説明

導電率の増大と電解及び電気化学プロセスの向上

本発明は、一般的には、溶解したガスを除去することにより水性液の導電率を向上又は増大させるための方法に関する。電気透析などの水をベ−スとした電解プロセスにおいて脱気した液を使用することで、そのようなプロセスの効率を有利に向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、水性液中に溶解したガスの除去(脱気)により水性液の導電率を改善又は増大させるためのプロセスに関する。電気透析といったような液体の導電率に依存するプロセスにおける脱気した水性液の使用は、そのようなプロセスの効率を有利に改善する。従って本発明は、電解及び電気化学プロセスにおける脱気した水性液の使用、ならびに水性液中の溶解イオンの濃縮、分離又は除去方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書における何らかの先行技術への言及は、その先行技術がオ−ストラリアにおける共通の一般的知識の一部をなすものであるということの認知又は何らかの形の示唆ではなく、そのように考えられるべきではない。
【0003】
この明細書において引用される全ての参考文献の内容は、あらゆる目的のために、その全体がここに内含されるものと理解される。
【0004】
飲料水として不可欠であるばかりでなく、公衆衛生、農業及び工業的利用分野で使用するために、人間の生活の全ての局面において淡水が必要とされる。
【0005】
地球上の全ての水のうち、わずかな部分だけが淡水である。この地球上の淡水の約70%が、極地の極氷冠に閉じ込められており、残りのもののかなりの割合は遠隔の地下帯水層に存在する。実際、地球の全淡水のうち直接的な人間の用途に利用できるのは1%未満である。人口増加は、この既に制限ある資源を更に圧迫するだけである。
【0006】
容易に入手しやすい大洋水や海水は豊富に存在することを考え、改良型淡水化プロセスが多大な研究努力の対象となっている。実際、国連はこれを「大洋水淡水化の世紀」として宣言した(Pilat, B., Desalination 139, 389−92, 2001)。
【0007】
海水淡水化用の大規模工場は蒸発及び逆浸透プロセスが多数を占めているものの、特にイオン交換膜に用いられる材料に関しては、電気透析(ED)における実質的な改善が過去約10年にわたって成し遂げられ、このプロセスが再び好まれるようになってきた。電気透析(Mulder, M., Basic Principles of Membrane Technology, Kluwer, London, 1991)は、電位の傾きが印加されたときの帯電体の移動を利用する。イオンは、2つの端部電極間に電圧を印加することにより発生された電位の傾きの影響を受けて、イオン選択透過(アニオン及びカチオン交換)膜を通して輸送される。カチオンは、カチオン交換膜を通ってアノ−ドに向かって移動し、アニオンはカソ−ドに向かって移動して、アニオン交換膜を通過する。導電率(抵抗率の逆数)は、電界強度に対する電流密度の比として定義され、かくして、電荷の輸送に材料がいかにうまく適応するかの尺度となる。「純」水では、コンダクタンスは、主に水分子の結合と逐次的な結合の切断による、プロトン及びヒドロキシルイオンの輸送に基づいている(Eisenberg, D. and Kauzmann, W., The Structure and Properties of Water, Oxford, UK, 1969)。
【0008】
高い回収率、厳格な前処理の要求が比較的少ない、体積よりもむしろ塩濃度に比例するエネルギ−の使用量(海水については、1kgの食塩当たり約1kWh)、長い膜予想寿命、及び抗菌攻撃に対する膜の耐性といったような利点を考えると、EDは、蒸発及び逆浸透方法に対する実現可能な大規模の代替プロセスである。
【0009】
水中で解離してHCO3-及びCO32-を形成する二酸化炭素ガスは、EDプロセスに対し付加的なアニオンの負荷を加える。従って、溶解したCO2は標準的に、電気透析の前に水から除去される。これは、膜接触器を用いることによって工業的に達成される。膜接触器(例えば中空繊維フィルタ)は、水が膜の疎水性の細孔と接触したときに作り出される圧力差によって、気体と液体を、混合することなく互いに接触させる疎水性膜である。水からCO2を除去するためには、スイ−プガス(例えばN2又は空気)が膜の一方の側を流れている間に、水がもう一方の側を流れる。
【0010】
ヘンリ−の法則により、溶解したCO2は水から引き出され、膜を横断してスイ−プガス相に移動し、かくしてCO2が除去される。イオン負荷(HCO3-及びCO32-)を低減させることにより、EDの電力消費量及び運転コストは削減される。
【0011】
