説明

導電性粒子、異方性導電材料及び接続構造体

【課題】接続構造体における電極間の接続に用いた場合に、導通信頼性を高めることができる導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料を提供する。
【解決手段】本発明に係る導電性粒子1は、基材粒子2と、該基材粒子2の表面2a上に配置されており、1層又は2層以上の積層構造を有する導電層と、該導電層の表面上に配置された防食金属4とを備える。導電層3が1層の構造を有する場合には、防食金属4のイオン化傾向は、導電層3のイオン化傾向よりも大きい。上記導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、防食金属4のイオン化傾向は、上記導電層の最外層のイオン化傾向よりも大きい。本発明に係る異方性導電材料は、導電性粒子1と、バインダー樹脂とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電極間の接続に使用できる導電性粒子に関し、より詳細には、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電層とを有する導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップとフレキシブルプリント回路基板との接続、液晶駆動用ICチップ間の接続、及びICチップとITO電極を有する回路基板との接続等に、導電性粒子が用いられている。例えば、ICチップの電極と回路基板の電極との間に導電性粒子を配置した後、加熱及び加圧により導電性粒子を電極に接触させて、上記電極同士を電気的に接続できる。
【0003】
また、上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、異方性導電材料としても用いられている。
【0004】
上記導電性粒子の一例として、下記の特許文献1には、基材粒子と、該基材粒子の表面を被覆しているニッケル層とを有する導電性粒子が開示されている。
【0005】
下記の特許文献2には、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に設けられた銅層とを備える導電性粒子が開示されている。特許文献2では、このような導電性粒子は、具体的な実施例では開示されていないが、対向する回路の接続において良好な電気的接続が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−073681号公報
【特許文献2】特開2003−323813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜2に記載のような銅層又はニッケル層を表面に有する従来の導電性粒子では、導電性粒子が長期間保管されたり、導電性粒子が高温及び高湿下に晒されたりした場合に、銅層又はニッケル層が酸化することがある。銅層又はニッケル層が酸化した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続すると、接続抵抗が高くなる。
【0008】
従って、特許文献1〜2に記載のような従来の導電性粒子を含む異方性導電材料では、該異方性導電材料を電極間の接続に用いた接続構造体において、導通信頼性が低いことがある。
【0009】
本発明の目的は、接続構造体における電極間の接続に用いた場合に、導通信頼性を高めることができる導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料及び接続構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の広い局面によれば、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置されており、1層又は2層以上の積層構造を有する導電層と、該導電層の表面上に配置された防食金属とを備え、上記導電層が1層の構造を有する場合には、上記防食金属のイオン化傾向が、上記導電層のイオン化傾向よりも大きく、上記導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、上記防食金属のイオン化傾向が、上記導電層の最外層のイオン化傾向よりも大きい、導電性粒子が提供される。
【0011】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、上記防食金属は、物理的な衝撃により、上記導電層の表面上に配置されている。
【0012】
本発明に係る導電性粒子の別の特定の局面では、上記導電層が1層の構造を有する場合には、上記導電層が銅層、ニッケル層又は銀層であり、上記導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、上記導電層の最外層が銅層、ニッケル層又は銀層である。
【0013】
本発明に係る導電性粒子の他の特定の局面では、上記防食金属は、上記導電層の表面上に部分的に配置されている。
【0014】
本発明に係る導電性粒子のさらに他の特定の局面では、上記防食金属は、上記導電層の表面全体上に配置されている。
【0015】
本発明に係る異方性導電材料は、本発明に従って構成された導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。
【0016】
本発明に係る接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備えており、該接続部が、本発明に従って構成された導電性粒子により形成されているか、又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る導電性粒子では、基材粒子の表面上に1層又は2層以上の積層構造を有する導電層が配置されており、該導電層の表面上に防食金属が配置されており、更に上記導電層が1層の構造を有する場合には、上記防食金属のイオン化傾向が上記導電層のイオン化傾向よりも大きく、上記導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、上記防食金属のイオン化傾向が上記導電層の最外層のイオン化傾向よりも大きいので、上記導電層の表面の酸化を抑制できる。従って、接続構造体における電極間の接続に用いた場合に、導通信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子とバンダー樹脂とを含む異方性導電材料を用いた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電層と、該導電層の表面上に配置された防食金属とを有する。上記導電層は、1層の構造又は2層以上の積層構造を有する。該導電層は1層の構造を有していてもよく、2層以上の積層構造を有していてもよい。すなわち、導電層は、単層であってもよく、多層であってもよい。
