224は、ガラスロッド242の先端をガラストンネル240の入射口246と略同一面上に配置し、角柱部244の底面はライトトンネル240の出射口側端247と略同一面上に位置させるものであるも、ガラスロッド242の底面を出射口側端247よりも突出させることもある。
【0054】
このようにガラスロッド242を傾斜部243と角柱部244とから成形することで、ライトトンネル240の内表面とガラスロッド242との接触面を確保し、ライトトンネル240とガラスロッド242との固定を強固なものとすることができる。
【0055】
そして、このような導光装置224を用いても、ガラスロッド242が入射口246側から出射口側端247側に向かって末広がりの傾斜部243を有しているため、上述した導光装置224と同様に、光軸となす角が大きな入射光を導光路内で光軸となす角度を小さくしてガラスロッド242の底面より射出することでき、又、光軸となす角が小さな入射光の反射回数を少なくし、光射出口より射出する光量均一効果の効率が上がるという効果もあり、更に、ガラスロッド242における傾斜部243の底部に角柱部244を有しているためガラスロッド242とライトトンネル240との取り付け強度も増すことになる。
【0056】
又、更に他の形状のガラスロッド242を備える導光装置224として、図10、図11に示すように、傾斜部243における入射口246側の端部近傍を傾斜角の大きい先端部245として成形するものもある。
この導光装置224も、ガラスロッド242の中心軸が光軸線上に位置するようにライトトンネル240の導光路内に配置し、ガラスロッド242の先端はライトトンネル240の入射口246と略同一面上に配置し、底面は出射口側端247と略同一面上に配置している。
【0057】
このような形状の導光装置224によれば、入射口246より入射した光はまず傾斜角の大きい先端部245に入射し、この先端部245で急激に光軸となす角度を緩やかに変換され、その後傾斜角が緩やかな傾斜部243で光軸となす角度を緩やかにされると共に均一化した光線束とされ、この均一化された光線束がガラスロッド242の底面である光射出口から射出される。
【0058】
そして、このような形状の導光装置224を用いた場合においても、ガラスロッド242が入射口246側から出射口側端247側に向かって末広がりの傾斜部243を有しているため、上述した導光装置224と同様に、光軸となす角が大きな入射光を、導光路内で光軸となす角度を小さくして光射出口より射出することでき、又、光軸となす角が小さな入射光はライトトンネル240の内面での反射回数を少なくし、光射出口より射出する光量均一効果の効率が上がるという効果がある。更に、傾斜部243と傾斜角が大きな先端部245とを有するため、光軸となす角が大きな入射光も素早く緩やかな角度に変換することができる。
【0059】
尚、図10に示したガラスロッド242は、傾斜部243及び先端部245が共に四角錐形状の斜面で形成され、図11に示すガラスロッド242は、傾斜部243の上下左右の斜面が光軸と交わる角度を全て同一とし、且つ、先端部245の上下左右の斜面が光軸と交わる角度も全て同一としているものである。
【0060】
更に導光装置224の別の形状としては、図12に示すように、四角錐台形状のガラスロッドを上述したライトトンネル240の内部に配置したものを用いることができる。
ここで、ガラスロッド240の上面はガラストンネル240の入射口246と略同一面上に配置し、底面は出射口側端247と略同一面上に配置している。
尚、先端部の形状はマイクロミラー表示素子の形状と同様横と縦の比が略4:3となるように成形されている。
【0061】
このように、四角錐台形状のガラスロッド242を用いることで、上述したような先端が尖っているものや線状となっているガラスロッド242に比べて先端が壊れにくく、又、先端が平面となっているため安全性も高くなる。更に、先端が平面となっているため製造も容易となる。
【0062】
そして、このような形状の導光装置224を用いても、ガラスロッド242が入射口246側から出射口側端247の方向に向かって末広がりの傾斜部243を有しているため、上述した導光装置224と同様、光軸となす角が大きな入射光を、導光路内で光軸となす角度を小さくして光射出口より射出することできる。
【0063】
尚、図面に示した各実施例のガラスロッド242は、角錐形状や角錐台形状のように全体が傾斜部243とされるものや、傾斜部243の底部に角柱部244を有するものや、傾斜部243の傾斜角を中間で変化させて先端部245を有するもの等を個別に例示しているも、角錐台形状のガラスロッド242や先端部245を有するガラスロッド242であって出射口側端247方向に角柱部244を有するものとすることや、角錐台形状であっても先端近くの傾斜角を大きくする場合等の組み合わせとすることもある。
【0064】
そして、本発明は、以上の実施例の形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0065】
100 プロジェクタ 110 上面パネル
111 電源スイッチ 112 電源ランプインジケータ
113 手動画質調整キー 114 自動画質調整キー
115 光源ランプインジケータ 116 加熱インジケータ
118 拡声穴 119 開閉蓋
120 前面パネル 121 レンズカバー