溶解CO2の追加のイオン負荷の結果として、EDに先立つ脱気は今までのところCO2の除去のみを考慮することに限られてきた。N2などの溶解した非極性気体は、解離せずにイオン負荷に寄与し、従って不活性であるとみなされた。Kohlrausch及びHeydweillerの古典的研究(Kohlrausch, F. and Heydweiller, A., Z. phys. Chem. 14, 317, 1894)においては、25℃における純水の導電率、0.058μScm-1は、溶存酸素及び窒素を除去するためではなく蒸留を容易にするため、単に部分真空下で蒸留された、清浄な真空蒸留水について測定された。一般に認められた文献値は25℃で0.055μScm-1(Aylward G. and Findlay, T., SI Chemical Data, 3rd Edn, J.Wiley, NY, 1994)であり、従って恐らくは、同様に溶存酸素及び窒素を除去せずに測定された。
【0012】
しかしながら、驚くべきことに、N2及びO2といったような非極性気体の除去が水の導電率を著しく増大させることができ、それにより水の電気的特性(導電率)に左右されるEDといったようなプロセスの効率を更に改善する新たな機会を提供する、ということが見いだされた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書と特許請求の範囲全体を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、原語英文中の「含む(comprise)」という語、及び「comprises」や「comprising」といったその変形は、記載された1つの整数もしくは工程又は複数の整数もしくは工程の群を包含することを意味するが、その他の任意の1つの整数もしくは工程又は複数の整数もしくは工程の群を除外することを意味しないものと理解される。
【0014】
水から実質的に全ての溶存気体を除去することにより、水の導電率が増大することが発見されたが、その結果として電解又は電気化学セルの速度又は効率を向上させることができる。
【0015】
従って、第1の側面において、本発明は、液体の脱気工程を含む、水などのような水性液の導電率を増大させるための方法を提供する。
【0016】
第2の側面において、本発明は、
(i)水性液を脱気する工程、
(ii)電界を水性液に印加する工程、
を含む、水性液を通して電流を伝導又は通過させる方法を提供する。
【0017】
水の導電率の増大はその抵抗率を減少させる。従って、これは、例えば電気透析プロセスなどにおいて、イオン性水溶液における水の固有の導電率に依存するか又は影響されるプロセスのための所要電力を有利に低減させることができる。基礎計算(Lee, H.−J., et al, Desalination, 142, 267−286, 2002)から、電流密度の何らかの減少、又は所定の電圧について1つのセルを通る電流の増加が、結果として1単位製品当たりのエネルギ−消費量の全体的減少をもたらすことになるということがわかる。一般に、脱気により達成される導電率の向上は、水ベ−スの電解プロセス、更には蓄電池又は電気化学セル、例えば自動車用鉛酸蓄電池など、の効率を改善することができる。かくして、電気透析などの電解プロセス、又は電気化学プロセスに付されるべき水性液をまず脱気することにより、プロセスの効率を有利に改善することができる。従って、本発明はまた、液体の導電率を利用するプロセスにおける脱気された水性液の使用にも関する。
【0018】
第3の側面において、本発明は、電解又は電気化学プロセス、特に電気透析プロセスにおける、脱気した水性液の使用に関する。
【0019】
かくして第4の側面においては、本発明は、
(i)水性液を脱気する工程、及び
(ii)脱気された液体を電気透析に付する工程、
を含む、水性液からイオンを濃縮、分離又は除去するための方法を提供する。
【0020】
本発明はまた、水性液を脱気する工程を含む電解又は電気化学プロセスで使用するために水性液を前処理するための方法をも提供する。水性液は、任意のイオン溶液、例えば電解液、緩衝液、無機塩溶液、有機塩溶液、そして酸及び塩基であることができる。
【0021】
好ましい実施形態は、水性液を脱気する工程を含む電気透析プロセスにおいて使用するために水性液を前処理するための方法を提供する。特に好ましい実施形態においては、水性液は、約10%〜約0.1%の溶解NaClを含有する水である。
【0022】
好ましくは、水性液は、実質的に脱気され(特にN2、O2及びCO2を)、最も好ましくは、溶存気体の少なくとも99%が除去される。
【0023】
本発明の特に好ましい実施形態においては、水性液は海水又は鹹水である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
原語の英文中の単数形態「a」、「an」及び「the」は、文脈上他の指示がなければ、複数の態様を包含する。
【0025】
ここで使用する、「脱気(degassing)」という用語、又は「脱気された(degassed)」又は「脱気する(degas)」といったような変形は、水性液中に溶解した1種又は複数種のガス、特にCO2、N2及びO2、の合計量のうちの少なくともある割合を除去することを指す。例えば、25℃及び1atmの空気との平衡状態において、水はおよそ8.5ppmのO2、14.5ppmのN2、そして微量のCO2(約10μM)を含有する。好ましくは、水性液は実質的に脱気され、例えば溶存気体の少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%又は95%が水性液から除去される。最も好ましくは、溶存気体の少なくとも97%又は99%が除去され、更に一層好ましくは約99.9〜99.99%が除去される。溶存気体を実質的に含まない液体というのは、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも99%が除去されたものである。