【0021】
本発明に係る導電性粒子では、上記導電層が1層の構造を有する場合には、上記防食金属のイオン化傾向が、上記導電層のイオン化傾向よりも大きい。上記導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、上記防食金属のイオン化傾向が、上記導電層の最外層のイオン化傾向よりも大きい。上記防食金属とは、該防食金属のイオン化傾向が上記導電層のイオン化傾向よりも大きいか、又は該防食金属のイオン化傾向が上記導電層の最外層のイオン化傾向よりも大きい性質を有する金属を示す。
【0022】
上記防食金属のイオン化傾向が、上記導電層又は上記導電層の最外層のイオン化傾向よりも大きいので、上記導電層又は上記導電層の最外層よりも、防食金属自体は酸化が進行しやすい。このような防食金属が上記導電層又は上記導電層の最外層の表面上に配置されていることによって、上記導電層又は上記導電層の最外層の酸化を防ぐことができる。このため、本発明に係る導電性粒子を含む異方性導電材料を接続構造体の電気的な接続に用いた場合に、接続抵抗を低くすることができる。また、仮に防食金属が酸化したとしても、電極間の接続抵抗に大きく影響する上記導電層又は上記導電層の最外層の酸化は進行し難いので、上記導電層又は上記導電層の最外層において、電極間の導通を十分に確保できる。
【0023】
従って、本発明に係る導電性粒子を用いた接続構造体の導通信頼性を高めることができる。
【0024】
これに対して、例えば、ニッケル層、銅層又は銀層等の導電層の表面上に防食金属が配置されていない場合には、導電層の酸化が容易に進行する。このため、電極間の接続抵抗が高くなりやすく、接続構造体の導通信頼性が低下しやすい。
【0025】
(導電性粒子)
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
【0026】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
【0027】
図1に示す導電性粒子1は、基材粒子2と、導電層3と、防食金属4とを備える。
【0028】
導電層3は、基材粒子2の表面2a上に配置されている。導電層3は、基材粒子2の表面2aを被覆している。導電層3は1層の構造を有し、単層である。
【0029】
防食金属4は、導電層3の外側の表面3a上に部分的に配置されており、点在している。導電層3の外側の表面3a上に、複数の防食金属4が配置されている。防食金属4は、導電層3の外側の表面3aを部分的に被覆している。防食金属4は、導電層3の外側の表面3a上に部分的に直接積層されている。防食金属4は不定形である。防食金属は粒子であってもよい。
【0030】
図2に、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
【0031】
図2に示す導電性粒子11は、基材粒子2と、導電層3と、防食金属12とを備える。導電性粒子11と導電性粒子1とは、防食金属のみが異なっている。
【0032】
導電性粒子11では、防食金属12は、導電層3の外側の表面3a全体上に配置されている。防食金属12は、導電層3の外側の表面3a上で点在していない。防食金属12は、導電層3の外側の表面3a全体を被覆している。防食金属12は、導電層3の外側の表面全体3a上に直接積層されている。防食金属12は防食金属層である。
【0033】
図3に、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
【0034】
図3に示す導電性粒子21は、基材粒子2と、第1の導電層22と、第2の導電層23と、防食金属4を備える。導電性粒子21と導電性粒子1とは、導電層のみが異なっている。
【0035】
導電性粒子21は、導電層として、第1の導電層22と第2の導電層23とを備えている。導電性粒子21における導電層は、2層の積層構造を有し、多層である。
【0036】
第1の導電層22は、基材粒子2の表面2a上に配置されている。第1の導電層22は、基材粒子2の表面2aを被覆している。
【0037】
第2の導電層23は、第1の導電層22の表面22a上に配置されている。第2の導電層23は、第1の導電層22の表面22aを被覆している。第2の導電層23は、導電層における最外層である。
【0038】
防食金属4は、第2の導電層23の外側の表面23a上に部分的に配置されており、点在している。第2の導電層23の外側の表面23a上に、複数の防食金属4が配置されている。防食金属4は、第2の導電層23の外側の表面23aを部分的に被覆している。防食金属4は、第2の導電層23の外側の表面23a上に部分的に直接積層されている。
【0039】
なお、第3の導電性粒子21において、防食金属は、第2の導電層23の外側の表面23a全体上に配置されていてもよい。防食金属は、第2の導電層23の外側の表面23a全体を被覆していてもよい。防食金属は、第2の導電層23の外側の表面全体23a上に直接積層されていてもよい。
【0040】
導電性粒子1,21のように、導電層の表面上に防食金属が部分的に配置されている場合には、電極と導電層とをより一層接触させやすくなる。このため、導電層を電極に接触させることによって、導通信頼性を高めることができる。
【0041】
導電性粒子21のように、導電層の表面全体上に防食金属が配置されている場合には、導電層の表面の酸化をより一層抑制できる。このため、導電層による導通をより一層確実に確保できるので、導通信頼性を高めることができる。
【0042】
上記基材粒子としては、樹脂粒子、無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。
【0043】
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、一般的に導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、圧縮により導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。さらに、上記基材粒子が、ニッケルなどの金属又はガラスにより形成された粒子ではなく、樹脂により形成された樹脂粒子であると、導電性粒子の柔軟性を高めることができる。導電性粒子の柔軟性が高いと、導電性粒子に接触した電極の損傷を抑制できる。
【0044】
上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエーテルスルホン等が挙げられる。圧縮により導電性粒子を適度に変形させることができるので、上記樹脂粒子は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体により形成されていることが好ましい。