123 投影口 130 後面パネル
140 右側面パネル 145 排気口
150 左側面パネル 155 吸気口
160 底面パネル 170 前足部材
175 後足部材 180 回路基板
181 プロジェクタ制御手段 187 ランプ電源回路
190 冷却ファン 210 光源装置
211 放電ランプ 220 光源側光学系
221 カラーホイール 222 ホイールモータ
224 導光装置 226 光源側レンズ群
228 ミラー 230 表示素子
240 ライトトンネル 241 反射面
242 ガラスロッド 243 傾斜部
244 角柱部 245 先端部
246 入射口 247 出射口側端
250 投影側光学系 253 固定レンズ群
255 可動レンズ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が直方体形状で内部が空洞とされた筒状のライトトンネルと、ガラスロッドとを備え、
前記ライトトンネルは、開口部の一端を入射口とし、他端を出射口側端とし、内表面に反射面を有して内部空間を導光路とし、
前記ガラスロッドは前記入射口側から前記出射口側端方向に向かって末広がりの傾斜部を有し、前記ライトトンネルの導光路内に傾斜部を配置してライトトンネルの底面を光射出口としていることを特徴とする導光装置。
【請求項2】
前記傾斜部は、光軸を含む水平面に対し上下対称且つ光軸を含む垂直面に対し左右対称であることを特徴とする請求項1に記載の導光装置。
【請求項3】
前記ガラスロッドは、前記傾斜部の底部に角柱部を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導光装置。
【請求項4】
前記ライトトンネル内の反射面は、前記入射口から傾斜部の途中までの間に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の導光装置。
【請求項5】
前記ガラスロッドは四角錐台形状であり、中心軸が光軸線上に位置するように配置され、上面が前記入射口と略同一面上に位置し、底面が前記ライトトンネルの出射口側端と略同一面上に位置し、当該底面が前記ライトトンネルの出射口側端と同一の大きさであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の導光装置。
【請求項6】
前記傾斜部の入射口側端部近傍は、傾斜角の大きい先端部とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の導光装置。
【請求項7】
光源装置と、
光源側光学系と、
投影画像を生成する表示素子と、
投影画像を投影する投影側光学系と、
プロジェクタ制御手段とを備え、
前記光源側光学系は、カラーホイールと、導光装置と、光源側レンズ群と、反射ミラーとを備え、
前記導光装置は、
外形が直方体形状で内部が空洞とされた筒状のライトトンネルと、ガラスロッドとを備え、
前記ライトトンネルは、開口部の一端を入射口とし、他端を出射口側端とし、内表面に反射面を有して内部空間を導光路とし、
前記ガラスロッドは前記入射口側から前記出射口側端方向に向かって末広がりの傾斜部を有し、前記ライトトンネルの導光路内に傾斜部を配置していることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項8】
前記ガラスロッドの傾斜部は、光軸を含む水平面に対し上下対称且つ光軸を含む垂直面に対し左右対称であることを特徴とする請求項7に記載のプロジェクタ。
【請求項9】
前記ガラスロッドは、前記傾斜部の底部に角柱部を備えていることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のプロジェクタ。
【請求項10】
前記ライトトンネル内の反射面は、前記入射口から傾斜部の途中までの間に形成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載のプロジェクタ。
【請求項11】
前記ガラスロッドは四角錐台形状であり、中心軸が光軸線上に位置するように配置され、上面が前記入射口と略同一面上に位置し、底面が前記ライトトンネルの出射口側端と略同一面上に位置し、当該底面が前記ライトトンネルの出射口側端と同一の大きさであることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれかに記載のプロジェクタ。
【請求項12】
前記傾斜部の入射口側端部近傍は、傾斜角の大きい先端部とされていることを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれかに記載のプロジェクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−133899(P2011−133899A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13550(P2011−13550)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【分割の表示】特願2006−44463(P2006−44463)の分割
【原出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】