【0026】
脱気された液体中に残っている気体の量は、当該技術分野において既知の通常の技術によって測定可能である。気体が非選択的に除去される場合、1つの気体の測定が、達成される脱気の程度を適切に表わすことになる。例えば、残っている溶存酸素の存在することは、溶存酸素電極システムによって検出することができる。好ましい形態においては、脱気した液体は約10〜100ppbのO2、より好ましくは約1〜10ppbのO2しか含まない。
【0027】
「水性液」という語には、水及び溶解したイオン性塩(これは水中で解離してイオンを形成する)の水溶液が含まれる。制限的意味のない例としては、必要に応じて、水素、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、銀、ニッケル、銅、鉄及びマンガンの、硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩及びハロゲン化物(塩化物、臭化物、ヨウ化物及びフッ化物)が含まれる。水性液はまた、溶解したイオン種を除去、分離又は濃縮することが望ましい可能性のある糖、タンパク質、アミノ酸及び酵素といったような非イオン性種を含有してもよいことが理解されよう。
【0028】
NaClが海水の主要な成分であることから、水からのNa+及びCl-イオンの濃縮、分離又は除去が、特に考慮されている1つの実施形態である。ここで検討される水性液の特定の例には、海水又は大洋水及び鹹水が含まれる。「海水」及び「大洋水」という用語は、ここでは互換的に用いられている。
【0029】
海水は、海又は大洋由来の水である。鹹水は、湖や河川が大洋に流れ込んでいるところといったような、淡水性の土地と海洋性の土地との間に見られる水である。鹹水は海水に比べ含む溶解塩分が少ないものの、それでも飲用、又は多くの農業及び工業的用途には不適当である。海水及び鹹水は一般に、塩素、ナトリウム、硫酸根、マグネシウム、カルシウム及びカリウムイオンを含めたイオンの形での多数の溶解塩を含有している。NaClが主要な溶解塩である。水の塩分濃度はその供給源に応じて大幅に変動するものの、海水及び鹹水の塩分濃度は、NaClで3.5〜3%から約1%、ひいては約0.1%(wt%)までの範囲内にあることができる。本発明の方法は、例えば井戸水、地下湧水、又は研究所又は工業廃水、例えば電気メッキ廃液又は(溶融)亜鉛メッキ液といったような、その他の供給源から得られるその他の水性液にも等しく応用可能であるということが理解されよう。更に、上述の値は海水及び鹹水について標準的なものであるが、上述の範囲の外にある溶解イオン性塩範囲を有する水性液も、それが海水、鹹水又はその他の供給源に由来するもののいずれであろうと、同様に本発明の範囲内に入る。NaClが1000ppm未満で「淡水」とみなされ、500ppmは「飲料水」用の上限であるとみなされている。かくして、本発明により電気透析において使用するためには、少なくとも500(0.05%)〜1000ppm(0.1%)の溶解NaClを含有する脱気水が考えられるものである。
【0030】
脱気は、当該技術分野において既知の任意の方法を用いて実施することができる。実験室において標準的に使用されている1つのそのような方法は、液体窒素中で液相を凍結させ、真空を利用することによりガス放出させる凍結−ポンプ排気−解凍(freeze−pump−thaw)方法である。気体の除去後、凍結した液体を解凍させ、そして液体を再凍結させたならば再び真空によって残っている気体を液体より上の空間内に引き出して除去する。このサイクルを数回反復することができる。
【0031】
より大きい規模では、水性液を脱気するために真空塔を使用することもできる。このような塔では、水滴が種々のポンプ排気及びガス放出工程を通して垂れるので、真空度を増大させる系が適用される。
【0032】
より最近では、水性液相を脱気するために、微孔性膜の使用が増加している。この技術は、小さい実験室規模の装置から、毎分何百から何千リットルの速度で運転する水処理システムに適した大規模な工業用装置へと移行してきている。微孔性膜は、1つの相をもう1つの相内に分散させることなしに物質(気体)移動を目的として気相と液相を互いに接触させるようにする。標準的には、水中に溶解した気体を除去するためにこれらを使用することができる。これらのプロセスは、表面張力の現象ならびにその結果として、液体が表面と接触するときに湾曲した液体界面を横断して発生する圧力差を利用している。膜に媒介される液体の成功裏の且つ効率的な脱気は、液体の単位体積当たり非常に大きな接触表面積を必要とする。これは、中空繊維フィルタ又は膜ユニット(接触器としても知られている)を用いて達成可能である。標準的には、これらはケ−ス又はシェル内に収容された中空繊維の束の形をした膜を含む。中空繊維フィルタ及び中空繊維収容膜接触器を含めた市販の膜接触器が、容易に入手可能である。最大限の脱気を行うためには、2回以上の脱気プロセスの実施が必要なことがあるということが認められよう。単一の接触器を使用し、そして漸進的に脱気された疎水性の液体を通過させ又は循環させることができる。それに代えて、複数の膜接触器を直列に、例えば2、3又は4つのユニットを、接続してもよい。いくつかの接触器を並列に接続してもよい。