【0045】
上記無機粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
【0046】
基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
【0047】
上記導電層及び上記防食金属は、金属により形成されていることが好ましい。上記導電層又は上記防食金属を構成する金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、錫、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)も用いることができる。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0048】
なお、代表的な金属のイオン化傾向の順序は、マグネシウム(Mg)>アルミニウム(Al)>亜鉛(Zn)>クロム(Cr)>鉄(Fe)>コバルト(Co)>ニッケル(Ni)>錫(Sn)>鉛(Pb)>アンチモン(Sb)>ビスマス(Bi)>銅(Cu)>銀(Ag)>パラジウム(Pd)>白金(Pt)>金(Au)である。
【0049】
上記基材粒子の表面上に上記導電層を形成する方法、並びに上記導電層の表面上に上記防食金属を配置する方法は特に限定されない。導電層及び防食金属を配置する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的な衝突による方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを樹脂粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、無電解めっき又は電気めっきが好適である。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。また、上記物理的な衝突による方法では、例えば、シータコンポーザ等が用いられる。
【0050】
上記導電層の表面上に上記防食金属を形成する方法は、物理的な衝突による方法であることが好ましい。上記防食金属は、物理的な衝撃により、導電層の表面上に配置されていることが好ましい。
【0051】
本発明に係る導電性粒子では、上記導電層が、1層の構造又は2層以上の積層構造を有し、上記導電層が1層の構造を有する場合には、上記導電層が銅層、ニッケル層又は銀層であることが好ましく、銅層又はニッケル層であることがより好ましい。また、上記導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、上記導電層の最外層が銅層、ニッケル層又は銀層であることが好ましく、銅層又はニッケル層であることがより好ましい。この場合には、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。
【0052】
銅層、ニッケル層及び銀層も、比較的酸化しやすい性質を有する。しかしながら、本発明に係る導電性粒子では、導電層又は導電層の最外層が銅層、ニッケル層及び銀層である場合に、該銅層及び銀層の表面上に防食金属が配置されているため、銅層及び銀層の酸化を効果的に抑制できる。
【0053】
上記導電層の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、好ましくは70μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは20μm以下である。導電層の厚みが上記下限以上であると、導電性が十分に高くなる。導電層の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と導電層との熱膨張率の差が小さくなり、導電層の剥離が生じ難くなる。
【0054】
導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、導電層の最外層の厚みは、好ましくは3nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、好ましくは70μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは20μm以下、特に好ましくは5μm以下である。導電層の最外層の厚みが上記下限以上であると、導電性が十分に高くなる。導電層の最外層の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と導電層の最外層との熱膨張率の差が小さくなり、導電層の最外層の剥離が生じ難くなる。
【0055】
上記防食金属の厚み(平均厚み)は、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、好ましくは70μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは20μm以下、特に好ましくは5μm以下である。防食金属の厚みが上記下限以上であると、導電層の酸化をより一層効果的に抑制できる。防食金属の厚みが上記上限以下であると、導電層により、電極間を電気的により一層確実に接続できる。
【0056】
上記導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは80μm以下、特に好ましくは50μm以下、最も好ましくは40μm以下である。導電性粒子の平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
【0057】
異方性導電材料における導電性粒子に適した大きさであり、かつ電極間の間隔をより一層小さくすることができるので、導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下である。
【0058】
上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
【0059】
本発明に係る導電性粒子は、導電層の表面上又は防食金属の表面上に配置された絶縁性粒子を備えていてもよい。導電層の表面上又は防食金属の表面上に配置された絶縁性粒子は、複数であることが好ましい。
【0060】
絶縁性粒子を備えた導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性粒子が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子における導電層又は防食金属と電極との間の絶縁性粒子を容易に排除できる。
【0061】