【0033】
電気透析においては、一方がカチオンを選択的に透過させ他方がアニオンを選択的に透過させる対になった膜が、1対の電極の間に設置される。これらの膜は、アニオン選択膜の後にカチオン選択膜が続いている状態で、交互に配置される。
【0034】
電界を印加すると、水中のアニオンは引きつけられて正極の方へ向かうようにされる。アニオンはアニオン選択膜を通過するが、その進路を塞いでアニオンを捕獲するカチオン選択膜よりも遠くへ通過することはできない。同様にして、カチオンは負極の影響を受けて反対方向にカチオン選択膜を通りもう一方の側にある流路へと移動する。ここで、次の膜がアニオン選択性であって電極に向かう更なる移動を妨げることから、カチオンは捕獲される。このプロセスは、図1に模式的に示されている。
【0035】
この配置構成により、交互になった膜の間の空間で濃縮された溶液と希釈された溶液が作られる。2つの膜(一方はアニオン膜、他方はカチオン膜)と境を接しているこれらの空間はセルと呼ばれる。セル対は、イオンがそこから移動するもの(製品の水用の希釈セル)及びそこでイオンが濃縮するもの(塩水流用の濃縮セル)の、2つのセルからなる。
【0036】
基本的電気透析ユニットは、外側に電極を備えて結束された10以上、数百以下のセル対からなることができ、膜スタックと呼ばれる。給水は、セルの全てを並列の進路で同時に通過して、スタックから出てゆく脱塩水及び塩水の連続流を提供する。
【0037】
プロセスが進行することができる速度は、一連の膜及び中間にある溶液の全体的導電率に直接関係する。非常に低い塩レベルをもついずれかの領域が、イオンを輸送することができる全体的速度を制限し、かくして脱塩速度を制限する。電解液の希釈が、帯電した膜の間の領域と、各イオン交換膜に隣接のイオン枯渇層とで起こり、そしてこれらはシステム内の電気抵抗を実質的に増大させることになる。これは図2に例示されている。しかしながら、供給溶液を脱気することにより、希釈セルで及び各膜に隣接して作られる希釈電解液の導電率は本質的に増大する。従って、本発明はまた、蓄電池又は電気化学セルといったような、イオン枯渇層が生じることがある水ベ−スの電解プロセスにも一般に適用される。
【0038】
かくして、本発明の方法は、飲料(例えばNaClが500ppm未満といった)用、公衆衛生、農業または工業用途向けの脱塩水を、海水及び鹹水といったような塩(NaCl)含有水性液のEDから製造するために使用可能である。膜分離器は現在、水を脱気(Tai, M.S.L., Chua, I., Li, K., Ng, W.J. and Teo, W.K. Journal of Membrane Science, 1994, 87(1−2), 99−105; Wiesler, F., Ultrapure Water, March 2003, 38−42)して、塩水の供給原料から真空蒸留により飲料水を生産するために商業的に用いられている。その結果得られるこのプロセスの脱気された濃縮塩溶液の副生物は、第2段のEDプロセスへの供給溶液として直接使用できよう。ここで考慮されているNaCl濃度は約10%のNaclから、約3.5%まで、約1%まで、約0.1又は0.05%までの範囲内にある。副生物として、EDはまた、食卓塩の調製に適した濃縮塩水も生産する。
【0039】
電気透析プロセスでの脱気液体の使用は、塩(NaCl)含有水の脱塩に単に限定されず、溶解したイオンを含む水溶液をそれらの濃縮、分離又は除去を目的として処理する任意の電気透析プロセスにおいて、適宜使用可能であることが認められよう。電気透析には多くの用途があり、一般的に言って、有機酸(例えば乳酸、酢酸)及び無機酸(例えばH2SO4)の精製、濃縮又は回収、乳製品の脱塩、例えばホエ−の加工、酵素及びタンパク質の脱塩及び精製、糖溶液の脱塩及び精製、アミノ酸溶液の脱塩及び精製、減塩しょう油の生産、果汁の精製、血液精製(例えば、脱気水の向上した導電率が透析時間を短縮できる腎臓血液透析におけるもの)、ワインからの酒石酸カリウム除去、写真廃液からのAg(I)塩の除去、電気めっき水からのNi(II)の除去、亜鉛めっき水からのZn(II)の除去、金属酸洗浴及び溶融亜鉛めっき廃液からの酸及び水の回収、ボイラ−給水及び冷却塔用水、電子部品加工用の洗浄水の精製、硝酸塩の除去、ホウ素の除去、硝酸の濃縮、グリセリン回収、及び食品から又は化学もしくは産業廃液からのイオン性溶質の除去又は回収(例えば環境廃水の清浄化、例として廃液流の精製)のために使用される。例えば、水性液は1種又は2種以上の無機又は有機酸、タンパク質、酵素、アミノ酸、金属又は糖を含有することもできる。
【0040】
脱気された水性液は、塩素の生産といったような電解プロセスの反応速度を上昇させることもできる。塩素は、隔膜セル(63%)及び水銀セル(37%)を用いて電解により生産される。これらのプロセスは、塩水溶液の導電率に依存している。記述されているこれらの隔膜セルは、アノ−ド液流とカソ−ド液流が混合するのを防ぐためにイオン交換膜を利用する。塩素の生産とともに、水素も生産され、独立してこれを捕捉することができる。塩水溶液は、導電率を増大させるという二重の目的に役立ち、塩素供給源として働く。電解液の導電率は電解反応速度を支配する主要な因子であることから、それを脱気することで、より多量の水素が産出される。脱気された液体は、より高い導電率の電解液の恩恵を享受し得るSPE(固体ポリマ−電解質)燃料電池においても有用であり得る。
【0041】
次に、本発明を以下の例を参照して説明するが、これらの例は、本発明の一部の実施形態を例示する目的で提供されるものであり、上述の一般的概念を限定するものとみなされるべきではない。
【実施例】
【0042】
〔原料と方法〕
ここで報告される実験的研究においては、水道水から蒸留水を、粗ろ過、活性炭ろ過、逆浸透ろ過、そして最後に蒸留するという一連のプロセスにより製造して、層流の清浄空気キャビネット内に収容したパイレックス(登録商標)ガラス貯蔵容器内に入れた。
【0043】
清浄な蒸留水の試料を、液体窒素中での凍結とそれに続く標準的に約0.01mbar以下の圧力までの排気とその後の密封したパイレックス(登録商標)チュ−ブ内での溶融を繰り返すプロセスによって、ガス放出させた。各溶融サイクルにおいて放出された溶存気体を、再凍結時に除去した。このプロセスを5回実施したが、標準的に3〜4サイクルの後には溶融時の更なる脱気は観察されなかった。0.01mbarの真空圧力は約99.999%の脱気レベルに対応する。この後者の値は、凍結/解凍/排気の数回のサイクルで達成される最終的圧力は、溶融時点でいかなる可視的泡立ちもガス放出も生じさせない最終的凍結液と平衡状態にある圧力により与えられるという仮定に基づいて計算されている。この脱気レベルは、膜分離器によって商業的に達成することができる(Tai, M.S.L., Chua, I., Li, K., Ng, W.J. and Teo, W.K. Journal of Membrane Science, 1994, 87(1−2), 99−105; Wiesler, F., Ultrapure Water, March 2003, 38−42)。この脱気した水は、脱気後数分以内に使用した。水の移動は全て、層流のろ過した空気のキャビネット内で行った。更に、脱気した水の導電率の測定を、真空ラインから切り離し後直ちに、二酸化炭素の溶解を防ぐため窒素ガスの環境中で行った。導電率の測定は、大気と平衡している通常の蒸留水、清浄な窒素ガスでバブリング後の蒸留水、及び完全に脱気した水でも行った。全ての測定はパイレックス(登録商標)容器内で行った。経時的な導電率の変化も、高純度窒素ガスの穏やかなバブリングにさらしたときに、脱気水についてと大気と平衡している蒸留水について測定した。水の温度を測定し、そのpHを監視した。蒸留水については、ガラス電極の測定用電流を安定化させるため、純粋なNaClを少量添加した後にpH値を測定した。
【0044】
脱気した蒸留水試料の導電率は、凍結−解凍真空システムから導電率測定用プロ−ブへの水の迅速な移動により測定した。更に、第2のチュ−ブと連結された状態で真空チュ−ブ内に収容されたPt電極システムを用いて、そのままの位置でも測定を行なった。このシステムを用いて、大気に曝露せずに導電率を測定することができた。第2の管内において凍結−解凍方法を用いて、水を脱気した。この場合Ptセルを完全に排気し、脱気した水を真空下でPtセルに移した。この手法は、Ptセルを液体窒素温度及び凍結水に対し安全に曝露することができなかったために使用されたものである。
【0045】
この研究では、4つの異なるタイプの導電率計とセルを使用した。すなわち、Radiometer CDM80導電率計を50Hzの周波数で3電極のセル(白金黒コ−ティングされたもの)とともに使用し、Lovibond Con 200導電率計(黒鉛電極使用)を使用し、手動式のPhilips PR 9500導電率計も使用し(50Hzで)、Radiometer CDM210もCDC866Tプロ−ブとともに使用した。
【0046】
〔例1〕
単一蒸留水について得られた結果:
所定の範囲の条件下で水の導電率について得られた結果を表1にまとめて示す。これらの結果は、その測定が行なわれたしかるべき条件とともに、標準的な文献値と比較されている。全ての値はμScm-1単位である。温度及びpHの値はかっこ内に示されている。
【0047】
【表1】

【0048】