上記絶縁性粒子を構成する絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
【0062】
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
【0063】
上記導電層の表面又は上記防食金属の表面に絶縁性粒子を付着させる方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリタイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、絶縁性粒子が脱離し難いことから、上記導電層の表面又は上記防食金属の表面に、化学結合を介して絶縁性粒子を付着させる方法が好ましい。
【0064】
(異方性導電材料)
本発明に係る異方性導電材料は、上記導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。すなわち、本発明に係る異方性導電材料に含まれている導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電層と、該導電層の表面上に配置された防食金属とを備える。上記防食金属のイオン化傾向は、上記導電層(単層の場合)又は上記導電層の最外層(多層の場合)のイオン化傾向よりも大きい。
【0065】
本発明に係る異方性導電材料は、液状であることが好ましく、異方性導電ペーストであることが好ましい。
【0066】
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、例えば、絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0067】
上記ビニル樹脂の具体例としては、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーの具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0068】
上記バインダー樹脂は、熱硬化性樹脂であることが好ましい。この場合には、電極間を電気的に接続する際の加熱により、バインダー樹脂を硬化させることができる。
【0069】
本発明に係る異方性導電材料は、バインダー樹脂を硬化させるために、硬化剤を含むことが好ましい。
【0070】
上記硬化剤は特に限定されない。上記硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤及び酸無水物硬化剤等が挙げられる。硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0071】
硬化剤を用いる場合には、上記バインダー樹脂100重量部に対して、上記硬化剤の含有量は好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、好ましくは100重量部以下、より好ましくは50重量部以下である。上記硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記バインダー樹脂を十分に硬化させることができ、更に硬化後に硬化剤に由来する残渣が生じ難くなる。
【0072】
異方性導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは20重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、隣り合う電極間の短絡を一層防止することができ、かつ電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
【0073】
本発明に係る異方性導電材料は、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤又は難燃剤等の各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0074】
上記バインダー樹脂中に導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、バインダー樹脂中に導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、バインダー樹脂中へ添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びにバインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
【0075】
本発明に係る異方性導電材料は、異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電粘接着剤、異方性導電フィルム、又は異方性導電シート等として使用できる。本発明の導電性粒子を含む異方性導電材料が、異方性導電フィルム又は異方性導電シート等のフィルム状の接着剤として使用される場合には、該導電性粒子を含むフィルム状の接着剤に、導電性粒子を含まないフィルム状の接着剤が積層されていてもよい。ただし、上述のように、本発明に係る異方性導電材料は、液状であることが好ましく、異方性導電ペーストであることが好ましい。
【0076】
(接続構造体)
本発明に係る異方性導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
【0077】
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備えており、該接続部が本発明に係る導電性粒子により形成されているか、又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されていることが好ましい。上記接続部は、上記異方性導電材料を硬化させることにより形成されていることが好ましい。
【0078】
図4に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を含む異方性導電材料を用いた接続構造体を模式的に正面断面図で示す。
【0079】
図4に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を電気的に接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図4では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。
【0080】
第1の接続対象部材52の上面52aには、複数の電極52bが設けられている。第2の接続対象部材53の下面53aには、複数の電極53bが設けられている。電極52bと電極53bとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