これらの結果は、脱気が水の導電率の増加に対し実質的な効果を有することを明らかに実証している。SIデ−タブックからの文献値は、20℃で0.042μScm-1(20MΩ・cm)であり、25℃で0.055μScm-1(18MΩ・cm)である。これらの値は、25℃で0.058μScm-1という値を測定したKohlrauschとHeydweillerの古典的研究での計測値と一致している。これらの値は、標準的に、Milliporeにより製造されるもののような市販の超純水ユニットについて得られる。しかしながら、これらの値は、CO2が除去されているものの酸素及び窒素といったような非極性の溶存ガスは除去されていない水の導電率に相当しているように思われる。大気中の二酸化炭素と平衡している純水については、約0.75μScm-1というはるかに高い値が得られる(Robinson, R.A. and Stokes, R.H. Electrolyte Solutions. 2nd edn. 1959 Butterworths, London)。
【0049】
しかしながら、空中移送法及びそのままでの位置での測定の両方を用いた、蒸留水の脱気についての30を超える種々の実験の結果は、完全な脱気が約1.2(±0.2)μScm-1まで導電率を増大させることを示している。脱気した水のpHは、予想通り7.0(±0.2)であることがわかった。比較すると、単一蒸留水(大気下で平衡)あるいは完全に脱気した蒸留水を通して窒素をバブリングさせるとその導電率がpH7.0で0.07μScm-1前後まで減少するということがわかった。かくして、窒素パ−ジは、単一蒸留水の導電率でさえ、超純水について文献で認められているのに近い値まで低下させることができる。完全な脱気は実際、溶解CO2を含有する大気下で平衡した水についての値より高く導電率を増大させる。
【0050】
純水の理論上の導電率が往々にして10-7Mの平衡濃度(実際には約24℃での)及びH3+及びOH-イオンの無限希釈での導電率から計算されるというのは、興味深い。対応する電解質溶液(NaCl、NaOH及びHCl)のイオン導電率は、恐らくは、便宜上CO2を含まない窒素下(すなわち完全に脱気された溶液中ではなく)で測定されたものであろう。水中のヒドロキシルイオン及びヒドロニウムイオンについての無限希釈への外挿はΛOH(無限希釈)=199.2Scm2mol-1及びΛH(無限希釈)=350.1Scm2mol-1である。よって、25℃でΛ(合計)=(199.2+350.1)×10-10Scm-1=0.055μScm-1となる。この値は、「標準」として認められているものと同じであり(例えばSIデ−タブック参照)、0.058μScm-1というKohlrauschとHeydweillerの最良の測定値とよく一致する。この標準計算値はやはり、CO2は含まないが脱気されていない水に対応するように思われる。温度に対する水の導電率の標準値もまた、Kohlrauschにより得られた値とよく一致する。
【0051】
ここに提示された結果は、「純」水についての精確な値は溶解した非極性ガスの有無により左右されることを示している。これまでは、溶解した二酸化炭素の影響のみが考慮されていた。
【0052】
主要な水精製会社のMilliporeが近年、「18.2MΩ・cmはもはや「品質保証」値でないことは明らかである」と述べたことは興味深い(Millipore − Technical Publications − Ultrapure Water for Elemental Analysis down to ppt levels. July 2004 サイト: www.millipore.com/publications.nsf/docs/rd002)。これは、ICP−MS超微量分析における最新の開発が「純水」の定義づけを押しのけつつあるからであった。この例で使用した水は、標準的な実験室用「単一蒸留」水として用意され、層流キャビネット内のパイレックス(登録商標)容器に入れて保管された。単に高純度窒素ガスで徹底的にパ−ジすることによって、ここで得られた値が、文献で公表された最良の値にかなり近い導電率の値を有する水を提供するというのは、驚くべきことである。
【0053】
〔例2〕
電子透析に対する塩水脱気の効果:
静電界の影響下で水中のイオンに対し作用する力は、水中の各々の特定イオンについての電気移動度の値により十分に説明することができる。例えば、イオンの移動度U+-は、印加された場Eの強さに対するドリフト速度S+-(印加された場の方向における)の比として表すことができる。
【0054】
【数1】

【0055】
ブラウン運動のため、S+-は、溶液中に存在するこのタイプの全てのイオンについて電界の方向における平均の「ドリフト」でなくてはならない。標準的な測定値を下表に示す。
【0056】
【表2】

【0057】
これは、例えば、約1V/cmの印加された場の下ではこれらのイオンは、ブラウン衝突に起因する瞬間(ランダム)速度O(104cm/sec)よりもはるかに低いものである約6×10-4cm/secの平均速度で移動するであろうことを意味する。イオンの移動度は、電界内の合計電流フロ−、ひいては溶液の導電率に関係づけられる。印加された場Eに対し垂直な、電解質溶液内の単位時間当たりに面積Aの平面を通過する電荷の量は、フラックスJと呼ばれ、次の式により与えられる。
【0058】
【数2】

【0059】
この式中、nは、溶液の単位体積当たりの次式
【0060】
【化1】

の電解質の分子数であり、qeは、電子電荷の正の値である。正及び負に帯電したイオンの両方ともが、全体的なフラックスに寄与する。Jは、Csec-12の(S.I.)単位、すなわち、単位断面積を横断する毎秒当たりの電荷を有する。電流の定義から、I=JAであり、ここでAは、電流が流れる断面積である。
【0061】
【数3】

【0062】
従って、印加された電界と電子透析の単位セルにおけるセル寸法とを用いて、0.15M(塩水)の初期濃度から出発して希釈セル(図1及び2参照)内の2つのイオン交換膜の間の中央平面における経時的なNaClの枯渇速度を計算することが可能である。この分析では、中央平面は、この場合におけるイオンフラックスを十分に説明するために用いられる、濃度勾配の作用下でのイオン拡散についてのNernst−Planck電解質輸送方程式(Mulder, M., Basic Principles of Membrane Technology, Kluwer, London, 1991)の第2項を無視できるように選択された。かくして、電気的な力だけを考慮することを必要とする。時間0において0.15MのNaCl溶液がアニオン及びカチオン交換膜の間の2mmの空間を占有している場合には、上記の表中の適切なイオン移動度を用いて、10V/cmの印加電界を印加後の時間の関数として、中央平面における濃度を計算することができる。標準的な結果をまとめて図4に示す。この計算では、ランダムな熱運動の影響のために、電界の作用下でのイオン移動の効率が95%であるという仮定がなされた。
【0063】
これらの計算は、近似的なものではあるものの、短時間の後でさえ、印加された電界により、電気抵抗を大幅に増大させる中央平面における濃度の減少が生じ、セルにおける全体的なイオンフラックスを低下させる、ということを明確に示している。これらの結果は、EDユニット全体に当てはめることができる。希釈セルが、この時間の後に、枯渇した塩(<0.01mM)の0.2mmの層を生じさせ、セルの残りの部分(1.8mm)が例えば0.01Mの平均塩濃度を有する場合には、枯渇した領域の電気抵抗(単位断面積当たり)は365kΩ/cm2であり、残留塩領域の電気抵抗は150Ω/cm2である。濃縮セルが0.3MのNaCl濃度を有する場合、それは7Ω/cm2の抵抗を提供する。これらの計算は、枯渇した塩の領域がEDユニットの全体的抵抗を支配するということを明確に実証している。かくして、5つの濃縮及び5つの希釈セルからなる10セルの組合せユニットについては、全体的抵抗は1.8MΩ/cm2となろう。しかしながら、供給原料の塩溶液が脱気された場合、希釈セルの枯渇した領域の導電率の増大により、この全体的抵抗は84kΩ/cm2まで低下する。簡単に言うと、全体的抵抗は塩の枯渇領域の高い抵抗によって左右され、これらの領域は脱気による影響を最も劇的に受ける。このモデルで仮定された枯渇層の厚みは控え目なものであり、実際には電子透析プロセス中に更に大きな枯渇領域が生じる。
【0064】
この計算では、溶解したCO2ガスの影響は、約10μMというその低いレベルのため無視しており、そしてこれは、解離したプロトンと炭酸水素イオンが、はるかに高いレベルのNa+及びCl-イオンとともにシステムから2つのイオン交換膜へと急速に移動させられることを意味している。同様に、膜間の狭い空間へと戻るガス拡散は、イオンフラックスよりもはるかに緩慢なものとなる。
【0065】
希釈セルの中央平面におけるイオン枯渇に加えて、これらの膜を通り抜けるこれらのイオンの輸送が急速なために、各イオン交換膜の隣りにもイオン枯渇層が存在する、この枯渇は、濃度で推進されるイオン拡散プロセスをもたらす。希釈セルにおける10%(すなわち0.2mm)の枯渇層はこれら2つの枯渇層の両方ならびに中央平面の層を包含するものと合理的に仮定することができるため、この効果はフラックスに対する寄与としてはやはり無視されてきた。
【0066】
〔参考文献一覧〕
・Aylward G. and Findlay, T., SI Chemical Data, 3rd edn, J.Wiley, NY, 1994。
・Eisenberg, D. and Kauzmann, W., The Structure and Properties of Water, Oxford, UK, 1969。
・Kohlrausch, F. and Heydweiller, A., Z. phys. Chem. 14, 317, 1894。
・Lee, H.−J., et al, Desalination, 142, 267−286, 2002。
・Millipore − Technical Publications − Ultrapure Water for Elemental Analysis down to ppt levels. July 2004。 サイト: www.millipore.com/publications.nsf/docs/rd002。
・Mulder, M., Basic Principles of Membrane Technology, Kluwer, London, 1991。
・Pilat, B., Desalination 139, 389−92, 2001。
・Robinson, R.A. and Stokes, R.H. Electrolyte Solutions. 2nd edn. 1959 Butterworths, London。