【0081】
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記異方性導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。加熱及び加圧によりより一層効果的に、導電性粒子1により電極52b,53b間が電気的に接続される。バインダー樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、バインダー樹脂が硬化して、硬化したバインダー樹脂により第1,第2の接続対象部材52,53が接続される。
【0082】
上記加圧の圧力は9.8〜10〜4.9×10Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
【0083】
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板及びガラス基板等の回路基板等が挙げられる。
【0084】
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0085】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0086】
(実施例1)
(1)導電性粒子の作製
平均粒子径3μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−203」)を無電解ニッケルめっきし、樹脂粒子の表面上に厚み0.1μmのニッケルめっき層を形成して、粒子Xを得た。その後、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)を用いて、得られた粒子Xのニッケル層の表面を、鉄微粉末(平均粒子径0.5μm)で物理的衝撃によって被覆して、ニッケル層の表面上に鉄を部分的に形成した。
【0087】
このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み0.1μmのニッケル層が形成されており、該ニッケル層の表面に防食金属である鉄が部分的に付着している導電性粒子を作製した。ニッケル層の表面に付着している鉄の平均厚みは、0.3μmであった。
【0088】
(2)異方性導電材料Aの作製
作製直後の導電性粒子Aを用意した。
【0089】
バインダー樹脂であるTEPIC−PAS B22(日産化学工業社製、比重1.4)100重量部、硬化剤であるTEP−2E4MZ(日本曹達社製)15重量部とを配合し、さらに作製直後の導電性粒子A10重量部を添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストである異方性導電材料Aを得た。
【0090】
(3)異方性導電材料Bの作製
作製直後の導電性粒子Aを85℃及び湿度85%に500時間保管して、保管後の導電性粒子Bを得た。
【0091】
上記作製直後の導電性粒子Aを、上記保管後の導電性粒子Bに変更したこと以外は異方性導電材料Aの作製と同様にして、異方性導電ペーストである異方性導電材料Bを得た。
【0092】
(実施例2)
平均粒子径10μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−210」)を無電解ニッケルめっきし、樹脂粒子の表面上に厚み0.3μmの下地ニッケルめっき層を形成した。次いで、ニッケル層が形成された樹脂粒子を電解銅めっきし、ニッケル層の表面上に厚み3μmの銅層を形成して、粒子Yを得た。その後、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)を用いて、得られた粒子Yの銅層の表面を、鉄微粉末(平均粒子径0.5μm)で物理的衝撃によって被覆して、銅層の表面上に鉄を部分的に形成した。
【0093】
このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み0.3μmのニッケル層が形成されており、該ニッケル層の表面上に厚み3μmの銅層が形成されており、該銅層の表面に防食金属である鉄が部分的に付着している導電性粒子を作製した。銅層の表面に部分的に付着している鉄の平均厚みは、0.3μmであった。
【0094】
得られた導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電材料A,Bを作製した。
【0095】
(実施例3)
シータコンポーザ(徳寿工作所社製)を用いて、実施例1で得られた粒子Xのニッケル層の表面上で、金属微粉末(亜鉛91重量%とアルミニウム3.2重量%とマグネシウム3.7重量%と錫2重量%とを含む、平均粒子径3μm)を溶融させて、ニッケル層の表面全体をZn−Al−Mg−Sn層で被覆した。
【0096】
このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み0.1μmのニッケル層が形成されており、該ニッケル層の表面全体が防食金属であるZn−Al−Mg−Sn層で被覆されている導電性粒子を作製した。ニッケル層の表面全体を被覆しているZn−Al−Mg−Sn層の平均厚みは、1μmであった。
【0097】
得られた導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電材料A,Bを作製した。
【0098】
(実施例4)
シータコンポーザ(徳寿工作所社製)を用いて、実施例2で得られた粒子Yの銅層の表面上で、金属微粉末(亜鉛91重量%とアルミニウム3.2重量%とマグネシウム3.7重量%と錫2重量%とを含む、平均粒子径3μm)を溶融させて、銅層の表面全体をZn−Al−Mg−Sn層で被覆した。
【0099】
このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み0.3μmのニッケル層が形成されており、該ニッケル層の表面上に厚み3μmの銅層が形成されており、該銅層の表面全体が防食金属であるZn−Al−Mg−Sn層で被覆されている導電性粒子を作製した。銅層の表面全体を被覆しているZn−Al−Mg−Sn層の平均厚みは、1μmであった。
【0100】
得られた導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電材料A,Bを作製した。
【0101】
(比較例1)
実施例1で得られた粒子Xを導電性粒子として用意した。樹脂粒子の表面上に厚み0.1μmのニッケル層が形成されている。ニッケル層の表面上に防食金属は配置されていない。
【0102】
粒子Xである導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電材料A,Bを作製した。
【0103】