・Tai, M.S.L., Chua, I., Li, K., Ng, W.J. and Teo, W.K. Journal of Membrane Science, 1994, 87(1−2), 99−105。
・Wiesler, F., Ultrapure Water, March 2003, 38−42。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】電気透析プロセスの模式図である。
【図2】膜表面に隣接するイオンの枯渇を模式的に示す図である。
【図3】水の導電率に対する窒素パ−ジの効果を示すグラフである。
【図4】平面アニオン及びカチオン交換膜の間の2mmの間隔についての、経時的な計算上の中央平面イオン濃度を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)水性液を脱気する工程、
(ii)電界を水性液に印加する工程、
を含む、水性液を通して電流を伝導させる方法。
【請求項2】
前記液が電解又は電気化学セル内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液が電気透析セル内にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(i)水性液を脱気する工程、及び
(ii)脱気した液を電気透析に付する工程、
を含む、水性液からイオンを濃縮、分離又は除去するための方法。
【請求項5】
前記水性液から、溶解したN2、O2及びCO2の少なくとも80%を脱気する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記水性液から、溶解したN2、O2及びCO2の少なくとも99%を脱気する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記水性液が約10%〜約0.05%の溶解したNaClを含有する水である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
脱気した前記水性液が真空蒸留からの濃縮食塩水副生物である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記水性液が有機又は無機酸酵素、タンパク質、糖、アミノ酸、金属又は硝酸塩のうちの1種又は2種以上を含有する、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
電解又は電気化学プロセスにおける、脱気した水性液の使用。
【請求項11】
電気透析プロセスにおける、脱気した水性液の使用。
【請求項12】
水性液を脱気する工程を含む、電解又は電気化学プロセスで使用するための水性液を前処理するための方法。
【請求項13】
水性液を脱気する工程を含む、電気透析プロセスにおいて使用するための水性液を前処理するための方法。
【請求項14】
前記水性液が約10〜約0.1%の溶解NaClを含有する水であるか、又は有機又は無機酸酵素、タンパク質、糖、アミノ酸、金属又は硝酸塩のうちの1種又は2種以上を含有している、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
有機酸及び無機酸の精製、濃縮又は回収、乳製品の脱塩(demineralisation)、酵素及びタンパク質の脱塩及び精製、糖溶液の脱塩(desalination)及び精製、アミノ酸溶液の脱塩及び精製、減塩しょう油の生産、果汁の精製、血液精製、ワインからの酒石酸カリウム除去、写真廃棄物からのAg(I)塩の除去、電気めっき廃液からのNi(II)の除去、亜鉛めっき水からのZn(II)の除去、金属酸洗浴及び溶融亜鉛めっき廃液からの酸及び水の回収、ボイラ−給水及び冷却塔用水、電子部品加工用の洗浄水の精製、硝酸塩の除去、ホウ素の除去、硝酸の濃縮、グリセリン回収、及び食品から又は化学もしくは産業廃液からのイオン性溶質の除去又は回収、のうちの1つを目的とする、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
塩素の生産のための請求項1又は2に記載の方法。
【請求項17】
前記セルがSPE燃料電池である、請求項2に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−525166(P2008−525166A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547097(P2007−547097)
【出願日】平成17年12月23日(2005.12.23)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001953
【国際公開番号】WO2006/066345
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(595093740)ジ・オーストラリアン・ナショナル・ユニバーシティー (10)
【Fターム(参考)】