(比較例2)
実施例2で得られた粒子Yを導電性粒子として用意した。樹脂粒子の表面上に厚み0.3μmのニッケル層が形成されており、該ニッケル層の表面上に厚み3μmの銅層が形成されている。銅層の表面上に防食金属は配置されていない。
【0104】
粒子Yである導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電材料A,Bを作製した。
【0105】
(比較例3)
鉄微粉末(平均粒子径0.5μm)を、はんだ微粉末(錫62重量%と鉛38重量%、平均粒子径3μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ニッケル層の表面にはんだが部分的に付着している導電性粒子を得た。ニッケル層の表面に付着しているはんだの平均厚みは、0.5μmであった。得られた導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電材料A,Bを得た。
【0106】
(比較例4)
はんだ微粉末の使用量を増やして、ニッケル層の表面全体をはんだ層で被覆したこと以外は比較例3と同様にして、ニッケル層の表面全体がはんだで被覆されている導電性粒子を得た。ニッケル層の表面全体を被覆しているはんだ層の平均厚みは、1μmであった。得られた導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電材料A,Bを得た。
【0107】
(評価)
(1)接続構造体Aの作製
L/Sが200μm/200μmの金電極パターンが上面に形成されたFR−5基板を用意した。また、L/Sが200μm/200μmの金電極パターンが下面に形成されたポリイミド基板(フレキシブル基板)を用意した。
【0108】
上記FR−5基板の上面に、得られた異方性導電材料Aを撹拌してから、異方性導電材料Aに含まれている導電性粒子の平均粒子径の3倍の厚みとなるように塗工し、異方性導電材料層を形成した。
【0109】
次に、異方性導電材料層の上面にポリイミド基板(フレキシブル基板)を、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電材料層の温度が350℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、2.0MPaの圧力をかけて、異方性導電材料層を350℃で硬化させ、異方性導電材料Aを用いた接続構造体Aを得た。
【0110】
(2)接続構造体Bの作製
作製直後の導電性粒子Aを含む異方性導電材料Aを、保管後の導電性粒子Bを含む異方性導電材料Bに変更したこと以外は接続構造体Aと同様にして、異方性導電材料Bを用いた接続構造体Bを得た。
【0111】
(3)導通信頼性(上下の電極間の導通試験)
得られた接続構造体Aの上下の電極間の接続抵抗を、4端子法により測定した。2つの接続抵抗の平均値を算出した。さらに、得られた接続構造体Bの上下の電極間の接続抵抗を、4端子法により測定した。2つの接続抵抗の平均値を算出した。
【0112】
なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。
【0113】
作製直後の導電性粒子Aを含む異方性導電材料Aを用いた接続構造体Aの接続抵抗A(Ω)と、保管後の導電性粒子Bを含む異方性導電材料Bを用いた接続構造体Bの接続抵抗B(Ω)とから、接続抵抗の上昇率((B−A)/A×100(%))を求めた。接続抵抗の上昇率から、導通信頼性を下記の判定基準で判定した。
【0114】
[導通信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の上昇率が10%未満
○:接続抵抗の上昇率が10%以上、30%未満
×:接続抵抗の上昇率が30%以上、50%未満
××:接続抵抗の上昇率が50%以上
結果を下記の表1に示す。
【0115】
【表1】

【符号の説明】
【0116】
1…導電性粒子
2…基材粒子
2a…表面
3…導電層
3a…表面
4…防食金属
11…導電性粒子
12…防食金属
21…導電性粒子
22…第1の導電層
22a…表面
23…第2の導電層
23a…表面
51…接続構造体
52…第1の接続対象部材
52a…上面
52b…電極
53…第2の接続対象部材
53a…下面
53b…電極
54…接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材粒子と、
前記基材粒子の表面上に配置されており、1層又は2層以上の積層構造を有する導電層と、
前記導電層の表面上に配置された防食金属とを備え、
前記導電層が1層の構造を有する場合には、前記防食金属のイオン化傾向が、前記導電層のイオン化傾向よりも大きく、
前記導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、前記防食金属のイオン化傾向が、前記導電層の最外層のイオン化傾向よりも大きい、導電性粒子。
【請求項2】
前記防食金属が、物理的な衝撃により、前記導電層の表面上に配置されている、請求項1に記載の導電性粒子。
【請求項3】
前記導電層が1層の構造を有する場合には、前記導電層が銅層、ニッケル層又は銀層であり、
前記導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、前記導電層の最外層が銅層、ニッケル層又は銀層である、請求項1又は2に記載の導電性粒子。
【請求項4】
前記防食金属が、前記導電層の表面上に部分的に配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項5】
前記防食金属が、前記導電層の表面全体上に配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む、異方性導電材料。
【請求項7】
第1の接続対象部材と、
第2の接続対象部材と、
前記第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備え、
前記接続部が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性粒子により形成されているか、又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されている、接続構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−142223(P2012−142223A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−596(P2011−596)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】